(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載された給水装置は、制御部に異常が発生した場合の断水を防止するものではない。また、特許文献1に記載された給水装置では、ポンプが停止してからサービスマンが自動運転から手動運転へ切り替えるまでの間は、建物等は完全に
断水する。さらに、手動運転時には、建物等の居住者の水の使用状況によらず固定出力周波数でポンプを運転するので、無駄な運転を行う時間帯が存在する。
【0010】
また、特許文献2に記載された給水装置及び特許文献3に記載された回転機械装置では、予備の制御基板を予め搭載しておく必要があるので、イニシャルコストがかかる。また、このような予備の制御基板が搭載されていない給水装置では、当然、断水を防止することができない。
【0011】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、追加的なハードウェアを要することなく、完全断水を防止することのできる給水装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一形態によれば、給水装置が提供される。この給水装置は、液体を移送するためのポンプと、対応する前記ポンプの回転速度を可変制御するインバータと、前記インバータを制御する第1制御部と、前記第1制御部及び前記インバータと通信可能に接続され、前記インバータ及び前記第1制御部に対する指示を入力可能に構成される表示操作部と、を有する。前記表示操作部は、第2制御部を有し、前記第2制御部は、前記第1制御部と前記インバータとの間の通信に異常が生じ、且つ/又は前記第1制御部と前記表示操作部との間の通信に異常が生じた場合に、前記インバータに前記ポンプの回転速度を出力する運転状態指示部を有する。前記インバータは、前記ポンプを前記運転状態指示部が出力した前記回転速度で運転する。
【0013】
上記一形態によれば、給水装置に一般的に搭載されている表示操作部の第2制御部を使用して、第1制御部に異常が検出された場合に、インバータを制御することができる。即ち、第2制御部によってポンプをバックアップ運転することができる。このため、給水装置に追加的なハードウェアを設けることなく、完全断水を防止することができる。
【0014】
上記給水装置の一形態において、前記第2制御部は、前記第1制御部と前記表示操作部との間の通信の異常を検出するように構成される第1異常検出部と、前記第1制御部と前記インバータとの間の通信の異常を検出するように構成される第2異常検出部と、を有する。前記運転状態指示部は、前記第1異常検出部及び/又は前記第2異常検出部により異常が検出されたときに、前記インバータに前記ポンプの回転速度を出力するように構成される。この一形態によれば、第1異常検出部と第2異常検出部により、第1制御部と表示操作部との間の通信の異常と、第1制御部とインバータとの間の通信の異常とを監視するので、第1制御部の異常を確実に検出することができる。
【0015】
上記給水装置の一形態において、前記第1異常検出部及び/又は前記第2異常検出部により異常が検出されたとき、前記運転状態指示部は、前記運転状態指示部が出力した前記回転速度で運転される前記ポンプ以外のポンプを停止するように、前記インバータに指示を出力する。この一形態によれば、第1制御部の故障時に必要最小限のポンプのみを運転することができるので、完全断水を防止しつつ、電力の消費も抑制することができる。
【0016】
上記給水装置の一形態において、前記第1制御部は、前記第1制御部と前記インバータとの間の通信に異常が生じた場合に、前記運転状態指示部が前記インバータに前記ポンプの前記回転速度を出力するように、前記表示操作部に指示を出力する。この一形態によれば、第1制御部の通信機能部に故障があるときに第1制御部から表示操作部に指示を送るので、表示操作部が第1制御部の異常を監視する必要がない。
【0017】
上記給水装置の一形態において、前記第2制御部は、前記ポンプの運転状態を検出する運転状態検出部を有し、前記運転状態検出部は、前記運転状態指示部が出力した前記回転
速度での前記ポンプの運転が所定時間以上継続しているか否かを判定し、前記ポンプの運転が所定時間以上継続していると判定されたとき、前記運転状態指示部は、前記ポンプを停止させるように、前記インバータに指示を出力する。この一形態によれば、バックアップ運転しているポンプが所定の水量を建物等に圧送した後に停止することができ、安定した水の供給を行うことができる。また、ポンプが長時間運転することにより、加熱されることを防止することができる。
【0018】
上記給水装置の一形態において、前記運転状態指示部が、前記ポンプを停止させるように前記インバータに指示を出力した後、前記運転状態検出部は、前記ポンプが所定時間以上停止しているか否かを判定し、前記ポンプが所定時間以上停止していると判定されたとき、前記運転状態指示部は、前記ポンプを再び運転させるように、前記インバータに指示を出力する。この一形態によれば、バックアップ運転していたポンプが所定時間停止した後、運転を再開するので、ポンプを停止せずに連続運転する場合に比べて、無駄な運転が行われる時間を低減することができる。また、ポンプが停止されることにより、建物等で一時的な断水を生じさせる。これにより、建物等の居住者は給水装置に異常が発生したことを知ることができる。ひいては、建物等の管理者へ連絡することを居住者に促すことができる。さらに、ポンプが停止している間は、ポンプを冷却することができる。
【0019】
上記給水装置の一形態において、前記運転状態指示部が、前記ポンプを停止させるように前記インバータに指示を出力した後、前記第2制御部は、前記ポンプが所定時間以上停止しているか否かを判定し、前記ポンプが所定時間以上停止していると判定されたときに、前記運転状態指示部は、前記ポンプとは異なるポンプを運転させるように、前記インバータに指示を出力する。この一形態によれば、バックアップ運転していたポンプが所定時間停止した後、運転を再開するので、ポンプを停止せずに連続運転する場合に比べて、無駄な運転が行われる時間を低減することができる。また、ポンプが停止されることにより、建物等で一時的な断水を生じさせる。これにより、建物等の居住者は給水装置に異常が発生したことを知ることができる。ひいては、建物等の管理者へ連絡することを居住者に促すことができる。さらに、バックアップ運転していたポンプを停止させた後、これとは異なるポンプを運転するので、同一のポンプのバックアップ運転及び停止を繰り返す場合に比べて、バックアップ運転した後のポンプの停止時間を長くすることができる。したがって、ポンプの冷却時間を長くすることができる。
【0020】
上記給水装置の一形態において、前記ポンプの運転が所定時間以上経過していると判定されたとき、前記運転状態指示部は、前記ポンプとは異なるポンプを運転させ、その後前記ポンプを停止させるか、又は前記ポンプとは異なるポンプを運転させると実質的に同時に前記ポンプを停止させるように、前記インバータに指示を出力する。この一形態によれば、建物等で一時的な断水を生じさせることなく、ポンプを運転することができる。
【0021】
上記給水装置の一形態において、前記第2制御部は、前記第1制御部と前記表示操作部との間の通信の異常が解除されたか否かを判定し、前記第1制御部と前記表示操作部との間の通信の異常が解除されたと判定されたとき、前記運転状態指示部は、前記インバータへの前記ポンプの回転速度の出力を中止する。この一形態によれば、第1制御部の異常が解消されたことを検出することができ、その場合に第2制御部によるインバータの制御を中止することができる。したがって、第1制御部によるインバータの通常制御を再開することができる。
【0022】
上記給水装置の一形態において、前記第2制御部は、前記第1制御部からの前記指示が解除されたか否かを判定し、前記第1制御部からの前記指示が解除されたと判定されたとき、前記運転状態指示部は、前記インバータへの前記ポンプの回転速度の出力を中止する。この一形態によれば、第1制御部の異常が解消されたことを検出することができ、その
場合に第2制御部によるインバータの制御を中止することができる。したがって、第1制御部によるインバータの通常制御を再開することができる。
【0023】
上記給水装置の一形態において、前記第1制御部と前記表示操作部は、シリアル通信接続される。第1制御部及び表示操作部は、ノイズ源になり得るインバータの近傍に配置されることが多い。また、給水装置の設置環境に応じて、表示操作部は、第1制御部から離れた場所に配置されることが望ましい場合がある。この一形態によれば、耐ノイズ性に優れ、信号ラインの延長が可能な、RS485通信等のシリアル通信接続が採用されるので、インバータのノイズによる影響を抑制し、表示操作部を第1制御部から離れた場所に配置することができる。
【0024】
上記給水装置の一形態において、前記運転状態指示部が前記インバータに出力する前記ポンプの回転速度は、固定回転速度である。この一形態によれば、ポンプの回転速度が一定の回転速度になるので、ポンプが可変回転速度で運転される場合に比べて、インバータがポンプを制御するアルゴリズムを簡素化することができる。
【0025】
上記給水装置の一形態において、前記運転状態指示部が前記インバータに出力する前記ポンプの回転速度は、可変回転速度である。この一形態によれば、ポンプの回転速度が可変の回転速度になるので、ポンプが固定回転速度で運転する場合に比べて、建物等に供給する水量を適切に制御し得る。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、追加的なハードウェアを要することなく、完全断水を防止することのできる給水装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下で説明する図面において、同一の又は相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0029】
図1は、本実施形態に係る給水装置の概略図である。
図1に示すように、本実施形態の給水装置10は、2つの受水槽11a及び11bと、受水槽11a及び11bに貯留された水を移送するための2つのポンプ31a及び31bと、ポンプ31a及び31bの運転等を制御する第1制御部20と、を有する。即ち、本実施形態の給水装置10は、受水槽方式を採用している。なお、本発明は、受水槽方式の給水装置に限らず、ポンプ31a及びポンプ31bが水道本管に直結する直結給水方式の給水装置にも適用することができる
。
【0030】
受水槽11a及び11bには、それぞれ、電極棒19a及び19bにより受水槽11a及び11bの水位を検知する水位検知器14a及び14bが設けられている。本実施形態における水位検知器14a及び14bは、4つの液面レベル(満水、減水、復帰、渇水)を検知する。受水槽11a及び11bには、それぞれ、水道本管(図示せず)に接続された給水管12a及び12bから水道水が導入される。電磁弁13a及び13bは、それぞれ、給水管12a及び12bを開閉するように構成される。第1制御部20は、水位検知器14a及び14bが検知した受水槽11a及び11bの水位を示す信号を受信し、これらの水位の増減に応じて、電磁弁13a及び13bの開閉を制御する。このようにして、受水槽11a及び11bに貯留される水量が制御される。
【0031】
ポンプ31a及び31bは、それぞれ、配管15a及び15bを介して受水槽11a及び11bに接続される。給水装置10は、ポンプ31a及び31bを駆動するためのモータ34a及び34bと、モータ34a及び34bの回転周波数を制御するインバータ35a及び35bを有する。第1制御部20は、インバータ35a,35bと通信するためのシリアル通信接続線29を有し、インバータ35a,35bに対して、運転指令の出力や、インバータ35a,35bの運転状態の監視を行う。インバータ35a,35bは、シリアル通信接続線30によって、互いに通信可能に接続される。インバータ35a及び35bは、第1制御部20又は後述する第2制御部42からの運転指令に基づいて、ポンプ31a及び31bの回転周波数の制御を行う。ポンプ31a及び31bは、受水槽11a及び11bに貯留された水を建物等に供給するように構成される。なお、
図1に示す給水装置10では、ポンプ31a及びポンプ31bが、インバータ35a及びインバータ35bを備える可変速型のポンプである。しかしながら、これに限らず、給水装置10のポンプ31a及びポンプ31bは、インバータ35a及びインバータ35bを備えない固定速型のポンプであってもよい。
【0032】
ポンプ31a及び31bの吐出側には、それぞれ、配管16a及び16bが接続される。配管16a及び16bは、吐出管17に合流する。配管16a及び16bには、それぞれ、チェッキ弁32a及び32bと、フロースイッチ33a及び33bが設けられる。チェッキ弁32a及び32bは、ポンプ31a及び31bが停止したときに吐出側から吸込側に水が逆流することを防止するための逆流防止弁である。フロースイッチ33a及び33bは、それぞれ、配管16a及び16bを流れる水が、小水量(例えば5〜10L/min)以下になったときに閉じる(オンになる)ように構成される。即ち、フロースイッチ33a及び33bは、給水装置10が供給する水が小水量になったか否かを検知することができる。フロースイッチ33a及び33bの出力は、それぞれ、第1制御部20に入力される。
【0033】
吐出管17には、ポンプ31a及び31bの吐出圧力を検知する圧力センサ36が設けられる。この圧力センサ36により検知された吐出圧力を示す信号が第1制御部20に出力される。また、吐出管17には、圧力タンク37が接続される。フロースイッチ33a及び33bにより小水量が検知された場合、ポンプ31a及び31bの締切運転を防止するために、圧力タンク37に蓄圧してからポンプ31a及び31bの運転が停止される。
【0034】
第1制御部20は、電磁弁13a及び13b、インバータ35a及び35b、並びにポンプ31a及び31b等を制御するためのプログラムを格納するメモリ21を有する。第1制御部20は、水位検知器14a及び14b、フロースイッチ33a及び33b、並びに圧力センサ36等からの信号を受信し、それらの信号に応じて、メモリ21に格納されたプログラムに従って各部を制御する。
【0035】
また、給水装置10は、第1制御部20及びインバータ35a,35bと通信可能に接続され、第1制御部20及びインバータ35a,35bに対する指示を入力可能に構成される表示操作部40を有する。表示操作部40は、ユーザの指示を入力するための操作部41と、主に表示操作部40を制御するための第2制御部42と、制御プログラム等を記憶するメモリ43と、ポンプ31a及び31bの運転を停止するための運転停止スイッチ48と、を有する。ユーザは、操作部41を操作することにより、例えばポンプ31a及び31bの回転数等を設定することができる。
【0036】
第1制御部20と表示操作部40は、ノイズ源となり得るインバータ35a,35bの近傍に配置されているので、第1制御部20と表示操作部40とは、耐ノイズ性に優れた信号ラインで接続されることが望ましい。また、給水装置10の設置環境によっては、給水装置10は必ずしも十分なスペースがある場所に配置されず、表示操作部40が第1制御部20付近に配置された場合には、視認性や操作性が悪い場合がある。したがって、表示操作部40は、第1制御部20から離れた場所に配置されることが望ましい場合がある。このため、表示操作部40は、耐ノイズ性に優れ、信号ラインの延長が可能な、RS485通信等のシリアル通信接続線27により、第1制御部20に接続される。これにより、インバータ35a,35bのノイズによる影響を抑制するとともに、表示操作部40を第1制御部20から離れた場所に配置することができる。
【0037】
シリアル通信接続線27は、第1制御部20と表示操作部40とを一対一で接続する。一方で、シリアル通信接続線28は、インバータ35a,35bと第1制御部20との間で交換される信号を表示操作部40に伝送可能なように、表示操作部40とインバータ35a,35bとを接続する。表示操作部40は、シリアル通信接続線28を介して、第1制御部20とインバータ35a,35b間の送受信データを監視する。第2制御部42は、シリアル通信を制御可能な例えばCPU(Central Processing Unit)などから構成される。
【0038】
なお、
図1においては、第1制御部20と表示操作部40とを通信可能に接続するためにシリアル通信接続線27を設けているが、第1制御部20からシリアル通信接続線29,30,28を介して表示操作部40と通信することにより、シリアル通信接続線27を省略することもできる。この場合も、第1制御部20と表示操作部40が、RS485通信等のシリアル通信接続線29,30,28を介して接続されるので、インバータ35a,35bのノイズによる影響を抑制するとともに、表示操作部40を第1制御部20から離れた場所に配置することができる。
【0039】
図1に示した給水装置10においては、2台のポンプ31a及び31bが設けられているが、これに限らず、例えば1台から6台程度のポンプを設けてもよい。この場合、ポンプの台数に対応する数のインバータ、モータ、チェッキ弁、及びフロースイッチ等が給水装置10に設けられる。
【0040】
この給水装置10においては、フロースイッチ33a及び33b並びに圧力センサ36等の出力信号に基づいて、第1制御部20がインバータ35a及び35bに指令を出力することにより、ポンプ31a及び31bの回転速度(回転周波数)が可変制御される。例えば、圧力センサ36により検出された圧力信号が設定された目標圧力と一致するようにポンプ31a及び31bの回転速度が制御され、その結果、ポンプ31a及び31bの吐出圧力が一定になるように制御される。または、例えば、ポンプ31a及び31bの吐出圧力の目標値を適切に変化させることにより、建物等における供給水圧が一定に制御される。
【0041】
フロースイッチ33a及び33bが閉になると、ほとんど水が使用されていないことを
意味する。このため、第1制御部20は、フロースイッチ33a及び33bから信号を受信すると、インバータ35a,35bを制御してポンプ31a及び31bを停止させる。また、第1制御部20は、圧力センサ36から受信する吐出圧力が低下していることを検知したとき、インバータ35a,35bを制御してポンプ31a及び31bの運転を再開する。
【0042】
以上で説明したように、ポンプ31a及び31bの回転速度は、第1制御部20によってインバータ35a,35bを介して制御される。このため、第1制御部20に故障等の異常が発生した場合、第1制御部20は、ポンプ31a及び31bの回転速度を制御することができず、ポンプ31a及び31bの運転が停止してしまう。この場合、建物等には給水されず、完全に断水してしまうことになる。これを防止するために、本実施形態の給水装置10は、ポンプ31a又はポンプ31bの運転中に第1制御部20に異常が発生したときには、表示操作部40の第2制御部42によりインバータ35a,35bを制御して、ポンプ31a又はポンプ31bを固定回転速度又は可変回転速度で運転する。(以下、これをバックアップ運転という)。
【0043】
図2は、
図1に示した表示操作部40の第2制御部42のブロック図である。図示のように、第2制御部42は、制御部−表示操作部異常検出部44(第1異常検出部の一例に相当する)と、制御部−インバータ異常検出部45(第2異常検出部の一例に相当する)と、運転状態検出部46と、運転状態指示部47と、を有する。
【0044】
制御部−表示操作部異常検出部44は、第1制御部20と表示操作部40間の通信の異常を検出するように構成される。具体的には、例えば、制御部−表示操作部異常検出部44は、シリアル通信接続線27及び/又はシリアル通信接続線28を介して、第1制御部20から表示操作部40への送信データが出力されるか否かを確認する。第1制御部20から表示操作部40への送信データが所定時間出力されないことが確認された場合、制御部−表示操作部異常検出部44は、第1制御部20と表示操作部40間で通信に異常が発生していると判断する。
【0045】
制御部−インバータ異常検出部45は、第1制御部20とインバータ35a及び35b間の通信の異常を検出するように構成される。具体的には、制御部−インバータ異常検出部45は、シリアル通信接続線28を介して、第1制御部20からインバータ35a又は35bへの送信データが出力されるか否かを確認する。第1制御部20からインバータ35a及び35bへの送信データが所定時間出力されないことが確認された場合、制御部−インバータ異常検出部45は、第1制御部20とインバータ35a及び35b間で通信に異常が発生していると判断する。
【0046】
運転状態検出部46は、ポンプ31a及び31bの運転状態を検出するように構成される。具体的には、運転状態検出部46は、シリアル通信接続線28を介して、インバータ35a及び35bがポンプ31a及び31bに出力する回転周波数を監視し、その回転周波数に基づいて、ポンプ31a及び31bが運転しているか否かを検出する。 また、運転状態検出部46は、シリアル通信接続線28を介して、第1制御部からポンプ31a及び31bの運転状態及び回転周波数を取得することもできる。さらに、運転状態検出部46は、表示操作部40に設けられる運転停止スイッチ48のオン/オフ状態も検出することができる。
【0047】
運転状態指示部47は、第1制御部20に異常が発生したときに、第1制御部20に代わって、インバータ35a及び35bに運転出力を行うように構成される。具体的には、運転状態指示部47は、ポンプ31a又はポンプ31bが固定回転速度又は可変回転速度で運転を行うように、インバータ35a又は35bに回転速度を示す信号を出力する。
【0048】
次に、第1制御部20に異常が発生したときのポンプ31a及び31bの運転方法を詳細に説明する。
図3は、本実施形態に係る、第1制御部20に異常が発生したときのポンプ31a及び31bの運転方法を示すフロー図である。まず、第2制御部42は、第1制御部20と表示操作部40との間の通信の異常を検出したか否かを判定する(ステップS201)。具体的には、制御部−表示操作部異常検出部44が、第1制御部20から表示操作部40への送信データが所定時間出力されていないことを検出したときに、第2制御部42は、第1制御部20と表示操作部40との間の通信の異常が検出されたと判定する。第1制御部20と表示操作部40との間の通信の異常を検出されない場合(ステップS201、No)、制御部−表示操作部異常検出部44は継続して第1制御部20と表示操作部40との間の通信を監視する(ステップS201)。
【0049】
第1制御部20と表示操作部40との間の通信の異常が検出されたと判定された場合(ステップS201、Yes)、続いて、第2制御部42は、第1制御部20とインバータ35a及び35bとの間の通信の異常を検出したか否かを判定する(ステップS202)。具体的には、制御部−インバータ異常検出部45が、第1制御部20からインバータ35a及び35bへの送信データが所定時間出力されていないことを検出したときに、第2制御部42は、第1制御部20とインバータ35a及び35bとの間の通信の異常が検出されたと判定する。第1制御部20とインバータ35a及び35bとの間の通信の異常を検出されない場合(ステップS202、No)、ステップS201に戻り、制御部−表示操作部異常検出部44が第1制御部20と表示操作部40との間の通信が監視される(ステップS201)。
【0050】
第1制御部20とインバータ35a及び35bとの間の通信の異常が検出されたと判定された場合(ステップS202、Yes)、続いて、第2制御部42は、運転停止スイッチ48がオンであるか否かを判定する(ステップS203)。具体的には、運転状態検出部46によって運転停止スイッチ48がオンであることが検出され、これに基づいて第2制御部42が判定する。運転停止スイッチ48がオンでない(即ち、オフである)と判定された場合(ステップS203,No)、ポンプ31a及び31bは運転停止スイッチ48により運転が停止されているので、フローは終了する。
【0051】
一方で、運転停止スイッチ48がオンであると判定された場合(ステップS203,Yes)、第2制御部42は、ポンプ31a及び31bのうちの複数台が運転しているか否かを判定する(ステップS204)。具体的には、運転状態検出部46によって、ポンプ31a及び31bが運転しているか否かが検出され、これに基づいて第2制御部42が判定する。本実施形態では2台のポンプ31a及び31bが給水装置10に設けられているので、ステップS203においては、ポンプ31a及び31bの両方が運転中であるか否かが判定される。
【0052】
ポンプ31a及び31bの両方が運転中であると第2制御部42が判定した場合(ステップS204,Yes)、表示操作部40によりポンプ31a及び31bのうち先発のポンプ以外のポンプを停止させる(ステップS205)。具体的には、第2制御部42の運転状態指示部47が、先発のポンプ以外のポンプを停止させるように、対応するインバータ35a又は35bに指示を出力する。ここでは、一例として、ポンプ31aを先発のポンプとして説明する。したがって、ステップS205においては、ポンプ31bが停止する。これにより、必要最小限のポンプ31aのみの運転を継続させる。なお、ステップS205では、先発のポンプ31a以外のポンプを停止させるものとしているが、これに限らず、後述するステップS206において固定回転速度で運転されることになるポンプ以外のポンプを停止させればよい。
【0053】
ステップS204において、ポンプ31a及び31bのいずれか一方のみが運転中であると第2制御部42が判定した場合(ステップS204,No)、ポンプ31bが既に停止していることになるので、ステップS206へ続く。
【0054】
続いて、表示操作部40は、ポンプ31aに対応するインバータ35aを制御して、ポンプ31aを固定回転速度で運転する(ステップS206)。具体的には、第2制御部42の運転状態指示部47が、ポンプ31aが固定回転速度で運転を行うように、インバータ35aに回転速度を示す信号を出力する。なお、給水装置10が
図1に示したようにインバータ35a,35bを有する場合は、ステップS206では、ポンプ31aは、インバータ駆動方式においてインバータ35aにより設定された所定の固定回転速度で運転されることになる。一方で、給水装置10がインバータ35a,35bを有していない場合は、ステップS206では、ポンプ31aは、直入れ駆動方式において所定の固定回転速度で運転される。
【0055】
なお、ここでのポンプ31a,31bの固定回転速度は、表示操作部40のメモリ43に予め設定することができる。例えば、インバータ35a又は35bが制御可能な範囲における最高回転速度を、上記固定回転速度として設定してもよい。また、第1制御部20が運転制御している間のポンプ31a又は31bの回転速度をメモリ43に記憶しておき、この回転速度に基づいてポンプ31a又は31bの平均回転速度を算出して、この平均回転速度を上記固定回転速度として設定してもよい。また、給水先の建物揚程及び給水器具に必要な圧力等に基づいて、最低限必要な圧力をメモリ43に記憶させておき、ポンプ31aの締切運転時に給水先の建物揚程及び給水器具に必要な圧力を発生させることができる回転数を、固定回転速度としてもよい。
【0056】
本実施形態では、制御アルゴリズムを簡素化するために、ステップS206において固定回転速度でポンプ31aを運転するものとしている。しかしながら、これに限らず、可変の回転速度でポンプ31aを運転するようにしてもよい。その場合は、例えば、上記平均回転速度から上記最高回転速度の間で、周期的に回転速度を変化させるプログラムをメモリ43に記憶させておき、そのプログラムに基づいてポンプ31aを運転することができる。また、ステップS206においてメモリ43に予め設定された固定回転数でポンプ31aを運転している最中に、ユーザが表示操作部40の操作部41を操作することにより、回転速度を最適な値に変更することもできる。
【0057】
以上で説明したように、本実施形態によれば、給水装置10に一般的に搭載されている表示操作部40の第2制御部42を使用して、第1制御部20に異常が検出された場合に、インバータ35a,35bを制御することができる。即ち、第2制御部42によってポンプ31a,31bをバックアップ運転することができる。このため、給水装置10に追加的なハードウェアを設けることなく、完全断水を防止することができる。また、制御部−表示操作部異常検出部44と制御部−インバータ異常検出部45により、第1制御部20と表示操作部40との間の通信の異常と、第1制御部20とインバータ35a,35bとの間の通信の異常とを監視するので、第1制御部20の異常を確実に検出することができる。
【0058】
また、本実施形態によれば、ステップS205において、固定回転速度で運転されるポンプ31a以外のポンプ(本実施形態では、ポンプ31b)を停止する。したがって、第1制御部20の故障時に必要最小限のポンプのみを運転することができるので、完全断水を防止しつつ、電力の消費も抑制することができる。
【0059】
また、本実施形態によれば、ステップS206においてポンプ31aが固定回転速度で運転される。したがって、ステップS206においてポンプ31aが可変回転速度で運転
される場合に比べて、インバータ35aがポンプ31aを制御するアルゴリズムを簡素化することができる。一方で、上述したように、ステップS206において、ポンプ31aを可変の回転速度で運転することもできる。この場合は、ポンプ31aが固定回転速度で運転される場合に比べて、建物等に供給する水量を適切に制御し得る。
【0060】
なお、
図3に示した運転方法では、第1制御部20と表示操作部40との間の通信の異常が検出され、且つ第1制御部20とインバータ35a及び35bとの間の通信の異常が検出された場合に、ステップS203以降の処理を行うようにしている。これにより、第1制御部20の通信異常の誤検知の可能性を低減することができる。しかしながら、これに限らず、第1制御部20と表示操作部40との間の通信の異常、及び第1制御部20とインバータ35a及び35bとの間の通信の異常のうち、いずれか一方のみが検出された場合に、ステップS203以降の処理を行うようにすることもできる。後述する
図4が示す運転方法においても同様である。
【0061】
次に、第1制御部20に異常が発生したときのポンプ31a及び31bの別の運転方法を説明する。
図4は、第1制御部20に異常が発生したときのポンプ31a及び31bの別の運転方法を示すフロー図である。
図4に示す運転方法は、
図3に示した運転方法と一部が重複している。このため、
図3に示した運転方法と異なるステップについてのみ説明する。
【0062】
図4に示す運転方法は、
図3に示した運転方法におけるステップS201ないしステップS206に加えて、ステップS301ないしステップS304を有する。即ち、ステップS206において表示操作部40によりポンプ31aが固定回転速度で運転された後、第2制御部42は、ポンプ31aの固定回転速度での運転が所定時間以上継続しているか否かを判定する(ステップS301)。具体的には、第2制御部42の運転状態検出部46が対応するインバータ35aを監視することにより、ポンプ31aの固定回転速度での運転が所定時間以上継続しているか否かが判定される。
【0063】
ポンプ31aの固定回転速度での運転が所定時間以上継続していると判定された場合(ステップS301,Yes)、第2制御部42は、固定回転速度で運転されているポンプ31aを停止させる(ステップS302)。具体的には、第2制御部42の運転状態指示部47が、ポンプ31aを停止させるように対応するインバータ35aを制御する。これにより、ポンプ31aは吐出管17に所定の水量を移送した後停止することができ、安定した水の供給を行うことができる。また、ポンプ31aが長時間運転することにより加熱することを防止することができる。
【0064】
ステップS302においてポンプ31aが停止した後、運転状態検出部46は、ポンプ31aが所定時間以上停止しているか否かを判定する(ステップS303)。具体的には、運転状態検出部46が、ポンプ31aの停止している時間を監視することにより、ポンプ31aが所定時間以上停止しているか否かを判定する。ポンプ31aが所定時間以上停止していると判定された場合(ステップS303,Yes)、第2制御部42は、ポンプ31a又はポンプ31bの運転を開始する(ステップS304)。具体的には、第2制御部42の運転状態指示部47が、ポンプ31a又はポンプ31bを運転させるように、インバータ35a又は35bを制御する。なお、ここでの上記所定時間は、メモリ21に予め記憶されており、適宜変更することができる。
【0065】
ポンプ31a又はポンプ31bの運転を開始した後(ステップS304)、ステップS301からステップS304が繰り返されることにより、ポンプ31a又はポンプ31bの固定回転速度での運転及び停止が繰り返される。これにより、建物等における完全断水を防止することができる。
【0066】
ポンプ31a又はポンプ31bが固定回転速度で運転されている間、小水量の状態で運転を継続することで、ポンプ31a又はポンプ31bが加熱され得る。しかしながら、本実施形態では、ポンプ31a又はポンプ31bが固定回転速度で運転された後、所定時間停止されるので(ステップS302及びステップS303)、ポンプ31a又ポンプ31bを冷却することができる。また、ステップS304において、先発のポンプであるポンプ31aではなく、ポンプ31bの運転を開始した場合は、ポンプ31a及びポンプ31bを交互に運転させることができる。即ち、ポンプ31aが固定回転速度で運転された後に停止され(ステップS302)、次にポンプ31bが固定回転速度で運転される(ステップS304)。これにより、ステップS304においてポンプ31aを再び運転する場合に比べて、ポンプ31aの停止時間を長くすることができる。したがって、ポンプ31aの冷却時間を長くすることができる。また、ステップS301からステップS304を繰り返す間に、一時的にポンプ31a及びポンプ31bが停止するので、建物等では一時的に断水が生じる。これにより、建物等の居住者は給水装置10に異常が発生したことを知ることができる。ひいては、建物等の管理者へ連絡することを居住者に促すことができる。
【0067】
以上のように、
図4に示したポンプ31a及び31bの運転方法によれば、ステップS205においてポンプ31bを停止させて先発のポンプ31aの一台のみを運転するので、運転可能なポンプ31bを待機(停止)させ、ポンプ31aとポンプ31bとを交互に運転を繰り返すことができる(ステップS301〜ステップS304)。そのため、ポンプ31aとポンプ31bの停止時間を十分確保し、ポンプ31aとポンプ31bを冷却することができる。また、本運転方法によれば、固定回転速度でのポンプ31aの運転が所定時間継続したときにはポンプ31aの運転を停止することができる。したがって、バックアップ運転しているポンプ31aが所定の水量を建物等に圧送した後に停止することができ、安定した水の供給を行うことができる。また、ポンプが長時間運転することにより、加熱されることを防止することができる。なお、
図3の運転方法と同様に、ステップS206において固定回転速度ではなく可変の回転速度でポンプ31aを運転するようにしてもよい。
【0068】
また、
図4に示した運転方法によれば、ポンプ31aが所定時間以上停止した後、ポンプ31a又は31bを運転させる。これにより、ポンプ31aを停止させずに連続運転する場合に比べて、無駄な運転が行われる時間を低減することができる。また、ポンプ31aが停止されることにより、建物等で一時的な断水を生じさせる。これにより、建物等の居住者は給水装置に異常が発生したことを知ることができる。ひいては、建物等の管理者へ連絡することを居住者に促すことができる。さらに、ポンプ31aが停止している間は、ポンプ31aを冷却することができる。ポンプ31aが所定時間以上停止した後、ポンプ31bを運転させる場合は、同一のポンプ31aのバックアップ運転及び停止を繰り返す場合に比べて、バックアップ運転した後のポンプ31aの停止時間を長くすることができる。したがって、ポンプ31a,31bの冷却時間を長くすることができる。
【0069】
図3及び
図4に示したポンプ31a及び31bの運転方法は、第1制御部20に異常が発生したときに行われるバックアップ運転の方法である。即ち、この運転方法は、緊急時のみ実行される。したがって、例えばサービスマンにより第1制御部20が補修又は交換等された場合には、この運転方法の実行を解除して、通常時の運転方法に切り替える必要がある。
【0070】
図5及び
図6は、
図3及び
図4に示したポンプ31a及び31bの運転方法を切り替える方法を示すフロー図である。
図5は、
図3及び
図4に示した運転方法において、ステップS201及びS202に従って、第1制御部20と表示操作部40との間の通信の異常
が検出され、且つ第1制御部20とインバータ35a及び35bとの間の通信の異常が検出されたときに、ステップS203以降の処理を行う場合に対応するフロー図である。一方で、
図6は、
図3及び
図4に示した運転方法において、ステップS201及びS202を修正し、第1制御部20と表示操作部40との間の通信の異常及び第1制御部20とインバータ35a及び35bとの間の通信の異常のうち、いずれか一方のみが検出されたときに、ステップS203以降の処理を行う場合に対応するフロー図である。
【0071】
図5のフローにおいては、まず、第2制御部42は、
図3及び
図4に示したバックアップ運転中に、第1制御部20と表示操作部40との間の通信の異常並びに第1制御部20とインバータ35a及び35bとの間の通信の異常のうち、少なくとも一つが解除されたか否かを判定する(ステップS401)。具体的には、制御部−表示操作部異常検出部44又は制御部−インバータ異常検出部45が、第1制御部20から表示操作部40への送信データが出力されていること、又は第1制御部20からインバータ35a及び35bへの送信データが出力されていることを検出したときに、第2制御部42は、これらの通信の異常の少なくとも一つが解除されたと判定する。
【0072】
これらの通信の異常のいずれも解除されていないと判定された場合(ステップS401,No)、第2制御部42は、
図3及び
図4に示したバックアップ運転を継続しつつ、制御部−表示操作部異常検出部44及び制御部−インバータ異常検出部45によりこれらの通信を監視する(ステップS401)。
【0073】
一方で、第1制御部20と表示操作部40との間の通信の異常並びに第1制御部20とインバータ35a及び35bとの間の通信の異常のうち、少なくとも一つが解除されたと判定された場合(ステップS401,Yes)、第2制御部42の運転状態指示部47が、インバータ35a,35bへのポンプ31a,31bの回転速度の出力を中止する(ステップS402)。第1制御部20と表示操作部40又は第1制御部20とインバータ35a及び35bとの間の通信の異常の発生が解除されたということは、第1制御部20が補修又は交換等されて、使用可能な状態にあることを意味する。したがって、ステップS402では、第1制御部20にインバータ35a,35bを制御させるために、第2制御部42によるインバータ35a,35bの制御を中止することになる。このようにして、給水装置10では、第1制御部20が補修又は交換された場合に、バックアップ運転を中止して、第1制御部20を使用した通常時の運転方法に切り替えることができる。
【0074】
次に
図6に示すフローについて説明する。
図6に示すフローは、
図5に示したフローのステップS401に代えて、ステップS1401を実行する。
図6に示すフローにおいては、まず、第2制御部42は、バックアップ運転中に、第1制御部20と表示操作部40との間の通信並びに第1制御部20とインバータ35a及び35bとの間の両方の通信が正常に行われているか否かを判定する(ステップS1401)。具体的には、制御部−表示操作部異常検出部44及び制御部−インバータ異常検出部45が、第1制御部20から表示操作部40への送信データが出力されていること、及び第1制御部20からインバータ35a及び35bへの送信データが出力されていることを検出したときに、第2制御部42は、これらの通信の両方が正常に行われていると判定する。
【0075】
これらの通信の両方が正常に行われていないと判定された場合(ステップS1401,No)、第2制御部42は、バックアップ運転を継続しつつ、制御部−表示操作部異常検出部44及び制御部−インバータ異常検出部45によりこれらの通信を監視する(ステップS1401)。
【0076】
一方で、第1制御部20と表示操作部40との間並びに第1制御部20とインバータ35a及び35bとの間の両方の通信が正常に行われていると判定された場合(ステップS
1401,Yes)、第2制御部42の運転状態指示部47が、インバータ35a,35bへのポンプ31a,31bの回転速度の出力を中止する(ステップS402)。なお、第1制御部20と表示操作部40並びに第1制御部20とインバータ35a及び35bとの間の通信の両方が正常であることは、第1制御部20と表示操作部40との間の通信及び第1制御部20とインバータ35a及び35bとの間の通信のうち、いずれか一方に異常が発生していた場合であっても、第1制御部20が補修又は交換されて、第1制御部20が使用可能な状態にあることを意味する。したがって、ステップS402では、第1制御部20にインバータ35a,35bを制御させるために、第2制御部42によるインバータ35a,35bの制御を中止することになる。このようにして、給水装置10では、第1制御部20が補修又は交換された場合に、バックアップ運転を中止して、第1制御部20を使用した通常時の運転方法に切り替えることができる。
【0077】
次に、第1制御部20に異常が発生したときのポンプ31a及び31bの別の運転方法を説明する。
図7は、第1制御部20に異常が発生したときのポンプ31a及び31bの別の運転方法を示すフロー図である。
図7に示す運転方法は、
図4に示した運転方法と一部が重複している。このため、
図4に示した運転方法と異なるステップについてのみ説明する。
【0078】
図7に示す運転方法は、
図3に示した運転方法におけるステップS201に代えて、ステップS501を有する。即ち、この運転方法では、第1制御部20は、第1制御部とインバータ35a,35bとの通信に異常が発生すること等により、インバータ35a,35bに運転指令を出力できないと判断した場合に、表示操作部40に対してバックアップ動作要求を行う。具体的には、第1制御部20は、第1制御部20とインバータ35a,35bとの間の通信(例えばシリアル通信接続線29)に異常が生じた場合に、運転状態指示部47がインバータ35a,35bにポンプ31a,31bの所定の回転速度を出力するように、表示操作部40に指示を出力する。表示操作部40の第2制御部42は、この動作要求を示す指示があったか否かを判定する(ステップS501)。第2制御部42が、この指示があったと判定したとき(ステップS501)、ステップS203以降の処理を継続する。
【0079】
図7に示す運転方法によれば、給水装置10に一般的に搭載されている表示操作部40の第2制御部42を使用して、第1制御部20の通信機能部(例えば、シリアル通信接続線29等)に異常が検出された場合に、インバータ35a,35bを制御することができる。即ち、第2制御部42によってポンプ31a,31bをバックアップ運転することができる。このため、給水装置10に追加的なハードウェアを設けることなく、完全断水を防止することができる。また、第1制御部20の通信機能部に故障があるときに第1制御部20から表示操作部40に指示を送るので、表示操作部40が第1制御部20の異常を監視する必要がない。
【0080】
図8は、
図7に示したポンプ31a及び31bの運転方法を切り替える方法を示すフロー図である。まず、第2制御部42は、
図7に示したバックアップ運転中に、第1制御部20からのバックアップ動作要求の指示が無くなったか否かを判定する(ステップS601)。具体的には、第2制御部42は、第1制御部20からの当該指示を所定時間受信しなくなったときに、第2制御部42は、第1制御部20からのバックアップ動作要求の指示が無くなったと判定する。
【0081】
第1制御部20からのバックアップ動作要求の指示が無くなっていないと判定された場合(ステップS601,No)、第2制御部42は、
図7に示したバックアップ運転を継続しつつ、第1制御部20からの当該指示の有無を監視する(ステップS601)。
【0082】
一方で、第1制御部20からのバックアップ動作要求の指示が無くなったと判定された場合(ステップS601,Yes)、第2制御部42の運転状態指示部47が、インバータ35a,35bへのポンプ31a,31bの回転速度の出力を中止する(ステップS402)。第1制御部20からのバックアップ動作要求の指示が無くなったということは、第1制御部20の通信機能部(例えば、シリアル通信接続線29等)が補修又は交換等されて、使用可能な状態にあることを意味する。したがって、ステップS402では、第1制御部20にインバータ35a,35bを制御させるために、第2制御部42によるインバータ35a,35bの制御を中止することになる。このようにして、給水装置10では、第1制御部20の通信機能部が補修又は交換された場合に、バックアップ運転を中止して、第1制御部20を使用した通常時の運転方法に切り替えることができる。
【0083】
次に、第1制御部20に異常が発生したときのポンプ31a及び31bの別の運転方法を説明する。
図9は、第1制御部20に異常が発生したときのポンプ31a及び31bの別の運転方法を示すフロー図である。
図9に示す運転方法は、
図4に示した運転方法と一部が重複している。このため、
図4に示した運転方法と異なるステップについてのみ説明する。
【0084】
図9に示す運転方法は、
図4に示した運転方法におけるステップS302ないしステップS304に代えて、ステップS701及びステップS702を有する。即ち、この運転方法では、ステップS301においてポンプ31aの固定回転速度での運転が所定時間以上継続していると判定された場合(ステップS301,Yes)、第2制御部42の運転状態指示部47は、停止中のポンプ31bの固定回転速度での運転を開始する(ステップS701)。その後、運転状態指示部47は、固定回転速度で運転されている先発のポンプ31aを停止させる(ステップS702)。続いて、ステップS301へ戻り、ポンプ31bの固定回転速度での運転が所定時間継続していると判定された場合(ステップS301,Yes)、運転状態指示部47は、停止中のポンプ31aの固定回転速度での運転を開始する(ステップS701)。その後、運転状態指示部47は、固定回転速度で運転されているポンプ31bを停止させる(ステップS702)。このようにして、ステップS301、ステップS701、ステップS702が繰り返される。
【0085】
図9に示す運転方法によれば、固定回転速度で運転しているポンプを停止させる前に、停止中のポンプを運転させ、その後に先に運転されていたポンプを停止させるので、一時的な断水をも発生させずに、給水装置10を運転させることができる。なお、
図9に示した運転方法では、ステップS701においてポンプの運転を開始した後に、ステップS702において先に運転していたポンプを停止させているが、ステップS701におけるポンプの運転の開始と実質的に同時に、先に運転していたポンプを停止させるように、インバータ35a,35bを制御してもよい。この場合も、一時的な断水をほぼ発生させずに、給水装置10を運転させることができる。
【0086】
図9に示した運転方法は、給水装置10の異常を接点信号等により外部に伝えることができる場合に特に有効である。この場合は、給水装置10の異常が速やかに外部に伝えられるので、サービスマンによる修理が速やかに行われ、バックアップ運転の時間は相対的に短くなる。このため、一時的な断水を発生させることなくポンプ31a,31bを運転しても、ポンプ31a,31bが加熱しすぎる前に、バックアップ運転を終了させることができる。
【0087】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上述した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または
、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲及び明細書に記載された各構成要素の任意の組み合わせ、又は省略が可能である。例えば、
図3ないし
図9に示したフローの各ステップの一部を適宜削除し、組み合わせ、又は置換することが可能である。
【0088】
また、上記実施形態では、ポンプ31a及びポンプ31bが、インバータ35a及びインバータ35bを備える可変速型のポンプであるものとして説明した。しかしながら、これに限らず、ポンプ31a及びポンプ31bは、インバータを備えない固定速型のポンプであってもよい。