(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記少なくとも1つの塩基は、1−メチルイミダゾール、2,4−エチルメチルイミダゾール、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)およびそれらの混合物からなる群から選択される、窒素を含有する非イオン性塩基であることを特徴とする、請求項1に記載の触媒組成物。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書において使用される「少なくとも1つの」は、1以上、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9またはそれ以上に関する。本明細書に記載される触媒組成物の成分と併せて、この情報は、分子の絶対量ではなく、成分の種類に関する。従って、「少なくとも1つのイオン性化合物」は、例えば、1以上の異なるイオン性化合物、すなわち、1以上の異なる種類のイオン性化合物を意味する。数量の詳細とともに、数量の詳細は、上記で既に定義された、対応する名前のついた種類の成分の全体量に関する。
【0015】
エポキシ基を含有する樹脂、特に、エポキシ/ポリウレタンハイブリッド樹脂を硬化するための本発明による触媒組成物は、式(I)の少なくとも1つのイオン性化合物を含んでなる。
【化2】
【0016】
式(I)中のR
1およびR
3は、いずれの場合にも、互いに独立して、1〜20個の炭素原子を有する置換または非置換の直鎖状または分岐状のアルキル、3〜20個の炭素原子を有する置換または非置換の直鎖状または分岐状のアルケニルおよび5〜20個の炭素原子を有する置換または非置換のアリールからなる群から選択される。好ましくは、R
1およびR
3は、1〜10個の炭素原子を有する置換または非置換の直鎖状または分岐状のアルキルおよび5〜10個の炭素原子を有する置換または非置換のアリールからなる群から選択される。
【0017】
基R
4およびR
5は、いずれの場合にも、互いに独立して、水素、1〜20個の炭素原子を有する置換または非置換の直鎖状または分岐状のアルキル、3〜20個の炭素原子を有する置換または非置換の直鎖状または分岐状のアルケニル、1〜20個の炭素原子を有する置換または非置換の直鎖状または分岐状のアルコキシおよび5〜10個の炭素原子を有する置換または非置換のアリールからなる群から選択される。式(I)中、R
4およびR
5は、好ましくは水素である。
【0018】
異なる実施形態では、R
1およびR
5ならびに/またはR
3およびR
4またはR
4およびR
5は、それらが結合している炭素原子または窒素原子と一緒になって、5〜6員の置換または非置換のシクロアルキル環、シクロヘテロアルキル環、アリール環またはヘテロアリール環を形成することができ、ここで、前記シクロヘテロアルキル環またはヘテロアリール環は、O、NおよびSから選択される1〜3個のヘテロ原子を含有する。従って、具体的な実施形態では、R
1およびR
5とR
3およびR
4の両方は、互いに結合して、環を形成することができる。しかしながら、R
4およびR
5は、互いに結合して、特に、6員のアリール環を形成し、その結果、得られた化合物がベンズイミダゾリウムまたはベンズイミダゾリジニウムであることが好ましい。
【0019】
式(I)のアニオンXは、本発明による用途に好適な公知のものであり、単に、式(I)のイオン性化合物のカチオンの電荷を等しくする役割を果たし得る任意のアニオンであり得る。アニオンがキレート化特性を有さない場合に有利であり得る。好ましい実施形態では、Xは、ジシアンジアミドアニオン、F
−、Cl
−、Br
−、I
−、OH
−、HSO
3−、SO
32−、SO
42−、NO
2−、NO
3−、PO
43−、BF
4−、PF
6−、ClO
4−、アセテート、シトレート、ホルメート、グルタレート、ラクテート、マレート、マロネート、オキサレート、ピルベート、タートレート、シアナミド、SCN
−およびP(OEt)
2O
2−からなる群から選択される。特に好ましい実施形態では、Xは、Cl
−、Br
−、I
−、SO
42−、NO
2−、NO
3−、PO
43−、BF
4−、SbF
6−、PF
6−、ClO
4−、アセテート、シアナミド、SCN
−およびP(OEt)
2O
2−からなる群から選択される。
【0021】
本明細書に記載される触媒組成物は、いくつかの異なる、式(I)のイオン性化合物を含有し得る。
【0022】
本明細書において使用される「アルキル」は、例えば、メチル、エチル、n−プロピルおよびイソプロピルなどの直鎖状または分岐状のアルキル基に関する。アルキル残基は、置換または非置換のものであり得るが、好ましくは非置換のものである。それらが置換されている場合、置換基は、特に、C
6−14−アリール、−OR、−NRR’(式中、RおよびR’は、各々独立に、Hまたは非置換のC
1−10アルキルであり得る)からなる群から選択される。
【0023】
本明細書において使用される「アルケニル」は、例えば、エテニル、n−プロペニル、イソプロペニルおよびn−ブテニルなどの、少なくとも1つのC=C二重結合を有する直鎖状または分岐状のアルケニル基に関する。アルキレニル残基は、置換または非置換のものであり得るが、好ましくは非置換のものである。それらが置換されている場合、置換基は、特に、C
6−14−アリール、−OR、−NRR’(式中、RおよびR’は、各々独立に、Hまたは非置換のC
1−10アルキルであり得る)からなる群から選択される。
【0024】
本明細書において使用される「アリール」は、例えば、フェニル、ナフチル、アントラセニルなどのような、少なくとも1つの芳香環を有し得るがいくつかの縮合環も有し得る芳香族基に関する。アリール残基は、置換または非置換のものであり得る。それらが置換されている場合、置換基は、C
1−10−アルキル、C
2−10アルケニル、−OR、−NRR’(式中、RおよびR’は、各々独立に、Hまたは非置換のC
1−10アルキルであり得る)からなる群から選択される。
【0025】
本発明の異なる実施形態では、式(I)の化合物は、1,3−置換イミダゾリウム化合物であり、すなわち、R
2、R
4およびR
5は、水素である。置換基R
1およびR
3は、好ましくは、非置換のC
1−4−アルキル残基、特に、メチルおよびエチルから選択され、(すなわち、前記化合物は、例えば、1−エチル−3−メチル−イミダゾリウム化合物であり)、あるいは非置換または置換のC
6−アリール残基、特に、1個以上のC
1−4アルキル置換基で置換されたフェニル、例えば、2,6−ジイソプロピルフェニルなどから選択される。
【0026】
前記アニオンは、特に、アセテート、クロリド、チオシアネート、ジエチルホスフェートまたはシアノシアナミドであり得る。
【0027】
異なる実施形態では、式(I)の化合物は、1−エチル−3−メチル−1H−イミダゾリウムアセテート、1−エチル−3−メチル−1H−イミダゾリウムチオシアネート、1−エチル−3−メチル−1H−イミダゾリウムシアノシアナミド、1−エチル−3−メチル−1H−イミダゾリウムジエチルホスフェートおよび1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)−1H−イミダゾリジニウムクロリドから選択される.
【0028】
さらに、本発明による触媒組成物は、少なくとも1つの塩基を含んでなる。好ましい実施形態では、その塩基は、使用条件下で式(I)の化合物の2位を脱プロトン化するのに十分な塩基度を有する。これは、その塩基が、式(I)の化合物の2位のH原子の酸定数より大きい酸定数pKsを有する対応する酸を有する(pKs(塩基)>pKs(化合物 式(I))ことを意味する。この酸定数の差は、好ましくは少なくとも1である。異なる実施形態では、その塩基の対応する酸は、10以上、特に、12〜14またはそれ以上のpKsを有する。この文脈で使用される「対応する酸」は、塩基のプロトン化形態に関する。
【0029】
特に好ましい実施形態では、前記塩基は、第3級窒素原子および/またはイミン窒素を含有する非イオン性窒素含有塩基である。式(I)のイオン性化合物を2位で脱プロトン化することが可能な任意の公知の非イオン性窒素含有塩基を使用することができる。
【0030】
本明細書において使用される用語「第3級」は、3つの有機残基が、単結合を介して、前記少なくとも1つの非イオン性塩基に含まれる窒素原子に共有結合していることを示す。
【0031】
あるいは、前記少なくとも1つのイオン性塩基は、イミン窒素原子を含有し得る。本明細書において使用される用語「イミン」は、既知のクラスの物質に関するものであり、窒素原子が1つの有機残基との共有二重結合およびさらなる有機残基との共有一重結合を有することを示す。イミンはシッフ塩基である。
【0032】
本発明の触媒組成物は、異なる実施形態では、いくつかの非イオン性塩基、例えば、イミン窒素を有する塩基および第3級窒素原子を有する塩基を含有し得る。これらの非イオン性塩基はまた、第3級窒素原子およびイミン窒素の両方を含有することにより第3級アミンおよびイミンの両方であり得る。
【0033】
異なる実施形態では、前記少なくとも1つの非イオン性塩基は、(II)NR
6R
7R
8の第3級アミンおよび/または式(III)N(=R
9)R
10のイミンである。
【0034】
それらの残基R
6〜R
8およびR
10は、いずれの場合にも、互いに独立して、1〜20個の炭素原子を有する置換または非置換の直鎖状または分岐状のアルキル、3〜20個の炭素原子を有する置換または非置換の直鎖状または分岐状のアルケニル、および5〜20個の炭素原子を有する置換または非置換のアリールからなる群から選択されるか、あるいはR
6〜R
8の少なくとも2つは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、5〜10員の、1個以上のさらなる窒素原子、特に、1個のさらなる窒素原子を含有していてよいヘテロ脂環式環またはヘテロアリール環を形成する。
【0035】
R
9は、3〜20個の炭素原子を有する置換または非置換の直鎖状または分岐状のアルキレニルであるか、あるいはR
9およびR
10は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、5〜10員の、さらなる窒素原子を含有していてよいヘテロ脂環式環またはヘテロアリール環を形成する。
【0036】
本明細書において使用される「アルキレニル」は、二重結合を介して窒素原子に結合しているアルキル残基に関する。置換されている場合、置換基は、アルキル残基について上記したように定義される。
【0037】
本発明の異なる実施形態では、前記第3級アミン塩基または前記イミン塩基は、少なくとも2個の窒素原子を含有する環式化合物であり、すなわち、残基R
6〜R
10の少なくとも2つは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、互いに結合して環を形成し、さらに、残基−NRR’の形態のさらなる窒素原子を含有し、ここで、その窒素原子は環原子であり、残基RまたはR’はその環の形成に関与する。異なる実施形態では、前記塩基は、例えば、イミダゾール誘導体、例えば、1−アルキル−イミダゾールまたは2,4−ジアルキルイミダゾールなど、アミジン誘導体、例えば、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)など、または二環式第3級アミン、例えば、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO;トリエチレンジアミン)などである。
【0038】
異なる実施形態では、前記少なくとも1つの非イオン性塩基は、1−メチルイミダゾール、2,4−エチルメチルイミダゾール、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0039】
代替実施形態では、前記塩基はまた、アルコラートまたはリチウムアルキル化合物から選択することができ、また、窒素を含有する上記塩基と組み合わせてよい。
【0040】
異なる実施形態では、前記触媒組成物は、1−エチル−3−メチル−1H−イミダゾリウム塩、特に、チオシアネート、および2,4−エチルメチルイミダゾールを含有する。
【0041】
前記触媒組成物は、式(I)の前記少なくとも1つのイオン性化合物と前記少なくとも1つの塩基とを、例えば、10:1〜1:10、好ましくは3:1〜1:3、特に好ましくは1.1:1〜1:1.1の重量比で含有し得る。
【0042】
本発明による触媒組成物は、上述の化合物からなり得、すなわち、純粋な形態の2つの成分の混合物として、存在し、貯蔵しまたは使用し得る。しかしながら、この組成物を溶媒、特に、有機溶媒に溶解することもできる。このために、本発明による用途に好適な公知の任意の溶媒を使用することができる。触媒組成物を使用する場合、および組成物が触媒として使用される方法では、溶媒は、それぞれ、使用または方法に関連する基準に従って選択され得る。この基準は、例えば、反応温度、使用される他の溶媒との混和性または使用される遊離体の種類であり得る。従って、溶媒は、高沸点有機溶媒であり得る。好ましい実施形態では、溶媒は、石油、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンおよびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0043】
異なる実施形態では、本発明の触媒組成物は、先行技術においてそういうものとして知られている一般的なさらなる成分を含んでなる
【0044】
本明細書に記載される触媒組成物で硬化されるエポキシ基を含有する樹脂には、本発明による用途に好適な公知の任意の樹脂が含まれる。本明細書において使用される用語「樹脂」は、モノマー、プレポリマーおよびポリマー、ならびに上述の混合物を含んでなる。エポキシ基を含有する好適な樹脂は、特に、1分子当たり1〜10個のエポキシ基を有する樹脂である。本明細書において使用される「エポキシ基」は、1,2−エポキシ基(オキシラン)に関する。エポキシ基を含有する樹脂は、原則として、飽和、不飽和、環式または非環式、脂肪族、脂環式、芳香族または複素環式ポリエポキシド化合物であり得る。好適な樹脂の例としては、限定されるものではないが、従来、アルカリの存在下、ポリフェノールでのエピクロロヒドリンもしくはエピブロモヒドリンの変換によって得られるポリグリシジルエーテルまたはフェノールホルムアルデヒドノボラック樹脂、アルキル置換フェノール−ホルムアルデヒド樹脂(エポキシノボラック樹脂)、フェノール−ヒドロキシベンズアルデヒド樹脂、クレゾール−ヒドロキシベンズアルデヒド樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール樹脂およびジシクロペンタジエン置換フェノール樹脂のポリグリシジルエーテルが挙げられる。この用途に好適なポリフェノールは、例えば、レゾルシノール、ピロカテコール、ヒドロキノン、ビスフェノールA(2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン)、ビスフェノールF(ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)イソブタン、4,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタンおよび1,5−ヒドロキシナフタレンである。エトキシル化レゾルシノールのジグリシジルエーテル、レゾルシノールのジグリシジルエーテル、ピロカテコール、ヒドロキノン、ビスフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールAP(1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン)、ビスフェノールF、ビスフェノールK、ビスフェノールF、ビスフェノールS、テトラメチルビフェノールおよび2〜20個の炭素原子を有するアルキレングリコールのジグリシジルエーテルおよびポリ(エチレンオキシド)またはポリ(プロピレンオキシド)グリコールも同様に適している。
【0045】
エポキシ基を含有するさらなる好適な樹脂は、多価アルコールまたはジアミンのポリグリシジルエーテルである。これらのポリグリシジルエーテルは、多価アルコール、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールまたはトリメチロールプロパンなどから誘導される。
【0046】
エポキシ基を含有するさらなる好適な樹脂は、例えば、グリシドールまたはエピクロロヒドリンを、脂肪族または芳香族ポリカルボン酸、例えば、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、テレフタル酸またはダイマー脂肪酸などと反応させることによって得ることができるポリカルボン酸のポリグリシジルエステルである。
【0047】
エポキシ基を含有する他の好適な樹脂は、オレフィン系不飽和環式脂肪族化合物または天然油脂のエポキシ化生成物から誘導される。
【0048】
さらなる好適なエポキシ樹脂は先行技術において知られており、例えば、Lee H. & Neville、K.、Handbook of Epoxy Resins、McGraw−Hill Book Company、1982年の新版に見出すことができる。
【0049】
エポキシ基を含有する好ましい化合物は、芳香族グリシジルエーテル、特にジグリシジルエーテル、非常に特に好ましくは芳香族グリシジルエーテルモノマーに基づくものである。その例は、限定されるものではないが、多価フェノールを過剰のクロロヒドリン、例えば、エピクロロヒドリンなどと反応させることによって得ることができる多価フェノールのジ−またはポリグリシジルエーテルである。このような多価フェノールとしては、レゾルシノール、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン(ビスフェノールF)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、2,2−ビス(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジブロモフェニル)プロパン、1,1,2,2−テトラキス(4’−ヒドロキシフェニル)エタンまたは酸性条件下で得られるフェノールとホルムアルデヒドとの縮合物、例えば、フェノールノボラックおよびクレゾールノボラックなどが挙げられる。
【0050】
ビスフェノールAのジグリシジルエーテルは、例えば、Dow Chemical Company(ミシガン州ミッドランド)からDER 331(液体ビスフェノールAエポキシ樹脂)およびDER 332(ビスフェノールAのジグリシジルエーテル)として入手することができる。具体的に記述していないが、Dow Chemical CompanyからDERおよびDENという商品名で入手することもできる他のエポキシ樹脂が使用される。
【0051】
異なる実施形態では、本明細書に記載される触媒組成物で硬化される組成物は、先行技術においてそういうものとして知られている一般的な追加の成分を含んでなる。
【0052】
例えば、硬化後に得られた組成物に改良された衝撃強度および低温特性を付与する変性樹脂を、例えば、さらなる成分として使用することができる。この種類のエポキシ基含有変性樹脂は、先行技術において知られており、1個を超えるエポキシド官能基を有するエポキシ樹脂と、カルボキシ官能性ゴム、ダイマー脂肪酸またはいわゆるコア/シェル型ポリマー(このコアは−30℃未満のガラス転移を有する)との反応生成物を含んでなる。エポキシ基を含有する樹脂は、この場合、好ましくは化学量論的過剰量で使用され、エポキシド官能性反応生成物を生成する。エポキシ基含有樹脂の過剰はまた、化学量論的過剰量をはるかに超えてもよい。エポキシド官能基が1個を超えることは、その化合物が1分子当たり1個を超える、好ましくは少なくとも2個の、1,2−エポキシ基を有することを意味する。150〜4000の間のエポキシド当量を有するエポキシ基含有変性樹脂が有利である。
【0053】
さらに、エポキシ基を含有する樹脂の少なくとも一部は、例えば、1,3−ジエンのコポリマーまたはエチレン系不飽和コモノマーで、かつ/またはコア/シェル型ゴム粒子で変性することができる。
【0054】
あるいはまたはさらに、他の強靭化剤、例えば、ポリオール、特に、ポリアルキレングリコール、例えば、ポリプロピレングリコールまたは液体ゴムなどもまた使用することができる。従って、本発明の異なる実施形態では、硬化される系は、特に、変性エポキシ樹脂、コア/シェル型ゴム(CSR)粒子、ポリオールおよび液体ゴムから選択される、1以上の上記の強靭化剤をさらに含んでなる。
【0055】
本発明による触媒組成物は、例えば、エポキシハイブリッド樹脂に好適である。この場合、エポキシ基を含有する樹脂は、例えば、ポリウレタンなどのさらなるポリマーを含んでなり得る。異なる実施形態では、触媒組成物は、エポキシ/ポリウレタンハイブリッド樹脂に特に好適である。この場合、ハイブリッド樹脂がエポキシ基に加えてイソシアネート基も有するならば特に有利である。それゆえ、これらの基はまた、触媒組成物を使用して、その後の硬化反応において架橋され得る。対応するハイブリッド樹脂は、例えば、エポキシ基を含有する樹脂、ポリオールおよびポリイソシアネートを含有し得る。ポリウレタン合成に関して先行技術において知られている総てのポリオールが考慮されるが、特に、ポリエーテルポリオール、例えば、ポリプロピレングリコールなどが考慮される。同様に、公知の、市販されているポリイソシアネートを、ポリイソシアネート、特に、モノマーポリイソシアネート、特に好ましくはジイソシアネートとして使用することができる。
【0056】
さらに、本明細書に記載される触媒組成物はまた、特に、少なくとも1つのオキサゾリジノン環および少なくとも1つのイソシアヌレート環を含んでなる硬化したポリマー組成物を製造するために使用することができる。このような製造方法は、例えば、以下の工程を含んでなる:
(1)以下を含んでなる反応混合物を準備する工程
(a)少なくとも1つの、エポキシ基を含有する第1の化合物、特に、液体芳香族エポキシ樹脂、例えば、上記のようなもの;
(b)少なくとも1つの、イソシアネート基を含有する第2の化合物、特に、液体芳香族ジ−またはポリイソシアネート;および
(c)本明細書に記載される触媒組成物;および
(2)反応混合物を硬化して、少なくとも1つのオキサゾリジノン環および少なくとも1つのイソシアヌレート環を含んでなる硬化したポリマー組成物を得る工程。
【0057】
従って、1つの実施形態では、本発明はまた、少なくとも1つのオキサゾリジノン環および少なくとも1つのイソシアヌレート環を含んでなる硬化したポリマー組成物を製造するための方法に向けられ、この方法は、以下の工程を含んでなる:
(1)以下を含んでなる液体反応混合物を準備する工程
(a)少なくとも1つの液体芳香族エポキシ樹脂;
(b)少なくとも1つの液体芳香族ポリイソシアネート;および
(c)触媒組成物;
であって、前記少なくとも1つのエポキシ樹脂は、エポキシ基がイソシアネート基に対して等モルまたはモル過剰である量で使用される、工程;および
(2)反応混合物を硬化して、少なくとも1つのオキサゾリジノン環および少なくとも1つのイソシアヌレート環を含んでなる硬化したポリマー組成物を得る工程。
【0058】
以下、このようにして得られる樹脂をエポキシ/イソシアネート樹脂と呼ぶ。
【0059】
イソシアネート基を含有する第2の化合物は、1個以上のイソシアネート基を含有し、本発明による用途に好適な公知の総てのイソシアネートを含み、以下では、部分的に、イソシアネート、またはイソシアネート基を含有する樹脂とも呼ばれる。イソシアネート基を含有する好適な化合物は、特に、1分子当たり1〜10個、好ましくは1〜2個のイソシアネート基を有するものである。イソシアネート基を含有する化合物は、原則として、飽和、不飽和、環式または非環式、脂肪族、脂環式、芳香族または複素環式(ポリ)イソシアネート化合物であり得る。本明細書において使用される「イソシアネート基」は、基−N=C=Oに関する。このようなポリイソシアネートは架橋剤として好適であるため、2個以上の官能基を有するイソシアネートの使用が有利であり得る。イソシアネート基を含有する好適な樹脂は、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、トルエン−2,4−ジイソシアネート(TDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート(PMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、メチレン−4,4−ビス(シクロヘキシル)ジイソシアネート(H12MDI)およびそれらの混合物である。これらのポリイソシアネートは、例えば、Bayer AG(DE)からDesmodurおよびDesmodur(登録商標)N3300という商品名で入手することができる。
【0060】
イソシアネート基を含有するさらなる好適な樹脂は、第一級アミンをホスゲンと反応させることによって得ることができるイソシアネートである。
【0061】
イソシアネート基を含有する他の好適な樹脂は、ニトロ基または第一級アミンを含有する化合物のカルボニル化によって得ることができる樹脂である。このカルボニル化には触媒的カルボニル化が含まれる。
【0062】
しかしながら、特に好ましいのは、芳香族ポリイソシアネートモノマー、特に、芳香族ジイソシアネート、例えば、MDIおよびTDIなどである。
【0063】
硬化の間、エポキシ基を含有する樹脂は、触媒の存在下でイソシアネートと反応し、樹脂を互いに架橋し、とりわけ、硬化した組成物にその有利な物理的性質を付与する少なくとも1つのオキサゾリジノンの形成を伴う。硬化の間に形成される少なくとも1つのオキサゾリジノンは、1,2−オキサゾリジン−3−オン、1,2−オキサゾリジン−4−オン、1,2−オキサゾリジン−5−オン、1,3−オキサゾリジン−2−オン、1,3−オキサゾリジン−4−オンまたは1,3−オキサゾリジン−5−オンの1つであり得る。従って、硬化した組成物はまた、上述とは異なるいくつかのオキサゾリジノン異性体を含有し得る。
【0064】
さらに、イソシアネート基は、本明細書に記載される触媒組成物の存在下で互いに反応し、樹脂を互いに架橋した上、硬化した組成物の有利な特性に寄与する少なくとも1つのイソシアヌレートの形成を伴う。
【0065】
本明細書に記載される触媒組成物は、エポキシ基を含有する上記の樹脂と、所望により、他の樹脂または樹脂成分、ならびに接着剤組成物または射出樹脂の形態の強靭化剤と組み合わせることができる。
【0066】
このような接着剤組成物または射出樹脂は、限定されるものではないが、頻繁に使用される助剤および添加剤、例えば、増量剤、可塑剤、反応性および/または非反応性希釈剤、フラックス剤、カップリング剤(例えば、シラン)、接着促進剤、湿潤剤、接着剤、防炎剤、湿潤剤、チクソトロピック剤および/またはレオロジー助剤(例えば、ヒュームドシリカ)、老化防止剤および/または腐食防止剤、安定剤および/または染料などを含む、総ての当業者に知られている複数の他の成分を含有し得る。接着剤または射出樹脂への要求およびその用途に応じて、また、製造、柔軟性、強度および基材に対する接着性に関連して、助剤および添加剤は異なる量で組成物に組み入れられる。
【0067】
従って、本発明はまた、ポリマー組成物、すなわち、上記で定義した、少なくとも1つの、エポキシ基を含有する樹脂、特に、エポキシ/PUハイブリッド樹脂またはエポキシ/イソシアネート樹脂と、本発明の触媒組成物とを含有する樹脂組成物に関する。この樹脂組成物は、接着剤組成物または射出樹脂であり得る。射出樹脂は、好ましくは、圧送することができ、特に、RTM法に好適な樹脂であり得る。従って、1つの実施形態では、本発明はまた、本発明による樹脂系を用いてRTM法で得ることができる成形部品に関する。記載された樹脂系(ポリマー組成物)を使用することができるRTM法は、それ自体が先行技術において知られており、本発明による樹脂を使用することができるように当業者ならば直ちに適合させることができる。
【0068】
本発明による触媒系を含有する樹脂の型開時間は、好ましくは90秒より長く、特に好ましくは2〜5分の範囲内、特におよそ3分である。本明細書において数値と関連して使用される「およそ」とは、数値±10%を意味する。
【0069】
本明細書に記載される触媒系および方法を用いて硬化される樹脂は、強靭化剤を含有し得、それゆえ、好ましくは1.2を超える、特に、1.5を超える臨界張力強度係数K1cを有する。異なる実施形態では、樹脂のガラス転移温度は、120〜200℃の範囲内、特に、およそ170℃である。硬化した樹脂のヤング率は、好ましくは2〜3kN/mm
2である。
【0070】
さらに、本発明による触媒組成物は、上記のような、エポキシ基を含有する樹脂、特に、エポキシ/ポリウレタンハイブリッド樹脂またはエポキシ/イソシアネート樹脂を硬化するための方法において好適である。このためには、要件および硬化させるエポキシ基含有樹脂に依存して、触媒組成物の量を変えることができる。1つの実施形態では、エポキシ基を含有する樹脂を硬化するために、本明細書に記載される触媒組成物を0.01〜10重量%、好ましくは0.05〜5重量%、好ましくは0.1〜2重量%使用し、ここで、重量仕様は、エポキシ基を含有する樹脂の全量に関する。
【0071】
硬化させる樹脂の要件に依存して、触媒組成物は、異なる反応温度、例えば、0℃〜200℃の間で使用することができる。一般的に、硬化条件は、25℃を超える、特に、60〜180℃の範囲内、好ましくは90〜150℃の範囲内の上昇した温度を含むことができる。これらの温度は、例えば、上記のような潜在的な硬化促進剤が活性化され得るように選択することができる。
【0072】
従って、本発明はまた、エポキシ基を含有する樹脂、特に、エポキシ/ポリウレタンハイブリッド樹脂またはエポキシ/イソシアネート樹脂を硬化するための本発明による触媒組成物の使用に関する。
【0073】
さらに、本発明は、(i)エポキシ基を含有する樹脂、特に、エポキシ/ポリウレタンハイブリッド樹脂またはエポキシ/イソシアネート樹脂と、(ii)本発明による触媒組成物とを含んでなり、ここで、前記触媒および前記樹脂は別々の容器に収容されており、好ましくは計量デバイスをさらに含んでなる、計量システムに向けられている。計量は、手動式計量システムでも完全自動計量システムでも達成することができる。このようなシステムの例は、自動容量式ダブルギアポンプ、二軸スクリューポンプディスペンサーおよびドラムディスペンサーシステムである。
【0074】
さらに、本発明は、本明細書に記載される方法に従って得ることができる硬化した組成物に関する。方法に応じて、これは、成形部品として、特に、繊維強化プラスチック成形部品として存在し得る。このような成形部品は、好ましくは自動車工学に使用される。
【0075】
他の点では、本発明による触媒系に関連して上に開示された総ての実施形態が、記載された樹脂系、方法および使用にも同様に適用され得、その逆もまた同じであることは自明である。
【実施例】
【0076】
実施例1:
まず、DER331(Dow Chemical、エピクロロヒドリンおよびビスフェノールAの液体エポキシ樹脂)およびPPG2000(Bayer、Mw2000のポリプロピレングリコール)をスピードミキサー内で真空中2000rpmで60秒間混合する。一度、反応混合物が室温に冷却されたら、イミダゾリウム塩を添加し、スピードミキサー内で真空中2000rpmで30秒間再び混合を行う。再び室温に冷却した後、非イオン性塩基を添加し、次いで、2000rpmで30秒間再び混合を行う。イミダゾリウム塩と塩基は1:1の重量比で使用する。表に示される濃度は、反応混合物の全重量に対する両方の触媒の合計に関する。その直後、Desmodur Vk 5(Bayer、モノマーポリイソシアネートの混合物)を添加し、次いで、真空中2000rpmで30秒間再び混合を行う。得られた樹脂組成物は、エポキシ55%、ポリオール5%およびイソシアネート45%を含有する。
【0077】
機械的特性を決定するために、反応混合物を垂直金型に注入し、室温でゼラチン化する。その後、混合物を2段階(90℃で1時間、150℃で1時間)で硬化させる。冷却後、このようにして得られたプレートから機械的試験に必要な試験片を切り取る。
【0078】
ポットライフを決定するために、反応混合物を室温で保存し、ゲル化時間を手動で決定する。試験結果を表1および表2に要約する。機械的統計値は200gバッチで確認した:EN ISO 527による引張試験;EN ISO 178による3点曲げ;IOS 13586による破壊靱性;DMTAを用いたTg。ポットライフ(型開時間)は、室温で10gバッチで決定した。
【0079】
表1:ポットライフ
【表1】
【0080】
表2:機械的特性
【表2-1】
【表2-2】