(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記塗布工程は、前記ネットの外表面側から前記グリスを吐出する吐出装置を用いて前記グリスを前記ネットの半径方向内側に圧入する請求項1又は請求項2に記載の内視鏡の組み立て方法。
前記塗布工程は、前記ネットの外表面側から前記グリスを塗布し、押込み治具にて前記グリスを前記ネットの目を通して前記ネットの半径方向内側へ押し込む請求項1又は請求項2に記載の内視鏡の組み立て方法。
前記塗布工程は、前記ネットの外表面側から前記操作ワイヤが挿通されている箇所に沿って前記グリスを塗布する工程を含む請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の内視鏡の組み立て方法。
前記塗布工程は、前記ネットの外表面側から半径方向内側へ向けて前記グリスを押し込み、複数の前記アングルリングの内部に位置する前記操作ワイヤの一部のみに前記グリスを塗布する請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載の内視鏡の組み立て方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載の内視鏡において、チューブとワイヤガイドとの間に、固定潤滑材を被膜処理する場合、チューブとワイヤガイドとの摺動により、固体潤滑材が摺動箇所から剥離又は無くなってしまい、摺動抵抗(すなわち摩擦抵抗)が大きくなる。また、上記特許文献1に記載の内視鏡では、チューブとワイヤガイドとの間に、グリスを充填させる方法については記載されていない。
【0007】
上記特許文献2に記載の内視鏡では、二硫化モリブデン等からなる粉末の潤滑剤を操作ワイヤに先に塗布しておくと、作業者の手指が汚れて作業が煩雑になる。また、二硫化モリブデン等からなる粉末の潤滑剤をブレードの外側から入れると、粉末の潤滑剤の付着量又は付着箇所のコントロールが難しい。
【0008】
上記特許文献3に記載の内視鏡では、接続部と内蔵物との間に、ゲル状の第2潤滑剤をどのような方法で塗布するのかは記載されていない。例えば、グリスを塗布した内蔵物(ワイヤ)をガイドに挿入すると、ガイドにグリスがこそぎ落される場合がある。
【0009】
本開示は上記事実を考慮し、内視鏡の組み立て時に操作ワイヤ周辺の必要な部分にグリスを効率的に塗布する内視鏡の組み立て方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の第1態様に係る内視鏡の組み立て方法は、複数のアングルリングを接続部によって接続する接続工程と、アングルリングの内周方向に突出させたガイド部に操作ワイヤを挿通させ、かつ、複数のアングルリングの外周に筒状のネットを被せる取り付け工程と、ネットの外表面側から半径方向内側へ向けてグリスを押し込み、複数のアングルリングの内部に位置する操作ワイヤの少なくとも一部にグリスを塗布する塗布工程と、を有する。
【0011】
上記第1態様に係る内視鏡の組み立て方法によれば、複数のアングルリングを接続部によって接続する。そして、アングルリングの内周方向に突出させたガイド部に操作ワイヤを挿通させ、かつ、複数のアングルリングの外周に筒状のネットを被せる。さらに、ネットの外表面側から半径方向内側へ向けてグリスを押し込み、複数のアングルリングの内部に位置する操作ワイヤの少なくとも一部にグリスを塗布する。これにより、例えば、操作ワイヤの少なくとも一部にグリスを塗布した後にネットを複数の上記アングルリングが接続されたアングルリング接続体に挿入する場合に比べて、ネットの挿入時に作業台又は作業者の手指にグリスが付着して、グリスを付着させたくない部分(例えば、アングルリングとネットの接合部など)にグリスが付着する懸念を抑制できる。したがって、上記の内視鏡の組み立て方法では、グリスを塗布した後に筒状のネットを被せる場合に比べて、内視鏡の組み立て時に操作ワイヤ周辺の必要な部分にグリスを効率的に塗布することができる。
【0012】
本開示の第2態様に係る内視鏡の組み立て方法は、第1態様に係る内視鏡の組み立て方法において、塗布工程は、ネットの外表面側から半径方向内側へ向けてグリスを押し込むことによってグリスをネットの内部に注入する注入工程と、複数のアングルリングが接続されたアングルリング接続体を湾曲させることによってグリスを操作ワイヤおよびガイド部のワイヤ挿通穴の内周面に付着させるグリス付着工程と、を含む。
【0013】
上記第2態様に係る内視鏡の組み立て方法によれば、塗布工程は、注入工程とグリス付着工程とを含み、注入工程によってネットの外表面側から半径方向内側へ向けてグリスを押し込むことによってグリスをネットの内部に注入する。さらに、グリス付着工程によってアングルリング接続体を湾曲させることによってグリスを操作ワイヤおよびガイド部のワイヤ挿通穴の内周面に付着させる。このため、内視鏡の組み立て時に操作ワイヤ周辺の必要な部分にグリスを効率的に塗布することができる。
【0014】
本開示の第3態様に係る内視鏡の組み立て方法は、第1態様又は第2態様に係る内視鏡の組み立て方法において、塗布工程は、ネットの外表面側からグリスを吐出する吐出装置を用いてグリスをネットの半径方向内側に圧入する。
【0015】
上記第3態様に係る内視鏡の組み立て方法によれば、ネットの外表面側から吐出装置を用いてグリスをネットの半径方向内側に圧入することによって、操作ワイヤ周辺により確実にグリスが塗布され、操作ワイヤ周辺の必要な部分にグリスが効率的に塗布される。また、吐出装置を用いることによって、作業者の手指にグリスが付着することが抑制され、作業性が向上する。
【0016】
本開示の第4態様に係る内視鏡の組み立て方法は、第1態様又は第2態様に係る内視鏡の組み立て方法において、塗布工程は、ネットの外表面側からグリスを塗布し、押込み治具にてグリスをネットの目を通してネットの半径方向内側へ押し込む。
【0017】
上記第4態様に係る内視鏡の組み立て方法によれば、ネットの外表面側からグリスを塗布し、押込み治具にてグリスをネットの目を通してネットの半径方向内側へ押し込む。これにより、操作ワイヤ周辺により確実にグリスが塗布され、操作ワイヤ周辺の必要な部分にグリスが効率的に塗布される。
【0018】
本開示の第5態様に係る内視鏡の組み立て方法は、第1態様又は第2態様に係る内視鏡の組み立て方法において、塗布工程は、ネットの外表面側からグリスを塗布する第1工程と、ネットの外周に収縮前の熱収縮チューブを被せる第2工程と、熱収縮チューブを熱により収縮させ、グリスをネットの目を通してネットの半径方向内側へ押し込む第3工程と、熱収縮チューブを除去する第4工程と、を含む。
【0019】
上記第5態様に係る内視鏡の組み立て方法によれば、熱収縮チューブによりネットの外表面側からグリスを押し込むことによって、操作ワイヤ周辺により確実にグリスが塗布され、操作ワイヤ周辺の必要な部分にグリスが効率的に塗布される。また、熱収縮チューブを用いることによって、作業者の手指にグリスが付着することが抑制され、作業性が向上する。
【0020】
本開示の第6態様に係る内視鏡の組み立て方法は、第1態様又は第2態様に係る内視鏡の組み立て方法において、塗布工程は、ネットの外表面側からグリスを塗布する第1工程と、ネットの半径方向外側に、負圧によりカバーゴムの内径を大きくした状態においてカバーゴムを外挿し、負圧を除去することによりカバーゴムを収縮させてネットに被せることにより、グリスをネットの目を通してネットの半径方向内側へ押し込む押込み工程と、を含む。
【0021】
上記第6態様に係る内視鏡の組み立て方法によれば、カバーゴムによりネットの外表面側からグリスを押し込むことによって、操作ワイヤ周辺により確実にグリスが塗布され、操作ワイヤ周辺の必要な部分にグリスが効率的に塗布される。また、カバーゴムを用いることによって、作業者の手指にグリスが付着することが抑制される。また、カバーゴムを被せる工程を兼ねることができ、作業性が向上する。
【0022】
本開示の第7態様に係る内視鏡の組み立て方法は、第2態様に係る内視鏡の組み立て方法において、注入工程とグリス付着工程との間に、ネットの半径方向外側にカバーゴムを被せるゴム装着工程を有する。
【0023】
上記第7態様に係る内視鏡の組み立て方法によれば、グリス付着工程の前にゴム装着工程を行うことによって、内部に注入したグリスがアングルリング接続体を湾曲することによりネットの外側に出てくることを防止することができ、作業者の手指にグリスが付着することが抑制される。また、出てきたグリスを再度内部に入れる必要が無く、作業性が向上する。
【0024】
本開示の第8態様に係る内視鏡の組み立て方法は、第1態様から第6態様までのいずれか1つの態様に係る内視鏡の組み立て方法において、塗布工程は、ネットの外表面側から操作ワイヤが挿通されている箇所に沿ってグリスを塗布する工程を含む。
【0025】
上記第8態様に係る内視鏡の組み立て方法によれば、塗布工程は、ネットの外表面側から操作ワイヤが挿通されている箇所に沿ってグリスを塗布するため、操作ワイヤ周辺の必要な部分にグリスが効率的に塗布される。
【0026】
本開示の第9態様に係る内視鏡の組み立て方法は、第1態様から第8態様までのいずれか1つの態様に係る内視鏡の組み立て方法において、取り付け工程と塗布工程との間に、医療処置及び検査に使用される内蔵物を複数のアングルリングの半径方向内側に挿入する挿入工程を含み、塗布工程は、内蔵物を複数のアングルリングの半径方向内側に挿入した状態において、グリスを塗布する。
【0027】
上記第9態様に係る内視鏡の組み立て方法によれば、内蔵物を複数のアングルリングの半径方向内側に挿入した後で、ネットの外表面側からグリスを押し込むので、内蔵物の挿入時に内蔵物の端部等の湾曲部以外の範囲にグリスが付着することが回避される。
【0028】
本開示の第10態様に係る内視鏡の組み立て方法は、第1態様から第9態様までのいずれか1つの態様に係る内視鏡の組み立て方法において、塗布工程は、ネットの外表面側から半径方向内側へ向けてグリスを押し込み、複数のアングルリングの内部に位置する操作ワイヤの一部のみにグリスを塗布する。
【0029】
上記第10態様に係る内視鏡の組み立て方法によれば、塗布工程は、ネットの外表面側から半径方向内側へ向けてグリスを押し込み、複数のアングルリングの内部に位置する操作ワイヤの一部のみにグリスを塗布する。これにより、アングルリング接続体を湾曲させることにより、内視鏡の組み立て時に操作ワイヤ周辺の必要な部分にグリスを効率的に塗布することができる。
【発明の効果】
【0030】
本開示によれば、内視鏡の組み立て時に操作ワイヤ周辺の必要な部分にグリスを効率的に塗布することができる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を参照して本開示に係る実施形態の一例について説明する。
【0033】
〔内視鏡の全体構成〕
図1には、本開示の実施形態である内視鏡の組み立て方法が適用される内視鏡の一例が概念的に示されている。
図1に示されるように、内視鏡10は、体腔(気管支や胃など)等の治療や検査を行なう処置部に挿入されて、体内の観察、静止画や動画の撮影、生体組織の採取などの処置等を行なう。
【0034】
内視鏡10は、CCD(Charge Coupled Device)センサ又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサを用いて検査部位の画像を撮像(撮影)して、検査部位の観察、動画または静止画の撮影を行なう、いわゆる電子スコープ型の内視鏡である。内視鏡10は、挿入部12、操作部14、ユニバーサルコード16、LGコネクタ18、および、ビデオコネクタ20を有して構成される。 本実施形態の内視鏡10は、気管支用、外科用、咽頭用、消化管用、十二指腸用などの、各種の用途の内視鏡に、好適に利用可能である。
【0035】
挿入部12は、体腔内等の検査部位に挿入される長尺な部位である。挿入部12は、挿入側の先端(すなわち、操作部14と逆端)である先端部24と、先端部24に繋がるアングル部26と、アングル部26に繋がる軟性部28とを有する。
【0036】
操作部14は、内視鏡10の操作を行なう部位である。 操作部14には、挿入部12の先端部24の鉗子孔(鉗子チャンネル)に連通する、鉗子等の処置具を挿入するための鉗子口32、先端部24の鉗子孔からの吸引を行なうための吸引ボタン34、先端部24のノズル(送気送水チャンネル)から送気や送水を行なうための送気送水ボタン36等が配置される。
【0037】
なお、図示例の内視鏡10は、吸引および送気送水の機能を有するが、本開示の内視鏡は、吸引および送気送水の一方もしくは両方の機能を有しなくてもよい。また、吸引および送気送水の機能に変えて、あるいは吸引および送気送水の機能に加えて、他の機能を有していてもよい。
【0038】
さらに、操作部14には、アングル部26を湾曲させる2つの操作ノブ38、および、アングル部26を湾曲状態で保持するためのブレーキ42が設けられている。操作部14は、操作ノブ38の操作により、アングル部26を、例えば、上下と左右の4方向に湾曲させるようになっている。操作ノブ38は、後述する4本の操作ワイヤ72を選択的に牽引して、アングル部26を牽引方向に湾曲させる構成とされている。アングル部26を牽引方向に湾曲させる構成に関しては、後に詳述する。
【0039】
なお、内視鏡10の操作部14には、これ以外にも、ズームスイッチ、静止画の撮影スイッチ、動画の撮影スイッチ、フリーズスイッチなど、撮像ユニット(CCDセンサ又はCMOSセンサ)によって画像を観察又は撮影するための各種のスイッチが設けられる。
【0040】
LG(Light Guide)コネクタ18は、内視鏡10を使用する施設における、送水手段、送気手段、吸引手段等と、内視鏡10とを接続するための部位である。LGコネクタ18には、内視鏡10と施設の送水(給水)手段と接続するための送水コネクタ50、上記の送気手段と接続するための送気コネクタ52が配置される。また、LGコネクタ18には、上記の吸引手段と接続するための吸引コネクタ(図示省略)等が配置される。また、LGコネクタ18には、照明光源を接続するためのLG(Light Guide)棒54、及び電子メスを使用する際にSコードを接続するS端子(図示省略)等も設けられる。
【0041】
前述のように、内視鏡10は電子スコープであるので、LGコネクタ18には、プロセッサ装置と内視鏡10とを接続するためのビデオコネクタ20が接続される。 先端部24の撮像ユニット(CCDセンサ又はCMOSセンサ)が撮像した画像(画像データ)や、操作部14における各種の指示は、信号線によって、LGコネクタ18を経てビデオコネクタ20からプロセッサ装置に出力される。
【0042】
ユニバーサルコード(LG軟性部)16は、LGコネクタ18と操作部14とを接続する部位である。ユニバーサルコード16には、送水コネクタ50に接続する送水チャンネル、送気コネクタ52に接続する送気チャンネル、吸引コネクタに接続する吸引チャンネル、照明光源からLG棒54に照射された観察光を伝播するためのライトガイド、操作部14の操作による指示や先端部24の撮像ユニットにより撮影された画像のデータを転送するための信号線などが収容又は挿通される。
【0043】
吸引チャンネルは、吸引ボタン34を経て、挿入部12の先端部24の鉗子孔に連通する鉗子チャンネルに接続される。送水チャンネルおよび送気チャンネルは、送気送水ボタン36を経て、先端部24のノズルに連通する送気送水チャンネルに接続される。ライトガイドは、操作部14を経て先端部24の照明レンズまで挿通される。さらに、信号線は、前述のように、ビデオコネクタ20から、LGコネクタ18および操作部14を経て、先端部24の撮像ユニットまで挿通される。
【0044】
挿入部12の先端である先端部24には、CCDセンサ又はCMOSセンサ、撮像レンズ等を一体的にユニット化してなる撮像ユニット、ライトガイドが伝播した観察光を観察部位に照射するための照明レンズ等が組み込まれている。また、先端部24には、処置部に鉗子を挿入させるための鉗子孔や、送気及び送水を行うためのノズル等も設けられる。これらの部品は、後述する内蔵物90(
図4A及び
図4B参照)の先端部に位置している。
【0045】
湾曲部としてのアングル部(湾曲部)26は、先端部24を目的位置に挿入したり目的位置に位置させるために、操作部14における2つの操作ノブ38の操作によって上下方向および左右方向に湾曲する領域である。アングル部26に関しては、後に詳述する。
【0046】
軟性部28は、先端部24およびアングル部26と、操作部14とを繋ぐ部位であり、検査部位への挿入に対して十分な可撓性を有する長尺なチューブである。 前述のように、軟性部28およびアングル部26には、被処置部に鉗子を挿入するための鉗子チャンネル(吸引チャンネル)、送気送水ボタン36による送気および送水を行うための送気送水チャンネル(送気チャンネルおよび送水チャンネル)、先端部24の撮像ユニット(CCDセンサ又はCMOSセンサ)による撮影画像のデータを転送するための信号線、照明光を伝播するためのライトガイド等を備えた内蔵物90(
図4A及び
図4B参照)が挿通される。言い換えると、内蔵物90は、医療処置及び検査に使用される部品である。また、軟性部28およびアングル部26には、アングル部26を湾曲させるための後述する操作ワイヤ72なども挿通される。
【0047】
図2には、アングル部26の構成が斜視図にて示されている。また、
図3には、アングル部26を長手方向に沿って切断した状態が斜視図にて示されている。また、
図4A及び
図4Bには、アングル部26を長手方向に沿って切断した状態が断面図にて示されている。
図2〜
図4Bに示されるように、アングル部26は、略円筒状の複数のアングルリング(節輪)62と、隣り合うアングルリング62を接続する(連結する)接続部としての複数のピン64と、を備えている。本実施形態では、複数のアングルリング62が接続されることによって、アングルリング接続体65を構成している。また、アングル部26は、複数のアングルリング62の先端側に配置された先端リング66と、複数のアングルリング62の基端側(
図1に示す操作部14側)に配置された基端リング68と、を備えている。先端リング66とその隣のアングルリング62とは、ピン64により接続されており、基端リング68とその隣のアングルリング62とは、ピン64で接続されている。
【0048】
隣り合うアングルリング62は、アングルリング62の周方向の4箇所に配置されたピン64で接続されている。本実施形態では、アングルリング62は、
図2及び
図3中の上下と両側の側部の4箇所に配置されたピン64で接続されている。ピン64の内部側には、アングルリング62の半径方向内側に突出するガイド部70が設けられている。ガイド部70には、アングル部26を湾曲させるための4本の操作ワイヤ72が挿通されている。4本の操作ワイヤ72は、アングル部26の軸方向に沿って配置されており、互いに交差しない(ほぼ平行に配置される)構成とされている。ガイド部70に関しては、後に詳述する。
【0049】
4本の操作ワイヤ72の先端側の端部は、それぞれ取付部74により先端リング66に固定される(
図3及び
図4A参照)。また、上下の2本の操作ワイヤ72の起点側は、操作部14の後述する回転体100(
図6参照)に巻き掛けられる。また、図示を省略するが、左右の2本の操作ワイヤ72の起点側は、操作部14の他の回転体に巻き掛けられる。また、4本の操作ワイヤ72は、回転体の直後からアングル部26の直前までの範囲において、極細線のワイヤを螺旋状に巻回してなるガイドコイル(密着ばね)76に挿通されている。
【0050】
図4A及び
図4Bに示されるように、アングルリング62は、側面視にてアングル部26の軸方向に対して交差する方向にアーチ状に湾曲するように延びており、隣り合うアングルリング62のアーチ形状が略左右対称(軸方向で対称)に形成されている。言い換えると、略左右対称(軸方向で対称)の隣り合う1対のアングルリング62が、アングル部26の軸方向に沿って複数配置される構成とされている。アングルリング62の上部と下部が先端側に湾曲している場合には、そのアングルリング62の上部と下部に先端側に突出する突出部80が形成されている。また、アングルリング62の上部と下部が先端と反対側に湾曲している場合には、そのアングルリング62の上部と下部に先端と反対側に突出する突出部82が形成されている。そして、
図4A、
図4B及び
図5に示されるように、隣り合うアングルリング62の上部と下部の突出部80、82が重ね合わされ、これらの突出部80、82に形成された貫通孔80A、82Aにリベット状のピン64が挿通されている。本実施形態では、貫通孔80Aの内径が貫通孔82Aの内径よりも大きく、突出部82の貫通孔82Aの縁部にピン64が係止されている。これにより、ピン64を軸として隣り合うアングルリング62が互いに回動可能に接続されている。
【0051】
また、
図4A及び
図4Bに示されるように、アングルリング62の上下方向の中間部が先端側に湾曲している場合には、そのアングルリング62の上下方向の中間部に先端側に突出する2つの突出部80が形成されている。また、アングルリング62の上下方向の中間部が先端と反対側に湾曲している場合には、そのアングルリング62の上下方向の中間部に先端と反対側に突出する2つの突出部82が形成されている。そして、隣り合うアングルリング62の上下方向の中間部の突出部80、82が重ね合わされ、これらの突出部80、82に形成された貫通孔80A、82A(
図5参照)にリベット状のピン64が挿通されている。これにより、ピン64を軸として隣り合うアングルリング62が互いに回動可能に接続されている。アングルリング62の上部と下部のピン64と、アングルリング62の上下方向の中間部のピン64は、アングル部26の軸方向に沿って交互に配置されている。
【0052】
先端リング66は、一方の端部は平坦であり、他方の端部のみが先端と反対側に湾曲しており、その他方の端部の上下方向の中間部に突出部82が形成されている。先端リング66の突出部82が、隣り合うアングルリング62の中間部に設けられた突出部80と重ね合わされてピン64により接続されている。先端リング66とこれに隣り合うアングルリング62とは、ピン64によって互いに回動可能に接続されている。また、基端リング68は、一方の端部は平坦であり、他方の端部のみが先端側に湾曲しており、その他方の端部の上下方向の中間部に突出部80が形成されている。基端リング68の突出部80が、隣り合うアングルリング62の中間部に設けられた突出部82と重ね合わされてピン64により接続されている。基端リング68とこれに隣り合うアングルリング62とは、ピン64によって互いに回動可能に接続されている。
【0053】
図5に示されるように、ガイド部70は、ピン64と一体的に形成されており、ピン64からアングルリング62の半径方向内側(内周方向)に突出している。ガイド部70は、筒状部70Aを備えており、筒状部70Aには、複数のアングルリング62の軸方向に沿って貫通するワイヤ挿通穴としてのガイド孔70Bが形成されている。ガイド部70のガイド孔70Bには、操作ワイヤ72が挿通されている。本実施形態では、上下と上下方向の両側の中間部の4箇所のガイド部70のガイド孔70Bに、アングル部26を湾曲させるための4本の操作ワイヤ72が挿通されている(
図2〜4参照)。ガイド孔70Bの内径は、操作ワイヤ72の外径よりも大きい。これにより、操作ワイヤ72が牽引されたときに、操作ワイヤ72がガイド孔70Bの壁部にガイドされて軸方向に移動するようになっている。
【0054】
図4Bに示されるように、基端リング68の内周側には、ガイドコイル76の軸方向の一端部が固定される取付リング102が設けられている。取付リング102の軸方向の一端部側(先端部24側)の外径は、基端リング68の内径よりも小さく、取付リング102の軸方向の一端部側が、基端リング68の内周側に挿入されている。取付リング102の軸方向の一端部(先端部24側)には、操作ワイヤ72が軸方向に移動可能に挿通される貫通孔102Aが形成されている。取付リング102の軸方向の他端部(先端部24と反対側)には、ガイドコイル76の軸方向の一端部がそれぞれ挿入される4つの挿入部102Bが形成されている。取付リング102の軸方向の中間部において、挿入部102Bと貫通孔102Aとが連通している。挿入部102Bの内径は、貫通孔102Aの内径よりも大きい。
【0055】
また、取付リング102の外周面には、半径方向外側に突出する突起102Cが形成されており、突起102Cが基端リング68の端面に接触している。この状態において、取付リング102は、基端リング68に例えば接着、半田付け、又はレーザー溶着等により固定されている。また、ガイドコイル76の軸方向の一端部は、取付リング102の挿入部102Bに挿入された状態において、ガイドコイル76の軸方向の一端部が取付リング102に固定されている。
【0056】
図4A及び
図4Bに示されるように、アングル部26における複数のアングルリング62の内部には、前述したように、医療処置及び検査に使用される内蔵物90が挿通されている。内蔵物90の先端部は、先端リング66の取付部(図示省略)に接着又は半田付け等の接合部(図示省略)により接合されている。
【0057】
また、複数のアングルリング62の外周側には、筒状(本実施形態では円筒状)のネット92が被せられる(外挿される)。例えば、ネット92は、金属製のメッシュ状部材により構成されている。ネット92の先端側は先端リング66に、ネット92の基端側は基端リング68に接着、半田付け、又はレーザー溶接等により固定されている(図示省略)。ここで、先端リング66、基端リング68は、本開示のアングルリングの一例である。また、先端リング66とネット92の先端側との接合部、基端リング68とネット92の基端側との接合部は、アングルリングとネットとの接合部の一例である。さらに、筒状のネット92の外周側には、筒状(本実施形態では円筒状)のカバーゴム94が被せられる(外挿される)。
図2及び
図3では、アングル部26の構成を分かりやすくするため、内蔵物90、ネット92、カバーゴム94の図示を省略している。
【0058】
また、本実施形態の内視鏡10において、操作ワイヤ72は特に限定はなく、金属線を撚ってなるワイヤ、金属製の撚り線を、複数、撚ってなるワイヤ、単線の金属製ワイヤ等が使用可能である。しかしながら、本実施形態の内視鏡10においては、操作ワイヤ72は、単線ではなく、撚り線(寄り糸状のワイヤ)を用いるのが好ましい。 また、操作ワイヤ72の径も、特に限定はなく、内視鏡の種類や挿入部12の太さ、挿入部12に収容される内蔵物90等に応じて、適宜、決定すればよい。
【0059】
図6には、アングル部26を湾曲させる機構が概念的に示されている。
図6に示されるように、アングル部26及び軟性部28の内部に挿通された上下の2本の操作ワイヤ72は、操作部14側において繋がっており、この繋がった部分が回転体100に巻き掛けられている。例えば、回転体100はスプロケットであり、2本の操作ワイヤ72はチェーン73を介してスプロケットに連結されている。また、この構成に代えて、2本の操作ワイヤ72の繋がった部分が、回転体としてのプーリに巻き掛けられている構成でもよい。操作部14に設けられた一方の操作ノブ38(
図1参照)の操作によって、回転体100の回転軸100Aが回転可能に支持されている。従って、回転体100が回転すると、一方の操作ワイヤ72は巻き取られて牽引され、他方の操作ワイヤ72は、逆に送り出される。例えば、回転体100が
図6中の時計回りに回転すると、
図6中の上側の操作ワイヤ72は、巻き取られて矢印A方向に牽引され、
図6中の下側の操作ワイヤ72は、矢印Aと逆方向に送り出される。
【0060】
前述のように、アングル部26に配置された複数のアングルリング62は、複数のピン64によって回動可能に連結されている。また、2本の操作ワイヤ72は、複数のガイド部70のガイド孔70B(
図4A及び
図4B参照)に挿通されている。これにより、回転体100が
図6中の時計回りに回転して、上側の操作ワイヤ72が矢印A方向に牽引されて、下側の操作ワイヤ72が送り出されると、牽引された操作ワイヤ72側を内側にして、牽引量に応じてアングル部26が湾曲する。
図6では、アングル部26は軟性部28に対して上側に湾曲する。また、図示を省略するが、回転体100が逆方向(反時計回り)に回転すると、下側の操作ワイヤ72が牽引されて、上側の操作ワイヤ72が送り出され、牽引量に応じて、アングル部26が軟性部28に対して下側に湾曲する。
【0061】
なお、図示を省略するが、
図4A及び
図4B中の上下方向の中間部の2本の操作ワイヤ72は、操作部14側において繋がり、別の回転体に巻き掛けられている。他方の操作ノブ38(
図1参照)の操作によって別の回転体が回転することによって、一方の操作ワイヤ72は巻き取られて牽引され、他方の操作ワイヤ72は、逆に送り出される。これにより、牽引された操作ワイヤ72側を内側にして、牽引量に応じて、アングル部26が軟性部28に対して左右方向に湾曲するようになっている。
【0062】
上記の内視鏡10では、操作ワイヤ72が牽引又は送り出されたときに、操作ワイヤ72とガイド部70のガイド孔70Bの壁面との間に発生する摺動抵抗(摩擦)を軽減するため、操作ワイヤ72に後述するグリス104(
図7等参照)が塗布されている。摺動抵抗(摩擦)が発生すると、アングル部26の湾曲操作性、例えば、操作ノブ38(
図1参照)の回転トルクが増加するため、摺動抵抗(摩擦)を軽減する必要がある。なお、
図2〜
図6では、アングル部26の構成を分かりやすくするために、操作ワイヤ72に塗布されたグリス104を省略している。
【0063】
〔第1実施形態の内視鏡の組み立て方法〕
次に、
図7A〜
図9Dを用いて、本開示の第1実施形態である内視鏡10の組み立て方法について説明する。
【0064】
(内視鏡の組み立て方法の各工程)
図7Aに示されるように、第1実施形態である内視鏡10の組み立て方法では、まず、複数のアングルリング62をピン64によって接続する(接続工程)。本実施形態では、ある1つのアングルリング62に着目した場合、一方の側と隣り合うアングルリング62の上下の2箇所をピン64によって接続し、他方の側と隣り合うアングルリング62の上下方向の中間部の2箇所とをピン64によって接続する。この接続を複数のアングルリング62について繰り返し行う。
【0065】
次いで、
図7Aに示されるように、複数のアングルリング62の半径方向内側(内周方向)に突出させたガイド部70のガイド孔70B(
図5参照)に操作ワイヤ72を挿通する(取り付け工程)。本実施形態では、複数のアングルリング62の上側と下側と一方の側部と他方の側部の4箇所のガイド部70のガイド孔70B(
図5参照)に、4本の操作ワイヤ72を挿通する(取り付け工程)。また、複数のアングルリング62の外周に筒状のネット92を被せる(外挿する)(取り付け工程)。複数のガイド部70に操作ワイヤ72を挿通する工程と、複数のアングルリング62の外周に筒状のネット92を被せる工程とは、どちらを先に行っても構わない。
【0066】
次いで、医療処置及び検査に使用される内蔵物90を複数のアングルリング62の半径方向内側に挿入する(挿入工程)。そして、内視鏡10の先端部24を構成する先端リング66の内周側に内蔵物90の先端部を接合する。例えば、内蔵物90の先端部は、接着、ロウ付け、半田付け、又はネジ等により、先端リング66の内周側に接合する。さらに、複数のアングルリング62の基端リング68側に軟性部28を接続する。
【0067】
次いで、
図7A〜
図9Dに示されるように、複数のアングルリング62の内部に位置する操作ワイヤ72の少なくとも一部に、ネット92の外表面側から半径方向内側へ向けてグリス104を押し込み、操作ワイヤ72にグリス104を塗布する(塗布工程)。以下、塗布工程について、より具体的に説明する。本実施形態では、塗布工程は、後述する注入工程とグリス付着工程とを含んでいる。
【0068】
本実施形態では、
図7Aに示されるように、グリス104を吐出する吐出装置としてのグリスガン110を用いて、グリス104をネット92の半径方向内側に圧入する。すなわち、グリスガン110を用いて、ネット92の外表面側から半径方向内側へ向けてグリス104を圧入することによって、グリス104を複数のアングルリング62の内部に注入する(注入工程)。
【0069】
ここで、グリスガン110について説明する。グリスガン110は、グリス104を収容する筒状の容器112と、容器112の下部から上下方向下側に延びた導通部114と、導通部114の先端に設けられた吐出部116と、を備えている。導通部114は、導通孔114Aを備えており、容器112からグリス104が吐出部116に向かって導出される。また、吐出部116は、内径が導通孔114Aの内径よりも大きい吐出口116Aを備えており、吐出口116Aは、下部に開口している。さらに、吐出部116には、吐出口116Aの先端にノズル118が設けられている。また、グリスガン110は、容器112の上側に配置されたピストン120を備えている。ピストン120は、容器112内に挿入されて容器112内のグリス104を押す押圧板120Aを備えている。押圧板120Aの外径は、容器112の内周より僅かに小さく、容器112の内壁に摺動しながら上下方向に移動する。ピストン120は、機械的な構成により下方側に押してもよいし、手動により下方側に押してもよい。ピストン120が下方側に押されることにより、容器112内のグリス104が導通部114を通って吐出部116のノズル118から吐出される。
【0070】
上記のグリスガン110では、吐出口116Aの内径B1は、アングルリング62のガイド部70からアングルリング62の縁部までの寸法A1よりも大きい。これにより、吐出部116からグリス104を吐出したとき、グリス104が隣り合うアングルリング62の間(隙間)からアングルリング62の内部に押し込まれやすい。
【0071】
グリス104としては、例えば、リチウム系、ウレア系、フッ素系などを用いることができる。これらの中で、フッ素系が化学的安定性が高く最も好ましい。また、グリス104としては、25℃における混和ちょう度が180〜420であることが好ましく、200〜400であることがより好ましく、220〜385であることが更に好ましい。混和ちょう度は、数値が小さいとグリスが硬く、数値が大きいと柔らかいことを示す。混和ちょう度は、JIS K 2220ちょう度試験方法に基づいて測定した値である。
【0072】
本実施形態では、複数のアングルリング62を回転及び軸方向に移動させながら、グリスガン110によりグリス104を吐出させることで、ネット92の外表面側からグリス104をネット92の半径方向内側に圧入し、グリス104を複数のアングルリング62の内部に注入する(注入工程)。その際、複数のアングルリング62に対してスポット的にグリス104の圧入を繰り返す。これにより、
図7B〜
図7Dに示されるように、グリス104は、隣り合うアングルリング62の間(隙間)からアングルリング62の内部に入り込み、ガイド部70の周囲に付着する。すなわち、グリス104は、隣り合うアングルリング62の間から内部に入り込んでガイド部70の周囲に回り込む。その際、内蔵物90にグリス104が潰されることで、ガイド部70のガイド孔70Bと操作ワイヤ72との間に入り込みやすくなる。
【0073】
その後、アングルリング接続体65を軸方向に対して湾曲させることで、グリス104を操作ワイヤ72およびガイド部70のガイド孔70Bの内周面に付着させる(グリス付着工程)。
【0074】
例えば、
図8Aには、注入工程で、アングルリング接続体65がストレート状態で、グリス104が操作ワイヤ72に到達した場合が示されている。この場合は、
図8Bに示されるように、アングルリング接続体65を湾曲させることで、操作ワイヤ72が軸方向(矢印B方向)に移動し、グリス104がちぎれて操作ワイヤ72に付着する。
【0075】
図8Cに示されるように、アングルリング接続体65をさらに湾曲させると、グリス104が盛り上がって操作ワイヤ72に付着するグリス104と、ガイド部70に溜まるグリス104と、操作ワイヤ72に残るグリス104などがある。すなわち、グリス104が操作ワイヤ72の移動に伴ってどんどん広がっていき、グリス104が操作ワイヤ72およびガイド部70のガイド孔70B(
図7C参照)の内周面に付着する。
【0076】
例えば、
図9Aには、注入工程では、アングルリング接続体65がストレート状態において、グリス104が操作ワイヤ72に到達しない場合が示されている。この場合は、
図9Bに示されるように、アングルリング接続体65を湾曲させることで、グリス104が盛り上がるのと同時に操作ワイヤ72がグリス104に近づくことで、グリス104が操作ワイヤ72に付着する。さらに、
図9Cに示されるように、アングルリング接続体65の湾曲を戻すことで、操作ワイヤ72が軸方向(矢印C方向)に移動し、グリス104がちぎれて操作ワイヤ72に付着する。
【0077】
これにより、
図9Dに示されるように、グリス104が操作ワイヤ72の移動に伴ってどんどん広がっていき、グリス104が操作ワイヤ72およびガイド部70のガイド孔70B(
図7C参照)の内周面に付着する。
【0078】
なお、本実施形態では、複数のアングルリング62に対してスポット的にグリス104の圧入を繰り返したが、本開示はこの方法に限定するものではない。例えば、グリスガン110を用いてネット92の外表面側から、複数のアングルリング62の半径方向内側の操作ワイヤ72が挿通されている箇所に沿って、グリス104を圧入してもよい。
【0079】
上記の塗布工程の後、ネット92の半径方向外側に、筒状のカバーゴム94(
図4A及び
図4B参照)を被せる(外挿する)(ゴム装着工程)。カバーゴム94は、カバーゴム94の外周側に配置された筒状部材を負圧にすることで、カバーゴム94の内径を拡径させ、この状態でネット92の半径方向外側に配置する。そして、筒状部材の負圧を解除することで、カバーゴム94を縮径させ、ネット92の半径方向外側に被せる。これにより、内視鏡10のアングル部26が作成される。
【0080】
なお、アングルリング接続体65を湾曲させるグリス付着工程は、カバーゴム94を外挿後に実施するのが好ましい。これにより、内部に注入したグリス104がアングルリング接続体65を湾曲することで、ネット92の網目から再び外側に出てくることを防止することができ、作業者の手指にグリス104が付着することが抑制される。また、出てきたグリス104を再度内部に入れる必要が無く、作業性が向上する。
【0081】
上記の内視鏡10のアングル部26では、操作部14(
図1参照)によりアングル部26を上下方向及び左右方向にさらに湾曲させることで、操作ワイヤ72とガイド部70のガイド孔70B(
図5参照)の内周面との間にグリス104が入り込む。また、ピン64と突出部80の貫通孔80A(
図5参照)の壁面との間、突出部80と突出部82との間にもグリス104が入り込む。
【0082】
(作用及び効果)
次に、第1実施形態の作用及び効果について説明する。
【0083】
第1実施形態である内視鏡10の組み立て方法では、グリスガン110によりネット92の外表面側から半径方向内側へ向けてグリス104を圧入し(押し込み)、操作ワイヤ72の少なくとも一部にグリス104を塗布する。このため、上記の内視鏡10の組み立て方法では、グリスを塗布した後に筒状のネットを被せる場合に比べて、内視鏡10の組み立て時に操作ワイヤ72周辺の必要な部分にグリス104を効率的に塗布することができる。
【0084】
例えば、予めグリスや潤滑油を塗布した操作ワイヤを用いてアングル部の組み立てを行うと、特に、操作ワイヤを複数のアングルリングのガイド部に挿通する工程、ネットを被せる工程、内蔵物を挿入する工程などで、グリスや潤滑油が他の構成部品や作業者の手指や治具に付着する可能性がある。例えば、複数のアングルリングの内部の部品に付着することで、作業台や治具等の様々な箇所が汚染され、手指や治具、部品の不要箇所からグリスや潤滑油を除去する作業が必要となり、作業性が低下する。また、接着、ロウ付け、半田付けの箇所にグリスや潤滑油が付着することで、固定強度の低下や除去作業の負担が増加する。また、グリスの場合は、操作ワイヤを複数のアングルリングのガイド部に挿通するときに、グリスが剥離され、十分な量のグリスが操作ワイヤに付着しなくなる可能性がある。
【0085】
これに対し、上記の内視鏡10の組み立て方法では、グリスガン110を用いてグリス104をネット92の外表面側からネット92の半径方向内側に圧入する。さらに、アングルリング接続体65を軸方向に対して湾曲させることで、グリス104を操作ワイヤ72およびガイド部70のガイド孔70Bの内周面に付着させる。これにより、操作ワイヤ72の摺動部分により確実にグリス104が塗布され、操作ワイヤ72周辺の必要な部分にグリス104が効率的に塗布される。また、グリスガン110を用いることで、作業者の手指にグリス104が付着することが抑制され、作業性が向上する。さらにグリス104の塗布後すぐにカバーゴム94を被せることができるので、ネット92表面に付着したグリス104が以降の工程に進む過程で作業台又は治具等に付着することを防止でき、作業性を損なわない。
【0086】
また、上記の内視鏡10の組み立て方法では、グリスガン110によりネット92の外表面側から半径方向内側へ向けてグリス104を圧入し、操作ワイヤ72の少なくとも一部にグリス104を塗布する。このため、グリス104が操作ワイヤ72の素線間やストランド間に溜まりやすく、長期間安定して潤滑性能を維持することができる。
【0087】
また、上記の内視鏡10の組み立て方法では、グリス104の塗布工程の後に、ネット92の半径方向外側にカバーゴム94を被せる。このため、ネット92の半径方向外側にカバーゴム94を被せるときに、グリス104がこそぎ取られることが抑制される。
【0088】
また、上記の内視鏡10の組み立て方法では、ネット92等の取り付け工程とグリス104の塗布工程との間に、内蔵物90を複数のアングルリング62の半径方向内側に挿入する。これにより、内蔵物90を複数のアングルリング62の半径方向内側に挿入した後で、ネット92の外表面側からグリス104を押し込むので、内蔵物90の挿入時に内蔵物90の先端側の端部等のアングル部26以外の範囲にグリス104が付着することが回避される。
【0089】
なお、第1実施形態では、吐出装置として、グリスガン110が用いられているが、シリンジ、ディスペンサーなどの吐出装置でグリス104を圧入してもよい。
【0090】
また、第1実施形態では、塗布工程は、注入工程とグリス付着工程とを含んでいるが、本開示は、この方法に限定するものではない。例えば、グリスガンを用いてグリスをネットの外表面側から圧入したときに、グリスがアングルリングの内部のガイド部の周囲に付着しやすい場合は、上記のアングルリング接続体を湾曲させるグリス付着工程を設けなくてもよい。
【0091】
〔第2実施形態の内視鏡の組み立て方法〕
次に、
図10〜
図11を用いて、本開示の第2実施形態である内視鏡10の組み立て方法について説明する。なお、第2実施形態において、第1実施形態と同一の構成要素、部材等を有する場合は、同一符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0092】
図10に示されるように、まず、複数のアングルリング62をピン64で接続する(接続工程)。次いで、複数のアングルリング62の半径方向内側(内周方向)に突出させたガイド部70のガイド孔70B(
図5参照)に操作ワイヤ72を挿通する(取り付け工程)。また、複数のアングルリング62の外周に筒状のネット92を被せる(外挿する)(取り付け工程)。次いで、内蔵物90を複数のアングルリング62の半径方向内側に挿入し(挿入工程)、先端リング66の内周側に内蔵物90の先端部を接合する。すなわち、第2実施形態の内視鏡10の組み立て方法において、上記の接続工程から上記の挿入工程までは、第1実施形態と同じである。なお、これらの工程の中に、複数のアングルリング62の基端リング68側に軟性部28を接続する工程も含まれる。
【0093】
第2実施形態の内視鏡10の組み立て方法では、上記の挿入工程の後の塗布工程が第1実施形態と異なる。
図10に示されるように、ネット92の外表面側からグリス104を塗布する。グリス104は、例えば、図示しないシリンジ等を使用して、少なくとも4本の操作ワイヤ72の外側に塗布する。また、例えば、複数のアングルリング62を回転及び軸方向に移動させながら、グリス104を少なくとも4本の操作ワイヤ72の外側に塗布してもよい。その後、
図11に示されるように、押込み治具としてのヘラ130を用いてグリス104をネット92の目を通してネット92の半径方向内側へ押し込む(塗布工程における注入工程)。ヘラ130は、支持棒130Aの先端に支持されたゴム製の板状部130Bを備えている。例えば、複数のアングルリング62を回転及び軸方向に移動させながら、ヘラ130を用いてグリス104をネット92の半径方向内側へ押し込むことで、グリス104を複数のアングルリング62の内部に注入する(注入工程)。これにより、グリス104が、隣り合うアングルリング62の間(隙間)からアングルリング62の内部に入り込み、ガイド部70の周囲に付着する。その際、内蔵物90にグリス104が潰されることで、ガイド部70のガイド孔70B(
図5参照)と操作ワイヤ72との間に入り込みやすくなる。
【0094】
その後、図示を省略するが、アングルリング接続体65を軸方向に対して湾曲させることで、グリス104を操作ワイヤ72およびガイド部70のガイド孔70B(
図5参照)の内周面に付着させる(塗布工程におけるグリス付着工程)。
【0095】
上記の塗布工程の後、ネット92の半径方向外側に、筒状のカバーゴム94(
図4A及び
図4B参照)を被せる(外挿する)(ゴム装着工程)。これにより、内視鏡10のアングル部26が作成される。
【0096】
なお、アングルリング接続体65を湾曲させるグリス付着工程は、カバーゴム94を外挿後に実施するのが好ましい。これにより、内部に注入したグリス104がアングルリング接続体65を湾曲することで、ネット92の網目から再び外側に出てくることを防止することができ、作業者の手指にグリス104が付着することが抑制される。また、出てきたグリス104を再度内部に入れる必要が無く、作業性が向上する。
【0097】
第2実施形態である内視鏡10の組み立て方法では、ヘラ130によりネット92の外表面側から半径方向内側へ向けてグリス104を押し込み、操作ワイヤ72の少なくとも一部にグリス104を塗布する。このため、上記の内視鏡10の組み立て方法では、グリスを塗布した後に筒状のネットを被せる場合に比べて、内視鏡10の組み立て時に操作ワイヤ72周辺の必要な部分にグリス104を効率的に塗布することができる。
【0098】
また、上記の内視鏡10の組み立て方法では、塗布工程で、ネット92の外表面側からグリス104を塗布し、ヘラ130にてグリス104をネット92の目を通してネット92の半径方向内側へ押し込む。これにより、操作ワイヤ72の摺動部分により確実にグリス104が塗布され、操作ワイヤ72周辺の必要な部分にグリス104が効率的に塗布される。
【0099】
なお、第2実施形態では、
図10に示す工程でネット92の外表面側からグリス104を塗布するときに、例えば、複数のアングルリング62の半径方向内側の操作ワイヤ72が挿通されている箇所に沿って、グリス104を塗布してもよい。
【0100】
また、第2実施形態では、塗布工程は、注入工程とグリス付着工程とを含んでいるが、本開示は、この方法に限定するものではない。例えば、ヘラを用いてグリスをネットの外表面側から押し込むときに、グリスがアングルリングの内部のガイド部の周囲に付着しやすい場合は、上記のアングルリング接続体を湾曲させるグリス付着工程を設けなくてもよい。
【0101】
〔第3実施形態の内視鏡の組み立て方法〕
次に、
図12〜
図15を用いて、本開示の第3実施形態である内視鏡10の組み立て方法について説明する。なお、第3実施形態において、第1及び第2実施形態と同一の構成要素、部材等を有する場合は、同一符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0102】
図12に示されるように、まず、複数のアングルリング62をピン64で接続する(接続工程)。次いで、複数のアングルリング62の半径方向内側(内周方向)に突出させたガイド部70のガイド孔70B(
図5参照)に操作ワイヤ72を挿通する(取り付け工程)。また、複数のアングルリング62の外周に筒状のネット92を被せる(外挿する)(取り付け工程)。次いで、内蔵物90を複数のアングルリング62の半径方向内側に挿入し(挿入工程)、先端リング66の内周側に内蔵物90の先端部を接合する。すなわち、第3実施形態の内視鏡10の組み立て方法において、上記の接続工程から上記の挿入工程までは、第1実施形態と同じである。なお、これらの工程の中に、複数のアングルリング62の基端リング68側に軟性部28を接続する工程も含まれる。
【0103】
第3実施形態の内視鏡10の組み立て方法では、上記の挿入工程の後の塗布工程が第1実施形態と異なる。
図12に示されるように、塗布工程では、まず、ネット92の外表面側からグリス104を塗布する(第1工程)。グリス104は、例えば、図示しないシリンジ等を使用して、少なくとも4本の操作ワイヤ72の外側に塗布する。
【0104】
次いで、
図13に示されるように、ネット92の外周に収縮前の熱収縮チューブ140を被せる(第2工程)。さらに、
図14に示されるように、熱収縮チューブ140を熱により収縮させ、グリス104をネット92の目を通してネット92の半径方向内側へ押し込む(第3工程)。これにより、グリス104が、隣り合うアングルリング62の間(隙間)からアングルリング62の内部に入り込み、ガイド部70の周囲に付着する。その際、内蔵物90にグリス104が潰されることで、ガイド部70のガイド孔70B(
図5参照)と操作ワイヤ72との間に入り込みやすくなる。本実施形態では、この第3工程は、グリス104を注入する注入工程に該当する。ここで、熱収縮チューブ140は、熱を加えることで収縮するプラスチックフィルムを用いて成形されている。熱収縮チューブ140は、熱処理によって一例として最大で60〜70%収縮する性質を有している。
【0105】
さらに、
図15に示されるように、ネット92の外周側の熱収縮チューブ140(
図14参照)を除去する(第4工程)。熱収縮チューブ140は、例えば、軸方向に沿ってカッタにより切断することで、ネット92の外周面(すなわち、外表面側)から除去する。さらに、図示を省略するが、アングルリング接続体65を軸方向に対して湾曲させることで、グリス104を操作ワイヤ72およびガイド部70のガイド孔70B(
図5参照)の内周面に付着させる(グリス付着工程)。本実施形態では、グリス付着工程は、第4工程の後に行っているが、第4工程の前に行ってもよい。以上で塗布工程が終了する。
【0106】
上記の塗布工程の後、ネット92の半径方向外側に、筒状のカバーゴム94(
図4A及び
図4B参照)を被せる(外挿する)(ゴム装着工程)。これにより、内視鏡10のアングル部26が作成される。
【0107】
なお、アングルリング接続体65を湾曲させるグリス付着工程は、カバーゴム94を外挿後に実施するのが好ましい。これにより、内部に注入したグリス104がアングルリング接続体65を湾曲することで、ネット92の網目から再び外側に出てくることを防止することができ、作業者の手指にグリス104が付着することが抑制される。また、出てきたグリス104を再度内部に入れる必要が無く、作業性が向上する。
【0108】
第3実施形態である内視鏡10の組み立て方法では、熱収縮チューブ140によりネット92の外表面側から半径方向内側へ向けてグリス104を押し込み、操作ワイヤ72の少なくとも一部にグリス104を塗布する。このため、上記の内視鏡10の組み立て方法では、グリスを塗布した後に筒状のネットを被せる場合に比べて、内視鏡10の組み立て時に操作ワイヤ72周辺の必要な部分にグリス104を効率的に塗布することができる。
【0109】
また、上記の内視鏡10の組み立て方法では、熱収縮チューブ140によりネット92の外表面側からグリス104を押し込み、さらにアングルリング接続体65を湾曲させる。これにより、操作ワイヤ72の摺動部分により確実にグリス104が塗布され、操作ワイヤ72周辺の必要な部分にグリス104が効率的に塗布される。また、熱収縮チューブ140を用いることで、作業者の手指にグリス104が付着することが抑制され、作業性が向上する。
【0110】
なお、本実施形態では、
図12に示す第1工程でネット92の外表面側からグリス104を塗布するときに、例えば、複数のアングルリング62の半径方向内側の操作ワイヤ72が挿通されている箇所に沿って、グリス104を塗布してもよい。
【0111】
また、第3実施形態では、塗布工程は、注入工程とグリス付着工程とを含んでいるが、本開示は、この方法に限定するものではない。例えば、熱収縮チューブを用いてグリスをネットの外表面側から押し込むときに、グリスがアングルリングの内部のガイド部の周囲に付着しやすい場合は、上記のアングルリング接続体を湾曲させるグリス付着工程を設けなくてもよい。
【0112】
〔第4実施形態の内視鏡の組み立て方法〕
次に、
図16〜
図19を用いて、本開示の第4実施形態である内視鏡10の組み立て方法について説明する。なお、第4実施形態において、第1〜第3実施形態と同一の構成要素、部材等を有する場合は、同一符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0113】
図16に示されるように、まず、複数のアングルリング62をピン64で接続する(接続工程)。次いで、複数のアングルリング62の半径方向内側(内周方向)に突出させたガイド部70のガイド孔70B(
図5参照)に操作ワイヤ72を挿通し、かつ、複数のアングルリング62の外周に筒状のネット92を被せる(外挿する)(取り付け工程)。次いで、内蔵物90を複数のアングルリング62の半径方向内側に挿入し(挿入工程)、先端リング66の内周側に内蔵物90の先端部を接合する。すなわち、第4実施形態の内視鏡10の組み立て方法において、上記の接続工程から上記の挿入工程までは、第1実施形態と同じである。なお、これらの工程の中に、複数のアングルリング62の基端リング68側に軟性部28を接続する工程も含まれる。
【0114】
第4実施形態の内視鏡10の組み立て方法では、上記の挿入工程の後の塗布工程が第1実施形態と異なる。
図16に示されるように、塗布工程では、まず、ネット92の外表面側からグリス104を塗布する(第1工程)。グリス104は、例えば、図示しないシリンジ等を使用して、少なくとも4本の操作ワイヤ72の外側に塗布する。
【0115】
次いで、
図17に示されるように、筒状のカバーゴム94の外周側に筒状部材150を配置する。そして、カバーゴム94の軸方向の両端部を押し返して、筒状部材150の軸方向の両側の縁部150Aに引っ掛ける。筒状部材150の軸方向の中間部には、内部の空気を吸引する吸引管150Bが形成されている。そして、吸引手段(図示省略)により吸引管150Bから筒状部材150の内部の空気を吸引し、筒状部材150の内部を負圧にすることで、カバーゴム94の外周面が筒状部材150の内周面に密着し、カバーゴム94の内径が大きくなる。
【0116】
図18に示されるように、カバーゴム94の内径を大きくした状態で、カバーゴム94をネット92の半径方向外側に外挿する。その後、
図19に示されるように、筒状部材150の負圧を解除することで、カバーゴム94を収縮させてネット92に被せる。これにより、カバーゴム94によりグリス104をネット92の目を通してネット92の半径方向内側へ押し込む(押込み工程)。これにより、グリス104が、隣り合うアングルリング62の間(隙間)からアングルリング62の内部に入り込み、ガイド部70の周囲に付着する。その際、内蔵物90にグリス104が潰されることで、ガイド部70のガイド孔70B(
図5参照)と操作ワイヤ72との間に入り込みやすくなる。本実施形態では、この押込み工程は、グリス104を注入する注入工程に該当する。
【0117】
さらに、図示を省略するが、押込み工程の後に、アングルリング接続体65を軸方向に対して湾曲させることで、グリス104を操作ワイヤ72およびガイド部70のガイド孔70B(
図5参照)の内周面に付着させる(グリス付着工程)。以上で塗布工程が終了する。この塗布工程では、ネット92の半径方向外側にカバーゴム94を被せるゴム装着工程を兼ねている。これにより、内視鏡10のアングル部26が作成される。
【0118】
第4実施形態である内視鏡10の組み立て方法では、カバーゴム94によりネット92の外表面側から半径方向内側へ向けてグリス104を押し込み、操作ワイヤ72の少なくとも一部にグリス104を塗布する。このため、上記の内視鏡10の組み立て方法では、グリスを塗布した後に筒状のネットを被せる場合に比べて、内視鏡10の組み立て時に操作ワイヤ72周辺の必要な部分にグリス104を効率的に塗布することができる。
【0119】
また、上記の内視鏡10の組み立て方法では、カバーゴム94によりネット92の外表面側からグリス104を押し込み、さらにアングルリング接続体65を湾曲させる。これにより、操作ワイヤ72の摺動部分により確実にグリス104が塗布され、操作ワイヤ72周辺の必要な部分にグリス104が効率的に塗布される。また、カバーゴム94により作業者の手指にグリス104が付着することが抑制され、作業性が向上する。さらに、カバーゴム94を被せる工程を兼ねることができ、作業性がより向上する。
【0120】
なお、第4実施形態では、
図16に示す第1工程でネット92の外表面側からグリス104を塗布するときに、例えば、複数のアングルリング62の半径方向内側の操作ワイヤ72が挿通されている箇所に沿って、グリス104を塗布してもよい。
【0121】
また、第4実施形態では、塗布工程は、注入工程とグリス付着工程とを含んでいるが、本開示は、この方法に限定するものではない。例えば、カバーゴムを用いてグリスをネットの外表面側から押し込むときに、グリスがアングルリングの内部のガイド部の周囲に付着しやすい場合は、上記のアングルリング接続体を湾曲させるグリス付着工程を設けなくてもよい。
【0122】
なお、上記の第1〜第4実施形態において、内視鏡10を構成するアングルリング62の形状、ピン64の位置や形状、ガイド部70の位置や形状などは、変更が可能である。例えば、内視鏡10では、ピン64の内周側にガイド部70が設けられていたが、本開示はこの構成に限定されるものではなく、アングルリングにピンとは別に、操作ワイヤを挿通するガイド部を設けてもよい。また、操作ワイヤ72の本数も変更が可能である。
【0123】
なお、本開示の方法によれば、内蔵物90同士、内蔵物90とアングルリング62、内蔵物90とガイド部70、内蔵物90と取付リング102、内蔵物90とワイヤ72、ワイヤ72と取付リング102、アングルリング62同士、アングルリング62とピン64、アングルリング62とネット92、ピン64とネット92、ネット92の素線同士、ネット92とカバーゴム94の間の潤滑もグリス104が担うことが可能である。
【0124】
以上、本開示の実施例について記述したが、本開示は上記の実施例に何ら限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得ることは言うまでもない。