(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明におけるポリエステルフィルムは単層構成であっても多層構成であってもよく、2層、3層構成以外にも本発明の要旨を越えない限り、4層またはそれ以上の多層であってもよく、特に限定されるものではない。
【0024】
本発明において使用するポリエステルは、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるものが好ましく、1種の芳香族ジカルボン酸と1種の脂肪族グリコールとからなるポリエステルであってもよく、1種以上の他の成分を共重合させた共重合ポリエステルであってもよい。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。代表的なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート等が例示される。一方、共重合ポリエステルの成分として用いるジカルボン酸としては、イソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸が挙げられ、グリコール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1、4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等が挙げられる。またp−オキシ安息香酸等のオキシカルボン酸も用いることができる。
【0025】
また、本発明における金属層積層用フィルムを構成する、塗布フィルムにおいては、フィルム加工中の熱履歴等により、フィルム中に含有しているオリゴマーがフィルムの表面に析出・結晶化する量を低減するために、多層構造フィルムの最外層に低オリゴマー化したポリエステルを用いることも可能である。ポリエステル中のオリゴマー量を低減する方法としては、例えば、固相重合法等を用いることができる。
【0026】
本発明の金属層積層用フィルムを構成する、塗布フィルムには、易滑性の付与および各工程での傷発生防止を主たる目的として、粒子を配合することが好ましい。配合する粒子の種類は、易滑性付与可能な粒子であれば特に限定されるものではなく、具体例としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、カオリン、酸化アルミニウム、酸化チタン等の粒子が挙げられる。また、特公昭59−5216号公報、特開昭59−217755号公報等に記載されている耐熱性有機粒子を用いてもよい。この他の耐熱性有機粒子の例として、熱硬化性尿素樹脂、熱硬化性フェノール樹脂、熱硬化性エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等が挙げられる。さらに、ポリエステル製造工程中、触媒等の金属化合物の一部を沈殿、微分散させた析出粒子を用いることもできる。
【0027】
一方、使用する粒子の形状に関しても特に限定されるわけではなく、球状、塊状、棒状、扁平状等のいずれを用いてもよい。また、その硬度、比重、色等についても特に制限はない。これらの粒子は、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
【0028】
また、用いる粒子の平均粒径は、通常0.01〜3μm、好ましくは0.01〜2μmの範囲である。平均粒径が0.01μm未満の場合には、粒子が凝集しやすく、分散性が不十分な場合があり、一方、3μmを超える場合には、フィルムの表面粗度が粗くなりすぎて、後工程において種々の表面機能層を塗設させる場合等に不具合が生じる場合がある。
【0029】
さらにポリエステル層中の粒子含有量は、通常0.001〜5重量%、好ましくは0.005〜3重量%の範囲である。粒子含有量が0.001重量%未満の場合には、フィルムの易滑性が不十分な場合があり、一方、5重量%を超えるとフィルムの透明性が不十分な場合がある。
【0030】
ポリエステル中に粒子を添加する方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を採用しうる。例えば、各層を構成するポリエステルを製造する任意の段階において添加することができるが、好ましくはエステル化もしくはエステル交換反応終了後、添加するのが良い。
【0031】
また、ベント付き混練押出機を用い、エチレングリコールまたは水などに分散させた粒子のスラリーとポリエステル原料とをブレンドする方法、または、混練押出機を用い、乾燥させた粒子とポリエステル原料とをブレンドする方法などによって行われる。
【0032】
なお、本発明におけるポリエステルフィルム中には、上述の粒子以外に必要に応じて従来公知の紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、熱安定剤、潤滑剤、染料、顔料等を添加することができる。
【0033】
本発明におけるポリエステルフィルムの厚みは、フィルムとして製膜可能な範囲であれば特に限定されるものではないが、通常9〜80μm、好ましくは12〜75μmの範囲である。
【0034】
次に本発明におけるポリエステルフィルムの製造例について具体的に説明するが、以下の製造例に何ら限定されるものではない。
【0035】
すなわち、先に述べたポリエステル原料を使用し、ダイから押し出された溶融シートを冷却ロールで冷却固化して未延伸シートを得る方法が好ましい。この場合、シートの平面性を向上させるためシートと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが好ましく、静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。次に得られた未延伸シートは二軸方向に延伸される。その場合、まず、前記の未延伸シートを一方向にロールまたはテンター方式の延伸機により延伸する。延伸温度は、通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃であり、延伸倍率は通常2.5〜7倍、好ましくは3.0〜6倍である。
次いで、一段目の延伸方向と直交する方向に延伸するが、その場合、延伸温度は通常70〜170℃であり、延伸倍率は通常3.0〜7倍、好ましくは3.5〜6倍である。そして、引き続き180〜270℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、二軸配向フィルムを得る。上記の延伸においては、一方向の延伸を2段階以上で行う方法を採用することもできる。その場合、最終的に二方向の延伸倍率がそれぞれ上記範囲となるように行うのが好ましい。
【0036】
また、本発明においてはポリエステルフィルム製造に関しては同時二軸延伸法を採用することもできる。同時二軸延伸法は、前記の未延伸シートを通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃で温度コントロールされた状態で機械方向および幅方向に同時に延伸し配向させる方法であり、延伸倍率としては、面積倍率で4〜50倍、好ましくは7〜35倍、さらに好ましくは10〜25倍である。そして、引き続き、170〜250℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、延伸配向フィルムを得る。上述の延伸方式を採用する同時二軸延伸装置に関しては、スクリュー方式、パンタグラフ方式、リニアー駆動方式等、従来から公知の延伸方式を採用することができる。
【0037】
さらに上述の積層ポリエステルフィルムの延伸工程中にフィルム表面を処理する、いわゆる塗布延伸法(インラインコーティング)を施すことができる。塗布延伸法により積層ポリエステルフィルム上に塗布層が設けられる場合には、延伸と同時に塗布が可能になると共に塗布層の厚みを延伸倍率に応じて薄くすることができ、積層ポリエステルフィルムとして好適なフィルムを製造できる。
【0038】
次に本発明の金属層積層用フィルムを構成する、塗布フィルムにおいて、塗布層の形成は、塗布液をフィルムにコーティングすることにより設けられ、フィルム製造工程内で行うインラインコーティングにより設けられても、また、一旦製造したフィルム上に系外で塗布する、いわゆるオフラインコーティングを採用してもよい。
【0039】
また、本発明における金属層積層用フィルムを構成する、塗布フィルムにおいて、|SMD−STD|≦0.4を満足させるための収縮率調整の目的で、一旦製造したフィルムを系外で再度熱入れする、いわゆるオフラインアニールを採用してもよい。
【0040】
本発明におけるポリエステルフィルムの厚みは、フィルムとして製膜可能な範囲であれば特に限定されるものではないが、通常9〜80μmの範囲である。
【0041】
次に本発明におけるポリエステルフィルムの製造例について具体的に説明するが、以下の製造例に何ら限定されるものではない。
【0042】
まず、先に述べたポリエステル原料を使用し、ダイから押し出された溶融シートを冷却ロールで冷却固化して未延伸シートを得る方法が好ましい。この場合、シートの平面性を向上させるためシートと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが好ましく、静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。
【0043】
次に得られた未延伸シートは二軸方向に延伸される。その場合、まず、前記の未延伸シートを一方向にロールまたはテンター方式の延伸機により延伸する。延伸温度は、通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃であり、延伸倍率は通常2.5〜7.0倍、好ましくは3.0〜6.0倍である。次いで、一段目の延伸方向と直交する延伸温度は通常70〜170℃であり、延伸倍率は通常2.5〜7.0倍、好ましくは3.0〜6.0倍である。そして、引き続き180〜270℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、二軸配向フィルムを得る。
【0044】
上記の延伸においては、一方向の延伸を2段階以上で行う方法を採用することもできる。その場合、最終的に二方向の延伸倍率がそれぞれ上記範囲となるように行うのが好ましい。
【0045】
本発明におけるポリエステルフィルム製造に関しては同時二軸延伸法を採用することもできる。同時二軸延伸法は前記の未延伸シートを通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃で温度コントロールされた状態で機械方向および幅方向に同時に延伸し配向させる方法で、延伸倍率としては、面積倍率で4〜50倍、好ましくは7〜35倍、さらに好ましくは10〜25倍である。そして、引き続き、170〜250℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、延伸配向フィルムを得る。上述の延伸方式を採用する同時二軸延伸装置に関しては、スクリュー方式、パンタグラフ方式、リニアー駆動方式等、従来公知の延伸方式を採用することができる。
【0046】
さらに上述のポリエステルフィルムの延伸工程中にフィルム表面を処理する、いわゆる塗布延伸法(インラインコーティング)を施すことができる。塗布延伸法によりポリエステルフィルム上に塗布層が設けられる場合には、延伸と同時に塗布が可能になると共に塗布層の厚みを延伸倍率に応じて薄くすることができ、ポリエステルフィルムとして好適なフィルムを製造できる。
【0047】
本発明に使用する塗布フィルムにおいて、多層構成のポリエステルフィルムは延伸工程中、および/またはその後のフィルムに、本発明の主旨を損なわない範囲において、接着性、帯電防止性、滑り性、離形性等の機能を付与するために、フィルム表面に塗布層を形成したりコロナ処理等の表面処理を施したりしてもよい。
【0048】
本発明に使用する塗布フィルムにおいて、その上に加工されるコート層との密着性の向上、加工時の滑り性向上などを目的として塗布層を設けてもよい。塗布層に関しては、ポリエステルフィルムの製膜工程中にフィルム表面を処理する、インラインコーティングにより設けられてもよく、一旦製造したフィルム上に系外で塗布する、オフラインコーティングを採用してもよい。製膜と同時に塗布が可能であるため、製造が安価に対応可能であることから、インラインコーティングが好ましく用いられる。
【0049】
本発明に使用する塗布フィルムにおいて、収縮率を調整する目的として、一旦製造したフィルムを系外で再度熱入れする、いわゆるオフラインアニールを採用してもよい。
【0050】
本発明に使用する塗布フィルムの塗布層は、界面活性剤、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、有機系潤滑剤、有機粒子、無機粒子、酸化防止剤、紫外線吸収剤、発泡剤、染料、顔料等の添加剤を含有していてもよい
【0051】
本発明において、金属層積層用フィルムを構成する、塗布フィルムにおいて、塗布層中には、外部から塗布層への熱的ダメージにより、オリゴマー析出量が増加することを低減するため、不揮発成分に対して70重量%以上の架橋剤を含有する塗布液から形成された塗布層を有することを必須の要件とするものである。なお、塗布液中には、その他の成分を含有していても構わない。
【0052】
架橋剤とは、種々公知の架橋剤が使用でき、例えば、オキサゾリン化合物、メラミン化合物、エポキシ化合物、イソシアネート系化合物、カルボジイミド系化合物、シランカップリング化合物等が挙げられる。これらの中でも特に、塗布層上に機能層を設ける用途に用いる場合、耐久密着性が向上するという観点から、オキサゾリン化合物が好適に用いられる。また、加熱によるフィルム表面へのエステル環状三量体の析出防止や、塗布層の耐久性や塗布性向上という観点からはメラミン化合物が好適に用いられる。
【0053】
オキサゾリン化合物とは、分子内にオキサゾリン基を有する化合物であり、特にオキサゾリン基を含有する重合体が好ましく、付加重合性オキサゾリン基含有モノマー単独もしくは他のモノマーとの重合によって作成できる。付加重合性オキサゾリン基含有モノマーは、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリン等を挙げることができ、これらの1種または2種以上の混合物を使用することができる。これらの中でも2−イソプロペニル−2−オキサゾリンが工業的にも入手しやすく好適である。他のモノマーは、付加重合性オキサゾリン基含有モノマーと共重合可能なモノマーであれば制限なく、例えばアルキル(メタ)アクリレート(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基)等の(メタ)アクリル酸エステル類;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸、スチレンスルホン酸およびその塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、第三級アミン塩等)等の不飽和カルボン酸類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;(メタ)アクリルアミド、N−アルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド、(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等)等の不飽和アミド類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;エチレン、プロピレン等のα−オレフィン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル等の含ハロゲンα,β−不飽和モノマー類;スチレン、α−メチルスチレン、等のα,β−不飽和芳香族モノマー等を挙げることができ、これらの1種または2種以上のモノマーを使用することができる。
【0054】
本発明における積層ポリエステルフィルムを構成する塗布層を形成する塗布液中に含有されるオキサゾリン化合物のオキサゾリン基量は、通常0.5〜10mmol/g、好ましくは3〜9mmol/g、より好ましくは5〜8mmol/gの範囲である。上記範囲で使用することで、塗膜の耐久性が向上する。
【0055】
メラミン化合物とは、化合物中にメラミン構造を有する化合物のことであり、例えば、アルキロール化メラミン誘導体、アルキロール化メラミン誘導体にアルコールを反応させて部分的あるいは完全にエーテル化した化合物、およびこれらの混合物を用いることができる。エーテル化に用いるアルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブタノール等が好適に用いられる。また、メラミン化合物としては、単量体、あるいは2量体以上の多量体のいずれであってもよく、あるいはこれらの混合物を用いてもよい。さらに、メラミンの一部に尿素等を共縮合したものも使用できるし、メラミン化合物の反応性を上げるために触媒を使用することも可能である。
【0056】
エポキシ化合物とは、分子内にエポキシ基を有する化合物であり、例えば、エピクロロヒドリンとエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、ビスフェノールA等の水酸基やアミノ基との縮合物が挙げられ、ポリエポキシ化合物、ジエポキシ化合物、モノエポキシ化合物、グリシジルアミン化合物等がある。ポリエポキシ化合物としては、例えば、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアネート、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ジエポキシ化合物としては、例えば、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、モノエポキシ化合物としては、例えば、アリルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、グリシジルアミン化合物としてはN,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノ)シクロヘキサン等が挙げられる。
【0057】
イソシアネート系化合物とは、イソシアネート、あるいはブロックイソシアネートに代表されるイソシアネート誘導体構造を有する化合物のことである。イソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香環を有する脂肪族イソシアネート、メチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族イソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、イソプロピリデンジシクロヘキシルジイソシアネート等の脂環族イソシアネート等が例示される。また、これらイソシアネートのビュレット化物、イソシアヌレート化物、ウレトジオン化物、カルボジイミド変性体等の重合体や誘導体も挙げられる。これらは単独で用いても、複数種併用してもよい。上記イソシアネートの中でも、紫外線による黄変を避けるために、芳香族イソシアネートよりも脂肪族イソシアネートまたは脂環族イソシアネートがより好ましい。
【0058】
ブロックイソシアネートの状態で使用する場合、そのブロック剤としては、例えば重亜硫酸塩類、フェノール、クレゾール、エチルフェノールなどのフェノール系化合物、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコール、ベンジルアルコール、メタノール、エタノールなどのアルコール系化合物、イソブタノイル酢酸メチル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトンなどの活性メチレン系化合物、ブチルメルカプタン、ドデシルメルカプタンなどのメルカプタン系化合物、ε‐カプロラクタム、δ‐バレロラクタムなどのラクタム系化合物、ジフェニルアニリン、アニリン、エチレンイミンなどのアミン系化合物、アセトアニリド、酢酸アミドの酸アミド化合物、ホルムアルデヒド、アセトアルドオキシム、アセトンオキシム、メチルエチルケトンオキシム、シクロヘキサノンオキシムなどのオキシム系化合物が挙げられ、これらは単独でも2種以上の併用であってもよい。
【0059】
また、本発明におけるイソシアネート系化合物は単体で用いてもよいし、各種ポリマーとの混合物や結合物として用いてもよい。イソシアネート系化合物の分散性や架橋性を向上させるという意味において、ポリエステル樹脂やウレタン樹脂との混合物や結合物を使用することが好ましい。
【0060】
カルボジイミド系化合物とは、カルボジイミド構造を有する化合物のことであり、分子内にカルボジイミド構造を1つ以上有する化合物であるが、より良好な密着性等のために、分子内に2つ以上有するポリカルボジイミド系化合物がより好ましい。
【0061】
カルボジイミド系化合物は従来公知の技術で合成することができ、一般的には、ジイソシアネート化合物の縮合反応が用いられる。ジイソシアネート化合物としては、特に限定されるものではなく、芳香族系、脂肪族系いずれも使用することができ、具体的には、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートなどが挙げられる。
【0062】
カルボジイミド系化合物に含有されるカルボジイミド基の含有量は、カルボジイミド当量(カルボジイミド基1molを与えるためのカルボジイミド化合物の重さ[g])で、通常100〜1000、好ましくは250〜700、より好ましくは300〜500の範囲である。上記範囲で使用することで、塗膜の耐久性が向上する。
【0063】
さらに本発明の効果を消失させない範囲において、ポリカルボジイミド系化合物の水溶性や水分散性を向上するために、界面活性剤を添加することや、ポリアルキレンオキシド、ジアルキルアミノアルコールの四級アンモニウム塩、ヒドロキシアルキルスルホン酸塩などの親水性モノマーを添加して用いてもよい。
【0064】
これらの架橋剤は単独でも2種類以上の併用でもあってもよいが、2種類以上組合せることにより、両立が困難であった機能層との密着性と加熱後のエステル環状三量体の析出防止性を向上させることを見いだした。その中でも、特に機能層との密着性を向上させられるオキサゾリン化合物と、加熱後のエステル環状三量体の析出防止性が良好なメラミン化合物との組合せが最適であり、好ましい。
【0065】
また、機能層との密着性をより向上させるためには3種類の架橋剤を組み合わせることが有効であることを見いだした。3種類以上の架橋剤の組合せとしては、架橋剤の1つとしては、メラミン化合物を選択することが最適であり、メラミン化合物との組合せとしては、オキサゾリン化合物とエポキシ化合物、カルボジイミド系化合物とエポキシ化合物が特に好ましい。
【0066】
なお、これら架橋剤は、乾燥過程や、製膜過程において、反応させて塗布層の性能を向上させる設計で用いている。できあがった塗布層中には、これら架橋剤の未反応物、反応後の化合物、あるいはそれらの混合物が存在しているものと推測できる。
【0067】
かかる架橋成分を含有する場合、同時に架橋を促進するための成分、例えば架橋触媒などを併用することができる。
【0068】
また、本発明のフィルムの塗布層の形成には、塗布外観の向上や塗布層上に機能層が形成されたときの密着性の向上等のためにポリマーを併用することも可能である。
【0069】
ポリマーの具体例としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリビニル(ポリビニルアルコール等)、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンイミン、メチルセルロース、ヒロキシセルロース、でんぷん類等が挙げられる。これらの中でも、種々の表面機能層との密着性向上の観点からは、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂を使用することが好ましい。ただし、含有量が多くなると、加熱後のエステル環状三量体の析出防止性が悪化する場合があり、通常30重量%以下、好ましくは20重量%以下、より好ましくは10重量%以下である。割合が上記範囲を超える場合、加熱後のエステル環状三量体の析出を効果的に抑えることができない場合がある。
【0070】
また、塗布層の形成にはブロッキング、滑り性改良を目的として粒子を併用することも可能である。その平均粒径はフィルムの透明性の観点から好ましくは1.0μm以下、さらに好ましくは0.5μm以下、特に好ましくは0.2μm以下の範囲である。また、下限は滑り性をより効果的に向上させるために、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.03μm以上、特に好ましくは塗布層の膜厚よりも大きい範囲である。粒子の具体例としてはシリカ、アルミナ、カオリン、炭酸カルシウム、有機粒子等が挙げられる。その中でも透明性の観点からシリカが好ましい。
【0071】
さらに本発明の主旨を損なわない範囲において、塗布層の形成には必要に応じて消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、有機系潤滑剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、発泡剤、染料、顔料等を併用することも可能である。
【0072】
本発明における積層ポリエステルフィルムを構成する塗布層を形成する塗布液中の全不揮発成分に対する割合として、架橋剤の割合は、通常70重量%以上、好ましくは80重量%以上、より好ましくは90重量%以上である。割合が上記範囲以下の場合、加熱後のエステル環状三量体の析出を効果的に抑えることができない場合がある。
【0073】
加熱後のエステル環状三量体の析出防止の観点から、架橋剤の一つにメラミンを選択する場合、塗布層を形成する塗布液中の全不揮発成分に対する割合として、メラミンの割合は、通常5〜95重量%の範囲、好ましくは15〜80重量%の範囲、特に好ましくは30〜65重量%の範囲である。割合が上記範囲以下の場合、加熱後のエステル環状三量体の析出を効果的に抑えることができない場合がある。割合が上記範囲以上の場合、塗布外観が悪化する場合がある。
【0074】
また、塗布層の厚さは、最終的に得られるフィルム上の塗布層の厚さとして、通常0.003μm〜1μmの範囲であり、好ましくは0.005μm〜0.5μm、さらに好ましくは0.01μm〜0.2μmの範囲である。厚さが0.003μmより薄い場合には、フィルムから析出するエステル環状三量体量が十分に少なくならないことがある。また1μmより厚い場合には、塗布層の外観の悪化や、ブロッキングしやすくなるなどの問題が生じることがある。
【0075】
ポリエステルフィルムに塗布液を塗布する方法としては、例えば、エアドクターコート、ブレードコート、ロッドコート、バーコート、ナイフコート、スクイズコート、含浸コート、リバースロールコート、トランスファロールコート、グラビアコート、キスロールコート、キャストコート、スプレイコート、カーテンコート、カレンダコート、押出コート等従来公知の塗布方法を用いることができる。
【0076】
塗布剤のフィルムへの塗布性、密着性を改良するため、塗布前にフィルムに化学処理やコロナ放電処理、プラズマ処理等を施してもよい。
【0077】
本発明における金属層積層用フィルムを構成する、塗布フィルムに関して、例えば、タッチパネル用等、長時間、高温雰囲気下に晒された後であっても、高度な透明性が要求される場合がある。かかる観点より、タッチパネル用部材として対応するためには、熱処理(150℃、90分間)前後におけるフィルムヘーズ変化率(加熱ヘーズ、ΔH)が0.5%以下であるのが好ましく、さらに好ましくは0.3%以下、もっとも好ましくは0.1%以下がよい。ΔHが0.5%を越える場合にはフィルムヘーズ上昇に伴い視認性が低下し、例えば、タッチパネル用等、高度な視認性が必要とされる用途に不適当となる場合がある。なお、ΔHが低いほど、オリゴマーの析出が少ないことを示す。
【0078】
本発明における金属層積層用フィルムを構成する、塗布フィルムを熱処理(150℃、90分間)した前後における塗布層表面(片面)からジメチルホルムアミドにより抽出されるオリゴマー(環状三量体)量(OL)は、通常1.5mg/m
2以下であり、好ましくは1.0mg/m
2以下である。OLが1.5mg/m
2を超える場合、後加工、例えば、スパッタリング工程などの熱処理工程において、例えば、150℃、90分間等、高温雰囲気下で長時間の加熱処理に伴い、オリゴマー析出量が多くなり、フィルムの透明性が低下する場合がある。
【0079】
本発明における塗布フィルムにおいては、フィルム構成上、塗布層が金属層と長期間に接触することによる腐食を考慮する必要がある。かかる観点より、塗布層を構成する材料に関しては、実質的にハロゲン元素等、イオン性物質を含有しない材料から構成されるのが、本発明の用途上、好ましい。具体的には、塗布フィルムを常温下で純水中に24時間放置した後、検出されるハロゲンイオンの合計量について、1ppm以下が好ましい。
かかる条件を満足するための具体的手段として、例えば、界面活性剤を併用するエマルションタイプ、或いは帯電防止剤等、イオン性材料の使用を極力抑え、塗布層構成材料として、水溶性架橋剤を主たる構成成分(50%以上)とするのが好ましく、さらに好ましくは70%以上がよい。
【0080】
本発明における金属積層フィルムを構成する、塗布フィルムにおいて、フィルム走行方向(MD)とそれに直交する方向(TD)における150℃、90分間の条件で加熱した収縮率差(ΔS)の絶対値が以下の式を満たすことが必要である。
ΔS=|SMD−STD|=0.4以下
(上記式中、SMDは、フィルム走行方向の収縮率(%)、STDは、フィルム走行方向と直交する方向の収縮率(%)をそれぞれ意味する)
【0081】
SMDに関しては、0.1〜1.5%の範囲であり、好ましくは0.1〜0.7%の範囲、さらに好ましくは、0.1〜0.3%の範囲である。STDに関しては、−0.3〜1.0%の範囲であり、好ましくは−0.1〜0.4%の範囲、さらに好ましくは、0.1〜0.3%の範囲である。SMD、STD共に、0.1〜0.3%の範囲に近い方が、金属層のパターン幅をより狭く設計することが可能である。
【0082】
ΔSに関しては、好ましくは0.3以下である。さらに好ましくは0.1以下である。
ΔSが0.4を超える場合、パターン化された金属層の形状が歪み、配線基板の応答が低下する傾向があり、高感度な配線基板として対応困難になる。
【0083】
従来、ポリエステルフィルム基材の塗布フィルムを使用して、金属膜を積層する工程における150℃、あるいは180℃程度の温度で熱処理する際に塗布フィルムが収縮し、MDとTDの収縮差により、パターン化された金属層の形状が歪み、配線基板の応答が低下する傾向がある。それ故に、高感度な配線基板が必要とされる。本発明者は、金属積層フィルムを構成する、塗布フィルムにおけるMDとTDの加熱収縮率差(ΔS)が当該不具合の原因の一つであると考えた。
【0084】
金属積層フィルムを構成する、塗布フィルムにおいて、150℃、あるいは180℃程度の温度での熱処理や、高温高湿雰囲気下での耐久性試験など、過酷な条件下での加工工程で使用される際、塗布フィルムからのオリゴマー析出によりヘーズが大きく上昇することを抑えられることと、塗布フィルムにおけるMDとTDの収縮率差(ΔS)を|SMD−STD|=0.4以下とすることで、金属積層膜のパターン化が繊細となり、パターン幅が狭く設計され、高感度な配線基板が設計されたタイプに使用されても、パターン化不良等の不具合を解決することが可能である。なお、ここで言う面塗布フィルムにおけるMDとは、加工工程におけるフィルム走行方向を意味する。また、TDとは、加工工程におけるフィルム走行方向に対して、直交する方向を意味する。
【0085】
本発明において、前記、熱寸法安定性の効果をさらに高めるために、アニール処理を行うのが好ましい。アニール処理に関しては、従来、公知の手法を採用することが可能である。具体的には、例えば、アニールの温度は160〜200℃が好ましく、より好ましくは165〜195℃であり、さらに好ましくは、170〜190℃である。
アニール処理時間は、1〜30秒が好ましく、より好ましくは3〜20秒であり、さらに好ましくは5〜15秒である。さらにフィルム走行速度は10〜300m/min、フィルム張力(オーブン内)は、1kg〜10kg/フィルム幅が好ましく、より好ましくは1kg〜7kg/フィルム幅であり、さらに好ましくは1kg〜5kg/フィルム幅でフィルムを搬送しながらアニール処理するのが好ましい。
【0086】
本発明において、金属層に使用する金属としては、金、白金、銀、銅、アルミニウム、コバルト、クロム、亜鉛、ニッケル、チタン、タングステン、鉄、スズ、インジウム等の金属単体やニッケル・クロムアロイ等の2種類以上の金属の固溶体(アロイ)を使用することもできる。中でも、金属膜形成の汎用性、コスト、エッチングによる除去の容易性等を考慮して、クロム、ニッケル、チタン、ニッケル・クロムアロイ、アルミニウム、亜鉛、銅・ニッケルアロイ、銅・チタンアロイ、金、銀および銅が好まし。さらに好ましくは、クロム、ニッケル、チタン、ニッケル・クロムアロイ、アルミニウム、亜鉛、金、銀および銅がよい。最も好ましくは銅(酸化銅も含む)がよい。また、金属膜層は単層であっても、異なる金属が2層以上積層した複層構造であってもよい。
【0087】
本発明において、金属層の層厚みは特に限定されないが、5nm〜500nmが好ましく、より好ましくは10nm〜300nmである。金属層の層厚みが5nm未満の場合、金属層にクラックが入り易い場合がある。一方、金属層の層厚みが500nmを越える場合、金属層形成に長時間を要し、コストがかかる傾向にある。
【0088】
本発明において、塗布層上への金属層形成方法については、従来から公知の手法を採用することができる。具体的には、蒸着法、スパッタリング法およびイオンプレーティング法から選ばれる1種以上の方法により形成されるのが好ましく、特にスパッタリング法により形成されるのが好ましい。前記方法は2種類以上を組合せて用いることもできるし、いずれかの方法を単独で用いることもできる。
【0089】
蒸着法(真空蒸着法)は、支持体(本発明では両面塗布フィルムに相当する)を真空容器内に入れ、金属を加熱蒸発させることにより塗布層上に金属層形成を行うことが好ましい。
【0090】
スパッタリング法は、支持体(本発明では両面塗布フィルムに相当する)を真空容器内に入れ、アルゴン等の不活性ガスを導入し、直流電圧を印加して、イオン化した不活性ガスをターゲット金属に衝突させ、叩き出された金属により、塗布層上に金属層形成を行うことが好ましい。
【0091】
イオンプレーティング法は、支持体(本発明では両面塗布フィルムに相当する)を真空容器内に入れ、グロー放電雰囲気下で、金属を加熱蒸発させ、イオン化した蒸発金属により塗布層上に金属層形成を行うことが好ましい。
【0092】
パターン化においては、従来公知の技術を用いて実施することができる。例えば、特開2014−150118号公報に記載がある。
【実施例】
【0093】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例中「部」とあるのは「重量部」を示す。また、本発明で用いた測定法および評価方法は次のとおりである。
【0094】
(1)ポリエステルの固有粘度の測定方法
ポリエステルに非相溶な他のポリマー成分および顔料を除去したポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。
【0095】
(2)平均粒径(d50)および粒度分布
(株)島津製作所社製遠心沈降式粒度分布測定装置SA−CP3型を用いてストークスの抵抗則にもとづく沈降法によって粒子の大きさを測定し、平均粒径を求めた。平均粒径の測定法と同様にして粒度分布を求めた。すなわち、等価球分布における大粒子側から積算を行い、下記式から粒度分布比(R)を算出した。
(r)=粒子積算重量が25%のときの粒径/粒子積算重量が75%のときの粒径
【0096】
(3)ポリエステル原料に含有される含有オリゴマー量の測定方法
ポリエステル原料を約200mg秤量し、クロロホルム/HFIP(ヘキサフルオロ−2−イソプロパノル)の比率3:2の混合溶媒2mlに溶解させる。溶解後、クロロホルム20mlを追加した後、メタノール10mlを少しずつ加える。沈殿物を濾過により除去し、さらに沈殿物をクロロホルム/メタノールの比率2:1の混合溶媒で洗浄し、濾液・洗浄液を回収し、エバポレーターにより濃縮、その後、乾固させる。乾固物をDMF(ジメチルホルムアミド)25mlに溶解後、この溶液を液体クロマトグラフィー(島津製作所製:LC−7A)に供給して、DMF中のオリゴマー量を求め、この値をクロロホルム/HFIP混合溶媒に溶解させたポリエステル原料量で割って、含有オリゴマー量(重量%)とする。DMF中のオリゴマー量は、標準試料ピーク面積と測定試料ピーク面積のピーク面積比より求めた(絶対検量線法)。
【0097】
(4)塗布フィルムに含有される含有オリゴマー量の測定方法
塗布フィルムを約200mg秤量し、クロロホルム/HFIP(ヘキサフルオロ−2−イソプロパノル)の比率3:2の混合溶媒2mlに溶解させる。溶解後、クロロホルム20mlを追加した後、メタノール10mlを少しずつ加える。沈殿物を濾過により除去し、さらに沈殿物をクロロホルム/メタノールの比率2:1の混合溶媒で洗浄し、濾液・洗浄液を回収し、エバポレーターにより濃縮、その後、乾固させる。乾固物をDMF(ジメチルホルムアミド)25mlに溶解後、この溶液を液体クロマトグラフィー(島津製作所製:LC−7A)に供給して、DMF中のオリゴマー量を求め、この値をクロロホルム/HFIP混合溶媒に溶解させた塗布フィルム量で割って、含有オリゴマー量(重量%)とする。DMF中のオリゴマー量は、標準試料ピーク面積と測定試料ピーク面積のピーク面積比より求めた(絶対検量線法)。
【0098】
標準試料の作成は、予め分取したオリゴマー(エステル環状三量体)を正確に秤量し、正確に秤量したDMFに溶解し作成した。標準試料の濃度は、0.001〜0.01mg/mlの範囲が好ましい。
【0099】
なお、液体クロマトグラフの条件は下記のとおりとした。
移動相A:アセトニトリル
移動相B:2%酢酸水溶液
カラム:三菱化学(株)製『MCI GEL ODS 1HU』
カラム温度:40℃
流速:1ml/分
検出波長:254nm
【0100】
(5)積層ポリエステル層の厚み
フィルム小片をエポキシ樹脂にて固定成形した後、ミクロトームで切断し、フィルムの断面を透過型電子顕微鏡写真にて観察した。その断面のうちフィルム表面とほぼ平行に2本、明暗によって界面が観察される。その2本の界面とフィルム表面までの距離を10枚の写真から測定し、平均値を積層厚さとした。
【0101】
(6)塗布層厚さ
包埋樹脂でフィルムを固定し断面をミクロトームで切断し、2%オスミウム酸で60℃、2時間染色して試料を調整した。得られた試料を、透過型電子顕微鏡(日本電子株式会社製JEM2010)で観察し、塗布層の厚みを測定した。フィルムの計15箇所を測定し、数値の大きい方から3点と、小さい方から3点を除いた9点の平均を塗布層厚みとする。
【0102】
(7)金属層積層用フィルムを構成する、塗布フィルムの塗布層表面から抽出されるオリゴマー量(OL)の測定方法
あらかじめ、塗布フィルムを空気中、150℃で90分間加熱する。その後、熱処理をした当該フィルムを上部が開いている縦横10cm、高さ3cmになるように、測定面(塗布層)を内面として箱形の形状を作成する。次いで、上記の方法で作成した箱の中にDMF(ジメチルホルムアミド)4mlを入れて3分間放置した後、DMFを回収する。回収したDMFを液体クロマトグラフィー(島津製作所製:LC−7A)に供給して、DMF中のオリゴマー量を求め、この値を、DMFを接触させたフィルム面積で割って、フィルム表面オリゴマー量(mg/m
2)とする。DMF中のオリゴマー量は、標準試料ピーク面積と測定試料ピーク面積のピーク面積比より求めた(絶対検量線法)。(A面)。反対面側(B面)も上記と同様の要領にて測定を行い、塗布層表面から抽出されるオリゴマー量(OL)を求めた。
【0103】
標準試料の作成は、予め分取したオリゴマー(環状三量体)を正確に秤量し、正確に秤量したDMFに溶解し作成した。標準試料の濃度は、0.001〜0.01mg/mlの範囲が好ましい。
【0104】
なお、液体クロマトグラフの条件は下記のとおりとした。
移動相A:アセトニトリル
移動相B:2%酢酸水溶液
カラム:三菱化学(株)製『MCI GEL ODS 1HU』
カラム温度:40℃
流速:1ml/分
検出波長:254nm
【0105】
(8)塗布フィルムヘーズ(H0)の測定
試料フィルムをJIS−K−7136に準じ、村上色彩研究所製「HM−150」により、フィルムヘーズを測定した。
【0106】
(9)加熱処理後の塗布フィルムヘーズ(H1)の測定
試料フィルムを所定の熱処理条件(150℃、90分間)で処理した後、(5)項と同様にして、フィルムヘーズを測定した。
【0107】
(10)塗布フィルムヘーズ変化量(加熱ヘーズ、ΔH)の測定
(7)項と(8)項の測定値より、塗布フィルムヘーズ変化量(加熱ヘーズ、ΔH)を算出した。
ΔH=(H1)−(H0)
ΔHが低いほど、高温処理によるオリゴマーの析出が少ないことを示し、良好である。
【0108】
(11)塗布フィルムの収縮率(SMD、STD)の測定
試料フィルムを無張力状態で所定の温度(150℃)に保ったオーブン中、90分間熱処理し、その前後の試料の長さを測定して次式にて算出した。なお、塗布フィルムのMDとTDのそれぞれについて測定した。
収縮率={(熱処理前のサンプル長)−(熱処理後のサンプル長)}/(熱処理前のサンプル長)×100
【0109】
(12)金属層に対する密着性(加熱加湿前)評価(実用特性代用評価)
塗布フィルムにおいて、塗布フィルムの塗布層表面上に反応性スパッタリング法により、厚さ20nmの酸化銅層を形成した。当該酸化銅層上にパターン化されているフォトレジストを塗布して乾燥硬化した後、得られた酸化銅層を4%の塩化第2鉄水溶液に浸漬して、3mm幅に酸化銅層が残るようにエッチング処理した。得られたパターン化された酸化銅層は150℃×90分間の加熱処理により結晶化させた。次に、株式会社島津製作所製「Ezgraph」を使用し、JIS C 5016に定めるように、90度方向での引っ張り試験を行い、金属層に対する密着力を測定し、下記判定基準により、判定を行った(A面)。反対面側(B面)も金属層が存在する場合には、上記と同様の要領にて測定を行い、下記判定基準により、判定を行った。
《判定基準》
〇:密着力が0.5N/mm以上であり、密着性良好(実用上、問題ないレベル)
△:密着力が0.3〜0.4N/mmであり、密着性は普通(実用上、問題になる場合があるレベル)
×:密着力が0.2N/mm以下であり、密着性不良(実用上、問題あるレベル)
【0110】
(13)金属層に対する密着性(加熱加湿後)評価(実用特性代用評価)
塗布フィルムにおいて、塗布フィルムの塗布層表面上に反応性スパッタリング法により、厚さ20nmの酸化銅層を形成した。当該酸化銅層上にパターン化されているフォトレジストを塗布して乾燥硬化した後、得られた酸化銅層を4%の塩化第2鉄水溶液に浸漬して、12mm幅に酸化銅層が残るようにエッチング処理した。得られたパターン化された酸化銅層は150℃×90分間の加熱処理により結晶化させた。その後、温度85℃、湿度85%RHの条件に保たれた恒温槽の中に48時間入れる。その後上記(11)と同様の要領で、金属層に対する密着力を測定し、下記判定基準により、判定を行った(A面)。反対面側(B面)も金属層が存在する場合には、上記と同様の要領にて測定を行い、下記判定基準により、判定を行った。
《判定基準》
〇:密着力が0.5N/mm以上であり、密着性良好(実用上、問題ないレベル)
△:密着力が0.3〜0.4N/mmであり、密着性は普通(実用上、問題になる場合があるレベル)
×:密着力が0.2N/mm以下であり、密着性不良(実用上、問題あるレベル)
【0111】
(14)金属層の変色性評価(実用特性代用評価)
塗布フィルムにおいて、塗布フィルムの塗布層表面上に反応性スパッタリング法により、厚さ20nmの酸化銅層を形成した。その後、温度85℃、湿度85%RHの条件に保たれた恒温槽の中に48時間入れ、その後、金属層積層用フィルム表面の酸化銅層表面を目視にて観察し、下記判定基準により、判定を行った(A面)。反対面側(B面)も金属層が存在する場合には、上記と同様の要領にて測定を行い、下記判定基準により、判定を行った。
《判定基準》
〇:変色なく良好(実用上、問題ないレベル)
△:僅かに変色を確認(実用上、問題になる場合があるレベル)
×:変色を確認(実用上、問題あるレベル)
【0112】
(15)銅層パターン化後のパターン形状(歪み)評価
塗布フィルムにおいて、塗布フィルムの塗布層表面上に反応性スパッタリング法により、厚さ20nmの酸化銅層を形成した。当該酸化銅層上に格子状にパターン化(最細部:20μm)されているフォトレジストを塗布して乾燥硬化した後、得られた酸化銅層を4%の塩化第2鉄水溶液に浸漬してエッチング処理した。得られたパターン化された酸化銅層を、150℃×90分間の加熱処理する前後における格子状のパターン(加熱前のXの長さ=3.00mm、加熱前のYの長さ=3.00mm)の寸法変化(X,Y)に関して、測定顕微鏡を用いて観察し、下記判定基準により、判定を行った。なお、パターン化された金属層の形状の歪みは、塗布フィルムのMDとTDの収縮差が起因する。故に、本評価では簡略化のためA面において評価を行った。
(判定基準)
○:加熱後のXとYの長さの差が0.01mm以下(加熱処理前後での寸法変化がほとんどなく実用上、問題ないレベル)
×:加熱後のXとYの長さの差が0.01mmを超える(加熱処理前後での寸法変化により、実用上、問題あるレベル)
本評価においては、
図1に示すとおり、格子状のパターンにて評価を行ったが、これに限定されるわけではない。
【0113】
(16)銅層パターン化後の配線断線評価(耐熱性の実用特性代用評価)
塗布フィルムにおいて、フィルム表面上に焼結体材料を用いた反応性スパッタリング法により、厚さ20nmの酸化銅層を形成した。当該酸化銅層上にパターン化(最細部:20μm)されているフォトレジストを塗布して乾燥硬化した後、得られた酸化銅層を4%の塩化第2鉄水溶液に浸漬してエッチング処理した。得られたパターン化された酸化銅層は150℃×90分間の加熱処理により結晶化させた。得られたパターン化後の酸化銅層の最細部となる箇所を光学顕微鏡(キーエンス社製 デジタルマイクロスコープ 型番:VHX−200)にて倍率40倍で100箇所検査し、銅の断線の有無を検査し、以下の基準にて透明導電膜パターン化後の配線断線性を評価した(A面)。反対面側(B面)も金属層が存在する場合には、上記と同様の要領にて検査を行い、下記判定基準により、判定を行った。
《判定基準》
○:銅配線の断線が確認されない
△:銅配線の断線は確認されないが、配線のひび割れ現象が確認される
×:銅配線の断線が1箇所以上で確認される
【0114】
(17)塗布フィルム中のハロゲンイオン量の定量
試料フィルム(塗布フィルム)を10cm角に切り出し、純水中に、室温にて24時間浸漬させる。その後、イオクロマトグラフ法により、下記測定条件により、検出されるハロゲンイオン量を測定した。
(イオンクロマトグラフ測定条件)
分析装置 : DIONEX社製、DX−320
分離カラム : Ion Pac AS15(4mm×250mm)
ガードカラム : Ion Pac AG15(4mm×50mm)
除去システム : ASRS−ULTRA(エクスターナルモード、100mA)
検出器 : 電気伝導度検出器
溶離液 : 7mM KOH(0〜20分)
45mM KOH(20〜30分)
(溶離液ジェネレーターEG40を使用)
溶離液流量 : 1.0ml/分
試料注入量 : 250μl
(判定基準)
A:ハロゲンイオン量が1ppm以下(実用上、問題ないレベル)
B:ハロゲンイオン量が1ppmを超える(実用上、懸念される)
【0115】
(18)総合評価
実施例および比較例で得られた、塗布フィルムの塗布層表面上にパターン化した金属層積層用フィルムにおいて、金属層に対する密着性(加熱加湿前後)、金属層の変色性評価、銅層パターン化後のパターン形状(歪み)、酸化銅層パターン化後の配線断線評価につき、下記判定基準により、総合評価を行った。
《判定基準》
○:金属層に対する密着性(加熱加湿前後)、金属層の変色性評価、銅層パターン化後のパターン形状(歪み)、酸化銅層パターン化後の配線断線評価がすべて○(実用上、問題ないレベル)
△:金属層に対する密着性(加熱加湿前後)、金属層の変色性評価、銅層パターン化後のパターン形状(歪み)、酸化銅層パターン化後の配線断線評価の内、少なくとも一つが△(実用上、問題になる場合があるレベル)
×:金属層に対する密着性(加熱加湿前後)、金属層の変色性評価、銅層パターン化後のパターン形状(歪み)、酸化銅層パターン化後の配線断線評価の内、少なくとも一つが×(実用上、問題あるレベル)
【0116】
実施例および比較例において使用したポリエステルは、以下のようにして準備したものである。
[ポリエステル(I)の製造方法]
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒として酢酸マグネシウム・四水塩0.09重量部を反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物にエチルアシッドフォスフェート0.04部を添加した後、三酸化アンチモン0.04部を加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.63に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させた。得られたポリエステル(I)の極限粘度は0.63、オリゴマー(環状三量体)の含有量は0.97重量%であった。
【0117】
[ポリエステル(II)の製造方法]
ポリエステル(I)を、予め160℃で予備結晶化させた後、温度220℃の窒素雰囲気下で固相重合した。得られたポリエステル(II)の極限粘度0.75、オリゴマー(環状三量体)含有量0.46重量%であった。
【0118】
<ポリエステル(III)の製造方法>
ポリエステル(I)の製造方法において、エチルアシッドフォスフェート0.04部を添加後、エチレングリコールに分散させた平均粒子径1.6μmのシリカ粒子を0.3部、三酸化アンチモン0.04部を加えて、極限粘度0.65に相当する時点で重縮合反応を停止した以外は、ポリエステル(I)の製造方法と同様の方法を用いてポリエステル(II)を得た。得られたポリエステル(III)は、極限粘度0.65、オリゴマー(環状三量体)含有量0.82重量%であった。
【0119】
実施例1:
上記ポリエステル(I)、(III)をそれぞれ90%、10%の割合で混合した混合原料をa層の原料とし、ポリエステル(I)100%の原料をb層の原料として、2台の押出機に各々を供給し、各々285℃で溶融した後、a層を最外層(表層)、b層を中間層として、40℃に冷却したキャスティングドラム上に、2種3層(aba)で、積層ポリエステルフィルム厚み構成比がa:b:a=2:19:2になるように共押出し冷却固化させて無配向シートを得た。次いで、ロール周速差を利用してフィルム温度85℃で縦方向に3.3倍延伸した後、下記表1に示す塗布剤組成からなる塗布層を乾燥後の塗布層厚さが、片面で0.04μmの塗布層を有するように、フィルム両面(フィルム走行方向に対して、上面がA面、下面がB面)に塗布した後に、テンターに導き、横方向にフィルム温度120℃で4.9倍延伸し、235℃で熱処理を行った後、横方向に弛緩し、フィルムをロール上に巻き上げ、フィルム幅1000mm、巻長さ、6000m、厚さ23μm塗布層が設けられた両面塗布フィルムを得た。なお、塗布層を構成する化合物例は以下のとおりである。なお、STDの微調整は、横方向に弛緩後のフィルム幅で微調整した。
【0120】
(化合物例)
(A1):ヘキサメトキシメチロールメラミン
(A2):オキサゾリン化合物であるエポクロス(株式会社日本触媒製) オキサゾリン基量7.7mmol/g
(A3):オキサゾリン化合物であるエポクロス(株式会社日本触媒製) オキサゾリン基量4.5mmol/g
(A4):ポリグリセロールポリグリシジルエーテル
【0121】
(A5):下記方法で合成したブロックポリイソシアネート
ヘキサメチレンジイソシアネート1000部を60℃で攪拌し、触媒としてテトラメチルアンモニウム・カプリエート0.1部を加えた。4時間後、リン酸0.2部を添加して反応を停止させ、イソシアヌレート型ポリイソシアネート組成物を得た。得られたイソシアヌレート型ポリイソシアネート組成物100部、数平均分子量400のメトキシポリエチレングリコール42.3部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート29.5部を仕込み、80℃で7時間保持した。その後反応液温度を60℃に保持し、イソブタノイル酢酸メチル35.8部、マロン酸ジエチル32.2部、ナトリウムメトキシドの28%メタノール溶液0.88部を添加し、4時間保持した。n−ブタノール58.9部を添加し、反応液温度80℃で2時間保持し、その後、2−エチルヘキシルアシッドホスフェート0.86部を添加して得られたブロックポリイソシアネート
(A6):ポリカルボジイミド系化合物であるカルボジライト(日清紡ケミカル株式会社製) カルボジイミド当量340
【0122】
(B1):下記の組成で重合した、ガラス転移点が40℃のアクリル樹脂水分散体
エチルアクリレート/n−ブチルアクリレート/メチルメタクリレート/N−メチロールアクリルアミド/アクリル酸=65/21/10/2/2(重量%)の乳化重合体(乳化剤:アニオン系界面活性剤)
(B2):テレフタル酸315重量部、イソフタル酸299重量部、エチレングリコール74重量部、およびジエチレングリコール265重量部を成分とするポリエステルポリオールを(B2a)としたとき、(B2a)953重量部、イソホロンジイソシアネート267重量部、エチレングリコール56重量部、およびジメチロールプロピオン酸67重量部を構成成分としたポリエステルポリウレタンをアンモニアで中和して水分散させたもの(濃度23%、25℃での粘度30mPa・s)
(B3):ポリビニルアルコール(けん化度88モル%、重合度500)
【0123】
(C1):メラミン架橋触媒である、2−アミノ−2−メチルプロパノールハイドロクロライド
(D1):4級アンモニウム塩基含有ポリマー。
2−ヒドロキシ3−メタクリルオキシプロピルトリメチルアンモニウム塩ポリマー
対イオン:メチルスルホネート 数平均分子量:30000
(F1):平均粒径0.07μmのシリカ粒子。
(F2):平均粒径0.02μmのアルミナ変性シリカ粒子。
【0124】
次に得られた両面塗布フィルムの塗布層表面にスパッタリング法により、酸化銅層を厚みが20nmになるように両面に積層し、当該酸化銅層上にパターン化されているフォトレジストを塗布して乾燥硬化した後、得られた酸化銅層を4%の塩化第2鉄水溶液に浸漬してエッチング処理し、パターン化した両面金属層積層用フィルムを得た。得られたフィルムの特性を下記表7〜11に示す。
【0125】
実施例2〜18:
実施例1において、下記表1に示す塗布剤組成からなる塗布層、原料配合(下記表2〜6)、縦延伸倍率、横延伸倍率、主結晶温度、厚み構成比、フィルム厚さ、横方向に弛緩後のフィルム幅が異なる以外は実施例1と同様にして製造しフィルムを得た。得られたフィルムの特性を下記表7〜11に示す。
【0126】
実施例19:
実施例6において、塗布層の塗布量を変更すること以外は実施例6と同様にして製造し、フィルムを得た。得られたフィルムの特性を下記表7〜11に示す。
【0127】
実施例20:
実施例1において、一旦製造したフィルムを系外で熱風式オーブン内にて、フィルム張力(オーブン内)を3kg/1000mm幅の条件下にて、60m/minのフィルム搬送速度で、180℃で10秒間、再度熱入れ(オフラインアニール)した以外は、実施例1と同様にして製造しフィルムを得た。得られたフィルムの特性を下記表7〜11に示す。
【0128】
実施例21:
実施例9において、一旦製造したフィルムを系外で熱風式オーブン内にて、フィルム張力(オーブン内)を3kg/1000mm幅の条件下にて、60m/minのフィルム搬送速度で、190℃で10秒間、再度熱入れ(オフラインアニール)した以外は、実施例9と同様にして製造しフィルムを得た。得られたフィルムの特性を下記表7〜11に示す。
【0129】
実施例22:
実施例10において、一旦製造したフィルムを系外で熱風式オーブン内にて、フィルム張力(オーブン内)を3kg/1000mm幅の条件下にて、60m/minのフィルム搬送速度で、170℃で10秒間、再度熱入れ(オフラインアニール)した以外は、実施例10と同様にして製造しフィルムを得た。得られたフィルムの特性を下記表7〜11に示す。
【0130】
実施例23:
実施例1において、一旦製造したフィルムを系外で熱風式オーブン内にて、フィルム張力(オーブン内)を3kg/1000mm幅の条件下にて、60m/minのフィルム搬送速度で、160℃で10秒間、再度熱入れ(オフラインアニール)した以外は、実施例6と同様にして製造しフィルムを得た。得られたフィルムの特性を下記表7〜11に示す。
【0131】
実施例24:
実施例21において、塗布フィルムのA面の塗布層表面のみに、スパッタリング法により、酸化銅層を厚みが20nmになるように積層し、当該酸化銅層上にパターン化されているフォトレジストを塗布して乾燥硬化した後、得られた酸化銅層を4%の塩化第2鉄水溶液に浸漬してエッチング処理し、パターン化した片面金属層積層用フィルムを得た以外は、実施例21と同様にして製造しフィルムを得た。得られたフィルムの特性を下記表7〜11に示す。
【0132】
比較例1〜6:
実施例1において、下記表2に示す塗布剤組成からなる塗布層を変更する以外は、実施例1と同様にして製造し、フィルムを得た。得られたフィルムの特性を下記表7〜11に示す。
【0133】
比較例4、比較例5、比較例6では、13)金属層の変色性評価において、恒温槽の中に48時間入れる中間地点である、24時間地点でも、金属層積層用フィルム表面の酸化銅層表面の変色を確認した結果、24時間地点で変色を確認した。得られたフィルムの特性を下下記表7〜11に示す。
【0134】
比較例7:
実施例1において、塗布層を設けない以外は実施例1と同様にして製造し、フィルムを得た。得られたフィルムの特性を下記表7〜11に示す。
【0135】
比較例8:
実施例1において、横延伸倍率、横方向に弛緩後のフィルム幅が異なる以外は実施例1と同様にして製造し、フィルムを得た。得られたフィルムの特性を下記表7〜11に示す。
【0136】
比較例9:
実施例17において、横延伸倍率、横方向に弛緩後のフィルム幅が異なる以外は実施例17と同様にして製造し、フィルムを得た。得られたフィルムの特性を下記表7〜11に示す。
【0137】
上記実施例および比較例で使用した塗布層の塗布剤組成を下記表1に示す。
【0138】
上記実施例および比較例で使用したポリエステルにおいて、表層、中間層の原料配合は、下記表2〜6に示す。
【0139】
上記実施例および比較例で得られたフィルムの特性を下記表7〜11に示す。
【0140】
【表1】
【0141】
上記表2中の数値の単位は、重量%である。
【0142】
【表2】
【0143】
【表3】
【0144】
【表4】
【0145】
【表5】
【0146】
【表6】
【0147】
【表7】
【0148】
【表8】
【0149】
【表9】
【0150】
【表10】
【0151】
【表11】