(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記撮像素子により撮像を行う前の予め定められたタイミングで各々測定された温度である前記磁気発生部の第3温度、及び前記磁気検出部の第4温度を記憶する記憶部を備え、
前記制御部は、さらに前記第3温度及び前記第4温度に基づいて、前記移動部の移動量を導出する、
請求項1または請求項2に記載の撮像装置。
磁気発生部と、前記磁気発生部と空気層を介して離間し対向する位置に設置され、かつ、前記磁気発生部が発生した磁気を検出する磁気検出部と、前記磁気発生部または前記磁気検出部の一方と撮像光学系を透過した光学像を撮像して得られた撮像画像を出力する撮像素子とが固定され、前記撮像素子の位置を前記撮像光学系の光軸と直交する方向に移動する移動部と、前記移動部を移動する駆動部と、前記磁気発生部または前記磁気検出部の他方が固定され、かつ撮像装置本体に固定される固定部と、前記移動部および前記固定部のうち前記磁気発生部が固定される方に固定され、前記磁気発生部の温度を検出し、検出結果を第1温度として出力する第1温度検出部と、前記移動部および前記固定部のうち前記磁気検出部が固定される方に固定され、前記磁気検出部の温度を検出し、検出結果を第2温度として出力し、前記第1温度検出部と前記空気層を介して離間して設置される第2温度検出部と、を備えた撮像装置の制御方法であって、
前記磁気検出部の検出結果、前記第1温度に基づいて補正された前記磁気発生部の磁束密度、及び前記第2温度に基づいて補正された前記磁気検出部の出力、を用いて導出した前記撮像素子の移動量に基づいて、前記駆動部により前記移動部を移動する制御を行う、
処理を含む制御方法。
磁気発生部と、前記磁気発生部と空気層を介して離間し対向する位置に設置され、かつ、前記磁気発生部が発生した磁気を検出する磁気検出部と、前記磁気発生部または前記磁気検出部の一方と撮像光学系を透過した光学像を撮像して得られた撮像画像を出力する撮像素子とが固定され、前記撮像素子の位置を前記撮像光学系の光軸と直交する方向に移動する移動部と、前記移動部を移動する駆動部と、前記磁気発生部または前記磁気検出部の他方が固定され、かつ撮像装置本体に固定される固定部と、前記移動部および前記固定部のうち前記磁気発生部が固定される方に固定され、前記磁気発生部の温度を検出し、検出結果を第1温度として出力する第1温度検出部と、前記移動部および前記固定部のうち前記磁気検出部が固定される方に固定され、前記磁気検出部の温度を検出し、検出結果を第2温度として出力し、前記第1温度検出部と前記空気層を介して離間して設置される第2温度検出部と、を備えた撮像装置を制御するコンピュータに、
前記磁気検出部の検出結果、前記第1温度に基づいて補正された前記磁気発生部の磁束密度、及び前記第2温度に基づいて補正された前記磁気検出部の出力、を用いて導出した前記撮像素子の移動量に基づいて、前記駆動部により前記移動部を移動する制御を行う、
処理を実行させるためのプログラム。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本開示の技術を実施するための形態例を詳細に説明する。
【0018】
まず、本実施形態の撮像装置10の構成を説明する。
図1に示すように、撮像装置10は、レンズ交換式のデジタルカメラであり、撮像装置本体12及び撮像レンズ14を含む。撮像レンズ14は、撮像装置本体12に対して交換可能に装着される。
【0019】
撮像装置10では、ユーザから撮像装置10に対して与えられた指示に応じて、静止画像を記録する静止画撮像モードと、動画像を記録する動画撮像モードとが選択的に設定される。また、静止画撮像モードでは、ユーザから撮像装置10に対して与えられた指示に応じて、マニュアルフォーカスモードとオートフォーカスモードとが選択的に設定される。なお、以下では、オートフォーカスを「AF(AutoFocus)」と表記する。
【0020】
AFモードでは、撮像装置本体12に設けられたレリーズボタン(図示省略)を半押し状態にすることにより撮像条件の調整が行われ、その後、引き続き全押し状態にすると本露光が行われる。つまり、レリーズボタンを半押し状態にすることによりAE(AutoExposure:自動露出)機能が働いて露出状態が設定された後、AF機能が働いて合焦制御が行われ、レリーズボタンを全押し状態にすると撮像が行われる。
【0021】
撮像装置本体12はマウント13を備えており、撮像レンズ14は、マウント15を備えている。撮像レンズ14は、マウント13にマウント15が結合されることにより撮像装置本体12に交換可能に装着される。撮像レンズ14は、レンズユニット18、絞り19、及び制御装置44を含む。絞り19は、レンズユニット18よりも撮像装置本体12側に設けられており、レンズユニット18を透過した被写体光の光量を調節し、被写体光を撮像装置本体12内に導く。制御装置44は、マウント13及び15を介して撮像装置本体12に電気的に接続されており、撮像装置本体12からの指示に従って撮像レンズ14の全体を制御する。
【0022】
撮像装置本体12は、撮像素子22、本体側主制御部46、撮像素子ドライバ50、画像信号処理回路52、画像メモリ54、画像処理部56、及び表示制御部58を含む。また、撮像装置本体12は、受付I/F(Interface)60、受付デバイス62、メディアI/F64、及び外部I/F72を含む。さらに、撮像装置本体12は、駆動部32、ホール素子34、磁石36、及び回路部38を含む。
【0023】
本体側主制御部46は、本開示の技術のコンピュータの一例であり、CPU(Central Processing Unit)74、一次記憶部76、及び二次記憶部78を備えている。CPU74は、撮像装置10の全体を制御する。一次記憶部76は、各種プログラムの実行時のワークエリア等として用いられる揮発性のメモリである。一次記憶部76の一例としては、RAM(Random Access Memory)が挙げられる。二次記憶部78は、手ぶれ補正制御プログラムを含む、各種プログラム及び各種パラメータ等を予め記憶した不揮発性のメモリである。二次記憶部78の一例としては、フラッシュメモリが挙げられる。なお、本実施形態の二次記憶部78には、
図2に示すように、上記の手ぶれ補正制御プログラム79と、詳細を後述する予め測定されたホール素子34の温度である調整時ホール温度100、及び予め測定された磁石36の温度である調整時磁石温度102とが予め記憶されている。
【0024】
CPU74は、二次記憶部78から手ぶれ補正制御プログラム79を読み出して一次記憶部76に展開し、展開した手ぶれ補正制御プログラム79に従って詳細を後述する手ぶれ補正制御処理を実行する。換言すると、CPU74は、手ぶれ補正制御プログラム79を実行することで本開示の検出部及び制御部として動作する。本実施形態の手ぶれ補正制御プログラム79が、本開示のプログラムの一例である。
【0025】
CPU74、一次記憶部76、及び二次記憶部78は、バスライン81に接続されている。また、撮像素子ドライバ50、及び画像信号処理回路52も、バスライン81に接続されている。また、駆動部32、回路部38、画像メモリ54、画像処理部56、表示制御部58、受付I/F60、メディアI/F64、及び外部I/F72も、バスライン81に接続されている。
【0026】
撮像素子ドライバ50は、撮像素子22に接続されている。本実施形態では、撮像素子22として、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサを用いているが、本開示の技術はこれに限定されず、例えば、CMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)イメージセンサ等の他のイメージセンサを用いてもよい。
【0027】
図1及び3A〜3Cに示すように、本実施形態の撮像素子22は、基板30に固定されている。基板30は、駆動部32の駆動に応じて、基板30を光軸L1と直交する方向(
図3A、矢印A方向及び矢印B方向)に駆動させる。基板30が駆動することにより、基板30に固定されている撮像素子22が光軸L1と直交する方向に移動する。なお、基板30が、本開示の移動部の一例である。駆動部32は本実施形態では一例として、3つのVCM(Voice Coil Motor)を適用しているが、特に限定されず、基板30を光軸L1と直交する方向に駆動可能であればよい。
【0028】
本実施形態の撮像装置10では、駆動部32が基板30を、光軸L1と直交する方向に移動させることにより、手ぶれの補正が行われる。
【0029】
また、
図1及び
図3Cに示すように、基板30の、撮像素子22が固定されている面の反対側の面(以下、「裏面」という)には、基板30(撮像素子22)の位置を検出するために用いられるホール素子34が3つ固定されている。本実施形態のホール素子34は駆動回路90(
図4参照)によって駆動する。
【0030】
さらに、基板30の裏面には、
図3Cに示すように、ホール素子34の温度を検出するための温度センサ40が固定されている。なお、ホール素子34の温度の検出は、温度センサ40をホール素子34に接触等させて、ホール素子34の温度を直接、検出してもよいし、ホール素子34の近傍の温度を温度センサ40を用いて検出することにより、ホール素子34の温度を間接的に検出してもよい。温度センサ40の検出結果は、バスライン81を介して本体側主制御部46に出力される。ホール素子34の検出結果は、詳細を後述する回路部38に出力される。なお、本実施形態のホール素子34が、本開示の磁気検出部の一例である。また、本実施形態の温度センサ40が、本開示の第2温度検出部の一例である。
【0031】
また、
図1、
図3A〜3Cに示すように、基板30の裏面側に、基板30と対向する位置に、固定部37が設けられている。固定部37は、3つのホール素子34の各々と対応する位置に、3つの磁石36が固定されている。また、固定部37は、撮像装置本体12に固定されており、基板30の移動にかかわらず、撮像装置本体12に対する位置が固定されている。さらに、固定部37には、
図3Bに示すように、磁石36の温度を検出するための温度センサ42が固定されている。なお、磁石36の温度の検出は、温度センサ42を磁石36に接触等させて、磁石36の温度を直接、検出してもよいし、磁石36の近傍の温度を温度センサ42を用いて検出することにより、磁石36の温度を間接的に検出してもよい。温度センサ42の検出結果は、バスライン81を介して本体側主制御部46に出力される。なお、本実施形態の磁石36は、本開示の磁気発生部の一例である。また、本実施形態の温度センサ42が、本開示の第1温度検出部の一例である。
なお、ホール素子34が基板30に固定されているとしたが、磁石36が基板30に固定されていてもよい。すなわち、磁石36またはホール素子34の一方が基板30に固定されていればよい。磁石36が基板30に固定される場合、ホール素子34が固定部37に固定される。また、ホール素子34及び磁石36は、それぞれ3つ設けられるとしたが、3つに限らない。
【0032】
画像信号処理回路52は、水平同期信号に応じて撮像素子22から1フレーム分の画像信号を画素毎に読み出す。画像信号処理回路52は、読み出した画像信号に対して、相関二重サンプリング処理、自動利得調整、及びA/D(Analog/Digital)変換等の各種処理を行う。画像信号処理回路52は、画像信号に対して各種処理を行うことによりデジタル化した画像信号を、CPU74から供給されるクロック信号で規定される特定のフレームレート(例えば、数十フレーム/秒)で1フレーム毎に画像メモリ54に出力する。
【0033】
画像メモリ54は、画像信号処理回路52から入力された画像信号を一時的に保持する。
【0034】
画像処理部56は、画像メモリ54から特定のフレームレートで1フレーム毎に画像信号を取得し、取得した画像信号に対して、ガンマ補正、輝度変換、色差変換、及び圧縮処理等の各種処理を行う。また、画像処理部56は、各種処理を行って得た画像信号を特定のフレームレートで1フレーム毎に表示制御部58に出力する。更に、画像処理部56は、各種処理を行って得た画像信号を、CPU74の要求に応じて、CPU74に出力する。
【0035】
表示制御部58は、タッチパネルディスプレイ29のディスプレイ28、及びファインダ67に接続されており、CPU74の制御下で、ディスプレイ28、及びファインダ67を制御する。また、表示制御部58は、画像処理部56から入力された画像信号を1フレーム毎に特定のフレームレートでディスプレイ28、及びファインダ67に出力する。
【0036】
ディスプレイ28は、表示制御部58から特定のフレームレートで入力された画像信号により示される画像をライブビュー画像として表示する。また、ディスプレイ28は、単一フレームで撮像されて得られた単一フレーム画像である静止画像も表示する。なお、ディスプレイ28には、ライブビュー画像の他に、再生画像及びメニュー画面等が表示される。ファインダ67は、いわゆる電子ビューファインダであり、ディスプレイ28と同様に、表示制御部58から特定のフレームレートで入力された画像信号により示される画像をライブビュー画像として表示する。
【0037】
受付デバイス62は、ダイヤル、レリーズボタン、及び十字キー等を有しており、ユーザによる各種指示を受け付ける。
【0038】
タッチパネルディスプレイ29のタッチパネル61及び受付デバイス62は、受付I/F60に接続されており、受け付けた指示の内容を示す指示内容信号を受付I/F60に出力する。受付I/F60は、入力された指示内容信号をCPU74に出力する。CPU74は、受付I/F60から入力された指示内容信号に応じた処理を実行する。
【0039】
メディアI/F64には、メモリカード66が着脱可能に接続されている。メディアI/F64は、CPU74の制御下で、メモリカード66に対する画像ファイルの記録及び読み出しを行う。メディアI/F64によってメモリカード66から読み出された画像ファイルは、CPU74の制御下で、画像処理部56によって伸長処理が施されてディスプレイ28に再生画像として表示される。
【0040】
次に、本実施形態の撮像装置10における、手ぶれ量、換言すると基板30の移動量を導出する構成について説明する。
図4には、本実施形態の回路部38の一例を示す。本実施形態の回路部38は、ホール素子34の検出結果に対して、オフセット補正を行うオフセット回路である。回路部38は、差動アンプ94と、抵抗素子R1〜R4と、ADC(Analog to Digital Converter)と、を備える。
【0041】
差動アンプ94の反転入力端子は、抵抗素子R1を介してホール素子34に接続されており、ホール素子34からホール電圧が入力される。また、差動アンプ94の反転入力端子と、出力とは、抵抗素子R3を介して接続されている。一方、差動アンプ94の非反転入力端子は、抵抗素子R2を介してホール素子34に接続されており、ホール素子34からホール電圧が入力される。また、差動アンプ94の非反転入力端子は、抵抗素子R4を介してDAC(Digital to Analog Converter)92が接続されており、DAC92からオフセット電圧Hoffsetが入力される。
【0042】
差動アンプ94は、ホール素子34のホール電圧yを増幅率zに応じて増幅した電圧YをADC96に出力する。ここでホール電圧yは、ホール素子34及び磁石36の温度に依存した電圧となっている。ADC96の入力電圧Yは、オフセット電圧Hoffsetによりオフセット補正後のホール電圧である。
【0043】
ADC96は、入力電圧Yをアナログ値からデジタル値に変換し、変換値Yadcを本体側主制御部46に出力する。本体側主制御部46は、ADC96から入力された変換値Yadcと、温度センサ40及び42各々検出結果とに基づいて、手ぶれを補正するために基板30(撮像素子22)を駆動させる駆動量を導出し、駆動部32によって、基板30を駆動させる。
【0044】
なお、本実施形態では回路部38がADC96を備えた形態としたが、ADC96を回路部38の外部に設けてもよいことは言うまでもない。
【0045】
次に、本実施形態の撮像装置10の作用、具体的には、手ぶれ補正の制御に関する作用、及び制御方法について説明する。
【0046】
上述したように、本実施形態の撮像装置10では、回路部38により、ホール素子34から出力されるホール電圧のオフセット補正を行う。そのため、本実施形態の撮像装置10では、出荷前等の調整を行う予め定められたタイミングで、温度センサ40及び42の各々により検出した温度に基づいて、オフセット補正を行い、
図5に示すように、撮像画像の中心において、出力が「0」となる状態に、オフセット補正を行うためのオフセット値Hoffsetを取得しておく。なお、本実施形態では、調整を行った際に、温度センサ40が検出した温度T1を調整時ホール温度100として、予め二次記憶部78に記憶させておく。本実施形態の温度T1が、本開示の第4温度の一例である。また、調整を行った際に、温度センサ42が検出した温度T2を調整時磁石温度102として、予め二次記憶部78に記憶させておく。本実施形態の温度T2が、本開示の第3温度の一例である。
【0047】
撮像装置10の出荷後、実際に撮影を行う場合、ホール素子34及び磁石36の温度は、オフセット値Hoffsetrを取得した時点における温度と異なっている場合がある。特に、撮像素子22及び駆動部32付近に設けられたホール素子34の温度は、撮像素子22または駆動部32の発熱に応じて上昇し、固定部37に固定された磁石36の温度よりも高くなる傾向がある。ホール素子34の磁束感度、及び磁石36の残留磁束密度の各々は、温度に応じて変化する。具体的には、ホール素子34の磁束感度、及び磁石36の残留磁束密度の各々は温度が高くなるほど、低下する。ホール素子34の温度の方が、磁石36に比べて高くなる場合、ホール素子34の磁束感度の低下が、磁石36の残留密度の低下に比べて急峻になる。
【0048】
そのため、オフセッと値Hoffsetによりオフセット補正を行っても、
図6に示したように、オフセット補正後にもかかわらず、撮像画像の中心において、出力が「0」とならない。
【0049】
このように、ホール素子34及び磁石36の温度の変化により、オフセット補正がずれてしまうため、本実施形態の撮像装置10の本体側主制御部46は、ホール素子34の検出結果(ホール電圧)と、撮影を行う場合の実際のホール素子34の温度(温度センサ40の検出結果)と、磁石36の温度(温度センサ42の検出結果)とを用いて、手ぶれにより移動した基板30の移動量を導出、手ぶれの補正を行う。
【0050】
図面を参照して、本体側主制御部46による、手ぶれ補正制御処理、及び制御方法について説明する。本実施形態の本体側主制御部46のCPU74が手ぶれ補正制御プログラム79を実行することにより、本体側主制御部46が、本開示の制御部として機能し、
図7に一例を示した手ぶれ補正制御処理が実行される。なお、本実施形態では、例えば、手ぶれ補正の実行をユーザによって指示された場合に、
図7に示した手ぶれ補正制御処理を実行する。
【0051】
図7に示したステップS100で本体側主制御部46は、ADC96から変換値Yadcを取得する。
【0052】
次のステップS102で本体側主制御部46は、温度センサ42から検出結果として、現在の磁石36の温度t1を取得し、また温度センサ40から検出結果として、現在のホール素子34の温度t2を取得する。なお、本ステップにおいて温度センサ40の検出結果が、本開示の第2温度の一例であり、温度センサ42の検出結果が、本開示の第1温度の一例である。
【0053】
次のステップS104で本体側主制御部46は、撮像画像の中心に対するずれ量を導出する。まず、本体側主制御部46は、二次記憶部78から、調整時ホール温度100(温度T1)及び調整時磁石温度102(温度T2)を取得する。
【0054】
そして、本体側主制御部46は、温度t1、t2、T1、T2、ホール素子34の温度係数A1、及び磁石36の温度係数A2に基づいて、下記(1)式を用いて、ホール素子34の感度及び磁石36の磁束密度の総合減少率aを導出する。
a=[1+A1×(t1−T1)]×[1+A2×(t2−T2)] ・・・(1)
【0055】
ここで、現在のホール電圧yは、総合減少率と、上述した調整を行った際のホール出力電圧xとに基づき、下記(2)式により表される。また、入力電圧Yは、下記(3)式により表される。但し、下記(3)式におけるZは、差動アンプ94の増幅率を表す。
y=(1+a)×x ・・・(2)
Y=Z×y+Hoffset ・・・(3)
【0056】
上記(2)式及び(3)式より、下記(4)式が得られる。
Y=Z×(1+a)×x+Hoffset ・・・(4)
【0057】
撮像画像の中心でのADC96の入力電圧Yと、ADC96のフルレンジ(VDD)の中心とが一致する状態に上記調整によりオフセット電圧Hoffsetが定められているため、上記(4)式に、Y=VDD÷2、a=0、及びx=Lを代入すると、下記(5)式が得られる。なお、Lは、撮像素子22が撮像画像の中心に存在する場合の、調整を行った際のホール電圧である。ホール電圧Lは、撮像素子22の取り付け公差(メカ公差)と相関した値である。
VDD÷2=Z×L+Hoffset
Hoffset=VDD÷2−Z×L ・・・(5)
【0058】
なお、ADC96のフルレンジVDDと、差動アンプ94の増幅率Zは設計値であり、固定値であるため、オフセット値Hoffsetを記憶しておくことにより、下記(6)式により、ホール電圧Lは算出可能である。
L=(Hoffset−VDD÷2)÷Z ・・・(6)
【0059】
上記(4)式、及び(5)式から、下記(7)式により、入力電圧Yが導出される。
Y=Z×(1+a)×x+VDD÷2−Z×L ・・・(7)
【0060】
入力電圧Yを、ADC96に入力した場合、変換値Yadcは、下記(8)式によりえられる。なお、下記(8)式におけるFSは、ADC96のビット数により定まる、AD値の最大値である。
Yadc=Y×FS÷VDD ・・・(8)
【0061】
上記(7)式及び(8)式より、変換値Yadcは、下記(9)式で表される。従って、ホール電圧xは、下記(10)式により得られる。
Yadc=[Z×(1+a)×x+VDD÷2−Z×L]×FS÷VDD ・・・(9)
x=[Yadc÷(Z×FS÷VDD)−VDD÷(2×Z)+L]÷(1+a) ・・・(10)
【0062】
本ステップにおいて、本体側主制御部46が導出するのは、撮像画像の中心に対する相対距離であり、これは、x−Lの値に対応する。従って、本体側主制御部46は、下記(11)式により、x−Lの値を導出する。
【0063】
x−L=[Yadc÷(Z×FS÷VDD)−VDD÷(2×Z)+L]÷(1+a)−L ・・・(11)
【0064】
次のステップS106で本体側主制御部46は、上記ステップS104において、(11)式により導出したx−Lの値に基づいて、駆動部32により、基板30を駆動させることで、撮像素子22を移動させることで、手ぶれの補正を行った後、本手ぶれ補正制御処理を終了する。
【0065】
なお、本実施形態と異なり、現在の温度t1、t2を用いない場合、上記(1)式からわかるように、磁束密度の総合減少率a=0となる。
【0066】
以上説明したように、本実施形態の撮像装置10は、磁石36と、磁石36が発生した磁気を検出するホール素子34と、磁石36またはホール素子34の一方と撮像光学系を透過した光学像を撮像して得られた撮像画像を出力する撮像素子22とが固定され、撮像素子22の位置を撮像光学系の光軸L1の方向と直交する方向に移動する基板30と、基板30を駆動する駆動部32と、磁石36またはホール素子34の他方が固定され、かつ撮像装置本体12に固定される固定部37と、磁石36の温度を検出し、検出結果を温度t1として出力する温度センサ42と、ホール素子34の温度を検出し、検出結果を温度t2として出力する温度センサ40と、ホール素子34の検出結果、温度t1、及び温度t2に基づいて導出した撮像素子22の移動量に基づいて、駆動部32により基板30を駆動する制御を行う本体側主制御部46と、を備える。
【0067】
このように本実施形態の撮像装置10では、手ぶれ補正を行う現在の温度t1、t2に基づいて、手ぶれ補正の制御を行うため、調整時の温度T1、T2と、温度t1、t2とが異なっている場合でも、手ぶれを精度よく補正することができる。
【0068】
なお、本実施形態では、磁気検出部の一例としてホール素子34を適用する形態について説明したが、磁気検出部はホール素子34に限定されず、磁気を検出可能な磁気センサであればよく、例えば、磁気抵抗効果素子や磁気インピーダンス素子等であってもよい。
【0069】
また、本実施形態では、オフセット補正を、回路部38により実現する形態について説明したが、本実施形態に限定されず、本体側主制御部46等がソフトウエア制御によりオフセット補正を行う形態としてもよい。
【0070】
また、上記各実施形態でCPUがソフトウェア(プログラム)を実行することにより実行した各種処理を、CPU以外の各種のプロセッサが実行してもよい。この場合のプロセッサとしては、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なPLD(Programmable Logic Device)、及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が例示される。また、上記各種処理を、これらの各種のプロセッサのうちの1つで実行してもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGA、及びCPUとFPGAとの組み合わせ等)で実行してもよい。また、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。
【0071】
また、上記各実施形態では、手ぶれ補正制御プログラム79が二次記憶部78に予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、これに限定されない。手ぶれ補正制御プログラム79は、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD−ROM
(Digital Versatile Disk Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)
メモリ等の記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。また、手ぶれ補正制御プログラム79は、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
【0072】
上記記載から、以下の付記項1に記載の撮像装置を把握することができる。
[付記項1]
磁気発生装置と、
前記磁気発生装置が発生した磁気を検出する磁気検出装置と、
前記磁気発生装置または前記磁気検出装置の一方と撮像光学系を透過した光学像を撮像して得られた撮像画像を出力する撮像素子とが固定され、前記撮像素子の位置を前記撮像光学系の光軸と直交する方向に移動する基板と、
前記基板を移動する駆動装置と、
前記磁気発生装置または前記磁気検出装置の他方が固定され、かつ撮像装置本体に固定される固定板と、
前記磁気発生装置の温度を検出し、検出結果を第1温度として出力する第1温度検出センサと、
前記磁気検出装置の温度を検出し、検出結果を第2温度として出力する第2温度検出センサと、
前記磁気検出装置の検出結果、前記第1温度、及び前記第2温度に基づいて導出した前記撮像素子の移動量に基づいて、前記駆動装置により前記基板を移動する制御を行うプロセッサと、
を備えた撮像装置。