【実施例】
【0026】
以下に本発明の実施例について説明する。但し、本発明はこれらの実施例に限定されないことは勿論である。
【0027】
<試験例1>
[実施例1]
・乾燥ネギの調製方法
市販の生ネギ(九条ネギ)を根部5mmの部分を切り離した後に、次亜塩素酸ナトリウム200ppmに10分間浸漬した。当該浸漬後のネギを5mmごとにカットして、カットネギを調製した。当該カットネギを流水で30分間水洗し水切り後に重量を測定した。
水切り後のネギに対して5倍量の10重量%のデキストリン(DE40)(松谷化学社製 パインデックス#6)を流し込み、15分間浸漬した。浸漬後のネギをザルに入れて、水切りを10分間行った。当該水切り後のネギをトレイに入れて、熱風乾燥処理装置に入れて、70℃、50分間処理を行った後、さらに60℃、4時間の乾燥処理を実施した。乾燥後の乾燥ネギを以下の官能評価に供した。
【0028】
・乾燥ネギの評価方法
乾燥ネギの乾燥臭の抑制については、当該乾燥ネギ0.5gに対して100gの熱湯を注ぎ、当該ネギについて官能評価を行った。評価については熟練のパネラー3名が以下の点を評価した。
【0029】
・マスキング効果・・・各実施例及び比較例の乾燥ネギの臭いを官能評価した。
評価は、(1)乾燥臭の有無及び(2)ネギ臭の有無を観点として、(1)が弱く(2)が強い程、高い評価とした。評価は(9:乾燥臭が弱く、ネギ臭が強い(良)⇔0:乾燥臭が強く、ネギ臭が弱い(不可))の10段階とした。
【0030】
[実施例2]は実施例1において、デキストリン(DE40)(松谷化学社製 パインデックス#6)の代わりに、デキストリン(DE25)(松谷化学社製 パインデックス#3)とした点を除いて実施例1と同様に行った。
【0031】
[実施例3]は実施例1において、デキストリン(DE40)(松谷化学社製 パインデックス#6)の代わりに、デキストリン(DE19)(松谷化学社製 パインデックス#4)とした点を除いて実施例1と同様に行った。
【0032】
[実施例4]は実施例1において、デキストリン(DE40)(松谷化学社製 パインデックス#6)の代わりに、デキストリン(DE15)(松谷化学社製 グリスターP)とした点を除いて実施例1と同様に行った。
【0033】
[実施例5]は実施例1において、デキストリン(DE40)(松谷化学社製 パインデックス#6)の代わりに、デキストリン(DE11)(松谷化学社製 パインデックス#2)とした点を除いて実施例1と同様に行った。
【0034】
[実施例6]は実施例1において、デキストリン(DE40)(松谷化学社製 パインデックス#6)の代わりに、デキストリン(DE8)(松谷化学社製 パインデックス#1)とした点を除いて実施例1と同様に行った。
【0035】
[実施例7]は実施例1において、デキストリン(DE40)(松谷化学社製 パインデックス#6)の代わりに、デキストリン(DE4)(松谷化学社製 パインデックス#100)とした点を除いて実施例1と同様に行った。
【0036】
[実施例8]は実施例1において、デキストリン(DE40)(松谷化学社製 パインデックス#6)の代わりに、αサイクロデキストリン(シクロケム社製 CAVAMAX(R)W6 Food)とした点を除いて実施例1と同様に行った。
【0037】
[実施例9]は実施例1において、10重量%のデキストリン(DE40)(松谷化学社製 パインデックス#6)の代わりに、1重量%のβサイクロデキストリン(シクロケム社製 CAVAMAX(R)W7 Food)とした点を除いて実施例1と同様に行った。
【0038】
[実施例10]は実施例1において、デキストリン(DE40)(松谷化学社製 パインデックス#6)の代わりに、γサイクロデキストリン(シクロケム社製 CAVAMAX(R)W8 Food)とした点を除いて実施例1と同様に行った。
【0039】
[実施例11]は実施例1において、10重量%のデキストリン(DE40)(松谷化学社製 パインデックス#6)の代わりに、10重量%のデキストリン(DE19)(松谷化学社製 パインデックス#4)及び1重量%のγサイクロデキストリン(シクロケム社製 CAVAMAX(R)W8 Food)の混合液を用いた点を除いて実施例1と同様に行った。
【0040】
[比較例1]は実施例1において、デキストリン(DE40)(松谷化学社製 パインデックス#6)の代わりに、単糖類であるグルコース(サンエイ糖化社製 無水結晶ぶどう糖TDA−S)とした点を除いて実施例1と同様に行った。
【0041】
[比較例2]は実施例1において、デキストリン(DE40)(松谷化学社製 パインデックス#6)の代わりに、二糖類であるラクトース(レプリノ社製 乳糖)とした点を除いて実施例1と同様に行った。
【0042】
[比較例3]は実施例1において、デキストリン(DE40)(松谷化学社製 パインデックス#6)の代わりに、二糖類であるスクロース(塩水港精糖社製 グラニュ糖EA)とした点を除いて実施例1と同様に行った。
実施例1〜実施例11及び比較例1〜3の結果について以下の表1に示す。
【0043】
─結果─
【0044】
【表1】
デキストリンを利用した場合において乾燥臭を抑制する効果を確認した。また、使用するデキストリンのDE値は11〜40程度が好適であることを判明した。また、デキストリンについては、環状のサイクロデキストリンにおいても効果が見られた。サイクロデキストリンのうちではγ型が特に乾燥臭のマスキング効果が高かった。また、γサイクロデキストリンとデキストリン(DE19)を用いた場合、さらに乾燥臭のマスキング効果が高くなった。
【0045】
<試験例2> アリルイソチオシアネートをさらに添加した場合
試験例1でのデキストリンを用いた浸漬処理に加えて、乾燥処理後の乾燥ネギに対して、呈味性の添加物を添加する方法を用いて乾燥臭の抑制をさらに抑制できるかを試験した。
【0046】
[実施例12]
実施例3のデキストリン(DE19)(松谷化学社製 パインデックス#4)による浸漬処理の後に、熱風乾燥した乾燥ネギ100gに対して、添加物としてアリルイソチオシアネートの植物油(パーム油)溶解液(1重量%)の5gを霧吹きを用いて噴霧し、当該噴霧後の乾燥ネギについて実施例1と同様に官能評価した。
【0047】
[実施例13]
実施例12において、添加物としてアリルイソチオシアネートの代わりに、イソプロピルイソチオシアネートを実施例12と同様に植物油(パーム油)に溶解した液を用いた以外は実施例12と同様に処理した。
【0048】
[実施例14]
実施例12において、添加物としてアリルイソチオシアネートの代わりに、イソブチルイソチオシアネートを実施例12と同様に植物油(パーム油)に溶解した液を用いた以外は実施例12と同様に処理した。
【0049】
[比較例4]
実施例1において、デキストリン水溶液に対する浸漬処理を施さずに、乾燥処理した乾燥ネギを調製し、当該乾燥ネギ100gに対して、添加物としてアリルイソチオシアネートの植物油(パーム油)溶解液(1重量%)の5gを霧吹きを用いて噴霧し、当該噴霧後の乾燥ネギについて実施例1と同様に官能評価した(デキストリン浸漬処理無しでアリルイソチオシアネート処理のみの場合)。結果を表2に示す。
【0050】
【表2】
【0051】
デキストリン処理に加えて、アリルイソチオシアネートの添加により乾燥臭のマスキング効果が相乗的に向上することが判明した。一方、アリルイソチオシアネートと同系統の含硫添加物であるイソプロピルイソチオシアネート、イソブチルイソチオシアネートでは、乾燥臭のマスキングの相乗的な向上効果は見られなかった。