(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の塗料は、主剤の必須成分として水酸基価が150〜400mgKOH/gの範囲であるポリエステル樹脂(A)を用いる。ポリエステル樹脂(A)はその水酸基価が150〜400mgKOH/gの範囲にあることにより、油圧作動油に対する耐性及び塗膜物性の向上効果を奏する。更に、ポリエスエステル樹脂(A)の酸価は20mgKOH/g以下であることが好ましい。
【0011】
なお、本発明においてポリエステル樹脂の水酸基価は、ポリエステル樹脂を過剰の無水酢酸によりアセチル化したものについて、フェノールフタレインを指示薬とし、0.5N水酸化カリウム(エタノール溶液)による中和滴定方法で測定される値である。
【0012】
また、ポリエステル樹脂の酸価は、フェノールフタレインを指示薬とし、0.1N水酸化カリウム(エタノール溶液)による中和滴定方法で測定される値である。
【0013】
前記ポリエステル樹脂(A)は、一般的なポリエステル樹脂同様、多塩基酸原料とポリオール原料とを反応原料とするものが挙げられる。更に、所望の樹脂性能に応じて一塩基酸原料やモノヒドロキシ化合物を反応原料としてもよい。
【0014】
前記多塩基酸原料の具体例としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸化合物、及びこれらの酸無水物や酸ハロゲン化物、アルキルエステル等の誘導体;
【0015】
テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸等の脂環族ジカルボン酸化合物、及びこれらの酸無水物や酸ハロゲン化物、アルキルエステル等の誘導体;
【0016】
フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸化合物、及びこれらの酸無水物や酸ハロゲン化物、アルキルエステル等の誘導体;
【0017】
1,2,5−ヘキサントリカルボン酸等の3官能以上の脂肪族ポリカルボン酸化合物、及びこれらの酸無水物や酸ハロゲン化物、アルキルエステル等の誘導体;
【0018】
1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸等の3官能以上の脂環族ポリカルボン酸化合物、及びこれらの酸無水物や酸ハロゲン化物、アルキルエステル等の誘導体;
【0019】
トリメリット酸、無水トリメリット酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸等の3官能以上の芳香族ポリカルボン酸化合物、及びこれらの酸無水物や酸ハロゲン化物、アルキルエステル等の誘導体等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、二種類以上を併用しても良い。
【0020】
中でも、油圧作動油に対する耐性に優れることから、多塩基酸原料の50モル%以上が脂環族ジカルボン酸又はその誘導体であることが好ましい。更に、耐候性に優れることから、脂環族ジカルボン酸又はその誘導体と、肪族ジカルボン酸化合物又はその誘導体とを併用することが好ましく、多塩基酸原料全体に占める両者の合計が90モル%以上であることが好ましい。脂肪族ジカルボン酸化合物又はその誘導体の中でも、炭素原子数4〜8の直鎖の飽和脂肪族ジカルボン酸化合物又はその誘導体が好ましい。
【0021】
前記ポリオール原料の具体例としては、例えば、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール等の直鎖の脂肪族ジオール化合物;
【0022】
プロピレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,4−ブタンジオール、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−エチルブタン−14−ブタンジオール、2,3−ジメチル−1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジメチル−1,5−ペンタンジオール、3,3−ジメチルペンタン−1,5−ジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、3−プロピルペンタン−1,5−ジオール、2,2−ジエチル−1,4−ブタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジプロピル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2,5−ジエチル−1,6−ヘキサンジオール等の分岐鎖を有する脂肪族炭化水素のジオール化合物;
【0023】
シクロヘキサンジオールやシクロヘキサンジメタノール等の脂環構造含有ジオール化合物;
【0024】
ビフェノールやビスフェノール等の芳香環含有ジオール化合物;
【0025】
トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール等の3官能以上の脂肪族ポリオール化合物;
【0026】
トリヒドロキシベンゼン等の3官能以上の芳香族ポリオール化合物;
【0027】
前記各種のジオール又は3官能以上のポリオール化合物と、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン、エチルグリシジルエーテル、プロピルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル等の環状エーテル化合物との開環重合によって得られるポリエーテル変性ポリオール化合物;
【0028】
ポリカーボネートポリオール等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、二種類以上を併用しても良い。
【0029】
中でも、ポリオール原料の80モル%以上が脂肪族化合物であることが好ましい。また、ポリオール原料として前記分岐鎖を有する脂肪族炭化水素のジオール化合物を用いることが好ましい。
【0030】
前記ポリエステル樹脂(A)は、油圧作動油に対する耐性に優れることから、多塩基酸原料又はポリオール原料の一部に3官能以上の化合物を用いることが好ましい。3官能以上の化合物の中でも、3官能以上の脂肪族ポリオール化合物が好ましい。この時、ポリオール原料の5〜70モル%が3官能以上の脂肪族ポリオール化合物であることが好ましい。
【0031】
また、前記ポリエステル樹脂(A)は、耐候性に優れることから、反応原料の80質量%以上が非芳香族化合物であることが好ましい。
【0032】
前記ポリエステル樹脂(A)の製造方法は特に限定されず、どのような方法にて製造したものであっても良い。具体的には、反応原料の全てを一括で反応させても良いし、反応原料の一部を分割添加する方法で製造しても良い。反応温度は一般的なポリエステル樹脂の反応温度同様180〜300℃程度であることが好ましく、必要に応じて公知慣用のエステル化触媒を用いても良い。
【0033】
前記ポリエステル樹脂(A)は、必要に応じて有機溶剤中で反応させても良いし、反応終了後に有機溶剤を添加して粘度等を調整しても良い。前記有機溶剤は前記ポリエステル樹脂(A)を溶解し得るものであれば特に限定なく、公知慣用のものを用いることができる。有機溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン等のケトン溶剤;テトラヒドロフラン、ジオキソラン等の環状エーテル溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル溶剤;トルエン、キシレン、ソルベッソ等の芳香族系炭化水素溶剤;カルビトール、セロソルブ、メタノール、イソプロパノール、ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのアルコール溶剤が挙げられる。これら有機溶剤による希釈率は用途等に応じて適宜調整されるが、前記ポリエステル樹脂(A)は各種有機溶剤に対する溶解性が高いことから、比較的少ない溶剤量での塗料化が可能である。より具体的には、不揮発分が70質量%以上となる希釈率での塗料化が可能である。
【0034】
前記ポリエステル樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)は、500〜5,000の範囲であることにより、塗工作業性と塗膜物性に優れる塗料となる。更に、500〜3,000の範囲であることがより好ましい。尚、本発明においてポリエステル樹脂(A)の分子量は下記条件のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される値である。
【0035】
測定装置 ;東ソー株式会社製 HLC−8320GPC
カラム ;東ソー株式会社製 TSKgel 5000HXL、TSKgel 4000HXL、TSKgel 3000HXL、TSKgel 2000HXL
検出器 ;RI(示差屈折計)
データ処理;東ソー株式会社製 HLC−8320GPC Eco SEC−WorkStation 測定条件 ;カラム温度 40℃
溶媒 テトラヒドロフラン
流速 1.00ml/分
標準 ;単分散ポリスチレン
試料 ;樹脂固形分換算で0.2%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(100μl)
【0036】
本発明で用いる主剤は、前記ポリエステル樹脂(A)以外の樹脂成分を含有していてもよい。具体的には、前記ポリエステル樹脂(A)以外のポリエステル樹脂や、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリウレタンポリオール等が挙げられる。これらその他の樹脂成分を用いる場合、本発明が奏する効果が十分に発揮されることから、主剤の樹脂成分のうちの70質量%以上が前記ポリエステル樹脂(A)であることが好ましい。
【0037】
本発明の塗料は、硬化剤の必須成分としてポリイソシアネート化合物(B)を用いる。前記ポリイソシアネート化合物の具体例としては、例えば、ブタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート化合物;
【0038】
ノルボルナンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート化合物;
【0039】
トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート化合物;
【0040】
下記構造式(1)で表される繰り返し構造を有するポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート;
【0041】
【化1】
[式中、R
1はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜6の炭化水素基の何れかである。R
2はそれぞれ独立に炭素原子数1〜4のアルキル基、又は構造式(1)で表される構造部位と*印が付されたメチレン基を介して連結する結合点の何れかである。mは0又は1〜3の整数であり、lは1以上の整数である。]
【0042】
これらのイソシアヌレート変性体、ビウレット変性体、アロファネート変性体等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、二種類以上を併用しても良い。
【0043】
中でも、油圧作動油に対する耐性及び耐候性に優れることから、前記脂肪族ジイソシアネート化合物又はその変性体が好ましく、脂肪族ジイソシアネートのビウレット変性体であることがより好ましい。また、前記ポリイソシアネート化合物(B)のイソシアネート基含有量は10〜30質量%の範囲であることが好ましい。
【0044】
本発明で用いる硬化剤は、前記ポリイソシアネート化合物(B)以外の樹脂成分を含有していてもよい。具体的には、アミノ樹脂、レゾール樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。これらその他の樹脂成分を用いる場合、本発明が奏する効果が十分に発揮されることから、硬化剤の樹脂成分のうちの70質量%以上が前記ポリイソシアネート化合物(B)であることが好ましい。
【0045】
本発明の塗料は、硬化触媒、硬化促進剤、顔料、顔料分散剤、マッティング剤、レベリング剤、乾燥抑制剤、紫外線吸収剤、消泡剤、増粘剤、沈降防止剤、有機溶剤等の添加剤を含有していても良い。これら各種添加剤の種類や添加量は塗料の用途や所望の性能によって適宜調整される。前記各種添加剤は、主剤又は硬化剤のどちらか一方又は両方に添加することができる。
【0046】
本発明の塗料の用途は特に限定されないが、耐候性、耐食性、耐溶剤性に優れることから、例えば、塗装鋼板用や、家電、自動車、航空機、建材等の各種金属用途に好適に用いることができ、特に航空機用塗料として優れた性能を有する。
【0047】
本発明の塗料を用いて塗装する際、塗装は一層でも良いし、多層であっても良い。多層の場合、本発明の塗料の一種乃至複数種を重ねて塗装しても良いし、本発明の塗料とその他の塗料とを組み合わせて塗装しても良い。その他の塗料は、例えば、ポリエステル樹脂やウレタン樹脂、エポキシ樹脂等を主剤とする塗料が挙げられる。前述した各種用途における塗装の場合、一般には、プライマー層と呼ばれる層を基材に塗装した後、その上にトップコート層と呼ばれる層を塗装する方法が広く用いられている。本発明の塗料は、プライマー層としても、トップコート層としても利用することができる。プライマー層の膜厚は凡そ0.5〜30μm程度であることが好ましい。また、トップコート層の膜厚は凡そ1〜60μm程度であることが好ましい。塗料の塗布方法は、公知慣用の方法を何れも利用でき、例えば、スプレーコート、ディップコート、スピンコート、フローコート、ローラーコート等が挙げられる。塗料の硬化条件は、硬化剤の選択や膜厚等によって適宜調整されるが、120〜350℃程度の温度範囲で数秒から数分間程度加熱硬化させる方法が好ましい。
【実施例】
【0048】
以下に本発明を具体的な合成例、実施例を挙げてより詳細に説明する。以下、「部」「%」は、特に記載のない限り、質量基準である。
【0049】
本願実施例において数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)は下記条件のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した。
【0050】
測定装置 ;東ソー株式会社製 HLC−8320GPC
カラム ;東ソー株式会社製 TSKgel 5000HXL、TSKgel 4000HXL、TSKgel 3000HXL、TSKgel 2000HXL
検出器 ;RI(示差屈折計)
データ処理;東ソー株式会社製 HLC−8320GPC Eco SEC−WorkStation 測定条件 ;カラム温度 40℃
溶媒 テトラヒドロフラン
流速 1.00ml/分
標準 ;単分散ポリスチレン
試料 ;樹脂固形分換算で0.2%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(100μl)
【0051】
ポリエステル樹脂の水酸基価は、ポリエステル樹脂を過剰の無水酢酸によりアセチル化したものについて、フェノールフタレインを指示薬とし、0.5N水酸化カリウム(エタノール溶液)による中和滴定方法で測定した。
【0052】
ポリエステル樹脂の酸価は、フェノールフタレインを指示薬とし、0.1N水酸化カリウム(エタノール溶液)による中和滴定方法で測定した。
【0053】
製造例1 ポリエステル樹脂(A−1)の製造
攪拌機、温度計、脱水トラップ付き還流冷却器および窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、ネオペンチルグリコール22.5質量部、トリメチロールプロパン30.4質量部、ヘキサヒドロ無水フタル酸29.2質量部、アジピン酸17.9質量部、ジブチル錫オキサイド0.025質量部を仕込み、230℃まで加熱して反応させた。水酸基価が設計値付近に達したことを確認した後、反応混合物を冷却し、2−ヘプタノンを加えて不揮発分を約80質量%に調整し、ポリエステル樹脂(A−1)溶液を得た。ポリエステル樹脂(A−1)の水酸基価は295mgKOH/g、酸価は10mgKOH/g、重量平均分子量(Mw)は860であった。
【0054】
製造例2 ポリエステル樹脂(A−2)の製造
攪拌機、温度計、脱水トラップ付き還流冷却器および窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、ネオペンチルグリコール42.2質量部、トリメチロールプロパン7.9質量部、ヘキサヒドロ無水フタル酸33.1質量部、アジピン酸16.8質量部、ジブチル錫オキサイド0.025質量部を仕込み、230℃まで加熱して反応させた。水酸基価が設計値付近に達したことを確認した後、反応混合物を冷却し、2−ヘプタノンを加えて不揮発分を約80質量%に調整し、ポリエステル樹脂(A−1)溶液を得た。ポリエステル樹脂(A−1)の水酸基価は198mgKOH/g、酸価は10mgKOH/g、重量平均分子量(Mw)は1,600であった。
【0055】
実施例1、2及び比較例1
下記要領で塗料を製造し、各種評価試験を行った。結果を表2に示す。
特に言及がない限り、各種評価試験はMIL−PRF−85285Eに準拠して行った。
【0056】
主剤の製造
表1に示す割合で各成分を配合し、酸化チタンの粒径が10μm以下となるまでビーズミルで分散を行った。
表1中の各成分の詳細は以下の通り。
・フッ素系樹脂:DIC株式会社製「フルオネート K−704」、固形分の水酸基価48mgKOH/g
・酸化チタン:Dupont社製「Ti−PureR960」
・シリカ:Evonik Industries社製「Aerosil R972」
・溶剤:メチルアミノケトン/プロピレンクリコールモノメチルエーテルアセテート/酢酸ブチル/メチルエチルケトン/アセチルアセトンの混合溶剤
【0057】
【表1】
【0058】
塗料の製造
先で得た主剤と、硬化剤(Covestro製「desmodur N75 MPA」、ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット変性体、イソシアネート基含有量16.5質量%、不揮発分75.2質量%)とを、主剤中の水酸基と硬化剤中のイソシアネート基とのモル比が1/1になるように配合し、塗料を得た。
【0059】
塗装板の作成
クロメート処理アルミ板(ヘンケル社製「Alodine 1200」)上に先で得た塗料をバーコーターで塗装し、約8時間乾燥させて、約50μmの塗膜を有する塗装板形成させた。
【0060】
塗膜の表面硬度測定
先で得た塗装板の塗装面の鉛筆硬度をJIS K5600−5−4に準じて測定した。具体的には、塗装板の塗装面に対し約45゜の角度に鉛筆の芯を当て、芯が折れない程度に強く試験塗膜に押しつけながら前方に均一な早さで約10mm動かした。塗膜に傷が付かなかったもっとも硬い鉛筆の硬度記号を鉛筆硬度とした。
【0061】
耐溶剤性の評価
1cm×1cm×4cm脱脂綿にメチルエチルケトンを含浸させ、1cm×1cm圧子の先端に脱脂綿を折りたたんで挿み、該圧子に1kg重の荷重をかけて、塗装面上を25往復させた。試験後の塗装面を目視で観察し、以下の基準で評価した。
A:塗装面に変化なし
B:塗装面に曇りや剥がれ等が生じる
【0062】
基材密着性の評価
先で得た塗装板の塗装面に2mm間隔で10×10の碁盤目状にカッターナイフで切れ目を入れ、2mm
2の碁盤目を100個作った。碁盤目上にニチバン社製のセロハンテープを貼りつけて、急速に剥がす操作を行い、剥離せずに残存した碁盤目の数を数えた。
【0063】
油圧作動油に対する耐性の評価
先で得た塗装板から8cm×6cmサイズの試験片を切り出し、塗装面にカッターでクロスカットを入れた後、25℃にてのリン酸エステル系難燃性航空機用油圧作動油「skydrol LD−4」に7日間浸漬させた。引き上げてから60分後の外観を目視にて評価した。
評価判定の基準は、
A:外観に異常がない場合
B:クロスカット部若しくは端部に膨れ3mm未満が発生した場合
C:クロスカット部若しくは端部に膨れ3mm以上が発生した場合
【0064】
SST(塩水噴霧)試験
JIS K−5600−7−1(1999)に準拠して行った。先で得た塗装板の塗装面にカッターでクロスカットを入れた後、試験器内に置き、2000時間後の外観を目視にて評価した。
【0065】
耐候性試験(ΔE値による評価)
先で得た塗装板について、スーパーキセノンウェザーメーター試験機(スガ試験機株式会社製「SX2−75」)を用い、促進耐候性試験を1000時間実施した。試験前後の塗装板塗装面のL、a、b値を測定し、そこから計算式で求めた色差ΔE値で評価した。
(試験条件)
放射照度:180W/m
2(波長範囲300〜700nm)
ブラックパネル温度:63℃
光照射及び水噴霧の方法:120分サイクル(102分間の光照射、続いて18分間の光照射及び水噴霧)
【0066】
耐候性試験(光沢の評価)
先で得た塗装板について、スーパーキセノンウェザーメーター試験機(スガ試験機株式会社製「SX2−75」)を用い、促進耐候性試験を1000時間実施した。試験後の塗装板塗装面の60度鏡面反射率(%)を光沢計(日本電色工業株式会社製「Gloss Meter VG7000」)にて測定した。
(試験条件)
放射照度:180W/m
2(波長範囲300〜700nm)
ブラックパネル温度:63℃
光照射及び水噴霧の方法:120分サイクル(102分間の光照射、続いて18分間の光照射及び水噴霧)
【0067】
【表2】