特許第6773162号(P6773162)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6773162
(24)【登録日】2020年10月5日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/54 20100101AFI20201012BHJP
   H01L 33/60 20100101ALI20201012BHJP
   H01L 33/62 20100101ALI20201012BHJP
   H01L 33/50 20100101ALI20201012BHJP
【FI】
   H01L33/54
   H01L33/60
   H01L33/62
   H01L33/50
【請求項の数】10
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-58254(P2019-58254)
(22)【出願日】2019年3月26日
(62)【分割の表示】特願2017-184703(P2017-184703)の分割
【原出願日】2017年9月26日
(65)【公開番号】特開2019-114811(P2019-114811A)
(43)【公開日】2019年7月11日
【審査請求日】2019年4月2日
(31)【優先権主張番号】特願2016-191246(P2016-191246)
(32)【優先日】2016年9月29日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】由宇 広樹
【審査官】 右田 昌士
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2016/0218261(US,A1)
【文献】 特開2003−046124(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0056867(US,A1)
【文献】 特開2012−009848(JP,A)
【文献】 特開2016−051731(JP,A)
【文献】 特開2012−142489(JP,A)
【文献】 特開2014−175362(JP,A)
【文献】 特開2016−021557(JP,A)
【文献】 特開2016−015474(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0250158(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第105449080(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00 − 33/64
H01L 21/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主発光面と、前記主発光面の反対側の電極形成面と、を有する半導体層と、前記電極形成面に一対の電極を備える発光素子と、
光反射材料からなり、前記半導体層の前記主発光面を露出させ、かつ前記発光素子の側面に接触して該側面を被覆し、外面に凹部を備える被覆部材と、
前記電極に接続されるとともに、前記凹部内に配置される金属層と、を備える発光装置であって、
前記金属層は、前記発光装置の前記電極形成面から、前記半導体層の側面を被覆する前記被覆部材の側面にわたって、前記被覆部材に接して配置され、かつ前記発光装置の外側に露出している発光装置。
【請求項2】
前記主発光面を被覆する波長変換層を備える、請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記被覆部材は、前記波長変換層の側面を被覆する、請求項2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記波長変換層と前記主発光面の間に、透光性接着剤を備える、請求項2又は請求項3に記載の発光装置。
【請求項5】
前記被覆部材と前記発光素子の側面の間に、前記透光性接着剤を備える、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項6】
前記金属層は、前記発光装置の実装面から、前記発光装置の高さの15〜50%の高さの領域に設けられる、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項7】
前記金属層は、前記凹部の内面の全てに設けられる、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項8】
前記金属層は、前記凹部の内面に部分的に設けられる、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項9】
前記金属層の厚みは、1μm以下である、請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項10】
前記金属層は積層構造である、請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、液晶テレビ用バックライトや照明器具などの光源として、発光素子を備える
発光装置が広く用いられている。このような発光装置として、LED素子の電極がマザー
基板に対する接続電極となる発光装置が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−227470号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このような発光装置では実装用電極が比較的小さいために、発光装置の実装が
困難になるおそれがある。
そこで、本発明の実施形態は、実装が容易な発光装置を製造する方法を提供することを
目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態に係る発光装置は、主発光面と、前記主発光面の反対側の電極形成面と、を有する半導体層と、前記電極形成面に一対の電極を備える発光素子と、前記発光素子の側面を被覆し、外面に凹部を備える被覆部材と、前記電極に接続されるとともに、前記凹部内に配置される金属層と、を備える発光装置である。
【発明の効果】
【0006】
本発明の実施形態に係る発光装置の製造方法によれば、実装が容易な発光装置を製造す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1A】実施形態の発光装置の製造方法に係る、発光素子を支持体上に配置する工程を示す概略平面図である。
図1B図1AのX1−X1’線における概略断面図である。
図2A】実施形態の発光装置の製造方法に係る、被覆部材を形成する工程を示す概略平面図である。
図2B図2AのX2−X2’線における概略断面図である。
図3】実施形態の発光装置の製造方法に係る、被覆部材から発光素子の電極を露出させる工程を示す概略断面図である。
図4A】実施形態の発光装置の製造方法に係る、被覆部材に凹部を形成する工程を示す概略平面図である。
図4B図4AのX4−X4’線における概略断面図である。
図5A】実施形態に係る発光装置の製造方法に係る、金属層を形成する工程を示す概略平面図である。
図5B図5AのX5−X5’線における概略断面図である。
図6A】実施形態に係る発光装置の製造方法に係る一対の電極の間の金属層を除去する工程を示す概略平面図である。
図6B図6AのX6−X6’線における概略断面図である。
図7A】実施形態に係る発光装置の製造方法に係る、凹部の内面において金属層を切断する工程を示す概略平面図である。
図7B図7AのX7−X7’線における概略断面図である。
図8】実施形態に係る発光装置単体の概略側面図である。
図9図8に示す発光装置を実装基板へ接合した例を示す概略断面図である。
図10】実施形態の変形例に係る発光装置単体の概略側面図である。
図11】実施形態の変形例に係る発光装置の製造方法を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について適宜図面を参照して説明する。ただし、以下に説明す
る発光装置及びその製造方法は、実施形態の技術的思想を具現化するためのものであって
、以下に限定するものではない。特に、構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等
は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、単なる説明例であり、説明を明確にす
るために誇張していることがある。以下に記載される実施形態は、各構成等を適宜組み合
わせて適用できる。
【0009】
本実施形態の発光装置の製造方法は、同一面側に一対の電極を備え、それぞれ分離され
た複数の発光素子と、一対の電極の表面の一部が露出されるように複数の発光素子の側面
を被覆し、複数の発光素子の間において凹部を有する被覆部材と、を備える中間体を準備
する工程と、発光素子の一対の電極の表面と被覆部材の凹部の内面とを連続して覆う金属
層を形成する工程と、凹部の内面において被覆部材と金属層を切断する工程と、を含む発
光装置の製造方法である。
この製造方法は、例えば、下記のとおりである。
【0010】
1.中間体を準備する工程
まず、同一面側に一対の電極を備え、それぞれ分離された複数の発光素子と、一対の電
極の表面の一部が露出されるように複数の発光素子の側面を被覆し、複数の発光素子の間
において凹部を有する被覆部材と、を備える中間体を準備する工程を行う。
この工程は例えば下記の工程により行うことができる。
【0011】
1−1.発光素子の支持体上への配置
図1A及び図1Bに示されるように、主発光面Qと、主発光面Qと反対側の面である電
極形成面に一対の電極2a、2bを有する複数の発光素子2を、電極2a、2bを上向き
にして隣接するように支持体1上に配置する。
発光素子2は、少なくとも発光層を含む半導体層を含み、主発光面Qと、主発光面Qと
反対側の面である電極形成面に正負一対の電極2a、2bを有する。このように、ウエハ
状態から個々に分離した発光素子2を用いる、例えば特性の選別を行った後に、所望の特
性を有するものだけを発光装置の製造に用いることで、歩留まりよく発光装置を形成する
ことができる。
【0012】
発光素子2の平面形状は、円形、楕円形、三角形、四角形及び六角形等の多角形等のい
ずれであってもよい。また、発光素子2の大きさ及び厚みは、適宜選択することができる
。この実施形態では、例えば、平面形状が矩形の発光素子2を用いることができる。
【0013】
発光素子2を配置する支持体1を準備する。支持体1は、後述する金属層及び被覆部材
を切断する前に除去してもよいし、金属層及び被覆部材とともに切断することで、発光装
置の一部として用いてもよい。
【0014】
この実施形態では、このような発光素子2の電極2a、2bが上向きに、つまり、主発
光面Qが支持体1と接し、発光素子2の電極2a、2bの上面が支持体1と反対側に配置
されるように、複数の発光素子2を隣接させて支持体1上に配置する。これにより、後の
工程において電極上に金属層を形成しやすく、さらに、主発光面Qを露出させるように被
覆部材を形成しやすい。
【0015】
さらに、複数の発光素子2は、それぞれの発光素子2の異極どうしが隣接するように配
置することが好ましい。具体的には、図1Aに示されるように、一方の発光素子2の正電
極2aと他方の発光素子21の負電極2bとが隣接し、且つ、一方の発光素子2の負電極
2bと他方の発光素子2の正電極2aとが隣接するように、複数の発光素子2を配置する
ことが好ましい。
【0016】
複数の発光素子2の配置間隔は、任意に設定することができる。この間隔は、後述する
被覆部材3及び凹部3aの厚みに影響を与える。よって、所望の被覆部材3の厚みとでき
るように、間隔の広狭を調整することが好ましい。例えば、発光素子2の配置精度、後の
個片化工程における切断位置精度、被覆部材3の構成、凹部3aの形状にもよるが、0.
1μm〜300μm程度の間隔を空けて配置することができる。これにより、後の工程に
おいて金属層4を形成しやすく、且つ、主発光面Q以外から漏れる光を十分に遮光可能な
被覆部材3を形成することができる。さらに、製造される発光装置の数を増加させること
ができ、効率よく発光装置を製造することができる。
【0017】
支持体1上に発光素子2を配置する際、例えば、予め支持体1及び発光素子2に接着剤
を配置する、または、接着膜を有する支持体1を用い該接着剤により発光素子2を支持体
1上に固定することができる。接着剤としては、樹脂等の当該分野で公知のものを用いる
ことができ、特に、支持体1を発光装置10の一部として用いる場合は、透光性を有する
樹脂を用いることが好ましい。なお、粘着性を有する支持体1を用いる場合は、支持体1
の粘着性によって、発光素子2を支持体1上に固定してもよい。これにより、少ない工程
数で効率よく発光素子2を配置することができる。支持体1は、樹脂に接着剤が配置され
たフィルム、セラミック等の平板を用いることができる。
【0018】
1−2.被覆部材3の形成
次に、一対の電極2a、2bの上面が露出されるように複数の発光素子2の側面を被覆
し、複数の発光素子2の間において凹部3aを有する被覆部材3を形成する。
【0019】
1−2−1.被覆部材3の成形
この実施形態では、次に、少なくとも複数の発光素子2の側面を被覆する被覆部材3を
形成する。具体的には、支持体1上に配置された複数の発光素子2の支持体1と対向して
いる部分以外の面を連続して被覆する被覆部材3を支持体1上に成形する。これにより、
発光素子2を保護する被覆部材3を容易に形成することができ、さらに、被覆部材3が光
反射性または遮光性である場合には主発光面Q以外からの光漏れを防止することができる
【0020】
ここで、図4A及び4Bに示すように、被覆部材3の上面から電極2a、2bが露出す
るように被覆部材3を形成する。被覆部材3は、はじめから電極2a、2bが露出される
形状で形成されてもよく、一方、例えば、図2A及び図2Bに示すように、被覆部材3を
電極2a、2bの上面まで被覆する高さで形成しておき、図3に示すように、切削や研磨
等によって被覆部材3の上部の除去部3Sを除去することで、電極2a、2bを露出させ
ることができる。または、被覆部材3及び電極2a、2bの上部を除去することで、電極
2a、2bを露出させてもよい。電極2a、2bの露出工程の詳細については後述する。
【0021】
被覆部材3の材料としては、樹脂等の母材に光反射性又は光吸収性物質を含有させたも
のを用いることができる。被覆部材は、トランスファーモールド、コンプレッションモー
ルド、スクリーン印刷、ポッティング、スプレー等で成形することで形成できる。特に、
複数の発光素子2の間の比較的狭い空間まで確実に被覆部材3を形成するために、圧縮成
形、コンプレッションモールド、トランスファーモールド等の金型を用いた成形方法が好
ましい。
なお、被覆部材3は、前述のように一度に形成(形成した被覆部材3の一部を除去する
形態も一度に形成すると表す)してもよいし、複数回に分けて形成してもよい。
【0022】
1−2−2.電極の露出
実装形態1では、被覆部材3で電極2a、2bの上面まで被覆した後、次に図3に示さ
れるように被覆部材3を除去し、被覆部材3により被覆された発光素子2の電極2a、2
bの上面を被覆部材3の表面(上面)から露出させる。これにより、後の工程において形
成される金属層4と電極2a、2bを接触させ発光素子2へ電気を供給する電極を形成す
ることができる。
【0023】
電極2a、2bの露出は、研削、切断、エッチングなどの方法を用いることができる。
後の工程において設けられる金属層4と被覆部材3間及び金属層4と電極2a、2b間の
密着性の低下を低減するため、この工程においては被覆部材3と電極2a、2bとの上面
が略同一平面となるように平坦とすることが好ましい。このような観点および量産性を向
上させる観点から、研削が好ましい。
なお、この電極2a、2bの露出は、被覆部材3の成形と同時に行ってもよく、被覆部
材3の成形の後に行われてもよい。
【0024】
1−2−3.凹部の形成
次に、本実施形態では、被覆部材3の一部を除去することで、凹部3aを形成する。具
体的には、図4A及び4Bに示すように、複数の発光素子2間の被覆部材3に、発光素子
2の主発光面Qに対して略垂直に交差する方向に切断する。これにより、後の工程におい
て形成される金属層4を発光装置10の側面まで形成することができる。
【0025】
凹部3aの形成のための被覆部材3の除去は、当該分野で公知の切断方法、例えば、ブ
レードを用いたブレードダイシングや、レーザダイシング、カッタースクライブ、ドリル
、マスクを用いてのブラスト等を利用することができる。
【0026】
支持体1上に配置する複数の発光素子2の形状をそれぞれ同じとすると、被覆部材3の
凹部3aを形成しやすくなる。さらに、本実施形態では、2つの矩形の発光素子2の側面
が対向するように配置されているので、発光素子2の4辺に沿ってその近傍の被覆部材3
を切断して凹部3aを形成しやすい。さらに後の工程において効率的に被覆部材3と金属
層4の切断及び個々の発光装置の個片化を行うことができる。
【0027】
なお、凹部3aの形成は、本実施形態のように成形された被覆部材3の一部を除去する
ことで設ける他、被覆部材3の成形の際に同時に行われてもよい。例えば、被覆部材3を
成形する金型で、発光素子2を被覆するとともに凹部3aを有する形状に被覆部材3を形
成してもよい。なお、凹部3aの形成は、上述の電極2a、2bの露出工程の前に行われ
てもよく、後で行われてもよい。発光素子2の電極2a、2bの露出工程の後で行う場合
、発光素子2の電極2a、2bの位置をカメラで確認しながら凹部3aを形成することが
できるため、発光装置10の量産性や凹部3aの形成の精度を高めることができ好ましい
【0028】
凹部は、複数の発光素子2の間であって、複数の発光素子の電極2a、2bと隣接した
位置に設けることが好ましい。これにより、凹部3a内に設けられる金属層4と複数の発
光素子2の電極2a、2bと接続しやすくできる。
【0029】
凹部3aの内面の形状は、製造される発光装置10の側面の金属層4またはキャスタレ
ーションの形を略決定する。そのため、大きさや、製造する発光装置10の特性に求めら
れるものとすればよい。
例えば、凹部3aの深さ(図4Bにおける縦方向の幅)は、例えば、発光装置10の高
さの1%〜99%程度とすることができる。この凹部3aの深さを深くすると、発光装置
10の側面に設けられる金属層4の面積を増やすことができるため、発光装置10を実装
基板に実装した際に実装強度を高めることができる。しかし、凹部3aの深さを深くしす
ぎると、金属層4の端部と発光装置10の発光面が近づくため、実装に用いられる半田等
の接着部材が発光装置の発光に影響するおそれがある。そのため、例えば、凹部3aの深
さは発光装置10の高さの20〜50%程度とすることが好ましい。
【0030】
凹部3aの上面視における形状は、発光素子2の辺と沿った方向に長い矩形、円形等が
あげられる。凹部3aは、発光装置10の一側面の端部から端部まで金属層4が形成でき
るよう、延長して形成することは好ましい。このような金属層4を用いることで発光装置
10の実装精度を高めることができる。
凹部3aは、複数の発光素子2と隣接して延長された一つの溝としてもよい。これによ
り、切削や金型による成形によって容易に凹部3aを設けることができる。一方、上面視
において離間した凹部を複数設けてもよい。例えば、複数の発光素子2のそれぞれと隣接
する分離した凹部3aとしてもよい。
凹部3aの幅(図4Bにおける横方向の長さ)は金属層4が製膜可能かつ切断が容易な
程度で設けられることが好ましい。凹部3aの側面は、傾斜してもよいし垂直であっても
よい。
なお、凹部3aは、発光装置10の側面となる部分に設けられていればよく、複数の発
光素子2を有する発光装置10を製造する場合には、すべての複数の発光素子2の間に設
けられていなくてもよい。
【0031】
凹部は、図5Bに示すように、2つの発光素子2の間に2つ、もしくは2つ以上設けて
もよい。
一方、図11に示すように、2つの発光素子2の間に1つのみ凹部3aを設けることが
できる。これにより、発光素子2の間隔を広くせずに凹部3aの幅を広げることができる
ため、後述する凹部3aの内面における切断を容易に行うことができる。また、凹部3a
内に形成される比較的高価な金属層4の材料を有効に利用することができ、安価な発光装
置を製造することができる。
【0032】
以上のようにして、中間体100を得る。
【0033】
次に、中間体100の、発光素子2の一対の電極2a、2bの表面と被覆部材3の凹部
3aの内面とを連続して覆う金属層4を形成する。
【0034】
2.金属層の形成
図5A及び5Bに示すように、中間体100の発光素子の電極が露出された面(上面)
及び凹部3aの内面にわたって金属層4を形成する。
金属層4は、発光装置10の実装用端子として用いられるため、その構成は発光装置1
0の実装性や密着性を考慮して設けられる。
金属層4の材料は、例として、金、銀、ニッケル、アルミニウム、ロジウム、銅、又は
これらの合金を単層または積層などを用いることができる。中間体100と接する層(金
属層の第1層)としては、密着性を向上させるためにNiを用いることが好ましい。金属
層4への実装用半田の拡散を防止するために、Ruの層を含むことが好ましい。また、最
表面は耐食性等の高いAuを用いることが好ましい。つまり、中間体100に近い側から
Ni/Ru/Auの積層構造を用いることが好ましい。
金属層4の厚みは、薄いことが好ましく、適宜、発光装置10を実装基板に接合する際
に接合強度が確保できる条件とすることができる。レーザアブレーションが選択的に起こ
る程度とすることができ、例えば1μm以下であることが好ましく、1000Å以下がよ
り好ましい。また、電極の腐食を低減することができる厚み、例えば5nm以上であるこ
とが好ましい。ここで、金属層の厚みとは、金属層が複数の層が積層されて構成されてい
る場合には、該複数の層の合計の厚みのことをいう。
金属層4が積層構造である場合には、積層構造のうちの1層の厚みは、例えば、10Å
〜1000Åとすることができ、好ましくは、150Å〜1000Å程度である。
この金属層4の形成は、ALD、CVD、スパッタ、蒸着で行うことができる。中でも
スパッタによれば容易に金属層4を形成することができる。
【0035】
この実施形態では、まず、一つの連続する金属層4を被覆部材3と複数の電極2a、2
bの表面にわたって略全面に形成している。このため、図6A及び図6Bに示すように、
一つの発光素子2の正負の電極2a、2bの間を接続するように存在している金属層4の
一部を除去する。除去しなければ電極2a、2bが短絡した状態になり発光装置10への
電気供給がなく、発光装置10が破壊されるためである。これは、例えば、レーザの照射
またはエッチングまたはルータ加工によって電極2a、2b間の金属層4を電極2a、2
bに平行な一軸方向に、金属層4を除去することができる。特に、レーザの照射によれば
、アブレーションにより金属層の除去を容易に精度よく行うことができる。
【0036】
このように、中間体100の一面の略全面に設けた金属層4の一部を除去して金属層4
を形成することが、金属層4を、マスク等を用いてパターニングして形成するよりも、容
易なため、量産性の観点から好ましい。
【0037】
発光装置10における側面の金属層4の高さは、発光装置10の実装基板と面する面か
ら発光装置10の高さの1%〜99%、好ましくは10〜75%程度、より好ましくは1
5〜50%程度に設けることができる。金属層4の高さは、中間体100の上面に非選択
的に金属層4を形成する場合には、上述の凹部3aの深さによって制御することができる
【0038】
この実施形態では、複数の発光素子2の電極2a、2bの間の領域が平面視において一
つの帯状になるよう複数の発光素子2を配置しているため、発光素子2の正負の電極2a
、2bの間の金属層4を容易に除去することができる。電極2a、2b間の金属層を一直
線状に除去する為に、複数の発光素子2の支持体1への配置は、位置ずれが少ない状態で
行うことが好ましい。発光素子2を精度よく配列しておけば、電極2a、2b間の金属層
4を除去する際に発生する電極の形状のばらつきを少なくすることができ、発光装置の生
産性や品質の安定性を向上させることができる。
【0039】
なお、凹部3aの内面に設けられた金属層4と発光素子2の電極2a、2bが電気的に
接続している限り、その他の中間体100に設けられている部分も除去してもよい。例え
ば、後述の被覆部材3と金属層4が切断される際または発光装置10として個片化される
際に、切断される位置の中間体100の上面に設けられた金属層4を除去してもよい。こ
れにより、切断の際に金属のバリやゴミが発生することを低減することができ、安定して
発光装置10を製造することができる。
発光装置10として完成した後に、発光装置10の底面(中間体100の状態では上面
と呼ばれていた面)の周縁部にあたる部分を除去してもよい。
金属層4は、発光素子2の一方の電極2aと接続される部分と他方の電極2bと接続さ
れた部分とが略同じ形状であってもよく、異なる形状であってもよい。例えば、これらの
形状を互いに異ならせることで、発光装置10の極性を見分けるマークとして用いること
ができる。このような除去は、レーザの照射またはエッチングまたはルータ加工等で行う
ことができる。特にレーザの照射によれば、金属層4の除去を精度よく行うことができる
ため、比較的複雑な形状に容易に形成することができる。
金属層4は、凹部3aの内面の全てに設けられてもよく、部分的に設けられてもよい。
【0040】
3.被覆部材と金属層の切断
次に、図7A及び7Bに示すように、凹部3aの内面において被覆部材3と金属層4を
切断する。
この時、凹部3aがない部分の被覆部材3と金属層4も切断することができる。
なお、すべての凹部3aにおいて切断が行われる必要はない。例えば、1つの発光装置
が複数の発光素子2を備えるものを製造する場合、複数の発光素子2の間において配置さ
れた凹部3aを切断せず、複数の発光素子2の間の被覆部材3に凹部3a(及び金属層4
)を備える発光装置としてもよい。
【0041】
切断は、被覆部材3や金属層4を切断可能な方法で行われる。例えば、ブレードを用い
たブレードダイシングや、レーザダイシング、カッタースクライブ等を利用することがで
きる。
【0042】
本実施形態においては、発光素子2と隣接して延長された一つの溝である複数の凹部3
aの内面を、ダイサーを用いて切断しているため、容易に切断を行うことができる。
【0043】
被覆部材と金属層の切断は、図7Bに示すように、1つの凹部3aの略中央で切断する
ことで、凹部3aを2つに分割するように行ってもよい。また、凹部3aの内面の側面の
うち、発光素子2から離れた側の側面を除去するように行ってもよい。また、図7Aにお
ける2つの凹部3aの間に配置された被覆部材を除去するように2つの凹部3aを一度に
切断してもよい。これにより、切断の回数を減少させることができ、また切断と発光装置
に利用されなかった被覆部材の除去を同時に行うことができるため、製造を容易に行うこ
とができる。また、図11に示すような2つの発光素子2の間に1つのみ設けられた凹部
3aを切断し、1つの凹部3aの2つの側面をそれぞれ2つの発光装置の側面として設け
てもよい。これにより、切断の回数を減少させることができるため、製造を容易に行うこ
とができる。
【0044】
本実施形態においては、凹部の内面において被覆部材3と金属層4の切断を行う際に同
時に被覆部材3を完全に切断しているため、後述する発光装置の個片化も同時に行うこと
ができ、量産性を高くすることができる。なお、被覆部材3と金属層4の切断の後に、さ
らに被覆部材3または金属層4を除去する、成形する等の工程を有してもよい。
【0045】
発光装置の個片化
本実施形態においては、図7A及び7Bに示すように、凹部3a以外の部分においても
被覆部材3と金属層4を切断して分離溝5を形成し、発光装置10を個片化している。
前述のように、支持体1上に配置する発光素子2の形状として同じものを用いると、凹
部3aの形成のほかにも、発光装置10の個片化も容易に行うことができる。この実施形
態では、複数の矩形の発光素子2の側面が対向するように配置しているので、発光素子2
の辺に沿って切断しやすく、効率的に個々の発光装置を個片化することができる。
【0046】
前述のように、個片化することで、図8及び9に示すように、実装基板8に実装する場
合に、主発光面Qに対して略垂直な面(側面)にわたって発光装置10の電極となる金属
層4を形成することができる。また電極2a、2b面に実装基板8の電極と同様の形状で
電極が形成されていない場合でも、発光装置10の側面に有する金属層4を利用して実装
することで、発光装置10の発光面Qが実装基板8の実装面に対して垂直なサイドビュー
型の発光装置10を製造することができる。
これにより、実装基板8との実装が容易な発光装置10を形成することができる。
【0047】
このように、実装に用いられる金属層4を発光装置10の側面に沿って設けることで、
発光装置の実装を容易に精度よく行うことができる。また、実装した際に発光装置10の
側面の金属層4に半田フィレットが形成されるため、発光装置10の実装の確認を容易に
行うことができるとともに、実装基板8と発光装置10とが実装された際の接着強度を高
めることができる。これにより、実装が比較的困難な上、電極の面積を大きくすることが
難しい、液晶ディスプレイのバックライトの光源等に用いられる小型の発光装置10に好
ましく用いることができる。
【0048】
金属層4は、発光装置10の底面において、広い面積で設けられることが好ましい。例
えば、発光装置10の底面の面積の20%〜90%、より好ましくは50%〜80%の面
積で設けられることが好ましい。これにより、発光装置10の放熱性や実装強度を高める
ことができる。
【0049】
金属層4の側面が発光装置10の側面と略同一面となるよう配置することで、複数の発
光装置10を並べて実装する際に、上述のような効果を得ながら、発光装置10同士の間
隔を狭めることができる。これにより、発光装置10を高い密度で実装することができる
【0050】
本実施形態においては、それぞれの発光素子2の両側に1つずつ溝の凹部3aが設けら
れているが、隣接する発光素子2の間に1つの凹部が設けられてもよい。このような1つ
の凹部の内面で切断することで、凹部に隣接する2つの発光装置それぞれの側面に金属層
4を形成してもよい。これによれば、切断の回数を減らすことができ、製造の効率を高め
ることができる。
【0051】
この実施形態においては、図9に示すように、発光装置10の被覆部材3と金属層4の
外側面が略同一平面となるよう設けられているが、図10に示すように、発光装置の被覆
部材3が発光装置の側面に開口を有し、開口内に金属層4の一部が設けられることで、キ
ャスタレーションを備えていてもよい。このような開口内に金属層4を設けることにより
、金属層4の高さを高くすることなく、半田と金属層が接着する面積を増やすことができ
、発光装置の実装信頼性を高めることができる。このような金属層4は、中間体を準備す
る際に凹部3aの幅を広く形成し、凹部3aの内面に金属層4を形成した後、凹部3aの
底面3dの一部が発光装置に残るように切断することで、形成することができる。このよ
うな開口は、被覆部材3と金属層4の切断の際に、例えば、凹部3aの内面のうち側面だ
けでなく底面3dを発光装置に残すことで形成することができる。
【0052】
4.その他の工程
以上の工程の他に、例えば、波長変換層を形成する工程、透光層を形成する工程等を適
宜行ってもよい。
【0053】
波長変換層を形成する工程では、主発光面Qから出射される光を所望の波長に変換する
波長変換層を、主発光面Qを被覆するように形成することができる。波長変換層としては
、例えば樹脂やガラス等の母材に蛍光体等の波長変換材料を含有したものを用いることが
できる。波長変換層は、スプレー、印刷、塗布、貼り付け等の所望の方法で形成すること
ができる。被覆部材で波長変換層の側面も覆うことにより、発光部と非発光部のコントラ
ストが高い、いわゆる見切り性の良い発光装置を形成することができる。波長変換層は、
その構成に応じて、上述のどの工程の前後に行われてもよい。例えば、支持体1として波
長変換材料を含有した透光性の樹脂等からなるシートを用い、この支持体1を波長変換層
として用いてもよい。また、周縁を遮光性部材の枠で囲まれた波長変換層を予め形成して
おき、被覆部材の形成前に主発光面に貼り付けることで、見切り性の良い発光装置を製造
することができる。また、被覆部材の形成前に発光素子の主発光面に波長変換層を接着し
た後、被覆部材を形成してもよい。波長変換層の上に発光素子の主発光面を対向するよう
に接着することで、容易に波長変換層と発光素子の位置決めを行うことができる。透光性
接着剤の波長変換層と発光素子との接着には、シリコーン樹脂等の透光性接着剤を用いる
ことができる。この透光性接着剤は発光素子の側面と被覆部材の間に設けられていてもよ
い。
【0054】
透光層を形成する工程は、発光装置の発光面(具体的には、波長変換層や主発光面Q)
上に、透光性を有する透光層を形成する工程である。透光層を形成することで、発光装置
の発光面を保護することができる。透光層としては、例えば透光性を有する樹脂やガラス
等を用いることができる。また、フィラー等を含有させることで、光の取り出し向上や、
タック性を低減させることが可能である。透光層は、例えばスプレー、印刷、塗布、貼り
付け等の所望の方法で形成することができる。上記の波長変換層を用いる場合、あらかじ
め波長変換層と透光層を積層した状態に形成した後、発光素子に設けてもよい。
【0055】
以下、各構成部材について説明する。
【0056】
発光素子2
発光素子2は、当該分野で一般的に用いられる発光ダイオード、レーザダイオード等を
用いることができる。例えば、窒化物系半導体(InAlGa1−X−YN、0≦X
、0≦Y、X+Y≦1)、GaP、GaAsなどのIII−V族化合物半導体、ZnSe
、II−VI族化合物半導体等、種々の半導体を利用することができる。なお、発光素子
2は、半導体層を成長させるための基板を有していてもよい。基板としては、サファイア
等の絶縁性基板、SiC、ZnO、Si、GaAs、ダイヤモンド、窒化物半導体と格子
接合するニオブ酸リチウム、ガリウム酸ネオジム等の酸化物からなる基板が挙げられる。
なお、基板はレーザリフトオフ法等を利用して除去されていてもよい。
【0057】
支持体1
支持体1は、前述のようにシート状の樹脂、セラミックス、ガラス等を用いることがで
きる。特に、耐熱性の観点から、シート状のポリイミド樹脂を用いることが好ましい。
支持体1の平面形状、大きさ、厚み等は、配置する発光素子2の大きさや数によって適
宜調整することができる。特に、均一な厚みを有し、その表面が平坦なシート状の支持体
1であると、発光素子2を安定的に配置しやすく好ましい。
【0058】
支持体1を発光装置の一部として用いる場合は、透光性を有していると好ましく、発光
素子2からの光の透過率が60%以上、70%以上、80%以上、90%以上であるもの
が好ましい。
特に、支持体1を発光装置の一部として用いる場合は、支持体1として樹脂を用いるこ
とが好ましく、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、エポキシ樹脂、エポキシ変性樹脂
、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、TPX樹脂、ポリノルボルネ
ン樹脂、又はこれらの樹脂を1種以上含むハイブリッド樹脂等の樹脂等によって形成され
たものが挙げられる。なかでも、シリコーン樹脂又はエポキシ樹脂が好ましく、特に耐光
性、耐熱性に優れるシリコーン樹脂が好ましい。
【0059】
さらに、支持体1を発光装置の一部として用いる場合、支持体1に発光素子からの光を
波長変換する波長変換部材、例えば、蛍光体及び/又は発光物質を含有させると、発光装
置の波長変換層として用いることができる。
蛍光体及び/又は発光物質としては、例えば、イットリウム・アルミニウム・ガーネッ
ト(YAG)系蛍光体などを用いることができる。
【0060】
支持体1は、フィラー(例えば、拡散剤、着色剤等)を含んでいてもよい。例えば、シ
リカ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、ガラス、蛍光体の結晶又は焼
結体、蛍光体と無機物の結合材との焼結体等が挙げられる。
【0061】
被覆部材3
被覆部材3は、例えば、母材である樹脂に光反射性又は光吸収性物質を含有させた材料
により形成することができる。これにより、被覆部材3を所望の形状に成形しやすい。樹
脂としては、例えば、シリコーン樹脂、変成シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、変成エポキ
シ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、変成ポリイミド樹脂、フェノール樹
脂、ウレタン樹脂、アクリレート樹脂、ユリア樹脂、アクリル樹脂、ポリフタルアミド(
PPA)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、液晶ポリマー(LCP)等が挙げら
れる。これらは単独で又は2種以上の樹脂を組み合わせて用いてもよい。特に、耐熱性、
耐候性の観点から、シリコーン系の樹脂を含むことが好ましい。
なお、被覆部材3の厚み(発光素子2の側面から発光装置100の側面までの距離、図
10に示すD)は、例えば10μm〜100μmとすることで、主発光面Q以外からの発
光素子の光を十分に遮光しつつ、小型の発光装置を形成することができる。
【0062】
光反射性又は光吸収性物質としては、例えば、セラミックス、二酸化チタン、二酸化ケ
イ素、二酸化ジルコニウム、チタン酸カリウム、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ケイ
素、窒化ホウ素、ムライト、酸化ニオブ、酸化亜鉛、硫酸バリウム、各種希土類酸化物(
例えば、酸化イットリウム、酸化ガドリニウム)等が挙げられる。光反射性又は光吸収性
物質は、被覆部材の全重量において、約20重量%〜80重量%程度含有されていること
が好ましく、約30重量%〜70重量%程度がより好ましい。これにより、被覆部材の遮
光性及び強度を確保することができる。
【0063】
本発明の実施形態に係る発光装置は、照明用光源、各種インジケーター用光源、車載用
光源、ディスプレイ用光源、液晶のバックライト用光源、センサー用光源、信号機等、種
々の発光装置に使用することができる。
【符号の説明】
【0064】
1 支持体
2 発光素子
2a、2b 発光素子の電極
3 被覆部材
3a 凹部
3d 底面
4 金属層
5 分離溝
8 実装基板
9 半田
10 発光装置
100 中間体
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11