特許第6775573号(P6775573)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6775573
(24)【登録日】2020年10月8日
(45)【発行日】2020年10月28日
(54)【発明の名称】検体搬送システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/04 20060101AFI20201019BHJP
   G01N 35/02 20060101ALI20201019BHJP
【FI】
   G01N35/04 G
   G01N35/04 H
   G01N35/02 G
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-505285(P2018-505285)
(86)(22)【出願日】2017年1月16日
(86)【国際出願番号】JP2017001189
(87)【国際公開番号】WO2017159022
(87)【国際公開日】20170921
【審査請求日】2019年12月24日
(31)【優先権主張番号】特願2016-51957(P2016-51957)
(32)【優先日】2016年3月16日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテク
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】特許業務法人開知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】会沢 則之
(72)【発明者】
【氏名】清水 忠夫
【審査官】 長谷 潮
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/064540(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/039965(WO,A1)
【文献】 特開平05−142232(JP,A)
【文献】 特表2001−505648(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00−35/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体を搬送する搬送路と、
自動分析装置状態情報を送信するデータ送受信部を有し、上記検体を分析する自動分析装置と、
上記自動分析装置から、上記自動分析装置状態情報を受信するデータ送受信部を有し、上記検体を収容する1本の検体容器が上記搬送路から搬送され、複数本の上記検体容器を保持することができる検体容器ホルダに移載し、上記自動分析装置に投入する移載機と、
を備え、上記移載機は、上記自動分析装置から受信した上記自動分析装置状態情報に基いて、上記自動分析装置の可能分析数により、上記搬送路から搬送された上記検体容器を上記検体容器ホルダに移載して、上記自動分析装置に投入するか否かを判断することを特徴とする検体搬送システム。
【請求項2】
請求項1に記載の検体搬送システムにおいて、
上記移載機と互いに情報通信を行うオペレーションコンソールを、さらに備え、上記移載機は、上記自動分析装置から受信した上記自動分析装置状態情報を上記オペレーションコンソールに通知し、上記オペレーションコンソールは、上記移載機から通知された上記自動分析装置状態情報に基いて、上記移載機が搬入した上記検体を上記自動分析装置に投入するか否かの判断を上記移載機に通知することを特徴とする検体搬送システム。
【請求項3】
請求項1、2のうちのいずれか一項に記載の検体搬送システムにおいて、
上記自動分析装置は複数であり、複数の自動分析装置のそれぞれについて、上記移載機が配置されていることを特徴とする検体搬送システム。
【請求項4】
請求項1、2、3のうちのいずれか一項に記載の検体搬送システムにおいて、
上記自動分析装置は複数であり、上記移載機は複数の自動分析装置に共通した一つであることを特徴とする検体搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体前処理システムで処理された検体を、検体搬送システムを経由して自動分析装置へ搬送する検体搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
検体前処理システムは、特許文献1に記載されているように、検体搬送システムへ検体容器を搬出する前に、指定された条件に従ってどの自動分析装置に搬送するかが決められる。
【0003】
このため、検体搬送システムに搬出された検体容器は、検体搬送システムへの搬出後では、搬送される自動分析装置が変更されることはない。検体搬送システムは、1本の検体容器が1本ホルダにより検体搬送システム内のキャリア移載機まで搬送され、キャリア移載機により検体容器が1本ホルダから5本検体容器キャリアに移載される。そして、5本検体容器キャリアに移載された検体容器が自動分析装置に搬送され、検体容器に収容された検体が分析される。
【0004】
キャリア移載機により、検体容器が5本検体容器キャリアに移載される理由は、同種の分析が行われる検体が5容器分だけ搬送されたところで、自動分析装置に搬送し、分析の効率化を図るためである。
【0005】
自動分析装置において、分析処理が不可能な状態が発生した場合、特許文献1に記載された技術にあっては、検体前処理システムにて、検体容器キャリアに搭載された検知容器への検体の分注処理は実行せず、検体収納ユニットに一時的に収納させ、自動分析装置が分析処理可能となると、検体収納ユニットに一時的に収納された検体が分注ユニットに搬送され、検体前処理が行われるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第5560280号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、検体搬送システムにおいて、検体前処理システムから検体搬送システムにより検体容器がキャリア移載機に搬送された後、キャリア移載機にて5容器移載されるまで待機することとなる。この間、自動分析装置は、分析動作を継続中であり、例えば、必要な試薬が不足し、キャリア移載機に搬送され、5本キャリアに移載された検体がその自動分析装置では、分析できない状態が発生する。
【0008】
特許文献1に記載された技術にあっては、検体の前処理前に、自動分析装置の処理不可能状態が検出された場合は、検体を搬送システムによる自動分析装置への搬送は回避されるが、検体を搬送システムに搬出後に自動分析装置の処理不可能状態が検出された場合は、検体をその自動分析装置に投入されてしまうため、その自動分析装置では検査出来ない検体の投入を回避することが出来なかった。
【0009】
検査できない検体が、その自動分析装置に投入してしまうと、分析されずに退避されるか、検体搬送システムに戻され、別の自動分析装置へ送られるため、再検査されるまでの時間分の分析処理遅延が発生してしまっていた。
【0010】
本発明の目的は、検体前処理システムから検体が搬送されてしまった後に、自動分析装置の処理不可能が検出されたときであっても、その自動分析装置への検体投入を回避可能な検体搬送システムを実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明は次のように構成される。
【0012】
検体搬送システムにおいて、検体を搬送する搬送路と、自動分析装置状態情報を送信するデータ送受信部を有し、上記検体を分析する自動分析装置と、上記自動分析装置から、上記自動分析装置状態情報を受信するデータ送受信部を有し、上記検体を収容する1本の検体容器が上記搬送路から搬送され、複数本の上記検体容器を保持することができる検体容器ホルダに移載し、上記自動分析装置に投入する移載機と、を備え、上記移載機は、上記自動分析装置から受信した上記自動分析装置状態情報に基いて、上記自動分析装置の可能分析数により、上記搬送路から搬送された上記検体容器を上記検体容器ホルダに移載して、上記自動分析装置に投入するか否かを判断する
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、検体前処理システムから検体が搬送されてしまった後に、自動分析装置の処理不可能が検出されたときであっても、その自動分析装置への検体投入を回避可能な検体搬送システムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明が適用される検体搬送システムの概略構成図である。
図2】本発明の実施例1に係る検体搬送システムと自動分析装置間通信回路の構成説明図である。
図3】本発明の実施例1における、キャリア移載機の検体容器の移載可否判断のフローチャートである。
図4】本発明の実施例5による検体搬送システムの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
【実施例】
【0016】
(実施例1)
図1は、本発明が適用される検体搬送システムの概略構成図である。
【0017】
図1において、検体搬送システムは、オペレーションコンソール部106と、検体前処理部101と、検体搬送システム部102と、少なくとも1台以上のキャリア移載機103(103a、103b、103c)とを備え、それぞれのキャリア移載機103から自動分析装置104(104a、104b)、105へと検体を搬送する。
【0018】
検体前処理部101は、親検体内の血液を遠心分離し、検体を検体容器へ分注する作業をするものであり、自動分析装置104a、104b、105へ検体容器を搬送する準備をする。
【0019】
また、検体前処理部101は、検体容器を一時保管できる検体収納モジュールを有する。
【0020】
検体容器ホルダは、1本の検体容器を保持するものであり、検体前処理部101において、検体容器ホルダが1本の検体容器を保有して移動し、上記処理が行われる。キャリア移載機103a〜103cは、検体容器ホルダに保持された1本の検体容器を5本の検体容器を保持する検体容器キャリアに移し替え、自動分析装置104(104a、104b)、105投入するものであり、検体前処理部101から検体搬送システム部102へ搬送された1本の検体容器を保有した検体容器ホルダは、キャリア移載機103a〜103cのいずれかへ搬送され、5本搭載できる検体容器キャリアへ検体容器のみが移し替えられる。検体容器が移された5本搭載できる検体容器キャリアは、自動分析装置104a、104b、104c、105のうちの対応する自動分析装置へ搬送される。
【0021】
図2は、本発明の実施例1に係る検体搬送システムと自動分析装置間通信回路の構成説明図である。
【0022】
図2において、オペレーションコンソール106には、予め検体バーコード情報301と各自動分析装置情報302が登録される。また、キャリア移載機103(103a、103b、103c)は、制御ユニット1031と、入出力部1032と、データ送受信部1033とを備える。また、自動分析装置(104a、104b、105)は、入出力部1041と、データ送受信部1042とを備える。
【0023】
キャリア移載機103(103a、103b、103c)は、I/O通信ケーブル310を介して、入出力部1032と1041とにより、自動分析装置(104a、104b、105)における自動分析装置状態監視311のステータス(該当する自動分析装置に検体を投入してもよいか否か等の一般的な情報)を得ることができる。
【0024】
また、キャリア移載機103(103a、103b、103c)は、シリアル通信ケーブル320を介して自動分析装置(104a、104b、105)の搭載試薬の有無等を示す自動分析装置状態情報321を得る。自動分析装置状態情報321は、搭載試薬の有無を示す。
【0025】
検体前処理部101に投入された検体容器は、検体搬送システム部102を通りキャリア移載機103(103a、103b、103c)まで搬送される。キャリア移載機103aを例として説明する。このキャリア移載機103aに運ばれた検体容器の情報を確認すると、自動分析装置104aに自動分析装置104aの搭載試薬の有無情報を送信するように要求する。搭載試薬の有無情報が要求された自動分析装置104aは、自動分析装置状態情報321により、自動分析装置104aの搭載試薬の有無情報等をキャリア移載機103aに通知する。
【0026】
キャリア移載機103aは、オペレーションコンソール部106から、イーサネット(登録商標)通信303を介して、互いに情報通信を行うことができ、自動分析装置104aの搭載試薬有無情報を元に検査可能項目を判断した情報を前もって取得し、自動分析装置104aで分析可能か否かを判断する。自動分析装置104aで分析可能であれば、検体容器ホルダに保持されている1本の検体容器を、5本搭載できる検体容器キャリアへ移し替える。
【0027】
自動分析装置104aが分析不可能な場合は、キャリア移載機103aは、検体容器ホルダから検体容器を5本搭載できる検体容器キャリアへ移し替えずに検体搬送システム部102に戻す。検体搬送システム部102に戻された検体容器ホルダは、検体搬送システム部102により、検体処理部101の収納モジュールに搬送される。
【0028】
キャリア移載機103aと自動分析装置104aを例にして説明したが、キャリア移載機103bと自動分析装置104b、キャリア移載機103cと自動分析装置105も、キャリア移載機103aと自動分析装置104aと同様に、それぞれの組み合わせで互いに通信を行う。
【0029】
図3は、本発明の実施例1における、キャリア移載機の検体容器の移載可否判断のフローチャートである。
【0030】
キャリア移動移載機103aと、自動分析装置104aを例にして説明する。
【0031】
図3のステップ501において、検体搬送システム部102からキャリア移載機103aに検体容器ホルダに保持された1本の検体容器が投入される。次に、ステップ502において、キャリア移載機103aは、投入された検体の情報を、イーサネット(登録商標)通信303を介してオペレーションコンソール部106に確認する。
【0032】
次に、ステップ503において、キャリア移載機103aは、自動分析装置104aに搭載している試薬の有無を確認する。そして、ステップ504において、キャリア移載機103aは、ステップ502で確認した検体情報とステップ503で確認した搭載試薬の有無情報とを比較する。
【0033】
次に、ステップ505において、キャリア移載機103aに投入された検体は、自動分析装置104aで分析可能か否かを判断する。つまり、キャリア移載機103aに投入された検体を分析するための試薬が自動分析装置104にあるか否かを判断する。ステップ505において、分析可能と判断すると、ステップ506に進み、キャリア移載機103aは検体容器を、5本搭載できる検体容器キャリアに移載する(移し替える)。そして、ステップ507において、検体容器を移載した検体容器キャリアを自動分析装置104aに投入する(搬送する)。
【0034】
ステップ505において、キャリア移載機103aが、その検体は自動分析装置104aで分析不可能と判断すると、ステップ508、509に進み、検体容器キャリアに移載することなく、検体が収容された検体容器を保持するホルダを検体搬送システム部102に搬出する。検体搬送システム部102に搬出されたホルダは検体処理部101の収納モジュールに収納される。
【0035】
以上のように、本発明の実施例1によれば、キャリア移載機103(103a、103b、103c)は、検体搬送システム部102から搬送された検体の検体情報と、自動分析装置(104a、104b、105)の搭載試薬の有無情報とから、その検体が自動分析装置(104a、104b、105)で分析可能か否かを判断し、分析不可能と判断した場合は、検体容器を検体容器キャリアに移載することなく、検体容器ホルダを検体搬送システム部102に搬出する。
【0036】
これによって、その検体が分析不可能となった自動分析装置に投入してしまうということが回避され、自動分析装置に投入された検体をそのまま退避させる、或いは、自動分析装置から検体容器キャリアを取り出して、取り出した検体容器キャリアから検体容器を検体容器ホルダに移載し、検体搬送システムに搬送しなければならないという事態を回避することができ、不要な動作及び時間を省略することができる。
【0037】
したがって、その自動分析装置では分析不可能と判断された検体が再分析されるまでの時間を短縮することができ、分析処理の遅延を回避することができる。
【0038】
(実施例2)
次に、本発明の実施例2について説明する。実施例2における検体搬送システムの概略構成は実施例1と同様であるので、図示及び詳細な説明は省略する。
【0039】
実施例1と実施例2との相違点は、自動分析装置(104a、104b、105)に検体を投入するか否かの判断基準である。
【0040】
実施例1においては、自動分析装置(104a、104b、105)に、検体を分析するために必要な試薬の有無により、検体を自動分析装置に投入するか否かを判断するものであるが、実施例2においては、検体を分析する分析項目がその自動分析装置で実行可能か否かにより、検体を自動分析装置に投入するか否かを判断する。
【0041】
検体を分析するための試薬が自動分析装置に存在していた場合であっても、例えば、試薬分注機構に異常が発生し、分析項目の実行ができない場合があり得る。
【0042】
実施例2は、そのような場合であっても対応可能とする例である。
【0043】
自動分析装置(104a、104b、105)に検体を投入するか否かの判断基準以外は、実施例1と実施例2とは共通するため、その他の詳細な説明は省略する。
【0044】
ただし、自動分析装置情報321は、分析項目の可/不可情報(その自動分析装置が実行可能な分析項目情報)を含むものである。また、図3において、ステップ503は「自動分析装置の分析項目の可能不可能情報の確認」となり、ステップ504は「検体情報と分析項目の可能不可能情報を比較」となる。
【0045】
実施例2においても、実施例1と同様な効果が得られる他、上述したように、検体を分析するための試薬が自動分析装置に存在していた場合であって、分析項目の実行ができない場合にも対応可能である。
【0046】
(実施例3)
次に、本発明の実施例3について説明する。実施例3における検体搬送システムの概略構成は実施例1と同様であるので、図示及び詳細な説明は省略する。
【0047】
実施例1と実施例3との相違点は、自動分析装置(104a、104b、105)に検体を投入するか否かの判断基準である。
【0048】
実施例3においては、その自動分析装置における分析項目の可能分析数により、検体を自動分析装置に投入するか否かを判断する。
【0049】
キャリア移載機103(103a、103b、103c)は、検体容器を5本収容する検体容器キャリアに移載し、その5本の検体容器を自動分析装置に投入する。自動分析装置に試薬が有り、かつ、分析項目も実行可能であっても、5本未満であれば可能であるが、5本分の検体容器の検体は分析できない場合もあり得る。
【0050】
実施例3は、そのような場合であっても対応可能とする例である。
【0051】
自動分析装置(104a、104b、105)に検体を投入するか否かの判断基準以外は、実施例1と実施例3とは共通するため、その他の詳細な説明は省略する。
【0052】
ただし、自動分析装置情報321は、分析項目の可能分析数の情報を含むものである。また、図3において、ステップ503は「自動分析装置の分析項目の可能分析数の確認」となり、ステップ504は「分析項目の可能分析数と予定分析数を比較」となる。
【0053】
実施例3においても、実施例1と同様な効果が得られる他、上述したように、検体を分析するための試薬が自動分析装置に存在していた場合であって、分析項目の可能分析数が5本未満である場合にも対応可能である。
【0054】
(実施例4)
次に、本発明の実施例4について説明する。実施例4における検体搬送システムの概略構成は実施例1と同様であるので、図示及び詳細な説明は省略する。
【0055】
実施例1と実施例4との相違点は、自動分析装置(104a、104b、105)に検体を投入するか否かの判断を、キャリア移載機103(103a、103b、103c)ではなく、オペレーションコンソール部106が行う点である。
【0056】
以下、実施例4について説明する。自動分析装置104a、キャリア移載機103aを例として説明する。
【0057】
オペレーションコンソール部106と検体前処理部101と検体搬送システム部102の電源が投入され、自動分析装置104aの電源が投入される。電源の投入順序は逆でも良い。電源投入後、キャリア移載機103aと自動分析装置104aとがお互い稼働状態であることを、キャリア移載機103aが自動分析装置状態監視311で確認すると、キャリア移載機103aから自動分析装置情報321により、自動分析装置104aの搭載試薬の有無の全情報を自動分析装置104aに要求する。
【0058】
搭載試薬の有無の全情報を要求された自動分析装置104aは、自動分析装置情報321により、自動分析装置104aの搭載試薬の有無の全情報をキャリア移載機103(a)に通知する。
【0059】
なお、キャリア移載機103aと自動分析装置104aがお互い稼働状態であることを自動分析装置状態監視311で確認したら、キャリア移載機103aからの要求が無くとも自動分析装置104aから、自動分析装置情報321により、自動分析装置104aの搭載試薬の有無の全情報をキャリア移載機103aに通知しても良い。
【0060】
キャリア移載機103aは、自動分析装置104aの搭載試薬の有無の全情報をオペレーションコンソール106にイーサネット(登録商標)303により通知する。これによって、自動分析装置104aの搭載試薬の有無の全情報をオペレーションコンソール部106が把握する。
【0061】
オペレーションコンソール部106は、キャリア移載機103aに搬送した検体の検体情報と自動分析装置104aの搭載試薬の有無の全情報とを比較し、自動分析装置104aで分析可能か否かを判断する。そして、オペレーションコンソール部106は、判断結果をキャリア移載機103aに通知する。
【0062】
キャリア移載機103aは、オペレーションコンソール部106から通知された判断結果に従って、検体容器をキャリアに移載し、自動分析装置104aに投入するか、検体容器を検体容器キャリアには移載しないで、検体搬送システム部102に搬出する。
【0063】
自動分析装置104aで使用している試薬が無くなった場合は、無くなったタイミングで自動分析装置104aの搭載試薬の有無の全情報をキャリア移載機103aに自動分析装置情報321により通知する。キャリア移載機103aは、自動分析装置104aの搭載試薬の有無の全情報をオペレーションコンソール部106に送り、新たに検査可能項目を判断した情報を入手する。
【0064】
また、自動分析装置104aから、キャリア移載機103aに通知するタイミングは、1秒以下で定期的に通知するように構成することもできる。このように構成することで、通信異常による情報誤信や遅延を防止することができる。
【0065】
また、自動分析装置104aで使用している試薬が無くなった場合に通知する情報は、無くなった搭載試薬のみの情報でも良い。
【0066】
本発明の実施例4においても、実施例1と同様な効果が得られる他、オペレーションコンソール部106が、検体情報と自動分析装置104aの搭載試薬の有無の全情報とを比較し、自動分析装置104aで分析可能か否かを判断することにより、キャリア移載機103aにおける処理を簡素化でき、短時間で判断処理が可能になる。
【0067】
また、検体前処理部101における、自動分析装置104a〜104c、105への検体の振分を計画的に進めることができる。
【0068】
(実施例5)
次に、本発明の実施例5について説明する。
【0069】
図4は、本発明の実施例5による検体搬送システムの概略構成図である。
【0070】
図4において、検体搬送システムは、オペレーションコンソール部206と、検体前処理部201と、検体搬送システム部202とを備え、検体前処理部201は、検体搬送システム部202との接続部にキャリア移載機203を備え、1台、または複数の自動分析装置204a、204b、205へと検体を搬送する。
【0071】
実施例5と実施例1との相違点は、実施例5においては、キャリア移載機203が自動分析装置204a、204b、205に共通となっている点である。キャリア移搭載203は、自動分析装置204a、204b、205のそれぞれから搭載試薬の有無情報等を得ることができる。
【0072】
このように、1台のキャリア移載機203から1台、または複数の自動分析装置204a、204b、205へ検体を搬送しても良い。
【0073】
キャリア移載機203のデータ処理等は、実施例1〜4のいずれかを適用可能であるため、詳細な説明は省略する。
【0074】
なお、実施例5の変形例としては、図1のように、複数のキャリア移載機を備え、かつ、複数のキャリア移載機のうちのいずれかまたは全てに複数の自動分析装置を接続する構成がある。
【0075】
本発明の実施例5においても、実施例1〜4と同様な効果を得ることができる。
【0076】
以上のように、本発明によれば、検体前処理システムから検体が搬送されてしまった後に、自動分析装置の処理不可能が検出されたときであっても、その自動分析装置への検体投入を回避可能な検体搬送システムを実現することができる。
【0077】
なお、上述した実施例において、シリアル通信で自動分析装置とキャリア移載機との情報通信を行う場合、搭載試薬の有無と分析項目の可/不可はビット通信方式で行い分析項目の可能分析数はバイト通信方式で行うことが可能である。
【0078】
また、上記検体容器キャリアは、検体容器を5本保持可能な例であるが、5本に限らず、2、3、4本等の複数本の検体容器を保持可能な例にも適用可能である。
【符号の説明】
【0079】
101、201・・・検体前処理システム部、102、202・・・検体搬送システム部、103、103a、103b、103c、203・・・キャリア移載機、104、104a、104b、105、204a、204b、205・・・自動分析装置、106、206・・・オペレーションコンソール部、301・・・検体バーコード情報、302・・・自動分析装置情報、310・・・I/O通信ケーブル、320・・・シリアル通信ケーブル、311・・・自動分析装置状態監視、321・・・自動分析装置情報、1031・・・制御ユニット、1032、1041・・・入出力部、1033、1042・・・データ送受信部
図1
図2
図3
図4