(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6780109
(24)【登録日】2020年10月16日
(45)【発行日】2020年11月4日
(54)【発明の名称】安全性が向上したバッテリーモジュール及びバッテリーパック
(51)【国際特許分類】
H01M 2/10 20060101AFI20201026BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20201026BHJP
【FI】
H01M2/10 E
H01M10/48 301
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-524458(P2019-524458)
(86)(22)【出願日】2018年1月3日
(65)【公表番号】特表2020-500401(P2020-500401A)
(43)【公表日】2020年1月9日
(86)【国際出願番号】KR2018000138
(87)【国際公開番号】WO2018230797
(87)【国際公開日】20181220
【審査請求日】2019年5月10日
(31)【優先権主張番号】10-2017-0076763
(32)【優先日】2017年6月16日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】チェ−ウク・リュ
(72)【発明者】
【氏名】ダル−モ・カン
(72)【発明者】
【氏名】ス−チャン・キム
(72)【発明者】
【氏名】チョン−オ・ムン
(72)【発明者】
【氏名】ジ−ス・ユン
【審査官】
浅野 裕之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−099322(JP,A)
【文献】
特許第4186500(JP,B2)
【文献】
特開2014−144033(JP,A)
【文献】
特開2014−049226(JP,A)
【文献】
国際公開第2010/098067(WO,A1)
【文献】
中国実用新案第205564849(CN,U)
【文献】
中国特許出願公開第106730498(CN,A)
【文献】
中国特許出願公開第104091904(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/10
H01M 10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のバッテリーセルが積層されて形成されたセル積層体と、
前記セル積層体の一側または両側に結合するモジュールフレームと、
前記モジュールフレームの内部に収容され、基準温度以上で消火薬剤を噴出する消火ユニットと、
を含み、
前記モジュールフレームが、
前記セル積層体の積層方向の中心部に配置され、前記消火ユニットを収容するメインフレームと、
前記メインフレームの両側部に配置され、相互隣接したバッテリーセルの間ごとに介在される複数のサブフレームと、
を含み、
前記サブフレームが、前記バッテリーセルの封止部及び電極リードを支持する、バッテリーモジュール。
【請求項2】
前記メインフレームは、前記消火薬剤を噴出する複数の噴射孔を備えることを特徴とする請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項3】
前記噴射孔は、出口部分が上方へ進むほど広くなるテーパ形状を有することを特徴とする請求項2に記載のバッテリーモジュール。
【請求項4】
前記消火ユニットが、
前記メインフレームに形成された収容空間内に位置し、前記セル積層体を構成する複数のバッテリーセルにおける中心部に位置する二つのセル各々の収容部と接触することを特徴とする請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項5】
前記消火ユニットが、
基準温度以上で気化する消火薬剤と、
前記消火薬剤を収容し、前記基準温度以上で破断する収容容器と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項6】
請求項1から請求項5のうちいずれか一項に記載のバッテリーモジュールと、
少なくとも一つの前記バッテリーモジュールを収容するパックハウジングと、
を含む、バッテリーパック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安全性が向上したバッテリーモジュールに関し、より詳しくは、内部に消火薬剤を含む消火ユニットを備えて火事及び爆発に対する安全性が向上したバッテリーモジュールに関する。
【0002】
本出願は、2017年6月16日出願の韓国特許出願第10−2017−0076763号に基づく優先権を主張し、該当出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に援用される。
【背景技術】
【0003】
最近、ビデオカメラ、携帯電話、ノートブックPCなどの携帯用電気製品の使用が活性化するにつれ、それらの駆動電源として主に使用される二次電池の重要性が高まりつつある。
【0004】
通常充電が不可能な一次電池とは違い、充電及び放電が可能な二次電池は、デジタルカメラ、携帯電話、ラップトップコンピューター、パワーツール、電気自転車、電気自動車、ハイブリッド自動車、大容量電力貯蔵装置など、先端分野の技術開発への研究が活発に進行しつつある。
【0005】
特に、リチウム二次電池は、既存の鉛蓄電池、ニッケル−カドミウム電池、ニッケル−水素電池及びニッケル−亜鉛電池などの他の二次電池に比べ、単位重量当たりエネルギー密度が高くて急速充電が可能であるため、使用が急増しつつある。
【0006】
リチウム二次電池は、作動電圧が3.6V以上であって、携帯用電子器機の電源として使用されるか、または複数個を直列または並列に接続して高出力の電気自動車、ハイブリッド自動車、パワーツール、電気自転車、電力貯蔵装置、UPSなどに用いられる。
【0007】
リチウム二次電池は、ニッケル−カドミウム電池やニッケル−メタルハイドライド電池に比べて作動電圧が3倍も高く、単位重量当たりエネルギー密度の特性にも優れるため、使用が急増する趨勢にある。
【0008】
リチウム二次電池は、電解質の種類によって液体電解質を使用するリチウムイオン電池と、高分子固体電解質を使用するリチウムイオンポリマー電池に分け得る。そして、リチウムイオンポリマー電池は、高分子固体電解質の種類によって、電解液が一切含有されていない完全固体型リチウムイオンポリマー電池と、電解液を含んでいるゲル状高分子電解質を使用するリチウムイオンポリマー電池に分け得る。
【0009】
液体電解質を使用するリチウムイオン電池の場合、大体、円筒や角形の金属缶を容器として溶接密封した形態で使用される。このような金属缶を容器として使用する缶型二次電池は、形態が固定されるため、これを電源として使用する電気製品のデザインを制約するという短所があり、体積を減らすことが困難である。そこで、電極組立体及び電解質を、フィルムで作ったパウチに入れて封止して使用するパウチ型二次電池が開発されて使用されている。
【0010】
ところが、リチウム二次電池は、過熱する場合、爆発の危険性があり安全性を確保することが重要な課題の一つである。リチウム二次電池の過熱は、さまざまな原因で発生するが、そのうち一つがリチウム二次電池に限界以上の過電流が流れる場合が挙げられる。過電流が流れれば、リチウム二次電池がジュール熱によって発熱するため、電池の内部温度が急速に上昇する。また、温度の急速な上昇は、電解液の分解反応をもたらし熱爆走現象(thermal runaway)を起こすことで、結局は電池の爆発に繋がる。過電流は、尖った金属物体がリチウム二次電池を貫通するか、正極と負極との間に挟まれた分離膜の収縮によって正極と負極との絶縁が破壊されるか、外部に接続した充電回路や負荷の異常によって突入電流(rush current)が電池に印加されるなどの場合に発生する。
【0011】
したがって、リチウム二次電池は、過電流の発生のような異常状況から電池を保護するために保護回路と結合して使用され、前記保護回路には、過電流が発生したときに充電または放電電流が流れる線路を非可逆的に断線するヒューズ素子が含まれることが通常である。
【0012】
図1は、リチウム二次電池を含むバッテリーパックと結合する保護回路の構成のうちヒューズ素子の配置構造と動作メカニズムを説明するための回路図である。
【0013】
図示したように、保護回路は、過電流の発生時にバッタリーパックを保護するために、ヒューズ素子1、過電流センシングのためのセンス抵抗2、過電流の発生をモニターして過電流の発生時にヒューズ素子1を動作させるマイクロコントローラー3及び前記ヒューズ素子1への動作電流の流入をスイチングするスイッチ4を含む。
【0014】
ヒューズ素子1は、バッテリーパックの最外側端子に接続した主線路に設けられる。主線路は、充電電流または放電電流が流れる配線を言う。図面には、ヒューズ素子1が高電位線路(Pack+)に設けられるように示している。
【0015】
ヒューズ素子1は、3端子素子部品であって、二つの端子は充電または放電電流が流れる主線路に、一つの端子はスイッチ4と接続する。そして、内部には、主線路と直列接続して特定の温度で溶断するヒューズ1aと、前記ヒューズ1aに熱を印加する抵抗1bと、が含まれている。
【0016】
前記マイクロコントローラー3は、センス抵抗2の両端の電圧を周期的に検出して過電流の発生有無をモニターし、過電流が発生したと判断されれば、スイッチ4をターンオンする。そうすれば、主線路に流れる電流がヒューズ素子1側へバイパスされて抵抗1bに印加される。これによって、抵抗1bで発生したジュール熱がヒューズ1aに伝導されてヒューズ1aの温度を上昇させ、ヒューズ1aの温度が溶断温度まで上昇すれば、ヒューズ1aが破断することで主線路が非可逆的に断線される。主線路が断線されれば、過電流がこれ以上流れなくなり、過電流から惹起される問題を解消することができる。
【0017】
ところが、上述のような従来技術は、さまざまな問題点を抱いている。即ち、マイクロコントローラー3で故障が発生すれば、過電流が発生した状況においてもスイッチ4がターンオンされない。このような場合、ヒューズ素子1の抵抗1bへ電流が流入しないため、ヒューズ素子1が動作しないという問題がある。また、保護回路内に、ヒューズ素子1の配置のための空間が別に必要となり、ヒューズ素子1の動作制御のためのプログラムアルゴリズムがマイクロコントローラー3に必ず積載されなければならない。したがって、保護回路の空間効率性が低下し、マイクロコントローラー3の負荷を増加させるという短所がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、バッテリーモジュールの構造を複雑にすることなく発火/爆発などの発生を防止することで二次電池の使用上の安全性を大幅向上させることができるバッテリーモジュール構造を提供することを目的とする。
【0019】
但し、本発明が解決しようとする課題はこれに限定されず、ここに言及されていないさらに他の技術的課題は、以下に記載された発明の説明からより明確に理解されるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記の課題を達成するため、本発明によるバッテリーモジュールは、複数のバッテリーセルが積層されて形成されたセル積層体と、前記セル積層体の一側または両側に結合するモジュールフレームと、前記モジュールフレームの内部に収容され、基準温度以上で消火薬剤を噴出する消火ユニットと、を含む。
【0021】
前記モジュールフレームは、前記セル積層体の中心部に配置され、前記消火ユニットを収容するメインフレームと、前記メインフレームの両側部に配置され、相互隣接したバッテリーセルの間ごとに介在される複数のサブフレームと、を含み得る。
【0022】
前記メインフレームは、前記消火薬剤を噴出する複数の噴射孔を備え得る。
【0023】
前記噴射孔は、出口部分が上方へ進むほど広くなるテーパ形状を有し得る。
【0024】
前記サブフレームは、前記バッテリーセルの封止部及び電極リードを支持し得る。
【0025】
前記消火ユニットは、前記メインフレームに形成された収容空間内に位置し、前記セル積層体を構成する複数のバッテリーセルにおける中心部に位置する二つのセル各々の収容部と接触し得る。
【0026】
前記消火ユニットは、基準温度以上で気化する消火薬剤と、前記消火薬剤を収容し、前記基準温度以上で破断する収容容器と、を含み得る。
【0027】
一方、本発明の一実施例によるバッテリーパックは、前記バッテリーモジュールと、少なくとも一つの前記バッテリーモジュールを収容するパックハウジングと、を含むように具現される。
【発明の効果】
【0028】
本発明の一面によれば、バッテリーモジュールの構造を複雑にすることなく、バッテリーモジュール内に備えられたバッテリーセルの発火/爆発などの発生可能性を大幅低下させることで、二次電池の使用上の安全性を確保することができる。
【0029】
本明細書に添付される次の図面は、本発明の望ましい実施例を例示するものであり、発明の詳細な説明とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割をするため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】バッテリーモジュールと結合する保護回路の構成のうちヒューズ素子の配置構造と動作メカニズムを説明するための回路図である。
【
図2】本発明の一実施例によるバッテリーモジュールの部分斜視図である。
【
図3】本発明の一実施例によるバッテリーモジュールに適用されるバッテリーセルの斜視図である。
【
図4】本発明の一実施例によるバッテリーモジュールに適用されるバッテリーセル積層体の斜視図である。
【
図5】本発明の一実施例によるバッテリーモジュールに適用されるモジュールフレームを示す斜視図である。
【
図6】
図2の線A−A’に沿って見た断面を示す部分断面図である。
【
図7】本発明の一実施例によるバッテリーモジュールを示す平面図である。
【
図8】本発明の一実施例によるバッテリーモジュールにおいて、消火ユニットの作動による消火薬剤の噴射方向を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施例を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び請求範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されねばならない。したがって、本明細書に記載された実施例及び図面に示された構成は、本発明のもっとも望ましい一実施例に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解せねばならない。
【0032】
先ず、
図2を参照して本発明の一実施例によるバッテリーモジュールの全体的な構造を説明する。
【0033】
図2は、本発明の一実施例によるバッテリーモジュールの部分斜視図である。
【0034】
図2を参照すれば、本発明の一実施例によるバッテリーモジュールは、複数のバッテリーセル10が積層されて形成されたセル積層体20、セル積層体20の少なくとも一側に結合するモジュールフレーム30及びモジュールフレーム30内に収容される消火ユニット40(
図6参照)を含むように具現され得る。
【0035】
次は、
図3を参照して、本発明に適用されるバッテリーセル10について具体的に説明する。
【0036】
図3は、本発明の一実施例によるバッテリーモジュールに適用されるバッテリーセルの斜視図である。
【0037】
図3を参照すれば、本発明の一実施例によるバッテリーモジュールに適用されるバッテリーセル10は、電極組立体(図示せず)、パウチケース11、電極リード12及びシーラント13を含む。
【0038】
前記電極組立体(図示せず)は、正極板、セパレーター及び負極板が少なくとも1回以上積層された形態を有し、絶縁性の確保のために最外郭にはセパレーターが位置することが望ましい。このような電極組立体は、実施形態によって、巻取型、積層型または積層/折畳み型などの多様な構造を有し得る。
【0039】
前記正極板は、導電性プレートからなる正極集電板の少なくとも一面上に正極活物質がコーティングされた形態を有し、同様に、前記負極板は、導電性プレートからなる負極集電板の少なくとも一面上に負極活物質がコーティングされた形態を有する。
【0040】
前記正極板及び負極板は、正極活物質及び負極活物質がコーティングされていない非コーティング部領域を有し、このような非コーティング部領域は、電極リードと結合する電極タブとして機能する。
【0041】
前記セパレーターは、正極板と負極板との間に位置し、正極板と負極板とを電気的に絶縁し、正極板と負極板との間でリチウムイオンなどが移動できるよう多孔性膜の形態を有し得る。このようなセパレーターは、例えば、ポリエチレン(PE)またはポリプロピレン(PP)またはこれらの複合フィルムを用いた多孔性膜からなり得る。
【0042】
前記パウチケース11は、金属層及びこれを囲む樹脂層を含む多層構造のフィルム形態を有する外装材からなり、上部ケース及び下部ケースから構成され得る。
【0043】
このように前記パウチケース11が、上部ケース及び下部ケースから構成される場合、下部ケースは、電極組立体を収容するために膨らんで突出した収容部11aを備える。また、前記上部ケースは、膨らんで突出した収容部11aを備えてもよく、このような収容部11aが形成されていない扁平な形状を有しても良い。
【0044】
即ち、前記バッテリーセルは、両面が突出した形態の両面突出型バッテリーセルであってもよく、これとは違って、一面のみが突出した形態の一面突出型バッテリーセルであってもよい。本発明の図面においては、図示の便宜上、バッテリーセルが一面突出型セルである場合のみを示しているが、これによって本発明が限定されることではない。
【0045】
一方、前記バッテリーセルが両方突出型セルである場合において、上部ケース及び下部ケースの各々は、収容部11aの外周領域となる封止部11b、11cを備え得る。また、前記バッテリーセルが一方突出型セルである場合において、下部ケースは、収容部11aの外周領域となる封止部11b、11cを備え、上部ケースは、上部ケースの封止部11b、11cと当接する領域に形成される封止部11b、11cを備え得る。
【0046】
前記パウチケース11は、収容部11a内に電極組立体を収容し、上部ケース及び下部ケース各々の封止部11b、11cが当接して熱溶着することで封止される。このように、上部ケース及び下部ケースの封止部11b、11cは、相互当接した状態で熱溶着によって接合されるよう、熱溶着性を有する樹脂材質からなり得る。
【0047】
前記電極リード12は、電極組立体の電極タブに接続し、パウチケース11の外部へ引き出されることで電極組立体と外部部品とを電気的に接続する媒介体の役割を果たす構成要素であって、正極板に接続する正極リード及び負極板に接続する負極リードを含む。より具体的に、前記正極リードは、正極板に備えられた正極非コーティング部に接続し、負極リードは、負極板に備えられた負極非コーティング部に接続する。
【0048】
一方、前記封止部11b、11cは、電極リード12が引き出される方向に位置するテラス部11b及び電極リード12が引き出される方向と垂直した方向に位置するはね部11cを含む。
【0049】
図示していないが、前記はね部11cは、バッテリーセル10の体積の最小化のために、収容部11aの側面に向けて折り畳まれ得、このようにはね部11cが折り畳まれる場合、収容部11aとはね部11cとは接着剤などによって相互接合され得る。
【0050】
前記シーラント13は、パウチケース11の外部に引き出される電極リード12と封止部11b、11cの内側面との密封力の低下を防止するために、封止部11b、11cの内側面と電極リード12との間に介在される。
【0051】
次は、
図4を参照して、本発明の一実施例によるバッテリーモジュールに適用されるセル積層体について具体的に説明する。
【0052】
図4は、本発明の一実施例によるバッテリーモジュールに適用されるバッテリーセル積層体の斜視図である。
【0053】
図4を参照すれば、前記セル積層体20は、複数個のバッテリーセル10が相互面接触するように積層されて形成される。
【0054】
本発明の図面においては、一つのセル積層体20が6個のバッテリーセル10からなる場合のみを示しているが、これは例示であるだけで、これによってセル積層体20をなすバッテリーセル10の個数が限定されない。即ち、本発明に適用されるセル積層体20は、必要に応じて多様な個数のバッテリーセル10として構成され得る。
【0055】
前記セル積層体20をなす各々のバッテリーセル10は、対向する面の間に適用される接着剤及び/または接着テープなどによって固定され得る。また、前記セル積層体20をなす各々のバッテリーセル10が一面突出型セルである場合、バッテリーセル10は、収容部11a(
図3参照)がセル積層体20の中心部に向うように配置され得る。この場合、セル積層体20の中心部に位置する一対のバッテリーセル10は、収容部11aが相互当接するように配置される。
【0056】
次は、
図5〜
図7を参照して、本発明の一実施例によるバッテリーモジュールに適用されるモジュールフレーム30について具体的に説明する。
【0057】
図5は、本発明の一実施例によるバッテリーモジュールに適用されるモジュールフレームを示す斜視図であり、
図6は、
図2の線A−A’に沿って見た断面を示す部分断面図であり、
図7は、本発明の一実施例によるバッテリーモジュールを示す平面図である。
【0058】
図5〜
図7を参照すれば、前記モジュールフレーム30は、一つのメインフレーム31、及びメインフレーム31の両側に位置する複数のサブフレーム32を含むように具現される。
【0059】
前記モジュールフレーム30は、セル積層体20の一側または両側に結合してバッテリーセル10のテラス部11b及び電極リード12を支持し、また、消火ユニット40の収容空間を提供する。
【0060】
前記モジュールフレーム30は、メインフレーム31とサブフレーム32とが相互接続した形態を有してもよく、または、メインフレーム31とサブフレーム32とが相互分離した形態を有してもよい。
【0061】
前記メインフレーム31は、セル積層体20の積層方向が中心部に位置する一対のバッテリーセル10各々の収容部11aが接してなす装着面、即ち、セル積層体20の積層方向の中心部に位置する一対のバッテリーセル10各々の側面上に配置される。前記メインフレーム31は、バッテリーセル10の幅方向、即ち、メインフレーム31の長手方向に沿って複数個が形成される噴射孔31aを備え、また、内部に消火ユニット40を収容するように形成された収容空間Sを備える。
【0062】
前記メインフレーム31が、セル積層体20に結合したとき、消火ユニット40が収容される収容空間Sは、噴射孔31aを除いては外部と通らないように密閉状態を維持することが望ましいが、これは後述する消火薬剤の噴出時における噴出圧を高めるためである。
【0063】
前記噴射孔31aは、出口部分が上方へ進むほど広くなるテーパ形状を有し得るが、噴射孔31aがこのような形状を有する場合、消火薬剤の噴射時における噴射範囲をより広くすることで、消火効果の効率性を極大化することができる。
【0064】
前記サブフレーム32は、メインフレーム31の両側に配置され、バッテリーセル10の収容部11aの側面上に配置され、テラス部11b及び電極リード12を支持する。
即ち、メインフレーム31を基準にして一側に位置する電極リード12は、相互結合して一つの電極リード結合体を形成し、メインフレーム32を基準にして前記一側と反対側である他側に位置する電極リード12は、相互結合してもう一つのリード結合体を形成し、サブフレーム32は、このようなリード結合体が安定した結合状態を維持するようにする支持構造物として機能することができる。
【0065】
次に、
図6を参照して、本発明の一実施例によるバッテリーモジュールに適用される消火ユニット40について説明する。
【0066】
図6を参照すれば、前記消火ユニット40は、モジュールフレーム30の内部、特に、メインフレーム31の内部に収容され、セル積層体20の一側中心部に配置されて基準温度以上で消火薬剤を噴射することでバッテリーモジュールに発生した火事を鎮圧するか、または火事の発生を予防する構成要素である。
【0067】
より具体的に、前記消火ユニット40は、メインフレーム31の内部に形成された収容空間S(
図5参照)内に収容され、セル積層体20をなすバッテリーセル10のうち、積層方向における中心部に位置する一対のバッテリーセル10各々の収容部11aの側面上に配置される。このような消火ユニット40の配置位置は、バッテリーセル10において比較的発熱量が大きい電極リード12に隣接した領域であることから、このような位置に消火ユニット40が配置されることで温度上昇による消火ユニット40の迅速な作動が可能となる。
【0068】
前記消火ユニット40は、基準温度以上で粉末または液状の消火薬剤が気化しながら膨張して高い圧力を有して噴出するように構成されている。即ち、前記消火ユニット40は、バッテリーモジュールの正常の使用温度では密閉状態を維持し、基準温度以上で溶けて破断する樹脂からなる収容容器、及びその中に収容される粉末または液状の消火薬剤を含む。
【0069】
本発明に適用される消火薬剤には、火事鎭圧に通常使用される種類の消火薬剤であれば、制限なく使用可能であり、消火の原理も、窒息消火、冷却消火またはこれらの二つの原理を共に用いた消火を適用することができる。
【0070】
短絡の発生など、非正常的な使用状態によってバッテリーモジュールの温度が上昇し、これによって消火ユニット40が配置された位置の温度が基準温度以上となり収容容器が溶けて破断すれば、強い圧力で内部の消火薬剤が噴出し、これによって火事の鎭圧または発火の遮断を行うことができるのである。
【0071】
一定温度以上で、消火薬剤が、破断した収容容器の外部へ強い圧力で噴出されるようにするために、収容容器内には、消火薬剤の外にも別の気体を高い圧力で充填しておいてもよい。この場合、温度の上昇によって体積がさらに膨張した気体が収容容器の内壁に高い圧力を加えるようになり、温度が収容容器の融点に到達するようになれば、溶けて弱くなった収容容器が破断しながら収容容器内に充填された気体とともに消火薬剤が噴出され得る。
【0072】
一方、上述した本発明の一実施例によるバッテリーモジュールは、パックハウジング(図示せず)内に収容されて一つのバッテリーパックをなし得る。
【0073】
即ち、本発明の一実施例によるバッテリーパックは、本発明の一実施例によるバッテリーモジュールを少なくとも一つ以上を備え、このようなバッテリーモジュールをパックハウジング内に収容した形態として具現され得る。
【0074】
このような本発明の一実施例によるバッテリーパックは、パックハウジング内の温度が基準温度以上に上昇する場合において、噴射孔11aによる消火薬剤の噴射によって、火事の鎭圧及び/または発火の予防が可能な構造を有する。
【0075】
以上、本発明を限定された実施例と図面によって説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の属する技術分野で通常の知識を持つ者によって本発明の技術思想と特許請求の範囲の均等範囲内で多様な修正及び変形が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0076】
1 ヒューズ素子
1a ヒューズ
1b 抵抗
2 センス抵抗
3 マイクロコントローラー
4 スイッチ
10 バッテリーセル
11 パウチケース
11c はね部
11b 封止部、テラス部
11a 噴射孔、収容部
12 電極リード
13 シーラント
20 セル積層体
30 モジュールフレーム
31 メインフレーム
31a 噴射孔
32 サブフレーム
40 消火ユニット