(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
固体状態のスチレン系エラストマー(A)と液体状又は流動状態の上記化合物(B)とを混合して、該化合物(B)をスチレン系エラストマー(A)に含浸させることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
合成樹脂100質量部に対し、上記樹脂添加剤(B)が0.01〜10質量部となるように、請求項6〜8の何れか一項記載の樹脂添加剤組成物を含有する合成樹脂組成物。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、無機物に含浸させる方法は、無機物を撹拌しながら含浸させる際に混合装置を摩耗させてしまう場合がある。また、合成樹脂に無機物を配合すると、成形品の透明性を低下させたり、成形品の重量が増加したり、繊維やフィルム用途において不良品が発生して安定生産を達成できない場合がある。
【0008】
また、有機物に含浸させる方法として、塩化ビニル樹脂やエラストマー等に含浸させる方法が考えられるが、マトリックスとなる樹脂との相溶性を考慮しなければならない問題がある。マトリックスとの相溶性が悪い有機物に含浸させた場合、樹脂の透明性を損ねたり、物性を低下させたりする場合がある。
【0009】
特許文献2には、マスターバッチ化により液状の添加剤を固体化させる方法が、特許文献3には、液状の樹脂添加剤、脂肪酸以外の有機酸金属塩及びゲル化剤を結晶化樹脂に配合してマスターバッチ化する方法が、特許文献5には、無機層状化合物を配合してマスターバッチにする方法が提案されているが、マスターバッチに加工するときの温度によって、マスターバッチが着色したり、低融点化合物が変質したり揮発したりする場合がある。
マスターバッチ化は樹脂を溶融混練させる方法であるため、消費エネルギーが多くなってしまう問題がある。また、経時によりマスターバッチから低融点化合物が染み出して、マスターバッチをブロッキングさせる場合があり、低融点化合物の配合量を制限せざるを得ない問題があった。
【0010】
特許文献4のマイクロカプセル化による方法は、高コストであり、結晶化の促進は非晶質に比べて取り扱い性が改善されるものの液状品には使用できず、結晶品が低融点の場合はケーキング防止効果が小さく取り扱い性の改善が不十分であった。また、ゲル化による方法は、少々の圧力を加えるだけで容易に流出したり、ゲル化剤の耐熱性が不十分な場合、加工時にゲル化剤が分解して樹脂添加剤組成物を着色させてしまう場合があった。
【0011】
そこで本発明の目的は、低融点化合物である樹脂添加剤の取り扱い性を改善する製造方法に関し、例えば、温度変化が大きな環境下におかれても、耐ブロッキング性(保存安定性)に優れ、合成樹脂に配合して樹脂由来の物性を大きく損なわずに、樹脂添加剤の機能を付与することができる樹脂添加剤組成物の製造方法を提供することにある。
【0012】
また本発明の目的は、低融点化合物である樹脂添加剤の取り扱い性を改善することに関し、例えば、低融点化合物が樹脂添加剤である場合、常温での保管でブロッキングさせないようにすることができ、樹脂に配合しても、樹脂由来の透明性などの物性を大きく損なわずに優れた安定化効果を付与することができる樹脂添加剤組成物を提供することにある。
【0013】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、スチレン系エラストマーに低融点化合物を含有させることにより、上記課題を解決するに至った。
【0014】
すなわち、本発明は、液状又は流動状であることを100℃で30分以上維持できる化合物を固体として取り扱うための方法であって、スチレン系エラストマー(A)100質量部に対し、液状又は流動状であることを100℃で30分以上維持できる化合物(B)50〜250質量部を含有させる樹脂添加剤組成物の製造方法を提供するものである。また本発明は、スチレン系エラストマー(A)100質量部に対し、100℃で液状又は流動状態を30分以上維持できる化合物(B)50〜250質量部を含有する樹脂添加剤組成物を提供するものである。以下、「(A)スチレン系エラストマー」を単に「上記エラストマー(A)」又は「(A)成分」と記載し、「100℃で液状又は流動状態を30分以上維持できる化合物」を単に「化合物(B)」又は「(B)成分」等と記載する。本明細書中、固体として取り扱うための方法とは、溶液または流動状態にある(B)成分を、固体の(A)成分に含有させる方法であり、加熱した(B)成分を(A)成分に含有させた後、冷却して(B)成分が固体になった場合も含む。また、(A)成分に(B)成分を含有させるとは、両成分を接触状態に共存させることを意味する。
【0015】
本発明の製造方法では、固体状態の上記エラストマー(A)と液体状又は流動状態の上記化合物(B)を混合して該化合物(B)を上記エラストマー(A)に含浸させることが好ましい。また、本発明の樹脂添加剤組成物は、上記化合物(B)を上記エラストマー(A)に含浸した状態であることが好ましい。
【0016】
本発明において、上記化合物(B)としては、融点100℃以下の樹脂添加剤が好ましく用いられる。以降の化合物(B)の説明は、特に断らない限り全て融点100℃以下の樹脂添加剤に当てはまる。
【0017】
本発明において、上記エラストマー(A)としては、水添スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体が好ましく用いられる。
【0018】
本発明において、上記化合物(B)としては、融点100℃以下の樹脂添加剤のうち、ヒンダードアミン化合物、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤、紫外線吸収剤及び難燃剤から選択される化合物が好ましく用いられる。
【0019】
上記化合物(B)であるヒンダードアミン化合物としては、下記一般式(1)で表される化合物が好ましい。
【化1】
(式(1)中、A
1は、−O−(CH
2CH
2)
a−、−(OCH
2CH
2)
a−、−(CH
2CH
2)
a−O−、−(CH
2CH
2O)
a−、−CH
2CH
2−(C=O)−、−O−(C=O)−、−(C=O)−O−、−O−(C=O)−O−、−NH−、−NH−(CH
2CH
2)
a−、−NH−CH
2CH
2−(C=O)−O−、又は、これらの基の組み合わせを表し、aは、1〜100の整数を表し、jは、1〜4の整数を表し、
jが1の場合、
X
1は、水素原子、ヒドロキシ基、分岐又は直鎖の炭素原子数1〜30のアルキル基、炭素原子数2〜30のアルケニル基、式(2)又は式(3)で表される基を表し、
R
1は、式(3)で表される基を表し、
jが2の場合、
X
1は、炭素原子数1〜40のアルキリデン基を表し、
R
1は、分岐又は直鎖の炭素原子数1〜40のアルキル基、又は、式(3)で表される基を表すが、少なくとも一つのR
1は式(3)で表される基を表し、
jが3の場合、
X
1は、炭素原子数1〜40のアルカントリイル基を表し、
R
1は、分岐又は直鎖の炭素原子数1〜40のアルキル基、又は、式(3)で表される基を表すが、少なくとも一つのR
1は式(3)で表される基を表し、
jが4の場合、
X
1は、炭素原子数1〜40のアルカンテトライル基を表し、
R
1は、分岐又は直鎖の炭素原子数1〜40のアルキル基、又は、式(3)で表される基を表すが、少なくとも一つのR
1は式(3)で表される基を表すが、過酸化物構造の化合物は除く。)
【化2】
(R
2は、水素原子、ヒドロキシ基、分岐又は直鎖の炭素原子数1〜30のアルキル基、炭素原子数1〜30のヒドロキシアルキル基、炭素原子数1〜30のアルコキシ基、炭素原子数1〜30のヒドロキシアルコキシ基又はオキシラジカルを表す。)
【化3】
(R
3は、式(2)中のR
2と同じものを表す。)
【0020】
上記化合物(B)であるヒンダードアミン化合物としては、下記一般式(4)で表される化合物がより好ましい。
【化4】
(式(4)中、R
4は水素原子、ヒドロキシ基、分岐又は直鎖の炭素原子数1〜30のアルキル基、炭素原子数1〜30のヒドロキシアルキル基、炭素原子数1〜30のアルコキシ基、炭素原子数1〜30のヒドロキシアルコキシ基、又は、オキシラジカルを表し、R
5は、分岐又は直鎖の炭素原子数1〜30のアルキル基、炭素原子数2〜30のアルケニル基、又は、式(2)で表される基を表す)
【0021】
上記化合物(B)であるヒンダードアミン化合物としては上記一般式(1)で表される化合物のほかに、トリアジン構造、又はスピログリコール構造を有し、NO-アルキル型のヒンダードアミン化合物が好ましく挙げられる。
【0022】
上記化合物(B)であるフェノール系酸化防止剤としては、下記一般式(5)で表される化合物が好ましい。
【化4A】
(式中、R
6、R
7及びR
8は、各々独立して、水素原子又は炭素原子数1〜10の炭化水素基を表し、bは、0〜2の整数を表し、bが2の場合、複数のR
8は同じものであってもよく、異なるものであってもよい。
kは1〜4の整数を表し、
kが1の場合、X
2は、分岐又は直鎖の炭素原子数1〜40のアルキル基、炭素原子数1〜40のアルコキシ基、炭素原子数6〜40のアリール基、炭素原子数7〜40のアリーレンアルキル基、又は、これらの組み合わせを表し、
R
9は、水素原子を表し、
kが2の場合、X
2は、炭素原子数1〜40のアルキリデン基、又は、炭素原子数6〜40のアリーレン基を表し、
R
9は、水素原子又は炭素原子数1〜10の炭化水素基を表すが、少なくとも一つのR
9は水素原子を表し、
kが3の場合、X
2は、炭素原子数1〜40のアルカントリイル基、又は、炭素原子数6〜40の三価の環状基を表し、
R
9は、水素原子又は炭素原子数1〜10の炭化水素基を表すが、少なくとも一つのR
9は水素原子を表し、
kが4の場合、X
2は、炭素原子数1〜40のアルカンテトライル基を表し、
R
9は、水素原子又は炭素原子数1〜10の炭化水素基を表すが、少なくとも一つのR
9は水素原子を表し、
上記アルキル基、アルコキシ基、アリーレンアルキル基、アルキリデン基、アルカントリイル基、アルカンテトライル基中のメチレン基は、>C=O、−O−、−S−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、−NR
10−、ホスフィン、ホスフィナイト、ホスホナイト、ホスファイト、ホスホラン、ホスホネート、ホスファイト又はこれらの組み合わせで置き換わっていてもよく、これらの基は分岐を有するものであってもよい。R
10は、水素原子又は分岐又は直鎖の炭素原子数1〜4のアルキル基を表す。)
【0023】
上記化合物(B)であるリン系酸化防止剤としては、下記一般式(6)又は(7)で表される化合物が好ましい。
【化5】
(式中、R
11およびR
12は、各々独立して、分岐又は直鎖の炭素原子数1〜40のアルキル基、又は、炭素原子数6〜40のアリール基を表す。)
【化6】
(式中、R
13、R
14およびR
15は、各々独立して、水素原子、分岐又は直鎖の炭素原子数1〜40のアルキル基、炭素原子6〜40のアリール基、炭素原子数7〜40のアリーレンアルキル基、又は、炭素原子数3〜25の複素環含有基を表す。)
【0024】
上記化合物(B)であるチオエーテル系酸化防止剤としては、下記一般式(8)〜(10)の何れかで表される化合物が好ましい。
【化7】
(式中、R
16〜R
23は、それぞれ独立して、分岐又は直鎖の炭素原子数1〜40のアルキル基、炭素原子数3〜18のシクロアルキル基、又は、炭素原子数6〜40のアリール基を表し、R
24およびR
25はそれぞれ独立に、分岐又は直鎖の炭素原子数1〜40のアルキル基を表す。)
【化8】
(式中、R
26〜R
33は、それぞれ独立して、水素原子、分岐又は直鎖の炭素原子数1〜40のアルキル基、炭素原子数3〜18のシクロアルキル基、又は、炭素原子数6〜40のアリール基を表し、
R
34は、分岐又は直鎖の炭素原子数1〜40のアルキル基を表す。)
【化9】
(式中、R
35は、分岐又は直鎖の炭素原子数1〜40のアルキル基を表し、
A
2は、炭素原子数1〜8のアルキレン基を表す。)
【0025】
上記化合物(B)である難燃剤としては、下記一般式(11)で表される化合物が好ましい。
【化10】
(式中、R
36〜R
39は、各々独立に水素原子、分岐又は直鎖の炭素原子数1〜40のアルキル基、又は、炭素原子数6〜40のアリール基を表し、
nは、1〜5の整数を表し、
R
40は、2官能基を有する炭素原子数6〜20の芳香族基を表す。)
【0026】
本発明の樹脂添加剤組成物は、上記化合物(B)の液状又は流動状態下で、該化合物(B)をスチレン系エラストマー(A)に含有させることで固体として取り扱うことができるものであることが好ましい。
【0027】
本発明の合成樹脂組成物は、合成樹脂100質量部に対し、上記樹脂添加剤組成物に含まれる成分(B)が0.01〜10質量部の範囲内になるように、樹脂添加剤組成物を含有することを特徴とする。
【0028】
本発明においては、前記合成樹脂は、ポリエチレン樹脂が好ましい。
【発明の効果】
【0029】
本発明の製造方法は、スチレン系エラストマー(A)を加熱溶融せずに上記化合物(B)を固体化できるため、加熱による(B)の劣化を防ぐことができ、また上記化合物(B)の保留性に優れる樹脂添加剤組成物を製造することができる。また、温度変化が大きい環境下におかれても耐ブロッキング性(保存安定性)に優れる効果を奏する。
また本発明の樹脂添加剤組成物は、スチレン系エラストマー(A)を加熱溶融せずに上記化合物(B)を固体化させることができるため、加熱による上記化合物(B)の劣化を防ぐことができ、また、上記化合物(B)の保留性に優れる。また、それを合成樹脂に配合することにより、合成樹脂の物性を大きく損なうことなく、樹脂添加剤の効果を付与することができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態につき、具体的に説明する。
本発明におけるスチレン系エラストマー(A)とは、スチレン、α−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−プロピルスチレンなどの芳香族ビニル化合物によるブロック共重合体(X)と、ブタジエン、イソプレン及びそれらの混合物などの共役ジエン単量体のブロック共重合体(Y)を有するものであり、共役ジエン単量体は、得られるブロック共重合体及びこれを用いてなる組成物の低温特性、柔軟性という観点から、ブタジエン、イソプレン、イソプレン/ブタジエン混合物が好ましく用いられる。また、共役ジエンからなるブロックにおいて、共役ジエンに基づく二重結合を水添するのが好ましい。この水添率は、60%以上、より好ましくは80%以上である。水添率が60%より低い場合、成形加工時の熱劣化、得られる添加剤樹脂組成物の保存性に問題が生じる場合がある。
【0031】
本発明におけるスチレン系エラストマーは、2個以上の芳香族ビニル化合物によるブロック(X)と1個以上の共役ジエンからなるブロック(Y)を有するものであり、uが1以上の整数を表し、tが2以上の整数を表すとすると、その形態はX−(Y−X)u、又は(X−Y)tで表される。本発明におけるスチレン系エラストマーは、X−Y−Xの形態であるものが好ましい。
【0032】
本発明において、(A)スチレン系エラストマーの密度は、1g/cm
3以下であるものが好ましく、0.89g/cm
3〜0.98g/cm
3がより好ましい。
【0033】
また(A)スチレン系エラストマーのポリスチレン含有量は5質量%以上80質量%以下であることが好ましく、10質量%以上70質量%以下であることがより好ましい。このポリスチレン含有量は、Wijs法のヨウ素化測定方法により、測定することができる。
【0034】
本発明の製造方法に用いるスチレン系エラストマー(A)及び樹脂添加剤組成物に含まれるスチレン系エラストマー(A)は、粉末の形状であるものが好ましく、特に体積平均粒子径が好ましくは0.01μm〜5mm、より好ましくは0.1μm〜500μmの粉末の形状であるものがより好ましい。スチレン系エラストマーの体積平均粒子径は、超薄膜切片法を用いて得られた試料について透過型電子顕微鏡写真を撮影し、スチレン系エラストマー1000個の円換算粒子径を測定し、下記式から算出した数値を表す。
スチレン系エラストマーの体積平均粒子径:(Σn
iD
i4)/(Σn
iD
i3)
(n
iは、円換算粒子径D
i(μm)を有するスチレン系エラストマーの個数を表す。)
【0035】
本発明に用いられるスチレン系エラストマー(A)としては、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBSなど)、水添スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SEBSなど)、水添スチレン−ブタジエン共重合体(HSBRなど)、水添スチレン−ブタジエン−オレフィン結晶ブロック共重合体(SEBCなど)等などのブタジエン−スチレン共重合体(ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体等の全てを含む)及びその水添物、水添スチレン−イソプレン共重合体(SEPなど)、水添スチレン−ビニルイソプレン共重合体(V−SEPSなど)、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SISなど)、水添スチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SEPSなど)などのイソプレン−スチレン共重合体(ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体等の全てを含む)及びその水添物が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、二種以上を用いてもよい。
本発明においてはスチレン系エラストマー(A)として、特に、水添スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体が好ましく用いられる。
【0036】
次に、本発明における液状又は流動状態であることを100℃で30分以上維持できる化合物(B)とは、融点が100℃以下の化合物、融点が100℃超であるが、融点以上の温度に加熱して液状、又は、流動状態にした後、100℃に冷却して30分以上、液状又は流動性を示す状態を維持できる化合物、並びに、融点が100℃超であるが、他の化合物と混合することで融点が下がって100℃以下になるものを表す。
本発明においては、融点が100℃以下の化合物は煩雑な処理を必要としないので好ましく、より好ましくは、融点が50℃以下の化合物、特に、25℃で液状になる化合物は、固体化することによる取り扱い性の改善効果が顕著になるので好ましい。本明細書中では、上記「流動性を示す状態」を「流動状態」とも記載している。
【0037】
上記化合物(B)の流動性を示す状態とは、固相の物質が周囲条件で互いに付着してより大きなものになることなく移動または流れる状態を表し、例えば、JIS K5101−6−2(2004)に準拠して、B型粘度計で測定した粘度が、30,000mPa・s以下、より好ましくは、10,000Pa・s以下の粘度であるものが挙げられる。
【0038】
上記化合物(B)の流動性を示す状態とは、液相と固相が混在した状態であってもよい。本発明においては固相が液相中に均一に分散できるものが好ましい。
【0039】
上記化合物(B)において他の化合物と混合することで融点が下がって100℃以下になるものとしては、例えば、脂肪族アルコールや脂肪酸を原料とするエステル化合物等が挙げられ、好ましくは、混合アルコールや混合脂肪酸から得られる混合エステル化合物(混基エステル化合物)、混合アミド化合物(混基アミド化合物)等が挙げられる。
【0040】
本発明において、融点は、メトラートレド社製融点測定器(型番MP−90)を用いて、昇温速度1℃/minの条件で測定したものを表す。ただし、重合物の融点は測定できないため、重合物の融点は、顕微鏡観察下で重合物に対して昇温速度1℃/minで加熱し、溶解したときの温度を重合物の融点とした。
【0041】
本発明において、常温液体とは、25℃の温度環境下で液状の状態にあることを表す。
【0042】
本発明の樹脂添加剤組成物は、上記化合物(B)が、ヒンダードアミン化合物、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤、紫外線吸収剤、又は、難燃剤であって融点が100℃以下であることが好ましい。
【0043】
上記化合物(B)である融点100℃以下のヒンダードアミン化合物としては、例えば、
ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート(融点82−87℃)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート(常温液体)、メチル−1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケート(常温液体)、ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート(融点82−85℃)、ビス(1−ウンデカノキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジル−4−イル)カーボネート(常温液体)、メタクリル酸−1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル(常温液体)、メタクリル酸−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル(常温液体)、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)(融点>65℃)、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン重縮合物(Mw=3100−4000,融点50−70℃)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケートとメチル−1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケートの混合物(BASF社製旧商品名Tinuvin765,常温液体)、デカンニ酸ビス[2,2,6,6−テトラメチル−1−(オクチルオキシ)ピペリジン−4−イル](常温液体)、BASF社製光安定剤商品名Tinuvin791(融点55℃)、BASF社製光安定剤旧商品名Tinuvin783(融点55−140℃)、
株式会社ADEKA製商品名「アデカスタブLA−81(常温液体)、
株式会社ADEKA製商品名アデカスタブLA−62(常温液体)、
株式会社ADEKA製商品名アデカスタブLA−67(常温液体)、
株式会社ADEKA製商品名アデカスタブLA−68(融点70−80℃)、
株式会社ADEKA製商品名アデカスタブLA−63(融点80−90℃)、
クラリアント・ジャパン株式会社製商品名Sanduvor 3050(常温液体)、
クラリアント・ジャパン株式会社製商品名Sanduvor 3052(常温液体)、
クラリアント・ジャパン株式会社製商品名Sanduvor 3058(常温液体)
などが挙げられる。
【0044】
本発明においては、下記一般式(1)で表される化合物が好ましく用いられる。
【化11】
(式(1)中、A
1は、−O−(CH
2CH
2)
a−、−(OCH
2CH
2)
a−、−(CH
2CH
2)
a−O−、−(CH
2CH
2O)
a−、−CH
2CH
2−(C=O)−、−O−(C=O)−、−(C=O)−O−、−O−(C=O)−O−、−NH−、−NH−(CH
2CH
2)
a−、−NH−CH
2CH
2−(C=O)−O−、又は、これらの基の組み合わせを表し、aは、1〜100の整数を表し、jは、1〜4の整数を表し、
jが1の場合、
X
1は、水素原子、ヒドロキシ基、分岐又は直鎖の炭素原子数1〜30のアルキル基、炭素原子数2〜30のアルケニル基、式(2)又は式(3)で表される基を表し、
R
1は、式(3)で表される基を表し、
jが2の場合、
X
1は、炭素原子数1〜40のアルキリデン基を表し、
R
1は、分岐又は直鎖の炭素原子数1〜40のアルキル基、又は、式(3)で表される基を表すが、少なくとも一つのR
1は式(3)で表される基を表し、
jが3の場合、
X
1は、炭素原子数1〜40のアルカントリイル基を表し、
R
1は、分岐又は直鎖の炭素原子数1〜40のアルキル基、又は、式(3)で表される基を表すが、少なくとも一つのR
1は式(3)で表される基を表し、
jが4の場合、
X
1は、炭素原子数1〜40のアルカンテトライル基を表し、
R
1は、分岐又は直鎖の炭素原子数1〜40のアルキル基、又は、式(3)で表される基を表すが、少なくとも一つのR
1は式(3)で表される基を表すが、過酸化物構造の化合物は除く。)
【化12】
(式中、R
2は、水素原子、ヒドロキシ基、分岐又は直鎖の炭素原子数1〜30のアルキル基、炭素原子数1〜30のヒドロキシアルキル基、炭素原子数1〜30のアルコキシ基、炭素原子数1〜30のヒドロキシアルコキシ基又はオキシラジカルを表す。)
【化13】
(式中、R
3は、式(2)中のR
2と同じものを表す。)
【0045】
上記一般式(1)中のX
1、式(2)中のR
2、及び式(3)中のR
3で表される分岐又は直鎖の炭素原子数1〜30のアルキル基、並びに式(1)中のR
1で表される分岐又は直鎖の炭素原子数1〜40のアルキル基としては、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、sec−ペンチル、tert−ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、イソオクチル、2−エチルヘキシル、tert−オクチル、ノニル、イソノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル等を挙げることができる。R
1及びR
2は、同じものであってもよく、相違してもよい。
【0046】
また、式(2)中のR
2、及び式(3)中のR
3で表される炭素原子数1〜30のヒドロキシアルキル基としては、分岐状又は直鎖状であることが好ましく、例えば、ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシプロピル等上記アルキル基のヒドロキシ基置換体を挙げることができる。
【0047】
式(2)中のR
2、及び式(3)中のR
3で表される炭素原子数1〜30のアルコキシ基としては、分岐状又は直鎖状であることが好ましく、上記アルキル基に対応するメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、オクトキシ、2−エチルヘキシルオキシ、ウンデシルオキシ等を挙げることができる。
【0048】
式(2)中のR
2、及び式(3)中のR
3で表される炭素原子数1〜30のヒドロキシアルコキシ基としては、分岐状又は直鎖状であることが好ましく、上記アルコキシ基と対応するヒドロキシエチルオキシ、2−ヒドロキシプロピルオキシ、3−ヒドロキシプロピルオキシ、4−ヒドロキシブチルオキシ、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピルオキシ、6−ヒドロキシヘキシルオキシ等を挙げることができる。
【0049】
式(1)中のX
1で表される炭素原子数2〜30のアルケニル基としては、分岐状又は直鎖状であることが好ましく、ビニル、1−プロペニル、2−プロペニル、2−メチル−2−プロペニル、ブテニル、ヘキセニル、オレイル等を挙げることができる。二重結合の位置は、α−位であっても、内部であっても、ω−位であってもよい。
【0050】
式(1)中のX
1で表される炭素原子数1〜40のアルキリデン基としては、上記例示したアルキル基から水素原子を1個引き抜いた基が挙げられる。
【0051】
式(1)中のX
1で表される炭素原子数1〜40のアルカントリイル基としては、上記例示したアルキル基から水素原子を2個引き抜いた基が挙げられる。
【0052】
式(1)中のX
1で表される炭素原子数1〜40のアルカンテトライル基としては、上記例示したアルキル基から水素原子を3個引き抜いた基が挙げられる。
【0053】
本発明においては式(1)で表される化合物の中でも、特に式(4)で表されるヒンダードアミン化合物が、合成樹脂に対して優れた耐侯性を付与することができるので好ましい。
【化14】
(式(4)中、R
4は水素原子、ヒドロキシ基、分岐又は直鎖の炭素原子数1〜30のアルキル基、炭素原子数1〜30のヒドロキシアルキル基、炭素原子数1〜30のアルコキシ基、炭素原子数1〜30のヒドロキシアルコキシ基、又は、オキシラジカルを表し、R
5は、分岐又は直鎖の炭素原子数1〜30のアルキル基、炭素原子数2〜30のアルケニル基、又は、式(2)で表される基を表す)
【0054】
式(4)中のR
4で表される分岐又は直鎖の炭素原子数1〜30のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基もしくはヒドロキシアルコキシ基は、式(2)中のR
2と対応するものを表し、
式(4)中のR
5で表される分岐又は直鎖の炭素原子数1〜30のアルキル基、炭素原子数2〜30のアルケニル基は、分岐状又は直鎖状であることが好ましく、式(1)中のX
1と対応するものを表す。
【0055】
本発明に用いられる一般式(1)で表される化合物としては、より具体的には、下記の化合物を挙げることができる。但し、本発明は以下の化合物によって何ら制限を受けるものではない。
尚、上記一般式(1)中のX
1がR
Aである化合物は、上記一般式(1)中のX
1が炭素原子数15〜17のアルキル基であるヒンダードアミン化合物の混合物を表し、上記一般式(1)中のX
1がR
Bである化合物は、上記一般式(1)中のX
1が炭素原子数13〜19のアルキル基であるヒンダードアミン化合物の混合物を表し、上記一般式(1)中のX
1がR
Cである化合物は、上記一般式(1)中のX
1が炭素原子数12〜24のアルキル基であるヒンダードアミン化合物の混合物を表す。
【0057】
上記一般式(1)で表される化合物の中では、式(3)中のR
3が分岐又は直鎖の炭素原子数1〜30のアルコキシ基であるものが、低塩基性であるので好ましい。また、X
1が炭素原子数8〜26のアルキル基の混合物であることも好ましい。
【0058】
上記一般式(1)で表される化合物の合成方法は、所定の炭素原子数を有する脂肪酸と2,2,6,6−テトラメチルピペリジノール骨格を有するアルコールとを組み合わせて反応させればよく、例えば、酸とアルコールの直接エステル化、酸ハロゲン化物とアルコールの反応、エステル交換反応等でエステル化が可能であり、精製方法としては、蒸留、再結晶、濾過材、吸着剤を用いる方法等を適宜使用できる。
【0059】
上記化合物(B)である融点100℃以下のフェノール系酸化防止剤としては、例えば、
2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール(融点69−73℃)、2−メチル−4,6−ビス(オクチルチオメチル)フェノール(常温液体)、
2,4−ジメチル−6−(1−メチルペンタデシル)フェノール(常温液体)、
オクチル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロ肉珪酸(常温液体)、
3,4−ジヒドロ−2,5,7,8−テトラメチル−2−(4,6,12−トリメチルトリデシル)−2H−1−ベンゾピラン6−オール(ビタミンE;常温油状)、
エチレンビス(オキシエチレン)ビス−(3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)―プロピオネート)(融点76−79℃)、
ステアリル(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(融点50−55℃)等が挙げられる。
【0060】
本発明において、上記化合物(B)であるフェノール系酸化防止剤としては、下記一般式(5)で表されるフェノール化合物が好ましい。
【化16】
(式中、R
6、R
7及びR
8は、各々独立して、水素原子又は炭素原子数1〜10の炭化水素基を表し、bは、0〜2の整数を表し、bが2の場合、複数のR
8は同じものであってもよく、異なるものであってもよい。
kは1〜4の整数を表し、
kが1の場合、X
2は、分岐又は直鎖の炭素原子数1〜40のアルキル基、炭素原子数1〜40のアルコキシ基、炭素原子数6〜40のアリール基、炭素原子数7〜40のアリーレンアルキル基、又は、これらの組み合わせを表し、
R
9は、水素原子を表し、
kが2の場合、X
2は、炭素原子数1〜40のアルキリデン基、又は、炭素原子数6〜40のアリーレン基を表し、
R
9は、水素原子又は炭素原子数1〜10の炭化水素基を表すが、少なくとも一つのR
9は水素原子を表し、
kが3の場合、X
2は、炭素原子数1〜40のアルカントリイル基、又は、炭素原子数6〜40の三価の環状基を表し、
R
9は、水素原子又は炭素原子数1〜10の炭化水素基を表すが、少なくとも一つのR
9は水素原子を表し、
kが4の場合、X
2は、炭素原子数1〜40のアルカンテトライル基を表し、
R
9は、水素原子又は炭素原子数1〜10の炭化水素基を表すが、少なくとも一つのR
9は水素原子を表し、
上記アルキル基、アルコキシ基、アリーレンアルキル基、アルキリデン基、アルカントリイル基、アルカンテトライル基中のメチレン基は、>C=O、−O−、−S−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、−NR
10−、ホスフィン、ホスフィナイト、ホスホナイト、ホスファイト、ホスホラン、ホスホネート、ホスファイト又はこれらの組み合わせで置き換わっていてもよく、これらの基は分岐を有するものであってもよい。R
10は、水素原子又は分岐又は直鎖の炭素原子数1〜4のアルキル基を表す。)
【0061】
一般式(5)中のR
6、R
7及びR
8で表される炭素原子数1〜10の炭化水素基とは、炭素原子と水素原子で構成される官能基を表し、その分子構造は、アルカン、アルケン、シクロアルカン、芳香族炭化水素等が挙げられる。これら炭化水素基は、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、エステル基、アミド基、イミノ基又はアリール基で中断されていてもよく、炭化水素基中の水素原子が下記の置換基で置換されたものであってもよい。これら中断又は置換は組み合わされていてもよい。
本発明において、上記R
6、R
7及びR
8は、アルキル基、フェニル基であるものが好ましく、メチル、ブチル、tert−ブチル、アミル、tert−アミル、シクロアルキル、メチルシクロアルキル,2−フェニル−プロパン−2−イルの群から選択されるものがより好ましい。
特に、R
6及びR
7が同時に水素原子ではない化合物は、有機材料に対して優れた耐熱性を付与することができるので特に好ましい。
【0062】
式(5)中のX
2で表される分岐又は直鎖の炭素原子数1〜40のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、iso−プロピル、シクロプロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、iso−ブチル、アミル、iso−アミル、tert−アミル、シクロペンチル、4−エチル−2−メチルへプチル、ヘキシル、2−メチルヘキシル、3−メチルヘキシル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、2,4−ジメチルヘキシル、シクロヘキシル、1,2,4−トリメチルシクロヘキシル、ヘプチル、2−ヘプチル、3−ヘプチル、iso−ヘプチル、tert−ヘプチル、1−オクチル、iso−オクチル、tert−オクチル、ノニル、イソノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、イソトリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、イコシル、アダマンチル、ノルボルニル等が挙げられる。X
2で表されるアルキル基の炭素原子数は1〜30であることが好ましい。
【0063】
式(5)中のX
2で表される炭素原子数1〜40のアルコキシ基としては、分岐状又は直鎖状であることが好ましく、メチルオキシ、エチルオキシ、iso−プロピルオキシ、ブチルオキシ、sec−ブチルオキシ、tert−ブチルオキシ、iso−ブチルオキシ、アミルオキシ、iso−アミルオキシ、tert−アミルオキシ、ヘキシルオキシ、2−ヘキシルオキシ、3−ヘキシルオキシ、シクロヘキシルオキシ、4−メチルシクロヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、2−ヘプチルオキシ、3−ヘプチルオキシ、iso−ヘプチルオキシ、tert−ヘプチルオキシ、1−オクチルオキシ、iso−オクチルオキシ、tert−オクチルオキシ等が挙げられる。
【0064】
式(5)中のX
2で表される炭素原子6〜40のアリール基としては、例えば、フェニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントリル、フルオレニル、インデニル、2−メチルフェニル、3−メチルフェニル、4−メチルフェニル、4−ビニルフェニル、3−iso−プロピルフェニル、4−iso−プロピルフェニル、4−ブチルフェニル、4−iso−ブチルフェニル、4−tert−ブチル−フェニル、4−ヘキシルフェニル、4−シクロヘキシルフェニル、4−オクチルフェニル、4−(2−エチルヘキシル)フェニル、4−ステアリルフェニル、2,3−ジメチルフェニル、2,4−ジメチルフェニル、2,5−ジメチルフェニル、2,6−ジメチルフェニル、3,4−ジメチルフェニル、3,5−ジメチルフェニル、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル、2,5−ジ−tert−ブチルフェニル、2,6−ジ−tert−ブチルフェニル、2,4−ジ−tert−ペンチルフェニル、2,5−ジ−tert−アミルフェニル、2,5−ジ−tert−オクチルフェニル、2,4−ジクミルフェニル、4−シクロヘキシルフェニル、(1,1’−ビフェニル)−4−イル、2,4,5−トリメチルフェニル、フェロセニル等が挙げられる。X
2で表されるアリール基の炭素原子数は1〜30であることが好ましい。
【0065】
式(5)中のX
2で表される炭素原子数7〜40のアリーレンアルキル基としては、例えば、ベンジル、1−メチル−1−フェニルエチル、2−フェニル−プロパン−2−イル、1−ナフチルメチル、9−アントラセニルメチル、フルオレニル、インデニル、9−フルオレニルメチル、2−フェニルプロパン−2−イル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、フェネチル、スチリル、シンアミル等が挙げられる。
【0066】
式(5)中のX
2で表される炭素原子数1〜40のアルキリデン基としては、上記例示した炭素原子数1〜40のアルキル基から、水素原子を1個引き抜いた基を表す。X
2で表されるアルキリデン基の炭素原子数は1〜30であることが好ましい。
【0067】
式(5)中のX
2で表される炭素原子数1〜40のアルカントリイル基としては、上記例示したアルキル基から水素原子を2個引き抜いた基等が挙げられる。X
2で表されるアルカントリイル基の炭素原子数は1〜30であることが好ましい。
【0068】
式(5)中のX
2で表される炭素原子数1〜40のアルカンテトライル基としては、上記例示した炭素原子数1〜40のアルキル基から、水素原子を3個引き抜いた基等が挙げられる。X
2で表されるアルカンテトライル基の炭素原子数は1〜30であることが好ましい。
【0069】
本発明においては、アルキル基、アルコキシ基、アリーレンアルキル基、アルキレン基、アルキリデン基、アルカントリイル基、又は、アルカンテトライル基のメチレン基は、>C=O、−O−、−S−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、−NR
10−、ホスフィン、ホスフィナイト、ホスホナイト、ホスファイト、ホスホラン、ホスホネート、ホスファイト又はこれらの組み合わせで置き換わっていてもよく、これらの基は分岐を有するものであってもよい。R
10は、水素原子又は分岐又は直鎖の炭素原子数1〜4のアルキル基を表す。
【0070】
本発明においては、アルキル基、アルコキシ基、アリーレンアルキル基、アルキレン基、アルキリデン基、アルカントリイル基、及び、アルカンテトライル基の水素原子は、以下の置換基で置換されていてもよい。
【0071】
上記アルキル基、アルコキシ基、アリーレンアルキル基、アルキレン基、アルキリデン基、アルカントリイル基、及び、アルカンテトライル基の水素原子を置換する置換基としては、例えば、ビニル、アリル、アクリル、メタクリル等のエチレン性不飽和基;フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子;アセチル、2−クロロアセチル、プロピオニル、オクタノイル、アクリロイル、メタクリロイル、フェニルカルボニル(ベンゾイル)、フタロイル、4−トリフルオロメチルベンゾイル、ピバロイル、サリチロイル、オキザロイル、ステアロイル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、n−オクタデシルオキシカルボニル、カルバモイル等のアシル基;アセチルオキシ、ベンゾイルオキシ等のアシルオキシ基;アミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ブチルアミノ、シクロペンチルアミノ、2−エチルヘキシルアミノ、ドデシルアミノ、アニリノ、クロロフェニルアミノ、トルイジノ、アニシジノ、N−メチル−アニリノ、ジフェニルアミノ,ナフチルアミノ、2−ピリジルアミノ、メトキシカルボニルアミノ、フェノキシカルボニルアミノ、アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ、ホルミルアミノ、ピバロイルアミノ、ラウロイルアミノ、カルバモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ、モルホリノカルボニルアミノ、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、t−ブトキシカルボニルアミノ、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ、N−メチル−メトキシカルボニルアミノ、フェノキシカルボニルアミノ、スルファモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ、メチルスルホニルアミノ、ブチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ等の置換アミノ基;スルホンアミド基、スルホニル基、カルボキシル基、シアノ基、スルホ基、水酸基、ニトロ基、メルカプト基、イミド基、カルバモイル基、スルホンアミド基、ホスホン酸基、リン酸基又はカルボキシル基、スルホ基、ホスホン酸基、リン酸基の塩等が挙げられる。
本発明においては、各置換基は特に断らない限り、置換基の水素原子を置換基で置換されていてもよい。
【0072】
式(5)中のX
2で表される炭素原子数6〜40のアリーレン基とは、上記炭素原子数6〜40のアリール基で例示した基において、芳香族の水素原子を1個引き抜いた基等及びこれらの基が後述する置換基で置換された基が挙げられる。
【0073】
式(5)中のX
2で表される炭素原子数6〜40の三価の環状基とは、上記炭素原子数6〜40のアリール基で例示した基において芳香族の水素原子を二個引き抜いた基、イソシアヌル環を有する基、トリアジン環を有する基等及びこれらの基の水素原子が後述する置換基で置換された基が挙げられる。
【0074】
上記アリール基、アリーレンアルキル基、アリーレン基、三価の環状基の水素原子を置換する置換基としては、例えば、ビニル、アリル、アクリル、メタクリル等のエチレン性不飽和基;フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子;アセチル、2−クロロアセチル、プロピオニル、オクタノイル、アクリロイル、メタクリロイル、フェニルカルボニル(ベンゾイル)、フタロイル、4−トリフルオロメチルベンゾイル、ピバロイル、サリチロイル、オキザロイル、ステアロイル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、n−オクタデシルオキシカルボニル、カルバモイル等のアシル基;アセチルオキシ、ベンゾイルオキシ等のアシルオキシ基;アミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ブチルアミノ、シクロペンチルアミノ、2−エチルヘキシルアミノ、ドデシルアミノ、アニリノ、クロロフェニルアミノ、トルイジノ、アニシジノ、N−メチル−アニリノ、ジフェニルアミノ,ナフチルアミノ、2−ピリジルアミノ、メトキシカルボニルアミノ、フェノキシカルボニルアミノ、アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ、ホルミルアミノ、ピバロイルアミノ、ラウロイルアミノ、カルバモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ、モルホリノカルボニルアミノ、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、t−ブトキシカルボニルアミノ、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ、N−メチル−メトキシカルボニルアミノ、フェノキシカルボニルアミノ、スルファモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ、メチルスルホニルアミノ、ブチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ等の置換アミノ基;スルホンアミド基、スルホニル基、カルボキシル基、シアノ基、スルホ基、水酸基、ニトロ基、メルカプト基、イミド基、カルバモイル基、スルホンアミド基、ホスホン酸基、ホスフィン、ホスフィナイト、ホスホナイト、ホスファイト、ホスホラン、ホスホネート、ホスファイト等のリン化合物又はカルボキシル基、スルホ基、ホスホン酸基、ホスフィン、ホスフィナイト、ホスホナイト、ホスファイト、ホスホラン、ホスホネート、ホスファイト等のリン化合物の塩等が挙げられ、これらの基はさらに置換されるものであってもよい。
【0075】
上記一般式(5)で表される化合物としては、例えば、ステアリル(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートが挙げられる。
【0076】
上記化合物(B)である融点100℃以下のリン系酸化防止剤としては、例えば、
ビス[2,4−ジ−tert−ブチル−6−メチルフェニル]エチルエステルホスファイト(融点89−92℃)、
テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4‘−ジイルビスホスホナイト(融点75−95℃)、
3,9−ビス(オクタデシルオキシ)−2,4,8.10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン(軟化点50−62℃)、
4−ノニルフェニルホスファイト(常温液体)、
4,4‘−イソプロピリデンジフェノール 炭素原子数12−15アルコールホスファイト(常温液体)、
2−エチルヘキシルジフェニルホスファイト(常温液体)、
ジフェニルイソデシルホスファイト(常温液体)、
トリイソデシルホスファイト(常温液体)、
トリイソドデシルホスファイト(常温液体)
等の化合物が挙げられる。
【0077】
本発明においては、上記化合物(B)であるリン系酸化防止剤としては、下記一般式(6)又は(7)で表される化合物が好ましい。
【化17】
(式中、R
11およびR
12は、各々独立して、分岐又は直鎖の炭素原子数1〜40のアルキル基、又は、炭素原子数6〜40のアリール基を表す。)
【化18】
(式中、R
13、R
14およびR
15は、各々独立して、水素原子、分岐又は直鎖の炭素原子数1〜40のアルキル基、炭素原子6〜40のアリール基、炭素原子数7〜40のアリーレンアルキル基、又は、炭素原子数3〜25の複素環含有基を表す。)
【0078】
上記一般式(6)中のR
11およびR
12で表される分岐又は直鎖の炭素原子数1〜40のアルキル基、炭素原子数6〜40のアリール基としては、上記式(5)中のX
2と同じものを表す。
【0079】
上記式(7)中のR
13、R
14及びR
15で表される分岐又は直鎖の炭素原子数1〜40のアルキル基、炭素原子数6〜40のアリール基、炭素原子数7〜40のアリーレンアルキル基は、上記式(5)中のX
2と同じものを表す。
【0080】
上記式(7)中のR
13、R
14及びR
15で表される炭素原子数3〜25の複素環含有基としては、ピリジル、ピリミジル、ピリダジル、ピペリジル、ピラニル、ピラゾリル、トリアジル、ピロリル、キノリル、イソキノリル、イミダゾリル、ベンゾイミダゾリル、トリアゾリル、フリル、フラニル、ベンゾフラニル、チエニル、チオフェニル、ベンゾチオフェニル、チアジアゾリル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、オキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、インドリル、2−ピロリジノン−1−イル、2−ピペリドン−1−イル、2,4−ジオキシイミダゾリジン−3−イル、2,4−ジオキシオキサゾリジン−3−イル、ベンゾトリアゾイル、イソシアヌル環を有する基等が挙げられる。
【0081】
本発明においては、上記一般式(6)又は(7)で表される化合物としては、トリイソデシルホスファイト、トリイドドデシルホスファイト等の化合物が合成樹脂の安定化効果に優れるので好ましく用いられる。
【0082】
上記化合物(B)である融点100℃以下のチオエーテル系酸化防止剤としては、例えば、
4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール(常温液体)、
ジドデシル−3,3‘−チオジプロピオネート(融点39−41℃)、
ジオクタデシル−3,3‘−チオジプロピオネート(融点64−67℃)、
2,6−ジ−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノール(融点91−96℃)、
6,6‘−ジ−tert−ブチル−2,2’−p−クレゾール(融点81−86℃)、
チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](融点63−67℃)、
ビス[3−(ドデシルチオ)プロピオン酸]2,2−ビス[[3−(ドデシルチオ)−1−オキソプロピルオキシ]メチル]1,3−プロパンジイル(融点46−52℃)、
3,3‘−チオジプロピオン酸ジトリデシル(常温液体)
等の化合物が挙げられる。
本発明においては、化合物(B)であるチオエーテル系酸化防止剤としては、下記一般式(8)〜(10)で表される化合物が、合成樹脂に対して優れた安定化効果を付与するので好ましく用いられる。
【0083】
【化19】
(式中、R
16〜R
23は、それぞれ独立して、分岐又は直鎖の炭素原子数1〜40のアルキル基、炭素原子数3〜18のシクロアルキル基、又は、炭素原子数6〜40のアリール基を表し、R
24およびR
25はそれぞれ独立に、分岐又は直鎖の炭素原子数1〜40のアルキル基を表す。)
【化20】
(式中、R
26〜R
33は、それぞれ独立して、水素原子、分岐又は直鎖の炭素原子数1〜40のアルキル基、炭素原子数3〜18のシクロアルキル基、又は、炭素原子数6〜40のアリール基を表し、
R
34は、分岐又は直鎖の炭素原子数1〜40のアルキル基を表す。)
【化21】
(式中、R
35は、分岐又は直鎖の炭素原子数1〜40のアルキル基を表し、
A
2は、炭素原子数1〜8のアルキレン基を表す。)
【0084】
上記一般式(8)、(9)及び(10)中の、R
16〜R
35で表される分岐又は直鎖の炭素原子数1〜40のアルキル基としては、上記一般式(5)中のX
2と同じものを表す。
【0085】
上記一般式(8)及び(9)中の、R
16〜R
23及びR
26〜R
33で表される炭素原子数6〜40のアリール基としては、上記一般式(5)中のX
2と同じものを表す。
【0086】
上記一般式(8)及び(9)中の、R
16〜R
23及びR
26〜R
33で表される炭素原子数3〜18のシクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、シクロドデシル基、4−メチルシクロヘキシル基等を挙げることができ、シクロアルキル基中の水素原子は、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルケニルオキシ基、ヒドロキシ基、またはシアノ基で置換されていてもよく、このシクロアルキル基は酸素原子、または硫黄原子で中断されていてもよい。
【0087】
上記一般式(10)中のA
2で表される炭素原子数1〜8のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、プロパン−2,2−ジイル基、ブチレン基、イソブチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基等を挙げることができる。アルキレン基は、酸素原子、または硫黄原子で中断されていてもよい。
【0088】
上記化合物(B)である融点100℃以下の紫外線吸収剤としては、例えば、ポリエチレングリコールモノ−3−(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−オキソプロピルエーテル(常温液体)、
2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−ドデシル−4−メチルフェノール(常温液体)、
2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(tert−ブチル)−6−(sec−ブチル)フェノール(融点81−84℃)、
2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ−tert−ペンチルフェノール(融点80−88℃)、
BASF社旧商品名Tinuvin B75(常温液体)、
2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシベンゾフェノン(融点48−49℃)等の化合物が挙げられる。
【0089】
本発明において、上記紫外線吸収剤としては、ポリエチレングリコールモノ−3−(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−オキソプロピルエーテル、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−ドデシル−4−メチルフェノールが、発明の効果が顕著であるので好ましく用いることができる。
【0090】
上記化合物(B)である融点100℃以下の難燃剤としては、例えば、
ビスフェノールA−ビス(ジフェニルホスフェート)(常温液体)、
株式会社ADEKA製商品名アデカスタブPFR(常温液体)
等が挙げられる。
【0091】
本発明においては、上記化合物(B)である難燃剤としては下記一般式(11)で表される化合物が好ましい。
【化22】
(式中、R
36〜R
39は、各々独立に水素原子、分岐又は直鎖の炭素原子数1〜40のアルキル基、又は、炭素原子数6〜40のアリール基を表し、
nは、1〜5の整数を表し、
R
40は、2官能基を有する炭素原子数6〜20の芳香族基を表す。)
【0092】
上記一般式(11)におけるR
36〜R
39で表される分岐又は直鎖の炭素原子数1〜40のアルキル基、炭素原子数6〜40のアリール基としては、上記一般式(5)中のX
2と同じものを表す。
【0093】
上記一般式(11)におけるR
40で表される2官能基を有する炭素原子数6〜20の芳香族基としては、1,4−フェニレン、2,6−フェニレン、1,4−ナフチレン、2,5−ナフチレン、ビフェニレン、4,4’−(プロパン−2,2−ジイル)ビスフェニレン等が挙げられる。
【0094】
上記化合物(B)において上記に例示した以外で融点100℃以下の化合物としては、ベンザンアミン、N−フェニルと2,4,4−トリメチルペンテンの反応物(BASF社製旧商品名Irganox5057,常温液体)等が挙げられる。
【0095】
本発明において、上記化合物(B)をスチレン系エラストマー(A)に含有させる方法としては、下記の方法が挙げられる。ただし、本発明はこれらの方法に限定されるものではない。
【0096】
(1)必要に応じて加熱して液体状又は流動状態にした上記化合物(B)及びスチレン系エラストマー(A)を、大気圧もしくは減圧下に、混合して該化合物(B)をスチレン系エラストマー(A)に含浸させる方法。
(2)固体の上記化合物(B)を、スチレン系エラストマー(A)と混合して、大気圧もしくは減圧下に、固体のままスチレン系エラストマー(A)に付着せしめる方法。
(3)上記化合物(B)に溶媒を加えて溶液にしたり、融点100℃以下にした組成物とスチレン系エラストマー(A)を、大気圧もしくは真空下に、混合した後、溶媒を留去する方法。
(4)上記化合物(B)をスチレン系エラストマー(A)の表面に担持させ、加圧により該化合物(B)を、スチレン系エラストマー(A)の細孔の内部に充填せしめる方法。
(5)上記化合物(B)を気化させて、気体状態でスチレン系エラストマー(A)に吸着させる方法。
【0097】
本発明においては、(1)の方法が比較的容易に上記化合物(B)を上記エラストマー(A)に含有させることができるので好ましい。
【0098】
なお、本発明でいう含浸とは、固体の細孔に液体が含浸(浸透、充填)されること、又は、固体の細孔に微粒子が付着されることを表す。本発明においては、上記エラストマー(A)への上記化合物(B)の含浸はできるだけ均一であることが好ましい。また、上記エラストマー(A)は、上記化合物(B)を含浸しやすいように、表面処理、乾燥などを施しておくことが好ましい。
【0099】
上記化合物(B)を上記エラストマー(A)へ含有させる装置に関し、特に制限はなく、各種ミキサーや、撹拌槽もしくは転動槽を用いることができる。これらの装置には、加熱・冷却装置、減圧装置、撹拌装置、原料回収装置、不活性ガス供給装置などが付帯されていてもよい。
含浸は、回分式、半回分式、又は、連続式であってもよい。
【0100】
上記エラストマー(A)に上記化合物(B)を含有させるときの該化合物(B)の温度が100℃を超える場合、上記エラストマー(A)が軟化して上記化合物(B)を含有することができなくなる場合があるので、該化合物(B)が100℃以下で、且つ、上記化合物(B)が液状又は流動状になる温度で上記エラストマー(A)に上記化合物(B)を含有させることが好ましく、該化合物(B)が液状になる温度で上記エラストマー(A)に上記化合物(B)を含有させることがより好ましい。また、上記化合物(B)を加温して液状又は流動状態にした後、上記化合物(B)の液状又は流動状態を維持できる間に、上記化合物(B)の融点以下の温度で含有させるものであってもよい。本発明においては、上記化合物(B)を変質や揮発させない温度で含有させる方法が好ましく、良好な作業環境を維持する観点から、15〜60℃がより好ましい。上記エラストマー(A)に上記化合物(B)を含有させるときのエラストマー(A)の好ましい温度(好ましい上限及び範囲)は、上記エラストマー(A)に上記化合物(B)を含有させるときの上記化合物(B)の好ましい温度(好ましい上限及び範囲)と同様である。
【0101】
本発明では、上記エラストマー(A)に対し、上記化合物(B)を特定比で含有させて樹脂添加剤組成物とする。このことにより、常温で液状又は流動状である低融点化合物である上記化合物(B)を、固体として取り扱い可能とすることができる。ここでいう「固体として取り扱い可能」とは、樹脂添加剤組成物が固体であることを必ずしも要せず、固体と液体又は流動体との混合物であってもよい。
【0102】
上記エラストマー(A)に上記化合物(B)を含有させる量は、上記エラストマー(A)100質量部に対し、上記化合物(B)50〜250質量部である。好ましくは、上記化合物(B)60〜200質量部であり、より好ましくは、70〜150質量部である。
上記化合物(B)が上記範囲より少ないと、合成樹脂に本発明の樹脂添加剤組成物を配合した際に上記エラストマー(A)に対する影響が大きくなる場合があり、上記化合物(B)が上記範囲より多すぎると、上記エラストマー(A)から上記化合物(B)が流出する場合がある。
【0103】
上記エラストマー(A)へ上記化合物(B)を含浸させる場合、減圧下で行われるなど、上記化合物(A)の空隙にガスが無いように調整するのが好ましい。また、本発明の樹脂添加剤組成物において、本発明の効果を損なわない範囲で、上記(B)成分以外の公知の樹脂添加剤(例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン化合物、造核剤、難燃剤、難燃助剤、滑剤、充填材、金属石鹸、ハイドロタルサイト類、帯電防止剤、顔料、染料等)を含有させてもよい。
【0104】
上記(B)成分以外のフェノール系酸化防止剤としては、例えば、1,3,5−トリス[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)トリオン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、4,4’−ブチリデンビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート]、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]−ウンデカン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)ベンゼンなどが挙げられる。
【0105】
上記(B)成分以外のリン系酸化防止剤としては、例えば、3,9−ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ)−2,4−8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、2,4,8,10−テトラキス(1,1−ジメチルエチル)−6−[(2−エチルヘキシル)オキシ]12H−ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト等が挙げられる。
【0106】
上記(B)成分以外の紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[6−(ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−tert−オクチルフェノール]、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(5−クロロ−−2−ベンゾトリアゾリル)−6−tert−ブチル−p−クレゾール、2−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−tert−ブチル−4−メチルフェノール等が挙げられる。
【0107】
上記造核剤としては、例えば、安息香酸ナトリウム、4−tert−ブチル安息香酸アルミニウム塩、アジピン酸ナトリウム及び2ナトリウムビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ジカルボキシレート等のカルボン酸金属塩、ナトリウムビス(4−tert−ブチルフェニル)ホスフェート、ナトリウム−2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフェート及びリチウム−2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフェート等のリン酸エステル金属塩、ジベンジリデンソルビトール、ビス(メチルベンジリデン)ソルビトール、ビス(3,4−ジメチルベンジリデン)ソルビトール、ビス(p−エチルベンジリデン)ソルビトール、及びビス(ジメチルベンジリデン)ソルビトール等の多価アルコール誘導体、N,N’,N”−トリス[2−メチルシクロヘキシル]−1,2,3−プロパントリカルボキサミド、N,N’,N”−トリシクロヘキシル−1,3,5−ベンゼントリカルボキミド、N,N’−ジシクロヘキシルナフタレンジカルボキサミド、1,3,5−トリ(ジメチルイソプロポイルアミノ)ベンゼン等のアミド化合物等を挙げることができる。
【0108】
本発明の樹脂添加剤組成物及び本発明の製造方法で得られる樹脂添加剤組成物において、上記(B)成分以外の公知の樹脂添加剤の配合量は、樹脂添加剤組成物中、50質量%未満、より好ましくは、30質量%以下、さらに好ましくは、10質量%以下である。
【0109】
本発明の樹脂添加剤組成物を合成樹脂に配合して成形する場合は、公知の成形方法を用いて成形することができる。例えば、合成樹脂が熱可塑性樹脂である場合は、射出成形法、押出成形法、ブロー成形法、真空成形法、インフレーション成形法、カレンダー成形法、スラッシュ成形法、ディップ成形法、発泡成形法等を用いて成形品を得ることができる。
また、合成樹脂が、熱、光、放射線及びその他による硬化性樹脂である場合は、圧縮成形法、射出成形法、低圧成形法、積層成形法などを用いて成形品を得ることができる。
【0110】
上記合成樹脂としては、例えば、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、ポリブテン−1、ポリ−3−メチルペンテン等のα−オレフィン重合体;エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−プロピレン共重合体等のポリオレフィン及びこれらの共重合体;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、塩化ゴム、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン−酢酸ビニル三元共重合体、塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−マレイン酸エステル共重合体、塩化ビニル−シクロヘキシルマレイミド共重合体等の含ハロゲン樹脂;石油樹脂;クマロン樹脂;ポリスチレン;ポリ酢酸ビニル;アクリル樹脂;スチレン及び/又はα−メチルスチレンと他の単量体(例えば、無水マレイン酸、フェニルマレイミド、メタクリル酸メチル、ブタジエン、アクリロニトリル等)との共重合体(例えば、AS樹脂、ABS樹脂、MBS樹脂、耐熱ABS樹脂等);ポリメチルメタクリレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンンテレフタレート等の直鎖ポリエステル;ポリフェニレンオキサイド、ポリカプロラクタム、ポリヘキサメチレンアジパミド等のポリアミド;ポリカーボネート、ポリカーボネート/ABS樹脂、分岐ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリフェニレンサルファイド、ポリウレタン、トリアセチルセルロース、繊維系樹脂等の熱可塑性樹脂及びこれらのブレンド物;フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂を挙げることができる。更に、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、スチレン−ブタジエン共重合ゴム等のエラストマーであってもよい。これらの合成樹脂は、単独で使用してもよく、或いは二種類以上混合して使用してもよい。合成樹脂としては、スチレン系エラストマー以外の樹脂を用いることが好ましい。
上記合成樹脂としては、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、ポリブテン−1、ポリ−3−メチルペンテン等のα−オレフィン重合体が、本発明の効果が顕著となるので好ましい。特に高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン等のポリエチレンを用いると、(B)成分の樹脂添加剤の機能を付与しやすいため好ましく用いることができる。
【0111】
上記合成樹脂100質量部に対する本発明の樹脂添加剤組成物又は本発明の製造方法で得られる樹脂添加剤組成物の配合量は、上記(B)成分が0.01〜10質量部となるように配合することが望ましい。0.01質量部未満の場合、(B)成分の添加効果が現れない場合があり、10質量部超の場合、添加量効果が得られなくなる場合があり、不経済である。
【実施例】
【0112】
以下、本発明を実施例及び比較例により説明する。本発明は、以下の実施例等により制限されるものではない。なお、以下で用いた各材料について、他の材料との混合前の温度が記載されていない場合、その混合前の温度は常温(25℃)である。
【0113】
<樹脂添加剤組成物の製造>
(実施例1−1〜1−2、比較例1−1〜1−2)
表1に記載の媒体(粉末状)100質量部に対し、予め60℃に加温して液状状態にした株式会社ADEKA製商品名「アデカスタブLA−81; 常温液体」を、表1に記載の配合量で混合し、媒体に含浸させて樹脂添加剤組成物を製造した。
【0114】
(比較例1−3)
230℃のMFRが8g/10minであるポリプロピレン(粉末状)100質量部に対し、アデカスタブLA−81を表1に記載の配合量で混合し、二軸押出機を用いて230℃で溶融混練して造粒し、マスターバッチ化して、樹脂添加剤組成物を得た。
【0115】
(比較例1−4)
200℃のMFRが1g/10minである低密度ポリエチレン(粉末状)100質量部に対し、アデカスタブLA−81を表1に記載の配合量で混合し、二軸押出機を用いて200℃で溶融混練して造粒し、マスターバッチ化して、樹脂添加剤組成物を得た。
【0116】
<保留性>
上記実施例1−1〜1−2、比較例1−1〜1−4それぞれで得られた樹脂添加剤組成物200gをビーカーに入れ、常温(20〜25℃)で1ヶ月間静置し、表面状態を観察した。樹脂添加剤組成物の表面から樹脂添加剤(LA−81)の流出が見られた場合は×とし、外観に変化がなかった場合を○として評価した。これらの結果について、それぞれ表1に示す。
【0117】
【表1】
【0118】
比較例1−1より、スチレン系エラストマー100質量部に対して、液状の化合物250質量部を超えて配合した場合、保留性に乏しいことが確認できた。
比較例1−2より、媒体がSEBSとは異なるもので製造した場合、保留性に乏しいことが確認できた。
比較例1−3〜1−4より、オレフィン樹脂でマスターバッチ化した場合、保留性に乏しいことが確認できた。
これらに対し、本発明の製造方法で製造された樹脂添加剤組成物(又は本発明の樹脂添加剤組成物)は、保留性に優れることが確認できた。
【0119】
JIS K7210の試験方法に従って測定したMFRが5.0g/10min、密度:0.929g/cm
3である低密度ポリエチレン100質量部に対し、テトラキス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシメチル)メタン0.1質量部、トリス(2,4−ジーtert−ブチルフェニル)ホスファイト0.1質量部、ハイドロタルサイト(KISUMA Chemicals社製商品名「DHT−4V」)5質量部、及び、表1に記載の実施例1−1及び比較例1−2〜1−4の組成の「樹脂添加剤組成物」において、含有する「アデカスタブLA−81」が0.4質量部になるように樹脂添加剤組成物を配合し、これらを混合した。
次に、二軸押出機を用いて、200℃の押出温度で造粒してペレットを得た。得られたペレットを、180℃、9.8MPaの条件で5分間圧縮成形を行い、厚み80μmのフィルムを製造した。得られたフィルムについて下記の評価を行った。
なお、比較例2−4は、実施例2−1における樹脂添加剤組成物の製造過程(実施例1−1の工程)でSEBSにアデカスタブLA−81を含浸させずに、SEBS及びアデカスタブLA−81をそれぞれ別別に低密度ポリエチレンに添加した以外は、実施例2−1と同一配合量・同条件で加工してフィルムを得た。
【0120】
(外観)
得られたフィルムを目視で観察し、白濁や異物が無かった場合を○とし、確認した場合を×として評価した。これらの結果について下記表2に示す、
【0121】
(Feed性)
二軸押出機を用いた加工の際に、原料供給口でブロッキングが発生したりしてFeed量が安定しなかった場合を×とし、特に問題なく原料を供給できた場合は○として評価した。これらの結果についてそれぞれ表2に示す。
【0122】
【表2】
【0123】
比較例2−1〜2−3より、媒体がSEBSとは異なるもので製造した場合、成形品の外観を損ねることが確認できた。また、保留性に乏しい樹脂添加剤組成物は、Feed性に悪影響があることが確認できた。また、比較例2−4より、実施例1−1の樹脂添加剤組成物と同一成分であっても、SEBSにアデカスタブLA−81を含浸させなかった場合、Feed性に支障があることが確認できた。
これらに対し、本発明の樹脂添加剤組成物は、成形品の外観及びFeed性が良好であることが確認できた。