【実施例】
【0081】
以下、本発明について実施例を用いて説明する。尚、以下の記載において「部」は質量部を意味する。
【0082】
[製造例1]分散剤Aの製造
撹拌機、冷却管及び温度計を備えたフラスコ中に脱イオン水900質量部、メタクリル酸2−スルホエチルナトリウム60質量部、メタクリル酸カリウム10質量部及びメタクリル酸メチル12質量部を入れて撹拌し、フラスコ内を窒素置換しながら50℃に昇温した。次いで、フラスコ中に重合開始剤として2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩0.08質量部を添加し、更に60℃に昇温した。昇温後、滴下ポンプを使用して、メタクリル酸メチル18質量部を0.24質量部/分の速度で連続的に滴下した。得られた反応溶液を60℃で6時間保持した後、室温に冷却して、透明な水溶液である固形分10質量%の分散剤(以下、分散剤Aという)を得た。
【0083】
[製造例2]連鎖移動剤Aの製造
撹拌装置を備えたフラスコ中に、窒素雰囲気下で、酢酸コバルト(II)四水和物1.00g、ジフェニルグリオキシム1.93g及び予め窒素バブリングにより脱酸素したジエチルエーテル80mlを入れ、室温で30分間攪拌した。次いで、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体10mlを加え、更に6時間攪拌した。得られた反応物を濾過し、固形分をジエチルエーテルで洗浄し、15時間真空乾燥して、赤褐色固体の連鎖移動剤(以下、連鎖移動剤Aという)2.12gを得た。
【0084】
[製造例3]アクリル重合体(P1)の製造
撹拌機、冷却管及び温度計を備えたフラスコ中に、脱イオン水145部、硫酸ナトリウム0.1部及び分散剤A0.25部を入れて撹拌し、均一な水溶液とした。次いで、メチルメタクリレート(三菱レイヨン(株)製、商品名:アクリエステルM)79.95部、エチルアクリレート(三菱化学(株)製、商品名:アクリル酸エチル)0.05部、グリシジルメタクリレート(三菱レイヨン(株)製、商品名:アクリエステルG)20部、連鎖移動剤A0.005部及び1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート(日油(株)製、商品名:パーオクタO)1.33部の単量体混合物を加え、水性懸濁液とした。この後、フラスコ内を窒素置換し、80℃に昇温して3時間反応させ、更に重合率を上げるため、93℃に昇温して1時間保持した。その後、反応液を40℃に冷却して、水性重合体懸濁液を得た。この水性重合体懸濁液を目開き45μmのナイロン製濾過布で濾過し、濾物を脱イオン水で洗浄し、脱水し、40℃で16時間乾燥し、アクリル重合体(以下、P1という)を得た。P1のGPC(Gel Permeation Chromatography)による重量平均分子量(以下、Mwという)を、GPCシステム(東ソー(株)製、商品名:HLC−8220GPC)を用いて以下の条件にて測定した。その結果、Mwは3100であった。
【0085】
(GPC測定条件)
カラム:「TSK−gel superHZM−M」、「TSK−gel HZM−M」、「TSK−gel HZ2000」;
溶離液:THF;
流量:0.35ml/min;
注入量:10μl;
カラム温度:40℃;
検出器:UV−8020。
【0086】
また、P1は、式(1)において、R
1がメチル基でR
2がメチル基、R
1がエチル基でR
2が水素、及びR
1がグリシジル基でR
2がメチル基である構造を有し、式(4)において、R
1がメチル基又はグリシジル基である構造を有し、式(2)、(3)、(5)及び(6)の構造は有していない。
【0087】
[製造例4]アクリル重合体(P2)の製造
連鎖移動剤Aを0.0023部、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエートを0.8部とした以外は製造例3と同様にアクリル重合体(以下、P2という)を製造した。製造例3と同様に測定したMwは7100であった。また、P2は、式(1)において、R
1がメチル基でR
2がメチル基、R
1がエチル基でR
2が水素、及びR
1がグリシジル基でR
2がメチル基である構造を有し、式(4)において、R
1がメチル基又はグリシジル基である構造を有し、式(2)、(3)、(5)及び(6)の構造は有していない。
【0088】
[製造例5]アクリル重合体(P3)の製造
連鎖移動剤Aを0.0035部とした以外は製造例3と同様にアクリル重合体(以下、P3という)を製造した。製造例3と同様に測定したMwは4300であった。また、P3は、式(1)において、R
1がメチル基でR
2がメチル基、R
1がエチル基でR
2が水素、及びR
1がグリシジル基でR
2がメチル基である構造を有し、式(4)において、R
1がメチル基又はグリシジル基である構造を有し、式(2)、(3)、(5)及び(6)の構造は有していない。
【0089】
[製造例6]アクリル重合体(P4)の製造
メチルメタクリレートを59.95部、グリシジルメタクリレートを40部とした以外は製造例3と同様にアクリル重合体(以下、P4という)を製造した。製造例3と同様に測定したMwは3800であった。また、P4は、式(1)において、R
1がメチル基でR
2がメチル基、R
1がエチル基でR
2が水素、及びR
1がグリシジル基でR
2がメチル基である構造を有し、式(4)において、R
1がメチル基又はグリシジル基である構造を有し、式(2)、(3)、(5)及び(6)の構造は有していない。
【0090】
[製造例7]アクリル重合体(P5)の製造
メチルメタクリレートを97.95部、グリシジルメタクリレートを2部とした以外は製造例3と同様にアクリル重合体(以下、P5という)を製造した。製造例3と同様に測定したMwは2900であった。また、P5は、式(1)において、R
1がメチル基でR
2がメチル基、R
1がエチル基でR
2が水素、及びR
1がグリシジル基でR
2がメチル基である構造を有し、式(4)において、R
1がメチル基又はグリシジル基である構造を有し、式(2)、(3)、(5)及び(6)の構造は有していない。
【0091】
[製造例8]アクリル重合体(P6)の製造
メチルメタクリレートを89.95部、グリシジルメタクリレートを0部、連鎖移動剤Aを0.0035部とし、2−ヒドロキシエチルメタクリレート10部を追加した以外は製造例3と同様にアクリル重合体(以下、P6という)を製造した。製造例3と同様に測定したMwは3500であった。また、P6は、式(1)において、R
1がメチル基でR
2がメチル基、R
1がエチル基でR
2が水素、及びR
1が2−ヒドロキシルエチル基でR
2がメチル基である構造を有し、式(4)において、R
1がメチル基又は2−ヒドロキシルエチル基である構造を有し、式(2)、(3)、(5)及び(6)の構造は有していない。
【0092】
[製造例9]アクリル重合体(P7)の製造
撹拌機、冷却管及び温度計を備えたフラスコ中に、メチルイソブチルケトン(以下、MIBKという)30部、酢酸ブチル26.7部を入れて撹拌し、均一な溶媒とした。次いで、フラスコ内を窒素置換し110℃に昇温してスチレン(新日鉄住金化学(株)製、商品名:スチレンモノマー)20部、2−エチルヘキシルアクリレート(三菱化学(株)製、商品名:アクリル酸2−エチルヘキシル)21部、2−エチルヘキシルメタクリレート(三菱レイヨン(株)製、商品名:アクリエステルEH)23.2部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(三菱レイヨン(株)製、商品名:アクリエステルHO)34.8部、メタクリル酸(三菱レイヨン(株)製、商品名:メタクリル酸)1部、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(大塚化学(株)製、商品名:AMBN)2.5部、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日油(株)製、商品名:パーオクタO)2.4部の混合溶液を3時間かけて滴下した。更に1時間後、重合率を上げるため、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)0.2部、MIBK10部の混合液を投入し、2時間保持した。その後、反応液を40℃に冷却し、MIBK、酢酸ブチルを揮発させて、アクリル重合体(以下、P7という)を製造した。製造例3と同様に測定したMwは9000であった。また、P7は、式(1)において、R
1が2−エチルヘキシル基でR
2が水素、R
1が2−エチルヘキシル基でR
2がメチル基、及びR
1が2−ヒドロキシルエチル基でR
2がメチル基である構造を有し、式(2)、(3)、(4)、(5)及び(6)の構造は有していない。
【0093】
[製造例10]アクリル重合体(P8)の製造
連鎖移動剤を0部とした以外は製造例3と同様にアクリル重合体(以下、P8という)を製造した。製造例3と同様に測定したMwは23000であった。また、P8は、式(1)において、R
1がメチル基でR
2がメチル基、R
1がエチル基でR
2が水素、及びR
1がグリシジル基でR
2がメチル基である構造を有し、式(2)、(3)、(4)、(5)及び(6)の構造は有していない。
【0094】
[製造例11](メタ)アクリロイル基を側鎖に有する重合体(A1)の合成
撹拌機、冷却管及び温度計を備えた5リットルの4つ口フラスコに、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(MIWON製、商品名:ミラマーM200)100部を入れ70℃まで1時間で昇温した。続いて、製造例3で合成したアクリル重合体P1を90.79部、アクリル酸(三菱化学(株)製、商品名:アクリル酸)9.21部、トリフェニルホスフィン(和光純薬(株)製)0.33部、ハイドロキノンモノメチルエーテル(川口化学工業(株)製、商品名:MQ)0.1部を入れた。この混合物を97℃まで3時間で昇温した後、10時間保持し、1,6−ヘキサンジオールジアクリレートに溶解した(メタ)アクリロイル基を持つ重合体(A1)を得た。A1のMwを、分子量1000以下の成分を除いて算出したところ、3500であった。また、A1は、式(1)において、R
1がメチル基でR
2がメチル基、R
1がエチル基でR
2が水素、及びR
1がグリシジル基でR
2がメチル基である構造を有し、式(2)において、n=0、R
21がメチル基でR
22が水素である構造を有し、式(4)において、R
1がメチル基又はグリシジル基である構造を有し、式(5)において、R
2が水素である構造を有し、式(3)及び(6)の構造は有していない。
【0095】
[製造例12](メタ)アクリロイル基を側鎖に有する重合体(A2)の合成
アクリル重合体P1をアクリル重合体P2とした以外は製造例11と同様にアクリル重合体(メタ)アクリロイル基を持つ重合体(A2)を製造した。A2のMwを、分子量1000以下の成分を除いて算出したところ、7800であった。また、A2は、式(1)において、R
1がメチル基でR
2がメチル基、R
1がエチル基でR
2が水素、及びR
1がグリシジル基でR
2がメチル基である構造を有し、式(2)において、n=0、R
21がメチル基でR
22が水素である構造を有し、式(4)において、R
1がメチル基又はグリシジル基である構造を有し、式(5)において、n=0、R
2が水素である構造を有し、式(3)及び(6)の構造は有していない。
【0096】
[製造例13](メタ)アクリロイル基を側鎖に有する重合体(A3)の合成
アクリル重合体P1をアクリル重合体P3とした以外は製造例11と同様に(メタ)アクリロイル基を持つ重合体(A3)を製造した。A3のMwを、分子量1000以下の成分を除いて算出したところ、4800であった。また、A3は、式(1)において、R
1がメチル基でR
2がメチル基、R
1がエチル基でR
2が水素、及びR
1がグリシジル基でR
2がメチル基である構造を有し、式(2)において、n=0、R
21がメチル基でR
22が水素である構造を有し、式(4)において、R
1がメチル基又はグリシジル基である構造を有し、式(5)において、n=0、R
2が水素である構造を有し、式(3)及び(6)の構造は有していない。
【0097】
[製造例14](メタ)アクリロイル基を側鎖に有する重合体(A4)の合成
90.79部のアクリル重合体P1を83.14部のアクリル重合体P4とし、アクリル酸の量を16.86部とした以外は製造例11と同様に(メタ)アクリロイル基を持つ重合体(A4)を製造した。A4のMwを、分子量1000以下の成分を除いて算出したところ、4600であった。また、A4は、式(1)において、R
1がメチル基でR
2がメチル基、R
1がエチル基でR
2が水素、及びR
1がグリシジル基でR
2がメチル基である構造を有し、式(2)において、n=0、R
21がメチル基でR
22が水素である構造を有し、式(4)において、R
1がメチル基又はグリシジル基である構造を有し、式(5)において、n=0、R
2が水素である構造を有し、式(3)及び(6)の構造は有していない。
【0098】
[製造例15](メタ)アクリロイル基を側鎖に有する重合体(A5)の合成
90.79部のアクリル重合体P1を99.00部のアクリル重合体P5とし、アクリル酸の量を1.00部とした以外は製造例11と同様に(メタ)アクリロイル基を持つ重合体(A5)を製造した。A5のMwを、分子量1000以下の成分を除いて算出したところ、3000であった。また、A5は、式(1)において、R
1がメチル基でR
2がメチル基、R
1がエチル基でR
2が水素、及びR
1がグリシジル基でR
2がメチル基である構造を有し、式(2)において、n=0、R
21がメチル基でR
22が水素である構造を有し、式(4)において、R
1がメチル基又はグリシジル基である構造を有し、式(5)において、n=0、R
2が水素である構造を有し、式(3)及び(6)の構造は有していない。
【0099】
[製造例16](メタ)アクリロイル基を側鎖に有する重合体(A6)の合成
90.79部のアクリル重合体P1を90.22部のアクリル重合体P6とし、アクリル酸9.21部をアクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工(株)製、商品名:カレンズAOI)9.78部とした以外は製造例11と同様に(メタ)アクリロイル基を持つ重合体(A6)を製造した。A6のMwを、分子量1000以下の成分を除いて算出したところ、4100であった。また、A6は、式(1)において、R
1がメチル基でR
2がメチル基、R
1がエチル基でR
2が水素、及びR
1が2−ヒドロキシルエチル基でR
2がメチル基である構造を有し、式(3)において、R
31がエチレン基でR
32がエチレン基でR
2が水素である構造を有し、式(4)において、R
1がメチル基又は2−ヒドロキシルエチル基である構造を有し、式(6)において、R
31がエチレン基でR
32がエチレン基でR
2が水素である構造を有し、式(2)及び(4)の構造は有していない。
【0100】
[製造例17](メタ)アクリロイル基を側鎖に有する重合体(A7)の合成
1,6−ヘキサンジオールジアクリレートをジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(MIWON製、商品名:ミラマーM600)とした以外は製造例11と同様に(メタ)アクリロイル基を持つ重合体(A7)を製造した。A7のMwを、分子量1000以下の成分を除いて算出したところ、3500であった。また、A7は、式(1)において、R
1がメチル基でR
2がメチル基、R
1がエチル基でR
2が水素、及びR
1がグリシジル基でR
2がメチル基である構造を有し、式(2)において、n=0、R
21がメチル基でR
22が水素である構造を有し、式(4)において、R
1がメチル基又はグリシジル基である構造を有し、式(5)において、n=0、R
2が水素である構造を有し、式(3)及び(6)の構造は有していない。
【0101】
[製造例18](メタ)アクリロイル基を側鎖に有する重合体(A8)の合成
1,6−ヘキサンジオールジアクリレートをジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(MIWON製、商品名:ミラマーM600)とした以外は製造例12と同様に(メタ)アクリロイル基を持つ重合体(A8)を製造した。A8のMwを、分子量1000以下の成分を除いて算出したところ、7800であった。また、A8は、式(1)において、R
1がメチル基でR
2がメチル基、R
1がエチル基でR
2が水素、及びR
1がグリシジル基でR
2がメチル基である構造を有し、式(2)において、n=0、R
21がメチル基でR
22が水素である構造を有し、式(4)において、R
1がメチル基又はグリシジル基である構造を有し、式(5)において、n=0、R
2が水素である構造を有し、式(3)及び(6)の構造は有していない。
【0102】
[製造例19](メタ)アクリロイル基を側鎖に有する重合体(A9)の合成
撹拌機、冷却管及び温度計を備えたフラスコ中に、脱イオン水145部、硫酸ナトリウム0.1部及び分散剤A0.25部を入れて撹拌し、均一な水溶液とした。次いで、メチルメタクリレート(三菱レイヨン(株)製、商品名:アクリエステルM)79.95部、エチルアクリレート(三菱化学(株)製、商品名:アクリル酸エチル)0.05部、グリシジルメタクリレート(三菱レイヨン(株)製、商品名:アクリエステルG)20部、連鎖移動剤A0.005部及び1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート(日油(株)製、商品名:パーオクタO)1.33部の単量体混合物を加え、水性懸濁液とした。この後、フラスコ内を窒素置換し、80℃に昇温して3時間反応させ、更に重合率を上げるため、93℃に昇温して1時間保持した。その後、反応液を40℃に冷却して、フラスコ内を窒素から空気へ置換し、β―カルボキシエチルアクリレート(ダイセル・オルネクス(株)製、商品名:β―CEA)20.26部、トリエチルアンモニウムクロライド(和光純薬(株)製)2.5部、ハイドロキノンモノメチルエーテル(川口化学工業(株)製、商品名:MQ)0.1部を入れた。この混合物を95℃まで1時間で昇温した後、10時間保持し、水性重合体懸濁液を得た。この水性重合体懸濁液を目開き45μmのナイロン製濾過布で濾過し、濾物を脱イオン水で洗浄し、脱水し、40℃で16時間乾燥し、(メタ)アクリロイル基を側鎖に有する重合体(以下、A9という)を得た。A9のMwを、分子量1000以下の成分を除いて算出したところ、3300であった。また、A9は、式(1)において、R
1がメチル基でR
2がメチル基、R
1がエチル基でR
2が水素、及びR
1がグリシジル基でR
2がメチル基である構造を有し、式(2)において、n=1、R
21がメチル基でR
22が水素である構造を有し、式(4)において、R
1がメチル基又はグリシジル基である構造を有し、式(5)において、n=1、R
2が水素である構造を有し、式(3)及び(6)の構造は有していない。
【0103】
[製造例20](メタ)アクリロイル基を側鎖に有する重合体(X1)の合成
撹拌機、冷却管、温度計及び水分離器を備えたフラスコに、アクリル重合体P7を83.84部、アクリル酸を16.16部、トルエン100部、p−トルエンスルホン酸2部及びハイドロキノン0.05部を仕込み、加熱攪拌してトルエン還流し、水の生成が見られなくなるまで反応を続け、トルエンを揮発させ、(メタ)アクリロイル基を持つ重合体(X1)を製造した。X1のMwは、11000であった。また、X1は、式(1)において、R
1が2−エチルヘキシル基でR
2が水素、R
1が2−エチルヘキシル基でR
2がメチル基、及びR
1が2−ヒドロキシルエチル基でR
2がメチル基である構造を有し、式(2)、(3)、(4)、(5)及び(6)の構造は有していない。
【0104】
[製造例21](メタ)アクリロイル基を側鎖に有する重合体(X2)の合成
アクリル重合体をP8とした以外は製造例11と同様にアクリル重合体(メタ)アクリロイル基を持つ重合体(X2)を製造した。X2のMwを、分子量1000以下の成分をカットして算出したところ、25000であった。また、X2は、式(1)において、R
1がメチル基でR
2がメチル基、R
1がエチル基でR
2が水素、及びR
1がグリシジル基でR
2がメチル基である構造を有し、式(2)において、n=0、R
21がメチル基でR
22が水素である構造を有し、式(3)、(4)、(5)、(6)の構造は有していない。
【0105】
製造例1〜21で製造した各重合体について、含まれる式(1)〜(6)で示される構造の有無と重量平均分子量を表1に示した。
【表1】
【0106】
[実施例1]
(1)活性エネルギー線重合性組成物の調製とE型粘度
表2に示す配合比で調製した活性エネルギー線重合性組成物を、東機産業(株)製の粘度計(商品名:VISCOMETER TVE−20H)を用い、樹脂組成物の50℃E型粘度を測定した。その評価結果を表2に示す。
【0107】
(E型粘度の評価基準)
A:E型粘度が50000mPa・s未満
F:E型粘度が50000mPa・s以上
【0108】
(2)活性エネルギー線重合性組成物の塗装方法
表2に示す配合比で調製した活性エネルギー線重合性組成物を、厚さ2mmのガラス板に、硬化被膜の厚みが10μmになるようにバーコート塗装した。
【0109】
(3)塗膜の硬化性の評価
(2)で得られた乾燥した塗膜に、空気中で高圧水銀ランプを用いて、波長300nm〜400nmのピーク照度が80mW/cm
2、積算光量が100mJ/cm
2の紫外線を照射し、指先で軽く触れ、タックフリーか否かを確認した。タックフリーでない場合は、この紫外線照射工程をタックフリーになるまで繰り返し行った。必要な積算光量により以下の基準で硬化性を評価した。その評価結果を表2に示す。
【0110】
(硬化性の評価基準)
A:必要な積算光量が2700mJ/cm
2未満
B:必要な積算光量が2700mJ/cm
2以上3700mJ/cm
2未満
F:必要な積算光量が3700mJ/cm
2以上
【0111】
(4)硬化被膜の硬化収縮率の評価
表2に示す配合比で調製した樹脂組成物の液比重、及び空気中で高圧水銀ランプを用いて、波長300nm〜400nmのピーク照度が80mW/cm
2、積算光量が5000mJ/cm
2の紫外線を照射して硬化させたものの比重の比から、以下の式を用いて、硬化収縮率を算出した。
硬化収縮率(%)=(硬化物比重−液比重)/硬化物比重×100
(硬化収縮率の評価基準)
A:硬化収縮率が7%未満
B:硬化収縮率が7%以上8%未満
F:硬化収縮率が8%以上
【0112】
[実施例2〜8及び比較例1〜4]
活性エネルギー線重合性組成物の組成を表2に示す配合に変更した以外は、実施例1と同様に活性エネルギー線重合性組成物を調製し、これを用いて硬化被膜付の樹脂成形品を作製し、評価を行った。その評価結果を表2に示す。
【表2】
表2の略号は以下の通りである
・「P1」:製造例3で合成した重合体(P1)
・「P2」:製造例4で合成した重合体(P2)
・「P3」:製造例5で合成した重合体(P3)
・「P4」:製造例6で合成した重合体(P4)
・「P5」:製造例7で合成した重合体(P5)
・「P6」:製造例8で合成した重合体(P6)
・「P7」:製造例9で合成した重合体(P7)
・「P8」:製造例10で合成した重合体(P8)
・「A1」:製造例11で合成した重合体(A1)
・「A2」:製造例12で合成した重合体(A2)
・「A3」:製造例13で合成した重合体(A3)
・「A4」:製造例14で合成した重合体(A4)
・「A5」:製造例15で合成した重合体(A5)
・「A6」:製造例16で合成した重合体(A6)
・「A7」:製造例17で合成した重合体(A7)
・「A8」:製造例18で合成した重合体(A8)
・「A9」:製造例19で合成した重合体(A9)
・「X1」:製造例20で合成した重合体(X1)
・「X2」:製造例21で合成した重合体(X2)
・「BNP」:ベンゾフェノン(大同化成工業(株)製、商品名:BENZOPHENONE)
・「TPO」:2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(BASF社製、商品名:ルシリンTPO)
・「HDDA」: 1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(MIWON製、商品名:ミラマーM200)
・「DPHA」:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(MIWON製、商品名:ミラマーM600)
・「TiO
2」: 酸化チタン(石原産業(株)製、商品名:CR−97)
【0113】
製造例1〜6、及び製造例11〜19では、脱溶剤工程を含まないことから、安価にA成分を製造できた。また、表2に示す評価結果より、そのA成分を含む実施例の活性エネルギー線重合性組成物は、低粘度で、硬化性が優れ、硬化収縮の少ない良好な組成物であることが分かった。
【0114】
一方、A成分を含まない比較例1〜4の活性エネルギー線重合性組成物は、硬化収縮、粘度、硬化性の全てを満足するものではなかった。