(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6769013
(24)【登録日】2020年9月28日
(45)【発行日】2020年10月14日
(54)【発明の名称】埋め込みミラーを有する加工基板
(51)【国際特許分類】
H01L 31/0392 20060101AFI20201005BHJP
H01L 31/054 20140101ALI20201005BHJP
【FI】
H01L31/04 284
H01L31/04 620
【請求項の数】13
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-537634(P2018-537634)
(86)(22)【出願日】2017年1月27日
(65)【公表番号】特表2019-505995(P2019-505995A)
(43)【公表日】2019年2月28日
(86)【国際出願番号】EP2017051751
(87)【国際公開番号】WO2017133976
(87)【国際公開日】20170810
【審査請求日】2018年9月18日
(31)【優先権主張番号】1650859
(32)【優先日】2016年2月3日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】598054968
【氏名又は名称】ソイテック
【氏名又は名称原語表記】Soitec
(73)【特許権者】
【識別番号】500539103
【氏名又は名称】コミッサリア ア レネルジ アトミック エ オー エネルジ アルターネイティブス
【氏名又は名称原語表記】COMMISSARIAT A L’ENERGIE ATOMIQUE ET AUX ENERGIES ALTERNATIVES
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ギオ, エリック
(72)【発明者】
【氏名】タウジン, オレリー
(72)【発明者】
【氏名】シニャマルチェ, トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ラゴウッテ, エマニュエル
【審査官】
吉岡 一也
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2014/154993(WO,A1)
【文献】
国際公開第2013/042526(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2015/0380592(US,A1)
【文献】
特開昭59−094465(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/02−31/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池の成長のために第1の半導体材料から作られたシード層(3)と、
前記シード層(3)上の第1のボンディング層(4A)と、
第2の半導体材料から作られた支持基板(5)と、
前記支持基板(5)の第1の面上の第2のボンディング層(4B)と、
前記第1及び第2のボンディング層(4A、4B)の間のボンディング界面(4)と
を備える加工基板(101、103)であって、
前記第1及び第2のボンディング層(4A、4B)が金属材料から各々作られており、
前記半導体材料のドーピング濃度及び前記加工基板(101、103)の前記複数の層、特に前記シード層、前記支持基板、及び前記第1と第2のボンディング層の両方の厚さは、前記シード層(3)の吸収が20%未満であるように、かつ前記加工基板(101、103)の総計の面積で規格化した直列抵抗が10mOhm・cm2未満であるように選択される、加工基板(101、103)。
【請求項2】
前記シード層(3)のドーピング濃度が5×1017at/cm3未満である、請求項1に記載の加工基板(101、103)。
【請求項3】
前記シード層(3)の厚さが150nm〜1μmの範囲内である、請求項1又は2に記載の加工基板(101、103)。
【請求項4】
前記支持基板(5)の厚さが100μm〜500μmに至るまでの範囲内であり、前記支持基板(5)のドーピング濃度が1014〜5×1017at/cm3の範囲内である、請求項1〜3のうちの少なくとも一項に記載の加工基板(101、103)。
【請求項5】
前記第1及び第2のボンディング層(4A、4B)の前記金属材料が、TiNとともにW又はTiのうちの一方である、請求項1に記載の加工基板(101、103)。
【請求項6】
前記第1の半導体材料が5.8〜6Å(0.58nm〜0.6nm)の範囲内の格子定数を有する、請求項1〜5のうちの少なくとも一項に記載の加工基板(101、103)。
【請求項7】
前記第1の半導体材料がInPである又は前記第1の半導体材料が三元系若しくは四元系若しくは五元系III−V材料、例えば、InGaAs若しくはInGaAsPであり、前記第2の半導体材料がGaAs又はGeの中から選択される、請求項1〜6のうちの少なくとも一項に記載の加工基板(101、103)。
【請求項8】
前記第1の面とは反対側を向いた前記支持基板(5)の第2の面に設けられた金属コンタクト(11)をさらに備える、請求項1に記載の加工基板(101、103)。
【請求項9】
請求項1〜8のうちの少なくとも一項に記載の加工基板(101、103)を備える光検出又は変換デバイス、特に太陽電池。
【請求項10】
加工基板(101、103)を製造する方法であって、
第1の基板(1)を用意するステップと、
前記第1の基板の第1の面にシード層(3)を設けるステップと、
前記シード層(3)上に金属材料の第1のボンディング層(4A)を形成するステップと、
支持基板(5)を用意するステップと、
前記支持基板(5)上に金属材料の第2のボンディング層(4B)を形成するステップと、
前記第1及び第2のボンディング層(4A、4B)を直接ボンディングするステップと、次いで
前記第1の基板(1)を除去するステップと
を含み、
前記第1及び第2のボンディング層(4A、4B)が金属材料から各々作られており、
前記半導体材料のドーピング濃度及び前記加工基板(101、103)の前記複数の層の厚さは、前記シード層(3)の吸収が20%未満であるように、かつ前記加工基板(101、103)の総計の面積で規格化した直列抵抗が10mOhm・cm2未満であるように選択される、方法。
【請求項11】
前記シード層(3)を設けるステップが、エピタキシャル成長により実現される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1及び第2のボンディング層(4A、4B)を直接ボンディングするステップの前に、前記第1の基板(1)又は前記シード層(3)の一部に弱化層(2)を形成するためのイオン注入ステップと、前記第1及び第2のボンディング層(4A、4B)を直接ボンディングするステップの後で、前記第1の基板(1)又は前記第1の基板(1)上に設けられた前記シード層(3)の残りの部分を分離する切り離しステップとをさらに含む、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の面とは反対側を向いた前記支持基板(5)の第2の面に金属コンタクト(11)を設けるステップをさらに含む、請求項10〜12のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、埋め込みミラーを有する加工基板並びに埋め込みミラーを有する加工基板を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光起電力電池又は太陽電池は、太陽放射を電流へと変換するために設計されている。集光器太陽光起電力用途では、入射太陽光が太陽電池へと向けられる前に、入射太陽光が光学的に集光される。例えば、入射太陽光は一次ミラーによって受けられ、一次ミラーは受光した放射を二次ミラーに向けて反射し、二次ミラーは順に放射を太陽電池に向けて反射し、太陽電池は、例えばIII−V半導体又は単結晶シリコン内に電子−正孔対を発生させることにより集光した放射を電流へと変換する。集光器光起電力装置は、代わりに又は加えて、入射太陽放射の集光用のフレネルレンズ光学系を備えることができる。
【0003】
最近、光電子工学用途、例えば、CPV(集光器光起電力)セル、IR(赤外線)検出器、等の分野では、フォトンをリサイクルすること、フォトンの損失を減少させること及び抵抗率を低下させることに関心が集中されている。
【0004】
これらの課題に関係する問題のうちの1つは、セルの効率である。例えば、GaAs基板などの一般に使用される基板は、ドープされることが必要であり、低い接触抵抗を確実にする。しかし、上記のドーピングは、フォトンの吸収の増加を引き起こしている。
【0005】
WO2013143851は、最終基板へのシード層の移動を含め、MJ太陽電池デバイスを製造するプロセスを開示している。
【0006】
例えば、少なくとも2つのサブセルの直接ボンディングを当然ともなう、すなわちサブセルの各々が1つの基板に成長されるが、2つの基板が異なる格子定数を有するWO2013143851に記述されたようなMJ(多接合)太陽電池の製造方法のために適しているMJ太陽電池、又はより一般的に≪光検出器≫に関して、係る基板に基づく光検出又は変換デバイスの効率を向上させるため適正な基板に対する必要性がある。
【0007】
上述の問題の観点から、MJ太陽電池に関して、効率の向上をともない、十分に透明でありさらに電導性の基板を提供することが本発明の目的である。
【発明の概要】
【0008】
加工基板が提供され、太陽電池の成長のために第1の半導体材料から作られたシード層と、上記シード層上の第1のボンディング層と、第2の半導体材料から作られた支持基板と、上記支持基板の第1の面上の第2のボンディング層と、上記第1及び第2のボンディング層の間のボンディング界面とを備え、上記第1及び第2のボンディング層が金属材料から各々作られており、上記半導体材料のドーピング濃度及び上記加工基板の上記複数の層、特に上記シード層、上記支持基板、及び上記第1と第2のボンディング層の両方の厚さは、上記シード層の吸収が20%未満、好ましくは10%未満であるように、かつ上記加工基板の総計の面積で規格化した直列抵抗が10mOhm・cm
2未満、好ましくは5mOhm・cm
2未満であるように選択される。
【0009】
上に規定した加工基板では、支持基板は、レシーバ基板ともやはり呼ばれることがある。加工基板は、2つの格子が一致しない材料、すなわち、シード層を含む最上部薄層及び支持/レシーバ基板を含む典型的にはより厚い下部材料、例えば、最上部薄層、すなわちシード層用のInP及び下部レシーバ基板、すなわち支持基板用のGaAs又はGeから成る。第1の材料のシード層の薄層は、第2の材料へのボンディングを含めいくつかの手法により得られることが可能である。第1及び第2のボンディング層の間のボンディング界面は、以て、フォトンをより良く反射するために金属材料のミラー層の機能を有する。ミラー層という用語は、400nm〜2000nmの波長範囲で高い反射係数(上限(sup.)70%)を示す金属層を規定するためにここでは使用される。フォトンの最初のパス中にはシード層の最上部に成長させた能動デバイスにより吸収されていない入射フォトンは、そのときにはミラー層で反射され、吸収のために能動デバイスに再注入されることが可能である。能動デバイスとのミラーボンディング層の近さが、高いフォトン収集確率を確実にし、デバイス特性(電流、効率、...)の向上につながる。
【0010】
電気抵抗率は、所与の材料が電流の流れにどれだけ強く抗するかを定量化する内在的な特性である。低抵抗率は、電荷の移動を容易に可能にする材料を示している。抵抗率は、ギリシア文字ρ(ロー)によって一般に表示される。電気抵抗率の単位は、それぞれ、太陽電池又は加工基板の表面積又は断面積Aと抵抗Rとの積から導き出す。式として、上記は、R・A=ρ・lであり、ここでは、lは長さ又は面積Aに実質的に垂直である厚さを表している。電気抵抗率ρの単位は、したがってオーム・メートル(Ω・m)である、但し、オーム・センチメートル(Ω・cm)のような他の単位が上記から導き出されることがある。
【0011】
直列抵抗は、太陽電池での主要な抵抗効果のうちの1つを表している。高い直列抵抗は、フィルファクタ、したがって最終的に太陽電池の効率を低下させることがある。値を比較できるようにするために、値は、抵抗を面積で掛け算するために面積で規格化され、上記はオームの法則において電流の代わりに電流密度を使用することと同じであり、以てオーム・センチメートル
2、すなわち、Ω・cm
2という単位を得ている。
【0012】
光がシード層を通り1回進むときに、シード層が入射光線の20%未満しか吸収すべきではないので、20%未満である吸収が理解されるはずであり、その結果、入射光線の少なくとも80%がシード層を通って透過され、ミラー層で反射されることが可能である。
【0013】
加工基板に関して、上記シード層のドーピング濃度は、5×10
17at/cm
3未満であってもよい。加工基板では、シード層の上記厚さは、150nm〜1μmの範囲であってもよい。例えば、シード層のドーピング濃度は、約300nmの厚さでは約3×10
18at/cm
3であってもよい。
【0014】
加工基板では、支持基板の上記厚さは、100μm〜500μmに至るまでの範囲内であってもよく、上記支持基板のドーピング濃度は、10
14〜5×10
17at/cm
3の範囲内であってもよい。
【0015】
加工基板では、上記第1及び第2のボンディング層の上記金属材料は、TiNとともにW又はTiのうちの一方であってもよい。
【0016】
加工基板では、上記第1の半導体材料が、5.8〜6Å(0.58nm〜0.6nm)の範囲内の格子定数を有することがある。
【0017】
上記の値は、InPの格子定数に典型的には対応する。支持基板は、典型的には最終基板である。直接ボンディングしたMJセルのケースに関して、上記基板に成長させたサブセルは、InPの格子定数付近の格子定数を有している材料を用いてのみ実現することが可能な最小のエネルギーギャップを有するはずである。
【0018】
加工基板では、上記第1の半導体材料がInPである又は上記第1の半導体材料が三元系若しくは四元系若しくは五元系III−V材料、例えば、InGaAs若しくはInGaAsPであってもよく、上記第2の半導体材料がGaAs又はGeであってもよい。
【0019】
加工基板は、上記第1の面とは反対側を向いた上記支持基板の第2の面に設けられた金属コンタクトをさらに備えることができ、発生した電子を集める。
【0020】
裏面金属コンタクトは、裏面ミラーとしてもやはり働くことができる。支持基板に向けてフォトンを反射して戻すこと及びさらに太陽電池の活性層へ少なくとも部分的に反射することによりフォトンの損失を防止する又は少なくとも最小にするために、裏面金属コンタクトは、支持基板の直下に置かれることが典型的である。フォトンは、ミラーによりこのようにリサイクルされることがあり、フォトンの損失が減少される。加工基板の上に述べた面積で規格化した直列抵抗は、裏面金属コンタクトへのセルの電気的接続部を形成するというさらなる効果を有する。
【0021】
上に説明したような加工基板を備える光検出又は変換デバイス、特に太陽電池が、さらに提供される。
【0022】
加工基板を製造する方法がさらに提供され、第1の基板を用意するステップと、上記第1の基板の第1の面にシード層を設けるステップと、上記シード層上に金属材料の第1のボンディング層を形成するステップと、支持基板を用意するステップと、上記支持基板上に金属材料の第2のボンディング層を形成するステップと、上記第1及び第2のボンディング層を直接ボンディングするステップと、次いで上記第1の基板を除去するステップとを含み、上記第1及び第2のボンディング層が金属材料から各々作られており、上記半導体材料のドーピング濃度及び上記加工基板の上記複数の層の厚さは、上記シード層の吸収が20%未満、好ましくは10%未満であるように、かつ上記加工基板の総計の面積で規格化した直列抵抗が10mOhm・cm
2未満、好ましくは5mOhm・cm
2未満の両者であるように選択される。
【0023】
シード層が、太陽電池の成長のために第1の半導体材料から作られており、支持基板が、第2の半導体材料から作られている。
【0024】
製造する方法は、上記シード層を設けるステップが、エピタキシャル成長により実現されることをさらに含むことができる。
【0025】
製造する方法は、上記第1及び第2のボンディング層を直接ボンディングするステップの前に、上記第1の基板又は上記シード層の一部に注入弱化層を形成するためのイオン注入ステップと、上記第1及び第2のボンディング層を直接ボンディングするステップの後で、上記第1の基板又は上記第1の基板上に設けられた上記シード層)の残りの部分を分離する切り離しステップをさらに含むことができる。
【0026】
製造する方法は、上記第1の面とは反対側を向いた上記支持基板の第2の面に金属コンタクトを設けるステップをさらに含むことができる。
【0027】
上に詳細に説明したような加工基板は、CPVセル、MJセル又は任意の光検出デバイスを製造するために使用されることがある。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図2】
図1に示した実施形態の変更形態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1には、本発明による加工基板を製造する方法の第1の実施形態が描かれている。
【0030】
第1のステップでは、
図1の一番左の部分に、支持基板5が用意されることが示されている。さらにその上、第1の基板1が用意される。第1の基板1は、補助基板として働き、しかしながら補助基板は最終加工基板の準備が整う前に除去される又は犠牲にされる。
【0031】
次のステップでは、矢印Aにより示したように、シード層3が第1の基板1上に形成される。シード層3は、第1の半導体材料から成ることがある。第1の半導体材料は、例えば、InPであってもよい、又は三元系若しくは四元系若しくは五元系III−V材料、例えばInGaAs若しくはInGaAsPであってもよい。
【0032】
さらにその上、第1のボンディング層4Aがシード層3上に形成される。第1のボンディング層4Aは金属層であり、材料は、TiNとともにW又はTiのうちの一方であってもよい。
【0033】
原理的に、
図1に示したように、第1の基板1、シード層3及び第1のボンディング層4Aは、1つの構造10Aとしてもやはり見られることがある。
【0034】
さらにその上、第2のボンディング層4Bが支持基板5上に形成される。第2のボンディング層4Bも、やはり金属層であり、材料は、TiNとともにW又はTiのうちの一方であってもよい。第2のボンディング層4Bが、支持基板5の第1の面に成長される、例えば、化学気相堆積(CVD)により堆積される。支持基板5及び第2のボンディング層4Bは、第2の半導体材料から作られる。第2の半導体材料がGaAs又はGeであることが典型的である。原理的に、支持基板5及び第2のボンディング層4Bは一緒に、1つの構造10Bとして見られることがある。1つの構造10Bは、支持基板5の最も上の/最上部部分に形成される第2のボンディング層4Bを備えている支持基板に対応する。
【0035】
それぞれ2つの部分又は構造10A及び10B、すなわち、第1の基板に形成されたシード層を備える部分と支持基板5に設けられる第2のボンディング層4Bを備える部分とを形成することの間の時間の関係性は、両者が矢印Bにより示されている次のステップの始まりのところで利用可能であること以外には必要ない。
【0036】
図1に図示したように、Bにより示した次のステップでは、2つの構造が一緒にボンディングされる。すなわち、シード層3及び第2のボンディング層4Aを有する第1の基板1を備える構造10Aが、支持基板5及び第2のボンディング層4Bを備える第2の構造10Bと一緒にボンディングされる。
図1では、第1のボンディング層4A及び第2のボンディング層4Bが互いに実質的に接触するように、構造10A、10Bのうちの一方、ここでは単に例示的な理由で構造10Aが上下逆に裏返されているかのように描かれている。第1のボンディング層4A及び第2のボンディング層4Bは、両方のボンディング層の間にボンディング界面4をそのときには形成する。ボンディング界面4は、直接ボンディング界面であってもよい。ボンディングは、2つのボンディング層4A、4Bを介して2つの構造の直接ボンディングにより実行されることが典型的である。直接ボンディングは、何らかのさらなるボンディング層を使用せずに、関係する2つの表面間の分子接着を典型的には表している。分子接着は、部分真空下で典型的には実行される。第1及び第2のボンディング層4A及び4Bを含むボンディング界面4は、ボンディング界面であること及びボンディング層4A、4Bの金属的性質のためにミラー機能をやはり有することの両者の機能を統合する。このようにミラー機能を統合することにより、光検出又は変換デバイスでの使用のための加工基板の効率が高められる。ミラー機能の統合が低い電気抵抗の維持に関する支持基板の設計により大きな自由度を与えるという理由で、ボンディング界面のところでのミラー機能の統合は、基板の裏面のところに形成されたミラーに対してさらに有利である。係る支持基板は、低い電気抵抗を維持するために高ドープであってもよいが、これはすでに指摘したようにフォトンのより大きな吸収を引き起こす。
【0037】
引き続いて、ステップCでは、第1の基板1が第1の基板1から除去され/切り離され、露出したシード層3を備える加工基板101を結果として得る。第1の基板1の除去は、様々な方法で実行されることある。とりわけ、グラインディング及び/又はバックエッチングが第1の基板1を除去するために使用されることがあり、以て結局はシード層3を露出させる。上記処理が選択される場合には、前のステップで実行されるボンディングプロセスは、高温で、例えば、200℃〜600℃の範囲内の温度で、又はより好ましくは300℃〜500℃の間の温度で行われることがある。もう1つの可能性は、ボンディングに先立ち第2の構造10B上へと第1の構造10Aの移動をスマートカット(Smart Cut)(商標)、すなわちボンディングの前のイオン注入ステップ及び次いで分離すること/切り離すことによって実行することであってもよい、
図2参照。この可能性に関して、ボンディングプロセスは、より低い温度で、好ましくは200℃未満で実行されるべきである。
【0038】
引き続いて、ステップDでは、追加の裏面金属コンタクト11が、第1の面とは反対側を向いた支持基板5の第2の面に設けられることがあり、以て加工基板103を得る。加工基板103は、追加の裏面金属コンタクトを有することを除いて、加工基板101と実質的に同じであってもよい。ステップD及びしたがって追加の裏面金属コンタクト11を設けることは、任意選択的であるが、加工基板103、そして最終的に加工基板を含んでいる太陽電池の効率をさらに向上させることができる。裏面金属コンタクト11は、ボンディング界面4のミラー機能に加えてもう1つのミラーとして働くことができる、すなわち、裏面金属コンタクトの目的は、基板内の未だ変換されていない係るフォトンを内部へと反射して戻すことである。裏面金属コンタクト11は、太陽電池の裏面への電気的コンタクト部を形成するために、例えば、複雑なワイアリングを回避するために導電性プレートと接触させるためにやはり働くことができる。
【0039】
図2は、
図1の実施形態の軽微な変更形態を示しているが、同じ主要なステップA、B、C及び任意選択的なステップDを共有している。同じ要素が、同じ参照番号により記されており、再び説明されない。
図2では、第1の支持基板は、第1の基板1の表面のところに設けられているジッパー層2を備えており、シード層3へのコンタクト部を表している。例えば、ジッパー層2は、イオン種の注入により形成された弱化層の形態に設けられることがある。イオン種は、例えば、水素イオン又はヘリウムイオンであってもよい。このケースでは、第1の基板1が、InP基板などのバルク基板として用意されることが可能であり、次いでバルク基板の最上面を通る注入が弱化層2を形成する。弱化層又はジッパー層2は、このように、それぞれバルク基板の最上部部分と下部部分とにあるシード層3と第1の基板1とを分離する。引き続いて、第1の基板1が、ジッパー層2によりシード層3から切り離される、例えば、第1の加工基板が、シード層3からの第1の基板1の切り離しを可能にするジッパー層2のところでへき開される。次いで、第1の基板1の切り離しのさらなるプロセスが、機械的な力を加えることによって仲立ちされることがあり、水素イオン又はヘリウムイオンによって形成された弱化層のところで剥離する。
【0040】
図2に示した上の実施形態に関して、シード層3が第1の基板1の一部であってもよく、弱化層2の存在により画定されることを人は理解する。しかしながら、本発明は係る構成には限定されない。シード層が第1の基板上へのエピタキシャル成長により形成されてもよいことが理解される。注入ステップは、第1の基板1又はシード層のいずれかに弱化層2をこのように画定できる。係る弱化層2は、すでに上に説明したようなその後の切り離しステップを考慮して形成される。移動させた層の係る切り離しの後のさらなる表面の調整(例えば、グラインディング、ポリッシング、エッチング)は、(必要とされる小さい粗さの)エピタキシャル成長のために適しているシード層、支持基板5に金属ボンディング層(4A、4B)を介してボンディングされる係るシード層3を後に残す。
【0041】
得られた加工基板101及び103、後者が裏面金属コンタクトを含む、は、実質的に
図1と同じである。シード層3の厚さは、典型的には150nm〜1μmに至るまでの範囲内である。移動がスマートカット(商標)により実行される場合には、前記厚さは、300nmに至るまでであってもよいが、最小20nmであることが可能である。さらにその上、支持基板5の厚さは、100μm〜500μmに至るまでの範囲であってもよい。支持基板5のドーピング濃度は、典型的には1×10
14〜5×10
17at/cm
3の範囲である。第1の半導体材料は、典型的には5.8〜6Å(0.58nm〜0.6nm)の範囲内の格子定数を有する。ボンディング層の厚さは、3nm〜2μmに至るまでの範囲内、好ましくは3nm〜20nmまでの範囲内である。後者のケースでは、厚さに依存するボンディング層内の低い吸収のために、裏面の第2のミラーが、効率をさらに高くするために適用可能なことがある。
【0042】
加工基板101及び103の各々は、MJ太陽電池を形成する際に使用されてもよい。利点は、様々な接合の材料が太陽光スペクトルとより良くマッチングするように調整され得ることである。