(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
昨今の異常気象や台風及び洪水など災害の影響により、従来の陸上ポンプでは運転が必要な災害時にポンプを運転できないケースが散見されている。この対策として没水時にも運転可能な水中ポンプの導入が検討され、ポンプの交換時において、陸上ポンプを水中ポンプに交換する案件が増加している。
【0003】
水中ポンプの導入に伴い、これまでにない大容量の水中モータが必要となっている。特に、海外における河川や排水機場の規模は大きいため、多くの場合、大出力(1MWクラス)の水中モータが採用される。
【0004】
水中ポンプの大出力化に伴い、水中モータの高電圧化が進んでいる。これは、低電圧の水中モータでは、次のようなデメリットがあるためである。つまり、大電流を水中モータに流すためには、水中モータのモータ本体と電源とを接続するケーブルのサイズを大きくしなければならない。ケーブルのサイズが大きくなると、ケーブルの価格が高くなり、特殊なケーブルを使用しなければならず、ケーブルの重量も増大してしまう。このようなケーブルを取り扱うことは困難である。さらに、このような水中モータでは、電圧降下が大きくなるため、ケーブルのサイズを大きくしなければならず、水中モータの始動容量を大きくしなければならない。つまり、発電機や変圧器を大型化しなければならない。結果として、設備や遮断器を大型化しなければならない。さらに、このような水中モータでは、モータ本体とケーブルとの接続部が大型化し、接続作業が困難になってしまう。
【0005】
これに対し、高電圧の水中モータのメリットは次の通りである。つまり、高電圧の水中モータでは、電流を小さく抑えることができるため、ケーブルのサイズを小さくすることができる。さらに、電圧降下を小さくすることができるため、水中モータの始動容量を小さくすることができ、結果として、設備や遮断器を小型化することができる。さらに、このような水中モータでは、モータ本体とケーブルとの接続部を小型化することができるため、水中モータのコストを低減することができ、接続作業を容易にすることができる。
【0006】
防水コネクタを介してケーブルをモータ本体に電気的に接続するタイプの水中モータが知られている。
図10はコネクタ方式の水中モータを示す図である。
図10に示すように、ケーブル137は防水コネクタ146に接続されている。ケーブル137は、電力ケーブル137a及びアースケーブル137bから構成されている。これら電力ケーブル137a及びアースケーブル137bは、ケーブルコンタクト150及びアースコンタクト151にそれぞれ接続されている。
【0007】
防水コネクタ146は、ケーブルコンタクト150及びアースコンタクト151が液密的に接続された絶縁体149と、絶縁体149が液密的に結合された導電性外被部材148とを備えている。モータ本体136には、口出し線145が接続されており、口出し線145はモータコンタクト142に接続されている。モータコンタクト142は絶縁体141に液密的に接続されており、絶縁体141はモータケーシング140に液密的に結合されている。ケーブルコンタクト150がモータコンタクト142に接続されると、電力はケーブル137及び口出し線145を通じて電源からモータ本体136に供給される。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下で説明する図面において、同一又は相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
以下に説明する実施形態では、水中機械の一例としての乾式水中モータについて説明するが、水中機械は乾式水中モータに限定されない。水中機械の他の例として、乾式水中発電機を挙げることができる。
【0018】
図1は本発明の一実施形態に係る水中モータを備えた水中渦巻ポンプ装置を示す図である。
図2は本発明の一実施形態に係る水中モータを備えた水中斜流ポンプ装置を示す図である。
図1及び
図2に示すように、水中モータは、水中渦巻ポンプや水中斜流ポンプなどの水中ポンプに適用される。以下、
図1を参照しつつ、水中モータを備えた水中渦巻ポンプ装置について説明する。
【0019】
図1に示すように、ポンプ装置は、水中モータM及びポンプPを備えており、水中モータMはポンプPに接続されている。吸込口30、渦巻室31、及び吐出配管32を有するポンプケーシング33内には羽根車(図示しない)が設けられている。羽根車が回転すると、水は、吸込口30から吸い込まれ、吐出配管32を通じて移送される。ポンプケーシング33には筒状のモータケーシング35が接続されており、モータケーシング35はモータ本体36を液密的に囲んでいる。モータ本体36にはケーブル37及び制御ケーブル38が電気的に接続可能である。
【0020】
図3はモータ本体36とケーブル37,38との接続を示す断面図である。
図4は防水コネクタの一実施形態を示す図である。なお、
図3に示す水中モータMの形状は
図1及び
図2に示す水中モータMの形状とは僅かに異なっている。モータケーシング35はその端部に天板40を有しており、天板40の開口部40aにはモータ側絶縁体(モータ側絶縁性部材)41が液密的に結合されている。モータ側絶縁体41は、モータ側孔41aを有している。
【0021】
モータ側孔41aには、モータコンタクト42が液密的に取り付けられている。天板40とモータ側絶縁体41との間にはOリング(シール部材)43が配置されており、モータ側絶縁体41とモータコンタクト42との間にはOリング(シール部材)44が配置されている。モータコンタクト42にはモータ本体36に接続された口出し線45が電気的に接続されている。
【0022】
ケーブル37の先端部分は筒状のコネクタ本体46に取り囲まれている。コネクタ本体46には、ケーブルパッキン(シール部材)47を介してケーブルグランド48がねじ63の締結によって固定されている。これらコネクタ本体46及びケーブルグランド48は総称して導電性外被部材と呼ばれる。ケーブルパッキン47は、環状形状を有しており、ケーブル37(より具体的には、ケーブル37を覆うケーブルカバー)とケーブルグランド48との間に配置されている。
【0023】
コネクタ本体46には、ケーブル側絶縁体(ケーブル側絶縁性部材)49が液密的に結合されている。ケーブル側絶縁体49は、第1ケーブル側孔49a及び第2ケーブル側孔49bを有している。第1ケーブル側孔49aには、ケーブルコンタクト50が液密的に取り付けられている。第2ケーブル側孔49bには、アースコンタクト51が液密的に取り付けられている。
【0024】
ケーブルコンタクト50は、その先端50aがケーブル側絶縁体49の外面49cの外方に突出するように設けられている。ケーブル側絶縁体49の外面49cはモータ側絶縁体41に対向する面である。ケーブルコンタクト50には、ケーブル37の電力ケーブル37aが電気的に接続されている。電力ケーブル37aは、モータ本体36に電力を供給するためのケーブルである。アースコンタクト51には、ケーブル37のアースケーブル37cが電気的に接続されている。
【0025】
防水コネクタはモータ側コネクタ61及びケーブル側コネクタ62から構成されている。モータ側コネクタ61は、モータ側絶縁体41及びモータコンタクト42から基本的に構成されており、ケーブル側コネクタ62は、導電性外被部材(コネクタ本体46及びケーブルグランド48)、ケーブル側絶縁体49、ケーブルコンタクト50、及びアースコンタクト51から基本的に構成されている。
【0026】
コネクタ本体46とケーブル側絶縁体49との間にはOリング(シール部材)55が配置されており、コネクタ本体46と天板40との間にはOリング(シール部材)59が配置されている。Oリング55によってコネクタ本体46とケーブル側絶縁体49との間の液密性が確保され、Oリング59によってコネクタ本体46と天板40との間の液密性が確保される。
【0027】
ケーブル側絶縁体49の内面49dには壁56が接続されている。壁56は、ケーブルコンタクト50の延びる方向に沿って延びている。ケーブル側絶縁体49及び壁56は一体的に構成されている。ケーブル側絶縁体49の内面49dはケーブル側絶縁体49の外面49cとは反対側の面である。
【0028】
壁56とケーブルコンタクト50との間の隙間には、樹脂67がコンタクト50,51及びケーブル37a,37cの露出部37b,37dを覆うように充填されている。樹脂67は、ケーブル37a,37cの露出部37b,37dを空間46aから気密的及び液密的に隔離できる。コンタクト50,51は、樹脂67を介して液密的にケーブル側絶縁体49に取り付けられる。ケーブル37a,37cの露出部37b,37dを樹脂67によって被覆する処理は水切り処理と呼ばれる。本実施形態によれば、陸上側の水がケーブル37を介してコネクタ接続部及び水中モータMの内部に浸入することが防止される。
【0029】
コネクタ本体46はその下端から突出するフランジ部57を有している。これらコネクタ本体46及びフランジ部57は一体的に構成されている。フランジ部57は、図示しない複数の締結具(例えば、ねじ)によってモータケーシング35の天板40に液密的に結合されている。フランジ部57には、これら複数の締結具を挿通するための複数の締結穴(図示しない)が形成されており、これら複数の締結穴はフランジ部57の周方向に沿って配置されている。締結具を締結穴に挿入し、締結具を締め付けることにより、フランジ部57は天板40に液密的に結合される。
【0030】
フランジ部57はその下端から突出する筒状凸部91を備えており、天板40はその開口部40aに形成された筒状凹部92を備えている。筒状凸部91は導電性外被部材の開口部の一部を形成しており、筒状凹部92は天板40の開口部40aの一部を形成している。筒状凸部91と筒状凹部92は互いに嵌合するように構成されている。
【0031】
ケーブルコンタクト50は、ケーブル側絶縁体49からモータ側絶縁体41に向かって外方に突出している。さらに、筒状凸部91の先端91aは、ケーブルコンタクト50の先端50aよりもモータ側絶縁体41に向かって外方に突出している。ケーブルコンタクト50とケーブル側絶縁体49、及び筒状凸部91とケーブルコンタクト50をこのような位置関係にすることによって、樹脂などによる成型部品をモータ側絶縁体41及びケーブル側絶縁体49に採用することができる。つまり、機械加工による部品と比較し、仕上がり寸法精度の劣るような樹脂などの成型部品をモータ側絶縁体41及びケーブル側絶縁体49に採用したとしても、モータ側絶縁体41の外面41cとケーブル側絶縁体49の外面49cとの間には接続部空間(密閉空間)60が確保される。その結果、接続部空間60は、種々の製造誤差や組立誤差等の要因による寸法のバラつき等を吸収しつつ、モータコンタクト42とケーブルコンタクト50の電気的機械的接続と、筒状凸部91と筒状凹部92との機械的接続とを確実に達成することができる。
【0032】
さらに本実施形態によれば、筒状壁(筒状凸部91及び筒状凹部92)同士の嵌合により、防水コネクタの着脱が容易であるとともに、確実なシール構造を容易に構成することができる。
【0033】
防水コネクタは、アースコンタクト51と導電性外被部材とを電気的に接続する板状のアース部材52を備えている。アース部材52は、L字形状を有しており、導電性材料から構成されている。アース部材52は、アースコンタクト51にねじ53によって固定されており、コネクタ本体46(より具体的には、筒状凸部91)にねじ54によって固定されている。
【0034】
防水コネクタは、ケーブル側絶縁体49とモータ側絶縁体41との間に形成された接続部空間60内に配置された絶縁性の囲い193をさらに備えている。接続部空間60は、モータ側絶縁体41、ケーブル側絶縁体49、天板40、及びコネクタ本体46によって形成された密閉空間である。囲い193はこの接続部空間60内に位置するケーブルコンタクト50とモータコンタクト42との露出部分を囲んでいる。
【0035】
図5は囲い193の拡大断面図である。囲い193は、筒形状を有しており、絶縁性の弾性材料(例えば、ゴム)から構成されている。囲い193の内面193aは、ケーブルコンタクト50とモータコンタクト42との露出部分に隣接している。本実施形態では、囲い193の内面193aは、ケーブルコンタクト50とモータコンタクト42との露出部分の大部分に接触している。囲い193の内面193aは、必ずしもこれらコンタクト50,42の露出部分のすべてに接触する必要はなく、この露出部分から離間していてもよい。囲い193の外面193bは、フランジ部57の内面57a(
図4参照)には接触しておらず、内面57aから離間している。
【0036】
囲い193の一方の端部193cはケーブル側絶縁体49に着脱可能に接続されており、囲い193の他方の端部193dはモータ側絶縁体41に着脱可能に接続されている。囲い193の一端部193cには、ケーブル側絶縁体49に向かって延びる環状の突出部(第1突出部)194が形成されている。ケーブル側絶縁体49には、突出部194と嵌合する環状の窪み部195が形成されている。窪み部195は、ケーブル側絶縁体49の外面49c上に形成されており、第1ケーブル側孔49aに接続されている。突出部194が窪み部195に嵌め込まれると、囲い193はケーブル側絶縁体49に接続される。
【0037】
囲い193の他端部193dには、モータ側絶縁体41に向かって延びる環状の突出部(第2突出部)196が形成されている。モータ側絶縁体41には、突出部196と嵌合する環状の窪み部197が形成されている。窪み部197は、モータ側絶縁体41の外面41c上に形成されており、モータ側孔41aに接続されている。突出部196が窪み部197に嵌め込まれると、囲い193はモータ側絶縁体41に接続される。本実施形態では、窪み部195の直径は窪み部197の直径と同一であり、ケーブルコンタクト50の先端50aは窪み部197内に位置している。
【0038】
一実施形態では、絶縁体49,41に窪み部195,197をそれぞれ設ける代わりに、絶縁体41,49に環状の出っ張りをそれぞれ設けてもよい。つまり、ケーブル側絶縁体49にモータ側絶縁体41に向かって延びる環状の出っ張りを設け、モータ側絶縁体41にケーブル側絶縁体49に向かって延びる環状の出っ張りを設けてもよい。この場合、囲い193の一端部193cはケーブル側絶縁体49の出っ張りに着脱可能に接続され、囲い193の他端部193dはモータ側絶縁体41の出っ張りに着脱可能に接続される。
【0039】
本実施形態によれば、絶縁性の囲い193は接続部空間60内に位置するケーブルコンタクト50とモータコンタクト42の露出部分を囲んでいる。したがって、囲い193は、この露出部分の絶縁距離を十分に確保することができ、結果として、漏電事故を防止することができる。
【0040】
本実施形態では、囲い193は、ケーブル側絶縁体49及びモータ側絶縁体41とは異なる部材から構成されている。つまり、囲い193と絶縁体49,41は別個の部材である。したがって、囲い193を追加するだけの簡単な構成で、漏電事故を確実に防止することができる。さらに、本実施形態によれば、囲い193を絶縁体41,49に容易に取り付けることができ、かつ絶縁体41,49から容易に取り外すことができる。したがって、囲い193の交換などのメンテナンスを容易に行うことができる。
【0041】
さらに本実施形態によれば、囲い193はシール部材としての役割を果たすことができるので、二重の気密構造を構成することができる。すなわち、Oリング59によってコネクタ本体46と天板40との間の液密性及び気密性が確保され、さらには、囲い193によって絶縁体41,49と囲い193との間の液密性及び気密性が確保される。
【0042】
さらに本実施形態によれば、囲い193は弾性を有しているため、囲い193は水中モータMの運転により発生する振動を吸収することができる。つまり、振動が大きい場合、囲い193はダンパとしての機能を発揮することができる。したがって、防水コネクタを構成する部材の損傷を防止することができる。このように、囲い193は水中モータMの振動の対策に寄与することができる。
【0043】
以下、上述した防水コネクタの接続工程について説明する。まず、口出し線45が接続されたモータコンタクト42をモータ側絶縁体41のモータ側孔41aに液密的に取り付ける。電力ケーブル37aが接続されたケーブルコンタクト50をケーブル側絶縁体49のケーブル側孔49aに液密的に取り付け、アースケーブル37cが接続されたアースコンタクト51をケーブル側孔49bに液密的に取り付ける。ケーブル37a,37cをコンタクト50,51にそれぞれ接続した後、壁56とコンタクト50,51との間の隙間に樹脂67を流し込み、硬化させる。
【0044】
次に、囲い193がモータ側絶縁体41及びケーブル側絶縁体49のうちの一方に接続され、この状態のまま、コンタクト42,50が互いに接続される。結果として、囲い193はこれら絶縁体41,49のうちの他方にも接続され、囲い193はケーブルコンタクト50とモータコンタクト42との露出部分を囲うことができる。コンタクト42,50の接続により、電力ケーブル37aと口出し線45とが電気的に接続される。図示しないが、制御ケーブル38も同様に接続される。
【0045】
このように構成された水中モータMでは、コネクタ構造が採用されているにもかかわらず、液密性が充分に保たれている。すなわち、筒状壁(筒状凸部91及び筒状凹部92)同士の嵌合、Oリング43,44,55,59、及びケーブルパッキン47により、確実なシール構造を容易に構成することができる。さらに、コンタクト42,50の露出部分は囲い193によって覆われているため、より確実なシール構造を構成することができる。万一、水中で防水コネクタが外れても、Oリング43,44は水のモータ本体36への浸入を防止しているので、水がモータ本体36に浸入するような事態は生じない。
【0046】
図6は防水コネクタの他の実施形態を示す断面図である。
図7は囲い293の一実施形態を示す拡大断面図である。特に説明しない本実施形態の構成および動作は、上述した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。本実施形態では、防水コネクタは、接続部空間60内に配置された絶縁性の囲い293を備えている。この囲い293は、ケーブル側絶縁体49からモータ側絶縁体41に向かって延びる第1の囲い部294と、モータ側絶縁体41からケーブル側絶縁体49に向かって延びる第2の囲い部295とを少なくとも含むラビリンス構造を有している。
【0047】
本実施形態では、囲い293は2つの囲い部を備えているが、囲い部の数は本実施形態に限定されない。一実施形態では、囲い293は、第3の囲い部(図示しない)を備えてもよく、又はそれ以上の数の囲い部を備えてもよい。
【0048】
本実施形態では、第1の囲い部294とケーブル側絶縁体49は一体成形部材であり、第2の囲い部295とモータ側絶縁体41は一体成形部材である。これら囲い部294,295は、筒状形状を有しており、絶縁性の硬質材料(より具体的には、絶縁性の樹脂材料)から構成されている。
【0049】
第2の囲い部295は、第1の囲い部294とコンタクト42,50の露出部分との間に配置されており、コンタクト42,50の露出部分及び第1の囲い部294から離間している。つまり、第2の囲い部295とコンタクト42,50の露出部分との間、及び第1の囲い部294と第2の囲い部295との間には隙間が形成されている。
【0050】
このように、第2の囲い部295をコンタクト42,50の露出部から離間して配置し、さらに、第1の囲い部294を第2の囲い部295から離間して配置することにより、コンタクト42,50の露出部と第1の囲い部294との間には屈曲した隙間(ラビリンス隙間)が形成される。この隙間は、コンタクト42,50の断面及び囲い部294,295の断面を見たときにコの字状である。
【0051】
本実施形態では、ケーブル側絶縁体49の窪み部195の直径はモータ側絶縁体41の窪み部197の直径よりも大きい。第1の囲い部294の内径は窪み部195の直径と同一であり、第2の囲い部295の内径は窪み部197の直径と同一である。本実施形態では、第1の囲い部294の内面294aは窪み部195に接続されており、第2の囲い部295の内面295aは窪み部197に接続されている。
【0052】
第1の囲い部294の先端294bは、モータ側絶縁体41から離間しており、モータ側絶縁体41には接触していない。ケーブルコンタクト50の先端50aは、第1の囲い部294の先端294bよりもモータ側絶縁体41に向かって外方に突出している。第2の囲い部295の先端295bは、ケーブル側絶縁体49から離間しており、ケーブル側絶縁体49には接触していない。第2の囲い部295の先端295bは窪み部195内に位置している。
【0053】
本実施形態によれば、ケーブルコンタクト50とモータコンタクト42との露出部分を囲む絶縁性の囲い293はラビリンス隙間を形成することができる。したがって、囲い293は、この露出部分の絶縁距離を十分に確保することができ、結果として、漏電事故を防止することができる。
【0054】
図8は囲い293の他の実施形態を示す拡大断面図である。
図8に示す実施形態では、第1の囲い部294とケーブル側絶縁体49は別個の部材から構成されており、第2の囲い部295とモータ側絶縁体41は別個の部材から構成されている。このような構成により、囲い293を追加するだけの簡単な構成で、漏電事故を確実に防止することができる。さらに、本実施形態によれば、囲い293の形状の変更や囲い293の加工を容易に行うことができる。
【0055】
囲い部294,295は絶縁体49,41とは異なる材料から構成されてもよい。一実施形態では、囲い部294,295は絶縁体49,41よりも優れた絶縁性を有する材料から構成されてもよい。
【0056】
第1の囲い部294及び第2の囲い部295は、絶縁体49,41にそれぞれ接着されてもよく、又は、ねじ構造による嵌め合いによって、絶縁体49,41にそれぞれ取り付けられてもよい。このような構成により、囲い部294,295は絶縁体49,41にそれぞれ確実に取り付けられるので、囲い293は絶縁状態を確実に確保することができる。
【0057】
一実施形態では、囲い部294,295のそれぞれに雄ねじ加工が施され、絶縁体49,41のそれぞれに雌ねじ加工が施されており、これら囲い部294,295は絶縁体49,41のそれぞれに螺合される。
【0058】
他の実施形態では、ケーブル側絶縁体49の外面49cには、モータ側絶縁体41に向かって延びる雄ねじ部が形成されており、この雄ねじ部の外面にはねじ溝が形成されている。第1の囲い部294の内面にはねじ溝が形成されており、第1の囲い部294はケーブル側絶縁体49の雄ねじ部に螺合するように構成されている。同様に、モータ側絶縁体41の外面41cには、ケーブル側絶縁体49に向かって延びる雄ねじ部が形成されており、この雄ねじ部の外面にはねじ溝が形成されている。第2の囲い部295の内面にはねじ溝が形成されており、第2の囲い部295はモータ側絶縁体41の雄ねじ部に螺合するように構成されている。
【0059】
図9は防水コネクタのさらに他の実施形態を示す断面図である。特に説明しない本実施形態の構成および動作は、上述した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。防水コネクタは、コネクタ本体46と天板40との間に配置されたソケット部材(中間部材)70をさらに備えている。本実施形態では、コネクタ本体46、ケーブルグランド48、及びソケット部材70は総称して導電性外被部材と呼ばれる。コネクタ本体46は、ソケット部材70を介してモータケーシング35の天板40に液密的に結合される。
【0060】
ソケット部材70の形状は比較的自由に決定することができ、かつ、ソケット部材70の加工は比較的容易である。本実施形態によれば、モータケーシング35を直接加工することなく、ソケット部材70を加工するだけでコネクタ本体46をモータケーシング35(より具体的には、天板40)に接続することができる。
【0061】
ソケット部材70は天板40の開口部40aに液密的に結合されており、ソケット部材70には、モータ側絶縁体41が液密的に結合されている。ソケット部材70と天板40との間にはOリング(シール部材)77が配置されており、ソケット部材70とモータ側絶縁体41との間にはOリング(シール部材)43が配置されている。Oリング77によってソケット部材70と天板40との間の液密性が確保され、Oリング43によってソケット部材70とモータ側絶縁体41との間の液密性が確保される。
【0062】
コネクタ本体46はその下端から突出するフランジ部83を有している。フランジ部83は上述した実施形態におけるフランジ部57に相当する。フランジ部83はその下端から突出する筒状部85を備えており、筒状部85はソケット部材70に嵌合するように構成されている。筒状部85の先端はケーブルコンタクト50の先端50aよりもモータ側絶縁体41に向かって外方に突出している。筒状部85は上述した実施形態における筒状凸部91に相当する。
【0063】
ソケット部材70は、フランジ部71と、フランジ部71の下面から突出する筒状部72とから構成されている。これらフランジ部71及び筒状部72は一体的に構成されている。フランジ部71はその中央に形成された受容穴(内面)71aを有しており、筒状部85及び受容穴71aは互いに嵌合するように構成されている。
【0064】
フランジ部71,83には、複数の締結具(図示しない)を挿通するための複数の締結穴(図示しない)がそれぞれ形成されている。これら複数の締結穴はフランジ部71,83の周方向に沿って配置されている。
【0065】
コネクタ本体46は、その締結穴がソケット部材70の締結穴に接続されるように、ソケット部材70に結合される。その後、締結具は締結穴に挿入され、締結具を締め付けることにより、コネクタ本体46はソケット部材70を介して天板40に結合される。
【0066】
コネクタ本体46の筒状部85とフランジ部71の受容穴71a(すなわち、フランジ部71の内面)との間にはOリング(シール部材)78が配置されており、フランジ部71の外面71bとコネクタ本体46のフランジ部83との間にはOリング(シール部材)79が配置されている。Oリング78,79によりコネクタ本体46とソケット部材70との間の液密性が確保される。
【0067】
フランジ部71には、その外面71bからその内面71aに挿通する通気孔80と、高圧気体配管が接続される管用ねじ81とが形成されている。通気孔80は、通常、ねじ栓82により閉塞されている。通気孔80はソケット部材70の2つのOリング78,79の間に開口している。このような構成により、液密性が保たれているかどうかのテストを行なうことができる。つまり、通気孔(通気路)80を通じて、高圧気体を注入すれば、液密シール箇所が十分機能しているかどうかをテストすることができる。
【0068】
コネクタ本体46をソケット部材70に取り付ける際、筒状部85は、コンタクト42,50が接触する前にフランジ部71に接触する。つまり、筒状部85の先端はケーブルコンタクト50の先端50aよりもモータ側絶縁体41に向かって外方に突出しており、フランジ部71の外面71bはモータコンタクト42の先端よりもケーブル側絶縁体49に向かって外方に突出している。したがって、筒状部85は、ケーブルコンタクト50がモータコンタクト42に接触する前に、フランジ部71に接触することができる。防水コネクタを取り外す際は、筒状部85は、ケーブルコンタクト50がモータコンタクト42から離間した後に、フランジ部71から離間する。このような構成により、防水コネクタを接続する際は、コンタクト42,50の接続よりも先にアース接続が行われ、防水コネクタの取り外しの際は、コンタクト42,50の離間よりも後にアース接続が切断される。したがって、作業者の感電事故の発生を防止することができる。
【0069】
本実施形態では、コネクタ本体46の空間46aは絶縁性の樹脂98で満たされており、ケーブル37a,37c及びこれらケーブル37a,37cの露出部37b,37dはこの樹脂98によって完全に被覆されている。コネクタ本体46の内面には、樹脂98を空間46a内に流し込むための溝99が形成されている。このような溝99を設けることにより、ケーブル37を防水コネクタに装着した状態で樹脂98を空間46aに充填することができる。
【0070】
本実施形態では、絶縁性の囲い193はケーブル側絶縁体49とモータ側絶縁体41との間に形成された接続部空間60内に配置されており、この接続部空間60内に位置するケーブルコンタクト50とモータコンタクト42との露出部分を囲んでいる。図示しないが、
図6に示す囲い293を接続部空間60内に配置してもよい。
【0071】
上述した実施形態では、水中モータに適用される防水コネクタについて説明したが、この実施形態に限定されない。防水コネクタは、水中あるいは水際で使用する、又は、その可能性のある電気・電子機器にも適用される。例えば、本実施形態に係る防水コネクタは、水中作業船の電源供給部、車両用動力・制御ケーブルの接続部に適用されても優れた効果を奏することができる。
【0072】
これまで本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術思想の範囲内において、種々の異なる形態で実施されてよいことは勿論である。