特許第6779523号(P6779523)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6779523
(24)【登録日】2020年10月16日
(45)【発行日】2020年11月4日
(54)【発明の名称】フレキシブルデバイス
(51)【国際特許分類】
   G01P 15/08 20060101AFI20201026BHJP
   G01P 15/12 20060101ALI20201026BHJP
   G01L 5/162 20200101ALI20201026BHJP
   G01L 5/1623 20200101ALI20201026BHJP
【FI】
   G01P15/08 101C
   G01P15/12 D
   G01P15/12 Z
   G01L5/162
   G01L5/1623
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-253791(P2016-253791)
(22)【出願日】2016年12月27日
(65)【公開番号】特開2018-105775(P2018-105775A)
(43)【公開日】2018年7月5日
【審査請求日】2019年12月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】519135633
【氏名又は名称】公立大学法人大阪
(74)【代理人】
【識別番号】100065248
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100159385
【弁理士】
【氏名又は名称】甲斐 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100163407
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100166936
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 潔
(72)【発明者】
【氏名】竹井 邦晴
(72)【発明者】
【氏名】山本 大介
【審査官】 森 雅之
(56)【参考文献】
【文献】 特許第6440187(JP,B2)
【文献】 特許第4029453(JP,B2)
【文献】 特許第6297696(JP,B2)
【文献】 特許第6298063(JP,B2)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0065840(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0165719(US,A1)
【文献】 特開2009−198337(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01P
G01L
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレキシブル基板と、前記基板上又は前記基板に設けられたセンサ部と、前記センサ部の周りの前記基板に設けられた伸縮構造部と、前記センサ部と前記伸縮構造部との間の前記基板の下に設けられたスペーサとを備え、
前記伸縮構造部及び前記スペーサは、前記センサ部の周りの前記基板が前記スペーサにより持ち上げられることにより前記伸縮構造部が伸びるように設けられ、
前記伸縮構造部は、前記基板に切れ目を入れることにより形成された構造であることを特徴とするフレキシブルデバイス。
【請求項2】
前記伸縮構造部は、前記基板の一部と、前記基板の上に設けられた配線とを含む請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記センサ部は、四角状であり、
前記伸縮構造部は、第1伸縮構造部、第2伸縮構造部、第3伸縮構造部及び第4伸縮構造部を有し、
第1〜第4伸縮構造部は、それぞれ前記センサ部の各辺に対応するように設けられた請求項1又は2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記センサ部は、加速度センサを有する請求項1〜3のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項5】
前記センサ部は、重りと、前記重りの周りに設けられた可撓部とを備え、
前記重りは、前記可撓部が撓むことにより動くことができるように設けられ、
前記可撓部は、歪みセンサを有し、
前記歪みセンサは、前記可撓部が撓むことにより生じる歪みを測定できるように設けられ、
前記センサ部は、前記歪みセンサにより測定される前記可撓部の歪みから加速度を検出できるように設けられた請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記歪みセンサは、高分子材料中に導電性微粒子及びカーボンナノチューブが混練された感圧抵抗部を有し、前記感圧抵抗部の電気抵抗値から前記可撓部に生じる歪みを測定できるように設けられた請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記基板の下に設けられた粘着層をさらに備える請求項1〜6のいずれか1つに記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブルデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
心拍、体温、血圧などの人の健康データの連続的モニタリングすることにより、病気の早期発見、患者の病状管理、運動能力測定などが可能になる。
フレキシブルシートに加速度センサ、心拍センサ、温度センサなどを設けた健康データ測定デバイスが知られている(例えば、非特許文献1参照)。このような健康データ測定デバイスを皮膚に貼り付けることにより、活動量、心拍、皮膚温度などをモニタリングすることができる。また、このデバイスでは、フレキシブルシートに印刷層を形成することにより各種センサや配線を形成することが可能であり、皮膚に貼り付けるシートの製造コストを低減することができる。このため、皮膚に貼り付けるシートを使い捨てにすることが可能になり、衛生管理にかかるコストを低減することができる。
加速度センサは、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向に動くことができるように設けられた重りを有し、この重りが動くことにより生じる歪みを測定することにより加速度を検出する。このフレキシブルデバイスでは、2つのシリコンラバーでフレキシブルシートを挟むことにより、加速度センサの下に空間を形成し重りが動くことができるようにしている。このため、皮膚に貼り付けるフレキシブルシートと、加速度センサを設けるフレキシブルシートを異なるシートとする必要がある。
また、触覚センサもセンサの下に空間を必要とする(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−57113号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Science Advances 2016; 2: e1601473
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のフレキシブルデバイスでは、下に空間を必要とするセンサと、基板とを異なる部材とする必要がある。このため、センサと基板との間の配線が複雑になり、製造コストを増加させている。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、下に空間を必要とするセンサを低い製造コストで設けることができるフレキシブルデバイスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、フレキシブル基板と、前記基板上又は前記基板に設けられたセンサ部と、前記センサ部の周りの前記基板に設けられた伸縮構造部と、前記センサ部と前記伸縮構造部との間の前記基板の下に設けられたスペーサとを備え、前記伸縮構造部及び前記スペーサは、前記センサ部の周りの前記基板が前記スペーサにより持ち上げられることにより前記伸縮構造部が伸びるように設けられ、前記伸縮構造部は、前記基板に切れ目を入れることにより形成された構造であることを特徴とするフレキシブルデバイスを提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明のフレキシブルデバイスに含まれるフレキシブル基板は、切れ目を入れることにより形成された伸縮構造部(切り紙構造)を有する。このことにより、フレキシブル基板が非伸縮性材料の基板であっても、伸縮構造部を伸縮させることができる。
本発明のフレキシブルデバイスは、基板上又は基板に設けられたセンサ部と、センサ部の周りの基板に設けられた伸縮構造部と、センサ部と伸縮構造部との間の基板の下に設けられたスペーサとを備える。また、伸縮構造部及びスペーサは、センサ部の周りの基板がスペーサにより持ち上げられることにより伸縮構造部が伸びるように設けられる。このため、伸縮構造部に段差を形成することができ、伸縮構造部により形成される段差の上側にセンサ部を配置することができる。このため、センサ部の下に空間を形成することができ、センサ部に加速度センサや触覚センサなどを設けることができる。
伸縮構造部は基板に切れ目を入れることにより形成された構造であるため、伸縮構造部に含まれる基板上に配線を形成することができる。この配線により、伸縮構造部により形成される段差の上側に配置されるセンサ部と、段差の下側の基板に配置される接続端子や電源回路などとを電気的に接続することができる。このため、センサ部と、接続端子などとを接続する配線が複雑になることを抑制することができ、フレキシブルデバイスの製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態のフレキシブルデバイスの概略上面図である。
図2】(a)は図1の破線A−Aにおけるフレキシブルデバイスの概略断面図であり、(b)は伸縮構造部が伸びた状態におけるフレキシブルデバイスの概略断面図である。
図3】本発明の一実施形態のフレキシブルデバイスの概略断面図である。
図4】(a)(b)は、それぞれ本発明の一実施形態のフレキシブルデバイスの概略断面図である。
図5】(a)は本発明の一実施形態のフレキシブルデバイスに含まれる伸縮構造部の概略上面図であり、(b)は本発明の一実施形態のフレキシブルデバイスの概略上面図である。
図6】実験で作製したフレキシブルデバイスの写真である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明のフレキシブルデバイスは、フレキシブル基板と、前記基板上又は前記基板に設けられたセンサ部と、前記センサ部の周りの前記基板に設けられた伸縮構造部と、前記センサ部と前記伸縮構造部との間の前記基板の下に設けられたスペーサとを備え、前記伸縮構造部及び前記スペーサは、前記センサ部の周りの前記基板が前記スペーサにより持ち上げられることにより前記伸縮構造部が伸びるように設けられ、前記伸縮構造部は、前記基板に切れ目を入れることにより形成された構造であることを特徴とする。
【0010】
本発明のフレキシブルデバイスに含まれる伸縮構造部は、フレキシブル基板の一部と、前記基板の上に設けられた配線とを含むことが好ましい。このような伸縮構造部に含まれる配線により、センサ部と基板に設けられた接続端子などと電気的に接続することができる。
本発明のフレキシブルデバイスに含まれるセンサ部は、四角状であることが好ましく、前記伸縮構造部は、第1伸縮構造部、第2伸縮構造部、第3伸縮構造部及び第4伸縮構造部を有することが好ましく、第1〜第4伸縮構造部は、それぞれ前記センサ部の各辺に対応するように設けられたことが好ましい。このような第1〜第4伸縮構造部により、センサ部をテーブル状に持ち上げることができる。
【0011】
本発明のフレキシブルデバイスに含まれるセンサ部は、加速度センサを有することが好ましい。このようなフレキシブルデバイスにより物や人の動きを検出することができる。
本発明のフレキシブルデバイスに含まれるセンサ部は、重りと、前記重りの周りに設けられた可撓部とを備えることが好ましく、前記重りは、前記可撓部が撓むことにより動くことができるように設けられることが好ましく、前記可撓部は、歪みセンサを有することが好ましく、前記歪みセンサは、前記可撓部が撓むことにより生じる歪みを測定できるように設けられることが好ましく、前記センサ部は、前記歪みセンサにより測定される前記可撓部の歪みから加速度を検出できるように設けられたことが好ましい。このようなセンサ部を備えるフレキシブルデバイスにより、物や人の動きを検出することができる。
【0012】
前記センサ部に含まれる歪みセンサは、高分子材料中に導電性微粒子及びカーボンナノチューブが混練された感圧抵抗部を有することが好ましく、前記感圧抵抗部の電気抵抗値から前記可撓部に生じる歪みを測定できるように設けられたことが好ましい。この歪みセンサにより可撓部の歪みを測定することができ、センサ部が物や人の動きを検出することが可能になる。
本発明のフレキシブルデバイスは、前記基板の下に設けられた粘着層をさらに備えることが好ましい。このことにより、フレキシブルデバイスを皮膚に貼り付けることや、装置に組み込みこむことが可能になり、生体情報のモニタリングや物の動きの検出が可能になる。
【0013】
以下、図面を用いて本発明の一実施形態を説明する。図面や以下の記述中で示す構成は、例示であって、本発明の範囲は、図面や以下の記述中で示すものに限定されない。
【0014】
図1は、本実施形態のフレキシブルデバイスの概略上面図であり、図2(a)は図1の破線A−Aにおけるフレキシブルデバイスの概略断面図であり、図2(b)は伸縮構造部が伸びた状態におけるフレキシブルデバイスの概略断面図である。図3図4(a)(b)はそれぞれ本実施形態のフレキシブルデバイスの概略断面図である。
本実施形態のフレキシブルデバイス20は、フレキシブル基板1と、基板1上又は基板1に設けられたセンサ部3、センサ部3の周りの基板1に設けられた伸縮構造部4と、センサ部3と伸縮構造部4との間の基板1の下に設けられたスペーサ5とを備え、伸縮構造部4及びスペーサ5は、センサ部3の周りの基板1がスペーサ5により持ち上げられることにより伸縮構造部4が伸びるように設けられ、伸縮構造部4は、基板1に切れ目7を入れることにより形成された構造であることを特徴とする。
以下、本実施形態のフレキシブルデバイス20について説明する。
【0015】
1.フレキシブルデバイス
フレキシブルデバイス20は、柔軟性を有するデバイスである。フレキシブルデバイス20は、センサ部3を有する。また、フレキシブルデバイス20は、複数のセンサを有することができる。また、フレキシブルデバイス20は、複数のヘルスケアセンサを備えたウェアラブルデバイスであってもよい。また、フレキシブルデバイス20は、生体情報測定デバイスであってもよい。例えば、図4(a)(b)に示したフレキシブルデバイス20は、加速度センサ11、温度センサ24、ECGセンサ(心電計用電極)25を有する。
【0016】
2.フレキシブル基板、配線
フレキシブル基板1は、柔軟性を有する基板である。フレキシブル基板1の材料は、実質的に伸縮性を有さないプラスチックであってもよい。また、フレキシブル基板1の材料は、絶縁体材料であってもよい。フレキシブル基板1の材料は、例えば、ポリイミド、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ウレタンなどである。
フレキシブル基板1上に配線8を設けることができる。配線8は、例えば、フレキシブル基板1に金属ペーストを印刷することにより形成されてもよく、金属箔又は金属線を2枚のフレキシブル基板1で挟むことにより形成されてもよい。配線8は、一方の端がセンサ部3に接続することができ、他方の端が、基板1に設けられた接続端子9に接続することができる。配線8は、例えば、銅配線、銀配線とすることができる。
【0017】
フレキシブル基板1の下に粘着層18を設けることができる。粘着層18により、フレキシブルデバイス20を平面上又は曲面上に固定することができる。例えば、図4(b)に示したデバイス20のように、皮膚26上にデバイス20を固定することができる。このデバイス20により、人の健康データの連続的モニタリングすることができる。粘着層18は、スペーサ5の下にも設けることができる。
【0018】
3.センサ部
センサ部3は、下に空間を必要とするセンサを有する部分であり、基板1上又は基板1に設けられる。また、センサ部3は、基板1の開口中に設けられてもよい。センサ部3は、例えば加速度センサ11を有する部分であってもよく、触覚センサ21を有する部分であってもよい。
加速度センサ11は、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向に動くことができるように設けられた重り12を有し、この重り12が動くことにより生じる歪み、静電容量変化などを測定することにより加速度を検出することができる。従って、重り12の下に空間を必要とする。
ここでは、図1、2に示した加速度センサ11を用いて説明するが、加速度センサ11は、静電容量検出方式の加速度センサであってもよく、ピエゾ抵抗方式の加速度センサであってもよい。
【0019】
スペーサ5は、センサ部3の周りの基板1の下に設けられ、センサ部3の下の空間6を形成する。この空間6の天井を構成する基板1の下に重り12が固定され、基板1の重り12が固定された部分は、複数の可撓部14で支持されている。可撓部14には、感圧抵抗部(歪みセンサ)15が設けられている。また、可撓部14は、重り12を支える桁であってもよい。また、可撓部14はバネ構造を有することができる。また、重り12は、基板1上に固定されてもよい。
フレキシブルデバイス20が動くと、それに合わせて基板1のスペーサ5上の部分に対する重り12の相対的位置が変化し、基板1の重り12を設けた部分を支持する可撓部14が撓む。可撓部14が撓むと、感圧抵抗部15の電気抵抗値が変化する。この電気抵抗値の変化から加速度を検出することができる。このような加速度センサ11により、例えば人の動きをモニタリングすることができる。
【0020】
感圧抵抗部15は、例えば、高分子材料中に導電性微粒子(例えばAgナノ粒子)及びカーボンナノチューブが混練されたものとすることができる。このような感圧抵抗部15は、スクリーン印刷などの印刷法により形成することができるため、基板1上に容易に設けることができる。
感圧抵抗部15に電流を流したとき、電流は主に導電性微粒子を流れる。この感圧抵抗部15が伸張すると、導電性微粒子の接触面積が狭くなるため感圧抵抗部15の電気抵抗は大きくなる。逆に感圧抵抗部15が圧縮されると導電性微粒子の接触面積が広くなるため、感圧抵抗部15の電気抵抗は小さくなる。従って、感圧抵抗部15を可撓部14の撓みと共に変形するように設け、感圧抵抗部15の電気抵抗値の変化を測定することにより、可撓部14の歪みを測定することができる。
【0021】
基板1の重り12を設けた部分を支持する可撓部14を複数設けることにより、複数の感圧抵抗部15の電気抵抗値の変化を測定することができる。この測定結果により、重り12の相対的位置の変化の方向、大きさを検出することができ、加速度を検出することができる。
【0022】
例えば図1に示したように、基板1の重り12を設けた部分を支持する可撓部14a〜14dは、4つ設けることができる。可撓部14aには、感圧抵抗部15aが設けられ、感圧抵抗部15aの一方の端は、配線8aにより接続端子9aに電気的に接続し、他方の端は、可撓部8dなどに設けられた配線8dにより接続端子(アース端子)9dに電気的に接続している。従って、接続端子9a、9dの間に電流を流し、電気抵抗を測定することにより、感圧抵抗部15aの電気抵抗値の変化をモニタリングすることができる。
可撓部14bには、感圧抵抗部15bが設けられ、感圧抵抗部15bの一方の端は、配線8bにより接続端子9bに電気的に接続し、他方の端は、配線8dにより接続端子(アース端子)9dに電気的に接続している。可撓部14cには、感圧抵抗部15cが設けられ、感圧抵抗部15cの一方の端は、配線8cにより接続端子9cに電気的に接続し、他方の端は、配線8dにより接続端子(アース端子)9dに電気的に接続している。
従って、感圧抵抗部15a〜15cの電気抵抗値の変化をモニタリングすることができ、加速度を検出することができる。
図1では、加速度センサ11は四角状であるが、加速度センサ11は、円形であってもよく、三角状であってもよい。
【0023】
センサ部3は、触覚センサ21であってもよい。例えば、センサ部3は、図3のような触覚センサ21であってもよい。センサ21では、突起部22に力が加わることにより、可撓部14が撓み、可撓部14に設けた感圧抵抗部(歪みセンサ)15が変形し、感圧抵抗部15の電気抵抗値が変化する。この電気抵抗値の変化をモニタリングすることにより、突起部22にかかる力の大きさ、方向を検出することができる。このような触覚センサ21では、突起部22に力が加わることにより可撓部14が撓む必要があるため、可撓部14の下に空間が必要である。触覚センサ21についての詳細は、特許文献1に開示されている。
【0024】
4.伸縮構造部
伸縮構造部4は、伸縮することができる構造を有する部分であり、フレキシブル基板1に切れ目7を入れることにより形成された構造(切り紙構造)である。この構造では、切れ目7において基板1の隣接する部分を分離させ、フレキシブル基板1を変形させることにより伸縮構造部4を伸ばすことができ、切れ目7において基板1の隣接する部分を同一面上に戻すことにより伸縮構造部4を縮めることができる。このような構造により、伸縮性のないプラスチックからなるフレキシブル基板1であっても、伸縮させることができる。
本実施形態のフレキシブルデバイス20に含まれる伸縮構造部4は、伸びた状態であってもよく、縮めた状態であってもよい。
【0025】
伸縮構造部4は、センサ部3の周りに設けることができる。このような伸縮構造部4を伸ばすことにより、センサ部3をテーブル状に持ち上げることができる。複数の伸縮構造部4によりセンサ部3を囲むように伸縮構造部4を設けてもよい。
センサ部3が四角状である場合、伸縮構造部4a〜4dをそれぞれセンサ部3の各辺に対応するように設けることができる。このことにより、各伸縮構造部4に異なる接続端子9に接続する配線8を設けることができる。また、1つの伸縮構造部4に複数の配線8が設けられてもよい。
伸縮構造部4は、例えば、図1図2(a)に示したフレキシブルデバイス20に含まれる伸縮構造部4a〜4dのような構造を有することができる。なお、図1図2(a)は、伸縮構造4を伸ばしていない状態におけるデバイス20である。
【0026】
スペーサ5は、センサ部3と伸縮構造部4との間の基板1の下に設けられる。また、伸縮構造部4及びスペーサ5は、センサ部3の周りの基板1がスペーサ5により持ち上げられることにより伸縮構造部4が伸びるように設けられる。このように伸縮構造部4を伸ばすことにより、センサ部3を容易にテーブル状に持ち上げることができる。
例えば、図1図2(a)に示したフレキシブルデバイス20のスペーサ5の下面及び伸縮構造部4より外側の基板1の下面を、図4(b)のように平面又は曲面に押し付けると、スペーサ5によりセンサ部3の周りの基板1が持ち上げられ伸縮構造部4が伸びる。この際、伸縮構造部4は、図2(b)のように、切れ目7において基板1の隣接する部分が分離し基板1が変形することにより伸びた状態となる。このことにより、フレキシブルデバイス20を平面上又は曲面上に固定した状態において、センサ部3の下に空間を設けることができる。
【0027】
伸縮構造部4は、基板1の一部と基板1上に設けられた配線8とを有することができる。この配線8により、伸縮構造部4により形成される段差の下側の基板1と、センサ部3とを電気的に接続することができる。例えば、図1、2に示したデバイス20において、伸縮構造部4aに設けられた配線8aは感圧抵抗部15aの一方の端と接続端子9aとを電気的に接続する配線の一部となり、伸縮構造部4bに設けられた配線8bは感圧抵抗部15bの一方の端と接続端子9bとを電気的に接続する配線の一部となり、伸縮構造部4cに設けられた配線8cは感圧抵抗部15cの一方の端と接続端子9cとを電気的に接続する配線の一部となる。また、伸縮構造部4dに設けられた配線8dは、感圧抵抗部15a、15b、15cと接続端子(アース端子)9dとを接続する配線の一部になる。
【0028】
伸縮構造部4は、例えば、図5(a)のような構造を有してもよい。このような構造の伸縮構造部4をセンサ部3の周りに複数設けることにより、センサ部3をテーブル状に持ち上げることが可能である。また、伸縮構造部4は、図5(b)のように、センサ部3を囲むように設けることもできる。
【0029】
フレキシブルデバイス作製実験
加速度センサ、ECGセンサ(心電計用電極)、温度センサを備えたフレキシブルデバイスを作製した。
38μm厚のPETフィルム(フレキシブル基板)の上面及び裏面に銀配線(又は銀電極)をスクリーン印刷した。この配線を形成したPETフィルムをレザー切断により切り目を入れ、伸縮構造部、可撓部などを形成した。その後、導電性高分子(PEDOT:PSS)溶液とカーボンナノチューブインクとを混合したペーストをPETフィルム上に塗布することにより温度センサを形成し、銀ナノ粒子とカーボンナノチューブインクとを混合したペーストをPETフィルム上に塗布することにより感圧抵抗部(歪みセンサ)を形成した。また、PETフィルムの裏面に形成したECGセンサ用の銀電極とフィルム上面の配線とを電気的に接続した。その後、シリコンラバー製のスペーサと、アクリル板(重り)をPETフィルムに取り付け加速度センサを形成した。その後、PETフィルムの裏面を平面に押し付けることにより、スペーサにより加速度センサを持ち上げ伸縮構造部を伸びた状態とした。このようにして作製したフレキシブルデバイスの写真を図6に示す。
作製したフレキシブルデバイスを人の胸部に貼り付け、人の運動、心電図、皮膚温度をモニタリングしたところ、良好にモニタリングすることができた。
【符号の説明】
【0030】
1:フレキシブル基板 3:センサ部 4、4a、4b、4c、4d:伸縮構造部 5:スペーサ 6:空間 7:切れ目 8、8a、8b、8c、8d:配線 9、9a、9b、9c、9d:接続端子 11:加速度センサ 12:重り 14、14a、14b、14c、14d:可撓部 15、15a、15b、15c:感圧抵抗部(歪みセンサ) 17:開口 18:粘着層 20:フレキシブルデバイス 21:触覚センサ 22:突起部 24:温度センサ 25:ECGセンサ(心電計用電極) 26:皮膚
図1
図2
図3
図4
図5
図6