(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記工程Aと前記工程Bの間に、該工程Aにより形成した前記第一導電部の表面に対して、Arガスを用いたICP法により平坦化処理する工程Xをさらに備える、ことを特徴とする請求項1に記載のOTSデバイスの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下では、本発明の一実施形態に係るOTSデバイスの製造方法及びOTSデバイスについて、図面に基づいて説明する。
【0018】
図1と
図2は順に、本発明に係るOTSデバイスの製造方法を示すフローチャートと模式断面図である。
本発明は、絶縁性の基板上に、第一導電部、カルコゲナイドからなるOTS部、及び、第二導電部を順に重ねて配してなるOTSデバイスを製造する方法であり、後述する工程A〜Fを含むものである。
【0019】
工程Aは、基板11の一面[
図2(a)では上面]の全域に亘って第一導電部12を形成する[
図2(a)]。第一導電部12は、たとえば、スパッタ法により形成される。第一導電部12は単層膜に限定されず、複数の膜が重ねてなる積層膜であってもよい。第一導電部12としては、PtやTiN、Mo、W、Cなどが好適に用いられる。
図2(a)の例は、第一導電部12が2層から構成され、下層膜12aがTi、上層膜12bがPtとした場合である。
【0020】
工程Bは、第一導電部12の表面を覆うように、その全域に亘ってOTS部を形成する[
図2(c)]。OTS部13は、たとえば、スパッタ法により形成される。
OTS部13としては、カルコゲナイド[chalcogenide(たとえば、Ge−Se、Sb(Bi or As)がドープされたGe−Se、Ge−As−Se−Te、Ge−As、Ge−Te、Si−As−Te、Si−Ge−As−Te、Ge−As−Te、As−Te、Si−Ge−As−Seなど)]が好適に用いられる。
【0021】
工程Cは、OTS部13の表面を覆うように、その全域に亘って第二導電部14を形成する[
図2(d)]。第二導電部14は、たとえば、スパッタ法により形成される。第二導電部14としては、PtやTiN、Mo、W、Cなどが好適に用いられる。
【0022】
本発明では、上述した工程A、B、Cからなる一連のプロセスは全て、減圧雰囲気にて行われる(in situ process)。つまり、各工程とともに、各工程間においても、第一導電部12、OTS部13、第二導電部14は全く、大気雰囲気に曝されることはない。これにより、基板11の一面上に、第一導電部12、OTS部13、及び、第二導電部14からなる積層体15が得られる。特に、工程A、B、Cからなる一連のプロセスが減圧雰囲気にて行われる(in situ process)ことにより、工程Aにより基板上に形成された第一導電部の表面が平坦化され、凹凸が発生しにくい。ゆえに、第一導電部の上に順に重ねて形成されるOTS部および第二導電部の表面も凹凸の発生が抑制される。工程A、B、Cからなる一連のプロセスは、たとえば、後述する成膜装置(
図3)を用い、減圧雰囲気において行われる。
【0023】
工程Dは、第二導電部14の上面の一部を被覆するようにレジスト16a(16)を形成する[
図2(e)]。このようなパターン化されたレジスト16は、たとえば、所望のレジスト(感光液)を被処理体(基板/第一導電部/OTS部/第二導電部)の表面(つまり、第二導電部の上面)に塗布した後、露光、現像、エッチングを順に行うことにより作製される。これにより、第二導電部14aの上面には、レジストが被覆している領域14t1と、レジストが被覆していない領域14t2と、が形成される。
【0024】
工程Eは、レジスト16が被覆していない領域14t2をドライエッチングする[
図2(f)]。工程A、B、Cからなる一連のプロセスが全て、減圧雰囲気にて行われた(in situ process)ことにより、第一導電部12の表面に局所的な凹凸が殆ど存在せず、その上に形成されたOTS部13及び第二導電部14も極めて平坦な表面プロファイルとなっている。このため、本発明の工程Eでは、Arガスのみを用いたプラズマにより、レジスト16が被覆していない領域14t2の深さ方向において、第二導電部14とOTS部13の全部、及び、第一導電部12の上部を、Arガスを用いた1回(一度)のエッチングで処理して除去することができる。
図2(f)に示した点線矢印は、第二導電部14とOTS部13の全部、及び、第一導電部12の上部に対してエッチングする方向を表わしている。その結果、エッチングにより形成された、第二導電部14bの側面14s、OTS部13の側面13s、及び、第一導電部の上部12b4の側面12bsは、レジスト16の側面16sに揃うように、面一をなすように加工される。
【0025】
工程Fは、レジスト16をアッシングする[
図2(g)]。
図2(g)に示した点線矢印は、レジスト16の上面に対してアッシングする方向を表わしている。これにより、レジスト16cはその厚さが低減し、最終的には第二導電部14bの上面14t3が露呈した状態とされる。その結果、本発明に係るOTSデバイス10が得られる[
図2(h)]。
【0026】
なお、上述した本発明の製法(工程A〜F)は、工程Aと工程Bの間に、該工程Aにより形成した第一導電部12の表面12b2tに対して、Arガスを用いた誘導結合プラズマ(ICP:Inductively Coupled Plasma)法により平坦化処理する工程Xを加えてもよい[
図2(b)]。これにより、第一導電部の表面が一段と平坦化され、凹凸が発生しにくい。ゆえに、第一導電部の上に順に重ねて形成されるOTS部および第二導電部の表面も凹凸の発生が著しく抑制される。
【0027】
図3は、本発明に係るOTSデバイスの製造装置を示す模式平面図である。
図3の製造装置300は、上述した工程A(→工程X)→工程B→工程Cにおいて、第一導電部、OTS部、及び、第二導電部からなる積層体を形成するために用いられる。
製造装置300では、工程A、(工程X、)工程B、工程Cからなる一連のプロセスは全て、別々の処理室(チャンバ)の独立した減圧空間室内において行われる。
【0028】
このようなマルチチャンバの製造装置300を用いて、工程A、(工程X、)工程B、工程Cの各工程を行う場合における、被処理体(基板)の搬送経路(
図3における矢印が搬送方向を表わす)について説明する。まず、被処理体は、外部からロード/アンロード室(L/UL)301に搬入され、ロード室内を減圧雰囲気とする。
【0029】
次に、被処理体はロード室において減圧下で一定時間待機した後に、ロード/アンロード室(L/UL)301から、工程Aが行われる第一成膜室(S1)302内に搬送され、第一成膜空間sp1において第一導電部12の下層12aの成膜が行われる。その後、下層12aが形成された被処理体は、第一成膜室(S1)302から第二成膜室(S2)303内に搬送され、第二成膜空間sp2において第一導電部12の上層12bの成膜が行われる。
【0030】
次に、必要に応じて、第一導電部12が形成された被処理体は、第二成膜室(S2)303から表面処理室(ICP)304内に搬送され、表面処理空間flatteningにおいて第一導電部12の上層12bの表面処理が行われる。この表面処理を行わずに、第二成膜室(S2)303から、次に説明する第三成膜室305に被処理体を移動させてもよい。
【0031】
次に、第一導電部12が形成された被処理体は、表面処理室(ICP)304から第三成膜室(S3)305内に搬送され、第三成膜空間sp3においてOTS部13の成膜が行われる。
【0032】
次に、OTS部13が形成された被処理体は、第三成膜室(S3)305から第四成膜室(S4)306内に搬送され、第四成膜空間sp4において第二導電部14の成膜が行われる。
【0033】
そして、積層体(第一導電部12、OTS部13、第二導電部14)が形成された被処理体は、最終プロセスを行った成膜室である第四成膜室(S4)306からロード/アンロード室(L/UL)301に搬送され、一定時間待機した後に、ロード/アンロード室(L/UL)301から外部へ搬出される。
【0034】
各室間の間で被処理体を搬送する手段としては、トランスファ室(T)307に設置されたロボット(不図示)が用いられる。なお、各室においてプロセス処理中および搬送中は、トランスファ室(T)307を含めて各室301〜306の内部空間は全て減圧下にある。
【0035】
つまり、製造装置300は、第一導電部12を形成する第一成膜空間sp1および第二成膜空間sp2、OTS部13を形成する第三成膜空間sp3、第二導電部14を形成する第四成膜空間sp4を少なくとも備えている。また、製造装置300は、必要に応じて、第一導電部12が形成された被処理体に対して行われる、表面処理空間flatteningを有する表面処理室(ICP)304も備えている。
【0036】
図4は、本発明に係るOTSデバイスの製造装置を示す模式断面図であり、積層体(第一導電部12、OTS部13、第二導電部14)をエッチングする。図示する製造装置420は、有磁場誘導結合プラズマエッチング装置として構成されているが、本発明はこれに限られるものではない。
【0037】
製造装置420は、真空排気可能なチャンバ421を備える。チャンバ421の内部には、不図示の被処理体(基板/第一導電部/OTS部/第二導電部)を支持するステージ425が配置されている。ステージ425の上面には、ステージ425上に載置された被処理体を保持する静電チャックが設けられている。被処理体をチャックした後、被処理体の裏面にHeを導入し、被処理体の均熱を図るように構成されている。製造装置420は、ステージ425の上面又はステージ425の内部において熱媒体を温度管理しながら循環させるチラー循環ユニット426を備えている。チラー循環ユニット426は、ステージ425を所定温度に保持することが可能である。高温エッチング用のエッチング装置の場合、ステージ425にヒータを内蔵し、加熱温度を制御可能に構成される。
【0038】
ステージ425の周囲には、プラズマ形成空間422を区画する防着板423が設置されている。エッチング装置420は、プラズマ形成空間422に導入されたプロセスガスのプラズマを形成し、当該プロセスガスのラジカルを生成する。本発明では、エッチングすべき積層体をなす構成物(第一導電部/OTS部/第二導電部)が各々異なっているが、構成物によって区別せず、プロセスガスとしてはArガスのみ用い、構成物をエッチングした。
【0039】
製造装置420は、プラズマの発生機構として、アンテナ428と、高周波電源429と、マグネットユニット430と、ガス導入ライン等を備えている。アンテナ428は、プラズマ形成空間422の上部を閉塞する蓋体424の上部位置、すなわちチャンバ421の外部に配置されている。アンテナ428は、高周波電源429に接続されており、プラズマ形成空間422に高周波誘導電場を形成する。
【0040】
マグネットユニット430は、蓋体424とアンテナ428との間に配置されており、プラズマ形成空間422に固定磁場を形成する。ガス導入系を通してプラズマ形成空間422へ導入されたプロセスガスは、アンテナ428による誘導電場の作用とマグネットユニット430による固定磁場の作用とを受けてプラズマ化する。
エッチング装置420は、プラズマ中のイオンをステージ425側へ引き付けるバイアス電源27を備える。バイアス電源27は、高周波電源で構成することができる。
【0041】
以下では、本発明の効果を確認するために行った実験例について述べる。
実験例1〜実験例3では、
図3に示す製造装置を用い、in situ processとICP processの作用・効果を検討した。工程A(第一導電部12の形成)は第一成膜空間sp1および第二成膜空間sp2において、工程B(OTS部13の形成)は第三成膜空間sp3において、工程C(第二導電部14の形成)は第四成膜空間sp4において、それぞれ行った。
【0042】
具体的には、第一成膜空間sp1では第一導電部12の下層12aとしてTi膜を、第二成膜空間sp2では第一導電部12の上層12bとしてPt膜を、第三成膜空間sp3ではOTS部13としてGe
4Se
6膜を、第四成膜空間sp4では第二導電部14としてTiN膜を、おのおの成膜した。
【0043】
(実験例1)
実施例1では、上述した工程A、B、Cからなる一連のプロセスを全て、減圧雰囲気にて行い(in situ process)、積層体をなす構成物(第一導電部/OTS部/第二導電部)を形成した場合の効果を確かめるために、工程Aにおいて、Siからなる基板上に下層(Ti膜)/上層(Pt膜)からなる第一導電部をスパッタ法により作製した。その後、in situにおいて、その表面プロファイルをSTM(orAFM)を用いて評価した。
【0044】
(実験例2)
実験例2は、工程Aにおいて第一導電部をスパッタ法により作製した後、工程Bを行う前に、in situにおいて、第一導電部の表面にICP process(工程X)を行った点のみ、実験例1と異なる。他の点については、実験例1と同一とした。
【0045】
(実験例3)
実験例3は、工程Aにおいて第一導電部をスパッタ法により作製した後、工程Bを行う前に、第一導電部を大気に暴露した点のみ、実験例1と異なる。他の点については、実験例1と同一とした。
【0046】
表1は、実験例1〜3に共通する成膜条件を含む一覧表である。TiN膜を除き、プロセスガスはArガスのみ用いた。TiN膜の場合は、ArとN
2からなる混合ガスを用いた。Ti膜のみ室温成膜とした。他の膜はいずれも150℃にて成膜した。
なお、表1には、第二導電部を構成するTiN膜に代えて用いることが可能なMo膜についても、その成膜条件を示した。
表1において、Working Pressureは成膜時の圧力、Powerはターゲットに印加した電力、Ar Flowはチャンバ内に導入したArガスの流量、Stage Temp.は被処理体を載置するステージの温度、をそれぞれ表わしている。
【0048】
表2は、実験例2におけるICP process(工程X)の条件、後述する積層体をドライエッチングする(工程E)条件、及び、レジストをアッシングする(工程F)条件、である。
ここで、工程Eは、積層体のうちレジストが被覆していない領域をドライエッチングするものであり、前記領域の深さ方向において、第二導電部とOTS部の全部、及び、第一導電部の上部を、Arガスを用いた1回(一度)のエッチングで処理して除去する。
表2において、Working Pressureは作業時の圧力、Antenna Powerはアンテナに印加した電力、Bias Powerは被処理体を載置するステージに印加した電力、Ar Flowはチャンバ内に導入したArガスの流量、Stage Temp.は被処理体を載置するステージの温度、をそれぞれ表わしている。
【0050】
図5は、AFMによる第一導電部の表面写真であり、(a)成膜後の状態、(b)成膜後にICP処理した状態を表わしている。ここで、第一導電部の表面とは、第一導電部12の上層12bをなすPt膜の表面である。
図5の写真下方に掲載した2つの数値は何れも、表面粗さを示しており、RMSとは「二乗平均平方根高さ」であり、Peak to Valley(以下、Rp-vと表記)とは「測定範囲内における最も高い点(peak)と最も低い点(Valley)の差」である。
【0051】
成膜後の状態[
図5(a)]は、実験例1の試料の評価結果である。その表面粗さは、RMS=0.51nm、Rp-v =5.4nmであった。
成膜後にICP処理した状態[
図5(b)]は、実験例2の試料の評価結果である。その表面粗さは、RMS=0.32nm、Rp-v =3.3nmであった。
実験例3の試料の表面写真は未掲載であるが、その表面粗さは実施例1と同等であった。
【0052】
以上の結果より、以下の点が明らかとなった。
(A1)工程Aにより成膜されたPt膜は、減圧雰囲気(in situ process)を維持することより、表面粗さの小さな状態を保つことができる(実験例1と実験例3の比較)。
(A2)工程Aにより成膜されたPt膜は、工程Bを行う前に、in situにおいて、その表面にICP processを行うことにより、その表面粗さを一段と小さな状態にすることができる(実験例1と実験例2の比較)。
【0053】
ゆえに、工程Aにより形成されたPt膜は成膜後に減圧雰囲気(in situ process)を維持することにより、及び、これに加えてICP processを行うことにより、Pt膜はその表面粗さを小さな状態に維持できることが分かった。Pt膜(第一導電部)の表面凹凸が抑制されたことにより、その上に積層されるOTS部(工程B)、第二導電部(工程C)に対する影響が軽減される。
したがって、本発明によれば、第一導電部とOTS部との第一界面、および、OTS部と第二導電部との第二界面において、局所的な界面の乱れた部位の発生を防ぐことが可能となる。
【0054】
以下では、減圧雰囲気(in situ process)を維持して形成された各種の単層膜と積層膜について、成膜後の断面とエッチング後の断面をSEMにて評価した結果について述べる。ここで、エッチングに使用したガスは、Arガスのみである。
図6はGeSe単層膜、
図7はMo単層膜、
図8はPt単層膜、
図9はTiN単層膜、
図10はTiN/GeSe/Pt積層膜、
図11はMo/GeSe/Pt積層膜、
図12はPt/GeSe/Pt積層膜、である。各図において、(a)は成膜後の断面写真を、(b)はエッチング後の断面写真を、それぞれ表わしている。
【0055】
以上の結果より、以下の点が明らかとなった。
(B1)
図6〜
図9より、単層膜はその膜材料(GeSe膜、Mo膜、Pt膜、TiN膜)に依存せず、エッチング後の断面写真から読み取れる表面プロファイルは、成膜後と同等レベルの平坦性が維持されている、あるいは、成膜後に比べて平坦性が改善されている、ことが分かった。また、エッチングにより形成された膜の側断面も、明瞭に確認されたことから、側断面に損傷がないと判断した。
(B2)
図10〜
図12より、積層膜の場合も、第二導電部として機能する最表面(TiN膜、Mo膜、Pt膜)は、平坦な表面プロファイルが確認された。また、エッチングにより形成された膜の側断面において、層間の界面も明瞭に確認されたことから、側断面に損傷がないと判断した。
【0056】
ゆえに、減圧雰囲気(in situ process)を維持して形成された単層膜や積層膜であれば、Arガスを用いた1回(一度)のエッチングで処理して除去することが可能であることが分かった。よって、本発明によれば、単層膜に限らず積層膜であっても、平坦な表面、界面、及び、側断面を形成できることが確認された。
【0057】
上述したGeSe膜において確認された本発明の作用・効果は、GeSe膜に限定されるものではない。
図13は、OTSの主要材料を表わす3元状態図である。たとえば、
図13に示す、多数のカルコゲナイド材料においても、本発明は有効である。すなわち、OTS部としてGe−Seに代えて、Sb(Bi or As)がドープされたGe−Se、Ge−As−Se−Te、Ge−As、Ge−Te、Si−As−Te、Si−Ge−As−Te、Ge−As−Te、As−Te、Si−Ge−As−Seを用いてもよい。
【0058】
図14は、OTSのスイッチングデータを示すグラフである。
図14において、横軸は印加電圧(Vapplied[V])、縦軸は遅延時間(tdelay[nsec])である。評価した積層体は、
図10に示したTiN/GeSe/Pt積層膜である。すなわち、
図14は、GeSeからなるOTS部を介して、Ptからなる第一導電部(BEとも呼ぶ)とTiNからなる第二導電部(TEとも呼ぶ)との間に、電圧を印加した結果である。
図14において、□印は本発明(in-situ process:Pt膜の形成が実験例1に相当)の結果であり、○印は従来(ex-situ process:Pt膜の形成が実験例3に相当)の結果である。
【0059】
図14の結果より、以下の点が明らかとなった。
(C1)Pt膜を形成した後、減圧雰囲気(in situ process)を維持し、その上にGeSe膜、TiN膜を順に重ねて設けた本発明のOTSデバイス(□印)は、Pt膜を形成した後、大気暴露(ex-situ process)し、その上にGeSe膜、TiN膜を順に重ねて設けた従来のOTSデバイス(○印)に比較して、より低い印加電圧で、同等の遅延時間を実現できる。具体的には、印加電圧において、およそ2Vの低電圧化が図れる。
(C2)従来のOTSデバイス(○印)と同様に、本発明のOTSデバイス(□印)においても、印加電圧が小さくなるに連れて、遅延時間のバラツキが大きくなる傾向を示すが、本発明のOTSデバイス(□印)においては、そのバラツキが狭まる傾向にある(tdelay=120程度が観測された条件:□印のVapplied=6.7と○印のVapplied=8.1とを比較)。
【0060】
ゆえに、本発明の製法によって形成された、すなわち、減圧雰囲気(in situ process)を維持して形成された積層膜(積層体)は、優れた応答速度を有するOTSデバイスの構築に寄与する。
【0061】
図15は、OTSデバイスのデバイス構造を示す模式的斜視図である。
図15において、符号「B.E.」は第一導電部を、符号「GeSe」はOTS部を、符号「T.E.」は第二導電部を、それぞれ表わしている。「B.E.」と「T.E.」は、「OTS部」を駆動させるための下部電極と上部電極に相当する。
【0062】
図16と
図17は、
図15の積層体において、下部電極から上部電極へ向けてOTS部の中を流れる電流の様子を考察する図である。
図16は、第一導電部の表面が平坦な場合を示す積層体(本発明の積層体)の模式的断面図であり、
図17は、第一導電部の表面に凸部がある場合を示す積層体(従来の積層体)の模式的断面図である。
図16と
図17に記載された、(a), (b), (c)は、以下の内容を意味する。
(a) Current flow through entire active materials meets electrode area.
(b) Forming of conductive filament.
(c) Devices edge effect.
【0063】
本発明の積層体(
図16)は、減圧雰囲気(in situ process)を採用したことにより、第一導電部の表面が平坦性に優れている。これに伴い、2つの界面(第一導電部とOTS部との界面、OTS部と第二導電部との界面)において、電流の流れを阻害する要因となる局所的な凹凸が殆ど存在しない。また、エッチングより形成される3層(第一導電部/OTS部/第二導電部)からなるデバイスの側断面も、平坦なものとなる。ゆえに、本発明の積層体(
図16)においては、第一導電部からOTS部を介して第二導電部へ向けて流れる電流は、円滑な流れ(smooth flow)となる。
【0064】
従来の積層体(
図17)は、大気暴露(ex-situ process)を行ったことにより、第一導電部の表面に局所的な凹凸部(
図17では凸部として例示)が発生しやすい。これに伴い、2つの界面(第一導電部とOTS部との界面、OTS部と第二導電部との界面)において、電流の流れを阻害する要因となる局所的な凹凸が存在することになる。特に、OTS部の厚さが薄い場合、第一導電部とOTS部との界面で発生した凹凸形状が、OTS部と第二導電部との界面に反映され、OTS部と第二導電部との界面にも同様の凹凸形状が発生しやすい。また、エッチングより形成される3層(第一導電部/OTS部/第二導電部)からなるデバイスの側断面も、荒れたものとなる。ゆえに、従来の積層体(
図17)においては、第一導電部からOTS部を介して第二導電部へ向けて流れる電流は、凹凸形状が存在する影響を受け、乱れた流れ(rough flow)を含むものになる。
【0065】
前述した
図14の結果(OTSのスイッチングデータを示すグラフ)は、
図16および
図17に基づき検討した内容を反映すると、本発明者らは考えている。本発明によれば、減圧雰囲気(in situ process)の採用により、積層体の界面や側断面が優れた平坦性を有するものとなり、その結果、優れたスイッチイング特性が実現できる。
【0066】
図18〜
図20は、本発明により形成された積層体(
図16)からなる孤立パターンにおいて、電気的な特性を評価した結果である。
図18は、積層体からなる孤立パターンにおいて、(a)ボトム−ボトム接続した状態を表わす模式図、(b)その電流−電圧特性を示すグラフである。
図19は、積層体からなる孤立パターンにおいて、(a)トップ−トップ接続した状態を表わす模式図、(b)その電流−電圧特性を示すグラフである。
図20は、積層体からなる孤立パターンにおいて、(a)ボトム−トップ接続した状態を表わす模式図、(b)その電流−電圧特性を示すグラフである。
電気的な接続状態の違い[
図18(a)、
図19(a)、
図20(a)]に依存せず、電流−電圧特性[
図18(b)、
図19(b)、
図20(b)]は、何れの場合も線形性が保たれることが確認された。このような電流−電圧特性は、本発明において、減圧雰囲気(in situ process)を採用したことにより、積層体の界面や側断面が優れた平坦性を有するために実現できたものである。
【0067】
上述した電流−電圧特性[
図18(b)、
図19(b)、
図20(b)]を得るためには、絶縁性の基板上に、第一導電部、カルコゲナイドからなるOTS部、及び、第二導電部を順に重ねて配してなるOTSデバイスにおいて、前記第一導電部の表面粗さ(R
p−v[nm])と前記OTS部の厚さ(T
x[nm])とが、R
p−v≦(T
x/10)なる関係式を満たすことがキーポイントとなることを、本発明者らは見出した。
図21は、この関係式を満たすことにより、上述した電流−電圧特性[
図18(b)、
図19(b)、
図20(b)]が得られることを示すグラフである。
図21の縦軸において、「1」はvolatil switching(揮発性のスイッチング)であることを示し、「0」とはnon-volatil switching(不揮発性のスイッチング)であることを示す。
すなわち、
図21より、T
x/R
p−v≧10を満たす場合にはvolatil switchingであり、T
x/R
p−v<10を満たす場合にはnon-volatil switchingであることが確認された。
また、前述の関係式を満たした上で、前記第一導電部の表面粗さRp-vを、3.3nm以下とすることにより、上述した電流−電圧特性[
図18(b)、
図19(b)、
図20(b)]が一段と安定して得られることから、より好ましいことが分かった。
【0068】
以上、本発明に係るOTSデバイスの製造方法およびOTSデバイスについて説明してきたが、本発明はこれに限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更が可能である。