(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6780241
(24)【登録日】2020年10月19日
(45)【発行日】2020年11月4日
(54)【発明の名称】通信光可視化パッチパネル
(51)【国際特許分類】
G02B 6/46 20060101AFI20201026BHJP
G02B 6/36 20060101ALI20201026BHJP
【FI】
G02B6/46
G02B6/36
【請求項の数】3
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-244308(P2015-244308)
(22)【出願日】2015年12月15日
(65)【公開番号】特開2017-111235(P2017-111235A)
(43)【公開日】2017年6月22日
【審査請求日】2018年10月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005083
【氏名又は名称】日立金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100068021
【弁理士】
【氏名又は名称】絹谷 信雄
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 香菜子
(72)【発明者】
【氏名】大越 幹夫
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 哲朗
【審査官】
岸 智史
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−241691(JP,A)
【文献】
特開2014−197043(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0027953(US,A1)
【文献】
特開2015−001594(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0200294(US,A1)
【文献】
K. Suzuki et al.,Development of LC Type Optical Visual Connection Identifier (V.C.I) For Multimode Fiber,OFC 2014,2014年 3月 9日,W2A.22
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/26−6/43,6/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光通信路を通じて伝送される通信光の一部を漏洩光として取り出すための複数の通信光可視化アダプタが整列して実装され、複数段に亘って階段状に位置をずらして配置される複数のパネルと、
複数の前記パネルとそれぞれ一体的に形成され、当該パネルを起立させる底面として機能すると共に前記パネルから延在する配線が収容される複数の配線用棚板とを備えた通信光可視化パッチパネルであって、
複数の前記配線用棚板は、それぞれ前記収容される配線が落ちないように折り曲げられた前端を有し、
複数の前記パネルは、相互に別体として形成され、
前記通信光可視化パッチパネルは、複数の前記パネルが相互に分離可能となるように組み立てられている
ことを特徴とする通信光可視化パッチパネル。
【請求項2】
複数の前記配線用棚板は、それぞれ複数の貫通孔を有する
請求項1に記載の通信光可視化パッチパネル。
【請求項3】
複数の前記通信光可視化アダプタは、千鳥配列で整列して実装される
請求項1または2に記載の通信光可視化パッチパネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光通信路における通信状況の目視確認を目的として光通信路を通じて伝送される通信光の可視化を実現する通信光可視化パッチパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、光通信関連設備においては、光通信路における通信状況(例えば、光通信路が使用中であるか否か)の目視確認を目的として光通信路を通じて伝送される通信光の可視化を実現する通信光可視化技術が採用されている。
【0003】
通信光可視化技術としては、例えば、光通信路を通じて伝送される通信光の一部を漏洩光として取り出すための通信光可視化アダプタと、通信光可視化アダプタを通じて取り出される漏洩光を受光して光通信路における通信状況を検知すると共にその結果を人間が目視確認できる形態で出力するための通信光検知器と、を備える通信光可視化構造が知られている(例えば、特許文献1乃至5を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−145676号公報
【特許文献2】特開2010−231082号公報
【特許文献3】特開2011−013359号公報
【特許文献4】特開2011−013360号公報
【特許文献5】特開2013−228678号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通信光可視化構造においては、光通信路における通信状況の目視確認を行う際に、通信光検知器を通信光可視化アダプタに嵌挿するための嵌挿空間を確保する必要があるが、複数の通信光可視化アダプタが整列して実装される通信光可視化パッチパネルを複数段に積層して配置しようとすると、嵌挿空間を十分に確保することができなくなるため、通信光可視化アダプタの高密度実装を目指す上で障害となっている。
【0006】
そこで、本発明の目的は、複数段に積層して配置することができ、通信光可視化アダプタの高密度実装を実現することが可能な通信光可視化パッチパネルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、光通信路を通じて伝送される通信光の一部を漏洩光として取り出すための複数の通信光可視化アダプタが整列して実装されると共に複数段に亘って階段状に位置をずらして配置される複数のパネルを備える通信光可視化パッチパネルである。
【0008】
前記パネルを起立させる底面として機能すると共に前記パネルから延在する配線が収容される配線用棚板を更に備えることが望ましい。
【0009】
前記配線用棚板は、複数の貫通孔を有することが望ましい。
【0010】
複数の前記パネルは、相互に別体として形成されることが望ましい。
【0011】
複数の前記通信光可視化アダプタは、千鳥配列で整列して実装されることが望ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、複数段に積層して配置することができ、通信光可視化アダプタの高密度実装を実現することが可能な通信光可視化パッチパネルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施の形態に係る通信光可視化パッチパネルの構造を示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る通信光可視化パッチパネルの構造を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に順って説明する。
【0015】
図1,2に示す通り、本発明の実施の形態に係る通信光可視化パッチパネル100は、光通信路を通じて伝送される通信光の一部を漏洩光として取り出すための複数の通信光可視化アダプタ101が整列して実装されると共に複数段に亘って階段状に位置をずらして配置される複数のパネル102を備えている。
【0016】
通信光可視化アダプタ101は、例えば、光ファイバからなる光通信路を光学的に接続するための1組のSCフェルールを内装している。1組のSCフェルールは、両端に研磨が施されており、光通信路の光軸をずらすために少しだけずらして突合接続されている。これにより、光通信路を通じて伝送される通信光の一部を漏洩光として取り出すことが可能となる。
【0017】
また、通信光可視化アダプタ101は、漏洩光を通信光可視化アダプタ101の内部から外部に向けて導光して取り出すための光取出孔を有している。通信光可視化アダプタ101の光取出孔に通信光検知器の受光素子が嵌挿されるように、通信光可視化アダプタ101に通信光検知器が取り付けられる。
【0018】
通信光検知器は、通信光可視化アダプタ101を通じて取り出される漏洩光を受光して光通信路における通信状況を検知すると共にその結果を人間が目視確認できる形態で出力する。これにより、光通信路における通信状況の目視確認を目的として光通信路を通じて伝送される通信光の可視化を実現することが可能となる。
【0019】
更に、複数の通信光可視化アダプタ101は、所定の配列(例えば、千鳥配列や並列配列)で整列してパネル102に実装されている。このとき、複数の通信光可視化アダプタ101を千鳥配列で整列してパネル102に実装することにより、複数の通信光可視化アダプタ101を並列配列で整列してパネル102に実装する場合と比較して通信光可視化アダプタ101の高密度実装を実現することが可能となる。
【0020】
即ち、複数の通信光可視化アダプタ101を並列配列とした場合は、通信光可視化アダプタ101とその隣の通信光可視化アダプタ101との間に距離を設ける必要があるが、複数の通信光可視化アダプタ101を千鳥配列とした場合は、通信光可視化アダプタ101とその隣の通信光可視化アダプタ101との間に距離を設ける必要が無く、通信光可視化アダプタ101の高密度実装を実現することができる。
【0021】
複数のパネル102は、相互に別体として形成されている。これにより、複数のパネル102を容易に分離させたり組み立てたりすることができるため、メンテナンスや多段積層を容易に実現することが可能となる。
図1,2では、2つのパネル102を上下二段に積層しているが、三段以上に積層しても構わない。また、複数のパネル102は、ラッチ103により組み立て可能に構成されている。
【0022】
また、通信光可視化パッチパネル100は、パネル102を起立させる底面として機能すると共にパネル102から延在する配線が収容される配線用棚板104を更に備えている。配線用棚板104は、パネル102と一体的に形成されても良く、一枚の金属板材をプレス成形すること等によって製造することができる。配線用棚板104の前端105は、配線用棚板104に収容される配線が配線用棚板104から落ちないように折り曲げられている。
【0023】
なお、最下段の配線用棚板104は、後端106も折り曲げられており、その中央付近にパネル102が起立して設置されている。このとき、パネル102は、配線用棚板104の両側端から起立する側壁107にビス留め等により取り付けられる。側壁107には、通信光可視化パッチパネル100をサーバラック等に取り付けるためのフランジ108が設けられている。
【0024】
また、配線用棚板104は、複数の貫通孔109を有しており、配線用棚板104に収容される配線を面ファスナーやインシュロックで固定できるようになっている。これにより、配線の位置ずれや作業者の手等が引っかかることによる配線の断線等を防止することが可能となる。
【0025】
以上の通り、通信光可視化パッチパネル100によれば、複数のパネル102が複数段に亘って階段状に位置をずらして配置されているため、通信光可視化アダプタ101の嵌挿空間を確実に確保することが可能となる。そのため、本発明によれば、複数段に積層して配置することができ、通信光可視化アダプタ101の高密度実装を実現することが可能な通信光可視化パッチパネルを提供することができる。
【符号の説明】
【0026】
100 通信光可視化パッチパネル
101 通信光可視化アダプタ
102 パネル
103 ラッチ
104 配線用棚板
105 前端
106 後端
107 側壁
108 フランジ
109 貫通孔