【0007】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明では、まず、乳酸を使用してpHを4.0以上5.0以下に麺帯を調製する。
pHが4.0未満では麺線が褐色に変化するメイラード反応は抑えられるが、弾力の弱い食感となり、pHが5.0を越えると麺線が褐色に変化するメイラード反応が十分に抑えられなくなることから好ましくない。
麺帯の調製は、上記のとおりpHを調整する以外は従来の半生麺と同様でよい。
例えば、穀粉及び又は澱粉を生地原料としこれに水を添加しながらミキシングによってそぼろ生地を調製し、このそぼろ生地をロール圧延機で複合、圧延して麺帯とする。
麺線は得られた麺帯を切刃を用いて切り出すことによって得ることが出来る。
【0008】
麺線の乾燥方法も従来の半生麺と同様でよく、例えば冷風乾燥、熱風乾燥を挙げることができ、乾燥後の水分値が、19質量%以上23質量%以下となるように乾燥する。
水分値が、19質量未満では、麺線が褐色に変化するメイラード反応は抑えられるが食感が硬くなりすぎ、23質量%を越えると麺線が褐色に変化するメイラード反応が起きやすくなることから好ましくない。
乾燥後の麺線は、ガスバリア性の包材を使用して非鉄系脱酸素剤と共に脱気包装する。
ガスバリア性の包材を使用しない場合は、空気中の酸素が包材を透過して入り込むことにより麺線の腐敗が急速に進行する。
また、脱気包装しない場合も同様に包装内中の酸素により麺線が褐色に変化するメイラード反応が起きやすく好ましくない。
脱気包装には、移動中の衝撃による麺の折れ、保存中に麺の水分が袋内の空気中に発散して麺質が硬くなることを抑える効果もある。
なお、脱酸素剤は鉄系のものでは味噌のような発酵臭が発生するため好ましくない。
【実施例】
【0009】
以下本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1 半生うどん]
小麦粉100質量部に水35質量部、乳酸0.6質量部、酒精1重量部を麺用ミキサーで15分間混合してそぼろ状の生地を得た。
得られた、そぼろ状の生地を圧延ロールで圧延し厚さ6mmの麺帯とし、圧延方向に2枚重ねて複合圧延して6mmの麺帯を得た。
得られた麺帯をビニール袋で密封して23℃で60分間緩和熟成した。
緩和熟成した麺帯を圧延ロールで段階的に薄くし、最終的に2.0mmの麺帯を得た。
得られた麺帯を切刃#12角刃で切り出し、1食ずつ竿に掛けて35℃、湿度70%の環境下で2時間乾燥して水分22質量%の半生麺を得た。
なお麺帯のpHは4.5であった。
この半生麺を品質保持剤(非鉄系脱酸素剤)を封入したガスバリア製の包材にいれ、脱気して密封包装した。
【0010】
[実施例2〜4 比較例1〜2 半生うどん]
実施例1において、乾燥状態を調整し、麺線の水分を表1に示すとおり変更した以外は実施例1と同様にして密封包装した半生麺を得た。
[実施例5〜6 比較例3〜4 半生うどん]
実施例1において、乳酸添加量を調整し、pHを表1に示すとおり変更した以外は実施例1と同様にして密封包装した半生麺を得た。
[比較例5 半生うどん]
実施例1において、脱酸素剤を鉄系脱酸素剤に変更した以外は実施例1と同様にして密封包装した半生麺を得た。
[比較例6 半生うどん]
実施例1において、空気が入ったままシールして密封包装した以外は実施例1と同様にして密封包装した半生麺を得た。
【0011】
【表1】
【0012】
得られた密封包装した半生麺を30℃で6ヶ月間保管し、密封直後、2ヶ月後、4ヵ月後、6ヵ月後の色調(赤味)を色彩色差計(MINOLTA社製:SPECTROPHOTOMETER CM−3500d)で測定した。
得られた色差計数値は+に近いほど赤味が強く変色が激しいことを示す。
得られた結果を表2に示す。
【0013】
【表2】
【0014】
得られた密封包装した半生麺を30℃で6ヶ月間保管し、密封直後、4ヵ月後、6ヵ月後に開封し下記の評価基準によって10名のパネラーにより臭いを評価した。
・臭い
5点・・・異臭がなく良好
4点・・・ほとんど異臭がなくやや良好
3点・・・すこし異臭があるが普通
2点・・・やや異臭が強く、やや劣る
1点・・・異臭が強く劣る
また、得られた密封包装した半生麺を30℃で6ヶ月間保管し、密封直後、4ヵ月後、6ヵ月後に沸騰水中で14分間、茹でた後、15℃の水で水洗して茹でうどんとし食感を評価した。
得られた結果を表3〜表8に示す。
・食感
5点・・・適度な硬さと弾力・粘りが非常にあり良い
4点・・・適度な硬さで弾力・粘りがありやや良い
3点・・・普通
2点・・・弾力がやや弱く中心に芯がありやや劣る
1点・・・弾力が弱く中心に硬い芯があり劣る
【0015】
【表3】
【0016】
【表4】
【0017】
【表5】
【0018】
【表6】
【0019】
【表7】
【0020】
【表8】
【0021】
評価基準としては食感を最も重要として食感が劣るものは変色や異臭が少なくても不適とした。
比較例1は変色や異臭の発生は少なかったが食感が劣るため不適とした。
比較例3は変色は少なかったが異臭の発生や食感で劣るため不適とした。
鉄系脱酸素剤を使用したものは保存期間が4ヶ月を越えると異臭がかなり発生して劣る評価となった。
麺帯の水分値が少ないものは中心に芯が残り硬く劣った食感となった。