特許第6775508号(P6775508)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6775508オキシムエステル化合物及び該化合物を含有する重合開始剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6775508
(24)【登録日】2020年10月8日
(45)【発行日】2020年10月28日
(54)【発明の名称】オキシムエステル化合物及び該化合物を含有する重合開始剤
(51)【国際特許分類】
   C07C 251/66 20060101AFI20201019BHJP
   C08F 2/46 20060101ALI20201019BHJP
   C08F 2/44 20060101ALI20201019BHJP
【FI】
   C07C251/66CSP
   C08F2/46
   C08F2/44 B
【請求項の数】8
【全頁数】55
(21)【出願番号】特願2017-536415(P2017-536415)
(86)(22)【出願日】2016年8月22日
(86)【国際出願番号】JP2016074349
(87)【国際公開番号】WO2017033880
(87)【国際公開日】20170302
【審査請求日】2019年5月31日
(31)【優先権主張番号】特願2015-164721(P2015-164721)
(32)【優先日】2015年8月24日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000387
【氏名又は名称】株式会社ADEKA
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】特許業務法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 智史
(72)【発明者】
【氏名】伊香賀 貴之
(72)【発明者】
【氏名】竹内 良智
【審査官】 谷尾 忍
(56)【参考文献】
【文献】 特表2012−507571(JP,A)
【文献】 特表2011−524436(JP,A)
【文献】 特表2011−525480(JP,A)
【文献】 特表2004−534797(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/080947(WO,A1)
【文献】 特開2012−108501(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 251/66
C08F 2/44
C08F 2/46
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(III)で表されるオキシムエステル化合物。
【化1】
(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R20、R21、R22、R23、R24及びR25は、それぞれ独立に、下記一般式(II)で表される基、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、水酸基、カルボキシル基、R13、OR13、SR13、NR1415、COR13、SOR13、SO13又はCONR1415を表し、
13、R14及びR15は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、炭素原子数4〜20のシクロアルキルアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数7〜20のアリールアルキル基又は炭素原子数2〜20の複素環基を表し、
13、R14及びR15で表される、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、炭素原子数4〜20のシクロアルキルアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数7〜20のアリールアルキル基又は炭素原子数2〜20の複素環基の水素原子は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、メタクリロイル基、アクリロイル基、エポキシ基、ビニル基、ビニル
エーテル基、メルカプト基、イソシアネート基又は複素環基で置換される場合があり、R13、R14及びR15で表される、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、炭素原子数4〜20のシクロアルキルアルキル基又は炭素原子数7〜20のアリールアルキル基中のメチレン基は−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−NR16−、−NR16CO−、−S−、−CS−、−SO−、−SCO−、−COS−、−OCS−又はCSO−で置換される場合もあり、
16は、水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、炭素原子数4〜20のシクロアルキルアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基又は炭素原子数7〜20のアリールアルキル基を表し、
、R、R、R、R、R、R、R、R10のうち少なくとも一つが、一般式(II)で表される基であり、
17及びR18は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、炭素原子数4〜20のシクロアルキルアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数7〜20のアリールアルキル基又は炭素原子数2〜20の複素環基を表し、
17及びR18で表される、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、炭素原子数4〜20のシクロアルキルアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数7〜20のアリールアルキル基又は炭素原子数2〜20の複素環基の水素原子はハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、メタクリロイル基、アクリロイル基、エポキシ基、ビニル基、ビニルエーテル基、メルカプト基、イソシアネート基、カルボキシル基又は複素環基で置換される場合があり、R17及びR18で表される、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、炭素原子数4〜20のシクロアルキルアルキル基又は炭素原子数7〜20のアリールアルキル基中のメチレン基は−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−NR19−、−NR19CO−、−S−、−CS−、−SO−、−SCO−、−COS−、−OCS−又はCSO−で置換される場合もあり、
19は、水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、炭素原子数4〜20のシクロアルキルアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基又は炭素原子数7〜20のアリールアルキル基を表し、
とR、RとR、RとR、RとR、RとR、RとR、RとR、RとR10、R20とR21、R22とR23、R23とR24及びR24とR25は結合して環を形成する場合もあり、該環は、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロペンテン環、ベンゼン環、ピロリジン環、ピペラジン環、ピペリジン環、ピロール環、モルホリン環、チオモルホリン環、テトラヒドロピリジン環、ラクトン環、ラクタム環、ナフタレン環又はアントラセン環であり、
kは0又は1を表す。
【化2】
(式中、R17及びR18は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、炭素原子数4〜20のシクロアルキルアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数7〜20のアリールアルキル基又は炭素原子数2〜20の複素環基を表し、
17及びR18で表される、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、炭素原子数4〜20のシクロアルキルアルキル基、炭素原子数6〜
20のアリール基、炭素原子数7〜20のアリールアルキル基又は炭素原子数2〜20の複素環基の水素原子はハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、メタクリロイル基、アクリロイル基、エポキシ基、ビニル基、ビニルエーテル基、メルカプト基、イソシアネート基又は複素環基で置換される場合があり、R17及びR18で表される、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、炭素原子数4〜20のシクロアルキルアルキル基又は炭素原子数7〜20のアリールアルキル基中のメチレン基は−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−NR19−、−NR19CO−、−S−、−CS−、−SO−、−SCO−、−COS−、−OCS−又はCSO−で置換される場合もあり、
19は、水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、炭素原子数4〜20のシクロアルキルアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基又は炭素原子数7〜20のアリールアルキル基を表し、
kは0又は1を表し、
*は結合手を表す。)
【請求項2】
一般式(II)で表される基を2つ以上含むことを特徴とする請求項1に記載のオキシムエステル化合物。
【請求項3】
一般式(III)中のR、R、R、R及びR10のうち、少なくとも1つが、COR13であることを特徴とする請求項1又は2に記載のオキシムエステル化合物。
【請求項4】
一般式(III)中のR、R、R、R及びうち少なくとも一つが、一般式(II)で表される基であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のオキシムエステル化合物。
【請求項5】
請求項1〜の何れか一項に記載のオキシムエステル化合物を含有する重合開始剤。
【請求項6】
請求項に記載の重合開始剤及びエチレン性不飽和化合物を含有する重合性組成物。
【請求項7】
請求項に記載の重合性組成物に、更に色材を含有させてなる着色重合性組成物。
【請求項8】
請求項に記載の重合性組成物又は請求項に記載の着色重合性組成物より得られる硬化物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重合性組成物に用いられる重合開始剤として有用な新規なオキシムエステル化合物、前記オキシムエステル化合物を含有する重合開始剤、上記重合開始剤にエチレン性不飽和化合物を含有させてなる重合性組成物、上記重合性組成物に更に色材を含有させてなる着色重合性組成物、及び上記重合性組成物又は上記着色重合性組成物より得られる硬化物に関する。
【背景技術】
【0002】
重合性組成物は、エチレン性不飽和化合物に重合開始剤を加えたものであり、エネルギー線(光)を照射することによって重合硬化させることができるため、光硬化性インキ、感光性印刷版、各種フォトレジスト等に用いられている。
【0003】
上記重合性組成物に用いられる重合開始剤として、特許文献1〜4に、オキシムエステル化合物を用いることが提案されている。
しかし、特許文献に記載のオキシムエステル化合物のうち、感度が満足できるオキシムエステル化合物は、一般的な溶剤や重合性組成物への溶解性が低く、重合性組成物中の重合開始剤が低濃度になる、溶剤及び重合性化合物の種類や量が制限されるなど、重合性組成物の設計に制限があるという問題があった。また、一般的な溶剤や重合性組成物への溶解度が高いオキシムエステル化合物は、感度が十分に満足できるものではないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】US6596445(B1)
【特許文献2】US2006/241259(A1)
【特許文献3】US2004/170924(A1)
【特許文献4】US2011/170209(A1)
【発明の概要】
【0005】
本発明の解決しようとする問題点は、高感度で、かつ溶解性の高い重合開始剤がこれまでなかったということである。
【0006】
従って、本発明の目的は、高感度で、溶解性の高い重合開始剤として有用な新規な化合物及び該化合物を用いた重合開始剤並びに重合性組成物を提供することにある。
【0007】
本発明は、下記一般式(I)で表される新規なオキシムエステル化合物、及び該オキシムエステル化合物を含有する重合開始剤を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【0008】
【化1】
(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11及びR12(以下、R〜R12とも記載)は、それぞれ独立に、下記一般式(II)で表される基、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、水酸基、カルボキシル基、R13、OR13、SR13、NR1415、COR13、SOR13、SO13又はCONR1415を表し、
13、R14及びR15は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、炭素原子数4〜20のシクロアルキルアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数7〜20のアリールアルキル基又は炭素原子数2〜20の複素環含有基を表し、
13、R14及びR15で表される、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、炭素原子数4〜20のシクロアルキルアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数7〜20のアリールアルキル基又は炭素原子数2〜20の複素環含有基の水素原子は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、メタクリロイル基、アクリロイル基、エポキシ基、ビニル基、ビニルエーテル基、メルカプト基、イソシアネート基又は複素環含有基で置換される場合があり、R13、R14及びR15で表される、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、炭素原子数4〜20のシクロアルキルアルキル基、炭素原子数7〜20のアリールアルキル基又は炭素原子数2〜20の複素環含有基中のメチレン基は、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−NR16−、−NR16CO−、−S−、−CS−、−SO−、−SCO−、−COS−、−OCS−又はCSO−で置換される場合もあり、
16は、水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、炭素原子数4〜20のシクロアルキルアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基又は炭素原子数7〜20のアリールアルキル基を表し、
環A及び環Aは、縮合して炭素原子数30以下の芳香環を形成し、
、R、R、R、R、R、R、R、R及びR10(以下、R〜R10とも記載)のうち少なくとも一つが、下記一般式(II)で表される基であり、
mは、Aが取り得る置換基の数以下の正の整数であり、
m≧2の場合は、複数存在するR11が各々異なる場合があり、
nは、Aが取り得る置換基の数以下の正の整数であり、
n≧2の場合は、複数存在するR12が各々異なる場合があり、
とR、RとR、RとR、RとR、RとR、RとR、RとR、RとR10、R11とR12が結合して環を形成する場合もあり、m≧2の場合はR11とR11が結合して環を形成する場合もあり、n≧2の場合はR12とR12が結合して環を形成する場合もある。)
【化2】
(式中、R17及びR18は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、炭素原子数4〜20のシクロアルキルアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数7〜20のアリールアルキル基又は炭素原子数2〜20の複素環含有基を表し、
17及びR18で表される、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、炭素原子数4〜20のシクロアルキルアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数7〜20のアリールアルキル基又は炭素原子数2〜20の複素環含有基の水素原子はハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、メタクリロイル基、アクリロイル基、エポキシ基、ビニル基、ビニルエーテル基、メルカプト基、イソシアネート基又は複素環含有基で置換される場合があり、R17及びR18で表される、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、炭素原子数4〜20のシクロアルキルアルキル基、炭素原子数7〜20のアリールアルキル基又は炭素原子数2〜20の複素環含有基中のメチレン基は−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−NR19−、−NR19CO−、−S−、−CS−、−SO−、−SCO−、−COS−、−OCS−又はCSO−で置換される場合もあり、
19は、水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、炭素原子数4〜20のシクロアルキルアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基又は炭素原子数7〜20のアリールアルキル基を表し、
kは0又は1を表す。)
【0009】
また、本発明は、上記重合開始剤及びエチレン性不飽和化合物を含有する重合性組成物を提供するものである。
また、本発明は、上記重合性組成物に、更に色材を含有させてなる着色重合性組成物を提供するものである。
【0010】
また、本発明は、上記重合性組成物又は上記着色重合性組成物より得られる硬化物を提供するものである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明のオキシムエステル化合物及び該オキシムエステル化合物を含有する重合開始剤について好ましい実施形態に基づき詳細に説明する。
【0012】
本発明のオキシムエステル化合物は、上記一般式(I)で表わされる新規な化合物である。該オキシムエステル化合物には、オキシムの二重結合による幾何異性体が存在するが、これらを区別するものではない。
即ち、本明細書において、上記一般式(I)で表わされる化合物及びその例示化合物は
、両方の混合物又はどちらか一方を表すものであり、異性体を示した構造に限定されるものではない。
【0013】
上記一般式(I)、(II)及び後述の一般式(III)中の、R13〜R19で表される炭素原子数1〜20のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、アミル、イソアミル、t−アミル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、イソオクチル、2−エチルヘキシル、t−オクチル、ノニル、イソノニル、デシル、イソデシル、ウンデシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル及びイコシル等が挙げられる。
【0014】
上記一般式(I)、(II)及び後述の一般式(III)中の、R13〜R19で表される炭素原子数3〜20のシクロアルキル基とは、3〜20の炭素原子を有する、飽和単環式又は飽和多環式アルキル基を意味し、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、アダマンチル、デカハイドロナフチル、オクタヒドロペンタレン及びビシクロ[1.1.1]ペンタニル基等が挙げられる。
【0015】
上記一般式(I)、(II)及び後述の一般式(III)中の、R13〜R19で表される炭素原子数4〜20のシクロアルキルアルキル基とは、アルキル基の水素原子が、シクロアルキル基で置換された4〜20の炭素原子を有する基を意味する。例えば、シクロプロピルメチル、シクロブチルエチル、シクロペンチルメチル、シクロペンチルエチル、シクロペンチルプロピル、シクロヘキシルメチル、シクロヘキシルエチル、シクロヘキシルブチル、シクロヘプチルメチル、シクロオクチルメチル、シクロノニルエチル、シクロデシルエチル、アダマンチルプロピル及びデカハイドロナフチルプロピル等が挙げられる。
【0016】
上記一般式(I)、(II)及び後述の一般式(III)中の、R13〜R19で表される炭素原子数6〜20のアリール基としては、例えば、フェニル、トリル、キシリル、エチルフェニル、ナフチル、アンスリル、フェナンスレニル、上記アルキル基で1つ以上置換されたフェニル、ビフェニリル、ナフチル、アンスリル等が挙げられる。
【0017】
上記一般式(I)、(II)及び後述の一般式(III)中の、R13〜R19で表される炭素原子数7〜30のアリールアルキル基としては、例えば、ベンジル、α−メチルベンジル、α、α−ジメチルベンジル、フェニルエチル及びナフチルプロピル等が挙げられる。
【0018】
上記一般式(I)、(II)及び後述の一般式(III)中の、R13〜R15、R17及びR18で表される炭素原子数2〜20の複素環含有基としては、例えば、例えば、ピロリル、ピリジル、ピリジルエチル、ピリミジル、ピリダジル、ピペラジル、ピペリジル、ピラニル、ピラニルエチル、ピラゾリル、トリアジル、トリアジルメチル、ピロリジル、キノリル、イソキノリル、イミダゾリル、ベンゾイミダゾリル、トリアゾリル、フリル、フラニル、ベンゾフラニル、チエニル、チオフェニル、ベンゾチオフェニル、チアジアゾリル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、オキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、インドリル、ユロリジル、モルフォリニル、チオモルフォリニル、2−ピロリジノン−1−イル、2−ピペリドン−1−イル、2,4−ジオキシイミダゾリジン−3−イル及び2,4−ジオキシオキサゾリジン−3−イル等が挙げられる。
【0019】
上記一般式(I)においては、RとR、RとR、RとR、RとR、RとR、RとR、RとR、RとR10が結合して環を形成する場合もあり、
m≧2の場合は複数存在するR11同士が結合して環を形成する場合もあり、n≧2の場合は複数存在するR12同士が結合して環を形成する場合もあり、
また、後述の一般式(III)中のRとR、RとR、RとR、RとR、RとR、RとR、RとR、RとR10、R20とR21、R22とR23、R23とR24及びR24とR25は結合して環を形成する場合もあり、
このような環としては、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロペンテン環、ベンゼン環、ピロリジン環、ピロール環、ピペラジン環、ピペリジン環、モルホリン環、チオモルホリン環、テトラヒドロピリジン環、ラクトン環、ラクタム環等の5〜7員環及びナフタレン環、アントラセン環等の縮合環等が挙げられる。
【0020】
環A及び環Aは、縮合して炭素原子数30以下の芳香環を形成する。
環A及び環Aとしては、それぞれ独立に、ベンゼン環、非ベンゼン環芳香族骨格、複素環芳香族骨格並びに環A及び環Aが縮合して芳香環となる骨格が挙げられる。
【0021】
上記一般式(I)中の、環A及び環Aで表される非ベンゼン芳香族骨格としては、例えば、シクロブタジエン、シクロオクタテトラエン及びトロポン等が挙げられる。
【0022】
上記一般式(I)中の、環A及び環Aで表される複素環芳香族骨格としては、例えば、フラン、チオフェン、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン及びピラジン等が挙げられる。
【0023】
上記一般式(I)中の環A及び環Aが縮合して芳香環となる骨格としては、アズレン等が挙げられる。
【0024】
上記一般式(I)中の、環A及び環Aからなる縮合環の好ましい具体例としては、以下の縮合環No.1〜No.107が挙げられ、オキシムエステル化合物が安定性に優れること、及び着色が少ないことから、縮合環No.1〜No.16がより好ましい。但し、本発明は以下の縮合環により何ら制限を受けるものではない。
【0025】
【化3】
【0026】
【化4】
【0027】
【化5】
【0028】
【化6】
【0029】
【化7】
【0030】
【化8】
【0031】
上記一般式(I)、(II)及び後述の一般式(III)中の、R〜R12、R17及びR18、並びに上記一般式(I)、(II)及び後述の一般式(III)中の、R13〜R15、R17及びR18の水素原子を置換してもよいハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
【0032】
一般式(II)で表される基が2つ以上含む上記一般式(I)で表されるオキシムエステル化合物は、重合開始剤として使用した際に高感度になることから好ましい。
【0033】
一般式(I)中のR、R、R、R及びR10のうち、少なくとも1つが、COR13であるオキシムエステル化合物は、重合開始剤として使用した際に高感度になることから好ましく、R13がフェニルである場合、重合開始剤として用いた際に吸収波長が良好で、得られた硬化物の透明性が高くなることからより好ましい。
【0034】
一般式(I)中のR、R、R、R、R及びR11のうち少なくとも一つが、一般式(II)で表されるオキシムエステル化合物は、製造が容易でオキシムエステル化合物の安定性に優れるため好ましい。
【0035】
本発明のオキシムエステル化合物の中でも、一般式(III)で表される化合物は、感度が高く、溶解性が高く、製造が容易であるため好ましい。
【化9】
(式中、R〜R10、R20、R21、R22、R23、R24及びR25は、それぞれ独立に、一般式(II)で表される基、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、水酸基、カルボキシル基、R13、OR13、SR13、NR1415、COR13、SOR13、SO13又はCONR1415を表し、
13、R14及びR15は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、炭素原子数4〜20のシクロアルキルアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数7〜20のアリールアルキル基又は炭素原子数2〜20の複素環含有基を表し、
13、R14及びR15で表される、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、炭素原子数4〜20のシクロアルキルアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数7〜20のアリールアルキル基又は炭素原子数2〜20の複素環含有基の水素原子は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、メタクリロイル基、アクリロイル基、エポキシ基、ビニル基、ビニルエーテル基、メルカプト基、イソシアネート基又は複素環含有基で置換される場合があり、R13、R14及びR15で表される、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、炭素原子数4〜20のシクロアルキルアルキル基、炭素原子数7〜20のアリールアルキル基又は炭素原子数2〜20の複素環含有基中のメチレン基は−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−NR16−、−NR16CO−、−S−、−CS−、−SO−、−SCO−、−COS−、−OCS−又はCSO−で置換される場合もあり、
16は、水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、炭素原子数4〜20のシクロアルキルアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基又は炭素原子数7〜20のアリールアルキル基を表し、
〜R10のうち少なくとも一つが、一般式(II)で表される基であり、
17及びR18は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、炭素原子数4〜20のシクロアルキルアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数7〜20のアリールアルキル基又は炭素原子数2〜20の複素環含有基を表し、
17及びR18で表される、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、炭素原子数4〜20のシクロアルキルアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数7〜20のアリールアルキル基又は炭素原子数2〜20の複素環含有基の水素原子はハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、メタクリロイル基、アクリロイル基、エポキシ基、ビニル基、ビニルエーテル基、メルカプト基、イソシアネート基、カルボキシル基又は複素環含有基で置換される場合があり、R17及びR18で表される、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、炭素原子数4〜20のシクロアルキルアルキル基、炭素原子数7〜20のアリールアルキル基又は炭素原子数2〜20の複素環含有基中のメチレン基は−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−NR19−、−NR19CO−、−S−、−CS−、−SO−、−SCO−、−COS−、−OCS−又はCSO−で置換される場合もあり、
19は、水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、炭素原子数4〜20のシクロアルキルアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基又は炭素原子数7〜20のアリールアルキル基を表し、
とR、RとR、RとR、RとR、RとR、RとR、RとR、RとR10、R20とR21、R22とR23、R23とR24及びR24とR25は結合して環を形成する場合もあり、
kは0又は1を表す。)
【0036】
一般式(III)中のRが、COR13で、R13が芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基であるオキシムエステル化合物が、重合開始剤として使用した場合、高感度になることから好ましく、R13がフェニルであるオキシムエステル化合物が、重合開始剤として用いた際に吸収波長が良好で、得られる硬化物の透明性が高くなることから、より好ましい。
【0037】
一般式(III)中のRが、一般式(II)で表される基であるオキシムエステル化合物が、合成が容易であること及び安定性が良いことから好ましい。
【0038】
上記一般式(I)で表される本発明のオキシムエステル化合物の好ましい具体例としては、以下の化合物No.1〜No.181が挙げられる。より好ましくは、合成が容易であり、安定性が高く、重合性組成物の重合開始剤として用いた際に感度が高く、吸収波長が良好で、且つ得られる硬化物の透明性が高いことから、一般式(III)で表される化合物No.1〜No.36である。但し、本発明は以下の化合物により何ら制限を受けるものではない。
【0039】
【化10】
【0040】
【化11】
【0041】
【化12】
【0042】
【化13】
【0043】
【化14】
【0044】
【化15】
【0045】
【化16】
【0046】
【化17】
【0047】
【化18】
【0048】
【化19】
【0049】
【化20】
【0050】
【化21】
【0051】
【化22】
【0052】
【化23】
【0053】
【化24】
【0054】
【化25】
【0055】
【化25A】
【0056】
上記一般式(I)で表される本発明のオキシムエステル化合物において、式中、Rが一般式(II)で表される化合物の合成方法は、特に限定されないが、k=0の場合、下記〔化26〕の反応式に従って、以下の方法により合成する方法が挙げられる。
即ち、公知であり、市販されている2級アミン化合物とハロゲン化アリールを反応させることにより3級アミン化合物を得、3級アミン化合物と酸クロリドと反応させることによりケトン化合物1を得、ケトン化合物1と塩酸ヒドロキシルアミンを反応させることにより、オキシム化合物1を得る。続いて、オキシム化合物1に、酸無水物又は酸クロリドを反応させることにより、上記一般式(I)で表される本発明のオキシムエステル化合物1を得る。
上記一般式(I)で表される本発明のオキシムエステル化合物において、式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11及びR12が一般式(II)で表される化合物の合成も、上記方法に準じて行うことができる。
オキシム化合物及びオキシムエステル化合物は、特許4223071号公報に記載の方法でも製造できる。
【0057】
【化26】
(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R17、R18、A及びAは、上記一般式(I)及び(II)と同じである。)
【0058】
上記一般式(I)で表される本発明のオキシムエステル化合物において、式中、Rが一般式(II)で表される化合物の合成方法は、特に限定されないが、k=1の場合、下記〔化27〕の反応式に従って、以下の方法により製造する方法が挙げられる。
即ち、公知であり、市販されている2級アミン化合物とハロゲン化アリールを反応させることにより3級アミン化合物を得、3級アミン化合物と酸クロリドと反応させることによりケトン化合物2を得、ケトン化合物2と亜硝酸イソブチルを反応させることにより、オキシム化合物2を得る。続いて、オキシム化合物2に、酸無水物又は酸クロリドを反応させることにより、上記一般式(I)で表される本発明のオキシムエステル化合物2を得る。
上記一般式(I)で表される本発明のオキシムエステル化合物において、式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11及びR12が一般式(II)で表される化合物の合成も、上記方法に準じて行うことができる。
オキシム化合物及びオキシムエステル化合物は、特許4223071号公報に記載の方法でも製造できる。
【0059】
【化27】
(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R17、R18、A及びAは、上記一般式(I)及び(II)と同じである。)
【0060】
以上説明した本発明の新規なオキシムエステル化合物は、ラジカル重合開始剤、特に光重合開始剤又は熱重合開始剤として有用である。また、本発明の新規なオキシムエステル化合物は、塩基発生剤及び増感剤としても好適に用いることができる。
【0061】
本発明の重合開始剤は、本発明のオキシムエステル化合物と共に他の重合開始剤を併用することができる。併用できる他の重合開始剤としては、従来既知の化合物を用いることが可能であり、例えば、ベンゾフェノン、フェニルビフェニルケトン、1−ヒドロキシ−1−ベンゾイルシクロヘキサン、ベンゾイン、ベンジルジメチルケタール、1−ベンジル−1−ジメチルアミノ−1−(4'−モルホリノベンゾイル)プロパン、2−モルホリル−2−(4'−メチルメルカプト)ベンゾイルプロパン、チオキサントン、1−クロル−4−プロポキシチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、エチルアントラキノン、4−ベンゾイル−4'−メチルジフェニルスルフィド、ベンゾインブチルエーテル、2−ヒドロキシ−2−ベンゾイルプロパン、2−ヒドロキシ−2−(4'−イソプロピル)ベンゾイルプロパン、4−ブチルベンゾイルトリクロロメタン、4−フェノキシベンゾイルジクロロメタン、ベンゾイル蟻酸メチル、1,7−ビス(9'−アクリジニル)ヘプタン、9−n−ブチル−3,6−ビス(2'−モルホリノイソブチロイル)カルバゾール、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ナフチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,2−ビス(2−クロロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニル−1−2’−ビイミダゾール、4、4−アゾビスイソブチロニトリル、トリフェニルホスフィン、カンファーキノン、N−1414、N−1717、N−1919、NCI−831、NCI−930(ADEKA製)、IRGACURE369、IRGACURE907、IRGACURE OXE 01、IRGACURE OXE 02(BASF製)及び過酸化ベンゾイル等が挙げられ、これらの他の重合開始剤を使用する場合、その使用量は、好ましくは本発明のオキシムエステル化合物の使用量の1質量倍以下とする。尚、これらの重合開始剤は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0062】
本発明の重合開始剤中における本発明のオキシムエステル化合物の含有量は、好ましくは30〜100質量%、より好ましくは50〜100質量%である。
【0063】
本発明の重合性組成物は、必須成分として、上記重合開始剤及びエチレン性不飽和化合物を含有するものである。
【0064】
上記エチレン性不飽和化合物としては、特に限定されず、従来、重合性組成物に用いられているものを用いることができるが、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン等の不飽和脂肪族炭化水素;(メタ)アクリル酸、α―クロルアクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、シトラコン酸、フマル酸、ハイミック酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ビニル酢酸、アリル酢酸、桂皮酸、ソルビン酸、メサコン酸、コハク酸モノ[2−(メタ)アクリロイロキシエチル]、フタル酸モノ[2−(メタ)アクリロイロキシエチル]、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等の両末端にカルボキシ基と水酸基とを有するポリマーのモノ(メタ)アクリレート;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート・マレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート・マレート、ジシクロペンタジエン・マレート或いは1個のカルボキシル基と2個以上の(メタ)アクリロイル基とを有する多官能(メタ)アクリレート等の不飽和多塩基酸;(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸グリシジル、下記化合物No.A1〜No.A4、(メタ)アクリル酸メチル、 (メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸−t−ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノメチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸アミノプロピル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸ポリ(エトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸ブトキシエトキシエチル、(メタ)アクリル酸エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフリル、(メタ)アクリル酸ビニル、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸ベンジル、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート、トリ[(メタ)アクリロイルエチル]イソシアヌレート、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー等の不飽和一塩基酸及び多価アルコール又は多価フェノールのエステル;(メタ)アクリル酸亜鉛、(メタ)アクリル酸マグネシウム等の不飽和多塩基酸の金属塩;マレイン酸無水物、イタコン酸無水物、シトラコン酸無水物、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸−無水マレイン酸付加物、ドデセニル無水コハク酸、無水メチルハイミック酸等の不飽和多塩基酸の酸無水物;(メタ)アクリルアミド、メチレンビス−(メタ)アクリルアミド、ジエチレントリアミントリス(メタ)アクリルアミド、キシリレンビス(メタ)アクリルアミド、α−クロロアクリルアミド、N−2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド等の不飽和一塩基酸及び多価アミンのアミド;アクロレイン等の不飽和アルデヒド;(メタ)アクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、シアン化ビニリデン、シアン化アリル等の不飽和ニトリル;スチレン、4−メチルスチレン、4−エチルスチレン、4−メトキシスチレン、4−ヒドロキシスチレン、4−クロロスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、ビニル安息香酸、ビニルフェノール、ビニルスルホン酸、4−ビニルベンゼンスルホン酸、ビニルベンジルメチルエーテル、ビニルベンジルグリシジルエーテル等の不飽和芳香族化合物;メチルビニルケトン等の不飽和ケトン;ビニルアミン、アリルアミン、N−ビニルピロリドン、ビニルピペリジン等の不飽和アミン化合物;アリルアルコール、クロチルアルコール等のビニルアルコール;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、アリルグリシジルエーテル等のビニルエーテル;マレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等の不飽和イミド類;インデン、1−メチルインデン等のインデン類;1,3−ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等の脂肪族共役ジエン類;ポリスチレン、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリ−n−ブチル(メタ)アクリレート、ポリシロキサン等の重合体分子鎖の末端にモノ(メタ)アクリロイル基を有するマクロモノマー類;ビニルクロリド、ビニリデンクロリド、ジビニルスクシナート、ジアリルフタラート、トリアリルホスファート、トリアリルイソシアヌラート、ビニルチオエーテル、ビニルイミダゾール、ビニルオキサゾリン、ビニルカルバゾール、ビニルピロリドン、ビニルピリジン、水酸基含有ビニルモノマー及びポリイソシアネート化合物のビニルウレタン化合物、水酸基含有ビニルモノマー及びポリエポキシ化合物のビニルエポキシ化合物が挙げられる。
これらの中でも、両末端にカルボキシ基と水酸基とを有するポリマーのモノ(メタ)アクリレート、1個のカルボキシ基と2個以上の(メタ)アクリロイル基とを有する多官能(メタ)アクリレート、不飽和一塩基酸及び多価アルコール又は多価フェノールのエステルに、本発明のオキシムエステル化合物を含有する重合開始剤は好適である。
これらのエチレン性不飽和化合物は、単独で又は2種以上を混合して使用することができ、また2種以上を混合して使用する場合には、それらを予め共重合して共重合体として使用してもよい。
【0065】
【化28】
【0066】
【化29】
【0067】
【化30】
【0068】
【化31】
【0069】
また、カルボキシル基等の酸基を有するエチレン性不飽和化合物(以下、アルカリ現像性を有する化合物とも記載)を、本発明の重合性組成物にアルカリ現像性を付与する目的で使用することもできる。アルカリ現像性を有する化合物としては、アルカリ水溶液に可溶であれば特に限定されないが、例えば、特開2004−264414号公報に記載の樹脂並びにアクリル酸エステルの共重合体、フェノール、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、多官能エポキシ基を有するポリフェニルメタン型エポキシ樹脂、エポキシアクリレート樹脂並びにエポキシアクリレート樹脂に、更に多塩基酸無水物を作用させて得られた樹脂等が挙げられる。
【0070】
上記エチレン性不飽和化合物としては市販品を用いることができ、例えば、カヤラッドDPHA、DPEA−12、PEG400DA、THE−330、RP−1040、NPGDA、PET30(日本化薬製)、SPC−1000、SPC−3000(昭和電工製)、アロニックスM−140、M−215、M−350、M−450(東亞合成製)、NKエステルA−DPHA−TMPT、A−DCP、A−HD−N、A−9300、TMPT、DCP、NPG及びHD−N(新中村化学工業製)等が挙げられる。
【0071】
本発明の重合性組成物において使用される上記重合開始剤の含有量は特に限定されるものではないが、上記エチレン性不飽和化合物100質量部に対して、好ましくは0.5〜70質量部、より好ましくは0.5〜50質量部、最も好ましくは0.5〜30質量部である。
【0072】
本発明の着色重合性組成物は、上記重合性組成物に、更に色材を含有する。
【0073】
上記色材としては、顔料、染料及び天然色素等が挙げられる。これらの色材は、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0074】
上記顔料としては、例えば、ニトロソ化合物;ニトロ化合物;アゾ化合物;ジアゾ化合物;キサンテン化合物;キノリン化合物;アントラキノン化合物;クマリン化合物;フタロシアニン化合物;イソインドリノン化合物;イソインドリン化合物;キナクリドン化合物;アンタンスロン化合物;ペリノン化合物;ペリレン化合物;ジケトピロロピロール化合物;チオインジゴ化合物;ジオキサジン化合物;トリフェニルメタン化合物;キノフタロン化合物;ナフタレンテトラカルボン酸;アゾ染料、シアニン染料の金属錯体化合物;レーキ顔料;ファーネス法、チャンネル法又はサーマル法によって得られるカーボンブラック、或いはアセチレンブラック、ケッチェンブラック又はランプブラック等のカーボンブラック;上記カーボンブラックをエポキシ樹脂で調整又は被覆したもの、上記カーボンブラックを予め溶媒中で樹脂に分散処理し、20〜200mg/gの樹脂を吸着させたもの、上記カーボンブラックを酸性又はアルカリ性表面処理したもの、平均粒径が8nm以上でDBP吸油量が90ml/100g以下のもの、950℃における揮発分中のCO及びCO2から算出した全酸素量が、カーボンブラックの表面積100m2当たり9mg以上であるもの;黒鉛、黒鉛化カーボンブラック、活性炭、炭素繊維、カーボンナノチューブ、カーボンマイクロコイル、カーボンナノホーン、カーボンエアロゲル、フラーレン;アニリンブラック、ピグメントブラック7、チタンブラック;酸化クロム緑、ミロリブルー、コバルト緑、コバルト青、マンガン系、フェロシアン化物、リン酸塩群青、紺青、ウルトラマリン、セルリアンブルー、ピリジアン、エメラルドグリーン、硫酸鉛、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、合成鉄黒、アンバー等の有機又は無機顔料を用いることができる。これらの顔料は単独で、或いは複数を混合して用いることができる。
【0075】
上記顔料としては、市販の顔料を用いることもでき、例えば、ピグメントレッド1、2、3、9、10、14、17、22、23、31、38、41、48、49、88、90、97、112、119、122、123、144、149、166、168、169、170、171、177、179、180、184、185、192、200、202、209、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、254;ピグメントオレンジ13、31、34、36、38、43、46、48、49、51、52、55、59、60、61、62、64、65、71;ピグメントイエロー1、3、12、13、14、16、17、20、24、55、60、73、81、83、86、93、95、97、98、100、109、110、113、114、117、120、125、126、127、129、137、138、139、147、148、150、151、152、153、154、166、168、175、180、185;ピグメントグリ−ン7、10、36;ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:5、15:6、22、24、56、60、61、62、64;ピグメントバイオレット1、19、23、27、29、30、32、37、40、50等が挙げられる。
【0076】
上記染料としては、アゾ染料、アントラキノン染料、インジゴイド染料、トリアリールメタン染料、キサンテン染料、アリザリン染料、アクリジン染料スチルベン染料、チアゾール染料、ナフトール染料、キノリン染料、ニトロ染料、インダミン染料、オキサジン染料、フタロシアニン染料、シアニン染料等の染料等が挙げられ、これらは複数を混合して用いてもよい。
【0077】
本発明の着色重合性組成物において、上記色材の含有量は、上記エチレン性不飽和化合物100質量部に対して、好ましくは50〜350質量部、より好ましくは100〜250質量部である。
【0078】
上記着色重合性組成物には、必要に応じて重合開始剤、エチレン性不飽和化合物及び色材を溶解又は分散することが可能な溶剤を添加することができる。例えば、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、ジエチルケトン、アセトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン等のケトン類;エチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸シクロヘキシル、乳酸エチル、コハク酸ジメチル、テキサノール等のエステル系溶媒;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のセロソルブ系溶媒;メタノール、エタノール、イソ−又はn−プロパノール、イソ−又はn−ブタノール、アミルアルコール等のアルコール系溶媒;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルエーテルアセテート、エトキシエチルエーテルプロピオネート等のエーテルエステル系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等のBTX系溶媒;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;テレピン油、D−リモネン、ピネン等のテルペン系炭化水素油;ミネラルスピリット、スワゾール#310(コスモ松山石油社)、ソルベッソ#100(エクソン化学社)等のパラフィン系溶媒;四塩化炭素、クロロホルム、トリクロロエチレン、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化脂肪族炭化水素系溶媒;クロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素系溶媒;カルビトール系溶媒;アニリン;トリエチルアミン;ピリジン;酢酸;アセトニトリル;二硫化炭素;N,N−ジメチルホルムアミド;N,N−ジメチルアセトアミド;N−メチルピロリドン;ジメチルスルホキシド;水等が挙げられ、これらの溶媒は1種又は2種以上の混合溶媒として使用することができる。
これらの中でも、ケトン類、エーテルエステル系溶媒等、特にプロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート、シクロヘキサノン等が、重合性組成物において、エチレン性不飽和化合物と重合開始剤の相溶性がよいので好ましい。
【0079】
本発明の効果を損なわない限り、本発明の重合性組成物及び着色重合性組成物には、必要に応じてエチレン性不飽和化合物を除くポリマー(以下、ポリマーとも記載)、無機化合物、分散剤、連鎖移動剤、本発明のオキシムエステル化合物を除く増感剤(以下、増感剤とも記載)、界面活性剤、シランカプリング剤、メラミン、レベリング剤、潜在性添加剤、エチレン性不飽和化合物を除くモノマー、消泡剤、増粘剤、チクソ剤、難燃剤、可塑剤、安定剤、重合禁止剤、紫外線吸収剤、有機フィラー、酸化防止剤、静電防止剤、流動調整剤及び接着促進剤等の各種樹脂添加物等を添加することができる。
【0080】
エチレン性不飽和化合物と共に、上記ポリマーを用いることによって、硬化物の特性を改善することもできる。該ポリマーとしては、例えば、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレート−エチルアクリレート共重合体、ポリ(メタ)アクリル酸、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸−メチルメタクリレート共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル樹脂、ABS樹脂、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、ウレタン樹脂、ポリカーボネートポリビニルブチラール、セルロースエステル、ポリアクリルアミド、飽和ポリエステル、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミック酸樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられ、これらの中でも、ポリスチレン、(メタ)アクリル酸−メチルメタクリレート共重合体、エポキシ樹脂が好ましい。
【0081】
本発明の重合性組成物及び着色重合性組成物において、上記ポリマーの含有量は、上記エチレン性不飽和化合物100質量部に対して、好ましくは0〜500質量部である。
【0082】
上記無機化合物としては、例えば、酸化ニッケル、酸化鉄、酸化イリジウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化カリウム、シリカ、アルミナ等の金属酸化物;層状粘土鉱物、ミロリブルー、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、コバルト系、マンガン系、ガラス粉末(特にガラスフリット)、マイカ、タルク、カオリン、フェロシアン化物、各種金属硫酸塩、硫化物、セレン化物、アルミニウムシリケート、カルシウムシリケート、水酸化アルミニウム、白金、金、銀、銅等が挙げられる。
これらの中でも、ガラスフリット、酸化チタン、シリカ、層状粘土鉱物、銀等が好ましい。
【0083】
これら無機化合物は、例えば、充填剤、反射防止剤、導電剤、安定剤、難燃剤、機械的強度向上剤、特殊波長吸収剤、撥インク剤等として用いられる。
【0084】
本発明の重合性組成物及び着色重合性組成物において、上記無機化合物の含有量は、上記エチレン性不飽和化合物100質量部に対して、好ましくは0〜1000質量部、より好ましくは0〜800質量部である。尚、これらの無機化合物は1種又は2種以上を使用することができる。
【0085】
上記分散剤としては、色材又は無機化合物を分散、安定化できるものであれば制限されず、市販の分散剤、例えば、ビックケミー製のBYKシリーズ等を用いることができる。特に、塩基性官能基を有するポリエステル、ポリエーテル、又はポリウレタンからなる高分子分散剤、塩基性官能基として窒素原子を有し、窒素原子を有する官能基がアミン、及び/又はその四級塩であり、アミン価が1〜100mgKOH/gのものが好適に用いられる。
【0086】
上記連鎖移動剤又は増感剤としては、一般的に硫黄原子含有化合物が用いられる。例えばチオグリコール酸、チオリンゴ酸、チオサリチル酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプト酪酸、N−(2−メルカプトプロピオニル)グリシン、2−メルカプトニコチン酸、3−[N−(2−メルカプトエチル)カルバモイル]プロピオン酸、3−[N−(2−メルカプトエチル)アミノ]プロピオン酸、N−(3−メルカプトプロピオニル)アラニン、2−メルカプトエタンスルホン酸、3−メルカプトプロパンスルホン酸、4−メルカプトブタンスルホン酸、ドデシル(4−メチルチオ)フェニルエーテル、2−メルカプトエタノール、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール、1−メルカプト−2−プロパノール、3−メルカプト−2−ブタノール、メルカプトフェノール、2−メルカプトエチルアミン、2−メルカプトイミダゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプト−3−ピリジノール、2−メルカプトベンゾチアゾール、メルカプト酢酸、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)等のメルカプト化合物、該メルカプト化合物を酸化して得られるジスルフィド化合物、ヨード酢酸、ヨードプロピオン酸、2−ヨードエタノール、2−ヨードエタンスルホン酸、3−ヨードプロパンスルホン酸等のヨード化アルキル化合物、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトイソブチレート)、ブタンジオールビス(3−メルカプトイソブチレート)、ヘキサンジチオール、デカンジチオール、1,4−ジメチルメルカプトベンゼン、ブタンジオールビスチオプロピオネート、ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、ブタンジオールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、トリスヒドロキシエチルトリスチオプロピオネート、ジエチルチオキサントン、ジイソプロピルチオキサントン、下記化合物No.C1、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート等の脂肪族多官能チオール化合物、昭和電工製カレンズMT BD1、PE1、NR1等が挙げられる。
【0087】
【化32】
【0088】
上記界面活性剤としては、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルカルボン酸塩等のフッ素界面活性剤;高級脂肪酸アルカリ塩、アルキルスルホン酸塩、アルキル硫酸塩等のアニオン系界面活性剤;高級アミンハロゲン酸塩、第四級アンモニウム塩等のカチオン系界面活性剤;ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド等の非イオン界面活性剤;両性界面活性剤;シリコーン系界面活性剤等の界面活性剤を用いることができ、これらは組み合わせて用いてもよい。
【0089】
上記シランカップリング剤としては、例えば信越化学製シランカップリング剤を用いることができ、その中でも、KBE−9007、KBM−502、KBE−403等の、イソシアネート基、メタクリロイル基又はエポキシ基を有するシランカップリング剤が好適に用いられる。
【0090】
上記メラミン化合物としては、(ポリ)メチロールメラミン、(ポリ)メチロールグリコールウリル、(ポリ)メチロールベンゾグアナミン、(ポリ)メチロールウレア等の窒素化合物中の活性メチロール基(CH2OH基)の全部又は一部(少なくとも2つ)がアルキルエーテル化された化合物等を挙げることができる。
ここで、アルキルエーテルを構成するアルキル基としては、メチル基、エチル基又はブチル基が挙げられ、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい、また、アルキルエーテル化されていないメチロール基は、一分子内で自己縮合していてもよく、二分子間で縮合して、その結果オリゴマー成分が形成されていてもよい。
具体的には、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサブトキシメチルメラミン、テトラメトキシメチルグリコールウリル、テトラブトキシメチルグリコールウリル等を用いることができる。
これらの中でも、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサブトキシメチルメラミン等のアルキルエーテル化されたメラミンが好ましい。
【0091】
上記レベリング剤としては、市販品を用いることができる。市販品のレベリング剤としては、例えば、BYK−300、BYK−301、BYK−302、BYK−306、BYK−307、BYK−310、BYK−313、BYK−315、BYK−320、BYK−322、BYK−323、BYK−325、BYK−330、BYK−331、BYK−333、BYK−337、BYK−341、BYK−344、BYK−345、BYK−346、BYK−347、BYK−348、BYK−349、BYK−370、BYK−375、BYK−377、BYK−378、BYK−UV3500、BYK−UV3510、BYK−UV3570、BYK−340、BYK−3550、BYK−SILCLEAN3700、BYK−SILCLEAN3720、BYK−DYNWET800(ビックケミージャパン製)ポリフローNo.3、ポリフローNo.50HF、ポリフローNo.54、ポリフローNo.64HF、ポリフローNo.75、ポリフローNo.77、ポリフローNo.85HF、ポリフローNo.90、ポリフローNo.95、ポリフローNo.ATF−2、グラノール100、グラノール115、グラノール400、グラノール410、グラノール420、グラノール440、グラノール450、グラノールB−1484(共栄社化学製)、L−7001、L−7002、L−7006、56ADDITIVE、57ADDITIVE、67ADDITIVE、8032ADDITIVE、FZ−2105、FZ−2110、FZ−2122及びFZ−2123(東レ・ダウコーニング製)等が挙げられる。
【0092】
上記潜在性添加剤とは、常温、光露光工程及びプリベーク工程では不活性であり、100〜250℃で加熱するか、又は酸/塩基触媒存在下で80〜200℃で加熱することにより保護基が脱離して活性化するものである。活性化したことにより得られる効果としては、酸化防止、紫外線吸収、防汚性、リコート性及び密着性等が挙げられる。
上記潜在性添加剤としてはWO2014/021023号パンフレットに記載されているものを好ましく使うことができる。
【0093】
上記潜在性添加剤としては市販品を用いることができ、例えば、アデカアークルズGPA−5001等が挙げられる。
【0094】
本発明の重合性組成物及び着色重合性組成物において、上記エチレン性不飽和化合物、本発明のオキシムエステル化合物及び色材以外の任意成分(但し、上記のポリマー、無機化合物、色材及び溶剤は除く)の使用量は、その使用目的に応じて適宜選択され特に制限されないが、好ましくは、上記エチレン性不飽和化合物100質量部に対して合計で50質量部以下とする。
【0095】
本発明の重合性組成物及び着色重合性組成物は、光硬化性塗料又はワニス;光硬化性接着剤;印刷インク;歯科用組成物;電子工学用のフォトレジスト;電気メッキレジスト;エッチングレジスト;はんだレジスト;及びLCDの製造工程において構造を形成するためのレジスト;電気及び電子部品を封入するための組成物;ソルダーレジスト;磁気記録材料;めっき用マスク;エッチングマスク;ステレオリトグラフィによって三次元物体を製造するための材料;画像記録材料のための脱色材料;マイクロカプセルを使用する画像記録材料用の脱色材料;印刷配線板用フォトレジスト材料;UV及び可視レーザー直接画像系用のフォトレジスト材料;プリント回路基板の逐次積層における誘電体層形成に使用するフォトレジスト材料又は保護膜等の各種の用途に使用することができ、その用途に特に制限はない。
【0096】
本発明の重合性組成物及び着色重合性組成物は、液晶表示パネル用のスペーサーを形成する目的及び垂直配向型液晶表示素子用突起を形成する目的で使用することもできる。特に垂直配向型液晶表示素子用の突起とスペーサーを同時に形成するための重合性組成物及び着色重合性組成物として有用である。
【0097】
上記の液晶表示パネル用スペーサーは、(1)本発明の重合性組成物の塗膜を基板上に形成する工程、(2)該塗膜に所定のパターン形状を有するマスクを介して放射線を照射する工程、(3)露光後のベーク工程、(4)露光後の該被膜を現像する工程、(5)現像後の該被膜を加熱する工程により好ましく形成される。
【0098】
撥インク剤を添加した本発明の重合性組成物及び着色重合性組成物は、インクジェット方式用隔壁形成樹脂組成物として有用であり、該組成物はカラーフィルター用として用いられ、特にプロファイル角が50°以上であるインクジェット方式カラーフィルター用隔壁に好ましく用いられる。該撥インク剤としては、フッ素系界面活性剤及びフッ素系界面活性剤からなる組成物が好適に用いられる。
【0099】
本発明の重合性組成物及び着色重合性組成物は、無機材料(無機化合物)を含有させることで、感光性ペースト組成物として用いることができる。該感光性ペースト組成物は、プラズマディスプレイパネルの隔壁パターン、誘電体パターン、電極パターン及びブラックマトリックスパターン等の焼成物パターンを形成するために用いられる。
【0100】
本発明の重合性組成物又は着色重合性組成物より得られる硬化物の製造方法を下記に記載する。
【0101】
本発明の重合性組成物又は着色重合性組成物は、スピンコーター、ロールコーター、バーコーター、ダイコーター、カーテンコーター、各種の印刷、浸漬等の公知の手段で、ソーダガラス、石英ガラス、半導体基板、金属、紙、プラスチック等の支持基体上に適用することができる。また、一旦フィルム等の支持基体上に施した後、他の支持基体上に転写することもでき、その適用方法に制限はない。
【0102】
本発明の重合性組成物又は着色重合性組成物を硬化させる際に用いられるエネルギー線の光源としては、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、水銀蒸気アーク灯、キセノンアーク灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、蛍光灯、タングステンランプ、エキシマーランプ、殺菌灯、発光ダイオード、CRT光源等から得られる2000オングストロームから7000オングストロームの波長を有する電磁波エネルギーや電子線、X線、放射線等の高エネルギー線を利用することができるが、好ましくは、波長300〜450nmの光を発光する超高圧水銀ランプ、水銀蒸気アーク灯、カーボンアーク灯、キセノンアーク灯等が挙げられる。
【0103】
更に、露光光源にレーザー光を用いることにより、マスクを用いずに、コンピューター等のデジタル情報から直接画像を形成するレーザー直接描画法が、生産性のみならず、解像性や位置精度等の向上も図れることから有用であり、そのレーザー光としては、340〜430nmの波長の光が好適に使用されるが、エキシマーレーザー、窒素レーザー、アルゴンイオンレーザー、ヘリウムカドミウムレーザー、ヘリウムネオンレーザー、クリプトンイオンレーザー、各種半導体レーザー及びYAGレーザー等の可視から赤外領域の光を発するものも用いられる。これらのレーザーを使用する場合には、本発明の重合性組成物又は着色重合性組成物に、可視から赤外の当該領域を吸収する増感色素が加えられる。
【0104】
本発明の重合性組成物又は着色重合性組成物より得られる硬化物は、プリント基板;カラーテレビ、PCモニタ、携帯情報端末、デジタルカメラ等のカラー表示の液晶表示素子におけるカラーフィルター;CCDイメージセンサのカラーフィルター;プラズマ表示パネル用の電極材料;粉末コーティング;印刷版;磁気記録材料;微小機械部品;導波路;光スイッチ;カラー試験系;ガラス繊維ケーブルコーティング;画像記録材料;微細電子回路;脱色材料;保護膜;絶縁膜;光学素子等の各種の用途に使用することができ、その用途に特に制限はない。
【実施例】
【0105】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例等に限定されるものではない。
【0106】
本発明のオキシムエステル化合物である、上述の化合物No.1及びその中間体の製造について下記に示す。
【0107】
<ステップ1;中間体1の製造>
フェニルナフチルアミン (8.76g、39.9mmmol)、4−ブロモベンゾフェノン(10.4g、39.9mmol)、ナトリウム-tert-ペントキサイド(8.79g、79.8mmol)、ビストリフェニルホスフィンパラジウム(0.9g、3.99mmol)のトルエン(150ml) 懸濁液を100℃で5時間撹拌した。室温まで冷却後、反応液にセライト、シリカゲルを加え30分撹拌し、濾過を行い、減圧下40℃で溶媒を留去し茶色固体として下記の中間体1(15.0g)を得た。中間体1は精製せずに次の反応に用いた。
【0108】
【化33】
【0109】
<ステップ2;中間体2の製造>
中間体1(15.0g、37.5mmol)のニトロメタン(150ml)溶液に氷冷下、塩化アセチル(6.19g、78.8mmol)、塩化アルミニウム(10.5g、78.5mmol)を加え、同温で6.5時間撹拌した。さらに、塩化アセチル(12.4g、158mmol)、塩化アルミニウム(20.1g、151mmol)を加え室温で 2時間撹拌した。反応液を氷冷水にあけ、酢酸エチルを用いて抽出した。有機層を希塩酸で洗浄後、水洗を4回行い、減圧下40℃で溶媒を留去した。アセトン/2−プロパノールより晶析を行いクリーム色固体の下記の中間体2(8.0g、44%)を得た。
【0110】
【化34】
【0111】
<ステップ3;中間体3の製造>
中間体2(8.0g、16.5mmol)のエタノール(56mL)溶液に塩酸ヒドロキシルアミン(2.53g、36.4mmol)、酢酸ナトリウム(3.57g、43.5mmol)、水(30ml)を加え、加熱還流下4.3時間撹拌した。室温まで冷却後、酢酸エチルを用いて抽出を行い、有機層を飽和食塩水で3回洗浄し、減圧下40℃で溶媒を留去し、下記の中間体3下記の中間体3(11.6g)を得た。中間体3は精製せずに次の反応に用いた。
【0112】
【化35】
【0113】
<ステップ4;化合物No.1の製造>
中間体3(11.6g、22.5mmol)のクロロホルム(50ml)溶液に氷冷下、トリエチルアミン(4.78g、47.2mmol)、塩化アセチル(3.53g、45.0mmol)を加え、室温で一晩撹拌した。氷冷下、水を加え油水分離後、有機層を5回水洗した。減圧下40℃で溶媒を留去し、酢酸エチル/ヘキサン=1/2(v/v)の留分でシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、黄色アモルファスの目的物である化合物No.1(1.1g、8.2%)を得た。分析結果を〔表1〕〜〔表3〕に示す。
【0114】
本発明のオキシムエステル化合物である、上述の化合物No.182及びその中間体の製造について下記に示す。
【0115】
<ステップ1;中間体4の製造>
フェニルナフチルアミン(22.27g、102mmmol)、ブロモベンゼン(15.95g、102mmol)、ナトリウム-tert-ペントキサイド(22.37g、203mmol)、ビストリフェニルホスフィンパラジウム(0.26g、0.5mmol)のトルエン(100ml)懸濁液を100℃で2時間撹拌した。室温まで冷却後、反応液にセライト、シリカゲルを加え30分撹拌し、濾過を行い、減圧下40℃で溶媒を留去し、茶色固体として下記の中間体4(30.0g)を得た。中間体4は精製せずに次の反応に用いた。
【0116】
【化35A】
【0117】
<ステップ2;中間体5の製造>
中間体4(12.2g、41.3mmol)の1,2−ジクロロエタン(50ml)溶液に氷冷下、塩化アセチル(10.2g、130mmol)、塩化アルミニウム(17.8g、134mmol)を加え、同温で4時間、室温で3時間撹拌した。さらに、氷冷下、塩化アセチル(10.2g、130mmol)、塩化アルミニウム(17.8g、134mmol)を加え、同温で2.5時間、室温で4時間撹拌した。反応液を氷冷水にあけ、クロロホルムを用いて抽出した。有機層を希塩酸で洗浄後、水洗を5回行い、減圧下40℃で溶媒を留去した。酢酸エチル/ヘキサン=3/7(v/v)の留分でシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、下記の中間体5(4.06g、23.3%)を得た。
【0118】
【化35B】
【0119】
<ステップ3;中間体6の製造>
中間体5(4.06g、9.63mmol)のエタノール(32ml)溶液に塩酸ヒドロキシルアミン(2.21g、31.7mmol)、酢酸ナトリウム(3.16g、38.5mmol)、水(16ml)を加え、加熱還流下4時間撹拌した。室温まで冷却後、酢酸エチルを用いて抽出を行い、有機層を飽和食塩水で3回洗浄し、減圧下40℃で溶媒を留去し、下記の中間体6(4.84g)を得た。中間体6は精製せずに次の反応に用いた。
【0120】
【化35C】
【0121】
<ステップ4;化合物No.182の製造>
中間体6(4.84g、11.5mmol)のクロロホルム(19ml)溶液に氷冷下、トリエチルアミン(3.16g、31.2mmol)、塩化アセチル(2.38g、30.3mmol)を加え、室温で2時間撹拌した。氷冷下、水を加え油水分離後、有機層を5回水洗した。減圧下40℃で溶媒を留去し、酢酸エチル/ヘキサン=1/1(v/v)の留分でシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、黄色アモルファスの目的物である化合物No.182(0.78g、13.7%)を得た。分析結果を〔表1〕〜〔表3〕に示す。
【0122】
本発明のオキシムエステル化合物である、上述の化合物No.183及びその中間体の製造について下記に示す。
【0123】
<ステップ1;中間体7の製造>
中間体4(15.9g、53.9mmol)の1,2−ジクロロエタン(50ml)溶液に氷冷下、プロピオン酸クロリド(30.16g、226.2mmol)、塩化アルミニウム(30.16g、8.5)を加え、室温で1時間撹拌した。反応液を氷冷水にあけ、酢酸エチルを用いて抽出した。有機層を希塩酸で洗浄後、水洗を5回行い、減圧下40℃で溶媒を留去し、酢酸エチル/ヘキサン=1/3(v/v)の留分でシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、下記の中間体7(11.83g)を得た。
【0124】
【化35D】
【0125】
<ステップ2;中間体8の製造>
中間体7(10.0g、21.5mmol)のジメチルホルムアミド(20ml)溶液に35%塩酸(8.99g、86.0mmol)、亜硝酸イソブチル(8.90g、86.0mmol)、を加え、室温で12時間撹拌した。酢酸エチルを用いて抽出を行い、有機層を5回水洗し、減圧下40℃で溶媒を留去し、下記の中間体8(16.43g)を得た。中間体8は精製せずに次の反応に用いた。
【0126】
【化35E】
【0127】
<ステップ3;化合物No.183の製造>
中間体8(16.43g)のTHF(40ml)溶液に氷冷下、トリエチルアミン(4.67g、45.3mol)、塩化アセチル(3.56g、45.3mmol)を加え、1時間撹拌を行った。氷冷下、水と酢酸エチルを加え油水分離後、有機層を5回水洗した。減圧下40℃で溶媒を留去し、酢酸エチル/ヘキサン=2/3(v/v)の留分でシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、黄色アモルファスの目的物である化合物No.183(4.6g、8.2%)を得た。分析結果を〔表1〕〜〔表3〕に示す。
【0128】
【表1】
【0129】
【化36】
【0130】
【表2】
【0131】
【表3】
【0132】
[実施例4〜6及び比較例2]重合性組成物の調製
[表4]の配合に従って各成分を調製し重合性組成物(実施例4〜6及び比較例2)を得た。尚、表中の数字は質量部を表す。重合開始剤として化合物No.1、化合物No.182、化合物No.183及び比較化合物No.1を単独で使用した。
また、表中の各成分の符号は、下記の成分を表す。
A−1 化合物No.1 (本発明のオキシムエステル化合物)
A’−2 比較化合物No.1 (既存のオキシムエステル化合物)
A−3 化合物No.182 (本発明のオキシムエステル化合物)
A−4 化合物No.183 (本発明のオキシムエステル化合物)
B−1 SPC−1000
(酸基を有するエチレン性不飽和化合物;昭和電工製)
B−2 アロニックスM−450 (エチレン性不飽和化合物;東亞合成製)
C−1 PGMEA (溶剤)
D−1 KBE−403 (シランカップリング剤;信越化学製)
D−2 FZ−2122 (レベリング剤;東レ・ダウコーニング製)
D−3 アデカアークルズGPA−5001(潜在性添加剤;ADEKA製)
【0133】
【表4】
【0134】
[評価例4〜6及び比較評価例2]
上記実施例4〜6及び比較例2の重合性組成物に関し、下記の方法によって線幅感度の評価を行った。結果を[表5]に示す
【0135】
(線幅感度)
レジスト液2mlをガラス基板の上に滴下し、スピンコーターを用いて500rpm×2秒→900rpm×5秒→1秒間傾斜の条件で塗膜し、5分風乾した。風乾後、ホットプレート上に基板を置き90℃×90秒でプリベイクし、その後23℃×40秒で冷却した。冷却した基板にマスク(line&space)を介してギャップ20μmで露光機を用いて10mJ/cm〜80mJ/cmまで10mJ/cm間隔でパターン露光した。塩基性現像液を用いて、27〜28秒現像した。その後、ポストベイク(230℃×30分)前後の線幅と膜厚を測定した。マスク開口20μmにおいて線幅が20μmになる露光量を線幅感度とした。
【0136】
【表5】
【0137】
上記〔表1〕、〔表4〕及び〔表5〕より、本発明のオキシムエステル化合物は、既存のオキシムエステル化合物(比較化合物 No.1)と比較して、PGMEAへの溶解度が高く、露光量が小さい、すなわち線幅感度に優れることは明らかである。
【0138】
<ブルー顔料分散液No.1の製造>
分散剤としてDISPERBYK−161(12.5質量部;ビックケミージャパン製)を用いて、ピグメントブルー15:6(15質量部)を、色剤として、PGMEA(72.5質量部)に、ビーズミルを使用して分散させた。
【0139】
[実施例7〜9及び比較例3]着色重合性組成物の調製
[表6]の配合に従って各成分を調製し着色重合性組成物(実施例7〜9及び比較例3)を得た。尚、表中の数字は質量部を表す。重合開始剤として化合物No.1、化合物No.182、化合物No.183及び比較化合物No.1を単独で使用した。
また、表中の各成分の符号は、下記の成分を表す。
A−1 化合物No.1
A’−2 比較化合物No.1
A−3 化合物No.182
A−4 化合物No.183
B−3 SPC−3000
(酸基を有するエチレン性不飽和化合物;昭和電工製)
B−4 カヤラッドDPHA
C−1 PGMEA (溶剤)
D−1 KBM−403 (シランカップリング剤;信越化学製)
D−2 FZ−2122 (レベリング剤;東レ・ダウコーニング製)
E−1 ブルー顔料分散液 (色材分散液)
【0140】
【表6】
【0141】
[評価例7〜9及び比較評価例3]
得られた着色重合性組成物に関し、上記と同様の方法によって線幅感度の評価を行った。結果を[表7]に示す。
【0142】
【表7】
【0143】
上記〔表6〕及び〔表7〕より、本発明のオキシムエステル化合物を重合開始剤として用いた場合、感度に優れた着色重合性組成物が得られることは明らかである。フォトリソグラフィー性に優れるため、特にカラーフィルタの重合開始剤として有用である。
【0144】
よって、本発明のオキシムエステル化合物は、重合性組成物の重合開始剤として用いた場合、配合の自由度が高く、フォトリソグラフィー性に優れているため、有用である。
【産業上の利用可能性】
【0145】
本発明のオキシムエステル化合物は、重合性組成物に用いられる、高感度で、かつ溶解性の高い重合開始剤として有用なものである。