(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態に係るチョコレート用油脂組成物は、下記の(a)〜(f)の条件を満たす。
(a)X3を5〜12質量%含有する。
(b)X2Oを10〜30質量%含有する。
(c)XXO/X2Oの質量比が0.55〜0.75である。
(d)U3を10〜35質量%含有する。
(e)X3/U3の質量比が0.260〜0.500である。
(f)構成脂肪酸として炭素数12〜14の直鎖飽和脂肪酸を8〜35質量%含有する。
【0012】
本発明の実施の形態に係るチョコレート用油脂組成物は、X3を5〜12質量%含有し、好ましくは6〜11質量%含有し、より好ましくは7〜10質量%含有する(条件(a))。
なお、本発明において、X3はXが3分子結合しているトリグリセリド(XXX)である(トリグリセリドとは、グリセロールに3分子の脂肪酸が結合したトリアシルグリセロールのことである。)。また、本発明において、Xは炭素数16〜24の直鎖飽和脂肪酸である。
【0013】
本発明の実施の形態に係るチョコレート用油脂組成物は、X2Oを10〜30質量%含有し、好ましくは11〜28質量%含有し、より好ましくは12〜27質量%含有する(条件(b))。
なお、本発明において、X2OはXが2分子、Oが1分子結合しているトリグリセリド(XXO+XOX+OXX)である。また、本発明において、Oはオレイン酸(炭素数18の1価の直鎖不飽和脂肪酸)である。
【0014】
本発明の実施の形態に係るチョコレート用油脂組成物は、XXO/X2Oの質量比が0.55〜0.75であり、好ましくは0.57〜0.73であり、より好ましくは0.60〜0.70である(条件(c))。
なお、本発明において、XXO/X2Oの質量比は、X2O含有量(質量%)に対するXXO含有量(質量%)の比のことである。また、本発明において、XXOは、1位と2位にX、3位にOが結合しているトリグリセリド又は2位と3位にX、1位にOが結合しているトリグリセリドである。
【0015】
本発明の実施の形態に係るチョコレート用油脂組成物は、U3を10〜35質量%含有し、好ましくは15〜33質量%含有し、より好ましくは20〜30質量%含有する(条件(d))。
なお、本発明において、U3はUが3分子結合しているトリグリセリド(UUU)である。また、本発明において、Uは炭素数18の直鎖不飽和脂肪酸である。
【0016】
本発明の実施の形態に係るチョコレート用油脂組成物は、X3/U3の質量比が0.260〜0.500であり、好ましくは0.280〜0.480であり、より好ましくは0.300〜0.420である(条件(e))。
なお、本発明において、X3/U3の質量比は、X3含有量(質量%)に対するU3含有量(質量%)の比のことである。
【0017】
本発明の実施の形態に係るチョコレート用油脂組成物は、構成脂肪酸として炭素数12〜14の直鎖飽和脂肪酸を8〜35質量%含有し、好ましくは10〜33質量%含有し、より好ましくは10〜30質量%含有する(条件(f))。
なお、本発明において、炭素数12〜14の直鎖飽和脂肪酸はC12〜14SFAと記載することもある。
【0018】
本発明の実施の形態に係るチョコレート用油脂組成物が、上記の(a)〜(f)の条件を満たすと、ひび割れ及びべたつきの少ない被覆用に適したチョコレートが得られる。
【0019】
本発明の実施の形態に係るチョコレート用油脂組成物は、X2Uを好ましくは10〜40質量%含有し、より好ましくは12〜38質量%含有し、更に好ましくは15〜35質量%含有する。
なお、本発明において、X2UはXが2分子、Uが1分子結合しているトリグリセリド(XUX+XXU+UXX)である。
【0020】
本発明の実施の形態に係るチョコレート用油脂組成物は、X2O/X2Uの質量比が好ましくは0.70以上であり、より好ましくは0.70〜0.85であり、更に好ましくは0.75〜0.85である。
なお、本発明において、X2O/X2Uの質量比は、X2U含有量(質量%)に対するX2O含有量(質量%)の比のことである。
【0021】
本発明の実施の形態に係るチョコレート用油脂組成物は、XXOを好ましくは5〜25質量%含有し、より好ましくは5〜23質量%含有し、更に好ましくは7〜20質量%含有する。
【0022】
本発明の実施の形態に係るチョコレート用油脂組成物は、XU2を好ましくは5〜30質量%含有し、より好ましくは8〜28質量%含有し、更に好ましくは13〜25質量%含有する。
なお、本発明において、XU2はXが1分子、Uが2分子結合しているトリグリセリド(XUU+UXU+UUX)である。
【0023】
本発明の実施の形態に係るチョコレート用油脂組成物は、XU2+U3を好ましくは20〜60質量%含有し、より好ましくは25〜58質量%含有し、更に好ましくは30〜55質量%含有する。
なお、本発明において、XU2+U3は、XU2とU3の合計含有量(質量%)のことである。
【0024】
本発明の実施の形態に係るチョコレート用油脂組成物は、構成脂肪酸としてトランス脂肪酸を好ましくは5質量%未満含有し、より好ましくは3質量%未満含有し、さらに好ましくは1.5質量%未満含有する。なお、本発明において、トランス脂肪酸はTFAと記載することもある。
【0025】
本発明の実施の形態に係るチョコレート用油脂組成物は、構成脂肪酸として飽和脂肪酸を好ましくは40〜70質量%含有し、より好ましくは42〜65質量%含有し、更に好ましくは45〜60質量%含有する。なお、本発明において、飽和脂肪酸はSFAと記載することもある。
【0026】
本発明の実施の形態に係るチョコレート用油脂組成物は、構成脂肪酸として炭素数16〜18の直鎖飽和脂肪酸を好ましくは20〜45質量%含有し、より好ましくは23〜43質量%含有し、更に好ましくは25〜40質量%含有する。なお、本発明において、炭素数16〜18の直鎖飽和脂肪酸はC16〜18SFAと記載することもある。
【0027】
本発明の実施の形態に係るチョコレート用油脂組成物は、構成脂肪酸として炭素数20〜22の直鎖飽和脂肪酸を好ましくは0.5〜5質量%含有し、より好ましくは1〜5質量%含有し、更に好ましくは1.5〜4質量%含有する。なお、本発明において、炭素数20〜22の直鎖飽和脂肪酸はC20〜22SFAと記載することもある。
【0028】
本発明の実施の形態に係るチョコレート用油脂組成物は、構成脂肪酸として不飽和脂肪酸を好ましくは25〜60質量%含有し、より好ましくは30〜58質量%含有し、更に好ましくは35〜55質量%含有する。なお、本発明において、不飽和脂肪酸はUFAと記載することもある。
【0029】
本発明の実施の形態に係るチョコレート用油脂組成物は、構成脂肪酸としてUを好ましくは25〜60質量%含有し、より好ましくは30〜58質量%含有し、更に好ましくは35〜55質量%含有する。
【0030】
本発明の実施の形態に係るチョコレート用油脂組成物は、トリグリセリドの組成、構成脂肪酸の組成等が前記範囲であれば、特に制限されることなく、通常の食用油脂を使用して製造することができる。本発明の実施の形態に係る油脂組成物の製造に使用される食用油脂としては、例えば、パーム油、パーム核油、ヤシ油、ココアバター、シア脂、サル脂、イリッペ脂、大豆油、菜種油、綿実油、サフラワー油、ひまわり油、米油、コーン油、ゴマ油、オリーブ油、乳脂等や、これらを原料油脂として含む加工油脂(水素添加油、分別油、エステル交換油)等が挙げられる。前記食用油脂は2種以上を組み合せて使用することもできる。
【0031】
本発明の実施の形態に係るチョコレート用油脂組成物は、例えば、ラウリン系油脂、液状油、植物油の極度硬化油、下記XXOを35〜60質量%含有する油脂(以下、XXOを35〜60質量%含有する油脂は、油脂Aとする。)等を使用することで製造することができる。
【0032】
本発明において、ラウリン系油脂とは、構成脂肪酸としてラウリン酸を35質量%以上含有する油脂のことである。本発明の実施の形態に係るチョコレート用油脂組成物の製造に使用されるラウリン系油脂は、構成脂肪酸としてラウリン酸を好ましくは40質量%以上含有し、より好ましくは40〜60質量%含有する。本発明の実施の形態に係るチョコレート用油脂組成物の製造に使用されるラウリン系油脂の具体例としては、パーム核油、ヤシ油やこれらを原料油脂として含む加工油脂(分別油、硬化油(水素添加油)、エステル交換油)等が挙げられる。本発明の実施の形態に係るチョコレート用油脂組成物の製造に使用されるラウリン系油脂は、好ましくはラウリン系油脂の硬化油である。なお、本発明において、ラウリン酸はLaと記載することもある。
【0033】
本発明において、液状油とは、20℃で液状の油脂のことである。本発明の実施の形態に係るチョコレート用油脂組成物の製造に使用される液状油の具体例としては、例えば、大豆油、菜種油、コーン油、ひまわり油、紅花油、ごま油、綿実油、米油、オリーブ油、落花生油、亜麻仁油やこれらの油脂の加工油脂(エステル交換油、分別油、硬化油(水素添加油)等)等が挙げられる。本発明の実施の形態に係るチョコレート用油脂組成物の製造に使用される液状油は、好ましくは菜種油である。
【0034】
本発明の実施の形態に係るチョコレート用油脂組成物の製造に使用される植物油の極度硬化油は、好ましくは構成脂肪酸としてラウリン酸を10質量%未満、炭素数20〜22の直鎖飽和脂肪酸を50〜65質量%含有する。本発明の実施の形態に係るチョコレート用油脂組成物の製造に使用される植物油の極度硬化油の具体例としては、例えば、大豆油の極度硬化油、菜種油の極度硬化油、高エルシン酸菜種油の極度硬化油、パーム油の極度硬化油等が挙げられる。本発明の実施の形態に係るチョコレート用油脂組成物の製造に使用される植物油の極度硬化油は、好ましくは高エルシン酸菜種油の極度硬化油である。
【0035】
本発明の実施の形態に係るチョコレート用油脂組成物の製造に使用される油脂Aは、XXOを35〜60質量%含有し、好ましくは40〜55質量%含有する。
本発明の実施の形態に係るチョコレート用油脂組成物の製造に使用される油脂Aは、好ましくはX3を5〜20質量%、X2Uを60〜85質量%、X2Oを50〜80質量%、XU2+U3を1〜20質量%含有し、より好ましくはX3を10〜15質量%、X2Uを65〜80質量%、X2Oを55〜75質量%、XU2+U3を5〜15質量%含有する。
本発明の実施の形態に係るチョコレート用油脂組成物の製造に使用される油脂Aは、XXO/X2Oの質量比が好ましくは0.55〜0.75であり、より好ましくは0.60〜0.70である。
本発明の実施の形態に係るチョコレート用油脂組成物の製造に使用される油脂Aは、好ましくは構成脂肪酸として炭素数16〜24の脂肪酸を90質量%以上、飽和脂肪酸を55〜80質量%、炭素数16〜18の直鎖飽和脂肪酸を55〜80質量%、不飽和脂肪酸を20〜40質量%含有し、より好ましくは構成脂肪酸として炭素数16〜24の脂肪酸を95〜100質量%、飽和脂肪酸を60〜75質量%、炭素数16〜18の直鎖飽和脂肪酸を60〜75質量%、不飽和脂肪酸を25〜35質量%含有する。なお、本発明において、炭素数16〜24の脂肪酸はC16〜24FAと記載することもある
本発明の実施の形態に係るチョコレート用油脂組成物の製造に使用される油脂Aは、P/Stの質量比が好ましくは1.5〜3.5であり、より好ましくは1.7〜3.0である。なお、本発明において、P/Stの質量比は、St含有量(質量%)に対するP含有量(質量%)の比のことである。また、本発明において、Pはパルミチン酸(炭素数16の直鎖飽和脂肪酸)のことであり、Stはステアリン酸(炭素数18の直鎖飽和脂肪酸)のことである。
【0036】
本発明の実施の形態に係るチョコレート用油脂組成物の製造に使用される油脂Aは、例えば、パーム系油脂を含む原料油脂のランダムエステル交換油を分別することで製造することができる。ランダムエステル交換油の原料油脂は、好ましくはパーム系油脂を50質量%以上含有し、より好ましくは60〜80質量%含有する。分別に供するランダムエステル交換油は、2種以上のランダムエステル交換油の混合油を使用することもできる。ランダムエステル交換油の分別は、分別により高融点部又は高融点部と低融点部を除去する。なお、本発明において、パーム系油脂とは、パーム油やパーム油の加工油脂(エステル交換油、分別油、硬化油(水素添加油)等)のことである。パーム系油脂の具体例としては、例えば、パーム油、パームステアリン、パーム中融点、パームオレイン等が挙げられる。油脂Aを製造するためのランダムエステル交換及び分別は従来公知の方法を使用することができる。
【0037】
本発明の実施の形態に係るチョコレート用油脂組成物は、好ましくはラウリン系油脂を10〜45質量%、液状油を15〜60質量%、植物油の極度硬化油を0〜10質量%、油脂Aを15〜50質量%含有し、より好ましくはラウリン系油脂を15〜40質量%、液状油を20〜55質量%、植物油の極度硬化油を1〜7質量%、油脂Aを20〜45質量%含有する。
【0038】
油脂のトリグリセリド組成の分析は、ガスクロマトグラフ法(JAOCS,vol70,11,1111−1114(1993)準拠)及び銀イオンカラム−HPLC法(J.High Resol.Chromatogr.,18,105−107(1995)準拠)を用いて行うことができる。
油脂の構成脂肪酸の分析は、ガスクロマトグラフ法(AOCS Ce1f−96準拠)を用いて行うことができる。
【0039】
本発明の実施の形態に係るチョコレート用油脂組成物は、好ましくは下記乳化剤A及び/又は下記乳化剤Bを含有し、より好ましくは下記乳化剤A及び下記乳化剤Bを含有する。
【0040】
本発明の実施の形態に係るチョコレート用油脂組成物の製造に使用される乳化剤Aは、HLBが5以下の乳化剤であり、好ましくはHLBが3以下の乳化剤であり、より好ましくはHLBが1〜3の乳化剤である。
本発明の実施の形態に係るチョコレート用油脂組成物の製造に使用される乳化剤Aは、好ましくはショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルから選ばれる1種以上であり、より好ましくはショ糖脂肪酸エステルであり、更に好ましくはショ糖ステアリン酸エステルである。
本発明の実施の形態に係るチョコレート用油脂組成物は、乳化剤Aを好ましくは0.1〜2質量%含有し、より好ましくは0.2〜1.5質量%含有し、更に好ましくは0.3〜1質量%含有する。
【0041】
本発明の実施の形態に係るチョコレート用油脂組成物の製造に使用される乳化剤Bは、HLBが10以上の乳化剤であり、好ましくはHLBが12以上の乳化剤であり、より好ましくはHLBが12〜15の乳化剤である。
本発明の実施の形態に係るチョコレート用油脂組成物の製造に使用される乳化剤Bは、好ましくはショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルから選ばれる1種以上であり、より好ましくはショ糖脂肪酸エステルであり、更に好ましくはショ糖ステアリン酸エステルである。
本発明の実施の形態に係るチョコレート用油脂組成物は、乳化剤Bを好ましくは0.1〜2質量%含有し、より好ましくは0.2〜1.5質量%含有し、更に好ましくは0.3〜1質量%含有する。
本発明の実施の形態に係るチョコレート用油脂組成物が、乳化剤A、乳化剤Bを含有すると、ひび割れ及びべたつきのより少ない被覆用に適したチョコレートが得られる。
【0042】
本発明の実施の形態に係るチョコレート用油脂組成物には、乳化剤A、乳化剤B以外の乳化剤(レシチン、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル等)を使用することもできる。
【0043】
本発明の実施の形態に係るチョコレートは、チョコレートに含まれる油脂が本発明の実施の形態に係るチョコレート用油脂組成物を50質量%以上含有し、好ましくは70〜100質量含有し、更に好ましくは80〜95質量%含有する。
なお、本発明においてチョコレートに含まれる油脂とは、チョコレートに含まれる全油脂分のことであり、配合される油脂の他に、含油原料(カカオマス、ココアパウダー、全脂粉乳等)に含まれる油脂(ココアバター、乳脂等)も含む。
【0044】
本発明におけるチョコレートは、「チョコレート類の表示に関する公正競争規約」(全国チョコレート業公正取引協議会)乃至法規上で規定されたチョコレートに限定されない。本発明においてチョコレートとは、食用油脂、糖類を主原料とし、必要によりカカオ成分(カカオマス、ココアパウダー等)、乳製品、香料、乳化剤等を加え、チョコレート製造の工程(混合工程、微粒化工程、精練工程、成形工程、冷却工程等の全部乃至一部)を経て製造され、油脂が連続相をなし、実質的に水を含有しない食品(好ましくは水分含量が3質量%以下である。)である。また、本発明におけるチョコレートは、ダークチョコレート、ミルクチョコレートの他に、ホワイトチョコレート、カラーチョコレートも含む。
【0045】
本発明の実施の形態に係るチョコレートには、本発明の実施の形態に係るチョコレート用油脂組成物以外にも通常チョコレートの製造に使用される食用油脂(パーム油、パーム分別油(パーム中融点部、パーム分別軟質油(パームオレイン、パームスーパーオレイン等)、パーム分別硬質油(パームステアリン等)等)、シア脂、シア分別油、サル脂、サル分別油、イリッペ脂、ココアバター、乳脂等)を使用することもできる。
【0046】
本発明の実施の形態に係るチョコレートは、油脂を好ましくは25〜60質量%含有し、より好ましくは30〜55質量%含有し、更に好ましくは35〜50質量%含有する。
【0047】
本発明の実施の形態に係るチョコレートは、好ましくは糖類を含有する。糖類としては、例えば、ショ糖(砂糖、粉糖)、乳糖、ブドウ糖、果糖、麦芽糖、還元澱粉糖化物、液糖、酵素転化水飴、異性化液糖、ショ糖結合水飴、還元糖ポリデキストロース、オリゴ糖、ソルビトール、還元乳糖、トレハロース、キシロース、キシリトース、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、ラフィノース、デキストリン等を使用することができる。本発明の実施の形態に係るチョコレートの製造に使用される糖類は、好ましくはショ糖(砂糖、粉糖)、乳糖である。
【0048】
本発明の実施の形態に係るチョコレートは、糖類を好ましくは40〜70質量%含有し、より好ましくは45〜65質量%含有し、更に好ましくは50〜60質量%含有する。
【0049】
本発明の実施の形態に係るチョコレートは、油脂、糖類以外にも、チョコレートに一般的に配合される原料を使用することができる。具体的には、例えば、全脂粉乳、脱脂粉乳等の乳製品、カカオマス、ココアパウダー等のカカオ成分、大豆粉、大豆蛋白、果実加工品、野菜加工品、抹茶粉末、コーヒー粉末等の各種粉末、ガム類、澱粉類、レシチン、リゾレシチン、酵素分解レシチン、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステル等の乳化剤、酸化防止剤、着色料、香料等を使用することができる。
【0050】
本発明の実施の形態に係るチョコレートは、従来公知のチョコレートの製造方法を用いることによって製造することができる。本発明の実施の形態に係るチョコレートは、例えば、油脂、カカオ成分、糖類、乳化剤等を原料として、混合工程、微粒化工程(リファイニング)、精練工程(コンチング)、冷却工程等を経て製造することができる。本発明の実施の形態に係るチョコレートは、好ましくは微粒化工程を経て製造する。
【0051】
本発明の実施の形態に係るチョコレートは、好ましくはノンテンパリング型チョコレートである。
【0052】
本発明の実施の形態に係るチョコレートは、ベーカリー製品や菓子の被覆した場合にひび割れ及びべたつきが少ないことから、被覆用に適している。従って、本発明の実施の形態に係るチョコレートは、好ましくは被覆チョコレートである。
【0053】
本発明の実施の形態に係る食品は、本発明の実施の形態に係るチョコレートを使用して得られる食品である。本発明の実施の形態に係る食品としては、例えば、ドーナツ、食パン、コッペパン、フルーツブレッド、バターロール、フランスパン、ロールパン、菓子パン、スイートドウ、乾パン、マフィン、ベーグル、クロワッサン、デニッシュペーストリー等のベーカリー製品、カステラ、ワッフル、ボーロ、八つ橋、せんべい、かりんとう、スポンジケーキ、ロールケーキ、パウンドケーキ、バウムクーヘン、フルーツケーキ、マドレーヌ、シュー、エクレア、ミルフィーユ、パイ、タルト、マカロン、ビスケット、クッキー、クラッカー、蒸しパン、プレッツェル、ウエハース、スナック菓子、クレープ、スフレ等の菓子、バナナ、りんご、イチゴ等の果物等が挙げられる。本発明の実施の形態に係る食品は、好ましくはベーカリー製品又は菓子であり、より好ましくはベーカリー製品であり、更に好ましくはドーナツである。
【0054】
本発明の実施の形態に係る食品は、従来公知の食品の製造方法を用いることによって、ベーカリー製品、菓子等の食品とチョコレートを組み合わせることで製造することができる。例えば、本発明の実施の形態に係るチョコレートをベーカリー製品、菓子等の食品と組み合わせる方法としては、被覆、注入、挟む等が挙げられる。
【0055】
本発明の実施の形態に係る食品は、好ましくは本発明の実施の形態に係るチョコレートが被覆された食品である。本発明の実施の形態に係るチョコレートが被覆された本発明の実施の形態に係る食品は、チョコレート部分が、ひび割れ及びべたつきが少ない。
【実施例】
【0056】
次に実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
〔分析方法〕
トリグリセリド組成の分析は、ガスクロマトグラフ法(JAOCS,vol70,11,1111−1114(1993)準拠)及び銀イオンカラム−HPLC法(J.High Resol.Chromatogr.,18,105−107(1995)準拠)を用いて行った。また、油脂の構成脂肪酸の分析は、ガスクロマトグラフ法(AOCS Ce1f−96準拠)を用いて行った。
【0057】
〔ラウリン系油脂1〕
融点34℃のヤシ油の硬化油(La含有量:45.6質量%)をラウリン系油脂1とした。
〔液状油1〕
大豆油(20℃で液状である。)を液状油1とした。
〔植物油の極度硬化油1〕
高エルシン酸菜種油の極度硬化油(La含有量:0質量%、C20〜22SFA含有量:57.3質量%)を植物油の極度硬化油1とした。
〔植物油の極度硬化油2〕
大豆油の極度硬化油(La含有量:0質量%、C20〜22SFA含有量:1.0質量%)を植物油の極度硬化油2とした。
【0058】
〔油脂A1〕
パーム系油脂を72.4質量%含む原料油脂を常法でランダムエステル交換した後、得られたランダムエステル交換油を常法の分別方法で高融点部及び低融点部を除去することにより油脂A1(XXO含有量:44.0質量%、X3含有量:13.2質量%、X2U含有量:76.2質量%、X2O含有量:67.7質量%、XU2+U3含有量:7.2質量%、XXO/X2O質量比:0.650、C16〜24FA含有量:98.9質量%、SFA含有量:68.6質量%、C16〜18SFA含有量:66.9質量%、UFA含有量:31.2質量%、P/St質量比:2.17)を得た。
【0059】
〔乳化剤A1〕
HLB1のショ糖ステアリン酸エステルを乳化剤A1とした。
〔乳化剤A2〕
HLB4.2のソルビタンパルミチン酸・ステアリン酸エステルを乳化剤A2とした。
〔乳化剤B1〕
HLB15のショ糖ステアリン酸エステルを乳化剤B1とした。
〔乳化剤a1〕
HLB7のショ糖ステアリン酸エステルを乳化剤a1とした。
【0060】
〔油脂組成物の製造〕
表1〜5に示す配合で融解させた油脂を混合することで、油脂組成物を製造した。
得られた油脂組成物の脂肪酸含有量、トリグリセリド含有量を前述の分析方法に従って測定した。測定結果を表1〜5に示した。なお、配合の単位は質量部であり、含有量の単位は質量%である(質量比の単位はなし)。
【0061】
〔チョコレートの製造〕
得られた油脂組成物を使用し、表6に示された配合のチョコレートを、通常のチョコレートの製造方法(混合、微粒化、精練、冷却)を用いることにより製造した(チョコレート中の油脂含有量は39.7質量%だった。チョコレート中の水分含有量は3質量%以下だった。チョコレートに含まれる油脂中の実施例の油脂組成物又は比較例の油脂組成物の含有量は93.2質量%だった。)。なお、配合の単位は質量部である。
【0062】
〔食品の製造及び評価〕
チョコレートを完全溶解後50℃に調温し、ドーナツに被覆した後、室温にて固化させた。完全に固化させた後、手で触った際のべたつきの程度及び、ナイフで切断し生じたひび割れの程度について評価を行った。
評価は、0〜4点の5段階で評価した。評価の点数は、点数が高いほど、ひび割れ、べたつきが少ないとした。評価結果が2〜4点である場合、チョコレートはひび割れ、べたつきが少なく良好であるとした。評価結果は表1〜5に示した。
【0063】
【表1】
【0064】
【表2】
【0065】
【表3】
【0066】
【表4】
【0067】
【表5】
【0068】
【表6】
【0069】
表2〜5から分かるように、実施例のチョコレートが被覆されたドーナツは、チョコレートのひび割れ及びべたつきが少なかった。
一方、表1〜3、5から分かるように、比較例のチョコレートが被覆されたドーナツは、チョコレートのひび割れ又はべたつきが多かった。