特許第6763136号(P6763136)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6763136有機無機付加共重合体およびそれを用いて得られる酸化ケイ素膜
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6763136
(24)【登録日】2020年9月14日
(45)【発行日】2020年9月30日
(54)【発明の名称】有機無機付加共重合体およびそれを用いて得られる酸化ケイ素膜
(51)【国際特許分類】
   C08F 230/08 20060101AFI20200917BHJP
   C08F 220/58 20060101ALI20200917BHJP
   C08J 5/18 20060101ALI20200917BHJP
【FI】
   C08F230/08
   C08F220/58
   C08J5/18
【請求項の数】6
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2015-247987(P2015-247987)
(22)【出願日】2015年12月18日
(65)【公開番号】特開2017-110171(P2017-110171A)
(43)【公開日】2017年6月22日
【審査請求日】2018年9月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】311002067
【氏名又は名称】JNC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100549
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 嘉之
(74)【代理人】
【識別番号】100126505
【弁理士】
【氏名又は名称】佐貫 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100131392
【弁理士】
【氏名又は名称】丹羽 武司
(74)【代理人】
【識別番号】100160945
【弁理士】
【氏名又は名称】菅家 博英
(72)【発明者】
【氏名】峯尾 良太
(72)【発明者】
【氏名】宮下 徳治
(72)【発明者】
【氏名】久保 美菜子
(72)【発明者】
【氏名】吉田 一浩
【審査官】 中落 臣諭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−114409(JP,A)
【文献】 特開2007−308527(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F6/00−246/00;301/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)で示される化合物(A)に由来する構成単位及び式(2)で示される化合物(B)に由来する構成単位からなる付加共重合体。
【化1】


式(1)においてPhはフェニル、Aは付加重合性官能基を有する基である。
【化2】


式(2)においてRは水素原子または炭素数が1から20の直鎖状若しくは分枝鎖状
のアルキルであり、該アルキルの炭素原子に結合している水素原子が水酸基に置き換えられていてもよく、炭素数が2以上の場合は任意のメチレンが酸素で置き換えられていても
よく、Rは任意のメチレンが酸素で置き換えられていてもよい炭素数が1から20の直鎖状又は分枝鎖状のアルキレン、Rは炭素数が1から20の直鎖状又は分枝鎖状のアルキルである。
【請求項2】
が(メタ)アクリルを有するラジカル重合性官能基を有する基である、請求項1に記載の付加共重合体。
【請求項3】
化合物(A)が式(6)で表される化合物である、請求項1に記載の付加共重合体。
【化3】

【請求項4】
化合物(B)が、N−(ブトキシメチル)アクリルアミド、N−(メトキシメチル)メタクリルアミド、N−(イソブトキシメチル)アクリルアミド及びN−(メトキシメチル)アクリルアミドから選択される、請求項1乃至3のいずれかに記載の付加共重合体。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の付加共重合体と有機溶剤とを含む組成物。
【請求項6】
請求項5に記載の組成物を基板に塗布する工程、
前記工程により得られた被膜に紫外線を照射してUV/オゾン処理を行う工程、を含む、式(3)の構造を含有する酸化ケイ素膜の製造方法。
【化4】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機無機付加共重合体並びにそれを用いた酸化ケイ素膜の製造方法及び酸化ケイ素膜に関する。
【背景技術】
【0002】
薄膜トランジスタ(TFT)等の半導体デバイスの絶縁膜等として酸化ケイ素膜を用いる場合には、通常、化学気相成長(CVD)や物理気相成長(PVD)により製造している。
CVDやPVDによる製膜技術は何十年も蓄積されており、半導体デバイスとして求められる絶縁特性やガスバリア性等の特性に優れた信頼性のある膜を製膜可能であることが知られている。
近年、基板の大型化が著しい。しかしながら、CVDやPVDは大型な装置を必要とし、さらなる装置の大型化はコストの増加が顕著である。また、CVDは高温条件下で、PVDは真空条件下で製膜するため、CVDやPVDにとって装置の大型化は不利である。PVDにおいては、出来れば真空条件を避けたいという要望もある。
また、シリコン基板を高温で焼成して熱酸化することにより酸化ケイ素膜を得ることも行われているが、1000℃に近い熱をかけるため、エネルギー的に高負荷かつ高コストな製膜法である。さらには、成膜後の表面が粗く、例えば、基板同士を貼り合わせる場合、化学研磨を必要するため、工程が増えるという問題もある。
【0003】
他方で、電子機器はデータ処理量の増大に伴い、微細化だけでは対応できないレベルのデータ処理の高速化や高機能化が要求されている。そこで、LSIを3次元化することで、データ処理に対応し、かつ新たな機能を付加する試みが行われている(例えば、特許文献1)。3次元LSIの製造は、層間絶縁膜を設けた上に、新たな素子が形成されるが、その際既に出来上がった素子の特性を維持しなければならない。すなわち、層間膜の製膜を含め、高温を避け、極力低温での製造プロセスが望まれている。
【0004】
CVDやPVDを用いない酸化ケイ素膜の製造方法として、特許文献2には、紫外線を透過する基体にジメチルシロキサン、シラザン、シリコンアルコキシド、シリケートおよびこれらの重合物などのプレカーサを塗布し、プレカーサ塗布面の裏面側より紫外線を照射する方法によりシリカ膜を形成する方法が提案されている。
【0005】
また、特許文献3には、1つの付加重合性官能基を含むシルセスキオキサンと他の付加重合性単量体を含有する共重合体を用いた単分子膜、およびこれを累積することにより得られる積層膜を作製し、光照射により有機部の光分解を起こし、ネットワーク構造のSi−Oを形成する方法が提案されている。
【0006】
また、特許文献4には、ゾルゲル法を用いて複数のシリカ系膜で被覆されたステンレスが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2014−232863号公報
【特許文献2】特開2012−86990号公報
【特許文献3】特開2009−114409号公報
【特許文献4】特開2004−291453号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献2に開示されている方法はジメチルシロキサン等のプレカーサを用いるため、酸化ケイ素への転換に時間がかかる。また、特許文献3に開示されている方法は、非常に複雑な手法であり、工業化は現実的ではない。また、ゾルゲル法は高温のプロセスを必要とし、簡便とは言い難い方法であり、使用可能な基板も限定される。さらに、塗布膜を焼成する際、シロキサンポリマー中の残存シラノール基が縮合するため、膜にクラックが生じやすい。
このため、CVDやPVDを用いずに、安価かつ簡便に、酸化ケイ素膜を製造する方法が求められている。
上記に鑑み、本発明は、それを用いることで安価かつ簡便に酸化ケイ素膜を製造できる、新規な有機無機付加共重合体を提供することを目的とする。また、CVDやPVDで製造した酸化ケイ素膜と同程度の高品質な酸化ケイ素膜の原料となる、新規な有機無機付加共重合体を提供することを目的とする。さらに、CVDやPVDで製造した酸化ケイ素膜と同程度の高品質な酸化ケイ素膜を簡便に製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、特定の構造を有する有機無機付加共重合体を含む塗布膜に対してUV/オゾン処理を施すことにより、安価で簡便に酸化ケイ素膜を得られることを見出し、本発明に想到した。また、前記有機無機付加共重合体を用いることで、CVDやPVDにより得られるものと同程度の高品質な酸化ケイ素膜を得られることを見出し、本発明に想到した。
【0010】
すなわち本発明に係る有機無機付加共重合体は、
[1] 式(1)で示される化合物(A)に由来する構成単位及び式(2)で示される化合物(B)に由来する構成単位を含む付加共重合体である。
【0011】
【化1】
式(1)においてPhはフェニル、Aは付加重合性官能基を有する基である。
【0012】
【化2】

式(2)においてRは水素原子または炭素数が1から20の直鎖状若しくは分枝鎖状のアルキルであり、該アルキルの炭素原子に結合している水素原子が水酸基に置き換えられていてもよく、炭素数が2以上の場合は任意のメチレンが酸素で置き換えられていてもよく、Rは任意のメチレンが酸素で置き換えられていてもよい炭素数が1から20の直鎖状又は分枝鎖状のアルキレン、Rは炭素数が1から20の直鎖状又は分枝鎖状のアルキルである。
[2] Aが(メタ)アクリルを有するラジカル重合性官能基を有する基である、に記載の付加共重合体。
[3] 化合物(A)が式(6)で表される化合物である、[1]に記載の付加共重合体。
【0013】
【化3】

[4] 化合物(B)が、N−(ブトキシメチル)アクリルアミド、N−(メトキシメチ
ル)メタクリルアミド、N−(イソブトキシメチル)アクリルアミド及びN−(メトキシ
メチル)アクリルアミドから選択される、[1]乃至[3]のいずれかに記載の付加共重合体。
[5] [1]乃至[4]のいずれかに記載の付加共重合体と有機溶剤とを含む組成物。[6] [5]に記載の組成物を基板に塗布する工程、
前記工程により得られた被膜に紫外線を照射する工程、を含む、式(3)の構造を含有する酸化ケイ素膜の製造方法。
【0014】
【化4】
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る有機無機付加共重合体は、式(1)で示される化合物(A)と式(2)で示される化合物(B)との共重合により、簡便に得ることができ、また、種々の溶媒に可溶であるため、その組成物はスピンコーティング等の汎用な塗布方法および印刷などの製膜手法が適用可能である。本発明に係る有機無機付加共重合体は、シルセスキオキサンに結合しているフェニル基およびアクリルアミドなどの有機部位が、UV/オゾン処理により分解し易いため、比較的速やかに酸化ケイ素に変換される。そのため、安価かつ簡便に、酸化ケイ素膜を得ることができる。
また、本発明の有機無機付加共重合体を用いることにより、高価な装置を利用することなく、比較的温和な温度条件化、簡便なプロセスにて、CVDやPVDにより得られるものと同等程度の高品質で、さらに、耐摩擦性、高平滑性、耐クラック性に優れた酸化ケイ素膜を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の有機無機付加共重合体を含む塗布膜のUV/オゾン処理前後のIRスペクトル(CaF上)である。
図2】実施例および比較例の連続荷重スクラッチ試験結果(シリコンウエハ上)である。
図3】実施例の連続荷重スクラッチ試験結果(シリコンウエハ上)である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施形態に即して詳細に説明する。ただし、本発明は本明細書に明示的又は黙示的に記載された実施形態に限定されるものではない。また、本発明の全ての態様は、組み合わせて又は単独で実施できる。
【0018】
本発明の有機無機付加共重合体(以下、「本発明の共重合体」ともいう)は、式(1)で示される化合物(A)である付加重合性官能基を含むシルセスキオキサンに由来する構成単位及び式(2)で示される化合物(B)であるアクリルアミドに由来する構成単位を含む付加共重合体である。
【0019】
【化5】
式(1)においてPhはフェニル、Aは付加重合性官能基を有する基である。
【0020】
【化6】
式(2)においてRは水素原子または炭素数が1から20の直鎖状若しくは分枝鎖状のアルキルであり、該アルキルの炭素原子に結合している水素原子が水酸基に置き換えられていてもよく、炭素数が2以上の場合は任意のメチレンが酸素で置き換えられていてもよく、Rは任意のメチレンが酸素で置き換えられていてもよい炭素数が1から20の直鎖状又は分枝鎖状のアルキレン、Rは炭素数が1から20の直鎖状又は分枝鎖状のアルキルである。
本発明の共重合体はブロック共重合などの定序性共重合体であっても、ランダム共重合体であってもよいが、好ましくはランダム共重合体である。また、本発明の共重合体は架橋構造を有していたり、グラフト共重合体であってもよい。
【0021】
以下、式(1)で示される化合物(A)について説明する。
【0022】
式(1)においてPhはフェニル、Aは付加重合性官能基を有する基である。
付加重合性官能基の例としては、末端オレフィン型または内部オレフィン型のラジカル重合性官能基を有する基;ビニルエーテル、プロペニルエーテルなどのカチオン重合性官能基を有する基;およびビニルカルボキシル、シアノアクリロイルなどのアニオン重合性官能基を有する基が含まれるが、好ましくはラジカル重合性官能基が挙げられる。
【0023】
上記のラジカル重合性官能基には、ラジカル重合する基であれば特に制限はなく、例えばメタクリロイル、アクリロイル、アリル、スチリル、α-メチルスチリル、ビニル、ビ
ニルエーテル、ビニルエステル、アクリルアミド、メタクリルアミド、N-ビニルアミド
、マレイン酸エステル、フマル酸エステル、N-置換マレイミドなどが含まれ、中でも(
メタ)アクリルまたはスチリルを含む基が好ましい。ここに(メタ)アクリルとは、アクリルおよびメタクリルの総称であり、アクリル及び/又はメタクリルを意味する。以下、同様とする。
【0024】
上記の(メタ)アクリルを有するラジカル重合性官能基の例には、以下の式(4)に示される基が含まれる。
式(4)においてY1は、炭素数2〜10のアルキレンを示し、好ましくは炭素数2〜
6のアルキレンを示し、さらに好ましくは炭素数3のアルキレン(プロピレン)である。またR4は、水素原子、炭素数1〜5のアルキル、または炭素数6〜10のアリールを示
し、好ましくは水素原子または炭素数1〜3のアルキルであり、特に好ましくは水素原子またはメチルである。また、任意の水素原子が炭素数1〜5のアルキルで置き換えられてもよい。
【0025】
また、上記のスチリルを有するラジカル重合性官能基の例には、以下の式(5)に示される基が含まれる。式(5)においてY2は、単結合または炭素数1〜10のアルキレン
を示し、好ましくは単結合または炭素数1〜6のアルキレンを示し、より好ましくは単結合または炭素数1あるいは2のアルキレンを示し、特に好ましくは単結合または炭素数2のアルキレン(エチレン)である。またビニルは、ベンゼン環のいずれかの炭素に結合しており、好ましくはY2に対してパラ位の炭素原子に結合している。
【0026】
【化7】
【0027】
このような付加重合性官能基を有する式(1)で示される化合物(A)として、式(6)で示される3−(3,5,7,9,11,13,15−heptaphenylpentacyclo[9.5.1.13,9.15,15.17,13]octasiloxan−1−yl)propylmethacrylateが挙げられる。ラジカル重合の反応性、有機無機付加共重合体の溶媒に対する溶解性と保存安定性、UV/オゾン処理における酸化ケイ素(SiO)化のスピードおよび形成された酸化ケイ素膜の特性の観点から、式(6)で示されるシルセスキオキサンが特に好ましい。
【0028】
【化8】
【0029】
式(1)で示される化合物(A)は、例えば、特開2004−123698に記載された方法に従って合成することができる。すなわち、付加重合性官能基として(メタ)アクリル基を有するシルセスキオキサン化合物は特開2004−123698の実施例3に記載の方法によって合成することができ、付加重合性官能基としてスチリル基を有するシルセスキオキサン化合物は特開2004−123698の実施例2の(1−1)の化合物に
ビニルフェニルトリクロロシランまたはビニルフェニルアルキルトリクロロシランを反応させることによって得ることができる。
【0030】
以下、式(2)で示される化合物(B)について説明する。
【0031】
【化9】
式(2)においてRは水素原子または炭素数が1から20の直鎖状又は分枝鎖状のアルキルであり、該アルキルの炭素原子に結合している水素原子が水酸基に置き換えられていてもよく、炭素数が2以上の場合は任意のメチレンが酸素で置き換えられていてもよく、Rは任意のメチレンが酸素で置き換えられていてもよい炭素数が1から20の直鎖状又は分枝鎖状のアルキレン、Rは炭素数が1から20の直鎖状又は分枝鎖状のアルキルである。
アルキレンとは、アルカンから水素原子を2つ取り除いた2価の置換基であり、−C2n−で表される。任意のメチレンが酸素で置き換えられていてもよい炭素数1〜20
のメチレン、エチレン、n−プロピレン、n−ブチレン、n−ヘキシレン、n−ヘプチレン、n−オクチレン、n−ドデシレンなどである。なお、R2は直鎖状及び分枝鎖状のい
ずれであってもよい。また、分枝鎖状の場合、分枝鎖の炭素も炭素数に含めるものとする。
アルキルとは、アルカンの末端から水素原子を1つ取り除いた官能基で、C2n+
で表される。R3は直鎖状及び分枝鎖状のアルキルのいずれであってもよい。なお、分
枝鎖状の場合、分枝鎖の炭素も炭素数に含めるものとする。炭素数が1から20のアルキルとは、具体的には、メチル、エチル、プロピル、1−メチルエチル、ブチル、2−メチルプロピル、1,1−ジメチルエチル、ペンチル、ヘキシル、1,1,2−トリメチルプロピル、ヘプチル、オクチル、2,4,4−トリメチルペンチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、エイコシル、3−メトキシプロピルが挙げられる。
共重合反応における、モノマーの反応性の観点から、Rは水素原子又はメチルが好ましい。R2はメチレン、エチレン、又はプロピレンが好ましい。R3はメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチルが好ましい。
【0032】
式(2)で示される化合物(B)としては、生成する共重合体の溶媒に対する溶解性、調製した組成物を基板に塗布する際の濡れ性およびUV/オゾン処理における分解速度のの観点から、式(7)で示されるN−(ブトキシメチル)アクリルアミドや、N−(メト
キシメチル)メタクリルアミド、N−(イソブトキシメチル)アクリルアミド、N−(メ
トキシメチル)アクリルアミド等が特に好ましい。
【0033】
【化10】
【0034】
式(2)で示される化合物(B)は合成してもよいし、市販品を入手して使用してもよい。量産されている市販品を用いることで、コストの低減というメリットがある。
市販品としては、例えば、東京化成工業株式会社製 N−(ブトキシメチル)アクリルアミド、N−(メトキシメチル)メタクリルアミド、MRCユニテック株式会社製 N−(イソブトキシメチル)アクリルアミド、N−(メトキシメチル)アクリルアミド、が挙げられる。
【0035】
<有機無機付加共重合体>
本発明の有機無機付加共重合体は、式(1)で示される化合物(A)である付加重合性官能基を含むシルセスキオキサンと式(2)で示される化合物(B)であるアクリルアミドとを重合させて得られる。
一般式(A)で表される化合物と一般式(B)で表される化合物との重量比は目的とする重合体に応じて適宜決定すればよいが99.99:0.01〜0.01:99.99であることが好ましく、95.0:5.00〜10.00:90.00であることがさらに好ましい。(A)の割合が増えるに従い、塗布次いでのUV/オゾン処理による一度の製膜によって、酸化ケイ素膜を厚く形成することができる。
他方で、(B)の割合を増やした場合、種々の溶媒に対する溶解性が向上する。使用できる溶剤の選択肢が増えることで、濡れ性および粘度調整が容易となる。そのため、様々な基板に対しての塗膜形成が可能となり、かつ種々の製膜法についても実施が可能となる。
また、共重合体の重量平均分子量が5,000〜200,000であることが好ましく、5,000〜100,000であることがさらに好ましい。低分子量である場合、種々の溶剤に対する溶解性に優れるため、種々の基板に対して塗布する際、濡れ性を調整し易くなる。高分子量の場合、塗布後の膜およびUV/オゾン処理後の酸化ケイ素膜について、面内均一性、表面平滑性などに優れ、さらに、基板表面に微少の凹凸があった場合にも、高平坦化が可能である。
上述したとおり、本発明の共重合体はブロック共重合などの定序性共重合体であっても、ランダム共重合体であってもよいが、好ましくはランダム共重合体である。また、本発明の共重合体は架橋構造を有していたり、グラフト共重合体であってもよい。
【0036】
<重合方法>
以下、式(1)で示される化合物(A)に由来する構成単位及び式(2)で示される化合物(B)に由来する構成単位を含む付加共重合体の製造方法について説明する。
重合は、重合開始剤を用いて行うことができる。
重合開始剤の例には、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバ
レロニトリル)、2,2'−アゾビス(2−ブチロニトリル)、ジメチル-2,2'−アゾビ
スイソブチレート、1,1'−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)などのアゾ化合物;ベンゾイルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエートなどの過酸化物;およびテトラエチルチウラムジスルフィドなどのジチオカルバメート;などのラジカル重合開始剤が含まれる。
【0037】
さらに重合開始剤の例には、リビングラジカル重合開始剤、および光重合開始剤などが含まれる。
リビングラジカル重合は、原子移動ラジカル重合;可逆的付加開裂連鎖移動;ヨウ素移動重合;イニファータ重合に代表され、以下の文献A〜Cに記載されている重合開始剤を用いて行うことができる。
・文献A: 蒲池幹治、遠藤剛監修、ラジカル重合ハンドブック、1999年8月10日発行、エヌ・ティー・エス発行)。
・文献B: HANDBOOK OF RADICAL POLYMERIZATION, K. Matyjaszewski, T. P. Davis, Eds., John Wiley and Sons, Canada 2002
・文献C: 特開2005-105265号公報
【0038】
光重合は、文献D(フォトポリマー懇話会編、感光材料リストブック、1996年3月31日、ぶんしん出版発行)に記載の化合物を光重合開始剤として用いて行うことができる。
光重合開始剤の具体例としては、紫外線や可視光線の照射によりラジカルを発生する化合物であれば特に限定しない。光重合開始剤として用いられる化合物としては、ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、4,4′-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、キサントン、チオキサントン、イソプロピルキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2-エ
チルアントラキノン、アセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-4′-イソプロピルプロピオフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキ
シルフェニルケトン、イソプロピルベンゾインエーテル、イソブチルベンゾインエーテル、2,2-ジエトキシアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、カンファーキノン、ベンズアントロン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタノン-1,4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸イ
ソアミル、4,4′-ジ(t-ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,4,4′-トリ(t-ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2-(4′-メトキシスチリル)-4,6-ビス(ト
リクロロメチル)-s-トリアジン、2-(3′,4′-ジメトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(2′,4′-ジメトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(2′-メトキシスチリル)-4,6-ビス(ト
リクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4′-ペンチルオキシスチリル)-4,6-ビス(
トリクロロメチル)-s-トリアジン、4-[p-N,N-ジ(エトキシカルボニルメチル)]-2,6-ジ(トリクロロメチル)-s-トリアジン、1,3-ビス(トリクロロメチル)-5-
(2′-クロロフェニル)-s-トリアジン、1,3-ビス(トリクロロメチル)-5-(4′-メトキシフェニル)-s-トリアジン、2-(p-ジメチルアミノスチリル)ベンズオキサゾール、2-(p-ジメチルアミノスチリル)ベンズチアゾール、2-メルカプトベンゾチア
ゾール、3,3′-カルボニルビス(7-ジエチルアミノクマリン)、2-(o-クロロフェ
ニル)-4,4′,5,5′-テトラフェニル-1,2′-ビイミダゾール、2,2′-ビス(2-
クロロフェニル)-4,4′,5,5′-テトラキス(4-エトキシカルボニルフェニル)-1,2′-ビイミダゾール、2,2′-ビス(2,4-ジクロロフェニル)-4,4′,5,5′-テトラフェニル-1,2′-ビイミダゾール、2,2′-ビス(2,4-ジブロモフェニル)-4,4
′,5,5′-テトラフェニル-1,2′-ビイミダゾール、2,2′-ビス(2,4,6-トリク
ロロフェニル)-4,4′,5,5′-テトラフェニル-1,2′-ビイミダゾール、3-(2-メチル-2-ジメチルアミノプロピオニル)カルバゾール、3,6-ビス(2-メチル-2-モル
ホリノプロピオニル)-9-n-ドデシルカルバゾール、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)-ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)-フェニル)チタニウム、等である。これらの化合物は単
独で使用してもよく、2つ以上を混合して使用することも有効である。3,3′,4,4′-テトラ(t-ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′,4,4′-テトラ(
t-ヘキシルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′-ジ(メトキシカルボニル
)-4,4′-ジ(t-ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,4′-ジ(メトキシカルボニル)-4,3′-ジ(t-ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4
′-ジ(メトキシカルボニル)-3,3′-ジ(t-ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフ
ェノンなどが好ましい。
【0039】
重合において用いられる重合開始剤の量は、単量体の総モル数に対して0.01〜10モル%とすればよい。
【0040】
また前記重合において、連鎖移動剤を用いてもよい。連鎖移動剤を用いることで、分子量を適切に制御することができる。連鎖移動剤の例には、チオ-β-ナフトール、チオフェノール、n-ブチルメルカプタン、エチルチオグリコレート、メルカプトエタノール、メ
ルカプト酢酸、イソプロピルメルカプタン、t-ブチルメルカプタン、ドデカンチオール
、チオリンゴ酸、ペンタエリスリトールテトラ(3-メルカプトプロピオネート)、ペン
タエリスリトールテトラ(3-メルカプトアセテート)などのメルカプタン類;ジフェニ
ルジサルファイド、ジエチルジチオグリコレート、ジエチルジサルファイドなどのジサルファイド類;などのほか、トルエン、メチルイソブチレート、四塩化炭素、イソプロピルベンゼン、ジエチルケトン、クロロホルム、エチルベンゼン、塩化ブチル、s-ブチルア
ルコール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、塩化プロピレン、メチルクロロホルム、t-ブチルベンゼン、n-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、酢酸、酢酸エチル、アセトン、ジオキサン、四塩化エタン、クロロベンゼン、メチルシクロヘキサン、t−ブチルアルコール、ベンゼンなどが含まれる。
連鎖移動剤は、好ましくはメルカプタン類である。特にメルカプト酢酸は、重合体の分子量を下げて、分子量分布を均一にさせ得る。連鎖移動剤は単独でも、または2種以上を混合しても使用することができる。
【0041】
本発明の共重合体の具体的な製造方法は、通常の付加共重合体の製造方法と同様にすればよく、例えば、溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法、塊状重合法、塊状−懸濁重合法、超臨界CO2を用いた重合法を用いることができる。
溶液重合法による場合には、適切な溶剤中に、式(1)で示される化合物(A)及び式(2)で示される化合物(B)、さらに重合開始剤、および連鎖移動剤などを溶解して、加熱または光を照射して付加重合反応させればよい。
【0042】
重合反応に用いられる溶剤の例には、炭化水素系溶剤(ベンゼン、トルエンなど)、エーテル系溶剤(ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、2−メチルテトラヒドロフラン、ジフェニルエーテル、アニソール、ジメトキシベンゼン、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)など)、ハロゲン化炭化水素系溶剤(塩化メチレン、クロロホルム、クロロベンゼンなど)、ケトン系溶剤(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)、アルコール系溶剤(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n-ブチルアルコール、t-ブチルアルコールなど)、ニトリル系溶剤(アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなど)、エステル系溶剤(酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、カーボネート系溶剤(エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなど)、アミド系溶剤(N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン)、ハイドロクロロフルオロカーボン系溶剤(HCFC−141b、HCFC−225)、ハイドロフルオロカーボン(HFCs)系溶剤(炭素数2〜4、5および6以上のHFCs)、パーフルオロカーボン系溶剤(パーフルオロペンタン、パーフルオロヘキサン)、脂環式ハイドロフルオロカーボン系溶剤(フルオロシクロペンタン、フルオロシクロブタン)、酸素含有フッ素系溶剤(フルオロエーテル、フルオロポリエーテル、フルオロケトン、フルオロアルコール)、芳香族系フッ素溶剤(α,
α,α-トリフルオロトルエン、ヘキサフルオロベンゼン)、水が含まれる。これらを単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。
用いられる溶剤の量は、トータルの単量体の濃度を5〜80質量%とする量であればよい。
反応温度は特に制限されず、目安として0〜200℃であればよく、室温〜150℃が好ましい。重合反応は、単量体の種類や、溶剤の種類に応じて、減圧、常圧または加圧下
で行うことができる。
【0043】
重合反応は、窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で行われることが好ましい。発生したラジカルが酸素と接触して失活し、重合速度が低下するのを抑制し、分子量が適切に制御された重合体を得るためである。さらに重合反応は、減圧下で溶存酸素を除去された重合系内で行われることが好ましい(減圧下で溶存酸素を除去した後、そのまま減圧下において重合反応を行ってもよい)。
【0044】
溶液中に得られた重合体は、常法により精製または単離されてもよく、その溶液のまま塗膜形成などに用いられてもよい。
【0045】
<組成物>
本発明の共重合体は、溶媒に溶解させることにより組成物とすることができる。このような組成物はスピンコーティング等の汎用の塗布方法または種々の印刷法を適用可能であり、この組成物をコーティング剤として用いることにより、安価で簡便に酸化ケイ素膜を製造することができる。上述したように、溶液中に得られた重合体は、常法により精製または単離後、溶媒に溶解して組成物としてもよいし、その溶液のまま塗膜形成用の組成物として用いてもよい。
【0046】
<溶媒>
式(1)で示される化合物(A)に由来する構成単位及び式(2)で示される化合物(B)に由来する構成単位を含む付加共重合体と、溶媒とを含む組成物の溶媒としては、本発明の共重合体を溶解可能であれば、特に制限はない。好ましい溶媒は、重合に用いる溶剤と同様のものを挙げることができる。例えば、炭化水素系溶剤(ベンゼン、トルエンなど)、エーテル系溶剤(ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、2−メチルテトラヒドロフラン、ジフェニルエーテル、アニソール、ジメトキシベンゼン、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)など)、ハロゲン化炭化水素系溶剤(塩化メチレン、クロロホルム、クロロベンゼンなど)、ケトン系溶剤(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)、アルコール系溶剤(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n-ブチルアルコール、t-ブチルアルコールなど)、ニトリル系溶剤(アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなど)、エステル系溶剤(酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、カーボネート系溶剤(エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなど)、アミド系溶剤(N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン)、ハイドロクロロフルオロカーボン系溶剤(HCFC−141b、HCFC−225)、ハイドロフルオロカーボン(HFCs)系溶剤(炭素数2〜4、5および6以上のHFCs)、パーフルオロカーボン系溶剤(パーフルオロペンタン、パーフルオロヘキサン)、脂環式ハイドロフルオロカーボン系溶剤(フルオロシクロペンタン、フルオロシクロブタン)、酸素含有フッ素系溶剤(フルオロエーテル、フルオロポリエーテル、フルオロケトン、フルオロアルコール)、芳香族系フッ素溶剤(α,α,α-トリフルオロトルエン、ヘキサフルオロベンゼン)、水が含まれる。これ
らを単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。
【0047】
<組成物の調製方法>
組成物の調製方法は特に限定されず、種々の方法で調製可能である。付加共重合体と溶媒とを塗布直前に混合調製してもよいし、混合調整した組成物を保存して用いてもよい。
なお本発明のコーティング剤には、目的によって種々の添加剤を使用してもよい。添加剤としては、界面活性剤やシランカップリング剤を用いることができる。
フッ素系の界面活性剤の市販品としては、フタージェント710FS、フタージェント730FL、フタージェント730LM、フタージェント601AD(商品名:(株)ネオス製)、メガファックF−552、メガファックF−555、メガファックF−558
、メガファックF−561、メガファックF−562、メガファックF−568、メガファックF−571、メガファックRS−72K、メガファックRS−75、メガファックRS−76−E、メガファックRS−76−NS、メガファックRS−90(商品名:DIC(株)製)を挙げることができる。
Si系界面活性剤の市販品としては、BYK300、BYK306、BYK310、BYK320、BYK330、BYK342、BYK344、BYK346、BYK UV
3500およびBYK UV 3570(商品名:ビックケミー・ジャパン(株)製)、TEGO Glide 410、TEGO Glide 440、TEGO Glide 450、TEGO Rad 2200N、TEGO Rad 2250、TEGO Rad 2300(商品名:エボニック デグサ ジャパン(株)製)を挙げることができる。
界面活性剤の含有量は、組成物の固形分100質量部対し、好ましくは0.01〜20質量部、より好ましくは0.05〜10質量部、さらに好ましくは0.1〜5質量部である。界面活性剤の含有量が前記範囲であると、基板などに対する濡れ性、レベリング性、膜面均一性が向上する。
シランカップリング剤としては、特に限定されず、公知のカップリング剤を用いることができ、シランカップリング剤を用いることが好ましい。シランカップリング剤の例としては、トリアルコキシシラン化合物およびジアルコキシシラン化合物が挙げられる。
トリアルコキシシラン化合物またはジアルコキシシラン化合物としては、γ−ビニルプロピルトリメトキシシラン、γ−ビニルプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロイルプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロイルプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アクリロイルプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロイルプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロイルプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−アミノエチル−γ−イミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアナートプロピルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等が挙げられる。
シランカップリング剤は、1種のみを用いてもよく、また、2種以上を用いてもよい。
本発明の組成物中にカップリング剤が含まれる場合、該組成物中のカップリング剤の濃度は、本発明の組成物の固形分の0.01〜10重量%である。
【0048】
<組成物の物性>
本発明に係る組成物は、溶媒100質量部に対して、本発明の共重合体を、1質量部〜90質量部質量部含むことが好ましく、3質量部〜50質量部含むことがより好ましく、5質量部〜30質量部含むことがさらに好ましい。
この範囲とすることで、容易に塗布可能な粘度とすることができる。その範囲は1〜1000mPa・s(パスカル・秒)である。例えばガラス基板への塗布をスピンコート法で行う場合は1〜500mPa・sが好ましい。スクリーン印刷法で1回塗布して膜厚5
0〜500nmを得るには、1〜500mPa・sが好ましい。ブレードコーター法やダイコーター法などを用いる場合は、1〜500mPa・sが好ましい。
【0049】
<製膜>
以下、上記組成物を用いる基板上への製膜について説明する。
製膜方法としては、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピナーコーティング法、ビードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法、ローラーコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等が挙げられるが、他の公知のコーティング法を用いることも可能である。本方法においては、大規模な工業生産に適しているという観点から、スピンコーティング、印刷法によるコーティングが最も好適である。
基板上に塗布する組成物の膜厚は、5nm以上10μm以下、好ましくは5nm以上2μm以下である。
本発明においては、塗布後、溶媒を除去する工程を経ることが好ましい。溶媒の除去の方法は特に限定されないが、溶媒を蒸発させることにより行うことが好ましい。溶媒を蒸発させる方法としては、加熱、減圧、通風などの方法が挙げられる。中でも生産効率、取り扱い性の点から加熱により溶媒を蒸発することが好ましく、通風しつつ加熱して溶媒を蒸発せしめることがより好ましい。具体的には、50〜100℃で10分ないし2時間予備乾燥を行い、50〜100℃かつ予備乾燥より高温で10分ないし2時間焼成を行い、80〜150℃で10分間〜30分間熱処理を行うことが好ましい。
【0050】
<基板>
本発明の組成物は室温で酸化ケイ素化が可能であり、酸化ケイ素膜形成までのプロセス全体にわたり、高くても150℃程度まで、通常は100℃以内の温度条件下で行われる。このため、本発明に係る組成物を塗布する基板は、150℃程度ないし100℃程度の耐熱性を有していれば、特に限定されない。例えば、石英基板、バリウムホウケイ酸ガラスや、アルミノホウケイ酸ガラスなどのガラス基板、フッ化カルシウム基板、金属酸化物基板を含むセラミック基板、ポリカーボネート(PC)フィルム、シリコーン系フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム、シクロオレフィンポリマー(COP)フィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム、アクリルポリマーフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、ポリイミド(PI)フィルム、液晶ポリマーフィルム等のプラスチックフィルム、炭素繊維フィルム、シリコンウエハ等の半導体基板、SUS基板、銅基板等の金属基板等を用いることができる。
後述するように、本発明に係る組成物を塗布製膜後、硬化して得られる酸化ケイ素膜は、耐摩擦性、膜表面の平滑性、膜密度、耐クラック性に優れている。このため、フレキシブルな基板にも好適に用いることができる。
【0051】
<UV/オゾン処理>
本発明においては、製膜後、塗布膜を酸化ケイ素薄膜に転化させるのに酸素を含む大気雰囲気において活性エネルギー線として紫外線を照射するUV/オゾン処理を行う。すなわち、塗布膜を酸化ケイ素薄膜に転化させるのには、紫外線照射することによって得られるオゾンおよび原子状酸素を用いる。
すなわち、本発明においては、組成物を基板に塗布する工程、前記工程により得られた被膜に紫外線を照射する工程、を含むことにより、式(3)の構造を含有する酸化ケイ素膜を製造することができる。
【0052】
【化11】
【0053】
照射する紫外線の波長は、オゾンを発生させることができれば特に限定されない。波長約185nmの紫外線により、酸素分子が分解され、酸素原子が生成する。さらに、酸素原子が大気中のO(酸素分子)と結合し、O(オゾン)が生成する。光源としては、重水素ランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプ、エキシマランプ、水銀ランプなどのほか、エキシマレーザーなどを用いることができる。なかでも、低圧水銀ランプは185nmと254nmの紫外線を発光し、製造コストをより低下させることができ、好ましい。
紫外線照射時の温度や雰囲気は、25℃前後の室温から基板の耐熱温度の範囲まで実施され、大気雰囲気下で行うことができ、103〜106Paの範囲で行われることが好ましい。紫外線照射により基板および塗布膜が想定温度より高くなった場合、任意の時間で装置内を放冷したのち、紫外線の照射を再開してもよい。
照射時間は、3分〜3時間程度である。
UV/オゾン処理には、市販の装置を用いることができる。また、塗布面上に任意の間隔でカットフィルターを設置してもよい。
装置内に空気または酸素を任意の速度で送気してもよい。
このように、本発明の一実施態様である酸化ケイ素膜の製造方法は、市販の装置を用いることができ、低温条件下、短時間で、安価かつ簡便に製膜できる。また、高品質な酸化ケイ素膜を得ることできる。
なお、照射は通常塗布面側から行うが、紫外線が透過可能な基板を用いることにより、UV照射を塗布面の裏面側より行うこともできる。
【0054】
<酸化ケイ素膜>
塗布膜の酸化ケイ素化は、実施例で示すようにIR測定により確認できる。具体的には、本発明の共重合体の有機基由来のピークが消失し、かつ800〜1300cm−1付近の吸収において、SiO3/2が減少しSiO4/2が増加していることにより酸化ケイ素化したことが確認できる。
本発明の共重合体のUV/オゾン処理により得られる酸化ケイ素膜は、式(3)で表されるように、非常に均一な結晶構造を有することが推測され、5nm〜300nm程度の薄膜とすることができ、密着性、耐スクラッチ性、表面平滑性等、優れた特性を有することができる。
本発明により得られる酸化ケイ素膜の鉛筆硬度計による鉛筆硬度は、シリコンウエハ上で2H以上6H以下、ガラス基板上で2H以上6H以下とすることができる。好ましくは、シリコンウエハ上で4H以上6H以下、ガラス基板上で4H以上6H以下である。酸化ケイ素膜の硬度と厚さをこの範囲とすることにより、傷つきにくさと屈曲性とを両立することができる。
また、本発明により得られる酸化ケイ素膜は基板との密着性が高く、クロスカット試験による剥離率はシリコンウエハ上において10%未満、ガラス上において10%未満を実現することができる。好ましくは、シリコンウエハ上において剥離0%、ガラス上において剥離0%である。
本発明により得られる酸化ケイ素膜の紫外可視分光光度計による光線透過率は、CaF基板上(220〜800nm)で80%以上、ガラス基板上(400〜800nm)で
80%以上とすることができる。好ましくは、CaF基板上(220〜800nm)で90%以上、ガラス基板上(400〜800nm)で90%以上である。
本発明により得られる酸化ケイ素膜は耐スクラッチ性を有することができる。このことから、本発明により得られる酸化ケイ素膜は応力緩和が生じやすいことが推測される。また、耐クラック性を有することができる。
本発明により得られる酸化ケイ素膜は、すべり性に優れている。具体的には、一定荷重測定(すべり性)試験による摩擦力は、後述の実施例に示されるように、動摩擦係数が0.10μk未満、静摩擦係数が0.10以下を達成することができる。このような特性を有する本発明により得られる酸化ケイ素膜は、基板を選ばず、フレキシブル基板にも好適に用いることができる。
また、本発明により得られる酸化ケイ素膜は表面平滑性を有することができ、その表面粗さを光干渉粗さ計を用いて測定すると、Raが0.4nm程度の平滑な表面を有することができる。
本発明により得られる酸化ケイ素膜は、その膜密度を1.7〜2.1g/cm3とする
ことができる。
これらの特性から、本発明により得られる酸化ケイ素膜と、シリコン基板の熱酸化等の従来の方法で得られる酸化ケイ素膜とでは、表面と内部で硬度や状態が異なり、新規な酸化ケイ素膜が形成されていることが推測される。
【実施例】
【0055】
本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例のみに限定されない。
【0056】
<測定装置および方法>
本発明の共重合体(A)は、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)法により数平均分子量および重量平均分子量で測定した。具体的には、共重合体の濃度が約0.05〜0.10質量%になるようにテトラヒドロフラン(THF)で希釈し、昭和電工株式会社製カラムKF−805L、KF−804Lを、この順で直列に結合して用いて、THFを展開剤としてゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)法により測定し、標準物質としてポリスチレンを用い、これより換算することにより求めた。
【0057】
<化合物(1)の製造例>
本発明の共重合体(I)のコモノマーである化合物(A)メタクリロイル基を有するシルセスキオキサン(SQ)としては、特開2004−123698号公報の実施例3に記載の方法によって合成された式(6)で表される化合物(以下、SQと表記する)を用いた。
【0058】
<重合例>
共重合体(I)の製造
【0059】
【化12】
【0060】
【化13】
【0061】
攪拌器付4つ口フラスコにコモノマーである、東京化成工業(株)製N−(ブトキシメチル)アクリルアミド(以下、NBMAと表記する)(2.09g)とSQ(7.00g)を仕込み、溶媒としてトルエン/酢酸エチル(26.2g質量比1:1)を加え、80℃で加熱撹拌することにより、コモノマーを溶解させた。
重合開始剤としてジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)0.046gをトルエン(1.1g)に溶解させ、シリンジを用いてフラスコ内に添加することで、重合を開始した。80℃で7時間重合を行い、室温に冷却した後、酢酸エチル/メタノール混合溶媒(質量比1:1)中に重合溶液を滴下し、再沈殿精製を行った。
沈殿物を減圧ろ過し、得られたろ過物を80℃で5時間減圧乾燥を行うことで、共重合体(I)を取得した。
共重合体(I)をGPC分析したところ、重量平均分子量(Mw)は、63,000であった。また、共重合体(I)についてH―NMR測定を行い、SQとNBMAのプロトン数を比較したところ、共重合体におけるSQの導入率は、30mol%であることが分かった。
【0062】
<製膜>
共重合体(I)1.0gをガラスサンプル瓶に入れ、トルエンを加えて10.0gとし、約80℃に設定したホットスターラー上で溶けるまで攪拌した。常温に戻した後、pore size 0.2〜0.45μmのPTFEシリンジフィルターでろ過して、本発明の共重合体を含む組成物を調製した。
スピンコーターのサンプル台に直径3cmの円形のCaF2基板をセットし、前記組成
物をCaF2基板上全体に行き渡るよう十分量滴下して、ただちにスピンコートを行った
。膜が形成されたCaF2基板を予め65℃に加熱しておいたホットプレート上で20分
間焼成し、次いで、85℃で20分間焼成したあと、最後に120℃で30分間焼成した。得られた塗布膜について接触式段差計にて膜厚を測定したところ、膜厚は800nmであった。
【0063】
<塗布膜へのUV/オゾン照射>
予めUVランプを使用30分前にスイッチを入れ、株式会社あすみ技研 製 UV洗浄表面改質装置ASM2001Nのサンプル台を照射距離1cmにセットし、塗布膜を形成
した基板を並べた。さらに、波長250nm以下の光を透過しないように低波長カットフィルターを塗布基板面と接しないように設置した。
この塗布膜形成基板に対し、2時間排気しながら20mW/cm2でUV/オゾン処理
を行ったのち、接触式段差計にて測定したところ、膜厚は約230nmであった。処理後の塗布膜を顕微鏡で観察したところ、クラックは見られなかった。
【0064】
<酸化ケイ素化の確認>
IR測定により、酸化ケイ素化の確認を行った。図1に示すように、有機基由来の2800〜3600cm−1付近および1400〜1800cm−1付近のピークが消失し、800〜1300cm−1付近の吸収において、SiO3/2が減少しSiO4/2が増加していることが分かる。
【0065】
以上の測定から、本発明の共重合体(A)溶液をCaF2基板に製膜し、UV/オゾン
処理を行うことで、酸化ケイ素膜が得られることが示された。
【0066】
<屈折率の測定>
接触式膜厚測定の値を利用して、大塚電子株式会社製 反射分光膜厚計FE−3000により屈折率の測定を行ったところ、589nm付近の屈折率は約1.45であった。
【0067】
<鉛筆硬度>
シリコンエウハまたはガラス基板に対して、共重合体(I)の前記組成物を塗布し、UV/オゾン処理して得られた酸化ケイ素膜の鉛筆硬度を鉛筆硬度計により測定したところ、シリコンウエハ上で6H以上、ガラス基板上で6Hであることが分かった。
【0068】
<クロスカット試験>
シリコンエウハまたはガラス基板に対して、共重合体(I)の前記組成物を塗布し、UV/オゾン処理して得られた酸化ケイ素膜のクロスカット試験を行った。1mm幅90°で実施したところ、シリコンウエハ上、ガラス上ともに剥離率は0%の分類0であった。
【0069】
<透過率測定>
CaF基板またはガラス基板に対して、共重合体(I)の前記組成物を塗布し、UV/オゾン処理して得られた酸化ケイ素膜の光線透過率を紫外可視分光光度計で測定したところ、CaF上(220〜800nm)、ガラス上(400〜800nm)で、透過率は90%以上であった。
【0070】
<連続荷重スクラッチ試験>
シリコンウエハ上に、共重合体(I)の前記組成物を塗布し、100℃で焼成した後にUV/オゾン処理することで、厚さ200nmの酸化ケイ素膜を得た。得られた酸化ケイ素膜に対して、トライポギアTYPE:HHS2000荷重変動型磨耗試験システムにより、連続荷重スクラッチ試験を行った。引掻針は、ダイアモンド製R0.075mmを用いた。荷重は0gf〜200gfの範囲で測定を行った。
比較例として、表面を熱酸化した(酸化ケイ素膜厚200nm)市販品のシリコンウエハに対しても、同様の方法にて、連続荷重試験を行った。
実施例および比較例の結果を図2に示す。
図2に示されるように、比較例のシリコンウエハ上の酸化ケイ素膜は、荷重100gf程度のところで摩擦力の上昇が確認された。酸化ケイ素膜の破壊もしくは剥離が起きたと推測される。本発明の共重合体(I)から変換された実施例の酸化ケイ素膜は、著しい摩
擦力の上昇は確認されなかった。このことから、塗膜の破壊および剥離は起きていないと考えられる。
実施例の酸化ケイ素膜については続いて荷重をかけたところ、300gf付近にて摩擦力の上昇が見られた。結果を図3に示す。
以上の結果により、本発明の共重合体から変換された酸化ケイ素膜は、優れた耐スクラッチ性を有していることが示された。
【0071】
<一定荷重測定(すべり性)>
シリコンウエハ上に、共重合体(I)の組成物を塗布し、65℃でプリベイク後、100℃で焼成した後にUV/オゾン処理することで、厚さ200nmの酸化ケイ素膜を得た。得られた酸化ケイ素膜に対して、ボール圧子5mmΦを用い荷重を50gとし、すべり性試験を行った。
比較例として、表面を熱酸化した(酸化ケイ素膜厚200nm)市販品のシリコンウエハに対しても、同様の方法にて、すべり性試験を行った。
【0072】
【表1】
【0073】
本発明の共重合体から変換された酸化ケイ素膜は、静摩擦係数および動摩擦係数が、比較例よりも低い値を示した。以上の結果より、本発明品から変換された酸化ケイ素膜は、通常のシリコンウエハ上の酸化ケイ素膜よりも、優れたすべり性を有していることが分かった。すなわち、本発明により得られる酸化ケイ素膜は表面が平滑であることが確認された。
【0074】
<表面粗さ>
シリコンウエハ上に、共重合体(I)の前記組成物を塗布し、ホットプレート上にて65℃で20分間焼成し、次いで、85℃で20分間焼成したあと、最後に120℃で30分間焼成した。得られた塗膜をUV/オゾン処理することで、厚さ200nmの酸化ケイ素膜を得た。得られた酸化ケイ素膜に対して、ブルカー製 3次元光干渉表面粗さ計ContourGTを用いて、表面の状態を測定したところ、Ra(表面の算術平均粗さ)は、0.40nmと非常に緻密な表面であることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明によれば、安価かつ簡便に、酸化ケイ素膜を得ることができる有機無機付加共重合体を得ることができる。
さらに、本発明の有機無機付加共重合体を用いることにより、CVDやPVDにより得られるものと同等程度の高品質で、さらに耐摩擦性、平滑性、耐クラック性に優れた酸化ケイ素膜を得ることができる。この酸化ケイ素膜は、例えば、半導体デバイスの保護膜として有用である。
図1
図2
図3