(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記液晶配向パターンは、前記第1領域と前記第2領域において、前記液晶配向パターンの前記光軸の向きの変化する方向で、領域の一方の端から他方の端に向かうに従い、前記ピッチが変化する、液晶配向パターンである、請求項6に記載の立体表示装置。
前記ディスプレイパネルは、1つの前記第1領域と1つの前記第2領域との組み合わせに対応して、複数の異なる画像を表示する、請求項6または7に記載の立体画像表示装置。
前記ディスプレイパネルは、1つの前記第1位相差領域と1つの前記第2位相差領域との組み合わせに対応して、複数の異なる画像を表示する、請求項9または10に記載の立体画像表示装置。
請求項1〜15のいずれか1項に記載の立体画像表示装置と、前記立体画像表示装置が表示した画像を集光する接眼レンズと、を有するウェアラブルディスプレイデバイス。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の立体画像表示装置およびウェアラブルディスプレイデバイスについて、添付の図面に示される好適実施例を基に詳細に説明する。
なお、各図面においては、視認しやすくするため、構成要素の縮尺は実際のものとは適宜異ならせてある。
【0011】
<実施の形態1>
図1に、本発明の実施の形態1に係る立体画像表示装置10の簡略化した構成を示す。立体画像表示装置10は、画像を表示するためのディスプレイパネル11、光学素子21、および、ディスプレイパネル11と光学素子21との間に設けられる円偏光板31を有している。
【0012】
図2に、ディスプレイパネル11、光学素子21および円偏光板31の側面断面図を示す。
ディスプレイパネル11は、液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネセンスディスプレイ、および、発光ダイオードディスプレイ(LED(Light Emitting Diode)ディスプレイ、マイクロLEDディスプレイ)等に利用される、動画および/または静止画を表示する公知のディスプレイパネルである。
図示例において、ディスプレイパネル11は、右目2Rによる観察に対応する画像12Rと、左目2Lによる観察に対応する画像12Lとを、後述する棒状液晶化合物24の光軸24Aの向きが変化する方向に、交互に配列した画像を表示している。棒状液晶化合物24の光軸24Aの向きが変化する方向とは、後述する配列軸Aの方向であり、図中に矢印Xで示す方向である。
【0013】
ディスプレイパネル11は、表示した画像(光)を円偏光板31および光学素子21に向けて光を出射する。
ここで、説明のために、光学素子21からディスプレイパネル11に向かう方向を図中に矢印Zで示す方向とし、矢印Z方向に垂直な平面をXY面として、ディスプレイパネル11と光学素子21とはXY面に平行に配置されているとする。
図2には、ディスプレイパネル11が表示した画像12Rと画像12Lとを、矢印X方向に交互に繰り返し表示した様子が示されている。
【0014】
図3に、光学素子21の側面断面図を示す。
図3に示すように、光学素子21は、プラスチックフィルム等の透明な支持体22と、厚さdを有する光学異方性層23により構成されている。光学異方性層23は、一般的なλ/2板としての機能、すなわち、光学異方性層23に入射した光に含まれる互いに直交する2つの直線偏光成分に半波長すなわち180°の位相差を与える機能を有している。また、光学異方性層23は、液晶化合物である複数の棒状液晶化合物24を含む組成物を用いて形成されたものであり、これら複数の棒状液晶化合物24は、それぞれ、光学異方性層23においてXY面と平行な面内に配向している。
また、光学異方性層23は、棒状液晶化合物24に由来する光軸24Aを有している。この光軸24Aは、棒状液晶化合物24の棒形状の長軸方向に沿っており、棒状液晶化合物24において屈折率が最も高くなる軸、いわゆる遅相軸である。以下の説明では、『棒状液晶化合物24に由来する光軸24A』を『棒状液晶化合物の光軸24A』ともいう。
また、光学素子21は、透明な支持体がなく、光学異方性層23により構成されていても良い。例えば、透明な支持体22上に光学異方性層23を形成し、その後、透明な支持体22を剥離して用いても良い。
【0015】
図4に、光学素子21の部分平面図を示す。
図4に示すように、光学異方性層23の複数の棒状液晶化合物24は、XY面内の互いに平行な複数の配列軸Aに沿って配置されており、それぞれの配列軸A上において、複数の棒状液晶化合物24の光軸24Aの向きが、配列軸Aに沿った一方向に連続的に回転しながら変化している。ここで、説明のため、配列軸Aが矢印X方向に向いているとする。また、矢印X方向と直交する図中に矢印Yで示す方向においては、光軸24Aの向きが等しい複数の棒状液晶化合物24が等間隔で配置されている。
また、棒状液晶化合物24の光軸24Aの向きが配列軸Aに沿った一方向に連続的に回転しながら変化しているとは、配列軸Aに沿って配列されている複数の棒状液晶化合物24の光軸24Aと配列軸Aとがなす角度が、配列軸A方向の位置により異なっており、配列軸Aに沿って光軸24Aと配列軸Aとのなす角度がθからθ+180°あるいはθ−180°まで徐々に変化していることを意味する。
この際に、複数の棒状液晶化合物24の光軸24Aは、
図4に示すように、配列軸Aに沿って一定の角度ずつ回転しながら変化することができる。配列軸Aに沿って隣接する棒状液晶化合物24において、互いの光軸24Aがなす角度は、45°以下が望ましく、より小さい角度であるのがさらに望ましい。
【0016】
また、複数の棒状液晶化合物24の光軸24Aの向きが配列軸Aに沿って反時計回りに回転しながら変化していることにより、光学異方性層23に、液晶配向パターンAP1(第1配向パターン)が形成されている。
同様に、複数の棒状液晶化合物24の光軸24Aの向きが配列軸Aに沿って時計回りに回転しながら変化していることにより、光学異方性層23に、液晶配向パターンAP2(第2配向パターン)が形成されている。
すなわち、光学異方性層23は、棒状液晶化合物24の回転方向が逆である、2つの液晶配向パターンを有する。
液晶配向パターンAP1およびAP2は、共に、配列軸Aに沿った繰り返しパターンであり、そのピッチPは、棒状液晶化合物24の光軸24Aと配列軸Aとのなす角度がθからθ+180°となるまでの距離により定義される(180°回転ピッチ)。このピッチPの長さは、45μm以下が好ましく、30μm以下がより好ましく、15μm以下がさらに好ましい。
【0017】
また、
図4に示すように、光学異方性層23において、互いに同一の方向を向いた複数の光軸24Aを有する棒状液晶化合物24が矢印Y方向に配列されている。
互いに同一の方向を向いた複数の光軸24Aを有する棒状液晶化合物24が矢印Y方向に配列された長尺な領域を領域Rとする。その場合に、それぞれの領域Rにおける面内レタデーション(Re)の値が半波長すなわちλ/2であることが望ましい。これらの面内レタデーションは、領域Rの屈折率異方性に伴う屈折率差Δnと光学異方性層23の厚さdとの積により算出される。ここで、光学異方性層23における領域Rの屈折率異方性に伴う屈折率差とは、領域Rの面内における遅相軸の方向の屈折率と、遅相軸の方向に直交する方向の屈折率との差により定義される屈折率差である。すなわち、領域Rの屈折率異方性に伴う屈折率差Δnは、光軸24Aの方向の棒状液晶化合物24の屈折率と、領域Rの面内において光軸24Aに垂直な方向の棒状液晶化合物24の屈折率との差に等しい。
【0018】
図5に示すように、光学異方性層23は、液晶配向パターンAP1からなる第1領域23Aと、液晶配向パターンAP2からなる第2領域23Bとが、配列軸Aの方向すなわち棒状液晶化合物24の光軸24Aが変化する方向(図中矢印X方向)に、交互に配列されている。
図5に示すように、第1領域23Aおよび第2領域23Bは、共に、配列軸Aの方向と直交する方向、すなわち、上述の長尺な領域Rの長手方向と同方向(図中矢印Y方向)に長尺なものである。
なお、
図4および
図5の左側では、液晶配向パターンAP1と液晶配向パターンAP2とを、隣接して1ピッチずつのみ示しているが、実際には、
図5の右側の図からの拡大図に示すように、液晶配向パターンAP1および液晶配向パターンAP2は、共に、複数ピッチが連続的に形成されている。従って、所定ピッチ数の液晶配向パターンAP1の繰り返しで、第1領域23Aが形成され、同ピッチ数の液晶配向パターンAP2の繰り返しで、第2領域23Bが形成される。
【0019】
次に、実施の形態1における光学素子21の光学異方性層23に光が入射した場合の、透過光の挙動について説明する。
図6に示すように、光学素子21の光学異方性層23における第1領域23Aすなわち液晶配向パターンAP1の領域に左円偏光P
Lの入射光L
1が入射すると、入射光L
1は、光学異方性層23を通過することにより、180°の位相差が与えられて、右円偏光P
Rの透過光L
2に変換される。
また、入射光L
1は、光学異方性層23を通過する際に、それぞれの棒状液晶化合物24に由来する光軸24Aの向きに応じて絶対位相が変化する。このとき、光軸24Aは、反時計回りに回転しながら配列軸Aに沿って変化しているため、光軸24Aの向きにより、入射光L
1の絶対位相の変化量が異なる。
さらに、光学異方性層23に形成された液晶配向パターンAP1は、矢印X方向に周期的なパターンであるため、光学異方性層23を通過した入射光L1には、
図6に示すように、それぞれの光軸24Aの向きに対応した矢印X方向に周期的な絶対位相Q1が与えられる。これにより、XY面に対して矢印Z方向に傾いた等位相面E1が形成される。そのため、入射光L
1は、等位相面E1に対して垂直な方向に向かって傾くように屈曲され、入射光L
1の進行方向とは異なる方向に進行する。このように、左円偏光P
Lの入射光L
1は、矢印Z方向に対して一定の角度だけ傾いた右円偏光P
Rの透過光L
2に変換される。
【0020】
他方、光学素子21の光学異方性層23における第2領域23Bすなわち液晶配向パターンAP2の領域に左円偏光P
Lの入射光L
1が入射すると、入射光L
1は、同様に、異方性層23を通過することにより、180°の位相差が与えられて、右円偏光P
Rの透過光L
2に変換される。
また、同様に、入射光L
1は、光学異方性層23を通過する際に、それぞれの棒状液晶化合物24に由来する光軸24Aの向きに応じて絶対位相が変化する。光軸24Aは、時計回りに回転しながら配列軸Aに沿って変化しているため、光軸24Aの向きにより、入射光L
1の絶対位相の変化量が異なる。さらに、光学異方性層23に形成された液晶配向パターンAP2は、矢印X方向に周期的なパターンであるため、光学異方性層23を通過した入射光L
1には、
図6に示すように、それぞれの光軸24Aの向きに対応した矢印X方向に周期的な絶対位相Q2が与えられる。
ここで、液晶配向パターンAP2において、光軸24Aは、配列軸Aに沿って、上述の液晶配向パターンAP1とは逆の時計回りに回転しながら変化している。そのため、光軸24Aの向きに対応した矢印X方向に周期的な絶対位相Q2は、液晶配向パターンAP1とは逆になる。その結果、第2領域23Bすなわち液晶配向パターンAP2の領域では、第1領域23Aすなわち液晶配向パターンAP1の領域とは逆に傾斜した等位相面E2が形成される。
そのため、第2領域23B(液晶配向パターンAP2)に入射した左円偏光P
Lの入射光L
1は、矢印Z方向に対して一定の角度だけ傾いた、第1領域23Aに入射した右円偏光P
Rの透過光L
2に向かって進む右円偏光P
Rの透過光L
3に変換される。
【0021】
従って、立体画像表示装置10では、ディスプレイパネル11による表示画像を、所定の円偏光(図示例では左円偏光)として光学素子21に入射させることにより、レンチキュラーレンズおよびレンズアレイ等を用いた立体画像表示装置と同様、
図7に示すように、第1領域23Aおよび第2領域23Bによって光を屈折させて右と左に分けて集光して、右目2Rによる観察に対応する画像12Rを観察者の右目2Rに、左目2Lによる観察に対応する画像12Lを観察者の左目2Lに、それぞれ入射させて、良好な立体画像を表示できる。
また、後述するように、光学素子21の光学異方性層23は、液晶化合物を含む組成物を用いて形成するので、レンチキュラーレンズおよびレンズアレイ等に比して、大幅に薄く、すなわち、薄型の立体画像表示装置を実現でき、また、可撓性を有する立体画像表示装置にも、好適に対応可能である。
【0022】
なお、光学異方性層23に形成された液晶配向パターンAP1およびAP2のピッチPを変化させることにより、透過光L
2および透過光L
3の矢印Z方向に対する傾きを変化させることができる。より詳細には、液晶配向パターンAP1およびAP2のピッチPを小さくするほど、互いに隣接した棒状液晶化合物24を通過した光同士が強く干渉するため、透過光L2を大きく屈曲させることができる。また、液晶配向パターンAP1およびAP2のピッチPを光学異方性層面内で変えることにより、面内で透過光の屈曲する角度を変えることができる。
従って、光学異方性層23の位相差および液晶配向パターンAP1およびAP2のピッチPを調節することで、二次回折光による影響を少なくし、かつ、光の方向を制御して、立体視認性に優れた立体画像表示装置を実現できる。第1領域23Aおよび第2領域23Bにおいて、液晶配向パターンAP1およびAP2は、液晶配向パターンAP1およびAP2の光軸の向きが変化する方向で、領域の一方の端から他方の端に向かうに従い、光軸24Aが180°回転する距離が変化する、液晶配向パターンであるのも好ましい。
以上の点に関しては、後述する実施の形態2および実施の形態3も同様である。
【0023】
以上の例では、
図2および
図7に示すように、ディスプレイパネル11は、1対の第1領域23Aおよび第2領域23Bに対応して、右目2Rによる観察に対応する画像12Rと、左目2Lによる観察に対応する画像12Lとの2画像を表示しているが、本発明は、これに制限はされない。
すなわち、立体画像表示装置10では、1対の第1領域23Aおよび第2領域23Bが、立体画像を表示するためにディスプレイパネル11が表示する画像の数に対応すればよい。従って、ディスプレイパネル11は、1対の第1領域23Aおよび第2領域23Bに対応して、3画像以上の異なる画像を表示してもよい。3画像以上の視差画像とすることで運動視差に対応した立体画像を表示することができる点でより好ましい。さらに視差画像数を増やすことで、いわゆるライトフィールド(インテグラルフォトグラフィ)のような、高画質な立体画像を表示できる点で、より好ましい。
【0024】
光学素子21の光学異方性層23において、複数の領域Rの面内レタデーションの値は、半波長であるのが好ましいが、波長が550nmである入射光に対する光学異方性層23の複数の領域Rの面内レタデーションRe(550)=Δn
550×dが下記式(1)に規定される範囲内であれば、実施の形態1に係る立体画像表示装置10の効果を十分に得ることができる。ここで、Δn
550は、入射光の波長が550nmである場合の、領域Rの屈折率異方性に伴う屈折率差であり、dは、光学異方性層23の厚さである。
200nm≦Δn
550×d≦350nm・・・(1)
すなわち、光学異方性層23の複数の領域Rの面内レタデーションRe(550)=Δn
550×dが式(1)を満たしていれば、光学異方性層23に入射した光の十分な量の円偏光成分を、矢印Z方向に対して傾いた方向に進行する円偏光に変換することができる。面内そのため、立体画像表示装置10において、好適に立体画像を表示できる。面内レタデーションRe(550)=Δn
550×dは、225nm≦Δn
550×d≦340nmがより好ましく、250nm≦Δn
550×d≦330nmがさらに好ましい。
【0025】
さらに、波長が450nmの入射光に対する光学異方性層23の領域Rのそれぞれの面内レタデーションRe(450)=Δn
450×dと、波長が550nmの入射光に対する光学異方性層23の領域Rのそれぞれの面内レタデーションRe(550)=Δn
550×dは、下記式(2)を満たすことが望ましい。ここで、Δn
450は、入射光の波長が450nmである場合の、領域Rの屈折率異方性に伴う屈折率差である。
(Δn
450×d)/(Δn
550×d)<1.0・・・(2)
式(2)は、光学異方性層23に含まれる棒状液晶化合物24が逆分散性を有していることを表している。すなわち、式(2)が満たされることにより、光学異方性層23は、広帯域の波長の入射光に対応できる。
【0026】
光学素子21と、ディスプレイパネル11との間には、円偏光板31が設けられる。
図2に示すように、円偏光板31は、ディスプレイパネル11側の偏光子31Aと、光学素子21側のλ/4板31Bとを有する。なお、ディスプレイパネル11が偏光子を有する場合、すなわち、所定の直線偏光のみを出射する場合には、λ/4板31Bのみを設けて円偏光板31とすればよい。
立体画像表示装置10においては、ディスプレイパネル11が照射した光のうち、所定の直線偏光のみ偏光子31Aを透過させ、この直線偏光をλ/4板31Bを透過させることにより、左円偏光の光を光学素子21に入射させている。
また、図示しないが、偏光子31Aとλ/4板31Bを備える円偏光板31の代わりに、コレステリック液晶層を円偏光板31として用いても良い。
さらに、円偏光板31を用いずに、円偏光を射出するディスプレイを用いても良い。例えば、円偏光を発光する有機エレクトロルミネセンスディスプレイ等を用いることができる。直線偏光を発光するディスプレイにλ/4板を組み合わせてもよく、たとえば、特開2004−30955号公報に記載の態様が挙げられる。また、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイパネルであって、異なる波長の光を発光する発光部に対応して、発光波長に対応する円偏光領域を持つものであってもよい。
【0027】
偏光子31Aは、公知の偏光子が全て利用可能であり、ヨウ素化合物を含む吸収型偏光板またはワイヤーグリッドなどの反射型偏光板等、一般的な直線偏光板が、各種、利用可能である。
【0028】
λ/4板31Bも、液晶化合物を利用するλ/4板およびポリマーフィルムを利用するλ/4板等、波長550nmにおける面内レタデーションRe(550)が、『100nm≦Re(550)≦180nm』を満たすものであれば、公知のλ/4板が、各種、利用可能である。
λ/4板31Bの面内レタデーションは、110nm≦Re(550)≦170nmがより好ましく、120nm≦Re(550)≦160nmがさらに好ましい。
また、λ/4板31Bは、波長450nmにおける面内レタデーションRe(450)と、波長550nmにおける面内レタデーションRe(550)とが、『Re(450)/Re(550)<1』を満たすのが好ましい。すなわち、λ/4板31Bは、逆分散性のλ/4板であるのが好ましい。
【0029】
立体画像表示装置10においては、円偏光板31は、光学素子21とディスプレイパネル11との間に配置されているが、本発明は、これに制限はされず、円偏光板31は、観察者とディスプレイパネル11との間に配置されればよい。具体的には、円偏光板31は、光学素子21のディスプレイパネル11とは逆側に配置してもよい。
すなわち、本発明の立体画像表示装置は、全ての光を光学素子21に入射させて、円偏光板31を透過した光を、観察者が観察するようにしてもよい。
【0030】
<実施の形態2>
本発明の実施の形態2の立体画像表示装置も、上述の実施の形態1の立体画像表示装置10と同様に、光学素子と、円偏光板と、ディスプレイパネルとを有する。また、実施の形態2の立体画像表示装置においても、光学素子は、支持体と光学異方性層とを有し、円偏光板は、偏光子と、λ/4板とを有する。さらに、実施の形態1と同様に、円偏光板31としてコレステリック層を用いてもよく、円偏光を射出するディスプレイを用いてもよい。
実施の形態2の立体画像表示装置と、上述の実施の形成1の形態の立体画像表示装置10とは、光学素子の光学異方性層、および、円偏光板のλ/4板が異なる以外は、基本的に、同じ構成を有する。
【0031】
図8に、実施の形態2の光学素子の光学異方性層53の部分平面図を示す。
上述の光学異方性層23は、
図4に示すように、棒状液晶化合物24の光軸24Aの回転方向が互いに逆方向である、液晶配向パターンAP1による第1領域23Aと、液晶配向パターンAP2による第2領域23Bとを有している。
これに対して、本発明の実施の形態2では、光学異方性層53は、
図8に示すように、棒状液晶化合物54の光軸54Aの回転方向が一方向である。図示例においては、棒状液晶化合物の光軸54Aの回転方向が、上述の液晶配向パターンAP1と同様の反時計回りの一方向の回転のみである。
【0032】
図9に、実施の形態2の光学素子の円偏光板のλ/4板33の平面図を示す。
図9に示すように、λ/4板33は、配列軸Aの方向すなわち棒状液晶化合物54の光軸54Aが変化する方向に、複数に分割されており、隣接する領域において、遅相軸の方向が直交している。配列軸Aの方向は、図中矢印X方向である。
すなわち、λ/4板33は、棒状液晶化合物54の光軸54Aが変化する方向(配列軸方向=矢印X方向)に分割された、矢印Y方向に長尺な、第1位相差領域33Aと第2位相差領域33Bとを有する。また、
図9の左側にλ/4板33の一部を拡大して示すように、第1位相差領域33Aおよび第2位相差領域33Bは、共にλ/4板であるが、第1位相差領域33Aの遅相軸34Aと第2位相差領域33Bの遅相軸34Bとが、互いに直交している。
【0033】
第1位相差領域33Aおよび第2位相差領域33Bの幅は、同数の所定ピッチ数の液晶配向パターンの繰り返しに対応する幅である。第1位相差領域33Aおよび第2位相差領域33Bの幅とは、すなわち、第1位相差領域33Aおよび第2位相差領域33Bの矢印X方向のサイズである。
また、上述の実施の形態1の立体画像表示装置10では、1対の第1領域23Aおよび第2領域23Bが、立体画像を表示するためにディスプレイパネル11が表示する画像の数に対応している。これに対し、実施の形態2の立体画像表示装置では、一対の第1位相差領域33Aおよび第2位相差領域33Bが、ディスプレイパネル11が表示する画像の数に対応する。
【0034】
実施の形態2の立体画像表示装置における光の挙動について説明する。
この立体画像表示装置では、円偏光板のλ/4板33における第1位相差領域33Aを透過した光は、例えば左円偏光になり、第2位相差領域33Bを通過した光は、例えば右円偏光になる。
【0035】
図10に示すように、光学素子の光学異方性層53に左円偏光P
Lの入射光L
11が入射すると、先と同様、入射光L
11は、光学異方性層53を通過して、180°の位相差が与えられて、右円偏光P
Rの透過光L
21に変換される。
また、入射光L
11は、光学異方性層53を通過する際に、それぞれの棒状液晶化合物54に由来する光軸54Aの向きに応じて絶対位相が変化する。このとき、光軸24Aは、回転しながら配列軸Aに沿って変化しているため、光軸54Aの向きにより、入射光L
11の絶対位相の変化量が異なる。
さらに、光学異方性層53に形成された液晶配向パターンは、矢印X方向に周期的なパターンであるため、光学異方性層23を通過した入射光L
11には、
図10に示すように、それぞれの光軸54Aの向きに対応した矢印X方向に周期的な絶対位相Q3が与えられる。これにより、XY面に対して矢印Z方向に傾いた等位相面E3が形成される。そのため、入射光L
11は、等位相面E3に対して垂直な方向に向かって傾くように屈曲され、入射光L
1の進行方向とは異なる方向に進行する。このように、左円偏光P
Lの入射光L
1は、矢印Z方向に対して一定の角度だけ傾いた右円偏光P
Rの透過光L
2に変換される。
【0036】
他方、光学素子の光学異方性層53に右円偏光P
Rの入射光L
12が入射すると、入射光L
12は、同様に、光学異方性層53を通過することにより、180°の位相差が与えられて、左円偏光P
Lの透過光L
2に変換される。
また、同様に、入射光L
12は、光学異方性層53を通過する際に、それぞれの棒状液晶化合物54に由来する光軸54Aの向きに応じて絶対位相が変化する。同様に、光軸54Aは、回転しながら配列軸Aに沿って変化しているため、光軸24Aの向きにより、入射光L
12の絶対位相の変化量が異なる。さらに、光学異方性層53に形成された液晶配向パターンは、矢印X方向に周期的なパターンであるため、光学異方性層53を通過した入射光L
12には、
図10に示すように、それぞれの光軸54Aの向きに対応した矢印X方向に周期的な絶対位相Q4が与えられる。
ここで、入射光L
12は、右円偏光P
Rであるので、光軸54Aの向きに対応した矢印X方向に周期的な絶対位相Q4は、左円偏光P
Lである入射光L
11とは逆になる。その結果、入射光L
12では、入射光L
11とは逆に傾斜した等位相面E4が形成される。
そのため、右円偏光P
Rの入射光L
12は、矢印Z方向に対して一定の角度だけ傾いた、左円偏光P
Lである入射光L
11から変換された右円偏光P
Rの透過光L
21に向かって進む、右円偏光P
Rの透過光L
31に変換される。
従って、本発明の実施の形態2の立体画像表示装置でも、上述の立体画像表示装置10と同様、右目2Rによる観察に対応する画像12Rを観察者の右目2Rに、左目2Lによる観察に対応する画像12Lを観察者の左目2Lに、それぞれ入射させて、良好な立体画像を表示できる。
【0037】
<実施の形態3>
本発明の実施の形態3の立体画像表示装置も、上述の実施の形態1の立体画像表示装置10と同様に、光学素子と、円偏光板と、ディスプレイパネルとを有する。また、実施の形態2の立体画像表示装置においても、光学素子は、支持体と光学異方性層とを有し、円偏光板は、偏光子と、λ/4板とを有する。さらに、実施の形態1と同様に円偏光板31としてコレステリック層を用いてもよく、円偏光を射出するディスプレイを用いてもよい。
実施の形態3の立体画像表示装置と、上述の実施の形成1の形態の立体画像表示装置10とは、光学素子の光学異方性層が異なる以外は、基本的に、同じ構成を有する。
【0038】
図11に、実施の形態3における光学素子71の平面図を示す。
実施の形態3における光学素子71の光学異方性層73は、矢印X方向および矢印Y方向に配列された複数の小領域Nにより構成されている。
これらの複数の小領域Nは、
図12に示すように、複数の棒状液晶化合物74を含んでおり、複数の棒状液晶化合物74の光軸74Aは、それぞれの小領域Nにおいて、
図12に示す液晶配向パターンAP3を形成している。実施の形態3における液晶配向パターンAP3において、棒状液晶化合物74の光軸74Aの向きは、液晶配向パターンAP3の中心から外側の多方向、例えば、配列軸A3、A4、A5…に沿って徐々に回転しながら同心円状に変化している。この同心円状の液晶配向パターンAP3を有する小領域Nを通過した円偏光は、棒状液晶化合物74の光軸74Aの向きが異なる個々の局所的な領域において、それぞれ、絶対位相が変化する。この際に、それぞれの絶対位相の変化量は、円偏光が通過した棒状液晶化合物74の光軸74Aの向きに応じて異なる。中心から外側に向かうに従い、液晶配向パターンAP3における液晶化合物74の光軸74Aが180°回転する距離(ピッチ)を変化させることにより、小領域N面内での円偏光の屈曲角度を変えることができ、好ましい。
【0039】
このような放射状に光軸が回転変化する液晶配向パターンを備えれば、発散光もしくは集束光として透過させることができる。すなわち、光学異方性層73中の液晶配向パターンAP3によって凹レンズあるいは凸レンズとしての機能を実現できる。
従って、実施の形態3における光学素子71の小領域Nに円偏光を通過させることにより、小領域Nを透過した円偏光をXY面内の全ての方向に傾くように屈曲させて進行させることができる。
すなわち、光学異方性層73は、レンズアレイと同様の作用を発現する。
【0040】
従って、ディスプレイパネル11が、1個の小領域Nに対応して、例えば、
図13に示すように、正面から観察した画像IF、右から観察した画像IR、左から観察した画像IL、上方から観察した画像IU、下方から観察した画像ID、右上方から観察したIRU、左上方から観察した画像ILU、右下方から観察したIRD、および、左下方から観察した画像ILDの、9画像(3×3画像)を表示することで、水平方向だけではなく、垂直方向および/または斜め方向に対応した立体画像を表示できる。1個の小領域Nに対応する画像数をさらに増やすことで、いわゆるライトフィールド(インテグラルフォトグラフィ)のような、高画質な立体画像を表示できる点で好ましい。
【0041】
<実施の形態4>
本発明の実施の形態3の立体画像表示装置も、上述の実施の形態1の立体画像表示装置10と同様に、光学素子と、円偏光板と、ディスプレイパネルとを有する。また、実施の形態2の立体画像表示装置においても、光学素子は、支持体と光学異方性層とを有し、円偏光板は、偏光子と、λ/4板とを有する。さらに、実施の形態1と同様に円偏光板31としてコレステリック層を用いてもよく、円偏光を射出するディスプレイを用いてもよい。
実施の形態4の立体画像表示装置と、上述の実施の形成1の形態の立体画像表示装置10とは、光学素子の光学異方性層が異なる以外は、基本的に、同じ構成を有する。
【0042】
実施の形態1〜3における光学異方性層23、53および73は、棒状液晶化合物24、54および74を含んでいるが、本発明の光学異方性層は、棒状液晶化合物の代わりに、円盤状液晶化合物を含んでいてもよい。
図14は、実施の形態4の光学素子81の構成を示す側面断面図である。
図14に示すように、実施の形態4における光学素子81は、光学異方性層が円盤状液晶化合物84を含むことを除いて実施の形態1における光学素子21と同一である。すなわち、実施の形態4の光学素子81は、基材82と、基材82上に形成された光学異方性層83を有し、光学異方性層83は、複数の円盤状液晶化合物84を含んでいる。
光学異方性層83に含まれる複数の円盤状液晶化合物84は、それぞれ、矢印Y方向に立ち上がっており、円盤状液晶化合物84の光軸84Aは、円盤面に垂直な軸、いわゆる進相軸として定義される。
【0043】
図15に、実施の形態4における光学素子81の平面図を示す。
図15に示されるように、円盤状液晶化合物84の光軸84Aは、配列軸Aに沿って連続的に回転しながら変化している。すなわち、配列軸Aと対する円盤状液晶化合物84の光軸84Aとのなす角が、配列軸Aに沿って徐々に変化している。これにより、実施の形態4における光学異方性層83に、実施の形態1における光学異方性層23と同様に、ピッチPを有する液晶配向パターンAP4が形成されている。
そのため、実施の形態4における光学素子81は、実施の形態1における光学素子21と同様の作用を有している。すなわち、図示しないが、光学素子81の光学異方性層83に入射する光のうち円偏光成分を、入射の方向とは異なる方向に傾くように屈曲して進行させることができ、良好な立体画像を表示することができる。
【0044】
以下、本発明の光学素子の詳細について説明する。
【0045】
<支持体>
支持体としては、透明支持体が好ましく、ポリメチルメタクリレート等のポリアクリル系樹脂フィルム、セルローストリアセテート等のセルロース系樹脂フィルム、および、シクロオレフィンポリマー系フィルム(例えば、JSR社製、商品名「アートン」、日本ゼオン社製、商品名「ゼオノア」)等を挙げることができる。支持体は、可撓性のフィルムに限らず、ガラス基板等の非可撓性の基板であってもよい。
【0046】
<光学異方性層>
光学異方性層は、棒状液晶化合物もしくは円盤状液晶化合物を含む液晶組成物の硬化層からなり、棒状液晶化合物の光軸もしくは円盤状液晶化合物の光軸が上述のように配向された液晶配向パターンを有している。支持体上に配向膜を形成し、その配向膜上に液晶組成物を塗布、硬化することにより、液晶組成物の硬化層からなる光学異方性層を得ることができる。なお、いわゆるλ/2板として機能するのは光学異方性層であるが、本発明は、支持体および配向膜を一体的に備えた積層体がλ/2板として機能する態様を含む。
また、光学異方性層を形成するための液晶組成物は、棒状液晶化合物または円盤状液晶化合物を含有し、さらに、レベリング剤、配向制御剤、重合開始剤および配向助剤などのその他の成分を含有していてもよい。
【0047】
また、光学異方性層は、入射光の波長に対して広帯域であることが望ましく、複屈折が逆分散の液晶材料を用いて構成されていることが好ましい。また、液晶に捩れ成分を付与することにより、また、異なる位相差層を積層することにより、入射光の波長に対して光学異方性層を実質的に広帯域にすることも好ましい。例えば、光学異方性層において、捩れ方向が異なる2層の液晶を積層することによって広帯域のパターン化されたλ/2板を実現する方法が特開2014−089476号公報等に示されており、本発明において好ましく使用することが出来る。
【0048】
―棒状液晶化合物―
棒状液晶化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類、および、アルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類等が好ましく用いられる。以上のような低分子液晶性分子だけではなく、高分子液晶性分子も用いることができる。
【0049】
棒状液晶化合物を重合によって配向を固定することがより好ましく、重合性棒状液晶化合物としては、Makromol. Chem., 190巻、2255頁(1989年)、Advanced Materials 5巻、107頁(1993年)、米国特許4683327号公報、同5622648号公報、同5770107号公報、WO95/22586号公報、同95/24455号公報、同97/00600号公報、同98/23580号公報、同98/52905号公報、特開平1−272551号公報、同6−16616号公報、同7−110469号公報、同11−80081号公報、および、特願2001−64627号公報などに記載の化合物を用いることができる。さらに棒状液晶化合物としては、例えば、特表平11−513019号公報および特開2007−279688号公報等に記載のものも好ましく用いることができる。
【0050】
―円盤状液晶化合物―
円盤状液晶化合物としては、例えば、特開2007−108732号公報および特開2010−244038号公報等に記載のものを好ましく用いることができる。
【0051】
<光学異方性層形成用の配向膜>
光学異方性層形成用の配向膜としては、例えば、ポリマー等の有機化合物からなるラビング処理膜、無機化合物の斜方蒸着膜、マイクログルーブを有する膜、ならびに、ω−トリコサン酸、ジオクタデシルメチルアンモニウムクロライドおよびステアリル酸メチルなどの有機化合物のラングミュア・ブロジェット法によるLB(Langmuir-Blodgett)膜を累積させた膜、等が挙げられる。
配向膜としては、ポリマー層の表面をラビング処理して形成されたものを用いることができる。ラビング処理は、ポリマー層の表面を紙および布等で一定方向に数回こすることにより実施される。配向層に使用するポリマーの種類は、ポリイミド、ポリビニルアルコール、特開平9−152509号公報に記載された重合性基を有するポリマー、特開2005−97377号公報、特開2005−99228号公報、および、特開2005−128503号公報記載の直交配向膜等を好ましく使用することができる。なお、本発明で言う直交配向膜とは、本発明の重合性棒状液晶化合物の分子の長軸を、直交配向膜のラビング方向と実質的に直交するように配向させる配向膜を意味する。配向層の厚さは配向機能を提供できれば厚い必要はなく、0.01〜5μmが好ましく、0.05〜2μmがさらに好ましい。
また、光配向性の素材に偏光または非偏光を照射して配向膜とした、いわゆる光配向膜も用いることもできる。即ち、支持体上に、光配光材料を塗布して光配向膜を作製してもよい。偏光の照射は、光配向膜に対して、垂直方向または斜め方向から行うことができ、非偏光の照射は、光配向膜に対して、斜め方向から行うことができる。
【0052】
本発明に利用可能な光配向膜に用いられる光配向材料としては、例えば、特開2006−285197号公報、特開2007−76839号公報、特開2007−138138号公報、特開2007−94071号公報、特開2007−121721号公報、特開2007−140465号公報、特開2007−156439号公報、特開2007−133184号公報、特開2009−109831号公報、特許第3883848号、特許第4151746号に記載のアゾ化合物、特開2002−229039号公報に記載の芳香族エステル化合物、特開2002−265541号公報、特開2002−317013号公報に記載の光配向性単位を有するマレイミドおよび/またはアルケニル置換ナジイミド化合物、特許第4205195号、特許第4205198号に記載の光架橋性シラン誘導体、特表2003−520878号公報、特表2004−529220号公報、特許第4162850号に記載の光架橋性ポリイミド、ポリアミドおよびエステル、特開平9−118717号公報、特表平10−506420号公報、特表2003−505561号公報、WO2010/150748号公報、特開2013−177561号公報、ならびに、特開2014−12823号公報に記載の光二量化可能な化合物、特にシンナメート化合物、カルコン化合物およびクマリン化合物等が好ましい例として挙げられる。特に好ましくは、アゾ化合物、光架橋性ポリイミド、ポリアミド、エステル、シンナメート化合物、および、カルコン化合物等が挙げられる。
本発明においては、光配向膜を用いることが好ましい。
【0053】
配向膜を支持体上に塗布して乾燥させた後、配向膜をレーザ露光して配向パターンを形成する。
配向膜の露光装置の模式図を
図16に示す。この露光装置は、
図4に示す光学異方性層23および
図8に示す光学異方性層53の形成に対応するものである。
露光装置90は、半導体レーザ91を備えた光源92と、半導体レーザ91からのレーザ光Mを2つに分離するビームスプリッター93と、分離された2つの光線MA、MBの光路上にそれぞれ配置されたミラー94A、94Bおよびλ/4板95A、95Bを備える。ここで、図示はしないが、光源92には偏光板を備え、直線偏光P
0を出射する。λ/4板95Aおよび95Bは互いに直交する光学軸を備えており、λ/4板95Aは、直線偏光P
0を右円偏光P
Rに、λ/4板95Bは直線偏光P
0を左円偏光P
Lに変換する。
【0054】
配向膜101を備えた支持体100が露光部に配置され、2つの光線MA、MBを配向膜101上において交差させて干渉させ、その干渉光を配向膜101に照射して露光する。この際の干渉により、配向膜101に照射される光の偏光状態が干渉縞状に周期的に変化するものとなる。これにより、配向膜101において、配向状態が周期的に変化する配向パターンが得られる。露光装置90において、2つの光MAおよびMBの交差角αを変化させることにより、配向パターンのピッチ(180°回転ピッチ)を変化させることができる。配向状態が周期的に変化した配向パターンを有する配向膜上に光学異方性層を形成することにより、この周期に応じた液晶配向パターンを備えた光学異方性層を形成することができる。
また、
図4に示す光学異方性層23のように、光軸24Aの回転方向が逆となる領域を有する光学異方性層には、例えば、長尺な遮光部と露光部(光透過部)とを交互に有するストライプ状のマスクを用い、第1領域23Aおよび第2領域23Bの一方に対応する領域をマスキングして露光装置90で露光を行い、次いで、光源92が出射するレーザ光Mの偏光方向を90°回転して、かつ、マスクをずらして先に露光した領域をマスキングして露光装置90で露光を行うことで、形成できる。
【0055】
配向膜の露光装置の別の例の模式図を
図17に示す。この露光装置は、
図12に示す同心円状の液晶配向パターンを有する光学異方性層73の形成に対応するものである。
露光装置110は、同様に半導体レーザ91を備えた光源92と、半導体レーザ91からのレーザ光MをS偏光MSとP偏光MPとに分割する偏光ビームスプリッター112と、P偏光MPの光路に配置されたミラー114AおよびS偏光MSの光路に配置されたミラー114Bと、S偏光MSの光路に配置されたレンズ116と、偏光ビームスプリッター118と、λ/4板120とを有する。
【0056】
偏光ビームスプリッター112で分割されたP偏光MPは、ミラー114Aによって反射されて、偏光ビームスプリッター118に入射する。他方、偏光ビームスプリッター112で分割されたS偏光MSは、ミラー114Bによって反射され、レンズ116によって集光されて偏光ビームスプリッター118に入射する。
P偏光MPおよびS偏光MSは、偏光ビームスプリッター118で合波されて、λ/4板120によって偏光方向に応じた右円偏光および左円偏光となって、支持体100の上の配向膜101に入射する。
ここで、右円偏光と左円偏光の干渉により、配向膜101に照射される光の偏光状態が干渉縞状に周期的に変化するものとなる。同心円の内側から外側に向かうにしたがい、左円偏光と右円偏光の交差角が変化するため、内側から外側に向かってピッチが変化する露光パターンが得られる。これにより、配向膜101において、配向状態が周期的に変化する同心円状の配向パターンが得られる。
【0057】
このような露光を、四角のマスクを用い、マスクの位置を変更して行うことで、
図11に示すような、
図12に示す同心円状の液晶配向パターンを有する小領域Nを二次元的に配列した光学異方性層73を形成できる。
また、液晶配向パターンのピッチ(180°回転ピッチ)は、レンズ116のFナンバー、レンズ116の焦点距離、および、レンズ116と配向膜101との距離等を変化させることで、制御できる。
さらに、レンズ16をレンズアレーに変更することで、四角のマスクを用いずに、同心円状の液晶配向パターンを有する小領域Nを二次元的に配列した光学異方性層73を形成することもできる。
【0058】
<光学異方性層の形成>
光学異方性層は、配向膜上に液晶組成物を多層塗布することにより形成してもよい。多層塗布とは、配向膜の上に液晶組成物を塗布し、加熱し、さらに冷却した後に紫外線硬化を行って1層目の液晶固定化層を作製した後、2層目以降はその液晶固定化層に重ね塗りして塗布を行い、同様に加熱し、冷却後に紫外線硬化を行うことを繰り返すことをいう。光学異方性層を上記のように多層塗布して形成することにより、光学異方性層の総厚が厚くなった場合でも配向膜の配向方向を、光学異方性層の下面から上面にわたって反映させることができる。
【0059】
なお、上記のようにして得られた支持体と光学異方性層を接着層により貼り合わせることにより、支持体と光学異方性層が積層されてなる光学素子を得ることができる。
【0060】
接着層に用いられる粘着剤の例としては、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂等の樹脂を挙げることができる。これらは単独または2種以上混合して使用してもよい。特に、アクリル系樹脂は、耐水性、耐熱性、耐光性等の信頼性に優れ、接着力、透明性が良く、さらに、屈折率を液晶ディスプレイに適合するように調整し易い等の観点から好ましい。
【0061】
<ウェアラブルディスプレイデバイス>
本発明のウェアラブルディスプレイデバイスは、このような本発明の立体画像表示装置と、立体画像表示装置が表示した画像(出射光)を集光する接眼レンズとを有するものである。
本発明のウェアラブルディスプレイデバイスは、本発明の立体画像表示装置を用いる以外は、基本的に、ヘッドマウンドディスプレイおよび眼鏡型ウェアラブルディスプレイ等の、公知の立体画像を表示するウェアラブルディスプレイデバイスである。
【0062】
以上の例では、例えば右目2R用の画像と左目2L用の画像とを、1台のディスプレイパネル11に表示している。
しかしながら、本発明の立体画像表示装置は、これに制限はされず、例えば、右目用の複数の画像を表示する立体画像表示装置と、左目用の複数の画像を表示する立体画像表示装置との、2台の立体画像表示装置を組み合わせて、1つの立体画像表示装置を構成してもよい。
あるいは、本発明の立体画像表示装置は、ディスプレイパネル11を2つ設け、一方のディスプレイパネル11では左目用の画像のみを表示し、他方のディスプレイパネル11では右目用の画像のみを表示するようにしてもよい。この際においては、仕切り等を用いて、右目側と左目側との光路を完全に分離する必要がある。
このような構成を有することにより、より優れた立体感を有する立体画像を表示することができる。
【実施例】
【0063】
以下、本発明の光学素子の実施例および比較例について説明する。
【0064】
[実施例1(実施の形態3)]
光学素子Aを下記方法で作製した。
【0065】
[光学異方性層H−1の作製]
(支持体の鹸化)
支持体として、市販されているトリアセチルセルロースフィルム(富士フイルム社製、Z−TAC)を用いた。
支持体を、温度60℃の誘電式加熱ロールを通過させて、支持体表面温度を40℃に昇温した。その後、支持体の片面に、バーコーターを用いて下記に示すアルカリ溶液を塗布量14mL(リットル)/m
2で塗布し、支持体を110℃に加熱し、さらに、ノリタケカンパニーリミテド社製のスチーム式遠赤外ヒーターの下を、10秒間搬送した。続いて、同じくバーコーターを用いて、支持体表面上に純水を3mL/m
2塗布した。次いで、ファウンテンコーターによる水洗およびエアナイフによる水切りを3回繰り返した後に、70℃の乾燥ゾーンを10秒間搬送して支持体を乾燥させ、アルカリ鹸化処理した支持体を得た。
【0066】
<アルカリ溶液>
―――――――――――――――――――――――――――――――
水酸化カリウム 4.70質量部
水 15.80質量部
イソプロパノール 63.70質量部
界面活性剤
SF−1:C
14H
29O(CH
2CH
2O)
2OH 1.0質量部
プロピレングリコール 14.8質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――
【0067】
(下塗り層の形成)
アルカリ鹸化処理した支持体上に、下記の下塗り層形成用塗布液を#8のワイヤーバーで連続的に塗布した。塗膜が形成された支持体を60℃の温風で60秒間、さらに100℃の温風で120秒間乾燥し、下塗り層を形成した。
【0068】
<塗り層形成用塗布液>
―――――――――――――――――――――――――――――――
下記変性ポリビニルアルコール 2.40質量部
イソプロピルアルコール 1.60質量部
メタノール 36.00質量部
水 60.00質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――
【0069】
【化1】
【0070】
(配向膜P−1の形成)
下塗り層を形成した支持体上に、下記の配向膜P−1形成用塗布液を#2のワイヤーバーで連続的に塗布した。この配向膜P−1形成用塗布液の塗膜が形成された支持体を60℃のホットプレート上で60秒間乾燥し、配向膜P−1を形成した。
【0071】
<配向膜P−1形成用塗布液>
―――――――――――――――――――――――――――――――
下記光配向用素材 1.00質量部
水 16.00質量部
ブトキシエタノール 42.00質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 42.00質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――
【0072】
−光配向用素材−
【化2】
【0073】
(配向膜P−1の露光)
図17に示す露光装置110を用いて配向膜を露光した。
露光装置110において、半導体レーザ91として波長(405nm)のレーザ光を出射するものを用いた。干渉光による露光量を100mJ/cm
2とした。
また、四角形状の開口を有するマスクを用い、開口以外の箇所は露光されないようにして露光を実施した。マスクをずらし、隣接箇所を露光する工程を繰り返し、配向膜P−1の露光を行った。なお、2つのレーザ光の干渉により形成されるパターンの回転ピッチはレンズのfナンバー、焦点距離、レンズと配向膜P−1面間の距離を変化させることによって制御した。
この配向膜は、
図12に示すような、実施の形態3の同心円状の液晶配向パターンを有する光学素子(光学異方性層)に対応するものである。
【0074】
(光学異方性層H−1の形成)
光学異方性層として、逆分散液晶化合物からなる層を形成した。光学異方性層は、下記の組成物A−1を配向膜P−1上に多層塗布することにより形成した。多層塗布とは、先ず配向膜の上に1層目の組成物A−1を塗布、加熱、冷却後に紫外線硬化を行って液晶固定化層を作製した後、2層目以降は、形成した液晶固定化層に重ね塗りして塗布を行い、同様に加熱、冷却後に紫外線硬化を行うことを繰り返すことを指す。多層塗布により形成することにより、液晶層の総厚が厚くなった時でも配向膜の配向方向が液晶層の下面から上面にわたって反映される。
【0075】
先ず1層目は、配向膜P−1上に下記の組成物A−1を塗布した塗膜をホットプレート上で110℃に加熱し、その後、60℃に冷却した後、窒素雰囲気下で高圧水銀灯を用いて波長365nmの紫外線を100mJ/cm
2の照射量で塗膜に照射することにより、液晶化合物の配向を固定化した。この時の1層目の液晶層の膜厚は0.2μmであった。
【0076】
2層目以降は、この液晶層に重ね塗りして、1層目と同じ条件で、加熱、冷却後に紫外線硬化を行って液晶固定化層を作製した。このようにして、総厚が所望の膜厚になるまで重ね塗りを繰り返して、光学異方性層H−1を形成し、光学素子Aを作製した。
最終的に液晶のΔn
550×d(Re(550))が275nmになり、かつ周期的な配向表面になっていることを偏光顕微鏡で確認した。以下、『Δn
550×d』等の測定は、同様に行った。
【0077】
<組成物A−1>
―――――――――――――――――――――――――――――――
下記液晶化合物L−1 42.00質量部
下記液晶化合物L−2 42.00質量部
下記液晶化合物L−3 16.00質量部
下記重合開始剤PI−1 0.50質量部
下記レベリング剤T−1 0.50質量部
メチルエチルケトン 176.00質量部
シクロペンタノン 44.00質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――
【0078】
−液晶化合物L−1−
【化3】
【0079】
−液晶化合物L−2−
【化4】
【0080】
−液晶化合物L−3−
【化5】
【0081】
−重合開始剤PI−1−
【化6】
【0082】
−レベリング剤T−1−
【化7】
【0083】
[λ/4板の作製]
λ/4板を下記の方法で作製した。
まず、上述の光学素子Aと同様にして下塗り層を形成した支持体を用意した。
【0084】
(配向膜P−2の形成)
下塗り層を形成した支持体上に、下記の配向膜P−2形成用塗布液を#2.4のワイヤーバーで連続的に塗布した。この配向膜P−2形成用塗布液の塗膜が形成された支持体を80℃のホットプレート上で5分間乾燥し、配向膜P−2を形成した。
【0085】
<配向膜P−2形成用塗布液>
―――――――――――――――――――――――――――――――
下記光配向用素材 重合体A2 4.35質量部
下記低分子化合物B2 0.80質量部
下記架橋剤C1 2.20質量部
下記化合物D1 0.48質量部
下記化合物D2 1.15質量部
酢酸ブチル 100.00質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――
−重合体A2−
撹拌機、温度計、滴下漏斗および還流冷却管を備えた反応容器に、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン100.0質量部、メチルイソブチルケトン500質量部、および、トリエチルアミン10.0質量部を仕込み、室温で混合した。次いで、脱イオン水100質量部を滴下漏斗より30分かけて滴下した後、還流下で混合しつつ、80℃で6時間反応させた。反応終了後、有機相を取り出し、0.2質量%硝酸アンモニウム水溶液により洗浄後の水が中性になるまで洗浄した後、減圧下で溶媒および水を留去することにより、エポキシ含有ポリオルガノシロキサンを粘調な透明液体として得た。
このエポキシ含有ポリオルガノシロキサンについて、
1H−NMR(Nuclear Magnetic Resonance)分析を行ったところ、化学シフト(δ)=3.2ppm付近にオキシラニル基に基づくピークが理論強度どおりに得られ、反応中にエポキシ基の副反応が起こっていないことが確認された。このエポキシ含有ポリオルガノシロキサンの重量平均分子量Mwは2,200、エポキシ当量は186g/モルであった。
次に、100mLの三口フラスコに、上記で得たエポキシ含有ポリオルガノシロキサン10.1質量部、アクリル基含有カルボン酸(東亜合成社製、アロニックスM−5300、アクリル酸ω−カルボキシポリカプロラクトン(重合度n≒2))0.5質量部、酢酸ブチル20質量部、特開2015−26050号公報の合成例1の方法で得られた桂皮酸誘導体1.5質量部、および、テトラブチルアンモニウムブロミド0.3質量部を仕込み、90℃で12時間撹拌した。反応終了後、反応溶液と等量(質量)の酢酸ブチルで希釈し、3回水洗した。この溶液を濃縮し、酢酸ブチルで希釈する操作を2回繰り返し、最終的に、光配向性基を有するポリオルガノシロキサン(下記重合体A2)を含む溶液を得た。この重合体A2の重量平均分子量Mwは9,000であった。また、
1H−NMR分析の結果、重合体A2中のシンナメート基を有する成分は23.7質量%であった。
【0086】
−重合体A2−
【化8】
【0087】
−低分子化合物B2−
下記式で表される低分子化合物B2(日清オリイオ社、ノムコートTAB)を用いた。
【化9】
【0088】
−架橋剤C1−
下記式で表わされる架橋剤C1(ナガセケムテックス社製、デナコールEX411)を用いた。
【化10】
【0089】
−化合物D1−
下記式で表わされる化合物D1(川研ファインケミカル社製、アルミキレートA(W))を用いた。
【化11】
【0090】
−化合物D2−
下記式で表わされる化合物D2(東洋サイエンス社製、トリフェニルシラノール)を用いた。
【化12】
【0091】
(配向膜P−2の露光)
得られた配向膜P−2を偏光紫外線照射(20mJ/cm
2、超高圧水銀ランプ使用)することで、配向膜の露光を行った。
【0092】
[光学異方性層QA−1の作製]
光学異方性層QA−1として、逆分散液晶からなる層を形成した。
光学異方性層は、下記の組成物QA−1を配向膜P−2上に塗布することにより形成した。塗布した塗膜をホットプレート上で110℃に加熱し、その後、60℃に冷却した後、窒素雰囲気下で高圧水銀灯を用いて波長365nmの紫外線を500mJ/cm
2の照射量で塗膜に照射することにより、液晶化合物の配向を固定化した。
液晶層の膜厚は2.3μmであった。得られた光学異方性層のΔn
550×d(Re(550))は138nmであった。
【0093】
<組成物QA−1>
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上記液晶化合物L−1 42.00質量部
上記液晶化合物L−2 42.00質量部
上記液晶化合物L−3 16.00質量部
上記重合開始剤PI−1 0.50質量部
下記レベリング剤G−1 0.20質量部
メチルエチルケトン 176.00質量部
シクロペンタノン 44.00質量部
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【0094】
−レベリング剤G−1−
【化13】
【0095】
[光学異方性層QC−1の作製]
光学異方性層QC−1として、逆分散液晶化合物からなる層を形成した。
光学異方性層QC−1は、下記の組成物C−1を光学異方性層QA−1上に塗布することにより形成した。塗布した塗膜をホットプレート上で70℃に加熱し、その後、65℃に冷却した後、窒素雰囲気下で高圧水銀灯を用いて波長365nmの紫外線を500mJ/cm
2の照射量で塗膜に照射することにより、液晶化合物の配向を固定化した。これにより、λ/4板を得た。
液晶層の膜厚は0.8μmであった。得られた光学異方性層の厚さ方向のレタデーションRth(550)は−60nmであった。
【0096】
<組成物C−1>
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上記液晶化合物L−1 44.00質量部
上記液晶化合物L−2 22.00質量部
下記液晶化合物L−4 34.00質量部
下記重合開始剤PI−1 1.50質量部
下記レベリング剤T−2 0.40質量部
下記レベリング剤T−3 0.20質量部
下記化合物S−1 0.50質量部
下記化合物M−1 14.00質量部
メチルエチルケトン 248.00質量部
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【0097】
液晶化合物L−4
【化14】
【0098】
レベリング剤T−2
【化15】
【0099】
レベリング剤T−3
【化16】
【0100】
化合物S−1
【化17】
【0101】
化合物M−1
【化18】
【0102】
[円偏光板の作製]
λ/4板のトリアセチルセルロースフィルム側に、粘着剤を介して偏光板を貼り合わせて円偏光板を得た。
【0103】
[実施例2(実施の形態1)]
実施例1において、光学素子Aの作製における配向膜P−1の露光を下記のように変更した以外は実施例1と同様にして光学素子Aを作製した。
【0104】
(配向膜P−1の露光)
図16に示す露光装置90を用いて配向膜P−1を露光した。
露光装置90において、半導体レーザ91として波長(405nm)のレーザ光を出射するものを用いた。干渉光による露光量を100mJ/cm
2とした。
ここで、ストライプ状(遮光部、露光部)のマスクを用い、遮光マスク箇所は露光されないようにして露光を実施した。次いで、マスクをずらし、1回目のレーザ光の照射とは、レーザ光の偏光方向を直交させて、隣接箇所を露光し、配向膜P−1の露光を行った。なお、2つのレーザ光の干渉により形成されるパターンのピッチ(180°回転ピッチ)は2つの光の交差角βを変化させることによって制御した。
この露光方法で形成される配向膜は、
図4および
図5に示すような、液晶化合物の光軸の回転方向が逆になる、第1領域および第2領域を有する、実施の形態1の光学素子(光学異方性層)に対応するものである。
【0105】
[実施例3(実施の形態2)]
実施例1において,配向膜P−1の露光を下記のように変更して光学素子Aを作製し、かつ、配向膜P−2の露光を下記のように変更してλ/4板および円偏光板を作製した以外は、実施例1と同様にして光学素子を作製した。
【0106】
(配向膜P−1の露光)
図16に示した露光装置90を用いて配向膜P−1を露光した。
露光装置90において、半導体レーザ91として波長(405nm)のレーザ光を出射するものを用いた。干渉光による露光量を100mJ/cm
2とした。ストライプ状のマスクは用いずに、全面、一様に露光を行った。なお、2つのレーザ光の干渉により形成されるパターンのピッチ(180°回転ピッチ)は2つの光の交差角βを変化させることによって制御した。
この露光方法で形成される配向膜は、
図8に示すような、液晶化合物の光軸の回転方向が全面で同じ、実施の形態2の光学素子(光学異方性層)に対応するものである。
【0107】
(配向膜P−2の露光)
配向膜P−2を偏光紫外線を照射(20mJ/cm
2、超高圧水銀ランプ使用)することで、配向膜の露光を行った。なお、超高圧水銀ランプの光は、偏光子を透過させることで、直線偏光とした。
ここで、ストライプ状(遮光部、露光部)のマスクを用い、遮光マスク箇所は露光されないようにして露光を実施した。マスクをずらし、かつ、偏光子を回転して1回目の偏光紫外線照射と照射光の偏光方向が直交するようにして隣接箇所を露光し、配向膜P−1の露光を行った。
この露光方法で形成される配向膜は、
図9に示すような、遅相軸が直交する第1位相差領域および第2位相差領域を有する、実施の形態2のλ/4板に対応するものである。
【0108】
[実施例4(実施の形態3)]
実施例1の光学素子Aの作製において、光学異方性層H−1を順分散液晶からなる光学異方性層に変え、λ/4板の作製において、光学異方性層QA−1を順分散液晶からなる光学異方性層に変更して光学素子を作製した。
【0109】
実施例1の光学素子Aの作製工程において、組成物A−1に代えて下記の組成物A−2を用いた。組成物A−2を配向膜P−1上に多層塗布することにより形成した。
多層塗布方法は、ホットプレート上での加熱温度を90℃とし、液晶のΔn
550×d(Re(550))を275nmになるように調整した以外は、実施例1と同様とした。
【0110】
<組成物A−2>
――――――――――――――――――――――――――――――――――
上記液晶化合物L−4 100.00質量部
重合開始剤(BASF製、Irgacure(登録商標)907)3.00質量部
光増感剤(日本化薬製、KAYACURE DETX−S) 1.00質量部
レベリング剤T−1 0.50質量部
メチルエチルケトン 211.00質量部
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【0111】
実施例1のλ/4板の作製工程において、組成物QA−1に代えて下記の組成物QA−2を用いた。組成物QA−2を配向膜P−2上に塗布することにより形成した。
塗布方法は、ホットプレート上での加熱温度を90℃とし、液晶のΔn
550×d(Re(550))を138nmになるように調整した以外は、実施例1と同様とした。
【0112】
<組成物QA−2>
――――――――――――――――――――――――――――――――――
上記液晶化合物L−4 100.00質量部
重合開始剤(BASF製、Irgacure(登録商標)907)3.00質量部
光増感剤(日本化薬製、KAYACURE DETX−S) 1.00質量部
レベリング剤G−1 0.20質量部
メチルエチルケトン 211.00質量部
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【0113】
[評価]
評価は以下の通り行った。
iPhone7Plus(登録商標。以下、同様)(Apple社製)に円偏光板、光学素子Aを画像表示部側から偏光板、λ/4板、光学素子Aの順になるように貼合した。その際、粘着剤を介して貼合した。
画像表示部へ視差画像を表示して、以下の評価を行った。
また、比較例として、iPhone7Plus(Apple社製)の画像表示部に視差画像を表示して、同様の評価を行った。
【0114】
<立体視認性>
画像表示部へ視差画像を表示し、目視で立体視認性を観察し、以下の4段階で評点付けを行った。鮮明な立体表示が視認されることが好ましい。
A:立体表示がはっきり視認される。
B:立体表示が視認される。ボケが視認されるが軽微。
C:立体表示が視認される。ボケが視認されるが許容範囲内。
D:立体表示が視認されない。
【0115】
光学素子Aおよびλ/4板の特性および評価結果を表1に示す。
【0116】
【表1】
液晶配向パターンのピッチ(180°回転ピッチ)は、偏光顕微鏡による観察で測定した。表1において、液晶配向パターンのピッチは、実施の形態1(形態1)では、第1領域と第2領域との各中央部におけるピッチを、実施の形態2(形態2)では、第1位相差領域と第2位相差領域とに対応する領域の各中央部におけるピッチを、実施の形態3(形態3)では、小領域NのピッチをNPとしたとき、中心からNP/4ピッチ離れた位置におけるピッチを、それぞれ記載している。
【0117】
表1の結果より、本発明の立体画像表示装置は、良好な立体画像を表示できることが確認できた。
以上の結果より、本発明の効果は明らかである。