(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施の形態に関して、詳細に説明する。なお、本出願において、「A〜B」とは、「A以上、B以下」であることを示している。
【0019】
[実施形態1:組成物]
本発明の実施形態1に係る組成物は、一般式(A)で表される化合物(以下、化合物(A)と称する)と、一般式(B)で表される化合物(以下、化合物(B)と称する)とを含むことを特徴とする。
【0021】
[一般式(A)および一般式(B)中、R
10aは、一般式(S−1)〜一般式(S−7)のいずれかで表される基を表す。
【0023】
一般式(S−2)中、R
2aおよびR
3aは、各々独立して、水素原子またはアルキル基を表す。R
2aおよびR
3aで表される上記アルキル基は、互いに結合して環を形成してもよい。mは、0〜10の整数を表す。
【0025】
(上記一般式(Ar−1)〜一般式(Ar−3)中、P
1およびP
2は、それぞれ独立して、−S−、−O−または−N(R
12)−を表し、R
12は、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表し、Q
1、Q
2、Q
3、Q
4、およびQ
5は、それぞれ独立して、=N−または=CH−を表す。
【0026】
R
8〜R
9は、水素原子以外の置換基であって、各々独立して、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲン原子、またはシアノ基を表し、上記アルキル基および上記アルコキシ基を構成する一つ以上の水素原子は、ハロゲン原子またはヒドロキシ基で置換されていてもよい。q、およびrは、0〜2の整数を表す。)
R
1aは、各々独立して、炭素数2〜5のアルキル基、炭素数2〜5のアルコキシ基、炭素数2〜5のアシル基、炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜5のオキシカルボニル基、ハロゲン原子、またはシアノ基を表し、上記アルキル基、アルコキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、およびオキシカルボニル基を構成する一つ以上の水素原子は、ハロゲン原子またはヒドロキシ基で置換されていてもよい。
【0027】
R
1bは、各々独立して、炭素数3〜20のアルキル基、炭素数3〜20のアルコキシ基、炭素数3〜20のアシル基、炭素数3〜20のアルコキシカルボニル基、炭素数3〜20のオキシカルボニル基、ハロゲン原子、またはシアノ基を表し、上記アルキル基、アルコキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、およびオキシカルボニル基を構成する一つ以上の水素原子は、ハロゲン原子またはヒドロキシ基で置換されていてもよい。
【0028】
但し、R
1aとR
1bとは互いに異なる基である。]
本発明の組成物は、互いに異なる構造を有する化合物(A)および化合物(B)を含有することによって、その安定性が向上し、かつ、高い二色比を有する光学フィルムの原料として使用することができる。
【0029】
本発明の組成物の安定性が向上する理由としては、本発明の組成物中において、化合物(A)および化合物(B)が、結晶化し難くなり、従って、化合物(A)および化合物(B)の相溶性(溶解性)が向上し、その結果として、本発明の組成物の安定性が向上するからであると推察される。
【0030】
本発明の組成物は、重合性液晶化合物をさらに含むことが好ましい。上記重合性液晶化合物をさらに含む組成物から、当該組成物中の重合性液晶化合物(重合性成分)を重合させることにより、二色性色素として機能する化合物(A)および化合物(B)を含有する光学フィルム(偏光膜)が好適に形成され得る。
【0031】
本発明の組成物に含まれ得る各成分について以下に説明する。
【0032】
<二色性色素>
本発明における化合物(A)、化合物(B)は、二色性色素として機能し、通常、波長400〜800nmの範囲内に吸収を有する。
【0033】
化合物(A)、化合物(B)のアゾベンゼン部位の位置異性は、トランスであることが好ましい。
【0034】
化合物(A)と化合物(B)とが有するR
10aは、互いに同一の基である。化合物(A)、化合物(B)のR
10aは、好ましくは上記一般式(S−2)で表される基である。
【0035】
上記一般式(S−2)で表される基中、R
2aおよびR
3aで表される基はアルキル基であることが好ましく、また、当該アルキル基は炭素数1〜3のアルキル基、または、下記一般式(S−8)〜(S−9)で表される基であることが好ましい。
【0037】
化合物(A)、化合物(B)のAr
1a、Ar
1b、Ar
2a、Ar
2b、Ar
3aおよびAr
3bは、各々独立して、一般式(Ar−1)〜一般式(Ar−3)のいずれかで表される基を表す。
【0039】
上記一般式(Ar−1)〜一般式(Ar−3)中、P
1およびP
2は、それぞれ独立して、−S−、−O−または−N(R
12)−を表し、R
12は、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表し、Q
1、Q
2、Q
3、Q
4、およびQ
5は、それぞれ独立して、=N−または=CH−を表す。また、R
8〜R
9は、水素原子以外の置換基であって、各々独立して、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲン原子、またはシアノ基を表し、上記アルキル基および上記アルコキシ基を構成する一つ以上の水素原子は、ハロゲン原子またはヒドロキシ基で置換されていてもよい。q、およびrは、0〜2の整数を表す。
【0040】
上記一般式(Ar−1)〜一般式(Ar−3)で表される基は、特に限定されないが、例えば、以下の式(R−1)〜式(R−10)で表される基が挙げられる。
【0042】
上記基の中では、Ar
1a、Ar
1b、Ar
3aおよびAr
3bが、式(R−1)で表される基であることが好ましく、Ar
2aおよびAr
2bは式(R−5)で表される基であることが好ましい。
【0043】
本発明の組成物に含まれる化合物(A)が有するAr
1aと、化合物(B)が有するAr
1bとは同一の基であることが好ましい。また、化合物(A)が有するAr
2aと、化合物(B)が有するAr
2bとは同一の基であることが好ましく、化合物(A)が有するAr
3aと、化合物(B)が有するAr
3bとは同一の基であることが好ましい。特には、化合物(A)が有するAr
1a、Ar
2a、Ar
3aと、それらに対応する化合物(B)が有するAr
1b、Ar
2b、Ar
3bとが同一の基であることが好ましい。
【0044】
すなわち、本発明の組成物において、化合物(A)と化合物(B)とは、R
1aとR
1bとが互いに異なる基である以外は、同一の構造を有することが好ましい。化合物(A)と化合物(B)とで、R
1aとR
1bとが互いに異なる基である以外は、同一の構造を有することで、得られる光学フィルムの二色比が向上する傾向があり、また、後述するように組成物の生産性の面において好ましい。
【0045】
化合物(A)のR
1aは、炭素数2〜5のアルキル基、炭素数2〜5のアルコキシ基、炭素数2〜5のアシル基、炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜5のオキシカルボニル基、ハロゲン原子、またはシアノ基を表し、上記アルキル基、アルコキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、およびオキシカルボニル基を構成する一つ以上の水素原子は、ハロゲン原子またはヒドロキシ基で置換されていてもよい。
【0046】
R
1aとしては、炭素数2〜5のアルキル基、炭素数2〜5のアルコキシ基、炭素数2〜5のアシル基、炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基、または炭素数2〜5のオキシカルボニル基であることが好ましい。
【0047】
化合物(B)のR
1bは、R
1aと異なる基である。R
1bは、炭素数3〜20のアルキル基、炭素数3〜20のアルコキシ基、炭素数3〜20のアシル基、炭素数3〜20のアルコキシカルボニル基、炭素数3〜20のオキシカルボニル基、ハロゲン原子、またはシアノ基を表し、上記アルキル基、アルコキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、およびオキシカルボニル基を構成する一つ以上の水素原子は、ハロゲン原子またはヒドロキシ基で置換されていてもよい。
【0048】
R
1bとしては、炭素数2〜5のアルキル基、炭素数2〜5のアルコキシ基、炭素数2〜5のアシル基、炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基、または炭素数2〜5のオキシカルボニル基であることが好ましい。
【0049】
R
1aおよびR
1bが、それぞれ独立に、炭素数2〜5のアルキル基、炭素数2〜5のアルコキシ基、炭素数2〜5のアシル基、炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基、または炭素数2〜5のオキシカルボニル基である場合、R
1aの炭素数<R
1bの炭素数の関係を満たすことが好ましい。
【0050】
また、R
1aおよびR
1bが共に、同一種類の基であることが好ましい。ここで、「R
1aおよびR
1bが共に、同一種類の基である」とは、R
1aおよびR
1bが共に、上記アルキル基、アルコキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、オキシカルボニル基、およびハロゲン原子からなる群から選ばれる同一のカテゴリーに属する基であることを意味する。
【0051】
本発明における化合物(A)は、上述の条件を充足すれば、特に限定されないが、例えば、下記式(A−1)〜式(A−19)にてそれぞれ表される化合物(以下、化合物(A−N)(N:1〜19の整数)と称する)が挙げられる。
【0054】
本発明における化合物(A)としては、上述した化合物の中で、化合物(A−1)、化合物(A−4)、化合物(A−7)、化合物(A−9)、化合物(A−10)、化合物(A−17)、または化合物(A−19)であることが好ましく、化合物(A−1)、化合物(A−17)、または(A−19)であることがより好ましい。
【0055】
また、本発明における化合物(A)は、1種類の化合物でもよいし、R
1aが同一の基である複数種の化合物の混合物でもよい。
【0056】
本発明における化合物(B)は、上述の条件を充足すれば、特に限定されないが、例えば、下記式(B−1)〜式(B−19)にてそれぞれ表される化合物(以下、化合物(B−M)(M:1〜19の整数)と称する)が挙げられる。
【0059】
本発明における化合物(B)としては、上述した化合物の中で、化合物(B−1)、化合物(B−4)、化合物(B−7)、化合物(B−9)、化合物(B−10)、化合物(B−17)、または化合物(B−19)であることが好ましく、化合物(B−1)、化合物(B−17)、または(B−19)であることがより好ましい。
【0060】
また、本発明における化合物(B)は、1種類の化合物でもよいし、R
1bが同一の基である複数種の化合物の混合物でもよい。
【0061】
本発明における化合物(A)と化合物(B)の組み合わせとしては、化合物(A−1)と化合物(B−1)、化合物(A−4)と化合物(B−4)、化合物(A−7)と化合物(B−7)、化合物(A−9)と化合物(B−9)、化合物(A−10)と化合物(B−10)、化合物(A−17)と化合物(B−17)、または化合物(A−19)と化合物(B−19)であることが好ましく、化合物(A−1)と化合物(B−1)、化合物(A−17)と化合物(B−17)、または(A−19)と化合物(B−19)であることがより好ましい。なお、化合物(A)および/または化合物(B)が複数種の化合物の混合物である場合においても、上記組成物に含まれる化合物(A)および化合物(B)中において、上述した好ましい組み合わせの化合物が含まれていればよい。
【0062】
本発明の組成物において、化合物(A)と化合物(B)で、R
1aとR
1bとが互いに異なる基である以外は、同一の構造を有することは、化合物(A)と化合物(B)とを同一原料から製造することができるため、組成物の生産性の面において利点がある。具体例を挙げて説明すると、例えば、特開平1−146960号公報に開示されている方法に準じることによって、化合物(A)および化合物(B)を製造することができる。
【0063】
化合物(A)および化合物(B)の具体的な製造方法としては、例えば、以下に示す方法が挙げられる。
【0064】
以下の一般式(C−1)で表される化合物(以下、化合物(C−1)と称する)と、以下の一般式(C−2)で表される化合物(以下、化合物(C−2)と称する)を、
【0066】
[一般式(C−1)および一般式(C−2)中の各符号は、いずれも上記一般式(A)、上記一般式(B)における各符号と同一の基を表す。]
それぞれ適当な方法でジアゾ化し、特開平1−146960号公報に記載の方法に準じて、以下の一般式(D−1)で表される化合物(以下、化合物(D−1)と称する)と、以下の一般式(D−2)で表される化合物(以下、化合物(D−2)と称する)とを、それぞれ別々に得る。
【0068】
[一般式(D−1)および一般式(D−2)中の各符号は、いずれも上記一般式(A)、上記一般式(B)における各符号と同一の基を表す。]
続いて、化合物(D−1)と化合物(D−2)を、以下の一般式(E−1)で表される化合物(以下、化合物(E−1)と称する)と、ジアゾカップリング反応させることで、化合物(A)と化合物(B)を製造する。
【0070】
[一般式(E−1)中の各符号は、いずれも上記一般式(A)、上記一般式(B)における各符号と同一の基を表す。]
上述した方法のように、化合物(A)および化合物(B)をそれぞれ別々に製造しておいて、これらを混合することによって、本発明の組成物を調製することができる。
【0071】
一方、例えば、化合物(C−1)と化合物(C−2)の混合物を、一つの反応容器中で同時にジアゾカップリング反応させれば、一度の反応で化合物(D−1)と化合物(D−2)の混合物を得ることができ、この混合物をさらに化合物(E−1)とジアゾカップリング反応させることによって、化合物(A)および化合物(B)を同時に、かつ、簡便に合成することもできる。
【0072】
上述したように化合物(A)および化合物(B)を同時に一度の反応で製造することができる。また、化合物(A)および化合物(B)は、その他従来公知の方法によって製造され得る。例えば、特開平1−146960号公報に開示されている方法に準じた方法を使用することによって、当業者は容易に、化合物(A)および化合物(B)を高純度で製造することができる。
【0073】
本発明の組成物において、化合物(A)の含有量と化合物(B)の含有量の合計を100質量%とした場合の、化合物(A)の含有量は、2質量%〜98質量%であることが好ましく、33質量%〜66質量%であることがより好ましい。なお、上記含有量は、化合物(A)および/または化合物(B)が複数種の化合物の混合物である場合には、その複数種の化合物の合計量を意味する。
【0074】
<重合性液晶化合物>
重合性液晶化合物とは、分子内に重合性基を有し、配向することによって液晶相を示すことができる化合物であり、好ましくは単独で配向することによって液晶相を示すことができる化合物である。
【0075】
重合性基とは、重合反応に関与する基を意味し、光重合性基であることが好ましい。ここで、重合性基とは、後述する重合開始剤から発生した活性ラジカルや酸等によって重合反応に関与し得る基のことをいう。重合性基としては、ビニル基、ビニルオキシ基、1−クロロビニル基、イソプロペニル基、4−ビニルフェニル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、オキシラニル基、およびオキセタニル基が挙げられる。中でも、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニルオキシ基、オキシラニル基、およびオキセタニル基が好ましく、アクリロイルオキシ基がより好ましい。
【0076】
重合性液晶化合物は、サーモトロピック液晶型であってもよいし、リオトロピック液晶型であってもよい。
【0077】
本発明における重合性液晶化合物は、好ましくは、スメクチック液晶相を示すスメクチック液晶性化合物であり、より好ましくは高次スメクチック液晶相を示す高次スメクチック液晶化合物である。スメクチック液晶相を示す重合性液晶化合物を含む本発明の組成物は、偏光性能により優れる偏光膜(光学フィルム)を与えることができる。本発明の組成物は、2種類以上の重合性液晶化合物を含んでいてもよい。
【0078】
化合物(A)および化合物(B)は、スメクチック液晶相を示す重合性液晶化合物から形成された、密な分子鎖間に分散した状態であっても、高い二色性を示すことができる。従って、本発明の組成物は、重合性液晶化合物を含むことによって、二色比の高い偏光膜(光学フィルム)の形成に好適に使用することができる。また、重合性成分である重合性液晶化合物を重合することで形成される光学フィルムは、より安定性に優れた偏光膜(光学フィルム)となるため好適である。
【0079】
高次スメクチック液晶相としては、スメクチックB相、スメクチックD相、スメクチックE相、スメクチックF相、スメクチックG相、スメクチックH相、スメクチックI相、スメクチックJ相、スメクチックK相、およびスメクチックL相が挙げられる。中でも、スメクチックB相、スメクチックF相、およびスメクチックI相が好ましく、スメクチックB相がより好ましい。重合性液晶化合物が示すスメクチック液晶相がこれら高次スメクチック相であると、配向秩序度のより高い偏光膜(光学フィルム)が得られる。配向秩序度の高い高次スメクチック液晶相を示す重合性液晶化合物を含む組成物から得られる偏光膜(光学フィルム)は、X線回折測定においてヘキサチック相またはクリスタル相といった高次構造由来のブラッグピークを示す。ブラッグピークとは、分子配向の面周期構造に由来するピークである。本発明の組成物から得られる偏光膜(光学フィルム)が有する周期間隔(秩序周期)は、好ましくは0.30〜0.50nmである。
【0080】
重合性液晶化合物が示す液晶相の種類は、例えば、以下に示す方法で確認することができる。即ち、適当な基材を準備し、当該基材に重合性液晶化合物と溶剤とを含む溶液を塗布して塗布膜を形成した後、加熱処理または減圧処理することで当該塗布膜に含有される溶剤を除去する。続いて、基材上に形成された塗布膜を等方相温度まで加熱した後、徐々に冷却することで発現する液晶相を、偏光顕微鏡によるテクスチャー観察、X線回折測定または示差走査熱量測定により検査する。この検査において、例えば、第一温度まで冷却することでネマチック液晶相を示し、さらに第二温度まで除々に冷却することで、スメクチック液晶相を示すことを確認することができる。
【0081】
重合性液晶組成物は、好ましくは式(4)で表される化合物(以下、「化合物(4)」とも称する)である。
【0082】
U
1−V
1−W
1−X
1−Y
1−X
2−Y
2−X
3−W
2−V
2−U
2 (4)
(式中、X
1、X
2およびX
3は、各々独立して、置換基を有していてもよい1,4−フェニレン基、または置換基を有していてもよいシクロヘキサン−1,4−ジイル基を表す。但し、X
1、X
2およびX
3のうちの少なくとも一つは、置換基を有していてもよい1,4−フェニレン基である。シクロへキサン−1,4−ジイル基を構成する−CH
2−は、−O−、−S−または−NR−に置換されていてもよい。Rは、炭素数1〜6のアルキル基またはフェニル基を表す。
Y
1およびY
2は、各々独立して、単結合、−CH
2CH
2−、−CH
2O−、−COO−、−OCOO−、−N=N−、−CR
a=CR
b−、−C≡C−、または−CR
a=N−を表す。R
aおよびR
bは、各々独立して、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表す。
U
1は、水素原子または重合性基を表す。
U
2は、重合性基を表す。
W
1およびW
2は、各々独立して、単結合、−O−、−S−、−COO−、または−OCOO−を表す。
V
1およびV
2は、各々独立して、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルカンジイル基を表し、当該アルカンジイル基を構成する−CH
2−は、−O−、−S−または−NH−に置換されていてもよい。)
化合物(4)において、X
1、X
2およびX
3のうちの少なくとも一つは、好ましくは置換基を有していてもよい1,4−フェニレン基である。
【0083】
置換基を有していてもよい1,4−フェニレン基は、好ましくは置換基を有していない1,4−フェニレン基である。置換基を有していてもよいシクロへキサン−1,4−ジイル基は、好ましくは置換基を有していてもよいトランス−シクロへキサン−1,4−ジイル基である。置換基を有していてもよいトランス−シクロへキサン−1,4−ジイル基は、好ましくは置換基を有していないトランス−シクロへキサン−1,4−ジイル基である。
【0084】
置換基を有していてもよい1,4−フェニレン基、または置換基を有していてもよいシクロへキサン−1,4−ジイル基が任意に有する置換基としては、メチル基、エチル基、n−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基、シアノ基、およびハロゲン原子が挙げられる。
【0085】
Y
1は、好ましくは単結合、−CH
2CH
2−、または−COO−であり、Y
2は、好ましくは−CH
2CH
2−または−CH
2O−である。
【0086】
U
1は、水素原子または重合性基であり、好ましくは重合性基である。U
2は、重合性基である。U
1およびU
2は、ともに重合性基であることが好ましく、ともに光重合性基であることがより好ましい。光重合性基を有する重合性液晶化合物は、より低温条件下で重合できる点で有利である。
【0087】
U
1およびU
2で表される重合性基は、互いに異なっていてもよいが、好ましくは互いに同一である。重合性基としては、ビニル基、ビニルオキシ基、1−クロロビニル基、イソプロペニル基、4−ビニルフェニル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、オキシラニル基、およびオキセタニル基が挙げられる。中でも、ビニルオキシ基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、オキシラニル基、およびオキセタニル基が好ましく、アクリロイルオキシ基がより好ましい。
【0088】
V
1およびV
2で表されるアルカンジイル基としては、メチレン基、エチレン基、プロパン−1,3−ジイル基、ブタン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基、ヘプタン−1,7−ジイル基、オクタン−1,8−ジイル基、デカン−1,10−ジイル基、テトラデカン−1,14−ジイル基、およびイコサン−1,20−ジイル基が挙げられる。V
1およびV
2は、好ましくは炭素数2〜12のアルカンジイル基であり、より好ましくは炭素数6〜12のアルカンジイル基である。
【0089】
置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルカンジイル基が任意に有する置換基としては、シアノ基およびハロゲン原子が挙げられる。当該アルカンジイル基は、好ましくは置換基を有していないアルカンジイル基であり、より好ましくは置換基を有しておらず、かつ直鎖状のアルカンジイル基である。
【0090】
W
1およびW
2は、各々独立して、単結合または−O−であることが好ましい。
【0091】
化合物(4)の具体例としては、下記式(4−1)〜式(4−43)で表される化合物が挙げられる。化合物(4)がシクロヘキサン−1,4−ジイル基を有する場合には、そのシクロヘキサン−1,4−ジイル基は、トランス型であることが好ましい。
【0096】
上述した重合性液晶化合物の具体例の中でも、式(4−5)、式(4−6)、式(4−7)、式(4−8)、式(4−9)、式(4−10)、式(4−11)、式(4−12)、式(4−13)、式(4−14)、式(4−15)、式(4−22)、式(4−24)、式(4−25)、式(4−26)、式(4−27)、式(4−28)、および式(4−29)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種類の化合物(4)が好ましい。
【0097】
本発明の組成物は、2種類以上の化合物(4)を含んでいてもよい。2種類以上の重合性液晶化合物を組み合わせる場合には、そのうちの少なくとも1種類が化合物(4)であることが好ましく、そのうちの2種類以上が化合物(4)であることがより好ましい。2種類以上の重合性液晶化合物を組み合わせることにより、液晶−結晶相転移温度以下の温度であっても液晶相を一時的に保持することができる場合がある。2種類の重合性液晶化合物を組み合わせる場合の混合比としては、通常、1:99〜50:50であり、好ましくは5:95〜50:50であり、より好ましくは10:90〜50:50である。
【0098】
化合物(4)は、例えば、Lub et al. Recl. Trav. Chim. Pays-Bas, 115, 321-328 (1996)、特許第4719156号等の公知文献に記載の方法により製造することができる。
【0099】
本発明の組成物における重合性液晶化合物の含有割合は、重合性液晶化合物の配向性を高くするという観点から、本発明の組成物の固形分100質量部に対して、好ましくは70〜99.5質量部であり、より好ましくは80〜99質量部であり、さらに好ましくは80〜94質量部であり、特に好ましくは80〜90質量部である。ここで、固形分とは、本発明の組成物中の、溶剤以外の成分の合計量をいう。
【0100】
本発明の光学フィルムおよび本発明の組成物は、好ましくは重合開始剤および溶媒を含み、必要に応じて、光増感剤、重合禁止剤およびレベリング剤をさらに含んでいてもよい。
【0101】
<重合開始剤>
重合開始剤は、重合性液晶化合物の重合反応を開始し得る化合物である。重合開始剤としては、光の作用により活性ラジカルを発生する光重合開始剤が好ましい。
【0102】
重合開始剤としては、ベンゾイン化合物、ベンゾフェノン化合物、アルキルフェノン化合物、アシルホスフィンオキサイド化合物、トリアジン化合物、ヨードニウム塩、およびスルホニウム塩が挙げられる。
【0103】
ベンゾイン化合物としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、およびベンゾインイソブチルエーテルが挙げられる。
【0104】
ベンゾフェノン化合物としては、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’−テトラ(tert−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、および2,4,6−トリメチルベンゾフェノンが挙げられる。
【0105】
アルキルフェノン化合物としては、ジエトキシアセトフェノン、2−メチル−2−モルホリノ−1−(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1,2−ジフェニル−2,2−ジメトキシエタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕プロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、および2−ヒドロキシ−2−メチル−1−〔4−(1−メチルビニル)フェニル〕プロパン−1−オンのオリゴマーが挙げられる。
【0106】
アシルホスフィンオキサイド化合物としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、およびビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイドが挙げられる。
【0107】
トリアジン化合物としては、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシナフチル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシスチリル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(フラン−2−イル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、および2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル〕−1,3,5−トリアジンが挙げられる。
【0108】
ヨードニウム塩およびスルホニウム塩としては、例えば、下記式で表される塩が挙げられる。
【0110】
重合開始剤は、1種類のみを用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0111】
重合開始剤として、市販品を用いることもできる。市販の重合開始剤としては、イルガキュア(Irgacure)(登録商標)907、184、651、819、250、および369(チバスペシャルティケミカルズ株式会社製);セイクオール(登録商標)BZ、Z、およびBEE(精工化学株式会社製);カヤキュアー(kayacure)(登録商標)BP100、およびUVI−6992(ダウ・ケミカル株式会社製);アデカオプトマーSP−152、およびSP−170(株式会社ADEKA製);TAZ−A、およびTAZ−PP(日本シイベルヘグナー株式会社製);並びに、TAZ−104(株式会社三和ケミカル製);が挙げられる。
【0112】
本発明の組成物が重合開始剤を含む場合において、本発明の組成物における重合開始剤の含有量は、重合性液晶化合物の配向を乱し難いという観点から、重合性液晶化合物100質量部に対して、通常、0.1〜30質量部であり、好ましくは0.5〜10質量部であり、より好ましくは0.5〜8質量部である。
【0113】
<溶媒>
溶媒は、化合物(A)および化合物(B)、並びに上記重合性液晶化合物を完全に溶解し得る溶媒であることが好ましい。また、重合性液晶化合物の重合反応に不活性な溶媒であることが好ましい。
【0114】
溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、エチレングリコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールブチルエーテルおよびプロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートおよび乳酸エチル等のエステル溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノンおよびメチルイソブチルケトン等のケトン溶媒;ペンタン、ヘキサンおよびヘプタン等の脂肪族炭化水素溶媒;トルエンおよびキシレン等の芳香族炭化水素溶媒;アセトニトリル等のニトリル溶媒;テトラヒドロフランおよびジメトキシエタン等のエーテル溶媒;クロロホルムおよびクロロベンゼン等の塩素含有溶媒;等が挙げられる。これら溶媒は、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0115】
組成物100質量部に占める溶媒の含有量は、50質量部〜98質量部であることが好ましい。従って、組成物100質量部に占める固形分は、2質量部〜50質量部であることが好ましい。組成物の固形分が50質量部以下であると、組成物の粘度が低くなることから、得られる光学フィルムの厚みが略均一になり、光学フィルムにムラが生じ難くなる傾向がある。上記固形分は、製造しようとする光学フィルムの厚みを考慮して適宜定めることができる。
【0116】
<増感剤>
増感剤を用いることにより、重合性液晶化合物の重合反応をより促進させることができる。
【0117】
増感剤としては、特に本発明の組成物に光重合開始剤が含有されている場合において、光増感剤が好ましい。増感剤としては、例えば、キサントンおよびチオキサントン等のキサントン化合物(2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン等);アントラセンおよびアルコキシ基含有アントラセン(ジブトキシアントラセン等)等のアントラセン化合物;フェノチアジンおよびルブレン等が挙げられる。
【0118】
組成物における増感剤の含有量は、重合性液晶化合物100質量部に対して、0.1質量部〜30質量部であることが好ましく、0.5質量部〜10質量部であることがより好ましく、0.5質量部〜8質量部であることがさらに好ましい。
【0119】
<重合禁止剤>
重合禁止剤を用いることにより、重合性液晶化合物の重合反応の進行度合いをコントロールすることができる。
【0120】
重合禁止剤としては、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール等のフェノール系化合物、ジラウリルチオジプロピオネート等の硫黄系化合物、トリオクチルホスファイト等のリン系化合物、および2,2,6,6−テトラメチルピペリジンに代表されるヒンダードアミン構造を含むアミン系化合物等のラジカル捕捉剤が挙げられる。
【0121】
液晶硬化膜である光学フィルムの着色が少ないという点で、重合禁止剤としては、フェノール系化合物が好ましい。
【0122】
組成物における重合禁止剤の含有量は、重合性液晶化合物100質量部に対して、0.1質量部〜30質量部であることが好ましく、0.5質量部〜10質量部であることがより好ましく、0.5質量部〜8質量部であることがさらに好ましい。上記範囲内であれば、重合性液晶化合物の配向を乱すことなく重合させることができる。重合禁止剤は、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0123】
<レベリング剤>
レベリング剤とは、組成物の流動性を調整し、組成物を塗布して得られる膜をより平坦にする機能を有する添加剤であり、界面活性剤が挙げられる。好ましいレベリング剤としては、“BYK−361N”(BYK Chemie社製)等のポリアクリレート化合物を主成分とするレベリング剤、およびサーフロン(登録商標)“S−381”(AGCセイミケミカル株式会社製)等のフッ素原子含有化合物を主成分とするレベリング剤が挙げられる。
【0124】
組成物におけるレベリング剤の含有量は、重合性液晶化合物100質量部に対して、0.01質量部〜5質量部であることが好ましく、0.1質量部〜3質量部であることがさらに好ましい。上記範囲内であると、重合性液晶化合物を水平配向させることが容易であり、かつ得られる光学フィルムがより平滑となる傾向がある。組成物は、レベリング剤を2種類以上含有していてもよい。
【0125】
[実施形態2:光学フィルム]
本発明の実施形態2に係る光学フィルムは、本発明の実施形態1に係る組成物を含む。また、本発明の光学フィルムは、好ましくは重合性液晶化合物を含有する本発明の組成物から形成される。より詳細には、本発明の光学フィルムは、重合性液晶化合物を含有する本発明の組成物において、当該重合性液晶化合物(重合性成分)を重合させることによって、当該組成物を硬化させてなる液晶硬化膜からなり得る。従って、本発明の光学フィルムは、上記重合性液晶化合物の重合物を含み得る。
【0126】
本発明の光学フィルムは、通常、重合性液晶化合物が配向した状態で硬化した、厚さが5μm以下の膜であり、好ましくは重合性液晶化合物が基材面に対して水平方向または垂直方向に配向した状態で硬化した液晶硬化膜である。
【0127】
本発明の光学フィルムの厚さは、0.5μm〜5μmが好ましく、1μm〜3μmがより好ましい。偏光膜の厚さは、干渉膜厚計、レーザー顕微鏡または触針式膜厚計により測定することができる。
【0128】
本発明の光学フィルムは、二色性色素として機能する、化合物(A)および化合物(B)を含有することによって、高い二色比を示す。
【0129】
<光学フィルムの部材>
本発明の光学フィルムは、通常、基材上、または基材上に形成された配向膜上に、重合性液晶化合物を含む本発明の組成物を塗布し、当該組成物中の重合性液晶化合物を重合することによって得ることができる。
【0130】
本発明の光学フィルムを構成する部材、具体的には、本発明の光学フィルムの製造に使用される基材および配向膜について以下に説明する。
【0131】
<基材>
基材としては、ガラス基材およびプラスチック基材が挙げられ、好ましくはプラスチック基材である。プラスチック基材を構成するプラスチックとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ノルボルネン系ポリマー等のポリオレフィン;環状オレフィン系樹脂;ポリビニルアルコール;ポリエチレンテレフタレート;ポリメタクリル酸エステル;ポリアクリル酸エステル;トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロースおよびセルロースアセテートプロピオネート等のセルロースエステル;ポリエチレンナフタレート;ポリカーボネート;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ポリエーテルケトン;ポリフェニレンスルフィドおよびポリフェニレンオキシド;等のプラスチックが挙げられる。
【0132】
市販のセルロースエステル基材としては、“フジタックフィルム”(富士写真フィルム株式会社製);“KC8UX2M”、“KC8UY”および“KC4UY”(以上、コニカミノルタオプト株式会社製)等が挙げられる。
【0133】
市販の環状オレフィン系樹脂としては、“Topas”(登録商標)(Ticona社(独)製)、“アートン”(登録商標)(JSR株式会社製)、“ゼオノア(ZEONOR)”(登録商標)、“ゼオネックス(ZEONEX)”(登録商標)(以上、日本ゼオン株式会社製)および“アペル”(登録商標)(三井化学株式会社製)が挙げられる。このような環状オレフィン系樹脂を、溶剤キャスト法、溶融押出法等の公知の手段により製膜して、基材とすることができる。市販されている環状オレフィン系樹脂基材を用いることもできる。市販の環状オレフィン系樹脂基材としては、“エスシーナ”(登録商標)、“SCA40”(登録商標)(以上、積水化学工業株式会社製)、“ゼオノアフィルム”(登録商標)(オプテス株式会社製)および“アートンフィルム”(登録商標)(JSR株式会社製)が挙げられる。
【0134】
基材の厚さは、実用的な取り扱いができる程度の質量である点では、薄い方が好ましいが、薄すぎると強度が低下し、加工性に劣る傾向がある。基材の厚さは、通常、5μm〜300μmであり、好ましくは20μm〜200μmである。
【0135】
<配向膜>
配向膜は、厚さが500nm以下の膜であり、重合性液晶化合物を所望の方向に液晶配向させる、配向規制力を有する膜である。配向膜としては、配向性ポリマーから形成されている配向膜、光配向膜、およびグルブ(groove)配向膜が挙げられる。
【0136】
配向膜は、重合性液晶化合物の液晶配向を容易にする。水平配向、垂直配向、ハイブリッド配向、傾斜配向等の液晶配向の状態は、配向膜および重合性液晶化合物の性質によって変化し、その組み合わせは任意に選択することができる。配向膜が配向規制力として水平配向を発現させる材料であれば、重合性液晶化合物は水平配向またはハイブリッド配向を形成することができ、垂直配向を発現させる材料であれば、重合性液晶化合物は垂直配向または傾斜配向を形成することができる。ここでいう「水平」、「垂直」等の表現は、光学フィルム(偏光膜)平面を基準とした場合に、配向した重合性液晶化合物の長軸の方向を表す。垂直配向とは、光学フィルム(偏光膜)平面に対して垂直な方向に配向した重合性液晶化合物の長軸を有する配向のことである。ここでいう「垂直」とは、光学フィルム(偏光膜)平面に対して90°±20°の角度を意味する。
【0137】
配向規制力は、配向膜が配向性ポリマーから形成されている場合は、当該ポリマーの表面状態やラビング条件によって任意に調整することが可能であり、光配向性ポリマーから形成されている場合は、当該ポリマーに対する偏光照射条件等によって任意に調整することが可能である。重合性液晶化合物の表面張力や液晶性等の物性を選択することにより、重合性液晶化合物の液晶配向を制御することもできる。
【0138】
基材と光学フィルム(偏光膜)との間に形成される配向膜としては、配向膜上に光学フィルム(偏光膜)を形成するときに使用される溶媒に不溶であり、溶媒の除去や液晶の配向のための加熱処理における耐熱性を有する膜が好ましい。配向膜としては、配向性ポリマーからなる配向膜、光配向膜およびグルブ配向膜等が挙げられる。
【0139】
配向膜の厚さは、通常、10nm〜500nmであり、好ましくは10nm〜200nmである。
【0140】
<配向性ポリマーからなる配向膜>
配向性ポリマーからなる配向膜は、通常、配向性ポリマーが溶媒に溶解した組成物(以下、配向性ポリマー組成物と称することがある)を基材に塗布し、溶媒を除去すること、または、配向性ポリマー組成物を基材に塗布し、溶媒を除去し、ラビングすること(ラビング法)で得られる。
【0141】
配向性ポリマー組成物中の配向性ポリマーの濃度は、配向性ポリマー材料が、溶媒に完溶できる範囲内であればよいが、溶液に対して固形分換算で0.1質量%〜20質量%であることが好ましく、0.1質量%〜10質量%であることがさらに好ましい。
【0142】
市販の配向性ポリマー組成物としては、サンエバー(登録商標)(日産化学工業株式会社製)またはオプトマー(登録商標)(JSR株式会社製)等が挙げられる。
【0143】
<光配向膜>
光配向膜は、通常、光反応性基を有するポリマーまたはモノマー(光配向性材料)と溶媒とを含む組成物(以下、光配向膜形成用組成物と称することがある)を基材に塗布し、偏光(好ましくは偏光UV)を照射することで得られる。光配向膜は、照射する偏光の偏光方向を選択することにより、配向規制力の方向を任意に制御できる点でより好ましい。
【0144】
光反応性基とは、光を照射することにより液晶配向能を生じる基をいう。具体的には、光反応性基は、光を照射することで生じる分子の配向誘起または異性化反応、二量化反応、光架橋反応、或いは光分解反応のような、液晶配向能の起源となる光反応を生じる基である。当該光反応性基の中でも、二量化反応または光架橋反応を起こす基が、配向性に優れる点で好ましい。上記反応を生じ得る光反応性基としては、不飽和結合、特に二重結合を有する基が好ましく、炭素−炭素二重結合(C=C結合)、炭素−窒素二重結合(C=N結合)、窒素−窒素二重結合(N=N結合)、および炭素−酸素二重結合(C=O結合)からなる群より選ばれる少なくとも一つの不飽和結合を有する基が特に好ましい。
【0145】
光配向膜形成用組成物に対する、光反応性基を有するポリマーまたはモノマーの含有量は、0.2質量%以上であることが好ましく、0.3質量%〜10質量%であることが特に好ましい。光配向膜形成用組成物は、光配向膜の特性が著しく損なわれない範囲内で、ポリビニルアルコールやポリイミド等の高分子材料や光増感剤を含んでいてもよい。
【0146】
偏光を照射するには、基板上に塗布された光配向膜形成用組成物から溶媒を除去した組成物に直接、偏光を照射する形式でもよく、基材側から偏光を照射し、偏光を透過させて組成物に照射する形式でもよい。当該偏光は、実質的に平行光であることが特に好ましい。照射する偏光の波長は、光反応性基を有するポリマーまたはモノマーの光反応性基が光エネルギーを吸収し得る波長領域の波長がよい。具体的には、波長250nm〜400nmのUV(紫外線)が特に好ましい。
【0147】
なお、ラビングまたは偏光照射を行うときに、マスキングを行えば、液晶配向の方向が異なる複数の領域(パターン)を形成することもできる。
【0148】
<グルブ配向膜>
グルブ(groove)配向膜は、膜表面に凹凸パターンまたは複数のグルブ(溝)を有する膜である。等間隔に並んだ複数の直線状のグルブを有する膜に重合性液晶化合物を塗布した場合、その溝に沿った方向に液晶分子が配向する。
【0149】
グルブ配向膜を得る方法としては、感光性ポリイミド膜表面にパターン形状のスリットを有する露光用マスクを介して露光後、現像およびリンス処理を行って凹凸パターンを形成する方法、表面に溝を有する板状の原盤に、硬化前のUV硬化樹脂の層を形成し、樹脂層を基材へ移してから硬化する方法、および、基材上に形成した硬化前のUV硬化樹脂の膜に、複数の溝を有するロール状の原盤を押し当てて凹凸を形成し、その後、硬化する方法等が挙げられる。具体的には、特開平6−34976号公報および特開2011−242743号公報に記載の方法等が挙げられる。
【0150】
本発明の組成物を塗布する方法としては、配向性ポリマー組成物を基材に塗布する方法として例示した上述の方法と同じ方法が挙げられる。
【0151】
本発明の組成物が溶媒を含む場合には、通常、形成された塗布膜から溶媒を除去する。溶媒の除去方法としては、自然乾燥法、通風乾燥法、加熱乾燥法および減圧乾燥法等が挙げられる。
【0152】
形成された塗布膜に含まれる重合性液晶化合物は、通常、溶液状態に転移する温度以上に加熱し、次いで液晶配向する温度まで冷却することによって配向して、液晶相を形成する。
【0153】
形成された塗布膜に含まれる重合性液晶化合物が配向する温度は、予め、当該重合性液晶化合物を含む組成物を用いたテクスチャー観察等により求めればよい。また、溶媒の除去と液晶配向とを同時に行ってもよい。このときの温度としては、除去する溶媒や重合性液晶化合物の種類にもよるが、50〜200℃の範囲が好ましく、基材が樹脂基材の場合には、80〜130℃の範囲がより好ましい。
【0154】
1/4波長板である基材を用いて、本発明の光学フィルムと当該1/4波長板とを有する円偏光板を得る場合には、重合性液晶化合物の配向方向は、得られる光学フィルムの透過軸と、当該基材の遅相軸(光軸)とが実質的に45°となるようにすればよい。
【0155】
配向した重合性液晶化合物に活性エネルギー線を照射することにより、重合性液晶化合物を重合する。
【0156】
配向した重合性液晶化合物が重合することによって、配向した状態で重合した重合性液晶化合物と、当該重合性液晶化合物と共に配向した化合物(A)および化合物(B)とを含む光学フィルムが得られる。
【0157】
スメクチック液晶相を保持したまま重合した重合性液晶化合物を含む光学フィルム(偏光膜)は、従来のホストゲスト型偏光膜、即ち、ネマチック液晶相を保持したままで重合性液晶化合物等を重合して得られる偏光膜と比較して偏光性能が高く、また、二色性色素またはリオトロピック液晶型の液晶化合物のみを塗布した偏光膜と比較して、偏光性能および強度に優れる。
【0158】
活性エネルギー線の光源としては、紫外線、電子線、X線等を発生する光源であればよい。好ましくは低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプ等の、波長400nm以下に発光分布を有する光源である。
【0159】
活性エネルギー線の照射エネルギーは、重合開始剤の活性化に有効な波長領域の照射強度が10〜5000mJ/cm
2となるように設定することが好ましく、100〜2000mJ/cm
2となるように設定することがより好ましい。照射エネルギーが10mJ/cm
2よりも低いと重合性液晶化合物の硬化が不十分となる傾向がある。
【0160】
かくして形成された本発明の光学フィルムの厚さは、0.5μm以上、10μm以下の範囲が好ましく、1μm以上、5μm以下の範囲がさらに好ましい。本発明の光学フィルムの厚さは、干渉膜厚計やレーザー顕微鏡或いは触針式膜厚計の測定で求めることができる。
【0161】
本発明の光学フィルムは、X線回折測定においてブラッグピークが得られる光学フィルムであることが特に好ましい。このようなブラッグピークが得られる本発明の光学フィルムとしては、例えば、ヘキサチック相またはクリスタル相に由来する回折ピークを示す偏光膜が挙げられる。
【0162】
本発明の光学フィルムの極大吸収(λ
max1)は、好ましくは400nm〜800nmの範囲に存在し、より好ましくは500nm〜680nmの範囲に存在する。
【0163】
本発明の光学フィルムが示す二色比は、65以上であり、好ましくは70以上であり、より好ましくは75以上である。
【0164】
使用した基材が1/4波長板でない場合は、得られた本発明の光学フィルム(偏光膜)と、1/4波長板とを積層することで円偏光板を得ることができる。このとき、本発明の光学フィルムの透過軸と、1/4波長板の遅相軸(光軸)とが実質的に45°となるようにして積層することが好ましい。また、本発明の光学フィルム(偏光膜)の透過軸と、1/4波長板等の位相差フィルムの光軸とを一致、または直交させることで光学補償フィルムとして機能する円偏光板を得ることもできる。
【0165】
本発明の光学フィルムと1/4波長板との積層は、本発明の光学フィルムが形成された基材、または配向膜が形成された基材と共に行ってもよいし、基材、または基材および配向膜を取り除いて行ってもよい。基材、または配向膜が形成された基材の表面に形成された本発明の光学フィルムと、1/4波長板との積層は、例えば、本発明の偏光膜が形成された面と、1/4波長板とを接着剤を用いて貼合した後、当該基材、または光学フィルムが形成された基材を取り除くことで行うことができる。この場合において、接着剤は、本発明の光学フィルムに塗布されてもよいし、1/4波長板に塗布されてもよい。
【0166】
<光学フィルムの用途>
光学フィルム(偏光膜)および円偏光板は、さまざまな表示装置に用いることができる。
【0167】
表示装置とは、表示素子を有する装置であり、発光源として発光素子または発光装置を含む。表示装置としては、液晶表示装置、有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置、無機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置、タッチパネル表示装置、電子放出表示装置(電場放出表示装置(FED等)、表面電界放出表示装置(SED))、電子ペーパー(電子インクや電気泳動素子を用いた表示装置)、プラズマ表示装置、投射型表示装置(グレーティングライトバルブ(GLV)表示装置、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)を有する表示装置等)および圧電セラミックディスプレイ等が挙げられる。液晶表示装置は、透過型液晶表示装置、半透過型液晶表示装置、反射型液晶表示装置、直視型液晶表示装置および投写型液晶表示装置等のいずれをも含む。これら表示装置は、二次元画像を表示する表示装置であってもよいし、三次元画像を表示する立体表示装置であってもよい。特に円偏光板は有機EL表示装置および無機EL表示装置に有効に用いることができ、光学補償偏光板は液晶表示装置およびタッチパネル表示装置に有効に用いることができる。
【実施例】
【0168】
<使用薬品>
[二色性色素]
実施例および比較例にて使用する二色性色素を以下に示す。
【0169】
【化17】
【0170】
[重合性液晶化合物]
実施例および比較例にて使用する重合性液晶化合物を以下に示す。
【0171】
【化18】
【0172】
[その他]
実施例および比較例にて使用するその他の薬品を以下に示す。
【0173】
重合性非液晶化合物A:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(ダイセルサイテック株式会社製)
重合開始剤A:2−ジメチルアミノ−2−ベンジル−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン(イルガキュア369;チバスペシャルティケミカルズ社製)
重合開始剤B:1−ヒドロキシ シクロヘキシル フェニル ケトン(イルガキュア184;チバスペシャルティケミカルズ社製)
レベリング剤A:ポリアクリレート化合物(BYK−361N;BYK−Chemie社製)
溶剤A:キシレン−イソホロン(質量比:95:5)
[実施例1]
[光学フィルム形成用組成物の調製]
化合物(F−1);2.5質量部、化合物(G−1);3.0質量部、化合物(H−1);2.2質量部、化合物(A−1);1.9質量部および化合物(B−1);1.1質量部、並びに、重合性液晶化合物として、化合物(4−6);90質量部および化合物(4−8);10質量部、並びに、重合性非液晶化合物A;5質量部、並びに、重合開始剤A;1質量部および重合開始剤B;6質量部、並びに、レベリング剤A;0.5質量部、並びに、溶剤A;400質量部を混合して得た混合物を80℃にて1時間攪拌した。上記混合物中の可溶成分が完全に溶解したことを目視にて確認した後、孔径が0.2マイクロメートルのフィルターを用いて、上記可溶分が完全に溶解した混合物をろ過することによって光学フィルム形成用組成物(1)を得た。上記組成物中の二色性色素の含有量を表1に示す。
【0174】
[光学フィルムの製造、並びに、組成物および光学フィルムの評価]
1.配向膜の形成
基材としてガラス基材を用いた。
【0175】
該ガラス基材上に、ポリビニルアルコール(ポリビニルアルコール1000完全ケン化型、和光純薬工業株式会社製)の2質量%水溶液(配向膜ポリマー組成物)をスピンコート法により塗布し、乾燥後、厚さ100nmの膜を形成した。続いて、得られた膜の表面にラビング処理を施すことにより配向層を形成した。ラビング処理は、半自動ラビング装置(商品名:LQ−008型、常陽工学株式会社製)を用いて、布(商品名:YA−20−RW、吉川化工株式会社製)によって、押し込み量0.15mm、回転数500rpm、16.7mm/sの条件で行った。かかるラビング処理により、ガラス基材上に配向膜が形成された積層体(1)を得た。
【0176】
2.光学フィルムの形成
積層体(1)の配向膜上に、上記光学フィルム形成用組成物(1)をスピンコート法により塗布し、120℃のホットプレート上で1分間加熱乾燥した後、速やかに室温まで冷却して、上記配向層上に乾燥被膜を形成した。次いで、UV照射装置(SPOT CURE SP−7;ウシオ電機株式会社製)を用い、紫外線を、露光量1500mJ/cm
2(313nm基準)照射することにより、該乾燥被膜に含まれる重合性液晶化合物を重合させ、該乾燥被膜から光学フィルム(偏光膜)を形成し、積層体(2)を得た。このときの光学フィルム(偏光膜)の厚さをレーザー顕微鏡(オリンパス株式会社製:OLS3000)により測定したところ、1.8μmであった。
【0177】
3.二色比の測定
得られた光学フィルム(偏光膜)の有用性を確認するため、以下のようにして積層体(2)の二色比を測定した。
【0178】
極大吸収波長における透過軸方向の吸光度(A1)および吸収軸方向の吸光度(A2)を、分光光度計(島津製作所株式会社製:UV−3150)に偏光子付フォルダーをセットした装置を用いてダブルビーム法で測定した。該フォルダーは、リファレンス側に光量を50%カットするメッシュを設置した。測定された透過軸方向の吸光度(A1)および吸収軸方向の吸光度(A2)の値から、比(A2/A1)を算出し、二色比とした。結果を表に示す。二色比が高いほど、偏光フィルム(光学フィルム)として有用であるといえる。吸収軸方向の吸光度(A2)の極大吸収波長、並びに、その波長での二色比の測定結果を表2に示す。
【0179】
4.偏光膜の外観評価
光学フィルム形成用組成物(1)を20℃で90時間静置した後に、同様の手法で偏光膜を作製して、結晶析出による配向欠陥の有無を目視並びに顕微鏡観察にて評価した。評価結果を表1に示す。配向欠陥が生じたものを「×」、配向欠陥が無く良好な配向性を保持したものを「○」とする二段階で評価した。上記評価結果を表2に示す。
【0180】
5.組成物の色素析出評価
調液直後の光学フィルム形成用組成物(1)および20℃で90時間静置保管した光学フィルム形成用組成物(1)を孔径が0.2マイクロメートルのフィルターでろ過し、得られた溶液を液体クロマトグラフィーで分析して、化合物(A)および化合物(B)の保持率を算出した。保持率は、保管前後での、[(色素のピーク面積(580nm))/(イソホロンのピーク面積(254nm))]×100の値とした。上記評価結果を表2に示す。
【0181】
なお、上記液体クロマトグラフィー(LC)は、以下に示す測定条件にて実施した。
カラム:Kinetex 2.6u C18 100A(4.6mm×100mm)
移動相:A液 0.1% TFA/水
B液 0.1% TFA/アセトニトリル
オーブン温度 :40℃
B液 初期濃度:2%
LCプログラム:時間/ユニット/処理命令/数値
0.01/ポンプ/B. Conc/2
30.00/ポンプ/B. Conc/100
40.00/ポンプ/B. Conc/100
40.01/ポンプ/B. Conc/2
50.00/ポンプ/B. Conc/2
50.00/コントローラ/stop
[実施例2]
化合物(A−1)の使用量を1.5質量部に変更し、化合物(B−1)の使用量を1.6質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、光学フィルム形成用組成物(2)を得た。また、光学フィルム形成用組成物(2)を使用して、実施例1と同様の方法にて、光学フィルムを作製した。さらに、実施例1と同様の方法にて、得られた光学フィルム形成用組成物(2)および光学フィルム形成用組成物(2)から形成される光学フィルムの評価を実施した。上記組成物中の二色性色素の含有量を表1に示し、上記評価の結果を表2に示す。
【0182】
[実施例3]
化合物(A−1)の使用量を1.0質量部に変更し、化合物(B−1)の使用量を2.2質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、光学フィルム形成用組成物(3)を得た。また、光学フィルム形成用組成物(3)を使用して、実施例1と同様の方法にて、光学フィルムを作製した。さらに、実施例1と同様の方法にて、得られた光学フィルム形成用組成物(3)および光学フィルム形成用組成物(3)から形成される光学フィルムの評価を実施した。上記組成物中の二色性色素の含有量を表1に示し、上記評価の結果を表2に示す。
【0183】
[実施例4]
化合物(A−1)の使用量を0.7質量部に変更し、化合物(B−1)の使用量を2.4質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、光学フィルム形成用組成物(4)を得た。また、光学フィルム形成用組成物(4)を使用して、実施例1と同様の方法にて、光学フィルムを作製した。さらに、実施例1と同様の方法にて、得られた光学フィルム形成用組成物(4)および光学フィルム形成用組成物(4)から形成される光学フィルムの評価を実施した。上記組成物中の二色性色素の含有量を表1に示し、上記評価の結果を表2に示す。
【0184】
[比較例1]
化合物(A−1)の使用量を2.9質量部に変更し、化合物(B−1)を使用しない以外は、実施例1と同様にして、比較用光学フィルム形成用組成物(1)を得た。また、比較用光学フィルム形成用組成物(1)を使用して、実施例1と同様の方法にて、光学フィルムを作製した。さらに、実施例1と同様の方法にて、得られた比較用光学フィルム形成用組成物(1)および比較用光学フィルム形成用組成物(1)から形成される光学フィルムの評価を実施した。上記組成物中の二色性色素の含有量を表1に示し、上記評価の結果を表2に示す。
【0185】
[比較例2]
化合物(A−1)を使用せず、化合物(B−1)の使用量を3.2質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、比較用光学フィルム形成用組成物(2)を得た。また、比較用光学フィルム形成用組成物(2)を使用して、実施例1と同様の方法にて、光学フィルムを作製した。さらに、実施例1と同様の方法にて、得られた比較用光学フィルム形成用組成物(2)および比較用光学フィルム形成用組成物(2)から形成される光学フィルムの評価を実施した。上記組成物中の二色性色素の含有量を表1に示し、上記評価の結果を表2に示す。
【0186】
[比較例3]
化合物(B−1)の代わりに化合物(B−20)を1.0質量部使用したこと以外は、実施例1と同様にして、比較用光学フィルム形成用組成物(3)を得た。また、比較用光学フィルム形成用組成物(3)を使用して、実施例1と同様の方法にて、光学フィルムを作製した。さらに、実施例1と同様の方法にて、得られた比較用光学フィルム形成用組成物(3)および比較用光学フィルム形成用組成物(3)から形成される光学フィルムの評価を実施した。上記組成物中の二色性色素の含有量を表1に示し、上記評価の結果を表2に示す。
【0187】
【表1】
【0188】
【表2】
【0189】
[結論]
表1、2の記載に基づき、実施例1〜4と、比較例1、2とを比較した結果、化合物(A)および化合物(B)の双方を含む組成物を使用することによって、所定の期間保管した後でも、配向欠陥がなく、外観品質に優れた光学フィルムを形成することができることが分かった。
【0190】
また、実施例1〜4と、比較例3とを比較した結果、上記一般式(A)、一般式(B)におけるR
1aとR
1bが互いに異なる基である化合物(A)および化合物(B)の双方を含む組成物を使用することによって、二色比が十分高い光学フィルムを形成することができることが分かった。