(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記遷移金属錯体Kの重量分率が、前記接着促進剤組成物の重量に基づいて、0.5重量%〜15重量%であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の接着剤系。
前記非アルコール系溶媒Lの重量分率が、前記接着促進剤組成物の重量に基づいて、40重量%以上であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の接着剤系。
前記接着促進剤組成物において使用されるすべてのメルカプトシランMSと、前記接着促進剤組成物において使用されるすべてのポリシランPSと、前記接着促進剤組成物において使用されるすべてのアミノシランASと、前記接着促進剤組成物において使用されるすべての遷移金属錯体Kとのモル比が、1:0.05〜1.5:0.05〜1.5:0.1〜3であることを特徴とする、請求項10又は11に記載の接着剤系。
少なくとも2つの基材S1及びS2を接合又はシールするための請求項1〜11のいずれか一項に記載の接着剤系の使用であって、これらの基材のうちの1つが、輸送機関であり、これらの基材のうちのもう1つが、シートである、請求項1〜14のいずれか一項に記載の接着剤系の使用。
請求項1〜14のいずれか一項に記載の接着剤系を利用して、2つの基材S1及びS2を接着剤によって接合するための方法であって、次のステップを少なくとも含む方法:
a)前記接着促進剤組成物を含浸させた担体材料を、第1の基材S1上に1回こすることによって、第1の基材S1に前記接着促進剤組成物を適用すること;
b)前記接着剤を、ステップa)に従って適用されたフラッシュオフの前記接着促進剤組成物に、適用すること;
c)前記接着剤を、第2の基材S2と接触させること、
ここで前記第2の基材S2は、前記基材S1と同じ材料又は異なる材料で構成されること。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のさらなる態様は、さらなる
下記の独立的態様の対象である。本発明の特に好ましい実施態様は、
下記の従属
的態様の対象である。
すなわち、本発明の態様としては、以下を挙げることができる:
《態様1》
以下のa)及びb)を含む接着剤系:
a)接着促進剤組成物であって、
i) 少なくとも1種のメルカプトシランMS、及び
ii) 少なくとも1種のポリシランPS、及び
iii)実質的に単座配位子のみを有する少なくとも1種の遷移金属錯体K、より具体的にはチタン錯体及び/又はジルコニウム錯体、及び
iv) 少なくとも1種の非アルコール系溶媒L、より具体的には炭化水素、ケトン、及び/又はカルボン酸エステル
を含む、接着促進剤組成物;
b)接着剤であって、
適用しそして23℃相対湿度50%で保管した後1時間以内の前記接着剤が、ISO 4587に従って測定した場合に、少なくとも3MPaの引張せん断強度を有し、かつ/又は、適用しそして23℃相対湿度50%で保管した後1時間以内の前記接着剤が、ISO 4587に従って測定した場合に、適用しそして23℃相対湿度50%で7日間保管した後に到達可能な引張せん断強度の、少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%を有する、
接着剤。
《態様2》
前記メルカプトシランMSの重量分率が、前記接着促進剤組成物の重量に基づいて、0.5重量%〜10重量%、より具体的には1重量%〜7重量%、好ましくは2重量%〜5重量%であることを特徴とする、態様1に記載の接着剤系。
《態様3》
前記ポリシランPSが、少なくとも1つの2級又は3級アミノ基を有し、かつ以下の式(IV)の少なくとも1種のポリシランか:
【化1】
(式中、R5は、各存在ごとに独立に、1〜4個のC原子、又は1〜4個のC原子を有するアシル基を有する、アルキル基であり、指数aの値は0、1、又は2であり、R6は、各存在ごとに独立に、Hであるか、又は、1〜10個のC原子を有するアルキル基であり、かつR7は、1〜6個のC原子を有する直鎖又は分枝鎖のアルキレン基であり、より具体的にはプロピレン基である)又は、
以下の式(V)又は(VI)の少なくとも1つの構造要素、より具体的には式(V−1)又は(VI−1)の少なくとも1つの構造要素を有することを特徴とする、態様1又は2に記載の接着剤系:
【化2】
ここで、前記ポリシランPSの重量分率は、前記接着促進剤組成物の重量に基づいて、0.1重量%〜10重量%、より具体的には0.5重量%〜7重量%、好ましくは0.8重量%〜5重量%である。
《態様4》
前記遷移金属錯体Kが、単座配位子を有するチタン錯体、好ましくは4〜8個のC原子を含むアルコキシドである単座配位子を有するチタン錯体であることを特徴とする、態様1〜3のいずれか一項に記載の接着剤系。
《態様5》
前記遷移金属錯体Kの重量分率が、前記接着促進剤組成物の重量に基づいて、0.5重量%〜15重量%、より具体的には1重量%〜12重量%、好ましくは1.3重量%〜10重量%であることを特徴とする、態様1〜4のいずれか一項に記載の接着剤系。
《態様6》
前記非アルコール系溶媒Lの重量分率が、前記接着促進剤組成物の重量に基づいて、40重量%〜99重量%、より具体的には60重量%〜95重量%、好ましくは80重量%〜94重量%であることを特徴とする、態様1〜5のいずれか一項に記載の接着剤系。
《態様7》
前記接着促進剤組成物が、以下の式(I)、又は式(I’)、又は式(XII)のアミノシランASを含むことを特徴とする、態様1〜6のいずれか一項に記載の接着剤系:
【化3】
(式中、L1は、直鎖又は分枝鎖のアルキレン基、より具体的には1〜6個のC原子を有する、好ましくは3又は4個のC原子を有する直鎖又は分枝鎖のアルキレン基であるか、又は3−アザヘキシレンラジカルであり、L2は、各存在ごとに独立に、1〜4個のC原子を有するアルキル基、又は1〜4個のC原子を有するアシル基であり、好ましくはメチル基であり、L3は、各存在ごとに独立に、Hであるか、又は1〜10個のC原子を有するアルキル基であり、L4は、各存在ごとに独立に、1〜5個のC原子を有する分枝していてもよいアルキルラジカル、1〜5個のC原子を有する分枝していてもよいアルコキシラジカル、1〜5個のC原子を有する分枝していてもよいエステルラジカル、NO2、又はハロゲン原子であり、L5は、1〜5個のC原子を有する分枝していてもよいアルキレンラジカルであり、fの値は、0、1、又は2であり、eは、0〜3までの整数である)。
《態様8》
前記アミノシランASの重量分率が、前記接着促進剤組成物の重量に基づいて、0.1重量%〜10重量%、より具体的には0.5重量%〜7重量%、好ましくは0.8重量%〜5重量%であることを特徴とする、態様7に記載の接着剤系。
《態様9》
前記接着促進剤組成物において使用されるすべてのメルカプトシランMSと、前記接着促進剤組成物において使用されるすべてのポリシランPSと、前記接着促進剤組成物において使用されるすべてのアミノシランASと、前記接着促進剤組成物において使用されるすべての遷移金属錯体Kとのモル比が、1:0.05〜1.5:0.05〜1.5:0.1〜3、より具体的には1:0.1〜1.2:0.1〜1.2:0.1〜1.5であることを特徴とする、態様7又は8のいずれか一項に記載の接着剤系。
《態様10》
前記接着剤が、湿気硬化型であり、好ましくはポリウレタン接着剤及び/又はシラン末端ポリマー系の接着剤である湿気硬化型であることを特徴とする、態様1〜9のいずれか一項に記載の接着剤系。
《態様11》
前記接着剤系が、以下のキットを構成している、態様1〜10のいずれか一項に記載の接着剤系:
− 前記接着促進剤組成物が、気密容器に入れられており、特に過圧を用いて放出することができる気密容器に入れられており、より具体的にはスプレー缶に入れられており、かつ
− 前記接着剤が、二剤型系として又は一剤型系として入れられており、好ましくは加速剤と共に二剤型系として又は一剤型系として入れられている。
《態様12》
少なくとも2つの基材S1及びS2を接合又はシールするための態様1〜11のいずれか一項に記載の接着剤系の使用であって、これらの基材のうちの1つが、好ましくは輸送機関であり、これらの基材のうちのもう1つが、好ましくはシート、より具体的にはガラスシートである、態様1〜11のいずれか一項に記載の接着剤系の使用。
《態様13》
態様1〜11のいずれか一項に記載の接着剤系を利用して、2つの基材S1及びS2を接着剤によって接合するための方法であって、次のステップを少なくとも含む方法:
a)前記接着促進剤組成物を含浸させた担体材料を、第1の基材S1上に1回こすることによって、第1の基材S1に前記接着促進剤組成物を適用すること;
b)前記接着剤を、ステップa)に従って適用されたフラッシュオフの前記接着促進剤組成物に、適用すること;
c)前記接着剤を、第2の基材S2と接触させること、
ここで前記第2の基材S2は、前記基材S1と同じ材料又は異なる材料で構成されること。
《態様14》
態様14に記載の方法がその製造及び整備のために実施される、物品、より具体的には輸送機関、好ましくは自動車、バス、トラック、鉄道車両、船、又は航空機。
《態様15》
手動で操作可能な提供装置を有する液体用容器を含む、好ましくはオス型の上部作動弁の形状をとる手動で操作可能な提供装置を有する液体用容器を含む、接着促進剤系であって、前記液体用容器が、以下を含む接着促進剤を含有している、接着促進剤系:
v) 少なくとも1種のメルカプトシランMS、及び
vi) 少なくとも1種のポリシランPS、及び
vii) 実質的に単座配位子のみを有する少なくとも1種の遷移金属錯体K、より具体的にはチタン及び/又はジルコニウム錯体、及び
viii)少なくとも1種の非アルコール系溶媒L、より具体的には炭化水素、ケトン、及び/又はカルボン酸エステル。
【0011】
本発明のある種の実施態様
本発明の対象は、以下を含む接着剤系である:
a)接着促進剤組成物であって、以下:
i)少なくとも1種のメルカプトシランMS、及び
ii)少なくとも1種のポリシランPS、及び
iii)実質的に単座配位子しか有しない少なくとも1種の遷移金属錯体K、より具体的にはチタン及び/又はジルコニウム錯体、及び
iv)少なくとも1種の非アルコール系溶媒L、より具体的には炭化水素、ケトン、及び/又はカルボン酸エステル
を含む接着促進剤組成物、
b)接着剤であって、ここで、
適用及び23℃かつ相対湿度50%での保管後1時間以内の接着剤は、ISO 4587に従って測定される、少なくとも3MPaの引張せん断強度を有する、かつ/又は、適用及び23℃かつ相対湿度50%での保管後1時間以内の接着剤は、ISO 4587に従って測定される、適用及び23℃かつ相対湿度50%での7日間の保管後に到達可能な引張せん断強度の、少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%を有する、接着剤。
【0012】
本発明のさらなる対象は、手動で操作可能な供給装置を有する液体用容器を含む接着促進剤系であって、以下を含む接着促進剤組成物である:
i)少なくとも1種のメルカプトシランMS、及び
ii)少なくとも1種のポリシランPS、及び
iii)実質的に単座配位子しか有しない少なくとも1種の遷移金属錯体K、より具体的にはチタン及び/又はジルコニウム錯体、及び
iv)少なくとも1種の非アルコール系溶媒L、より具体的には炭化水素、ケトン、及び/又はカルボン酸エステル。
【0013】
本発明のさらに別の対象は、接着促進剤組成物が、手動で操作可能な放出装置を備えた液体用容器内にある、上に記載した通りの接着剤系である。
【0014】
用語「オルガノアルコキシシラン」、又は「オルガノアシルオキシシラン」、又は略して「シラン」は、本文書では、第一に、それぞれ、ケイ素原子に(Si−O結合を介して)直接的に結合した少なくとも1つ、通常2つ又は3つのアルコキシ基又はアシルオキシ基が存在し、第二に、ケイ素原子に(Si−C結合を介して)直接的に結合した少なくとも1つの有機ラジカルを有するが、Si−O−Si結合を有しない、化合物を指す。それに対応して、用語「シラン基」は、オルガノアルコキシシラン又はオルガノアシルオキシシランの有機ラジカルにそれぞれ結合したケイ素含有基を特定する。オルガノアルコキシシラン又はオルガノアシルオキシシラン、及びそのシラン基は、水分と接触すると加水分解する性質を有する。この加水分解によって、オルガノシラノール、言い換えれば、1つ以上のシラノール基(Si−OH基)を含有するオルガノシリコン化合物が、また、それに続く縮合反応を通して、オルガノシロキサン、言い換えれば、1つ以上のシロキサン基(Si−O−Si基)を含有するオルガノシリコン化合物が形成される。
【0015】
シラン基のケイ素原子に結合した有機ラジカル中にアミノ、メルカプト、及びオキシラン基を有するシランは、それぞれ、「アミノシラン」、「メルカプトシラン」、及び「エポキシシラン」と特定される。1級アミノシランは、1級アミノ基−NH
2を有する。2級アミノシランは、2級アミノ基−NH−を有する。芳香族2級アミノシランは、芳香族2級アミノ基を有する。芳香族2級アミノ基の場合、2級アミノ基は、例えばN−メチルアニリンの場合のように、芳香族ラジカルに直接的に結合されている。3級アミノシランは、3級アミノ基
【化1】
を有する。
【0016】
ポリシラン、ポリオール、ポリイソシアネート、ポリマーキャプタン、又はポリアミンなどの、「ポリ」から始まる物質名は、本文書では、形式的に、その名前で存在する、分子あたり2つ以上の官能基を含有する物質を指す。
【0017】
本文書では、置換基、ラジカル、又は基と関連する用語「互いに独立に」又は「各存在ごとに独立に」の使用は、同じ分子内に、同じように特定される置換基、ラジカル、又は基が、異なる定義を伴って同時に存在可能であることを意味するものと解釈されるべきである。
【0018】
本発明組成物に適したメルカプトシランMSは、式(II)を有することが好ましい。
HS−R
1−Si(OR
2)
(3−C)(R
3)
C (II)
【0019】
この式では、R
2は、各存在ごとに独立に、1から4個のC原子を有するアルキル基又は1から4個のC原子を有するアシル基、好ましくはメチルである。さらに、R
3は、各存在ごとに独立に、Hである、又は1から10個のC原子を有するアルキル基であり、R
1は、1から6個のC原子を有する直鎖又は分枝のアルキレン基、より具体的にはプロピレンであり、cの値は、0、1、又は2、好ましくは0である。
【0020】
メルカプトシランMSとして特に適したものは、メルカプトメチルトリメトキシシラン、メルカプトメチル−トリエトキシシラン、メルカプトメチルジメトキシメチルシラン、メルカプトメチル−ジエトキシメチルシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピル−トリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリイソプロポキシシラン、3−メルカプトプロピル−メトキシ(1,2−エチレンジオキシ)シラン、3−メルカプトプロピルメトキシ(1,2−プロピレンジオキシ)シラン、3−メルカプトプロピルエトキシ(1,2−プロピレンジオキシ)シラン、3−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、3−メルカプトプロピルジエトキシメチルシラン、3−メルカプト−2−メチルプロピルトリメトキシシラン、及び4−メルカプト−3,3−ジメチルブチル−トリメトキシシランからなる群から選択されるメルカプトシランである。
【0021】
メルカプトシランMSとして好ましいのは、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン及び3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、より具体的には3−メルカプトプロピルトリメトキシシランである。
【0022】
本発明組成物は、一般的に、組成物の重量に基づいて0.5重量%〜10重量%、より具体的には1重量%〜7重量%、好ましくは2重量%〜5重量%のメルカプトシランMSの重量分率で、少なくとも1種のメルカプトシランMSを含む。
【0023】
適切なポリシランPSは、第1の実施態様では、少なくとも1つの2級又は3級アミノ基を有するポリシランPS1である。第2の実施態様において適切なものは、アミノシラン又はメルカプトシランと、ポリイソシアネートとの、又はイソシアネート基を含有するポリウレタンポリマーとの反応から得ることができるポリシランPS2である。
【0024】
ポリシランPS1は、少なくとも1つの2級又は3級アミノ基、より具体的には2級アミノ基を有する。特に適切なものは、式(III)のアミノシランである。
【化2】
【0025】
この式では、R
4は、少なくとも1つの2級又は3級アミノ基を有するn価の有機ラジカルである。R
5は、各存在ごとに独立に、1から4個のC原子、又は1から4個のC原子を有するアシル基を有する、アルキル基である。指数の値は0、1、又は2である。さらに、R
6は、各存在ごとに独立に、Hであるか、又は、1から10個のC原子を有するアルキル基であり、nの値は、2、3、又は4である。特定の好みに応じて、nは、2又は3である;言い換えれば、好ましくは、ポリシランPS1は、2又は3個のシラン基を有することが好ましい。好ましいのは、2個のシラン基を有するポリシランPS1である。a=0であるポリシランPS1が好ましい。R
5として好ましいのは、メチル、エチル、プロピル、及びブチル基、また、それらの位置異性体である。R
5がメチル基であるのが最も好ましい。
【0026】
ポリシランPS1として第一に好ましいのは、式(IV)を有するポリシランである。
【化3】
【0027】
この式では、R
7は、1から6個のC原子を有する直鎖又は分枝のアルキレン基、より具体的にはプロピレン基である。
【0028】
特に好ましいポリシランPS1としては、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)アミン及びビス(3−トリエトキシシリルプロピル)アミンが挙げられる。最も好ましいポリシランPS1は、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)アミンである。
【0029】
第二に好ましいポリシランPS1は、式(V)又は(VI)の、より具体的には式(V−1)又は(VI−1)の、少なくとも1つの構造要素を有する、ポリシランである。
【化4】
【0030】
式V及びVI、又はV−1及びVI−1のこうしたポリシランPS1は1級又は2級アミンとエポキシドとの、又はグリシジルエーテルとの反応を介して調製することができる。シラン基は、アミンに、又はエポキシドに、又はグリシジルエーテルに由来し得る。この文書における式中の破線は、それぞれ、それぞれの置換基と、結合された分子の残部との間の結合を表す。
【0031】
こうしたポリシランPS1は、第一に、例えば、3−アミノプロピルトリメトキシシラン又はビス(3−トリメトキシシリルプロピル)アミンと、ビスフェノール−A−ジグリシジルエーテル又はヘキサンジオールジグリシジルエーテルとの反応生成物である。
【0032】
こうしたポリシランPS1は、第二に、例えば、式(VII)のエポキシシランと、式(VIII)のアミノシランとの反応生成物である。
【化5】
【0033】
これらの式では、R
9は、各存在ごとに独立に、1から4個のC原子を有するアルキル基又は1から4個のC原子を有するアシル基である。R
9は、好ましくは、メチル基である。R
10は、各存在ごとに独立に、Hである、又は、1から10個のC原子を有するアルキル基である。R
7とR
8は、互いに独立に、それぞれ、1から6個のC原子を有する直鎖又は分枝のアルキレン基、より具体的にはプロピレンである。Qは、H、又は1から20個のC原子を有するアルキル、シクロアルキル、若しくはアリールラジカル、又は式−(CH
2−CH
2−NH)
dHのラジカルである、あるいは式−R
7−Si(OR
5)
(3−a)(R
6)
a、のラジカルである。指数bの値は、0、1、又は2、好ましくは0である。指数dの値は、1又は2である。
【0034】
R
6、R
5、及びaは、式(III)についてすでに記載した定義を有する。
こうしたポリシランPS1は、式(IX)の構造を有することができる。
【化6】
【0035】
少なくとも1つの2級又は3級アミノ基を有するポリシランPS1として特に好ましいのは、3−アミノプロピルトリメトキシシラン又はビス(3−トリメトキシシリルプロピル)アミンと、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシランとの反応生成物である。
【0036】
ポリシランPS2として特に適したものは、式(X)の少なくとも1つのアミノシラン又はメルカプトシランと、少なくとも1つのポリイソシアネートとの、又はイソシアネート基を含有する少なくとも1つのポリウレタンポリマーとの反応から得られるポリシランである。こうしたポリシランPS2は、具体的には、式(XI)を有する。
【化7】
【0037】
この式では、Yは、NQ又はSである。さらに、R
11は、ポリイソシアネート、又はイソシアネート基(mの削除後のNCO基)を含有するポリウレタンポリマーであり、mの値は、1、2、又は3、より具体的には1又は2である。
【0038】
式(X)のアミノシランとして特に適したものは、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルジメトキシメチルシラン、3−アミノ−2−メチルプロピルトリメトキシシラン、4−アミノブチルトリメトキシシラン、4−アミノブチル−ジメトキシメチルシラン、4−アミノ−3−メチルブチルトリメトキシシラン、4−アミノ−3,3−ジメチルブチルトリメトキシシラン、4−アミノ−3,3−ジメチルブチルジメトキシメチル−シラン、2−アミノエチルトリメトキシシラン、2−アミノエチルジメトキシメチルシラン、アミノメチルトリメトキシシラン、アミノメチルジメトキシメチルシラン、及びアミノ−メチルメトキシジメチルシランからなる群から選択される、1級アミノ基を有するアミノシランである。好ましいのは、3−アミノプロピルトリメトキシシラン及び3−アミノプロピルメチルジメトキシシランである。
【0039】
これらは、よりゆっくりと反応するが、2級アミノ基を有するアミノシランも、式(X)のアミノシランとして使用することができる。
【0040】
特に適したものは、N−メチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−エチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ブチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−シクロヘキシル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピル−トリメトキシシラン、N−メチル−3−アミノ−2−メチルプロピルトリメトキシシラン、N−エチル−3−アミノ−2−メチルプロピルトリメトキシシラン;N−エチル−3−アミノプロピルジメトキシメチル−シラン、N−フェニル−4−アミノブチルトリメトキシシラン、N−フェニルアミノメチル−ジメトキシメチルシラン、N−シクロヘキシルアミノメチルジメトキシメチルシラン、N−メチルアミノメチルジメトキシメチルシラン、N−エチルアミノメチルジメトキシ−メチルシラン、N−プロピルアミノメチルジメトキシメチルシラン、N−ブチルアミノ-メチルジメトキシメチルシラン;N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシ-シラン、3−[2−(2−アミノエチルアミノ)エチルアミノ]プロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−[2−(2−アミノエチルアミノ)−エチルアミノ]プロピルメチルジメトキシシラン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)アミン、及びビス(3−トリエトキシシリルプロピル)アミンからなる群から選択される、2級アミノ基を有するアミノシランである。
【0041】
2級アミノ基を有する式(X)の好ましいアミノシランは、N−ブチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−メチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、又はビス(3−トリメトキシ−シリルプロピル)アミンである。
【0042】
式(X)の、特に適切なメルカプトシランは、上に言及したメルカプトシランMSである。
【0043】
適切なポリイソシアネートは、具体的には、ジイソシアネート又はトリイソシアネートである。例えば、ジイソシアン酸1,6−ヘキサメチレン(HDI)、1,5−ジイソシアン酸2−メチルペンタメチレン、ジイソシアン酸2,2,4−及び2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレン(TMDI)、ジイソシアン酸1,12−ドデカメチレン、ジイソシアン酸リジン及びジイソシアン酸リジンエステル、1,3−及び1,4−ジイソシアン酸シクロヘキサン及びこれらの異性体の任意の所望の混合物、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン(すなわち、ジイソシアン酸イソホロン又はIPDI)、ジイソシアン酸ペルヒドロ−2,4’−及び−4,4’−ジフェニル−メタン(HMDI)、1,4−ジイソシアナト−2,2,6−トリメチルシクロヘキサン(TMCDI)、1,3−及び1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ジイソシアン酸m−及びp−キシリレン(m−及びp−XDI)、ジイソシアン酸m−及びp−テトラメチル−1,3−及び−1,4−キシリレン(m−及びp−TMXDI)、ジイソシアン酸ビス(1−イソシアナト−1−メチルエチル)ナフタレン、2,4−及び2,6−トリレン及びこれらの異性体(TDI)の任意の所望の混合物、ジイソシアン酸4,4’−、2,4’−、及び2,2’−ジフェニルメタン及びこれらの異性体(MDI)の任意の所望の混合物、ジイソシアン酸1,3−及び1,4−フェニレン、2,3,5,6−テトラメチル−1,4−ジイソシアナトベンゼン、1,5−ジイソシアン酸ナフタレン(NDI)、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトビフェニル(TODI)、また、前述のイソシアネート及びそのビウレット又はそのイソシアヌレートの任意の所望の混合物などの、市販品として入手可能なポリイソシアネートが好ましい。特に好ましいのは、MDI、TDI、HDI、及びIPDI、及びそのビウレット又はイソシアヌレートである。
【0044】
イソシアネート基を含有するポリウレタンポリマーは、その内容が具体的に参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2006/0122352A1号明細書(〔0029〕から〔0041〕及び〔0043〕から〔0044〕段落内)に開示されている通り、具体的には前述のポリイソシアネート及びポリオール及び/又はポリアミンから、従来法で得ることができる。
【0045】
ポリシランPSとしては、PS1は、より優れた溶解性と、より低いを有するという点で、PS2よりも優れている。さらに、これらは、市販品として入手可能であり、低価格という特徴がある。
【0046】
特に好ましいポリシランPSは、式(IV)のポリシランであり;最も好ましくは、ポリシランPSは、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)アミン又はビス(3−トリエトキシシリルプロピル)アミンである。
【0047】
本発明組成物は、一般的に、組成物の重量に基づいて0.1重量%〜10重量%、より具体的には0.5重量%〜7重量%、好ましくは1重量%〜5重量%のポリシランPSの重量分率で、少なくとも1種のポリシランPSを含む。
【0048】
本発明の接着剤系の接着促進剤組成物は、実質的に単座配位子のみを有する、少なくとも1種の遷移金属錯体Kをさらに含む。
【0049】
用語「遷移金属錯体」は、当業者に周知であり、配位子によって錯体形成された、遷移金属の(主としてカチオン性の)金属原子を有する、化学的錯体化合物を指す。「実質的に単座配位子のみ」は、これらの錯体を、非多座錯体、すなわち、キレートでない錯体に限定する。好ましい単座配位子は、アルコキシ基である。
【0050】
遷移金属錯体Kは、組成物の重量に基づいて0.5重量%〜15重量%の、より具体的には1重量%〜12重量%の、好ましくは2重量%〜10重量%の重量分率で含まれることが好ましい。
【0051】
遷移金属錯体Kは、オルガノチタン酸化合物(オルガノチタン酸塩)又はジルコン酸塩であることが好ましい。ここではオルガノチタン化合物又はジルコン酸塩は、酸素−チタン結合又は酸素−ジルコニウム結合を介してチタン原子又はジルコニウム原子に結合した少なくとも1つの置換基(配位子)、より具体的には酸素−チタン結合又は酸素−ジルコニウム結合を介してチタン原子又はジルコニウム原子に結合した4つの置換基を有する。
【0052】
特に好ましいのは、オルガノチタン化合物である。
【0053】
好ましい置換基は、4から8個のC原子を有するものである。特定の好みに応じて、これらの置換基は、同一である。
【0054】
好ましいオルガノチタン化合物は、例えば、Kenrich Petrochemicals又はDuPontから、市販品として入手可能である。
【0055】
特に好ましいのは、チタン酸テトラ(N−ブチル)、すなわち、Tyzor(商標)TBTである。
【0056】
オルガノチタン化合物が使用される場合、これらのオルガノチタン化合物が、水の影響を受けて加水分解し、チタン原子に結合したOH基を形成することとなることは、当業者には明らかである。こうした加水分解された又は部分加水分解されたオルガノチタン化合物は、次いで、今度は縮合されて、Ti−O−Ti結合を有する縮合生成物を形成する可能性がある。シラン及び/又はチタン酸塩が、接着促進剤として混合された場合、混合された縮合生成物も、Si−O−Ti結合を含有する可能性がある。こうしたほんのわずかの縮合生成物は、特に、可溶性、乳化可能、又は分散可能である場合に可能性がある。
【0057】
本発明の接着剤系の接着促進剤組成物が、少なくとも1種のオルガノチタン化合物を含む場合、オルガノチタン化合物は、組成物の重量に基づいて0.5重量%〜15重量%の、より具体的には1重量%〜12重量%の、好ましくは2重量%〜10重量%のオルガノチタン化合物の重量分率で存在することが好ましい。
【0058】
本発明の接着剤系の接着促進剤組成物は、少なくとも1種の非アルコール系溶媒L、より具体的には炭化水素、ケトン、及び/又はカルボン酸エステルをさらに含む。本発明の目的のための溶媒は、周囲圧力下で23℃でほぼ液体であり、かつ、量に関して、またその物理化学特性を含めて、組成物の他の構成成分を統合して、空気の非存在下で均一である液体混合物を形成することが可能である物質である。この溶媒は、さらに、接着剤系の素早い適用を可能にするために、ある程度の揮発性を有するべきである。
【0059】
この溶媒は、他の構成成分に対して実質的に化学的に不活性であるべきであり、言い換えれば、他の構成成分と反応するべきではない。したがって、溶媒は、「非アルコール系」溶媒でなければならないという条件である。しかし、これにもかかわらず、比較的に少量とはいえ(例えば、10重量%未満で、好ましくは最大5重量%で)、接着促進剤組成物中にはアルコールが存在する可能性がある。
【0060】
本発明の目的のための、この種の適切な非アルコール系溶媒Lは、具体的には、炭化水素又はケトン又はカルボン酸エステルである。その好ましい例は、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸ブチル、及び酢酸エチルである。特に好ましいのは、ヘキサン、ヘプタン、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸ブチル、及び酢酸エチルである。とりわけ好ましいのは、ヘプタンである。
【0061】
本発明の接着剤系の接着促進剤組成物中の非アルコール系溶媒Lの量は、好ましくは80重量%から99重量%、より具体的には85重量%から95重量%、非常に好ましくは88重量%から94重量%である。
【0062】
本発明の接着剤系の接着促進剤組成物は、本発明の接着剤系の接着に良い影響を与えることができる、アミノシランASをさらに含むことが好ましい。本発明組成物に適したアミノシランASは、式(I)、又は式(I’)、又は式(XII)を有することが好ましい。
【化8】
これらの式中のL
1は、より具体的には1から6個のC原子を有する、好ましくは3又は4個のC原子を有する、直鎖又は分枝のアルキレン基である、又は、3−アザヘキシレンラジカルである。さらに、L
2は、各存在ごとに独立に、1から4個のC原子を有するアルキル基、又は1から4個のC原子を有するアシル基であり、好ましくはメチル基である。L
3は、各存在ごとに独立に、Hである、又は、1から10個のC原子を有するアルキル基である。L
4は、さらに、各存在ごとに独立に、1から5個のC原子を有する場合によっては分枝のアルキルラジカル、1から5個のC原子を有する場合によっては分枝のアルコキシラジカル、1から5個のC原子を有する場合によっては分枝のエステルラジカル、NO
2、又はハロゲン原子である。より具体的には、eは0である。さらに、L
5は、1から5個のC原子を有する場合によっては分枝のアルキレンラジカルである。さらに、fの値は、0、1、又は2であり、eは、0から3までの整数である。
【0063】
式(I)の特に適切なアミノシランASは、N−((トリメトキシ−シリル)メチル)アニリン、N−((トリエトキシシリル)メチル)アニリン、N−(3−(ジメトキシ(メチル)−シリル)−2,2−ジメチルプロピル)アニリン、N−(3−(トリメトキシシリル)プロピル)アニリン、N−(3−(トリエトキシシリル)プロピル)アニリン、N−(4−(トリメトキシシリル)ブチル)アニリン、N−(5−(トリメトキシ−シリル)ペンチル)アニリン、及びN−(3−(ジエトキシ(メチル)シリル)−2−メチルプロピル)アニリンからなる群から選択される、芳香族2級アミノシランである。
【0064】
式(I’)の芳香族2級アミノシランASの例は、4,4’−メチレンビス(N−(3−(トリメトキシシリル)プロピル)アニリン)、4,4’−(プロパン−2,2−ジイル)ビス(N−(3−(トリメトキシシリル)プロピル)アニリン)、及び4,4’−メチレンビス(2−メチル−N−(3−(トリメトキシシリル)プロピル)アニリン)である。
【0065】
好ましい芳香族2級アミノシランASは、N−(3−(トリメトキシ−シリル)プロピル)アニリン及びN−(3−(トリエトキシシリル)プロピル)アニリン、より具体的にはN−(3−(トリメトキシシリル)プロピル)アニリンである。
【0066】
式(XII)のアミノシランASの例は、3−アミノプロピルメチル−ジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−アミノエチル−3−アミノプロピル−メチルジメトキシシラン、N−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノ−プロピルトリエトキシシラン、及びN−アミノエチル−3−アミノプロピルトリエトキシシランである。
【0067】
式(XII)の好ましいアミノシランASは、3−アミノプロピルトリメトキシ−シラン及びN−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランである。
【0068】
本発明の接着剤系の接着促進剤組成物は、組成物の重量に基づいて0.1重量%〜10重量%、より具体的には0.5重量%〜7重量%、好ましくは1重量%〜5重量%のアミノシランASの重量分率で、少なくとも1種のアミノシランASを含むことが好ましい。
【0069】
本発明の接着剤系の接着促進剤組成物は、さらなる構成成分を任意選択で含有することができる。しかし、こうしたさらなる構成成分は、組成物の保存安定性を損なうべきではない。さらなる構成成分は、例えば、Ciba Specialty ChemicalsのUvitex(商標)OBなどの発光指示薬、安定剤、界面活性剤、酸、染料、及び顔料である。
【0070】
本発明のある特に好ましい接着剤系の接着促進剤組成物は、組成物の総重量に基づいて2重量%〜5重量%の量のメルカプトシランMS、より具体的には3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン;組成物の総重量に基づいて0.8重量%〜5重量%の量のポリシランPS、より具体的にはビス(3−トリメトキシシリルプロピル)アミン;組成物の総重量に基づいて0.8重量%〜5重量%の量のアミノシランAS、より具体的にはN−(3−(トリメトキシシリル)プロピル)アニリン;組成物の総重量に基づいて1重量%〜10重量%の量の遷移金属化合物K、より具体的にはチタン酸テトラ(N−ブチル);及び組成物の総重量に基づいて80重量%〜94重量%の量の非アルコール系溶媒L、より具体的にはヘプタンを含む、又はこれらからなる。
【0071】
好ましくは、本発明の接着剤系の接着促進剤組成物においては、接着促進剤組成物において使用されるすべてのメルカプトシランMS対、接着促進剤組成物において使用されるすべてのポリシランPS対、接着促進剤組成物においてひょっとすると使用されるかもしれないすべてのアミノシランAS対、接着促進剤組成物において使用されるすべての遷移金属錯体Kのモル比は、1:0.05〜1.5:0.05〜1.5:0.1〜3、より具体的には1:0.1〜1.2:0.1〜1.2:0.1〜1.5である。
【0072】
本発明の接着剤系に適した接着剤は、急速に、すなわち23℃かつ50%r.h.で適用後1時間以内に硬化し、ISO 4587に従って測定される少なくとも3MPaの引張せん断強度を有する、かつ/又は23℃かつ50%r.h.での適用後1時間以内に、ISO 4587に従って測定される、適用及び23℃かつ50%r.h.での7日間の保管後に到達可能な引張せん断強度の、少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%を有する、一又は二剤型の、好ましくは弾性の、接着剤又はシーラントである。
【0073】
本発明の接着剤系に適した一剤型の接着剤又はシーラントは、具体的には、湿気硬化型のイソシアネート基末端ポリマー又は湿気硬化型の、シラン基末端ポリマーを含む。こうした接着剤又はシーラントは、水の、特に大気中水分の影響を受けて架橋する。こうした一剤型の湿気硬化型のポリウレタン接着剤の例は、Sika Schweiz AGから市販品として入手可能であるSikaflex(商標)及びSikaTack(商標)製品系列から得られるものであり;本発明によって必要とされる急速な硬化のために、さらに、加速剤(accelerator)、より具体的には水含有加速剤(ブースターとも呼ばれる)を使用する必要がある可能性がある。この種の適切な水含有加速剤ペーストは、例えば、Sika(商標)Booster Paste(Sika Schweiz AG)という名前で入手可能である。
【0074】
上に言及したイソシアネート末端ポリマーは、ポリオール、より具体的にはポリオキシアルキレンポリオール、及びポリイソシアネート、より具体的にはジイソシアネートから調製される。本明細書では、ジイソシアン酸メチレンジフェニル(MDI)又は2,4−ジイソシアン酸トルエン(TDI)などの、芳香族ジイソシアネートが選択される。
【0075】
二剤型の接着剤又はシーラントとしての適合性は、例えば、第1の構成成分がアミン−又はポリオールを含み、第2の構成成分がNCO含有ポリマー又はポリイソシアネートを含む、二剤型のポリウレタン接着剤又はポリウレタンシーラントによって有される。この種の二剤型の、室温硬化ポリウレタン接着剤の例は、Sika Schweiz AGから市販品として入手可能であるSikaForce(商標)製品系列から得られるものである。
【0076】
さらに適したものは、急速に、すなわち23℃かつ50%r.h.で適用後1時間以内に硬化し、ISO 4587に従って測定される少なくとも3MPaの引張せん断強度を有する、かつ/又は23℃かつ50%r.h.での適用後1時間以内に、ISO 4587に従って測定される、硬化及び23℃かつ50%r.h.での7日間の保管後に到達可能な引張せん断強度の、少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%を有する、エポキシ樹脂をベースにする接着剤、アクリレート接着剤、ポリスルフィドをベースにする接着剤、及び当業者に公知の他の化学接着剤及びシーラントである。
【0077】
本発明の接着剤系においては、特に湿気硬化型のポリウレタン接着剤又はポリウレタンシーラントを使用する場合には、記載した接着促進剤組成物を使用して、特にガラス及びガラスセラミックへの接着において、また、特に寒冷条件下(例えば−10℃)での適用後に、有意な改善を実現できることが明らかになっている。
【0078】
当業者には、より低い温度では、接着剤又は接着剤系の接着及び硬化の進行が、通常、より高い温度よりも遅くなることが当然明らかである。しかし、本発明の接着剤系は、標準の条件(23℃かつ50%r.h.)下で、きわめて急速に接着を進行させるので、低い温度での速度も常に許容可能である。
【0079】
上に言及した接着促進剤系のための液体用容器は、好ましくは金属容器、より好ましくは金属缶である。特定の好みに応じて、内部に(好ましくはエポキシ−フェノール塗料をベースにする)保護塗装を伴う金属缶を提供される。保護塗装を伴わない金属缶の場合、高温での接着促進剤組成物の長期保管時に、特に溶接シームの領域内の、金属缶の内壁への損傷が存在する可能性があることが明らかになっている。こうした損傷は、保護塗装を用いて最小限にすることができる。
【0080】
液体用容器に適した金属は、ブリキ(すなわち、表面がスズでコーティングされている鋼)又はアルミニウムであり、アルミニウムも、同様にコーティング又は陽極酸化処理されていることが可能である。
【0081】
手動で操作可能な放出装置については、実現されるならば、上部作動弁、また、特定の好みに応じてオス型の上部作動弁の形態であることが好ましい。実施される研究の過程で、上部作動弁の形態で実装されていない弁を用いると、最初の適用後、アクチベーターが部分的に上昇管内にとどまり、その場所で又は弁内で結晶化するという問題が発生することが明らかになっている。接着促進剤系の長期使用の場合、これは、放出装置の詰まり(このうちのいくらかは、上部作動弁を使用することによって防止することができる)をもたらす。
【0082】
上部作動弁は、オス型の上部作動弁であることが好ましい。このタイプの弁については、バネの領域内のハウジング内に1つ以上の孔を有する場合が好ましい。なぜなら、この種の構造は、適用後に、缶が直立配置に戻される時に、上昇管を介する液体の液体用容器へのリターンフローを助けるからである。さらに、放出装置が、その長さが液体用容器の高さの最大半分、好ましくは液体用容器の高さの最大3分の1、より好ましくは液体用容器の高さの最大4分の1である上昇管を有する場合が好ましい。
【0083】
手動で操作可能な放出装置の吹き出し口については、前記吹き出し口が0.5から2mmの範囲内の、好ましくは約1mmの直径を有する場合が好ましい。約1mmの直径では、接着促進剤組成物のスプレーミストの形成は、非常に大きく抑制される可能性があり、それによって、接着促進剤組成物の、所望の適用領域への正確に標的化される適用を助ける。
【0084】
手動で操作可能な放出装置を備えた液体用容器については、さらに、これが密閉系であるならば、これが有用である。これは、液体用容器内のアクチベーターが時期尚早に大気中水分と接触して、その結果分解されるようになることを防止する。
【0085】
手動で操作可能な放出装置に関しては、特定の適合性は、特に、上向き使用のための弁体を有する一液放出装置及び噴出適用について判明している。適切な放出装置は、例えばLindal Dispenser GmbHによって販売されている。
【0086】
特に適切な弁は、有益には、弁体、外部シール及び内部シール、ステム(バルブステム)、バネ、ハウジング、及び上昇管を有する。内部シールに関しては、特に、多数の材料が、接着促進剤組成物と接触して著しく分解又は膨潤することが明らかになっており、これは、こうした材料が、記述した接着促進剤組成物のためのシーリング材料として不適切であることを意味する。シーリング材料の過度の膨潤又は分解は、使用直後のシールの失敗をもたらす。したがって、本発明の目的のために、手動で操作可能な放出装置が、スチレン−ブタジエンゴムに、又は(二)フッ化ビニリデンベースのゴムをベースにするシール、好ましくは内部シールを有する場合が好ましい。適切なシーリング材料の例は、商標Buna又はVitonで販売されている製品である。
【0087】
一方、クロロプレンは、この材料が、含有されている接着促進剤組成物によって、室温での短い保管時間の直後に分解されるので、シーリング材料にとって特に不適切な材料であることが立証されている。したがって、手動で操作可能な放出装置が、クロロプレンゴム材料をベースにするシールを有しない場合が好ましい。
【0088】
したがって、接着促進剤組成物が、手動で操作可能な放出装置を備えた液体用容器中に存在する、上に言及した接着剤系については、接着促進剤組成物の構成成分、接着剤、及び手動で操作可能な放出装置を備えた液体用容器の好ましい実施態様に関する上の記述が適用可能である。
【0089】
ある好ましい実施態様では、この接着剤系は、
−接着促進剤組成物が、手動で操作可能な放出装置を有する、特に過圧を用いて放出することができる密閉した液体用容器、より具体的にはスプレー缶中に入れられており、かつ
−接着剤が、好ましくは加速剤と共に、二剤型系として、又は一剤型系として入れられている
キットを構成する。
【0090】
加速剤は、ブースターとも呼ばれ、水含有組成物であることが好ましい。上に記載したこの種のキットは、共に梱包された形態で市販品として提供することができ、例えば、接着促進剤組成物と接着剤を互いに完全に調和させることができ、適用が容易になるという利点をもたらす。これは、このように個々の性質に関するだけでなく、使用のための量にも関する。
【0091】
本発明の接着剤系の適用は、以下に記載されている、好ましくは複数のステップで行われる。
【0092】
まず第一に、本発明の接着剤系の接着促進剤組成物を、好ましくは清浄にかつ脱脂された基材S1に適用する。
【0093】
すべての適用例において、接着促進剤組成物は、最初に、例えばセルロース生地で作られているスポンジ又は布などの、吸収性の材料に適用され、これらの助けを借りて、1回こする動きで、基材S1に適用されることが好ましい。このタイプの適用は、「ワイプオン(wipe−on)」方法と呼ばれる。このタイプの適用はまた、密閉容器、例えば、この後以下に記載するようなスプレー缶を使用する場合に実施することができる。本発明の接着剤系の接着促進剤組成物は、多くの市販品として入手可能な接着促進剤組成物では慣例であるような、存在するいくらかの過剰な接着促進剤組成物の、その後のさらなる拭い去り(「ワイプオン/オフ」方法)の必要性が存在しないという利点をもたらす。このワイプオン方法は、ワイプオフ(wipe−off)ステップを省略することができるので、より急速な接着結合作用を可能にする。
【0094】
接着促進剤組成物は、具体的には、過圧を用いる密閉容器、好ましくはスプレー缶から適用され、その結果、反応性の高いかつ空気感受性の高い接着促進剤組成物が、時期尚早に大気中水分にさらされて、その品質が影響を受けることがない。この場合には、密閉容器の内容物は、好ましくは、例えばペーパークロス又は綿パッドなどのパッド又は布に噴霧することによって適用され、その後、1回こする動きで、基材に直接的に適用される。
【0095】
あるいは、本発明の接着剤系の接着促進剤組成物を、適用直前又は適用中に開封されるが、繰り返しの使用は意図されていない、使い捨て容器内に、例えば、スポンジなどの吸収性材料が接着されたガラスアンプル又はプラスチック容器(好ましくは後者)内に保持することもできる。この種の使い捨て溶液の場合、充填量を1回使用に適合させることが賢明である。この種の使い捨て容器、特に吸収性の材料が接着されたペンの形状のものは、例えば、国際公開第2013/041573 A1号パンフレットに、又は国際公開第2013/030270 A1号パンフレットに記載されている。
【0096】
過圧を用いて接着促進剤組成物がそこから適用される密閉容器、例えばスプレー缶を使用する場合、例えば、過圧を、噴射剤ガスを用いてもたらすこともできるし、過圧を、例えばピストンを用いる容器の体積の低下によってもたらすこともできる。
【0097】
適切な噴射剤ガスの例は、空気、二酸化炭素、窒素、また、低圧力下、好ましくは10バール未満で液化させることができ、当業者に周知である、炭化水素、例えばプロパン、ブタン、及び他の短鎖炭化水素の混合物など(時として、一般に、LPG(液化石油ガス)としての使用も指す)、又は他のほとんど不活性な気体である。
【0098】
すべての場合において、密閉容器の出口ノズルが、好ましくは、霧ではなく液体の細い噴流を放出するようにされることを確実にするべきである。なぜなら、このようにすれば、適用を、より有効に局所的に制御することができ、十分な接着促進剤が、パッドの適正な含浸及び/又は基材の湿潤のために適用され、さらに、健康を害する可能性のあるエアロゾルの形成が減少又は完全に回避されるからである。
【0099】
フラッシュオフタイムとして知られている接着促進剤組成物の適用後の短い待ち時間(一般的に10分未満、好ましくは3〜5分)の後、本発明の接着剤系の接着剤を、接着促進剤組成物で前処理した結合領域に適用することができる。フラッシュオフタイムの間、非アルコール系溶媒Lは、10分以内に、かなりの揮発(例えば、基材に適用された量の少なくとも50%)を受け、接着促進剤組成物の反応性の高い構成成分は、基材S1と、及び/又は大気中水分と反応し始める。
【0100】
したがって、本発明の接着剤系の接着促進剤組成物は、基材S1(基材S1は、より具体的には、ガラス又はガラスセラミックである)のための接着プライマーとしての使用に適している。
【0101】
以下に詳細に記載するのは、本発明の接着剤系の使用の好ましい方式である。
【0102】
2つの基材S1及びS2の接着接合又はシールの好ましい方法では、これは、次のステップを含む:
a)上に記載した通りの接着促進剤組成物を、前記接着促進剤組成物を含浸させた担体材料を第1の基材S1上に1回こすりつけることによって、第1の基材S1に適用することと;
b)接着剤又はシーラントを、ステップa)に従って適用されたフラッシュオフの接着促進剤組成物に適用することと;
c)前記接着剤又はシーラントを、第2の基材S2と接触させること。
【0103】
1回こすりつける(overwiping)という、a)に記載された方法は、さらなるワイプオフを必要としない、先に上に記載したワイプオン方法に相当する。ステップa)では、接着促進剤組成物は、好ましくは、過圧を用いる密閉容器、より具体的にはスプレー缶から、又は使い捨て容器から、吸収性の担体材料に適用され、次いで、ワイプオン方法によって適用される。当然、接着促進剤組成物及び/又は接着剤を、2種の接着剤組成物が接触される前に、両方の基材に適用することもできるが、これは好ましくはない。第2の基材S2は、基材S1と同じ材料で構成される、又は基材S1とは異なる材料で構成される。
【0104】
ステップc)は、一般的に、接着剤又はシーラントを硬化させるステップがそれに続く。当業者は、架橋反応、したがってそれ自体の硬化が、使用される系及び接着剤の反応性に応じて、早ければ適用中に開始する可能性があることを理解している。しかし、架橋の大部分、したがって、この用語のより狭い意味では「硬化」は、適用後に起こる;実際、そうでなければ、基材表面への接着の進行と共に、問題も生じる。
【0105】
具体的には、基材S1又はS2の少なくとも1つは、ガラス又はガラスセラミックである。より具体的には、一方の基材が、ガラス又はガラスセラミックであり、他方の基材が、塗料、塗装された金属、塗装された合金、金属、例えばサンドバック(sand back)されているフランジなど、又は短く切断(cut back)されている接着剤のビードである。したがって、好ましくは、基材S1、又はS2は、ガラス又はガラスセラミックであり、基材S2、又はS1は、金属、塗料、又は塗装された金属、又は塗装された合金である。
【0106】
これらの結合及びシーリング方法は、より具体的には、物品、特に輸送機関の製造及び整備又は修理に応用される。こうした物品は、具体的には、自動車、バス、トラック、鉄道車両、船、又は航空機を構成する。しかし、これらは、例えば窓のガラス入れのためなどの、建設事業における他の好ましい形態の用途に用いることもできる。
【0107】
最も好ましい用途は、輸送機関の、特に道路車両及び鉄道車両のガラス入れである。
【実施例】
【0108】
すべてのパーセンテージは、他に指示しない限り、組成物全体の重量に基づく重量パーセント(重量%)を指す。呼称「%r.h.」は、相対湿度(%)を表す。この文書における「標準の条件」は、周囲空気中での23℃の温度と50%r.h.の相対湿度を意味する。
【0109】
引張せん断強度は、各場合において互いに結合されている同じ材料の2つの基材(結合面積:12×25mm;層厚さ:4.0mm;クロスヘッド速度:200mm/分;基材:以下参照;条件:23℃、50% r.h.(他に指示しない限り))を用いて、Zwick/Roell Z005引張試験機でISO 4587/DIN EN 1465に従って決定した。
【0110】
【表1】
【0111】
接着促進剤組成物の生成
表1中の量に従って、組成物について、溶媒を、さらなる成分(存在する場合)と共に、大気中水分の非存在下で23℃で混合した。
【0112】
【表2】
【0113】
試験方法
適用及び硬化
表1に従って生成した接着促進剤組成物と、市販品として入手可能な接着促進剤(Sika(商標)Aktivator PRO、Sika Schweiz)を、接着剤系として適した接着剤と共に試験した。この目的のために、3種の基材(基材1、基材2、及び基材3;以下参照)及び接着促進剤組成物を、−10℃での24時間の冷凍保管にかけた。接着促進剤組成物を、−10℃で、ワイプ(Tela(商標)、Tela−Kimberly Switzerland GmbH)を用いる「ワイプオン」方法として知られている方法で、それぞれの基材に同様に適用し、10分間フラッシュオフさせ、その後、接着剤を適用した。使用した基材を、以下に列挙する。
−基材1:フロートガラス(フローhトガラスプロセスによって製造された板ガラス)Sn面、Rocholl GmbH、Germany
−基材2:Ferro frit 14279、フロートガラス上の合わせ安全ガラスについて、Rocholl GmbH、Germany
−基材3:Ferro frit 3402、フロートガラス上の温度処理された安全ガラスについて、Rocholl GmbH、Germany
【0114】
その後、接着剤を、それぞれの基材表面の接着促進剤処理面に、カートリッジプレス及び三角ノズルを用いて三角形のビード(幅8mm、高さ10mm)の形状で適用した。その後、接着剤を、ポリエチレンフィルム(PEフィルム)を使用して5mmの厚さに押し付け、それによって、結合領域はおよそ10から15mmに広げられた。接着剤が硬化した後、PEフィルムを慎重に取り除いた。すべての場合において用いられた接着剤は、一剤型のポリウレタン接着剤SikaTack(商標)MOVE
IT(Sika Schweiz)であったが、本発明の接着剤系については、さらに、引張せん断強度の急速な進行という本発明の要件を可能にするために、水を含有するブースターを、50:1(接着剤の体積対ブースターの体積)の比率で力強く混合した。ブースターを伴う接着剤は、ひときわ急速に強度を高め、したがって、23℃かつ50%r.h.での適用の多くとも1時間後には、>3MPaの引張せん断強度(ISO 4587に従って測定される)を有する。ブースターがなければ、これは、約24時間かかる。適用及び標準の条件下での保管の7日後の接着剤の最大引張せん断強度は、ブースターを伴う場合も伴わない場合もおよそ5MPaである。接着剤は、適用の直前まで23℃かつ50%r.h.で保管されていた。
【0115】
接着剤の適用後、基材を、さらに24時間−10℃で保管し、次いで、標準条件領域に移動させ、ここで、あと3日間、23℃かつ50%r.h.でさらに保管した後、接着試験を実施した。
【0116】
接着試験(ビード方法)
接着剤系の、3種の基材に対する接着を、剥離試験を用いて試験した。この目的のために、先に上で記載した通りに生じた接着剤試料の、結合領域の真上の一端に、それぞれ切り込みを入れた。次いで、切り込みを入れた一端を先の丸いプライヤーで挟み、基材に対して垂直に慎重に引き剥がした。新しい切り込みが約3秒ごとに作られることとなるように、引き剥がす速度を選択した。各接着剤試料について、凝集破壊の割合を評価した。これは、接着剤サンプルが引き剥がされた後に結合領域上に残存している接着剤の面積比(%)に相当する。100%凝集破壊は、接着剤が、基材から剥離せずに完全に断裂することを意味する。接着剤が、断裂する前に、ある場所で基材から剥離する場合には、凝集破壊の割合は落ち(また、接着失敗の割合は同様に増大し)、これは、不良な接着剤系の徴候である。
接着試験の結果を、表2に表す。
【0117】
大気安定性試験
使用される接着促進剤組成物を、簡単な安定性試験にかけた。この目的のために、前記組成物を、標準の条件(23℃かつ50%r.h.)下で、開けたまま立てておき、大気にさらした状態で、目に見える変化が起こる時点に関する継続的な検査を行った。具体的には、試料を、濁り及び沈殿(これは、大気中水分が原因の初期の有害作用の明確な指標である)について目視検査した。問題の接着促進剤組成物の反応性が高いほど、より急速に、こうした濁り及び沈殿が観察される。この研究の結果(第1の有害作用が視認されるまでの時間(分))を、表2に列挙する。
【0118】
【表3】
【0119】
表2の接着試験の結果は、試験された接着促進剤組成物のうち、反応性の高い組成物Z−1からZ−3のみが、本発明の接着剤系におけるきわめて急速な接着剤と、十分に急速に反応する能力があり、基材に対する有効な接着を発揮することを明らかに示す。エタノールなどの安定剤(Z−3中)は、空気中での安定性の増大をもたらすが、それにもかかわらず、接着にとって不都合である。安定化効果は、アルコキシシランとのエステル交換反応に由来する。反応性に関して特に不都合なものは、2−プロパノール(R−4及びR−5)などの安定剤である。逆に、tert−ブタノール(Z−2)などのより高級なアルコールは、接着及び安定性に対するさらなる影響を、実質的に有しない。
【0120】
表2からも明らかであるように、本発明の接着剤系に適した接着促進剤組成物Z−1からZ−3は、非常に反応性が高く、空気中で、開封時からわずか数分間しかもたず、その後、沈殿及び濁りという形で有害作用を示し始める。したがって、適用の形態及び適用の分野に応じて、これらの接着剤組成物にとっては、例えばスプレー缶などの適切な密閉適用容器中に入れられることがきわめて有利である。
【0121】
様々な接着剤系の比較
従来の非本発明接着剤系と比較した場合の本発明の接着剤系の効果を実証するために、さらなる接着実験を実施した。接着促進剤及び接着剤の適用、並びに接着実験の評価は、上に記載したステップ(適用及び硬化、接着試験)に従って行った。唯一の違いは、より遅い非本発明接着剤系に、完全に硬化するのに十分な時間を与えるための、適用後23℃かつ50%r.h.で3日ではなく7日という、より長い硬化時間であった。この一連の試験では、(本発明のものを含めて)すべての接着剤系を、硬化のために7日間保管し、その後接着を試験した。この一連の試験では、上で使用した3種の接着基材に加えて、2種のさらなる接着基材を試験した:
−基材1:フロートガラス(フロートガラスプロセスによって製造された板ガラス)Sn面、Rocholl GmbH、Germany
−基材2:Ferro frit 14279、フロートガラス上の合わせ安全ガラスについて、Rocholl GmbH、Germany
−基材3:Ferro frit 3402、フロートガラス上の温度処理された安全ガラスについて、Rocholl GmbH、Germany
−基材4:フロートガラス(フロートガラスプロセスによって製造された板ガラス)空気面、Rocholl GmbH、Germany
−基材5:Ferro frit 14251、フロートガラス上の合わせ安全ガラスについて、Rocholl GmbH、Germany
【0122】
本発明の接着促進剤組成物としてZ−2(表1参照)、非本発明接着促進剤組成物R−8(表1参照)、また、参照として市販品として入手可能な製品)Sika(商標)Aktivator PRO(Sika Schweiz)を使用した。
【0123】
すべての場合において用いられた接着剤は、またもや、一剤型のポリウレタン接着剤SikaTack(商標)MOVE
IT(Sika Schweiz)であったが、本発明の接着剤系については、さらに、引張せん断強度の急速な進行という本発明の要件を可能にするために、水を含有する加速剤ペースト(Sika(商標)Booster Paste、Sika Schweiz AG)を、50:1(接着剤の体積対ブースターの体積)の比率で力強く混合した。
【0124】
接着試験の結果を、表3に表す。
【0125】
【表4】
【0126】
表3の結果は、本発明の接着剤系の促進された接着剤について、本発明の接着促進剤組成物(この場合にはZ−2)のみが、欠点のない接着を可能にし、試験されたすべての接着基材に対してこれを成すことを示す。
【0127】
様々なシーリング材料の研究
様々なシーリング材料を、上で規定した組成Z1に従うアクチベーター溶液中で、3週間保管した。この時間の後、材料の膨潤の割合を確認した。ここで得られた結果は、次の通りであった:
【0128】
【表5】
【0129】
上の研究から、特に、スチレン−ブタジエンゴム、また(二)フッ化ビニリデンをベースにする材料が、記載された接着促進剤系に適したシーリング材料であることが明らかである。
【0130】
さらなる試験では、記載された組成Z1に従うアクチベーター組成物を、ネオプレンの封止が取り付けられたスプレー缶内で、室温で保管した。封止は、室温での2か月間の保管後のたった1回の適用後には、もはや気密ではなかったことが判明した。
【0131】
本発明の接着促進剤系の長期有用性能力の研究
保護塗装を伴い、ポリアミド/POMをベースにする上部作動弁を有し、上向き適用のための弁と、開口径1mmの噴出適用ノズルを備えた一剤アクチュエーターとを含むブリキを提供することができ、上に記載した接着促進剤組成物Z1を満たし、噴射剤を装備した。室温(25℃)での3か月の試験の過程で、週に1回、送出装置を介して10秒間アクチベーターを送り込んだ。接着促進剤系が、保管及び適用試験の3か月後でも、問題なく使用できることが判明した。
【0132】
上に記載した例示的実施態様は、効果を実証するためだけに役立ち、本発明を、示された用途に限定しない。