【文献】
久保田 竜介,盲聾者のためのコミュニケーションエイドの開発,電子情報通信学会技術研究報告,日本,社団法人電子情報通信学会,2003年 6月 6日,Vol.103 No.115,第13頁−第18頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の携帯型点字表示装置では、一方の手に取り付けた当該装置を他方の手で触って点字を読み取るため、両手が塞がっている状態では誘導方向を確認することができない。また、歩行中など常に誘導情報を得たい場合には、装置を触り続けている必要がある。このため、視覚障害者が歩きながら使用することは非常に困難である。
【0006】
また、特許文献2、3に記載の装置のように振動を利用してナビゲーションを行う構成では、振動だけでは使用者が識別できる情報量に限界があり、十分なナビゲーションを行うことができないという問題がある。
【0007】
本発明の目的は、両手が塞がっている状態や視覚・聴覚が制限された状態でも的確かつ十分に情報を伝達することができる情報伝達用グローブ及び情報伝達システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の情報伝達用グローブは、使用者の手に装着される装着部と、装着部の手の甲と対向する部分に設けられ、凹凸の変化によって手の甲に刺激を与える凹凸生成部と、装着部に設けられ、凹凸生成部による手の甲への刺激を制御する制御部と、を備える。
【0009】
このような構成によれば、手に装着部を装着した状態で凹凸生成部によって使用者の手の甲へ刺激を与えるため、両手が塞がっていても手の甲への刺激によって情報を伝達することができるようになる。人の手の甲には比較的広い平面があり、また非常に敏感な触覚を持っているため、極わずかな刺激でも十分な情報を伝達することができる。
【0010】
本発明の情報伝達用グローブにおいて、凹凸生成部は、マトリクス状に配置された複数の突起を有し、制御部は、複数の突起のそれぞれの凹凸を制御するようにしてもよい。このような構成によれば、手の甲に文字や図形としての刺激を与えることができる。
【0011】
本発明の情報伝達用グローブにおいて、装着部に、外部から送信される情報を受信する受信部をさらに備え、制御部は、受信部で受信した情報に基づき凹凸生成部を制御するようにしてもよい。このような構成によれば、外部から送信された情報を凹凸生成部から手の甲へ伝達することができる。
【0012】
本発明の情報伝達用グローブにおいて、受信部は、携帯端末から無線通信によって送信された情報を受信するようにしてもよい。このような構成によれば、携帯端末から無線通信によって送信された情報を受信部で受信して、凹凸生成部から手の甲へ伝達することができる。
【0013】
本発明の情報伝達用グローブにおいて、受信部は、位置情報を有する外部機器から送信される目的位置への案内に関する情報を受信し、制御部は、受信部で受信した情報に基づき目的位置へ案内をするように凹凸生成部を制御するようにしてもよい。このような構成によれば、凹凸生成部から手の甲への刺激によって、目的位置への案内に関する情報を伝達することができる。
【0014】
本発明の情報伝達システムは、情報を送信する送信部と、送信部から送信された情報を受信して使用者の手の甲に刺激を与える情報伝達用グローブと、を備える。情報伝達用グローブは、使用者の手に装着される装着部と、装着部の手の甲と対向する部分に設けられ、凹凸の変化によって手の甲に刺激を与える凹凸生成部と、装着部に設けられ、送信部から送信される情報を受信する受信部と、装着部に設けられ、受信部で受信した情報に基づき凹凸生成部による手の甲への刺激を制御する制御部と、を備える。
【0015】
このような構成によれば、送信部から送信された情報を、使用者の手に装着された装着部の凹凸生成部によって使用者の手の甲への刺激として与えるため、両手が塞がっていても手の甲への刺激によって情報を伝達することができるようになる。
【0016】
本発明の情報伝達システムにおいて、情報伝達用グローブは複数設けられ、送信部は、複数の情報伝達用グローブに同一の情報を一斉に送信するようにしてもよい。このような構成によれば、送信部から複数の情報伝達用グローブに一斉通報して複数の使用者に同じ情報を同時に伝達できるようになる。
【0017】
本発明の情報伝達システムにおいて、装着部は、右手に装着される右手用装着部と、左手に装着される左手用装着部と、を含み、凹凸生成部は、右手用装着部に設けられた右手用凹凸生成部と、左手用装着部に設けられた左手用凹凸生成部と、を含み、制御部は、右手用凹凸生成部と左手用凹凸生成部とを別々の情報に基づき制御するようにしてもよい。このような構成によれば、使用者の右手の甲と左手の甲とにそれぞれ別の情報に基づく刺激を与えることができる。これによって左右の手の甲に別々の情報を伝達することができるようになる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明では、同一の部材には同一の符号を付し、一度説明した部材については適宜その説明を省略する。
【0020】
〔第1実施形態〕
図1は、第1実施形態に係る情報伝達システムを例示する模式図である。
図1に表したように、本実施形態に係る情報伝達システムは、送信部100から使用者の右手HR及び左手HLのそれぞれに情報を伝達するシステムである。使用者は、例えば測定器Mによって対象物OBの物理量を測定する。この測定器Mを用いて測定を行う際、両手が塞がっていても情報伝達用グローブ1を用いることで、手Hの甲h1に与えられる刺激により情報を得ることができる。
【0021】
情報伝達システムで用いられる情報伝達用グローブ1は、使用者の手Hに装着される装着部10と、装着部10に設けられた凹凸生成部20と、装着部10に設けられた制御部30と、を備える。本実施形態において、装着部10は、右手HRに装着される右手用装着部10Rと、左手HLに装着される左手用装着部10Lと、を含む。装着部10は使用者の手Hに嵌める例えばグローブ型をしている。
【0022】
凹凸生成部20は、装着部10における手Hの甲h1と当たる内側部分に、手Hの甲h1と対向するよう設けられる。本実施形態では、右手用装着部10Rに右手用凹凸生成部20Rが設けられ、左手用装着部10Lに左手用凹凸生成部20Lが設けられる。凹凸生成部20は突起を有しており、この突起の凹凸の変化によって手Hの甲h1に刺激を与える。ここで、手Hの甲h1とは、手Hを握ると外側になる部分であって、手首から指のつけ根までの面のことを言う。
【0023】
制御部30は、凹凸生成部20による手Hの甲h1への刺激を制御する。本実施形態では、右手用装着部10Rに右手用制御部30Rが設けられ、左手用装着部10Lに左手用制御部30Lが設けられる。凹凸生成部20は、制御部30からの指示に応じて突起の凹凸を変化させる。凹凸生成部20に複数の突起が設けられている場合には、制御部30はどの突起の凹凸を変化させるかを制御する。伝達したい情報に応じて突起の凹凸を変化させることで、凹凸生成部20から突起による刺激が手Hの甲h1に与えられる。
【0024】
手Hの甲h1は比較的広い平面を有しており、非常に敏感な触覚を持っている。また、手Hの甲h1は、手Hを開いても握っても形が変わりにくいので、手Hを動かしながらでも凹凸生成部20の突起との安定した接触を維持することができる。このため、使用者は、凹凸生成部20から手Hの甲h1へ与えられる極わずかな刺激でも的確かつ十分に情報を読み取ることができる。
【0025】
情報伝達用グローブ1の装着部10には、受信部40が設けられている。すなわち、右手用装着部10Rには右手用受信部40Rが設けられ、左手用装着部10Lには左手用受信部40Lが設けられている。受信部40は、情報伝達用グローブ1の外部から送信される情報を受信する。例えば、携帯端末などの送信部100から送信される情報を受信部40で受信する。受信部40は、受信した情報を制御部30へ送る。制御部30は、受信部40から送られた情報に基づき凹凸生成部20を制御する。
【0026】
情報伝達用グローブ1の装着部10には、バッテリ50(右手用バッテリ50R及び左手用バッテリ50L)が設けられている。バッテリ50は、凹凸生成部20、制御部30及び受信部40に電力を供給する。なお、バッテリ50は、情報伝達用グローブ1の外部に設けられていてもよい。
【0027】
図2は、情報伝達システムのブロック構成図である。
送信部100は、有線通信または無線通信によって情報を情報伝達用グローブ1に送信する。送信部100としては、コンピュータ、携帯電話及び携帯端末など、情報を所定の通信規格によって送信できる機器が用いられる。
【0028】
凹凸生成部20は、制御部30とバッテリ50とに接続される。凹凸生成部20には、複数の突起21が設けられる。複数の突起21は、例えばマトリクス状に配置される。凹凸生成部20には、各突起21のそれぞれを甲h1に対して進退させる機構が設けられる。凹凸生成部20は装着部10に設けられるため、薄型のものや可撓性を有するものが望ましい。
【0029】
制御部30は、凹凸生成部20、受信部40及びバッテリ50と接続される。制御部30は、凹凸生成部20に制御信号を送り、複数の突起21のそれぞれの凹凸を制御する。例えば、マトリクス状に配置された複数の突起21のうち、情報として伝達したい文字の形状に合わせて突起21を突出させるような制御信号を送る。また、制御部30は、受信部40で受信した情報に基づき、突起21の凹凸を変化させる制御信号を生成する。
【0030】
凹凸生成部20の複数の突起21がマトリクス状に配置されていると、文字だけでなく図形や記号の形状に合わせて突起21を突出させることもできる。また、制御部30は、文字や図形の形状に応じて突起21の凹凸を静止させる制御のほか、時間に応じて突起21の凹凸が動的に変化するよう制御を行ってもよい。これにより、文字や図形をアニメーション表示やフラッシング表示させることが可能になる。また、制御部30は、突起21の突出量、突出速度、進退の繰り返しのタイミングなど、各種の突出態様を制御することで、使用者に情報を識別させるようにしてもよい。
【0031】
受信部40は、制御部30及びバッテリ50と接続される。受信部40は、情報伝達用グローブ1の外部から送信される情報を有線通信または無線通信によって受信する。例えば、携帯端末を送信部100とした場合、携帯端末から無線通信で送信される情報を受信部40で受信する。受信部40で受信する情報は、文字や図形に基づく情報のほか、音声に基づく情報であってもよい。受信部40は、受信した情報を制御部30に送る。これにより、制御部30は、受信部40で受信した情報に基づく制御信号を凹凸生成部20に送り、凹凸として使用者の手Hの甲h1へ伝達することができる。
【0032】
バッテリ50は、凹凸生成部20、制御部30及び受信部40に所定の電力を供給する。バッテリ50は蓄電池であることが望ましい。
【0033】
このような情報伝達システムにおいて、情報伝達用グローブ1は、送信部100から送信される情報を受信部40で受信して、その情報に基づき凹凸生成部20から使用者の手Hの甲h1へ凹凸による刺激を与える。これにより、送信部100から送信した情報を、手Hの甲h1への刺激として使用者に伝達できるようになる。
【0034】
図1に表した例では、送信部100は、右手用情報SigRと、左手用情報SigLとを送信する。送信部100から送信された右手用情報SigRは、右手用受信部40Rで受信される。送信部100から送信された左手用情報SigLは、左手用受信部40Lで受信される。
【0035】
右手用制御部30Rは、右手用受信部40Rで受信した右手用情報SigRに基づき右手用凹凸生成部20Rを制御する。また、左手用制御部30Lは、左手用受信部40Lで受信した左手用情報SigLに基づき左手用凹凸生成部20Lを制御する。
【0036】
この情報伝達システムによって、右手用凹凸生成部20Rから右手HRの甲h1Rには右手用情報SigRに基づいて凹凸による刺激が与えられる。一方、左手用凹凸生成部20Lから左手HLの甲h1Lには左手用情報SigLに基づいて凹凸による刺激が与えられる。独立した情報によって右手HR及び左手HLのそれぞれに刺激が与えられることで、より多くの情報を伝達できることになる。
【0037】
ここで、コンピュータを送信部100として測定器Mを用いた測定動作の例について説明する。
なお、この例では、測定器Mまたは情報伝達用グローブ1にGPS等による位置検出装置が設けられており、測定器Mまたは情報伝達用グローブ1の現在位置の情報をコンピュータで得られるようになっているものとする。
【0038】
先ず、コンピュータは、測定器Mまたは情報伝達用グローブ1の現在位置の情報を取得し、現在位置から測定を行う位置(測定箇所)までのナビゲーション情報を得る。コンピュータである送信部100は、このナビゲーション情報を情報伝達用グローブ1に送信する。
【0039】
例えば、測定箇所が現在位置よりも左にある場合には、コンピュータである送信部100から左を示すナビゲーション情報を情報伝達用グローブ1に送信する。情報伝達用グローブ1では、このナビゲーション情報を受信して、左へ移動することを示す凹凸の変化(例えば、左手HLだけに対する突起21の進退の繰り返し)を凹凸生成部20に発生させる。測定器Mまたは情報伝達用グローブ1の現在位置の情報は逐次コンピュータに送られる。そして、その位置情報に基づき測定箇所までのナビゲーション情報を逐次情報伝達用グローブ1に送信する。
【0040】
使用者は、情報伝達用グローブ1から手Hの甲h1へ与えられる凹凸による刺激によって、測定箇所まで案内に関する情報を得る。測定箇所まで到達した場合には、コンピュータである送信部100からその旨を示す情報を情報伝達用グローブ1へ送る。使用者は、この測定箇所まで到達した旨を示す凹凸の変化(例えば、右手HR及び左手HLの両方に対する突起21の進退の繰り返し)の刺激によって、そのことを認識する。
【0041】
次に、使用者が測定器Mを用いて測定を行った後、測定データをコンピュータへ送信する。コンピュータは、測定器Mから送られた測定データを受けて、測定良好であるか、不良であるかの判断を行う。そして、良否判定の結果の情報を情報伝達用グローブ1へ送信する。使用者は、情報伝達用グローブ1から手Hの甲h1に与えられる凹凸(例えば、測定結果が良好であれば○印の形状に沿った突起21の突出、不良であれば×印に沿った突起21の突出)による刺激によって、測定が良好であるか否かを認識する。
【0042】
測定が良好であり、次の測定箇所がある場合には、コンピュータである送信部100は、次の測定箇所へ案内するためのナビゲーション情報を情報伝達用グローブ1へ送信する。使用者は、情報伝達用グローブ1から手Hの甲h1に与えられる凹凸による刺激によって、次の測定箇所へ案内され、測定を行う。
【0043】
このような測定箇所への案内及び測定の処理を繰り返し、最後の測定箇所での測定が完了した後、コンピュータである送信部100からその旨を示す情報を情報伝達用グローブ1へ送信する。使用者は、情報伝達用グローブ1から手Hの甲h1に与えられる凹凸による刺激によって、測定終了であることを把握する。このような処理によって、使用者は、両手が塞がっていても、コンピュータのディスプレイを参照することなく、的確に測定箇所に案内され測定を行うことができるようになる。
【0044】
例えば、測定器Mを携帯しながら車、船及び飛行機などの比較的大きなワークの周囲または内部を測定したり、測定位置を確認しづらい道路や鉄路、ビルや橋などの大規模建造物を測定する場合、GPS等で現在位置を確認し、設計図や地図などで測定位置を判断する必要がある。測定者は、測定器Mだけでなく測定結果を入力するコンピュータや携帯端末を持ちながら移動するため、測定位置を確認するためには荷物を置き、設計図や地図を広げなければならない。
【0045】
携帯端末の地図アプリケーションソフトウェアによってナビゲーションを行うことは可能であるが、その場合でも携帯端末を取り出して確認しなければならず、作業効率の低下を招く。安全性を考慮する必要がある場所では、特にこのような動作は避ける必要がある。
【0046】
ここで、メガネ型ディスプレイを応用したナビゲーションも考えられるが、視界の一部を表示が遮られる。さらに、使用者の集中が目の前の表示内容に移ってしまうため、周囲の状況を常に把握していなければならない状況では、使用に耐え得ない。
【0047】
このような場合、本実施形態に係る情報伝達システムでは、使用者の手Hの甲h1の触覚によってナビゲーションを行うことができるため、視界に何ら影響を与えず、両手が塞がっていても的確に情報を取得することができる。また、使用者の手Hの甲h1に凹凸生成部20から凹凸による刺激を与えるため、リアルタイムに必要な多くのナビゲーション情報を使用者に与えることが可能となる。さらに、測定時には、エラーや警告などの通知、測定合否判定の結果の通知、指定ポイントへのナビゲーションに応用可能である。
【0048】
なお、上記の例ではコンピュータ、携帯電話及び携帯端末による送信部100から情報を送信しているが、測定器Mに送信部100が設けられていてもよい。測定器Mの送信部100から対象物OBの測定に関する情報(測定結果、測定可否など)を情報伝達用グローブ1に送信し、使用者の手Hの甲h1への刺激として情報を伝達してもよい。
【0049】
このような情報伝達システムによれば、使用者は手Hに装着部10を装着しておくだけで、凹凸生成部20から与えられる刺激を手Hの甲h1で読み取ることができる。このため、たとえ両手が塞がっていても、手Hの甲h1への刺激によって情報を得ることが可能になる。また、敏感な触覚を持つ手Hの甲h1に凹凸生成部20から刺激を与えるため、極わずかな刺激でも使用者は的確かつ十分な情報を得ることが可能になる。
【0050】
〔第2実施形態〕
次に、第2実施形態に係る情報伝達用グローブについて説明する。
図3は、第2実施形態に係る情報伝達用グローブを例示する模式図である。
図3(a)に表したように、情報伝達用グローブ1は、左右一方の手Hに嵌めて使用されるものであってもよい。情報伝達用グローブ1には、凹凸生成部20及び制御部30が設けられる。
【0051】
情報伝達用グローブ1には、受信部40やバッテリ50が設けられていてもよい。また、制御部30は、所定のタイミングで凹凸生成部20に信号を与えて凹凸を生成する制御を行ってもよい。例えば、伝達する情報を装着部10内に設けた記憶部(図示せず)などに予め記憶しておき、所定のタイミングでその記憶部に記憶された情報を制御部30で読み出して、凹凸生成部20から手Hの甲h1へ刺激を与えるようにしてもよい。
【0052】
このような情報伝達用グローブ1によれば、視覚障害者に限らず、ディスプレイを見られない場合や暗い場所などで作業を行う場合など、視覚によって情報を得られない状況であっても、使用者は情報伝達用グローブ1から手Hの甲h1への刺激によって情報を得られることになる。
【0053】
また、情報伝達用グローブ1の凹凸生成部20から使用者の手Hの甲h1へ与える刺激としては、突起21(
図2参照)の凹凸動作を利用した振動であってもよい。振動の有無、振動のパターンによって情報を手Hの甲h1へ伝えることができる。
【0054】
例えば、起床時間など、報知したい時間を予め送信部100に登録しておき、登録した時間に送信部100から情報伝達用グローブ1へ情報を自動的に送信する。情報伝達用グローブ1は、この情報に基づき凹凸生成部20から振動による刺激を使用者の手Hの甲h1へ伝える。これにより、使用者は手Hの甲h1に伝わる振動によって登録した起床時間などになったことを認識することができる。
【0055】
図3(b)は、他の装着部の例を説明する模式図である。
図3(b)に表した装着部10は、
図1に表したようなグローブ型ではなく、バンド型になっている。バンド型の装着部10であっても、手Hの甲h1と対向する部分を有していればよい。装着部10の甲h1と対向する部分に凹凸生成部20が設けられる。バンド型では装着部10から指先が露出するため、細かい作業を行う場合に適している。
【0056】
本実施形態によれば、両手が塞がっていても手Hの甲h1への刺激によって情報を伝達することができるようになる。また、ろう者、難聴者、中途失聴者、老人性難聴者などの聴覚障害者は、健常者が普段の生活の中で音として認識している事象を認識することができない。本実施形態に係る情報伝達用グローブ1を用いることで、聴覚障害者が音(音声)を振動や点字または図形等の触覚によって様々な事象(例えば、来客、緊急通報など)を認識することができようになる。
【0057】
〔第3実施形態〕
次に、第3実施形態について説明する。
図4は、第3実施形態に係る情報伝達システムを説明する模式図である。
図4に表した情報伝達システムは、送信部100から複数の情報伝達用グローブ1に同一の情報を一斉に送信する構成を備える。
【0058】
複数の情報伝達用グローブ1のそれぞれは、先に説明した凹凸生成部20、制御部30、受信部40及びバッテリ50を備える。送信部100は、複数の情報伝達用グローブ1に同一の情報を送信する。各情報伝達用グローブ1の受信部40は、送信部100から送信された情報を受信して制御部30へ伝える。制御部30は受信部40から送られた情報に基づき凹凸生成部20を制御する。これにより、複数の情報伝達用グローブ1に一斉通報して複数の使用者に同じ情報を同時に伝達できるようになる。
【0059】
このような情報伝達システムは、例えば、館内の複数の使用者に一斉に呼び出しをかける場合や、災害情報を通知する場合などに適用可能である。
【0060】
〔適用例〕
次に、本実施形態に係る情報伝達用グローブ1及び情報伝達システムの適用例について説明する。
図5は、適用例を説明する模式図である。
図5(a)には、自動車の運転をしている場合のナビゲーションへの適用例が表される。自動車を運転する際にドライバーは本実施形態に係る情報伝達用グローブ1を装着しておく。送信部100は、図示しないナビゲーション装置や携帯端末である。ドライバーは、自動車の運転中に道路誘導に関する情報を情報伝達用グローブ1の凹凸生成部20から手Hの甲h1への刺激として受け取る。例えば、左へ曲がる場合には凹凸生成部20から左を示す矢印が表され、右へ曲がる場合には凹凸生成部20から右を示す矢印が表される。凹凸生成部20からの刺激を手Hの甲h1で受けることで、ドライバーは視線を運転方向から外すことなく、道路誘導に関する情報を得ることができる。
【0061】
同様に、
図5(b)に表したように、オートバイを運転するライダーに適用してもよい。ライダーは、運転する際に本実施形態に係る情報伝達用グローブ1を装着しておく。オートバイでは自動車以上に両手が塞がっているため、本実施形態に係る情報伝達用グローブ1によって凹凸生成部20から手Hの甲h1へ与えられる凹凸による刺激により、手Hをグリップから外すことなく、視線も外さずに道路誘導などの情報を得ることができる。
【0062】
また、
図5(a)及び(b)に表したドライバーやライダーに与える情報として、前方の障害物などを検知した場合に情報伝達用グローブ1から手Hの甲h1へ刺激を与えて報知したり、ドライバーやライダーの眠気を察知した場合に情報伝達用グローブ1から手Hの甲h1へ強めの刺激を与えるようにしてもよい。
【0063】
図5(c)には、視覚障害者が本実施形態に係る情報伝達用グローブ1を利用する場合の例が表される。視覚障害者は、杖を利用することが多い。また、杖を持たない手には荷物を持っている場合もある。本実施形態に係る情報伝達システムでは、情報伝達用グローブ1を手Hに嵌めておくことで、道案内に関する情報などを視覚障害者の手Hの甲h1に凹凸による刺激として伝えることができる。両手が塞がっていても、情報伝達用グローブ1から手Hの甲h1に与えられる刺激によって情報を得られることで、歩行を中断せずに道案内に関する情報などを得ることが可能になる。制御部30は、凹凸生成部20に突起21によって点字の刺激を視覚障害者の手Hの甲h1に与えるように制御を行うとよい。点字の刺激により視覚障害者に対して効率よく情報を提供することができる。
【0064】
例えば、携帯電話を送信部100として、携帯電話の地図アプリケーションソフトウェアと本実施形態に係る情報伝達システムを連動させてもよい。地図アプリケーションソフトウェアの情報を携帯電話から情報伝達用グローブ1に伝えるようにすれば、盲導犬を利用しなくても視覚障害者は容易に移動することが可能になる。
【0065】
また、交通システムと本実施形態に係る情報伝達システムとを連動させてもよい。例えば、情報伝達用グローブ1の使用者の移動方向をGPSなどによって把握しておく、信号機に近づいた場合にその移動方向と対応する信号機の色に対応した情報を使用者の情報伝達用グローブ1に伝える。これにより、例えば視覚障害者のみならず聴覚障害者に対しても必要な情報を手Hの甲h1に与える刺激によって伝えることが可能になる。
【0066】
以上説明したように、実施形態に係る情報伝達用グローブ1及び情報伝達システムによれば、両手が塞がっている状態、視覚や聴覚が制限されている状態等でも的確に情報を伝達することができる。
【0067】
なお、上記に本実施形態及びその変形例を説明したが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。例えば、凹凸生成部20として突起21の進退により凹凸が変化する構成を例示したが、電気活性ポリマーのように電圧の印加によって歪を発生させて凹凸を変化させる構成を用いてもよい。また、前述の各実施形態またはその変形例に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、設計変更を行ったものや、各実施形態の特徴を適宜組み合わせたものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含有される。