(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【0007】
第1の態様において、本発明は、NCO末端ポリウレタンプレポリマーを含むポリウレタンラミネート用接着剤を提供することによってこの必要性を満たし、このポリウレタンラミネート用接着剤は、
(a)ポリオール混合物の全重量に対して0.1〜20.0重量%、好ましくは0.5〜10.0重量%の、少なくとも1種のポリブタジエンポリオールと、
(b)ポリオール混合物の全重量に対して5.0〜99.9重量%、好ましくは30.0〜90.0重量%の、少なくとも1種のポリエーテルポリオールであって、ここで、該少なくとも1種のポリエーテルポリオールが、> 1000g / mol〜10000g / mol、好ましくは1500〜4000g / molの範囲の数平均分子量M
nを有する少なくとも1種のポリエーテルポリオールと
を含むポリオール混合物を、
少なくとも1種のポリイソシアネート、好ましくは少なくとも1種のジイソシアネートおよび/またはトリイソシアネートと反応させることにより得られ、
少なくとも1種のポリイソシアネートは、前記NCO末端ポリウレタンプレポリマーを得るために、イソシアネート基がポリオール混合物のヒドロキシル基に対してモル過剰で存在するような量で用いられる。
【0008】
別の態様では、本発明は、本明細書に記載のポリウレタンラミネート用接着剤で少なくとも2つのフィルムを積層することによって多層積層体を製造する方法に関する。
【0009】
さらなる態様では、本発明は、本明細書に記載の方法によって得ることができる多層積層体に関する。
【0010】
さらに別の態様では、本発明は、特に食品包装用途において、少なくとも2つのフィルムを積層するためのラミネート用接着剤としての、本明細書に記載のポリウレタン接着剤の使用に関する。
【0011】
本明細書中で使用される場合、「1つ以上」は、少なくとも1つに関するものであり、参照される種の1,2,3,4,5,6,7,8,9またはそれ以上を含む。同様に、「少なくとも1つ」は、1つ以上、すなわち、1,2,3,4,5,6,7,8,9またはそれ以上を意味する。本明細書において任意の成分に関して使用される場合、「少なくとも1つ」は、化学的に異なる分子の数、すなわち参照された異なる種類の種の数に関連するが、分子の総数には関連しない。例えば、「少なくとも1つのポリオール」は、ポリオールの定義に含まれる少なくとも1種類の分子が使用されるが、この定義に含まれる2つ以上の異なる分子の種類が存在し得ることを意味するが、前記ポリオールの分子が1種類のみ存在することを意味していない。本明細書では、用語「1つの」および「少なくとも1つの」は、「1つ以上」という用語と同一であり、交換可能に使用することができる。
【0012】
本明細書において交換可能に使用される「積層フィルム」または「多層積層体」は、2つ以上のフィルム層、典型的にはプラスチックフィルムまたは金属箔の積層体を指し、ラミネート用接着剤によって接着される。
【0013】
本出願では、「フィルム」という用語は、プラスチックフィルム、金属箔、紙および厚紙などのフィルム状基材を指す。
【0014】
本明細書において分子量が参照される場合、この参照は、他に明記されていない限り、数平均分子量M
nを指す。数平均分子量M
nは、末端基分析(DIN53240によるOH価)に基づいて計算することができ、または、溶離液としてTHFを用いたDIN55672、特にDIN55672−1によるゲル浸透クロマトグラフィによって求めることができる。他に記載がない限り、全ての所与の分子量は、DIN55672−1によるゲル浸透クロマトグラフィによって求められた分子量である。重量平均分子量M
wは、M
nについて説明したように、GPCによって求めることができる。
【0015】
イソシアネート含有量(NCO含有量)は、他に記載がない限り、DIN EN ISO 11909によって求められる。
【0016】
ヒドロキシル価(OH価)は、他に記載がない限り、DIN EN ISO 4629によって求められる。
【0017】
ヒドロキシル価およびNCO含有量に基づいて、OH/NCO当量比を計算することができる。
【0018】
組成物または配合物に関して本明細書に示される全ての百分率は、他に明記されていない限り、それぞれの組成物または配合物の全重量に対する重量%(wt%)に関する。
【0019】
数値に関して本明細書で使用される「約」または「およそ」という用語は、数値±10%、好ましくは±5%を意味する。したがって「約70℃」は、70±7℃、好ましくは70±3.5℃に関する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、低水準のポリブタジエンポリオールをポリウレタンラミネート用接着剤に組み込むことにより、低表面エネルギーフィルム上の接着性を著しく増加させ、従来のポリウレタン接着剤システムと比較して、低エネルギーフィルム上で優れた性能を有する接着剤が得られるという驚くべき発見に基づいている。
【0021】
本明細書に記載のポリウレタンラミネート用接着剤は、一液型(1K)または二液型(2K)ポリウレタン接着剤、好ましくは2K接着剤のいずれかである。1Kポリウレタン接着剤はポリイソシアネート成分を含む一方で、二液型ポリウレタン接着剤は、少なくとも2個のH−酸性官能基を含む化合物を含むさらなる成分と組み合わせたポリイソシアネート成分を含む。H−酸性官能基には、ヒドロキシル(−OH)基、アミノ(−NH
2)基、メルカプト(−SH)基またはカルボキシル(−COOH)基が含まれる。このさらなる成分は、好ましくはポリオール成分、すなわち1分子当たり2個以上のヒドロキシル基を含むポリオールを含む成分である。
【0022】
接着剤は、好ましくは、標準条件(標準環境温度と圧力、SATP)で、すなわち25℃および1013mbarの圧力で液体であるが、ホットメルト接着剤であってもよい。接着剤は溶剤を含んでもよいが、好ましくは溶剤を含まない。本発明のポリウレタン接着剤の硬化は、イソシアネート基と反応性H酸性官能基との反応に基づく。あるいは、イソシアネート基は、塗布された接着剤、基材、または環境からの水分と反応して尿素基を形成してもよい。そのような反応を促進するために、アミンまたはスズ触媒のような触媒が接着剤中に存在してもよい。
【0023】
本明細書に記載のポリウレタンラミネート用接着剤は、NCO末端ポリウレタンプレポリマーを含む。本明細書で使用される場合、「NCO」はイソシアネート基−N=C=Oを指す。ポリウレタンラミネート用接着剤が結合剤および硬化剤の成分を含む2K接着剤である場合、NCO末端ポリウレタンプレポリマーは結合剤成分の一部を形成し、システムは硬化剤成分をさらに含む。
【0024】
ポリウレタンプレポリマーは、
(a)ポリオール混合物の全重量に対して0.1〜20.0重量%、好ましくは0.5〜10.0重量%の、少なくとも1種のポリブタジエンポリオールと、
(b)ポリオール混合物の全重量に対して5.0〜99.9重量%、好ましくは30.0〜90.0重量%の、少なくとも1種のポリエーテルポリオールであって、該少なくとも1種のポリエーテルポリオールが、> 1000g / mol〜10000g / mol、好ましくは1500〜4000g / molの範囲の数平均分子量M
nを有する少なくとも1種のポリエーテルポリオールと
を含むポリオール混合物を、
少なくとも1種のポリイソシアネート、好ましくは少なくとも1種のジイソシアネートおよび/またはトリイソシアネートと反応させることにより得られ、少なくとも1種のポリイソシアネートは、前記NCO末端ポリウレタンプレポリマーを得るために、イソシアネート基がポリオール混合物のヒドロキシル基に対してモル過剰で存在するような量で使用される。
【0025】
好ましい実施形態では、少なくとも1種のポリブタジエンポリオールは、ポリブタジエンジオールまたはトリオール、好ましくはジオールである。少なくとも1種のポリブタジエンジオールは、ポリオール混合物の全重量に対して、好ましくは0.2〜15重量%、より好ましくは0.5〜10重量%、さらにより好ましくは3.0〜8.0重量%、特に好ましくは4.0〜7.0重量%、最も好ましくは5.5〜6.5重量%の量でポリオール混合物中に含まれる。ポリブタジエンポリオールの種類は特に限定されないが、好ましい実施形態では、1000〜10000g/mol、好ましくは1500〜5000g/molの範囲の数平均分子量M
nを有する。一般に、1000〜10000g/モル、好ましくは1500〜5000g/モル、より好ましくは1700〜4000、最も好ましくは2000〜3000g/モルの範囲の数平均分子量M
nを有するポリブタジエンジオールが好ましい。ポリブタジエンポリオールは、完全に飽和するように水素化されていてもよく、すなわちC=C二重結合を全く含まないか、または1つ以上のC=C二重結合をさらに含んでいてもよい。水素化ポリブタジエンポリオールは、対応する非水素化ポリブタジエンポリオールよりも低表面エネルギーフィルム上により高い接着性を提供し、その結果、水素化ポリブタジエンポリオールが好ましいことが見出されている。
【0026】
好適なポリブタジエンポリオールは、例えば、Cray Valley社からPoly bd(登録商標)およびKrasol(商標)の商標名で市販されている。本発明によって使用してもよい例示的なヒドロキシル末端ポリブタジエン樹脂としては、Krasol(商標)HLBH P2000およびKrasol(商標)LBH P2000が挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
本発明の好ましい実施形態では、少なくとも1種のポリエーテルポリオールは、ポリオール混合物の全重量に対して好ましくは30〜90重量%、より好ましくは40〜85重量%、さらにより好ましくは50〜80重量%、最も好ましくは60〜75重量%の量で含まれる。
【0028】
さらに、少なくとも1種のポリエーテルポリオールは、ポリオール混合物の全重量に対して、好ましくは5.0〜90重量%、より好ましくは10〜80重量%、さらにより好ましくは20〜60重量%、さらにより好ましくは25.0〜50.0重量%、さらにより好ましくは30〜45重量%、最も好ましくは30〜40重量%の、>1000g/mol〜10000g/mol、好ましくは1500〜4000g/molの範囲の数平均分子量M
nを有する少なくとも1種のポリエーテルポリオールを含むことが好ましい。
【0029】
ポリエーテルポリオールは、好ましくは、低分子量の多官能性アルコールとアルキレンオキシドとの反応生成物である。アルキレンオキシドは、好ましくは2〜4個の炭素原子を有する。好適な例は、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール異性体、ペンタンジオール、およびヘキサンジオールと酸化エチレン、酸化プロピレンまたは酸化ブチレンまたはそれらの2つ以上の混合物との反応生成物であるが、これらに限定されない。また、グリセロール、トリメチロールエタンまたはトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールまたは糖アルコール、またはそれらの混合物もしくはそれらのうち2種以上などの多官能性アルコールと上記アルキレンオキシドとの反応生成物も好適である。また、テトラヒドロフラン(ポリ−THF)の重合によって得られるポリオールも好適である。しかし、ポリアルキレングリコールのホモポリマーまたはコポリマー、好ましくはポリプロピレングリコールのホモポリマーまたはコポリマー、ポリエチレングリコールのホモポリマーまたはコポリマー、ポリテトラメチレングリコールのホモポリマーまたはコポリマー、またはポリプロピレングリコール/ポリエチレングリコールのブロックコポリマーが好ましい。ポリプロピレングリコールホモポリマーは特に好ましい。
【0030】
好ましい実施形態では、ポリエーテルポリオールは、400〜10000g/molの分子量M
nを有する。しかし、本発明によれば、ポリエーテルポリオールは、>1000〜10000、好ましくは1500〜5000g/mol、より好ましくは2000〜3000g/molの分子量M
nを有する少なくとも1種の高分子量ポリエーテルポリオールを含む。前記高分子量ポリエーテルポリオールは、好ましい実施形態では、ポリオール混合物の全重量に対して5.0〜90重量%、より好ましくは10〜80重量%、さらにより好ましくは20〜60重量%、さらにより好ましくは25.0〜50.0重量%、最も好ましくは30重量%〜40重量%の量で使用される。
【0031】
少なくとも1種のポリエーテルポリオールは、上記の高分子量ポリエーテルポリオールの他に、低分子量の、例えば400〜1000g/molの範囲の他のポリエーテルポリオールを含む異なるポリエーテルポリオールの混合物であってもよい。好ましい実施形態では、使用されるポリエーテルポリオールは、2000〜3000g/molの分子量を有する高分子量ポリプロピレングリコール、約1000g/molの分子量を有する中分子量ポリプロピレングリコール、および約400g/molの分子量を有する低分子量ポリプロピレングリコールの混合物を含む。このような実施形態では、全てポリオール混合物の全重量に対して、高分子量ポリエーテルポリオールは30〜40重量%の量で存在してもよく、中分子量ポリエーテルポリオールは15〜30重量%の量で存在してもよく、低分子量ポリエーテルポリオールは5〜20重量%の量で存在してもよい。
【0032】
ポリエーテルポリオールは、好ましくはジオール、より好ましくは直鎖のヒドロキシル末端ポリアルキレンオキシド、例えばポリプロピレングリコールおよびポリエチレングリコール、好ましくはポリプロピレングリコールである。
【0033】
上記のポリブタジエンポリオールおよびポリエーテルポリオールに加えて、ポリオール混合物は、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、モノマージオールなどのさらなるポリオールを含んでもよく、これらは全て当該技術分野で既知である。好ましい実施形態では、ポリオール混合物は、ポリオール混合物の全重量に対して、0.1〜50重量%、好ましくは5〜40重量%、より好ましくは10〜30重量%、最も好ましくは15〜25重量%の前記さらなるポリオールを含む。前記さらなるポリオールは、好ましくは2よりも高いヒドロキシル官能価を有する疎水性ポリオールを含んでもよい。一実施形態では、ヒマシ油がさらなるポリオール成分として使用される。ヒマシ油はトリグリセリドであり、脂肪酸残基の約90%がリシノール酸(12−ヒドロキシ−9−シス−オクタデセン酸)であり、残りの約10%は主にオレイン酸およびリノール酸である。
【0034】
使用されるポリオールは、好ましくはSATP条件下で液体であり、および/または、ポリオール混合物はSATP条件下で液体である。好ましい実施形態では、ポリオール混合物は、40℃および1013mbarで液体である。
【0035】
ポリオール混合物が、少なくとも1種のポリイソシアネートのNCO基がポリオール混合物のヒドロキシル基に対してモル過剰で存在するような量で少なくとも1種のポリイソシアネートと反応することにより、前記NCO末端ポリウレタンプレポリマーが得られる。少なくとも1つのポリイソシアネートは、任意の適切なポリイソシアネートであってもよく、これは、少なくとも2つのイソシアネート基を含む任意の化合物が本発明の意図する範囲内にあることを意味する。しかし、ポリイソシアネートはジイソシアネートであることが好ましい。適切なジイソシアネートには、これらに限定されないが、1,5−ナフチレンジイソシアネート(NDI)、2,4’−または4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、水素化MDI(H12MDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、ジ−およびテトラアルキレンジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジベンジルジイソシアネート、1,3−または1,4−フェニレンジイソシアネート、トルエン−2,4−ジイソシアネート(TDI)、1−メチル−2,4−ジイソシアナートシクロヘキサン、1,6−ジイソシアナート−2,2,4−トリメチルヘキサン、1,6−ジイソシアナート−2,4,4−トリメチルヘキサン、1−イソシアナートメチル−3−イソシアナート−1,5,5−トリメチルシクロヘキサン(IPDI)、テトラメトキシブタン−1,4−ジイソシアネート、ブタン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサン−1,6−ジイソシアネート(HDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、メチレントリフェニルトリイソシアネート(MIT)、フタル酸ビスイソシアネートエチルエステル、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,4−ジイソシアナートブタン、1,12−ジイソシアナートドデカンなどが挙げられる。
【0036】
好ましい実施形態では、使用されるポリイソシアネートは、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、トルエン-2,4-ジイソシアネート(TDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ポリマー性ジフェニルメタンジイソシアネート(PMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4'-メチレンジシクロヘキシルジイソシアネート(H12MDI)およびそれらの混合物から選択される。好適なポリイソシアネートは、例えば、Bayer AG(独国)社からDesmodur(登録商標)の商標名で市販されている。
【0037】
2よりも高い官能価を有する少量のイソシアネート、特にトリイソシアネートを組み込むこともまた考慮され、特定の状況下では有利でさえあるかもしれない。このようなトリイソシアネートは、架橋剤として作用することができる。ポリイソシアネートが架橋剤として作用する場合、ヘキサメチレンジイソシアネートに基づくポリイソシアネートが好ましい。
【0038】
少なくとも三官能性イソシアネートは、ジイソシアネートの三量化またはオリゴマー化によって、または、ジイソシアネートと低分子量多官能性のヒドロキシルまたはアミノ含有化合物との反応によって形成されるポリイソシアネートである。商業的に入手可能な例としては、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)またはイソホロンジイソシアネート(IPDI)などのイソシアネートの三量化生成物、または、ジイソシアネートとトリメチロールプロパンまたはグリセロールなどの低分子量トリオールの付加物である。例えば、それぞれ、Bayer AG社からDesmodur(登録商標)N3300の商標名で、および、Evonik社からVestanat(登録商標)T 1890の商標名で市販されている、HDIのイソシアヌレートおよびIPDIのイソシアヌレートが挙げられる。HDIイソシアヌレート三量体などのHDIに基づくポリイソシアネートが好ましい。
【0039】
原則的に、脂肪族、脂環式または芳香族のイソシアネートを使用することができるが、いくつかの実施形態では、芳香族イソシアネートが好ましい。
【0040】
ポリイソシアネートは、NCO基が反応混合物中に存在する全てのポリオールのOH基に対してモル過剰で存在するような量で一般に使用され、OH/NCO当量比は、好ましくは1:1.1〜1:5、より好ましくは1:1.5〜1:4である。
【0041】
ポリオール混合物を提供する工程は、ポリオールを混合して混合物を加熱する工程を含んでもよい。使用されるポリオールが室温で固体であり、ポリオール混合物を形成するために溶融する必要がある場合には、加熱が必要となることがある。いくつかの実施形態では、ポリオールが混合され、約30〜95℃、例えば約40〜75℃に加熱され、混合物を真空下で撹拌しながら任意に乾燥される。混合後、混合物の温度は、イソシアネートの添加のために60℃〜80℃に設定されてもよい。
【0042】
続いて、ポリオール混合物は、反応混合物中の少なくとも1種のポリイソシアネートと混合されてプレポリマーを形成する。プレポリマー反応は、通常、好ましくは約60℃〜約95℃、より好ましくは約70℃〜約75℃の範囲の高温で、約1時間〜約24時間の期間にわたって生じる。反応は、添加される触媒の存在下で行うことができる。触媒は、好ましくは第三級アミン触媒または有機金属触媒から選択され、有機スズ触媒が好ましい。
【0043】
好適な第三級アミン触媒の例には、N、N−ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノプロピル)アミン、N、N−ジメチルシクロヘキシルアミン、ビス−(2−メチル−アミノエチル)エーテル、N、N−ジメチルベンジルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(DBU)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)などが挙げられる。さらに、トリエチルアミン(TEA)、トリブチルアミン、トリ−n−プロピルアミン(TPA)、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、N−ココ−モルホリン、N、N、N’、N’−テトラメチルエチレンジアミン、N−メチル−N’−ジメチル−アミノ−エチルピペラジン、N、N−ジメチルベンジルアミン、ビス−(N、N−ジエチル−アミノエチル)−アジペート、N、N−ジエチルベンジルアミン、ペンタメチル−ジエチレントリアミン、N、N−ジメチル−シクロヘキシルアミン、N N、N’、N’−テトラメチル−1,3−ブタンジアミン、N、N−ジメチル−β−フェニルエチルアミン、1,2−ジメチル−イミダゾール、2−メチルイミダゾールおよびそれらの混合物が挙げられる。
【0044】
好適な有機スズ触媒の例には、ジラウリン酸ジブチルスズ(DBTL)、ジブチルスズジアセテート、またはジエチルヘキサン酸ジブチルスズ、ジブチルスズオキシド、ジオクチルスズオキシドなどのスズ酸化物が挙げられる。
【0045】
好ましくは、有機スズ触媒、より好ましくはFomrez UL28のようなジメチル錫ジネオデカエート(dimethyldineodecanoatetin)が用いられる。したがって、本発明の好ましい実施形態では、反応混合物は上記の触媒をさらに含む。
【0046】
反応は、遊離イソシアネート含有量が(DIN EN ISO 11909に従う)ジブチルアミンによる標準滴定によって決定されるように計算値に達するか、または計算値に非常に近くなるまで継続する。プレポリマー中の遊離イソシアネート含有量の好ましい値は、混合物中のポリオールおよびポリイソシアネートの全重量に対して、5〜15重量%、好ましくは8〜14重量%、より好ましくは10〜12重量%の範囲である。
【0047】
好ましい実施形態では、プレポリマーは、3000〜20000g/molの数平均分子量M
nを有する。得られたプレポリマーの粘度は、20℃〜100℃の温度範囲の接着剤の塗布温度で、約500〜約25000mPas、好ましくは1000〜8000mPasの範囲であってもよい。好ましい粘度は、Brookfield RVTDV IIによって、40℃、スピンドル27、回転速度20rpmで測定された通り、約1000〜8000mPasである。
【0048】
ポリウレタンラミネート用接着剤が、結合剤成分および硬化剤成分を含む二液型接着剤である実施形態では、結合剤成分は、前記NCO末端ポリウレタンプレポリマーを含む。このような実施形態では、硬化剤は、ヒドロキシル基、カルボキシル基、チオール基およびアミン基などの、プレポリマーの末端NCO基と反応するH酸性基を有する化合物を含む任意の組成物であってもよい。
【0049】
いくつかの実施形態では、硬化剤は、OH末端ポリエステル硬化剤を含む。このようなポリエステル系硬化剤は当該技術分野において既知であり、例えば重縮合反応においてジカルボン酸とポリオールとを反応させることによって得ることができる。ジカルボン酸は脂肪族、脂環式または芳香族および/またはそれらの誘導体、例えば無水物、エステルまたは酸塩化物であってもよい。これらの具体的な例として、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸またはセバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、フタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、グルタル酸無水物、マレイン酸、マレイン酸無水物、フマル酸、ダイマー脂肪酸およびジメチルテレフタレートが挙げられる。好適なポリオールの例として、モノエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、3-メチルペンタン-1,5-ジオール、ネオペンチルグリコール(2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール)、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタグリコールシクロヘキサンジメタノール、2-メチルプロパン-1,3-ジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジブチレングリコール、トリブチレングリコール、テトラブチレングリコールおよびポリブチレングリコールが挙げられる。あるいは、環状エステル、好ましくはε−カプロラクトンの開環重合によって得られてもよい。好ましい実施形態では、ポリエステルは、アジピン酸、イソフタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸および/またはセバシン酸と、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオールおよび1,2−プロパンジオールとのポリエステルである。より好ましい実施形態において、ポリエステル硬化剤は、アジピン酸および/またはイソフタル酸と、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオールおよび1,2−プロパンジオールのいずれか1種以上との少なくとも1種のヒドロキシル末端ポリエステルを含む。
【0050】
好ましい実施形態では、硬化剤は、硬化剤組成物の全重量に対して、少なくとも50重量%、より好ましくは少なくとも70重量%、さらにより好ましくは少なくとも90重量%、最も好ましくは100重量%の少なくとも1つのOH末端ポリエステルを含む。
【0051】
一般に、OH末端ポリエステル硬化剤に基づくポリウレタンラミネート用接着剤は、改善された積層接着性を示す。
【0052】
他の実施形態では、硬化剤成分は、1種以上のモノマーポリオールを含んでもよい。好適なポリオールは、1分子当たり2〜6個、好ましくは2〜4個のOH基を有する脂肪族および/または芳香族アルコールである。OH基は、第一級および第二級の両方であってもよい。好適な脂肪族アルコールには、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオールおよび高級同族体または異性体が含まれる。また、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールおよび前記物質のオリゴマーエーテルなどの高級アルコールも適している。
【0053】
さらに他の実施形態では、硬化剤成分は、上記のポリエーテルポリオールのいずれか1種以上を含んでもよい。
【0054】
他の好適な硬化剤成分には、ポリアセタール、OH官能性ポリウレタンポリオールなどが含まれる。任意の2種以上の上記ヒドロキシル官能性硬化剤成分を組み合わせて使用することもまた可能である。
【0055】
本明細書に記載の接着剤は、通常の添加剤をさらに含んでもよい。これらには、樹脂(粘着付与剤)、上記で挙げたような触媒、安定剤、架橋剤、粘度調整剤、充填剤、顔料、可塑剤、水捕捉剤、酸化防止剤、および、ヒドロキシ官能性、アクリルオキシ官能性、メルカプト官能性、アミノ官能性またはエポキシ官能性のシランなどの接着促進剤がほんの一例として含まれるが、これらに限定されない。
【0056】
1KPU接着剤は、一般に、本明細書に記載の1種以上のNCO官能性ポリウレタンプレポリマーを含む。これらは通常、接着される基材の一部として、または空気から提供される水の存在下で架橋する。2KPU接着剤もまた、上述したように、上記のPUプレポリマーを含む結合剤成分と硬化剤成分とを含む。使用の直前に、2つの成分が混合され、得られた混合物は完全に硬化する前に処理されなければならない。
【0057】
好ましくは、本発明のポリウレタン接着剤は、液体形態の多層フィルムの製造方法において塗布することができるように、塗布温度で液体である。本発明のポリウレタン接着剤は、室温で液体であることが特に好ましいが、例えば120℃または130℃などの高温のみで溶融するホットメルト接着剤の使用もまた考慮される。
【0058】
本明細書に記載の接着剤は、溶剤を含んでもよく、または無溶剤であってもよい。好適な溶剤は、特に100℃未満の沸点を有する、130℃までの温度で蒸発することができる従来の有機溶媒である。溶剤は、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、ケトンまたはエステルの群から選択することができる。溶剤は、粘度を低下させて調整するために使用される。溶剤の割合は、接着剤の全重量に対して、例えば19〜75重量%の広範囲内で変化させることができる。しかし、使用される接着剤は溶剤を含まないことが好ましく、すなわち、5重量%以上、好ましくは1重量%以下、最も好ましくは0.1重量%以下の有機溶剤を含まないことが好ましい。
【0059】
本明細書に記載の接着剤は、接着剤塗布のための全ての従来の装置を用いて、および、例えば噴霧塗布装置、コーティング装置、ロール塗布装置などによる全ての既知の塗布工程を用いて、接着される基材、特にフィルムに塗布されてもよい。塗布されるコーティング重量は、典型的には1.8g/m
2未満である。塗布後、接着される基材は、既知の方法で接着される。高温で接着剤を塗布して、より良好な塗布とより速い架橋反応とを達成することが現実的である。しかし、本明細書に記載の接着剤は、既に室温または、例えば40℃などの少し高い温度で良好な硬化特性を示す。
【0060】
本明細書に記載のポリウレタンラミネート用接着剤は、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、延伸ポリプロピレン(OPP)、OPA、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリマー、およびポリエステル、ならびに金属箔、紙および厚紙に基づく公知のフィルムを接着する工程において使用することができる。
【0061】
接着されるフィルムの少なくとも1つは、低表面エネルギーフィルムであってもよい。低表面エネルギーフィルムは、プラスチックフィルムであってもよく、および/または、38dyn/cm未満、好ましくは28〜38dyn/cmの範囲の表面エネルギーを有してもよい。表面エネルギーは、インク試験(DIN ISO 8296に準拠)によって測定することができる。これらの低表面エネルギーを有する例示的なプラスチックフィルムは、ポリエチレンフィルムおよびポリプロピレンフィルムである。
【0062】
積層体を形成するために、接着剤は、接着されるフィルムの一方または両方、好ましくは一方のみに塗布される。フィルムは、前処理されたかまたは印刷されたフィルムであってもよい。この塗布は、薄く均一なコーティングを達成するために高温で行うことができる。次いで、同一または異なる材料の第2のフィルムを、典型的には圧力下で積層する。接着剤硬化物と、フィルムが互いに接着された多層フィルムとが得られる。硬化はまた、高温でも起こる可能性がある。この積層工程を繰り返すことにより、2層超からなる積層体を得ることができる。
【0063】
したがって、本発明による方法は、以下のステップを含んでもよい。
(a)積層される一方または両方のフィルムの表面にポリウレタンラミネート用接着剤を塗布するステップと、
(b)積層される2つのフィルム表面を接触させるステップと、
(c)ステップ(a)および(b)を任意に繰り返して3つ以上のフィルムを含む多層構造を得るステップと、
(d)接着剤を硬化させて多層積層体を形成するステップ。
【0064】
本発明はまた、上記の工程により得られた多層フィルムと、2つ以上のフィルム層が上記接着剤により互いに接着された多層フィルムを包含している。
【0065】
さらに、本発明は、少なくとも2つのフィルムを積層するための、特に食品包装用途のための上記の接着剤の使用にも関する。フィルムは、開示された方法に関連して上記で定義したものであってもよい。
【0066】
本発明の方法に関連して上記で開示された全ての実施形態は、本発明の積層体および使用に同様に適用可能であり、逆もまた同様であることが当然理解される。
【0067】
本発明を以下の実施例によってさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。その際、示された量は、他に示されない限り重量%による。
【実施例】
【0068】
実施例1(本発明による)
撹拌器、温度計、コンデンサを備えた三つ口フラスコにヒマシ油(OH価163mgKOH/g)51.64g、PPG1000(OH価110mgKOH/g)51.02g、PPG2000(OH価56mgKOH/g)87.69g、Krasol(商標)HLBH P2000(水素化ポリブタジエンポリオール、OH価50mgKOH/g)14.03g、およびPPG400(OH価269mgKOH/g)31.29gを添加し、40℃で混合した。ポリオールの混合物が均一になると、200gのMDIを添加し、NCO含有量が11.2重量%になるまで最終組成物を60〜70℃で撹拌した。得られた生成物は、40℃で6300mPasの粘度を示した(Brookfield−RVTDV II、40℃、スピンドル27,20rpm)。
【0069】
イソシアネート成分を、硬化剤(アジピン酸、イソフタル酸、ジエチレングリコールおよび1,2−プロピレングリコールに基づくポリエステルジオール、OH価129〜141mgKOH/g)(混合比100:64重量%)で混合し、最終組成物を使用して、PEフィルムとPETフィルム、および、OPPフィルムとOPPフィルム(OPP=延伸ポリプロピレン)とを、それぞれ40℃で積層した。PETの表面エネルギーは44dyn/cm、PEの表面エネルギーは29dyn/cm、OPPの表面エネルギーは29dyn/cmであった。
【0070】
積層体の接着性を、同期記録装置を含む万能引張強度試験機で試験した。強度範囲は10〜50Nであり、予想される接着レベルに応じて調整した。試験のために、ストライプカッターを使用して幅が15mmのストライプ部を作製した。ストライプ部は、狭持される前にわずかに分離された。剥離を、100mm/分、剥離角90°、剥離長さ5〜10cmで行った。その結果を、2日後、7日後および14日後の積層体の接着性(N/15mm)として表1に示す。
【0071】
【表1】
【0072】
実施例2(本発明による)
撹拌器、温度計、コンデンサを備えた三つ口フラスコにヒマシ油(OH価163mgKOH/g)33.57g、PPG1000(OH価110mgKOH/g)33.16g、PPG2000(OH価56mgKOH/g)57.00g、Krasol(商標)LBH P2000(OH価50mgKOH/g)9.12g、およびPPG400(OH価269mgKOH/g)20.27gを添加し、40℃で混合した。ポリオール混合物が均一になると、130gのMDIを添加し、NCO含有量が11.6重量%になるまで最終組成物を75℃で撹拌した。得られた生成物は40℃で3050mPasの粘度を示した(Brookfield−RVTDV II、40℃、スピンドル27,20rpm)。
【0073】
イソシアネート成分を実施例1で使用した硬化剤(混合重量比100:65)と同一の硬化剤と混合し、最終組成物を使用してOPPフィルムとOPPフィルム(OPP=延伸ポリプロピレン)とを40℃で積層した。
【0074】
積層体の接着性を実施例1と同様に試験して、その結果を、3日後、7日後および14日後の積層体の接着性(N/15mm)として表2に示す。
【0075】
【表2】
【0076】
実施例3(比較例)
撹拌器、温度計、コンデンサを備えた三つ口フラスコに、ヒマシ油(OH価163mgKOH/g)14.71重量%、PPG1000(OH価110mgKOH/g)15重量%、および、PPG400(OH価269mgKOH/g)14.22重量%を添加し、40℃で混合した。ポリオールの混合物が均一になると、56.07重量%のMDIを添加し、NCO含有量が12.96重量%になるまで最終組成物を75℃で撹拌した。得られた生成物は、40℃で3000〜5000mPasの粘度を示した(Brookfield−RVTDV II、40℃、スピンドル27,20rpm)。
【0077】
イソシアネート成分を実施例1で使用した硬化剤(混合重量比100:75)と同一の硬化剤と混合し、最終組成物を使用してPEフィルムとPETフィルムおよび、OPPフィルムとOPPフィルムとを40℃で積層した。
【0078】
積層体の接着性を実施例1と同様に試験して、その結果を、2日後、7日後および14日後の積層体の接着性(N/15mm)として表3に示す。
【0079】
【表3】
【0080】
実施例4(比較例)
撹拌器、温度計、コンデンサを備えた三つ口フラスコにヒマシ油(OH価163mgKOH/g)52.72g、PPG1000(OH価110mgKOH/g)52.61g、PPG2000(OH価56mgKOH/g)90.82g、およびPPG400(OH価269mgKOH/g)31.95gを添加し、40℃で混合した。ポリオールの混合物が均一になると、200gのMDIを添加し、NCO含有量が11.1重量%になるまで最終組成物を75℃で撹拌した。得られた生成物は40℃で4058mPasの粘度を示した(Brookfield−RVTDV II、40℃、スピンドル27,20rpm)。
【0081】
イソシアネート成分を実施例1で使用した硬化剤(混合重量比100:68)と同一の硬化剤と混合し、最終組成物を使用してPEフィルムとPETフィルムおよび、OPPフィルムとOPPフィルムとを40℃で積層した。
【0082】
積層体の接着性を実施例1と同様に試験して、その結果を、2日後、7日後および14日後の積層体の接着性がN/15mmであるとして表4に示す。
【0083】
【表4】
【0084】
実施例5(本発明実施例)
撹拌器、温度計、コンデンサを備えた三つ口フラスコにヒマシ油(OH価163mgKOH/g)51.64g、PPG1000(OH価110mgKOH/g)51.02g、PPG2000(OH価56mgKOH/g)87.69g、Krasol(商標)HLBH P2000(水素化ポリブタジエンポリオール、OH価50mgKOH/g)14.03g、およびPPG400(OH価269mgKOH/g)31.29gを添加し、40℃で混合した。ポリオールの混合物が均一になると、200gのMDIを添加し、NCO含有量が11.2重量%になるまで最終組成物を60〜70℃で撹拌した。得られた生成物は、40℃で6300mPasの粘度を示した(Brookfield−RVTDV II、40℃、スピンドル27,20rpm)。
【0085】
イソシアネート成分を、OH価56mgKOH/g(混合重量比100:133)のポリエーテルポリオール系硬化剤(PPG2000)と混合し、最終組成物を使用して、PEフィルムとPETフィルムおよび、OPPフィルムとOPPフィルムとを30℃で積層した。
【0086】
【表5】
【0087】
実施例6(比較例)
撹拌器、温度計、コンデンサを備えた三つ口フラスコにヒマシ油(OH価163mgKOH/g)52.72g、PPG1000(OH価110mgKOH/g)52.61g、PPG2000(OH価56mgKOH/g)90.82g、およびPPG400(OH価269mgKOH/g)31.95gを添加し、40℃で混合した。ポリオールの混合物が均一になると、200gのMDIを添加し、NCO含有量が11.1重量%になるまで最終組成物を75℃で撹拌した。得られた生成物は40℃で4058mPasの粘度を示した(Brookfield−RVTDV II、40℃、スピンドル27,20rpm)。
【0088】
イソシアネート成分を、OH価56mgKOH/g(混合重量比100:136)のポリエーテルポリオール系硬化剤(PPG2000)と混合し、最終組成物を使用して、PEフィルムとPETフィルムおよび、OPPフィルムとOPPフィルムとを30℃で積層した。
【0089】
【表6】
本発明の好ましい態様は以下を包含する。
〔1〕NCO末端ポリウレタンプレポリマーを含むポリウレタンラミネート用接着剤であって、前記ポリウレタンラミネート用接着剤は、
(a)ポリオール混合物の全重量に対して0.1〜20.0重量%、好ましくは0.5〜10.0重量%の、少なくとも1種のポリブタジエンポリオールと、
(b)ポリオール混合物の全重量に対して5.0〜99.9重量%、好ましくは30.0〜90.0重量%の、少なくとも1種のポリエーテルポリオールであって、ここで、該少なくとも1種のポリエーテルポリオールが、> 1000g / mol〜10000g / mol、好ましくは1500〜4000g / molの範囲の数平均分子量Mnを有する少なくとも1種のポリエーテルポリオールと
を含むポリオール混合物を、
少なくとも1種のポリイソシアネート、好ましくは少なくとも1種のジイソシアネートおよび/またはトリイソシアネートと反応させることにより得られ、
前記少なくとも1種のポリイソシアネートは、前記NCO末端ポリウレタンプレポリマーを得るために、イソシアネート基がポリオール混合物のヒドロキシル基に対してモル過剰で存在するような量で使用される、ポリウレタンラミネート用接着剤。
〔2〕前記少なくとも1種のポリブタジエンポリオールが、水素化ポリブタジエンポリオールである、〔1〕に記載のポリウレタンラミネート用接着剤。
〔3〕前記少なくとも1種のポリブタジエンポリオールが、
(a)ポリブタジエンジオールであり、および/または
(b)ポリオール混合物の全重量に対して0.2〜15重量%、好ましくは0.5〜10重量%の量で含まれ、および/または
(c)1000〜10000g/mol、好ましくは1500〜5000g/molの範囲の数平均分子量Mnを有する、
〔1〕または〔2〕に記載のポリウレタンラミネート用接着剤。
〔4〕前記少なくとも1種のポリエーテルポリオールが、ポリオール混合物の全重量に対して、5.0〜90重量%、好ましくは10〜80重量%の、>1000g/mol〜10000g/mol、好ましくは1500〜4000g/molの範囲の数平均分子量Mnを有する少なくとも1種のポリエーテルポリオールを含む、〔1〕から〔3〕のいずれか一項に記載のポリウレタンラミネート用接着剤。
〔5〕前記ポリオール混合物が、ポリオール混合物の全重量に対して0.1〜50重量%、好ましくは5〜40重量%の、疎水性ポリオール、好ましくはヒマシ油をさらに含む、〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載のポリウレタンラミネート用接着剤。
〔6〕前記ポリウレタンラミネート用接着剤が、結合剤成分と硬化剤成分とを含む二液型接着剤であり、該結合剤成分が前記NCO末端ポリウレタンプレポリマーを含む、〔1〕から〔5〕のいずれか一項に記載のポリウレタンラミネート用接着剤。
〔7〕前記硬化剤が、ヒドロキシル末端ポリエステルを含み、好ましくは、アジピン酸および/またはイソフタル酸と、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオールおよび1,2−プロパンジオールからなる群から選択される1種以上のジオールとのポリエステルを含む、〔6〕に記載のポリウレタンラミネート用接着剤。
〔8〕〔1〕から〔7〕のいずれか一項に記載のポリウレタンラミネート用接着剤を使用して少なくとも2つのフィルムを積層することによって、多層積層体を製造する方法。
〔9〕前記フィルムの少なくとも1つが低表面エネルギーフィルムである、〔8〕に記載の方法。
〔10〕前記低表面エネルギーフィルムが、
(a)プラスチックフィルムであり、および/または
(b)38dyn/cm未満、好ましくは28〜38dyn/cmの範囲の表面エネルギーを有し、および/または
(c)ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムまたは金属化フィルムである、〔9〕に記載の方法。
〔11〕〔8〕から〔10〕のいずれか一項に記載の方法であって、
(a)積層される一方または両方のフィルムの表面にポリウレタンラミネート用接着剤を塗布するステップと、
(b)積層される2つのフィルム表面を接触させるステップと、
(c)(a)および(b)を任意に繰り返して3つ以上のフィルムを含む多層構造を得るステップと、
(d)接着剤を硬化させて多層積層体を形成するステップと
を含む方法。
〔12〕〔8〕〜〔11〕のいずれか一項に記載の方法によって得られる多層積層体。
〔13〕前記積層体が2層積層フィルムである、〔12〕に記載の多層積層体。
〔14〕積層体が食品包装用途のための積層体である、〔12〕または〔13〕に記載の多層積層体。
〔15〕NCO末端ポリウレタンプレポリマーを含むポリウレタン接着剤の使用であって、
(a)ポリオール混合物の全重量に対して0.1〜20.0重量%、好ましくは0.5〜10.0重量%の、少なくとも1種のポリブタジエンポリオールと、
(b)ポリオール混合物の全重量に対して5.0〜99.9重量%、好ましくは30.0〜90.0重量%の、少なくとも1種のポリエーテルポリオールであって、該少なくとも1種のポリエーテルポリオールが、> 1000g / mol〜10000g / mol、好ましくは1500〜4000g / molの範囲の数平均分子量Mnを有する少なくとも1種のポリエーテルポリオールと
を含むポリオール混合物を、
少なくとも1種のポリイソシアネート、好ましくは少なくとも1種のジイソシアネートおよび/またはトリイソシアネートと反応させることにより得られるポリウレタン接着剤であって、前記少なくとも1種のポリイソシアネートは、前記NCO末端ポリウレタンプレポリマーを得るために、イソシアネート基がポリオール混合物のヒドロキシル基に対してモル過剰で存在するような量で使用される、ポリウレタン接着剤の、
少なくとも2つのフィルムを積層するための、特に食品包装用途のための使用。