特許第6780328号(P6780328)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本ゼオン株式会社の特許一覧
<>
  • 特許6780328-結石除去用バルーンカテーテル 図000002
  • 特許6780328-結石除去用バルーンカテーテル 図000003
  • 特許6780328-結石除去用バルーンカテーテル 図000004
  • 特許6780328-結石除去用バルーンカテーテル 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6780328
(24)【登録日】2020年10月19日
(45)【発行日】2020年11月4日
(54)【発明の名称】結石除去用バルーンカテーテル
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/22 20060101AFI20201026BHJP
   A61M 25/10 20130101ALI20201026BHJP
【FI】
   A61B17/22
   A61M25/10 510
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-134565(P2016-134565)
(22)【出願日】2016年7月6日
(65)【公開番号】特開2018-757(P2018-757A)
(43)【公開日】2018年1月11日
【審査請求日】2019年4月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000229117
【氏名又は名称】日本ゼオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】品川 裕希
【審査官】 山口 賢一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−194167(JP,A)
【文献】 特開2016−101273(JP,A)
【文献】 特表2016−501696(JP,A)
【文献】 特開2013−056162(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/22
A61M 25/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠位端部と近位端部とを有するカテーテルチューブと、
前記カテーテルチューブの遠位端部に取り付けられた筒状のバルーンとを有する結石除去用バルーンカテーテルであって、
前記バルーンは、前記カテーテルチューブの外周面と接合されている接合部と、内部空間に流体が導入されることにより膨張可能な膨張部とを有し、
前記膨張部が、前記カテーテルチューブの軸心に対して偏心して膨らむように、前記バルーンの周方向の一部には、偏心膨張手段が具備してあり、
前記偏心膨張手段が、前記バルーンを構成する材料よりも大きい弾性率を有する材料で構成された細長い部材からなり、前記バルーンの長手方向に沿って、前記バルーンの膜内に一体的に埋設された膨張規制部材であり、
前記バルーンが、前記膨張規制部材が埋設された部分では膨張が規制され、前記カテーテルチューブの軸心に対して偏心して膨張し、前記膨張規制部材の反対側に最大膨らみ部を有していることを特徴とする結石除去用バルーンカテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば胆管などに生じた結石を除去するために用いられる結石除去用バルーンカテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
胆管内に生じた結石、すなわち、胆石を体外に取り出して除去する方法としては、幾つかの方法が知られているが、その一つとして、バルーンカテーテルを用いる方法が知られている。バルーンカテーテルを用いて胆石を胆管内から除去する際は、まず、内視鏡を通して、バルーンを収縮させた状態のバルーンカテーテルを胆管内に挿入して、バルーンを除去すべき胆石の位置より、奥に位置させる。次いで、バルーンを膨張させてから、バルーンカテーテルを引き戻すと、バルーンで胆石を掻き出すようにして、胆管外に排出することができる。
【0003】
このように胆石を除去するために用いられる結石除去用バルーンカテーテルとしては、たとえば、特許文献1に記載された構造を有するものが知られている。この文献に記載されたバルーンカテーテルでは、カテーテルチューブの先端部(遠位端部)に、伸縮性材料からなる円筒形状のバルーンが接合されており、このバルーンの内部に流体を導入することにより、バルーンを膨張させる。そして、結石の逃げを抑制して、結石の除去性能を向上するため、バルーンの上から固定用テープを貼付して、バルーンがカテーテルチューブの軸心に対して偏心して膨らむようにている。
【0004】
しかしながら、従来技術では、バルーンがカテーテルチューブの軸心に対して偏心して膨らむようにするための部材としての固定用テープを、バルーンの上から貼付する必要があり、組立時における部品点数や組立工数が多いという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−194166号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、組立時における部品点数や組立工数の削減を図ることができ、しかもバルーンがカテーテルチューブの軸心に対して偏心して膨らむようにすることができる結石除去用バルーンカテーテルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る結石除去用バルーンカテーテルは、
遠位端部と近位端部とを有するカテーテルチューブと、
前記カテーテルチューブの遠位端部に取り付けられた筒状のバルーンとを有する結石除去用バルーンカテーテルであって、
前記バルーンは、前記カテーテルチューブの外周面と接合されている接合部と、内部空間に流体が導入されることにより膨張可能な膨張部とを有し、
前記膨張部が、前記カテーテルチューブの軸心に対して偏心して膨らむように、前記バルーンの周方向の一部には、偏心膨張手段が具備してあり、
前記偏心膨張手段が、前記バルーンを構成する材料よりも大きい弾性率を有する材料で構成された細長い部材からなり、前記バルーンの長手方向に沿って、前記バルーンの膜内に一体的に埋設された膨張規制部材であり、
前記バルーンが、前記膨張規制部材が埋設された部分では膨張が規制され、前記カテーテルチューブの軸心に対して偏心して膨張し、前記膨張規制部材の反対側に最大膨らみ部を有していることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る結石除去用バルーンカテーテルでは、バルーンがカテーテルチューブの軸心に対して偏心して膨らむようにするための部材としての膨張規制部材を、バルーンの膜内に一体的に接合された状態で埋設している。したがって、バルーンと膨張規制部材とは一体化されて単一の部品とされているため、組立時における部品点数や組立工数を削減できる。また、膨張規制部材がバルーンの膜内に埋設されているため、膨張規制部材がバルーンから外れることはない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は本発明の一実施形態に係る結石除去用バルーンカテーテルの概略斜視図である。
図2図2図1に示す結石除去用バルーンカテーテルの概略縦断面図である。
図3図3図2に示すIII−III線に沿う横断面図である。
図4図4は本発明の他の実施形態に係る結石除去用バルーンカテーテルの概略横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1および図2に示すように、本発明の一実施形態に係る結石除去用バルーンカテーテル1は、カテーテルチューブ5と、バルーン2とを有する。カテーテルチューブ5は、可撓性材料によって形成されたチューブであって、体内に挿入される側の端部である遠位端部7と、その他端側に位置する近位端部(図示省略)とを有している。このカテーテルチューブ5の外径は、通常、1.0〜3.0mmであり、全長は、通常、500〜2500mmである。
【0011】
また、カテーテルチューブ5の材料は、可撓性を有する材料であれば特に限定されないが、高分子材料であることが好ましく、なかでも、ポリアミド樹脂あるいはポリアミド系エラストマーであることが特に好ましい。
【0012】
カテーテルチューブ5の内部には、図2に示すように、バルーンルーメン8と、造影剤ルーメン9と、ガイドワイヤルーメン10とが形成されている。バルーンルーメン8は、バルーン2を膨張させるために用いる空気等の流体をバルーン2の内部空間24に送るための流路となるルーメンである。このバルーンルーメン8は、カテーテルチューブ5の近位端から、カテーテルチューブ5の遠位端部7の途中まで延びており、バルーン2の内部空間24に開口するように設けられた流体導出口11と導通している。
【0013】
造影剤ルーメン9は、結石50の位置を確認する等の目的で、体内のX線造影を行う場合に、造影剤の流路として用いるルーメンである。この造影剤ルーメン9は、カテーテルチューブ5の近位端から、カテーテルチューブ5の遠位端部7の噴出口12まで貫通している。噴出口12は、バルーン2より近位端側に位置するように設けられた開口である。なお、噴出口は、バルーン2より遠位端側に位置するように設けられた開口であってもよい。
【0014】
また、ガイドワイヤルーメン10は、結石除去用バルーンカテーテル1をガイドワイヤに沿わせて体内に挿入する際に、ガイドワイヤを挿通させるルーメンであり、カテーテルチューブ5の近位端から遠位端開口10aまで貫通している。なお、カテーテルチューブ5において、造影剤ルーメン9およびガイドワイヤルーメン10は必ずしも設ける必要はなく、また、上記した機能以外の機能を有する他のルーメンを形成することも可能である。
【0015】
バルーンルーメン8、造影剤ルーメン9およびガイドワイヤルーメン10の断面形状は、いずれも限定されず、それぞれをカテーテルチューブ5内に効率的に配置できる形状とすればよい。但し、ガイドワイヤルーメン10については、断面形状が円形であることが好ましい。また、バルーンルーメン8の断面積は、0.03〜0.3mm、造影剤ルーメン9の断面積は、0.08〜0.8mm、ガイドワイヤルーメン10の断面積は、0.5〜1.0mmであることがそれぞれ好ましい。
【0016】
結石除去用バルーンカテーテル1のバルーン2は、カテーテルチューブ5の遠位端部に流体導出口11を覆うように取り付けられている。このバルーン2は、伸縮性材料により形成されていて、カテーテルチューブ5のバルーンルーメン8を介して、内部に流体が導入されることにより膨張されるようになっている。この膨張したバルーン2によって、結石50を掻き出したり、押し出したりして、体内の結石50の除去を行うことができる。
【0017】
バルーン2を形成する伸縮性材料としては、100%モジュラス(JIS K 6251に準拠して測定した値)が、0.1〜10Mpaであるものが好ましく、1〜5Mpaであるものが特に好ましい。100%モジュラスが小さすぎると、バルーン2の強度が不足するおそれがあり、大きすぎると、バルーン2を十分な大きさに膨張できなくなるおそれがある。また、バルーン2を形成するために好適な伸縮性材料の具体例としては、天然ゴム、シリコーンゴム、ポリウレタンエラストマー等が挙げられる。
【0018】
図1図3に示すように、バルーン2は、全体として筒状であり、その両端部にカテーテルチューブ5の外周面と接合される接合部4a,4bが形成されている。
【0019】
バルーン2の膨張部3の両端側に位置する接合部4a,4bの形状は、カテーテルチューブ5の遠位端部7に接合可能な形状であれば特に限定されないが、円筒形であることが好ましい。バルーン2の接合部4a,4bが円筒形である場合、その内径はカテーテルチューブ5の外径とほぼ等しいことが好ましく、その長さは、0.5〜5mmであることが好ましい。また、バルーン2の接合部4a,4bの肉厚は、特に限定されず、たとえば、膨張部3と実質的に等しくすればよい。なお、バルーン2の接合部4a,4bとカテーテルチューブ5の遠位端部7とを接合する手法は、特に限定されず、たとえば、接着剤による接着、熱融着、溶剤による溶着、超音波溶着などを挙げることができる。
【0020】
バルーン2において、接合部4a,4bの間には、内部空間24に流体が導入されることにより膨張する膨張部3が形成されている。図1図3では、膨張されたバルーン2が示されている。
【0021】
バルーン2の膨張部3は、膨らんだ状態での最大外径が、萎んだ状態での外径の200〜1500%であることが好ましい。この比率が小さすぎると、バルーン2が十分な大きさに膨張しないおそれがあり、大きすぎると、結石除去用バルーンカテーテル1を体内に挿入する際にバルーン2が邪魔になるおそれがある。また、バルーン2における膨張部3の長さ(カテーテルチューブ5の軸方向に沿った長さ)は、5〜20mmが好ましく、肉厚は、0.10〜0.50mmであることが好ましい。バルーン2の肉厚は、周方向に沿って均一であることが好ましい。
【0022】
本実施形態では、膨張部3がカテーテルチューブ5の軸心に対して偏心して膨らむように、バルーン2の周方向の一部に具備された偏心膨張手段として、膨張規制部材20を備えている。膨張規制部材20は、バルーン2を構成する材料よりも大きい弾性率を有する(伸び難い)材料からなる細長い部材であり、バルーン2の長手方向に沿って、バルーン2の膜内にその側面の全体が一体的に接合された状態で埋設されている。この膨張規制部材20により、バルーン2内に流体が導入された際に、バルーン2が、膨張規制部材20が埋設された部分では膨張が規制され、カテーテルチューブ5の軸心に対して偏心して膨張し、膨張規制部材20の反対側に最大膨らみ部を有するように膨張する。バルーン2を構成する材料の弾性率は、一般的には、3〜20MPaであり、膨張規制部材20を構成する材料の弾性率は、バルーン2を構成する材料の弾性率よりも30%以上高いことが好ましい。
【0023】
膨張規制部材20を構成する材料は、バルーン2を構成する材料よりも弾性率が高い材料であれば特に限定されず、たとえばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエーテルエーテルケトンなどの高分子材料、あるいは鉄、ステンレス鋼、金、白金、タンタル、タングステン、ニッケルチタン合金などの金属を挙げることができる。また、膨張規制部材20の形状も、特に限定されず、たとえば、棒状、糸状、撚り線状、板状を挙げることができる。
【0024】
本実施形態では、膨張規制部材20は、バルーン2の軸方向に渡っており、バルーン2の膜内にその側部全体が完全に埋没した状態で、該バルーン2と一体的に接合されている。なお、膨張規制部材20は、バルーン2の膜内にその側面全体が完全に埋没した状態であることが、バルーン2からの脱落を防止する観点からは最も好ましいが、製造上の都合等がある場合には、膨張規制部材20がバルーン2から容易に脱落しない(一体化した状態を保持できる)ことを条件として、膨張規制部材20の一部がバルーン2の膜外に露出していてもよい。膨張規制部材20の一部をバルーン2の膜外に露出させる場合には、万一バルーン2から外れる場合であってもバルーン2内に保持し得るため、バルーン2の外側ではなく、内側に露出させることが好ましい。
【0025】
また、本実施形態では、カテーテルチューブ5の周方向において、噴出口12が設けられた位置と略反対側に位置するように、バルーン2に膨張規制部材20が埋設されている。そのため、バルーン2内に流体が導入された際には、バルーン2が、噴出口12の周方向位置と略同じ側に最大膨らみ部を有するように膨張する。バルーン2の最大膨らみ部と噴出口12との周方向位置を略一致させることにより、バルーン2を膨らませた際に、噴出口12が体内壁などから遠ざけられ易くなるので、噴出口12から噴出される造影剤が拡散し易くなり、効率よくX線造影を行うことができる。
【0026】
上記したようなバルーン2を製造する方法は特に限定されず、伸縮性材料の製膜方法として公知の方法を用いればよいが、本実施形態では、膨張規制部材20をバルーン2の膜内に一体的に接合した状態で埋設するために好適な製法として、ディッピング成形法を用いている。
【0027】
以下、ディッピング成形法を用いた製法について簡単に説明する。まず、所望するバルーン2の形状と略等しい外形を有する型(ここでは、長尺の略円柱状で直胴のマンドレルを用いるものとする)の側部に長手方向を沿わせて膨張規制部材20を仮保持させる。なお、マンドレルとしては、直胴タイプではなく、成膜後のバルーン2の膨張部3となるべき部分に対応する膨出部を有するものを用いてもよい。
【0028】
マンドレルに対する膨張規制部材20の仮保持の方法は特に限定されないが、膨張規制部材20の両端部をマンドレルの側部にそれぞれ着脱可能に保持させる保持部材(クリップ等)を用いて行うことができる。このとき、膨張規制部材20を成膜後のバルーン2の膜内に完全に埋没させるため、膨張規制部材20は、該膨張規制部材20をある程度緊張させた状態で、マンドレルの側部から僅かに浮かせた状態となるように保持させることが好ましいが、接触させてもよい。
【0029】
次いで、伸縮性材料と必要に応じて各種添加剤を溶剤に溶解して溶液あるいは懸濁液とし、この溶液(懸濁液)に膨張規制部材20が仮保持されたマンドレルを浸漬させてマンドレルおよび膨張規制部材20の表面に溶液(懸濁液)を塗布し、溶剤を蒸発させてマンドレルの表面に被膜を形成させる。この浸漬と乾燥を繰り返すことにより所望の肉厚を有するバルーンを製膜することができる。なお、伸縮性材料の種類により、必要に応じて、製膜後、架橋を行う。
【0030】
なお、膨張規制部材20をマンドレルから僅かに浮かせた状態となるように仮保持させることは、製造上多くの手間がかかるため、簡易的に、膨張規制部材20をマンドレルの側部に当接した状態で保持させるようにしてもよい。この場合、膨張規制部材20の側部の一部(マンドレルに当接していた部分)が成膜されたバルーン2の膜の内面に露出する可能性があるが、膨張規制部材20がバルーン2に対して一体的に接合された状態が保たれれば偏心させる機能には特に問題はなく、万一外れたとしたとしても、膨張規制部材20はバルーン2の内部に保持される。
【0031】
この実施形態では、膨張規制部材20は、バルーン2の膜内に一体的に接合された状態で埋設されているので、図3に示すように、バルーン2の膨張部3がカテーテルチューブ5の軸心に対して偏心して膨張する。カテーテルチューブ5の軸心に対する膨張部3の膨張中心の偏心量h1は、膨張部3の膨張半径Rに対して、好ましくは50〜100%、さらに好ましくは75〜100%である。なお、バルーン2は、その横断面において、完全に円形に膨張する必要はなく、楕円形、その他の形状に膨張してもよい。
【0032】
次に、本実施形態の結石除去用バルーンカテーテル1の使用例として、胆管より結石(胆石)を除去する例について説明する。
【0033】
まず、内視鏡のチャンネルを介して、予め胆管内に挿入されたガイドワイヤの近位端に対し、結石除去用バルーンカテーテル1の遠位端側からガイドワイヤルーメン10にガイドワイヤ(図示省略)を挿入してから、バルーン2を膨張させない状態で、カテーテルチューブ5の遠位端側から、内視鏡のチャネルを介して、ガイドワイヤに沿わせて胆管内にカテーテルチューブ5の遠位端側を挿入する。
【0034】
次いで、シリンジ等により、造影剤ルーメン9を介して、造影剤を噴出口12へ送り込んで、造影剤を噴出させて、胆管内のX線造影を行い、結石50の様子を確認した後、結石50の奥側まで、カテーテル1のバルーン2を押し進めてから、シリンジ等により、バルーンルーメン8を介して、バルーン2内に空気を送り込んで、バルーン2を膨張させる。この際、本実施形態では、バルーン2の膨張部3は、偏心して膨らむ。なお、必要に応じて、バルーン2を膨張させた後に、胆管内のX線造影を行ってもよい。
【0035】
続いて、バルーン2を膨張させた状態のまま、カテーテル1を引き戻すと、バルーン2によって結石50を十二指腸乳頭から胆管外へ掻き出すことができる。この際、本実施形態のカテーテル1では、図2に示すように、カテーテルチューブ5を近位端側(図2で矢印X方向)に引き出すことで、偏心して膨らんだバルーン2の膨張部3における最大膨らみ部の近位端側で結石50を掻き取りやすい。
【0036】
膨張規制部材20が埋設された部分では、膨張が規制されるので、偏心して膨らんだバルーン2における最大膨らみ部の近位端側で結石50が接触して反力が作用しても、膨らんだバルーン2内の流体の逃げ場はなく、偏心している膨張状態を維持しようとする。このため、膨張したバルーン2から結石50が逃げず、結石50の除去特性に優れている。
【0037】
また、本実施形態では、膨張規制部材20が埋設されたバルーン2をカテーテルチューブ5に対して常法に従い取り付けるのみで、偏心したバルーン2の膨張状態を作り出すことができる。すなわち、結石除去用バルーンカテーテル1の製造時における部品点数および製造工数が少なく、その製造がきわめて容易である。
【0038】
なお、上述した実施形態では、膨張規制部材20として線材を用いた例を説明したが、膨張規制部材の形状はこれに限定されず、たとえば、図4に示すように、膨張規制部材20Aとして、短冊状の薄板を用いてもよい。膨張規制部材20Aの板厚t1は、バルーン2の膜厚tの1/10〜9/10とすることができる。膨張規制部材20Aの幅は、カテーテルチューブ5の外周における円周方向長さの1/2以下の幅であり、好ましくは1/100〜1/3の幅である。この幅が大きすぎると、バルーン2を偏心させて膨らませることが困難になる。
【0039】
膨張規制部材20Aは、その長手方向に渡って、同一の形状であってもよいが、バルーン2が膨張される際にバルーン2との分離(接合解除)を抑制する観点から、その一部に単一または複数の凸部または凹部を設けてもよい。
【0040】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
【0041】
たとえば、上述した実施形態では、結石除去用バルーンカテーテル1が備えるバルーンは1つであるが、複数のバルーンを備えていてもよく、そのうちの少なくとも1つが、上述した形状のバルーンであればよい。
【0042】
また、本発明の結石除去用バルーンカテーテル1は、体内から結石を除去するために用いられるものであればよく、胆石の除去用途に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0043】
1…結石除去用バルーンカテーテル
2…バルーン
3…膨張部
4a,4b…接合部
5…カテーテルチューブ
8…バルーンルーメン
9…造影剤ルーメン
10…ガイドワイヤルーメン
11…流体導出口
12…噴出口
20,20A…膨張規制部材
50…結石
図1
図2
図3
図4