特許第6768232号(P6768232)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6768232慢性骨髄性白血病癌幹細胞の成長抑制用または増殖抑制用の組成物、及びそのスクリーニング方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6768232
(24)【登録日】2020年9月25日
(45)【発行日】2020年10月14日
(54)【発明の名称】慢性骨髄性白血病癌幹細胞の成長抑制用または増殖抑制用の組成物、及びそのスクリーニング方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/545 20060101AFI20201005BHJP
   A61K 31/197 20060101ALI20201005BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20201005BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20201005BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20201005BHJP
   C12Q 1/02 20060101ALI20201005BHJP
   C12Q 1/68 20180101ALI20201005BHJP
【FI】
   A61K31/545
   A61K31/197
   A61K31/7088
   A61P35/02
   A61K31/506
   C12Q1/02
   C12Q1/68
【請求項の数】14
【全頁数】34
(21)【出願番号】特願2017-550934(P2017-550934)
(86)(22)【出願日】2016年3月25日
(65)【公表番号】特表2018-511605(P2018-511605A)
(43)【公表日】2018年4月26日
(86)【国際出願番号】KR2016003029
(87)【国際公開番号】WO2016159575
(87)【国際公開日】20161006
【審査請求日】2019年3月25日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0043305
(32)【優先日】2015年3月27日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】504136568
【氏名又は名称】国立大学法人広島大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】キム,ソン ジン
(72)【発明者】
【氏名】仲 一仁
【審査官】 大西 隆史
(56)【参考文献】
【文献】 CALABRETTA, Bruno and SALOMONI, Paolo,Leukemia & Lymphoma,2011年,Vol. 52, No. S1,pp. 54-59,DOI: 10.3109/10428194.2010.546913
【文献】 NAKA, Kazuhito et al.,Nature,2010年 2月 4日,Vol. 463, No. 7281,pp. 676-680,DOI: 10.1038/nature083734
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00−33/44
A61K 35/00−51/12
A61P 1/00−43/00
C12Q 1/00− 3/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
慢性骨髄性白血病(CML)癌幹細胞の栄養信号伝逹を遮断する物質を有効成分として含むCML癌幹細胞の成長抑制用または増殖抑制用の組成物であり、
前記慢性骨髄性白血病(CML)癌幹細胞の栄養信号伝逹を遮断する物質が、GlySar、セファドロキシル、及びSlc15a2に対する核酸からなる群から選択される1以上のジペプチドトランスポーター阻害剤であることを特徴とするCML癌幹細胞の成長抑制用または増殖抑制用の組成物。
【請求項2】
前記CML癌幹細胞の栄養信号伝逹を遮断する物質は、Slc15a2タンパク質に対する特異的基質として、Slc15a2のジペプチド輸送機能を阻害するものであることを特徴とする請求項1に記載のCML癌幹細胞の成長抑制用または増殖抑制用の組成物。
【請求項3】
前記CML癌幹細胞の栄養信号伝逹を遮断する物質は、Smad3のSer208のリン酸化を阻害するものであることを特徴とする請求項1に記載のCML癌幹細胞の成長抑制用または増殖抑制用の組成物。
【請求項4】
有効成分として、さらにBcr−Ablチロシンキナーゼ阻害剤を含むことを特徴とする請求項1ないし3のうちいずれか1項に記載のCML癌幹細胞の成長抑制用または増殖抑制用の組成物。
【請求項5】
前記Bcr−Ablチロシンキナーゼ阻害剤は、イマチニブ、ニロチニブ、ダサチニブ、ボスチニブ、及びその薬学的に許容可能な塩からなる群から選択される1以上であることを特徴とする請求項4に記載のCML癌幹細胞の成長抑制用または増殖抑制用の組成物。
【請求項6】
慢性骨髄性白血病(CML)癌幹細胞の栄養信号伝逹を遮断する物質およびBcr−Ablチロシンキナーゼ阻害剤を有効成分として含む慢性骨髄性白血病の予防用または治療用の薬学的組成物であり、
前記慢性骨髄性白血病(CML)癌幹細胞の栄養信号伝逹を遮断する物質が、GlySar、セファドロキシル、及びSlc15a2に対する核酸からなる群から選択される1以上のジペプチドトランスポーター阻害剤であることを特徴とする慢性骨髄性白血病の予防用または治療用の薬学的組成物。
【請求項7】
前記ジペプチドトランスポーターは、Slc15a2の遺伝子によってコーディングされることを特徴とする請求項に記載の慢性骨髄性白血病の予防用または治療用の薬学的組成物。
【請求項8】
前記CML癌幹細胞の栄養信号伝逹を遮断する物質は、Smad3のSer208のリン酸化を阻害することを特徴とする請求項に記載の慢性骨髄性白血病の予防用または治療用の薬学的組成物。
【請求項9】
前記CML癌幹細胞の栄養信号伝逹を遮断する物質は、Slc15a2タンパク質に対する特異的基質として、Slc15a2のジペプチド輸送機能を阻害することを特徴とする請求項に記載の慢性骨髄性白血病の予防用または治療用の薬学的組成物。
【請求項10】
前記Bcr−Ablチロシンキナーゼ阻害剤は、イマチニブ、ニロチニブ、ダサチニブ、ボスチニブ、及びその薬学的に許容可能な塩からなる群から選択される1以上であることを特徴とする請求項に記載の慢性骨髄性白血病の予防用または治療用の薬学的組成物。
【請求項11】
前記慢性骨髄性白血病は、CML癌幹細胞が原因であることを特徴とする請求項ないし10のうちいずれか1項に記載の慢性骨髄性白血病の予防用または治療用の薬学的組成物。
【請求項12】
前記慢性骨髄性白血病は、Bcr−Ablチロシンキナーゼの耐性によって再発されたことを特徴とする請求項ないし11のうちいずれか1項に記載の慢性骨髄性白血病の予防用または治療用の薬学的組成物。
【請求項13】
CML癌幹細胞の成長または増殖の抑制剤候補物質を、CML癌幹細胞と接触させる段階と、
CML癌幹細胞内Slc15A2のmRNAまたはタンパク質の発現レベル、またはジペプチドのレベルを測定する段階と、
前記抑制剤候補物質が処理されていない対照群と比較し、抑制剤候補物質を加えた群において、Slc15A2のmRNAまたはタンパク質の発現レベルが有意に低下する場合、前記抑制剤候補物質がCML癌幹細胞の成長抑制剤及び増殖抑制剤であると判断する段階と、を含むCML癌幹細胞の成長または増殖の抑制剤スクリーニング方法。
【請求項14】
CML癌幹細胞の成長または増殖の抑制剤候補物質を、CML癌幹細胞と接触させる段階と、
CML癌幹細胞において、Smad3のS208のリン酸化のレベルを測定する段階と、
前記抑制剤候補物質が処理されていない対照群と比較し、抑制剤候補物質を加えた群において、Smad3のS208のリン酸化が有意に低下する場合、前記治療剤候補物質が、CML癌幹細胞の成長または増殖の抑制剤であると判断する段階と、を含むCML癌幹細胞の成長または増殖の抑制剤候補物質のスクリーニング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、慢性骨髄性白血病癌幹細胞の成長抑制用または増殖抑制用の組成物、慢性骨髄性白血病の予防用または治療用の薬学的組成物、慢性骨髄性白血病の予防方法または治療方法、及び慢性骨髄性白血病癌幹細胞の成長または増殖の抑制剤スクリーニング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
大人白血病の約15〜20%を占めている慢性骨髄性白血病(CML)の治療方法は、現在、大きく見て、抗癌化学療法と造血幹細胞移植とに区分される。抗癌化学療法として、過去には、インターフェロンアルファ、水酸化尿素、及び低容量のシタラビンを利用した治療によって、過度に増加した白血球数、脾臓腫大などの症状を調節したが、最初の標的治療剤であるグリベックが慢性骨髄性白血病治療に導入された後、グリベックは、慢性骨髄性白血病の標準治療として定着した。しかし、グリベックは、高価であり、高濃度での投与時、副作用が大きく、使用によって耐性が生じ、グリベックに対する感受性の落ちるという問題点が発見された。それだけではなく、グリベックの最大短所は、再発の原因になる癌幹細胞形成を抑制することができないので、完治のための治療剤にはなれないという点である。造血幹細胞移植において、同種造血幹細胞移植は、慢性骨髄性白血病完治の唯一の方法であるが、造血幹細胞移植後の生存率は、患者の年齢、移植当時の疾病状態、非近親供与者からの移植、供与者及び移植受恵者の性別差、そして診断時点から移植時までの期間によって影響され、最大の短所は、移植自体による死亡率及び罹患率が10〜70%に達するという点である。従って、さらに効率的な慢性骨髄性白血病の治療剤開発が至急である。
【0003】
一方、CML癌幹細胞は、CML癌細胞の起源である同時に、CML疾患の発病原因であり、CML癌幹細胞の生成を抑制する場合、慢性骨髄性白血病の再発を防ぐことができ、この疾病を有する個体の生存率も上昇させることができる。CML癌幹細胞生成抑制のために、正常造血幹細胞(HSC)では必要ないが、CML癌幹細胞の維持に重要な栄養獲得経路がCML幹細胞の除去、及び慢性骨髄性白血病治療のための標的にもなる。しかし、慢性骨髄性白血病の治療と、CML癌幹細胞の栄養信号伝逹との関連性については、まだ開示されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一様相は、慢性骨髄性白血病癌幹細胞の成長または増殖を抑制するための組成物を提供することである。
【0005】
他の様相は、慢性骨髄性白血病を予防または治療するための組成物を提供することである。
【0006】
さらに他の様相は、個体の慢性骨髄性白血病を予防または治療する方法、及び慢性骨髄性白血病癌幹細胞を抑制する方法を提供することである。
さらに他の様相は、慢性骨髄性白血病癌幹細胞の成長または増殖の抑制剤スクリーニング方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一様相は、慢性骨髄性白血病(CML)幹細胞の栄養信号伝逹を遮断する物質を有効成分として含む、慢性骨髄性白血病癌幹細胞の成長または増殖を抑制するための組成物を提供する。
【0008】
他の様相は、慢性骨髄性白血病(CML)幹細胞の栄養信号伝逹を遮断する物質を有効成分として含む慢性骨髄性白血病の予防用または治療用の薬学的組成物を提供する。
【0009】
さらに他の様相は、CML癌幹細胞の栄養信号伝逹を遮断する物質の薬学的有効量を個体に投与する段階を含む、個体の慢性骨髄性白血病の予防方法または治療方法、または個体において、CML癌幹細胞の成長または増殖を抑制する方法を提供する。
【0010】
さらに他の様相は、CML癌幹細胞の成長または増殖の抑制剤候補物質を、CML癌幹細胞と接触させる段階、及びCML癌幹細胞内Slc15A2のmRNAまたはタンパク質の発現レベル、またはジペプチドのレベルを測定する段階を含むCML癌幹細胞の成長または増殖の抑制剤スクリーニング方法を提供する。
【0011】
さらに他の様相は、CML癌幹細胞の成長または増殖の抑制剤候補物質を、CML癌幹細胞と接触させる段階、及びCML癌幹細胞において、Smad3のS208のリン酸化レベルを測定する段階を含むCML癌幹細胞の成長または増殖の抑制剤スクリーニング方法を提供する。
【発明の効果】
【0012】
一様相によるCML癌幹細胞の成長抑制用または増殖抑制用の組成物によれば、CML癌幹細胞の栄養信号伝逹を遮断することにより、CML癌幹細胞の成長または増殖を効果的に抑制することができる。
【0013】
他の様相による慢性骨髄性白血病の予防用または治療用の薬学的組成物によれば、個体のCML癌幹細胞の栄養信号伝逹を遮断することにより、慢性骨髄性白血病の治療に効率的に使用される。
【0014】
さらに他の様相による慢性骨髄性白血病予防または治療する方法によれば、個体の慢性骨髄性白血病を効率的に予防または治療することができる。
【0015】
さらに他の様相による慢性骨髄性白血病治療剤のスクリーニング方法によれば、慢性骨髄性白血病治療剤の探索及び開発に有用に使用される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】DOX中断5週目、CML発病の(Tal1−tTAxTRE−BCR−ABL1)マウス(3個の独立した実験において、それぞれn=4)由来、及び正常健康(Tal1−tTA)リタメイト(littermate)(2個の独立した実験において、それぞれn=6)由来のKLS,KLS及びLin細胞のメタボロミック分析結果を示すものであり、CML癌幹細胞が、正常HSC、または分化されたCML細胞で発見されない特異的ジペプチドを蓄積するということを示す;(a)当該過程と関連した代謝物質、(b)アミノ酸及び(c)ジペプチドに対する尺度強度値(scaled intensity value)を示す[+:平均値;ボックス:四分位数限界;ボックスを横切る水平線:中間値;エラーバー:分布の最大及び最小;ドット:極値データ地点]。
図2】DOX中断5週目、CML発病の(Tal1−tTAxTRE−BCR−ABL1)マウス(3個の独立した実験において、それぞれn=4)由来、及び正常健康(Tal1−tTA)リタメイト(littermate)(2個の独立した実験において、それぞれn=6)由来のKLS,KLS及びLin細胞のメタボロミック分析結果を示すものであり、CML癌幹細胞が、正常HSC、または分化されたCML細胞で発見されない特異的ジペプチドを蓄積するということを示す;表示されたサブセットのCML対正常造血幹細胞の表示されたジペプチドレベルの比を示す。赤色陰影処理された値は、CML細胞での発現において、>10倍の増加を示す;明るい赤色:>5倍;明るい青色:<0.5倍。*:P<0.05。
図3】CML癌幹細胞が、ジペプチドトランスポーターを介してジペプチドを内在化させることを示す;ビヒクル(Cont)、GlySar(5μM)またはセファドロキシル(Cefa;5μM)で30分間処理されたLT−CML癌幹細胞でのRaptor−Ser863及びS6リン酸化のDuolink(登録商標)インサイチュ(in situ)PLA(D−PLA)イメージングである。Rapa(ラパマイシン;100nM)は、mTORC1信号伝逹の阻害、及びそれによるS6リン酸化に対する技術的陽性対照群である。DAPIを利用して、核を視覚化した。スケールバー:10μm。
図4】CML癌幹細胞が、ジペプチドトランスポーターを介してジペプチドを内在化させることを示す;Duolinkイメージツールソフトウェアを利用して、図3の実験から測定された単一LT−CML癌幹細胞当たりp−S6のドット数定量結果を示す。赤色線:ドット/実験された(n)/グループの総細胞平均数。*:P<0.00005(対照群との比較)。
図5】CML癌幹細胞が、ジペプチドトランスポーターを介してジペプチドを内在化させることを示す;ビヒクル(Cont)またはセファドロキシル(Cefa)を投与された正常健康なリタメイト(2個の独立した実験で、それぞれn=6)、及びCML発病のマウス(3個の独立した実験で、それぞれn=4)から単離されたKLS細胞内のジペプチド種のメタボロミック分析結果を示す。
図6】CML癌幹細胞が、ジペプチドトランスポーターを介してジペプチドを内在化させることを示す;低酸素条件(3%O)下において、OP−9間質細胞で共培養され、ビヒクル(Cont)またはセファドロキシル(Cefa;5μM)で5日間処理されたLT−CML癌幹細胞、及び正常HSCのインビトロ(in vitro)コロニー形成能の定量結果である。データは、平均コロニー数±s.d.(n=3)であり、3回の実験を代表する。
図7】CML癌幹細胞が、ジペプチドトランスポーターを介してジペプチドを内在化させることを示す;Slc15a2ジペプチドトランスポーター遺伝子のmRNA発現の次世代RNAシーケンシング分析結果を示すものであり、表示された細胞サブセットのSlc15a2に対して、マウスchr.16に係わる、(a)RPKMの比率、及び(b)マッピングされた転写体(transcriptome)データを示す。
図8】非正規Smad3 Ser208リン酸化がインビボ(in vivo)で、LT−CML幹細胞維持を支持するところを示す:(a)は、LT−CML幹細胞において、(上)Smad2/3 C末端リン酸化、及び(下)Foxo3aと、Smad2またはSmad3との相互作用のDuolink(登録商標)インサイチュPLA(D−PLA)イメージング結果である[Ab(−):単一マウス抗Smad3抗体を利用した技術的陰性対照群;核は、DAPIを利用して視覚化する;スケールバー:10μm]。(b)は、(a)の下パネルの3個の実験から測定されたドット数/単一LT−CML癌幹細胞の定量結果である。
図9】非正規Smad3 Ser208リン酸化がインビボ(in vivo)で、LT−CML幹細胞維持を支持するところを示す:新鮮に単離されたLT−CML癌幹細胞内提示された部位でのSmad3リン酸化のD−PLAイメージング(a)及び定量(b)結果を示す。
図10】非正規Smad3 Ser208リン酸化がインビボ(in vivo)で、LT−CML幹細胞維持を支持するところを示す:表示されたCML細胞サブセットにおいて、Smad3 Ser423/425及びSmad3 Ser208リン酸化のD−PLAイメージング(a)及び定量(b)結果を示す。
図11】非正規Smad3 Ser208リン酸化がインビボ(in vivo)で、LT−CML幹細胞維持を支持するところを示す:レシピエントマウスから単離された、(上端)全体GFPCML細胞内で表示されたGFPKLSCML細胞サブ集団(赤色四角形)、及び(下端)GFPCMLKLS細胞内GFPLT−CML幹細胞(赤色四角形)の流細胞分析的定量結果である。
図12】非正規Smad3 Ser208リン酸化がインビボ(in vivo)で、LT−CML幹細胞維持を支持するところを示す:図8(b)でのように測定された、GFPCML−KLS細胞内でのGFPLT−CML幹細胞頻度の定量結果であり、データは、GFPLT−CML癌幹細胞±s.d.(n=3)の平均パーセントである。
図13】CML癌幹細胞に必須な栄養供給の破壊が新規治療的アプローチ策になる可能性があるということを示す図面である:DMSO(対照群)、Ly364947(LY;5μM)で30分間処理されたLT−CML幹細胞のSmad3 Ser423/425及びSmad3 Ser208リン酸化のD−PLAイメージング(a)及び定量(b)結果を示す[スケールバー:10μm。*:P<0.00005(対照群との比較)]。
図14】CML癌幹細胞に必須な栄養供給の破壊が新規治療的アプローチ策になる可能性があるということを示す図面である:ビヒクル(Cont)、GlySar(5μM)またはセファドロキシル(Cefa;5μM)で30分間処理されたLT−CML癌幹細胞でのSmad3 Ser208リン酸化のD−PLAイメージング(a)及び定量(b)結果を示す。Rapa(ラパマイシン;100nM)は、mTORC1経路の阻害のために利用される[*:P<0.00005は、対照群との比較;NS:有意ではない;スケールバー:10μm]。
図15】CML癌幹細胞に必須な栄養供給の破壊が新規治療的アプローチ策になる可能性があるということを示す図面である:LT−CML癌幹細胞及びLT−正常HSCでのSmad3 Ser208及びSmad3 Ser423/425リン酸化のD−PLAイメージング(a)及び定量(b)結果を示す。
図16】CML癌幹細胞に必須な栄養供給の破壊が新規治療的アプローチ策になる可能性があるということを示す図面である:IM(1μM)の存在または不在において、ビヒクル(Cont)またはセファドロキシル(Cefa;5μM)と共に、インビトロで5日間培養されたLT−CML癌幹細胞のインビトロコロニー形成能の定量結果を示す。データは、平均コロニー数±s.d.(n=3)であり、3個の実験を代表する。
図17】CML癌幹細胞に必須な栄養供給の破壊が新規治療的アプローチ策になる可能性があるということを示す図面である:IM及び/またはセファドロキシルが投与されたCML発病のマウスの生存曲線である。移植8日目、CML発病のマウスは、(1)ビヒクル単独;(2)ビヒクル+セファドロキシル(36mg/kg/day);(3)ビヒクル+IM(100mg/kg/day);または(4)IM+セファドロキシルを投与された。示された結果は、3個の独立実験から得た累積データである。
図18】CML癌幹細胞に必須な栄養供給の破壊が新規治療的アプローチ策になる可能性があるということを示す図面である:LT−CML癌幹細胞維持において、ジペプチド信号伝達の提案された役割を概略化した図式である。Slc15a2ジペプチドトランスポーターによって摂取ジペプチド種は、Smad3経路を活性化させる栄養信号伝逹を初期化することができる。
図19】CML発病(Tal1−tTATRE−BCR−ABL1)マウス及び正常リタメイト対照群(Tal1−tTA)マウス(DOX中断5週目後のCML発病(Tal1−tTATRE−BCR−ABL1)マウス及び正常リタメイト対照群(Tal1−tTA)マウス)からの、LT−幹細胞、ST−幹細胞、CD48,MPP及びKLS細胞において、相対的Slc15A2 mRNAレベルのqRT−PCR測定結果を示すものであり、データは、Actb(β−アクチン)発現に正規化された発現レベルの平均比±s.d.(n=3)である。
図20】ジペプチドトランスポーター活性の定量化結果を示す。
図21】CML発病マウス(3個のそれぞれの独立実験において、n=8マウス)から単離され、ボルテゾミブ(Bort;100nM)またはバフィロマイシンA1(Bafi;100nM)で、インビトロで2時間処理されたKLS細胞におけるジペプチド種のメタボロミック分析結果である。
図22】スクランブルド、shRNAまたはshRNA Slc15A2を標的化するshRNAを発現するように、レンチウイルスで形質導入されたCML−KLS細胞及びCML−KLS細胞のコロニー形成能を定量化した結果である。
図23】Foxo3a+/+LT−CML幹細胞において、フォクソ−Smad3−Ser208及びFoxo3a間の相互作用のD−PLAイメージング及び定量結果を示すものであり、Foxo3a−/−LT−CML幹細胞を陰性対照群として利用した。
図24】30日間ビヒクルまたはIM(100mgKg−1day−1)を投与したCML発病マウス(3個の各独立実験においてn=4)由来CML−KLS細胞のジペプチドに対するメタボロミック分析結果を示す。
図25】移植後30日間、毎日ビヒクル(−)、ビヒクル+IM、ビヒクル+Cefa(+)またはIM+Cefaを投与されたCML発病マウスにおいて、ジペプチド吸収抑制が、CML癌幹細胞を減少させる可能性があることを示すものであり、全体GFP/BCR−ABL1CML細胞内におけるGFP/BCR−ABL1CML−KLS細胞の平均数±s.d.(n=3)である。
図26】移植後30日間、毎日ビヒクル(−)、ビヒクル+IM、ビヒクル+Cefa(+)またはIM+Cefaを投与されたCML発病マウスにおいて、ジペプチド吸収抑制が、CML癌幹細胞を減少させる可能性があることを示すものであり、連続移植実験結果において、ビヒクルまたはCefaで処理された図25のCML発病マウス由来GFP/BCR−ABL1+CML−KLS細胞(レシピエント当たり3x10細胞)の連続移植を受けた新たなレシピエントマウスの生存率を示す。
図27】ヒトCD34CD38LinCML−LICのコロニー形成能の定量結果であり、ビヒクル(−)または5μM Cefa(+)で、5日間インビートで処理した結果である。
図28】ヒトCD34CD38LinCML−LICのコロニー形成能の定量結果であり、ビヒクル(−)または5μM Cefa(+)で3日間インビトロで処理した結果を示す(Cefa処理24時間後、ビヒクル、1μM IMまたは500nMダサチニブ(Dasa)をそれぞれ添加する)。
【発明を実施するための形態】
【0017】
一様相は、慢性骨髄性白血病(CML)幹細胞の栄養信号伝逹を遮断する物質を有効成分として含む、慢性骨髄性白血病癌幹細胞の成長または増殖を抑制するための組成物を提供する。
【0018】
用語「慢性骨髄性白血病(CML:chronic myelogenous leukemia)」は、骨髄において骨髄細胞が増加し、調節されない成長、及び過度な白血球の蓄積によって引き起こされた血液学的幹細胞疾患を意味するものであり、フィラデルフィア染色体を有した造血幹細胞の骨髄内非正常的な増殖によって生ずる疾患を含む。
【0019】
用語「慢性骨髄性白血病癌幹細胞(CML stem cell)」とは、慢性骨髄性白血病を開始させることができる細胞を意味し、成熟(mature)CML細胞の根源になる。前記「慢性骨髄性白血病癌幹細胞」は、「慢性骨髄性白血病幹細胞」または「白血病−開始細胞(LIC:leukaemia-initiating cell)」とも命名される。
【0020】
用語「有効成分」とは、CML癌幹細胞の栄養信号伝逹を遮断するに十分な量で含まれることを示し、不純物として含まれることを除く。
【0021】
用語「栄養信号伝逹(nutrient signaling)」は、細胞の増殖または生存のために、細胞の合成及び分解代謝の均衡と密接に関連するATP、アミノ酸、酸素のような栄養源状態の維持または変化調節と係わる細胞内の全反応を意味する。
【0022】
用語「CML癌幹細胞の栄養信号伝逹を遮断する物質」とは、CML癌幹細胞の維持または増殖に必須な栄養源の調節と係わるCML癌幹細胞内反応を減少、変形、非活性または抑制させることができる物質を意味する。
【0023】
前記CML癌幹細胞の栄養信号伝逹を遮断する物質は、ジペプチドトランスポーター阻害剤でもある。
【0024】
用語「ジペプチドトランスポーター(dipeptide transporter)」は、2つのアミノ酸からなる分子であるジペプチドを、細胞内に運送する活性を有するタンパク質またはポリペプチドなどを意味する。前記ジペプチドトランスポーターは、Slc15aファミリのジペプチドトランスポーターでもあり、例えば、Slc15a1、Slc15a2、Slc15a3及びSlc15a4からなる群から選択される1以上の遺伝子によってコーディングされるタンパク質でもある。また、前記ジペプチドトランスポーターは、具体的に、Slc15a2遺伝子によってコーディングされるタンパク質でもある。
【0025】
用語「ジペプチドトランスポーター阻害剤(dipeptide transporter inhibitor)」は、ジペプチドトランスポーターがCML癌幹細胞内にジペプチドを輸送する機能を阻害する物質を意味する。ジペプチドトランスポーター阻害剤は、CML癌幹細胞のジペプチド内在化を減少させたり妨害したりすることができる。前記ジペプチドトランスポーター阻害剤は、CML癌幹細胞のジペプチド内在化を減少させたり妨害したりする物質であるならば、化合物、タンパク質、アミノ酸、ペプチド、ウイルス、炭水化物、脂質、核酸など制限なしに使用可能である。かような阻害は、ジペプチドとジペプチドトランスポーターとの結合を妨害するか、あるいはジペプチドによる特定代謝経路のリン酸化を阻害してもなされる。
【0026】
前記CML癌幹細胞の栄養信号伝逹を遮断する物質は、ジペプチドトランスポーターの特異的基質でもある。前記阻害剤は、ジペプチドトランスポーターに特異的であり、ジペプチドと競争的に結合するものでもある。それにより、ジペプチドトランスポーターとジペプチドとの結合を妨害し、それにより、細胞内でジペプチドの吸収が抑制されもする。また、前記CML癌幹細胞の栄養信号伝逹を遮断する物質は、例えば、Slc15a2タンパク質の特異的基質であって、Slc15a2タンパク質のジペプチド輸送機能を阻害するものでもある。
【0027】
前記CML癌幹細胞の栄養信号伝逹を遮断する物質は、ジペプチドによって引き起こされるSmad3経路の活性化を阻害するものでもある。CML癌幹細胞は、ジペプチドトランスポーターを介してジペプチド種を内在化し、内在化されたジペプチドは、CML癌幹細胞において、Smad3経路を活性化させることができる。従って、CML癌幹細胞の栄養信号伝逹を遮断する物質は、CML幹細胞において、Smad3経路を不活性化させることができ、例えば、Smad3のSer208位置のリン酸化を阻害することができる。前記CML癌幹細胞の栄養信号伝逹を遮断する物質は、具体的には、Smad3のSer208のリン酸化を阻害するものでもある。
【0028】
前記CML癌幹細胞の栄養信号伝逹を遮断する物質は、ベータ−ラクタム系抗生物質(β−lactam antibiotics)でもある。前記ベータ−ラクタム系抗生物質は、ベータ−ラクタマーゼ(β−lactamase)阻害活性を有する物質を総称するものであり、分子内にベータ−ラクタム構造を含む。前記CML癌幹細胞の栄養信号伝逹遮断する物質は、ペニシリン系抗生物質またはセファロスポリン系抗生物質でもあり、例えば、セファドロキシル、セファクロロ、シクラシリン(cyclacillin)、セフラジン、セファレキシンン、モキサラクタム、セフチブテン、ジクロキサシリン、アモキシシリン、メタンピシリン、クロキサシリン、アンピシリン、セフィキシム、セファマンドール、オキサシリン、セフメタゾール、7−アミノセファロスポラン酸、セファロリジン及びセフロキシム・アキセチルからなる群から選択される1以上でもある。また、前記CML癌幹細胞の栄養信号伝逹を遮断する物質は、具体的には、セファドロキシルでもある。前記ベータ−ラクタム系抗生物質は、その薬学的に許容可能な塩で代替されもする。
【0029】
前記CML癌幹細胞の栄養信号伝逹を遮断する物質は、ジペプチド類似体でもある。前記ジペプチド類似体は、ジペプチドと類似した構造を有し、ジペプチドトランスポーター、特に、Slc15A系トランスポーターの基質として作用するが、細胞によって代謝されない物質でもある。また、前記ジペプチド類似体は、例えば、グリシルサルコシン、またはその薬学的に許容可能な塩でもある。
【0030】
前記慢性骨髄性白血病癌幹細胞の成長または増殖を抑制するための組成物は、チロシンキナーゼ阻害剤(TKI:tyrosine kinase inhibitor)をさらに含んでもよい。すなわち、前記薬学的組成物の有効成分は、CML癌幹細胞の栄養供給を遮断する物質、例えば、ジペプチドトランスポーター阻害剤とチロシンキナーゼ阻害剤との組み合わせでもある。
【0031】
チロシンキナーゼ阻害剤は、チロシンキナーゼを阻害する物質を意味する。前記チロシンキナーゼ阻害剤は、BCR−ABLチロシンキナーゼ阻害剤でもある。前記BCR−ABLチロシンキナーゼは、染色体転位によって生成されたBCR−ABL遺伝子によって生産されたチロシンキナーゼ活性を有するBCR−ABL融合タンパク質を意味する。
【0032】
前記チロシンキナーゼ阻害剤は、4−[(4−メチル−1−ピペラジニル)メチル]−N−[4−メチル−3−[[4−(3−ピリジニル)−2−ピリミジニル]アミノ]フェニル]−ベンズアミド、N−(2−クロロ−6−メチルフェニル)−2−[[6−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]−2−メチル−4−ピリミジニル]アミノ]−5−チアゾールカルボキシアミドモノヒースレート、4−メチル−N−[3−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−[(4−ピリジン−3−イルピリミジン−2−イル)アミノ]ベンズアミド、4−[(2,4−ジクロロ−5−メトキシフェニル)アミノ]−6−メトキシ−7−[3−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロポキシ]キノリン−3−カルボニトリル、及びその薬学的に許容可能な塩でもある。また、前記チロシンキナーゼ阻害剤は、例えば、イマチニブ、ニロチニブ、ダサチニブ、ボスチニブ、及びその薬学的に許容可能な塩からなる群から選択される1以上でもあり、具体的には、イマチニブ、またはその薬学的に許容可能な塩でもある。前記イマチニブの薬学的に許容可能な塩は、例えば、イマチニブメシル酸塩でもある。
【0033】
他の様相は、慢性骨髄性白血病(CML)幹細胞の栄養信号伝逹を遮断する物質を有効成分として含む慢性骨髄性白血病の予防用または治療用の薬学的組成物を提供する。
【0034】
前記CML幹細胞の影響信号伝達を遮断する物質は、前述の通りである。
【0035】
前記薬学的組成物において、前記CML癌幹細胞の栄養信号伝逹を遮断する物質は、ジペプチドトランスポーター阻害剤でもある。前記ジペプチドトランスポーター阻害剤は、前述の通りである。前記ジペプチドトランスポーター阻害剤は、阻害剤で処理されていないCML癌幹細胞と比較し、CML癌幹細胞内ジペプチドレベルを低くするものでもある。
【0036】
前記ジペプチドトランスポーター阻害剤は、ベータ−ラクタム系抗生物質でもあり、セファドロキシル、セファクロロ、シクラシリン(cyclacillin)、セフラジン、セファレキシンン、モキサラクタム、セフチブテン、ジクロキサシリン、アモキシシリン、メタンピシリン、クロキサシリン、アンピシリン、セフィキシム、セファマンドール、オキサシリン、セフメタゾール、7−アミノセファロスポラン酸、セファロリジン及びセフロキシム・アキセチルからなる群から選択される1以上でもある。
【0037】
前記薬学的組成物において、前記慢性骨髄性白血病は、例えば、CML癌幹細胞が原因でもある。また、前記慢性骨髄性白血病は、個体のBcr−Ablチロシンキナーゼに対する耐性によって再発されたものでもある。
【0038】
前記慢性骨髄性白血病癌幹細胞の成長または増殖を抑制するための組成物は、チロシンキナーゼ阻害剤(TKI:tyrosine kinase inhibitor)をさらに含んでもよい。すなわち、前記薬学的組成物の有効成分は、CML癌幹細胞の栄養供給を遮断する物質と、チロシンキナーゼ阻害剤との組み合わせでもある。
【0039】
前記チロシンキナーゼ阻害剤は、BCR−ABLチロシンキナーゼ阻害剤でもある。BCR−ABLチロシンキナーゼは、染色体転位によって生成されたBCR−ABL遺伝子によって生産されたチロシンキナーゼ活性を有するBCR−ABL融合タンパク質を意味する。
【0040】
前記チロシンキナーゼ阻害剤は、4−[(4−メチル−1−ピペラジニル)メチル]−N−[4−メチル−3−[[4−(3−ピリジニル)−2−ピリミジニル]アミノ]フェニル]−ベンズアミド、N−(2−クロロ−6−メチルフェニル)−2−[[6−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]−2−メチル−4−ピリミジニル]アミノ]−5−チアゾールカルボキシアミドモノヒースレート、4−メチル−N−[3−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−[(4−ピリジン−3−イルピリミジン−2−イル)アミノ]ベンズアミド、4−[(2,4−ジクロロ−5−メトキシフェニル)アミノ]−6−メトキシ−7−[3−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロポキシ]キノリン−3−カルボニトリル、及びその薬学的に許容可能な塩でもある。また、前記チロシンキナーゼ阻害剤は、例えば、イマチニブ、ニロチニブ、ダサチニブ、ボスチニブ、及びその薬学的に許容可能な塩からなる群から選択される1以上でもあり、具体的には、イマチニブ、またはその薬学的に許容可能な塩でもある。前記イマチニブの医薬学的に許容可能な塩は、例えば、イマチニブメシル酸塩でもある。
【0041】
前記薬学的組成物は、任意の薬学的形態を有することができる。例えば、錠剤、カプセル、丸剤、粉末、除放性剤形、溶液または懸濁液としての経口投与に適する形態であるか、滅菌溶液、懸濁液または乳化液としての非経口注射に適する形態であるか、軟膏またはクリームとしての局所投与に適する形態であるか、あるいは坐剤としての直腸投与に適する形態でもある。前記組成物は、錠剤、丸剤、注射剤、またはそれらの組み合わせでもある。前記薬学的組成物は、正確な投与量を単一投与するのに適する単位投与型でもある。
【0042】
前記薬学的組成物は、従来の薬学的に許容可能な担体または賦形剤、及び活性成分としての本願に記載された化合物を含む。適する担体としては、不活性希薄剤または充填剤、水、及び多様な有機溶媒が含まれる。前記薬学組成物は、前記有効成分以外にも、追加の構成成分、例えば、着香料、結合剤、賦形剤などを含んでもよい。
【0043】
前記薬学的組成物の投与量は、患者の体重、年齢、性別、健康状態、食餌、投与時間、投与方法、排泄率及び疾患の重症度などによってその範囲が多様である。
【0044】
さらに他の様相は、CML癌幹細胞の栄養信号伝逹を遮断する物質の薬学的有効量を個体に投与する段階を含む、個体の慢性骨髄性白血病の予防方法または治療方法、または個体において、CML癌幹細胞の成長または増殖を抑制する方法を提供する。
【0045】
前記方法において、前記「慢性骨髄性白血病(CML)癌幹細胞」、「慢性骨髄性白血病」または「栄養信号伝逹を遮断する物質」については、前述の通りである。
【0046】
前記方法は、CML癌幹細胞の栄養信号伝逹を遮断する物質、またはジペプチドトランスポーター阻害剤を個体に投与する段階を含んでもよい。前記ジペプチドトランスポーター阻害剤は、前述の通りである。また、前記ジペプチドトランスポーター阻害剤は、例えば、ジペプチドのCML癌幹細胞内吸収を阻害するものでもあり、またはSmad3のSer208位置のリン酸化を阻害するものでもある。
【0047】
本発明において「個体」とは、疾病の治療または予防、またはCML癌幹細胞の成長抑制または増殖抑制を必要とする対象を意味する。具体的には、ヒトまたは非ヒトである霊長類、マウス(mouse)、ネズミ(rat)、犬、猫、馬及び牛などの哺乳類動物でもあり、さらに具体的には、ヒトでもある。
【0048】
前記個体は、慢性骨髄性白血病、またはCML癌幹細胞を有しているか、あるいは有する可能性がある個体でもある。
【0049】
前記「薬学的有効量」は、投与される疾患の種類及び重症度、患者の年齢及び性別、薬物に対する敏感度、投与時間、投与経路及び排出の比率、治療期間、同時使用される薬物を含んだ要素、及びその他医学分野に周知の要素によって決定され、前記要素をいずれも考慮し、副作用なしに、最大効果を得ることができる量であり、当業者によって容易に決定されるであろう。
【0050】
前記「投与」は、目的組織または細胞に逹することができる限り、投与方法には制限がなく、当業界に知られた任意の方法によって遂行される。例えば、経口または非経口を介して投与される。一日投与量は、約0.0001ないし100mg/kgであり、望ましくは、0.001ないし10mg/kgであり、一日に一回ないし数回に分けて投与することができるが、それに制限されるものではなく、一般の技術者が適して調節することができるものである。
【0051】
また、前記方法は、CML癌幹細胞の栄養信号伝逹を遮断する物質の薬学的有効量を個体に投与する段階の代わりに、チロシンキナーゼ阻害剤、及びCML癌幹細胞の栄養信号伝逹を遮断する物質の組み合わせの薬学的有効量を個体に投与する段階を含んでもよい。前記チロシンキナーゼ阻害剤、及びCML癌幹細胞の栄養信号伝逹を遮断する物質は、それぞれ前述の通りである。前記CML癌幹細胞の栄養信号伝逹を遮断する物質は、具体的には、ジペプチドトランスポーター阻害剤でもある。前記ジペプチドトランスポーター阻害剤は、前述の通りである。
【0052】
また、前記方法において、チロシンキナーゼ阻害剤、及びCML癌幹細胞の栄養信号伝逹を遮断する物質、例えば、ジペプチドトランスポーター阻害剤は、併用投与もされる。前記併用投与は、チロシンキナーゼ阻害剤の有効性を強化するように、前記CML癌幹細胞の栄養信号伝逹を遮断する物質が、十分に近い時間に投与されることを意味する。例えば、前記チロシンキナーゼ阻害剤がまず投与され、次に、CML癌幹細胞の栄養信号伝逹を遮断する物質、例えば、ジペプチドトランスポーター阻害剤が投与もされ、またはその反対でもある。また、チロシンキナーゼ阻害剤、及びCML癌幹細胞の栄養信号伝逹を遮断する物質、例えば、ジペプチドトランスポーター阻害剤が同時に投与されもする。
【0053】
さらに他の様相は、CML癌幹細胞の成長または増殖の抑制剤候補物質を、CML癌幹細胞と接触させる段階、及びCML癌幹細胞内Slc15A2のmRNAまたはタンパク質の発現レベル、またはジペプチドのレベルを測定する段階を含む、CML癌幹細胞の成長または増殖の抑制剤スクリーニング方法を提供する。
【0054】
用語「スクリーニング」は、抗生物質、酵素、または低分子化学物質などの特定の化学物質に対して、感受性または活性などの特定の性質を有している物質を探し出すことを意味する。
【0055】
用語「CML癌幹細胞の成長または増殖の抑制剤候補物質」は、一般的な選定方式により、慢性骨髄性白血病癌幹細胞の成長を抑制したり増殖を防いだりすることができると推定されるか、あるいはランダムに選定された個別的な核酸、タンパク質、その他抽出物または天然物、または化合物などにもなる。
【0056】
前記Slc15A2のmRNAの発現レベルを測定する方法は、例えば、逆転写酵素重合酵素反応、競争的逆転写酵素重合酵素反応、リアルタイム逆転写酵素重合酵素反応、RNase保護分析法、ノーザンブロッティングまたはDNAチップを利用することができるが、それらに制限されるものではない。前記Slc15A2のmRNAの発現レベルを測定する方法、タンパク質の発現レベルを測定する方法は、例えば、ウェスタンブロット、ELISA、放射線免疫分析、放射免疫拡散法、オクタロニー免疫拡散法、ロケット免疫電気泳動、組織免疫染色、免疫沈澱分析法、補体固定分析法、FACSまたはタンパク質チップを利用することができるが、それらに制限されるものではない。
【0057】
前記CML癌幹細胞内ジペプチドレベルを測定する方法は、当該技術分野において公知された方法を利用することができ、例えば、RT−PCRウェスタンブロット、ELISA、放射線免疫分析、放射免疫拡散法、オクタロニー免疫拡散法、ロケット免疫電気泳動、組織免疫染色、免疫沈澱分析法、補体固定分析法、FACSを利用することができる。
前記CML癌幹細胞は、ST(short term)−CML癌幹細胞またはLT(long term)−CML癌幹細胞でもあり、具体的には、LT−CML癌幹細胞でもある。
【0058】
前記CML癌幹細胞の成長または増殖の抑制剤スクリーニング方法は、前記抑制剤候補物質が処理されていない対照群と比較し、抑制剤候補物質を加えた群において、Slc15A2のmRNAまたはタンパク質の発現レベルが、有意に低下する場合、前記抑制剤候補物質が、CML癌幹細胞の成長抑制剤及び増殖抑制剤であると判断する段階をさらに含んでもよい。用語「抑制剤候補物質が処理されていない対照群」とは、当該CML癌幹細胞の成長または増殖の抑制剤候補物質を加えていないCML癌幹細胞において、前記候補物質を加えた群と並列関係に属するCML癌幹細胞を意味する。すなわち、前記対照群は、もともと何の物質も添加されていないか、あるいはCML癌幹細胞の成長または増殖の抑制剤ではない他の陰性物質が加えられたCML癌幹細胞でもある。
【0059】
また、前記CML癌幹細胞の成長または増殖の抑制剤スクリーニング方法は、CML癌幹細胞の成長または増殖の抑制剤として知られている物質を加えた陽性対照群と比較し、抑制剤候補物質を加えた群において、Slc15A2のmRNAまたはタンパク質の発現レベルが類似しているか、あるいはさらに低い場合、前記抑制剤候補物質がCML癌幹細胞の成長または増殖の抑制剤であると判断する段階をさらに含んでもよい。CML癌幹細胞の成長または増殖の抑制剤として知られている物質を加えた陽性対照群は、従来CML癌幹細胞の成長または増殖の抑制効果を示すと知られた化合物を加えたCML癌幹細胞を意味する。
【0060】
前記CML癌幹細胞の成長または増殖の抑制剤スクリーニング方法は、慢性骨髄性白血病癌幹細胞において、ジペプチドトランスポーター、Slc15A2のmRNAが、Smad3 Ser208位置のリン酸化が、慢性骨髄性幹細胞の維持を支持するが、正常HSCにおいては、Smad3 Ser208のリン酸化が影響を及ぼさないという点に基づく。
【0061】
前記CML癌幹細胞の成長または増殖の抑制剤スクリーニング方法は、インビトロまたはインビボにおいて、いずれも可能である。インビボの場合、前記CML癌幹細胞の成長または増殖の抑制剤候補物質を、CML癌幹細胞と接触させる段階は、候補物質がCML癌幹細胞を有する個体に投与することでもって代替することができる。前記個体は、CML動物でもあり、例えば、ヒトを除いた哺乳動物、具体的には、マウスでもある。
【0062】
さらに他の様相は、CML癌幹細胞の成長または増殖の抑制剤候補物質を、CML癌幹細胞と接触させる段階、及びCML癌幹細胞において、Smad3のS208のリン酸化レベルを測定する段階を含むCML癌幹細胞の成長または増殖の抑制剤スクリーニング方法を提供する。
【0063】
前記リン酸化レベルを測定する方法は、制限がないが、例えば、電気泳動法、蛍光分析法、質量分析法、免疫分析法、PCR法、ウェスタンブロットを利用することができる。
【0064】
前記CML癌幹細胞は、ST(short term)−CML癌幹細胞またはLT(long term)−CML癌幹細胞でもあり、具体的には、LT−CML癌幹細胞でもある。
【0065】
前記CML癌幹細胞の成長または増殖の抑制剤スクリーニング方法は、抑制剤候補物質が処理されていない対照群と比較し、抑制剤候補物質を加えた群において、Smad3のS208のリン酸化レベルが有意に低下する場合、前記抑制剤候補物質が、CML癌幹細胞の成長または増殖の抑制剤であると判断する段階をさらに含んでもよい。用語「治療剤候補物質が処理されていない対照群」とは、当該CML癌幹細胞の成長または増殖の抑制剤候補物質を加えていないCML癌幹細胞において、前記候補物質を加えた群と並列関係に属するCML癌幹細胞を意味する。すなわち、前記対照群は、もともと何らの物質も添加されていないか、あるいはCML癌幹細胞の成長または増殖の抑制剤ではない他の陰性物質が加えられたCML癌幹細胞でもある。
【0066】
また、前記CML癌幹細胞の成長または増殖の抑制剤スクリーニング方法は、CML癌幹細胞の成長または増殖の抑制剤として知られている物質を加えた陽性対照群と比較し、抑制剤候補物質を加えた群において、Smad3S208のリン酸化が類似レベルを示す場合、前記抑制剤候補物質が、CML癌幹細胞の成長または増殖の抑制剤であると判断する段階をさらに含んでもよい。CML癌幹細胞の成長または増殖の抑制剤として知られている物質を加えた陽性対照群は、従来CML癌幹細胞の成長または増殖の抑制効果を示すと知られた化合物を加えたCML癌幹細胞を意味する。
【0067】
前記CML癌幹細胞の成長または増殖の抑制剤スクリーニング方法は、インビトロまたはインビボの慢性骨髄性白血病癌幹細胞において、Smad3 Ser208位置のリン酸化が慢性骨髄性幹細胞の維持を支持するが、正常HSCにおいては、Smad3 Ser208のリン酸化が影響を及ぼさないという点に基づく。本発明のスクリーニング方法によれば、新たな慢性骨髄性白血病の治療剤を低廉であって簡単な方法で容易に開発することができる。
【実施例】
【0068】
以下、本発明について、実施例によって、さらに詳細に説明する。しかし、それら実施例は、本発明について例示的に説明するためのものであり、本発明の範囲は、それら実施例によって制限されるものではない。
実験方法:
取り立てて言及がない限り、以下の実施例においては、次の実験方法を使用した。
【0069】
1.CMLマウスモデル製造
研究のために、CML類似疾患のさまざまに異なるマウスモデルを利用した。
【0070】
まず、CML疾患誘導のために、テトラサイクリン(tet)誘導性CMLマウスモデルを利用した。FVB/N遺伝的背景をそれぞれ有する、Tal1−tTAマウス(JAXデータベースストレイン#006209)及びTRE−BCR−ABL1形質転換マウス(JAXデータベースストレイン#006202)を、Jackson実験室から購入した。Tal1−tTA x TRE−BCR−ABL1二重形質転換マウスを生産するように、Tal1−tTA及びTRE−BCR−ABL1形質転換マウスを相互交配させた。二重形質転換マウスを20mg/Lのドキシサイクリン(Sigma−Aldrich)を含んだ飲用水が供給されるケージで飼育した。出生5週目、ドキシサイクリン含有飲用水を一般飲用水で代替することにより、BCR−ABL1発癌遺伝子(oncogene)の発現を誘導した。ドキシサイクリン中断後約5週目、二重形質転換突然変異体において、CML類似疾患が発病した。この動物を「テトラサイクリン誘導性CML発病マウス」と命名した。
【0071】
Foxo3a欠乏tet誘導性CMLマウスモデルを確立するために、Foxo3a欠乏マウス42(C57BL/6;F5)と、C57BL/6背景で、5世代の間逆交配されたTal−tTA及びTRE−BCR−ABL1形質転換マウスとをそれぞれ交配させた。
【0072】
BCR−ABL1形質導入/移植基盤CMLモデル(BCR−ABL1 CMLマウス)をまた利用した。簡略には、正常KLS細胞(レシピエントマウス当たり4−5x10細胞)を、ヒトBCR−ABL1−iresGFPレトロウイルスで形質導入し、放射線照射された(9Gy)レシピエントC57BL/6マウスに移植した(Sankyo−Lab Service、Tsukuba、日本)。CML類似疾患が、移植12−20日目にレシピエントに発病した。
【0073】
IM+セファドロキシルの組み合わせ投与のインビボ効果を調査するために、BCR−ABL1 CML発病マウスに、ビヒクル[人工胃液溶液(2.0g NaCl、7ml conc.HCl及び3.2gペプシンを含んだ900ml ddHO)]、またはビヒクル中のイマチニブメシレート(IM;Gleevec(登録商標)100mg/kg/day;Novartis)、及び/またはビヒクル中のセファドロキシル(36mg/kg/day;Sigma−Aldrich)を投与した。移植8ないし90日目まで、経口摂食(oral gavage)によって処理した。Ly2228820単独投与の効果を調査するために、BCR−ABL1 CML発病マウスに、移植8ないし60日目まで経口摂食によって、ビヒクル、またはビヒクル中のLy2228820(3日ごとに、2.5mgKg−1;Axon Medchem)を投与した。ダサチニブ+Ly2228820の組み合わせ投与の効果を調査するために、tet誘導性CML発病マウスに、DOX中断後1−30日、ビヒクル単独、またはビヒクル中のダサチニブ(5mgKg−1day−1;Brystol−Myers Squibb)を投与し、かつ/またはDOX中断7−28日、経口摂食によって、ビヒクル中のLy2228820(3日ごとに、2.5mgKg−1;Axon Medchem)を投与した。全ての動物ケアは、神奈川大学の動物及び組み換えDNA実験指針を守った。
【0074】
2.細胞分離(cell sorting)
ドキシサイクリン中断5週目、骨髄(BM)単核細胞(MNC)を、テトラサイクリン誘導性CML発病マウス(Tal1−tTATRE−BCR−ABL1)及び正常健康なリタメイト(littermate)マウス(Tal1−tTA)の2本の後足から分離した。BM MNCを、最初に、抗FcγIII/II受容体(2.4G2)抗体(BDBiosciences)でインキュベーションさせ、その次に、抗Sca−1(E13−161.7)−PE、抗CD4(L3T4)−FITC、抗CD8(53−6.7)−FITC、抗B220(RA3−6B2)−FITC、抗TER119(Ly−76)−FITC、抗Gr−1(RB6−8C5)−FITC及び抗Mac1(M1/70)−FITC(いずれも、BD Biosciences製);抗CD48(HM48−1)−APC−Cy7及び抗CD150/SLAM(TC15−12F12.2)−Pacific blue(二つとも、BioLegend製);及び抗cKit(ACK2)−APC及び抗CD135/Flk2/Flt3(A2F10)−ビオチン(二つとも、eBiosciences製)抗体でインキュベーションした。ビオチン化された一次抗体を、ストレプトアビジン−PE−Cy7(BD Biosciences)を利用して視覚化した。
【0075】
メタボロミックス(metabolomics)分析のために、FACS AriaIIIセルソーター(BD Biosciences)を利用して、公表された標準システムによって、非成熟KLS(cKitLineage−Sca−1)細胞、前駆細胞(progenitor)KLS(cKitLineageSca−1)細胞、及び分化されたLin(Lineage)細胞を含む分画で、免疫染色された細胞を分離した。
【0076】
次世代RNAシーケンシング及びDuolink(登録商標)インサイチュPLA分析のために、KLS細胞を初生(the most primitive)長期(LT:long−term)癌幹細胞(CD150CD48CD135KLS)、短期(ST:short−term)癌幹細胞(CD150CD48CD135KLS)、CD48細胞(CD48CD135KLS)及び多能性前駆細胞類似(MPP:multipotent progenitor-like)細胞(CD135KLS)で精製した。
【0077】
CML癌幹細胞の連続移植(serial tranplantation)のために、GFP/BCRABL1CML KLS細胞をBCR−ABL1 CML発病マウスのBM MNCから精製した。レトロウイルス及びレンチウイルスの形質導入のために、GFP/BCRABL1CML KLS細胞及びGFP/BCRABL1CML KLSを、BCR−ABL1 CML発病マウスのBM MNCから精製した。HSC競争的再構成分析(competitive reconstitution assay)のために、正常KLS細胞を、C57BL6コンジニック(CD45.1)マウスのBM MNCから精製した。
【0078】
3.メタボロミックス(metabolomics)
メタボロミックスプロファイリングのために、ドキシサイクリン中断5週目、CML発病Tal1−tTATRE−BCR−ABL1マウス(3個の独立実験それぞれにおいて、n=4マウス)、及びリタメイト正常健康(Tal1−tTA)マウス(2個の独立実験それぞれにおいて、n=6マウス)から、1.8−2.5x10KLS非成熟造血幹細胞、KLS前駆細胞及びLin分化細胞を単離した。また、8週齢及び24週齢(2個の独立実験それぞれにおいて、n=6マウス)のC57BL/6マウスから単離した1.0−1.8x10非成熟KLS細胞において、代謝産物(metabolite)を測定した。
【0079】
また、インビボにおいて、ジペプチド吸収阻害のために、30日間経口摂食によって、ビヒクルまたはセファドロキシル(36mgKg−1day−1)を投与したtet誘導性CML発病(Tal1−tTATRE−BCR−ABL1)マウス(3個の独立実験それぞれにおいて、n=4マウス)、及びリタメイト正常健康(Tal1−tTA)マウス(2個の独立実験それぞれにおいて、n=6マウス)から、非成熟KLS細胞を単離した。インビボにおいて、IM投与のために、健康なリタメイトマウス(2個の独立実験それぞれにおいて、n=6マウス)、及びビヒクルまたはセファドロキシル(36mgKg−1day−1)を投与されたCML発病マウス(3個の独立実験それぞれにおいて、n=4マウス)から、非成熟KLS細胞を単離した。インビトロにおいて、タンパク質分解/ターンオーバーの抑制のために、CML発病マウス(各3個の独立実験において、n=8マウス)由来CML KLS細胞を、低酸素(3%O)条件下で、無血清SF−03筋細胞培地(Sanko Junyaku)中にプレーティングし、2時間、ビヒクル、100nMボルテゾミブ(Cell Signaling、#2204)または100nMバフィロマイシンA1(Sigma、B1793)で処理した。全ての場合において、単離された細胞ペレットは、得られた後、すぐに−80℃で凍結させた。
【0080】
メタボロミックプロファイリングを、超高速遂行液体クロマトグラフィー/質量分析機(UPLC/MS/MS)、及び気体クロマトグラフィー/質量分析機(GC/MS)を利用して、Metabolon Inc.(Durham、NC)によって行った。Metabolon LIMS(Laboratory Information Management System)を利用して、データをコンパイリングした。プラットホームのUPLC/MS/MS領域は、Waters Acquity UPLC(Waters)、熱処理された電気噴霧イオン化(HESI−II)ソース、及びOrbitrap質量分析機(mass analyzer)に連結されたQ−Exactive high resolution/accurate mass spectrometer(Thermo Scientific)に基づいた。GC/MSは、electron impact ionization(Thermo-Finnigan)を利用して、Trace DSQ fast-scanning single-quadrupole mass spectrometerによって遂行した。
【0081】
4.次世代RNAシーケンシング(next-generation RNA sequencing)
全体正常造血幹細胞及びCML細胞から単離されたLT−癌幹細胞、ST−癌幹細胞及びKLS−前駆細胞を、200μl Isogene(Nippon Gene)溶液で直接分離した。Hokkaido System Science Co.Ltd.(札幌、日本)によって、RNA抽出及びシーケンシングを行った。RNA定性分析を、Nanodrop(Thermo Fisher Scientific)及びAgilent 2100 Bioanalyzer(Agilent Technologies)を利用して確認した。全てのRNA試料は、>8.5のRNAインテグリティナンバー(RNA integrity number)を有し、RNAシーケンシングに対する品質臨界値を凌駕した。Illumina Sequencing(Takara Clontech)のSMARTer Ultra Low Input RNA Kitを利用して、全体RNAからライブラリを構築した。RNAを断片化し、オリゴ−dTプライミング(priming)を利用して、単一鎖cDNAに転換させた。HiSeq2000(Illumina)を利用して、100塩基のペアドエンド(paired-end)判読を行った。FastQ formatで判読された配列を、FastQCを利用して品質を評価した。該配列を、DNAnexus Inc.(Mountain View、CA)(https://dnanexus.com/)によって、SeqNovaTM CSを利用して、マウスゲノム標準(Musmusculus;mm9、NCBIBuild 37)からマッピングした。
【0082】
5.定量リアルタイムRT−PCR分析
RNeasyキット(QIAGEN)を利用して、RNA試料を、DOX中断5週目、6匹のtet誘導性CML発病(Tal1−tTATRE−BCR−ABL1)マウス、及び8匹のリタメイト対照群(Tal1−tTA)マウスから単離した4−5x10LT−幹細胞、ST−幹細胞、CD48KLS細胞、MPP及びKLS前駆細胞から精製した。RNA試料を、Advantage RT−for−PCRキット(Takara-Clontech)を利用して逆転写した。Mx3000P(登録商標)Real-time PCRシステム(Stratagene)によって、SYBRグリーンプレミックスEXTaq(Takara)に利用して、リアルタイム定量PCRを遂行した。
【0083】
6.[3H]GlySar吸収によるSlc15A2トランスポーター活性の分析
Slc15A2トランスポーター活性を、酸性トランスポーター培地(pH.6.0)中に浮遊した細胞による[3H]GlySar吸収を測定する、良好に確立された分析法を利用して測定した。簡略には、正常KLS細胞またはCML KLS細胞(1x10)を、100μMセファドロキシル(Sigma−Aldrich)の存在または不存在のトランスポーター培地(125mM NaCl、4.8mM KCl、5.6mM D−グルコース、1.2mM CaCl−2HO、1.2mM KHPO、1.2mM MgSO−7HO及び25mM MES、pH.6.0)に浮遊させた。[3H]GlySar(Moravek Biochemicals、Brea、CA)を、トランスポーター反応開始のために、前記細胞懸濁液に添加した。60分または120分後、細胞によって内在化された[3H]GlySarの放射能を液体シンチレーションカウンターを利用して測定した。
【0084】
7.cDNA構築及びレトロウイルス製造
テンプレートで、ヒトWT Smad3 cDNA(Dr.Anita B.Roberts、NCI、NIH、Bethesda、MDによって提供される)を利用して、ヒトSmad3野生型(WT)、Smad3 3SA(Ser422、Ser423及びSer425は、いずれもAlaに転換される)、及びSmad3 S208A(Ser208は、Alaに転換される)をコーディングするレトロウイルス発現ベクターを構築した。簡略には、Smad3 3SA及びS208A突然変異をコーディングするcDNAを、pCR2 TOPOベクター(Invitrogen)中において、High−Fidelity DNAポリメラ−ゼKOD Plus2キット(Toyobo)またはQuikChange部位指定突然変異誘発キット(Stratagene)を利用して構築した。DNA配列を、ABI−3730xlinstrument(Applied Biosystems)を利用して、Operon Biotechnology(東京、日本)によって確認した。
【0085】
EcoRI/XhoI切断されたcDNA断片を、レトロウイルスベクターMSCV−ires−GFP中に挿入した。レトロウイルスパッケージング細胞(Plat−E)を、FuGene6(Roche)を利用して、対照群GFPベクター(MSCV−ires−GFP)またはMSCV−ires−GFP−Smad3WT,MSCV−ires−GFP−Smad3 3SAまたはMSCV−ires−GFP−Smad3 S208Aプラスミドで一時的に形質感染させた。形質感染2日目、培養上澄み液を0.45μmフィルタで濾過し、16時間6,500xgで遠心分離した。ウイルス含有ペレットを、0.1% BSA(#09300;幹細胞Technology)及びペニシリン/ストレプトマイシン(Gibco)を含んだ無血清SF−03培地(Sanko Junyaku)である幹細胞培地で再懸濁し、KLS細胞感染のために利用されるレトロウイルス溶液を生産した。
【0086】
8.KLS細胞のレトロウイルス感染及びマウス移植
KLSCML開始(initiating)細胞を、テトラサイクリン誘導性CML発病マウスの2本の後足から得たBM MNCから精製した。この細胞を、100ng/mlヒトトロンボポエチン(TPO、PeproTech)及び100ng/mlマウス幹細胞因子(SCF、和光純薬)に補充された200μl幹細胞培地を含んだ96ウェルプレート内で、37℃、3%Oインキュベータで一晩培養した。翌日、この細胞を、レトロネクチン(TakaraBio)であらかじめ処理された96ウェルプレートに移し、マグネチックプレート(OZ Biosciences)上で、Combimag(OZ Biosciences)を利用して、前記150μlのレトロウイルスと共に、30分間インキュベーションさせた。上澄み液の上側半分を注意深く除去した後、感染された細胞に、TPO及びSCFで補充された100μlの新鮮な幹細胞培地を追加し、37℃、3%インキュベータで一晩中培養した。レトロウイルス感染されたCML開始細胞(約1.0−1.5x10cells/mouse)を、致命的放射能処理された(9.0Gy)FVBコンジェニック(congenic)レシピエントマウスに静脈注射した。
【0087】
9.インビボでのLT−CML幹細胞維持
移植30日目、レシピエントマウスにおいて、LT−CML癌幹細胞のインビボ維持を評価した。移植レシピエントのBMから単離された全体MNCを、抗Sca−1(E13−161.7)−PE、抗CD4(L3T4)−ビオチン、抗CD8(53−6.7)−ビオチン、抗B220(RA3−6B2)−ビオチン、抗TER119(Ly−76)−ビオチン、抗Gr−1(RB6−8C5)−ビオチン、抗Mac1(M1/70)−ビオチン抗体(いずれもBD Biosciences);抗CD135/Flk2/Flt3(A2F10)−ビオチン及び抗c−Kit(ACK2)−APC抗体(二つとも、eBiosciences);及び抗CD48(HM48−1)−APC−Cy7及び抗CD150/SLAM(TC15−12F12.2)−Pacific blue(二つともBioLegend)で免疫染色した。ビオチン化された一次抗体を、ストレプタビジン−PE−Cy7(BD Biosciences)で視覚化した。
【0088】
全体GFP(Smad3)+KLS+CML開始細胞内において、GFP(Smad3)+LT−CML幹細胞の頻度を、FACS Aria IIIセルソーター(BD Biosciences)を利用して測定した。
【0089】
10.Duolink(登録商標)インサイチュ近接接合分析(Duolink(登録商標) in situ proximity ligation assay(PLA))
Smad2、Smad3、p38MAPK、AMPK及びS6リボソームタンパク質のリン酸化、及びFoxo3a−Smad2及びFoxo3a−Smad3相互作用を調査するために、Duolink(登録商標)インサイチュPLA分析法(Olink Bioscience)を利用した。CML発病マウスから新鮮に単離されたLT−CML幹細胞、ST−幹細胞、CD48,MPP及びKLSCML細胞、並びに正常健康なリタメイトから新鮮に単離されたLT−正常HSCを、直ちに4%パラホルムアルデヒドで30分間固定化した。
【0090】
インビトロ阻害剤実験のために、LT−CML癌幹細胞を、ビヒクル(対照群;人工胃液溶液(2.0g NaCl、7ml conc.HCl及び3.2gペプシン含有900ml ddHO))、5μM Ly364947(TGF−βタイプI受容体カイネースAlk5阻害剤;Merck)、5μM SB203580(p38MAPK阻害剤;LC Laboratories)、5μM GlySar(ジペプチドトランスポーター阻害剤;Sigma−Aldrich)、5μMセファドロキシル(ジペプチドトランスポーター阻害剤;Sigma−Aldrich)または100nMラパマイシン(mTORC1阻害剤;Cell Signaling Technologies)でインキュベーションし、3%O、37℃で30分間培養した。処理された細胞を、4%パラホルムアルデヒドで30分間固定化し、0.25%トリトン−X100で15分間処理し、洗浄した後、1時間5% FBS TBS内でインキュベーションすることにより遮断させた。
【0091】
ブロッキングされた細胞を、下記表1に羅列された抗体の組み合わせと共に、4℃で一晩インキュベーションした。該抗体の近接結合を、一つは、マイナスストランドPLAプローブに連結され、他の一つは、プラスストランドに連結された2個の二次抗体セットを使用する、Duolink(登録商標)インサイチュPLAシステムを利用して測定した。核を、DNAマーカーDAPI(Sigma)で染色した。染色されたスライドを、Fluoromount Plus(Diagnostic Biosystems)を利用して装着し、蛍光イメージを、共焦点顕微鏡(FV10i、Olympus)及びPhotoshopソフトウェア(Adobe)によって得た。単一細胞当たり蛍光焦点(fluorescent foci)の数をDuolink(登録商標)Image Toolソフトウェア(Olink Bioscience)を利用して定量した。
【0092】
【表1】
【0093】
Smad3リン酸化のための陽性及び陰性の対照群として、インビトロにおいて、LT−CML癌幹細胞に、TGF−β1(1ng/ml;R&D Systems)またはLy364947(5μM;Merck)をそれぞれ添加し、3%Oにおいて、30分間インキュベーションした。mTORC1活性化のための陰性対照群として、インビトロにおいて、LT−CML幹細胞に、ラパマイシン(100nM;Cell Signaling Technologies)を添加してインキュベーションした。図3、及び図13ないし図15に示されているように、適切な蛍光焦点が、この対照群実験で探知された(あるいは、探知されていない)。D−PLAのための技術的陰性対照群として、インビトロにおいて、LT−CML癌幹細胞を、単一抗マウス一次抗体で処理し、図8及び図9に示されているように、いかなる蛍光焦点も探知することができないということを確認した。
【0094】
11.コロニー形成分析
LT−CML幹細胞またはLT−正常HSC(1x10/plate)を、ビヒクル(対照群)またはジペプチドトランスポーター阻害剤セファドロキシル(5μM)の存在下で、OP−9ストローマ細胞上で、5日間共培養した。細胞を収去し、PBSで洗浄した後、SCF、IL−3、IL−6及びエリスロポエチン(Methocult GF M3434;Stem Cell Technologies)を含んだ半固体メチルセルロース培地にプレーティングした。37℃、5%COを含んだ湿潤大気中で7日間成長させた後、コロニー数を光学顕微鏡でカウンティングした。
【0095】
ジペプチドトランスポーター阻害剤+チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)の組み合わせ処理のために、LT−CML癌幹細胞(3x10)のセファドロキシル(5μM)の存在下で、OP−9ストローマ細胞上にプレーティングした。培養24時間後、細胞にさらなるDMSOまたは1μM IM(Axon Medchem)を処理し、さらにもう4日間インキュベーションした(総5日)。処理された細胞をPBSで洗浄し、半固体培地に移した後、7日後、コロニー形成を前述のように評価した。
【0096】
12.短いヘアピン(sh:short hairpin)RNA targetting Slc15A2 mRNA
pGFP−C−shLentiに基づいて、マウスSlc15A2遺伝子を標的化する29−mershRNA配列(マウスSlc15A2shB:5’-GAA CCG TTC TGA GGA CAT TCC AAA GCG AC-3’、マウスSlc15A2shD:5’-TAT CGG CTG ATC TCC AAG TGC GGA GTT AA-3’)を保有する3世代(third generation)HuSHTM shRNAレンチウイルスベクター、及び対照群スクランブルド(scrambled)shRNAを、Origene(Rockville、MD)から購入した。pCMV−VSV−G及びpCMV−dR8.2 dvpr Addgene(Cambridge、MA)から提供された。KSL+細胞のレトロウイルスの形質導入において、前述のように293TN生産者細胞(System Biosciences;Mountain View、CA)を、FuGene6(Roche)を利用して、pGFP−C−shLentiベクター(100mmプレート当たり6μg)、pCMV−VSV−G(1.5μg)及びpCMV−dR8.2dvpr(4.5μg)で一時的に形質感染させた。形質感染2日目、培養上澄み液を0.45μmフィルタで濾過し、16時間6,500xgで遠心分離した。ウイルス含有ペレットを幹細胞培地で再懸濁し、マウスSlc15A2 mRNAまたはスクランブルドshRNAを標的化するshRNAを保有するレンチウイルス溶液を生産した。tet誘導性CML発病マウスから単離されたCML KLS+細胞及びCML KLS−細胞を前記レンチウイルスで感染させ、GFP+CML KLS及びGFP+CML KLS細胞を、感染3日目に細胞分離(cell sorting)によって単離した。インビトロにおいて、コロニー形成能を調査するために、該細胞を低酸素条件(3%O)下で、OP−9ストローマ細胞上で5日間共培養し、コロニー形成を前述のように評価した。
【0097】
13.正常HSCに対する競争的再構成分析(competitive reconstitution assay)
C57BL/6(Ly5ローカスに対するCD45.2)マウス及びコンジェニックC57BL/6(Ly5ローカスに対するCD45.1;B6−Ly5.1)マウスを、Sankyo−Lab Service(Tsukuba、日本)から購入した。致死量に照射された(9 Gy)C57BL/6(CD45.2)レシピエントマウスを、コンジェニックC57BL/6(CD45.1)(B6−Ly5.1)マウス由来1x10個の正常KLS細胞(HSC)で、C57BL/6(CD45.2)マウス由来5x10個の未分画化BM MNCと競争させて再構成した。0ないし8週目、移植されたレシピエントに、ビヒクルまたはセファドロキシル(36mgKg−1day−1)を投与した。ドナー由来細胞(CD45.1)の再構成を、移植4週目及び8週目に、CD45.2(104)−FITC及びCD45.1(A20)−PEに対するmAbで染色した末梢血液単核細胞の流細胞分析によってモニターした。
【0098】
14.CML癌幹細胞の連続移植(serial transplantation)
インビトロにおいてセファドロキシル、及び/またはインビボにおいてIMでマウスを処理した後、疾患誘導能のCML癌幹細胞の維持を調査するために、処理されたBCR−ABL1 CML発病マウスにおいて、GFP/BCR−ABL1+CML KLS細胞数を測定し、該細胞の後続二次移植を行った。簡略には、CML発病マウスに、経口摂食によって、BM移植30日間、前述のように投与した。処理されたCML発病マウスの2本の後足から得たBM MNCから単離した全体GFP/BCR−ABL1+CML細胞内において、GFP/BCR−ABL1+CML KLS細胞の数を流細胞分析法によって評価した。その後、新鮮に精製されたGFP/BCR−ABL1CML KLS細胞(3x10)を、C57BL/6マウス由来5x10個の正常BM MNCと共に、致死量に照射されたコンジェニックレシピエントマウスの二次セットに連続的に移植した。マウス生存及び疾患再発を90日間モニターした。
【0099】
15.ヒトCML患者でのSLC15A2 mRNA発現
ヒトCML患者において、SLC15A2 mRNAレベルに係わるデータを、9人の健康なドナー、9人のCML患者、及びIMで治療後1月が経過した同一の9人のCML患者のマイクロアレイ分析を含む共用データベース遺伝子発現(GEO、ID:GSE33075)から得た。ワンサイド標本t検定(one-sided paired t-test)を、CML患者及びIM治療後のSLC15A2発現を比較するために利用した。独立試料に係わる、CML患者及び健康なドナーのSLC15A2発現を比較するために利用した。
【0100】
16.ヒトCML白血病開始細胞のコロニー形成能
慢性段階CMLを有する3人のヒト患者由来の生きているBM MNCを、Allcells(#06−255、#06−620及び#147742、Alameda、CA、米国)から購入した。該患者の公知に立脚した同意を確認する文書は、http://www.veritastk.co.jp/attached/3978/AllCells_BM_Informed_Consent_Form.pdfで利用可能である。該細胞を、抗CD34(8G12)、抗CD38(HIT2)、抗CD3(SK7)、抗CD16(3G8)、抗CD19(SJ25C1)、抗CD20(L27)、抗CD14(MμP9)及び抗CD56(NCAM16.2)Ab(いずれも、BD Biosciences)で染色した。CD3、CD16、CD19、CD20、CD14及びCD56を認識するmAbの混合物を、Lin−細胞を確認するために利用し、CD34CD38Lin細胞を精製した。セファドロキシル(5μM)単独、またはセファドロキシルと、IM(1μM;Axon Medchem)またはダサチニブ(500nM;LC laboratories)との組み合わせでの処理効果を調査するために、CD34CD38Lin細胞を、低酸素条件(3%O)下で、OP−9ストローマ細胞上で培養した。収去及びPBSによる洗浄後、初生ヒトCML白血病開始細胞(LICs)のコロニー形成能を、SCF、GM−CSF、IL−3、IL−6、G−CSF及びエリスロポエチン(Methocult GF+H4435;Stem Cell Technologies)を含む半固体メチルセルロース培地で、培養によって評価した。低酸素(3%O)条件下で、37℃で7日間成長後、コロニー数を光学顕微鏡でカウンティングした。
【0101】
17.統計分析
統計的差を、p値については、アンペアドスチューデントt−検定(Student’s t-test)を利用し、生存曲線については、ロングランク非母数的検定(long-rank non-parametric test)を利用して測定した。メタボロミックデータに対する統計的分析は、プログラム「R」(http://cran.r-project.org/)を利用して遂行した。
【0102】
実施例1:CML癌幹細胞は、さまざまなジペプチド種(species)を蓄積
CML癌幹細胞維持(maintenance)のために要求される栄養供給は、CML癌幹細胞を根絶するための新規治療剤の標的候補でもある。標的候補の正常造血幹細胞に対する有害な効果を減らすために、CML癌幹細胞と正常HSCとを区別させる、変更された作用メカニズムを理解することが本質的である。従って、栄養信号伝逹差を確認するために、正常HSCと、テトラサイクリン誘導性CML発病マウスから単離したCML癌幹細胞との全般的な代謝比較を行った。
【0103】
テトラサイクリン誘導性CMLマウスモデルは、Tal1−tTA形質転換マウス及びTRE−BCR−ABL1形質転換マウス(FVB/N背景)を交配し、Tal1−tTA x TRE−BCR−ABL1二重形質転換マウスを得た。それら子孫は、ドキシサイクリン(DOX:doxycycline)投与を中断する場合、CML癌幹細胞の生成と共に、CML疾患の誘導が同時に発生する。健康な対照群(Tal1−tTA)マウス及びCML発病マウス(Tal1−tTATRE−BCR−ABL1)から、正常HSC及びCML癌幹細胞(白血病開始細胞(LIC)でも知られる)を含む非成熟KLS(cKitLineageSca−1)集団、コミティッド(committed)前駆細胞KLS(cKitLineageSca−1)集団;成熟Lin(Lineage)集団の細胞サブセット(subset)を単離した。
【0104】
この細胞の代謝物質を調査するために、複雑なメタボロミック技法を適用した。報告されたところによれば、静止した正常HSCが、嫌気性当該過程を介して、アデノシン5’−トリホスフェート(ATP)を生産するが、正常KLS細胞及びCML KLS細胞の間で、グルコース、フラクトース1,6−ビスホスフェート(F−1,6−bP)、またはピルベートのレベル差がほぼないことを観察した(図1a)。アデノシン5’−モノホスフェート(AMP)レベルは、CML KLS細胞で若干高かったが、ATPは、両細胞集団において検出されなかった。従って、正常KLS細胞及びCML KLS細胞は、いずれも相対的エネルギー欠乏状態を示す高いAMP/ATP比を示した(データ未表示)。
【0105】
多様な単一アミノ酸レベルを測定したとき、正常KLS細胞及びCML KLS細胞の間において、いかなる差も観察することができなかった(図1b)。しかし、驚くべきことに、さまざまなジペプチド種は、健康なリタメイト(FVB/N)マウス(図1c)、または8及び24週齢の健康なC57BL/6対照群マウス(データ未表示)から単離された正常KLS細胞と比較したとき、CML KLS細胞において、劇的に増加するということを見い出した。各段階において、CML細胞対正常細胞のジペプチドレベル比の計算は、非成熟CML KLS集団が、成熟CML細胞と比較し、最も高いジペプチド含量を有する傾向を示した(図2)。一部ジペプチドが、CML KLS前駆細胞集団において増加したが、かような増加は、CML前駆細胞増殖支持のために増加されたタンパク質のターンオーバー(turn over)/分解によると推定される。従って、正常HSC及び成熟CML細胞とは異なり、CML癌幹細胞は、ジペプチドプールにアミノ酸を保存する。
【0106】
実施例2:CML癌幹細胞は、ジペプチドトランスポーターを介してジペプチド内在化
非成熟CML細胞になぜジペプチドが蓄積されるかということを調査するために、上流遺伝子発現パターンを分析した。健康なリタメイト対照群及びCML発病マウスから、初生長期(LT:long−term)CML癌幹細胞(CD150CD48CD135KLS cells)、短期(ST:short−term)幹細胞(CD150CD48CD135KLS cells)及びKLS前駆細胞を単離し、次世代RNAシーケンシングを利用して、遺伝子発現プロファイリングを行った。LT−CML癌幹細胞においては、上向き調節されるが、CML KLS細胞または正常LT−HSCではない遺伝子をスクリーニングし、107個のそのような遺伝子を同定した。それらのうち、定量リアルタイムRT−PCR分析を介して、オリゴ/ジペプチドトランスポーターをコーディングするSlc15A2遺伝子が、CML KLS前駆細胞及び正常LT−HSCと比較し、LT−CML癌幹細胞において、高く発現されることを確認した(図19)。
【0107】
Slc15A2活性が、実際に前記実施例1で確認されたジペプチドの蓄積に対する原因になるか否かということを分析するために、CML KLS細胞を、[3H]標識されたグリシルサルコシン([3H]GlySar)で、インビトロにおいて、インキュベーションした。前記グリシルサルコシンは、Slc15Aファミリトランスポーターの基質として作用するが、代謝されることがないジペプチド類似体である。その結果、CMLKLS細胞は、正常KLS細胞よりさらに多くの[3H]GlySarを内在化し、かような吸収は、Slc15A2特異化学的抑制剤、セファドロキシルの存在下で著しく減少した(図20)。
【0108】
また、欠陥があるタンパク質分解が、CML癌幹細胞のジペプチド蓄積に寄与する可能性を評価した。この細胞を、ボルテゾミブ(26Sプロテアソーム抑制剤)またはバフィロマイシンA1(オートファジー阻害剤)で処理する場合、単一アミノ酸レベルは、低下する傾向を示したが、一方ジペプチド蓄積が有意に増大するということを確認した(図21)。従って、プロテアソーム分解またはオートファジーは、CML癌幹細胞において、ジペプチド蓄積の主要原因ではないということが分かった。
【0109】
前記インビトロ結果に基づき、セファドロキシルが、インビボにおいて、CML癌幹細胞のジペプチド内在化を低減させることができるか否かということを調査した。CML発病マウスに、30日間セファドロキシルを経口で投与し、細胞内ジペプチドを測定するために、CML癌幹細胞のメタボロミック分析を行った。その結果、セファドロキシルに対する露出は、非成熟CML KLS細胞において、さまざまなジペプチドレベルを低下させるということを見い出し、それは、ジペプチド種の低減された吸収を意味する(図5)。前記インビトロデータ結果及びインビボ結果の組み合わせは、Slc15A2トランスポーター活性が、CML癌幹細胞において、ジペプチド蓄積の主要推進者であるということを意味する。
【0110】
CML癌幹細胞において、ジペプチド吸収の生物学的役割を理解するために、ジペプチドトランスポーターの抑制が、CML癌幹細胞にいかなる影響を及ぼすかということを、インビトロにおいて調査した。セファドロキシル処理は、LT−CML癌幹細胞のコロニー形成能を有意に低下させたが、一方セファドロキシル処理されたHSCは、正常レベルのコロニー形成能を維持した(図6)。Slc15A2 mRNAをターゲットにする短いヘアピンRNA(shRNA)のレンチウイルス形質転換も、CML KLS細胞のコロニー形成能を低下させたが、CML KLS細胞では、低下させなかった(図22)。このデータは、ジペプチドSlc15A2トランスポーターを介するジペプチド吸収が、インビトロにおいて、CML癌幹細胞生存を維持させるということを示唆する。
【0111】
次に、インビトロにおいて、LT−CML癌幹細胞の自己再生能に対する阻害されたジペプチド吸収の効果を、正常HSCと比較することによって調査した。ジペプチド吸収と関連した細胞内栄養信号伝逹を媒介する経路を確認するために、まずLT−CML癌幹細胞に対する、GlySarまたはセファドロキシルのインビトロ処理が、mTORC1経路を介する信号伝逹に影響を及ぼすか否かということを調査した。5μM GlySarまたはセファドロキシルに、LT−CMLを30分間露出させた後、高敏感Duolink(登録商標)インサイチュ近接接合分析(D−PLA)を利用して、Raptor−Ser863及びS6リボソームタンパク質のリン酸化を調査した。予想通り、処理されていない対照群LT−CML癌幹細胞は、フォクソ−Raptor−Ser863及びフォクソ−S6の二つをいずれも示したが(図3)、GlySar処理後またはセファドロキシル処理後のLT−CML癌幹細胞は、mTORC1阻害剤、ラパマイシンの処理と類似した結果である、Raptor Ser863及びS6のリン酸化の低減を示した(図3及び図4)。該結果は、LT−CML癌幹細胞において、競争的または化学的な阻害剤によるSlc15A2媒介されたジペプチド吸収の妨害が、mTORC1媒介された栄養信号伝達を低下させるということを示す。
【0112】
AMPKは、低エネルギー状態または栄養飢餓状態を経る細胞においてリン酸化され、それは、下流mTORC1経路の抑制をもたらす。公知されたAMPKの活性剤であるメトホルミンによるLT−CML癌幹細胞処理は、AMPK及びRaptor−Ser792のリン酸化を増大させ、フォクソ−Raptor−Ser792は、mTORC1活性を抑制する。LT−CML癌幹細胞のGlySarまたはセファドロキシルの処理が、リン酸化AMPKを増加させるが、該物質は、Raptor−Ser792のリン酸化を増大させない。従って、AMPK経路は、Slc15A2媒介されたジペプチド吸収の抑制を経るLT−CML癌幹細胞で示されるmTORC1経路の抑制に対して、不要であるということを確認した。
【0113】
実施例3:Smad3 Ser208リン酸化は、LT−CML癌幹細胞生存を支持
ジペプチドがmTORC1経路(図3及び図4参照)を介して、栄養信号伝達が影響を及ぼすということを見い出したが、ラパマイシン処理は、CML発病マウスの生存を延長させないということが報告された。それは、mTORC1信号伝逹が、インビボにおいて、CML幹細胞の維持に対して重要ではないということを示唆する。TGF−β−FOXO−BCL6信号伝逹経路が、CML癌幹細胞維持に本質的であるために、ジペプチド仲裁された栄養信号伝逹と、インビボにおいて、CML癌幹細胞維持を増進させることができる軸(axis)との連結関係があるか否かということを調査した。栄養信号伝逹とTGF−β−FOXO−BCL6軸との潜在的相互交差(cross-talk)、及びそれによるCML癌幹細胞能の原因になる核心分子を確認するために、TGF−β信号伝逹の下流エフェクタ、Smad2/3がCML癌幹細胞において、栄養信号伝逹の原因になるか否かということをどうかを調査した。その結果、Smad2及びSmad3のいずれも、関連C末端部位でリン酸化されるということを見い出したが、LT−CML癌幹細胞のD−PLA分析は、以前の報告と一致するように、Smad3だけがFoxo3aと相互作用するということを示した(図8)。当該結果は、CML癌幹細胞維持の原因になるTGF−β−FOXO信号伝逹カスケードに、Smad3が含まれもよいということを示唆する。
【0114】
Smad3は、知られた幹細胞能成長因子であるために、Smad3が、CML癌細胞の幹細胞能維持を増進させるか否かということを測定することが関心対象であるので、従って、TGF−β−処理及び対照群LT−CML癌幹細胞において、Smad3のリン酸化の位置を調査した。D−PLAは、TGF−β処理されたLT−CML癌幹細胞において、Thr179、Ser204、Ser208、Ser213及びSer423/425残基において、Smad3の全体リン酸化を検出した一方、新鮮に精製されたLT−CML癌幹細胞は、Ser423/425及びSer208でのみSmad3のリン酸化を示した(図9)。興味あることとして、Smad3 Ser423/425位置は、またST−CML癌幹細胞、並びにCD48、MPP(CD135KLS)及びKLS−CML細胞でリン酸化されたが、Smad3 Ser208リン酸化は、Smad3−Foxa3a相互作用であるインビボにおいて、初生LT−CML癌幹細胞で特異的であった(図10)。該データは、Smad3のSer208位置でのリン酸化が、LT−CML癌幹細胞において、Foxo3aを活性化させることを許容するということを示唆する。前記Foxo3a全社的活性は、インビボにおいて、CML癌幹細胞維持を支持することができる。
【0115】
Ser423/425及びSer208において、Smad3リン酸化の関連性を調査するために、リン酸化されることがない2個のヒトSmad3の突然変異体を利用した:Ser422/423/425が、いずれもAlaに転換されたSmad3 3SA;及びSer208がAlaに転換されたSmad3 S208A。対照群GFP、Smad3野生型(WT)、Smad3−3SAまたはSmad3−S208Aを発現するレトロウイルスベクターでCML KLS細胞を感染させ、コンジェニック(congenic)レシピエントマウスにこの細胞を移植した。その後、インビボにおいて、CML癌幹細胞維持を、流細胞分析によって評価した。移植30日目、Smad3突然変異は、GFP(Smad3)CML KLS細胞集団の大きさに影響を及ぼさなかった(図11の上端)。しかし、Smad3−S208Aを発現するCMLKSL+細胞に移植されたマウスの初生LT−CML癌幹細胞頻度の著しい低下を見い出した(図11の下段及び図12)。従って、非正規Smad3 Ser208リン酸化の阻害は、インビボにおいて、LT−CML癌幹細胞での自己再生能の維持を損傷させる。
【0116】
Smad3−Ser208リン酸化及びSmad3−Foxo3a相互作用は、いずれもLT−CML癌幹細胞でのみ検出されるために(図10)、CML癌幹細胞において、Smad3−Ser208のリン酸化が最近報告されたFoxo3aの機能規制に含まれるか否かということを調査するために、セファドロキシルによって誘導されたLT−CML癌幹細胞コロニー形成能の抑制が、Foxo3a破壊されたLT−CML癌幹細胞で減減されるか否かということを分析した。
【0117】
Foxo3a欠乏CMLマウスモデルを確立するために、Foxo3a−/−tet誘導性CMLマウス及びFoxo3a+/+リタメイト対照群を生産した。Foxo3a−/−及びFoxo3a+/+CML発明リタメイトか、らDOX中断5週後、LT−CML癌幹細胞を単離した。Foxo3a−/−LT−CML癌幹細胞は、Foxo3a+/+LT−CML癌幹細胞と比較し、インビトロコロニー形成能で低下を示したが、Foxo3a−/−LT−CML癌幹細胞によって形成されたコロニー数は、セファドロキシル処理によっては変更されなかった。また、D−PLAは、Foxo3a+/+LT−CML癌幹細胞において、Foxo3a−/−LT−CML癌幹細胞で発生しないフォクソ−Smad3−Ser208及びFoxo3a間の相互作用を示した(図23)。かような結果は、内在化されたジペプチドによるSmad3−Ser208リン酸化が、Foxo3a依存方式で、CML癌幹細胞を維持するということを示唆する。
【0118】
Smad3 Ser208リン酸化が、LT−CML癌幹細胞維持に重要であるために、癌幹細胞での増加したジペプチド摂取が、Smad3 Ser208の活性化が関連性があるか否かということを調査した。そのために、GlySarまたはセファドロキシルによって処理されたLT−CML癌幹細胞を、D−PLA分析に適用させた。興味あることに、GlySarまたはセファドロキシルによる処理は、Smad3 Ser208のリン酸化を遮断した(図14)。対照的に、ラパマイシン処理は、Smad3 Ser208リン酸化を阻害せず、それは、内在化されたジペプチドが、mTORC1及びSmad3 Ser208による栄養信号伝逹経路をいずれも同時に刺激するということを示唆する。かような結果は、少なくとも、LT−CML癌幹細胞において、ジペプチド種が、p38MAPKを介する栄養信号伝逹の活性化を誘発することができ、そのSmad3 Ser208の下流リン酸化を推進することができるということを示す。
【0119】
インビボにおいて、セファドロキシル投与が、正常HSCの機能を変更しないということを確認するために、良好に確立された競争的再構成分析(competitive reconstitution assay)を利用した。放射線照射されたCD45.2レシピエントマウスに、1x10個のコンジェニックCD45.1マウス由来精製された正常KLS細胞+5x10個の健康なCD45.2マウス由来未分画BM単核細胞(MNCs)を共移植させた。該動物は、移植8週間、セファドロキシルまたはビヒクルを毎日投与された。重要なこととして、セファドロキシル投与の4または8週後、レシピエントの末梢血液(PB)から、ドナー由来CD45.1MNCの頻度においては、いかなる増加もなかった。付随的に、セファドロキシルが存在するにせよ存在しないにせよ、ドナー由来正常KLS細胞に起源するキメリズムの程度においては、比較するほどの増加があった。結局、セファドロキシルのインビボ投与は、正常HSCの再構成力において、何ら検出するほどの効果を示していない。
【0120】
実施例4:ジペプチド栄養信号伝逹は、CML癌幹細胞を根絶
LT−CML癌幹細胞に対するジペプチド誘導栄養信号伝達の特異性は、該経路が、可能な治療的ターゲットにもなるか、すなわち、ジペプチド内在化の破壊が、CML癌幹細胞の根絶及び疾患再発において、低減を誘導することができるか否かということを調査するように刺激した。まず、CML発病マウスでのように、ヒトCML患者において、SLC15A2遺伝子が上向き調節されるか否かということを調査するために、共用データベース遺伝子発現オムニバス(GEO:GSE33075)に記録されたCML患者細胞のSLC15A2のレベルに係わるデータを収集した。興味深いことに、IM療法以前、SLC15A2 mRNAレベルは、実際に9人の健康な個人BM造血細胞においてよりも、9人のCML患者のBM白血病細胞(leukaemia cell)においてさらに高かった。しかし、驚くべきことに、IM療法後、同一9人のCML患者のSLC15A2 mRNAレベルが、健康な個人のものよりも、比較に値するレベルに低下した。前記発見についてさらに深く調査するために、CML KLSを、1ヵ月ビヒクルまたはIMを投与されたCML発病マウスから単離されたCML KLS細胞のジペプチドレベルを比較した。ヒトCML患者で観察したところと一致するように、前記マウスに対するメタボロミック分析は、IM処理が、CML KLS細胞において、ジペプチドレベルを低下させる傾向があるというのを示した(図24)。また、インビトロにおいて、murine LT−CML癌幹細胞に対するIM処理は、フォクソ−Smad3−Ser208のレベルを低下させた。この結果は、ジペプチド種の蓄積が、疾患再発の原因になるCML癌幹細胞集団において、TKI耐性の直接的原因ではないということを示す。しかし、それは、確認されたSLC15A2媒介栄養供給が、ヒトCML白血病誘発(leukemogenesis)において支援の役割を行うということを示唆する。
【0121】
次に、Slc15A2媒介栄養信号伝逹を抑制するセファドロキシルと共に、BCR−ABL1キナーゼの活性を遮断する、TKIの組み合わせ投与に対する潜在的治療的利点を評価した。インビトロにおいて、セファドロキシル+IMと共に、murine LT−CML癌幹細胞を培養したとき、コロニー形成は、IM単独処理と比較して減少した(図16)。インビボにおいて、CML発病マウスのIM単独処理は、ビヒクル処理群と比較し、疾患発病を遅延させたが、予想した通り、該動物は、治療中断後、結局BCR−ABL1+疾患の再発を経た(図17)。不思議なことに、セファドロキシル単独投与は、疾患発病を促進すると分かった。しかし、IM+セファドロキシルの組み合わせ投与は、IM単独処理群と比較し、BCR−ABL1+再発率を有意に低下させた(図17)。
【0122】
セファドロキシル投与が、実際にインビボにおいて、CML発病マウスの初生CML癌幹細胞をなくすことができるか否かということを調査した。明らかに、CML発病マウスのBMから単離されたGFP/BCR−ABL1+CML細胞内において、CML KLS細胞数は、インビボにおいて、セファドロキシル露出によって有意に減少した(図25及び図26)。たとえIM単独も、CML KLS細胞の数を減少させるにしても、IM+セファドロキシルの組み合わせ投与は、該細胞集団において、はるかに大きい抑制効果を有する(図25)。
【0123】
特に、連続移植実験において、セファドロキシル処理されたCML発病マウスから単離されたCML KLS細胞は、完璧に新たなレシピエントにおいて、BCR−ABL1+疾患を推進する能力を喪失し、90日を越えるほど生存するように許容した(図26)。対照的に、ビヒクル処理されたCML発病動物由来CML KLS細胞を投与された全てのマウスは、BCR−ABL1+疾患が発病し、80日になる前に死亡した。それは、非処理CML KLS細胞が、それらのCML開始能を保有しているということを立証する。該結果は、ジペプチド吸収を抑制するセファドロキシルの経口投与が、インビボにおいて、CML癌幹細胞の維持に重要な栄養信号伝達を遮断することができ、またTKIと組み合わせたセファドロキシルは、CML癌幹細胞をなくすことにより、CML発病マウスの生存を改善することができることを示唆する。
【0124】
最後に、ヒトCML治療と本発見との関連性を調査するために、インビトロにおいて、ヒト慢性段階CML患者から得たCML−LICに対するセファドロキシル処理効果を評価した。3人のCML患者のBM MNCから、CD34CD38LinCML−LICを単離し、インビトロにおいて、この細胞をセファドロキシルで処理した。予想通り、セファドロキシルは、インビトロにおいて、全ての3人のヒトCML−LIC試料のコロニー形成能を抑制した(図27)。重要なこととして、TKI(IMまたはダサチニブ)+セファドロキシルの組み合わせで、ヒトCML−LICの併用処理が、TKI単独の抑制効果よりはるかにコロニー形成を有意に低減させた(図28)。総合して見れば、前記結果は、内在化されたジペプチド種によって活性化されたSmad3を介する栄養信号伝逹が、CML癌幹細胞で本質的であるということを示す。従って、かような栄養供給、及びその下流信号伝逹経路がCML癌幹細胞をなくす新規治療的ターゲットの候補を提供することができる。前記データは、TKI療法との組み合わせに利用される該経路の阻害剤が、ヒトCML患者に対する具体的な臨床利益を提供することができる。
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