(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1は、一実施の形態による一眼レフカメラシステムの構成例を説明する図である。
図1において、カメラ1は、カメラボディ31と交換レンズ(レンズ鏡筒)32とを有し、これらカメラボディ31と交換レンズ32とが着脱可能に構成されている。
【0008】
カメラボディ31および交換レンズ32には、それぞれ不図示のマウントが設けられている。交換レンズ32は、上記マウントを介してカメラボディ31に対して交換可能に装着される。また、上記マウントには電気接点が設けられている。具体的には、カメラボディ31にはカメラ側接点が設けられており、交換レンズ32にはレンズ側接点が設けられている。カメラボディ31に対して交換レンズ32が装着された場合、カメラボディ31と交換レンズ32との間が電気的に接続される(カメラ側接点とレンズ側接点とが電気的に接続される)。これにより、カメラボディ31から交換レンズ32への電力供給や、カメラボディ31と交換レンズ32との間でデータ通信が可能となる。
なお、
図1においてはマウントおよび電気接点の図示を省略している。
【0009】
<交換レンズ>
交換レンズ32は、撮像光学系33と、レンズ駆動部34と、絞り35と、絞り駆動部36と、絞りを駆動するステッピングモータ(図示せず)と、レンズ内メモリ37と、レンズ制御部38とを内蔵している。レンズ制御部38はレンズ側送信部381(
図2参照)と、レンズ側受信部382とを有する。ボディ制御部47はボディ側送信部473と、ボディ側受信部471とを有する。
レンズ駆動部34に対するレンズの駆動指示は、レンズ制御部38によって行われる。本実施形態では、例えば、カメラボディ31のボディ制御部47によって撮像光学系33を構成するフォーカスレンズの駆動方向および駆動速度(レンズ制御信号)が決定される。ボディ側送信部は、決定された駆動方向および駆動速度を示すレンズ制御信号をマウント(カメラ側接点およびレンズ側接点)を介してレンズ制御部38(レンズ側受信部)へ送信される。
【0010】
レンズ制御部38は、レンズ側受信部が受信したボディ制御部47からのレンズ制御信号(駆動方向および駆動速度)に基づき、レンズ駆動部34へフォーカスレンズの駆動指示(駆動パルス信号)を送る。駆動パルス信号は、例えば、レンズ駆動部34を構成するステッピングモータの回転を制御する信号である。レンズ駆動部34は、ステッピングモータを回転させることによってフォーカスレンズを光軸L1方向に進退移動させる。
【0011】
絞り35は、光軸L1を中心とする開口径を変化させることにより、上記撮像光学系33を通過してカメラボディ31に至る光束を制限する。絞り35の開口径の変更指示は、レンズ制御部38によって行われる。絞り35の開口径は、不図示の絞り開口センサによって検出可能に構成される。
【0012】
本実施形態では、例えば、カメラボディ31のボディ制御部47が、ユーザー操作または被写体の明るさ等に基づいて、絞り35の開口径(絞り値)を変化させるための駆動方向および駆動速度(絞り速度)を決定する。決定された駆動方向および絞り速度を示す絞り制御信号は、ボディ制御部47からレンズ制御部38へ送信される。 なお、絞り制御信号は、駆動方向および駆動速度(絞り速度)に限定されるものではない。絞り制御信号は、例えば、駆動位置、開口径、絞り値、駆動開始時間、駆動終了時間等を含んでいてもよい。また、駆動速度(絞り速度)は、例えば、パルス信号(駆動パルス信号)等で規定してもよいし、他の数値等で規定してもよい。
【0013】
レンズ制御部38のレンズ側受信部は、ボディ制御部47のボディ側送信部から上述した絞り制御信号を受信する。レンズ制御部38は、受信した絞り制御信号に基づき駆動指示(駆動パルス信号)を生成し、絞り駆動部36へ絞り35の駆動指示(駆動パルス信号)を送る。絞りを駆動するステッピングモータは駆動指示(駆動パルス信号)に基づいて駆動する。駆動パルス信号は、例えば、絞り駆動部36を構成するステッピングモータの回転を制御する信号である。絞り駆動部36は、ステッピングモータを回転させることによって絞り35の開口径を変化させる。
絞りを駆動するステッピングモータは、例えば、ステッピングモータの回転量が駆動パルス信号のパルス数に比例するように回転する。また、ステッピングモータは、例えば、ステッピングモータの回転速度が駆動パルス信号のパルス速度(パルス周波数)に比例するように回転する。
【0014】
レンズ内メモリ37には、絞り駆動部36の駆動速度情報が記録されている。レンズ内メモリ37の記録情報は、レンズ制御部38によって記録(変更)および読み出しが可能である。
【0015】
レンズ制御部38は、交換レンズ32全体の動作を制御する。レンズ制御部38は、例えばマイクロコンピュータによって構成される。レンズ制御部38は、例えば交換レンズ32がカメラボディ31に装着されたタイミングでレンズ内メモリ37から上記駆動速度情報を読み出し、読み出した駆動速度情報をカメラボディ31へ送信する。
【0016】
また、レンズ制御部38は、カメラボディ31から送信されたレンズ制御信号に基づき、レンズ駆動部34へフォーカスレンズの駆動指示を送る。さらに、レンズ制御部38は、カメラボディ31から送信された絞り制御信号に基づいて上述した絞り35の駆動パルス信号を生成し、生成した駆動パルス信号を絞り駆動部36へ送る。
【0017】
<カメラボディ>
カメラボディ31は、メインミラー41と、メカニカルシャッタ42と、記録用撮像素子43と、サブミラー44と、焦点検出部45と、ファインダ光学系(51〜55)と、解析用撮像素子46と、ボディ制御部47と、モニタ48とを備えている。
【0018】
メインミラー41、メカニカルシャッタ42および記録用撮像素子43は、交換レンズ32の光軸L1に沿って配置される。メインミラー41の後方には、サブミラー44が配置される。また、カメラボディ31の上部には、ファインダ光学系(51〜55)が配置されている。さらに、カメラボディ31の下部には、焦点検出部45が配置されている。
【0019】
メインミラー41は、回転軸Pによって回転可能に軸支されており、観察状態(
図1において実線で図示)と退避状態(
図1において破線で図示)とを切り替え可能である。観察状態のメインミラー41は、メカニカルシャッタ42および記録用撮像素子43の前方に傾斜配置される。観察状態のメインミラー41は、交換レンズ32を通過した光束を上方へ反射してファインダ光学系(51〜55)へ導く。
【0020】
メインミラー41の中央部はハーフミラーで構成される。メインミラー41を透過した一部の光束は、サブミラー44によって下方に折り曲げられて焦点検出部45に導かれる。焦点検出部45は、不図示のセパレータレンズで分割した一対の被写体像の像ズレ量を検出し、この像ズレ量に基づいて撮像光学系33のデフォーカス量を求める。
メインミラー41が観察状態の場合は、通常、交換レンズ32の絞り35の開口径が最大(開放)に制御される。具体的には、絞り35の開口径が最大(開放)になるように、ボディ制御部47がレンズ制御部38に絞り制御信号を送信し、レンズ制御部38が絞り35を制御する。
【0021】
一方、退避状態のメインミラー41は、サブミラー44とともに上方に跳ね上げられて撮影光路から外れた位置に留まる。メインミラー41が退避状態にあるときは、交換レンズ32を通過した光束がメカニカルシャッタ42および記録用撮像素子43に導かれる。
メインミラー41が退避状態の場合は、交換レンズ32の絞り35の開口径は、通常、ボディ制御部47が決定した絞り制御信号に基づいて制御される。具体的には、ボディ制御部47がレンズ制御部38に絞り制御信号を送信し、レンズ制御部38が絞り35を制御する。
【0022】
ファインダ光学系(51〜55)は、焦点板51と、コンデンサレンズ52と、ペンタプリズム53と、接眼レンズ54と、再結像レンズ55とを含む。焦点板51は、メインミラー41の上方に位置し、観察状態のメインミラー41で反射された光束を一旦結像させる。焦点板51で結像した光束は、コンデンサレンズ52およびペンタプリズム53を通過し、ペンタプリズム53の入射面に対して90度の角度を持った射出面から接眼レンズ54を介してユーザーの目に到達する。また、焦点板51で結像した光束の一部は、コンデンサレンズ52およびペンタプリズム53を通過し、ペンタプリズム53の射出面近傍に配置された再結像レンズ55を介して解析用撮像素子46に入射する。
【0023】
記録用撮像素子43は、メインミラー41が退避状態にあるときに、後述する静止画像やライブビュー画像(スルー画像とも呼ばれる)を撮像する。ライブビュー画像は、記録用撮像素子43によって所定のフレームレートで逐次取得される観測用の画像である。また、記録用撮像素子43は、メインミラー41が退避状態にある状態で、後述する動画像の撮像も行う。
【0024】
解析用撮像素子46は、メインミラー41が観察状態にあるときに、解析用画像を撮像する。本実施形態では、メインミラー41が観察状態にあるときは記録用撮像素子43でライブビュー画像を取得できないので、解析用撮像素子46で取得した解析用画像をライブビュー画像の代わりに用いて露出演算などを行う。
【0025】
ボディ制御部47は、後述するマイクロコンピュータやメモリ等を含み、カメラ1の各部の動作を統括的に制御する。例えば、ボディ制御部47は、画像処理部を有し、画像処理部が記録用撮像素子43や解析用撮像素子46からの出力データに対して所定の画像処理(色補間処理、階調変換処理、輪郭強調処理、ホワイトバランス調整など)を施す。
【0026】
また、ボディ制御部47は、解析用撮像素子46から入力されたデータ(解析用画像)を用いて所定の露出演算を行うとともに、この露出演算によって求めた露出量に基づき、カメラ1の露出制御を行う。
【0027】
さらにまた、ボディ制御部47は、焦点検出部45(
図1)により検出されたデフォーカス量に基づいてフォーカスレンズの駆動方向および駆動速度を決定する。これらの駆動方向および駆動速度は、レンズ制御信号として交換レンズ32へ送信される。これにより、オートフォーカス(AF)調節が行われる。
【0028】
モニタ48は、例えばカメラボディ31の背面に設けられた液晶表示パネルによって構成される。モニタ48には、ボディ制御部47からの指示に応じて画像や設定操作画面(いわゆるメニュー画面)などが表示される。
【0029】
上記カメラ1は、静止画撮影と動画撮影とが可能に構成されている。
<静止画像>
ボディ制御部47は、例えば、ユーザーによって不図示の操作部材(レリーズボタン)が押下操作されると、静止画撮影を開始する。動作の一例を説明すると、ボディ制御部47の絞り制御信号に基づいてレンズ制御部38が開放されている絞り35を、被写体の明るさに応じた開口径へ高速の絞り速度(例えば、動画撮影時の絞りの速度よりも高速の速度)で制御するとともに、ボディ制御部47がメインミラー41およびサブミラー44を上方に跳ね上げて退避状態に切り替え、記録用撮像素子43により静止画の撮像を行わせる。ボディ制御部47は、静止画の撮像が終了すると、メインミラー41およびサブミラー44を観察状態に切り替えるとともに、絞り制御信号をレンズ制御部38に送信する。レンズ制御部38は絞り制御信号に基づいて高速の絞り速度(例えば、動画撮影時の絞りの速度よりも高速の速度)で絞り35を開放させる。
【0030】
<動画像>
また、ボディ制御部47は、例えば、ユーザーによって不図示の操作部材(録画ボタン)が押下操作されると、動画撮影を開始する。動作の一例を説明すると、ボディ制御部47は、メインミラー41およびサブミラー44の退避状態にするとともに、絞り制御信号をレンズ制御部38に送信する。レンズ制御部38は絞り制御信号に基づいて絞り35の開口径を被写体の明るさに応じた開口径へ低速(例えば、静止画撮影時の絞りの速度よりも低速の速度)の絞り速度で制御し、ボディ制御部47が記録用撮像素子43により動画の撮像を所定のフレームレートで行わせる。このとき、不図示のマイクにより集音された音声の録音も行う。ボディ制御部47は、動画の撮影中に再び操作部材(録画ボタン)が押下操作されると、動画の撮像および音声の録音を終了させる。
【0031】
<ライブビュー画像>
ボディ制御部47は、例えば、ユーザーによって不図示の操作部材(ライブビューボタン)が押下操作されると、ライブビューモードをオンさせる。動作の一例を説明すると、ボディ制御部47が絞り制御信号をレンズ制御部38に送信し、レンズ制御部38が絞り制御信号に基づいて開放されている絞り35を被写体の明るさに応じた開口径へ低速(例えば、静止画撮影時の絞りの速度よりも低速の速度)の絞り速度で制御するとともに、ボディ制御部47がメインミラー41およびサブミラー44を上方に跳ね上げて退避状態に切り替え、記録用撮像素子43によりライブビュー画像の撮像を所定のフレームレートで開始させる。ボディ制御部47は、ライブビューモードがオンの場合に操作部材(ライブビューボタン)が押下操作されると、ライブビューモードをオフさせる。そして、メインミラー41およびサブミラー44を観察状態に切り替えるとともに、ボディ制御部47が絞り制御信号をレンズ制御部38に送信し、レンズ制御部38が絞り制御信号に基づいて絞り35を高速(例えば、動画撮影時またはライブビュー時の絞りの速度よりも高速の速度)の絞り速度で開放させる。
【0032】
<ボディ制御部とレンズ制御部の具体的な構成>
図2は、カメラボディ31のボディ制御部47と交換レンズ32のレンズ制御部38との具体的な構成を機能的に例示する図である。ボディ制御部47は、ボディ側受信部471と、信号生成部472と、ボディ側送信部473とを含む。
【0033】
ボディ側受信部471は、交換レンズ32のレンズ制御部38(レンズ側送信部381)から送信された、絞り35の駆動速度情報を受信する。信号生成部472は、受信された駆動速度情報に基づいて、交換レンズ32に対する絞り制御信号を生成する。ボディ側送信部473は、生成された絞り制御信号を交換レンズ32へ送信する。
【0034】
一方、レンズ制御部38は、レンズ側送信部381と、レンズ側受信部382と、絞り駆動制御部383とを有する。レンズ側送信部381は、レンズ内メモリ37から絞り35の駆動速度情報を読み出して送信する。
【0035】
レンズ側受信部382は、カメラボディ31のボディ制御部47(ボディ側送信部473)から送信された、絞り制御信号を受信する。絞り駆動制御部383は、受信された絞り制御信号に基づいて駆動パルス信号を生成し、この駆動パルス信号を絞り駆動部36(
図1)へ送る(駆動指示)。
【0036】
<絞りの駆動速度情報>
図3は、交換レンズ32のレンズ内メモリ37に記録されている駆動速度情報を説明する図である。駆動速度情報は、絞り35の駆動速度、例えば、絞り35の絞り速度の設定範囲を示す。絞り速度の設定範囲とは、例えば、絞り35が安定的に駆動可能な最低の速度、絞り35が安定的に駆動可能な最高の速度、絞り35が脱調することなく駆動可能な速度の少なくとも1つに基づいて設定された範囲である。駆動速度情報は、高速駆動情報と低速駆動情報とを含む。高速駆動情報とは、絞り速度の設定範囲のうち、例えば、静止画撮影時における絞り速度に関連する設定値を示す設定値情報をいう。また、低速駆動情報とは、例えば、スルー画像の撮像(スルー画の撮影)時や動画像の撮像時における絞り速度に関連する設定値を示す設定値情報をいう。
【0037】
本実施形態では、絞り速度の設定範囲として、第1速度範囲と第2速度範囲を設ける。第1速度範囲は上記低速駆動情報に対応し、下限速度(下限パルス周波数)LV1から上限速度(上限パルス周波数)HV1までの速度範囲をいう。また、第2速度範囲は上記高速駆動情報に対応し、下限速度(下限パルス周波数)LV2から上限速度(上限パルス周波数)HV2までの速度範囲をいう。第1速度範囲は、第2速度範囲よりも遅い速度範囲である。
例えば、下限速度(下限パルス周波数)LV1は、絞りを駆動するステッピングモータが安定的に駆動できる最低の速度(回転速度)に対応し、上限速度(上限パルス周波数)HV2は、絞りを駆動するステッピングモータが安定的に駆動できる最高の速度に対応し、下限速度LV1よりも低速又は上限速度HV2よりも高速であるときステッピングモータが安定的に駆動できない。
絞りを駆動するステッピングモータが、停止しているときにレンズ制御部38が所定速度(所定パルス周波数)以上のパルス周波数でステッピングモータを駆動すると脱調が生じるおそれがあり、ステッピングモータが停止しているときにレンズ制御部38が所定速度未満のパルス周波数でステッピングモータを駆動しても脱調が生じるおそれがない。この所定速度(所定パルス周波数)は、第2速度範囲内に設定される。好ましくは、所定速度(所定パルス周波数)は、下限速度(下限パルス周波数)LV2より大きく、下限速度(下限パルス周波数)LV2の近傍に設定される。例えば、上限速度(上限パルス周波数)HV1と下限速度(下限パルス周波数)LV2とは同一の値であってもよい。
例えば、本実施例においては、第3速度範囲を設定してもよい。例えば、第3速度範囲は、第1速度範囲に含まれる範囲であり、絞りの駆動音が所定のレベル以下になる範囲である。例えば、第3速度範囲に含まれる速度で絞りを駆動した場合の絞りの駆動音は、所定のレベル(動画撮影時に記録される音声信号に影響しない十分に小さい騒音レベル)に設定することが好ましい。第3速度範囲は、例えば、下限速度LV1から上限速度HV3までの速度範囲をいう。上限速度HV3は、例えば、下限速度LV1と上限速度HV1との間に設けることが好ましい。第3速度範囲はレンズ内メモリ37に記憶されていてもよいし、ボディ制御部47内のメモリに記憶されていてもよい。
第3速度範囲が設定されている場合には、動画撮影時(動画記録時)には、第3速度範囲の速度で絞りを駆動し、スルー画の撮影時(動画記録をしない時)には、第1速度範囲の速度で絞りを駆動し、静止画撮影時(静止画の撮影準備、静止画撮像時)には、第2速度範囲の速度で絞りを駆動することが好ましい。また、第3速度範囲を設定せずに、絞りの駆動音が所定のレベル以下になる範囲を第1速度範囲としてもよい。
【0038】
図3の例では、上限速度HV1と下限速度LV2とが離れているが、上限速度HV1と下限速度LV2とを同じ値(すなわち、第1速度範囲と第2速度範囲とが連続する)にしてもよく、第1速度範囲の一部と第2速度範囲の一部とが相互に重なるようにしてもよい。
【0039】
図3の例によれば、第1速度範囲は、絞り駆動部36を構成するステッピングモータの自起動領域に含まれ、ステッピングモータのスルー領域を含まない。第2速度範囲は、主として上記ステッピングモータのスルー領域に含まれるとともに、少なくとも下限速度LV2が自起動領域に含まれている。自起動領域は、必要とされる速度に対応する駆動パルス信号を供給することによってステッピングモータを瞬時に起動、停止できる領域である。スルー領域は、自起動領域を越えてスローアップ、スローダウンを用いることによりステッピングモータを駆動できる領域をいう。スローアップは、駆動パルス信号のパルスレートを徐々に上げる加速制御に相当し、スローダウンは、駆動パルス信号のパルスレートを徐々に下げる減速制御に相当する。したがって、停止状態から第1速度範囲に含まれる速度に瞬時に起動(スローアップではない)した場合、または、第1速度範囲に含まれる速度から瞬時に停止(スローダウンではない)をした場合でも脱調するおそれがない。一方、停止状態からスローアップせずにスルー領域に含まれる速度に瞬時に起動した場合、または、スルー領域に含まれる速度からスローダウンせずに瞬時に停止した場合には脱調するおそれがある。
脱調とは、例えば、モータが安定して回転しないこと、モータに入力される入力信号(制御信号)とモータの回転との同期が失われること、モータに過負荷が加えられた場合、モータが急な速度変化をした場合等にモータへの入力信号(入力パルス信号)とモータの回転との同期が失われることである。脱調していない状態とは、例えば、入力信号と同期してモータが回転することである。
【0040】
上述したように、高速駆動情報および低速駆動情報は、それぞれ交換レンズ32のレンズ内メモリ37に記録される。そして、交換レンズ32がカメラボディ31に装着されたときに、レンズ制御部38がレンズ内メモリ37から上記高速駆動情報および低速駆動情報を読み出して、カメラボディ31に送信する。
【0041】
カメラボディ31は、交換レンズ32から送信された高速駆動情報および低速駆動情報を参照することで、絞り駆動部36を構成するステッピングモータに脱調を生じさせることなく、適切に駆動させることができる。すなわち、交換レンズ32の絞り35を高速駆動する場合は第2速度範囲で、交換レンズ32の絞り35を低速駆動する場合は第1速度範囲で、それぞれ適切に駆動させることができる。
【0042】
<フローチャートの説明>
カメラ1を構成するカメラボディ31および交換レンズ32の動作の流れについて、
図4〜
図6に例示するフローチャートを参照して説明する。
図4は、交換レンズ32がカメラボディ31に装着された場合に、交換レンズ32のレンズ制御部38およびカメラボディ31のボディ制御部47がそれぞれ実行する処理を説明するフローチャートである。
【0043】
交換レンズ32のレンズ制御部38は、カメラボディ31に対する装着を検出すると、
図4の処理を起動する。
図4のステップS601において、レンズ制御部38は、レンズ内メモリ37から上記駆動速度情報を読み出すとともに、カメラボディ31に対して、駆動速度情報(第1速度範囲および第2速度範囲の少なくとも一方)を送信する。本実施形態において、レンズ制御部38は、第1速度範囲の下限速度LV1、上限速度HV1、第2速度範囲の下限速度LV2、および上限速度HV2を含む駆動速度情報をカメラボディ31に送信する。
【0044】
ステップS602において、カメラボディ31のボディ制御部47は、交換レンズ32から送信された駆動速度情報を受信してステップS603へ進む。ステップS603において、ボディ制御部47は、受信した駆動速度情報をボディ制御部47内の記録媒体(例えばフラッシュメモリ)に格納し、
図4による処理を終了する。これにより、ボディ制御部47が高速駆動情報および低速駆動情報を参照可能になる。
【0045】
図5は、
図4による処理を実行した交換レンズ32のレンズ制御部38およびカメラボディ31のボディ制御部47が、絞り35の調節時にそれぞれ実行する処理を説明するフローチャートである。
【0046】
図5のフローチャートは、ライブビューモードのオン/オフに応じて絞り35の駆動速度を変更する場合を例示したものである。カメラボディ31のボディ制御部47は、ライブビューモードがオンの場合に、ライブビュー画像をモニタ48に表示させながら、撮影設定操作を受け付ける。これにより、例えば、ユーザーが不図示の操作部材(操作ダイヤル)を操作することによって設定された絞り値やシャッター速度による画像効果がライブビュー画像に反映され、モニタ48に表示される。
【0047】
図5のステップS701において、カメラボディ31のボディ制御部47は、絞り値の変更の有無を判定する。絞り値の変更は、ユーザー操作、またはカメラボディ31のボディ制御部47によって行われる。例えば、ボディ制御部47は、ユーザーによって操作された不図示の絞り操作ダイヤルからの操作信号を検知した場合に絞り値の変更有りを判定する。また、ボディ制御部47は、記録用撮像素子43(または解析用撮像素子46)から出力された画像データから被写体の明るさを検出し、その検出結果に基づいて絞り値を変更する必要があると判断した場合、絞り値の変更有りを判定する。絞り値を変更する必要がある場合とは、例えば、被写体の明るさが変化した場合や、ユーザー操作によるシャッター速度の変更に伴って絞り値の変更が必要になった場合等である。
【0048】
ボディ制御部47は、絞り値の変更有りを判定する場合、ステップS701を肯定判定してステップS702へ進み、絞り値の変更なしを判定する場合には、ステップS701を否定判定して当該判定処理を繰り返す。
【0049】
ステップS702において、ボディ制御部47は、ライブビューモードか否かを判定する。ボディ制御部47は、ライブビューモードがオンの場合にステップS702を肯定判定してステップS703へ進み、ライブビューモードがオフの場合にはステップS702を否定判定してステップS704へ進む。
【0050】
ステップS703において、ボディ制御部47は、第1速度範囲において絞り35を駆動するための絞り制御信号を生成してステップS705へ進む。ステップS704において、ボディ制御部47は、第2速度範囲において絞り35を駆動するように絞り制御信号を生成してステップS705へ進む。ステップS705において、ボディ制御部47は、絞り制御信号をレンズ制御部38へ送信する。
レンズ制御部38は、ステップS706において、絞り制御信号を受信し、ステップS707において、絞り制御信号に基づいて絞り駆動部36への駆動指示(駆動パルス信号)を送信し、絞り35は絞り駆動部36の指示に従って駆動し、
図5による処理が終了する。
以下、
図7、
図8を用いて、第1速度範囲において絞りを駆動する絞り制御信号が生成された場合(
図5のステップS703)の動作について詳細に説明する。
図7は、第1速度範囲において絞り35を駆動する場合の絞り制御パターンを説明する図である。縦軸は絞り速度を表し、単位は1秒当たりのパルス数(pps)である。横軸は時間を表す。
ステップS703において、ボディ制御部47は、ボディ制御部47内の記録媒体に格納されている駆動速度情報(低速駆動情報)に基づいて、例えば、第1速度範囲のうちの速度Q1で、時刻t1からt2まで絞り35を定速で駆動するための絞り制御信号を生成する。ボディ制御部47は、絞り35の駆動量と駆動時間とに基づいて速度Q1を決める。例えば、絞り35を1秒間にアペックス値で1段変更する場合、上記1段分の駆動を1秒かけて等速駆動する速度をQ1とする。この場合、ステップS704において、ボディ制御部47は、絞り35の駆動(ステッピングモータの駆動)に関する情報(速度Q1および1秒に対応する情報)が含まれる絞り制御信号を送信する。レンズ制御部38は、ステップS706において、絞り制御信号を受信し、ステップS707において、絞り制御信号に基づいて駆動指示(駆動パルス信号)を生成する。
例えば、レンズ制御部38は、絞り制御信号に基づいてパルス信号のパルス数と、パルス信号のパルス速度(パルス周波数)とを演算し、絞り制御信号に基づいた回転量と、回転速度でステッピングモータを駆動する。このように、第1速度範囲において絞り35を駆動する場合は、ボディ制御部47が送信した絞り制御信号に対応する速度で絞り35が駆動するので、ボディ制御部47は絞り35の駆動状態をリアルタイムに知ることができる。
このため、例えば、動画撮影時やスルー画の撮影時において、ボディ制御部47は、絞り35の駆動のタイミングと、ISO感度、シャッター速度の変更タイミングとを合わせることができる。例えば、絞り35が1段絞られるタイミングと、ISO感度を1段上げるタイミング(シャッター速度を1段遅くするタイミング)とを同期させることにより、絞り35が絞られてもモニタ48に表示される画像の明るさ(輝度)を略一定にする露出制御を実現できる。
【0051】
なお、
図8に例示するように、ボディ制御部47は、第1速度範囲で速度Q2と速度Q3とを段階的に切り替える絞り制御信号を生成してもよい。
図8によれば、時刻t1からt2まで速度Q2で、時刻t2からt3まで速度Q3で、時刻t3からt4まで速度Q2で、それぞれ定速で駆動するための絞り制御信号が生成される。この場合、レンズ制御部38は、時刻t1からt2まで速度Q2に対応する駆動指示(駆動パルス信号)を生成し、時刻t2からt3まで速度Q3に対応する駆動指示(駆動パルス信号)を生成する。
【0052】
次に、
図9、
図10を用いて、第2速度範囲において絞りを駆動する絞り制御信号が生成された場合(
図5のステップS704)の動作について詳細に説明する。
ステップS704において、ボディ制御部47は、ボディ制御部47内の記録媒体に格納されている駆動速度情報(高速駆動情報)に基づいて、例えば、第2速度範囲で絞り35を駆動するための絞り制御信号を生成し、絞り制御信号を送信する。レンズ制御部38は、ステップS706において、絞り制御信号を受信し、ステップS707において、絞り制御信号に基づいて駆動指示(駆動パルス信号)を生成する。
図9は、絞り制御パターンを説明する図である。縦軸は絞り速度を表し、単位は1秒当たりのパルス数(pps)である。横軸は時間を表す。レンズ制御部38は絞り制御信号に基づいて、第2速度範囲において、いわゆる台形駆動パターンにより絞り35を駆動するための駆動指示(駆動パルス信号)を生成する。すなわち、レンズ制御部38は絞り制御信号に基づいて、加減速特性を決定し、絞り35を駆動させる。
【0053】
図9によれば、絞り速度は時刻t1からt2まで加速され、時刻t2からt3まで定速(HV2=最速)で駆動され、時刻t3からt4まで減速される。
図9に例示するような台形駆動パターンを採用することで、絞り35を迅速に駆動できる。しかし、第2速度範囲において絞り35を駆動する場合は、ボディ制御部47が送信した絞り制御信号に対応しない速度(レンズ制御部38が決定した加減速特性に応じた速度)で絞り35が駆動するので、ボディ制御部47は絞り35の駆動状態をリアルタイムに知ることができない。
例えば、ボディ制御部47が送信した絞り制御信号には絞り35の駆動(ステッピングモータの駆動)に関する情報(所定速度および所定秒に対応する情報)が含まれる。レンズ制御部38は、ステップS706において、絞り制御信号を受信し、ステップS707において、絞り制御信号に基づいて駆動指示(駆動パルス信号)を生成する。このとき、レンズ制御部38は、ボディ制御部47が指示していない加減速特性を決定し、パルス信号のパルス数と、パルス信号のパルス速度(パルス周波数)とを演算し、ステッピングモータを駆動するのでボディ制御部47は絞り35の駆動状態をリアルタイムに知ることができない。
第2速度範囲において絞りを駆動する絞り制御信号が生成された場合は、上述した加減速特性でステッピングモータを駆動した後、絞り制御信号に基づいた駆動パルス信号でステッピングモータが駆動されるので、第1速度範囲において絞り35を駆動する絞り制御信号が生成された場合と比較して、上述した加減速特性でステッピングモータを駆動する分だけ、制御信号を受信してから絞り制御信号に基づいた駆動パルス信号でステッピングモータが駆動されるまでの時間が長くなる。なお、絞り35の現開口径と、目標開口径との差が小さく、絞り35を高速で駆動する必要がない場合には、ボディ制御部47は、下限速度LV2で駆動するように制御信号を生成してもよい。この場合、レンズ制御部38は台形駆動パターンを採用せずに第2速度範囲の下限速度LV2で駆動するように駆動指示(駆動パルス信号)を生成してもよい。
【0054】
また、
図10に例示するように、定速駆動において最速にしなくてもよい。絞り35の現開口径と、目標開口径との差が小さく、絞り35を最速で駆動する必要がない場合には、ボディ制御部47は、定速領域において上限速度HV2より遅い速度を指示する。この場合、レンズ制御部38は、時刻t1aからt2aまで加速され、時刻t2aからt3aまで定速(2X)で駆動され、時刻t3aからt4aまで減速されるように駆動指示(駆動パルス信号)を生成する。
【0055】
以上説明した
図5によれば、ライブビューモードがオフの場合は、ステップS704において絞り35を高速の絞り速度で駆動するように絞り制御信号が生成される。これにより、絞り35が開放状態から被写体の明るさに応じた開口径へ素早く絞り込まれるから、静止画撮影の開始までのタイムラグを短くできる。
【0056】
一方、ライブビューモードがオンの場合は、ステップS703において絞り35を低速の絞り速度で駆動するように絞り制御信号が生成される。これにより、絞り35を高速の絞り速度で駆動する場合に比べて、絞り35の開口径の変化に伴うライブビュー画像のフレーム間の明るさの変化を小さく抑えることができる。すなわち、ユーザーは、フレーム間のちらつきが少ないライブビュー画像を観察できる。
【0057】
図6は、
図4による処理を実行した交換レンズ32のレンズ制御部38およびカメラボディ31のボディ制御部47が、絞り35の調整時にそれぞれ実行する処理を説明するフローチャートである。
【0058】
図6のフローチャートは、動画撮影中か否かに応じて絞り35の駆動速度を変更する場合を例示したものである。カメラボディ31のボディ制御部47は、動画撮影中の場合に、撮影設定操作を受け付ける。これにより、例えば、ユーザーが不図示の操作部材(操作ダイヤル)を操作することによって設定された絞り値やシャッター速度による画像効果が動画像に反映される。
【0059】
図6のフローチャートは、
図5のフローチャートと比べて、ステップS702の代わりにステップS802の処理を行う点において相違するので、この相違点を中心に説明する。
【0060】
図6のステップS802において、ボディ制御部47は、動画撮影中か否かを判定する。ボディ制御部47は、動画を撮影中の場合にステップS802を肯定判定してステップS703へ進み、動画の撮影中でない場合にはステップS802を否定判定してステップS704へ進む。その他の処理については、
図5における処理と同様である。
【0061】
以上説明した
図6によれば、動画撮影中の場合は、ステップS703において絞り35を低速の絞り速度で駆動するように絞り制御信号が生成される。これにより、絞り35を高速の絞り速度で駆動する場合に比べて、絞り35の開口径の変化に伴う動画像のフレーム間の明るさの変化を小さく抑えることができる。すなわち、フレーム間のちらつきが少ない動画を取得できる。
【0062】
また、一般に、絞り35を低速で駆動すると、高速で駆動する場合に比べて駆動音が小さい。動画撮影中の場合に絞り35を低速の絞り速度で駆動することは、録音される音声に含まれる駆動音を低減することにもつながる。
【0063】
一方、動画撮影中でない場合は、ステップS704において絞り35を高速の絞り速度で駆動するように絞り制御信号が生成される。これにより、絞り35の開口径が素早く変更されるから、絞り35の開口径を早く反映させたいユーザーにとって好都合である。
【0064】
上述した実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)交換レンズ32は、絞り35を駆動する絞り駆動部36と、カメラボディ31との間で通信を行うレンズ制御部38(レンズ側送信部381)とを備える。レンズ側送信部381は、絞り駆動部36による第1速度範囲と、第1速度範囲より速い第2速度範囲とを示す情報をカメラボディ31へ送信する。これにより、絞り35の駆動に際して異なる速度範囲を使用し得る。
【0065】
(2)絞り駆動部36による駆動速度を制御するレンズ制御部38(絞り駆動制御部383)を備え、絞り駆動制御部383は、第1速度範囲を使用する指示がレンズ制御部38(レンズ側受信部382)で受信された場合、絞り駆動部36を第1速度範囲内の所定速度で定速駆動する。これにより、例えばライブビューモードにおいて、絞り35を第2速度範囲内の絞り速度で高速に駆動する場合に比べて、絞り35の開口径の変化に伴うライブビュー画像のフレーム間の明るさの変化を小さく抑えることができる。すなわち、ユーザーは、フレーム間のちらつきが少ないライブビュー画像を観察できる。
【0066】
(3)絞り駆動制御部383は、レンズ側受信部382で受信された第1速度範囲内の速度Q1で絞り駆動部36を定速駆動する。これにより、カメラボディ31のボディ制御部47によって決定された速度Q1で絞り35を駆動できる。例えば、ボディ制御部47が、ユーザー操作によるシャッター速度の変更に伴って絞り値を変更する場合を想定する。ボディ制御部47は、ユーザーによる不図示の操作ダイヤルの操作に応じてシャッター速度を1秒間にアペックス値で1段階変更する。ボディ制御部47は、露出を一定に保つため、アペックス値で1段分の絞り35の駆動を1秒かけて等速駆動するための速度Q1を決定し、レンズ制御部38へ送信する。
【0067】
(4)絞り駆動制御部383は、速度Q2の定速駆動中に、レンズ側受信部382で第1速度範囲内の速度Q3が受信された場合、速度Q2に代えて速度Q3で絞り駆動部36を定速駆動する。これにより、カメラボディ31のボディ制御部47によって決定された速度Q2、Q3で、絞り35を2段階の速度で駆動できる。
【0068】
(5)絞り駆動制御部383は、第2速度範囲を使用する指示がレンズ側受信部382で受信された場合、第2速度範囲において絞り駆動部36を加速駆動、定速駆動、および減速駆動する。これにより、
図9、
図10に例示するような台形駆動パターンを採用して、絞り35を迅速に駆動できる。
【0069】
(6)絞り駆動制御部383は、レンズ側受信部382で第2速度範囲内の速度(2X)が受信された場合、受信された速度(2X)まで絞り駆動部36を加速駆動し、受信された速度(2X)で定速駆動し、受信された速度(2X)から減速駆動する。これにより、
図10に例示するような台形駆動パターンを採用して、絞り35を迅速に駆動できる。
【0070】
(7)絞り駆動制御部383は、レンズ側受信部382で第2速度範囲内の速度が受信されない場合、第2速度範囲における最高速度HV2まで絞り駆動部36を加速駆動し、最高速度HV2で定速駆動し、最高速度HV2から減速駆動する。これにより、
図9に例示するような台形駆動パターンを採用して、絞り35を迅速に駆動できる。
【0071】
(8)カメラボディ31は、絞り駆動部36による第1速度範囲と、第1速度範囲より速い第2速度範囲とを示す情報を交換レンズ32から受信するボディ制御部47(ボディ側受信部471)を備える。これにより、絞り35の駆動に際して異なる速度範囲を使用し得る。
【0072】
(9)カメラボディ31は、交換レンズ32に第1速度範囲を使用させるか、第2速度範囲を使用させるかを決定する信号生成部472を備え、ボディ側送信部473は、決定された速度範囲を使用する指示を交換レンズ32へ送信する。これにより、カメラボディ31側で決定した絞り35の駆動の速度範囲を、交換レンズ32へ指示できる。
【0073】
(10)信号生成部472は、第1速度範囲を使用させる決定をする場合、さらに第1速度範囲内の速度を決定し、ボディ側送信部473は、決定された速度を交換レンズ32へ送信する。これにより、カメラボディ31のボディ制御部47が決定した速度Q1で、交換レンズ32に絞り35を駆動させることができる。例えば、ボディ制御部47は、露出を一定に保つため、アペックス値で1段分の絞り35の駆動を1秒かけて等速駆動するための速度Q1を決定した場合、この速度Q1を交換レンズ32へ伝達することができる。
【0074】
次のような変形も本発明の範囲内であり、変形例の一つ、もしくは複数を上述の実施形態と組み合わせることも可能である。
(変形例1)
上記実施形態では、絞り駆動部36に対する制御を例に説明したが、制御の対象は絞り駆動部36に限定されない。交換レンズ32内で光学的な条件を変更する光学部材(例えば、フォーカスレンズやズームレンズ)を駆動する駆動部に対しても、絞り駆動部36に対する制御と同様の制御を行ってもよい。
【0075】
(変形例2)
本実施形態においては、カメラ1として一眼レフタイプのカメラシステムを例示したが、一眼レフタイプでないカメラボディと交換レンズとでカメラシステムを構成してもよい。また、レンズを交換できないカメラや、携帯電話等に使用されるカメラに用いてもよい。
さらにまた、本実施形態においては、電気接点を用いてカメラボディと交換レンズとの間で信号の送受信を行っているがこれに限定されない。例えば、赤外線などの無線通信等により信号の送受信を行ってもよい。
【0076】
上記では、種々の実施の形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。