(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記基準分割画像特定部は、前記基準分割画像の指定、または前記基準分割画像となる前記分割画像の入力順序に関する情報に基づいて、前記基準分割画像を特定する請求項1から9のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、撮影範囲画像を3次元座標において求められた特徴点に基づくワイヤーフレーム画像で生成しているために、撮影範囲画像を生成するための時間を要する。すなわち、三次元座標が求められた各特徴点が3次元座標空間に書き込まれ、その特徴点のうち撮影領域を囲む3以上の特徴点を結線してワイヤーフレーム画像を生成しているので、ワイヤーフレーム画像は多くの情報量を有する画像であり、ワイヤーフレーム画像を合成するための時間を要してしまう。
【0007】
また、例えば橋梁等の構造物の損傷の検出検査を行う場合には、上述したように格間の領域の床版を分割撮影して得られた分割画像により合成画像を生成するが、分割画像も多くの情報量を有する画像であるので、分割画像を合成して合成画像を生成する処理は時間を要してしまう。
【0008】
ここで、短時間で撮りこぼしの確認を行うことができれば、点検(撮影)現場においても簡便に撮りこぼしの確認を行うことができ、点検現場から事務所に帰ってきて合成画像を生成した時に撮りこぼしを発見して再度点検現場に行かなければならないという事態の発生を抑制することができる。すなわち、短時間で撮りこぼしの確認を行うことができれば、点検作業を効率的に進めることができる。
【0009】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、短時間で計算コストをかけずに、撮りこぼしの有無および撮りこぼしの位置を確認することができる表示を行うことができる画像処理装置、画像処理方法、およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の一の態様である画像処理装置は、撮影対象が分割撮影されて得られた複数の分割画像が入力される画像入力部と、複数の分割画像間の対応点を探索して対応点に関する対応点情報を取得する対応点情報取得部と、複数の分割画像のうちの射影変換の基準となる基準分割画像を特定する基準分割画像特定部と、対応点情報および基準分割画像に基づいて、複数の分割画像のうち基準分割画像以外の被変換分割画像の基準分割画像に対する射影変換行列を算出する行列算出部と、算出された射影変換行列により、被変換分割画像の輪郭を示す輪郭位置情報を射影変換する第1の射影変換部と、射影変換された輪郭位置情報に基づいて、基準分割画像および射影変換された後の被変換分割画像を合成した場合の合成画像の輪郭位置情報を生成する合成情報生成部と、合成画像の輪郭位置情報に基づき、合成画像の輪郭を表示する表示部と、を備える。
【0011】
本態様によれば、第1の射影変換部により、算出された射影変換行列で、被変換分割画像の輪郭を示す輪郭位置情報が射影変換され、合成情報生成部により、射影変換された輪郭位置情報に基づいて、基準分割画像および射影変換された後の被変換分割画像を合成した場合の合成画像の輪郭位置情報が生成され、その合成画像の輪郭位置情報に基づき、合成画像の輪郭が表示される。すなわち本態様は、射影変換された分割画像の輪郭位置情報に基づく合成画像の輪郭を表示する。これにより本態様は、短時間で計算コストをかけずに撮りこぼしの有無および撮りこぼしの位置を確認することができる表示をユーザに提供することができる。
【0012】
好ましくは、画像処理装置は、射影変換行列に基づいて、一部の被変換分割画像を射影変換する第2の射影変換部を備え、表示部は、第2の射影変換部で変換された一部の被変換分割画像および基準分割画像のうち少なくとも一方を、合成画像の輪郭に表示する。
【0013】
本態様によれば、第2の射影変換部により、射影変換行列に基づいて、一部の被変換分割画像が射影変換され、表示部により、第2の射影変換部で変換された一部の被変換分割画像および基準分割画像のうち少なくとも一方が、合成画像の輪郭に表示される。これにより本態様は合成画像の輪郭に合わせて一部の分割画像も表示部に表示されるので、より正確に撮りこぼしの有無および撮りこぼしの位置を確認することができる表示を提供することができる。
【0014】
好ましくは、第2の射影変換部は、合成画像の隅に対応する被変換分割画像を射影変換する。
【0015】
本態様によれば、第2の射影変換部により、合成画像の隅に対応する被変換分割画像を射影変換されて、合成画像の輪郭に合わせて分割画像も表示部に表示されるので、ユーザはより正確に撮りこぼしの有無および撮りこぼしの位置を確認することができる。
【0016】
好ましくは、第2の射影変換部は、合成画像の4隅に対応する被変換分割画像を射影変換する。
【0017】
本態様によれば、第2の射影変換部により、合成画像の4隅に対応する被変換分割画像が射影変換されて、合成画像の輪郭に合わせて分割画像も表示部に表示されるので、より正確に撮りこぼしの有無および撮りこぼしの位置を確認することができる表示を提供することができる。
【0018】
好ましくは、第2の射影変換部は、合成画像の辺に対応する被変換分割画像を射影変換する。
【0019】
本態様によれば、第2の射影変換部により、合成画像の辺に対応する被変換分割画像が射影変換されて、合成画像の輪郭に合わせて分割画像も表示部に表示されるので、より正確に撮りこぼしの有無および撮りこぼしの位置を確認することができる表示を提供することができる。
【0020】
好ましくは、第2の射影変換部は、合成画像の4辺に対応する被変換分割画像を射影変換する。
【0021】
本態様によれば、第2の射影変換部により、合成画像の4辺に対応する被変換分割画像が射影変換されて、合成画像の輪郭に合わせて分割画像も表示部に表示されるので、より正確に撮りこぼしの有無および撮りこぼしの位置を確認することができる表示を提供することができる。
【0022】
好ましくは、画像処理装置は、表示部に表示された合成画像の輪郭における位置の指定を受け付ける第1の指定受付部を備え、第2の射影変換部は、第1の指定受付部で受け付けられた位置に対応する被変換分割画像を射影変換する。
【0023】
本態様によれば、第1の指定受付部により、表示部に表示された合成画像の輪郭における位置の指定が受け付けられて、第2の射影変換部により、第1の指定受付部で受け付けられた位置に対応する被変換分割画像が射影変換される。そして、本態様では第1の指定受付部で受け付けられた位置に対応する分割画像が合成画像の輪郭に合わせて表示部に表示される。これにより本態様は、より正確に撮りこぼしの有無および撮りこぼしの位置を確認することができる表示を提供することができる。
【0024】
好ましくは、画像処理装置は、画像入力部に入力された分割画像の解像度を下げた縮小画像を生成する縮小画像生成部と、射影変換行列に基づいて、一部の縮小画像を射影変換する第3の射影変換部とを備え、表示部は、第3の射影変換部で変換された一部の縮小画像を、合成画像の輪郭に表示する。
【0025】
本態様によれば、縮小画像生成部により、画像入力部に入力された分割画像の解像度を下げた縮小画像が生成され、第3の射影変換部により、射影変換行列に基づいて、縮小画像が射影変換される。これにより本態様は、縮小画像の情報量は分割画像よりも少ないため縮小画像の射影変換は分割画像の射影変換よりも短時間に行うことができ、より高速に撮りこぼしの有無および撮りこぼしの位置の確認をできる表示をユーザに提供することができる。
【0026】
好ましくは、画像処理装置は、画像入力部に入力された分割画像の解像度を下げた縮小画像を生成する縮小画像生成部と、射影変換行列に基づいて、縮小画像を射影変換する第3の射影変換部と、表示部に表示された縮小画像の指定を受け付ける第2の指定受付部と、を備え、表示部は、第2の指定受付部で指定された縮小画像を、縮小画像に対応する、第2の射影変換部で射影変換された被変換分割画像または基準分割画像に切り替える。
【0027】
本態様によれば、縮小画像生成部により、画像入力部に入力された分割画像の解像度を下げた縮小画像が生成され、第3の射影変換部により、射影変換行列に基づいて、縮小画像が射影変換され、第2の指定受付部により、表示部に表示された縮小画像の指定が受け付けられて、縮小画像に対応する分割画像が表示される。これにより本態様は、縮小画像の表示では撮りこぼしの有無または撮りこぼしの位置が分かりにくいような場合に、指定された箇所が分割画像に表示されるので、より正確に撮りこぼしの有無および撮りこぼしの位置を確認することができる表示を提供することができる。
【0028】
好ましくは、基準分割画像特定部は、基準分割画像の指定、または基準分割画像となる分割画像の入力順序に関する情報に基づいて、基準分割画像を特定する。
【0029】
本態様によれば、基準分割画像の指定、または基準分割画像となる分割画像の入力順序に関する情報に基づいて基準分割画像が特定されるので、基準分割画像として相応しい基準分割画像が特定され、より適切な合成画像の輪郭位置情報を取得することができる。
【0030】
本発明の他の態様である画像処理装置は、撮影対象が分割撮影されて得られた複数の分割画像が入力される画像入力部と、画像入力部に入力された分割画像の解像度を下げた縮小画像を生成する縮小画像生成部と、縮小画像間の対応点を探索して対応点に関する対応点情報を取得する対応点情報取得部と、複数の縮小画像のうちの射影変換の基準となる基準縮小画像を特定する基準縮小画像特定部と、対応点情報および基準縮小画像に基づいて、複数の縮小画像のうち基準縮小画像以外の被変換縮小画像の基準縮小画像に対する射影変換行列を算出する行列算出部と、算出された射影変換行列により、被変換縮小画像の輪郭を示す輪郭位置情報を射影変換する第3の射影変換部と、射影変換された輪郭位置情報に基づいて、基準縮小画像および射影変換された後の被変換縮小画像を合成した場合の合成画像の輪郭位置情報を生成する合成情報生成部と、合成画像の輪郭位置情報に基づき、合成画像の輪郭を表示する表示部と、を備える。
【0031】
本態様によれば、第1の射影変換部により、算出された射影変換行列で、被変換縮小画像の輪郭を示す輪郭位置情報が射影変換され、合成情報生成部により、射影変換された輪郭位置情報に基づいて、基準縮小画像および射影変換された後の被変換縮小画像を合成した場合の合成画像の輪郭位置情報が生成され、その合成画像の輪郭位置情報に基づき、合成画像の輪郭が表示される。すなわち本態様は、射影変換された縮小画像の輪郭位置情報に基づく合成画像の輪郭を表示する。これにより本態様は、短時間で計算コストをかけずに撮りこぼしの有無および撮りこぼしの位置を確認することができる表示をユーザに提供することができる。
【0032】
本発明の他の態様である画像処理方法は、撮影対象が分割撮影されて得られた複数の分割画像が入力されるステップと、複数の分割画像間の対応点を探索して対応点に関する対応点情報を取得するステップと、複数の分割画像のうちの射影変換の基準となる基準分割画像を特定するステップと、対応点情報および基準分割画像に基づいて、複数の分割画像のうち基準分割画像以外の被変換分割画像の基準分割画像に対する射影変換行列を算出するステップと、算出された射影変換行列により、被変換分割画像の輪郭を示す輪郭位置情報を射影変換するステップと、射影変換された輪郭位置情報に基づいて、基準分割画像および射影変換された後の被変換分割画像を合成した場合の合成画像の輪郭位置情報を生成するステップと、合成画像の輪郭位置情報に基づき、合成画像の輪郭を表示するステップと、を含む。
【0033】
本発明の他の態様である画像処理方法は、撮影対象が分割撮影されて得られた複数の分割画像が入力されるステップと、分割画像の解像度を下げた縮小画像を生成するステップと、縮小画像間の対応点を探索して対応点に関する対応点情報を取得するステップと、複数の縮小画像のうちの射影変換の基準となる基準縮小画像を特定するステップと、対応点情報および基準縮小画像に基づいて、複数の縮小画像のうち基準縮小画像以外の被変換縮小画像の基準縮小画像に対する射影変換行列を算出するステップと、算出された射影変換行列により、被変換縮小画像の輪郭を示す輪郭位置情報を射影変換するステップと、射影変換された輪郭位置情報に基づいて、基準縮小画像および射影変換された後の被変換縮小画像を合成した場合の合成画像の輪郭位置情報を生成するステップと、合成画像の輪郭位置情報に基づき、合成画像の輪郭を表示するステップと、を含む。
【0034】
本発明の他の態様であるプログラムは、撮影対象が分割撮影されて得られた複数の分割画像が入力されるステップと、複数の分割画像間の対応点を探索して対応点に関する対応点情報を取得するステップと、複数の分割画像のうちの射影変換の基準となる基準分割画像を特定するステップと、対応点情報および基準分割画像に基づいて、複数の分割画像のうち基準分割画像以外の被変換分割画像の基準分割画像に対する射影変換行列を算出するステップと、算出された射影変換行列により、被変換分割画像の輪郭を示す輪郭位置情報を射影変換するステップと、射影変換された輪郭位置情報に基づいて、基準分割画像および射影変換された後の被変換分割画像を合成した場合の合成画像の輪郭位置情報を生成するステップと、合成画像の輪郭位置情報に基づき、合成画像の輪郭を表示するステップと、を含む工程をコンピュータに実行させる。
【0035】
本発明の他の態様であるプログラムは、撮影対象が分割撮影されて得られた複数の分割画像が入力されるステップと、分割画像の解像度を下げた縮小画像を生成するステップと、縮小画像間の対応点を探索して対応点に関する対応点情報を取得するステップと、複数の縮小画像のうちの射影変換の基準となる基準縮小画像を特定するステップと、対応点情報および基準縮小画像に基づいて、複数の縮小画像のうち基準縮小画像以外の被変換縮小画像の基準縮小画像に対する射影変換行列を算出するステップと、算出された射影変換行列により、被変換縮小画像の輪郭を示す輪郭位置情報を射影変換するステップと、射影変換された輪郭位置情報に基づいて、基準縮小画像および射影変換された後の被変換縮小画像を合成した場合の合成画像の輪郭位置情報を生成するステップと、合成画像の輪郭位置情報に基づき、合成画像の輪郭を表示するステップと、を含む工程をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、第1の射影変換部により、算出された射影変換行列で、被変換分割画像の輪郭を示す輪郭位置情報が射影変換され、合成情報生成部により、射影変換された輪郭位置情報に基づいて、基準分割画像および射影変換された後の被変換分割画像を合成した場合の合成画像の輪郭位置情報が生成され、その合成画像の輪郭位置情報に基づき、合成画像の輪郭が表示されるので、短時間で計算コストをかけずに撮りこぼしの有無および撮りこぼしの位置を確認することができる表示をユーザに提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、添付図面にしたがって本発明にかかる画像処理装置、画像処理方法、およびプログラムの好ましい実施の形態について説明する。
【0039】
図1は、撮影対象物である構造物の一つである橋梁の構造を示す斜視図であり、橋梁を下から見た斜視図である。本発明における撮影対象物は、特に限定されるものではないが、例えば、構造物の損傷の検出検査を行う場合に使用される撮影画像を合成する場合に本発明が適用される。具体的には格間単位で床版6(
図1)の損傷検出検査を行う場合に、格間502(
図5)の領域の床版6を分割撮影し、その分割撮影された撮影画像を合成する場合に本発明が適用される。
【0040】
図1に示す橋梁1は、主桁2と、横桁3と、対傾構4と、横構5とを有し、これらがボルト、リベットまたは溶接により連結されて構成されている。また、主桁2等の上部には、車輌等が走行するための床版6が打設されている。床版6は、鉄筋コンクリート製のものが一般的である。
【0041】
主桁2は、橋台または橋脚の間に渡され、床版6上の車輌等の荷重を支える部材である。横桁3は、荷重を複数の主桁2で支持するため、主桁2を連結する部材である。対傾構4および横構5は、それぞれ風および地震の横荷重に抵抗するため、主桁2を相互に連結する部材である。
【0042】
図2は、床版6を分割撮影することにより分割画像を取得する撮影システムを示す概念図である。
【0043】
撮影システム500は、移動体100とコンピュータ300とで構成されている。すなわち撮影システム500において、移動体100で取得された分割画像はコンピュータ300に送信され、コンピュータ300には画像処理装置400(
図7)が備えられている。
【0044】
移動体100は、カメラ101を備えており、コンピュータ300の制御により移動およびカメラ101による撮影を行う。移動体100は、コンピュータ300の制御により移動および撮影を行えるものであれば特に限定されるものではない。例えば移動体100は、走行型ロボット、小型のヘリコプター、マルチコプター、ドローンまたはUAV(Unmanned Aerial Vehicles、無人航空機)と呼ばれる装置があげられる。
【0045】
コンピュータ300および移動体100は相互に通信可能であり、コンピュータ300は、移動体100の移動の制御およびカメラ101での撮影制御を遠隔で行うことができる。また、移動体100が撮影した撮影画像は、コンピュータ300の表示部326(
図4)と入力部328(
図4)とを兼ねたタッチパネルディスプレイ302に表示される。
【0046】
図3は、移動体100の撮影位置を概念的に示した図である。なお、
図3は
図1においてX軸方向から床版6を見た概念的な図である。またカメラ101は、
図2で示したように移動体100に備えられ、移動体100の移動によって移動させられる。なお、
図3では移動体100は省略されている。また床版6上には車輌10が走行し、床版6の下方からの撮影画像を取得して床版6の損傷の検出検査が行われる。
【0047】
移動体100は、コンピュータ300の制御により各撮影位置に移動させられ、撮影を行って撮影画像を取得する。床版6の格間単位で検査が行われる場合には、分割撮影により床版6の分割画像が取得される。
【0048】
図4は、コンピュータ300のシステム構成例を示すブロック図である。
【0049】
図4に示すように、コンピュータ300は、コンピュータ300の全体の動作を制御するCPU(Central Processing Unit)310を備え、このCPU310にシステムバス312を介して、メインメモリ314、不揮発性メモリ316、モバイル通信部318、無線LAN通信部320、近距離無線通信部322、有線通信部324、表示部326、入力部328、キー入力部330、音声処理部332、画像処理部334等が接続されて構成される。
【0050】
CPU310は、不揮発性メモリ316に記憶された動作プログラム(OS(Operating System)、および、そのOS上で動作するアプリケーションプログラム)、および、定型データ等を読み出し、メインメモリ314に展開して、当動作プログラムを実行することにより、このコンピュータ全体の動作を制御する制御部として機能する。
【0051】
メインメモリ314は、たとえば、RAM(Random Access Memory)で構成され、CPU310のワークメモリとして機能する。
【0052】
不揮発性メモリ316は、たとえば、フラッシュEEPROM(EEPROM:Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)で構成され、上述した動作プログラムや各種定型データを記憶する。また、不揮発性メモリ316は、コンピュータ300の記憶部として機能し、各種データを記憶する。
【0053】
モバイル通信部318は、IMT−2000規格(International Mobile Telecommunication-2000)に準拠した第3世代移動通信システム、および、IMT−Advance規格(International Mobile Telecommunications-Advanced)に準拠した第4世代移動通信システムに基づき、アンテナ318Aを介して、最寄りの図示しない基地局との間でデータの送受を実行する。
【0054】
無線LAN通信部320は、アンテナ320Aを介して、無線LANアクセスポイントや無線LAN通信が可能な外部機器との間で所定の無線LAN通信規格(たとえば、例えばIEEE802.11a/b/g/n規格)に従った無線LAN通信を行う。
【0055】
近距離無線通信部322は、アンテナ322Aを介して、たとえばクラス2(半径約10m内)の範囲内にある他のBluetooth(登録商標)規格の機器とデータの送受を実行する。
【0056】
有線通信部324は、外部接続端子306を介してケーブルで接続された外部機器との間で所定の通信規格に従った通信を行う。たとえば、USB(Universal Serial Bus)通信を行う。
【0057】
表示部326は、タッチパネルディスプレイ302のディスプレイ部分を構成するカラーLCD(liquid crystal display)パネルと、その駆動回路と、で構成され、各種画像を表示する。
【0058】
入力部328は、タッチパネルディスプレイ302のタッチパネル部分を構成する。入力部328は、透明電極を用いてカラーLCDパネルと一体的に構成される。
【0059】
キー入力部330は、コンピュータ300の筐体に備えられた複数の操作ボタンと、その駆動回路と、で構成される。
【0060】
音声処理部332は、システムバス312を介して与えられるデジタル音声データをアナログ化してスピーカー304から出力する。
【0061】
画像処理部334は、撮影レンズおよびイメージセンサーを備えた内蔵カメラ305から出力されるアナログの画像信号をデジタル化し、所要の信号処理を施して出力する。
【0062】
次に、撮りこぼしの例に関して説明する。特に以下で説明する例は、床版6の損傷検出検査を格間単位で行う場合に発生しうる撮りこぼしの例である。
【0063】
図5はタイプ1の撮りこぼしが発生している合成画像501を示す図であり、
図6はタイプ2の撮りこぼしが発生している合成画像501を示す図である。なお、
図5および
図6に示された合成画像501は、床版6を分割撮影して得られた複数の分割画像を射影変換して合成したものである。すなわち床版6を撮影した分割画像は、射影変換されて合成され、合成画像501を形成している。
【0064】
図5に示された合成画像501では、撮りこぼし503が発生している。すなわち本来、合成画像501には格間502の領域の床版6が漏れなく写っているはずであるが、撮りこぼし503の箇所は、床版6に対応する画像が無い。分割画像を合成する場合には、合成される各画像において糊代を設けて、糊代の領域において合成される。したがって、糊代の領域の見積もりを含めて分割画像を撮影する必要があるが、見積もりが誤りであった場合には、例えば撮りこぼし503が発生してしまう。
【0065】
図6に示された合成画像501では、撮りこぼし507が発生している。すなわち本来、合成画像501には格間502の領域の床版6が漏れなく写っているはずであるが、撮りこぼし507の箇所は、床版6に対応する画像が無い。撮りこぼし507は、いわゆる中抜けであり、合成画像501は中抜けを有する画像となってしまっている。
【0066】
ここで、
図5および
図6には合成画像501が示されており、合成画像501をユーザが確認することにより、撮りこぼし503および撮りこぼし507の発生を確認することができる。しかしながら、合成画像501は分割画像で構成されているため、各分割画像を射影変化しなければならず、合成画像501の生成には時間および計算コストを要する。例えば、橋梁1の損傷の検出検査を行う場合には、合計800の格間についてそれぞれ分割画像から構成される合成画像501を生成することを考えると、撮りこぼしの確認のために合成画像501を撮影現場で生成していては、点検作業の効率を大幅に下げてしまう。
【0067】
したがって、本発明では短時間で計算コストをかけずに、撮りこぼしの有無および撮りこぼしの位置を確認することができる表示を提案する。
【0068】
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態に関して説明する。
図7は、本実施形態の画像処理装置400の機能構成例を示す図である。
【0069】
画像処理装置400は、画像入力部401、対応点情報取得部403、基準分割画像特定部405、行列算出部407、射影変換部409、合成情報生成部413、および表示部415を備える。
【0070】
画像入力部401は、撮影対象が分割撮影されることにより、得られた複数の分割画像が入力される。例えば、移動体100で取得された床版6の分割画像が画像入力部401に、分割画像が取得される毎にまたは一つの格間502を撮影し終える毎に入力される。画像入力部401は、例えばコンピュータ300のモバイル通信部318、無線LAN通信部320、または近距離無線通信部322で実現される。
【0071】
対応点情報取得部403は、複数の分割画像間の対応点を探索して対応点に関する対応点情報を取得する。具体的には対応点情報取得部403は、各分割画像において特徴点を抽出し、抽出された特徴点において分割画像間の対応点に関する情報を取得する。対応点に関する情報とは、例えば対応点の座標である。なお、対応点情報取得部403は、公知の手法により対応分割画像間における対応点に関する情報を取得することができる。例えば、対応点に関する情報の取得の手法として、画像間の拡大縮小、回転および照明変化等に強いロバストな局所特徴量として、SIFT (Scale-invariant feature transform)特徴量、SURF(Speed-Upped Robust Feature)特徴量、およびAKAZE (Accelerated KAZE)特徴量が知られている。
【0072】
基準分割画像特定部405は、複数の分割画像のうちの射影変換の基準となる基準分割画像を特定する。基準分割画像は、その後の射影変換および合成画像の輪郭位置情報の生成に必要となるので、少なくとも1枚特定される必要がある。特定される基準分割画像は、射影変換の基準となり、合成画像の輪郭位置情報に影響する。すなわち、特定する基準分割画像によっては、被写体に対して正対した合成画像の輪郭位置情報が生成される場合もあり、アオリを有する合成画像の輪郭位置情報が生成される場合もある。撮りこぼしの確認をするためであれば、合成画像の形状および正対しているか否かは、決定的な問題とならいため、基準分割画像の特定は無作為(ランダム)に特定されてもよい。
【0073】
また、基準分割画像特定部405は、複数の分割画像のうちの射影変換の基準となる基準分割画像の指定、または基準分割画像となる分割画像の入力順序に関する情報に基づいて、基準分割画像を特定してもよい。例えば基準分割画像特定部405は、コンピュータ300のタッチパネルディスプレイ302に表示された分割画像をユーザが選択することにより、ユーザの指定を受け付けて基準分割画像の指定を受け付ける。また基準分割画像特定部405は、コンピュータ300のメインメモリ314に記憶されている基準分割画像となる分割画像の入力順序に関する情報を受け付けることにより、基準分割画像を特定する。例えば、基準分割画像となる分割画像の入力順序に関する情報とは、格間毎の撮影において最初に入力された分割画像を基準分割画像とする、または入力された分割画像の真ん中の順番に入力された分割画像を基準分割画像とするなどである。基準分割画像特定部405は、例えばコンピュータ300のCPU310で実現される。
【0074】
行列算出部407は、対応点情報および基準分割画像に基づいて、複数の分割画像のうち基準分割画像以外の被変換分割画像の基準分割画像に対する射影変換行列を算出する。すなわち行列算出部407は、基準分割画像特定部405で特定された基準分割画像に隣接する被変換分割画像の対応点情報に基づき、基準分割画像に合わせるように射影変換を行い、順次被変換分割画像の対応点情報に基づき被変換分割画像の射影変換行列を算出する。
【0075】
射影変換部409は、輪郭位置情報を射影変換する第1の射影変換部411を有する。第1の射影変換部411は、算出された射影変換行列により、被変換分割画像の輪郭を示す輪郭位置情報を射影変換する。すなわち、行列算出部407で算出された各被変換分割画像毎の射影変換行列により、各被変換分割画像の輪郭を示す輪郭位置情報を射影変換する。射影変換部409は、例えばコンピュータ300のCPU310で実現される。
【0076】
図8は、第1の射影変換部411が行う被変換分割画像の輪郭位置情報の射影変換について説明する図である。
【0077】
図8(A)は、射影変換前の被変換分割画像D1の輪郭位置情報を示す図である。具体的には被変換分割画像D1の四隅の座標E1、F1、G1およびH1が輪郭位置情報として示されている。
【0078】
図8(B)は、射影変換後の被変換分割画像D2の輪郭位置情報を示す図である。被変換分割画像D1の輪郭位置情報を示す座標E1、F1、G1、およびH1を射影変換行列により射影変換し、座標E2、F2、G2、およびH2に変換する。座標E2、F2、G2、およびH2は射影変換後の被変換分割画像D2の輪郭を示す。
【0079】
ここで、第1の射影変換部411は、被変換分割画像D1の輪郭位置情報を示す座標E1、F1、G1、およびH1を射影変換しており、被変換分割画像D1を構成する全ての画素を射影変換しない。すなわち第1の射影変換部411は、被変換分割画像D1の輪郭のみ射影変換して、射影変換後の被変換分割画像D2の輪郭位置情報を算出する。このように第1の射影変換部411に、分割画像の輪郭のみの射影変換をさせることにより、射影変換にかかる時間を短縮することができ、射影変換にかかる計算コストを抑制することができる。なお、
図8に示した例では、輪郭位置情報として被変換分割画像の四隅の座標を示したが、これに限定されるものではない。被変換分割画像の輪郭を示す情報であれば他の態様の情報も使われる。
【0080】
図7に戻って、合成情報生成部413は、射影変換された輪郭位置情報に基づいて、基準分割画像および射影変換された後の被変換分割画像を合成した場合の合成画像501の輪郭位置情報を生成する。すなわち合成情報生成部413は、第1の射影変換部411で変換された被変換分割画像の輪郭位置情報を合成することにより、基準分割画像および被変換分割画像を合成した合成画像501の輪郭位置情報を算出する。合成情報生成部413は、例えばコンピュータ300のCPU310で実現される。
【0081】
表示部415は、合成画像501の輪郭位置情報に基づき合成画像501の輪郭505を表示する。すなわち表示部415は、合成情報生成部413で生成された合成画像501の輪郭位置情報により、コンピュータ300のタッチパネルディスプレイ302に合成画像501の輪郭505を表示する。タッチパネルディスプレイ302に合成画像501の輪郭505が表示されることにより、ユーザは撮りこぼしの有無および撮りこぼしの位置について確認することができる。表示部415は、例えばコンピュータ300の表示部326で実現される。
【0082】
図9および
図10は、合成情報生成部413が生成する合成画像501の輪郭情報に基づいて、表示部415がタッチパネルディスプレイ302に表示した合成画像501の輪郭505を示す図である。
図9は
図5で説明した撮りこぼし503を有する合成画像501についての合成画像501の輪郭505の表示であり、
図10は
図6で説明した撮りこぼし507を有する合成画像501の輪郭505の表示である。
【0083】
図9(A)には比較のために、通常に分割画像(基準分割画像および射影変換後の被変換分割画像)を合成して得られた合成画像501が示されている。
【0084】
一方
図9(B)には、合成情報生成部413で生成された合成画像501の輪郭情報に基づいて合成画像501の輪郭505が示されている。具体的には、
図8で説明したように第1の射影変換部411により各被変換分割画像の輪郭位置情報を射影変換し、合成情報生成部413により合成画像501の輪郭位置情報を生成し、合成画像501の輪郭505を表示部415に示している。
【0085】
例えばユーザは、一つの格間502の床版6について分割画像を複数枚取得した後に、合成画像501の輪郭505を確認する。そしてユーザは、格間502の床版6についての合成画像501の輪郭505であれば略矩形となっているので、撮りこぼし503に対応する輪郭505の表示を確認することにより、格間502の床版6について撮りこぼしが発生していることがわかる。
【0086】
図10(A)には比較のために、通常に分割画像(基準分割画像および射影変換後の被変換分割画像)を合成して得られた合成画像501が示されている。
【0087】
一方
図10(B)には、
図9(B)と同様に合成情報生成部413で生成された合成画像501の輪郭情報に基づいて合成画像501の輪郭505が示されている。
【0088】
ユーザは、一つの格間502の床版6について分割画像を複数枚取得した後に、合成画像501の輪郭505を確認する。そしてユーザは、格間502の床版6についての合成画像501の輪郭505が、撮りこぼし507に対応する輪郭505のような中抜けとはならないので、格間502の床版6について撮りこぼしが発生していることがわかる。
【0089】
図11は、画像処理装置400の動作を示すフロー図である。
【0090】
先ず、格間502の床版6について、移動体100により分割画像が撮影される。格間502の床版6について分割画像の撮影が一通り終了すると、コンピュータ300に分割画像が送信される。そして、画像入力部401に撮影対象が分割撮影されて得られた複数の分割画像が入力される(ステップS10)。
【0091】
次に、対応点情報取得部403により、入力された複数の分割画像間の対応点が探索されて、探索された対応点に関する対応点情報が取得される(ステップS11)。そして、基準分割画像特定部405により、基準分割画像が特定される(ステップS12)。例えば、基準分割画像の指定は入力部328を介してユーザにより入力され、また例えばコンピュータ300のメインメモリ314に記憶されていた基準分割画像となる分割画像の入力順序に関する情報を受け付ける。
【0092】
次に、行列算出部407により、対応点情報および基準分割画像に基づいて、複数の分割画像のうち基準分割画像以外の被変換分割画像の基準分割画像に対する射影変換行列が算出される(ステップS13)。そして、射影変換部409の第1の射影変換部411により、算出された射影変換行列により、被変換分割画像の輪郭505を示す輪郭位置情報が射影変換される(ステップS14)。その後、合成情報生成部413により、射影変換された輪郭位置情報に基づいて、基準分割画像および射影変換された後の被変換分割画像を合成した場合の合成画像の輪郭位置情報が生成される(ステップS15)。そして、表示部415により合成画像501の輪郭505が表示される(ステップS16)。
【0093】
上記実施形態において、各種の処理を実行する処理部(processing unit)のハードウェア的な構造は、次に示すような各種のプロセッサ(processor)である。各種のプロセッサには、ソフトウェア(プログラム)を実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPU(Central Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などの製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路などが含まれる。
【0094】
1つの処理部は、これら各種のプロセッサのうちの1つで構成されていてもよいし、同種または異種の2つ以上のプロセッサ(例えば、複数のFPGA、あるいはCPUとFPGAの組み合わせ)で構成されてもよい。また、複数の処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。複数の処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、クライアントやサーバなどのコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアの組合せで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の処理部として機能する形態がある。第2に、システムオンチップ(System On Chip:SoC)などに代表されるように、複数の処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、各種の処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサを1つ以上用いて構成される。
【0095】
さらに、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路(circuitry)である。
【0096】
上述の各構成および機能は、任意のハードウェア、ソフトウェア、或いは両者の組み合わせによって適宜実現可能である。例えば、上述の処理ステップ(処理手順)をコンピュータ300に実行させるプログラム、そのようなプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体(非一時的記録媒体)、或いはそのようなプログラムをインストール可能なコンピュータ300に対しても本発明を適用することが可能である。
【0097】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態に関して説明する。先ず本実施形態で解決される撮りこぼしの例について説明する。
【0098】
図12は、タイプ3の撮りこぼしが発生している合成画像501を示す図である。
【0099】
図12に示された合成画像501では、撮りこぼし509が発生している。なお、
図12に示された合成画像501は、床版6を分割撮影して得られた複数の分割画像を射影変換して合成したものである。すなわち床版6を撮影した分割画像は、射影変換されて合成され、合成画像501を形成している。
【0100】
図12に示された合成画像501では、撮りこぼし509が発生している。すなわち本来、合成画像501には格間502の領域の床版6が漏れなく写っているはずであるが、撮りこぼし509の箇所は、格間502の端部に対応する床版6の画像が欠如している。
【0101】
図13は、合成情報生成部413が生成する合成画像501の輪郭情報に基づいて、表示部415がタッチパネルディスプレイ302に表示した合成画像501の輪郭505を示す図である。
図13は
図12で説明した撮りこぼし509を有する合成画像501についての合成画像501の輪郭505の表示である。
【0102】
図13(A)には比較のために、通常に分割画像(基準分割画像および射影変換後の被変換分割画像)を合成して得られた合成画像501が示されている。
【0103】
一方
図13(B)には、合成情報生成部413で生成された合成画像501の輪郭情報に基づいて合成画像501の輪郭505が示されている。ここで、タイプ3のような撮りこぼし509の場合には、ユーザは、第1の実施形態で説明したように合成画像501の輪郭505を確認しただけでは撮りこぼしがあることを確認することが困難である。すなわち、
図13に示すように、表示部415に表示された合成画像501の輪郭505だけでは格間502の床版6について漏れなく撮影が行えているかの判別は困難である。
【0104】
本実施形態では、タイプ3のような撮りこぼしをも確認できるように、部分的に合成画像501の輪郭505と共に分割画像(基準分割画像または射影変換された被変換分割画像)も表示する。
【0105】
図14は、本実施形態の画像処理装置400の機能構成例を示す図である。
図7で既に説明を行った箇所は同じ符号を付し説明は省略する。
【0106】
画像処理装置400は、画像入力部401、対応点情報取得部403、基準分割画像特定部405、行列算出部407、射影変換部409、合成情報生成部413、表示部415、第1の指定受付部419を備える。なお、
図7で既に説明を行った箇所は、同じ符号を付し説明は省略する。
【0107】
射影変換部409は、第1の射影変換部411および第2の射影変換部417で構成されている。なお、射影変換部409は、複数の機能(第1の射影変換部411および第2の射影変換部417)を備えるが、射影変換部409一つにより実現してもよいし、各機能にそれぞれハードウェア(またはソフトウェア、或いは両者の組み合わせ)が割り当てられていてもよい。
【0108】
第2の射影変換部417は、射影変換行列に基づいて、一部の被変換分割画像を射影変換する。すなわち第2の射影変換部417は、射影変換行列に基づいて一部の被変換分割画像を射影変換し、射影変換された被変換分割画像を生成する。
【0109】
第2の射影変換部417が射影変換を行う被変換分割画像の具体例としては、合成画像501の隅に対応する被変換分割画像、合成画像501の4隅に対応する被変換分割画像があげられる。また第2の射影変換部417が射影変換を行う被変換分割画像の他の具体例としては、合成画像501の辺に対応する被変換分割画像、合成画像501の4辺に対応する被変換分割画像があげられる。
【0110】
合成情報生成部413は、第1の射影変換部411で射影変換された輪郭位置情報と第2の射影変換部417で射影変換された被変換分割画像とを合成する。すなわち、合成画像501の輪郭位置情報を生成するとともに、第2の射影変換部417で射影変換された被変換分割画像を、合成画像501の輪郭505に合わせるように合成する。
【0111】
表示部415は、合成情報生成部413で生成された合成画像501の輪郭位置情報および射影変換後の被変換分割画像または基準分割画像を表示する。すなわち表示部415は、合成画像501の輪郭位置情報が示す輪郭505に、被変換分割画像および基準分割画像のうち少なくとも一方を、合成して表示する。
【0112】
第1の指定受付部419は、表示部415に表示された合成画像501の輪郭505における位置の指定を受け付ける。具体的には第1の指定受付部419は、コンピュータ300のタッチパネルディスプレイ302に表示された合成画像501の輪郭505がユーザに指定されることにより、合成画像501の位置の指定が受け付けられる。そして、第1の指定受付部419で指定が受け付けられた場合に、第2の射影変換部417は、第1の指定受付部419で受け付けられた位置に対応する被変換分割画像を射影変換してもよい。すなわち、表示部415に表示される合成画像501の輪郭505に合わせて表示される基準分割画像または変換された被変換分割画像の表示を、第1の指定受付部419を介してユーザが行ってもよい。
【0113】
図15は、合成情報生成部413が生成する合成画像501の輪郭情報に基づいて、表示部415がタッチパネルディスプレイ302に表示した合成画像501の輪郭505を示す図である。
【0114】
図15(A)には比較のために、通常に分割画像(基準分割画像および射影変換後の被変換分割画像)を合成して得られた合成画像501の輪郭505が示されている。
【0115】
一方
図15(B)には、合成画像501の輪郭505および一部の分割画像が表示されている。具体的には、合成画像501の輪郭505と合成画像501の輪郭505の四隅に対応する分割画像511、分割画像513、分割画像515、および分割画像517が合成画像501の輪郭505に合わせて表示されている。
【0116】
ユーザは、一つの格間502の床版6について分割画像を複数枚取得した後に、合成画像501の輪郭505および一部の分割画像の表示を確認することにより、分割画像513では格間502の床版6が欠如していることを確認することができ、撮りこぼし509に対応する輪郭505は、格間502の床版6について撮りこぼしが発生していることがわかる。
【0117】
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態に関して説明する。本実施形態では第2の実施形態で表示された分割画像に対応して、合成画像501の一部の箇所に縮小画像が表示される。
【0118】
図16は、本実施形態の画像処理装置400の機能構成例を示す図である。
図7で既に説明を行った箇所は同じ符号を付し説明は省略する。
【0119】
画像処理装置400は、画像入力部401、縮小画像生成部423、対応点情報取得部403、基準分割画像特定部405、行列算出部407、射影変換部409、合成情報生成部413、および表示部415を備える。
【0120】
縮小画像生成部423は、画像入力部401に入力された分割画像の解像度を下げた縮小画像を生成する。具体的には縮小画像生成部423は、分割画像が有する画素数の90%から50%、好ましくは80%から60%の縮小画像を生成する。縮小画像生成部423は公知の技術により、縮小画像を生成する。
【0121】
射影変換部409は、第1の射影変換部411および第3の射影変換部421を備える。第3の射影変換部421は、射影変換行列に基づいて、一部の縮小画像を射影変換する。すなわち、第3の射影変換部421は、射影変換行列に基づいて一部の縮小画像を射影変換し、射影変換された縮小画像を生成する。なお、射影変換部409は、3つの機能(第1の射影変換部411および第3の射影変換部421)を備えるが、射影変換部409一つにより実現してもよいし、各機能にそれぞれハードウェア(またはソフトウェア、或いは両者の組み合わせ)が割り当てられていてもよい。
【0122】
第3の射影変換部421が射影変換を行う縮小画像の具体例としては、合成画像501の隅に対応する縮小画像、合成画像501の4隅に対応する縮小画像があげられる。また第3の射影変換部421が射影変換を行う縮小画像の他の具体例としては、合成画像501の辺に対応する縮小画像、合成画像501の4辺に対応する縮小画像があげられる。
【0123】
表示部415は、第3の射影変換部421で変換された一部の縮小画像を、合成画像501の輪郭505に表示する。このように、表示部415に射影変換された縮小画像または基準分割画像に対応する縮小画像が表示されることにより、第2の実施形態で説明したように、合成画像501の輪郭505の表示だけでは判別が困難な撮りこぼしをユーザに確認させることができる。また、本実施形態では、縮小画像を射影変換していることから、より短時間での処理および計算コストの軽減が実現される。
【0124】
<第4の実施形態>
次に、本発明の第4の実施形態に関して説明する。本実施形態では、第3の実施形態で表示された縮小画像が指定され、指定された縮小画像の表示が解像度の高い分割画像の表示に切り替えられる。
【0125】
図17は、本実施形態の画像処理装置400の機能構成例を示す図である。
図7で既に説明を行った箇所は同じ符号を付し説明は省略する。
【0126】
画像処理装置400は、画像入力部401、縮小画像生成部423、対応点情報取得部403、基準分割画像特定部405、行列算出部407、射影変換部409、合成情報生成部413、表示部415、および第2の指定受付部425を備える。
【0127】
射影変換部409は、第1の射影変換部411、第2の射影変換部417、および第3の射影変換部421を備える。なお、射影変換部409は、3つの機能(第1の射影変換部411、第2の射影変換部417、および第3の射影変換部421)を備えるが、射影変換部409一つにより実現してもよいし、各機能にそれぞれハードウェア(またはソフトウェア、或いは両者の組み合わせ)が割り当てられていてもよい。
【0128】
第2の射影変換部417は、第2の指定部で受け付けられた位置に対応する分割画像が被変換分割画像である場合には、射影変換行列を使用して被変換分割画像を射影変換する。
【0129】
第2の指定受付部425は、表示部415に表示された縮小画像の指定を受け付ける。具体的には第2の指定受付部425は、コンピュータ300のタッチパネルディスプレイ302に表示された合成画像501の縮小画像がユーザに指定されることにより、合成画像501の位置の指定が受け付けられる。
【0130】
表示部415は、第2の指定受付部425で指定された縮小画像を、縮小画像に対応する、第2の射影変換部417で射影変換された被変換分割画像または基準分割画像に切り替える。すなわち表示部415は、第2の指定受付部425で指定された縮小画像を、より解像度の高い分割画像に切り替えて表示する。このように、ユーザからの指定により解像度の低い縮小画像から解像度の高い分割画像へ切り替えることにより、より正確な撮りこぼしの確認をできる表示を提供することができる。
【0131】
<第5の実施形態>
次に、本発明の第5の実施形態に関して説明する。本実施形態では、入力された分割画像を解像度を下げた縮小画像に変換し、変換された縮小画像に基づいて第1の実施形態で説明したように合成画像501の輪郭505の表示がされる。本実施形態では縮小画像に基づいて、処理が行われることから、処理時間の短縮化がより図られる。
【0132】
図18は、本実施形態の画像処理装置400の機能構成例を示す図である。なお、
図7で既に説明を行った箇所は同じ符号を付し説明は省略する。
【0133】
画像処理装置400は、画像入力部401、縮小画像生成部423、対応点情報取得部403、基準縮小画像特定部427、行列算出部407、射影変換部409、合成情報生成部413、および表示部415を備える。
【0134】
対応点情報取得部403は、縮小画像間の対応点を探索して対応点に関する対応点情報を取得する。
【0135】
基準縮小画像特定部427は、前記複数の縮小画像のうちの射影変換の基準となる基準縮小画像を特定する。
【0136】
行列算出部407は、対応点情報および基準縮小画像に基づいて、複数の縮小画像のうち基準縮小画像以外の被変換縮小画像の基準縮小画像に対する射影変換行列を算出する。
【0137】
第3の射影変換部421は、算出された射影変換行列により、被変換縮小画像の輪郭を示す輪郭位置情報を射影変換する。
【0138】
合成画像生成部413は、射影変換された輪郭位置情報に基づいて、基準縮小画像および射影変換された後の被変換縮小画像を合成した場合の合成画像501の輪郭位置情報を生成する。
【0139】
表示部415は、合成画像501の輪郭位置情報に基づき、合成画像501の輪郭505を表示する。
【0140】
以上で本発明の例に関して説明してきたが、本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の精神を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であることは言うまでもない。