特許第6776581号(P6776581)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6776581
(24)【登録日】2020年10月12日
(45)【発行日】2020年10月28日
(54)【発明の名称】クリップ取外装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/128 20060101AFI20201019BHJP
【FI】
   A61B17/128
【請求項の数】2
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-71627(P2016-71627)
(22)【出願日】2016年3月31日
(65)【公開番号】特開2017-176670(P2017-176670A)
(43)【公開日】2017年10月5日
【審査請求日】2019年2月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000229117
【氏名又は名称】日本ゼオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】山田 智啓
【審査官】 後藤 健志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−125264(JP,A)
【文献】 特開2015−192724(JP,A)
【文献】 特表平11−513292(JP,A)
【文献】 米国特許第05562681(US,A)
【文献】 特表昭58−501211(JP,A)
【文献】 米国特許第05334196(US,A)
【文献】 中国特許出願公開第103126736(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/128
A61B 17/076
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のアーム部の先端部を互いに近接させて体内組織を把持した状態で体内に留置されたクリップを体外からの操作により取り外すクリップ取外装置であって、
前記一対のアーム部の間の部分に挿入配置し得る腕部を有する第1部材と、
前記第1部材を前記一対のアーム部の間の部分に挿入配置した状態で、前記アーム部の一方の延在方向において前記第1部材とは異なる位置に、該アーム部の一方を挟んで該第1部材とは反対側に配置される腕部を有する第2部材と、
前記第1部材および前記第2部材の少なくとも一方を、前記アーム部の一方の延在方向に交差する方向に移動させる移動機構と、を有し、
前記第1部材および前記第2部材は互いに回転自在であり、
前記移動機構は前記第1部材または前記第2部材をそれぞれの腕部が互いに離間した状態から近接するように回転させるクリップ取外装置。
【請求項2】
前記第1部材および前記第2部材の一方は、前記アーム部の一方の延在方向において互いに異なる位置に当接し得る一対の支持部を有し、
前記第1部材および前記第2部材の他方が、前記アーム部の一方の延在方向において前記一対の支持部の間の部分に配置してあることを特徴とする請求項1に記載のクリップ取外装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体内組織を把持した状態で生体内に留置されたクリップを、体外からの操作により取り外すために用いられるクリップ取外装置に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡を利用した止血、マーキングまたは縫縮等の処置に用いられる内視鏡用クリップは、例えば、特許文献1に示されているように、締付リングを移動(スライド)させることで、一対のアーム板部を相互に近接させ、アーム板部の先端部またはその近傍で体内組織を把持する医療用器具である。
【0003】
このような内視鏡用クリップは、内視鏡の処置具案内管に通されるカテーテルチューブ(クリップ装置)の遠位端に取り付けられ、処置すべき体内組織まで導かれた後、カテーテルチューブの近位端に設けられた操作部からの操作により、当該体内組織(粘膜)を把持した状態でカテーテルチューブから外されて体内に留置される。
【0004】
止血等の処置の目的を達成した後には、生体内に留置されたクリップによる体内組織の把持を解除して、該クリップを体外に取り出す場合があり、そのための解除装置として、特許文献2や特許文献3に開示されているようなクリップ取外装置が提案されている。これらの技術は、クリップを閉脚させている締付リングをクリップの基端部側にスライドさせることにより、クリップが自己の弾性により開脚して体内組織から外れるようにしたものである。
【0005】
しかしながら、従来のクリップ取外装置では、非常に小さい締付リングを保持して、クリップに対して相対的にスライドさせる必要がある。また、クリップの姿勢に対してクリップ取外装置の遠位端部の姿勢を正確に設定しないと締付リングをスライドさせることができない。このように、締付リングの移動操作は容易ではなく、作業に長時間を要する場合があるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−189705号公報
【特許文献2】特開2007−125264号公報
【特許文献3】特開2015−192724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、体内に留置されたクリップを体外からの操作により、容易に取り外すことができるクリップ取外装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るクリップ取外装置は、
一対のアーム部の先端部を互いに近接させて体内組織を把持した状態で体内に留置されたクリップを体外からの操作により取り外すクリップ取外装置であって、
前記一対のアーム部の間の部分に挿入配置し得る第1部材と、
前記第1部材を前記一対のアーム部の間の部分に挿入配置した状態で、前記アーム部の一方の延在方向において前記第1部材とは異なる位置であって、該アーム部の一方を挟んで該第1部材とは反対側に配置される第2部材と、
前記第1部材および前記第2部材の少なくとも一方を、前記アーム部の一方の延在方向に交差する方向に移動させる移動機構と、を有する。
【0009】
本発明に係るクリップ取外装置によれば、第1部材を一対のアーム部の間の部分に挿入配置すると、第2部材はアーム部の一方の延在方向において第1部材とは異なる位置に、該アーム部の一方を挟んで該第1部材とは反対側に配置される。そこで、この状態で、移動機構を操作して、第1部材および第2部材の少なくとも一方を、該アーム部の一方の延在方向に交差する方向に移動させて、該アーム部の一方を折り曲げる。これにより、クリップによる体内組織の把持を解除させることができる。
【0010】
したがって、従来技術のように、非常に小さい締付リングを保持して、クリップに対して相対的にスライドさせる必要がなく、クリップの姿勢に対してクリップ取外装置の遠位端部の姿勢をそれ程厳密に設定する必要がない。このため、その操作は容易であり、クリップの取外作業を短時間で行うことができるようになる。
【0011】
前記第1部材および前記第2部材の一方は、前記アーム部の一方の延在方向において互いに異なる位置に当接し得る一対の支持部を有し、
前記第1部材および前記第2部材の他方が、前記アーム部の一方の延在方向において前記一対の支持部の間の部分に配置してあってもよい。
【0012】
前記移動機構は、
チューブ状のシースと、
前記シースに対して軸方向に沿って移動可能に挿通されたワイヤと、
前記ワイヤを前記シース内で軸方向に沿って移動させるように、前記シースの近位端に設けられた操作部と、を有し、
前記第1部材および前記第2部材の一方が前記シースの遠位端に設けられ、
前記第1部材および前記第2部材の他方が前記ワイヤの遠位端に接続してあってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】クリップ取外装置の取外対象としての内視鏡用クリップの開脚状態における構成を示す平面図である。
図2】クリップ取外装置の取外対象としての内視鏡用クリップの閉脚状態における構成を示す平面図である。
図3】本発明の第1実施形態のクリップ取外装置の全体構成を示す平面図である。
図4図3のIV−IV線に沿った断面図である。
図5図3に示すクリップ取外装置の要部を拡大した平面図であり、パンチ部材を引き込んだ状態を示す図である。
図6図3に示すクリップ取外装置の要部を拡大した平面図であり、パンチ部材を押し出した状態を示す図である。
図7図5および図6に示すクリップ取外装置を用いたクリップの取外工程を示す図である。
図8図7の続きのクリップの取外工程を示す図である。
図9図8の続きのクリップの取外工程を示す図である。
図10】本発明の第1実施形態のクリップ取外装置の変形例を示す斜視図である。
図11図10に示すクリップ取外装置を異なる角度から見た一部断面斜視図である。
図12】本発明の第2実施形態のクリップ取外装置の要部を拡大した斜視図である。
図13図12に示すクリップ取外装置の一部破断斜視図である。
図14】本発明の第3実施形態のクリップ取外装置の要部を拡大した斜視図である。
図15図14に示すクリップ取外装置の動きを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態に係るクリップ取外装置を、図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
〔医療用クリップ〕
まず、クリップ取外装置の取り外しの対象物としての内視鏡用クリップ(医療用クリップ)について、図1および図2を参照して説明する。なお、以下では、アーム部として板状に形成されたアーム板部を有するクリップについての説明とするが、クリップ取外装置の取り外しの対象物としての内視鏡用クリップは、かかる板状のものに限られず、棒状(円柱状、角柱状等)のアーム部を有するものであってもよい。
【0016】
クリップ1は、一対のアーム板部(アーム部)11,12および略U字形状に折り曲げられた連結板部13を備えて構成されている。連結板部13には一対のアーム板部11,12を開閉させる締付リング14がスライド可能に外嵌されている。
【0017】
一対のアーム板部11,12は、外力が作用しない状態で先端部に向かって相互間距離が広くなるように(互いにその先端に行くに従って略V字状に開くように(開脚して)配置されている。アーム板部11の基端部11bの一端(基端)は連結板部13の一端に、アーム板部12の基端部12bの一端(基端)は連結板部13の他端にそれぞれ一体的に接続されている。
【0018】
各アーム板部11,12の先端部には、爪部11a,12aがそれぞれ一体的に設けられている。爪部11a,12aは、アーム板部11,12の先端において、内側(即ち、閉じ方向)を指向して折り曲げられることにより、形成されている。各爪部11a,12aは、その先端の中間部分に凹陥する切欠部(不図示)を有している。
【0019】
内視鏡用クリップ1を構成する連結板部13と、一対のアーム板部11,12と、一対の爪部11a,12aとは、一枚の板材を折り曲げ成形することにより形成されている。内視鏡用クリップ1を構成する板材の板厚は、特に限定されないが、好ましくは0.10〜0.30mmである。板材としては、弾性を有する金属板が好ましく、例えばステンレスが用いられる。
【0020】
アーム板部11,12は、それぞれ、基端部11b,12bおよび把持部11c,12cを有している。基端部11b,12bと把持部11c,12cとの境界部11d,12dにリング14の把持部11c,12c側へのそれ以上のスライドを防止する係止部として、突起部や幅広部を設けてもよい。締付リング14は、略円筒状のリング部材から構成されている。但し、締付リング14は、線材をコイル状に巻回してなるスプリングで構成されてもよい。
【0021】
締付リング14は、その内側の案内孔に、連結板部13が挿通され、連結板部13の外周とアーム板部11,12の基端部11b,12bの外周との間を軸方向に移動(スライド)可能に装着(外嵌)されている。締付リング14が、連結板部13に外嵌された位置(解除位置)からアーム板部11,12の基端部11b,12bに外嵌された位置(保持位置)にスライドされた場合に、締付リング14の内部(案内孔)に一対のアーム板部11,12の基端部11b、12bが引き込まれ、これらのアーム板部11,12を閉脚、即ちアーム板部11,12のそれぞれを互いに近接させるようになっている。
【0022】
締付リング14が、図1に示されるように、後方寄り(連結板部13)に配置された状態では、アーム板部11,12は自己の弾性により開いた(開脚した)状態になっている。必要に応じて、図2に示すように、締付リング14を前方寄りの位置に移動(スライド)させることにより、アーム板部11,12を徐々に閉じることができる。そして、締付リング14を基端部11b,12bまで移動させることにより、アーム板部11,12を閉じた(閉脚した)状態に維持することができる。
【0023】
このような内視鏡用クリップ1は、締付リング14が連結板部13に配置されてアーム板部11,12が開いた状態で、内視鏡の処置具案内管に通されるカテーテルチューブ(クリップ装置)の遠位端に取り付けられる。そして、内視鏡の処置具案内管を経て、止血等の処置すべき体内組織まで導かれた後、カテーテルチューブの近位端に設けられた操作部からの操作により、締付リング14が基端部11b,12bまでスライドさせてアーム板部11,12を閉じることによって体内組織(粘膜)を把持し、その状態でカテーテルチューブから外されて体内に留置される。
【0024】
止血等の処置の目的を達成した後、体内に留置されたクリップによる体内組織の把持を解除して、該クリップを体外に取り出す場合にクリップ取外装置(クリップリムーバ)が用いられる。
【0025】
〔クリップ取外装置〕
第1実施形態
以下、本発明の第1実施形態に係るクリップ取外装置について、図3図9を参照して説明する。クリップ取外装置2は、図3図6に示されているように、支持部材であるダイ部材(第1部材)21、シース22、駆動ワイヤ23、加圧部材であるパンチ部材(第2部材)24、ベース側ロック部材25とシース側ロック部材26を有するロック機構、およびベース部27とスライダ部28とを有する操作部を概略備えて構成されている。
【0026】
なお、シース22および駆動ワイヤ23は、ダイ部材21に対してパンチ部材24をアーム板部11,12の一方の延在方向に略直交(交差)する方向に移動させる移動機構の一部を構成し、該移動機構にはベース部27およびスライダ部28を有する操作部が含まれる。
【0027】
シース22はチューブ状の部材である。シース22は可撓性を有するものであることが望ましく、シース22として樹脂等からなる単純なチューブを用いてもよいが、本実施形態ではコイルチューブを用いている。コイルチューブとしては、金属(ステンレス)等からなる長尺平板を螺旋状に巻回してなる平線コイルチューブを用いることができる。但し、丸線コイルチューブまたは内面平コイルチューブを用いてもよい。なお、シース22としては、ワイヤチューブを用いてもよい。ワイヤチューブは、例えば金属(ステンレス)等からなる複数本のワイヤー(ケーブル)を中空となるように螺旋状に撚ってなる中空撚り線からなるチューブである。
【0028】
シース22として、このようなコイルチューブ(またはワイヤーチューブ)を用いるのは、この保持解除装置2を、洗浄液を用いて超音波洗浄した場合に、チューブの内側に洗浄液が十分に浸透して内外共に良好に洗浄できるようにするためである。
【0029】
駆動ワイヤ23は可撓性を有するワイヤからなり、本実施形態ではワイヤロープを用いている。ワイヤロープは、例えば金属(ステンレス)等からなる複数本のワイヤ(ケーブル)を螺旋状に撚ってなる撚り線からなるロープである。但し、駆動ワイヤ23としては、単線からなるワイヤを用いてもよい。
【0030】
駆動ワイヤ23は、シース22に対して軸方向に沿って移動可能に挿通されている。また、駆動ワイヤ23の先端(遠位端)には、パンチ部材(第2部材)24が一体的に固定されている。パンチ部材24は、体内組織の把持を解除しようとする内視鏡用クリップ1のアーム板部11,12のうち折り曲げ対象となる一方(以下、アーム板部12とする)の中間部分に当接する部材である。パンチ部材24は略円柱状の部材であり、パンチ部材24の外径はシース22の内径よりも僅かに小さい値に設定されている。
【0031】
パンチ部材24の先端部は、マイナスドライバのような直線状の稜線をなす押圧部24aが形成されるように、中心軸に斜交する二つの対称な斜面で切断したような形状を有している。押圧部24aは後に詳述するが、クリップ1のアーム板部12を折り曲げるために、該アーム板部12を押圧する部位である。
【0032】
なお、パンチ部材24の押圧部24aは、直線状である必要はなく、凹状あるいは凹円弧状であってもよい。押圧部24aを凹状とする場合には、凹部の幅はクリップ1のアーム板部11,12の幅よりも僅かに大きい寸法に設定する。
【0033】
パンチ部材24は、駆動ワイヤ23をシース22内で軸方向に沿って移動させることにより、シース22の遠位端部において、シース22内に引き込まれた状態と、シース22の遠位端から突出した状態となるように移動(スライド)できるようになっている。パンチ部材24としては、ステンレス等の金属を用いることができる。パンチ部材24は、その基端部が駆動ワイヤ23の遠位端に溶接等により固定することができる。
【0034】
ダイ部材(第1部材)21は、アーム板部12の延在方向においてパンチ部材24による当接位置とは異なる位置に、アーム板部12を挟んでパンチ部材24とは反対側から当接する部材である。ダイ部材21は、全円筒部21a、部分円筒部21b、および一対の支持腕部(支持部)21c,21dを有している。支持腕部21c,21dは、アーム板部12の延在方向において互いに異なる位置に当接する部位である。
【0035】
ダイ部材21は略円筒状の部材の基端部側の略半分および先端部側の一部を残して、略半割状に切除して、該半割状に切除した部分を部分円筒部21bとし、残した基端部側の部分を全円筒部21aとする。残した先端部側の一部は切り欠かれて切欠部21eが形成され、略C字状の一対の支持腕部(支持部)21c,21dとなる。全円筒部21aの基端部がシース22の遠位端に固定される。支持腕部21c,21dは、後に詳述するが、クリップ1のアーム板部12を折り曲げるために、押圧部24aにより押圧する際に、該アーム板部12を2点で支持する部位である。
【0036】
なお、全円筒部21aは省略してもよく、この場合には、部分円筒部21bの基端部がシース22の遠位端に固定されることになる。また、部分円筒部21bは、半割である必要はなく、半割よりも大きいまたは小さい円弧状であってもよい。
【0037】
本実施形態では、支持腕部21c,21dの対応する先端部は、切欠部21eを形成することにより分離しているものとしたが、これは後述するように、クリップ1のアーム板部12を折り曲げる際に、アーム板部12に引っ掛け易いという利点があるからであるが、必ずしも分離していなくてもよい。
【0038】
ダイ部材21(全円筒部21a)の内径はシース22の内径と略同一となっており、ダイ部材21はその内壁がシース22の遠位端部の内面に段差なく連続するようにシース22の先端部に固定されている。ダイ部材21としては、ステンレス等の金属からなるものを用いることができる。ダイ部材21のシース22に対する固定は、例えば溶接により行うことができる。
【0039】
ダイ部材21(部分円筒部21b)の内壁は、シース22の遠位端からパンチ部材24が押し出された際に、パンチ部材24のシース22の中心軸に沿う方向の移動を案内して、パンチ部材24の押圧部24aを含む先端部がダイ部材21の支持腕部21c,21dの間の部分に挿入されるように導く。
【0040】
駆動ワイヤ23が挿通されたシース22の近位端(基端部)は、雄ねじ部を有するベース側ロック部材25および雌ねじ部を有するシース側ロック部材26を有するルアーロック機構を介して、ベース部27の遠位端に接続・固定されている。
【0041】
ベース部27には、スライダ部28がスライド可能に取り付けられており、駆動ワイヤ23の近位端は、シース側ロック部材26およびベース側ロック部材25のそれぞれの貫通孔を通過して、スライダ部28まで至っており、ロックねじ29を介して、スライダ部28に解除可能に固定されるようになっている。
【0042】
ベース部27に対してスライダ部28を遠位端側にスライドさせることにより、駆動ワイヤ23がシース22に対して遠位端側に移動し、駆動ワイヤ23の遠位端に設けられたパンチ部材24がシース22の遠位端から押し出され、ダイ部材21(全円筒部21a,部分円筒部21b)の内壁に沿って遠位端側に移動して、ダイ部材21の一対の支持腕部21c,21dの間に挿入される。これと反対に、ベース部27に対してスライダ部28を近位端側にスライドさせることにより、駆動ワイヤ23の遠位端に設けられたパンチ部材24がダイ部材21の内壁に沿って近位端側に移動して、シース22の遠位端部に引き込まれるようになっている。
【0043】
次に、上述したクリップ取外装置2の使用方法について、図7図9を参照して説明する。なお、図7図9において、図示はしていないが、クリップ1は、リング14が連結板部13に位置する解除位置からスライドされて一対のアーム板部11,12の基端部11b,12bに位置する保持位置に設定された状態で、一対のアーム板部11,12の把持部11c,12cによって、体内組織(粘膜)を把持した状態で体内に留置されているものとする。
【0044】
まず、内視鏡の処置具案内管を介して、クリップ取外装置2のシース22を挿入して、図7に示されているように、シース22の遠位端(ダイ部材21)を体内に留置された把持を解除すべきクリップ1の折り曲げの対象としてのアーム板部12の近傍に位置させる。この操作と前後して、クリップ取外装置2のベース部27に対してスライダ部28を近位端側にスライドして、駆動ワイヤ23の遠位端に設けられたパンチ部材24をダイ部材21内から待避させて、シース22の遠位端部内に収容した状態とする。
【0045】
この状態で、ベース部27およびスライダ部28を一体的に回転して、ダイ部材21の一対の支持腕部21c,21dの先端部を結ぶ線が、クリップ1のアーム板部12の延在方向に概略沿うように、ダイ部材21の姿勢を調整する。
【0046】
次いで、図8に示されているように、ダイ部材21の一対の支持腕部21c,21dがクリップ1の一対のアーム板部11,12の間に横方向から挿入されるとともに、部分円筒部21bの縁部にクリップ1のアーム板部12の側部が当接されるように、ダイ部材21を配置する。
【0047】
次いで、クリップ取外装置2のベース部27に対してスライダ部28を遠位端側にスライドして、駆動ワイヤ23の遠位端に設けられたパンチ部材24をシース22の遠位端からダイ部材21内に突出させる。これにより、ダイ部材21の一対の支持腕部21c,21dがクリップ1のアーム板部12に内側から当接するとともに、パンチ部材24の先端の押圧部24aがクリップ1のアーム板部12に外側から当接する。このとき、クリップ1のアーム板部12の延在方向において、パンチ部材24の押圧部24aの当接する位置に対して、一方の支持腕部21cはクリップ1の基端部側にずれた異なる位置に当接し、他方の支持腕部21dはクリップ1の先端部側にずれた異なる位置に当接する。
【0048】
その後、クリップ取外装置2のベース部27に対してスライダ部28を遠位端側にさらにスライドすることにより、図9に示されているように、パンチ部材21の押圧部24aがアーム板部12を押圧しつつ、一対の支持腕部21c,21dの間に入り込む。これにより、アーム板部12が略V字状に折り曲げられ、クリップ1の他方のアーム板部11の爪部11aに対して、当該一方のアーム板部12の爪部12aが離間し、これらの間が広がることにより、クリップ1の体内組織に対する把持が解除される。なお、把持が解除されたクリップ1は、別途体外に取り出される。
【0049】
上述した第1実施形態に係るクリップ取外装置では、ダイ部材21の一対の支持腕部21c,21dを一対のアーム板部11,12の間の部分に挿入配置する。そのため、パンチ部材24の押圧部24aは、折り曲げ対象としての一方のアーム板部12の延在方向において、支持腕部21c,21dとは異なる位置(間の部分)であって、該アーム板部12を挟んで該支持腕部21c,21dとは反対側(外側)に配置される。この状態で、ベース部27に対してスライダ部28を遠位端側にスライドさせる。これにより、パンチ部材24を押し出して、押圧部24aを該アーム板部12の延在方向に交差(略直交)する方向に移動させて、該アーム板部12を折り曲げることができる。これにより、クリップ1による体内組織の把持を解除させることができる。
【0050】
このように、クリップ1の一対のアーム板部11,12の間の部分に、支持腕部21c,21dを挿入配置し、押圧部24を押し出すように操作するだけで、アーム板部12を折り曲げて、クリップ1による体内組織の把持を解除することができる。このため、その操作が非常に容易であり、クリップ1の取り外しを短時間で行うことができる。
【0051】
なお、操作部において、ベース部27とスライダ部28とは回転方向(シース22の軸線周りの回転方向)には一体として回転するため、パンチ部材24の押圧部24aとダイ部材21の一対の支持腕部21c,21dとの回転方向の相対姿勢はある程度保持される。しかしながら、この相対姿勢の変化が問題となる場合には、図10および図11に示されているように、パンチ部材24にその軸線に沿う方向に凹溝24bを形成するとともに、ダイ部材21の全円筒部21aの内側に該凹溝24bに挿入(遊嵌)される凸部21fを設ければよい。これにより、パンチ部材24の押圧部24aとダイ部材21の一対の支持腕部21c,21dとの回転方向の相対姿勢の変化を防止することができる。
【0052】
第2実施形態
次に、図12および図13を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。上述した第1実施形態に対して、本第2実施形態は、ダイ部材およびパンチ部材の構成を変更している。なお、上述した第1実施形態と実質的に同じ構成部分については同一の番号を付して、その説明は省略する。
【0053】
すなわち、本第2実施形態では、パンチ部材34は、略直方体状の部材からなり、その先端部は、直線状の稜線をなす押圧部34aが形成されるように、二つの対象な斜面で切断したような形状を有している。押圧部34aは、クリップ1のアーム板部12を折り曲げるために、該アーム板部12を押圧する部位である。
【0054】
なお、パンチ部材34の押圧部34aは、直線状である必要はなく、凹状あるいは凹円弧状であってもよいのは、上述した第1実施形態の押圧部24aと同様である。
【0055】
パンチ部材34は、駆動ワイヤ23をシース22内で軸方向に沿って移動させることにより、シース22の遠位端部において、シース22内に引き込まれた状態と、シース22の遠位端から突出した状態となるように移動(スライド)できるようになっている。パンチ部材34としては、ステンレス等の金属を用いることができる。パンチ部材34は、その基端部が駆動ワイヤ23の遠位端に溶接等により固定される。
【0056】
ダイ部材31は、アーム板部12の延在方向においてパンチ部材34による当接位置とは異なる位置に、アーム板部12を挟んでパンチ部材34とは反対側から当接する部材である。ダイ部材31は、矩形筒部31a、板状部31b、および一対の支持腕部31c,31dを有している。支持腕部31c,31dは、アーム板部12の延在方向において互いに異なる位置に当接する部位である。
【0057】
ダイ部材31は矩形筒部31aの基端部がシース22の遠位端に固定される。支持腕部31c,31dは、クリップ1のアーム板部12を折り曲げるために、押圧部34aにより押圧する際に、該アーム板部12を2点で支持する部位である。ダイ部材31としては、ステンレス等の金属からなるものを用いることができる。ダイ部材31のシース22に対する固定は、例えば溶接により行うことができる。その他は、上述した第1実施形態と同様である。
【0058】
本実施形態では、矩形筒部31aに沿ってパンチ部材34が摺動するため、図10および図11に示したような回転防止機構を別途採用しなくても、パンチ部材34の押圧部34aとダイ部材31の一対の支持腕部31c,31dとの回転方向の相対姿勢の変化を防止することができる。
【0059】
第3実施形態
次に、図14および図15を参照して、本発明の第3実施形態について説明する。これらの図において、41はダイ部材であり、44はパンチ部材である。パンチ部材44は、軸支部44a、ワイヤ取付部44bおよび腕部44cを有している。腕部44cはその断面が略三角形となっており、腕部44cの稜線部分が押圧部44dとなっている。ダイ部材41は、軸支部41a、ワイヤ取付部41bおよび一対の腕部41c,41dを有している。腕部41c,41dはその断面が略三角形となっており、各腕部41c,41dの稜線部分は押圧部41e,41fとなっている。
【0060】
パンチ部材44は、その軸支部44aがダイ部材41の軸支部41aに回転軸45を介して回転自在に支持されている。このため、図14に示すように、パンチ部材44の腕部44cおよびダイ部材41の腕部41c,41dは、互いに離間するように回転された状態になることができる。また、図15に示すように、パンチ部材44の腕部44cは、ダイ部材41の腕部41c,41dの間の部分に入り込むように回転された状態となることもできる。
【0061】
図示はしていないが、回転軸45は、シース(図3のシース22参照)の遠位端に設けられた固定部材に支持されている。パンチ部材44のワイヤ取付部44bおよびダイ部材41のワイヤ取付部41bは、可撓性を有する一対のサブワイヤを介して、シース22内に軸方向に沿って移動可能に挿通されたメインワイヤ(図3の駆動ワイヤ23参照)の遠位端にそれぞれ接続されている。
【0062】
シースの近位端に設けられた操作部(図3のベース部27,スライダ部28等参照)を操作して、シースに対してメインワイヤを軸方向に沿って移動させることにより、パンチ部材44の腕部44cとダイ部材41の腕部41c,41dとを開閉させることができる。
【0063】
体内に留置されたクリップ1を取り外す際には、クリップ1のアーム板部11,12の間の部分に、ダイ部材41の腕部41c,41dを挿入配置して、パンチ部材44の腕部44cとダイ部材41の腕部41c,41dとが閉じる(近接する)ように操作すればよい。これにより、クリップ1の折り曲げるべき一方のアーム板部(12とする)を挟み込んで、パンチ部材44の腕部44cがダイ部材41の腕部41c,41dの間の部分に入り込み、該アーム板部12を折り曲げて、クリップ1の生体組織に対する把持を解除することができる。
【0064】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。従って、上述した実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【符号の説明】
【0065】
1…内視鏡用クリップ
11,12…アーム板部(アーム部)
13…連結板部
14…締付リング
2…クリップ取外装置
21…ダイ部材(第1部材)
21a…全円筒部
21b…部分円筒部
21c,21d…支持腕部(支持部)
21e…切欠部
22…シース(移動機構)
23…駆動ワイヤ(移動機構)
24…パンチ部材(第2部材)
24a…押圧部
27…ベース部(操作部、移動機構)
28…スライダ部(操作部、移動機構)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15