特許第6760926号(P6760926)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ADEKAの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6760926
(24)【登録日】2020年9月7日
(45)【発行日】2020年9月23日
(54)【発明の名称】メロシアニン化合物
(51)【国際特許分類】
   C09B 23/10 20060101AFI20200910BHJP
   G02B 5/22 20060101ALI20200910BHJP
【FI】
   C09B23/10CSP
   G02B5/22
【請求項の数】13
【全頁数】75
(21)【出願番号】特願2017-509855(P2017-509855)
(86)(22)【出願日】2016年3月24日
(86)【国際出願番号】JP2016059306
(87)【国際公開番号】WO2016158639
(87)【国際公開日】20161006
【審査請求日】2018年12月28日
(31)【優先権主張番号】特願2015-65710(P2015-65710)
(32)【優先日】2015年3月27日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000387
【氏名又は名称】株式会社ADEKA
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】特許業務法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久保田 裕介
(72)【発明者】
【氏名】松井 依純
(72)【発明者】
【氏名】岡田 光裕
【審査官】 桜田 政美
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−222991(JP,A)
【文献】 特開2001−056408(JP,A)
【文献】 特開2003−043605(JP,A)
【文献】 特表2006−521220(JP,A)
【文献】 特開2003−057777(JP,A)
【文献】 CIERNIK, J. et al.,Bis-Merocyaninfarbstoffe I. Spektrale Eigenschaften,Collection of Czechoslovak Chemical Communications,CZ,Academy of Sciences of the Czech Republic. Inst. o,1966年12月 1日,31巻/12号,4669-4681
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09B 23/10
G02B 5/22
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(II)で表されるメロシアニン化合物。
【化1】
(式中、環Dは五員環又は六員環を表し、環Dで表される五員環又は六員環は、他の環と縮合されている場合があり、炭素原子数1〜20のアルキル基;又は炭素原子数1〜20のアルキル基で置換された炭素原子数6〜30のアリール基で置換されている場合があり、
、R、R、R、R及び、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子、カルボキシル基、スルホン酸基、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基、炭素原子数8〜30のアリールアルケニル基、炭素原子数2〜30の複素環含有基又はメタロセニル基を表し、
は、水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基、炭素原子数8〜30のアリールアルケニル基、又は炭素原子数2〜30の複素環含有基を表し
は、>CR1011を表し、
10及びR11は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数8〜30のアリールアルケニル基、炭素原子数2〜30の複素環含有基又はメタロセニル基を表し、
、R、R、R、R、R、R、R10及びR11で表される炭素原子数1〜20のアルキル基、環Dを置換する炭素原子数1〜20のアルキル基及び環Dを置換する炭素原子数6〜30のアリール基を置換する炭素原子数1〜20のアルキル基、R、R、R、R、R、R及び表される炭素原子数7〜30のアリールアルキル基又はR、R、R、R、R、R、R、R10及びR11で表される炭素原子数8〜30のアリールアルケニル基中のメチレン基は、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−COS−、−OCS−、−SO−、−NH−、−CONH−、−NHCO−、−SO−NH−、−NH−SO−、−N=CH−又は−CH=CH―により、酸素原子が隣り合わない条件で置き換わっている場合もあり、
、R、R、R、R、R、R、R10及びR11で表される基のアルキル部分は、分岐側鎖を有している場合もあり、環状アルキルである場合もあり、置換基を有している場合もあり、
、R、R、R、R、R、R、R10及びR11で表される炭素原子数1〜20のアルキル基、R、R、R、R、R、R、Rで表される炭素原子数7〜30のアリールアルキル基、並びにR、R、R、R、R、R、R、R10及びR11で表される炭素原子数8〜30のアリールアルケニル基中の末端のメチル基が、酸性基が陽イオンと塩を形成した置換基、又は置換アミノ基を四級化した後陰イオンと塩を形成した置換基を有していてもよく、
とR、RとR、RとR、RとR、RとR10、又はR10とR11は、それぞれ一緒になって環を形成している場合もあり、形成した環は炭素原子数1〜20のアルキル基;又は炭素原子数1〜20のアルキル基で置換された炭素原子数6〜30のアリール基で置換されている場合もあり、形成した環を置換するアルキル基又は環を置換するアリール基を置換するアルキル基中のメチレン基は−SO−NH−、−NH−SO−により置き換わっている場合があり、
Gは、酸素原子、硫黄原子又は下記<群1>より選択される基を表し、
Aは、m=1のとき、結合手ではなく、m=2のとき、単結合、窒素原子、−NR12−、酸素原子、硫黄原子、−SO−、−SO−、リン原子、−PR13−、Em+(J、(Mm−又は下記(i)の条件を満たす有機基を表し、Eはm価の陽イオンを表し、Jは一価の陰イオンを表し、Mは一価の陽イオンを表し、Lはm価の陰イオンを表し、
12及びR13は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基炭素原子数7〜30のアリールアルキル基又は炭素原子数8〜30のアリールアルケニル基を表し、
12及びR13で表されるアルキル基、アリール基、アリールアルキル基又はアリールアルケニル基は、ハロゲン原子、水酸基又はニトロ基で置換されている場合もあり、塩を形成した置換基を有している場合もあり、R12及びR13で表されるアルキル基、アリールアルキル基、又はアリールアルケニル基中のメチレン基は、−COO−、−O−、−OCO−、−NHCO−、−NH−又は−CONH−により、酸素原子が隣り合わない条件で置き換わっている場合もあり、
mは1又は2であり、m=2のとき、Aは、R、R、R、R、R、R、R、R及びRの何れか1つ以上の置換基と連結し、複数あるR、R、R、R、R、R、R、R、R、n、X及びGは、同一であっても異なっていてもよく、nは0又は1であり、
環Dが炭素原子数1〜20のアルキル基又は炭素原子数1〜20のアルキル基で置換された炭素原子数6〜30のアリール基で置換されており、且つ環Dを置換するアルキル基中のメチレン基又は環Dを置換するアリール基を置換するアルキル基中のメチレン基が−SO−NH−又は−NH−SO−により置き換わっているか、
が、炭素原子数1〜20のアルキル基であり、該アルキル基中のメチレン基が−SO−NH−又は−NH−SO−により置き換わっているか、又は
、R、R、R、R、R、R、R10及びR11のうちの少なくとも一つが、置換アミノ基を四級化した後陰イオンと塩を形成した置換基を有している炭素原子数1〜20のアルキル基である。
【化2】
(式中、R及びR’は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基、又は炭素原子数8〜30のアリールアルケニル基を表し、*は、*部分で、隣接する基と結合することを意味する。)
(i)m=2であり、Aが下記一般式(1)で表される。
【化3】
(式中、Xは、−NR14−、二価の炭素原子数1〜35の脂肪族炭化水素基、二価の炭素原子数3〜35の脂環式炭化水素基、二価の炭素原子数6〜35の芳香環含有炭化水素基、二価の炭素原子数2〜35の複素環含有基又は下記(1−A)〜(1−C)の何れかで表される基を表し、
及びZは、それぞれ独立に、直接結合、−O−、−S−、−SO−、−SO−、−NR14−、−PR15−、−CO−、又はこれらの組み合わせを表し、
14及びR15は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基又は炭素原子数8〜30のアリールアルケニル基を表し、
14及びR15で表されるアルキル基、アリール基、アリールアルキル基又はアリールアルケニル基は、ハロゲン原子、水酸基又はニトロ基で置換されている場合もあり、
14及びR15で表されるアルキル基、アリールアルキル基又はアリールアルケニル基中のメチレン基は、−COO−、−O−、−OCO−、−NHCO−、−NH−又は−CONH−により、酸素原子が隣り合わない条件で置き換わっている場合もあり、*は、*部分で、隣接する基と結合することを意味する。
但し、上記一般式(1)で表される基は炭素原子数1〜35の範囲内である。)
【化4】
(式中、R21は、炭素原子数1〜10のアルキル基若しくはアルコキシ基により置換されている場合があるフェニル基、又は炭素原子数3〜10のシクロアルキル基を表し、R22は、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、炭素原子数2〜10のアルケニル基又はハロゲン原子を表し、
21及びR22で表されるアルキル基、アルコキシ基又はアルケニル基はハロゲン原子で置換されているか又は無置換であり、
dは0〜4の整数であり、*は、*部分で、隣接する基と結合することを意味する。)
【化5】
(式中の*は、*部分で、隣接する基と結合することを意味する。)
【化6】
(式中、R23及びR24は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数6〜30のアリールオキシ基、炭素原子数6〜30のアリールチオ基、炭素原子数6〜30のアリールアルケニル基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基、炭素原子数8〜30のアリールアルケニル基、炭素原子数2〜30の複素環含有基又はハロゲン原子を表し、
23及びR24で表されるアルキル基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキル基又は複素環含有基は、ハロゲン原子で置換されているか又は無置換であり、
23及びR24で表されるアルキル基、アリールアルキル基又はアリールアルケニル基中のメチレン基は、不飽和結合、−O−又は−S−により、酸素原子が隣り合わない条件で置き換わっている場合もあり、
23は、隣接するR23同士で環を形成している場合もあり、
eは0〜4の数を表し、fは0〜8の数を表し、gは0〜4の数を表し、hは0〜4の数を表し、gとhの数の合計は2〜4であり、*は、*部分で、隣接する基と結合することを意味する。)
【請求項2】
下記一般式(III)で表されるメロシアニン化合物である請求項1に記載のメロシアニン化合物。
【化12】
(式中、X11、X12及びX13は、それぞれ独立に、−O−、−S−、−C(=O)−、−C(=S)−、−N(R31)−、−N=又は−C(R32)=を表し、
11とX12又はX12とX13の間の結合は、単結合、二重結合又は共役二重結合であり、
31は、水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基、炭素原子数8〜30のアリールアルケニル基、又は炭素原子数2〜30の複素環含有基を表し、
31で表されるアルキル基、アリール基、アリールアルキル基又はアリールアルケニル基は、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、ニトロ基、スルホンアミド基、又はNにアルキル基が結合したスルホンアミド基で置換されている場合もあり、該カルボキシル基及びスルホン酸基は塩を形成している場合もあり、
31で表されるアルキル基、アリールアルキル基又はアリールアルケニル基中のメチレン基は、−COO−、−O−、−OCO−、−NHCO−、−NH−、−CONH−、−SO−NH−又はーNH−SO−により、酸素原子が隣り合わない条件で置き換わっている場合もあり、
32は、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基又は炭素原子数8〜30のアリールアルケニル基を表し、
、R、R、R、R、R、R、X、A及びmは、上記一般式(II)と同じであり、m=2のとき、複数あるR、R、R、R、R、R、R、X11、X12及びX13は、同一であっても異なっていてもよい。)
【請求項3】
下記一般式(IV)で表されるメロシアニン化合物である請求項1に記載のメロシアニン化合物。
【化13】
(式中、X14、X15、X16及びX17は、それぞれ独立に、−O−、−S−、−C(=O)−、−C(=S)−、−N(R35)−、―C(R36)(R37)−、−N=又は−C(R38)=を表し、
14とX15、X15とX16又はX16とX17の間の結合は、単結合、二重結合又は共役二重結合であり、
35は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基、炭素原子数8〜30のアリールアルケニル基又は炭素原子数2〜30の複素環含有基を表し、
35で表されるアルキル基、アリール基、アリールアルキル基又はアリールアルケニル基は、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基又はニトロ基で置換されている場合もあり、該カルボキシル基及びスルホン酸基は塩を形成している場合もあり、
35で表されるアルキル基、アリールアルキル基又はアリールアルケニル基中のメチレン基は、−COO−、−O−、−OCO−、−NHCO−、−NH−、−CONH−、−SO−NH−又はーNH−SO−により、酸素原子が隣り合わない条件で置き換わっている場合もあり、
36、R37及びR38は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基又は炭素原子数8〜30のアリールアルケニル基を表し、
、R、R、R、R、R、R、X、A及びmは、上記一般式(II)と同じである。)
【請求項4】
下記一般式(V)で表されるメロシアニン化合物である請求項1又は2に記載のメロシアニン化合物。
【化14】
(式中、R、R、R、R、R、R及びXは、上記一般式(II)と同じであり、X11、X12及びX13は、上記一般式(III)と同じであり、X、Z及びZは、上記一般式(1)と同じである。)
【請求項5】
下記一般式(VI)で表されるメロシアニン化合物である請求項1又は3に記載のメロシアニン化合物。
【化15】
(式中、R、R、R、R、R、R及びXは、上記一般式(II)と同じであり、X14、X15、X16及びX17は、上記一般式(IV)と同じであり、X、Z及びZは、上記一般式(1)と同じである。)
【請求項6】
下記一般式(VII)で表されるメロシアニン化合物である請求項1又は2に記載のメロシアニン化合物。
【化16】
(式中、R、R、R、R、R、R、R及びXは、上記一般式(II)と同じであり、
11は、上記一般式(III)と同じであり、
31は、上記一般式(III)中のX13が−N(R31)−で表される場合のR31と同じであり、
、R、R、R、R及びR31の何れか一つ以上は、ニトロ基;水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基若しくはハロゲン原子で置換された又は無置換の炭素原子数1〜20のアルキル基;炭素原子数1〜20のアルキル基中のメチレン基が−SO−NH−又はーNH−SO−で置き換わった基;水酸基、カルボキシル基又はスルホン酸基で置換された炭素原子数6〜30のアリール基;水酸基、カルボキシル基又はスルホン酸基で置換された炭素原子数7〜30のアリールアルキル基若しくは炭素原子数8〜30のアリールアルケニル基;炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数8〜30のアリールアルキル基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基、又は炭素原子数8〜30のアリールアルケニル基が塩を形成した置換基を有するものから選択される。)
【請求項7】
下記一般式(VIII)で表されるメロシアニン化合物である請求項1又は3に記載のメロシアニン化合物。
【化17】
(式中、R、R、R、R、R、R、R及びXは、上記一般式(II)と同じであり、
35は、上記一般式(IV)中のX15及びX17が−N(R35)−で表される場合のR35と同じであり、複数あるR35は、同じか又は異なり、R、R、R、R、R及びR35の何れか一つ以上は、ニトロ基;水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基若しくはハロゲン原子で置換された又は無置換の炭素原子数1〜20のアルキル基;炭素原子数1〜20のアルキル基中のメチレン基が−SO−NH−又はーNH−SO−で置き換わった基;水酸基、カルボキシル基又はスルホン酸基で置換された炭素原子数6〜30のアリール基;水酸基、カルボキシル基又はスルホン酸基で置換された炭素原子数7〜30のアリールアルキル基;水酸基、カルボキシル基又はスルホン酸基で置換された炭素原子数8〜30のアリールアルケニル基;炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基、又は炭素原子数8〜30のアリールアルケニル基が塩を形成した置換基を有するものから選択される。)
【請求項8】
下記一般式(II)で表されるメロシアニン化合物。
【化18】
(式中、環Dは、窒素を含有する五員環又は六員環を表し、環Dで表される五員環又は六員環は、他の環と縮合されている場合があり、炭素原子数1〜20のアルキル基;又は炭素原子数1〜20のアルキル基で置換された炭素原子数6〜30のアリール基で置換されている場合があり、
、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子、カルボキシル基、スルホン酸基、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基、炭素原子数8〜30のアリールアルケニル基、炭素原子数2〜30の複素環含有基又はメタロセニル基を表し、
は、水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基、炭素原子数8〜30のアリールアルケニル基、又は炭素原子数2〜30の複素環含有基を表し、
Xは、>CR1011を表し、
10及びR11は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数8〜30のアリールアルケニル基、炭素原子数2〜30の複素環含有基又はメタロセニル基を表し、
、R、R、R、R、R、R、R10及びR11で表される炭素原子数1〜20のアルキル基、環Dを置換する炭素原子数1〜20のアルキル基、環Dを置換する炭素原子数6〜30のアリール基を置換する炭素原子数1〜20のアルキル基、、R、R、R、R、R及びRで表される炭素原子数7〜30のアリールアルキル基、又はR、R、R、R、R、R、R、R10及びR11で表される炭素原子数8〜30のアリールアルケニル基中のメチレン基は、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−COS−、−OCS−、−SO−、−NH−、−CONH−、−NHCO−、−SO−NH−、−NH−SO−、−N=CH−又は−CH=CH―により、酸素原子が隣り合わない条件で置き換わっている場合もあり、
、R、R、R、R、R、R、R10及びR11で表される基のアルキル部分は、分岐側鎖を有している場合もあり、環状アルキルである場合もあり、
、R、R、R、R、R、R、R10及びR11で表される炭素原子数1〜20のアルキル基、R、R、R、R、R、R、Rで表される炭素原子数7〜30のアリールアルキル基、並びにR、R、R、R、R、R、R、R10及びR11で表される炭素原子数8〜30のアリールアルケニル基中の末端のメチル基が、酸性基が陽イオンと塩を形成した置換基、又は置換アミノ基を四級化した後陰イオンと塩を形成した置換基を有していてもよく、
とR、RとR、RとR、RとR、RとR10、又はR10とR11は、それぞれ一緒になって環を形成している場合もあり、形成した環は置換基を有している場合もあり、
Gは、酸素原子、硫黄原子又は下記<群1>より選択される基を表し、
Aは、m=1のとき、結合手ではなく、m=2のとき、単結合、窒素原子、−NR12−、酸素原子、硫黄原子、−SO−、−SO−、リン原子、−PR13−、Em+(J、(Mm−又は下記(i)の条件を満たす有機基を表し、Eはm価の陽イオンを表し、Jは一価の陰イオンを表し、Mは一価の陽イオンを表し、Lはm価の陰イオンを表し、
12及びR13は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基炭素原子数7〜30のアリールアルキル基又は炭素原子数8〜30のアリールアルケニル基を表し、
12及びR13で表されるアルキル基、アリール基、アリールアルキル基又はアリールアルケニル基は、ハロゲン原子、水酸基又はニトロ基で置換されている場合もあり、塩を形成した置換基を有している場合もあり、R12及びR13で表されるアルキル基、アリールアルキル基、又はアリールアルケニル基中のメチレン基は、−COO−、−O−、−OCO−、−NHCO−、−NH−又は−CONH−により、酸素原子が隣り合わない条件で置き換わっている場合もあり、
mは1又は2であり、m=2のとき、Aは、R、R、R、R、R、R及びRの何れか1つ以上の置換基と連結し、複数あるR、R、R、R、R、R、R、n、X、D及びGは、同一であっても異なっていてもよく、nは0又は1であり、
環Dが炭素原子数1〜20のアルキル基又は炭素原子数1〜20のアルキル基で置換された炭素原子数6〜30のアリール基で置換されており、且つ環Dを置換するアルキル基中のメチレン基又は環Dを置換するアリール基を置換するアルキル基中のメチレン基が−SO−NH−又は−NH−SO−により置き換わっているか、
が、炭素原子数1〜20のアルキル基であり、該アルキル基中のメチレン基が−SO−NH−又は−NH−SO−により置き換わっているか、又は
、R、R、R、R、R、R、R10及びR11のうちの少なくとも一つが、置換アミノ基を四級化した後陰イオンと塩を形成した置換基を有している炭素原子数1〜20のアルキル基である。)
【化19】
(式中、R及びR’は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基、又は炭素原子数8〜30のアリールアルケニル基を表し、*は、*部分で、隣接する基と結合することを意味する。)
(i)m=2であり、Aが下記一般式(1)で表される。
【化20】
(式中、Xは、−NR14−、二価の炭素原子数1〜35の脂肪族炭化水素基、二価の炭素原子数3〜35の脂環式炭化水素基、二価の炭素原子数6〜35の芳香環含有炭化水素基、二価の炭素原子数2〜35の複素環含有基又は下記(1−A)〜(1−C)の何れかで表される基を表し、
及びZは、それぞれ独立に、直接結合、−O−、−S−、−SO−、−SO−、−NR14−、−PR15−、−CO−、又はこれらの組み合わせを表し、
14及びR15は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基又は炭素原子数8〜30のアリールアルケニル基を表し、
14及びR15で表されるアルキル基、アリール基、アリールアルキル基又はアリールアルケニル基は、ハロゲン原子、水酸基又はニトロ基で置換されている場合もあり、
14及びR15で表されるアルキル基、アリールアルキル基又はアリールアルケニル基中のメチレン基は、−COO−、−O−、−OCO−、−NHCO−、−NH−又は−CONH−により、酸素原子が隣り合わない条件で置き換わっている場合もあり、*は、*部分で、隣接する基と結合することを意味する。
但し、上記一般式(1)で表される基は炭素原子数1〜35の範囲内である。)
【化21】
(式中、R21は、炭素原子数1〜10のアルキル基若しくはアルコキシ基により置換されている場合があるフェニル基、又は炭素原子数3〜10のシクロアルキル基を表し、R22は、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、炭素原子数2〜10のアルケニル基又はハロゲン原子を表し、
21及びR22で表されるアルキル基、アルコキシ基又はアルケニル基はハロゲン原子で置換されているか又は無置換であり、
dは0〜4の整数であり、*は、*部分で、隣接する基と結合することを意味する。)
【化22】
(式中の*は、*部分で、隣接する基と結合することを意味する。)
【化23】
(式中、R23及びR24は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数6〜30のアリールオキシ基、炭素原子数6〜30のアリールチオ基、炭素原子数6〜30のアリールアルケニル基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基、炭素原子数8〜30のアリールアルケニル基、炭素原子数2〜30の複素環含有基又はハロゲン原子を表し、
23及びR24で表されるアルキル基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキル基又は複素環含有基は、ハロゲン原子で置換されているか又は無置換であり、
23及びR24で表されるアルキル基、アリールアルキル基又はアリールアルケニル基中のメチレン基は、不飽和結合、−O−又は−S−により、酸素原子が隣り合わない条件で置き換わっている場合もあり、
23は、隣接するR23同士で環を形成している場合もあり、
eは0〜4の数を表し、fは0〜8の数を表し、gは0〜4の数を表し、hは0〜4の数を表し、gとhの数の合計は2〜4であり、*は、*部分で、隣接する基と結合することを意味する。)
【請求項9】
下記一般式(III)で表されるメロシアニン化合物。
【化24】
(式中、X11、X12及びX13は、それぞれ独立に、−O−、−S−、−C(=O)−、−C(=S)−、−N(R31)−、−N=又は−C(R32)=を表し、
11とX12又はX12とX13の間の結合は、単結合、二重結合又は共役二重結合であり、
31は、水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基、炭素原子数8〜30のアリールアルケニル基、又は炭素原子数2〜30の複素環含有基を表し、
31で表されるアルキル基、アリール基、アリールアルキル基又はアリールアルケニル基は、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、ニトロ基、スルホンアミド基、又はNにアルキル基が結合したスルホンアミド基で置換されている場合もあり、該カルボキシル基及びスルホン酸基は塩を形成している場合もあり、31で表されるアリール基は炭素原子数1〜20のアルキル基で置換されている場合があり、
31で表されるアルキル基、アリールアルキル基若しくはアリールアルケニル基中のメチレン基、又は31で表されるアリール基を置換するアルキル基中のメチレン基は、−COO−、−O−、−OCO−、−NHCO−、−NH−、−CONH−、−SO−NH−又はーNH−SO−により、酸素原子が隣り合わない条件で置き換わっている場合もあり、
32は、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基又は炭素原子数8〜30のアリールアルケニル基を表し、
、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子、カルボキシル基、スルホン酸基、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基、炭素原子数8〜30のアリールアルケニル基、炭素原子数2〜30の複素環含有基又はメタロセニル基を表し、
は、水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基、炭素原子数8〜30のアリールアルケニル基、又は炭素原子数2〜30の複素環含有基を表し、
Xは、>CR1011を表し、
10及びR11は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数8〜30のアリールアルケニル基、炭素原子数2〜30の複素環含有基又はメタロセニル基を表し、
、R、R、R、R、R、R、R10及びR11で表される炭素原子数1〜20のアルキル基、R、R、R、R、R、R、Rで表される炭素原子数7〜30のアリールアルキル基、又はR、R、R、R、R、R、R、R10及びR11で表される炭素原子数8〜30のアリールアルケニル基中のメチレン基は、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−COS−、−OCS−、−SO−、−NH−、−CONH−、−NHCO−、−SO−NH−、−NH−SO−、−N=CH−又は−CH=CH―により、酸素原子が隣り合わない条件で置き換わっている場合もあり、
、R、R、R、R、R、R、R10及びR11で表される基のアルキル部分は、分岐側鎖を有している場合もあり、環状アルキルである場合もあり、
、R、R、R、R、R、R、R10及びR11で表される炭素原子数1〜20のアルキル基、R、R、R、R、R、R、Rで表される炭素原子数7〜30のアリールアルキル基、並びにR、R、R、R、R、R、R、R10及びR11で表される炭素原子数8〜30のアリールアルケニル基中の末端のメチル基が、酸性基が陽イオンと塩を形成した置換基、又は置換アミノ基を四級化した後陰イオンと塩を形成した置換基を有していてもよく、
Aは、m=1のとき、結合手ではなく、m=2のとき、単結合、窒素原子、−NR12−、酸素原子、硫黄原子、−SO−、−SO−、リン原子、−PR13−、Em+(J、(Mm−又は下記(i)の条件を満たす有機基を表し、Eはm価の陽イオンを表し、Jは一価の陰イオンを表し、Mは一価の陽イオンを表し、Lはm価の陰イオンを表し、
12及びR13は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基炭素原子数7〜30のアリールアルキル基又は炭素原子数8〜30のアリールアルケニル基を表し、
12及びR13で表されるアルキル基、アリール基、アリールアルキル基又はアリールアルケニル基は、ハロゲン原子、水酸基又はニトロ基で置換されている場合もあり、塩を形成した置換基を有している場合もあり、R12及びR13で表されるアルキル基、アリールアルキル基、又はアリールアルケニル基中のメチレン基は、−COO−、−O−、−OCO−、−NHCO−、−NH−又は−CONH−により、酸素原子が隣り合わない条件で置き換わっている場合もあり、
mは1又は2であり、m=2のとき、Aは、R、R、R、R、R、R及びRの何れか1つ以上の置換基と連結し、複数あるR、R、R、R、R、R、R、n、X、X11、X12及びX13は同一であっても異なっていてもよく、nは0又は1であり、
11、X12又はX13が−N(R31)−であり、R31が、炭素原子数1〜20のアルキル基又は炭素原子数1〜20のアルキル基で置換された炭素原子数6〜30のアリール基であり、且つR31で表されるアルキル基中のメチレン基又はR31で表されるアリール基を置換するアルキル基中のメチレン基が−SO−NH−又は−NH−SO−により置き換わっているか、
が、炭素原子数1〜20のアルキル基であり、該アルキル基中のメチレン基が−SO−NH−又は−NH−SO−により置き換わっているか、又は
、R、R、R、R、R、R、R10及びR11のうちの少なくとも一つが、置換アミノ基を四級化した後陰イオンと塩を形成した置換基を有している炭素原子数1〜20のアルキル基である。)
(i)m=2であり、Aが下記一般式(1)で表される。
【化25】
(式中、Xは、−NR14−、二価の炭素原子数1〜35の脂肪族炭化水素基、二価の炭素原子数3〜35の脂環式炭化水素基、二価の炭素原子数6〜35の芳香環含有炭化水素基、二価の炭素原子数2〜35の複素環含有基又は下記(1−A)〜(1−C)の何れかで表される基を表し、
及びZは、それぞれ独立に、直接結合、−O−、−S−、−SO−、−SO−、−NR14−、−PR15−、−CO−、又はこれらの組み合わせを表し、
14及びR15は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基又は炭素原子数8〜30のアリールアルケニル基を表し、
14及びR15で表されるアルキル基、アリール基、アリールアルキル基又はアリールアルケニル基は、ハロゲン原子、水酸基又はニトロ基で置換されている場合もあり、
14及びR15で表されるアルキル基、アリールアルキル基又はアリールアルケニル基中のメチレン基は、−COO−、−O−、−OCO−、−NHCO−、−NH−又は−CONH−により、酸素原子が隣り合わない条件で置き換わっている場合もあり、*は、*部分で、隣接する基と結合することを意味する。
但し、上記一般式(1)で表される基は炭素原子数1〜35の範囲内である。)
【化26】
(式中、R21は、炭素原子数1〜10のアルキル基若しくはアルコキシ基により置換されている場合があるフェニル基、又は炭素原子数3〜10のシクロアルキル基を表し、R22は、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、炭素原子数2〜10のアルケニル基又はハロゲン原子を表し、
21及びR22で表されるアルキル基、アルコキシ基又はアルケニル基はハロゲン原子で置換されているか又は無置換であり、
dは0〜4の整数であり、*は、*部分で、隣接する基と結合することを意味する。)
【化27】
(式中の*は、*部分で、隣接する基と結合することを意味する。)
【化28】
(式中、R23及びR24は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数6〜30のアリールオキシ基、炭素原子数6〜30のアリールチオ基、炭素原子数6〜30のアリールアルケニル基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基、炭素原子数8〜30のアリールアルケニル基、炭素原子数2〜30の複素環含有基又はハロゲン原子を表し、
23及びR24で表されるアルキル基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキル基又は複素環含有基は、ハロゲン原子で置換されているか又は無置換であり、
23及びR24で表されるアルキル基、アリールアルキル基又はアリールアルケニル基中のメチレン基は、不飽和結合、−O−又は−S−により、酸素原子が隣り合わない条件で置き換わっている場合もあり、
23は、隣接するR23同士で環を形成している場合もあり、
eは0〜4の数を表し、fは0〜8の数を表し、gは0〜4の数を表し、hは0〜4の数を表し、gとhの数の合計は2〜4であり、*は、*部分で、隣接する基と結合することを意味する。)
【請求項10】
下記一般式(IV)で表されるメロシアニン化合物。
【化29】
(式中、X14、X15、X16及びX17は、それぞれ独立に、−O−、−S−、−C(=O)−、−C(=S)−、−N(R35)−、―C(R36)(R37)−、−N=又は−C(R38)=を表し、
14とX15、X15とX16又はX16とX17の間の結合は、単結合、二重結合又は共役二重結合であり、
35は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基、炭素原子数8〜30のアリールアルケニル基又は炭素原子数2〜30の複素環含有基を表し、
35で表されるアルキル基、アリール基、アリールアルキル基又はアリールアルケニル基は、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基又はニトロ基で置換されている場合もあり、該カルボキシル基及びスルホン酸基は塩を形成している場合もあり、35で表されるアリール基は炭素原子数1〜20のアルキル基で置換されている場合があり、
35で表されるアルキル基、アリールアルキル基若しくはアリールアルケニル基中のメチレン基、又はR35で表されるアリール基を置換するアルキル基中のメチレン基は、−COO−、−O−、−OCO−、−NHCO−、−NH−、−CONH−、−SO−NH−又は−NH−SO−により、酸素原子が隣り合わない条件で置き換わっている場合もあり、
36、R37及びR38は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基又は炭素原子数8〜30のアリールアルケニル基を表し、
、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子、カルボキシル基、スルホン酸基、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基、炭素原子数8〜30のアリールアルケニル基、炭素原子数2〜30の複素環含有基又はメタロセニル基を表し、
は、水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基、炭素原子数8〜30のアリールアルケニル基、又は炭素原子数2〜30の複素環含有基を表し
は、>CR1011を表し、
10及びR11は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数8〜30のアリールアルケニル基、炭素原子数2〜30の複素環含有基又はメタロセニル基を表し、
、R、R、R、R、R、R、R10及びR11で表される炭素原子数1〜20のアルキル基、R、R、R、R、R、R、Rで表される炭素原子数7〜30のアリールアルキル基、又はR、R、R、R、R、R、R、R10及びR11で表される炭素原子数8〜30のアリールアルケニル基中のメチレン基は、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−COS−、−OCS−、−SO−、−NH−、−CONH−、−NHCO−、−SO−NH−、−NH−SO−、−N=CH−又は−CH=CH―により、酸素原子が隣り合わない条件で置き換わっている場合もあり、
、R、R、R、R、R、R、R10及びR11で表される基のアルキル部分は、分岐側鎖を有している場合もあり、環状アルキルである場合もあり、
、R、R、R、R、R、R、R10及びR11で表される炭素原子数1〜20のアルキル基、R、R、R、R、R、R、Rで表される炭素原子数7〜30のアリールアルキル基、並びにR、R、R、R、R、R、R、R10及びR11で表される炭素原子数8〜30のアリールアルケニル基中の末端のメチル基が、酸性基が陽イオンと塩を形成した置換基、又は置換アミノ基を四級化した後陰イオンと塩を形成した置換基を有していてもよく、
とR、RとR、RとR、RとR、RとR10、又はR10とR11は、それぞれ一緒になって環を形成している場合もあり、形成した環は置換基を有している場合もあり、
Aは、m=1のとき、結合手ではなく、m=2のとき、単結合、窒素原子、−NR12−、酸素原子、硫黄原子、−SO−、−SO−、リン原子、−PR13−、Em+(J、(Mm−又は下記(i)の条件を満たす有機基を表し、Eはm価の陽イオンを表し、Jは一価の陰イオンを表し、Mは一価の陽イオンを表し、Lはm価の陰イオンを表し、
12及びR13は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基炭素原子数7〜30のアリールアルキル基又は炭素原子数8〜30のアリールアルケニル基を表し、
12及びR13で表されるアルキル基、アリール基、アリールアルキル基又はアリールアルケニル基は、ハロゲン原子、水酸基又はニトロ基で置換されている場合もあり、塩を形成した置換基を有している場合もあり、R12及びR13で表されるアルキル基、アリールアルキル基、又はアリールアルケニル基中のメチレン基は、−COO−、−O−、−OCO−、−NHCO−、−NH−又は−CONH−により、酸素原子が隣り合わない条件で置き換わっている場合もあり、
mは1又は2であり、m=2のとき、Aは、R、R、R、R、R、R及びRの何れか1つ以上の置換基と連結し、複数あるR、R、R、R、R、R及びR、n及びXは、同一であっても異なっていてもよく、nは0又は1であり、
14、X15、X16又はX17が−N(R35)−であり、R35が、炭素原子数1〜20のアルキル基又は炭素原子数1〜20のアルキル基で置換された炭素原子数6〜30のアリール基であり、且つR35で表されるアルキル基中のメチレン基又はR35で表されるアリール基を置換するアルキル基中のメチレン基が−SO−NH−又は−NH−SO−により置き換わっているか、
が、炭素原子数1〜20のアルキル基であり、該アルキル基中のメチレン基が−SO−NH−又は−NH−SO−により置き換わっているか、又は
、R、R、R、R、R、R、R10及びR11のうちの少なくとも一つが、置換アミノ基を四級化した後陰イオンと塩を形成した置換基を有している炭素原子数1〜20のアルキル基である。)
(i)m=2であり、Aが下記一般式(1)で表される。
【化30】
(式中、Xは、−NR14−、二価の炭素原子数1〜35の脂肪族炭化水素基、二価の炭素原子数3〜35の脂環式炭化水素基、二価の炭素原子数6〜35の芳香環含有炭化水素基、二価の炭素原子数2〜35の複素環含有基又は下記(1−A)〜(1−C)の何れかで表される基を表し、
及びZは、それぞれ独立に、直接結合、−O−、−S−、−SO−、−SO−、−NR14−、−PR15−、−CO−、又はこれらの組み合わせを表し、
14及びR15は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基又は炭素原子数8〜30のアリールアルケニル基を表し、
14及びR15で表されるアルキル基、アリール基、アリールアルキル基又はアリールアルケニル基は、ハロゲン原子、水酸基又はニトロ基で置換されている場合もあり、
14及びR15で表されるアルキル基、アリールアルキル基又はアリールアルケニル基中のメチレン基は、−COO−、−O−、−OCO−、−NHCO−、−NH−又は−CONH−により、酸素原子が隣り合わない条件で置き換わっている場合もあり、*は、*部分で、隣接する基と結合することを意味する。
但し、上記一般式(1)で表される基は炭素原子数1〜35の範囲内である。)
【化31】
(式中、R21は、炭素原子数1〜10のアルキル基若しくはアルコキシ基により置換されている場合があるフェニル基、又は炭素原子数3〜10のシクロアルキル基を表し、R22は、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、炭素原子数2〜10のアルケニル基又はハロゲン原子を表し、
21及びR22で表されるアルキル基、アルコキシ基又はアルケニル基はハロゲン原子で置換されているか又は無置換であり、
dは0〜4の整数であり、*は、*部分で、隣接する基と結合することを意味する。)
【化32】
(式中の*は、*部分で、隣接する基と結合することを意味する。)
【化33】
(式中、R23及びR24は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数6〜30のアリールオキシ基、炭素原子数6〜30のアリールチオ基、炭素原子数6〜30のアリールアルケニル基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基、炭素原子数8〜30のアリールアルケニル基、炭素原子数2〜30の複素環含有基又はハロゲン原子を表し、
23及びR24で表されるアルキル基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキル基又は複素環含有基は、ハロゲン原子で置換されているか又は無置換であり、
23及びR24で表されるアルキル基、アリールアルキル基又はアリールアルケニル基中のメチレン基は、不飽和結合、−O−又は−S−により、酸素原子が隣り合わない条件で置き換わっている場合もあり、
23は、隣接するR23同士で環を形成している場合もあり、
eは0〜4の数を表し、fは0〜8の数を表し、gは0〜4の数を表し、hは0〜4の数を表し、gとhの数の合計は2〜4であり、*は、*部分で、隣接する基と結合することを意味する。)
【請求項11】
請求項1〜10の何れか一項に記載のメロシアニン化合物を含有する組成物。
【請求項12】
請求項11記載の組成物を用いた光学フィルム。
【請求項13】
請求項11記載の組成物を用いた光学フィルタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の構造を有するメロシアニン化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
メロシアニン化合物は、光吸収剤、増感剤、染料等として、ディスプレイや光学レンズに用いられる光学フィルタ、感光写真材料、染物、塗料、インク、電子写真感光体、トナー、感熱記録紙、転写リボン、光学記録色素、太陽電池、光電変換素子、半導体材料、臨床検査試薬、レーザー治療用色素、染色等に広く用いられている。
【0003】
特許文献1には、メチン色素化合物を含有するハロゲン化銀写真感光材料が開示されており、特許文献2には、メロシアニン化合物及び該化合物を用いた光学フィルタ並びに光学記録材料が開示されており、特許文献3には、メロシアニン化合物を含む光電変換素子が開示されており、特許文献4には、酸メロシアニン色素が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−057777号公報
【特許文献2】特開2008−222991号公報
【特許文献3】US2013/0087682
【特許文献4】US2526632
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、耐光性に優れるメロシアニン化合物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、鋭意検討を重ねた結果、特定の構造を有するメロシアニン化合物が上記目的を達成しうることを知見し、本発明に到達した。
本発明は、上記知見に基づき成されたものであり、下記一般式(I)で表されるメロシアニン化合物を提供するものである。
【0007】
【化1】
(式中、R1、R2、R3、R4、R6、R7及びR8は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子、カルボキシル基、スルホン酸基、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基、炭素原子数8〜30のアリールアルケニル基、炭素原子数2〜30の複素環含有基又はメタロセニル基を表し、
5は、水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基、炭素原子数8〜30のアリールアルケニル基又は炭素原子数2〜30の複素環含有基を表し、
9は、水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基又はシアノ基を表し、
Xは、>CR1011、酸素原子又は硫黄原子を表し、
10及びR11は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基、炭素原子数8〜30のアリールアルケニル基、炭素原子数2〜30の複素環含有基又はメタロセニル基を表し、
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10及びR11で表される炭素原子数1〜20のアルキル基又はR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R10及びR11で表される炭素原子数7〜30のアリールアルキル基又は炭素原子数8〜30のアリールアルケニル基中のメチレン基は、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−COS−、−OCS−、−SO2−、−NH−、−CONH−、−NHCO−、−SO2−NH−、−NH−SO2−、−N=CH−又は−CH=CH―により、酸素原子が隣り合わない条件で置き換わっている場合もあり、
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10及びR11で表される基のアルキル部分は、分岐側鎖を有している場合もあり、環状アルキルである場合もあり、置換基を有している場合もあり、
1とR2、R2とR3、R3とR4、R4とR5、R1とR10、R6とR8、R8とR9又はR10とR11は、それぞれ一緒になって環を形成している場合もあり、形成した環は置換基を有している場合もあり、
Gは、酸素原子、硫黄原子又は下記<群1>より選択される基を表し、
Aは、m=1のとき、結合手ではなく、m≧2のとき、単結合、窒素原子、−NR12−、酸素原子、硫黄原子、−SO2−、−SO−、リン原子、−PR13−、Em+(J-m、(M+mm-又は下記(i)〜(v)の何れかの条件を満たす有機基を表し、Eはm価の陽イオンを表し、Jは一価の陰イオンを表し、Mは一価の陽イオンを表し、Lはm価の陰イオンを表し、
12及びR13は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基又は炭素原子数8〜30のアリールアルケニル基を表し、
12及びR13で表されるアルキル基、アリール基、アリールアルキル基又はアリールアルケニル基は、ハロゲン原子、水酸基又はニトロ基で置換されている場合もあり、塩を形成した置換基を有している場合もあり、R12及びR13で表されるアルキル基、アリールアルキル基又はアリールアルケニル基中のメチレン基は、−COO−、−O−、−OCO−、−NHCO−、−NH−又は−CONH−により、酸素原子が隣り合わない条件で置き換わっている場合もあり、
mは1〜6であり、m≧2のとき、Aは、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8及びR9の何れか1つ以上の置換基と連結し、複数あるR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、n、X及びGは、同一であっても異なっていてもよく、nは0又は1である。)
【0008】
【化2】
(式中、R及びR’は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜10のアルキル基
、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基又は炭素原子数8〜30のアリールアルケニル基を表し、*は、*部分で、隣接する基と結合することを意味する。)
(i)m=2であり、Aが下記一般式(1)で表される。
【0009】
【化3】
(式中、X1は、−NR14−、二価の炭素原子数1〜35の脂肪族炭化水素基、二価の炭素原子数3〜35の脂環式炭化水素基、二価の炭素原子数6〜35の芳香環含有炭化水素基、二価の炭素原子数2〜35の複素環含有基又は下記(1−A)〜(1−C)の何れかで表される基を表し、
1及びZ2は、それぞれ独立に、直接結合、−O−、−S−、−SO2−、−SO−、−NR14−、−PR15−、−CO−、又はこれらの組み合わせを表し、
14及びR15は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基又は炭素原子数8〜30のアリールアルケニル基を表し、
14及びR15で表されるアルキル基、アリール基、アリールアルキル基又はアリールアルケニル基は、ハロゲン原子、水酸基又はニトロ基で置換されている場合もあり、
14及びR15で表されるアルキル基、アリールアルキル基又はアリールアルケニル基中のメチレン基は、−COO−、−O−、−OCO−、−NHCO−、−NH−又は−CONH−により、酸素原子が隣り合わない条件で置き換わっている場合もあり、*は、*部分で、隣接する基と結合することを意味する。
但し、上記一般式(1)で表される基は炭素原子数1〜35の範囲内である。)
【0010】
【化4】
(式中、R21は、炭素原子数1〜10のアルキル基若しくはアルコキシ基により置換されている場合があるフェニル基、又は炭素原子数3〜10のシクロアルキル基を表し、R22は、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、炭素原子数2〜10のアルケニル基又はハロゲン原子を表し、
21及びR22で表されるアルキル基、アルコキシ基又はアルケニル基はハロゲン原子で置換されているか又は無置換であり、
dは0〜4の整数であり、*は、*部分で、隣接する基と結合することを意味する。)
【0011】
【化5】
(式中の*は、*部分で、隣接する基と結合することを意味する。)
【0012】
【化6】
(式中、R23及びR24は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数6〜30のアリールオキシ基、炭素原子数6〜30のアリールチオ基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基、炭素原子数8〜30のアリールアルケニル基、炭素原子数2〜30の複素環含有基又はハロゲン原子を表し、
23及びR24で表されるアルキル基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキル基又は複素環含有基は、ハロゲン原子で置換されているか又は無置換であり、
23及びR24で表されるアルキル基、アリールアルキル基又はアリールアルケニル基中のメチレン基は、不飽和結合、−O−又は−S−により、酸素原子が隣り合わない条件で置き換わっている場合もあり、
23は、隣接するR23同士で環を形成している場合もあり、
eは0〜4の数を表し、fは0〜8の数を表し、gは0〜4の数を表し、hは0〜4の数を表し、gとhの数の合計は2〜4であり、*は、*部分で、隣接する基と結合することを意味する。)
(2ii)m=3であり、Aが下記一般式(2)で表される。
【0013】
【化7】
(式中、X2は、R25で置換された炭素原子、三価の炭素原子数1〜35の脂肪族炭化水素基、三価の炭素原子数3〜35の脂環式炭化水素基、三価の炭素原子数6〜35の芳香環含有炭化水素基又は三価の炭素原子数2〜35の複素環含有基を表し、
25は、水素原子、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基又は炭素原子数8〜30のアリールアルケニル基を表し、
2で表される脂肪族炭化水素基は、−COO−、−O−、−OCO−、−NHCO−、−NH−、−CONH−、−O−CONH−又は−NHCO−O−により、酸素原子が隣り合わない条件で置き換わっている場合もあり、
1〜Z3は、それぞれ独立に、上記一般式(1)におけるZ1及びZ2で表される基と同じであり、*は、*部分で、隣接する基と結合することを意味する。
但し、上記一般式(2)で表わされる基は炭素原子数1〜35の範囲内である。)
(iii)m=4であり、Aが下記一般式(3)で表される。
【0014】
【化8】
(式中、X3は、炭素原子、四価の炭素原子数1〜35の脂肪族炭化水素基、四価の炭素原子数3〜35の脂環式炭化水素基、四価の炭素原子数6〜35の芳香環含有炭化水素基又は四価の炭素原子数2〜35の複素環含有基を表し、
3で表される脂肪族炭化水素基は、−COO−、−O−、−OCO−、−NHCO−、−NH−、−CONH−、−O−CONH−又は−NHCO−O−により、酸素原子が隣り合わない条件で置き換わっている場合もあり、
1〜Z4は、それぞれ独立に、上記一般式(1)におけるZ1及びZ2で表される基と同じであり、*は、*部分で、隣接する基と結合することを意味する。
但し、上記一般式(3)で表される基は炭素原子数1〜35の範囲内である。)
(iv)m=5であり、Aが下記一般式(4)で表される。
【0015】
【化9】
(式中、X4は、五価の炭素原子数2〜35の脂肪族炭化水素基、五価の炭素原子数3〜35の脂環式炭化水素基、五価の炭素原子数6〜35の芳香環含有炭化水素基又は五価の炭素原子数2〜35の複素環含有基を表し、
4で表される脂肪族炭化水素基は、−COO−、−O−、−OCO−、−NHCO−、−NH−、−CONH−、−O−CONH−又は−NHCO−O−により、酸素原子が隣り合わない条件で置き換わっている場合もあり、
1〜Z5は、それぞれ独立に、上記一般式(1)におけるZ1及びZ2で表される基と同じであり、*は、*部分で、隣接する基と結合することを意味する。
但し上記一般式(4)で表される基は炭素原子数2〜35の範囲内である。)
(v)m=6であり、Aが下記一般式(5)で表される。
【0016】
【化10】
(式中、X5は、六価の炭素原子数2〜35の脂肪族炭化水素基、六価の炭素原子数3〜35の脂環式炭化水素基、六価の炭素原子数6〜35の芳香環含有炭化水素基又は六価の炭素原子数2〜35の複素環含有基を表し、
5で表される脂肪族炭化水素基は、−COO−、−O−、−OCO−、−NHCO−、−NH−、−CONH−、−O−CONH−又は−NHCO−O−により、酸素原子が隣り合わない条件で置き換わっている場合もあり、
1〜Z6は、それぞれ独立に、上記一般式(1)におけるZ1及びZ2で表される基と同じであり、*は、*部分で、隣接する基と結合することを意味する。
但し上記一般式(5)で表される基は炭素原子数2〜35の範囲内である。)
【0017】
また、本発明は、上記メロシアニン化合物を含有する組成物並びに該組成物を用いて得られる光学フィルム及び光学フィルタを提供するものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、耐光性に優れるメロシアニン化合物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明のメロシアニン化合物について、好ましい実施形態に基づき説明する。
【0020】
本発明のメロシアニン化合物は、上記一般式(I)で表される構造を有する。
【0021】
上記一般式(I)におけるR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10及びR11で表される炭素原子数1〜20のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第二ブチル、第三ブチル、イソブチル、アミル、イソアミル、第三アミル、ヘキシル、シクロヘキシル、シクロヘキシルメチル、シクロヘキシルエチル、ヘプチル、イソヘプチル、第三ヘプチル、n−オクチル、イソオクチル、第三オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、イソノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル等が挙げられ、
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R10及びR11で表される炭素原子数6〜30のアリール基としては、フェニル、ナフチル、ビフェニル、アントラセン−1−イル、フェナントレン−1−イル等の単環又は縮環構造の芳香族系炭化水素環(環構造の部分のみをいう。以下、「芳香族系炭化水素環」において同じ)あるいはその連結構造が挙げられ、
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R10及びR11で表される炭素原子数7〜30のアリールアルキル基又は炭素原子数8〜30のアリールアルケニル基としては、としては、ベンジル、フェネチル、2−フェニルプロピル、3−フェニルプロピル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、スチリル、シンナミル等の単環又は縮環の芳香族系炭化水素環あるいはその連結構造が結合したアルキル基又はアルケニル基が挙げられる。
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R10及びR11は炭素原子数2〜30の複素環含有基とも表される。かかる炭素原子数2〜30の複素環含有基において、複素環含有基とは、少なくとも一つの複素環を含有する基を意味し、炭素原子数は、基全体の炭素原子数を意味する。以下の説明において、複素環含有基の炭素原子数が規定されている場合は、全て、基全体の炭素原子数を意味する。上記炭素原子数2〜30の複素環含有基としては、例えば、ピリジル、ピリミジル、ピリダジル、ピペラジル、ピペリジル、ピラニル、ピラゾリル、トリアジル、ピロリジル、キノリル、イソキノリル、イミダゾリル、ベンゾイミダゾリル、トリアゾリル、フリル、フラニル、ベンゾフラニル、チエニル、チオフェニル、ベンゾチオフェニル、チアジアゾリル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、オキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、インドリル、ユロリジル、モルフォリニル、チオモルフォリニル、2−ピロリジノン−1−イル、2−ピペリドン−1−イル、2,4−ジオキシイミダゾリジン−3−イル、2,4−ジオキシオキサゾリジン−3−イル等の単環又は縮環構造の複素環(環構造の部分のみをいう。以下、「単環又は縮環構造の複素環」において同じ)あるいはその連結構造が挙げられる。
1、R2、R3、R4、R6、R7及びR8で表されるメタロセニル基としては、フェロセニル、ニッケロセニル、コバルトニル、フェロセンアルキル、フェロセンアルコキシ等が挙げられ、
1、R2、R3、R4、R6、R7、R8、R10及びR11で表されるハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
【0022】
上記一般式(I)におけるR1とR2、R2とR3、R3とR4、R4とR5、R1とR10、R6とR8、R8とR9又はR10とR11が連結して形成する環構造としては、ピペリジン環、ピペラジン環、ピロリジン環、モルフォリン環、チオモルフォリン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、イミダゾール環、オキサゾール環、イミダゾリジン環、ピラゾリジン環、イソオキサゾリジン環、イミノオキサゾリジン環、イソチアゾリジン環、ロダニン環、チオオキサゾリドン環、チオヒダントイン環、インダンジオン環、チアナフテン環、ピラゾロン環、ピリドン環、ピラゾリジンジオン環、ローダニン環、バルビツール酸環、チオバルビツール酸環、オキサゾロン環、ヒダントイン環、チオヒダントイン環、スクシンイミド環、マレイミド環等が挙げられ、これらの環は他の環と縮合されている場合もあり、また上記一般式(I)におけるR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10及びR11で表される炭素原子数1〜20のアルキル基等と同様の置換基を有する場合がある。
【0023】
上記一般式(I)におけるR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10及びR11で表される炭素原子数1〜20のアルキル基、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R10及びR11で表される炭素原子数6〜30のアリール基、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R10及びR11で表される炭素原子数7〜30のアリールアルキル基又は炭素原子数8〜30のアリールアルケニル基、並びにR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R10及びR11で表される炭素原子数2〜30の複素環含有基は置換基を有していてもよい。上記炭素原子数1〜20のアルキル基の置換基としては、以下に例示の置換基のうち、アルキル基、アリールアルキル基以外の置換基が挙げられる。炭素原子数6〜30のアリール基、好ましくは単環又は縮環構造の芳香族系炭化水素環あるいはその連結構造の置換基としては、以下に例示の置換基のうち、アリール基以外の置換基が挙げられる。炭素原子数7〜30のアリールアルキル基又は炭素原子数8〜30のアリールアルケニル基、好ましくは単環又は縮環構造の芳香族系炭化水素環或いはその連結構造が結合したアルキル基又はアルケニル基の置換基としては、以下に例示の置換基が挙げられる。ただし、以下に例示の置換基のうち、アルキル基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基は、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基又は炭素原子数8〜30のアリールアルケニル基の芳香族系炭化水素環に置換する。炭素原子数2〜30の複素環含有基、好ましくは単環又は縮環構造の複素環或いはその連結構造の置換基としては、以下に例示の置換基のうち、複素環含有基以外の置換基が挙げられる。尚、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10又はR11の何れかが、上記の炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基、炭素原子数8〜30のアリールアルケニル基又は炭素原子数2〜30の複素環含有基であり、且つ、それらの基が、以下の置換基の中でも、炭素原子を含有する置換基を有する場合は、該置換基を含めた全体の炭素原子数が、規定された範囲を満たすものとする。つまり、炭素原子数1〜20のアルキル基が、炭素原子を含有する置換基を有する場合の炭素原子数の範囲は、1〜20であり、炭素原子数6〜30のアリール基が、炭素原子を含有する置換基を有する場合の炭素原子数の範囲は、6〜30であり、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基が、炭素原子を含有する置換基を有する場合の炭素原子数の範囲は、7〜30であり、炭素原子数8〜30のアリールアルケニル基が、炭素原子を含有する置換基を有する場合の炭素原子数の範囲は、8〜30であり、炭素原子数2〜30の複素環含有基が、炭素原子を含有する置換基を有する場合の炭素原子数の範囲は、2〜30である。
上記置換基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、ブチル、第二ブチル、第三ブチル、イソブチル、アミル、イソアミル、第三アミル、シクロペンチル、ヘキシル、2−ヘキシル、2−エチルへキシル、3−へキシル(又はヘキサン−3−イル)、シクロヘキシル、ビシクロヘキシル、1−メチルシクロヘキシル、ヘプチル、2−ヘプチル、3−ヘプチル、イソヘプチル、第三ヘプチル、n−オクチル、イソオクチル、第三オクチル、ノニル、イソノニル、デシル、ラウリル等のアルキル基;メチルオキシ、エチルオキシ、プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、ブチルオキシ、第二ブチルオキシ、第三ブチルオキシ、イソブチルオキシ、アミルオキシ、イソアミルオキシ、第三アミルオキシ、ヘキシルオキシ、シクロヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、イソヘプチルオキシ、第三ヘプチルオキシ、n−オクチルオキシ、イソオクチルオキシ、第三オクチルオキシ、2−エチルヘキシルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ等のアルコキシ基;メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ、第二ブチルチオ、第三ブチルチオ、イソブチルチオ、アミルチオ、イソアミルチオ、第三アミルチオ、ヘキシルチオ、シクロヘキシルチオ、ヘプチルチオ、イソヘプチルチオ、第三ヘプチルチオ、n−オクチルチオ、イソオクチルチオ、第三オクチルチオ、2−エチルヘキシルチオ等のアルキルチオ基;ビニル、1−メチルエテニル、2−メチルエテニル、2−プロペニル、1−メチル−3−プロペニル(又は1−メチル−2−プロペニル)、3−ブテニル、1−メチル−3−ブテニル、イソブテニル、3−ペンテニル、4−ヘキセニル、シクロヘキセニル、ビシクロヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、デセニル、ペンタデセニル、エイコセニル、トリコセニル等のアルケニル基;ベンジル、フェネチル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、スチリル、シンナミル等のアリールアルキル基;フェニル、ナフチル等のアリール基;フェノキシ、ナフチルオキシ等のアリールオキシ基;フェニルチオ、ナフチルチオ等のアリールチオ基;ピリジル、ピリミジル、ピリダジル、ピペリジル、ピラニル、ピラゾリル、トリアジル、ピロリル、キノリル、イソキノリル、イミダゾリル、ベンゾイミダゾリル、トリアゾリル、フリル、フラニル、ベンゾフラニル、チエニル、チオフェニル、ベンゾチオフェニル、チアジアゾリル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、オキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、インドリル、2−ピロリジノン−1−イル、2−ピペリドン−1−イル、2,4−ジオキシイミダゾリジン−3−イル、2,4−ジオキシオキサゾリジン−3−イル等の複素環含有基;フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子;アセチル、2−クロロアセチル、プロピオニル、オクタノイル、フェニルカルボニル(ベンゾイル)、フタロイル、4−トリフルオロメチルベンゾイル、ピバロイル、サリチロイル、オキザロイル、ステアロイル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、n−オクタデシルオキシカルボニル、カルバモイル等のアシル基;アセチルオキシ、ベンゾイルオキシ等のアシルオキシ基;アミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ブチルアミノ、シクロペンチルアミノ、2−エチルヘキシルアミノ、ドデシルアミノ、アニリノ、クロロフェニルアミノ、トルイジノ、アニシジノ、N−メチル−アニリノ、ジフェニルアミノ,ナフチルアミノ、2−ピリジルアミノ、メトキシカルボニルアミノ、フェノキシカルボニルアミノ、アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ、ホルミルアミノ、ピバロイルアミノ、ラウロイルアミノ、カルバモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ、モルホリノカルボニルアミノ、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、t−ブトキシカルボニルアミノ、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ、N−メチル−メトキシカルボニルアミノ、フェノキシカルボニルアミノ、スルファモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ、メチルスルホニルアミノ、ブチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ等の置換アミノ基;スルホンアミド基、スルホニル含有基、カルボン酸基、シアノ基、スルホン酸基、水酸基、ニトロ基、メルカプト基、イミド基、カルバモイル基、リン酸基等が挙げられ、これらの基は更に置換されていてもよい。また、上記カルボキシル基、スルホ基及びリン酸基等の酸性基は、種々の陽イオンと塩を形成していてもよく、上記置換アミノ基は四級化した後、種々の陰イオンと塩を形成していてもよい。上記陽イオンとしては、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、遷移金属カチオン、炭素原子数4以上のアンモニウム、アミジニウム、グアニジニウムカチオン等が挙げられ、陰イオンとしては、例えば、一価のものとして、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、フッ化物イオン等のハロゲン化物イオン;過塩素酸イオン、塩素酸イオン、チオシアン酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン等の無機系陰イオン;メタンスルホン酸イオン、ドデシルスルホン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、トルエンスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、ペンタフルオロベンゼンスルホン酸イオン、ジフェニルアミン−4−スルホン酸イオン、2−アミノ−4−メチル−5−クロロベンゼンスルホン酸イオン、2−アミノ−5−ニトロベンゼンスルホン酸イオン、フタロシアニンスルホン酸イオン、パーフルオロ−4−エチルシクロヘキサンスルホン酸イオン、ナフタレンモノスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、ナフタレントリスルホン酸、ナフチルアミンモノスルホン酸、ナフチルアミンジスルホン酸、ナフチルアミントリスルホン酸、ナフトールモノスルホン酸、ナフトールジスルホン酸、ナフトールトリスルホン酸等の有機スルホン酸系陰イオン;チオシアン酸イオン、リンタングステンモリブデン酸イオン、リンタングステン酸イオン、リンモリブデン酸イオン、タンニン酸イオン、酒石酸イオン、パルミチン酸イオン、ステアリン酸イオン、オレイン酸イオン、リノール酸イオン、オクチルリン酸イオン、ドデシルリン酸イオン、オクタデシルリン酸イオン、フェニルリン酸イオン、ノニルフェニルリン酸イオン、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスホン酸イオン等の有機リン酸系陰イオン、ビストリフルオロメチルスルホニルイミドイオン、ビスパーフルオロブタンスルホニルイミドイオン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸イオン、トリス(フルオロアルキルスルホニル)カルボアニオン、テトラキスペンタフルオロフェニルボレートアニオン等が挙げられる。
【0024】
上記一般式(I)におけるR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10及びR11(後述の群2中のR125及びR126、一般式(III)中のR31、一般式(IV)中のR35において同じ)で表される炭素原子数1〜20のアルキル基としては、無置換のもの、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子;置換アミノ基;スルホンアミド基、スルホニル基、カルボキシル基、シアノ基、スルホ基、水酸基、ニトロ基、メルカプト基、イミド基、カルバモイル基、スルホンアミド基、リン酸基等で置換されたもの、アルキル基中のメチン鎖が、SO2NH、NHSO2、O、NHCO、CONHで置き換わったもの、アルキル基(置換基を有するアルキル基を含む)が塩を形成したものが好ましい。
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R10及びR11(後述の群2中のR125及びR126、一般式(III)中のR31、一般式(IV)中のR35において同じ)で表される炭素原子数6〜30のアリール基としては、無置換のもの、上記アルキル基、アリールアルキル基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子;置換アミノ基;スルホンアミド基、スルホニル基、カルボキシル基、シアノ基、スルホ基、水酸基、ニトロ基、メルカプト基、イミド基、カルバモイル基、スルホンアミド基、リン酸基等で置換されたもの、アリール基に置換されたアルキル基、アリールアルキル基又はアリールアルケニル基中のメチレン基が、−SO2−NH−又は−NH−SO2−、O、NHCO、CONHで置き換わったもの、アリール基が塩を形成したもの(置換基を有するアリール基を含む。)
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R10及びR11(後述の群2中のR125及びR126、一般式(III)中のR31、一般式(IV)中のR35において同じ)で表される炭素原子数7〜30のアリールアルキル基又は炭素原子数8〜30のアリールアルケニル基としては、無置換のもの、上記アルキル基、アルコキシ基、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子置換アミノ基;スルホンアミド基、スルホニル基、カルボキシル基、シアノ基、スルホ基、水酸基、ニトロ基、メルカプト基、イミド基、カルバモイル基、スルホンアミド基、リン酸基等で置換されたもの、アリールアルキル基中のメチン鎖が、酸素原子、−SO2−NH−又は−NH−SO2−、O、NHCO、CONHで置き換わったもの、アルキル基(置換基を有するアルキル基を含む)が塩を形成したものが好ましい。
【0025】
上記一般式(I)において、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10及びR11で表される炭素原子数1〜20のアルキル基、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R10及びR11で表される炭素原子数6〜30のアリール基並びにR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R10及びR11で表される炭素原子数7〜30のアリールアルキル基又は炭素原子数8〜30のアリールアルケニル基中の末端のメチル基は、カルボキシル基、スルホ基及びリン酸基等の酸性基が種々の陽イオンと塩を形成した置換基を有していてもよく、或いは置換アミノ基を四級化した後種々の陰イオンと塩を形成した置換基を有していてもよい。
【0026】
このような塩を形成した置換基のうち、酸性基と塩を形成する陽イオンとしては、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等のアルカリ土類金属イオン、アルミニウムなどの典型金属イオン、亜鉛、ニッケル、コバルト、銅、バナジウム等遷移金属カチオン、炭素原子数4以上のアンモニウム等が挙げられ、四級化した置換アミノ基と塩を形成する陰イオンとしては、一価のものとして、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、フッ化物イオン等のハロゲン化物イオン;過塩素酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン等の無機系陰イオン;メタンスルホン酸イオン、ドデシルスルホン酸イオン等の有機スルホン酸系陰イオン;リンモリブデン酸イオンなどのヘテロポリ酸イオン、ビストリフルオロメチルスルホニルイミドイオン、ビスパーフルオロブタンスルホニルイミドイオン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸イオン、トリス(フルオロアルキルスルホニル)カルボアニオン、テトラキスペンタフルオロフェニルボレートアニオン等が挙げられる。
【0027】
上記一般式(I)において、塩を形成した置換基は、酸性染料をレーキ化する沈殿剤、或いは塩基性染料をレーキ化する沈殿剤を用いて得ることができる。上記酸性染料をレーキ化する沈殿剤としては、例えば、塩化バリウム、塩化アルミニウム、アルカリ土類金属塩、マンガン塩、ナトリウム塩等を用いることができ、上記塩基性染料をレーキ化する沈殿剤としては、リンタングステンモリブデン酸、リンタングステン酸、リンモリブデン酸、ケイ素タングステンモリブデン酸、ケイ素モリブデン酸、タンニン酸、酒石酸、カオリン、緑土、高級脂肪酸等を用い、水溶液又は水分散液中で必要に応じて加熱、ろ過することにより得ることができる。
【0028】
上記一般式(I)において、m=1のとき、Aは結合手ではない。つまり、m=1のとき、上記一般式(I)は、下記一般式(I−1)で表される。
【化11】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、n及びGは、上記一般式(I)と同じである。)
【0029】
上記一般式(I−1)で表されるメロシアニン化合物は、nが1の場合、下記一般式に示されるような構造を取りうるが、どちらの構造式であってもよく、また、どちらの構造式で表される構造異性体を単離して用いても、或いはそれらの混合物として用いてもよい。
さらに下記一般式は、NR5基とR6基とが二重結合に対してシス配置(Z配置)になっているが、これらがトランス配置(E配置)になるものも含まれる。式(I−1)はこれら炭素炭素二重結合に起因する全ての幾何異性体を含む意味として定義される。
【0030】
【化11A】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、及びGは、上記一般式(I−1)と同じである。)
【0031】
上記一般式(I)におけるAが−NR12−で表されるときのR12、−PR13−で表されるときのR13、或いは群1中R及びR’で表される炭素原子数
1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基又は炭素原子数8〜30のアリールアルケニル基としては、一般式(I)の説明で例示したアルキル基、アリール基、アリールアルキル基又はアリールアルケニル基のうち、所定の炭素原子数を満たすもの等が挙げられる。
【0032】
上記一般式(I)におけるAがEm+(J-mで表されるとは、より具体的には、m≧2の場合に、一般式(I)におけるA以外の部分が、m個のJ-である一価の陰イオンとなり、これらの陰イオンが、Em+(A)であるm価の陽イオンと結合している状態をいう。後述の例示化合物で言えば、化合物No.84、No.85、No.87〜No.90が該当する。
【0033】
Eを表すm価の陽イオンは、2価の陽イオンとしては、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等のアルカリ土類金属イオン;亜鉛、銅、ニッケル等の遷移金属カチオン等が挙げられ、3価の陽イオンとしては、アルミニウム等の典型金属イオン;コバルト、鉄等の遷移金属カチオン等が挙げられ、4価以上の陽イオンとしては、マンガン等の遷移金属カチオン等が挙げられる。
【0034】
上記一般式(I)におけるAが(M+mm-で表されるとは、より具体的には、m≧2の場合に、一般式(I)におけるA以外の部分が、m個のM+である一価の陽イオンとなり、これらの陽イオンが、Lm―(A)であるm価の陰イオンと結合している状態をいう。後述の例示化合物で言えば、化合物No.86、No.91〜No.95が該当する。
【0035】
Lを表すm価の陰イオンは、2価の陰イオンとしては、クロム酸イオン等が挙げられ、3価の陰イオンとしては、リンモリブデン酸イオン、リンタングステン酸イオン、リンタングストモリブデン酸イオン、バナジン酸イオン等が挙げられ、4価の陰イオンとしては、ケイタングステン酸イオン等が挙げられ、5価以上の陰イオンとしては、リンバナドモリブデン酸イオン、モリブデン酸イオン等が挙げられる。
【0036】
上記一般式(1)〜(5)において、炭素原子数3〜35の脂環式炭化水素基とは、少なくとも一つの飽和の単環又は多環を含む炭素原子数3〜35の炭化水素基を意味し、芳香環含有炭化水素基とは、少なくとも一つの芳香環を含む炭素原子数6〜35の炭化水素基を意味する。
【0037】
上記一般式(1)におけるX1で表される二価の炭素原子数1〜35の脂肪族炭化水素基としては、メタン、エタン、プロパン、iso−プロパン、ブタン、sec−ブタン、tert−ブタン、iso−ブタン、ヘキサン、2−メチルヘキサン、3−メチルヘキサン、ヘプタン、2−メチルヘプタン、3−メチルヘプタン、iso−ヘプタン、tert−ヘプタン、1−メチルオクタン、iso−オクタン、tert−オクタン、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、2,4−ジメチルシクロブタン、4−メチルシクロヘキサン等の基が、Z1及びZ2で置換された二価の基が挙げられ、これらの基は、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−NH−又はこれら
を組み合わせた基で置き換わっていてもよく、
二価の炭素原子数3〜35の脂環式炭化水素基としては、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロデカニル、1−アダマンチル、2−アダマンチル、ノルアダマンチル、2−メチルアダマンチル、ノルボルニル、イソノルボルニル、パーヒドロナフチル、パーヒドロアントラセニル、ビシクロ[1.1.0]ブチル、ビシクロ[1.1.1]ペンチル、ビシクロ[2.1.0]ペンチル、ビシクロ[3.1.0]ヘキシル、ビシクロ[2.1.1]ヘキシル、ビシクロ[2.2.0]ヘキシル、ビシクロ[4.1.0]ヘプチル、ビシクロ[3.2.0]ヘプチル、ビシクロ[3.1.1]ヘプチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、ビシクロ[5.1.0]オクチル、ビシクロ[4.2.0]オクチル、ビシクロ[4.1.1]オクチル、ビシクロ[3.3.0]オクチル、ビシクロ[3.2.1]オクチル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、スピロ〔4,4〕ノナニル、スピロ〔4,5〕デカニル、デカリン、トリシクロデカニル、テトラシクロドデカニル、セドロール、シクロドデカニル等の基が、Z1及びZ2で置換された二価の基等が挙げられ、
二価の炭素原子数6〜35の芳香環含有炭化水素基としては、フェニレン、ナフチレン、ビフェニル等の基が、Z1及びZ2で置換された二価の基等が挙げられ、
二価の炭素原子数2〜35の複素環含有基としては、ピリジン、ピラジン、ピペリジン、ピペラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、ヘキサヒドロトリアジン、フラン、テトラヒドロフラン、クロマン、キサンテン、チオフェン、チオラン等の基が、Z1及びZ2で置換された二価の基が挙げられる。
これらの基はハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基又は炭素原子数1〜10のアルコキシ基でさらに置換されていてもよい。
上記一般式(1)におけるR14及びR15で表される炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基又は炭素原子数8〜30のアリールアルケニル基これらの基を置換してもよいハロゲン原子としては、上記一般式(I)の説明において例示した基が挙げられる。
【0038】
上記一般式(1−A)において、R21で表される炭素原子数3〜10のシクロアルキル基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロへブチル、シクロオクチル等及びこれらの基が炭素原子数1〜10のアルキル基若しくは炭素原子数1〜10のアルコキシ基で置換された基等が挙げられ、
上記炭素原子数1〜10のアルキル基及びR22で表される炭素原子数1〜10のアルキル基としては、上記一般式(I)の説明において例示した基等が挙げられ、
上記アルコキシ基及びR22で表される炭素原子数1〜10のアルコキシ基としては、メチルオキシ、エチルオキシ、プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、ブチルオキシ、第二ブチルオキシ、第三ブチルオキシ、イソブチルオキシ、アミルオキシ、イソアミルオキシ、第三アミルオキシ、ヘキシルオキシ、シクロヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、イソヘプチルオキシ、第三ヘプチルオキシ、n−オクチルオキシ、イソオクチルオキシ、第三オクチルオキシ、2−エチルヘキシルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ等が挙げられ、
22で表される炭素原子数2〜10のアルケニル基としては、ビニル、アリル、1−プロペニル、イソプロペニル、2−ブテニル、1,3−ブタジエニル、2−ペンテニル、2−オクテニル等が挙げられ、
上記R22におけるアルキル基、アルコキシ基及びアルケニル基はハロゲン原子で置換されていてもよく、その置換位置は制限されない。
【0039】
上記一般式(1−C)において、R23及びR24で表される炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基、又は炭素原子数8〜30のアリールアルケニル基及びハロゲン原子としては、上記一般式(I)の説明において例示した基が挙げられ、
23及びR24で表される炭素原子数6〜30のアリールオキシ基としては、フェニルオキシ、ナフチルオキシ、2−メチルフェニルオキシ、3−メチルフェニルオキシ、4−メチルフェニルオキシ、4−ビニルフェニル二オキシ、3−iso−プロピルフェニルオキシ、4−iso−プロピルフェニルオキシ、4−ブチルフェニルオキシ、4−tert−ブチルフェニルオキシ、4−へキシルフェニルオキシ、4−シクロヘキシルフェニルオキシ、4−オクチルフェニルオキシ、4−(2−エチルヘキシル)フェニルオキシ、2,3−ジメチルフェニルオキシ、2,4−ジメチルフェニルオキシ、2,5−ジメチルフェニルオキシ、2.6−ジメチルフェニルオキシ、3.4−ジメチルフェニルオキシ、3.5−ジメチルフェニルオキシ、2,4−ジーtert−ブチルフェニルオキシ、2,5−ジーtert−ブチルフェニルオキシ、2,6−ジーtert−ブチルフェニルオキシ、2.4−ジーtert−ペンチルフェニルオキシ、2,5−tert−アミルフェニルオキシ、4−シクロへキシルフェニルオキシ、2,4,5−トリメチルフェニルオキシ、フェロセニルオキシ等の基及びこれらの基がハロゲン原子で置換された基が奉げられ、
炭素原子数6〜30のアリールチオ基としては、上記炭素原子数6〜30のアリールオキシ基の酸素原子を硫黄原子に置換した基等が奉げられ、
炭素原子数8〜30のアリールアルケニル基としては、上記炭素原子数6〜30のアリールオキシ基の酸素原子をビニル、アリル、1−プロペニル、イソプロペニル、2−ブテニル、1,3−ブタジエニル、2−ペンテニル、2−オクテニル等のアルケニル基で置換した基等が挙げられ、
炭素原子数2〜30の複素環含有基としては、ピリジン、ピラジン、ピペリジン、ピペラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、ヘキサヒドロトリアジン、フラン、テトラヒドロフラン、クロマン、キサンテン、チオフェン、チオフラン等の基及びこれらの基がハロゲン原子で置換された基等が挙げられる。
【0040】
上記一般式(2)におけるX2で表される三価の炭素原子数1〜35の脂肪族炭化水素基としては、上記一般式(1)におけるX1の説明で例示した脂肪族炭化水素基が、Z1、Z2及びZ3で置換された三価の基が挙げられ、これらの基は、−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−SO2−、−NH−又はこれらを組み合わせた基で中断されていてもよく、
三価の炭素原子数3〜35の脂環式炭化水素基としては、上記一般式(1)におけるX1の説明で例示した脂環式炭化水素基が、Z1、Z2及びZ3で置換された三価の基が挙げられ、
三価の炭素原子数6〜35の芳香環含有炭化水素基としては、上記一般式(1)におけるX1の説明で例示した芳香環含有炭化水素基が、Z1、Z2及びZ3で置換された三価の基が挙げられ、
三価の炭素原子数2〜35の複素環含有基としては、上記一般式(1)におけるX1の説明で例示した複素環含有基が、Z1、Z2及びZ3で置換された三価の基が挙げられる。
25で表される炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基又は炭素原子数8〜30のアリールアルケニル基としては、上記一般式(I)の説明で例示したアルキル基、アリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基又は炭素原子数8〜30のアリールアルケニル基のうち、所定の炭素原子数を満たすものが挙げられる。
【0041】
上記一般式(3)におけるX3で表される四価の炭素原子数1〜35の脂肪族炭化水素基としては、上記一般式(1)におけるX1の説明で例示した脂肪族炭化水素基が、Z1、Z2、Z3及びZ4で置換された四価の基が挙げられ、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−NH−又はこれらを組み合わせた基で中断されていてもよく、
四価の炭素原子数3〜35の脂環式炭化水素基としては、上記一般式(1)におけるX1の説明で例示した脂環式炭化水素基が、Z1、Z2、Z3及びZ4で置換された四価の基が挙げられ、
四価の炭素原子数6〜35の芳香環含有炭化水素基としては、上記一般式(1)におけるX1の説明で例示した芳香環含有炭化水素基が、Z1、Z2、Z3及びZ4で置換された四価の基が挙げられ、
四価の炭素原子数2〜35の複素環含有基としては、上記一般式(1)におけるX1の説明で例示した複素環含有基が、Z1、Z2、Z3及びZ4で置換された四価の基が挙げられる。
【0042】
上記一般式(4)におけるX4で表される五価の炭素原子数2〜35の脂肪族炭化水素基としては、上記一般式(1)におけるX1の説明で例示した脂肪族炭化水素基が、Z1、Z2、Z3、Z4及びZ5で置換された五価の基が挙げられ、−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−SO2−、−NH−又はこれらを組み合わせた基で中断されていてもよく、
五価の炭素原子数3〜35の脂環式炭化水素基としては、上記一般式(1)におけるX1の説明で例示した脂環式炭化水素基が、Z1、Z2、Z3、Z4及びZ5で置換された五価の基が挙げられ、
五価の炭素原子数6〜35の芳香環含有炭化水素基としては、上記一般式(3)におけるX1の説明で例示した芳香環含有炭化水素基が、Z1、Z2、Z3、Z4及びZ5で置換された五価の基が挙げられ、
五価の炭素原子数2〜35の複素環含有基としては、上記一般式(1)におけるX1の説明で例示した複素環含有基が、Z1、Z2、Z3、Z4及びZ5で置換された五価の基が挙げられる。
【0043】
上記一般式(5)におけるX5で表される六価の炭素原子数2〜35の脂肪族炭化水素基としては、上記一般式(1)におけるX1の説明で例示した脂肪族炭化水素基が、Z1、Z2、Z3、Z4、Z5及びZ6で置換された六価の基が挙げられ、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−SO2−、−NH−又はこれらを組み合わせた基で中断されていてもよく、
六価の炭素原子数3〜35の脂環式炭化水素基としては、上記一般式(1)におけるX1の説明で例示した脂環式炭化水素基が、Z1、Z2、Z3、Z4、Z5及びZ6で置換された六価の基が挙げられ、
六価の炭素原子数6〜35の芳香環含有炭化水素基としては、上記一般式(1)におけるX1の説明で例示した芳香環含有炭化水素基が、Z1、Z2、Z3、Z4、Z5及びZ6で置換された六価の基が挙げられ、
六価の炭素原子数2〜35の複素環含有基としては、上記一般式(1)におけるX1の説明で例示した複素環含有基が、Z1、Z2、Z3、Z4、Z5及びZ6で置換された六価の基が挙げられる。
【0044】
上記一般式(I)で表される化合物の中でも、R8とR9が形成する環が下記群2から選ばれるもの:mが2のとき、X1が下記群3から選ばれる基であるもの;mが3のとき、X2が下記群4から選ばれる基であるもの;mが4のとき、X3が群5から選ばれる基であるもの;mが5のとき、X4が下記群6から選ばれる基であるもの;mが6のとき、X5が下記群7から選ばれる基であるものは、原料の入手や製造が容易であり、耐熱性が高いため好ましい。
【0045】
【化11B】
(式中、R125は、水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基、又は炭素原子数8〜30のアリールアルケニル基、炭素原子数2〜30の複素環含有基又はメタロセニル基を表し、
125で表されるアルキル基、アリール基、アリールアルキル基又はアリールアルケニル基は、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基又はニトロ基で置換されている場合もあり、該カルボキシル基及びスルホン酸基は塩を形成している場合もあり、
125で表されるアルキル基、アリールアルキル基及びアリールアルケニル基中のメチレン基は、−COO−、−O−、−OCO−、−NHCO−、−NH−、−CONH−、−SO2−NH−又はーNH−SO2−で置き換わっている場合もあり、
126は、水素原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子、カルボキシル基、スルホン酸基、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基、又は炭素原子数8〜30のアリールアルケニル基、炭素原子数2〜30の複素環基又はメタロセニル基を表し、
126で表されるアルキル基、アリール基、アリールアルキル基及びアリールアルケニル基は、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基又はニトロ基で置換されている場合もあり、該カルボキシル基及びスルホン酸基は塩を形成している場合もあり、
126で表されるアルキル基及びアリールアルキル基中のメチレン基は、−COO−、−O−、−OCO−、−NHCO−、−NH−、−CONH−、−SO2−NH−又はーNH−SO2−により、酸素原子が隣り合わない条件で置き換わった基で置き換わっている場合もあり、*は、*部分で、隣接する基と結合することを意味する。)
【0046】
上記の群2において、R125又はR126で表される炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基、炭素原子数8〜30のアリールアルケニル基、炭素原子数2〜30の複素環基又はメタロセニル基としては、上記一般式(I)の説明で例示したアルキル基、アリール基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基、複素環基又はメタロセニル基が挙げられる。
【0047】
【化12】
(式中、R27は、水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基又は炭素原子数8〜30のアリールアルケニル基を表し、
27で表されるアルキル基、アリール基、アリールアルキル基及びアリールアルケニル基は、ハロゲン原子、水酸基又はニトロ基で置換されている場合もあり、
27で表されるアルキル基、アリールアルキル基及びアリールアルケニル基中のメチレン基は、−COO−、−O−、−OCO−、−NHCO−、−NH−又は−CONH−により、酸素原子が隣り合わない条件で置き換わっている場合もあり、
pは1〜3の整数を表し、qは0〜3の整数を表し、rは1〜19の整数を表し、*は、*部分で、隣接する基と結合することを意味する。)
【0048】
上記の群3において、R27で表される炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基及び炭素原子数8〜30のアリールアルケニル基としては、上記一般式(I)の説明で例示したアルキル基、アリール基、アリールアルキル基又はアリールアルケニル基のうち、所定の炭素原子数を満たすものが挙げられる。
【0049】
【化13】
【0050】
【化14】
【0051】
【化15】
【0052】
【化16】
【0053】
本発明の上記一般式(I)で表されるメロシアニン化合物の具体例としては、下記化合物No.1〜No.107が挙げられる。
【0054】
【化17】
【0055】
【化18】
【0056】
【化19】
【0057】
【化20】
【0058】
【化21】
【0059】
【化22】
【0060】
【化23】
【0061】
【化24】
【0062】
【化25】
【0063】
【化26】
【0064】
【化27】
【0065】
【化28】
【0066】
【化29】
【0067】
【化29A-1】
【0068】
【化29A-2】
【0069】
【化29A-3】
【0070】
本発明のメロシアニン化合物の中では、下記一般式(II)で表される化合物が好ましい。
【化29A】
(式中、環Dは、五員環又は六員環を表す。環Dで表される五員環又は六員環は、他の環と縮合されている場合があり、置換されている場合もあり、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、X、G、A及びmは、上記一般式(I)と同じであり、m≧2のとき、複数あるR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、X、D及びGは、同一であっても異なっていてもよい。)
【0071】
上記一般式(II)において、環Dで表される五員環としては、ピラゾロン、ロダニン、チオオキサゾリドン、チオヒンダントイン等が挙げられ、環Dで表される六員環としては、バルビツール酸、チオバルビツール酸、3−シアノ−1−アルキル−6−ヒドロキシ−4−メチル−2−ピリドン等が挙げられる。環Dは、上記一般式(I)におけるR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10及びR11で表される炭素原子数1〜20のアルキル基等と同様の置換基を有する場合がある。
尚、上記一般式(II)におけるAは、上記一般式(I)と同じであり、m=1のとき、Aは結合手ではない。つまり、m=1のとき、上記一般式(II)は、下記一般式(II−1)で表される。
【化29B】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びGは、上記一般式(I)と同じであり、環Dは上記一般式(II)と同じである。)
【0072】
上記一般式(II)で表される化合物の中でも、特に、下記一般式(III)又は(IV)で表されるものが、合成が容易で耐熱性が高いので好ましい。
【0073】
【化30】
(式中、X11、X12及びX13は、それぞれ独立に、−O−、−S−、−C(=O)−、−C(=S)−、−N(R31)−、−N=又は−C(R32)=を表し、
11とX12又はX12とX13の間の結合は、単結合、二重結合又は共役二重結合であり、
31は、水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基、炭素原子数8〜30のアリールアルケニル基又は炭素原子数2〜30の複素環含有基を表し、
31で表されるアルキル基、アリール基、アリールアルキル基又はアリールアルケニル基は、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基又はニトロ基で置換されている場合もあり、該カルボキシル基及びスルホン酸基は塩を形成している場合もあり、
31で表されるアルキル基、アリールアルキル基又はアリールアルケニル基中のメチレン基は、−COO−、−O−、−OCO−、−NHCO−、−NH−、−CONH−、−SO2−NH−又はーNH−SO2−により、酸素原子が隣り合わない条件で置き換わっている場合もあり、
32は、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基又は炭素原子数8〜30のアリールアルケニル基を表し、
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、X、A及びmは、上記一般式(I)と同じであり、m≧2のとき、複数あるR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、X11、X12及びX13は、同一であっても異なっていてもよい。)
【0074】
【化31】
(式中、X14、X15、X16及びX17は、それぞれ独立に、−O−、−S−、−C(=O)−、−C(=S)−、−N(R35)−、―C(R36)(R37)−、−N=又は−C(R38)=を表し、
14とX15、X15とX16又はX16とX17の間の結合は、単結合、二重結合又は共役二重結合であり、
35は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基、炭素原子数8〜30のアリールアルケニル基又は炭素原子数2〜30の複素環含有基を表し、
35で表されるアルキル基、アリール基、アリールアルキル基又はアリールアルケニル基は、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基又はニトロ基で置換されている場合もあり、該カルボキシル基及びスルホン酸基は塩を形成している場合もあり、
35で表されるアルキル基、アリールアルキル基又はアリールアルケニル基中のメチレン基は、−COO−、−O−、−OCO−、−NHCO−、−NH−、−CONH−、−SO2−NH−又はーNH−SO2−により、酸素原子が隣り合わない条件で置き換わっている場合もあり、
36、R37及びR38は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基又は炭素原子数8〜30のアリールアルケニル基を表し、
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、X、A及びmは、上記一般式(I)と同じである。)
【0075】
上記一般式(III)において、R31で表される炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基、アリールアルケニル基及び炭素原子数2〜30の複素環含有基並びにR32で表される炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基、炭素原子数8〜30のアリールアルケニル基としては、上記一般式(I)の説明において例示したアルキル基、アリール基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基、複素環含有基等が挙げられる。
尚、上記一般式(III)におけるAは、上記一般式(I)と同じであり、m=1のとき、Aは結合手ではない。つまり、m=1のとき、上記一般式(III)は、下記一般式(III−1)で表される。
【化31A】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びXは、上記一般式(I)と同じであり、X11、X12及びX13は上記一般式(III)と同じである。)
【0076】
上記一般式(III−1)で表されるメロシアニン化合物は、下記一般式に示されるような構造を取りうるが、どちらの構造式であってもよく、また、どちらの構造式で表される構造異性体を単離して用いても、或いはそれらの混合物として用いてもよい。
さらに下記一般式は、NR5基とR6基とが二重結合に対してシス配置(Z配置)になっているが、これらがトランス配置(E配置)になるものも含まれる。式(III−1)はこれら炭素炭素二重結合に起因する全ての幾何異性体を含む意味として定義される。
【0077】
【化31A-1】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、X、X11、X12及びX13は上記一般式(III−1)と同じである。)
【0078】
また上記一般式(IV)において、R35で表される炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基、炭素原子数8〜30のアリールアルケニル基及び炭素原子数2〜30の複素環含有基並びにR36、R37及びR38で表される炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基又は炭素原子数8〜30のアリールアルケニル基としては、上記一般式(I)の説明において例示したアルキル基、アリール基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基、複素環含有基等が挙げられる。
尚、上記一般式(IV)におけるAは、上記一般式(I)と同じであり、m=1のとき、Aは結合手ではない。つまり、m=1のとき、上記一般式(IV)は、下記一般式(IV−1)で表される。
【化31B】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びXは、上記一般式(I)と同じであり、X14、X15、X16及びX17は上記一般式(IV)と同じである。)
【0079】
上記一般式(IV−1)で表されるメロシアニン化合物は、下記一般式に示されるような構造を取りうるが、どちらの構造式であってもよく、また、どちらの構造式で表される構造異性体を単離して用いても、或いはそれらの混合物として用いてもよい。
さらに下記一般式は、NR5基とR6基とが二重結合に対してシス配置(Z配置)になっているが、これらがトランス配置(E配置)になるものも含まれる。式(IV−1)はこれら炭素炭素二重結合に起因する全ての幾何異性体を含む意味として定義される。
【0080】
【化31B-1】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、X、X14、X15、X16及びX17は上記一般式(IV−1)と同じである。)
【0081】
上記一般式(III)で表される化合物のうち、m≧2である化合物としては、耐光性の点から、下記一般式(V)で表される化合物が好ましい。
【化31C】
(式中、R1、R2、R3、R4、R6、R7及びXは、上記一般式(I)と同じであり、X11、X12及びX13は、上記一般式(III)と同じであり、X1、Z1及びZ2は、上記一般式(1)と同じである。)
【0082】
上記一般式(V)で表されるメロシアニン化合物は、下記一般式に示されるような構造を取りうるが、いずれの構造式であってもよく、また、いずれの構造式で表される構造異性体を単離して用いても、或いはそれらの混合物として用いてもよい。
さらには下記図(下記式)は、NR5基とR6基とが二重結合に対してシス配置(Z配置)になっているが、これらがトランス配置(E配置)になるものも含まれる。式(III)はこれら炭素炭素二重結合に起因する全ての幾何異性体を含む意味として定義される。
【0083】
【化31C-1】
(式中、R1、R2、R3、R4、R6、R7、X、X11、X12、X13、X1、Z1及びZ2は、上記一般式(V)と同じである。)
【0084】
また、上記一般式(III)で表される化合物のうち、m=1である化合物としては、溶解性の点から、下記一般式(VII)で表される化合物が好ましい。
【化31D】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びXは、上記一般式(I)と同じであり、
11は、上記一般式(III)と同じであり、
31は、上記一般式(III)中のX13が−N(R31)−で表される場合のR31と同じであり、
1、R2、R3、R4、R5及びR31の何れか一つ以上は、ニトロ基;水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基若しくはハロゲン原子で置換された又は無置換の炭素原子数1〜20のアルキル基;炭素原子数1〜20のアルキル基中のメチレン基が−SO2−NH−又はーNH−SO2−で置き換わった基;水酸基、カルボキシル基又はスルホン酸基で置換された炭素原子数6〜30のアリール基;水酸基、カルボキシル基又はスルホン酸基で置換された炭素原子数7〜30のアリールアルキル基;水酸基、カルボキシル基又はスルホン酸基で置換された炭素原子数8〜30のアリールアルケニル基;炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数8〜30のアリールアルケニル基又は炭素原子数7〜30のアリールアルキル基が塩を形成した置換基を有するものから選択される。)
【0085】
上記一般式(VII)で表されるメロシアニン化合物は、下記一般式に示されるような構造を取りうるが、どちらの構造式であってもよく、また、どちらの構造式で表される構造異性体を単離して用いても、或いはそれらの混合物として用いてもよい。
なお、下記式以外の幾何異性体であってもよく、式(VII)は炭素炭素二重結合に起因する全ての幾何異性体を含むものとして定義される。
【0086】
【化31D-1】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、X、X11及びR31は、上記一般式(VII)と同じである。
【0087】
上記一般式(IV)で表される化合物のうち、m≧2である化合物としては、耐光性の点から、下記一般式(VI)で表される化合物が好ましい。
【化31E】
(式中、R1、R2、R3、R4、R6、R7及びXは、上記一般式(I)と同じであり、X14、X15、X16及びX17は、上記一般式(IV)と同じであり、X1、Z1及びZ2は、上記一般式(1)と同じである。)
【0088】
上記一般式(VI)で表されるメロシアニン化合物は、下記一般式に示されるような構造を取りうるが、いずれの構造式であってもよく、また、いずれの構造式で表される構造異性体を単離して用いても、或いはそれらの混合物として用いてもよい。
なお、下記図(下記式)以外の幾何異性体であってもよく、式(VI)は炭素二重結合に起因する全ての幾何異性体を含むものとして定義される。
【0089】
【化31E-1】
(式中、R1、R2、R3、R4、R6、R7、X、X14、X15、X16、X17、X1、Z1及びZ2は、上記一般式(VI)と同じである。)
【0090】
また、上記一般式(IV)で表される化合物のうち、m=1である化合物としては、溶解性の点から、下記一般式(VIII)で表される化合物が好ましい。
【化31F】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びXは、上記一般式(I)と同じであり、
35は、上記一般式(IV)中のX15及びX17が−N(R35)−で表される場合のR35と同じであり、複数あるR35は、同じか又は異なり、R1、R2、R3、R4、R5及びR35の何れか一つ以上は、ニトロ基;水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基若しくはハロゲン原子で置換された又は無置換の炭素原子数1〜20のアルキル基;炭素原子数1〜20のアルキル基中のメチレン基が−SO2−NH−又はーNH−SO2−で置き換わった基;水酸基、カルボキシル基又はスルホン酸基で置換された炭素原子数6〜30のアリール基;水酸基、カルボキシル基又はスルホン酸基で置換された炭素原子数7〜30のアリールアルキル基;水酸基、カルボキシル基又はスルホン酸基で置換された炭素原子数8〜30のアリールアルケニル基;炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数8〜30のアリールアルケニル基又は炭素原子数7〜30のアリールアルキル基が塩を形成した置換基を有するものから選択される。)
【0091】
上記一般式(VII)又は(VIII)において、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基又は炭素原子数8〜30のアリールアルケニル基が塩を形成した置換基とは、上述したように、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基又はアリールアルケニル基中の末端のアルキル基が、カルボキシル基、スルホ基及びリン酸基等の酸性基が種々の陽イオンと塩を形成した置換基を有しているか、或いは置換アミノ基を四級化した後種々の陰イオンと塩を形成した置換基を有しているものをいう。
上述の塩を形成した置換基のうち、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基又はアリールアルケニル基を除く部分の好ましいものとしては、カルボキシル基又はスルホ基が、それぞれ、亜鉛、銅、ニッケル等の遷移金属カチオン;バリウム等のアルカリ土類金属等の陽イオンと塩を形成したもの、及び炭素原子数1〜20のジアルキルアミノ基等の置換アミノ基の四級化したものが、リンモリブデン酸イオン、リンタングステン酸イオン、リンタングストモリブデン酸イオン、バナジン酸イオン等の陰イオンと塩を形成したものが挙げられる。
【0092】
上記一般式(I)で表される化合物は、その製造方法によって特に限定されず、周知一般の反応を利用した方法で得ることができる。該化合物は、例えば、Gが酸素原子、n=1、且つm=1であるとき、下記反応式1の如く、インドレニン四級塩とアミジン化合物との反応生成物に、活性メチレンを有する化合物を反応させる方法により合成することができる。
【0093】
【化32】
(式中、R41、R42及びR43は、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基又は炭素原子数8〜30のアリールアルケニル基を表し、Anq-はq価のアニオンを表し、qは1又は2であり、pは電荷を中性に保つ係数を表し、
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9及びXは、上記一般式(I)と同じである。)
【0094】
また、上記一般式(I)において、Gが酸素原子、m=1、n=1であって、R8とR9が連結して環Dを形成している場合、下記反応式2の如く、インドレニン四級塩とアミジン化合物との反応生成物に、活性メチレンを有する化合物を反応させる方法により合成することができる。
【0095】
【化33】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9及びXは、上記一般式(I)と同じであり、R41、R42、R43、Anq-、q及びpは、上記反応式1と同じであり、環Dは、上記一般式(II)と同じである。)
【0096】
また、Gが酸素原子、m=2、n=1、Aが上記一般式(1)で表される連結基であるとき、下記反応式3の如く、アルキルジハライドと2等量のインドレニン化合物を反応させ、続いて上記反応式1と同様にして合成することができる。n=3以上で表されるメロシアニン化合物も、下記反応式3に示されるルートに準じて合成することができる。
【0097】
【化34】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9及びXは、上記一般式(I)と同じであり、R41、R42、R43、Anq-、q及びpは、上記反応式1と同じであり、X*は、ハロゲン原子である。)
【0098】
本発明のメロシアニン化合物は、光吸収剤、増感剤、染料等として、これに用途に応じた樹脂を配合して(フィルム形成用)組成物とし、該組成物を用いて光学フィルム、光学フィルタを作製することで好適に用いられる。
具体的には、反射防止フィルム、位相差フィルム、偏光フィルム、配向フィルム、保護フィルム、視野角向上フィルム、輝度向上フィルム、遮光フィルム、電磁波シールドフィルム等の光学フィルム、ローパスフィルタやカラーフィルタ等の光学素子としてディスプレイや光学レンズに用いられる光学フィルタ等に用いることができる。
また本発明のメロシアニン化合物は、感光写真材料、染物、塗料、インク、電子写真感光体、トナー、感熱記録紙、転写リボン、光学記録色素、太陽電池、光電変換素子、半導体材料、臨床検査試薬、レーザー治療用色素、染色等に用いることもできる。
【0099】
次に、本発明のメロシアニン化合物の実施形態の一つである光学フィルタについて説明する。
本発明の光学フィルタは、本発明のメロシアニン化合物を含有する本発明の組成物を用いて作製される。本発明の組成物には、通常バインダー樹脂が配合される。該バインダー樹脂としては、例えば、ゼラチン、カゼイン、でんぷん、セルロース誘導体、アルギン酸等の天然高分子材料、或いは、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、スチレン−ブタジエンコポリマー、ポリスチレン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、メラミン樹脂、環状オレフィン樹脂等の合成高分子材料、粘着剤等が挙げられる。
【0100】
上記粘着剤としては、例えば、シリコン系、ウレタン系、アクリル系等の粘着剤、ポリビニルブチラール系粘着剤、ポリビニルエーテル系粘着剤、エチレン−酢酸ビニル系粘着剤、ポリオレフィン系粘着剤、SBR系粘着剤、ゴム系粘着剤等の公知の合わせガラス用透明粘着剤を用いることができ、中でもアクリル系粘着剤、特に酸性アクリル系粘着剤が好ましく用いられる。
【0101】
上記アクリル系粘着剤としては特に限定されず、カルボキシル基、水酸基、アミド基、アミノ基、エポキシ基等の反応性官能基及びエチレン性不飽和二重結合を有する単量体の単独重合体或いは複数種を組み合わせた共重合体、又は上記反応性官能基及びエチレン性不飽和二重結合を有する単量体と、(メタ)アクリル系単量体やビニル系単量体のようなエチレン性不飽和二重結合を有する単量体との共重合体を用いることができ、必要に応じて粘着剤の凝集力を向上させるために、硬化剤として、金属キレート系化合物、イソシアネート系化合物、メラミン化合物、エポキシ系化合物、アミン系化合物、アジリジン系化合物、オキサゾリン化合物等の架橋剤を含有するものを用いることができる。
【0102】
上記アクリル系粘着剤としては市販のものを用いることができ、例えば、デービーボンド5541(ダイアボンド社製)、SKダインAS−1925、KP−2230、SK−1811L(綜研化学社製)、DX2−PDP−19(日本触媒社製)、AT−3001(サイデン化学社製)、オリバインBPS5896(東洋インキ社製)、CS−9611(日東電工社製)等が挙げられる。
【0103】
本発明の組成物には、後述する有機溶媒、本発明のメロシアニン化合物以外の光吸収剤、各種安定剤等の任意成分等をさらに必要量含有させることができる。
【0104】
光学フィルタの作製において、本発明の組成物を塗布により適用する場合は、本発明の組成物に有機溶媒を含有させて本発明の組成物を塗工液とする。本発明のメロシアニン化合物、有機溶媒及び本発明のメロシアニン化合物以外の光吸収剤、各種安定剤等の任意成分等を含む塗工液の濃度(固形分)は、0.1〜5質量%、特に1〜3質量%であるのが好ましい。
【0105】
本発明の組成物において、本発明のメロシアニン化合物及び上記バインダー樹脂等の使用量は制限されないが、通常、次のようにして使用される。例えば、本発明の組成物から構成される粘着剤層を有する本発明の光学フィルタを製造する場合には、上記バインダー樹脂である粘着剤の固形分100質量部に対し、本発明のメロシアニン化合物が0.0001〜50質量部、好ましくは0.001〜5.0質量部、及びメチルエチルケトン等の溶剤が0.1〜1000質量部、好ましくは1.0〜500質量部となるように粘着剤溶液を調製し、この粘着剤溶液を、易密着処理をしたPETフィルム等の透明支持体に塗布した後、乾燥させ、厚さ2〜400μm、好ましくは5〜40μmの粘着剤層を有する本発明の光学フィルタを得る。更に、本発明のメロシアニン化合物以外の他の光吸収剤、各種安定剤等の任意成分等を本発明の組成物に含有させる場合も、各成分の配合割合は、上述の配合割合に順じればよい。
【0106】
上記の粘着剤層を有する本発明の光学フィルタの製造において、本発明のメロシアニン化合物及びバインダー樹脂や、本発明のメロシアニン化合物以外の他の光吸収剤、各種安定剤等の任意成分を、透明支持体及び任意の各層から選択される任意の隣り合う二者間の粘着剤層に含有させる方法を採用する場合には、本発明のメロシアニン化合物等を粘着剤に含有させて本発明の組成物とした後、該組成物を粘着剤として用いて、透明支持体及び任意の各層のうちの隣り合う二者を接着すればよい。更に粘着剤層の表面に、易密着したポリエチレンテレフタレートフィルム等の公知のセパレータフィルムを設けることもできる。
【0107】
本発明の光学フィルタは、本発明の組成物を用いたものであり、該組成物により構成される層を有する。該組成物により構成される層は、後述する各層の何れの層でもよい。本発明の光学フィルタ、特に画像表示用光学フィルタにおいて、本発明のメロシアニン化合物の使用量は、光学フィルタの単位面積当たり、通常1〜1000mg/m2、好ましくは5〜100mg/m2の範囲である。1mg/m2未満の使用量では、光吸収効果を十分に発揮することができず、1000mg/m2を超えて使用した場合には、フィルターの色目が強くなりすぎて表示品質等を低下させるおそれがあり、更には、明度が低下するおそれもある。尚、本発明のメロシアニン化合物が複数種の混合物である場合は、本発明のメロシアニン化合物の使用量は、その合計量とする。
【0108】
本発明の光学フィルタは、通常、ディスプレイの前面に配置される。例えば、本発明の光学フィルタは、ディスプレイの表面に直接貼り付けてもよく、ディスプレイの前に前面板が設けられている場合は、前面板の表側(外側)又は裏側(ディスプレイ側)に貼り付けてもよい。
【0109】
本発明の光学フィルタの代表的な構成としては、透明支持体に、必要に応じて、下塗り層、反射防止層、ハードコート層、潤滑層、粘着剤層等の各層を設けたものが挙げられる。例えば、本発明のメロシアニン化合物を下塗り層、反射防止層、ハードコート層、潤滑層、粘着層等に含有させた構成でもよく、これらの層とは別に本発明の組成物を用いて形成される色補正層を有する構成でもよい。本発明の光学フィルタの構成としては、本発明のメロシアニン化合物を粘着層に含有させたものが製造工程を削減でき、積層された光学フィルタを安価に製造できるので好ましい。
【0110】
上記透明支持体の材料としては、例えば、ガラス等の無機材料;ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース(TAC)、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース、ニトロセルロース等のセルロースエステル;ポリアミド;ポリカーボネート;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−1,2−ジフェノキシエタン−4,4’−ジカルボキシレート、ポリブ
チレンテレフタレート等のポリエステル;ポリスチレン;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン;ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂;ポリカーボネート;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ポリエーテルケトン;ポリエーテルイミド;ポリオキシエチレン、ノルボルネン樹脂等の高分子材料が挙げられる。透明支持体の透過率は80%以上であることが好ましく、86%以上であることが更に好ましい。ヘイズは、2%以下であることが好ましく、1%以下であることが更に好ましい。屈折率は、1.45〜1.70であることが好ましい。
【0111】
上記透明支持体中には、本発明のメロシアニン化合物以外の他の光吸収剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、蛍光消光剤、フェノール系、リン系、イオウ系等の酸化防止剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、無機微粒子、耐光性付与剤、芳香族ニトロソ化合物、アミニウム化合物、イミニウム化合物、遷移金属キレート化合物、粘度鉱物等を添加することができ、また、上記透明支持体には、各種の表面処理を施すこともできる。
【0112】
本発明のメロシアニン化合物以外の他の光吸収剤としては、例えば、光学フィルタを画像表示装置用途に用いる場合には、色調調整用の光吸収剤、外光の反射や映り込み防止用の光吸収剤が挙げられ、画像表示装置がプラズマディスプレイの場合には、赤外リモコン誤作動防止用の光吸収剤が挙げられる。
【0113】
上記色調調整用の上記光吸収剤としては、波長450〜620nmのオレンジ光の除去のために用いられるものとして、トリメチンインドリウム化合物、トリメチンベンゾオキサゾリウム化合物、トリメチンベンゾチアゾリウム化合物等のトリメチンシアニン誘導体;ペンタメチンオキサゾリウム化合物、ペンタメチンチアゾリウム化合物等のペンタメチンシアニン誘導体;スクアリリウム色素誘導体;アゾメチン色素誘導体;キサンテン色素誘導体;アゾ色素誘導体;オキソノール色素誘導体;ベンジリデン色素誘導体;ピロメテン色素誘導体;アゾ金属錯体誘導体:ローダミン色素誘導体;フタロシアニン誘導体;ポルフィリン誘導体;ジピロメテン金属キレート化合物等が挙げられる。
【0114】
上記の外光の反射や映り込み防止用の光吸収剤(波長480〜500nm対応)としては、トリメチンインドリウム化合物、トリメチンオキサゾリウム化合物、トリメチンチアゾリウム化合物、インドリデントリメチンチアゾニウム化合物等のトリメチンシアニン誘導体;フタロシアニン誘導体;ナフタロシアニン誘導体;ポルフィリン誘導体;ジピロメテン金属キレート化合物等が挙げられる。
【0115】
上記の赤外リモコン誤作動防止用の光吸収剤(波長750〜1100nm対応)としては、ジイモニウム化合物;ペンタメチンベンゾインドリウム化合物、ペンタメチンベンゾオキサゾリウム化合物、ペンタメチンベンゾチアゾリウム化合物等のペンタメチンシアニン誘導体;ヘプタメチンインドリウム化合物、ヘプタメチンベンゾインドリウム化合物、ヘプタメチンオキサゾリウム化合物、ヘプタメチンベンゾオキサゾリウム化合物、ヘプタメチンチアゾリウム化合物、ヘプタメチンベンゾチアゾリウム化合物等のヘプタメチンシアニン誘導体;スクアリリウム誘導体;ビス(スチルベンジチオラト)化合物、ビス(ベンゼンジチオラト)ニッケル化合物、ビス(カンファージチオラト)ニッケル化合物等のニッケル錯体;スクアリリウム誘導体;アゾ色素誘導体;フタロシアニン誘導体;ポルフィリン誘導体;ジピロメテン金属キレート化合物等が挙げられる。
【0116】
また、上記透明支持体に添加することができる上記無機微粒子としては、例えば、二酸化珪素、二酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、タルク、カオリン等が挙げられる。
【0117】
上記透明支持体に施すことができる上記の各種の表面処理としては、例えば、薬品処理、機械的処理、コロナ放電処理、火焔処理、紫外線照射処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理、混酸処理、オゾン酸化処理等が挙げられる。
【0118】
本発明の光学フィルタに設けることができる上記下塗り層は、任意の各層とは別に光吸収剤を含有するフィルター層を設ける場合に、透明支持体と光フィルター層との間に用いる層である。上記下塗り層は、ガラス転移温度が−60〜60℃のポリマーを含む層、フィルター層側の表面が粗面である層、又はフィルター層のポリマーと親和性を有するポリマーを含む層として形成する。また、下塗り層は、フィルター層が設けられていない透明支持体の面に設けて、透明支持体とその上に設けられる層(例えば、反射防止層、ハードコート層)との接着力を改善するために設けてもよく、光学フィルタと画像表示装置とを接着するための接着剤と光学フィルタとの親和性を改善するために設けてもよい。下塗り層の厚みは、2nm〜20μmが好ましく、5nm〜5μmがより好ましく、20nm〜2μmが更に好ましく、50nm〜1μmが更にまた好ましく、80nm〜300nmが最も好ましい。ガラス転移温度が−60〜60℃のポリマーを含む下塗り層は、ポリマーの粘着性で、透明支持体とフィルター層とを接着する。ガラス転移温度が−60〜60℃のポリマーは、例えば、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、ブタジエン、ネオプレン、スチレン、クロロプレン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリロニトリル又はメチルビニルエーテルの重合又はこれらの共重合により得ることができる。ガラス転移温度は、50℃以下であることが好ましく、40℃以下であることがより好ましく、30℃以下であることが更に好ましく、25℃以下であることが更にまた好ましく、20℃以下であることが最も好ましい。下塗り層の25℃における弾性率は、1〜1000MPaであることが好ましく、5〜800MPaであることが更に好ましく、10〜500MPaであることが最も好ましい。フィルター層の表面が粗面である下塗り層は、粗面の上にフィルター層を形成することで、透明支持体とフィルター層とを接着する。フィルター層の表面が粗面である下塗り層は、ポリマーラテックスの塗布により容易に形成することができる。ラテックスの平均粒径は、0.02〜3μmであることが好ましく、0.05〜1μmであることが更に好ましい。フィルター層のバインダーポリマーと親和性を有するポリマーとしては、アクリル樹脂、セルロース誘導体、アルギン酸、ゼラチン、カゼイン、でんぷん、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、可溶性ナイロン及び高分子ラテックス等が挙げられる。また、本発明の光学フィルタには、二以上の下塗り層を設けてもよい。下塗り層には、透明支持体を膨潤させる溶剤、マット剤、界面活性剤、帯電防止剤、塗布助剤、硬膜剤等を添加してもよい。
【0119】
本発明の光学フィルタに設けることができる上記反射防止層においては、低屈折率層が必須である。低屈折率層の屈折率は、上記透明支持体の屈折率よりも低い。低屈折率層の屈折率は、1.20〜1.55であることが好ましく、1.30〜1.50であることが更に好ましい。低屈折率層の厚さは、50〜400nmであることが好ましく、50〜200nmであることが更に好ましい。低屈折率層は、屈折率の低い含フッ素ポリマーからなる層(特開昭57−34526号、特開平3−130103号、特開平6−115023号、特開平8−313702号、特開平7−168004号の各公報記載)、ゾルゲル法により得られる層(特開平5−208811号、特開平6−299091号、特開平7−168003号の各公報記載)、或いは微粒子を含む層(特公昭60−59250号、特開平5−13021号、特開平6−56478号、特開平7−92306号、特開平9−288201号の各公報に記載)として形成することができる。微粒子を含む層では、微粒子間又は微粒子内のミクロボイドとして、低屈折率層に空隙を形成することができる。微粒子を含む層は、3〜50体積%の空隙率を有することが好ましく、5〜35体積%の空隙率を有することが更に好ましい。
【0120】
広い波長領域の反射を防止するためには、上記反射防止層において、低屈折率層に加えて、屈折率の高い層(中・高屈折率層)を積層することが好ましい。高屈折率層の屈折率は、1.65〜2.40であることが好ましく、1.70〜2.20であることが更に好ましい。中屈折率層の屈折率は、低屈折率層の屈折率と高屈折率層の屈折率との中間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折率は、1.50〜1.90であることが好ましく、1.55〜1.70であることが更に好ましい。中・高屈折率層の厚さは、5nm〜100μmであることが好ましく、10nm〜10μmであることが更に好ましく、30nm〜1μmであることが最も好ましい。中・高屈折率層のヘイズは、5%以下であることが好ましく、3%以下であることが更に好ましく、1%以下であることが最も好ましい。中・高屈折率層は、比較的高い屈折率を有するポリマーバインダーを用いて形成することができる。屈折率が高いポリマーとしては、ポリスチレン、スチレン共重合体、スチレン−ブタジエンコポリマー、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリアミド、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、環状(脂環式又は芳香族)イソシアネートとポリオールとの反応で得られるポリウレタン等が挙げられる。その他の環状(芳香族、複素環式、脂環式)基を有するポリマーや、フッ素以外のハロゲン原子を置換基として有するポリマーも、屈折率が高い。二重結合を導入してラジカル硬化を可能にしたモノマーの重合反応により形成されたポリマーを用いてもよい。
【0121】
更に高い屈折率を得るため、上記ポリマーバインダー中に無機微粒子を分散してもよい。無機微粒子の屈折率は、1.80〜2.80であることが好ましい。無機微粒子は、金属の酸化物又は硫化物から形成することが好ましい。金属の酸化物又は硫化物としては、酸化チタン(例えば、ルチル、ルチル/アナターゼの混晶、アナターゼ、アモルファス構造)、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、硫化亜鉛等が挙げられる。これらの中でも、酸化チタン、酸化錫及び酸化インジウムが特に好ましい。無機微粒子は、これらの金属の酸化物又は硫化物を主成分とし、更に他の元素を含むことができる。主成分とは、粒子を構成する成分の中で最も含有量(質量%)が多い成分を意味する。他の元素としては、Ti、Zr、Sn、Sb、Cu、Fe、Mn、Pb、Cd、As、Cr、Hg、Zn、Al、Mg、Si、P、S等が挙げられる。被膜形成性で溶剤に分散し得るか、それ自身が液状である無機材料、例えば、各種元素のアルコキシド、有機酸の塩、配位性化合物と結合した配位化合物(例えばキレート化合物)、活性無機ポリマーを用いて、中・高屈折率層を形成することもできる。
【0122】
上記反射防止層の表面には、アンチグレア機能(入射光を表面で散乱させて、膜周囲の景色が膜表面に移るのを防止する機能)を付与することができる。例えば、透明フィルムの表面に微細な凹凸を形成してその表面に反射防止層を形成するか、或いは、反射防止層を形成後、エンボスロールにより表面に凹凸を形成することにより、アンチグレア機能を有する反射防止層を得ることができる。アンチグレア機能を有する反射防止層は、一般に3〜30%のヘイズを有する。
【0123】
本発明の光学フィルタに設けることができる上記ハードコート層は、上記透明支持体の硬度よりも高い硬度を有する。ハードコート層は、架橋しているポリマーを含むことが好ましい。ハードコート層は、アクリル系、ウレタン系、エポキシ系のポリマー、オリゴマー又はモノマー(例えば紫外線硬化型樹脂)等を用いて形成することができる。シリカ系材料からハードコート層を形成することもできる。
【0124】
上記反射防止層(低屈折率層)の表面は、潤滑層を形成してもよい。潤滑層は、低屈折率層表面に滑り性を付与し、耐傷性を改善する機能を有する。潤滑層は、ポリオルガノシロキサン(例えばシリコンオイル)、天然ワックス、石油ワックス、高級脂肪酸金属塩、フッ素系潤滑剤又はその誘導体を用いて形成することができる。潤滑層の厚さは、2〜20nmであることが好ましい。
【0125】
上記ポリマーバインダーを使用する際には、同時に有機溶媒を使用することもでき、該有機溶媒としては、特に限定されることなく公知の種々の溶媒を適宜用いることができ、例えば、イソプロパノール等のアルコール類;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ブチルジグリコール等のエーテルアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸メトキシエチル等のエステル類;アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等のアクリル酸エステル類、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール等のフッ化アルコール類;ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素類;メチレンジクロライド、ジクロロエタン、クロロホルム等の塩素化炭化水素類等が挙げられる。これらの有機溶媒は、単独で又は混合して用いることができる。
が好ましい。
【0126】
また、上記の下塗り層、反射防止層、ハードコート層、潤滑層、フィルター層等は、一般的な塗布方法により形成することができる。塗布方法としては、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、ホッパーを使用するエクストルージョンコート法(米国特許第2681294号明細書記載)等が挙げられる。二以上の層を同時塗布により形成してもよい。同時塗布法については、米国特許第2761791号、米国特許第2941898号、米国特許第3508947号、米国特許第3526528号の各明細書及び原崎勇次著「コーティング工学」253頁(1973年朝倉書店発行)に記載がある。
【実施例】
【0127】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例等に限定されるものではない。
【0128】
〔実施例1−1〜1−54〕化合物No.1〜7、17〜21、30〜38、40、42、43、46、47、55〜72及びNo.96〜107の製造
インドレニン中間体0.01モル及びピリジン又はアセトニトリル16gを混合し、無水酢酸0.012モルを滴下して室温〜50℃で1時間撹拌した。活性メチレン化合物0.01モル及びトリエチルアミン0.02モルを加えて室温〜50℃で1〜3時間撹拌した。得られた固体をメタノールで還流して精製し、固体を120℃で乾燥して目的物を得た。
分析結果を〔表1−1〕〜〔表1−3〕、〔表2−1〕〜〔表2−4〕に示す。
【0129】
【表1-1】
【0130】
【表1-2】
【0131】
【表1-3】
【0132】
【表2-1】
【0133】
【表2-2】
【0134】
【表2-3】
【0135】
【表2-4】
【0136】
〔実施例1−55〕化合物No.84の製造
化合物No.31の0.2g及びイオン交換水20gを混合し、水酸化ナトリウム水溶液を滴下し溶液を均一化させた。ここに塩化バリウム2水和物0.062gの水溶液を仕込み、30分撹拌した。得られた固体を濾過、水洗、乾燥を行い、目的物を0.19g(収率82.5%)得た。
【0137】
〔実施例1−56〕化合物No.85の製造
塩化バリウム2水和物に変えて硫酸銅5水和物を用いた他は実施例1−43と同様にして、目的物を0.07g(収率33.3%)で得た。
【0138】
〔実施例1−57〕化合物No.86の製造
化合物31に変えて化合物38を用い、塩化バリウム2水和物に変えてリンタングステン酸を用いた他は実施例1−43と同様にして、目的物を0.16g(収率60.0%)で得た。
【0139】
〔実施例2−1〜2−6及び比較例2−1〕
化合物No.1、No.30、No.31、No.34、No.40、No.46及び比較化合物No.1の0.5wt%アセトン溶液0.4gと、ポリメチルメタクリレート(以下、PMMAとも呼ぶ)の25wt%トルエン溶液3.0gを混合させ、15分間超音波照射を行い、塗工液を調製した。
【化35】
【0140】
上記で得られた塗工液を、易密着処理した188μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルムに、該塗工液をバーコーター#30により塗布した後、70℃で15分間乾燥し、光学フィルタ(膜厚7〜8μm)を作製した。
【0141】
〔評価例2−1〜2−6及び比較評価例2−1〕
実施例2−1〜2−6及び比較例2−1で得られた本発明又は比較例の光学フィルタに、キセノン耐光性試験機(スガ試験機(株)製テーブルサンTS−2)にて光を48時間照射し、耐光性を評価した。評価においては、光照射前後の各光学フィルタの吸収極大波長における吸光度を測定し、初期値(光照射前)を100として光照射後の相対値(吸光度保持率)を算出し、耐光性を比較した。結果を[表3]に示す。

【0142】
【表3】
【0143】
[表3]より、比較評価例1−1の光学フィルタは耐光性が悪いのに対し、評価例1−1〜1−6の光学フィルタは耐光性に優れることが明らかである。