(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記反射部材により覆う工程において、前記反射部材の前記樹脂枠から離れた内側の端部における、前記反射部材の表面の前記第2表面に対する傾斜角が前記樹脂枠の内周端部における内角より小さくなるように前記反射部材を設ける請求項1〜4のいずれか1つに記載の発光装置の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明を実施するための形態を、以下に図面を参照しながら説明する。ただし、以下に示す形態は、本発明の技術思想を具体化するための発光装置を例示するものであって、本発明を以下の発光装置に限定するものではない。
【0010】
また、本明細書は、特許請求の範囲に示される部材を、実施形態の部材に特定するものではない。特に、実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定するものではない。尚、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。
【0011】
<実施形態>
実施形態の発光装置は、
図1等に示すように、基体30と、基体30の上面に設けられた発光素子40と、基体30の上面において、発光素子40を囲む樹脂枠50と、樹脂枠50の内側で発光素子40を封止する封止部材70とを備える。
基体30は、第一リード20Aと、第二リード20Bと、第一リード20Aと第二リード20Bとを支持する樹脂部材10と、を含み、基体30の上面は、第一リード20Aの表面と第二リード20Bの表面と樹脂部材10の表面を含む。
発光素子40は、基体30の上面の第一リード20Aの表面に設けられている。
樹脂枠50は、基体30の上面に、発光素子40を囲みかつ内側に第一リード20Aの表面の一部と樹脂部材10の表面の一部とが露出するように設けられている。
尚、以下の説明において、基体30の上面31において、樹脂枠50の内側の領域にある第一リード20Aの表面を第一表面25といい、同じく、基体の上面31において、樹脂枠50の内側の領域にある樹脂部材10の表面を第二表面15という。
【0012】
そして、実施形態の発光装置では、樹脂枠50の内側に露出された樹脂部材10の表面の一部である第二表面15が反射部材11により覆われている。これにより、樹脂部材10による発光素子40が発光する光の吸収を抑えることができ、発光素子40が発光する光を効率良く取り出すことが可能になる。
【0013】
以下、実施形態の発光装置について詳細に説明する。
1.実施形態の発光装置における反射部材11の技術的意義
実施形態の発光装置1000は、基体30の上面に発光素子40とその発光素子40を囲む樹脂枠50を設け、その樹脂枠50の内側で発光素子40を封止し、封止部材70を介して発光素子40が発光する光を外部に取り出すようにしたものである。以上の構成において、発光素子40の発光する光を外部に効率良く取り出すためには、発光素子からの光を基体30の上面で反射して上方に取り出すようにすればよい。そのため、樹脂枠50の内側の基体30の上面全体に対して、光に対する反射率が比較的高い金属からなる第一リード20Aの表面が占める割合を大きくすることが考えられる。しかしながら、樹脂枠50の内側において、樹脂部材10の表面(第二表面15)が露出する面積を小さくすることには以下のような制約がある。
【0014】
第1に、基体30は、第一リード20Aと第二リード20Bとが電気的に分離された状態で樹脂部材10によって支持されることにより構成されている。したがって、第一リード20Aと第二リード20Bとを確実に支持しかつ第一リード20Aと第二リード20Bとを絶縁するために基体30の上面に占める樹脂部材10の表面の割合をある一定以上小さくすることは難しいという構成上の制約がある。
また、樹脂部材10に酸化チタン等のフィラーを含有させて樹脂部材10自体の反射率を高めることも考えられる。
しかしながら、樹脂部材10には、第一リード20Aと第二リード20Bとを電気的に分離された状態で確実に支持することが求められ、樹脂部材10自体にリードを機械的に支持する機能に加えてさらに反射機能を持たせることは必ずしも容易ではない。
【0015】
また、基体30は、例えば、第一リード20Aと第二リード20Bとを金型内にセットして成形樹脂(以下すべて樹脂部材10となる未硬化の樹脂を意味する。)を第一リード20Aと第二リード20Bの間を含む所定の範囲に注入することにより作製される。
したがって、基体30を成形により作製する場合には、成形樹脂を注入するための注入口を配置する領域を一定以上確保することが望ましく、基体の上面に占める樹脂部材10の表面の割合をある一定以上小さくすることは難しいという基体作製上の制約もある。
さらに近年では、よりいっそう小型化が求められる傾向があり、第一リード20Aと第二リード20Bとを電気的に絶縁した状態で支持するために必要な樹脂部材10を確保しようとすると、基体全体に占める樹脂部材10の割合がむしろ増える傾向にある。すなわち、樹脂部材10を基体全体と同じ割合で減少させると、第一リード20Aと第二リード20Bとの間隔が狭くなって絶縁が保てなくなったり、支持体としての強度が不足したりするようになるからである。
したがって、基体30の上面に占める樹脂部材10の表面の割合を小さくすることはますます難しくなってきている。
【0016】
そこで、樹脂枠50の内側の基体30の上面に露出した樹脂部材10の表面(第二表面15)を反射部材で覆うことにより、樹脂部材10による光の吸収を抑えることができる。
以下、実施形態の発光装置の具体的な構成について説明する。
【0017】
2.実施形態の発光装置1000の具体的な構成
2−1.基体30
図3Aに示すように、基体30は、第一リード20Aと第二リード20Bとを含む導電部材20と樹脂部材10とを備えている。また、基体30は、上面31と下面32とを有し、上面31及び下面32はそれぞれ第一リード20Aの表面と第二リード20Bの表面と樹脂部材10の表面を含む。
図2A等に示すように、第一リード20Aは、例えば、略多角形の幅広部21Aと、端子部23Aと、幅広部21Aと端子部23Aとを接続する接続部22Aと、を有している。接続部22Aの幅W22は、幅広部21Aの幅W21及び端子部23Aの幅W23よりも狭くなっている。ここで、本明細書において、幅とは、幅広部21Aから接続部22Aが延伸する方向に直交する方向の最大長さをいう。
【0018】
より詳細に説明すると、幅広部21Aは、
(1)接続部22Aとの境界の辺であり接続部22Aの幅W22と同じ長さ第1辺21A1と、
(2)第1辺21A1に平行でかつ対向する第2辺21A2と、
(3)第1辺21A1及び第2辺21A2に直交する第3辺21A3と、
(4)第1辺21A1及び第2辺21A2に直交し、第3辺21A3と対向する第4辺21A4と、
(5)第1辺21A1と第3辺21A3とを結ぶ傾斜した第5辺21A5と、
(6)第1辺21A1と第4辺21A4とを結ぶ傾斜した第6辺21A6と、
(7)第2辺21A2と第3辺21A3とを結ぶ傾斜した第7辺21A7と、
(8)第2辺21A2と第4辺21A4とを結ぶ傾斜した第8辺21A8と、
を有し、平面視において略多角形に形成されている。
ここで、幅広部21Aの第2辺21A2は、第1辺21A1より長くなっている。
【0019】
例えば、端子部23Aの長軸方向の長さW23は、幅広部21Aの第2辺21A2より長い長軸方向の長さを有しており、端子部23Aと幅広部21Aの2つの傾斜した第5辺21A5及び第6辺21A6の間は、接続部22Aから離れるにしたがって幅が広くなっている。そして接続部からその幅が広くなった領域に沿って幅広部の周辺に樹脂部材10が形成される。
【0020】
第二リード20Bは、幅広部21Aとの間隔が一定となるように配置されている。具体的には、第二リード20Bは、長軸方向の一端から他端に至る長さが幅広部21Aの幅W21とほぼ同じ長さを有し、長軸方向の一端部と他端部が内側に屈曲されている。また、第二リード20Bの幅広部21Aに対向する辺は、一端部及び他端部において、幅広部21Aの第7辺21A7及び第8辺21A8と平行に対向するように内側に折れ曲がっている。
【0021】
基体30において、樹脂部材10は、第二リード20Bと第一リード20Aの間の領域を含む、第一リード20Aの幅広部21Aの周りと第二リード20Bの一端部と他端部の周りに設けられて第一リード20Aと第二リード20Bとを支持する。この樹脂部材10は、例えば、端子部23Aと接続部22Aと幅広部21Aの2つの傾斜した第5辺21A5及び第6辺21A6の間の接続部22Aから第二リード20Bへ向かって幅が広くなった2つの領域(樹脂注入部)から成形樹脂を注入して、第二リード20Bと第一リード20Aの間の領域及び第一リード20Aの幅広部21Aの周りと第二リード20Bの一端部と他端部の周りに成形樹脂を充填することにより形成される。このように、接続部22Aから離れるにしたがって幅が広くなった2つの樹脂注入部から成形樹脂を注入することにより、樹脂注入部から離れた、例えば、第二リード20Bと第一リード20Aの間の領域にも容易に成形樹脂を注入することができる。また、実施形態の発光装置では、第一リード20Aの幅広部21Aの形状を略多角形とし、角の部分に傾斜した第5辺21A5、第6辺21A6、第7辺21A7及び第8辺21A8を設けているので、樹脂部材10を容易に第二リード20Bと第一リード20Aの間の領域を含む、第一リード20Aの幅広部21Aの周りと第二リード20Bの一端部と他端部の周りに設けることができる。
【0022】
2−2.発光素子40
ここに例示する発光素子40は、上面を発光面とし、その上面にn電極とp電極とが設けられている。
図1等では、発光素子40の上面は、矩形としているが、上面の形状は、任意の形状でよい。発光素子40は、第一リード20Aの第一表面25 上に発光面である上面を上にしてフェイスアップ実装される。発光素子40と第一リード20Aとを接合する接合部材は、絶縁性の接合部材でも導電性の接合部材でもよく、公知の接合部材を用いることができる。発光素子40のn電極とp電極はそれぞれワイヤ60を介して第一リード20Aと第二リード20Bに接続される。尚、発光素子40のn電極とp電極はそれぞれワイヤ60を介して第二リード20Bと第一リード20Aとに接続されていてもよい。
【0023】
2−3.樹脂枠50
実施形態の発光装置において、樹脂枠50は、
図2Bに示すように、第一リード20Aの幅広部21Aの周りに幅広部21Aの一部を覆い、樹脂枠50の内側に樹脂部材10の表面の一部(第二表面15)が露出するように形成される。
図2Bにおいて、第一リード20A及び第二リード20Bの樹脂枠50に被覆されている部位にハッチングを付して示している。実施形態の発光装置では、樹脂枠50は、
図2Bに示すように、第1辺21A1、第2辺21A2、第3辺21A3及び第4辺21A4に沿って所定の幅に第一リード20Aを覆い、幅広部21Aの第5辺21A5及び第6辺21A6と樹脂枠50の内周下端の間と、幅広部21Aの第7辺21A7及び第8辺21A8と樹脂枠50の内周下端の間の樹脂枠50の内側には、樹脂部材10の表面(第二表面15)が露出するように形成される。このように、実施形態の発光装置では、樹脂枠50を上面視形状が略矩形になるように形成し、その略矩形の樹脂枠50の内周下端の4つの隅の内側にそれぞれ第二表面15が露出し、その4つの第二表面15がそれぞれ後述するように反射部材11により覆われている。
【0024】
2−4.反射部材11
反射部材11は、
図3Aに示すように、例えば、内側(樹脂枠50の中心に近い側)の端部が樹脂部材10の表面(第二表面15)と第一リードの幅広部21Aの表面(第一表面25 )との境界に一致し、外側の端部が樹脂枠50上に位置するように形成されることが好ましいが、完全に前記境界に一致していなくてもよく、樹脂部材10の表面(第二表面15)の大部分が覆われていればよく、素子を覆わなければ第一リード20Aの表面(第一表面25 )の一部を覆っていてもよい。実施形態の発光装置において、反射部材11は、樹脂枠50の内側の樹脂部材10の表面(第二表面15)を実質的に同じ厚さで形成されていても良いが、好ましくは、反射部材11は、樹脂枠50に近づくにしたがって厚さが厚くなるように形成する。このように、反射部材11を樹脂枠50に近づくにしたがって厚くなるように形成し、表面が傾斜するようにすると、発光素子が発光する光を反射部材11の傾斜した表面により上方(光の取り出し方向)に向けて反射させることができ取り出し効率を高くできる。また樹脂枠が矩形のような角部を有する形状とした場合に、角部を反射部材11で覆うことになるため、光の乱反射を防ぎ取りだし効率をより高くできる。また、反射部材11の樹脂枠50から離れた内側の端部における、反射部材11の表面の第二表面15に対する傾斜角は、樹脂枠50の内周端部における内角より小さいことが好ましい。言い換えれば、反射部材11は、反射部材11の傾斜した表面の下端(樹脂枠50から離れた下端)の傾斜角が樹脂枠50の内周下端の内角より小さくなるように形成することが好ましく、これにより光の取りだし効率をより高くできる。
【0025】
以上の実施形態の発光装置は、樹脂枠50の内側の基体30の上面において、露出した第一リードの幅広部21Aの表面(第一表面25 )の外周の一部は樹脂枠50の内周下端から内側に離れて位置し、その第一表面25 の外周の一部と樹脂枠50の内周下端の間に樹脂部材10の表面(第二表面15)が露出し、その露出した樹脂部材10の表面(第二表面15)に反射部材11を形成している。これにより、発光素子が発光する光の樹脂部材10による吸収を抑制することができ、光の取りだし効率の高い発光装置を提供することが可能になる。
【0026】
また、以上の実施形態の発光装置では、樹脂枠50の内側に樹脂部材10の表面(第二表面15)が露出していても、その第二表面15に反射部材11を形成することにより、樹脂部材10による光の吸収を抑制することができる。これにより、樹脂枠50の内側に露出する樹脂部材10の表面(第二表面15)を必要以上に小さくすることがなく、構成上及び製造過程上の制約を抑えることができ、構成設計及び工程設計の自由度を向上させることができる。
【0027】
例えば、樹脂部材10の材料を光の吸収を必要以上に考慮することなく、第一リード20Aと第二リード20Bの絶縁分離及び第一リード20Aと第二リード20Bの支持を考慮してより適切な構造設定及び材料選択が可能になり、信頼性の高い発光装置の提供が可能になる。
また、樹脂部材10を形成する成形樹脂を注入する領域を比較的広く確保することが可能になるため、充填性を上げることができ、充填にかかる時間を短縮したり、樹脂部材10の成形時の歩留まりを向上させることができ、発光装置を安価に製造することが可能になる。
以上の利点を生かして、より小型でかつ信頼性の高い発光装置の提供が可能になる。
【0028】
以上の実施形態の発光装置では、樹脂枠50の内側の第一表面25 の周りに4箇所の第二表面15が露出し、4箇所の第二表面15が全て反射部材11により覆われている形態を示した。
しかしながら、4箇所の第二表面15の全てが反射部材11により覆われている必要はなく、少なくとも4箇所の第二表面15のうちの少なくとも1つが反射部材11により覆われていればよい。例えば、樹脂枠50の内側に露出した複数の第二表面15のうちの比較的露出面積の大きい1つの第二表面15のみを覆うようにしてもよい。
また、樹脂枠50の内側に露出する第二表面15は、4箇所又は複数箇所に存在する必要はなく、少なくとも1つの第二表面15が露出されていればよい。
【0029】
以上の実施形態の発光装置では、例えば、
図3Cに示すように、上面が平坦な封止部材70を用いた例を示した。しかしながら、封止部材70は、上面が平坦なものに限定されるものではなく、
図4に示すように、上面が曲面からなるレンズ形状の封止部材を用いてもよい。
【0030】
以上の実施形態の発光装置の説明では、1つの発光素子40を含む発光装置について説明した。しかしながら、実施形態の発光装置の説明では、
図5に示すように、複数の発光素子を用い、その複数の発光素子40を一括して囲むように樹脂枠50を形成するようにしてもよい。また、実施形態の発光装置は、保護素子80を含んでいても良く、その保護素子80は、
図5に示すように、例えば樹脂枠50に埋設されていてもよい。
【0031】
以上の実施形態の発光装置の説明では、
図6及び
図7に示すように、基体30上面の樹脂部材10の上面に凸部12を形成するようにしてもよい。基体30上面の樹脂部材10の上面に凸部12を形成して、凸部12を覆うように樹脂枠50を形成することにより、基体30と樹脂枠50との接合強度を高めることができる。
【0032】
以下に、実施形態の発光装置の各構成部材に適した材料等について説明する。
(反射部材11)
反射部材11は、樹脂枠50の内側に露出された樹脂部材10の表面からなる第二表面15を覆っている。
反射部材11の材料としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、BTレジンやPPAやシリコーン樹脂などが挙げられる。特に、反射部材11の材料としては、耐光性に優れたシリコーン樹脂が好ましい。材料に樹脂材料を用いることで反射部材11と樹脂部材10がそれぞれ樹脂材料を含有しているので、反射部材11と樹脂部材10、及び、樹脂枠50との密着性を向上させることができる。また、これらの母体となる樹脂に、発光素子40からの光を吸収しにくく、かつ、母体となる樹脂に対する屈折率差の大きい反射材粉体を分散することで、効率よく発光素子40からの光を反射させることができる。反射材粉体としては、例えば、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウムの粉末を用いることができる。特に、酸化チタンは、水分などに対して比較的安定でかつ高屈折率であるため好ましい。反射部材11は、発光素子40からの光に対する反射率が60%以上、好ましくは70%以上の部材である。
【0033】
反射部材11は、
図3Aを参照しながら説明したように、例えば、内側(樹脂枠50の中心に近い側)の端部が樹脂部材10の表面(第二表面15)と第一リードの幅広部21Aの表面(第一表面25 )との境界に一致するように、外側の端部が樹脂枠50上に位置するように形成されることが好ましい。また、反射部材11は、樹脂枠50に近づくにしたがって厚さが厚くなるように形成することが好ましい。このような形状の反射部材11は、例えば、樹脂部材10の表面(第二表面15)と第一リードの幅広部21Aの表面(第一表面25 )との間の濡れ性の違いを利用して反射部材11を塗布により形成する際の樹脂材料の粘度及び塗布量を適宜調整することにより形成することができる。具体的には、樹脂部材10の表面(第二表面15)は、金属の表面である第一リードの幅広部21Aの表面(第一表面25 )に比べると光沢度の違い等により濡れ性は高い。したがって、比較的粘度の低い原料樹脂を樹脂部材10の表面(第二表面15)に塗布すると、内側(樹脂枠50の中心に近い側)の端部が樹脂部材10の表面(第二表面15)と第一リードの幅広部21Aの表面(第一表面25 )との境界に一致するように形成することができ、該境界から離れるにしたがって厚さが厚くなるように形成することができる。また、反射部材11の表面の傾斜や曲面形状は、塗布する樹脂の粘度及び塗布量を調整することにより調整できる。
【0034】
(樹脂部材10)
樹脂部材10の材料としては、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、BTレジン、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ナイロン樹脂、不飽和ポリエステル等が挙げられる。これらの樹脂材料に、当該分野で公知の着色剤、充填剤、強化繊維等を含有させてもよい。また、熱放射係数の大きいカーボンブラック等の黒色フィラーを含有させることにより、発光素子からの熱を効率的に逃がすことができる。通常、カーボンブラック等の黒色フィラーを樹脂部材10に含有させると、樹脂部材10による光の吸収が大きくなり、発光装置としての光取りだし効率は低下する。しかしながら、実施形態の発光装置では、樹脂枠50の内側に露出した樹脂部材10の表面(第二表面15)に反射部材11を形成しているので、樹脂部材10による光の吸収を抑制でき、発光装置の光取りだし効率の低下を抑制できる。充填剤としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム等が挙げられる。強化繊維としては、ガラス、珪酸カルシウム、チタン酸カリウム等が挙げられる。
【0035】
(導電部材20)
導電部材20は、発光素子40等の電子部品に外部電源からの電圧を印加するために用いられる。導電部材20は、第一リード20Aと、第二リード20Bと、を備えている。
導電部材20は、熱伝導率の比較的大きな材料で形成することが好ましい。例えば、200W/(m・K)程度以上の熱伝導率を有している材料を用いることにより、発光素子40で発生した熱を第一リード20Aに伝導しやすくなる。
【0036】
導電部材20は、打ち抜き加工や切断加工等が容易な強度の高い材料で形成されることが好ましい。例えば、銅、アルミニウム、金、銀、タングステン、鉄、ニッケル、パラジウム、ロジウム、等の金属又はこれらの合金、燐青銅、鉄入り銅等単層又は積層体を基材とすることができる。なお、金属層は、第一リード20Aと、第二リード20Bの全面に設けられていてもよいし、片方のみでも、部分的に設けられていてもよい。
【0037】
導電部材20は、表面に反射膜を備えていてもよい。反射膜は、アルミニウム、銅、金等の1又は2以上の金属を用いることができる。特に、反射膜に銀を用いることが好ましい。このようにすることで、発光装置の光取り出し効率を向上させることができる。
【0038】
導電部材20に反射膜を形成する方法は、めっき法、蒸着法、スパッタ法、イオンビームアシスト蒸着法等の種々の方法が挙げられる。その膜厚は、発光素子40からの光を有効に反射させることができる膜厚であればよく、例えば20nm〜10μm程度であり、50nm〜5μm程度が好ましく、100nm〜3μm程度がより好ましい。導電部材の厚み及び形状は、当該分野で公知の範囲において適宜設定することができる。
【0039】
図2Aに示すように、第一リード20A及び/又は第二リード20Bの端面は凹凸を備えることが好ましい。第一リード20A及び/又は第二リード20Bと、樹脂部材10と、が接触する箇所に凹凸を備えることで、第一リード20A及び/又は第二リード20Bと、樹脂部材10と、の接触面積を大きくすることができる。これにより、第一リード20A及び/又は第二リード20Bと樹脂部材10との密着性を向上させることができる。
【0040】
(発光素子40)
発光素子40は、第一リード20Aの第一表面25 上に配置される。発光素子40は、電圧を印加することで自ら発光する半導体素子であり、窒化物半導体等から構成される既知の半導体素子を適用できる。発光素子の発光波長は、可視域(380〜780nm)を含め、紫外域から赤外域まで選択することができる。例えば、ピーク波長430〜490nmの発光素子としては、窒化物半導体を用いることができる。その窒化物半導体としては、In
XAl
YGa
1−X−YN(0≦X、0≦Y、X+Y≦1)等を用いることができる。また、発光素子40はサブマウントを介して第一表面25 上に配置されてもよい。
【0041】
発光素子40の形状は、上面視で、三角形、四角形、六角形等の多角形、又はこれらに近似する形状等、任意の形状でよい。また、発光素子40は、同じ面側にn電極及びp電極が形成された片面電極のものであってもよいし、n電極とp電極が互いに反対側となる2つの面(例えば上面と下面)に各々形成された両面電極のものであってもよい。
【0042】
発光素子40が片面電極の場合は、第一リード20Aの第一表面25 上にフェイスアップ実装される。フェイスアップ実装とは、発光素子40の電極形成面と反対側の面を基体30に向けて実装する形態である。発光素子40と第一リード20Aの接合部材は、絶縁性の接合部材でも導電性の接合部材でもよく、公知の接合部材を用いてよい。例えば、絶縁性の接合部材としてはエポキシ樹脂、シリコーン樹脂又はこれらの変性樹脂等が挙げられ、導電性の接合部材としては銀、金、パラジウム等の導電性ペーストや、Au−Sn共晶等の半田、低融点金属等のろう材等が挙げられる。
【0043】
発光素子40が両面電極の場合は、発光素子40と第一リード20Aとの接合部材として、導電性の接合部材であればよく公知の接合部材を用いてよい。例えば、導電性の接合部材としては銀、金、パラジウム等の導電性ペーストや、Au−Sn共晶等の半田、低融点金属等のろう材等が挙げられる。この場合、発光素子を第一リード20Aに載置することで、発光素子40と、第一リード20Aと、を電気的に接続することができる。
【0044】
(樹脂枠50)
樹脂枠50は、環状に発光素子40を囲んで設けられる。樹脂枠50が発光素子40を囲んで設けられるため、封止部材70となる未硬化状態の原料を樹脂枠50内に止めることができる。樹脂枠50は、樹脂枠50の元となる未硬化の原料を、樹脂枠50を形成したい領域に配置し、当該原料を硬化させることにより形成される。
【0045】
樹脂枠50の材料としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、BTレジンやPPAなどが挙げられる。特に、樹脂枠50の材料としては、耐光性に優れたシリコーン樹脂が好ましい。また、これらの母体となる樹脂に、発光素子40からの光を吸収しにくく、かつ、母体となる樹脂に対する屈折率差の大きい反射材粉体を分散することで、効率よく発光素子40からの光を反射させることができる。反射材粉体としては、例えば、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウムを用いることができる。特に、酸化チタンは、水分などに対して比較的安定でかつ高屈折率であるため好ましい。樹脂枠50は、発光素子40からの光に対する反射率が60%以上、好ましくは70%以上の部材である。このようにすることで、樹脂枠50に達した光が樹脂枠50に吸収されにくくなり、発光装置の光取出し効率を高めることができる。
【0046】
(ワイヤ60)
発光素子40と第二リード20Bとは、ワイヤ60を介して電気的に接続してもよい。ワイヤ60は、導電性に優れた金属材料を用いることができる。金属材料としては、金やアルミニウム、銅、銀等を用いることができる。ワイヤボンディングの方法としては、ボールボンディング、ウェッジボンディング等の公知の方法を用いてよい。
【0047】
(封止部材70)
封止部材70の材料としては、透光性を有する樹脂材料又はガラス材料等を用いることができる。特に、封止部材70の材料に樹脂材料を用いることが好ましい。反射部材11及び樹脂枠50がそれぞれ樹脂材料を含有しているので、封止部材70も樹脂材料であることで、封止部材70と反射部材11との密着性、及び、封止部材70と樹脂枠50との密着性を向上させることができる。封止部材70の樹脂材料としては、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリノルボルネン樹脂、又はこれらの変性樹脂やこれらの樹脂を1種以上含むハイブリッド樹脂等を用いることができる。特に、封止部材70の材料としては耐光性に優れたジメチル系シリコーン樹脂、フェニル系シリコーン樹脂が好ましい。
封止部材70は、波長変換部材及び/又は光拡散材を含んでいてもよい。
【0048】
(波長変換部材)
波長変換部材としては、発光素子からの発光で励起可能な蛍光体の粒子が使用される。例えば、青色発光素子又は紫外線発光素子で励起可能な蛍光体としては、セリウムで賦活されたイットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(YAG:Ce)、セリウムで賦活されたルテチウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(LAG:Ce)、ユウロピウムおよび/又はクロムで賦活された窒素含有アルミノ珪酸カルシウム系蛍光体(CaO−Al2O3−SiO2:Eu,Cr)、ユウロピウムで賦活されたシリケート系蛍光体((Sr,Ba)2SiO4:Eu)、βサイアロン蛍光体、CASN系蛍光体、SCASN系蛍光体等の室化物系蛍光体;KSF系蛍光体等のフッ化物系蛍光体、硫化物系蛍光体、塩化物系蛍光体、ケイ酸塩系蛍光体、リン酸塩系蛍光体、量子ドット蛍光体などが挙げられる。これらの蛍光体と、青色発光素子又は紫外線発光素子と組み合わせることにより、様々な波長の発光装置を製造することができる。
【0049】
(光拡散材)
光拡散材の材料として、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素などを用いることができる。特に、酸化チタンは、水分などに対して比較的安定で
かつ高屈折率であるため好ましい。
【0050】
(保護素子80)
保護素子80は、例えば、発光素子40に逆方向に電圧が印加されたときに、逆方向に流れる電流を阻止したり、発光素子40の動作電圧より高い順方向電圧が印加されたときに発光素子に過電流が流れるのを阻止したりすることができる保護回路や静電保護素子が挙げられる。具体的には、ツェナーダイオードが利用できる。