特許第6775501号(P6775501)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6775501
(24)【登録日】2020年10月8日
(45)【発行日】2020年10月28日
(54)【発明の名称】石油の産出方法
(51)【国際特許分類】
   C09K 8/584 20060101AFI20201019BHJP
   E21B 43/22 20060101ALI20201019BHJP
【FI】
   C09K8/584
   E21B43/22 A
【請求項の数】26
【全頁数】74
(21)【出願番号】特願2017-526927(P2017-526927)
(86)(22)【出願日】2015年11月17日
(65)【公表番号】特表2018-501337(P2018-501337A)
(43)【公表日】2018年1月18日
(86)【国際出願番号】EP2015076832
(87)【国際公開番号】WO2016079121
(87)【国際公開日】20160526
【審査請求日】2018年11月16日
(31)【優先権主張番号】62/081,062
(32)【優先日】2014年11月18日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】ビットナー,クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】エター,ギュンター
(72)【発明者】
【氏名】ヴァイセ,ゼバスティアン アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ラトス,ハンス−クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ティンズレー,ジャック
(72)【発明者】
【氏名】キーンレ,マルケル パトリク
【審査官】 柴田 啓二
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第04722396(US,A)
【文献】 米国特許第04542790(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0264598(US,A1)
【文献】 特開昭59−048440(JP,A)
【文献】 特表平06−502884(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0220365(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0083846(US,A1)
【文献】 特開平06−157398(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 8/00
E21B 43/22
C11D 1/83
C07C 51/367
C07C 59/125
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地中の石油鉱床から石油を産出するための方法であって、鉱床温度において、油と水との間の界面張力を<0.1mN/mまで低下させるために、界面活性剤混合物を含む塩水界面活性剤配合物が少なくとも1つの注入井を介して、石油鉱床に注入され、原油が少なくとも1つの採掘井を介して該鉱床から採掘され、
a)石油鉱床が、55℃〜150℃の鉱床温度、20°を超えるAPIを有する原油、および100ppmを超える二価陽イオンを有する鉱床水を有しており、
b)界面活性剤混合物が、少なくとも1つの一般式(I)の陰イオン性界面活性剤(A)
−O−(CHC(R)HO)−(CHC(CH)HO)−(CHCHO)−CHCOM (I)
および少なくとも1つの一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)
−O−(CHC(R)HO)−(CHC(CH)HO)−(CHCHO)−H (II)
を含み、
注入時の界面活性剤混合物には、51:49〜92:8となる陰イオン性界面活性剤(A)と非イオン性界面活性剤(B)とのモル比が存在しており、非イオン性界面活性剤(B)は、陰イオン性界面活性剤(A)の出発原料として働き、
式中、
が、10〜36個の炭素原子を有する、線状もしくは分岐状の飽和または不飽和一級脂肪族ヒドロカルビルラジカルであり、
が、2〜14個の炭素原子を有する、線状飽和脂肪族ヒドロカルビルラジカルであり、
Mが、H、Na、KまたはNHであり、
xが、0〜10の数であり、
yが、0〜50の数であり、
zが、1〜35の数であり、
x+y+zの合計は、3〜80の数であり、x+y+zのアルコキシレート基は、ランダム分布、交互またはブロックで配列されることができ、
が、10〜36個の炭素原子を有する、線状の飽和または不飽和な一級脂肪族ヒドロカルビルラジカルである場合、x+yの合計が>0の数であり、
c) 一緒にした界面活性剤すべての濃度が、塩水界面活性剤配合物の総量に対して、0.05質量%〜0.49質量%である、
方法。
【請求項2】
注入時の界面活性剤混合物には、60:40〜92:8となる陰イオン性界面活性剤(A)と非イオン性界面活性剤(B)とのモル比が存在しており、非イオン性界面活性剤(B)は、陰イオン性界面活性剤(A)の出発原料として働く、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
注入時の界面活性剤混合物には、60:40〜92:8となる陰イオン性界面活性剤(A)と非イオン性界面活性剤(B)とのモル比が存在しており、非イオン性界面活性剤(B)は、陰イオン性界面活性剤(A)の出発原料として働き、油と水との間の界面張力が、鉱床温度において<0.05mN/mまで低下する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
注入時の界面活性剤混合物には、70:30〜89:11となる陰イオン性界面活性剤(A)と非イオン性界面活性剤(B)とのモル比が存在しており、非イオン性界面活性剤(B)は、陰イオン性界面活性剤(A)の出発原料として働き、油と水との間の界面張力が、<0.01mN/mまで低下する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
が、10〜36個の炭素原子を有する、線状もしくは分岐状の飽和または不飽和一級脂肪族ヒドロカルビルラジカルであり、
が、2〜14個の炭素原子を有する、線状飽和脂肪族ヒドロカルビルラジカルであり、
Mが、H、Na、KまたはNHであり、
xが、1〜10の数であり、
yが、0〜50の数であり、
zが、3〜35の数であり、
x+y+zの合計が、4〜80の数である、
請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
が、10〜36個の炭素原子を有する、分岐の飽和一級脂肪族ヒドロカルビルラジカルであり、
が、2〜14個の炭素原子を有する、線状飽和脂肪族ヒドロカルビルラジカルであり、
Mが、H、Na、KまたはNHであり、
xが、0〜10の数であり、
yが、0の数であり、
zが、3〜35の数であり、
x+y+zの合計が、3〜45の数である、
請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
が、16〜20個の炭素原子を有する分岐の飽和一級脂肪族ヒドロカルビルラジカルであり、
xが、0の数である、
請求項1から4または請求項6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
が、2−デシルテトラデシル、2−ドデシルヘキサデシル、2−デシルヘキサデシルもしくは2−ドデシルテトラデシルである、24〜28個の炭素原子を有する分岐の飽和一級脂肪族ヒドロカルビルラジカル、または言及されているヒドロカルビルラジカルの混合物であり、
xが、0の数である、
請求項1から4または請求項6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
が、10〜36個の炭素原子を有する、線状もしくは分岐状の飽和または不飽和一級脂肪族ヒドロカルビルラジカルであり、
xが、0の数であり、
yが、3〜25の数であり、
zが、3〜30の数であり、
x+y+zの合計が、6〜55の数である、
請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
xが、0の数であり、
yが、3〜10の数であり、
zが、4〜15の数であり、
x+y+zの合計が、7〜25の数である、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
が、13〜20個の炭素原子を有する、線状もしくは分岐状の飽和または不飽和一級脂肪族ヒドロカルビルラジカルである、
請求項1から6、9および10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
が、16〜18個の炭素原子を有する、線状の飽和一級脂肪族ヒドロカルビルラジカルである、
請求項1から6および9から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
x+y+zの合計が、7〜24の数である、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
水性界面活性剤配合物が、バイオポリマーの群からの増粘性ポリマー、またはアクリルアミドをベースとするコポリマーの群からの増粘性ポリマーを含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
一般式(I)の陰イオン性界面活性剤(A)および一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)からなる混合物が、濃縮物の総量に対して、界面活性剤混合物を20質量%〜70質量%、水を10質量%〜40質量%、および共溶媒を10質量%〜40質量%含む、濃縮物の形態で提供され、
a)共溶媒が、3〜8個の炭素原子を有する脂肪族アルコールから、またはアルキルモノエチレングリコール、アルキルジエチレングリコールもしくはアルキルトリエチレングリコールからなる群から選択され、アルキルラジカルは、3〜6個の炭素原子を有する脂肪族ヒドロカルビルラジカルであり、
かつ/または
b)濃縮物が、20℃において自由流動性であり、40℃、200Hzにおいて<1500mPasの粘度を有する、
請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
濃縮物が、NaClおよび二グリコール酸二ナトリウム塩を含む混合物を0.5質量%〜15質量%含んでおり、NaClは、二グリコール酸二ナトリウム塩に対して過剰に存在する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
濃縮物が、共溶媒としてブチルジエチレングリコールを含む、請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
塩水界面活性剤配合物が、一般式(I)の陰イオン性界面活性剤(A)および一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)のみならず、さらなる界面活性剤(C)であって、
a)界面活性剤(A)または(B)とは同一ではなく、
かつ
b)アルキルベンゼンスルホネート、アルファ−オレフィンスルホネート、内部オレフィンスルホネート、パラフィンスルホネートからなる群からのものであり、14〜28個の炭素原子を有しており、
かつ/または
c)アルキルエトキシレートおよびアルキルポリグルコシドからなる群から選択され、具体的なアルキルラジカルは8〜18個の炭素原子を有する、界面活性剤(C)も含む、
請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
塩水界面活性剤配合物が、一般式(I)の陰イオン性界面活性剤(A)および一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)のみならず、3〜8個の炭素原子を有する脂肪族アルコールからなる群から、またはアルキルモノエチレングリコール、アルキルジエチレングリコールもしくはアルキルトリエチレングリコールからなる群から選択される共溶媒も含み、アルキルラジカルは、3〜6個の炭素原子を有する脂肪族ヒドロカルビルラジカルである、請求項1から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
鉱床が、砂岩鉱床であり、70質量%を超える砂(石英および/または長石)が存在し、カオリナイト、スメクタイト、イライト、緑泥石および/または黄鉄鉱から選択される他の鉱物が、最大25質量%存在していてもよい、請求項1から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
地中の石油鉱床からの石油の産出が、界面活性剤圧入法または界面活性剤/ポリマー圧入法であって、アルカリ/界面活性剤/ポリマー圧入法でも、NaCOも同様に注入される圧入法でもない、請求項1から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
地中の石油鉱床からの石油の産生が、ウィンザーIII型マイクロエマルション圧入作業である、請求項1から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
一般式(I)の陰イオン性界面活性剤(A)と、一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)との界面活性剤混合物が、下記の反応条件のうちの少なくとも1つ:
・一般式(I)の陰イオン性界面活性剤(A)が、アルカリ金属水酸化物または水性アルカリ金属水酸化物の存在下、撹拌しながら、カルボキシメチル化中、減圧を適用することにより、かつ/または窒素を通気することにより、反応器中の水分含有量を0.2%〜1.7%の値に維持するよう、反応の水を除去しながら、一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)とクロロ酢酸またはクロロ酢酸ナトリウム塩とを反応させることにより、反応器中で製造される、
・カルボキシメチル化において、アルカリ金属水酸化物として水性NaOH、および水性クロロ酢酸が、クロロ酢酸に対してNaOHを2当量:1当量〜2.2当量:1当量の比で用いて使用され、
非イオン性界面活性剤(B)が、KOHまたはNaOHまたはCsOHを使用する塩基触媒アルコキシ化、または複合金属シアン化物触媒を使用するアルコキシ化のどちらかにより製造され、アルコキシ化触媒は、中和されておらず、アルコキシ化が終了した後、除去されず、
一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)が、カルボキシメチル化において反応器に最初に投入され、水酸化ナトリウムおよびクロロ酢酸が、1〜7時間の期間をかけて、60〜110℃の温度で並行して計量して入れられ、全期間にわたるこの計量添加が、連続的に、または1時間毎に等分量で行われ、一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)とクロロ酢酸との化学量論比が、1当量:1当量〜1当量:1.9当量であり、
反応器中の水分含有量が、カルボキシメチル化中、減圧を適用することにより、かつ/または窒素を通気することにより、0.2%〜1.7%の平均値で主に維持される、ならびに/または
・カルボキシメチル化において、アルカリ金属水酸化物としてNaOH、およびクロロ酢酸ナトリウム塩が、クロロ酢酸ナトリウム塩に対してNaOHを1当量:1当量〜1当量:1.9当量の比で用いて使用され、
非イオン性界面活性剤(B)が、KOHまたはNaOHまたはCsOHを使用する塩基触媒アルコキシ化により製造され、カルボキシメチル化において非中和形態で使用され、
一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)が、カルボキシメチル化中、NaOHまたは水性NaOHと一緒に最初に投入され、一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)とNaOHとの化学量論比が、1当量:1当量〜1当量:1.5当量であり、60〜110℃の温度に設定され、一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)が、60〜110℃の温度で、減圧を適用することによりかつ/または窒素を通すことにより、対応するナトリウム塩R−O−(CHC(R)HO)−(CHC(CH)HO)−(CHCHO)−Naに変換され、クロロ酢酸ナトリウム塩が、一度にまたは4〜12時間の期間をかけて、計量して入れられ、一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)とクロロ酢酸ナトリウム塩との化学量論比が、1当量:1当量〜1当量:1.9当量であり、全期間にわたる計量添加が、連続して、または1時間毎に等分量で行われ、
反応器中の水分含有量が、カルボキシメチル化中、減圧を適用することにより、かつ/または窒素を通気することにより、0.2%〜1.7%の値に維持される、
・カルボキシメチル化において、アルカリ金属水酸化物として固体NaOH、およびクロロ酢酸ナトリウム塩が、クロロ酢酸ナトリウム塩に対してNaOHを1当量:1当量〜1.1当量:1当量の比で用いて使用され、
非イオン性界面活性剤(B)は、KOHまたはNaOHまたはCsOHを使用する塩基触媒アルコキシ化により製造され、次に、酢酸により中和され、カルボキシメチル化において、最初に0.5〜1.5%の水と一緒に用いられ、
クロロ酢酸ナトリウム塩および一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)が、カルボキシメチル化において、反応器中、一緒に最初に投入され、一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)とクロロ酢酸ナトリウム塩との化学量論比が、1当量:1当量〜1当量:1.9当量であり、水酸化ナトリウムは、4〜12時間の期間をかけて、20〜70℃の温度で計量して入れられ、計量添加が、全期間にわたり連続して、または1時間毎に等分量で行われ、
反応器中の水分含有量が、カルボキシメチル化中、減圧を適用することにより、かつ/または窒素を通気することにより、0.2%〜1.7%の値に維持される、
・カルボキシメチル化において、アルカリ金属水酸化物として固体NaOHおよびクロロ酢酸ナトリウム塩が、NaOH、または塩基性アルコキシレートの場合、NaOHおよびR−O−(CHC(R)HO)−(CHC(CH)HO)−(CHCHO)−Kの合計、またはNaOHおよびR−O−(CHC(R)HO)−(CHC(CH)HO)−(CHCHO)−Naの塩基性アルコキシレートの場合の合計、または塩基性アルコキシレートの場合、NaOHおよびR−O−(CHC(R)HO)−(CHC(CH)HO)−(CHCHO)−Csの合計を、クロロ酢酸ナトリウム塩に対して、1.1当量:1当量〜1当量:1.5当量の比で用いて使用され、 一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B):NaOHの比が、1当量:1当量〜1当量:1.5当量であり、
非イオン性界面活性剤(B)が、KOHまたはNaOHまたはCsOH、またはNaOHおよびKOHの混合物を使用する塩基触媒アルコキシ化により製造され、カルボキシメチル化において、中和形態およびろ過済み(すなわち、塩不含)形態、または中和されていない、塩基性アルコキシレートの形態のいずれかで使用され、
カルボキシメチル化において、クロロ酢酸ナトリウム塩および一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)が、反応器中で一緒に最初に投入され、一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)とクロロ酢酸ナトリウム塩との化学量論比は、1当量:1当量〜1当量:1.9当量であり、水酸化ナトリウムは、4〜12時間の期間をかけて、20〜70℃の温度で計量して入れられ、計量添加が、全期間にわたり連続して、または1時間毎に等分量で行われ、
反応器中の水分含有量が、カルボキシメチル化中、減圧を適用することにより、かつ/または窒素を通気することにより、0.2%〜1.7%の値に維持される、
・カルボキシメチル化において、アルカリ金属水酸化物として固体NaOH、およびクロロ酢酸ナトリウム塩が、クロロ酢酸ナトリウム塩に対してNaOHを1当量:1当量〜1.1当量:1当量の比で用いて使用され、
非イオン性界面活性剤(B)が、複合金属シアン化物触媒作用を使用する、アルコキシ化によって製造され、
カルボキシメチル化において、クロロ酢酸ナトリウム塩および一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)が、反応器中で一緒に最初に投入され、一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)とクロロ酢酸ナトリウム塩との化学量論比は、1当量:1当量〜1当量:1.9当量であり、水酸化ナトリウムは、4〜12時間の期間をかけて、20〜70℃の温度で計量して入れられ、計量添加が、全期間にわたり連続して、または1時間毎に等分量で行われ、
反応器中の水分含有量が、カルボキシメチル化中、減圧を適用することにより、かつ/または窒素を通気することにより、0.2%〜1.7%の値に維持される、
によって得られる、請求項1から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
少なくとも1つの一般式(I)の陰イオン性界面活性剤(A)
−O−(CHC(R)HO)−(CHC(CH)HO)−(CHCHO)−CHCOM (I)
および少なくとも1つの一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)
−O−(CHC(R)HO)−(CHC(CH)HO)−(CHCHO)−H (II)
を含む、カルボキシメチル化による界面活性剤混合物を生成する方法であって、
面活性剤混合物には、51:49〜92:8となる陰イオン性界面活性剤(A)と非イオン性界面活性剤(B)とのモル比が存在しており、非イオン性界面活性剤(B)は、陰イオン性界面活性剤(A)の出発原料として働き、
が、10〜36個の炭素原子を有する、線状もしくは分岐状の飽和または不飽和一級脂肪族ヒドロカルビルラジカルであり
が、2〜14個の炭素原子を有する、線状飽和脂肪族ヒドロカルビルラジカルであり、
Mが、H、Na、KまたはNHであり、
xが、0〜10の数であり、
yが、0〜50の数であり、
zが、1〜35の数であり、
x+y+zの合計が、3〜80の数であり、x+y+zのアルコキシレート基は、ランダム分布、交互またはブロックで配列されることができ、
が、10〜36個の炭素原子を有する、線状の飽和または不飽和な一級脂肪族ヒドロカルビルラジカルである場合、x+yの合計が>0の数であり、以下の反応条件の少なくとも1つ:
・一般式(I)の陰イオン性界面活性剤(A)が、アルカリ金属水酸化物または水性アルカリ金属水酸化物の存在下、撹拌しながら、カルボキシメチル化中、減圧を適用することにより、かつ/または窒素を通気することにより、反応器中の水分含有量を0.2%〜1.7%の値に維持するよう、反応の水を除去しながら、一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)とクロロ酢酸またはクロロ酢酸ナトリウム塩とを反応させることにより、反応器中で製造される、
・カルボキシメチル化において、アルカリ金属水酸化物として水性NaOH、および水性クロロ酢酸が、クロロ酢酸に対してNaOHを2当量:1当量〜2.2当量:1当量の比で用いて使用され、
非イオン性界面活性剤(B)が、KOHまたはNaOHまたはCsOHを使用する塩基触媒アルコキシ化、または複合金属シアン化物触媒を使用するアルコキシ化のどちらかにより製造され、アルコキシ化触媒は、中和されておらず、アルコキシ化が終了した後、除去されず、
一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)が、カルボキシメチル化において反応器に最初に投入され、水酸化ナトリウムおよびクロロ酢酸が、1〜7時間の期間をかけて、60〜110℃の温度で並行して計量して入れられ、全期間にわたるこの計量添加が、連続的に、または1時間毎に等分量で行われ、一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)とクロロ酢酸との化学量論比が、1当量:1当量〜1当量:1.9当量であり、
反応器中の水分含有量が、カルボキシメチル化中、減圧を適用することにより、かつ/または窒素を通気することにより、0.2%〜1.7%の平均値で主に維持される、
・カルボキシメチル化において、アルカリ金属水酸化物としてNaOH、およびクロロ酢酸ナトリウム塩が、クロロ酢酸ナトリウム塩に対してNaOHを1当量:1当量〜1当量:1.9当量の比で用いて使用され、
非イオン性界面活性剤(B)が、KOHまたはNaOHまたはCsOHを使用する塩基触媒アルコキシ化により製造され、カルボキシメチル化において非中和形態で使用され、
一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)が、カルボキシメチル華中、NaOHまたは水性NaOHと一緒に最初に投入され、一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)とNaOHとの化学量論比が、1当量:1当量〜1当量:1.5当量であり、60〜110℃の温度に設定され、一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)が、60〜110℃の温度で、減圧を適用することによりかつ/または窒素を通すことにより、対応するナトリウム塩R−O−(CHC(R)HO)−(CHC(CH)HO)−(CHCHO)−Naに変換され、クロロ酢酸ナトリウム塩が、一度にまたは4〜12時間の期間をかけて、計量して入れられ、一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)とクロロ酢酸ナトリウム塩との化学量論比が、1当量:1当量〜1当量:1.9当量であり、全期間にわたる計量添加が、連続して、または1時間毎に等分量で行われ、
反応器中の水分含有量が、カルボキシメチル化中、減圧を適用することにより、かつ/または窒素を通気することにより、0.2%〜1.7%の値に維持される、
・カルボキシメチル化において、アルカリ金属水酸化物として固体NaOH、およびクロロ酢酸ナトリウム塩が、クロロ酢酸ナトリウム塩に対してNaOHを1当量:1当量〜1.1当量:1当量の比で用いて使用され、
非イオン性界面活性剤(B)は、KOHまたはNaOHまたはCsOHを使用する塩基触媒アルコキシ化により製造され、次に、酢酸により中和され、カルボキシメチル化において、最初に0.5〜1.5%の水と一緒に用いられ、
クロロ酢酸ナトリウム塩および一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)が、カルボキシメチル化において、反応器中、一緒に最初に投入され、一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)とクロロ酢酸ナトリウム塩との化学量論比が、1当量:1当量〜1当量:1.9当量であり、水酸化ナトリウムは、4〜12時間の期間をかけて、20〜70℃の温度で計量して入れられ、計量添加が、全期間にわたり連続して、または1時間毎に等分量で行われ、
反応器中の水分含有量が、カルボキシメチル化中、減圧を適用することにより、かつ/または窒素を通気することにより、0.2%〜1.7%の値に維持される、
・カルボキシメチル化において、アルカリ金属水酸化物として固体NaOHおよびクロロ酢酸ナトリウム塩が、NaOH、または塩基性アルコキシレートの場合、NaOHおよびR−O−(CHC(R)HO)−(CHC(CH)HO)−(CHCHO)−Kの合計、またはNaOHおよびR−O−(CHC(R)HO)−(CHC(CH)HO)−(CHCHO)−Naの塩基性アルコキシレートの場合の合計、または塩基性アルコキシレートの場合、NaOHおよびR−O−(CHC(R)HO)−(CHC(CH)HO)−(CHCHO)−Csの合計を、クロロ酢酸ナトリウム塩に対して、1.1当量:1当量〜1当量:1.5当量の比で用いて使用され、一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B):NaOHの比が、1当量:1当量〜1当量:1.5当量であり、
非イオン性界面活性剤(B)が、KOHまたはNaOHまたはCsOH、またはNaOHおよびKOHの混合物を使用する塩基触媒アルコキシ化により製造され、カルボキシメチル化において、中和形態およびろ過済み(すなわち、塩不含)形態、または中和されていない、塩基性アルコキシレートの形態のいずれかで使用され、
カルボキシメチル化において、クロロ酢酸ナトリウム塩および一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)が、反応器中で一緒に最初に投入され、一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)とクロロ酢酸ナトリウム塩との化学量論比は、1当量:1当量〜1当量:1.9当量であり、水酸化ナトリウムは、4〜12時間の期間をかけて、20〜70℃の温度で計量して入れられ、計量添加が、全期間にわたり連続して、または1時間毎に等分量で行われ、
反応器中の水分含有量が、カルボキシメチル化中、減圧を適用することにより、かつ/または窒素を通気することにより、0.2%〜1.7%の値に維持される、
・カルボキシメチル化において、アルカリ金属水酸化物として固体NaOH、およびクロロ酢酸ナトリウム塩が、クロロ酢酸ナトリウム塩に対してNaOHを1当量:1当量〜1.1当量:1当量の比で用いて使用され、
非イオン性界面活性剤(B)が、複合金属シアン化物触媒作用を使用する、アルコキシ化によって製造され、
カルボキシメチル化において、クロロ酢酸ナトリウム塩および一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)が、反応器中で一緒に最初に投入され、一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)とクロロ酢酸ナトリウム塩との化学量論比は、1当量:1当量〜1当量:1.9当量であり、水酸化ナトリウムは、4〜12時間の期間をかけて、20〜70℃の温度で計量して入れられ、計量添加が、全期間にわたり連続して、または1時間毎に等分量で行われ、
反応器中の水分含有量が、カルボキシメチル化中、減圧を適用することにより、かつ/または窒素を通気することにより、0.2%〜1.7%の値に維持される、
が使用される、
方法。
【請求項25】
少なくとも1つの一般式(I)の陰イオン性界面活性剤(A)
−O−(CHC(R)HO)−(CHC(CH)HO)−(CHCHO)−CHCOM (I)
および少なくとも1つの一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)
−O−(CHC(R)HO)−(CHC(CH)HO)−(CHCHO)−H (II)
を含む、界面活性剤混合物を含む、濃縮物であって、
面活性剤混合物には、51:49〜92:8となる陰イオン性界面活性剤(A)と非イオン性界面活性剤(B)とのモル比が存在しており、非イオン性界面活性剤(B)は、陰イオン性界面活性剤(A)の出発原料として働き、
式中、
が、10〜36個の炭素原子を有する、線状もしくは分岐状の飽和または不飽和一級脂肪族ヒドロカルビルラジカルであり、
が、2〜14個の炭素原子を有する、線状飽和脂肪族ヒドロカルビルラジカルであり、
Mが、H、Na、KまたはNHであり、
xが、0〜10の数であり、
yが、0〜50の数であり、
zが、1〜35の数であり、
x+y+zの合計が、3〜80の数であり、x+y+zのアルコキシレート基は、ランダム分布、交互またはブロックで配列されることができ、
が、10〜36個の炭素原子を有する、線状の飽和または不飽和な一級脂肪族ヒドロカルビルラジカルである場合、x+yの合計が>0の数であり、濃縮物が、濃縮物の総量に対して、界面活性剤混合物を20質量%〜70質量%、水を10質量%〜40質量%、および共溶媒を10質量%〜40質量%含み、
a)共溶媒は、3〜8個の炭素原子を有する脂肪族アルコールから、またはアルキルモノエチレングリコール、アルキルジエチレングリコールもしくはアルキルトリエチレングリコールからなる群から選択され、アルキルラジカルは、3〜6個の炭素原子を有する脂肪族ヒドロカルビルラジカルであり、
かつ/または
b)濃縮物が、20℃において自由流動性であり、40℃、200Hzにおいて<1500mPasの粘度を有する、
濃縮物。
【請求項26】
濃縮物が、NaClおよび二グリコール酸二ナトリウム塩を含む混合物を0.5質量%〜15質量%含んでおり、NaClは、二グリコール酸二ナトリウム塩に対して過剰に存在する、請求項25に記載の濃縮物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中の石油鉱床から石油を産出する方法であって、アルキルエーテルカルボキシレートおよびアルキルエーテルアルコールからなる混合物を少なくとも含む塩水界面活性剤配合物(アルキルエーテルカルボキシレートは、アルキルエーテルアルコールから製造され、アルキルエーテルカルボキシレート:アルキルエーテルアルコールの混合物のモル比は、51:49〜92:8であり、界面活性剤のすべてを一緒にした濃度が塩水界面活性剤配合物の総量に対して、0.05質量%〜0.49質量%である)を55℃〜150℃の鉱床温度、20°を超えるAPIを有する原油および二価陽イオンを100ppmより多く含む鉱床水を有する石油鉱床に、少なくとも1つの注入井を介して注入し、原油を少なくとも1つの採掘井を介して上記鉱床から採掘する方法に関する。本方法は、鉱床温度において、油と水との間の界面張力を<0.1mN/mまで低下させる目的に役立つ。本発明はさらに、上記の混合物の製造、および該混合物を含む濃縮物に関する。
【背景技術】
【0002】
天然の石油鉱床では、石油は、重なった不浸透性層によって地球の表面に封入されている多孔質の貯蔵岩の空洞に存在している。この空洞は、非常に細かい空洞、毛細管、細孔などとすることができる。微細空隙岩けいは、例えば、わずか約1μmの直径しか有していないことがある。天然ガスのフラクションを含めた石油のみならず、鉱床は一般に、多少なりとも塩を含有する水も含む。
【0003】
石油鉱床が十分な自己圧を有する場合、鉱床にドリルを開始した後、自己圧のために、石油は、井戸から自発的に表面に流れ始める(一次石油産出)。しかし、十分な自己圧が最初は存在している場合でさえも、鉱床の自己圧は一般に、石油採掘の経過中に比較的急速に低下し、その結果、通常、鉱床の種類に応じて、鉱床中に存在している石油の量のわずか少量しかこの方法で産出することができない。
【0004】
したがって、一次産出量が減少した場合、公知の方法は、採掘井と呼ばれる石油の産出に役立つ井戸に加えて、さらなる井戸を介して石油含有地層にドリルをすることである。これらのいわゆる注入井を介して、圧力を維持するか、または圧力を再度高めるために、鉱床に水が注入される。地層中の空洞を介して石油に水を強制的に注入し、注入井から採掘井の方向に徐々に進行させる。この技法は、水攻法として知られており、二次石油産出と呼ばれる技法の1つである。しかし、水攻法では、可動水が地層を均一に流れることで油が流通するところ、そのように均一に流れず、油を流通させることなく、特に低い流れ抵抗を有する経路に沿って注入井から採掘井に流れることになる一方で、高い流れ抵抗を有する地層の領域を介する流れは、あるとしてもごくわずかしか存在しない、というリスクが常に存在する。これは、採掘井を介して産出される水の割合が、さらに一層増加するということとは区別される。一次および二次産出により、一般に、鉱床中に存在する石油のせいぜい約30〜35%の量しか産出することができない。
【0005】
経済的に実現可能な産出が不可能な場合、または一次もしくは二次石油産出によりもはや不可能となる場合、油の収量を増加するための公知の方法は、三次石油産出(「石油増進回収法(EOR)」としても知られている)に関する技法を使用することである。三次石油産出は、界面活性剤および/またはポリマーなどの適切な化学品が補助剤として石油産出に使用される方法を含む。化学品を使用する三次オイル産出の概説は、例えば、D.G.Kesselによる論文であるJournal of Petroleum Science and Engineering、2巻(1989年)81〜101頁に見出すことができる。
【0006】
三次石油産出の技法の1つには、「ポリマー圧入法」と呼ばれるものである。ポリマー圧入法は、増粘性ポリマーの水溶液を注入井を介して石油鉱床に注入することを含み、該ポリマー水溶液の粘度が、石油の粘度に一致する。ポリマー溶液の注入によって、水攻法の場合と同様に、石油は、注入井から地層中の前記空洞を強制的に通されて採掘井の方向に向かい、石油が採掘井から産出される。石油とほぼ同じ粘度を有するポリマー配合物のおかげで、ポリマー形成がなんの効果も伴わずに採掘井を突き破ってしまうリスクが低減する。したがって、石油が、可動な水が使用される場合よりも、かなり一層均一に流通され、追加的な石油が地層中で可動化され得る。ポリマー圧入法およびこの目的に適切なポリマーの詳細は、例えば、「Petroleum,Enhanced Oil Recovery,Kirk−Othmer、Encyclopedia of Chemical Technology,Online Edition、John Wiley&Sons、2010年」に開示されている。
【0007】
ポリマー圧入法のために疎水性会合コポリマーを使用することが知られている。「疎水性会合コポリマー」は、外側または末端疎水性基、例えば、比較的長いアルキル鎖を有する水溶性ポリマーを意味することが、当業者によって理解される。水溶液では、このような疎水性基は、それ自体、または疎水性基を有する他の物質と会合することができる。これは、(追加的な)増粘作用を引き起こす会合性網目構造を形成する。三次石油産出のための疎水性会合コポリマーを使用する方法の詳細は、例えば、Taylor,K.C.およびNasr−El−Din,H.A.による総説である、J.Petr.Sci.Eng.1998年、19巻、265〜280頁において記載されている。
【0008】
三次石油産出のさらなる形態は、流動性制御(鉱床への均一な流れ)のための、通常、ポリマー圧入法と組み合わせた、毛管力により、空隙中に捕捉された石油を産出するための、界面活性剤圧入法である。
【0009】
粘性力および毛管力が、二次産出の終盤には、鉱床岩の空隙中に捕捉されている石油に作用し、互いにこれらの2つの力の比により、微小石油の採掘が決まる。毛管数と呼ばれる無次元パラメータが、これらの力の作用を説明するために使用される。それは、粘性力(流速×力の加わる相の粘度)と毛管力(油と水との間の界面張力×岩石の湿潤度)との比:
【数1】
である。
【0010】
この式では、μは、石油を流動させる流体の粘度であり、νは、ダーシー流速(単位面積あたりの流れ)であり、σは、石油を流動させる液体と石油との間の界面張力であり、θは、石油と岩石との間の接触角である(C.Melrose、C.F.Brandner、J.Canadian Petr.Techn.58巻、1974年10月〜12月)。毛管数が多いほど、石油の流動性は大きくなり、したがって、石油の採掘度も高くなる。
【0011】
二次石油産出の終盤には、毛管数は、約10−6の範囲にあること、およびさらなる石油を流動させるためには、この毛管数を約10−3〜10−2まで高める必要があることが知られている。
【0012】
このために、ある特定の形態の圧入法、いわゆるウィンザーIII型マイクロエマルション圧入法を行うことができる。ウィンザーIII型マイクロエマルション圧入法では、注入される界面活性剤は、鉱床中に存在する水相および油相とウィンザーIII型マイクロエマルションを形成することになる。ウィンザーIII型マイクロエマルションは、特に小液滴を含むエマルションではなく、むしろ、水、油および界面活性剤からなる熱力学的に安定な液状混合物である。その長所の3つは、以下の通りである。
【0013】
− すなわち、石油と水相との間の界面張力σが非常に小さくなる。
− それは、一般に、非常に低い粘度を有しており、その結果、多孔質マトリックス中に捕捉されない。
− 最小エネルギーの入力でさえも形成され、無限に長い期間にわたり、安定に存在したままであり続けることができる(対照的に、従来のエマルションは、貯槽では主に起こらない高せん断力を必要とし、単に速度論的に安定化されているに過ぎない)。
【0014】
このウィンザーIII型マイクロエマルションは、過剰の水および過剰の油と平衡にある。マイクロエマルションが形成されるこれらの条件下では、界面活性剤が油−水の界面を覆い、界面張力σを、より好ましくは<10−2mN/mの値(超低界面張力)にまで低下させている。最適結果を実現するためには、界面活性剤の規定された量に関すると、水−マイクロエマルション−油系におけるマイクロエマルションの割合を、当然ながら最大とすべきであり、これにより、一層低い界面張力が実現可能になるからである。
【0015】
このようにして、油滴の形態を改変することが可能であり(最も小さな界面状態がもはや有利ではなく、かつ球状形態がもはや好ましいものではない程、油と水との間の界面張力が低下している)、油滴は、水の圧入により毛管の開放口に強制的に流され得る。
【0016】
過剰量の界面活性剤の存在下で、油−水の界面がすべて界面活性剤により覆われると、ウィンザーIII型マイクロエマルションが形成される。したがって、これは、油相と水相との間の界面張力を非常に小さくする界面活性剤のレザーバーとなる。このウィンザーIII型マイクロエマルションは低粘度であるため、圧入法では、このマイクロエマルションは、多孔質の鉱床岩石も移動する。対照的に、エマルションは、多孔質マトリックスおよびブロック状鉱床中に懸濁したままであることがある。ウィンザーIII型マイクロエマルションが界面活性剤により未だ覆われていない油−水の界面に出会うと、このマイクロエマルションからの界面活性剤が、この新しい界面の界面張力を大きく低下させて、その油を流動化することができる(例えば、油滴の変形により)。
【0017】
次いで、これらの油滴は一緒になって、連続的な石油溜まりになることができる。これは2つの利点を有する:
第1に、連続的な油溜まりが、新たな多孔質岩石に侵入し、そこに存在する油滴がこの油溜まりと一緒になることができる。
【0018】
さらに、油滴と組み合わされて油溜まりとなると、油−水の界面を大きく低下させ、これにより、もはや界面活性剤を再度、放出させる必要がない。その後、放出された界面活性剤は、上記の通り、地層中に残留している油滴を流動化させることができる。
【0019】
したがって、ウィンザーIII型マイクロエマルション圧入法は、極めて効率的な方法であり、エマルション圧入法と比較して、かなり少ない界面活性剤しか必要としない。マイクロエマルション圧入法では、界面活性剤は、通常、任意に、共溶媒および/または塩基性塩と一緒(任意に、キレート剤の存在下で)に注入される。次いで、流動性制御のために、増粘性ポリマー溶液を注入する。さらなる変形は、増粘性ポリマー、および界面活性剤、共溶媒および/または塩基性塩(任意に、キレート剤と一緒に)からなる混合物の注入であり、次に、流動性制御のため、増粘性ポリマーの溶液を注入する。これらの溶液は、一般に、レザーバーの閉塞を防止するために、濁りがないべきである。
【0020】
使用パラメータ、例えば、互いに使用される界面活性剤のタイプ、濃度および混合比は、当業者により、所与の石油地層に見られる条件(例えば、温度および塩含有量)に調節される。
【0021】
先行技術
US4457373A1は、三次石油産出において、6〜20個の炭素原子を有するアルキルラジカルR、またはアルキルラジカル中の炭素原子の総数が3〜28個であるアルキル化芳香族ラジカルに基づく、R−(OCHCH−OCHCOOMタイプの陰イオン性界面活性剤の水−油エマルションを使用する方法を記載している。繰返し単位中、nは1〜30の数である。この界面活性剤は、対応するアルコキシレートと、クロロ酢酸ナトリウム塩および水酸化ナトリウムまたは水酸化ナトリウム水溶液との反応により製造される。カルボキシメチル化レベルは、10%〜100%(好ましくは、90〜100%)の範囲とすることができる。この実施例は、46〜85℃の温度において、塩水中の原油に対して、例えば、n=6を有するカルボキシメチル化ノニルフェノールエトキシレートナトリウム塩(カルボキシメチル化レベル80%)、またはR=C12C14およびn=4.5を有するカルボキシメチル化脂肪アルコールエトキシレートナトリウム塩(カルボキシメチル化レベル94%)を含む、水−油エマルションの使用しか示していない。使用された界面活性剤濃度(>5質量%)は、圧入試験では非常に高く、これは、≦55℃で行われた。ポリマー(多糖)が、圧入試験に使用された。
【0022】
US4485873A1は、三次石油産出において、4〜20個の炭素原子を有するアルキルラジカルR、またはアルキルラジカル中の炭素原子の総数が1〜28個であるアルキル化芳香族ラジカルに基づく、R−(OCHCH−OCHCOOMタイプの陰イオン性界面活性剤を使用する方法を記載している。繰返し単位中、nは1〜30の数である。この界面活性剤は、対応するアルコキシレートと、クロロ酢酸ナトリウム塩および水酸化ナトリウムまたは水酸化ナトリウム水溶液との反応により製造される。カルボキシメチル化レベルは、10%〜100%(好ましくは、50〜100%)の範囲とすることができる。この実施例は、37〜74℃の温度において、塩水中のモデル油に対して、例えば、n=5.5を有するカルボキシメチル化ノニルフェノールエトキシレートナトリウム塩(カルボキシメチル化レベル70%)、またはR=C12C14およびn=4.4を有するカルボキシメチル化脂肪アルコールエトキシレートナトリウム塩(カルボキシメチル化レベル65%)の使用しか示していない。使用された界面活性剤濃度(>5質量%)は、圧入試験では非常に高く、これは、≦60℃で行われた。圧入試験において使用されたポリマーは、ヒドロキシエチルセルロースであった。
【0023】
US4542790A1は、三次石油産出において、4〜20個の炭素原子を有するアルキルラジカルR、またはアルキルラジカル中の炭素原子の総数が1〜28個である、アルキル化芳香族ラジカルに基づく、R−(OCHCH−OCHCOOMタイプの陰イオン性界面活性剤を使用する方法を記載している。繰返し単位中、nは1〜30の数である。この界面活性剤は、対応するアルコキシレートと、クロロ酢酸ナトリウム塩および水酸化ナトリウムまたは水酸化ナトリウム水溶液との反応により製造される。カルボキシメチル化レベルは、10%〜100%の範囲とすることができる。この実施例は、46〜85℃の温度において、塩水中の低粘度原油(20℃において10mPas)に対して、例えば、n=5.3を有するカルボキシメチル化ノニルフェノールエトキシレートナトリウム塩(カルボキシメチル化レベル76%)、またはカルボキシメチル化C12C14脂肪アルコールエトキシレートナトリウム塩の使用を示している。使用された界面活性剤濃度(2質量%)は、圧入試験では比較的高く、これは、≦60℃で行われた。
【0024】
US4811788A1は、三次石油産出において、nが0または1の数である、アルキルラジカル2−ヘキシルデシル(C16ゲルベアルコールから誘導される)に基づく、R−(OCHCH−OCHCOOMを使用する方法を開示している。
【0025】
EP0207312B1は、三次石油産出において、より疎水性の界面活性剤とのブレンド中の、6〜20個の炭素原子を有するアルキルラジカルR、またはアルキルラジカル中の炭素原子の総数が5〜40個であるアルキル化芳香族ラジカルに基づく、R−(OCHC(CH)H)(OCHCH−OCHCOOMタイプの陰イオン性界面活性剤を使用する方法を記載している。繰返し単位中、mは1〜20の数であり、nは3〜100の数である。この界面活性剤は、対応するアルコキシレートと、クロロ酢酸ナトリウム塩および水酸化ナトリウムまたは水酸化ナトリウム水溶液との反応により製造される。カルボキシメチル化レベルは、10%〜100%の範囲とすることができる。この実施例は、20℃または90℃の温度の海水中のモデル油に対して、アルキルベンゼンスルホネートまたはアルカンスルホネートと一緒になった、m=3およびn=12であるカルボキシメチル化ジノニルフェノールブロックプロポキシエトキシレートナトリウム塩(カルボキシメチル化レベル75%)の使用を示している。コア圧入試験において、90℃での油の回収は、20℃よりも低い値となり、使用した界面活性剤濃度(4質量%)は、非常に高いものであった。
【0026】
WO2009/100298A1は、三次石油産出における、10〜24個の炭素原子および分岐レベル0.7〜2.5を有する分岐アルキルラジカルRに基づく、R−O−(CHC(CH)HO)(CHCHO)−XYタイプの陰イオン性界面活性剤を使用する方法を記載している。Yは、とりわけカルボン酸イオン基とすることができる。アルキルエーテルカルボン酸塩の実施例では、Rは、常に、16〜17個の炭素原子を有する分岐アルキルラジカルであり、Xは、常に、CH基である。繰返し単位に関すると、m=0およびn=9である実施例、ならびにm=7およびn=2である実施例、ならびにm=3.3およびn=6である実施例が詳述されている。この界面活性剤は、対応するアルコキシレートと、クロロ酢酸ナトリウム塩および水酸化ナトリウム水溶液との反応により製造される。カルボキシメチル化レベルは、m=7およびn=2である実施例の場合、93%として開示されている。この実施例において、アルキルエーテルカルボン酸塩は、原油に対して、72℃の海水中、唯一の界面活性剤(0.2質量%)として試験されている。到達した界面張力は、常に、0.1mN/mを超えた。
【0027】
WO09124922A1は、三次石油産出における、17個の炭素原子および分岐レベル2.8〜3.7を有する分岐飽和アルキルラジカルRに基づく、R−O−(CHC(R)HO)n’’(CHCHO)m’’−R−COOMタイプの陰イオン性界面活性剤を使用する方法を記載している。Rは、1〜10個の炭素原子を有する、ヒドロカルビルラジカルである。Rは、1〜12個の炭素原子を有する、二価のヒドロカルビルラジカルである。さらに、n”は0〜15の数であり、m”は1〜20の数である。これらの陰イオン性界面活性剤は、末端の−CHCHOH基の末端−CHCOM基への変換を伴う、対応するアルコキシレートの酸化によりとりわけ得ることができる。
【0028】
WO11110502A1は、三次石油産出における、16〜18個の炭素原子を有する、線状の飽和または不飽和アルキルラジカルRに基づく、R−O−(CHC(CH)HO)(CHCHO)−XYタイプの陰イオン性界面活性剤を使用する方法を記載している。Yは、とりわけカルボキシレート基とすることができ、Xは、とりわけ最大で10個の炭素原子を有する、アルキル基またはアルキレン基とすることができる。さらに、mは0〜99、好ましくは3〜20の数であり、nは0〜99の数である。これらの陰イオン性界面活性剤は、適切なアルコキシレートとクロロ酢酸ナトリウム塩との反応によって、とりわけ得ることができる。
【0029】
WO2012/027757A1は、三次石油産出における、R−O−(CHC(R)HO)(CH(R−COOMタイプの界面活性剤およびそれを使用する方法を特許請求している。Rは、それぞれ、8〜150個の炭素原子を有するアルキルラジカルまたは任意に置換されているシクロアルキルまたは任意に置換されているアリールラジカルを表す。RまたはRは、H、または1〜6個の炭素原子を有するアルキルラジカルとすることができる。値nは2〜210の数であり、zは1〜6の数である。唯一の実施例は、スルホネート含有界面活性剤(例えば、内部オレフィンスルホネートまたはアルキルベンゼンスルホネート)、およびRが24〜32個の炭素原子を有する分岐飽和アルキルラジカルであり、かつたった1つの分岐(2位において)しか有してないゲルベアルコールから誘導されるアルキルエーテルカルボン酸塩を少なくとも含む、界面活性剤混合物である。前記アルキルエーテルカルボン酸塩は、RがCHである、少なくとも25個の繰返し単位、およびRがHである、少なくとも10個の繰返し単位を有しており、その結果、nは少なくとも39より大きな数である。すべての実施例において、RはHであり、zは1の数である。この界面活性剤混合物は、少なくとも0.5質量%の界面活性剤を含有しており、原油に対して、30〜105℃の温度で試験されている。
【0030】
WO2013/159027A1は、三次石油産出における、R−O−(CHC(R)HO)−Xタイプの界面活性剤およびそれを使用する方法を特許請求している。Rは、それぞれ、8〜20個の炭素原子を有するアルキルラジカル、または任意に置換されているシクロアルキル、または任意に置換されているアリールラジカルを表す。Rは、HまたはCHとすることができる。nの値は、25〜115の数である。Xは、SOM、SOH、CHCOMまたはCHCOH(Mは陽イオンである)である。さらに、xが35〜50の数であり、yが5〜35の数である、R−O−(CHC(CH)HO)−(CHCHO)−Xのタイプの構造が開示されている。1つの実施例は、内部C19〜C28オレフィンスルホネートおよびフェニルジエチレングリコールとのブレンド中の、界面活性剤C1835−O−(CHC(CH)HO)45−(CHCHO)30−CHCOM(C1835は、オレイルである)である。この界面活性剤混合物は、少なくとも1.0質量%の界面活性剤を含有しており、原油に対して、塩基性メタホウ酸ナトリウムの存在下、100℃の温度および総塩分濃度32500ppmで試験されている。
【0031】
DE2418444A1は、20〜80℃において、アルコールまたはアルコールエトキシレートとクロロ酢酸ナトリウム塩および水酸化ナトリウムまたは水酸化ナトリウム溶液とを反応させ、次いで90℃で硫酸を添加して相分離させることによる、アルキルエーテルカルボン酸の製造を開示している。
【0032】
EP0106018A1は、70〜95℃において、および減圧下、アルコール、アルキルエトキシレートまたはアルキルフェノールエトキシレートとクロロ酢酸および水酸化ナトリウム溶液(クロロ酢酸に対して2倍のモル数)との反応による、カルボキシメチル化アルコール、アルキルエトキシレートまたはアルキルフェノールエトキシレートの製造を開示しているが、但し、この反応混合物中に0.3%〜1.25%の水が存在する条件としている。
【0033】
US2010/0081716A1は、カルボキシメチル化アルキルアルコキシレートの製造を開示している。これは、アルコールの塩基触媒アルコキシ化、ヒドロキシカルボン酸またはジカルボン酸またはトリカルボン酸による中和、次に、クロロ酢酸またはクロロ酢酸塩およびアルカリ金属水酸化物との反応が含まれる。
【0034】
US8304575B2は、カルボキシメチル化アルキルアルコキシレートの製造を開示している。これは、アルコールの塩基触媒アルコキシ化、ヒドロキシカルボン酸またはジカルボン酸またはトリカルボン酸による中和、次に、50〜100℃、および0.0067〜266mbarの減圧下での、クロロ酢酸またはクロロ酢酸塩の水溶液とアルカリ金属水酸化物水溶液の同時添加による変換を含む。
【0035】
EP1061064B1は、残留しているアルコール含有量が少ないエーテルカルボン酸を製造する方法を記載している。
【0036】
S.Chenら、Int.J.OilおよびCoal Technology、7巻、1号、2014年、52〜66頁は、<30℃という非常に低温での、アルカリ−界面活性剤ポリマー圧入法のための、アルコールエーテルカルボキシレートの合成および適性を記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0037】
【特許文献1】US4457373A1
【特許文献2】US4485873A1
【特許文献3】US4542790A1
【特許文献4】US4811788A1
【特許文献5】EP0207312B1
【特許文献6】WO2009/100298A1
【特許文献7】WO09124922A1
【特許文献8】WO11110502A1
【特許文献9】WO2012/027757A1
【特許文献10】WO2013/159027A1
【特許文献11】DE2418444A1
【特許文献12】EP0106018A1
【特許文献13】US2010/0081716A1
【特許文献14】US8304575B2
【特許文献15】EP1061064B1
【非特許文献】
【0038】
【非特許文献1】D.G.Kessel、Journal of Petroleum Science and Engineering、2巻(1989年)81〜101頁
【非特許文献2】「Petroleum,Enhanced Oil Recovery,Kirk−Othmer、Encyclopedia of Chemical Technology,Online Edition、John Wiley&Sons、2010年」
【非特許文献3】Taylor,K.C.およびNasr−El−Din,H.A.による総説である、J.Petr.Sci.Eng.1998年、19巻、265〜280頁
【非特許文献4】C.Melrose、C.F.Brandner、J.Canadian Petr.Techn.58巻、1974年10月〜12月
【非特許文献5】S.Chenら、Int.J.OilおよびCoal Technology、7巻、1号、2014年、52〜66頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0039】
以下の特性を有する、界面活性剤または界面活性剤配合物により、55℃〜150℃の鉱床温度を有する鉱床塩水を有する鉱床から、より多量の石油を回収することが必要とされている:
− 加水分解安定性、
− 塩耐性(多数の一価イオンだけではなく、多価陽イオンの存在下でさえも、水溶性であること:例えば、Ca2+および/またはMg2+などの二価陽イオンを100ppm超で有する塩水)、
− 持続性の観点から、費用および物質の使用量を低く保つため、使用濃度が低いこと(<0.5質量%)、
− 多孔質地層への簡単な注入(貯槽温度において、濁りのない溶液中への実質的に完全な溶解)
− たった1種の界面活性剤(または、数種の態様、例えばアルコシキ化レベルのわずかな差異しか違いのない、2種の非常に類似した界面活性剤)しか使用しない場合でさえも、原油に関して、鉱床温度において界面張力が低いこと(<0.1mM/m、より好ましくは、<0.01mN/m)。油−水の界面が温度の上昇に伴って、振れが生じ(ブラウン分子運動による偏位)、かつその結果、サイズが上昇するので、上記のことは困難であることが見出されている。界面を適度に覆い、それにもかかわらず、界面活性剤を低い値(<0.1mN/m)に低下させるために、有効な界面活性剤が必要とされている。
− 岩石表面において吸着が少ないこと、
− 一部の場合、多価陽イオン(沈殿をもたらし、それ故に、アルカリが失われる)または空隙の存在によりアルカリの使用は不可能であり、こうしてスケールの形成のために鉱床が閉塞するので、塩基を含まない配合物であること、
− 界面活性剤の費用を低くするため、簡単な産出法であること、
− 少なくとも20℃(これは、現場において濃縮物の溶融または一定の加熱をする必要性がなくなると思われる)において液体となることができ、かつ好ましくは、40℃および200Hzにおいて<1500mPasの粘度(これは簡単なポンピングを可能にするであろう)および活性物含有量(active content)を多く有するべきである、界面活性剤濃縮物としての供給形態であること(このことは、輸送費用および輸送に起因するエネルギー消費を低く維持すると思われる。水および特定の共溶媒を加えると濃縮物の融点および粘度が低下するが、やはり輸送しなければならず、これはエネルギーを消費する。さらに、比較的大きな保管容器が現場で必要になると思われ、これは、インフラ設備の費用を向上させるか、または貴重な空間を占有するので、沖合での適用範囲での実現可能性が非常に乏しい)、
− 環境的にいかなる有害な特性(アルキルフェノールエトキシレートまたはその分解生成物は、内分泌かく乱物質として作用する恐れがあることが知られている。それらが他の界面活性剤の構造のための原料として使用される場合、それらは完全に変換されたことを確実にしなければならない)も有するべきではない。
【0040】
本文脈において、特に、55℃≧の温度において、<0.1mN/m、とりわけ<0.01mN/mという低い界面張力を達成することは困難である(とりわけ、そうでないとスケールを形成する恐れがあるので、水の硬度のために、アルカリ金属水酸化物または炭酸ナトリウムなどの塩基を使用することが不可能な場合)。
【0041】
界面活性剤中の頭基に関すると、オレフィンスルホネート、パラフィンスルホネートまたはアルキルアリールスルホネートは、上で概説した条件下では、加水分解に安定であるが、個々の界面活性剤として、塩への耐性はほとんど、またはまったくない。したがって、内部C20C24オレフィンスルホネートは、例えば、塩含有量10%、および2000ppmの二価陽イオン、および最大150℃の温度である地層水において単独で不溶性になると思われる。
【0042】
約10〜11の塩基性pHが維持されない限り、55℃を超えると、アルキルエーテルスルフェートは加水分解に安定ではない。しかし、水の硬度のために、アルカリを使用することができないか、または貯蔵岩は塩基と反応し、その結果、中性pHの値の方向にpHが変化するので、上記のことは、多くの場合、実現不可能である。
【0043】
アルキルエーテルスルホネートは、加水分解安定性と塩耐性を併せ持つことが多いが、その製造は複雑であり(多段階合成、または取り扱いが困難な試薬の使用)、それは、通常、非常に高価である。
【0044】
代替手法は、カルボキシメチル化アルキルアルコキシレートのクラスを使用することであり、これは、アルキルアルコキシレートと例えば、クロロ酢酸ナトリウム塩との反応によって得ることができる。それらは、加水分解に安定であり、塩に耐性となり得る。しかし、従来技術に記載されている混合物は、界面活性剤の使用濃度を高くする必要があるか、または、環境に有害な原料(アルキルフェノールアルコキシレート)に基づいているか、または非常に低い界面張力を達成するために、他の化学的に異なる界面活性剤(すなわち、アルキルエーテルカルボキシレートの場合、出発原料として働かない界面活性剤:例えば、アルキルベンゼンスルホネートまたはオレフィンスルホネートなどの有機スルホネート)と組み合わせて使用しなければならない。
【0045】
この圧入法は、工業規模の方法である。使用される化学品は、通常、希釈溶液としてしか使用されないが、1日あたり注入される分量は多く、この注入は、通常、数カ月から最大数年にわたって継続される。平均的な油田に対する化学的要求量は、1年あたり5000〜10000tのポリマーとなる可能性がかなり高い。したがって、経済的に実現可能な方法であるためには、非常に高い効率、すなわち体積あたりの効率がかなり重要である。効率がわずかに改善されただけで、経済的な実現性に大幅な改善をもたらすことができる。その結果、低い濃度の界面活性剤を使用して、油と水との間の界面張力を<0.1mN/mまで低下させることが望ましい(すべての界面活性剤の総量は、理想的には、注入される界面活性剤含有水溶液が<0.5質量%を占めるべきである)。注入された界面活性剤含有水溶液は、注入される界面活性剤スラグと呼ばれるものを意味することが理解される。この界面活性剤スラグは、空隙体積の一部を満たし、界面活性剤のみならず、任意にさらなる添加物、例えば増粘性ポリマーを含むことがある。空隙体積の所望の部分は、例えば、2%〜60%の間、好ましくは3%〜25%の間とすることができる。
【0046】
したがって、カルボキシメチル化アルキルアルコキシレートおよびその出発原料を含む、界面活性剤混合物であって、上記の条件下での石油産出において、従来技術において詳述されている欠点の少なくとも一部を有しておらず、かつ/または上述の特性の最大数を満たす、界面活性剤混合物が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0047】
したがって、上記の目的を達成するために、この需要は、驚くべきことに、地中の石油鉱床から(場合によって、ウィンザーIII型マイクロエマルション圧入法により)石油を産出するための方法によって満たされることが見出され、鉱床温度において、油と水との間の界面張力を<0.1mN/mまで低下させるため、界面活性剤混合物を含む塩水界面活性剤配合物が少なくとも1つの注入井を介して、石油鉱床に注入され、原油が少なくとも1つの採掘井を介して該鉱床から採掘され、
a)石油鉱床は、55℃〜150℃の鉱床温度、20°を超えるAPIを有する原油、および100ppmを超える二価陽イオンを有する鉱床水を有しており、
b)界面活性剤混合物は、少なくとも1つの一般式(I)の陰イオン性界面活性剤(A)
−O−(CHC(R)HO)−(CHC(CH)HO)−(CHCHO)−CHCOM (I)
および少なくとも1つの一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)
−O−(CHC(R)HO)−(CHC(CH)HO)−(CHCHO)−H (II)
を含み、
注入時の界面活性剤混合物には、51:49〜92:8となる陰イオン性界面活性剤(A)と非イオン性界面活性剤(B)とのモル比が存在しており、非イオン性界面活性剤(B)は、陰イオン性界面活性剤(A)の出発原料として働き、
式中、
は、10〜36個の炭素原子を有する、線状もしくは分岐状の飽和または不飽和一級脂肪族ヒドロカルビルラジカルであり、
は、2〜14個の炭素原子を有する、線状飽和脂肪族ヒドロカルビルラジカルであり、
Mは、H、Na、KまたはNHであり、
xは、0〜10の数であり、
yは、0〜50の数であり、
zは、1〜35の数であり、
x+y+zの合計は、3〜80の数であり、x+y+zのアルコキシレート基は、ランダム分布、交互またはブロックで配列されることができ、
c)一緒にした界面活性剤すべての濃度は、塩水界面活性剤配合物の総量に対して、0.05質量%〜0.49質量%である。
【0048】
塩水界面活性剤配合物は、塩水に溶解されている界面活性剤混合物(例えば、注入操作中)を意味するものと理解される。塩水は、とりわけ、川水、海水、鉱床に近い帯水層からの水、いわゆる注入水、鉱床水、いわゆる再度、再注入される生産水、または上記の水の混合物とすることができる。しかし、塩水はまた、より多量の塩水から、例えば、部分脱塩、多価陽イオンの除去、または淡水もしくは飲料水による希釈によって得られたものであってもよい。界面活性剤混合物は、製造の結果として、塩をやはり含んでもよい濃縮物として好ましくは供給され得る。これは、以下に続く、段落中でさらに詳述される。
【0049】
本発明の文脈では、アルキルエーテルアルコールは、アルコールとアルキレンオキシドとの反応から生じる、アルキルアルコキシレートまたはポリエーテル、すなわちR−O−(CHC(R)HO)−(CHC(CH)HO)−(CHCHO)−Hのタイプの化合物を意味することが理解される。これらの非イオン性化合物は、アルキルエーテルアルコールまたはアルケニルエーテルアルコールであってもよい。この化合物は、好ましくはアルキルエーテルアルコールであるので、それらを、これ以降、単にアルキルエーテルアルコールと呼ぶ。この状況は、アルキルエーテルカルボキシレートである、R−O−(CHC(R)HO)−(CHC(CH)HO)−(CHCHO)−CHCOMの基に関しても同様である。これらは、アルケニルエーテルカルボキシレート、または好ましくはアルキルエーテルカルボキシレートである。アルキルエーテルカルボキシレート/アルキルエーテルアルコール混合物は、クロロ酢酸塩またはクロロ酢酸を使用し、各場合において、アルカリ金属水酸化物の存在下で、対応するアルキルアルコキシレートのカルボキシメチル化によって、好ましくは製造される。
【0050】
したがって、本発明の文脈における用語「出発原料」は、界面活性剤混合物中の式(I)の界面活性剤のそれぞれに関して、可変基R、R、x、y、zが同じ定義を有する、式(II)の界面活性剤であることを意味する。これは、式(I)の生成物を製造するための反応剤として働く式(II)の界面活性剤により有利にも実現することができる。したがって、石油を産出するための本発明の方法はまた、界面活性剤混合物の本発明の製造のための、上流となる方法工程も好ましくは含む。
【0051】
したがって、本発明は、石油を産出する方法であって、一般式(I)の陰イオン性界面活性剤(A)と、一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)との界面活性剤混合物は、下記の反応条件の少なくとも1つによって得られる、方法にも関する。
【0052】
・一般式(I)の陰イオン性界面活性剤(A)は、アルカリ金属水酸化物または水性アルカリ金属水酸化物の存在下、好ましくは撹拌しながら、カルボキシメチル化中、減圧を適用することにより、かつ/または窒素を通気することにより、反応器中の水分含有量を0.2%〜1.7%の値に維持するよう、反応の水を除去しながら、一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)とクロロ酢酸またはクロロ酢酸ナトリウム塩とを反応させることにより、反応器中で製造される、
・カルボキシメチル化において、アルカリ金属水酸化物として水性NaOH(好ましくは、40〜80%強度)、および水性クロロ酢酸(好ましくは、75〜85%強度)が、クロロ酢酸に対してNaOHを2当量:1当量〜2.2当量:1当量の比で用いて使用され、
非イオン性界面活性剤(B)は、KOHまたはNaOHまたはCsOHを使用する塩基触媒アルコキシ化(アルコキシ化触媒として、好ましくは、<5mol%の塩基)、または複合金属シアン化物触媒を使用するアルコキシ化のどちらかにより製造され、アルコキシ化触媒は、中和されておらず、アルコキシ化が終了した後、除去されず、
一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)は、カルボキシメチル化において反応器に一緒に最初に投入され、水酸化ナトリウムおよびクロロ酢酸が、1〜7時間の期間をかけて、60〜110℃の温度で並行して計量して入れられ、全期間にわたるこの計量添加が、連続的に、または1時間毎に等分量で行われ、一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)とクロロ酢酸との化学量論比が、1当量:1当量〜1当量:1.9当量(好ましくは1当量:1当量〜1当量:1.5当量)であり、
反応器中の水分含有量は、カルボキシメチル化中、減圧を適用することにより、かつ/または窒素を通気することにより、0.2%〜1.7%の平均値で主に維持される、ならびに/または
・カルボキシメチル化において、アルカリ金属水酸化物としてNaOH、およびクロロ酢酸ナトリウム塩が、クロロ酢酸ナトリウム塩に対してNaOHを1当量:1当量〜1当量:1.9当量の比で用いて使用され、
非イオン性界面活性剤(B)は、KOHまたはNaOHまたはCsOHを使用する塩基触媒アルコキシ化(アルコキシ化触媒として、好ましくは<5mol%の塩基)により製造され、好ましくは、カルボキシメチル化において非中和形態で使用され、
一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)は、カルボキシメチル化中、NaOHまたは水性NaOH(好ましくは40〜80%強度)と一緒に最初に投入され、一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)とNaOHとの化学量論比は、1当量:1当量〜1当量:1.5当量(好ましくは1当量:1当量〜1当量:1.35当量)であり、60〜110℃の温度に設定され、一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)は、60〜110℃の温度で、減圧を適用することによりかつ/または窒素を通すことにより、対応するナトリウム塩R−O−(CHC(R)HO)−(CHC(CH)HO)−(CHCHO)−Naに変換され、クロロ酢酸ナトリウム塩は、一度にまたは好ましくは4〜12時間の期間をかけて、計量して入れられ、一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)とクロロ酢酸ナトリウム塩との化学量論比は、1当量:1当量〜1当量:1.9当量(好ましくは1当量:1当量〜1当量:1.5当量)であり、全期間にわたる計量添加が、連続して、または1時間毎に等分量で行われ、
反応器中の水分含有量は、カルボキシメチル化中、減圧を適用することにより、かつ/または窒素を通気することにより、0.2%〜1.7%の値に維持される、
・カルボキシメチル化において、アルカリ金属水酸化物として固体NaOH、およびクロロ酢酸ナトリウム塩が、クロロ酢酸ナトリウム塩に対してNaOHを1当量:1当量〜1.1当量:1当量の比で用いて使用され、
非イオン性界面活性剤(B)は、KOHまたはNaOHまたはCsOHを使用する塩基触媒アルコキシ化により製造され、次に、酢酸により中和され、カルボキシメチル化において、最初に0.5〜1.5%の水と一緒に用いられ、
クロロ酢酸ナトリウム塩および一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)は、カルボキシメチル化において、反応器中、一緒に最初に投入され、一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)とクロロ酢酸ナトリウム塩との化学量論比は、1当量:1当量〜1当量:1.9当量(好ましくは1当量:1当量〜1当量:1.5当量)であり、水酸化ナトリウムは、4〜12時間の期間をかけて、20〜70℃の温度で計量して入れられ、計量添加は、全期間にわたり連続して、または1時間毎に等分量で行われ、
反応器中の水分含有量は、カルボキシメチル化中、減圧を適用することにより、かつ/または窒素を通気することにより、0.2%〜1.7%の値に維持される、
・カルボキシメチル化において、アルカリ金属水酸化物として固体NaOHおよびクロロ酢酸ナトリウム塩が、NaOH、または塩基性アルコキシレートの場合、NaOHおよびR−O−(CHC(R)HO)−(CHC(CH)HO)−(CHCHO)−Kの合計、またはNaOHおよびR−O−(CHC(R)HO)−(CHC(CH)HO)−(CHCHO)−Naの塩基性アルコキシレートの場合の合計、または塩基性アルコキシレートの場合、NaOHおよびR−O−(CHC(R)HO)−(CHC(CH)HO)−(CHCHO)−Csの合計を、クロロ酢酸ナトリウム塩に対して、1.1当量:1当量〜1当量:1.5当量(好ましくは、1当量:1当量〜1.1当量:1当量)の比で用いて使用され、一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B):NaOHの比は、1当量:1当量〜1当量:1.5当量であり、
非イオン性界面活性剤(B)は、KOHまたはNaOHまたはCsOH、またはNaOHおよびKOHの混合物を使用する塩基触媒アルコキシ化により製造され、カルボキシメチル化において、中和形態およびろ過済み(すなわち、塩不含)形態、または中和されていない、塩基性アルコキシレート(好ましくは、アルコキシ化触媒として<5mol%の塩基)の形態のいずれかで使用され、
カルボキシメチル化において、クロロ酢酸ナトリウム塩および一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)は、反応器中で一緒に最初に投入され、一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)とクロロ酢酸ナトリウム塩との化学量論比は、1当量:1当量〜1当量:1.9当量(好ましくは1当量:1当量〜1当量:1.5当量、より好ましくは、1当量:1当量〜1当量:1.35当量)であり、水酸化ナトリウムは、4〜12時間の期間をかけて、20〜70℃の温度で計量して入れられ、計量添加が、全期間にわたり連続して、または1時間毎に等分量で行われ、
反応器中の水分含有量は、カルボキシメチル化中、減圧を適用することにより、かつ/または窒素を通気することにより、0.2%〜1.7%の値に維持される、
・カルボキシメチル化において、アルカリ金属水酸化物として固体NaOH、およびクロロ酢酸ナトリウム塩が、クロロ酢酸ナトリウム塩に対してNaOHを1当量:1当量〜1.1当量:1当量の比で用いて使用され、
非イオン性界面活性剤(B)は、複合金属シアン化物触媒作用を使用する、アルコキシ化によって製造され、
カルボキシメチル化において、クロロ酢酸ナトリウム塩および一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)は、反応器中で一緒に最初に投入され、一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)とクロロ酢酸ナトリウム塩との化学量論比は、1当量:1当量〜1当量:1.9当量(好ましくは1当量:1当量〜1当量:1.5当量)であり、水酸化ナトリウムは、4〜12時間の期間をかけて、20〜70℃の温度で計量して入れられ、計量添加は、全期間にわたり連続して、または1時間毎に等分量で行われ、
反応器中の水分含有量は、カルボキシメチル化中、減圧を適用することにより、かつ/または窒素を通気することにより、0.2%〜1.7%の値に維持される。
【0053】
本発明のさらなる態様は、一般式(I)の陰イオン性界面活性剤(A)および一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)からなる濃縮物であって、該濃縮物の総量に対して、界面活性剤混合物を20質量%〜70質量%、水を10質量%〜40質量%、および共溶媒を10質量%〜40質量%含み、好ましくは、
a)共溶媒は、3〜8個の炭素原子を有する脂肪族アルコールから、またはアルキルモノエチレングリコール、アルキルジエチレングリコールもしくはアルキルトリエチレングリコールからなる群から選択され、アルキルラジカルは、3〜6個の炭素原子を有する脂肪族ヒドロカルビルラジカルであり、
かつ/または
b)濃縮物は、20℃において自由流動性であり、40℃、200Hzにおいて<1500mPasの粘度を有しており、濃縮物中、陰イオン性界面活性剤(A)と非イオン性界面活性剤(B)とのモル比が、51:49〜92:8、好ましくは70:30〜92:8で存在する、
濃縮物に関する。
【0054】
本濃縮物は、例えば、アルキルエーテルカルボキシレート/アルキルアルコキシレート混合物ばかりでなく、アルカリ金属塩化物および二グリコール酸二アルカリ金属塩も含むことができる。任意に、本濃縮物は、クロロ酢酸アルカリ金属塩、グリコール酸アルカリ金属塩、水および/または共溶媒も含む。共溶媒は、例えば、ブチルエチレングリコール、ブチルジエチレングリコールまたはブチルトリエチレングリコールである。
【0055】
本濃縮物は、NaClおよび二グリコール酸二ナトリウム塩を0.5質量〜15質量%含む混合物を好ましくは含んでおり、NaClは、二グリコール酸二ナトリウム塩に対して過剰に存在する。
【0056】
さらに好ましくは、本濃縮物は、共溶媒としてブチルジエチレングリコールを含む。
【0057】
本発明のさらなる態様は、界面活性剤混合物を生成する方法に関する。
【0058】
したがって、本発明はまた、これ以降に記載されている、一般式(I)の陰イオン性界面活性剤(A)および一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)からなる界面活性剤混合物を生成する方法であって、反応の終了時に、界面活性剤混合物中に、陰イオン性界面活性剤(A)と非イオン性界面活性剤(B)とのモル比が、51:49〜92:8(好ましくは、70:30〜92:8)で存在する、方法にも関する。
【0059】
より特には、この生成は、以下の通り行うことができる:
・一般式(I)の陰イオン性界面活性剤(A)は、アルカリ金属水酸化物または水性アルカリ金属水酸化物の存在下、好ましくは撹拌しながら、カルボキシメチル化中、減圧を適用することにより、かつ/または窒素を通気することにより、反応器中の水分含有量を0.2%〜1.7%の値に維持するよう、反応の水を除去しながら、一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)とクロロ酢酸またはクロロ酢酸ナトリウム塩とを反応させることにより、製造される、ならびに/または
・カルボキシメチル化において、アルカリ金属水酸化物として水性NaOH(好ましくは、40〜80%強度)、および水性クロロ酢酸(好ましくは、75〜85%強度)が、クロロ酢酸に対してNaOHを2当量:1当量〜2.2当量:1当量の比で用いて使用され、
非イオン性界面活性剤(B)は、KOHまたはNaOHまたはCsOHを使用する塩基触媒アルコキシ化(アルコキシ化触媒として、好ましくは、<5mol%の塩基)、または複合金属シアン化物触媒を使用するアルコキシ化のどちらかにより製造され、アルコキシ化触媒は、中和されておらず、アルコキシ化が終了した後、除去されず、
一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)は、カルボキシメチル化において反応器に一緒に最初に投入され、水酸化ナトリウムおよびクロロ酢酸は、1〜7時間の期間をかけて、60〜110℃の温度で並行して計量して入れられ、全期間にわたるこの計量添加は、連続的に、または1時間毎に等分量で行われ、一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)とクロロ酢酸との化学量論比は、1当量:1当量〜1当量:1.9当量(好ましくは1当量:1当量〜1当量:1.5当量)であり、
反応器中の水分含有量は、カルボキシメチル化中、減圧を適用することにより、かつ/または窒素を通気することにより、0.2%〜1.7%の平均値で主に維持される、ならびに/または
・カルボキシメチル化において、アルカリ金属水酸化物としてNaOH、およびクロロ酢酸ナトリウム塩が、クロロ酢酸ナトリウム塩に対してNaOHを1当量:1当量〜1当量:1.9当量の比で用いて使用され、
非イオン性界面活性剤(B)は、KOHまたはNaOHまたはCsOHを使用する塩基触媒アルコキシ化(アルコキシ化触媒として、好ましくは<5mol%の塩基)により製造され、好ましくは、カルボキシメチル化において非中和形態で使用され、
一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)は、カルボキシメチル化中、NaOHまたは水性NaOH(好ましくは40〜80%強度)と一緒に最初に投入され、一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)とNaOHとの化学量論比は、1当量:1当量〜1当量:1.5当量(好ましくは1当量:1当量〜1当量:1.35当量)であり、60〜110℃の温度に設定され、一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)は、60〜110℃の温度で、減圧を適用することによりかつ/または窒素を通すことにより、対応するナトリウム塩R−O−(CHC(R)HO)−(CHC(CH)HO)−(CHCHO)−Naに変換され、クロロ酢酸ナトリウム塩は、一度にまたは好ましくは4〜12時間の期間をかけて、計量して入れられ、一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)とクロロ酢酸ナトリウム塩との化学量論比は、1当量:1当量〜1当量:1.9当量(好ましくは1当量:1当量〜1当量:1.5当量)であり、全期間にわたる計量添加は、連続して、または1時間毎に等分量で行われ、
反応器中の水分含有量は、カルボキシメチル化中、減圧を適用することにより、かつ/または窒素を通気することにより、0.2%〜1.7%の値に維持される、ならびに/または
・カルボキシメチル化において、アルカリ金属水酸化物として固体NaOH、およびクロロ酢酸ナトリウム塩が、クロロ酢酸ナトリウム塩に対してNaOHを1当量:1当量〜1.1当量:1当量の比で用いて使用され、
非イオン性界面活性剤(B)は、KOHまたはNaOHまたはCsOHを使用する塩基触媒アルコキシ化により製造され、次に、酢酸により中和され、カルボキシメチル化において、最初に0.5〜1.5%の水と一緒に用いられ、
クロロ酢酸ナトリウム塩および一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)は、カルボキシメチル化において、反応器中、一緒に最初に投入され、一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)とクロロ酢酸ナトリウム塩との化学量論比は、1当量:1当量〜1当量:1.9当量(好ましくは1当量:1当量〜1当量:1.5当量)であり、水酸化ナトリウムは、4〜12時間の期間をかけて、20〜70℃の温度で計量して入れられ、計量添加は、全期間にわたり連続して、または1時間毎に等分量で行われ、
反応器中の水分含有量は、カルボキシメチル化中、減圧を適用することにより、かつ/または窒素を通気することにより、0.2%〜1.7%の値に維持される、ならびに/または
・カルボキシメチル化において、アルカリ金属水酸化物として固体NaOHおよびクロロ酢酸ナトリウム塩が、NaOH、または塩基性アルコキシレートの場合、NaOHおよびR−O−(CHC(R)HO)−(CHC(CH)HO)−(CHCHO)−Kの合計、またはNaOHおよびR−O−(CHC(R)HO)−(CHC(CH)HO)−(CHCHO)−Naの塩基性アルコキシレートの場合の合計、または塩基性アルコキシレートの場合、NaOHおよびR−O−(CHC(R)HO)−(CHC(CH)HO)−(CHCHO)−Csの合計を、クロロ酢酸ナトリウム塩に対して、1.1当量:1当量〜1当量:1.5当量(好ましくは、1当量:1当量〜1.1当量:1当量)の比で用いて使用され、一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B):NaOHの比は、1当量:1当量〜1当量:1.5当量であり、
非イオン性界面活性剤(B)は、KOHまたはNaOHまたはCsOH、またはNaOHおよびKOHの混合物を使用する塩基触媒アルコキシ化により製造され、カルボキシメチル化において、中和形態およびろ過済み(すなわち、塩不含)形態、または中和されていない、塩基性アルコキシレート(好ましくは、アルコキシ化触媒として<5mol%の塩基)の形態のいずれかで使用され、
カルボキシメチル化において、クロロ酢酸ナトリウム塩および一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)は、反応器中で一緒に最初に投入され、一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)とクロロ酢酸ナトリウム塩との化学量論比は、1当量:1当量〜1当量:1.9当量(好ましくは1当量:1当量〜1当量:1.5当量、より好ましくは、1当量:1当量〜1当量:1.35当量)であり、水酸化ナトリウムは、4〜12時間の期間をかけて、20〜70℃の温度で計量して入れられ、計量添加が、全期間にわたり連続して、または1時間毎に等分量で行われ、
反応器中の水分含有量は、カルボキシメチル化中、減圧を適用することにより、かつ/または窒素を通気することにより、0.2%〜1.7%の値に維持される、ならびに/または
・カルボキシメチル化において、アルカリ金属水酸化物として固体NaOH、およびクロロ酢酸ナトリウム塩が、クロロ酢酸ナトリウム塩に対してNaOHを1当量:1当量〜1.1当量:1当量の比で用いて使用され、
非イオン性界面活性剤(B)は、複合金属シアン化物触媒作用を使用する、アルコキシ化によって製造され、
カルボキシメチル化において、クロロ酢酸ナトリウム塩および一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)は、反応器中で一緒に最初に投入され、一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)とクロロ酢酸ナトリウム塩との化学量論比は、1当量:1当量〜1当量:1.9当量(好ましくは1当量:1当量〜1当量:1.5当量)であり、水酸化ナトリウムは、4〜12時間の期間をかけて、20〜70℃の温度で計量して入れられ、計量添加は、全期間にわたり連続して、または1時間毎に等分量で行われ、
反応器中の水分含有量は、カルボキシメチル化中、減圧を適用することにより、かつ/または窒素を通気することにより、0.2%〜1.7%の値に維持される。
【0060】
したがって、本発明のさらなる態様は、少なくとも1つの一般式(I)の陰イオン性界面活性剤(A)
−O−(CHC(R)HO)−(CHC(CH)HO)−(CHCHO)−CHCOM (I)
および少なくとも1つの一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)
−O−(CHC(R)HO)−(CHC(CH)HO)−(CHCHO)−H (II)
を含む、カルボキシメチル化による界面活性剤混合物を生成する方法であって、
注入時の界面活性剤混合物には、51:49〜92:8(好ましくは60:40〜92:8、より好ましくは70:30〜92:8、より好ましくは70:30〜89:11)となる陰イオン性界面活性剤(A)と非イオン性界面活性剤(B)とのモル比が存在しており、非イオン性界面活性剤(B)は、陰イオン性界面活性剤(A)の出発原料として働き、
は、10〜36個の炭素原子を有する、線状もしくは分岐状の飽和または不飽和一級脂肪族ヒドロカルビルラジカルであり
は、2〜14個の炭素原子を有する、線状飽和脂肪族ヒドロカルビルラジカルであり、
Mは、H、Na、KまたはNHであり、
xは、0〜10の数であり、
yは、0〜50の数であり、
zは、1〜35の数であり、
x+y+zの合計は、3〜80の数であり、x+y+zのアルコキシレート基は、ランダム分布、交互またはブロックで配列されることができ、
が、10〜36個の炭素原子を有する、線状の飽和または不飽和な一級脂肪族ヒドロカルビルラジカルである場合、x+yの合計は>0の数であり、以下の反応条件の少なくとも1つ:
・一般式(I)の陰イオン性界面活性剤(A)は、アルカリ金属水酸化物または水性アルカリ金属水酸化物の存在下、好ましくは撹拌しながら、カルボキシメチル化中、減圧を適用することにより、かつ/または窒素を通気することにより、反応器中の水分含有量を0.2%〜1.7%の値に維持するよう、反応の水を除去しながら、一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)とクロロ酢酸またはクロロ酢酸ナトリウム塩とを反応させることにより、反応器中で製造される、
・カルボキシメチル化において、アルカリ金属水酸化物として水性NaOH(好ましくは、40〜80%強度)、および水性クロロ酢酸(好ましくは、75〜85%強度)が、クロロ酢酸に対してNaOHを2当量:1当量〜2.2当量:1当量の比で用いて使用され、
非イオン性界面活性剤(B)は、KOHまたはNaOHまたはCsOHを使用する塩基触媒アルコキシ化(アルコキシ化触媒として、好ましくは、<5mol%の塩基)、または複合金属シアン化物触媒を使用するアルコキシ化のどちらかにより製造され、アルコキシ化触媒は、中和されておらず、アルコキシ化が終了した後、除去されず、
一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)は、カルボキシメチル化において反応器に一緒に最初に投入され、水酸化ナトリウムおよびクロロ酢酸は、1〜7時間の期間をかけて、60〜110℃の温度で並行して計量して入れられ、全期間にわたるこの計量添加は、連続的に、または1時間毎に等分量で行われ、一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)とクロロ酢酸との化学量論比は、1当量:1当量〜1当量:1.9当量(好ましくは1当量:1当量〜1当量:1.5当量)であり、
反応器中の水分含有量は、カルボキシメチル化中、減圧を適用することにより、かつ/または窒素を通気することにより、0.2%〜1.7%の平均値で主に維持される、
・カルボキシメチル化において、アルカリ金属水酸化物としてNaOH、およびクロロ酢酸ナトリウム塩が、クロロ酢酸ナトリウム塩に対してNaOHを1当量:1当量〜1当量:1.9当量の比で用いて使用され、
非イオン性界面活性剤(B)は、KOHまたはNaOHまたはCsOHを使用する塩基触媒アルコキシ化(アルコキシ化触媒として、好ましくは<5mol%の塩基)により製造され、好ましくは、カルボキシメチル化において非中和形態で使用され、
一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)は、カルボキシメチル化中、NaOHまたは水性NaOH(好ましくは40〜80%強度)と一緒に最初に投入され、一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)とNaOHとの化学量論比は、1当量:1当量〜1当量:1.5当量(好ましくは1当量:1当量〜1当量:1.35当量)であり、60〜110℃の温度に設定され、一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)は、60〜110℃の温度で、減圧を適用することによりかつ/または窒素を通すことにより、対応するナトリウム塩R−O−(CHC(R)HO)−(CHC(CH)HO)−(CHCHO)−Naに変換され、クロロ酢酸ナトリウム塩は、一度にまたは好ましくは4〜12時間の期間をかけて、計量して入れられ、一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)とクロロ酢酸ナトリウム塩との化学量論比は、1当量:1当量〜1当量:1.9当量(好ましくは1当量:1当量〜1当量:1.5当量)であり、全期間にわたる計量添加が、連続して、または1時間毎に等分量で行われ、
反応器中の水分含有量は、カルボキシメチル化中、減圧を適用することにより、かつ/または窒素を通気することにより、0.2%〜1.7%の値に維持される、
・カルボキシメチル化において、アルカリ金属水酸化物として固体NaOH、およびクロロ酢酸ナトリウム塩が、クロロ酢酸ナトリウム塩に対してNaOHを1当量:1当量〜1.1当量:1当量の比で用いて使用され、
非イオン性界面活性剤(B)は、KOHまたはNaOHまたはCsOHを使用する塩基触媒アルコキシ化により製造され、次に、酢酸により中和され、カルボキシメチル化において、最初に0.5〜1.5%の水と一緒に用いられ、
クロロ酢酸ナトリウム塩および一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)は、カルボキシメチル化において、反応器中、一緒に最初に投入され、一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)とクロロ酢酸ナトリウム塩との化学量論比は、1当量:1当量〜1当量:1.9当量(好ましくは1当量:1当量〜1当量:1.5当量)であり、水酸化ナトリウムは、4〜12時間の期間をかけて、20〜70℃の温度で計量して入れられ、計量添加は、全期間にわたり連続して、または1時間毎に等分量で行われ、
反応器中の水分含有量は、カルボキシメチル化中、減圧を適用することにより、かつ/または窒素を通気することにより、0.2%〜1.7%の値に維持される、
・カルボキシメチル化において、アルカリ金属水酸化物として固体NaOHおよびクロロ酢酸ナトリウム塩が、NaOH、または塩基性アルコキシレートの場合、NaOHおよびR−O−(CHC(R)HO)−(CHC(CH)HO)−(CHCHO)−Kの合計、またはNaOHおよびR−O−(CHC(R)HO)−(CHC(CH)HO)−(CHCHO)−Naの塩基性アルコキシレートの場合の合計、または塩基性アルコキシレートの場合、NaOHおよびR−O−(CHC(R)HO)−(CHC(CH)HO)−(CHCHO)−Csの合計を、クロロ酢酸ナトリウム塩に対して、1.1当量:1当量〜1当量:1.5当量(好ましくは、1当量:1当量〜1.1当量:1当量)の比で用いて使用され、一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B):NaOHの比は、1当量:1当量〜1当量:1.5当量であり、
非イオン性界面活性剤(B)は、KOHまたはNaOHまたはCsOH、またはNaOHおよびKOHの混合物を使用する塩基触媒アルコキシ化により製造され、カルボキシメチル化において、中和形態およびろ過済み(すなわち、塩不含)形態、または中和されていない、塩基性アルコキシレート(好ましくは、アルコキシ化触媒として<5mol%の塩基)の形態のいずれかで使用され、
カルボキシメチル化において、クロロ酢酸ナトリウム塩および一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)は、反応器中で一緒に最初に投入され、一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)とクロロ酢酸ナトリウム塩との化学量論比は、1当量:1当量〜1当量:1.9当量(好ましくは1当量:1当量〜1当量:1.5当量、より好ましくは、1当量:1当量〜1当量:1.35当量)であり、水酸化ナトリウムは、4〜12時間の期間をかけて、20〜70℃の温度で計量して入れられ、計量添加が、全期間にわたり連続して、または1時間毎に等分量で行われ、
反応器中の水分含有量は、カルボキシメチル化中、減圧を適用することにより、かつ/または窒素を通気することにより、0.2%〜1.7%の値に維持される、
・カルボキシメチル化において、アルカリ金属水酸化物として固体NaOH、およびクロロ酢酸ナトリウム塩が、クロロ酢酸ナトリウム塩に対してNaOHを1当量:1当量〜1.1当量:1当量の比で用いて使用され、
非イオン性界面活性剤(B)は、複合金属シアン化物触媒作用を使用する、アルコキシ化によって製造され、
カルボキシメチル化において、クロロ酢酸ナトリウム塩および一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)が、反応器中で一緒に最初に投入され、一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)とクロロ酢酸ナトリウム塩との化学量論比は、1当量:1当量〜1当量:1.9当量(好ましくは1当量:1当量〜1当量:1.5当量)であり、水酸化ナトリウムは、4〜12時間の期間をかけて、20〜70℃の温度で計量して入れられ、計量添加が、全期間にわたり連続して、または1時間毎に等分量で行われ、
反応器中の水分含有量が、カルボキシメチル化中、減圧を適用することにより、かつ/または窒素を通気することにより、0.2%〜1.7%の値に維持される、
が使用される、
方法である。
【0061】
陰イオン性界面活性剤(A)と非イオン性界面活性剤(B)とのモル比が51:49〜92:8を有する、界面活性剤混合物により、≧55℃および<0.5質量%の界面活性剤濃度において<0.1mN/mの界面張力をもたらすことが、驚くべきことに見出された。この目的は、良好な効果を実現するために、通常、アルキルアルコキシレートを実質的に定量的な陰イオン化レベルである。技術的な実現可能性によって示される値は、通常、>92%または≧95%である。したがって、本技術の平均的な技量の有資格者は、前述の値が陰イオン修飾にとって時として典型的な範囲にあることを理解している。アルキルエーテルカルボキシレートの場合、これは、例えば、95%のカルボキシメチル化レベルとなり得る。これ以降、詳細に説明されている通り、時として、かなり低級のカルボキシメチル化レベルが、より優れた適合性を有することが驚くべきことに見出された。これは、対応するカルボキシメチル化レベルに到達するために、それほど複雑でなく、それほどエネルギー集約的ではなく、それ故に、それほど高価ではない方法を使用することができるので、三次石油産出のために、例えば、アルキルエーテルカルボキシレートの製造にとってかなり重要でもある。とりわけ、界面活性剤が、とりわけ共溶媒、例えばブチルジエチレングリコールの存在下で、16個および18個の炭素原子を有する線状の飽和一級アルキルラジカルの混合物に基づいており、かつ後で記載されているプロピレンオキシ単位およびエチレンオキシ単位を有する場合、特に興味深いことは、陰イオン性界面活性剤(A)と非イオン性界面活性剤(B)とのモル比が70:30〜89:11を有する界面活性剤混合物であることである。したがって、塩基、または非常に異なる界面活性剤、例えば内部オレフィンスルホネートを添加しない場合でさえも、>55℃において、<0.01mN/mの界面張力を実現することが驚くべきことに可能である。
【0062】
したがって、石油産出のための本発明の方法における界面活性剤配合物、または本発明の濃縮物は、いかなる塩基および/またはいかなるオレフィンスルホネートまたはいかなるアルキルベンゼンスルホネート(または、いかなる有機スルホネート)も含まないことが好ましい。
【発明を実施するための形態】
【0063】
本発明は、地中の石油鉱床から石油を産出するための方法であって、鉱床温度において、油と水との間の界面張力を<0.1mN/mまで低下させるための界面活性剤混合物を含む塩水界面活性剤配合物が少なくとも1つの注入井を介して、石油鉱床に注入され、原油が少なくとも1つの採掘井を介して該鉱床から採掘され、
a)石油鉱床は、55℃〜150℃の鉱床温度、20°を超えるAPIを有する原油、および100ppmを超える二価陽イオンを有する鉱床水を有しており、
b)界面活性剤混合物は、少なくとも1つの一般式(I)の陰イオン性界面活性剤(A)
−O−(CHC(R)HO)−(CHC(CH)HO)−(CHCHO)−CHCOM (I)
および少なくとも1つの一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)
−O−(CHC(R)HO)−(CHC(CH)HO)−(CHCHO)−H (II)
を含み、
注入時の界面活性剤混合物には、51:49〜92:8となる陰イオン性界面活性剤(A)と非イオン性界面活性剤(B)とのモル比が存在しており、非イオン性界面活性剤(B)は、陰イオン性界面活性剤(A)の出発原料として働き、
式中、
は、10〜36個の炭素原子を有する、線状もしくは分岐状の飽和または不飽和一級脂肪族ヒドロカルビルラジカルであり、
は、2〜14個の炭素原子を有する、線状飽和脂肪族ヒドロカルビルラジカルであり、
Mは、H、Na、KまたはNHであり、
xは、0〜10の数であり、
yは、0〜50の数であり、
zは、1〜35の数であり、
x+y+zの合計は、3〜80の数であり、
が、10〜36個の炭素原子を有する、線状の飽和または不飽和な一級脂肪族ヒドロカルビルラジカルである場合、x+yの合計が>0の数であり、
c)一緒にした界面活性剤すべての濃度は、塩水界面活性剤配合物の総量に対して、0.05質量%〜0.49質量%である、
方法に関する。
【0064】
は、10〜36個の炭素原子(好ましくは10〜28個、より好ましくは13〜20個、とりわけ好ましくは、16〜18個の炭素原子)を有する線状もしくは分岐状の飽和または不飽和一級肪族ヒドロカルビルラジカルである。特定の実施形態では、飽和ヒドロカルビルラジカルが使用される。特に好ましい一実施形態では、16〜18個の炭素原子を有する線状の飽和一級ヒドロカルビルラジカルが使用される。別の好ましい実施形態では、18個の炭素原子を有する線状の不飽和一級ヒドロカルビルラジカルが使用される。したがって、Rは、非環式ラジカルである。
【0065】
分岐Rラジカルの場合、分岐レベルは、好ましくは、0.1〜5(好ましくは、0.1〜2.5、より好ましくは0.5〜2.2)の範囲にある。本文脈において、用語「分岐レベル」は、原則として公知の通り、アルコールである1つの分子中のメチル基から1を引いた数と定義される。平均分岐レベルは、試料中のすべての分子の分岐レベルの統計的平均値である。
【0066】
好ましい実施形態では、分岐Rラジカルは、2−プロピルヘプチル、イソデシル、イソウンデシル、イソトリデシル、12〜15個の炭素原子および0.1〜0.5の分岐レベルを有するアルキルラジカル、13〜15個の炭素原子および0.1〜0.5の分岐レベルを有するアルキルラジカル、または16〜17個の炭素原子および1.1〜1.9の分岐レベルを有するアルキルラジカルである。
【0067】
本発明のさらに好ましい実施形態では、Rは、2−ヘキシルデシル、2−オクチルデシル、2−ヘキシルドデシル、2−オクチルドデシルである、16〜20個の炭素原子を有する分岐の飽和一級脂肪族ヒドロカルビルラジカル、または言及されているヒドロカルビルラジカルの混合物である。これは、xが0の数である場合、とりわけ該当する。
【0068】
本発明のさらに好ましい実施形態では、Rは、2−デシルテトラデシル、2−ドデシルヘキサデシル、2−デシルヘキサデシルもしくは2−ドデシルテトラデシルである、24〜28個の炭素原子を有する分岐の飽和一級脂肪族ヒドロカルビルラジカル、または言及されているヒドロカルビルラジカルの混合物である。これは、xが0の数である場合、とりわけ該当する。
【0069】
上で定義された一般式において、x、yおよびzは、それぞれ、0を含む自然数、すなわち、0、1、2などである。しかし、この定義が、各場合において、単一の界面活性剤の定義であることは、ポリアルコキシレートの分野の当業者には明らかである。一般式である複数の界面活性剤を含む界面活性剤混合物または界面活性剤配合物が存在する場合、アルコールのエチレンオキシドまたはプロピレンオキシドまたは高級アルキレンオキシド(例えば、ブチレンオキシドからヘキサデセンオキシドまで)によるアルコキシ化は、各場合において、鎖長のある分布をもたらすので、x、yおよびzの数は、それぞれ、該界面活性剤の分子すべてにわたる平均値である。この分布は、多分散性Dと呼ばれるものによって、原則として公知の通り記載され得る。D=M/Mは、質量平均モル質量と数平均モル質量との比である。多分散性は、当業者に公知の方法によって、例えば、ゲル浸透クロマトグラフィーによって決定することができる。
【0070】
アルキレンオキシ基は、ランダム分布、交互にまたはブロックで、すなわち、2個、3個、4個以上のブロックで配列されることができる。
【0071】
好ましくは、x(高級アルキレン)オキシ基、yプロピレンオキシ基およびzエチレンオキシ基は、少なくとも一部、ブロックで配列している(数値に関すると、好ましくは、少なくとも50%の程度で、より好ましくは少なくとも60%の程度で、さらにより好ましくは、少なくとも70%の程度で、より好ましくは少なくとも80%の程度で、より好ましくは少なくとも90%の程度で、とりわけ完全に)。
【0072】
本発明の文脈では、「ブロックで配列している」は、少なくとも1つのアルキレンオキシが、化学的に同一の隣接アルキレンオキシ基を有し、その結果、少なくとも2つのアルキレンオキシ単位がブロックを形成することを意味する。
【0073】
より好ましくは、次に、式(I)または(II)中のR−Oラジカル上に、x(高級アルキレン)オキシ基との(高級アルキレン)オキシブロック、次いで、yプロピレンオキシ基とのプロピレンオキシブロック、および最後に、zエチレンオキシ基とのエチレンオキシブロックが存在する。
【0074】
好ましくは、xは、0〜10の整数(好ましくは、0〜7、より好ましくは0〜1、および最も好ましくは0の数である。xはまた、1〜10の整数であってもよい)であり、かつ/またはyは、0〜50の整数(好ましくは0〜40、より好ましくは3〜25、とりわけ好ましくは、3〜10または5〜15、およびさらにより好ましくは5〜9)であり、かつ/またはzは、1〜35の整数(好ましくは1〜30または3〜30、より好ましくは1〜25、とりわけ好ましくは3〜24、およびさらにより好ましくは4〜15、およびとりわけ5〜15)であり、x+y+zの合計は、3〜80、好ましくは3〜49、とりわけ好ましくは、7〜24の整数であり、x+yの合計は、Rが、10〜36個の炭素原子を有する、線状の飽和または不飽和な一級脂肪族ヒドロカルビルラジカルである場合、>0の数である。
【0075】
本発明のさらなる特定の実施形態では、
は、10〜36個の炭素原子を有する、線状もしくは分岐状の飽和または不飽和一級脂肪族ヒドロカルビルラジカルであり、
xは、0の数であり、
yは、3〜25(より好ましくは、3〜10)の数であり、
zは、3〜30(より好ましくは、4〜15)の数であり、
x+y+zの合計は、6〜55(より好ましくは、7〜25)の数である。
【0076】
本発明のさらなる特定の実施形態では、x+y+zの合計は、7〜24の数である。
【0077】
本発明のさらなる実施形態では、本方法は、以下の特徴を有する。
【0078】
は、10〜36個の炭素原子を有する、線状もしくは分岐状の飽和または不飽和一級脂肪族ヒドロカルビルラジカルであり、
は、2〜14個(より好ましくは2個)の炭素原子を有する、線状飽和脂肪族ヒドロカルビルラジカルであり、
Mは、H、Na、KまたはNHであり、
xは、1〜10(より好ましくは、1〜5)の数であり、
yは、0〜50(より好ましくは、1〜9)の数であり、
zは、3〜35の数であり、
x+y+zの合計は、4〜80(より好ましくは、5〜35)の数である。
【0079】
本発明のさらなる実施形態では、本方法は、以下の特徴を有する。
【0080】
は、10〜36個の炭素原子を有する、分岐の飽和一級脂肪族ヒドロカルビルラジカルであり、
は、10〜14個の炭素原子を有する、線状飽和脂肪族ヒドロカルビルラジカルであり、
Mは、H、Na、KまたはNHであり、
xは、1の数であり、
yは、0〜20の数であり、
zは、3〜35の数であり、
x+y+zの合計は、4〜45の数である。
【0081】
さらに好ましい実施形態では、本方法は以下の特徴を有する。
【0082】
は、10〜36個の炭素原子を有する、分岐の飽和一級脂肪族ヒドロカルビルラジカルであり、
は、2〜14個の炭素原子を有する、線状飽和脂肪族ヒドロカルビルラジカルであり、
Mは、H、Na、KまたはNHであり、
xは、0〜10(好ましくは、0)の数であり、
yは、0の数であり、
zは、3〜35の数であり、
x+y+zの合計は、3〜45の数である。
【0083】
本発明のさらなる実施形態では、本方法は、以下の特徴を有する。
【0084】
は、2−ヘキシルデシル、2−オクチルデシル、2−ヘキシルドデシル、2−オクチルドデシルである、16〜20個の炭素原子を有する分岐の飽和一級脂肪族ヒドロカルビルラジカル、または言及されているヒドロカルビルラジカルであり、
xは、0の数である。
【0085】
本発明のさらなる実施形態では、本方法は、以下の特徴を有する。
【0086】
は、2−デシルテトラデシル、2−ドデシルヘキサデシル、2−デシルヘキサデシルもしくは2−ドデシルテトラデシルである、24〜28個の炭素原子を有する分岐の飽和一級脂肪族ヒドロカルビルラジカル、または言及されているヒドロカルビルラジカルの混合物であり、
xは、0の数である。
【0087】
別の特に好ましい本発明の実施形態では、本方法は以下の特徴を有する。
【0088】
は、16個または18個の炭素原子を有する、線状の飽和一級脂肪族ヒドロカルビルラジカルであり、
は、10〜14個の炭素原子を有する、線状飽和脂肪族ヒドロカルビルラジカルであり、
Mは、H、Na、KまたはNHであり、
xは、0の数であり、
yは、3〜15(好ましくは、3〜10、より好ましくは5〜9)の数であり、
zは、3〜35(好ましくは、3〜25、より好ましくは8〜20)の数であり、
x+y+zの合計は、6〜45の数である。
【0089】
上記の式(I)では、Mは、Na、K、Li、NH、H、1/2Mg2+および1/2Ca2+から選択される陽イオンとすることもできる。しかし、Mの好ましい実施形態は、Na、KまたはNHである。
【0090】
注入時の界面活性剤混合物または濃縮物には、51:49〜92:8となる一般式(I)の陰イオン性界面活性剤(A)と一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)とのモル比が存在しており、非イオン性界面活性剤(B)は、陰イオン性界面活性剤(A)の出発原料として働く。本発明の好ましい実施では、比は、60:40〜92:8、より好ましくは70:30〜92:8、とりわけ好ましくは、70:30〜89:11、および非常にとりわけ好ましくは、71:29〜85:15である。
【0091】
三次石油産出に関する、本発明による方法の文脈では、本発明の界面活性剤混合物を使用する方法により、油と水との間の界面張力が、<0.1mN/m、好ましくは<0.05mN/m、より好ましくは<0.01mN/mとなる値まで低下する。したがって、油と水との間の界面張力は、0.1mN/m〜0.0001mN/m、好ましくは0.05mN/m〜0.0001mN/mの範囲の値まで、より好ましくは0.01mN/m〜0.0001mN/mの範囲の値まで低下する。明記した値は、一般的な鉱床温度に関する。
【0092】
特に、好ましい実施は、ウィンザーIII型マイクロエマルション圧入作業である。
【0093】
本発明のさらなる好ましい実施では、バイオポリマーからなる群からの増粘性ポリマー、またはアクリルアミドをベースとするコポリマーからなる群からの増粘性ポリマーが、水性界面活性剤配合物に添加される。コポリマーは、例えば、とりわけ、以下の単位からなることができる:
− アクリルアミドおよびアクリル酸ナトリウム塩
− アクリルアミドおよびアクリル酸ナトリウム塩およびN−ビニルピロリドン
− アクリルアミドおよびアクリル酸ナトリウム塩およびAMPS(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム塩)
− アクリルアミドおよびアクリル酸ナトリウム塩およびAMPS(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム塩)およびN−ビニルピロリドン。
【0094】
コポリマーはまた、会合性基をさらに含んでもよい。好ましいコポリマーは、EP2432807またはWO2014095621に記載されている。さらに好ましいコポリマーは、US7700702に記載されている。
【0095】
特に、好ましい実施は、ウィンザーIII型マイクロエマルション/ポリマー圧入作業である。
【0096】
本発明の好ましい実施では、地中の石油鉱床からの石油の産出が、界面活性剤圧入法または界面活性剤/ポリマー圧入法であって、アルカリ/界面活性剤/ポリマー圧入法でも、NaCOも同様に注入される圧入法でもない、方法を特徴とする。
【0097】
本発明の特に好ましい実施では、地中の石油鉱床からの石油の産出が、ウィンザーIII型マイクロエマルション圧入法またはウィンザーIII型マイクロエマルション/ポリマー圧入法であって、アルカリ/ウィンザーIII型マイクロエマルション/ポリマー圧入法、およびNaCOも同様に注入される圧入法ではない、方法を特徴とする。
【0098】
鉱床岩石は、砂岩または炭酸塩であってもよい。
【0099】
本発明の好ましい実施形態では、鉱床は、砂岩鉱床であり、70質量%を超える砂(石英および/または長石)が存在し、カオリナイト、スメクタイト、イライト、緑泥石および/または黄鉄鉱から選択される他の鉱物が、最大25質量%、存在していてもよい。75質量%を超える砂(石英および/または長石)が存在し、カオリナイト、スメクタイト、イライト、緑泥石および/または黄鉄鉱から選択される他の鉱物が、最大20質量%、存在し得ることが好ましい。80質量%を超える砂(石英および/または長石)が存在し、カオリナイト、スメクタイト、イライト、緑泥石および/または黄鉄鉱から選択される他の鉱物が、最大15質量%、存在し得ることが、とりわけ好ましい。
【0100】
API比重(米国石油協会比重度)は、米国において、原油に対して一般に使用される慣用的な密度の単位である。それは、原油の物性評価のため、および品質標準として、全世界で使用されている。API比重は、
API比重=(141.5/prel)−131.5を使用して、水を基準とする、60°F(15.56℃)における原油の相対密度Prelから算出される。
【0101】
本発明によれば、鉱床からの原油は、少なくとも20°APIを有するべきである。好ましいのは、少なくとも22°APIである。特に好ましいのは、少なくとも25°APIである。非常に特に好ましいのは、少なくとも30°APIである。
【0102】
本発明の方法が使用される石油鉱床中の鉱床温度は、本発明によれば、55〜150℃、とりわけ55℃〜140℃、好ましくは60℃〜130℃、より好ましくは60℃〜120℃および、例えば、65℃〜110℃である。
【0103】
鉱床水中の塩は、とりわけ、アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩とすることができる。典型的な陽イオンの例には、Na、K、Mg2+および/またはCa2+が含まれ、典型的な陰イオンの例には、塩化物イオン、臭化物イオン、水素炭酸イオン、硫酸イオンまたはホウ酸イオンが含まれる。本発明によれば、鉱床水は、少なくとも100ppmの二価陽イオンを含むべきである。アルカリ土類金属イオンの量は、好ましくは、100〜53000ppm、より好ましくは120ppm〜20000ppm、さらにより好ましくは、150〜6000ppmとすることができる。
【0104】
一般に、少なくとも1種、または2種以上のアルカリ金属イオン、とりわけ少なくともNaが存在する。さらに、アルカリ土類金属イオンも存在することができ、この場合、アルカリ金属イオン/アルカリ土類金属イオンの質量比は、一般に、≧2、好ましくは≧3である。存在する陰イオンは、一般に、少なくとも1種、または2種以上のハロゲン化物イオン、とりわけ少なくともClである。一般に、Clの量は、すべての陰イオンの合計に対して、少なくとも50質量%、好ましくは少なくとも80質量%である。
【0105】
鉱床水のすべての塩の総量は、配合物中のすべての構成成分の合計に対して、最大350000ppm(質量部)、例えば2000ppm〜350000ppm、とりわけ5000ppm〜250000ppmとすることができる。注入に海水を使用する場合、塩の含有量は、2000ppm〜40000ppmとすることができ、地層水が使用される場合、塩の含有量は、5000ppm〜250000ppm、例えば10000ppm〜200000ppmとすることができる。
【0106】
一緒にした界面活性剤すべての濃度は、注入される水性配合物の総量に対して、0.05質量%〜0.49質量%である。全界面活性剤濃度は、好ましくは0.06質量%〜0.39質量%、より好ましくは0.08質量%〜0.29質量%である。
【0107】
本発明のさらに好ましい実施形態では、少なくとも1つの有機共溶媒は、特許請求されている界面活性剤混合物に添加することができる。これらは、好ましくは完全に水混和性の溶媒であるが、水に一部しか混和しない溶媒を使用することも可能である。一般に、溶解度は、少なくとも50g/l、好ましくは少なくとも100g/lとなるべきである。例には、脂肪族C3〜C8アルコール、好ましくはC4〜C6アルコール、さらに好ましくはC3〜C6アルコールが含まれ、これらは、1〜5個、好ましくは1〜3個のエチレンオキシ単位により置換されて、水への十分な溶解度を達成することができる。さらなる例には、2〜8個の炭素原子を有する脂肪族ジオールが含まれ、このジオールはまた、任意にさらなる置換を有していてもよい。例えば、共溶媒は、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、ブチルエチレングリコール、ブチルジエチレングリコールまたはブチルトリエチレングリコールからなる群から選択される、少なくとも1つであってもよい。
【0108】
したがって、塩水界面活性剤配合物は、一般式(I)の陰イオン性界面活性剤(A)および一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)のみならず、3〜8個の炭素原子を有する脂肪族アルコールからなる群から、またはアルキルモノエチレングリコール、アルキルジエチレングリコールもしくはアルキルトリエチレングリコールからなる群から選択される共溶媒も含み、アルキルラジカルは、3〜6個の炭素原子を有する脂肪族ヒドロカルビルラジカルであることが好ましい。
【0109】
特に好ましいのは、一般式(I)の陰イオン性界面活性剤(A)と一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)との混合物が、濃縮物の総量に対して、20質量%〜70質量%の界面活性剤混合物、10質量%〜40質量%の水、および10質量%〜40質量%の共溶媒を含む、濃縮物の形態で提供され、共溶媒は、3〜8個の炭素原子を有する脂肪族アルコールから、またはアルキルモノエチレングリコール、アルキルジエチレングリコールもしくはアルキルトリエチレングリコールからなる群から選択され、アルキルラジカルは、3〜6個の炭素原子を有する脂肪族ヒドロカルビルラジカルであり、濃縮物は、20℃において自由流動性であり、40℃、200Hzにおいて<1500mPasの粘度を有する。
【0110】
本濃縮物は、NaClおよび二グリコール酸二ナトリウム塩を含む混合物を0.5質量%〜20質量%(好ましくは1質量%〜15質量%、より好ましくは2質量%〜10質量)、含んでおり、NaClは、二グリコール酸二ナトリウム塩に対して過剰に存在するのがさらに好ましい。
【0111】
濃縮物が共溶媒としてブチルジエチレングリコールを含むことが、最も好ましい。
【0112】
本発明のさらなる実施は、塩水界面活性剤配合物が、一般式(I)の陰イオン性界面活性剤(A)および一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)のみならず、界面活性剤(A)または(B)とは同一ではないさらなる界面活性剤(C)も含む、方法であり、
− アルキルベンゼンスルホネート、アルファ−オレフィンスルホネート、内部オレフィンスルホネート、パラフィンスルホネートからなる群からのものであり、14〜28個の炭素原子を有しており、かつ/または
− アルキルエトキシレートおよびアルキルポリグルコシドからなる群から選択され、具体的なアルキルラジカルは8〜18個の炭素原子を有する。
【0113】
界面活性剤(C)の場合、特に好ましいのは、8〜14個の炭素原子を有する線状の一級脂肪アルコールから形成され、1〜2のグルコシド化レベルを有する、アルキルポリグルコシド、および10〜18個の炭素原子を有する一級アルコールから形成され、3〜25のエトキシ化レベルを有するアルキルエトキシレートである。
【0114】
一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)は、以下の通り、形成することができる。第1に、それは、例として、以下の通り製造することができる対応するアルコールの製造を必要とする:
− 線状の一級脂肪族アルコールは、脂肪酸(天然の植物性、または動物脂肪および油脂から製造される)を水素化することにより、または脂肪酸メチルエステルを水素化することにより製造される。あるいは、それらは、アルミニウム触媒上でエチレンをオリゴマー化することによるチーグラー法、次に、水を添加することによりアルコールを放出させることによって製造することができる。
【0115】
− 分岐状の一級脂肪族アルコールは、アルケンのヒドロホルミル化(オキソ法アルコール)(一酸化炭素および水素との反応)によって製造することができる。アルケンは、エチレン、プロピレンおよび/またはブチレンのオリゴマーであってもよい。オリゴマー化は、アルファ−オレフィン、および内部二重結合を有するオレフィンにも生じ得る。アルケンのオレフィンメタセシスによって、さらなる変異体が可能である。アルケンへのさらなる入手経路は、アルカンおよびパラフィンの脱水素化である。
【0116】
− 分岐状の一級脂肪族アルコールは、一級アルコール(ゲルベアルコール)のゲルベ反応(塩基の存在下、および高温で水の脱離を伴うアルコールの二量化)によって製造することができる。さらなる詳細は、例えば、WO2013060670に見出すことができる。
【0117】
続いて、一級アルコールROHはアルコキシ化され、一般式(II)の対応する非イオン性界面活性剤(B)を与える。このようなアルコキシ化の成績は、当業者に原則として公知である。反応条件、とりわけ触媒の選択は、アルコキシレートの分子量分布に影響を及ぼし得ることが当業者には同様に公知である。
【0118】
一般式による界面活性剤は、好ましくは、塩基触媒アルコキシ化によって製造することができる。この場合、アルコールROHは、加圧反応器中で、アルカリ金属水酸化物(例えば、NaOH、KOH、CsOH)、好ましくは水酸化カリウムと、またはアルカリ金属アルコキシド、例えばナトリウムメトキシドもしくはカリウムメトキシドと混合することができる。混合物中に依然として存在している水(またはMeOH)は、減圧(例えば、<100mbar)および/または昇温(30〜150℃)により除去することができる。その後、アルコールは、対応するアルコキシドの形態で存在する。これに、不活性ガス(例えば、窒素)による不活性化が続き、60〜180℃の温度で、20bar以下の圧(好ましくは10bar以下)までアルキレンオキシドを逐次、加える。好ましい実施形態では、アルキレンオキシドは、120℃で最初に計量される。反応の過程において、放出された反応熱は、温度を最大170℃まで上昇させる。本発明のさらに好ましい実施形態では、高級アルキレンオキシド(例えば、ブチレンオキシドまたはヘキサデセンオキシド)は、100〜145℃の範囲の温度で最初に加えられ、次に、プロピレンオキシドが、100〜145℃の範囲の温度で加えられ、続いてエチレンオキシドが、120〜165℃の範囲の温度で加えられる。反応の終了時に、酸(例えば、酢酸またはリン酸)を加えることによって、例えば、中和することができ、必要な場合、ろ別され得る。しかし、物質は、中和されないままであってもよい。
【0119】
アルコールROHのアルコキシ化も、他の方法、例えば、酸を触媒とするアルコキシ化によって行うこともできる。さらに、例えば、DE4325237A1に記載されている通り、複水酸化物クレイを使用することが可能であるか、または複合金属シアン化物触媒(DMC触媒)を使用することが可能である。適切なDMC触媒は、例えば、DE10243361A1、とりわけ段落[0029]〜[0041]およびその中で引用されている文献に開示されている。例えば、Zn−Coタイプの触媒を使用することが可能である。反応を行うため、アルコールROHを触媒と混合することができ、この混合物を上記の通り脱水して、記載されている通りアルキレンオキシドと反応させることができる。通常、混合物に対して1000ppm以下の触媒が使用され、このように少量であるため、生成物中に触媒が残存し得る。触媒の量は、一般に、1000ppm未満、例えば250ppm以下とすることができる。
【0120】
一般式(I)の陰イオン性界面活性剤(A)は、一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)から製造することができる。
【0121】
この場合、本発明は好ましくは、一般式(I)の陰イオン性界面活性剤(A)が、アルカリ金属水酸化物または水性アルカリ金属水酸化物の存在下、撹拌しながら、カルボキシメチル化中、減圧を適用することにより、かつ/または窒素を通気することにより、反応器中の水分含有量を0.2%〜1.7%(好ましくは0.3%〜1.5%)の値に維持するよう、反応の水を除去しながら、一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)をクロロ酢酸またはクロロ酢酸ナトリウム塩と反応させることにより製造される、方法に関する。特に好ましいのは、プロピレンオキシ単位を含む界面活性剤の方法である。界面活性剤が、さらに、線状C16C18脂肪アルコールに基づくものである場合、さらに一層好ましい。
【0122】
本発明のさらに好ましい実施形態は、
カルボキシメチル化において、アルカリ金属水酸化物として水性NaOH(好ましくは、40〜80%強度、より好ましくは45〜55%強度)、および水性クロロ酢酸(好ましくは、75〜85%強度)を、クロロ酢酸に対してNaOHを2当量(モル当量):1当量〜2.2当量:1当量となる比で用いて使用し、
非イオン性界面活性剤(B)が、KOHまたはNaOHまたはCsOHを使用する塩基触媒アルコキシ化(アルコキシ化触媒として、好ましくは、<5mol%の塩基)、または複合金属シアン化物触媒を使用するアルコキシ化のどちらかにより製造され、アルコキシ化触媒は、中和されておらず、アルコキシ化が終了した後、除去されず、
一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)が、カルボキシメチル化において反応器に最初に投入され、水酸化ナトリウムおよびクロロ酢酸が、1〜7時間(好ましくは、1〜6時間)の期間をかけて、60〜110℃(好ましくは、70〜100℃)の温度で並行して計量して入れられ、全期間にわたるこの計量添加が、連続的に、または1時間毎に等分量で行われ、一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)とクロロ酢酸との化学量論比が、1当量:1当量〜1当量:1.9当量(好ましくは1当量:1当量〜1当量:1.5当量、より好ましくは1当量:1当量〜1当量:1.35当量)であり、
および
反応器中の水分含有量が、カルボキシメチル化中、減圧を適用することにより、かつ/または窒素を通気することにより、0.2%〜1.7%の平均値で主に維持される、
方法に関する。
【0123】
本発明のさらに好ましい実施形態は、
カルボキシメチル化において、アルカリ金属水酸化物としてNaOH、およびクロロ酢酸ナトリウム塩が、クロロ酢酸ナトリウム塩に対してNaOHを1当量(モル当量):1当量〜1当量:1.9当量の比で用いて使用され、
非イオン性界面活性剤(B)は、KOHまたはNaOHまたはCsOHを使用する塩基触媒アルコキシ化(アルコキシ化触媒として、好ましくは<5mol%の塩基)により製造され、好ましくは、カルボキシメチル化において非中和形態で使用され、
一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)が、カルボキシメチル化中、NaOHまたは水性NaOH(好ましくは40〜80%強度)と一緒に最初に投入され、一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)とNaOHとの化学量論比は、1当量:1当量〜1当量:1.5当量(好ましくは1当量:1当量〜1当量:1.35当量)であり、60〜110℃の温度に設定され、一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)が、60〜110℃の温度で、減圧を適用することによりかつ/または窒素を通気することにより、対応するナトリウム塩R−O−(CHC(R)HO)−(CHC(CH)HO)−(CHCHO)−Naに変換され、クロロ酢酸ナトリウム塩は、一度にまたは好ましくは4〜12時間の期間をかけて、計量して入れられ、一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)とクロロ酢酸ナトリウム塩との化学量論比が、1当量:1当量〜1当量:1.9当量(好ましくは1当量:1当量〜1当量:1.5当量)であり、全期間にわたる計量添加が、連続して、または1時間毎に等分量で行われ、
反応器中の水分含有量が、カルボキシメチル化中、減圧を適用することにより、かつ/または窒素を通気することにより、0.2%〜1.7%の値に維持される、
方法に関する。
【0124】
本発明のさらに好ましい実施形態は、
カルボキシメチル化において、アルカリ金属水酸化物として固体NaOH、およびクロロ酢酸ナトリウム塩が、クロロ酢酸ナトリウム塩に対してNaOHを1当量(モル当量):1当量〜1.1当量:1当量の比で用いて使用され、
非イオン性界面活性剤(B)は、KOHまたはNaOHまたはCsOHを使用する塩基触媒アルコキシ化により製造され、次に、酢酸により中和され、カルボキシメチル化において、最初に0.5〜1.5%の水と一緒に用いられ、
カルボキシメチル化において、クロロ酢酸ナトリウム塩および一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)が、反応器中で一緒に最初に投入され、一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)とクロロ酢酸ナトリウム塩との化学量論比は、1当量:1当量〜1当量:1.9当量(好ましくは1当量:1当量〜1当量:1.5当量、とりわけ好ましくは、1当量:1当量〜1当量:1.35当量)であり、水酸化ナトリウムは、4〜12時間の期間をかけて、20〜70℃の温度で計量して入れられ、計量添加が、全期間にわたり連続して、または1時間毎に等分量で行われ、
反応器中の水分含有量が、カルボキシメチル化中、減圧を適用することにより、かつ/または窒素を通気することにより、0.2%〜1.7%(好ましくは0.3%〜1.5%)の値に維持される、
方法に関する。
【0125】
本発明の別の好ましい実施形態は、
カルボキシメチル化において、アルカリ金属水酸化物として固体NaOHおよびクロロ酢酸ナトリウム塩が、NaOH、または塩基性アルコキシレートの場合、NaOHおよびR−O−(CHC(R)HO)−(CHC(CH)HO)−(CHCHO)−Kの合計、またはNaOHの塩基性アルコキシレートおよびR−O−(CHC(R)HO)−(CHC(CH)HO)−(CHCHO)−Naの場合の合計、または塩基性アルコキシレートの場合、NaOHおよびR−O−(CHC(R)HO)−(CHC(CH)HO)−(CHCHO)−Csの合計を、クロロ酢酸ナトリウム塩に対して、1.1当量(モル当量):1当量〜1当量:1.5当量(好ましくは1当量:1当量〜1.1当量:1当量)の比で用いて使用され、一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B):NaOHの比が、1当量:1当量〜1当量:1.5当量であり、
非イオン性界面活性剤(B)が、KOHまたはNaOHまたはCsOH、またはNaOHおよびKOHの混合物を使用する塩基触媒アルコキシ化により製造され、カルボキシメチル化において、中和形態およびろ過済み(すなわち、塩不含)形態、または中和されていない、塩基性アルコキシレート(好ましくは、アルコキシ化触媒として<5mol%の塩基)の形態のいずれかで使用され、
カルボキシメチル化において、クロロ酢酸ナトリウム塩および一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)が、反応器中で一緒に最初に投入され、一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)とクロロ酢酸ナトリウム塩との化学量論比は、1当量:1当量〜1当量:1.9当量(好ましくは1当量:1当量〜1当量:1.5当量、とりわけ好ましくは、1当量:1当量〜1当量:1.35当量)であり、水酸化ナトリウムは、4〜12時間の期間をかけて、20〜70℃(好ましくは、40〜60℃)の温度で計量して入れられ、計量添加が、全期間にわたり連続して、または1時間毎に等分量で行われ、
反応器中の水分含有量が、カルボキシメチル化中、減圧を適用することにより、かつ/または窒素を通気することにより、0.2%〜1.7%(好ましくは0.3%〜1.5%)の値に維持される、
方法に関する。
【0126】
本発明の別の好ましい実施形態は、
カルボキシメチル化において、アルカリ金属水酸化物として固体NaOH、およびクロロ酢酸ナトリウム塩が、クロロ酢酸ナトリウム塩に対してNaOHを1当量(モル当量):1当量〜1.1当量:1当量の比で用いて使用され、
非イオン性界面活性剤(B)は、複合金属シアン化物触媒作用を使用するアルコキシ化によって製造され、
カルボキシメチル化において、クロロ酢酸ナトリウム塩および一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)が、反応器中で一緒に最初に投入され、一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)とクロロ酢酸ナトリウム塩との化学量論比は、1当量:1当量〜1当量:1.9当量(好ましくは1当量:1当量〜1当量:1.5当量、とりわけ好ましくは、1当量:1当量〜1当量:1.35当量)であり、水酸化ナトリウムは、4〜12時間の期間をかけて、20〜70℃の温度で計量して入れられ、計量添加が、全期間にわたり連続して、または1時間毎に等分量で行われ、
反応器中の水分含有量が、カルボキシメチル化中、減圧を適用することにより、かつ/または窒素を通気することにより、0.2%〜1.7%(好ましくは0.3%〜1.5%)の値に維持される、
方法に関する。
【0127】
本発明の好ましい実施形態は、一般式(I)の陰イオン性界面活性剤(A)および一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)からなる界面活性剤混合物を製造するために、上で指定されている産出方法であって、反応の終了時に、界面活性剤混合物中に、陰イオン性界面活性剤(A)と非イオン性界面活性剤(B)とのモル比が、51:49〜92:8(好ましくは、70:30〜89:11)で存在する、方法である。
【0128】
さらに好ましくは、石油産出のための本発明の方法は、注入工程の上流である、本発明の産出方法の方法工程を含む。
【0129】
本発明の特に好ましい一実施形態は、一般式(I)の陰イオン性界面活性剤(A)および一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)からなる界面活性剤混合物を製造するために、上で指定されている産出方法であって、反応の終了時に、界面活性剤混合物中に、陰イオン性界面活性剤(A)と非イオン性界面活性剤(B)とのモル比が、51:49〜92:8(好ましくは、70:30〜89:11)で存在し、界面活性剤がプロピレンオキシ単位を含む、方法である。界面活性剤が、さらに、線状C16C18脂肪アルコールに基づくものである場合、さらに一層好ましい。
【0130】
同様に、本発明によれば、一般式(I)の陰イオン性界面活性剤(A)および一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)を含む、上で既に指定されている濃縮物であって、濃縮物中、陰イオン性界面活性剤(A)と非イオン性界面活性剤(B)とのモル比が、51:49〜92:8(好ましくは、70:30〜89:11)で存在する、濃縮物である。
【0131】
石油の産出方法
一般式(I)の陰イオン性界面活性剤(A)および一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)からなる特許請求されている界面活性剤混合物を活用して、石油産出の上記の方法を、さらなる方法の追加と併せて任意に実施することができる。
【0132】
例えば、流動性制御するためのポリマーまたは発泡体を任意に添加することが可能である。このポリマーは、界面活性剤配合物と一緒に任意に鉱床に注入され、次いで、界面活性剤配合物が注入され得る。ポリマーはまた、界面活性剤配合物と一緒にしか注入され得ないか、または界面活性剤配合物の後にしか注入され得ない。このポリマーはアクリルアミドをベースとするコポリマーまたはバイオポリマーであってもよい。コポリマーは、例えば、とりわけ、以下の単位からなることができる:
− アクリルアミドおよびアクリル酸ナトリウム塩
− アクリルアミドおよびアクリル酸ナトリウム塩およびN−ビニルピロリドン
− アクリルアミドおよびアクリル酸ナトリウム塩およびAMPS(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム塩)
− アクリルアミドおよびアクリル酸ナトリウム塩およびAMPS(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム塩)およびN−ビニルピロリドン。
【0133】
コポリマーはまた、会合性基をさらに含んでもよい。使用可能なコポリマーは、EP2432807またはWO2014095621に記載されている。さらに使用可能なコポリマーは、US7700702に記載されている。
【0134】
ポリマーは、殺生物剤、安定剤、遊離ラジカル捕捉剤および阻害剤などのさらなる添加物の添加により安定化することができる。
【0135】
発泡体は、窒素などのガス、またはメタン、エタンもしくはプロパンなどのガス状炭化水素の注入によって、鉱床表面においてまたは鉱床中、インシチュで生成することができる。発泡体は、特許請求されている界面活性剤混合物、またはさらなる他の界面活性剤を添加することにより生成および安定化することができる。
【0136】
任意に、界面活性剤配合物にアルカリ金属水酸化物またはアルカリ金属炭酸塩などの塩基を加えることも可能であり、この場合、多価陽イオンの存在の結果として生じる沈殿を防止するため、錯化剤またはポリアクリレートと組み合わせる。さらに、配合物に共溶媒を添加することも可能である。
【0137】
これにより、以下の(組合せ)方法が生じる。
− 界面活性剤圧入法
− ウィンザーIII型マイクロエマルション圧入法
−界面活性剤/ポリマー圧入法
− ウィンザーIII型マイクロエマルション/ポリマー圧入法
−アルカリ/界面活性剤/ポリマー圧入法
− アルカリ/ウィンザーIII型マイクロエマルション/ポリマー圧入法
− 界面活性剤/発泡体圧入法
− ウィンザーIII型マイクロエマルション/発泡体圧入法
− アルカリ/界面活性剤/発泡体圧入法
− アルカリ/ウィンザーIII型マイクロエマルション/発泡体圧入法
【0138】
本発明の好ましい実施形態では、最初の4つの方法の1つが使用される(界面活性剤圧入法、ウィンザーIII型マイクロエマルション圧入法、界面活性剤/ポリマー圧入法またはウィンザーIII型マイクロエマルション/ポリマー圧入法)。特に好ましいのは、ウィンザーIII型マイクロエマルション/ポリマー圧入法である。
【0139】
ウィンザーIII型マイクロエマルション/ポリマー圧入法では、第1工程において、界面活性剤配合物は、ポリマーと共にまたはそれなしで注入される。界面活性剤配合物は、原油と接触すると、ウィンザーIII型マイクロエマルションを形成する。第2工程において、ポリマーだけが注入される。第1工程の各場合において、第2工程の場合よりも高い塩分濃度を有する水性配合物を使用することが可能である。あるいは、どちらの工程もまた、等しい塩分濃度の水を用いて行うこともできる。
【0140】
一実施形態では、本方法は、当然ながら、水攻法と組み合わせることもできる。水攻法では、水が、少なくとも1つの注入井を介して石油鉱床に注入され、原油が少なくとも1つの採掘井を介して、鉱床から採掘される。水は淡水であってもよく、または塩水、海水または鉱床水などの塩水であってもよい。水攻法の後、本発明の方法を使用してもよい。
【0141】
本発明による方法を実施するため、少なくとも1つの採掘井および少なくとも1つの注入井が、石油鉱床に掘られている。一般に、鉱床には、複数の注入井および複数の採掘井が設けられている。記載されている構成成分の水性配合物が、少なくとも1つの注入井を介して石油鉱床に注入され、原油が少なくとも1つの採掘井を介して、鉱床から採掘される。「圧入」と呼ばれる、注入された水性配合物によって生じた圧力の結果、石油は採掘井の方向に流れ、採掘井を介して産出される。本文脈において、用語「石油」は、当然ながら、単一相油を単に意味するものではない。むしろ、この用語は、慣用的な原油−水エマルションも包含する。石油鉱床はまた、ある温度分布を有し得ることが、当業者に明白である。前記鉱床温度は、注入井と採掘井との間の鉱床の領域に基づくものであり、水溶液を用いる圧入法により範囲が及ぶものである。石油鉱床の温度分布を決定する方法は、当業者に原則として公知である。温度分布は、一般に、シミュレーション計算と組み合わせて、地層中の特定の部位における温度測定値から決定される。このシミュレーション計算はまた、地層に導入された熱量および地層から除去された熱量を考慮する。
【0142】
本発明の方法は、とりわけ、5mD〜4D、好ましくは50mD〜2D、およびより好ましくは200mD〜1Dの平均空隙率を有する石油鉱床に使用することができる。石油地層の透過率は、単位「ダルシー」(「D」に、または「ミリダルシー」の場合、「mD」に略される)で当業者により報告され、適用された圧力差の関数として、石油地層における液相の流速から決定することができる。この流速は、地層から除去されたドリルコアを用いるコア圧入実験において決定することができる。この詳細は、例えば、K.Weggen、G.Pusch、H.Rischmuellerにおける、「Oil and Gas」頁37ff.、Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,Online Edition、Wiley−VCH、Weinheim2010年に見出すことができる。石油鉱床中の透過率が均一である必要がないことは当業者に明白であるが、一般に、ある分布を有しており、したがって、石油鉱床の報告されている透過率は、平均透過率のことである。
【0143】
本方法を実施するために、水のみならず、一般式(I)の陰イオン性界面活性剤(A)および一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)からなる、少なくとも記載されている界面活性剤混合物を含む、水性配合物が使用される。
【0144】
本配合物は、塩を含む水で作製される。当然ながら、様々な塩の混合物であってもよい。例えば、水性配合物を作製するために海水を使用することが可能であり、または、この方法で再使用される、生じた地層水を使用することが可能である。海上での産出プラットフォームの場合、この配合物は、一般に、海水で作製される。陸上産出の設備の場合、ポリマーは、まず淡水に溶解するのが有利となり得、得られた溶液を地層水により所望の使用濃度まで希釈することができる。鉱床水または海水は、少なくとも100ppmの二価陽イオンを含むべきである。
【0145】
塩は、とりわけ、アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩とすることができる。典型的な陰イオン(anion)の例には、Na、K、Mg2+およびCa2+が含まれ、典型的な陽イオン(cation)の例には、塩化物イオン、臭化物イオン、炭酸水素イオン、硫酸イオンおよびホウ酸イオンが含まれる。
【0146】
一般に、少なくとも1種、または2種以上のアルカリ金属イオン、とりわけ少なくともNaが存在する。さらに、アルカリ土類金属イオンも存在し、この場合、アルカリ金属イオン/アルカリ土類金属イオンの質量比は一般に、≧2、好ましくは≧3である。存在する陰イオンは、一般に、少なくとも1種、または2種以上のハロゲン化物イオン、とりわけ少なくともClである。一般に、Clの量は、すべての陰イオンの合計に対して、少なくとも50質量%、好ましくは少なくとも80質量%である。
【0147】
水性配合物中のすべての塩の総量は、配合物中のすべての構成成分の合計に対して、最大350000ppm(質量部)、例えば2000ppm〜350000ppm、とりわけ5000ppm〜250000ppmとすることができる。配合物の作製に海水を使用する場合、塩の含有量は、2000ppm〜40000ppmとすることができ、地層水が使用される場合、塩の含有量は、5000ppm〜250000ppm、例えば10000ppm〜200000ppmとすることができる。アルカリ土類金属イオンの量は、好ましくは100〜53000ppm、より好ましくは120ppm〜20000ppm、さらにより好ましくは150〜6000ppmとすることができる。
【0148】
例えば、望ましくない副作用、例えば、塩の望ましくない沈殿を防止するため、または使用されるポリマーを安定化するため、添加物を使用することができる。圧入の過程で地層に注入されるポリマー含有配合物は、採掘井の方向に非常に穏やかにしか流れず、このことは、このポリマー含有配合物は、長時間、地層中に、地層条件下で留まっていることを意味する。ポリマーの分解により、粘度が低下する。これは、より多量のポリマーを使用することによって考慮されなければならないか、または他には本方法の効率が悪化することを許容しなければならない。どのような場合でも、本方法の経済的実現可能性が悪化する。多くの機構が、ポリマーの分解の原因となり得る。適切な添加物によって、本条件によるポリマーの分解を予防するか、または少なくとも遅延させることが可能である。
【0149】
本発明の一実施形態では、使用される水性配合物は、少なくとも1つの酸素捕捉剤を含む。酸素捕捉剤は、恐らく水性配合物中に存在し得る酸素と反応し、こうして酸素がポリマーまたはポリエーテル基を攻撃することができることを阻止する。酸素捕捉剤の例には、亜硫酸塩、例えばNaSO、重亜硫酸塩、亜リン酸塩、次亜リン酸塩または亜ジチオン酸塩が含まれる。
【0150】
本発明のさらなる実施形態では、使用される水性配合物は、少なくとも1種の遊離ラジカル捕捉剤を含む。遊離ラジカル捕捉剤を使用して、遊離ラジカルによるポリマーの分解を妨げることができる。この種の化合物は、遊離ラジカルを有する安定化合物を形成することができる。遊離ラジカル捕捉剤は、当業者に原則として公知である。例えば、それらは、硫黄化合物、二級アミン、立体的障害アミン、N−オキシド、ニトロソ化合物、芳香族ヒドロキシル化合物またはケトンからなる群から選択される安定剤とすることができる。硫黄化合物の例には、チオウレア、置換チオウレア(N,N’−ジメチルチオウレア、N,N’−ジエチルチオウレア、N,N’−ジフェニルチオウレアなど)、チオシアン酸塩(例えば、チオシアン酸アンモニウムまたはチオシアン酸カリウム)、テトラメチルチウラムジスルフィド、およびメルカプタン(2−メルカプトベンゾチアゾールまたは2−メルカプトベンゾイミダゾールなど)、またはそれらの塩(例えばナトリウム塩)、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、2,2’−ジチオビス(ベンゾチアゾール)、4,4’−チオビス(6−t−ブチル−m−クレゾール)が含まれる。さらなる例には、フェノキサジン、カルボキシル化フェノキサジンの塩、カルボキシレート化フェノキサジン、メチレンブルー、ジシアンジアミド、グアニジン、シアナミド、パラメトキシフェノール、パラメトキシフェノールのナトリウム塩、2−メチルヒドロキノン、2−メチルヒドロキノンの塩、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、ブチルヒドロキシアニソール、8−ヒドロキシキノリン、2,5−ジ(t−アミル)−ヒドロキノン、5−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン、2,5−ジ(t−アミル)ヒドロキノン、ジメドン、3,4.5−トリヒドロキシ安息香酸プロピル、アンモニウムN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルオキシピペリジン、N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミンおよび1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールが含まれる。好ましいのは、立体障害アミン(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールなど)および硫黄化合物、メルカプト化合物、とりわけ2−メルカプトベンゾチアゾールまたは2−メルカプトベンゾイミダゾールまたはそれらの塩、例えばナトリウム塩であり、特に好ましいのは、2−メルカプトベンゾチアゾールまたはその塩である。
【0151】
本発明のさらなる実施形態では、使用される水性配合物は、少なくとも1種の犠牲試薬を含む。犠牲試薬は、遊離ラジカルと反応することができ、したがって、遊離ラジカルを無害にする。例には、とりわけアルコールが含まれる。アルコールは、遊離ラジカルによって、例えばケトンに酸化され得る。例には、モノアルコールおよびポリアルコール、例えば、1−プロパノール、2−プロパノール、プロピレングリコール、グリセロール、ブタンジオールまたはペンタエリスリトールが含まれる。
【0152】
本発明のさらなる実施形態では、使用される水性配合物は、少なくとも1種の錯化剤を含む。様々な錯化剤の混合物を使用することが当然ながら可能である。錯化剤は、一般に、陰イオン性化合物であり、この化合物は、とりわけ二価および高次価金属イオン、例えばMg2+またはCa2+と錯体形成することができる。この方法で、例えば、いかなる望ましくない沈殿も予防することが可能である。さらに、存在する任意の多価金属イオンが、存在する酸性基、とりわけCOOH基によるポリマーを架橋するのを防止することが可能である。錯化剤は、とりわけカルボン酸またはホスホン酸誘導体とすることができる。錯化剤の例には、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、エチレンジアミンコハク酸(EDDS)、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸(DTPMP)、メチルグリシン二酢酸(MGDA)およびニトリロ酢酸(NTA)が含まれる。当然ながら、それぞれの対応する塩、例えば対応するナトリウム塩が含まれてもよい。本発明の特に好ましい実施形態では、MGDAは錯化剤として使用される。
【0153】
上記のキレート剤に対する代替として、またはそれに加えて、ポリアクリレートを使用することも可能である。
【0154】
本発明のさらなる実施形態では、本配合物は少なくとも1つの有機共溶媒を含む。これらは、好ましくは、水に完全に混和する溶媒であるが、水に一部しか混和しない溶媒を使用することも可能である。一般に、溶解度は、少なくとも50g/l、好ましくは少なくとも100g/lであるべきである。例には、脂肪族C〜Cアルコール、好ましくはC〜Cアルコールが含まれ、適度な水溶解度を得るため、これらのアルコールは、1〜5個、好ましくは1〜3個のエチレンオキシ単位によって置換されていてもよい。さらなる例には、2〜8個の炭素原子を有する脂肪族ジオールが含まれ、このジオールはまた、任意にさらなる置換を有していてもよい。例えば、共溶媒は、2−ブタノール、2メチル−1−プロパノール、ブチルグリコール、ブチルジグリコールおよびブチルトリグリコールからなる群から選択される、少なくとも1つとすることができる。
【0155】
水性配合物中のポリマーの濃度は、該水性配合物が最終使用に所望の粘度を有するよう固定される。配合物の粘度は、一般に、少なくとも5mPas(25℃および7s−1のせん断速度で測定した場合)、好ましくは少なくとも10mPasであるべきである。
【0156】
本発明によれば、配合物中のポリマーの濃度は、水性配合物中のすべての構成成分の合計に対して0.02〜2質量%である。その量は、好ましくは0.05〜0.5質量%、より好ましくは0.1〜0.3質量%、および例えば0.1〜0.2質量%である。
【0157】
水性ポリマー含有水性配合物は、最初に水を投入し、ポリマーを粉末として分散させ、ポリマーを水と混合することにより製造することができる。ポリマーを溶解するため、および地中の地層に水溶液を注入するための装置は、原則として当業者に公知である。
【0158】
水性配合物の注入は、慣用的な装置によって行うことができる。配合物は、慣用的なポンプにより、1つまたは複数の注入井に注入することができる。これらの注入井は、通常、定位置で浸炭鋼管により内張りされており、この浸炭鋼管は、所望の点で穴が空けられている。配合物は、上記の穴を介して注入井から石油地層に入る。原則として公知の方法でポンプによりかけられた圧力が使用されて、配合物の流速を固定し、こうして、水性配合物が地層に入るせん断応力も固定する。地層への入り口にかかるせん断応力は、流れがそこから入り口を通過して地層に入る領域、平均空隙半径および体積流量を使用して、ハーゲン−ポアズイユの法則に基づいて、原則として公知の方法で当業者によって計算することができる。地層の平均透過率は、原則として公知の方法で記載されている通り、見出すことができる。当然ながら、地層に注入される水性ポリマー配合物の体積流量が多いほど、せん断応力が大きくなる。
【0159】
注入速度は、地層における条件に従い、当業者によって固定することができる。好ましくは、水性ポリマー配合物の地層への入り口のせん断速度は、少なくとも30000s−1、好ましくは少なくとも60000s−1、およびより好ましくは少なくとも90000s−1である。
【0160】
本発明の一実施形態では、本発明の方法は、塩基、および通常、錯化剤またはポリアクリレートが使用される、圧入法である。これは、通常、鉱床水中の多価陽イオンの割合が低い場合(100〜400ppm)に該当する。例外は、メタホウ酸ナトリウム塩であり、この塩は、錯化剤が存在しない場合でさえも、かなりの量の多価陽イオン存在下で、塩基として使用することができる。
【0161】
水性化合物のpHは、一般に、少なくとも8、好ましくは少なくとも9、とりわけ9〜13、好ましくは10〜12、および例えば、10.5〜11である。
【0162】
原則として、所望のpHに到達することができるどのような種類の塩基を使用することも可能であり、当業者は適切な選択を行う。適切な塩基の例には、アルカリ金属水酸化物、例えばNaOHもしくはKOH、またはアルカリ金属炭酸塩、例えばNaCOが含まれる。さらに、これらの塩基は、塩基性塩、例えば、カルボン酸、リン酸のアルカリ金属塩、またはとりわけ、EDTANaなどの塩基形態の酸性基を含む錯化剤とすることができる。
【0163】
石油は、通常、様々なカルボン酸、例えばナフテン酸も含み、この酸は、塩基性配合物によって対応する塩に変換される。塩は、天然の界面活性剤として作用し、こうして、油の採掘過程を補助する。
【0164】
錯化剤により、アルカリ性の水性配合物が対応する金属イオンに接触するようになる場合、および/または本方法のための対応する塩を含む水性配合物が使用される場合、それほど可溶ではない塩、とりわけCa塩およびMg塩の望ましくない沈殿を防止することが有利にも可能である。錯化剤の量は当業者によって選択される。錯化剤の量は、水性配合物のすべての構成成分の合計に対して、例えば、0.1質量%〜4質量%とすることができる。
【0165】
しかし、本発明の特に好ましい実施形態では、塩基(例えば、アルカリ金属水酸化物またはアルカリ金属炭酸塩)が使用されない、石油産出方法が使用される。
【0166】
以下の実施例は、本発明およびその利点を詳細に例示することが意図されている。
【実施例】
【0167】
アルキルエーテルアルコール(B)の製造:
使用される略語:
EO エチレンオキシ
PO プロピレンオキシ
BuO 1,2−ブチレンオキシ
【0168】
合成に関しては、以下のアルコールを使用した:
【0169】
【表1】
【0170】
アルキルエーテルアルコール1:C16C18−3PO−10EO−H、KOH触媒作用による、脱塩
R1=C16H33/C18H37、x=0、y=3およびz=10である、一般式(II)R1−O−(CH2C(R2)HO)x−(CH2C(CH3)HO)y−(CH2CH2O)z−Hの界面活性剤に相当する。
【0171】
アンカー撹拌器を備えた2Lの加圧用オートクレーブに、まず、C16C18アルコール384g(1.5mol)を投入し、撹拌器の電源を入れた。その後、50%KOH水溶液5.2g(KOH0.046mol、KOH2.6g)を加え、水を留去するため、25mbarの減圧を適用し、この混合物を100℃まで加熱し、120分間、ここで維持した。この混合物をN2により3回、パージした。その後、この容器の圧力維持について試験し、1.0bar(ゲージ)(2.0bar(絶対))に設定し、この混合物を130℃に加熱し、次に、圧力を2.0bar(絶対)に設定した。1分あたり150回転数で、プロピレンオキシド262g(4.5mol)を2時間以内に、130℃で計量して入れた。pmaxは、4.0bar(絶対)とした。この混合物を130℃でさらに2時間、撹拌した。エチレンオキシド661g(15mol)を5時間以内に、130℃で計量して入れた。pmaxは、6.0bar(絶対)とした。圧力が一定になるまで、この混合物を1時間、反応させ、100℃に冷却して1.0bar(絶対)まで除圧した。<10mbarの真空を適用し、残留酸化物を2時間、取り除いた。真空をN2により解除し、生成物をN2下、80℃でデカンテーションした。Ambosol(中和用のシリケート)3質量%を加え、この混合物を100℃および<10mbarで3時間、撹拌した。真空をN2により解除し、この反応混合物をSeitz K900フィルターにより加圧ろ過した。分析(質量スペクトル、GPC、CDCl3中の1H NMR、MeOD中の1H NMR)により、平均組成C16C18−3PO−10EO−Hが確認された。
【0172】
アルキルエーテルアルコール2:C16C18−3PO−10EO−H、KOH触媒作用による、酢酸により中和
アンカー撹拌器を備えた2Lの加圧用オートクレーブに、まず、C16C18アルコール384g(1.5mol)を投入し、撹拌器の電源を入れた。その後、50%KOH水溶液5.2g(KOH0.046mol、KOH2.6g)を加え、水を留去するため、25mbarの減圧を適用し、この混合物を100℃まで加熱し、120分間、ここで維持した。この混合物をNにより3回、パージした。その後、この容器の圧力維持について試験し、1.0bar(ゲージ)(2.0bar(絶対))に設定し、この混合物を130℃に加熱し、次に圧力を2.0bar(絶対)に設定した。1分あたり150回転数で、プロピレンオキシド262g(4.5mol)を2時間以内に、130℃で計量して入れた。pmaxは4.0bar(絶対)とした。この混合物を130℃でさらに2時間、撹拌した。エチレンオキシド661g(15mol)を5時間以内に、130℃で計量して入れた。pmaxは、6.0bar(絶対)とした。圧力が一定になるまで、この混合物を1時間、反応させ、100℃に冷却して1.0bar(絶対)まで除圧した。<10mbarの真空を適用し、残留酸化物を2時間、取り除いた。真空をNで解除し、生成物を80℃まで冷却し、酢酸2.8g(0.046mol)を加えた。次に、この生成物をN下、80℃でデカンテーションした。分析(質量スペクトル、GPC、CDCl中の1H NMR、MeOD中の1H NMR)により、平均組成C16C18−3PO−10EO−Hが確認された。
【0173】
アルキルエーテルアルコール3:C16C18−3PO−10EO−H、KOH触媒作用による、塩基性
アンカー撹拌器を備えた2Lの加圧用オートクレーブに、まず、C16C18アルコール384g(1.5mol)を投入し、撹拌器の電源を入れた。その後、50%KOH水溶液5.2g(KOH0.046mol、KOH2.6g)を加え、水を留去するため、25mbarの減圧を適用し、この混合物を100℃まで加熱し、120分間、ここで維持した。この混合物をNにより3回、パージした。その後、この容器の圧力維持について試験し、1.0bar(ゲージ)(2.0bar(絶対))に設定し、この混合物を130℃に加熱し、次に圧力を2.0bar(絶対)に設定した。1分あたり150回転数で、プロピレンオキシド262g(4.5mol)を2時間以内に、130℃で計量して入れた。pmaxは4.0bar(絶対)とした。この混合物を130℃でさらに2時間、撹拌した。エチレンオキシド661g(15mol)を5時間以内に、130℃で計量して入れた。pmaxは、6.0bar(絶対)とした。圧力が一定になるまで、この混合物を1時間、反応させ、100℃に冷却して1.0bar(絶対)まで除圧した。<10mbarの真空を適用し、残留酸化物を2時間、取り除いた。真空をNで解除し、生成物をN下、80℃でデカンテーションした。分析(質量スペクトル、GPC、CDCl中の1H NMR、MeOD中の1H NMR)により、平均組成C16C18−3PO−10EO−Hが確認された。
【0174】
アルキルエーテルアルコール4:C16C18−3PO−10EO−H、NaOH触媒作用による、塩基性
アンカー撹拌器を備えた2Lの加圧用オートクレーブに、まず、C16C18アルコール384g(1.5mol)を投入し、撹拌器の電源を入れた。その後、50%NaOH水溶液5.2g(NaOH0.065mol、NaOH2.6g)を加え、水を留去するため、25mbarの減圧を適用し、この混合物を100℃まで加熱し、120分間、ここで維持した。この混合物をNにより3回、パージした。その後、この容器の圧力維持について試験し、1.0bar(ゲージ)(2.0bar(絶対))に設定し、この混合物を130℃に加熱し、次に圧力を2.0bar(絶対)に設定した。1分あたり150回転数で、プロピレンオキシド262g(4.5mol)を2時間以内に、130℃で計量して入れた。pmaxは5.0bar(絶対)とした。この混合物を130℃でさらに2時間、撹拌した。エチレンオキシド661g(15mol)を5時間以内に、130℃で計量して入れた。pmaxは、6.0bar(絶対)とした。圧力が一定になるまで、この混合物を1時間、反応させ、100℃に冷却して1.0bar(絶対)まで除圧した。<10mbarの真空を適用し、残留酸化物を2時間、取り除いた。真空をNで解除し、生成物をN下、80℃でデカンテーションした。分析(質量スペクトル、GPC、CDCl中の1H NMR、MeOD中の1H NMR)により、平均組成C16C18−3PO−10EO−Hが確認された。
【0175】
アルキルエーテルアルコール5:C16C18−7PO−10EO−H、KOH触媒作用による、脱塩
=C1633/C1837、x=0、y=7およびz=10である、一般式(II)R−O−(CHC(R)HO)−(CHC(CH)HO)−(CHCHO)−Hの界面活性剤に相当する。
【0176】
アンカー撹拌器を備えた2Lの加圧用オートクレーブに、まず、C16C18アルコール256g(1.0mol)を投入し、撹拌器の電源を入れた。その後、50%KOH水溶液2.2g(KOH0.020mol、KOH1.1g)を加え、水を留去するため、25mbarの減圧を適用し、この混合物を100℃まで加熱し、120分間、ここで維持した。この混合物をNにより3回、パージした。その後、この容器の圧力維持について試験し、1.0bar(ゲージ)(2.0bar(絶対))に設定し、この混合物を140℃に加熱し、次に、圧力を2.0bar(絶対)に設定した。1分あたり150回転数で、プロピレンオキシド407g(7mol)を5時間以内に、140℃で計量して入れた。pmaxは、6.0bar(絶対)とした。この混合物を140℃でさらに2時間、撹拌した。エチレンオキシド441g(10mol)を10時間以内に、140℃で計量して入れた。pmaxは、5.0bar(絶対)とした。圧力が一定になるまで、この混合物を1時間、反応させ、100℃に冷却して1.0bar(絶対)まで除圧した。<10mbarの真空を適用し、残留酸化物を2時間、取り除いた。真空をNにより解除し、生成物をN下、80℃でデカンテーションした。Ambosol(中和用のシリケート)3質量%を加え、この混合物を100℃および<10mbarで3時間、撹拌した。真空をNにより解除し、この反応混合物をSeitz K900フィルターにより加圧ろ過した。分析(質量スペクトル、GPC、CDCl中の1H NMR、MeOD中の1H NMR)により、平均組成C16C18−7PO−10EO−Hが確認された。
【0177】
アルキルエーテルアルコール6:C16C18−7PO−4EO−H、KOH触媒作用による、脱塩
=C1633/C1837、x=0、y=7およびz=4である、一般式(II)R−O−(CHC(R)HO)−(CHC(CH)HO)−(CHCHO)−Hの界面活性剤に相当する。
【0178】
アンカー撹拌器を備えた2Lの加圧用オートクレーブに、まず、C16C18アルコール308.7g(1.21mol)を投入し、撹拌器の電源を入れた。その後、50%KOH水溶液4.0g(KOH0.046mol、KOH2.0g)を加え、水を留去するため、25mbarの減圧を適用し、この混合物を100℃まで加熱し、120分間、ここで維持した。この混合物をNにより3回、パージした。その後、この容器の圧力維持について試験し、1.0bar(ゲージ)(2.0bar(絶対))に設定し、この混合物を130℃に加熱し、次に、圧力を2.0bar(絶対)に設定した。1分あたり150回転数で、プロピレンオキシド487g(8.44mol)を6時間以内に、130℃で計量して入れた。pmaxは、6.0bar(絶対)とした。この混合物を130℃でさらに2時間、撹拌した。エチレンオキシド211g(4.8mol)を4時間以内に、130℃で計量して入れた。pmaxは、5.0bar(絶対)とした。圧力が一定になるまで、この混合物を1時間、反応させ、100℃に冷却して1.0bar(絶対)まで除圧した。<10mbarの真空を適用し、残留酸化物を2時間、取り除いた。真空をNにより解除し、生成物をN下、80℃でデカンテーションした。Ambosol(中和用のシリケート)3質量%を加え、この混合物を100℃および<10mbarで3時間、撹拌した。真空をNにより解除し、この反応混合物をSeitz K900フィルターにより加圧ろ過した。分析(質量スペクトル、GPC、CDCl中の1H NMR、MeOD中の1H NMR)により、平均組成C16C18−7PO−4EO−Hが確認された。
【0179】
アルキルエーテルアルコール7:C16C18C20−ゲルベ−18EO−H、KOH触媒作用による、脱塩
=C1633/C1837/C2041、x=0、y=0およびz=18である、一般式(II)R−O−(CHC(R)HO)−(CHC(CH)HO)−(CHCHO)−Hの界面活性剤に相当する。
【0180】
アンカー撹拌器を備えた2Lの加圧用オートクレーブに、まず、C16C18C20ゲルベアルコール261g(1.01mol)を投入し、撹拌器の電源を入れた。その後、50%KOH水溶液4.2g(KOH0.038mol、KOH2.1g)を加え、水を留去するため、25mbarの減圧を適用し、この混合物を100℃まで加熱し、120分間、ここで維持した。この混合物をNにより3回、パージした。その後、この容器を圧力維持について試験し、1.0bar(ゲージ)(2.0bar(絶対))に設定し、この混合物を130℃に加熱し、次に、圧力を2.0bar(絶対)に設定した。1分あたり150回転数で、エチレンオキシド799g(18.2mol)を14時間以内に、130℃で計量して入れた。Pmaxは、5.0bar(絶対)とした。圧力が一定になるまで、この混合物を1時間、反応させ、100℃に冷却して1.0bar(絶対)まで除圧した。<10mbarの真空を適用し、残留酸化物を2時間、取り除いた。真空をNにより解除し、生成物をN下、80℃でデカンテーションした。Ambosol(中和用のシリケート)3質量%を加え、この混合物を100℃および<10mbarで3時間、撹拌した。真空をNにより解除し、この反応混合物をSeitz K900フィルターにより加圧ろ過した。分析(質量スペクトル、GPC、CDCl中の1H NMR、MeOD中の1H NMR)により、平均組成C16C18C20ゲルベ−18EO−Hが確認された。
【0181】
アルキルエーテルアルコール8:C16C18C20−ゲルベ−10EO−H、KOH触媒作用による、脱塩
=C1633/C1837/C2041、x=0、y=0およびz=10である、一般式(II)R−O−(CHC(R)HO)−(CHC(CH)HO)−(CHCHO)−Hの界面活性剤に相当する。
【0182】
アンカー撹拌器を備えた2Lの加圧用オートクレーブに、まず、C16C18C20ゲルベアルコール396g(1.53mol)を投入し、撹拌器の電源を入れた。その後、50%KOH水溶液4.17g(KOH0.037mol、KOH2.1g)を加え、水を留去するため、25mbarの減圧を適用し、この混合物を100℃まで加熱し、120分間、ここで維持した。この混合物をNにより3回、パージした。その後、この容器を圧力維持について試験し、1.0bar(ゲージ)(2.0bar(絶対))に設定し、この混合物を140℃に加熱し、次に、圧力を2.0bar(絶対)に設定した。1分あたり150回転数で、エチレンオキシド675g(15.3mol)を14時間以内に、140℃で計量して入れた。Pmaxは、5.0bar(絶対)とした。圧力が一定になるまで、この混合物を1時間、反応させ、100℃に冷却して1.0bar(絶対)まで除圧した。<10mbarの真空を適用し、残留酸化物を2時間、取り除いた。真空をNにより解除し、生成物をN下、80℃でデカンテーションした。Ambosol(中和用のシリケート)3質量%を加え、この混合物を100℃および<10mbarで3時間、撹拌した。真空をNにより解除し、この反応混合物をSeitz K900フィルターにより加圧ろ過した。分析(質量スペクトル、GPC、CDCl中の1H NMR、MeOD中の1H NMR)により、平均組成C16C18C20ゲルベ−10EO−Hが確認された。
【0183】
アルキルエーテルアルコール9:2PH−14EO−H、KOH触媒作用による、脱塩
=C1021、x=0、y=0およびz=14である、一般式(II)R−O−(CHC(R)HO)−(CHC(CH)HO)−(CHCHO)−Hの界面活性剤に相当する。
【0184】
アンカー撹拌器を備えた2Lの加圧用オートクレーブに、まず、2−プロピルヘプタノール234g(1.5mol)を投入し、撹拌器の電源を入れた。その後、50%KOH水溶液4.6g(KOH0.041mol、KOH2.3g)を加え、水を留去するため、25mbarの減圧を適用し、この混合物を100℃まで加熱し、120分間、ここで維持した。この混合物をNにより3回、パージした。その後、この容器を圧力維持について試験し、1.0bar(ゲージ)(2.0bar(絶対))に設定し、この混合物を130℃に加熱し、次に、圧力を2.0bar(絶対)に設定した。1分あたり150回転数で、エチレンオキシド924g(21mol)を16時間以内に、130℃で計量して入れた。Pmaxは、6.0bar(絶対)とした。圧力が一定になるまで、この混合物を1時間、反応させ、100℃に冷却して1.0bar(絶対)まで除圧した。<10mbarの真空を適用し、残留酸化物を2時間、取り除いた。真空をNにより解除し、生成物をN下、80℃でデカンテーションした。Ambosol(中和用のシリケート)3質量%を加え、この混合物を100℃および<10mbarで3時間、撹拌した。真空をNにより解除し、この反応混合物をSeitz K900フィルターにより加圧ろ過した。分析(質量スペクトル、GPC、CDCl中の1H NMR、MeOD中の1H NMR)により、平均組成2PH−14EO−Hが確認された。
【0185】
アルキルエーテルアルコール10:C16C18−7PO−10EO−H、KOH触媒作用による、塩基性
=C1633/C1837、x=0、y=7およびz=10である、一般式(II)R−O−(CHC(R)HO)−(CHC(CH)HO)−(CHCHO)−Hの界面活性剤に相当する。
【0186】
アンカー撹拌器を備えた2Lの加圧用オートクレーブに、まず、C16C18アルコール304g(1.19mol)を投入し、撹拌器の電源を入れた。その後、50%KOH水溶液4.13g(KOH0.037mol、KOH2.07g)を加え、水を留去するため、25mbarの減圧を適用し、この混合物を100℃まで加熱し、120分間、ここで維持した。この混合物をNにより3回、パージした。その後、この容器の圧力維持について試験し、1.0bar(ゲージ)(2.0bar(絶対))に設定し、この混合物を130℃に加熱し、次に、圧力を2.0bar(絶対)に設定した。1分あたり150回転数で、プロピレンオキシド482g(8.31mol)を6時間以内に、130℃で計量して入れた。pmaxは、6.0bar(絶対)とした。この混合物を130℃でさらに2時間、撹拌した。エチレンオキシド522g(11.9mol)を10時間以内に、130℃で計量して入れた。pmaxは、5.0bar(絶対)とした。圧力が一定になるまで、この混合物を1時間、反応させ、100℃に冷却して1.0bar(絶対)まで除圧した。<10mbarの真空を適用し、残留酸化物を2時間、取り除いた。真空をNにより解除し、生成物をN下、80℃でデカンテーションした。分析(質量スペクトル、GPC、CDCl中の1H NMR、MeOD中の1H NMR)により、平均組成C16C18−7PO−10EO−Hが確認された。
【0187】
アルキルエーテルカルボキシレート(A)/アルキルエーテルアルコール(B)混合物の製造:
使用される略語:
EO エチレンオキシ
PO プロピレンオキシ
BuO 1,2−ブチレンオキシ
【0188】
アルキルエーテルカルボキシレート/アルキルエーテルアルコール混合物1a):C16C18−3PO−10EO−CHCONa/C16C18−3PO−10EO−H、KOH触媒作用による、脱塩
=C1633/C1837、x=0、y=3およびz=10、M=Naである、一般式(I)R−O−(CHC(R)HO)−(CHC(CH)HO)−(CHCHO)−CHCOMの界面活性剤と一般式(II)R−O−(CHC(R)HO)−(CHC(CH)HO)−(CHCHO)−Hの界面活性剤との界面活性剤混合物に相当する。
【0189】
三段階式ビーム撹拌器(three−level beam stirrer)を備えた250mLフランジ反応器に、C16C18−3PO−10EO−H(アルキルアルコキシレート1の製造例から、KOH触媒、脱塩)152.3g(0.175mol、1.0当量)およびクロロ酢酸ナトリウム塩22.9g(0.193mol、1.1当量)を投入し、この混合物を標準圧下、1分あたり400回転数で15分間、60℃で撹拌した。その後、以下の手順を8回、行った:NaOHマイクロプリル(直径0.5〜1.5mm)0.96g(0.0240mol、0.1375当量)を導入し、30mbarの真空を適用して反応の水を除去し、この混合物を50分間、撹拌し、次に、Nにより真空を解除した。合計7.7g(0.193mol、1.1当量)のNaOHマイクロプリルを、約6.5時間かけて加えた。この期間の最初の1時間にわたり、回転速度を1分あたり約1000回転数に増加した。その後、60℃および30mbarで4時間、撹拌を継続した。真空をNにより解除し、実験物(experiment)をデカンテーションして取り出した(収率>95%)。
【0190】
これにより、20℃で白色から黄色の粘ちょうな液体が得られた。pH(水中、5%)は8.0であった。水分含有量は、反応の終了時に0.9%であった(反応中の水分含有量は、NaOHの第2の添加前は0.8%、NaOHの第3の添加前は0.9%、NaOHの第4の添加前は1.3%、NaOHの第5の添加前は1.1%、NaOHの第6の添加前は0.7%およびNaOHの第7の添加前は0.9%であった)。クロロ酢酸ナトリウム塩の転化率に関すると、NaCl含有量は、塩化物分析または1H NMRにより決定した。MeODの中のH NMRにより、クロロ酢酸ナトリウム塩のモル比を決定する(3.92〜3.94ppmにおいて隔離されたシグナルを使用)。それは、クロロ酢酸ナトリウム塩が約0.01当量に相当する。NaClの割合は、約6.1質量%(有機結合している塩素の無機塩化物への変換率は、約99mol%に相当する)である。NMR分光法(Hおよび13C)によって、所望の界面活性剤混合物の存在が確認され、二次化合物の割合を決定した。MeODの中のH NMRからのカルボキシメチル化レベルの直接的な決定は、約3.65〜3.80ppmにおけるアルキルエーテルカルボキシレートのシグナルが、二グリコール酸二ナトリウム塩のシグナルと重なる(カルボキシレート基に直接隣接している炭素原子上およびエーテル官能基中の酸素原子上のプロトン)ので、残念なことに、明確にするのは不可能である。したがって、カルボキシメチル化レベルは、以下の通り決定した。MeODの中のH NMRによって、グリコール酸ナトリウム塩のモル比を決定する(3.82〜3.84ppmにおける隔離されているシグナルを使用する:カルボキシレート基に直接隣接している炭素原子上およびエーテル官能基またはアルコール官能基中の酸素原子上のプロトン)。それは、約0.05当量のグリコール酸ナトリウム塩に相当する。次の段階として、反応混合物のOH数を決定する。それは、15.4mg KOH/gである。ここから、グリコール酸ナトリウム塩中のOH基に由来する割合を減算しなければならない(約2.7mg KOH/g)。これにより、補正OH数として、12.7mg KOH/gが得られる。アルキルアルコキシレートが、100%の程度で依然として存在する場合、補正されたOH数は、54.8mg KOH/g(もし減少していなければ、アルキルアルコキシレートは反応混合物中、85%の質量比を有していることになる)となる。12.7は、54.8の約23%になる。したがって、C16C18−3PO−10EO−Hのモル比は、約23mol%(および、アルキルエーテルカルボキシレート約77mol%の割合)である。したがって、カルボキシメチル化レベルは約77%である。さらに、このことは、MeOD中の13C NMRによってさらに確認される。二グリコール酸二ナトリウム塩およびアルキルエーテルカルボキシレートに関する、ここでのシグナルは、互いに分離される(177〜178ppmにおけるカルボキシレート基の炭素原子のシグナル、シグナルは、スパイク実験により互いに区別することができる)。CDCl(TAIはシフト試薬であり、トリクロロアセチルイソシアネートを表す)中のH TAI NMRによる、C16C18−3PO−10EO−Hの割合の決定は、陰イオン性アルキルエーテルカルボキシレートが非イオン性アルキルアルコキシレートよりもCDCl中への溶解度に乏しいので、限定された程度でしか可能ではない。
【0191】
アルキルエーテルカルボキシレート/アルキルエーテルアルコール混合物1b):C16C18−3PO−10EO−CHCONa/C16C18−3PO−10EO−H、KOH触媒作用による、脱塩
実施例1a)の代替製造方法は、三段階式ビーム撹拌器および窒素流と組み合わせた約150mbarの真空を使用する代わり(30mbarの真空ではなく)に、一段式歯付きディスク型撹拌器(one−level toothed disk stirrer)の使用である。他には、この反応は、1a)において記載されている方法と同様に行われる。約80%のカルボキシメチル化レベルおよび二次構成成分の非常に類似したスペクトルが得られた。
【0192】
アルキルエーテルカルボキシレート/アルキルエーテルアルコール混合物2:C16C18−3PO−10EO−CHCONa/C16C18−3PO−10EO−H、酢酸カリウムおよび水を含む
三段階式ビーム撹拌器を備えた250mLフランジ反応器に、酢酸カリウム0.35g、水2.0gおよびクロロ酢酸ナトリウム塩26.2g(0.220mol、1.1当量)と混合したC16C18−3PO−10EO−H 174.0g(0.20mol、1.0当量)を投入し、この混合物を標準圧下、1分あたり400回転数で15分間、60℃で撹拌した。その後、以下の手順を8回、行った:NaOHマイクロプリル(直径0.5〜1.5mm)1.1g(0.0275mol、0.1375当量)を導入し、30mbarの真空を適用して反応の水を除去し、この混合物を50分間、撹拌し、次に、Nにより真空を解除した。合計8.8g(0.220mol、1.1当量)のNaOHマイクロプリルを、約6.5時間かけて加えた。この期間の最初の1時間にわたり、回転速度を1分あたり約1000回転数に増加した。その後、60℃および30mbarで4時間、撹拌を継続した。真空をNにより解除し、実験物をデカンテーションして取り出した(収率>95%)。
【0193】
これにより、20℃で白色から黄色の粘ちょうな液体が得られた。pH(水中、5%)は8.5であった。水分含有量は1.2%であった。分析は、前の実施例と同様に行った。クロロ酢酸ナトリウム塩のモル比は、約2mol%である。NaCl含有量は、約6.1質量%である。反応混合物のOH数は、21.0mg KOH/gである。グリコール酸ナトリウム塩のモル比は、約5mol%である。カルボキシメチル化レベルは72%である。
【0194】
アルキルエーテルカルボキシレート/アルキルエーテルアルコール混合物3:C16C18−3PO−10EO−CHCONa/C16C18−3PO−10EO−H、KOH触媒作用による、塩基性
三段階式ビーム撹拌器を備えた250mLフランジ反応器に、C16C18−3PO−10EO−H(C16C18−3PO−10EO−K(アルキルエーテルアルコール3の製造例から、KOH触媒、塩基性)を0.004mol含む)112.8g(0.13mol、1.0当量)およびクロロ酢酸ナトリウム塩17g(0.143mol、1.1当量)を投入し、この混合物を標準圧下、1分あたり400回転数で15分間、60℃で撹拌した。その後、以下の手順を8回、行った:NaOHマイクロプリル(直径0.5〜1.5mm)0.70g(0.0174mol、0.1338当量)を導入し、30mbarの真空を適用して反応の水を除去し、この混合物を50分間、撹拌し、次に、Nにより真空を解除した。合計5.56g(0.139mol、1.07当量)のNaOHマイクロプリルを、約6.5時間かけて加えた。この期間の最初の1時間にわたり、回転速度を1分あたり約1000回転数に増加した。その後、60℃および30mbarで4時間、撹拌を継続した。真空をNにより解除し、実験物をN下、デカンテーションして取り出した(収率>95%)。
【0195】
これにより、20℃で白色から黄色の粘ちょうな液体が得られた。pH(水中、5%)は7であった。水分含有量は1.0%であった。分析は、前の実施例と同様に行った。クロロ酢酸ナトリウム塩のモル比は、約1mol%である。NaCl含有量は、約6.1質量%である。反応混合物のOH数は、16.7mg KOH/gである。グリコール酸ナトリウム塩のモル比は、約4mol%である。カルボキシメチル化レベルは74%である。
【0196】
アルキルエーテルカルボキシレート/アルキルエーテルアルコール混合物4:C16C18−3PO−10EO−CHCONa/C16C18−3PO−10EO−H、NaOH触媒作用による、塩基性
三段階式ビーム撹拌器を備えた250mLフランジ反応器に、C16C18−3PO−10EO−H(C16C18−3PO−10EO−Na(アルキルアルコキシレート4の製造例から、NaOH触媒、塩基性)を0.008mol含む)161.8g(0.186mol、1.0当量)およびクロロ酢酸ナトリウム塩24.4g(0.205mol、1.1当量)を投入し、この混合物を標準圧下、1分あたり400回転数で15分間、60℃で撹拌した。その後、以下の手順を8回、行った:NaOHマイクロプリル(直径0.5〜1.5mm)0.99g(0.0246mol、0.1324当量)を導入し、30mbarの真空を適用して反応の水を除去し、この混合物を50分間、撹拌し、次に、Nにより真空を解除した。合計7.88g(0.197mol、1.06当量)のNaOHマイクロプリルを、約6.5時間かけて加えた。この期間の最初の1時間にわたり、回転速度を1分あたり約1000回転数に増加した。その後、60℃および30mbarで4時間、撹拌を継続した。真空をNにより解除し、実験物をデカンテーションして取り出した(収率>95%)。
【0197】
これにより、20℃で白色から黄色の粘ちょうな液体が得られた。pH(水中、5%)は7であった。水分含有量は0.9%であった。分析は、前の実施例と同様に行った。クロロ酢酸ナトリウム塩のモル比は、約1mol%である。NaCl含有量は、約6.1質量%である。反応混合物のOH数は、15.4mg KOH/gである。グリコール酸ナトリウム塩のモル比は、約3mol%である。カルボキシメチル化レベルは75%である。
【0198】
アルキルエーテルカルボキシレート/アルキルエーテルアルコール混合物5:C16C18−7PO−10EO−CHCONa/C16C18−7PO−10EO−H、KOH触媒作用による、脱塩
=C1633/C1837、x=0、y=7およびz=10、M=Naである、一般式(I)R−O−(CHC(R)HO)−(CHC(CH)HO)−(CHCHO)−CHCOMの界面活性剤と一般式(II)R−O−(CHC(R)HO)−(CHC(CH)HO)−(CHCHO)−Hの界面活性剤との界面活性剤混合物に相当する。
【0199】
三段階式ビーム撹拌器を備えた250mLフランジ反応器に、C16C18−7PO−10EO−H(アルキルアルコキシレート5の製造例から、KOH触媒、脱塩)143.3g(0.130mol、1.0当量)およびクロロ酢酸ナトリウム塩17.0g(0.143mol、1.1当量)を投入し、この混合物を標準圧下、1分あたり400回転数で15分間、45℃で撹拌した。その後、以下の手順を8回、行った:NaOHマイクロプリル(直径0.5〜1.5mm)0.72g(0.0179mol、0.1375当量)を導入し、30mbarの真空を適用して反応の水を除去し、この混合物を50分間、撹拌し、次に、Nにより真空を解除した。合計5.72g(0.143mol、1.1当量)のNaOHマイクロプリルを、約6.5時間かけて加えた。この期間の最初の1時間にわたり、回転速度を1分あたり約1000回転数に増加した。その後、45℃および30mbarで4時間、撹拌を継続した。真空をNにより解除し、実験物をデカンテーションして取り出した(収率>95%)。
【0200】
これにより、20℃で白色から黄色の粘ちょうな液体が得られた。pH(水中、5%)は8.5であった。水分含有量は1.5%であった。分析は、前の実施例と同様に行った(0%の転化率では、より高い分子量となることを考慮すると、反応混合物の場合、44.6mg KOH/gのOH数となるであろう)。クロロ酢酸ナトリウム塩のモル比は、約5mol%である。NaCl含有量は、約4.8質量%である。反応混合物のOH数は、16.2mg KOH/gである。グリコール酸ナトリウム塩のモル比は、約5mol%である。カルボキシメチル化レベルは70%である。
【0201】
アルキルエーテルカルボキシレート/アルキルエーテルアルコール混合物6:C16C18−7PO−4EO−CHCONa/C16C18−7PO−4EO−H、KOH触媒作用による、脱塩
=C1633/C1837、x=0、y=7およびz=4、M=Naである、一般式(I)R−O−(CHC(R)HO)−(CHC(CH)HO)−(CHCHO)−CHCOMの界面活性剤と一般式(II)R−O−(CHC(R)HO)−(CHC(CH)HO)−(CHCHO)−Hの界面活性剤との界面活性剤混合物に相当する。
【0202】
三段階式ビーム撹拌器を備えた250mLフランジ反応器に、C16C18−7PO−10EO−H(アルキルアルコキシレート6の製造例から、KOH触媒、脱塩)127.5g(0.15mol、1.0当量)およびクロロ酢酸ナトリウム塩19.6g(0.165mol、1.1当量)を投入し、この混合物を標準圧下、1分あたり400回転数で15分間、60℃で撹拌した。その後、以下の手順を8回、行った:NaOHマイクロプリル(直径0.5〜1.5mm)0.83g(0.0206mol、0.1375当量)を導入し、30mbarの真空を適用して反応の水を除去し、この混合物を50分間、撹拌し、次に、Nにより真空を解除した。合計6.6g(0.165mol、1.1当量)のNaOHマイクロプリルを、約6.5時間かけて加えた。この期間の最初の1時間にわたり、回転速度を1分あたり約1000回転数に増加した。その後、60℃および30mbarで4時間、撹拌を継続した。真空をNにより解除し、実験物をデカンテーションして取り出した(収率>95%)。
【0203】
これにより、20℃で白色から黄色の粘ちょうな液体が得られた。pH(水中、5%)は8.5であった。水分含有量は0.9%であった。分析は、前の実施例と同様に行った(0%の転化率では、より高い分子量となることを考慮すると、反応混合物の場合、56.5mg KOH/gのOH数となるであろう)。クロロ酢酸ナトリウム塩のモル比は、約1mol%である。NaCl含有量は、約6.4質量%である。反応混合物のOH数は、23.2mg KOH/gである。グリコール酸ナトリウム塩のモル比は、約2mol%である。カルボキシメチル化レベルは61%である。
【0204】
アルキルエーテルカルボキシレート/アルキルエーテルアルコール混合物7:C16C18C20−ゲルベ−18EO−CHCONa/C16C18C20−ゲルベ−18EO−H、KOH触媒作用による、塩基性
=C1633/C1837/C2041、x=0、y=0およびz=18、M=Naである、一般式(I)R−O−(CHC(R)HO)−(CHC(CH)HO)−(CHCHO)−CHCOMの界面活性剤と一般式(II)R−O−(CHC(R)HO)−(CHC(CH)HO)−(CHCHO)−Hの界面活性剤との界面活性剤混合物に相当する。
【0205】
三段階式ビーム撹拌器を備えた250mLフランジ反応器に、C16C18C20−ゲルベ−18EO−H(C16C18C20−ゲルベ−18EO−K(脱塩を行わず、アルコキシレートは塩基性のままであることを除くと、アルキルアルコキシレート7の製造例と同様)を0.006mol含む)159.3g(0.150mol、1.0当量)およびクロロ酢酸ナトリウム塩19.6g(0.165mol、1.1当量)を投入し、この混合物を標準圧下、1分あたり400回転数で15分間、45℃で撹拌した。その後、以下の手順を8回、行った:NaOHマイクロプリル(直径0.5〜1.5mm)0.80g(0.0199mol、0.1325当量)を導入し、30mbarの真空を適用して反応の水を除去し、この混合物を50分間、撹拌し、次に、Nにより真空を解除した。合計6.36g(0.159mol、1.06当量)のNaOHマイクロプリルを、約6.5時間かけて加えた。この期間の最初の1時間にわたり、回転速度を1分あたり約1000回転数に増加した。その後、45℃および30mbarで4時間、撹拌を継続した。真空をNにより解除し、実験物をデカンテーションして取り出した(収率>95%)。
【0206】
これにより、20℃で白色から黄色の固体が得られた。pH(水中、5%)は7であった。水分含有量は1.4%であった。分析は、前の実施例と同様に行った(0%の転化率では、より高い分子量となることを考慮すると、反応混合物の場合、46.2mg KOH/gのOH数となるであろう)。クロロ酢酸ナトリウム塩のモル比は、約5mol%である。NaCl含有量は、約5.1質量%である。反応混合物のOH数は、10.2mg KOH/gである。グリコール酸ナトリウム塩のモル比は、約8mol%である。カルボキシメチル化レベルは87%である。
【0207】
アルキルエーテルカルボキシレート/アルキルエーテルアルコール混合物8:C16C18C20−ゲルベ−10EO−CHCONa/C16C18C20−ゲルベ−10EO−H、KOH触媒作用による、塩基性
=C1633/C1837/C2041、x=0、y=0およびz=10、M=Naである、一般式(I)R−O−(CHC(R)HO)−(CHC(CH)HO)−(CHCHO)−CHCOMの界面活性剤と一般式(II)R−O−(CHC(R)HO)−(CHC(CH)HO)−(CHCHO)−Hの界面活性剤との界面活性剤混合物に相当する。
【0208】
三段階式ビーム撹拌器を備えた250mLフランジ反応器に、C16C18C20ゲルベ−10EO−H(アルキルアルコキシレート8の製造例から)142.0g(0.200mol、1.0当量)およびクロロ酢酸ナトリウム塩26.2g(0.22mol、1.1当量)を投入し、この混合物を標準圧下、1分あたり400回転数で15分間、45℃で撹拌した。その後、以下の手順を8回、行った:NaOHマイクロプリル(直径0.5〜1.5mm)1.1g(0.0275mol、0.1375当量)を導入し、30mbarの真空を適用して反応の水を除去し、この混合物を50分間、撹拌し、次に、Nにより真空を解除した。合計8.8g(0.22mol、1.1当量)のNaOHマイクロプリルを、約6.5時間かけて加えた。この期間の最初の1時間にわたり、回転速度を1分あたり約1000回転数に増加した。その後、45℃および30mbarで4時間、撹拌を継続した。真空をNにより解除し、実験物をデカンテーションして取り出した(収率>95%)。
【0209】
これにより、20℃で白色から黄色の固体が得られた。pH(水中、5%)は7であった。水分含有量は1.5%であった。分析は、前の実施例と同様に行った(0%の転化率では、より高い分子量となることを考慮すると、反応混合物の場合、64.9mg KOH/gのOH数となるであろう)。クロロ酢酸ナトリウム塩のモル比は、約2mol%である。NaCl含有量は、約7.3質量%である。反応混合物のOH数は、10.8mg KOH/gである。グリコール酸ナトリウム塩のモル比は、約2mol%である。カルボキシメチル化レベルは85%である。
【0210】
アルキルエーテルカルボキシレート/アルキルエーテルアルコール混合物9:2PH−14EO−CHCONa/2PH−14EO−H、KOH触媒作用による、塩基性
=C1021、x=0、y=0およびz=14、M=Naである、一般式(I)R−O−(CHC(R)HO)−(CHC(CH)HO)−(CHCHO)−CHCOMの界面活性剤と一般式(II)R−O−(CHC(R)HO)−(CHC(CH)HO)−(CHCHO)−Hの界面活性剤との界面活性剤混合物に相当する。
【0211】
三段階式ビーム撹拌器を備えた250mLフランジ反応器に、2PH−14EO−H(2PH−14EO−K(脱塩を行わず、アルコキシレートは塩基性のままであることを除くと、アルキルアルコキシレート9の製造例と同様)を0.006mol含む)160.9g(0.208mol、1.0当量)およびクロロ酢酸ナトリウム塩27.2g(0.229mol、1.1当量)を投入し、この混合物を標準圧下、1分あたり400回転数で15分間、60℃で撹拌した。その後、以下の手順を8回、行った:NaOHマイクロプリル(直径0.5〜1.5mm)1.12g(0.0279mol、0.1340当量)を導入し、30mbarの真空を適用して反応の水を除去し、この混合物を50分間、撹拌し、次に、Nにより真空を解除した。合計8.92g(0.223mol、1.07当量)のNaOHマイクロプリルを、約6.5時間かけて加えた。この期間の最初の1時間にわたり、回転速度を1分あたり約1000回転数に増加した。その後、60℃および30mbarで4時間、撹拌を継続した。真空をNにより解除し、実験物をデカンテーションして取り出した(収率>95%)。
【0212】
これにより、20℃で白色から黄色の粘ちょうな液体が得られた。pH(水中、5%)は7であった。水分含有量は1.1%であった。分析は、前の実施例と同様に行った(0%の転化率では、より低い分子量となることを考慮すると、反応混合物の場合、60.5mg KOH/gのOH数となるであろう)。クロロ酢酸ナトリウム塩のモル比は、約1mol%である。NaCl含有量は、約6.8質量%である。反応混合物のOH数は、19.2mg KOH/gである。グリコール酸ナトリウム塩のモル比は、約12mol%である。カルボキシメチル化レベルは79%である。
【0213】
比較例のアルキルエーテルカルボキシレート/アルキルエーテルアルコール混合物C10(本発明ではない、(A)と(B)とのモル比が低すぎる):C16C18−3PO−10EO−CHCONa/C16C18−3PO−10EO−H(酢酸カリウムを30mol%:70mol%の比で含む)
三段階式ビーム撹拌器を備えた250mLフランジ反応器に、C16C18−3PO−10EO−H(酢酸カリウム0.26gが混合)130.2g(0.15mol、1.0当量)およびクロロ酢酸ナトリウム塩19.6g(0.165mol、1.1当量)を投入し、この混合物を標準圧下、1分あたり400回転数で15分間、60℃で撹拌した。その後、以下の手順を8回、行った:NaOHマイクロプリル(直径0.5〜1.5mm)0.83g(0.0206mol、0.1375当量)を導入し、30mbarの真空を適用して反応の水を除去し、この混合物を50分間、撹拌し、次に、Nにより真空を解除した。合計6.6g(0.165mol、1.1当量)のNaOHマイクロプリルを、約6.5時間かけて加えた。この期間の最初の1時間にわたり、回転速度を1分あたり約1000回転数に増加した。その後、60℃および30mbarで4時間、撹拌を継続した。真空をNにより解除し、実験物をデカンテーションして取り出した(収率>95%)。
【0214】
これにより、20℃で褐色の粘ちょうな液体が得られた。pH(水中、5%)は11であった。水分含有量は0.9%であった。分析は、前の実施例と同様に行った。クロロ酢酸ナトリウム塩のモル比は、約38mol%である。NaCl含有量は、約4.4質量%である。反応混合物のOH数は、52.6mg KOH/gである。グリコール酸ナトリウム塩のモル比は、約2mol%である。カルボキシメチル化レベルは30%である。
【0215】
比較例のアルキルエーテルカルボキシレート/アルキルエーテルアルコール混合物C11(本発明ではない、(A)と(B)とのモル比が高すぎる):C16C18−3PO−10EO−CHCONa:C16C18−3PO−10EO−H(95mol%:5mol%の比)
三段階式ビーム撹拌器を備えた250mLフランジ反応器に、C16C18−3PO−10EO−H(アルキルアルコキシレート1の製造例から、KOH触媒、脱塩)173.6g(0.20mol、1.0当量)およびクロロ酢酸ナトリウム塩47.5g(0.40mol、2.0当量)を投入し、この混合物を標準圧下、1分あたり400回転数で15分間、50℃で撹拌した。その後、以下の手順を8回、行った:NaOHマイクロプリル(直径0.5〜1.5mm)2g(0.05mol、0.25当量)を導入し、30mbarの真空を適用して反応の水を除去し、この混合物を50分間、撹拌し、次に、Nにより真空を解除した。合計16g(0.40mol、2当量)のNaOHマイクロプリルを、約6.5時間かけて加えた。この期間の最初の1時間にわたり、回転速度を1分あたり約1000回転数に増加した。その後、50℃および30mbarで10時間、撹拌を継続した。真空をNにより解除し、全実験物を1000mLの丸首フラスコに移送した。
【0216】
70℃で、撹拌しながら、水350mLおよび1−ペンタノール150gを加えた。32%HCl水溶液41.3gにより、pHを、pH=12〜pH=2に調節した。この混合物を90℃に加熱し、さらに1時間、撹拌した。続いて、この混合物を直ちに分液漏斗に移送し、熱相を互いに分離した。NaClおよび他の副生物を含む水相を廃棄した。有機相(アルキルエーテルカルボン酸およびアルキルアルコキシレートを含む)を除去し、1−ペンタノールを100℃および<10mbarで除去した。500mLの丸首フラスコにおいて、pHがpH=7となるよう、撹拌しながら、75℃で、アルキルエーテルカルボン酸/アルキルエーテルアルコール混合物を50%NaOH水溶液と混合した。
【0217】
MeOD中のH NMRおよびCDCl中のH TAI NMRにより、カルボキシメチル化レベルは約89%であり、その結果、11mol%のアルキルアルコキシレートが存在する。この混合物にさらなるカルボキシメチル化を施した。
【0218】
三段階式ビーム撹拌器を備えた250mLフランジ反応器中で、アルキルエーテルカルボキシレート/アルキルエーテルアルコール混合物(11mol%のアルキルエーテルアルコールを含む)75g(アルキルアルコキシレート0.1mol、1.0当量を含む)を50℃および30mbarで30分間、撹拌した。真空を窒素により解除し、クロロ酢酸ナトリウム塩2.33g(0.02mol、2.0当量)を加え、この混合物を標準圧下、50℃で、1分あたり400回転数で15分間、撹拌した。その後、以下の手順を8回、行った:NaOHマイクロプリル(直径0.5〜1.5mm)0.1g(0.0025mol、0.25当量)を導入し、30mbarの真空を適用して反応の水を除去し、この混合物を50分間、撹拌し、次に、Nにより真空を解除した。合計0.8g(0.02mol、2当量)のNaOHマイクロプリルを、約6.5時間かけて加えた。この期間の最初の1時間にわたり、回転速度を1分あたり約1000回転数に増加した。その後、50℃および30mbarで10時間、撹拌を継続した。真空をNにより解除し、全実験物を500mLの丸首フラスコに移送した。
【0219】
60℃で、撹拌しながら、水110gおよび1−ペンタノール110gを加えた。32%HCl水溶液により、pHを、pH=11〜pH=3に調節した。この混合物を90℃に加熱し、さらに1時間、撹拌した。続いて、この混合物を直ちに分液漏斗に移送し、熱相を互いに分離した。NaClおよび他の副生物を含む水相を廃棄した。有機相(アルキルエーテルカルボン酸およびアルキルエーテルアルコールを含む)を除去し、1−ペンタノールを100℃および<10mbarで除去した。250mLの丸首フラスコにおいて、pHがpH=7となるよう、撹拌しながら、60℃でアルキルエーテルカルボン酸/アルキルエーテルアルコール混合物を50%NaOH水溶液と混合した。
【0220】
MeOD中のH NMRおよびCDCl中のH TAI NMRにより、カルボキシメチル化レベルは約95%であった。
【0221】
アルキルエーテルカルボキシレート/アルキルエーテルアルコール混合物12:C16C18−7PO−10EO−CHCONa/C16C18−7PO−10EO−H、KOH触媒作用による、塩基性
=C1633/C1837、x=0、y=7およびz=10、M=Naである、一般式(I)R−O−(CHC(R)HO)−(CHC(CH)HO)−(CHCHO)−CHCOMの界面活性剤と一般式(II)R−O−(CHC(R)HO)−(CHC(CH)HO)−(CHCHO)−Hの界面活性剤との界面活性剤混合物に相当する。
【0222】
三段階式ビーム撹拌器を備えた250mLフランジ反応器に、C16C18−7PO−10EO−H(C16C18−7PO−10EO−K(アルキルアルコキシレート10の製造例から、KOH触媒、塩基性)165.3g(0.150mol、1.0当量)を0.005mol含む)およびクロロ酢酸ナトリウム塩(98%純度)19.6g(0.165mol、1.1当量)を投入し、この混合物を標準圧下、1分あたり400回転数で15分間、45℃で撹拌した。その後、以下の手順を8回、行った:NaOHマイクロプリル(直径0.5〜1.5mm)0.83g(0.0206mol、0.1375当量)を導入し、30mbarの真空を適用して反応の水を除去し、この混合物を50分間、撹拌し、次に、Nにより真空を解除した。合計6.6g(0.165mol、1.1当量)のNaOHマイクロプリルを、約6.5時間かけて加えた。この期間の最初の1時間にわたり、回転速度を1分あたり約1000回転数に増加した。その後、45℃および30mbarで4時間、撹拌を継続した。真空をNにより解除し、実験物をデカンテーションして取り出した(収率>95%)。
【0223】
これにより、20℃で白色から黄色の粘ちょうな液体が得られた。pH(水中、5%)は7.5であった。水分含有量は1.3%であった。分析は、前の実施例と同様に行った(0%の転化率では、より高い分子量となることを考慮すると、反応混合物の場合、44.6mg KOH/gのOH数となるであろう)。クロロ酢酸ナトリウム塩のモル比は、約2mol%である。NaCl含有量は、約4.8質量%である。反応混合物のOH数は、10.4mg KOH/gである。グリコール酸ナトリウム塩のモル比は、約5mol%である。カルボキシメチル化レベルは81%である。
【0224】
アルキルエーテルカルボキシレート/アルキルエーテルアルコール混合物13:C16C18−7PO−10EO−CHCONa/C16C18−7PO−10EO−H、KOH触媒作用による、塩基性
=C1633/C1837、x=0、y=7およびz=10、M=Naである、一般式(I)R−O−(CHC(R)HO)−(CHC(CH)HO)−(CHCHO)−CHCOMの界面活性剤と一般式(II)R−O−(CHC(R)HO)−(CHC(CH)HO)−(CHCHO)−Hの界面活性剤との界面活性剤混合物に相当する。
【0225】
三段階式ビーム撹拌器を備えた250mLフランジ反応器に、C16C18−7PO−10EO−H(C16C18−7PO−10EO−K(アルキルアルコキシレート10の製造例から、KOH触媒、塩基性)165.3g(0.150mol、1.0当量)を0.005mol含む)およびクロロ酢酸ナトリウム塩(98%純度)19.6g(0.165mol、1.1当量)を投入し、この混合物を標準圧下、1分あたり400回転数で15分間、45℃で撹拌した。その後、以下の手順を8回、行った:NaOHマイクロプリル(直径0.5〜1.5mm)0.83g(0.0206mol、0.1375当量)を導入し、穏やかなN2流および約100mbarの真空を適用して反応の水を除去し、この混合物を50分間、撹拌し、次に、Nにより真空を解除した。合計6.6g(0.165mol、1.1当量)のNaOHマイクロプリルを、約6.5時間かけて加えた。この期間の最初の1時間にわたり、回転速度を1分あたり約1000回転数に増加した。その後、穏やかにN2を流しながら、45℃および約100mbarで3時間、撹拌を継続した。真空をNにより解除し、実験物をデカンテーションして取り出した(収率>95%)。
【0226】
これにより、20℃で白色から黄色の粘ちょうな液体が得られた。pH(水中、5%)は11.2であった。水分含有量は1.3%であった。分析は、前の実施例と同様に行った(0%の転化率では、より高い分子量となることを考慮すると、反応混合物の場合、44.6mg KOH/gのOH数となるであろう)。クロロ酢酸ナトリウム塩のモル比は、約3mol%である。NaCl含有量は、約4.8質量%である。反応混合物のOH数は、12.4mg KOH/gである。グリコール酸ナトリウム塩のモル比は、約2mol%である。カルボキシメチル化レベルは73%である。
【0227】
さらなる使用試験については、pHを少量の水性塩酸を添加することによって6〜8の範囲に調節した。
【0228】
アルキルエーテルカルボキシレート/アルキルエーテルアルコール混合物14:C16C18−7PO−10EO−CHCONa/C16C18−7PO−10EO−H、KOH触媒作用による、塩基性
=C1633/C1837、x=0、y=7およびz=10、M=Naである、一般式(I)R−O−(CHC(R)HO)−(CHC(CH)HO)−(CHCHO)−CHCOMの界面活性剤と一般式(II)R−O−(CHC(R)HO)−(CHC(CH)HO)−(CHCHO)−Hの界面活性剤との界面活性剤混合物に相当する。
【0229】
三段階式ビーム撹拌器を備えた250mLフランジ反応器に、C16C18−7PO−10EO−H(C16C18−7PO−10EO−K(アルキルアルコキシレート10の製造例から、KOH触媒、塩基性)165.3g(0.150mol、1.0当量)を0.005mol含む)およびクロロ酢酸ナトリウム塩(98%純度)24.1g(0.203mol、1.35当量)を投入し、この混合物を標準圧下、1分あたり400回転数で15分間、45℃で撹拌した。その後、以下の手順を8回、行った:NaOHマイクロプリル(直径0.5〜1.5mm)1.02g(0.0253mol、0.1688当量)を導入し、30mbarの真空を適用して反応の水を除去し、この混合物を50分間、撹拌し、次に、Nにより真空を解除した。合計8.1g(0.203mol、1.35当量)のNaOHマイクロプリルを、約6.5時間かけて加えた。この期間の最初の1時間にわたり、回転速度を1分あたり約1000回転数に増加した。その後、45℃および30mbarで3時間、撹拌を継続した。真空をNにより解除し、実験物をデカンテーションして取り出した(収率>95%)。
【0230】
これにより、20℃で白色から黄色の粘ちょうな液体が得られた。pH(水中、5%)は7.5であった。水分含有量は1.5%であった。分析は、前の実施例と同様に行った(0%の転化率では、より高い分子量となることを考慮すると、反応混合物の場合、43.4mg KOH/gのOH数となるであろう)。クロロ酢酸ナトリウム塩のモル比は、約2mol%である。NaCl含有量は、約6.0質量%である。反応混合物のOH数は、8.0mg KOH/gである。グリコール酸ナトリウム塩のモル比は、約3mol%である。カルボキシメチル化レベルは85%である。
【0231】
アルキルエーテルカルボキシレート/アルキルエーテルアルコール混合物15:C16C18−7PO−10EO−CHCONa/C16C18−7PO−10EO−H、KOH触媒作用による、塩基性
=C1633/C1837、x=0、y=7およびz=10、M=Naである、一般式(I)R−O−(CHC(R)HO)−(CHC(CH)HO)−(CHCHO)−CHCOMの界面活性剤と一般式(II)R−O−(CHC(R)HO)−(CHC(CH)HO)−(CHCHO)−Hの界面活性剤との界面活性剤混合物に相当する。
【0232】
三段階式ビーム撹拌器を備えた250mLフランジ反応器に、C16C18−7PO−10EO−H(C16C18−7PO−10EO−K(アルキルアルコキシレート10の製造例から、KOH触媒、塩基性)165.3g(0.150mol、1.0当量)0.005molを含む)および水性50%NaOH12g(0.150mol、1.0当量)を投入し、この混合物を標準圧下、1分あたり400回転数で撹拌した。この混合物を80℃に加熱し、30mbarおよびN 1.5L/時で8時間、反応の水を除去した。この期間の最初の1時間にわたり、回転速度を1分あたり約1000回転数に増加した。水分含有量は0.35%であった。
【0233】
次に、80℃、30mbarおよびN 1.5L/時で、7時間で、クロロ酢酸ナトリウム塩(98%純度)19.6g(0.165mol、1.1当量)を小分けにして加えた。その後、80℃および30mbarおよびN 1.5L/時で4時間、撹拌を継続した。真空をNにより解除し、実験物をデカンテーションして取り出した(収率>95%)。
【0234】
これにより、20℃で白色から黄色の粘ちょうな液体が得られた。pH(水中、5%)は9.6であった。水分含有量は0.2%であった。分析は、前の実施例と同様に行った(0%の転化率では、より高い分子量となることを考慮すると、反応混合物の場合、44.6mg KOH/gのOH数となるであろう)。クロロ酢酸ナトリウム塩のモル比は、約1mol%である。NaCl含有量は、約4.8質量%である。反応混合物のOH数は、13.3mg KOH/gである。グリコール酸ナトリウム塩のモル比は、約12mol%である。カルボキシメチル化レベルは83%である。
【0235】
必要な場合、ブチルジエチレングリコールおよび水による希釈の後、水性塩酸を活用してpHをpH=7.75に調節することが可能であった。
【0236】
アルキルエーテルカルボキシレート(A)/アルキルエーテルアルコール(B)混合物の製造に関する注釈:
それぞれのカルボキシメチル化レベルからの混合物1〜15(C10およびC11を除く)の上記の実施例において分かる通り、カルボキシメチル化試薬の効率的な使用を考慮すると(例えば、<ClCHCONa 1.3当量、そうでない場合、後の使用に有利ではない、多量の二次構成成分が生成する)、一般式(II)の非イオン性界面活性剤(B)中に存在しているプロピレンオキシ単位の数が増加するにつれて、>84%となるカルボキシメチル化レベルを実現するのは一層困難である(同じエトキシ化レベルを考慮されたい:例えば、混合物5(C16C18−7PO−10EOに基づく)におけるカルボキシメチル化レベル70%と比較した混合物4(C16C18−3PO−10EOに基づく)中のカルボキシメチル化レベルは75%である。これと比較した混合物8(C16C18C20−ゲルベ−10EOに基づく)におけるカルボキシメチル化レベルは85%である)。これは、予期しないことであった。
【0237】
例えば、95%という非常に高いカルボキシメチル化レベルは、2回行った反応によってのみ可能であった(こうして、費用がかかり、不便である)(比較混合物C11を参照されたい)。さらに、クロロ酢酸ナトリウム塩をかなり大過剰(例えば2.0当量)使用することが必要であった。この界面活性剤は、この場合、やはりC16C18−3PO−10EOに基づくものであった。
【0238】
驚くべきことに、中和されたアルコキシ化触媒、例えば、KOAcの存在により、カルボキシメチル化が妨害されることが分かった(比較混合物C10を参照されたい)。他は同様の反応条件であるにもかかわらず、カルボキシメチル化レベルはわずか30%(C10)であった一方、混合物1a)では77%であった(それぞれ、C16C18−3PO−10EOに基づく界面活性剤である)。
【0239】
KOAcの存在下での解決策に対する予期せぬ手法(KOAcは、手間をかけないと除去することができない)は、混合物2により実証される。その場合、少量の水をカルボキシメチル化の開始時に加え、結果として、72%という良好なカルボキシメチル化レベルが実現した。
【0240】
かなり単純かつ新規な手法(それは、各アルコキシ化の終わりに、中和工程または塩の除去を回避するので)は、カルボキシメチル化における塩基性アルコキシレートの使用である。混合物3および4は、それぞれ、74%および75%のカルボキシメチル化レベルを示している。この界面活性剤は、この場合、やはりC16C18−3PO−10EOに基づくものであった。アルコキシレートにより導入された塩基の量は計算に含まれており、NaOHマイクロプリルはそれに相応して減量した。脱塩物質を使用する場合、カルボキシメチル化レベルは77%(混合物1a)であった。
【0241】
混合物1b)により、歯付きディスク型撹拌器の驚くほど正の影響が示されている。この方法で、混合物1a)に比べて、カルボキシメチル化レベルが77%から約80%に向上させることが可能であった。アルキルエーテルカルボキシレート/アルキルエーテルアルコール混合物5に比べて、アルキルエーテルカルボキシレート/アルキルエーテルアルコール混合物12または13の場合に、驚くべきことに観察される通り、81%(混合物12)または73%(混合物13)のカルボキシメチル化レベルは、混合物5(カルボキシメチル化レベル70%)よりも高い値を実現することができているので、クロロ酢酸ナトリウム塩に比べて小過剰の塩基(塩基性アルコキシレートおよびNaOHマイクロプリルの合計)が有利である。カルボキシメチル化レベルに関連する、混合物12と13との間の差異は、反応中のより小さな圧低下によって説明することができる。しかし、工業的規模の方法では、費用および不便さが非常に高い水準の場合しか、<20mbarという非常に低い圧を実現することができない(例えば、より高性能のもの、したがって、より多量のエネルギー集約型のポンプまたは高価なポンプ)。したがって、70%に比べて、73%というカルボキシメチル化レベルは、工業的規模の方法では一層容易に実現されるので、改善と見なすものである。クロロ酢酸ナトリウム塩およびNaOHの当量を増加させることにより、カルボキシメチル化レベルを85%まで向上することが、混合物14に示されている。混合物15は、所望の界面活性剤混合物を製造するための代替方法を示しており、この場合、カルボキシメチル化試薬の加水分解を低減するために、クロロ酢酸ナトリウム塩を添加する前に、形成する水の反応が除去されている。
【0242】
続く(例えば、表1)試験では、本方法のさらなる利点がさらに実証される。上記の混合物から、NaClが費用をかけず便利に除去することが必要とされる。したがって、酸性化、相分離およびアルキルエーテルカルボン酸の再中和などの、文献にある追加的な工程を必要としない。
【0243】
アルキルエーテルカルボキシレート(A)/アルキルエーテルアルコール(B)混合物の試験:
試験方法:
安定性の決定
アルキルエーテルカルボキシレート(A)/アルキルエーテルアルコール(B)混合物の濃縮物の安定性は、2週間、適切な温度で保管した後に、目視評価によって決定した。濃縮物は、水およびブチルジエチレングリコール、やはりまた製造例に記載されている、アルキルエーテルカルボキシレート(A)/アルキルエーテルアルコール(B)混合物を含んだ(必要な場合、水性塩酸の添加により、pHを6.5〜8の範囲に調節した)。濃縮物が均一のままであるかどうか、または均一なサンプリングを阻止する深刻な相分離が生じているかどうに関して、注意を払った。さらに、濃縮物(可能な場合)は、−18℃で凍結し、20℃で再度、解凍し、不可逆的な相分離が生じているかどうかに関する観察を行った。
【0244】
粘度の決定
アルキルエーテルカルボキシレート(A)/アルキルエーテルアルコール(B)混合物の濃縮物の動粘度は、Anton Parr RheolabQC粘度計を用いて決定した。濃縮物は、水およびブチルジエチレングリコール(BDG)、さらにまた製造例に記載されている、アルキルエーテルカルボキシレート(A)/アルキルエーテルアルコール(B)混合物を含んだ。粘度は、10、100、250および(任意に)1000s−1のせん断速度、および(任意に、5)20および50℃の温度で行った。
【0245】
溶解度の決定
具体的な塩組成物を含む塩水中で、各場合において試験される濃度における界面活性剤を20〜30℃で30分間、撹拌した(あるいは、界面活性剤を水に溶解し、必要な場合、水性塩酸を加えることによりpHを6.5〜8の範囲に調節し、ここに具体的な塩の適量を20℃で溶解した)。その後、この混合物を、濁りまたは相分離が始まるまで、段階的に加熱した。この後に、注意深く冷却し、溶液に濁りがなくなった点または分散が再びわずかになった点を書き留めた。これは、曇り点として記録した。
【0246】
具体的な固定温度では、塩水中の界面活性剤溶液の外観を書き留めた。穏やかなせん断によって、濁りのない溶液、またはわずかな分散を有して、再度、色が薄くなった溶液(しかし、時間とともに泡立たない)を許容できるものと見なした。前記のわずかに分散している界面活性剤溶液を2μmの孔径を有するフィルターによりろ過した。除去物はまったく観察されなかった。
【0247】
界面張力の決定
塩水に対する原油の界面張力は、DataPhysics製のSVT20で回転油滴法によって、ある温度における界面活性剤溶液の存在下で決定した。この目的のために、温度において界面活性剤の塩水溶液を満たしたキャピラリーに油滴を注入し、1分あたり約4500回転数でこの油滴が広がるのを観察し、時間に伴う界面張力の発生を書き留めた。界面張力IFT(またはsll)は、以下の式(シリンダーの直径D、回転速度wおよび密度差):
によって、「Grenzflaechen und kolloid−disperse Systeme」においてHans−Dieter Doerflerによって記載されている通り、計算する[Interfaces and Colloidally Disperse Systems]、Springer Verlag Berlin Heidelberg 2002年:
(d−d):sll=0.25・d・w2・(d−d
API比重(米国石油協会比重度)は、米国において、原油に対して一般に使用される慣用的な密度の単位である。それは、原油の物性評価のため、および品質標準として、全世界で使用されている。API比重は、
API比重=(141.5/prel)−131.5を使用して、水を基準とする、60°F(15.56℃)における原油の相対密度Prelから算出される。
【0248】
試験結果:
以下の試験結果が達成した:
濃縮物の安定性および粘度に関する試験結果を表1に示している。
【0249】
【表2】

【0250】
a)アルキルエーテルカルボキシレート/アルキルエーテルアルコール混合物1b);R1=C16H33/C18H37、x=0、y=3およびz=10、M=Naである、一般式(I)R1-O-(CH2C(R2)HO)x-(CH2C(CH3)HO)y-(CH2CH2O)z-CH2CO2Mの界面活性剤80mol%と一般式(II)R1-O-(CH2C(R2)HO)x-(CH2C(CH3)HO)y-(CH2CH2O)z-Hの界面活性剤20mol%との界面活性剤混合物に相当する。
b)アルキルエーテルカルボキシレート/アルキルエーテルアルコール混合物5);R1=C16H33/C18H37、x=0、y=7およびz=10、M=Naである、一般式(I)R1-O-(CH2C(R2)HO)x-(CH2C(CH3)HO)y-(CH2CH2O)z-CH2CO2Mの界面活性剤70mol%と一般式(II)R1-O-(CH2C(R2)HO)x-(CH2C(CH3)HO)y-(CH2CH2O)z-Hの界面活性剤30mol%との界面活性剤混合物に相当する。
c)アルキルエーテルカルボキシレート/アルキルエーテルアルコール混合物6);R1=C16H33/C18H37、x=0、y=7およびz=4、M=Naである、一般式(I)R1-O-(CH2C(R2)HO)x-(CH2C(CH3)HO)y-(CH2CH2O)z-CH2CO2Mの界面活性剤61mol%と一般式(II)R1-O-(CH2C(R2)HO)x-(CH2C(CH3)HO)y-(CH2CH2O)z-Hの界面活性剤39mol%との界面活性剤混合物に相当する。
d)アルキルエーテルカルボキシレート/アルキルエーテルアルコール混合物8);R1=C16H33/C18H37/C20H41、x=0、y=0およびz=10、M=Naである、一般式(I)R1-O-(CH2C(R2)HO)x-(CH2C(CH3)HO)y-(CH2CH2O)z-CH2CO2Mの界面活性剤85mol%と一般式(II)R1-O-(CH2C(R2)HO)x-(CH2C(CH3)HO)y-(CH2CH2O)z-Hの界面活性剤15mol%との界面活性剤混合物に相当する。
e)アルキルエーテルカルボキシレート/アルキルエーテルアルコール混合物7);R1=C16H33/C18H37/C20H41、x=0、y=0およびz=18、M=Naである、一般式(I)R1-O-(CH2C(R2)HO)x-(CH2C(CH3)HO)y-(CH2CH2O)z-CH2CO2Mの界面活性剤87mol%と一般式(II)R1-O-(CH2C(R2)HO)x-(CH2C(CH3)HO)y-(CH2CH2O)z-Hの界面活性剤13mol%との界面活性剤混合物に相当する。
【0251】
実施例1〜4からの表1において分かる通り、≧3質量%のNaClの存在下であるにも関わらず、(アルキルエーテルカルボキシレート/アルキルエーテルアルコール混合物から)安定に存在し続ける活性物含有量約55%(界面活性剤混合物)を含む濃縮物を得ることが可能である:相分離は電解質の存在のために起こらない。その結果、アルキルエーテルカルボキシレートの製造において、相分離によるNaClの錯体化除去のための工程を必要としない(例えば、酸性化、90℃への加熱、任意に溶媒を用いる相分離、有機相の再度の中和;アルキルエーテルカルボキシレート/アルキルアルコキシレート混合物11も参照されたい)。このことは、より迅速な生成、化学品のより少ない消費、エネルギーのより少ない消費およびより低コストとなることを意味する。さらに、高い塩含有量を有する廃水が、地表水に送り込まれない(水処理プラントを介して)。むしろ、製造物からのNaClも、石油鉱床にポンプ注入される。鉱床では、それは、ポンプ注入される体積に比べて、膨大とも言える過剰な量のNaClを有する塩を含んだ地表水に出会う。
【0252】
こうした濃縮物の輸送(製造現場から鉱床への)は、不必要な輸送水の割合が少ないので(多数の陰イオン性界面活性剤溶液と同様に、70質量%の水ではなく、単に、例えば20〜30質量%となる)、環境汚染がより小さく、それ故に、空間とエネルギーの消費がより少ない。10年にわたる作業場の開発には大量の体積となるため(例えば、1年あたり10000トン(to)の界面活性剤)、非常に大量のエネルギーが輸送場所で削減されるので(船舶およびトラックにおけるディーゼル消費の低下)、容器の断熱または適度な加熱に関する消費もまた、濃縮物を約15〜20℃に維持するために価値があるものとなる。
【0253】
実施例5において示されている通り、実施例4からの濃縮物は、等量のBDGおよび水の添加により希釈して、非常に良好な冷却安定性を有する(−18℃において、実施例5の濃縮物は依然として液体である)、濃縮物に到達することができ、鉱床において一層容易に取り扱うことが可能となる(それほど集約的な加熱手段ではない。水およびBDGが個別に供給され得るか、入手可能であるので、現場における希釈手段が可能である)。
【0254】
実施例1〜5からの前記濃縮物は、それらの粘度が50℃において1000mPas未満であるので(10Hzという低せん断速度でさえ)、作業場において管理が容易であり、したがって、使用するポンプになんら問題を示さない。
【0255】
一部の濃縮物において観察される比較的少量の均一に分布している結晶でさえも、それらは、50℃に手早く加熱すると溶解するので、問題にはならない。あるいは、これらの濃縮物は、結晶と一緒に注入水に均一にポンプ注入され得るので、これらの濃縮物および結晶は直ちに溶解する。
【0256】
3時間後の安定性および界面張力に関する試験結果を表2に示している。
【0257】
【表3】
【0258】
a)アルキルエーテルカルボキシレート/アルキルエーテルアルコール混合物1b)から誘導;R1=C16H33/C18H37、x=0、y=3およびz=10、M=Naである、一般式(I)R1-O-(CH2C(R2)HO)x-(CH2C(CH3)HO)y-(CH2CH2O)z-CH2CO2Mの界面活性剤80mol%と一般式(II)R1-O-(CH2C(R2)HO)x-(CH2C(CH3)HO)y-(CH2CH2O)z-Hの界面活性剤20mol%との界面活性剤混合物に相当する。
b)ドデシルベンゼンスルホネートナトリウム塩(Lutensit A-LBN、活性物含有量50%)。
c)アルキルエーテルカルボキシレート/アルキルエーテルアルコール混合物6から誘導;R1=C16H33/C18H37、x=0、y=7およびz=4、M=Naである、一般式(I)R1-O-(CH2C(R2)HO)x-(CH2C(CH3)HO)y-(CH2CH2O)z-CH2CO2Mの界面活性剤61mol%と一般式(II)R1-O-(CH2C(R2)HO)x-(CH2C(CH3)HO)y-(CH2CH2O)z-Hの界面活性剤39mol%との界面活性剤混合物に相当する。
d)アルキルエーテルカルボキシレート/アルキルエーテルアルコール混合物8)から誘導;R1=C16H33/C18H37/C20H41、x=0、y=0およびz=10、M=Naである、一般式(I)R1-O-(CH2C(R2)HO)x-(CH2C(CH3)HO)y-(CH2CH2O)z-CH2CO2Mの界面活性剤85mol%と一般式(II)R1-O-(CH2C(R2)HO)x-(CH2C(CH3)HO)y-(CH2CH2O)z-Hの界面活性剤15mol%との界面活性剤混合物に相当する。
e) R1=C16H33/C18H37、x=0、y=3およびz=10である、一般式(II)R1-O-(CH2C(R2)HO)x-(CH2C(CH3)HO)y-(CH2CH2O)z-Hの界面活性剤に相当するアルキルエーテルアルコール1を0.0625%、ならびにR1=C16H33/C18H37、x=0、y=3およびz=10、M=Naである、一般式(I)R1-O-(CH2C(R2)HO)x-(CH2C(CH3)HO)y-(CH2CH2O)z-CH2CO2Mの界面活性剤80mol%と一般式(II)R1-O-(CH2C(R2)HO)x-(CH2C(CH3)HO)y-(CH2CH2O)z-Hの界面活性剤20mol%との界面活性剤混合物に相当するアルキルエーテルカルボキシレート/アルキルエーテルアルコール混合物1b)0.0375%からなる混合物から生成。
f)R1=C16H33/C18H37、x=0、y=7およびz=4である、一般式(II)R1-O-(CH2C(R2)HO)x-(CH2C(CH3)HO)y-(CH2CH2O)z-Hの界面活性剤に相当するアルキルエーテルアルコール6を0.052%、ならびにR1=C16H33/C18H37、x=0、y=7およびz=4、M=Naである、一般式(I)R1-O-(CH2C(R2)HO)x-(CH2C(CH3)HO)y-(CH2CH2O)z-CH2CO2Mの界面活性剤61mol%と一般式(II)R1-O-(CH2C(R2)HO)x-(CH2C(CH3)HO)y-(CH2CH2O)z-Hの界面活性剤39mol%との界面活性剤混合物に相当するアルキルエーテルカルボキシレート/アルキルエーテルアルコール混合物6を0.148%からなる混合物から生成。
g)アルキルエーテルカルボキシレート/アルキルエーテルアルコール混合物5から誘導;R1=C16H33/C18H37、x=0、y=7およびz=10、M=Naである、一般式(I)R1-O-(CH2C(R2)HO)x-(CH2C(CH3)HO)y-(CH2CH2O)z-CH2CO2Mの界面活性剤70mol%と一般式(II)R1-O-(CH2C(R2)HO)x-(CH2C(CH3)HO)y-(CH2CH2O)z-Hの界面活性剤30mol%との界面活性剤混合物に相当する。
【0259】
表2において分かり通り、様々なアルコキシ化レベルを有する様々なアルキルラジカルに基づいた、特許請求されているモル比のアルキルエーテルカルボキシレート/アルキルエーテルアルコール界面活性剤混合物は、>55℃において<0.1mN/mの界面張力および<0.5%の界面活性剤となる全界面活性剤濃度をもたらす。これは、とりわけ、ある種のカルボキシメチル化レベルが、アルキルエーテルカルボキシレート/アルキルエーテルアルコール界面活性剤混合物中に存在する場合、驚くべき場合である。比較例C7およびC8により、25%または40%のカルボキシメチル化レベルでは、界面張力を<0.1mN/mまで低下させるには不十分であることを示している。しかし、実施例4を比較例C8と比較すると、同一条件下では、界面張力は、カルボキシメチル化レベルを40%から61%まで向上することにより、0.089mN/m(実施例4)まで低下したことが明らかである。使用されるアルキルエーテルカルボキシレート/アルキルエーテルアルコール界面活性剤混合物は、7当量のプロピレンオキシドおよび4当量のエチレンオキシドおよび対応するカルボキシレートを反応させた、線状一級C16C18脂肪アルコールに基づいている。
【0260】
実施例5および6は、10当量のエチレンオキシドと対応するカルボキシレートとを反応させた、一級C16C18C20ゲルベアルコール(および、したがって、分岐状アルコール)に基づく、アルキルエーテルカルボキシレート/アルキルエーテルアルコール界面活性剤混合物を示している。カルボキシメチル化レベルは、85%である。難題となる試験条件(100℃の高温、25.9°APIを有する中質石油、および約6.5〜6.9%の塩含有量である中程度の塩分濃度)であるにも関わらず、0.072mN/m(実施例5)および0.021mN/m(実施例6)という界面張力を実現した。驚くべきことに、二価陽イオンの濃度が何倍も高い(2236ppm対273ppm)にも関わらず、実施例6における界面張力は、実施例5(0.072mN/m)におけるものよりも低い(0.021mN/m)。同様に、溶解度の差異は、二価陽イオンの存在下であるにも関わらず明白ではないので、良好な硬度耐性があることは驚くべきことである。三次石油産出において通常、使用される有機スルホネート、例えば、ドデシルベンゼンスルホネート(比較例C2およびC3)は、加水分解に安定であるが、選択した条件(塩含有量は、それぞれ、比較例C2およびC3では、60℃および80℃において、二価陽イオン3513ppmを含めて10.3%となる)下では、それ自体、不溶性である。
【0261】
同様に、実施例1と実施例9との比較により、驚くべき知見が示されている。使用されるアルキルエーテルカルボキシレート/アルキルエーテルアルコール界面活性剤混合物は、3当量のプロピレンオキシドおよび10当量のエチレンオキシドおよび対応するカルボキシレートを反応させた、線状一級C16C18脂肪アルコールに基づいている。カルボキシメチル化レベルは、80%であった。二価陽イオン4957ppmの場合、約15%および約14%の塩含有量では、超低界面張力(実施例9では0.007mN/m)を達成することは実に可能であった。水の硬度(実施例1では、二価陽イオン585ppm)はより低いが、他は同様の条件の場合、実施例1における界面張力はより高いが、依然として<0.1mN/mであった。驚くべきことに、実施例10において、アルキルエーテルカルボキシレート/アルキルエーテルアルコール界面活性剤混合物を活用すると、軽質原油(38°API)の場合に、高温(92℃)で0.003mN/mという超低界面張力が実現された。使用されたアルキルエーテルカルボキシレート/アルキルエーテルアルコール界面活性剤混合物は、7当量のプロピレンオキシドおよび4当量のエチレンオキシドおよび対応するカルボキシレートを反応させた、線状一級C16C18脂肪アルコールに基づいている。カルボキシメチル化レベルは、70%である。3時間後の界面張力は、記載されている通り、0.003mN/mであった。30分間後、この界面張力は既に0.007mN/mであった。
【0262】
【表4】
【0263】
a)アルキルエーテルカルボキシレート/アルキルエーテルアルコール混合物1b)から誘導;R1=C16H33/C18H37、x=0、y=3およびz=10、M=Naである、一般式(I)R1-O-(CH2C(R2)HO)x-(CH2C(CH3)HO)y-(CH2CH2O)z-CH2CO2Mの界面活性剤80mol%と一般式(II)R1-O-(CH2C(R2)HO)x-(CH2C(CH3)HO)y-(CH2CH2O)z-Hの界面活性剤20mol%との界面活性剤混合物に相当する。
b)比較例のアルキルエーテルカルボキシレート/アルキルエーテルアルコール混合物C11から誘導;R1=C16H33/C18H37、x=0、y=3およびz=10、M=Naである、一般式(I)R1-O-(CH2C(R2)HO)x-(CH2C(CH3)HO)y-(CH2CH2O)z-CH2CO2Mの界面活性剤95mol%と一般式(II)R1-O-(CH2C(R2)HO)x-(CH2C(CH3)HO)y-(CH2CH2O)z-Hの界面活性剤5mol%との界面活性剤混合物に相当する。
c)アルキルエーテルカルボキシレート/アルキルエーテルアルコール混合物12から誘導;R1=C16H33/C18H37、x=0、y=7およびz=10、M=Naである、一般式(I)R1-O-(CH2C(R2)HO)x-(CH2C(CH3)HO)y-(CH2CH2O)z-CH2CO2Mの界面活性剤81mol%と一般式(II)R1-O-(CH2C(R2)HO)x-(CH2C(CH3)HO)y-(CH2CH2O)z-Hの界面活性剤19mol%との界面活性剤混合物に相当する。
d)アルキルエーテルカルボキシレート/アルキルエーテルアルコール混合物13から誘導;R1=C16H33/C18H37、x=0、y=7およびz=10、M=Naである、一般式(I)R1-O-(CH2C(R2)HO)x-(CH2C(CH3)HO)y-(CH2CH2O)z-CH2CO2Mの界面活性剤73mol%と一般式(II)R1-O-(CH2C(R2)HO)x-(CH2C(CH3)HO)y-(CH2CH2O)z-Hの界面活性剤27mol%との界面活性剤混合物に相当する。
e)アルキルエーテルカルボキシレート/アルキルエーテルアルコール混合物7から誘導;R1=C16H33/C18H37/C20H41、x=0、y=0およびz=18、M=Naである、一般式(I)R1-O-(CH2C(R2)HO)x-(CH2C(CH3)HO)y-(CH2CH2O)z-CH2CO2Mの界面活性剤87mol%と一般式(II)R1-O-(CH2C(R2)HO)x-(CH2C(CH3)HO)y-(CH2CH2O)z-Hの界面活性剤13mol%との界面活性剤混合物に相当する。
【0264】
表3から推測される通り、特許請求されているアルキルエーテルカルボキシレート/アルキルエーテルアルコール界面活性剤混合物は、共溶媒(ブチルジエチレングリコールBDG)の存在下でさえも、>55℃において<0.1mN/mの界面張力および<0.5%の界面活性剤となる全界面活性剤濃度をもたらす。実施例1および2の比較により、共溶媒としてのブチルジエチレングリコールの寄与が示されている(同一条件:実施例1はBDGなし、実施例2はBDGあり)。界面張力をさらに0.079から0.035mN/mまで低下させることが可能であった。実施例3および比較例C4を参照すると、驚くべきことに、非常に高いカルボキシメチル化レベルが必ずしも有利ではないことが分かった。塩含有量約14.1%および二価陽イオン(水の硬度)がほぼ5000ppmの厳しい塩水条件下では、BDGの存在下で、3当量のプロピレンオキシドと10当量のエチレンオキシドとを反応させた、カルボキシメチル化レベル80%(実施例3)を有する、線状一級C16C18脂肪アルコールに基づいたアルキルエーテルカルボキシレート/アルキルエーテルアルコール界面活性剤混合物は、中質原油(25.9°API)の場合、60℃において0.019mN/mの界面張力をもたらす一方、同様の条件下では、本発明によらない、カルボキシメチル化レベル95%を有する対応する界面活性剤混合物は、0.109mN/mとなる界面張力しかもたらさない。
【0265】
超低界面張力は、実施例5および6に示されている、特許請求された界面活性剤配合物によって達成することができる。7当量のプロピレンオキシドおよび10当量のエチレンオキシドおよび対応するカルボキシレートを反応させた、線状一級C16C18脂肪アルコールに基づく、アルキルエーテルカルボキシレート/アルキルエーテルアルコール界面活性剤混合物であって、ブチルジエチレングリコールとブレンドされている上記混合物は、0.001mN/m(実施例5)および0.002mN/m(実施例6)、すなわち超低界面張力になる。これらは、アルキルエーテルカルボキシレート/アルキルエーテルアルコール混合物のカルボキシメチル化レベルがわずか81%(実施例5)、またはわずか73%にもなる(実施例6)ことを考慮すると、驚くほど低い値である。さらに、温度が高く(92℃、この温度では油−水の界面の変動が高いので、たった1種の界面活性剤または2種の非常によく似た界面活性剤を用いて低い界面張力を実現することは困難である)、かつアルカリの使用が、水の硬度のために推奨されないので(沈殿により、地層が閉塞されると思われる)、厳しい条件が存在している。
【0266】
実施例7は、18当量のエチレンオキシドと対応するカルボキシレートとを反応させた、一級C16C18C20ゲルベアルコール(および、したがって、分岐状アルコール)に基づく、アルキルエーテルカルボキシレート/アルキルエーテルアルコール界面活性剤混合物を示している。カルボキシメチル化レベルは、87%である。難題となる試験条件(100℃の高温、25.9°APIを有する中質石油、および約14.8%の塩含有量である高い塩分濃度)であるにも関わらず、ブチルジエチレングリコールの存在下では、0.041mN/mの界面張力を実現した。
【0267】
【表5】
【0268】
a)アルキルエーテルカルボキシレート/アルキルエーテルアルコール混合物13から誘導;R1=C16H33/C18H37、x=0、y=7およびz=10、M=Naである、一般式(I)R1-O-(CH2C(R2)HO)x-(CH2C(CH3)HO)y-(CH2CH2O)z-CH2CO2Mの界面活性剤73mol%と一般式(II)R1-O-(CH2C(R2)HO)x-(CH2C(CH3)HO)y-(CH2CH2O)z-Hの界面活性剤27mol%との界面活性剤混合物に相当する。
b)活性成分含有量68.3%を含むアルキルポリグルコシド(8〜10個の炭素原子を有するアルキルラジカルに基づく)
c)アルキルエーテルカルボキシレート/アルキルエーテルアルコール混合物12から誘導;R1=C16H33/C18H37、x=0、y=7およびz=10、M=Naである、一般式(I)R1-O-(CH2C(R2)HO)x-(CH2C(CH3)HO)y-(CH2CH2O)z-CH2CO2Mの界面活性剤81mol%と一般式(II)R1-O-(CH2C(R2)HO)x-(CH2C(CH3)HO)y-(CH2CH2O)z-Hの界面活性剤19mol%との界面活性剤混合物に相当する。
d)アルキルエーテルカルボキシレート/アルキルエーテルアルコール混合物1b)から誘導;R1=C16H33/C18H37、x=0、y=3およびz=10、M=Naである、一般式(I)R1-O-(CH2C(R2)HO)x-(CH2C(CH3)HO)y-(CH2CH2O)z-CH2CO2Mの界面活性剤80mol%と一般式(II)R1-O-(CH2C(R2)HO)x-(CH2C(CH3)HO)y-(CH2CH2O)z-Hの界面活性剤20mol%との界面活性剤混合物に相当する。
e)14〜17個の炭素原子および活性成分含有量を32.3%有する二級アルカンスルホネートナトリウム塩
【0269】
表4において分かり通り、特許請求されているアルキルエーテルカルボキシレート/アルキルエーテルアルコール界面活性剤混合物は、共界面活性剤の存在下でさえも(任意に、共溶媒のさらなる存在下でも)、>55℃において<0.1mN/mの界面張力および<0.5%の界面活性剤となる全界面活性剤濃度をもたらす。実施例1および2によって示されている通り、ブチルジエチレングリコールおよびC8C10をベースとするアルキルポリグルコシド(Glucopon DK225)の存在下で、7当量のプロピレンオキシドおよび10当量のエチレンオキシドおよび対応するカルボキシレートを反応させた、線状一級C16C18脂肪アルコールに基づいた、特許請求されているアルキルエーテルカルボキシレート/アルキルエーテルアルコール界面活性剤混合物は、それぞれ、0.009mN/mおよび0.007mN/mという超低界面張力さえもたらす。分かる通り、条件には個々の差異が存在する。実施例1では、非常に高い硬度(>10000ppmの二価陽イオン)、中質原油(29.6°API)および高温(67℃)で、高い塩分濃度(塩含有量約12.9%)が存在している。実施例2では、対照的に、塩分濃度および水の硬度は、EOR適用には適度であり(TDS30780ppmおよび二価陽イオン155ppm)、原油は軽質(30°API)であるが、温度は高い(92℃)。さらに、アルキルエーテルカルボキシレートとアルキルエーテルアルコールとの比は様々である(73:27および81:19mol%)。表4中の実施例2を表3中の実施例5と比較すると、条件が非常に類似しているが、Glucopon225DKが存在していると、濁りのない界面活性剤水溶液となることが分かる。一方、界面張力は、やや高いが、依然として超低の範囲にある。
【0270】
表4中の実施例3は、有機スルホネート、例えば二級C14C17パラフィンスルホネート(Hostapur SAS30)を共界面活性剤として使用することも可能であることを示している。しかし、実施例1と2とを比較すると、より低いプロポキシ化レベル(7プロポキシ単位ではなく3単位)を有するアルキルエーテルカルボキシレート/アルキルエーテルアルコール界面活性剤混合物を使用し、共溶媒は使用しなかった。0.045mN/mの界面張力は、0.1mN/m未満である。
【0271】
【表6】
【0272】
a)アルキルエーテルカルボキシレート/アルキルエーテルアルコール混合物13から誘導;R1=C16H33/C18H37、x=0、y=7およびz=10、M=Naである、一般式(I)R1-O-(CH2C(R2)HO)x-(CH2C(CH3)HO)y-(CH2CH2O)z-CH2CO2Mの界面活性剤73mol%と一般式(II)R1-O-(CH2C(R2)HO)x-(CH2C(CH3)HO)y-(CH2CH2O)z-Hの界面活性剤27mol%との界面活性剤混合物に相当する。
【0273】
表5において分かり通り、ブチルジエチレングリコールとブレンドした、特許請求されているアルキルエーテルカルボキシレート/アルキルエーテルアルコール界面活性剤混合物は、幅広い温度範囲にわたり、<0.01mN/mとなる超低界面張力をもたらす。例えば、60℃における同じ塩水中の同一界面活性剤混合物は、0.004mN/mの界面張力(実施例1)および90℃では0.006mN/m(実施例2)の界面張力をもたらす。様々な塩水では、および様々な原油に対して、90℃における同一界面活性剤混合物は、0.005mN/m(実施例3)となる界面張力、および110℃では、0.006mN/m(実施例4)となる界面張力をもたらす。
【0274】
3〜8時間後の溶解度および界面張力に関する累積試験結果を表6に示している。
【0275】
【表7】
【0276】
a)アルキルエーテルカルボキシレート-アルキルエーテルアルコール(alkocol)混合物13から誘導;R1=C16H33/C18H37、x=0、y=7および(und)z=10、M=Naである、一般式(I)R1-O-(CH2C(R2)HO)x-(CH2C(CH3)HO)y-(CH2CH2O)z-CH2CO2Mの界面活性剤73mol%と一般式(II)R1-O-(CH2C(R2)HO)x-(CH2C(CH3)HO)y-(CH2CH2O)z-Hの界面活性剤27mol%との界面活性剤混合物に相当する。
【0277】
表6において分かり通り、ブチルジエチレングリコールとブレンドした、特許請求されているアルキルエーテルカルボキシレート−アルキルエーテルアルコール界面活性剤混合物は、幅広い範囲の石油および塩分濃度にわたり、<0.01mN/mとなる超低界面張力をもたらす。例えば、110℃において、および同一石油である各場合において、同一界面活性剤混合物は、2種の塩水中でそれぞれ、0.007mN/mとなる界面張力(実施例1)、0.009mN/mとなる界面張力(実施例2)をもたらす。どちらの塩水の塩分濃度も、同等(約49670ppm対46830ppmの塩含有量(contenz))であるが、実施2における二価陽イオンの割合は、実施例1におけるよりも(tha)8倍、高い(約195ppm対1600ppm)。実施例6により、塩含有量がやはり低く(約29780ppmの塩含有量)、二価陽イオンの割合が高い(約1500ppm)、同一界面活性剤混合物は0.002mN/mとなる低い界面張力となることが示されている。陰イオン性界面活性剤は、通常、多価陽イオンに非常に敏感であるので、これは非常に驚くべきことである。
【0278】
実施例1と比較した実施例3により、同等の温度において同一の塩水中の同一界面活性剤混合物もまた、様々な石油(実施例3では29°API、他の実施例はすべて、38°APIである)の場合に、低い界面張力:0.003mN/m(実施例3)となることが示されている。
【0279】
別の塩水中、および別の原油の場合の、90℃における同一界面活性剤混合物は、0.005mN/mとなる界面張力(実施例3)、および110℃では、0.006mN/m(実施例4)となる界面張力となる。
【0280】
実施例4および5により、80℃の同じ温度で、同じ石油の場合、同一界面活性剤混合物は、やはり異なる塩分濃度(塩含有量は約79450ppm対約64560ppm)の場合、<0.01mN/mとなる低い界面張力となる。