【実施例1】
【0015】
図1は、本実施例の表示装置100の構成を示すブロック図である。表示装置100は、例えばアクティブマトリクス駆動方式の液晶表示装置であり、表示パネル11、データドライバ12、ゲートドライバ13、電源回路14及び表示コントローラ15を含む。
【0016】
表示パネル11は、複数の画素部P
11〜P
nm及び画素スイッチM
11〜M
nm(n,m:2以上の自然数)がマトリクス状に配置された半導体基板から構成されている。表示パネル11は、n本の走査線S
1〜S
nと、これに交差するように配されたm本のデータ線D
1〜D
mと、を有する。画素部P
11〜P
nm及び画素スイッチM
11〜M
nmは、走査線S
1〜S
n及びデータ線D
1〜D
mの交差部に設けられている。
【0017】
画素スイッチM
11〜M
nmは、ゲートドライバ13から供給される走査信号Vg1〜Vgnに応じてオン又はオフに制御される。
【0018】
画素部P
11〜P
nmは、画素スイッチM
11〜M
nmがオンのときに、データドライバ12から階調電圧信号Gv1〜Gvmの供給を受ける。階調電圧信号Gv1〜Gvmは、映像データ信号VDSに対応した信号である。階調電圧信号Gv1〜Gvmに応じて画素部P
11〜P
nmの輝度が制御され、表示が行われる。
【0019】
表示装置100が液晶表示装置である場合、画素部P
11〜P
nmの各々は、図示せぬ透明電極と、半導体基板と対向して設けられ且つ面全体に1つの透明な電極が形成された対向基板との間に封入された液晶と、を含む。表示装置内部のバックライトに対して、画素部P
11〜P
nmに供給された階調電圧信号Gv1〜Gvmと対向基板電圧との電位差に応じて液晶の透過率が変化することにより、表示が行われる。
【0020】
データドライバ12は、表示コントローラ15から変調クロック信号CLK、制御信号CS及び映像データ信号VDSの供給を受け、映像データ信号VDSに応じた階調電圧信号Gv1〜Gvmをデータ線D
1〜D
mを介して画素部P
11〜P
nmに供給する。データドライバ12は、階調数に応じた多値レベルの階調電圧信号Gv1〜Gvmをデータ線D
1〜D
mに供給する。
【0021】
ゲートドライバ13は、表示コントローラ15から変調クロック信号CLK及び制御信号CSの供給を受け、これに応じて走査信号Vg1〜Vgnを走査線S
1〜S
nに供給する。ゲートドライバ13は、少なくとも2値の走査信号Vg1〜Vgnを走査線S
1〜S
nに供給する。
【0022】
1フレーム期間毎に1画面分の映像データ信号の書き換えが行われ、走査線S
1〜S
nに対応する画素行毎に画素部P
11〜P
nmが選択され、データ線D
1〜D
mを介して階調電圧信号Gv1〜Gvmが画素部P
11〜P
nmに供給される。以下の説明では、画素部P
11〜P
nmへの階調電圧信号Gv1〜Gvmの供給を、「階調電圧信号の画素電極への書き込み」とも称する。
【0023】
電源回路14は、データドライバ12及びゲートドライバ13にそれぞれ必要な電源電圧を供給する。
【0024】
表示コントローラ15は、映像データ信号VDSをデータドライバ12に供給する。また、表示コントローラ15は、制御信号CS及び変調クロック信号CLKをデータドライバ12及びゲートドライバ13に供給する。
【0025】
変調クロック信号CLKは、1フレーム期間内においてクロック周波数が予め定められた割合で変化するクロック信号である。表示コントローラ15は、変調クロック信号CLKを生成する変調クロック生成部を有する。
【0026】
図2(a)は、変調クロック生成部の構成例を単純化して示すブロック図である。変調クロック生成部は、例えば映像データ信号VDSから垂直同期信号の1周期を抽出する1V抽出部21を有する。1V抽出部21は、例えば
図2(b)に示すように、画素データPDの連続からなる映像データ信号VDから垂直同期信号の周期を抽出し、例えば当該周期毎に1パルスの振幅を有する周期信号1Vを生成する。
【0027】
また、変調クロック生成部は、鋸歯状波信号PCを生成する鋸歯状波生成部22を有する。鋸歯状波生成部22は、例えば
図2(b)に示すように、垂直同期信号の1周期内において信号レベルが増加する鋸歯状波信号PCを生成する。
【0028】
また、変調クロック生成部は、一定の周期を有する基準クロック信号RCKの供給を受け、当該基準クロック信号RCK及び鋸歯状波信号PCに基づいて変調クロック信号CLKを生成するPLL(Phase Locked Loop)23を有する。PLL23は、例えば周波数が段階的に減少する変調クロック信号CLKを生成する。
【0029】
再び
図1を参照すると、データドライバ12は、変調クロック信号CLKの周期に応じたデータ期間において、階調電圧信号Gv1〜Gvmを画素部P
11〜P
nmに供給する。
【0030】
ゲートドライバ13は、走査信号Vg1〜Vgnは、変調クロック信号CLKに応じたパルス幅を有する走査信号Vg1〜Vgnを生成し、走査線S
1〜S
nに供給する。走査信号Vg1〜Vgnのパルス幅は、画素スイッチM
11〜M
nmの選択期間となる。
【0031】
図3は、高解像度で且つ大画面の表示装置であって、本実施例の表示装置100における、1フレーム期間TFの変調クロック信号CLK、走査信号Vg1〜Vgn、及び、あるデータ線Dxの階調電圧信号Gvxを示すタイムチャートである。なお、データ線D
1〜D
mに供給される階調電圧信号Gv1〜Gvmのデータ期間及びタイミングは階調電圧信号Gvxと同じである。
【0032】
変調クロック信号CLKは、1フレーム期間TFの開始直後は周波数が高く、1フレーム期間TFの後半に向かって周波数が予め定められた割合で低下するように制御される。また、次のフレーム期間でも同様に、再び高い周波数から低い周波数に変化するように、変調クロック信号CLKの周波数が制御される。
【0033】
走査信号Vg1〜Vgnのパルス幅(すなわち、画素スイッチの選択期間)及び階調電圧信号Gv1〜Gvmの駆動期間(すなわち、1データ期間)は、例えばタイミング制御信号を基準として、変調クロック信号CLKを所定数カウントした期間(例えば、変調クロック信号CLKの周期の所定数倍)により生成される。このため、変調クロック信号CLKの周波数が低い場合(例えば、fγ)には、走査信号Vg1〜Vgnの選択期間及び階調電圧信号Gv1〜Gvmの1データ期間が長く、変調クロック信号CLKの周波数が高い場合(例えば、fα)には、走査信号Vg1〜Vgnの選択期間及び階調電圧信号Gv1〜Gvmの1データ期間が短くなる。従って、1フレーム期間TFの開始直後の走査信号Vg1〜Vgnの選択期間及び階調電圧信号Gv1〜Gvmの1データ期間は短く、1フレーム期間TFの終了直前の走査信号Vg1〜Vgnの選択期間及び階調電圧信号Gv1〜Gvmの1データ期間は長くなる。
【0034】
走査信号Vg1、Vg2、・・・、Vgk、・・・、Vgnは、表示パネル11のデータドライバ12に近い側から1番目の走査線S
1、2番目の走査線S
2、・・・k番目の走査線S
k、・・・、n番目の走査線S
nに夫々供給される走査信号である。走査信号Vg1〜Vgnによる画素スイッチM
11〜M
nmの選択は、1フレーム期間内にデータドライバ12に近い側の走査線S
1から、遠い側の走査線S
nに向かって順次行われる。すなわち、データドライバ12に近い側の画素行(1st column)から遠い側の画素行(nth column)に向かって画素スイッチM
11〜M
nmが順次オンとなり、データドライバ12からデータ線D
1〜D
mの各々に供給されている階調電圧信号Gv1〜Gvmが画素行単位で順次各画素電極に書き込まれる。
【0035】
図3に示す階調電圧信号Gvxは、データ線D
1〜D
mのうちのあるデータ線Dxにおいて、各走査信号Vg1〜Vgnの選択期間に対応した階調電圧信号の波形(実線)を表している。なお、階調電圧信号Gvxは、階調レベルに対応した多値レベルの電圧信号であるが、説明の便宜上、ここでは振幅が最大の波形パターンであって選択期間に電圧レベルが最大となる波形を示している。また、階調電圧信号の理想パルス波形を破線で示している。階調電圧信号Gvxの1データ期間は変調クロック信号CLKに基づいて生成されるため、1データ期間の長さは1フレーム期間TF内で異なる値をとる。
【0036】
各走査信号Vg1〜Vgnの選択期間と階調電圧信号Gvxの1データ期間との間には、所定のタイミング差dhが設けられている。また、1フレーム期間TFの開始から最初のデータ期間開始までの間にブランキング期間VBが設けられている。
【0037】
1フレーム期間TF内に、走査線S
1〜S
nの本数(すなわち、n本)に対応した走査信号Vg1〜Vgnと、階調電圧信号Gvxとが、夫々走査線S
1〜S
n及びデータ線D
xに供給される。
【0038】
図4は、本実施例の表示装置100とは異なり、1フレーム期間TF内において一定の周波数を有するクロック信号CLKに基づいて動作を行う標準的な表示装置における各信号を比較例として示すタイムチャートである。
図3と同様に高解像度で且つ大画面の表示装置を前提とする。標準的な表示装置の1データ期間Thは、1秒間に画面を書き換えるフレーム周波数Fと1画面の走査線数nとブランキング期間VBを用いて、
Th=(1/F−VB)/n
で計算される。1フレーム期間TFは、フレーム周波数Fの逆数である。
【0039】
1フレーム期間TFの開始直後の走査信号Vg1、Vg2で選択される階調電圧信号Gvxは、データドライバに近い側(以下、データ線近端と称する)における階調電圧信号であり、データ線インピーダンスの影響が小さいため、階調電圧信号Gvxの信号波形の立ち上がりの鈍りが小さく、供給された階調電圧信号Gvxの電圧レベルをそのまま画素電極に書き込むことが出来る。また、1フレーム期間TFの中間付近の走査信号Vgkで選択される階調電圧信号Gvxは、データ線中間における階調電圧信号であるため、データ線インピーダンスの影響を受けて波形(信号レベルの上昇度合い)が鈍るが、データドライバから供給された階調電圧信号Gvxの電圧レベルに選択期間Thの後半で到達し、当該電圧レベルを画素電極に書き込むことができる。
【0040】
一方、フレーム期間TFの終了手前の走査信号Vgnで選択される階調電圧信号Gvxは、データドライバから遠い側(以下、データ線遠端と称する)における階調電圧信号であるため、データ線インピーダンスの影響を大きく受けて信号波形の立ち上がりの鈍りが大きくなり、1データ期間内に供給された階調電圧レベルに到達できず、供給された階調電圧信号Gvxの電圧レベルに満たない電圧レベルが画素電極に書き込まれる。このため、データ線遠端付近では、画素電極に対する書き込み不足が生じ、表示パネルにおいて輝度差が生じてしまう。
【0041】
再び
図3を参照すると、本実施例の表示装置100では、上記の通り、1フレーム期間TFの開始直後の走査信号Vg1、Vg2の選択期間及び階調電圧信号Gvxの1データ期間(Th1として示す)は、高い周波数fαの変調クロック信号CLKに基づいて生成され、
図4の比較例における標準的な1データ期間Thよりも比較的に短い期間に設定される。走査信号Vg1、Vg2により選択される階調電圧信号Gvxは、データドライバ12に近い側(以下、データ線近端と称する)における階調電圧信号であるため、データ線インピーダンスの影響が小さく、信号波形の立ち上がりの鈍りは小さい。従って、1データ期間Th1が短くなっても、供給された階調電圧信号Gvxの電圧レベルをそのまま画素電極に書き込むことができる。
【0042】
また、1フレーム期間TFの中間付近の走査信号Vgkの選択期間及び階調電圧信号Gvxの1データ期間(Thkとして示す)は、周波数fαよりも低い周波数fβの変調クロック信号CLKに基づいて生成され、
図4の比較例における標準的な1データ期間Thと同等の期間に設定される。走査信号Vgkで選択される階調電圧信号Gvxは、データ線中間における階調電圧信号であるため、データ線インピーダンスの影響を受けて波形が鈍るが、データドライバ12から供給された階調電圧信号Gvxの電圧レベルに1データ期間Thkの後半で到達し、当該電圧レベルを画素電極に書き込むことができる。
【0043】
一方、1フレーム期間TFの終了手前の走査信号Vgnの選択期間及び階調電圧信号Gvxの1データ期間(Thnとして示す)は、周波数fβよりも低い周波数fγの変調クロック信号CLKに基づいて生成され、
図4の比較例における標準的な1データ期間Thよりも比較的に長い期間に設定される。走査信号Vgnで選択される階調電圧信号Gvxは、データ線遠端における階調電圧信号であるため、データ線インピーダンスの影響を大きく受けて波形が大きく鈍る。しかしながら、1データ期間Thnが長くなるため、データドライバ12から供給された階調電圧信号Gvxの電圧レベルに1データ期間Thn内で到達することができ、当該電圧レベルを画素電極に書き込むことができる。
【0044】
以上のように、本実施例の表示装置100では、表示コントローラ15が、1フレーム期間内において周波数が予め定められた割合で低下する変調クロック信号、例えば段階的に低下する変調クロック信号CLKを、データドライバ12及びゲートドライバ13に供給する。ゲートドライバ13は、変調クロック信号CLKに基づいて、1フレーム期間内においてパルス幅(選択期間)が段階的に大きくなる走査信号Vg1〜Vgnを走査線S
1〜S
nに供給する。データドライバ12は、変調クロック信号CLKに基づいて、1フレーム期間内において期間の長さが段階的に大きくなるデータ期間で、階調電圧信号Gv1〜Gvmを画素部P
11〜P
nmに供給する。これにより、データドライバ12から遠い側の画素部では、選択期間及びデータ期間が広がる。従って、データ線インピーダンスの影響により階調電圧信号Gv1〜Gvmの波形(信号レベルの上昇度合い)が鈍った場合でも、画素電極への書き込み電圧が所望のレベル(データドライバ12から供給された階調電圧の電圧レベル)に到達する。
【0045】
図5は、データ線上の位置と階調電圧信号Gvxの最大振幅振動時の1データ期間内の画素部の充電率との関係を示す図である。比較例(
図4)のように階調電圧信号Gvxの1データ期間の長さがデータドライバからの距離に関わらず一定である場合、
図5に破線(A)で示すように、データ線遠端の画素部では階調電圧信号Gvxの鈍りにより充電率が低下する。これに対し、本実施例(
図3)のように階調電圧Gvxの1データ期間をデータドライバからの距離に応じた長さとした場合、
図5に実線(B)で示すように、データ線近端の画素部の充電率が引き下げられるとともにデータ線遠端の画素部の充電率が引き上げられ、データ線近端と遠端との間の画素部の充電率の差を縮めることができる。これにより、画素部の充電率の差によって生じるパネル内の輝度むらを改善し、高品質の画質を実現することができる。
【0046】
従って、本実施例の表示装置100によれば、データ線インピーダンスの影響に起因する輝度むらを抑えた表示を行うことができる。
【0047】
なお、上記説明では、変調クロック信号CLKの周波数は1フレーム期間TF内において段階的に低下する例で説明したが、1フレーム期間TF内において連続的に低下させてもよい。また周波数の低下率に関し、一定の低下率(減少率)で周波数を変化させても良く、低下率を変動しつつ周波数を変化させても良い。
【0048】
図6は、表示コントローラ15が段階的な変化で且つ一定の低下率(減少率)で変調クロック信号CLKの周波数を変化させる場合の制御例を示すタイムチャートである。
【0049】
表示コントローラ15は、1フレーム期間TFの開始直後(時刻t1s、t1α)では、ブランキング期間VBと所定数のデータ期間を含めて高い周波数fαとし、その後所定数のデータ期間毎に一定の低下率で単調減少的に周波数を変化させ、1フレーム期間TFの終了の手前(時刻t1γ)の所定数のデータ期間では低い周波数fγとなるように変調クロック信号CLkの周波数の制御を行う。1フレーム期間TFの終了後(時刻t2s)は、高い周波数fαに速やかに戻し、次のフレーム期間においても同様の制御を行う。
【0050】
図7は、表示コントローラ15が、連続的な変化で且つ一定の低下率(減少率)で変調クロック信号CLKの周波数を変化させる場合の制御例を示すタイムチャートである。
【0051】
表示コントローラ15は、1フレーム期間TFの開始直後のブランキング期間VB(時刻t1s、t1α)では、高い周波数fαとし、その後一定の低下率で単調減少的かつ連続的に周波数を変化させ、1フレーム期間TFの終了の手前(時刻t1γ)のデータ期間では低い周波数fγとなるように変調クロック信号CLKの周波数の制御を行う。1フレーム期間TFの終了後(時刻t2s)は、高い周波数fαに速やかに戻し、次のフレーム期間においても同様の制御を行う。なお、変調クロック信号CLKの周波数fα、fβ、fγに基づき、1データ期間Th1、Thk、Thnがそれぞれ生成される。
【0052】
図8は、表示コントローラ15が段階的な変化で且つ低下率(減少率)を減少させつつ変調クロック信号CLKの周波数を変化させる場合の制御例を示すタイムチャートである。
【0053】
表示コントローラ15は、
図6の場合と同様、1フレーム期間TFの開始直後(時刻t1s、t1α)では、ブランキング期間VBと所定数のデータ期間を含めて高い周波数fαとする。そして、所定数のデータ期間毎にデータ線インピーダンスの時定数に応じた階調電圧信号Gv1〜Gvmの信号波形の立ち上がりの鈍りに対応させて低下率(減少率)を減少させつつ変調クロック信号CLKの周波数を変化させる。1フレーム期間TFの終了の手前(時刻t1γ)の所定数のデータ期間では低い周波数fγとなるように変調クロック信号CLkの周波数の制御を行う。1フレーム期間TFの終了後(時刻t2s)は、高い周波数fαに速やかに戻し、次のフレーム期間においても同様の制御を行う。
図9は、表示コントローラ15が、連続的な変化で且つ低下率(減少率)を減少させつつ変調クロック信号CLKの周波数を変化させる場合の制御例を示すタイムチャートである。
【0054】
表示コントローラ15は、1フレーム期間TFの開始直後のブランキング期間VB(時刻t1s、t1α)では、高い周波数fαとする。そして、所定数のデータ期間毎にデータ線インピーダンスの時定数に応じた階調電圧信号Gv1〜Gvmの信号波形の立ち上がりの鈍りに対応させて低下率(減少率)を減少させつつ変調クロック信号CLKの周波数を連続的に変化させる。1フレーム期間TFの終了の手前(時刻t1γ)のデータ期間では低い周波数fγとなるように変調クロック信号CLkの周波数の制御を行う。1フレーム期間TFの終了後(時刻t2s)は、高い周波数fαに速やかに戻し、次のフレーム期間においても同様の制御を行う。
【0055】
表示コントローラ15は微細プロセスの低電圧回路で構成されているため、
図6〜
図9のように変調クロック信号CLKの周波数を制御する制御機能を追加してもチップ面積(コスト)への影響が小さく、変調クロック信号CLKを容易に生成することができる。
【実施例3】
【0062】
本実施例の表示装置は、各走査信号Vg1〜Vgnの選択期間の長さと階調電圧信号Gv1〜Gvmの1データ期間の長さとが異なる点で、実施例1の表示装置10と異なる。
【0063】
図11は、本実施例の表示装置における1フレーム期間TFの変調クロック信号CLK、走査信号Vg1〜Vgn、及び、あるデータ線Dxに供給される階調電圧信号Gvxを示すタイムチャートである。ここでは、本実施例の表示装置の駆動方式がカラム反転駆動であり、1フレーム内の階調電圧信号Gvxは全て同じ極性であることを前提としている。
【0064】
本実施例のゲートドライバ13は、画素部P
11〜P
nmに供給する階調電圧信号Gvxのデータ期間と当該画素部の1行前又は複数行前の画素部に供給する階調電圧信号Gvxのデータ期間との和に相当するパルス幅を有する走査信号Vg1〜Vgnを生成し、走査線S
1〜S
nに供給する。例えば、本実施例のゲートドライバ13は、走査信号Vgkのパルス幅Thkaを、k行目の階調電圧信号Gvxのデータ期間Thkと(k−1)行目の階調電圧信号Gvxのデータ期間Th(k−1)(図示せず)との和に相当する長さとする。
【0065】
これにより、本実施例のデータドライバ12は、画素電極への階調電圧信号Gvxの書き込みを行う際、予備駆動として1つ前や複数個前の同極性の階調電圧信号GVxの書き込みを行うことができる。従って、本実施例の表示装置によれば、画素部P
11〜P
nmに対して十分に充電(書き込み)を行うことが可能となる。
【0066】
なお、本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、上記実施例では、表示装置100が液晶表示装置である場合について説明したが、これとは異なり、有機EL(Electro Luminescence)表示装置であっても良い。表示装置100が有機EL表示装置である場合、画素部P
11〜P
nmの各々は、有機EL素子と、有機EL素子に流す電流を制御する薄膜トランジスタと、を備える。画素部P
11〜P
nmに供給された階調電圧信号Gv1〜Gvmに応じて薄膜トランジスタが有機EL素子に流す電流を制御し、その電流に応じて有機EL素子の発光輝度が変化することにより、表示が行われる。有機EL表示装置においても、本発明を適用することにより、輝度むらを抑えた表示を行うことが可能となる。
【0067】
また、上記実施例では、1フレーム期間TFにおいて周波数が予め定められた割合で低下する変調クロック信号CLKを表示コントローラ15がデータドライバ12及びゲートドライバ13に供給する場合を例として説明した。しかし、変調クロック信号CLKの周波数の変化は、低下する方向への変化のみではなく、上昇する方向への変化を含んでいても良い。すなわち、表示コントローラ15は、周波数が予め定められた割合で変化する変調クロック信号CLKをデータドライバ12及びゲートドライバ13に供給するものであれば良い。
【0068】
また、上記実施例では、ゲートドライバ13がデータドライバ12に近い走査線から順に(すなわち、走査線S
1、S
2、・・・S
k、・・・、S
nの順に)走査信号Vg1〜Vgnを供給する場合について説明した。しかし、これに限られず、ゲートドライバ13は、データドライバ12から走査線S
1〜S
nの各々までの距離に応じた所定の順序で走査信号Vg1〜Vgnを供給するように構成されていれば良い。例えば、上記実施例とは逆に、ゲートドライバ13が、データドライバ12から遠い走査線から順に(すなわち、走査線S
n、・・・S
k、・・・S
2、S
1の順に)走査信号Vgn〜Vg1を供給する構成としても良い。
【0069】
図12は、ゲートドライバ13がデータドライバ12から遠い走査線から順に走査信号Vgn〜Vg1の供給を行う場合の、1フレーム期間TFの変調クロック信号CLK、走査信号Vgn〜Vg1、及び、あるデータ線Dxの階調電圧信号Gvxを示すタイムチャートである。
【0070】
表示コントローラ15は、1フレーム期間TFの開始直後は周波数が低く、1フレーム期間TFの後半に向かって周波数が予め定められた割合で上昇するように変調クロック信号CLKの周波数を制御する。走査信号Vg1〜Vgnのパルス幅及び階調電圧信号Gv1〜Gvmの1データ期間は、変調クロック信号CLKを所定数カウントした期間により生成されるため、変調クロック信号CLKの周波数が低い1フレーム期間TFの序盤では、走査信号のパルス幅及び階調電圧信号の1データ期間は長くなる。また、変調クロック信号CLKの周波数が高い1フレーム期間TFの終盤では、走査信号のパルス幅及び階調電圧信号の1データ期間は短くなる。
【0071】
ゲートドライバ13は、データドライバ12から遠い側の走査線から順に(すなわち、走査線S
n、・・・S
k、・・・S
1の順に)走査信号Vgn〜Vg1を供給する。これにより、パルス幅の長い走査信号(Vgn)がデータドライバ12から遠い走査線(S
n)に供給され、パルス幅の短い走査信号Vg1がデータドライバ12から近い走査線(S
1)に供給される。
【0072】
データドライバ12から遠い側の画素行から近い側の画素行に向かって画素スイッチM
11〜M
nmが順次オンとなり、階調電圧信号Gvxが画素行単位で順次画素電極に書き込まれる。従って、データドライバ12から遠い側の画素行に対してデータ期間が長い階調電圧信号Gvxが書き込まれ、データドライバ12から近い側の画素行に対してデータ期間が短い階調電圧信号Gvxが書き込まれる。
【0073】
従って、実施例1と同様、データ線遠端においてデータ線インピーダンスの増加の影響により階調電圧信号Gvxの波形(信号レベルの上昇度合い)が鈍った場合でも、画素電極への書き込み電圧が所望のレベル(データドライバ12から供給された階調電圧の電圧レベル)に到達する。また、データ線近端の画素部の充電率が引き下げられるとともにデータ線遠端の画素部の充電率が引き上げられることにより、輝度むらの原因となるデータ線近端と遠端との間の画素部の充電率の差を抑制することができる。
【0074】
その際、変調クロック信号CLKの周波数は1フレーム期間TF内において段階的に上昇させても良く、連続的に上昇させてもよい。また周波数の変化率に関し、一定の上昇率(増加率)で周波数を変化させても良く、上昇率を変動しつつ周波数を変化させても良い。
【0075】
図13は、表示コントローラ15が連続的な変化で且つ一定の上昇率で変調クロック信号CLKの周波数を変化させる場合の制御例を示すタイムチャートである。表示コントローラ15は、1フレーム期間TFの開始直後のブランキング期間VB(時刻t1s、t1γ)では、低い周波数fγとし、その後一定の上昇率で単調増加的かつ連続的に周波数を変化させ、1フレーム期間TFの終了の手前(時刻t1α)のデータ期間では高い周波数fαとなるように変調クロック信号CLkの周波数の制御を行う。1フレーム期間TFの終了後(時刻t2s)は、低い周波数fγに速やかに戻し、次のフレーム期間においても同様の制御を行う。
【0076】
図14は、表示コントローラ15が連続的な変化で且つ上昇率を増加させつつ変調クロック信号CLKの周波数を変化させる場合の制御例を示すタイムチャートである。表示コントローラ15は、1フレーム期間TFの開始直後のブランキング期間VB(時刻t1s、t1γ)では、低い周波数fγとする。そして、所定数のデータ期間毎にデータ線インピーダンスの時定数に応じた階調電圧信号Gv1〜Gvmの信号波形の立ち上がりの鈍りに対応させて上昇率を増加させつつ変調クロック信号CLKの周波数を連続的に変化させる。1フレーム期間TFの終了の手前(時刻t1α)のデータ期間では高い周波数fγとなるように変調クロック信号CLkの周波数の制御を行う。1フレーム期間TFの終了後(時刻t2s)は、低い周波数fγに速やかに戻し、次のフレーム期間においても同様の制御を行う。なお、変調クロック信号CLKの周波数fα、fβ、fγに基づき、1データ期間Th1、Thk、Thnがそれぞれ生成される。
【0077】
また、表示コントローラ15における変調クロック生成部の構成は上記実施例で示した構成に限定されず、周波数が予め定められた割合で変化する変調クロック信号を生成可能に構成されていれば良い。
【0078】
図15は、変調クロック生成部の他の構成例を示すブロック図である。変調クロック生成部は、例えば位相比較器31、ループフィルタ32、VCO33及びプログラマブル分周器34からなるPLL回路として構成されている。プログラマブル分周器34は、外部から供給された分周比制御信号MCSに応じた分周比で変調クロック信号CLKを分周し、位相比較器31に供給する。かかる構成によれば、周波数が段階的又は連続的に増加又は減少する変調クロック信号CLKを生成することができる。
【0079】
また、上記実施例2では、表示コントローラ15が時間差の制御を行うことによりタイミング差dh2を調整する場合を例として説明したが、データドライバ12又はゲートドライバ13のいずれか一方のタイミング制御によりタイミング差dh2の調整を行う構成であっても良い。すなわち、選択期間の開始時点とデータ期間の開始時点との時間差がゲートドライバ13から各画素スイッチまでの距離に応じた長さとなるように、タイミング差dh2が調整されれば良い。
【0080】
また、データドライバ12及びゲートドライバ13は、夫々単一のドライバLSIとして構成されていても良く、複数のドライバLSIに分かれて構成されていても良い。
【0081】
また、表示パネル11は、カラーFHD(Full High Definition)パネルであっても良く、4Kパネルや8Kパネルであっても良い。