(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
被加工物を保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持された該被加工物を加工する加工ユニットと、該被加工物を加工する加工領域と該被加工物を搬出入する搬出入領域との間で該チャックテーブルを加工送り方向へ移動する加工送りユニットと、を備える加工装置に設置され、該被加工物を該搬出入領域の該チャックテーブルに搬出入する加工装置の搬送機構であって、
該搬出入領域に隣接し、該加工送りユニットの側方の領域で、スペーサを介して被加工物を積層して支持するロードテーブルと、
該搬出入領域に隣接し、該加工送りユニットを挟んで該ロードテーブルと反対側の領域で、該スペーサを介して加工後の該被加工物を積層して支持するアンロードテーブルと、
被加工物保持部とスペーサ保持部とを備え、該ロードテーブルから該被加工物と該スペーサとを搬出して該チャックテーブルに該被加工物のみ搬入し、該ロードテーブルから搬出して支持したままの該スペーサを加工後の該被加工物に重ねて該チャックテーブルから該アンロードテーブルに搬入する搬送ユニットと、を備えることを特徴とする加工装置の搬送機構。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0012】
図1は、実施形態にかかる加工装置の搬送機構を備えた加工装置の概略を示す斜視図である。
図1に示す加工装置1は、被加工物に対して切削加工を施す加工装置である。加工装置1は、
図1に示すように、チャックテーブル10と、加工ユニット20と、加工送りユニット31と、割り出し送りユニット32と、切削送りユニット33と、実施形態にかかる加工装置の搬送機構40とを備える。
【0013】
加工装置1により切削加工される被加工物Wは、特に限定されないが、例えば、シリコン、サファイア、ガリウム等を母材とする板状の半導体ウェーハや光デバイスウェーハ、セラミックス、ガラス、サファイア系の板状の無機材料基板、金属や樹脂等の板状の延性材料等、各種の板状の加工材料である。被加工物Wは、
図1に示すように、環状フレームFの開口F1(
図2参照)に粘着テープTを介して固定され、環状フレームFと共にフレームユニットFUを形成する。すなわち、本実施形態において、被加工物は、環状フレームFの開口F1に被加工物Wが粘着テープTで支持されたフレームユニットFUの形態をなす。
【0014】
チャックテーブル10は、例えば吸引路を備える金属やポーラスセラミックで構成され、被加工物Wを吸着保持する盤状の保持面10aを有している。チャックテーブル10は、真空吸引経路(図示せず)を介して真空吸引源(図示せず)と接続され、保持面10aに載置された被加工物Wを吸引することで保持する。チャックテーブル10は、加工送りユニット31によって加工送り方向(
図1に示すX軸方向)に移動自在とされている。また、チャックテーブル10は、回転駆動源(図示せず)により、Z軸と平行な中心軸線回りに回転自在に設けられている。
【0015】
加工ユニット20は、チャックテーブル10に保持された被加工物Wを切削加工する。加工ユニット20は、装置本体2に設けられた門型の柱部3上に、割り出し送りユニット32及び切削送りユニット33を介して、割り出し送り方向(
図1に示すY軸方向)及び切削送り方向(
図1に示すZ軸方向)に移動可能に取り付けられている。加工ユニット20は、
図1に示すように、チャックテーブル10に保持された被加工物Wを加工する2つの切削ブレード21と、各切削ブレード21が装着される2つのスピンドル22と、各スピンドル22を支持する2つのハウジング23とを備える。切削ブレード21は、極薄の円板状で、かつ環状に形成された切削砥石である。スピンドル22は、切削ブレード21を着脱可能に装着する。ハウジング23は、モータ等の駆動源を有しており、Y軸周りに回転自在にスピンドル22を支持する。
【0016】
加工送りユニット31は、加工送り方向に移動可能な移動テーブル311を備える。移動テーブル311上には、チャックテーブル10が設けられる。移動テーブル311の加工送り方向の両側には、蛇腹状カバー35が取り付けられている。蛇腹状カバー35は、布などの折り畳み自在な適宜の材料で構成され、移動テーブル311の移動領域を覆い、移動テーブル311の移動に伴って加工送り方向に沿って伸縮する。また、加工送りユニット31は、装置本体2の内部に設けられた図示しない移動機構を有している。移動機構は、例えばパルスモータやボールねじ、ガイドレール等を含んで構成されており、被加工物Wを加工する加工領域4と被加工物Wを搬出入する搬出入領域5との間で、移動テーブル311を装置本体2に対して加工送り方向に相対移動させる。それにより、加工送りユニット31は、加工領域4と搬出入領域5との間で、移動テーブル311を介してチャックテーブル10を加工送り方向に移動させる。
【0017】
割り出し送りユニット32は、柱部3に支持されており、切削送りユニット33を支持している。割り出し送りユニット32は、例えばパルスモータやボールねじ、ガイドレール等を含んで構成されており、切削送りユニット33を介して加工ユニット20を装置本体2に対して割り出し送り方向に相対移動させる。また、切削送りユニット33は、割り出し送りユニット32により支持されており、加工ユニット20を支持している。切削送りユニット33は、例えばサーボモータやボールねじ、ガイドレール等を含んで構成されており、加工ユニット20を装置本体2に対して切削送り方向に相対移動させる。これより、加工装置1は、加工送りユニット31、割り出し送りユニット32及び切削送りユニット33によってチャックテーブル10と加工ユニット20とを相対移動させ、チャックテーブル10の保持面10a上に保持された被加工物Wを加工ユニット20の切削ブレード21により切削加工する。
【0018】
次に、実施形態にかかる加工装置の搬送機構について、図面に基づいて説明する。
図2は、本実施形態の搬送機構において搬送される被加工物が形成するフレームユニットにスペーサを取り付ける様子を示す斜視図であり、
図3は、スペーサが取り付けられたフレームユニットを示す斜視図であり、
図4は、フレームユニットを搬送機構のロードテーブル又はアンロードテーブルに積層した様子を示す断面図であり、
図5は、搬送機構の載せ替えユニットによりフレームユニットを吸着保持する様子を示す断面図である。
【0019】
搬送機構40は、加工装置1に設置される。搬送機構40は、
図1に示すように、ロードテーブル41と、アンロードテーブル42と、搬送ユニット50とを備える。搬送機構40は、ロードテーブル41及びアンロードテーブル42と、搬出入領域5に位置づけられたチャックテーブル10との間で被加工物W(フレームユニットFU)を搬出入する。
【0020】
ここで、
図2及び
図3に示すように、本実施形態において、被加工物Wは、フレームユニットFUを形成する環状フレームF上に環状のスペーサSが載置された状態で、搬送機構40により搬送される。スペーサSは、
図4に示すように、環状フレームFの開口F1の内周面に当接可能な段差部S1を有する。スペーサSは、段差部S1が環状フレームFの開口F1の内周面に当接した状態(環状フレームF上に載置された状態)で、粘着テープT上に貼り付けられた被加工物Wよりも、その上面が鉛直方向上側となる厚みを有している。なお、スペーサSは、環状フレームFの開口F1に段差部S1が嵌合されるものであってもよい。これにより、
図4に示すように、スペーサSを介して、複数のフレームユニットFUを互いに接触しないようにロードテーブル41又はアンロードテーブル42上に積層することができる。なお、
図4に示す例では、ロードテーブル41又はアンロードテーブル42上に3つのフレームユニットFUを積層するものとしたが、フレームユニットFUの積層数は、これに限られず、2つ以下でもよいし、4つ以上でもよい。
【0021】
ロードテーブル41は、スペーサSを介して加工前の被加工物Wを複数積層して支持する。ロードテーブル41は、搬出入領域5に隣接し、加工送りユニット31の側方の領域に配置される。加工装置1は、
図1に示すように、搬出入領域5の両脇、すなわち加工送りユニット31の側方の領域にスペースを有している。ロードテーブル41は、初期位置として、この搬出入領域5の両脇の一方のスペースに配置される。以下の説明において、
図1に示すロードテーブル41が初期位置として配置される領域を「ロード領域7」という。本実施形態において、ロードテーブル41は、四角形状に形成された板状部材である。なお、ロードテーブル41は、円盤状であってもよい。ロードテーブル41は、フレームユニットFUを載置可能な平坦な載置面41aを有する。
【0022】
また、ロードテーブル41は、載置面41aの周囲に設けられた複数(本実施形態では、4つ)の突き当て部41bを有する。突き当て部41bは、ロードテーブル41の上面から鉛直方向上側に向けて延びる棒状部材である。突き当て部41bは、
図4に示すように、ロードテーブル41上に複数のフレームユニットFUを積層した状態で、最上位に位置するフレームユニットFUの環状フレームFよりも鉛直方向上側まで延びる。これにより、突き当て部41bは、載置面41a上に積層された複数のフレームユニットFUが、載置面41aの面方向に移動するのを規制する。
【0023】
アンロードテーブル42は、スペーサSを介して加工後の被加工物Wを複数積層して支持する。アンロードテーブル42は、搬出入領域5に隣接し、加工送りユニット31を挟んでロードテーブル41と反対側の領域に配置される。すなわち、アンロードテーブル42は、初期位置として、加工装置1が有する搬出入領域5の両脇の他方のスペースに配置される。以下の説明において、
図1に示すアンロードテーブル42が初期位置として配置される領域を「アンロード領域8」という。本実施形態において、アンロードテーブル42は、ロードテーブル41と同様に、四角形状に形成された板状部材である。なお、アンロードテーブル42は、円盤状であってもよい。アンロードテーブル42は、フレームユニットFUを載置可能な平坦な載置面42aを有する。
【0024】
また、アンロードテーブル42は、載置面42aの周囲に設けられた複数(実施形態では、4つ)の突き当て部42bを有する。突き当て部42bは、アンロードテーブル42の上面から鉛直方向上側に向けて延びる棒状部材である。突き当て部42bは、アンロードテーブル42上に複数のフレームユニットFUを積層した状態で、最上位に位置するフレームユニットFUの環状フレームFよりも鉛直方向上側まで延びる。これにより、突き当て部42bは、載置面42a上に積層された複数のフレームユニットFUが、載置面42aの面方向に移動するのを規制する。
【0025】
搬送ユニット50は、ロードテーブル41から被加工物WとスペーサSとを搬出してチャックテーブル10に被加工物Wのみ搬入し、ロードテーブル41から搬出して支持したままのスペーサSを加工後の被加工物Wに重ねてチャックテーブル10からアンロードテーブル42に搬入する機構である。搬送ユニット50は、ロードテーブル移動ユニット51と、アンロードテーブル移動ユニット52と、載せ替えユニット60とを備える。
【0026】
ロードテーブル移動ユニット51は、ロードテーブル41を搬出入領域5に位置付けられたチャックテーブル10の直上の直上領域6に移動させる機構である。また、アンロードテーブル移動ユニット52は、アンロードテーブル42を直上領域6に移動させる機構である。ロードテーブル移動ユニット51とアンロードテーブル移動ユニット52は、一対のガイドレール53を共通して備えている。一対のガイドレール53は、
図1に示すように、装置本体2上において、搬出入領域5を跨いでロード領域7からアンロード領域8までをY軸方向(割り出し送り方向)に延びる。なお、一対のガイドレール53は、チャックテーブル10の保持面10aよりも鉛直方向上側の位置に設けられ、搬出入領域5に位置づけられたチャックテーブル10と干渉することはない。
【0027】
ロードテーブル移動ユニット51は、エアシリンダ51aによって発生する力によって、ロードテーブル41を一対のガイドレール53に沿ってロード領域7と直上領域6との間で移動させる。また、アンロードテーブル移動ユニット52は、エアシリンダ(図示せず)によって発生する力によって、アンロードテーブル42を一対のガイドレール53に沿ってアンロード領域8と直上領域6との間で移動させる。なお、ロードテーブル移動ユニット51は、チャックテーブル10と干渉するおそれがなければ、エアシリンダ51aに代えて、例えばパルスモータやボールねじを用いた機構によりロードテーブル41を一対のガイドレール53に沿って移動させてもよい。アンロードテーブル移動ユニット52も同様である。
【0028】
なお、実施形態の加工装置1において、アンロードテーブル42の移動経路の鉛直方向上側には、エアーノズル70が配置されている。エアーノズル70は、アンロードテーブル42が直上領域6からアンロード領域8に移動するまでの間に、アンロードテーブル42に支持された被加工物Wにエアーを噴出することで、切削加工中に被加工物Wに付着した切削屑や切削液等を除去する。
【0029】
載せ替えユニット60は、鉛直方向に移動し、搬出入領域5に位置付けられたチャックテーブル10と、直上領域6に位置付けられたロードテーブル41又はアンロードテーブル42との間で被加工物WとスペーサSとを搬送する。載せ替えユニット60は、
図1に示すように、直上領域6の鉛直方向上側に配置され、図示しない駆動機構を介して、装置本体2に対して鉛直方向に相対移動可能に加工装置1に取り付けられる。載せ替えユニット60は、先端部に形成されたH型のブラケット61を有する。ブラケット61は、
図5に示すように、各先端部に、真空吸引源と接続された真空吸着式の吸着パッドである被加工物保持部62及びスペーサ保持部63を有する。各被加工物保持部62は、
図5に示すように、フレームユニットFUの環状フレームFの上面を吸着保持する。また、各スペーサ保持部63は、
図5に示すように、スペーサSの上面を吸着保持する。すなわち、載せ替えユニット60は、フレームユニットFUとスペーサSとを一体に吸着保持する。
【0030】
次に、搬送機構40による被加工物Wの搬送動作について、図面に基づいて説明する。
図6から
図8は、被加工物Wの加工前後における一連の搬送動作を示す。
図6は、加工前の被加工物をロードテーブルから搬出する様子を示す説明図であり、
図7は、加工前後において被加工物をチャックテーブルへと搬出入する様子を示す説明図であり、
図8は、加工後の被加工物をアンロードテーブルへと搬出する様子を示す説明図である。
【0031】
まず、
図6のステップST1に示すように、初期位置であるロード領域7に配置されたロードテーブル41上に、スペーサSを介して複数のフレームユニットFUを積層して支持する。次に、ステップST2に示すように、ロードテーブル41を直上領域6に移動させる。そして、ステップST3に示すように、載せ替えユニット60を鉛直方向下側へと移動させ、フレームユニットFUの環状フレームFの上面に各被加工物保持部62を当接させると共に、スペーサSの上面にスペーサ保持部63を当接させる。さらに、載せ替えユニット60に接続された真空吸引源を作動させ、被加工物保持部62によりフレームユニットFUの環状フレームFを吸着保持すると共に、スペーサSをスペーサ保持部63により吸着保持する。そして、ステップST4に示すように、載せ替えユニット60を鉛直方向上側へと移動させ、フレームユニットFU及びスペーサSをロードテーブル41上から持ち上げる。その後、ステップST5に示すように、ロードテーブル41を直上領域6からロード領域7へと移動させる。
【0032】
続いて、
図7のステップST6に示すように、載せ替えユニット60を鉛直方向下側へと移動させ、フレームユニットFUをチャックテーブル10上に載置する。なお、チャックテーブル10は、ステップST6が行われる時点で搬出入領域5に位置付けられていればよく、
図6のステップST1からステップST5が行われる間は、加工領域4と搬出入領域5とのいずれに位置付けられてもよい。この時点で、チャックテーブル10に接続された真空吸引源を作動させ、チャックテーブル10によりフレームユニットFUを吸着保持する。ここで、フレームユニットFUに対するチャックテーブル10の吸着保持力は、フレームユニットFUに対する載せ替えユニット60の吸着保持力よりも強く設定されている。そのため、ステップST7に示すように、載せ替えユニット60を鉛直方向上側へと移動させると、フレームユニットFUに載置されたスペーサSだけが載せ替えユニット60により吸着保持され、フレームユニットFUは、チャックテーブル10上に吸着保持された状態を維持する。これにより、フレームユニットFUからスペーサSを離した状態で、チャックテーブル10を搬出入領域5から加工領域4へと移動させて、加工ユニット20により被加工物Wに切削加工を施すことが可能となる。被加工物Wの加工中、載せ替えユニット60は、スペーサSを保持したまま待機する。
【0033】
加工ユニット20による被加工物Wの加工が完了し、チャックテーブル10が搬出入領域5へと移動すると、ステップST8に示すように、待機していた載せ替えユニット60を鉛直方向下側に移動させ、チャックテーブル10上のフレームユニットFUの上にスペーサSを載置する。それにより、載せ替えユニット60によってフレームユニットFU及びスペーサSの双方を吸着保持する。また、チャックテーブル10によるフレームユニットFUの吸着保持を解除する。その後、ステップST9に示すように、載せ替えユニット60を鉛直方向上側へと移動させ、載せ替えユニット60により吸着保持されたフレームユニットFU及びスペーサSをチャックテーブル10から持ち上げる。
【0034】
続いて、
図8のステップST10に示すように、アンロードテーブル42をアンロード領域8から直上領域6へと移動させる。次に、ステップST11に示すように、載せ替えユニット60を鉛直方向下側へと移動させ、フレームユニットFU及びスペーサSをアンロードテーブル42上に載置し、載せ替えユニット60によるフレームユニットFU及びスペーサSの吸着保持を解除する。そして、ステップST12に示すように、載せ替えユニット60を鉛直方向上側へと移動させた後、ステップST13に示すように、アンロードテーブル42を直上領域6からアンロード領域8へと移動させる。なお、チャックテーブル10は、
図8のステップST10からステップST13が行われる間、加工領域4と搬出入領域5とのいずれに位置付けられてもよい。以降、
図6から
図8に示す同様の手順を繰り返し実行し、次の被加工物Wの加工を行い、
図4に示すように、加工後の被加工物W(フレームユニットFU)をアンロードテーブル42上に積層する。
【0035】
以上説明したように、実施形態にかかる加工装置1の搬送機構40は、加工装置1の搬出入領域5に隣接するスペース(ロード領域7、アンロード領域8)にロードテーブル41とアンロードテーブル42とを配置し、ロードテーブル41及びアンロードテーブル42とチャックテーブル10との間で被加工物W(フレームユニットFU)を搬送ユニット50によって搬出入する。これにより、搬出入領域5の両脇のスペースを利用しながら搬送機構40を加工装置1に設けることができるため、加工装置1を大型化させることなく、搬送機構40による被加工物Wの自動搬出入を実現することが可能となる。したがって、実施形態にかかる加工装置1の搬送機構40は、加工装置1の省スペース化を維持しながら、被加工物Wの搬送に関するオペレータの負担を低減することができる。
【0036】
また、実施形態にかかる加工装置1の搬送機構40は、スペーサSを介して複数の被加工物W(フレームユニットFU)を積層してロードテーブル41及びアンロードテーブル42で支持することができる。これにより、複数の加工前の被加工物Wを一度にロードテーブル41にセットし、複数の加工後の被加工物Wを一度にアンロードテーブル42から離脱させることが可能となる。その結果、被加工物Wを一つずつロードテーブル41やアンロードテーブル42で支持する場合に比べて、オペレータの作業効率をより向上させることが可能となる。
【0037】
また、実施形態にかかる加工装置1の搬送機構40は、加工ユニット20により一つの被加工物Wを加工している間に、ロードテーブル41をロード領域7に配置すると共に、アンロードテーブル42をアンロード領域8に配置することができる。これにより、被加工物Wを加工している間に、オペレータが任意のタイミングでロードテーブル41上に他の被加工物Wをセットしたり、アンロードテーブル42から他の被加工物Wを離脱したりすることが可能となる。その結果、被加工物Wの着脱作業による加工装置1の停止時間を極力削減することができ、オペレータの負担をさらに低減させ、最低限のオペレータで加工装置1を稼働させて、効率的な加工作業を行うことが可能となる。
【0038】
また、スペーサSを介して被加工物Wを積層して支持することで、被加工物Wを複数保持しておくためのカセット設備を用いる必要がない。すなわち、実施形態にかかる加工装置1の搬送機構40は、カセット自体の配置スペースや、カセットから被加工物Wをスライドさせて取り出すためのスペース、被加工物Wをスライドさせるためのガイドレール、被加工物Wを把持する把持アームといった機構を、さらに追加して設ける必要がない。すなわち、搬送機構40を比較的に簡易な構成とした上で、複数の被加工物Wの自動搬出入を実現することができる。これにより、加工装置1に搬送機構40を設けても、加工装置1の省スペース化を良好に維持することができる。また、カセット設備を設けることによるコストの増加を抑制することができる。さらに、このように搬送機構40を比較的簡易な構成とすると共に、搬出入領域5の両脇のスペースを利用することで、カセット設備や被加工物の搬送機構を有していない既存の加工装置に対して、搬送機構40を比較的容易に追加設置することができる。
【0039】
また、搬送ユニット50は、ロードテーブル41を、搬出入領域5に位置付けられたチャックテーブル10の直上の直上領域6に移動させるロードテーブル移動ユニット51と、アンロードテーブル42を直上領域6に移動させるアンロードテーブル移動ユニット52と、鉛直方向に移動し、搬出入領域5に位置付けられたチャックテーブル10と、直上領域6に位置付けられたロードテーブル41又はアンロードテーブル42との間で被加工物WとスペーサSとを搬送する載せ替えユニット60と、を備える。
【0040】
これにより、例えばカセット設備を用いる場合のように、被加工物Wをスライド移動させることなく、直上領域6に移動させたロードテーブル41から、被加工物Wを鉛直方向上側から搬出でき、直上領域6に移動させたアンロードテーブル42へと被加工物Wを鉛直方向上側から搬入できる。その結果、被加工物Wの搬出入を容易に行うことができる。なお、搬送ユニット50からロードテーブル移動ユニット51又はアンロードテーブル移動ユニット52を省略し、載せ替えユニット60をロード領域7と直上領域6との間、アンロード領域8と直上領域6との間で移動可能に構成してもよい。
【0041】
また、被加工物は、環状フレームFの開口F1に被加工物Wが粘着テープTで支持されたフレームユニットFUであり、ロードテーブル41は、フレームユニットFUが面方向に移動するのを規制する突き当て部41bを備え、アンロードテーブル42は、フレームユニットFUが面方向に移動するのを規制する突き当て部42bを備える。
【0042】
これにより、突き当て部41b、42bにより、フレームユニットFUが移動中のロードテーブル41又はアンロードテーブル42上から落ちてしまうことを防ぐことができる。なお、突き当て部41b、42bは、ロードテーブル41及びアンロードテーブル42から省略されてもよいし、ロードテーブル41及びアンロードテーブル42の何れか一方にのみ形成されてもよい。
【0043】
また、被加工物Wは、環状フレームFと共にフレームユニットFUを形成するものでなくてもよい。
図9は、変形例にかかる被加工物にスペーサを固定する様子を示す斜視図であり、
図10は、スペーサが固定された変形例にかかる被加工物を示す斜視図であり、
図11は、変形例にかかる被加工物を搬送機構のロードテーブル上から載せ替えユニットにより吸着保持して持ち上げる様子を示す断面図である。
【0044】
図9及び
図10に示すように、変形例にかかる被加工物Wは、環状フレームFを用いることなく、粘着テープTに貼り付けられた状態で搬送機構40により搬送されると共に、加工装置1で加工される。粘着テープT上には、被加工物Wの周りを囲むように、スペーサSAが貼り付けられる。この場合、スペーサSAは、被加工物Wの外径よりも大きな内径を有し、かつ、被加工物Wの厚みよりも大きな厚みを有する部材であればよい。また、スペーサSAは、段差部S1を有する必要がない。
図9及び
図10に示す例では、スペーサSAは、四角形状に形成されているが、円環状に形成されてもよい。
【0045】
これにより、
図11に示すように、スペーサSAを介して、複数の被加工物Wをロードテーブル41上に積層して支持することができる。アンロードテーブル42においても、同様に、スペーサSAを介して、複数の被加工物Wを積層して支持することができる。本実施形態では、カセット設備を用いないため、環状フレームFによりフレームユニットFUを形成しなくとも、ロードテーブル41の平坦な載置面41a上、アンロードテーブル42の平坦な載置面42a上に被加工物Wを安定に保持することができる。
【0046】
このようにフレームユニットFUを形成しない被加工物Wを載せ替えユニット60によって吸着保持する際には、
図11に示すように、載せ替えユニット60の被加工物保持部62によって粘着テープTを吸着保持すると共に、スペーサ保持部63によってスペーサSAを吸着保持する。その後、チャックテーブル10上に被加工物WとスペーサSAとを載置し、チャックテーブル10により粘着テープTを介して被加工物Wを吸着保持する。ここで、粘着テープTを介した被加工物Wに対するチャックテーブル10の吸着保持力は、粘着テープTに対する被加工物保持部62の吸着保持力よりも強く、かつ、スペーサSAに対する粘着テープTの粘着力よりも強く設定される。そのため、チャックテーブル10により粘着テープTを介して被加工物Wを吸着保持した後、載せ替えユニット60を鉛直方向上側へと移動させれば、スペーサSAのみが粘着テープTから剥離され、被加工物Wはチャックテーブル10上に吸着された状態を維持する。これにより、スペーサSAが離れた被加工物Wに加工を施すことが可能となる。被加工物Wの加工が完了した後は、載せ替えユニット20を鉛直方向下側へと移動させれば、スペーサSAを粘着テープTに貼着し、再び被加工物WとスペーサSAとを一体化させることができる。
【0047】
また、本実施形態では、ロードテーブル41、アンロードテーブル42を一対のガイドレール53に沿ってY軸方向(割り出し送り方向)に移動させるものとしたが、ロードテーブル41、アンロードテーブル42の移動経路は、これに限られない。
図12は、変形例にかかる搬送機構40Aを模式的に示す説明図である。図示するように、ロードテーブル41、アンロードテーブル42をY軸方向(割り出し送り方向)に対して傾斜した角度で移動させてもよい。これにより、ロードテーブル41、アンロードテーブル42の側方の領域に何らかの障害物がある場合に、障害物との干渉を回避させることができる。また、ロードテーブル41、アンロードテーブル42の移動距離を短くすることができる。
【0048】
また、本実施形態では、ロードテーブル41又はアンロードテーブル42に被加工物W又はフレームユニットFUを載置するものとしたが、ロードテーブル41又はアンロードテーブル42は、図示しない真空吸引源に接続され、被加工物W又はフレームユニットFUを吸着保持するものであってもよい。
【0049】
また、本実施形態では、載せ替えユニット60の被加工物保持部62及びスペーサ保持部63を真空吸着式の吸着パッドとし、被加工物保持部62による被加工物W(フレームユニットFU又は粘着テープT)への吸着動作と、スペーサ保持部63によるスペーサS、SAへの吸着動作を同時に行うものとしたが、これらの吸着動作を別々に制御してもよい。それにより、
図7のステップST7に示すタイミングで、被加工物保持部62による被加工物W(フレームユニットFU又は粘着テープT)への吸着のみを解除すれば、載せ替えユニット60により被加工物WからスペーサS、SAだけを容易に持ち上げることができる。
【0050】
また、環状フレームFが磁性材料で形成される場合、被加工物保持部62は、磁力によってフレームユニットFUを保持するものであってもよい。この場合にも、フレームユニットFUに対するチャックテーブル10の吸着保持力は、フレームユニットFUに対する被加工物保持部62の磁力による保持力よりも強く設定される。また、スペーサS、SAが磁性材料で形成される場合、スペーサ保持部63は、磁力によってスペーサS、SAを保持するものであってもよい。