(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
マスクシートと、前記マスクシート上に貼り付けられた感光シートと、前記感光シート上に貼り付けられ、表面側が露光面となるカバーシートと、前記露光面の幅方向と直交する搬送方向における先端部に設けられ、現像液を内包した現像液ポッドとを有するインスタントフィルムユニットを搬送する搬送ローラ対と、
前記搬送ローラ対よりも前記搬送方向の下流側に配され、露光済みの前記インスタントフィルムユニットの前記現像液ポッドを押し潰すことにより前記現像液を前記感光シート及び前記カバーシートの間に展開する展開ローラ対と、
前記搬送ローラ対と前記展開ローラ対との間で、前記インスタントフィルムユニットの幅方向に延在して形成されており、先端が前記インスタントフィルムユニットに当接して前記現像液ポッドの押し潰しにより展開された前記現像液の分布を制御する展開制御部材とを備え、
前記展開制御部材の先端は、前記インスタントフィルムユニットの幅方向の断面において、中央部が前記インスタントフィルムユニットに向かって突出した凸形状に形成されている現像液展開装置。
前記インスタントフィルムユニットは、前記展開ローラ対の押し潰しにより前記現像液ポッドが3分割で前記現像液を展開する請求項1〜4のいずれか1項に記載の現像液展開装置。
前記展開ローラ対よりも前記搬送方向の下流側に配され、前回展開ローラ対から送り出された前記インスタントフィルムユニットをフィルム排出口に向けて案内する排出ガイドを備える請求項1〜5のいずれか1項に記載の現像液展開装置。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】プリンタ付きデジタルカメラの正面側斜視図である。
【
図2】プリンタ付きデジタルカメラの正面図である。
【
図3】
図2のIII−III線に沿って切断した断面図である。
【
図4】プリンタ付きデジタルカメラの背面側斜視図である。
【
図5】インスタントフィルムパックの斜視図である。
【
図6】インスタントフィルムパックの断面図である。
【
図7】インスタントフィルムパックを分解して示す斜視図である。
【
図8】インスタントフィルムパックの断面図である。
【
図11】現像液ポッドの包材を開いて示す斜視図である。
【
図15A】本発明の曲げ誘い溝を有するフィルムカバーと送出口とを示す正面図である。
【
図15B】本発明の曲げ誘い溝を有していないフィルムカバーと、送出口とを示す正面図である。
【
図19】プリンタ部をフィルムカバーが通過する状態を示す平面図である。
【
図20】プリンタ部をフィルムユニットが通過する状態を示す平面図である。
【
図21】現像液ポッドを展開ローラ対により押しつぶしている状態を示す断面図である。
【
図22A】展開制御部材の先端形状の一例を示す断面図である。
【
図22B】展開制御部材の先端形状の一例を示す断面図である。
【
図23A】従来の展開制御部材の先端形状の一例を示す断面図である。
【
図23B】従来の展開制御部材の先端形状の一例を示す断面図である。
【
図24】展開制御部材の幅が一定範囲内の場合の現像液の展開状態を示す正面図である。
【
図25】第2実施形態におけるプリンタ付きデジタルカメラの外観を背面、平面、及び右側面側から視た斜視図である。
【
図26】第2実施形態におけるプリンタ付きデジタルカメラの外観を背面、平面、及び左側面側から視た斜視図である。
【
図27】第2実施形態におけるプリンタ付きデジタルカメラの背面図である。
【
図28】第2実施形態におけるプリンタ付きデジタルカメラの平面図である。
【
図29】
図28のXXIX−XXIX線に沿って切断した断面図である。
【
図31】第3実施形態におけるプリンタの外観を背面、平面、及び右側面側から視た斜視図である。
【
図32】第3実施形態におけるプリンタの外観を背面、平面、及び左側面側から視た斜視図である。
【
図33】第3実施形態におけるプリンタの外観を背面、底面、及び右側面側から視た斜視図である。
【
図34】第3実施形態におけるプリンタの外観を背面、底面、及び左側面側から視た斜視図である。
【
図35】第3実施形態におけるプリンタの正面図である。
【
図36】第3実施形態におけるプリンタの背面図である。
【
図37】第3実施形態におけるプリンタの平面図である。
【
図38】第3実施形態におけるプリンタの底面図である。
【
図39】第3実施形態におけるプリンタの左側面図である。
【
図40】第3実施形態におけるプリンタの右側面図である。
【
図41】
図36のXLI−XLI線に沿って切断した断面図である。
【
図42】
図36のXLII−XLII線に沿って切断した断面図である。
【
図43】
図36のXLIII−XLIII線に沿って切断した断面図である。
【
図44】第4実施形態におけるプリンタの外観を背面、平面、及び右側面側から視た斜視図である。
【
図45】第4実施形態におけるプリンタの外観を背面、平面、及び左側面側から視た斜視図である。
【
図46】第4実施形態におけるプリンタの背面図である。
【
図47】
図46のXLVII−XLVII線に沿って切断した断面図である。
【
図48】
図46のXLVIII−XLVIII線に沿って切断した断面図である。
【
図49】
図46のXLIX−XLIX線に沿って切断した断面図である。
【
図50】第5実施形態におけるプリンタの外観を背面、平面、及び右側面側から視た斜視図である。
【
図51】第5実施形態におけるプリンタの外観を背面、平面、及び左側面側から視た斜視図である。
【
図52】第5実施形態におけるプリンタの背面図である。
【
図53】
図52のXLVII−XLVII線に沿って切断した断面図である。
【
図54】
図52のXLVIII−XLVIII線に沿って切断した断面図である。
【
図55】
図52のXLIX−XLIX線に沿って切断した断面図である。
【
図56】第6実施形態におけるプリンタの外観を背面、平面、及び右側面側から視た斜視図である。
【
図57】第6実施形態におけるプリンタの外観を背面、平面、及び左側面側から視た斜視図である。
【
図58】第6実施形態におけるプリンタの背面図である。
【
図59】第6実施形態におけるプリンタの平面図である。
【
図60】第6実施形態におけるプリンタの左側面図である。
【
図61】第6実施形態におけるプリンタの右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[第1実施形態]
図1において、本発明のプリンタ付きデジタルカメラ10は、カメラボディ11と、撮像ユニット12と、プリンタ部13とを備える。カメラボディ11の前面には、撮像窓15と、2個のレリーズスイッチ16A,16Bとが設けられている。
【0019】
図2に示すように、カメラボディ11は、前面から視た形状がほぼ正方形である。なお、プリンタ付きデジタルカメラ10で使用する記録媒体としてのフィルムユニット29(
図7参照)もほぼ正方形である。
【0020】
撮像窓15は、カメラボディ11の前面中央に配される。撮像窓15は、撮像ユニット12を構成する撮像光学系19(
図3参照)を露呈させる。
【0021】
図3に示すように、撮像ユニット12には、撮像光学系19と、固体撮像素子20とが設けられている。固体撮像素子20は、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型イメージセンサであり、2次元マトリクス状に配列された複数の画素(図示せず)により構成される受光面を有している。各画素は、光電変換素子を含んでおり、撮像光学系19により受光面に結像された被写体像を光電変換し、撮像信号を生成する。
【0022】
固体撮像素子20は、ノイズ除去回路、オートゲインコントローラ、A/D変換回路等の信号処理回路(いずれも図示せず)を備える。ノイズ除去回路は、撮像信号にノイズ除去処理を施す。オートゲインコントローラは、撮像信号のレベルを最適な値に増幅する。A/D変換回路は、撮像信号をデジタル信号に変換して固体撮像素子20から内蔵メモリ(図示せず)に出力する。固体撮像素子20の出力信号は、画素ごとに1つの色信号を有する画像データ(いわゆるRAWデータ)である。
【0023】
レリーズスイッチ16A,16Bのうち、少なくとも一方が押圧操作されることにより、固体撮像素子20が駆動され、被写体像が撮像される。
【0024】
カメラボディ11の上面には、フィルム排出口22が設けられている。フィルム排出口22からは、画像のプリントが完了したフィルムユニット29が排出される。
【0025】
カメラボディ11の背面側には、装填蓋24がヒンジ部24cにより取り付けられている。ヒンジ部24cは、装填蓋24を開き位置と閉じ位置との間で回動自在に支持する。開き位置では、2点鎖線で示すように、装填蓋24は、カメラボディ11内のフィルムパック室25を開放する。閉じ位置では、実線で示すように、装填蓋24はフィルムパック室25を覆う。フィルムパック室25内には、インスタントフィルムパック26が装填される。装填蓋24には、その内面に一対の押圧部材24a,24bが設けられている。
【0026】
図4に示すように、装填蓋24の外面、すなわち、カメラボディ11の背面には、背面表示部17及び操作部18が設けられている。背面表示部17は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)パネルから構成されている。背面表示部17には、固体撮像素子20から出力された1フレーム分の画像データが順次入力され、スルー画として表示される。
【0027】
撮影者によりレリーズスイッチ16A,16Bの少なくとも一方が押圧操作されると、撮影が開始される。撮影では、固体撮像素子20から画像データが取得される。この画像データに対し図示しない画像処理部により、公知の画像処理が施され、その後に圧縮処理される。画像処理としては、例えばマトリクス演算、デモザイク処理、γ補正、輝度変換、色差変換、リサイズ処理などがある。画像処理及び圧縮済みの画像データは、カメラボディ11内に設けられたフラッシュメモリなどの内蔵メモリ(図示せず)に記録される。
【0028】
操作部18のメニュースイッチ18aが押圧操作されると、内蔵メモリに記録された画像データに基づいて、画像が背面表示部17に再生表示される。そして、プリントしたい画像が背面表示部17に表示された場合、撮影者が操作部18のプリントスイッチ18bを押圧操作することで、プリンタ部13によるプリント処理が開始される。
【0029】
図5及び
図6において、インスタントフィルムパック26は、ケース27と、フィルムユニット押圧板28と、フィルムユニット29と、フィルムカバー30とを備えている。
【0030】
図6に示すように、ケース27は、複数枚のフィルムユニット29と1枚のフィルムカバー30とを積層して収納する。ケース27は、熱可塑性樹脂、あるいは熱可塑性樹脂にセルロースを混合した紙樹脂などの材料で形成されている。ケース27は、箱形状のケース部材31と、ケース部材31の背面側に形成された開口を覆う蓋32とから構成される。
【0031】
図7に示すように、ケース部材31には、フィルムユニット29を露光させるための露光開口31aが形成されている。以下では、インスタントフィルムパック26において露光開口31aが形成されている面を「前面」、この「前面」とは反対側の面を「背面」、カメラボディ11のフィルム排出口22と対向する面を「上面」、この「上面」とは反対側の面を「底面」として説明する。ケース部材31内において、露光開口31aに最初にセットされるフィルムユニット29の前にフィルムカバー30が重ねられている。これにより、露光開口31aはフィルムカバー30によって光密に塞がれる。また、露光開口31aの下部には、カメラに設けた周知のクロー部材57(
図17,
図18参照)が入り込む切欠31bが設けられている。
【0032】
ケース部材31の上面には送出口31cが形成されている。送出口31cはスリット状に形成されている。送出口31cからは、ケース部材31の切欠31bに挿入されたクロー部材57によって、フィルムユニット29又はフィルムカバー30が1枚ずつインスタントフィルムパック26の外に送り出される。
【0033】
ケース部材31には、送出口31cを外部から塞ぐように遮光シール31dが貼り付けられている。遮光シール31dは、柔軟性を有するシート状に形成されている。遮光シール31dは、フィルムユニット29又はフィルムカバー30が送出口31cを通過する時に邪魔することがないように、送出口31cの長辺側の一縁だけが貼り付けられている。
【0034】
図8に示すように、ケース部材31には、露光開口31aの両側方、かつフィルムカバー30と対面する内壁面に一対の遮光溝31eが形成されている。一対の遮光溝31eには、後述するフィルムカバー30の一対の外側遮光リブ30cが入り込む。
【0035】
図7に示すように、蓋32は、一対の開口32aと、一対のユニット支持突起32bと、一対のカシメピン32cと、支持片32dとを有している。一対の開口32aは、上下に所定間隔だけ離して形成されており、カメラに装填された時にカメラに設けた押圧部材24a,24bが入り込む入り口となる。
【0036】
一対のユニット支持突起32bは、蓋32の両側縁部に縦長にそれぞれ設けられており、中央部が露光開口31aに向けて突出する円弧状となっている。ユニット支持突起32bは、最後層に位置するフィルムユニット29の裏面の両側縁部に当接し、中央部を露光開口31aに向けて凸とした円弧状にフィルムユニット29を押し上げる。これにより、フィルムカバー30と露光開口31aとの間に隙間が生じることを防止する。
【0037】
一対のカシメピン32cは、フィルムユニット押圧板28を取り付けるためのものである。支持片32dは、最後層のフィルムユニット29の中央部分を背後から支持し、そのフィルムユニット29の中央部が蓋32に向かって湾曲する方向に撓むことを防止する。
【0038】
フィルムユニット押圧板28は、弾性を有する合成樹脂製の2枚のシート28a,28bからなる。シート28aは、装填蓋24を閉じた時に押圧部材24a,24bにより押圧され、蓋32に向かって凸となるように湾曲する。シート28aには、開口28cと、一対の穴28dとが形成されている。開口28cは、シート28aの中央部分に縦長に形成されており、支持片32dを挿通するためのものである。一対の穴28dには、一対のカシメピン32cが挿入され、フィルムユニット押圧板28を蓋32に取り付けるためのものである。
【0039】
シート28bには、開口28eと、一対の穴28fとが形成されている。開口28eは、シート28aの中央部分に形成されており、支持片32dを挿通するためのものである。一対の穴28fには、一対のカシメピン32cが挿入される。シート28bは、下端部28hがシート28aの下端部28gに取り付けられている。これにより、シート28bは、シート28aの弛みを防ぎ、また一対の開口32aからの光漏れを防止すると共に、押圧部材24a,24bによりシート28aが弾性屈曲した時に、フィルムユニット29を略平面的に押し上げる。この結果、最前層のフィルムカバー30又はフィルムユニット29がケース部材31の前面裏側に押し付けられる。
【0040】
図9に示すように、フィルムユニット29は、マスクシート33と、感光シート34と、カバーシート35と、現像液ポッド36と、トラップ部37とから構成されており、いわゆるモノシートタイプのフィルムである。マスクシート33は薄い合成樹脂でシート状に形成され、画面開口33aを備えている。感光シート34には、感光層、拡散反射層、受像層等が設けられている。カバーシート35は、後述する露光ヘッド51と対面する露光面29aを有する。
【0041】
現像液ポッド36は、略袋状に形成されており、その内部に現像液38が内包されている。この現像液ポッド36は、感光シート34の送出口31c側の端部上に貼着され、マスクシート33の端部で包まれている。露光面29aの幅方向において、現像液ポッド36の両端は、フィルムユニット29の両端からそれぞれ所定間隔だけ離してある。
【0042】
図10に示すように、現像液ポッド36の幅W1は、露光面29aの幅W2と同じである。なお、ここでいう幅が同じとはほぼ同じ場合を含む。フィルムユニット29のうち、露光面29aの幅方向における現像液ポッド36の両端よりも外側の部分が側縁部29bである。
図9に示すように、トラップ部37は、感光シート34の送出口31c側とは反対側の端部上に貼着され、同様にマスクシート33の端部で包まれている。
【0043】
詳しくは後述するが、フィルムユニット29は、プリント時において、感光層に対してプリント光が照射され、感光層が露光される。現像時には現像液ポッド36が裂開されて、感光シート34とカバーシート35の隙間39に現像液38が流し込まれて展開される。感光層の露光による画像は拡散反射層によって反転されて受像層に転写される。こうして、画面開口33aより露呈される感光シート34のポジ画像観察面40上にポジ画像が現れる。
【0044】
現像液ポッド36は、
図11に示すように、包材44から形成され、現像液38(
図9参照)を内包する。包材44は、紙支持体にアルミ箔を貼り合わせ接着剤を塗布したものである。現像液ポッド36の中央付近には、図中網掛けハッチングで示すように、ミッドシール46〜48が設けられている。また、現像液38が流出する出口部分には、図中ハッチングで示すように、弱シール49が施されている。弱シール49で接着される出口部分は、ミッドシール46〜48よりも弱い接着力で接着されている。
【0045】
ミッドシール46,47は、フィルムユニット29の幅方向において、現像液ポッド36を3分割する位置で、かつ現像液38の出口側の位置を接着する。また、ミッドシール48は、フィルムユニット29の幅方向における中央、かつ現像液38の出口側とは反対側の位置を接着する。
【0046】
ミッドシール46〜48は現像液38の展開を制御する機能を有する。具体的には、ミッドシール46〜48は、後述する展開ローラ対54の押し潰しにより弱シール49が破れて現像液38が出口部分から流出する際に、
図10の破線で示すように、現像液ポッド36から隙間39(
図9参照)へ3分割で現像液38を展開する。
【0047】
図12及び
図13に示すように、フィルムカバー30は、フィルムユニット29よりも薄いシート状に形成され、遮光性と柔軟性とを有する。フィルムカバー30は合成樹脂成型品であり、例えば、カーボンブラックを含有するポリスチレンで形成されている。
【0048】
フィルムカバー30は、カバー部材30aと、一対の同伴防止リブ30bと、一対の外側遮光リブ30cと、一対の内側遮光リブ30dと、遮光フィルム30eと、曲げ誘い部としての曲げ誘い溝30gとを備えている。
【0049】
カバー部材30aの露光開口31a(
図7参照)と対面する表面には、同伴防止リブ30b、外側遮光リブ30c、内側遮光リブ30d、及び曲げ誘い部としての曲げ誘い溝30gが、それぞれ一体に形成されている。外側遮光リブ30c及び内側遮光リブ30dは、フィルムカバー30が送出口31cから送り出される場合の送出方向において、同伴防止リブ30bよりも基端側に位置している。カバー部材30aの裏面には、遮光フィルム30eが貼り付けられている。
【0050】
カバー部材30aは、少なくとも露光開口31aを塞ぐ広さの幅を有しており、本実施形態では幅が72.2mmとされている。
【0051】
同伴防止リブ30bは、フィルムカバー30の送出方向における先端から送出方向と平行に配されている。同伴防止リブ30bは、フィルムカバー30が送出口31cから送り出される場合に、次層のフィルムユニット29が一緒に送り出されることを防止する。このため、同伴防止リブ30bは、露光開口31aと対面するカバー部材30aの表面側の先端部で且つ両側縁部に、送出口31cの隙間と同じ高さで突出して形成され、最上層のフィルムユニット29の排出を防止する。高さが送出口31cの隙間と同じとはほぼ同じ場合を含む。
【0052】
図13及び
図14に示すように、同伴防止リブ30bには、カバー部材30aの基端側から先端に向かって次第に突出高さが低くなる傾斜面41が形成されている。傾斜面41は、カバー部材30aに対する傾斜角αが7°〜30°(7°以上30°以下であり、以下の説明において、「〜」は上下限値を含む)とすることが好ましい。傾斜角αをこの範囲内に設定することにより、フィルムカバー30の先端が展開ローラ対(
図17参照)54を通過する際に、展開ローラ対54を回転するモータの負荷が急激に増加することがなく、フィルムカバー30の先端を円滑に通過させることができる。
【0053】
図14に示すように、曲げ誘い溝30gは、フィルムカバー30の先端部であって、同伴防止リブ30bから外側の部分を同伴防止リブ30bの突出方向(矢印A1)に傾斜させるように、曲げを誘うものである。曲げ誘い溝30gは、同伴防止リブ30bに対しカバー部材30aの幅方向外側で同伴防止リブ30bに沿って形成されている。
【0054】
曲げ誘い溝30gの断面形状は特に限定されることはなく円弧の外に、三角形、四角形、その他の断面形状であってよい。曲げ誘い溝30gは、同伴防止リブ30bに沿って連続して形成されるものの外に、同伴防止リブ30bに沿って断続的に形成されてもよい。また、曲げ誘い溝30gを同伴防止リブ30b側に形成しているが、図示は省略したが、例えば同伴防止リブ30bとは反対側の面に形成してもよい。この場合にも、溝によって同伴防止リブ30bから外側の部分を同伴防止リブ30bの突出方向に傾斜させるように曲げを誘うことができる。
【0055】
図15A、
図15Bは曲げ誘い溝30gによる送出口31cからのフィルムカバー30の排出効果を説明するためのものであり、フィルムカバー30,201の歪み状態と、送出口31cとの関係を示している。
図15Aは本発明の曲げ誘い溝30gを有しているフィルムカバー30を示し、
図15Bは曲げ誘い溝30gを有していないフィルムカバー105を示している。
【0056】
本発明のスクエアサイズのインスタントフィルムパック26では、従来のインスタントフィルムパックに比べて露光面の面積が大きい。このため、フィルムカバー30の成型時に、中央部が球面状に突出する歪み量も大きくなっている。しかも、
図15Bに示すように、インスタントフィルムパック26内では、フィルムカバー30は、押圧部材24a,24b等の押圧によって、矢印で示すように中央部が強く、両側縁部は弱く圧迫されている。従って、曲げ誘い溝30gを設けない場合には、送出口31cにカバー部材30aの両側縁部30fが引っ掛かってしまい、フィルムカバー30の送出不良となる懸念がある。これに対して、
図15Aに示す曲げ誘い溝30gを有するフィルムカバー30では、曲げ誘い溝30gによって成型時の曲げ変形が緩和される方向に両側縁部30fが曲げられる。このため、送出口31cに両側縁部30fが引っ掛かることがなく、フィルムカバー30を送出口31cからスムーズに排出することができる。
【0057】
図16に示すように、一対の外側遮光リブ30cは、フィルムカバー30の送出方向と直交する幅方向において互いに平行に配されており、送出方向に沿って細幅帯状に延びた構成とされている。
【0058】
外側遮光リブ30cは、フィルムカバー30の幅方向の一端から所定間隔だけ離して形成されている。フィルムカバー30の幅方向の端縁から外側遮光リブ30cの外側縁42までの部分が、フィルムカバー30の側縁部30fである。フィルムカバー30の両側縁部30fは、フィルムユニット29の両側縁部29bと対向し、かつ、両側縁部29bよりも内側の部分とは非対向とされている。これにより後述するキャプスタンローラ61によってフィルムユニット29が搬送される場合に、フィルムユニット29の両側縁部29bのみが挟持され、現像液ポッド36が押し潰されることが防止される。なお、両側縁部30fの幅D1は、本実施形態ではそれぞれ2.3mmとされている。
【0059】
一対の外側遮光リブ30cの外側縁42同士の間隔である第2距離L2は、本実施形態では67.6mmとされている。なお、外側遮光リブ30cの外側縁42とは、フィルムカバー30の幅方向において外側に配置される縁をいう。
【0060】
一対の内側遮光リブ30dは、フィルムカバー30の幅方向において、一対の外側遮光リブ30cよりも内側に位置する。一対の内側遮光リブ30dは互いに平行に配されており、送出方向に沿って細幅帯状に延びている。一対の内側遮光リブ30dは、露光開口31aの両側縁と対面している。
【0061】
図8に示すように、インスタントフィルムパック26がケース部材31内に収納された状態で、外側遮光リブ30cは遮光溝31eに入り込み、内側遮光リブ30dは露光開口31aの両側縁の近傍に位置する。これにより、遮光溝31eと外側遮光リブ30cと内側遮光リブ30dによりラビリンス構造が構成される。このラビリンス構造により、フィルムカバー30が厚み方向に変形してフィルムカバー30と露光開口31aとの間に隙間が生じた場合でも、この隙間からインスタントフィルムパック26の内部に外光が入射することが防止される。なお、
図8においては、図面の煩雑化を避けるため、フィルムユニット29の図示を省略している。
【0062】
図16に示すように、遮光フィルム30eは、クロー部材57(
図17参照)が係合されるカバー部材30aの下端に設けられている。遮光フィルム30eは、短冊状に形成されており、カバー部材30aの下端から一部43がはみ出すように貼り付けられている。はみ出した一部43は、カバー部材30aの表面側に向けてL字状に折り曲げられている。遮光フィルム30eは、少なくとも一部43の幅が、ケース部材31に設けられた切欠31bの幅よりも広くされている。この遮光フィルム30eの一部43により切欠31bが内側から塞がれ、切欠31bからインスタントフィルムパック26の内部に外光が入射することが防止される。
【0063】
なお、図示は省略しているが、カバー部材30aの上端中央部には、遮光性を有する合成樹脂フィルムで形成された先端遮光フラップが取り付けられている。この先端遮光フラップは、ケース27内でフィルムユニット29側に屈曲されて送出口31cの中央部分を塞ぐ。これにより、インスタントフィルムパック26を床等に落下させた際の衝撃によって、フィルムカバー30やフィルムユニット29が送出口31cから飛び出してしまうのを防止する。
【0064】
図17,
図18に示すように、プリンタ部13は、露光ヘッド51と、現像液展開装置52とから構成される。露光ヘッド51は、例えば、光源、液晶シャッタ、レンズ等から構成される。
【0065】
露光ヘッド51は、現像液展開装置52に対してフィルムユニット搬送方向の上流側で、フィルムユニット搬送路と対面する位置に配されている。この露光ヘッド51は、フィルムユニット29の幅方向に平行なライン状のプリント光を露光面29aに照射する。
【0066】
現像液展開装置52は、搬送ローラ対53と、展開ローラ対54と、展開制御部材56と、フィルムパック室25(
図3及び
図17参照)と、クロー部材57と、クロー部材駆動機構(図示せず)と、排出ガイド58とから構成される。
【0067】
クロー部材57は、クロー部材駆動機構により、ケース部材31の切欠31bに挿入され、フィルムカバー30、又は最前に位置するフィルムユニット29を押圧する。これによりフィルムカバー30、又は最前に位置するフィルムユニット29を送出口31cからインスタントフィルムパック26外に送り出す。
【0068】
搬送ローラ対53及び展開ローラ対54は、モータ(図示せず)により回転駆動され、フィルムカバー30及びフィルムユニット29を挟持して搬送する。搬送ローラ対53は、キャプスタンローラ61及びピンチローラ62から構成される。キャプスタンローラ61及びピンチローラ62は、フィルムユニット29の搬送路を挟み込む位置に配置される。
【0069】
キャプスタンローラ61は、フィルムユニット29の露光面29aに対向する側(搬送路の図中左側)に配置されている。キャプスタンローラ61は、円柱状の一対のローラ部材61aと各ローラ部材61aを保持する回転軸61bとから構成される。ローラ部材61aの周面には、微小な複数の突起からなるスパイク(図示省略)が形成されている。この突起によりローラ部材61aの保持力がより向上する。なお、突起の数と形状などについては適宜設計してよい。また、上記突起は、ローラ部材61aの周面に鑢をかけるなどして形成された微小な凹凸を含む。
【0070】
図19及び
図20に示すように、一対のローラ部材61aの内側縁61c同士の間隔である第1距離L1は、上記した第2距離L2よりも長い。これにより、搬送ローラ対53が外側遮光リブ30cに乗り上げることがないから、外側遮光リブ30cから搬送ローラ対53が脱輪することがなく、フィルムカバー30の排出不良が防止される。また、フィルムカバー30に対する搬送ローラ対53の保持力が向上する。さらに、フィルムカバー30に対する搬送ローラ対53の保持面積が増加したので、フィルムカバー30との間に生じる摩擦力も増加する。よって、低トルクでも十分な保持力で搬送することができる。
なお、一対のローラ部材61aの内側縁61cとは、回転軸61bの軸方向において内側に配置される縁をいう。
【0071】
図19に示すように、一対のローラ部材61aは、フィルムカバー30の両側縁部30fのそれぞれを露光面29aの幅方向において
0.5mm以上挟持するように配置されていることが好ましい。これにより、一対のローラ部材61aによってフィルムカバー30の両側縁部30fがより確実に保持される。
【0072】
図20に示すように、一対のローラ部材61aは、フィルムユニット29の両側縁部29bに摺接する位置に配置されており、フィルムユニット29の両側縁部29bのうち、露光面29aの幅方向において現像液ポッド36よりも外側の部分を挟持する。すなわち、一対のローラ部材61aの内側縁61c同士の間隔である第1距離L1は、現像液ポッド36の幅W1よりも長い。これにより、搬送ローラ対53は、フィルムユニット29の現像液ポッド36を裂開せずに搬送を行うことができる。
【0073】
図21に示すように、ピンチローラ62は、フィルムユニット29のポジ画像観察面40に対向する側(搬送路の図中右側)に配置されている。ピンチローラ62は、ローラ部材62aと回転軸62bとから構成される。このローラ部材62aの両端部は、支持部材(図示せず)によりフィルムユニット29の厚み範囲内で遊動自在に支持され、且つ押圧機構としてのバネ66により、キャプスタンローラ61側に押圧されている。このため、ピンチローラ62は、フィルムユニット29の搬送方向と直交する方向に弾性支持されている。
【0074】
搬送ローラ対53は、クロー部材57によりインスタントフィルムパック26から送り出されたフィルムユニット29の両側縁部29bを挟んで、展開ローラ対54に向けて搬送する。なお、露光ヘッド51がプリント光をフィルムユニット29に露光する露光位置Pは、インスタントフィルムパック26の送出口31cと、搬送ローラ対53との間に位置する。そして、搬送ローラ対53による搬送途中に上記の露光ヘッド51による露光が行われる。
【0075】
露光は、図示しないフィルムユニット29の先端部の通過を検出する検出センサ、及びキャプスタンローラ61の回転数を検出する回転数検出センサからの出力信号に基づき開始される。先ず、先端部通過検出センサにて先端部の通過を検出する。この検出信号に基づき、回転数検出センサで回転数の検出を開始する。回転数が一定値に達した時に、フィルムユニット29の露光面29aが露光ヘッド51に対向する位置まで搬送されたことを検出する。これにより、露光ヘッド51による露光が開始される。
【0076】
露光は、フィルムユニット29を1ラインずつ移動させつつ、露光ヘッド51によりライン画像をフィルムユニット29に順次露光させることで行われる。これにより、フィルムユニット29の感光層に1画面分の画像が露光される。フィルムユニット29は、引き続き搬送ローラ対53により展開ローラ対54に向けて搬送される。
【0077】
展開ローラ対54は展開ローラ63,64から構成され、搬送ローラ対53に対して搬送方向の下流側に配されている。展開ローラ63は、フィルムユニット29の露光面29aに対向する側(搬送路の図中左側)に配置されている。展開ローラ64は、フィルムユニット29の画像観察面に対向する側(搬送路の図中右側)に配置されている。展開ローラ64の両端部は、支持部材(図示せず)によりフィルムユニット29の厚み範囲内で遊動自在に支持され、且つ押圧機構としてのバネ67により、展開ローラ63側に押圧されている。このため、展開ローラ64は、フィルムユニット29の搬送方向と直交する方向に弾性支持されている。
【0078】
展開ローラ63,64の軸端部の一方には、図示は省略するが駆動ギヤが取り付けられており、両駆動ギヤは互いに噛合している。そして、これら駆動ギヤの一方には中間ギヤ等を介して上記のモータが接続されている。このため、モータが回転すると展開ローラ63,64が同期して回転される。
【0079】
排出ガイド58は、展開ローラ対54に対して搬送方向の下流側に配されている。展開ローラ対54は、搬送ローラ対53により搬送されるフィルムユニット29を全幅に亘って挟持しながら、排出ガイド58に搬送する。展開ローラ対54に挟持されることによりフィルムユニット29の現像液ポッド36が押し潰される。これにより、隙間39(
図8参照)に現像液が展開(展延)される。そして、この展開ローラ対54から送り出されるフィルムユニット29は、排出ガイド58に向けて搬送される。
【0080】
搬送ローラ対53と展開ローラ対54との間には、展開制御部材56が設けられている。展開制御部材56は、搬送されてきたフィルムユニット29のポジ画像観察面40に当接し、フィルムユニット29のポジ画像観察面40を擦ることにより展開中の現像液の分布を制御する。この展開制御部材56は、搬送ローラ対53と展開ローラ対54との間をほぼ2分する位置に配されている。このため、展開制御部材56は、フィルムユニット29の隙間39に展開された現像液を、フィルムユニット29の搬送方向に亘って制御することができる。
【0081】
展開制御部材56は、搬送中のフィルムユニット29の幅方向と平行、且つフィルムユニット29の搬送方向と直交する方向に延在する。展開制御部材56は、板状の支持部材56aと一体に形成され、支持部材56aを介してカメラボディ11に固定されている。
【0082】
展開制御部材56の先端は、搬送中のフィルムユニット29の露光面29aと直交し、かつ搬送方向と平行な断面において、展開ローラ対54がフィルムユニット29を挟持する挟持位置よりもフィルムユニット29側に突出する。具体的には、展開制御部材56は、搬送方向における寸法がフィルムユニット29に向かって徐々に小さくなる山型形状に形成されている。これにより、展開制御部材56は、確実にフィルムユニット29のポジ画像観察面40を擦ることができる。
【0083】
また、ピンチローラ62および展開ローラ64は、フィルムユニット29の搬送方向と直交する方向に弾性支持されているため、フィルムユニット29を搬送する際、フィルムユニット29の搬送方向と直交する方向に移動するが、上記したように、展開制御部材56はカメラボディ11に固定されているため、フィルムユニット29の搬送方向と直交する方向の移動が規制されている。これにより、展開制御部材56は、さらに確実にフィルムユニット29のポジ画像観察面40を擦ることができる。
【0084】
図22Aに示すように、展開制御部材56の先端、すなわち、山型形状の頂点側の端面56bは、フィルムユニット29の幅方法の断面において、中央部がフィルムユニット29に向かって突出した凸形状に形成されている。具体的には、端面56bは、フィルムユニット29の幅方法の断面において、中央部が展開制御部材56の両側縁先端に対して0.01mm〜0.5mm突出している。なお、
図22Aは、説明の都合上、展開制御部材56の幅方向に対して厚み方向(展開制御部材56の突出方向)の寸法を大きく作図している。
【0085】
展開制御部材56を含むカメラボディ11の部品はほとんどが合成樹脂成型品なので歪みを生じる場合がある。特に、
図22Bに示すように、展開制御部材56の両端がフィルムユニット29に向かって歪むことが多い。しかし、上記したように、展開制御部材56の先端中央部がフィルムユニット29に向かって突出した凸形状に形成されているため、フィルムユニット29の幅方向において均等な押圧力でフィルムユニット29を押圧することができる。これにより、フィルムユニット29の隙間39に展開された現像液38を、フィルムユニット29の幅方向に亘って制御することができる。さらに、現像液ポッド36から隙間39へ3分割で現像液38が展開され、且つ展開制御部材56が均等な押圧力でフィルムユニット29と当接することにより、フィルムユニット29の幅方向において、より均等に現像液38を展開することが可能となる。
【0086】
一方、
図23Aに示すように、従来の展開制御部材69は、先端側の端面69aが平坦状に形成されている。このため、
図23Bに示すように、展開制御部材69の両端がフィルムユニット29に向かって歪んだ場合、フィルムユニット29に対する中央部の押圧が弱く、両端部よりも現像液が流れやすかった。従って、露光面29aの4隅まで現像液が届かず、現像ムラの原因となっていた。上記したように、本発明の展開制御部材56は、先端中央部が凸形状に形成されているため、中央部と両端部とがフィルムユニット29を同様に押圧することが可能となる。
【0087】
図24に示すように、展開制御部材56の幅W3は、露光面29aの幅W2より短く形成されている。具体的には、展開制御部材56の幅W3は、露光面29aの幅W2の70%〜95%に形成されている。ここでいう展開制御部材56の幅とは、フィルムユニット29のポジ画像観察面40を擦って現像液の展開を制御する端面56bの幅のことである。展開制御部材56の幅W3を、露光面29aの幅W2より短く形成することにより、露光面29aの幅方向において、展開制御部材56の外側を現像液が回り込みやすくなる。これにより、露光面29aの全幅に亘って均等に現像液が展開される。以上のようにして、展開ローラ対54によりフィルムユニット29の隙間39に現像液38が展開され、且つ展開制御部材56により搬送方向に亘って現像液38の分布が制御された場合、露光面29aの4隅まで現像液が均等に展開される。これにより、フィルムユニット29の現像ムラを防ぐことができる。
【0088】
排出ガイド58は、展開ローラ対54から送り出されたフィルムユニット29の先端部をフィルム排出口22に向けて案内するガイド通路68を有している。なお、排出ガイド58は、カメラボディ11とは別体で設けられており、図示しない支持部材を介してカメラボディ11に固定されている。ガイド通路68の一方のガイド面は傾斜面68aとなっている。傾斜面68aの基端面68bに対する傾斜角βは15°〜55°の範囲内にすることが好ましく、25°〜45°の範囲内が特に好ましい。傾斜角βをこの範囲内に設定することにより、フィルムカバー30の先端が排出ガイド58を通過する際に、フィルムカバー30の両側縁部30fが排出ガイド58の端面58cに係止することがない。従って、フィルムカバー30の排出不良を無くすことができる。そして、現像処理が終了し、展開ローラ対54によりガイド通路68内に送り込まれたフィルムユニット29は、このガイド通路68に沿ってフィルム排出口22まで搬送され、カメラボディ11外に排出される。
【0089】
上記したように、展開制御部材56の先端は、展開ローラ対54がフィルムユニット29を挟持する挟持位置よりもフィルムユニット29側に突出している。このため。フィルムユニット29が展開ローラ対54と、展開制御部材56と、排出ガイド58のガイド通路68とに接触する。従って、フィルムユニット29が緩やかなS字形状に湾曲される。その結果、フィルムユニット29と展開制御部材56との摺接力が増し、展開制御部材56による現像液38の展開がより効果的に行われる。
【0090】
また、フィルムカバー30が展開ローラ対54を通過する時には、展開ローラ対54による挟持によってフィルムカバー30の球面状の歪みが矯正される。この矯正時に、曲げ誘い溝30gによりカバー部材30aの両側縁部30fがより一層曲げられるため、排出ガイド58の正面に両側縁部30fの先端が引っ掛かることがなく、スムーズにフィルムカバー30を排出することができる。
【0091】
[第2実施形態]
第2実施形態は、装填蓋にフィルム押さえ部を設け、フィルムパック室に位置合わせ突起部と、逆装填防止用切欠を設けたものである。なお、この第2実施形態では、プリンタ付きデジタルカメラの外装における形状は、上記第1実施形態のプリンタ付きデジタルカメラの正面、背面、各側面,平面、及び底面と同じであり、装填蓋の内側及びフィルムパック室の内部の形状が、第1実施形態のプリンタ付きデジタルカメラとは異なる。また、上記第1実施形態と同じ部品を用いているものについては、同符号を付して説明を省略する。
【0092】
図25ないし
図28に示すように、プリンタ付きデジタルカメラ80は、カメラボディ81を備える。また、図示は省略するが、プリンタ付きデジタルカメラ80は、上記第1実施形態のプリンタ付きデジタルカメラ10と同様の撮像ユニット12と、プリンタ部13とを備える。
【0093】
カメラボディ81の背面側には、装填蓋82がヒンジ部82cにより取り付けられている。ヒンジ部82cは、装填蓋82を開き位置と閉じ位置との間で回動自在に支持する。開き位置では、装填蓋82は、カメラボディ81内のフィルムパック室83を開放する。閉じ位置では、装填蓋82はフィルムパック室83を覆う。フィルムパック室83内には、上記第1実施形態と同じインスタントフィルムパック26が装填される。
【0094】
フィルムパック室83の両側面には、位置合わせ突起部84a〜84cが設けられている。位置合わせ突起部84a〜84cは、インスタントフィルムパック26の装填方向に沿って徐々に厚みが増加する楔状に形成されており、インスタントフィルムパック26が逆方向に装填されることを防止する。
【0095】
フィルムパック室83の両側面には、逆装填防止用切欠85a,85bが形成されている。逆装填防止用切欠85a,85bは、L字状に形成されている。この逆装填防止用切欠85a,85bは、インスタントフィルムパック26の両側面に設けられた突起部26a(
図5参照)と嵌合することにより、位置合わせ突起部84a〜84cと共にインスタントフィルムパック26が逆方向に装填されることを防止する。
【0096】
フィルムパック室83は、インスタントフィルムパック26の切欠31bと対面する位置に、切欠87が形成されている。切欠87は、フィルムパック室83の底面まで連続して形成されている。カメラボディ81の内部に設けられたクロー部材57が切欠87を通してインスタントフィルムパック26の内部に進入し、フィルムユニット29を1枚ずつインスタントフィルムパック26の外に送り出す。
【0097】
装填蓋82には、その内面に一対のフィルム押さえ部82a,82bが設けられている。フィルム押さえ部82a,82bは、上記第1実施形態の押圧部材24a,24bと同様に、フィルムパック室83にインスタントフィルムパック26が装填され、且つ装填蓋82が閉じ位置にされた際、開口32aを通してインスタントフィルムパック26の内部に入り込み、フィルムユニット押圧板28を押圧する。これにより、インスタントフィルムパック26内のフィルムユニット29が積層方向に押圧される。
【0098】
図29に示すように、フィルム押さえ部82aは、一対の押圧部材88と、保持枠89と、バネ91とから構成される。保持枠89は、押圧部材88を保持し、装填蓋82の内壁面側に固定される。なお、フィルム押さえ部82bは、フィルム押さえ部82aと同様の構成である。
【0099】
図30に示すように、押圧部材88の一方の端部は、押圧面88aが形成されている。押圧面88aは滑らかな曲面形状に形成されている。押圧部材88のもう一方の端部には、回動軸88bが形成されている。保持枠89は、嵌合穴89aが形成されている。回動軸88bは、嵌合穴89aと回動自在に嵌合する。
【0100】
一対の押圧部材88は、押圧面88a及び回動軸88bの位置が互いに逆向きになるように対向して保持枠89に保持されている。保持枠89は、例えばネジ止めにより、装填蓋82に固定される。
【0101】
バネ91は、ねじりコイルバネであり、押圧部材88と保持枠89との間に取り付けられる。このバネ91は、回動軸88bを中心にして押圧面88aが図中上方側へ回動するように押圧部材88を付勢する。これにより、押圧面88aがフィルムユニット押圧板28を押圧する。
【0102】
[第3実施形態]
第3実施形態は、プリンタに本発明を適用したものである。第3実施形態及び以降の実施形態のプリンタは、上記第1及び第2実施形態と同様にフィルムパック室にインスタントフィルムパック26が装填され、スマートフォンのような電子機器等から無線通信を使用して画像データを受信し、受信した画像データに基づいて画像をフィルムユニット29にプリントするプリンタである。なお、上記各実施形態と同じ部品を用いているものについては、同符号を付して説明を省略する。
【0103】
図31ないし
図40に示すように、プリンタ100は、本体101に、上記第1実施形態と同様のプリンタ部13を備える。本体101の背面側には、装填蓋102がヒンジ部102cにより取り付けられている。ヒンジ部102cは、装填蓋102を開き位置と閉じ位置との間で回動自在に支持する。開き位置では、装填蓋102は、本体101内のフィルムパック室103を開放する。閉じ位置では、装填蓋102はフィルムパック室103を覆う。フィルムパック室103内には、上記第1実施形態と同じインスタントフィルムパック26が装填される。なお、本体101には、操作ボタン101aを備える。操作ボタン101aは、例えばプリンタ部13によるプリント処理を指示するプリントスイッチである。
【0104】
図41ないし
図43に示すように、フィルムパック室103は、切欠104と、矩形状の枠106とを備える。切欠104は、インスタントフィルムパック26の切欠31bと対面する位置に形成され、フィルムパック室103の底面まで連続している。本体101の内部に設けられたクロー部材57が切欠104を通してインスタントフィルムパック26の内部に進入し、フィルムユニット29を1枚ずつインスタントフィルムパック26の外に送り出す。矩形状の枠106は、インスタントフィルムパック26の露光開口31aと対面する位置に形成されている。
【0105】
[第4実施形態]
第4実施形態は、フィルムパック室に位置合わせ突起部を設けたものである。なお、この第4実施形態では、プリンタの外観形状は、上記第3実施形態のプリンタの正面、各側面,平面、及び底面と同じであり、フィルムパック室の内部を含む背面の形状が、第3実施形態のプリンタとは異なる。また、上記各実施形態と同じ部品を用いているものについては、同符号を付して説明を省略する。
【0106】
図44ないし
図46に示すように、プリンタ110は、フィルムパック室103の両側面に、一対の位置合わせ突起部111a,111bが設けられている。
図47ないし
図49に示すように、位置合わせ突起部111a,111bは、上記第2実施形態の位置合わせ突起部84a〜84cと同様の楔状に形成されており、インスタントフィルムパック26が逆方向に装填されることを防止する。なお、図示は省略しているが、本実施形態においてもクロー部材57が入り込む切欠104、及び矩形状の枠106をフィルムパック室103に形成してもよい。
【0107】
[第5実施形態]
第5実施形態は、フィルムパック室に逆装填防止用切欠及び位置合わせ突起部を設けたものである。なお、この第5実施形態では、プリンタの外観形状は、上記第3実施形態のプリンタの正面、各側面,平面、及び底面と同じであり、フィルムパック室の内部を含む背面の形状が、第3実施形態のプリンタとは異なる。また、上記各実施形態と同じ部品を用いているものについては、同符号を付して説明を省略する。
【0108】
図50ないし
図52に示すように、プリンタ120は、フィルムパック室103の両側面に、逆装填防止用切欠121a,121bが形成されている。
図53及び
図54に示すように、逆装填防止用切欠121a,121bは、L字状に形成されている。この逆装填防止用切欠121a,121bは、上記第2実施形態の逆装填防止用切欠85a,85bと同様に、インスタントフィルムパック26が逆方向に装填されることを防止する。
【0109】
図53〜
図55に示すように、フィルムパック室103の両側面には、位置合わせ突起部122a〜122cが設けられている。位置合わせ突起部122a〜122cは、上記第2実施形態の位置合わせ突起部84a〜84cと同様の楔状に形成されており、インスタントフィルムパック26が逆方向に装填されることを防止する。なお、図示は省略しているが、本実施形態においてもクロー部材57が入り込む切欠104、及び矩形状の枠106をフィルムパック室103に形成してもよい。
【0110】
[第6実施形態]
第6実施形態は、フィルムパック室に逆装填防止用切欠及び位置合わせ突起部を設けたものである。なお、この第5実施形態では、プリンタの外観形状は、上記第3実施形態のプリンタの正面、及び底面と同じであり、装填蓋の内側を含む背面、各側面、及び平面の形状が、第3実施形態のプリンタとは異なる。また、上記各実施形態と同じ部品を用いているものについては、同符号を付して説明を省略する。
【0111】
図56〜
図61に示すように、プリンタ130は、装填蓋102の内面に、一対のフィルム押さえ部102a,102bが設けられている。フィルム押さえ部102a,102bは、上記第2実施形態のフィルム押さえ部82a,82bと同じ構成である。すなわち、フィルム押さえ部102a,102bは、フィルムパック室103にインスタントフィルムパック26が装填され、且つ装填蓋24が閉じ位置にされた際、開口32aを通してインスタントフィルムパック26の内部に入り込み、フィルムユニット押圧板28を押圧する。これにより、インスタントフィルムパック26内のフィルムユニット29が積層方向に押圧される。なお、図示は省略しているが、本実施形態においてもクロー部材57が入り込む切欠104、矩形状の枠106、逆装填防止用切欠及び位置合わせ突起部をフィルムパック室103に形成してもよい。