(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6772761
(24)【登録日】2020年10月5日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】テープフィーダ及びLEDの取出し方法
(51)【国際特許分類】
H05K 13/02 20060101AFI20201012BHJP
H05K 13/04 20060101ALI20201012BHJP
【FI】
H05K13/02 C
H05K13/04 B
【請求項の数】6
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-210173(P2016-210173)
(22)【出願日】2016年10月27日
(65)【公開番号】特開2018-73922(P2018-73922A)
(43)【公開日】2018年5月10日
【審査請求日】2019年8月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】一柳 康夫
【審査官】
宮部 菜苗
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−088570(JP,A)
【文献】
特開2005−175046(JP,A)
【文献】
国際公開第2016/076331(WO,A1)
【文献】
特開2016−145080(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/30、13/00−13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面の少なくとも一部が樹脂部材であるLEDが収容された凹部を備えたベーステープと、前記凹部を覆うカバーテープと、を備えたキャリアテープが巻装された供給リールが取付けられる供給リール取付け部と、
前記LEDを実装装置に供給する供給ステージと、
前記供給ステージ上に順送りされた前記キャリアテープの上方に配置されるカバー部材と、
を備えるテープフィーダであって、
前記カバー部材は、前記カバーテープを剥離する位置に備えられる第1開口部と、前記LEDが取り出される位置に備えられる第2開口部と、を備え、
前記第1開口部と前記第2開口部との間の前記カバー部材の下面は、ブラスト処理又は低摩擦性樹脂が塗布されており、粘着力が0.03(N/10mm)以下であることを特徴とするテープフィーダ。
【請求項2】
テープフィーダを用いキャリアテープからLEDをピックアップする工程を備えたLEDの取り出し取出し方法であって、
上面の少なくとも一部が樹脂部材である前記LEDが凹部に収容されたベーステープと、前記凹部を覆うカバーテープと、を備えたキャリアテープが巻装された供給リールを準備する工程と、
前記供給リールが取り付けられた供給リール取付け部と、前記供給リールを実装装置に供給する供給ステージと、前記供給ステージ上に順送りされた前記キャリアテープの上方に配置され第1開口部と第2開口部とを備えるカバー部材と、を備えるテープフィーダを準備する工程と、
前記キャリアテープを順送りし、前記ベーステープから剥がされた前記カバーテープを前記第1開口部から回収した後、ブラスト処理又は低摩擦性樹脂が塗布された粘着力が0.03(N/10mm)以下の前記カバーテープの下面を通過した前記凹部内の前記LEDを、前記第2開口部からピックアップノズルを用いてピックアップする工程と、
を備えるLEDの取出し方法。
【請求項3】
前記樹脂部材は、ショアA硬度が70以下、又はショアD硬度が70以下である請求項1記載のテープフィーダ。
【請求項4】
前記樹脂部材は、ショアA硬度が70以下、又はショアD硬度が70以下である請求項2記載のLEDの取出し方法。
【請求項5】
前記低摩擦性樹脂は、フッ素樹脂である請求項1又は3に記載のテープフィーダ。
【請求項6】
前記低摩擦性樹脂は、フッ素樹脂である請求項2又は4に記載のLEDの取り出し方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テープフィーダ及びLEDの取出し方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(LED)等の電子部品を配線基板等に実装する際、キャリアテープから電子部品をピックアップするピックアップノズルを備えた実装装置が用いられる。ピックアップ位置に電子部品を供給する装置としてテープフィーダが用いられる。テープフィーダには、電子部品を収納したキャリアテープを巻装したリールが装着されている。テープフィーダは、キャリアテープを順送りして実装装置に電子部品を供給する。
【0003】
キャリアテープは、電子部品が収納される凹部を備えたテープと、凹部を覆うカバーテープとを備えている。順送りされたキャリアテープは、まずカバーテープが剥離される。次いで、ピックアップノズルで凹部から電子部品が取り出される。
【0004】
電子部品がカバーテープに引っ付いて凹部から取り出されるのを防止するために、カバーテープを剥離する位置と、ピックアップ位置との間に、カバーを備えたテープフィーダが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−145284号公報
【特許文献2】特開2011−171769号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
キャリアテープからカバーテープを剥離した後、ピックアップ位置に順送りする際に、振動等によりカバーの下面に電子部品が引っ付く場合がある。特に、LEDの場合、外部に光を放出するために、外表面の少なくとも一部は透光性樹脂で構成されるため、この部分が他所に引っ付き易い。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、以下の構成を含む。
上面の少なくとも一部が樹脂部材であるLEDが収容された凹部を備えたベーステープと、凹部を覆うカバーテープと、を備えたキャリアテープが巻装された供給リールが取付けられる供給リール取付け部と、LEDを実装装置に供給する供給ステージと、供給ステージ上に順送りされたキャリアテープの上方に配置されるカバー部材と、を備えるテープフィーダであって、カバー部材は、カバーテープを剥離する位置に備えられる第1開口部と、LEDが取り出される位置に備えられる第2開口部と、を備え、第1開口部と第2開口部との間の前記カバー部材の下面は、粘着力が0.03(N/10mm)以下であるテープフィーダ。
【発明の効果】
【0008】
以上により、テープフィーダにLEDが引っ付くことを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態に係るテープフィーダの要部を示す概略図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るテープフィーダからLEDを取り出す方法を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明を実施するための形態を、以下に図面を参照しながら説明する。ただし、以下に示す形態は、本発明の技術思想を具体化するためのテープフィーダ及びLEDの取出し方法を例示するものであって、本発明は、テープフィーダ及びLEDの取出し方法を以下に限定するものではない。
【0011】
また、本明細書は、特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。特に、実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限りは、本開示の範囲をそれのみに限定する趣旨ではない。尚、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。
【0012】
<テープフィーダ>
図1に、テープフィーダ10の要部を示す。
図2は、キャリアテープ22からLED40をピックアップする工程を示す。実施形態に係るテープフィーダ10は、供給リール取付け部11と、供給ステージ12と、カバー部材13と、を備える。
【0013】
供給リール取付け部11は、供給リール20を取付ける部位である。供給ステージ12は、LED40を実装装置30に供給する位置(ピックアップ位置)に配置される。また、キャリアテープ22から剥がされたカバーテープ222を回収するカバーテープ回収部14を備える。
【0014】
カバー部材13は、供給ステージ12上に順送りされたキャリアテープ22の上方に配置される。カバー部材13は、キャリアテープ22からカバーテープ222を剥離する位置に備えらえる第1開口部131と、LED40が取り出される(ピックアップされる)位置に備えらえる第2開口部132と、を備える。そして、第1開口部131と第2開口部132の間のカバー部材13の下面133は、粘着力が0.03(N/10mm)以下である。これにより、LED40がカバー部材13の下面133に引っ付くことを抑制することができる。
【0015】
このようなカバー部材としては、例えば、下面13にフッ素樹脂等の低摩擦性樹脂を下面133に塗布したカバー部材13が挙げられる。あるいは、下面133にブラスト処理を施したカバー部材13が挙げられる。
【0016】
粘着力は、JIS Z 粘着テープ・粘着シート試験方法に記載されている試験方法によって得られる数値であり、引きはがし粘着力のことを示す。
【0017】
<LEDの取出し方法>
LEDの取出し方法は、上述のテープフィーダを用いてキャリアテープからLEDをピックアップする工程を備える。
【0018】
(供給リールを準備する工程)
供給リール20は、リール21と、リール21に巻装されたキャリアテープ22と、を備える。キャリアテープ22は、ベーステープ221と、ベーステープ221の上面に貼り付けられるカバーテープ222と、を備える。ベーステープ221は、凹状の凹部221aを備えている。カバーテープ222は凹部221aの開口を塞ぐように、ベーステープ221の上面に貼り付かられる。凹部221aにはLED40が収容されている。
【0019】
LED40は、半導体発光素子を含む素子部42と、素子部42の上面に配置される樹脂部材41と、を備える。素子部42は、例えば、半導体発光素子と、その側面等を被覆する被覆部材等を備える。樹脂部材41は、LED40の発光面である上面の少なくとも一部を構成する透光性の部材である。樹脂部材41は、例えば、ショアA硬度が70以下、又はショアD硬度が70以下である。尚、ショアA硬度、ショアD硬度は、一般的なショアA硬度測定器、またはショアD硬度測定器を用いてASTM−D−2240に準じて測定された値である。
【0020】
LED40は、例えば、半導体発光素子として青色光を発光する窒化ガリウム系半導体発光素子を用いることができる。このような半導体発光素子の周囲を例えば、白色系の樹脂部材を含む被覆部材で被覆した素子部42を備えることができる。さらに、樹脂部材41として、例えば、シリコーン樹脂と蛍光体とを備えた波長変換部材を用いることができる。蛍光体は半導体発光素子からの青色光を吸収して異なる波長の光に変換する部材であり、例えば、YAG蛍光体等を用いることができる。上述のようなLED40は、白色系の光を発光することができる。このようなLED40は、購入して準備してもよく、あるいは、一部又は全部の製造工程を経て製造して準備してもよい。
【0021】
(テープフィーダを準備する工程)
テープフィーダは、供給リール取付け部11と、供給ステージ12と、カバー部材13と、を備える。詳細は、上述の通りであり、供給リール取付け部11に供給リール20を取付ける。
【0022】
テープフィーダ10を実装装置30にセットする。実装装置30はLED40をピックアップするピックアップノズル31を備えている。テープフィーダ10のカバー部材13の第2開口部132の上方に、実装装置30のピックアップノズル31が配置されるようにテープフィーダ10を配置する。
【0023】
(LEDをピックアップする工程)
供給リール20から供給され順送りされたキャリアテープ22は、ベーステープ221からカバーテープ222が剥がされる。剥がされたカバーテープ222は、カバー部材13の第1開口部131から排出され、カバーテープ回収部14に収容される。
【0024】
カバーテープ222が剥がされた後、さらにキャリアテープ22を順送りすることで、LED40はカバー部材13の下面133の下方を通過する。順送りされる際にキャリアテープ22が上下等に振動し、凹部221a内のLED40が跳ねることがある。本実施形態に示すようにカバー部材13の下面133を粘着力が0.03(N/10mm)以下面とすることで、LED40が引っ付くことを抑制することができる。
【0025】
さらに順送りされることで、LED40がカバー部材13の第2開口部132に移動され、この位置で実装装置30のピックアップノズル31によってLED30がピックアップされる。
【0026】
以上のように、カバー部材13の下面133の粘着力が0.03(N/10mm)以下とすることで、LED40がカバー部材13の下面133に引っ付くことを抑制することができる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本開示に係るテープフィーダは上面に樹脂部材を備えたLEDをキャリアテープからピックアップする工程を備えたLEDの製造工程に適用することができる。
【符号の説明】
【0028】
10…テープフィーダ
11…供給リール取付け部
12…供給ステージ
13…カバー部材
131…第1開口部
132…第2開口部
133…下面
14…がバーテープ回収部
20…供給リール
21…リール
22…キャリアテープ
221…ベーステープ
221a…凹部
222…カバーテープ
30…実装装置
31…ピックアップノズル
40…LED
41…樹脂部材
42…素子部