(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【実施例】
【0037】
以下に、本発明を実施例により具体的に説明する。
なお、実施例により用いたMFI型ゼオライト、芳香族化合物製造触媒は以下の方法により測定・定義した。
【0038】
〜細孔分布、細孔直径、及び外表面積の測定〜
ゼオライトの細孔分布、及び、細孔直径は窒素吸着測定により測定した。
【0039】
その際の窒素吸着測定としては、窒素吸着装置((商品名)OMNISORP360CX,BeckmanCoulter社製)を用い、吸脱着とも30torr/stepの条件で測定した。外表面積は、t−plot法により、吸着層の厚み(t=0.6〜1.0nm)の範囲を直線近似して求めた。
【0040】
そして、窒素吸着測定の脱着過程をBarret−Joyner−Halenda法(Journal of the American Chemical Society、1951年、頁373〜380)にて解析し、横軸が細孔直径の常数、縦軸が窒素ガスの脱着量の微分値であるメソ細孔の細孔分布曲線を得た。メソ細孔の全細孔容積は、2nm以上50nm以下の範囲の窒素ガス脱着量を積算することにより求めた。
【0041】
そして、メソ細孔からの窒素ガス脱着量のメソ細孔直径値での微分値(d(V/m)/d(D))のピークの内、最大のピークをガウス関数の強度近似で解析し、そのガウス関数の中心値(μ)から標準偏差の2倍(2σ)の範囲(=μ±2σ)内の直径を有するメソ細孔を均一メソ細孔と定義した。均一メソ細孔の細孔容積は、中心値(μ)を基準として±2σの範囲の窒素ガス脱着量を積算して求めた。
【0042】
〜平均粒子径の測定〜
外表面積から前記の式(1)を用いて平均粒子径を算出した。式(1)中、Sは外表面積(m
2/g)であり、PDは平均粒子径(m)である。式(1)における外表面積(S(m
2/g))は、液体窒素温度における窒素吸着法によりt−plot法から求めた。
【0043】
〜SiO
2/Al
2O
3モル比の測定〜
ゼオライトのSiO
2/Al
2O
3モル比は、MFI型ゼオライトをフッ酸と硝酸の混合水溶液で溶解し、これを一般的なICP装置((商品名)OPTIMA3300DV,PerkinElmer社製)による誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP−AES)で測定し、求めた。
【0044】
〜凝集径の測定〜
凝集径として、動的散乱法によって凝集粒子径の体積平均径(D
50)を測定した。測定には(商品名)マイクロトラックHRA(Model9320−x100)(日機装製)を用いた。測定において粒子屈折率は1.66、粒子の設定は透明非球状粒子、溶媒の液体屈折率は1.33とした。
【0045】
〜粉末X線回折の測定〜
X線回折測定装置(スペクトリス社製、(商品名)X’pert PRO MPD)を用い、管電圧45kV、管電流40mAとしてCuKα1を用いて、大気中において測定した。0.04〜5度の範囲を0.08度/ステップ、200秒/ステップで分析した。また、ダイレクトビームの吸収率で補正したバックグラウンドを除去している。
【0046】
ピークの有無の確認は目視で行うことができるほか、ピークサーチプログラムを利用してもよい。ピークサーチプログラムは、一般的なプログラムが利用できる。例えば、横軸が2θ(度)、縦軸が強度(a.u.)の測定結果をSAVITSKY&GOLAYの式とSliding Polynomialフィルターで平滑化した後、2次微分を行ったときに、3点以上連続する負の値がある場合、ピークが存在すると判断した。
【0047】
〜芳香族化合物製造装置及びその製造方法〜
実施例により得られた芳香族化合物製造触媒は、以下の方法により芳香族化合物の製造を行い、その評価を行った。
【0048】
ステンレス製反応管(内径16mm、長さ600mm)を用いた固定床気相流通式反応装置を2本並列で接続したスイング式反応器を用いた。2本のステンレス製反応管のそれぞれの中段に、芳香族化合物製造触媒を充填し、乾燥空気流通下での加熱前処理を行ったのち、2本の反応装置に対して、所定時間ごとに切り替え運転を行い、交互に原料ガスをフィードした。片方の反応装置(反応側)で原料ガスを供給し反応している間に、他方の反応装置(再生側)で空気ガスを流通し、コーク燃焼による芳香族化合物製造触媒の再生を行った。なお、スイング式反応器の装置条件および運転条件は、本実施例記載の条件に限定されるものではなく、適宜選択可能である。そして、加熱はセラミック製管状炉を用い、触媒層の温度を制御した。反応出口ガスおよび反応液を採取し、ガスクロマトグラフを用い、ガス成分および液成分を個別に分析した。ガス成分は、TCD検出器を備えたガスクロマトグラフ(島津製作所製、(商品名)GC−1700)を用いて分析した。充填剤は、Waters社製PorapakQ(商品名)またはGLサイエンス社製MS−5A(商品名)を用いた。液成分は、FID検出器を備えたガスクロマトグラフ(島津製作所製、(商品名)GC−2015)を用いて分析した。分離カラムは、キャピラリーカラム(GLサイエンス社製、(商品名)TC−1)を用いた。
【0049】
反応条件は下記のように設定した。
【0050】
(芳香族化合物製造条件)
触媒温度:600℃。
流通ガス:原料ガス50mol%+窒素50mol%の混合ガス、100ml/分。
触媒体積に対する原料ガスの体積の比:1000/時間。
触媒重量:1.5g。
触媒形状:MFI型ゼオライト粉末を400kgf/cm
2で1分間成型した後に粉砕し、約1mmのペレット形状とした。
反応圧力:0.1MPa。
【0051】
(スイング運転時の触媒再生条件および空気パージ条件)
触媒温度:600℃。
流通ガス:空気50ml/分。
触媒体積に対する空気ガスの体積の比:1000/時間。
圧力:0.1MPa。
【0052】
(窒素パージ条件)
触媒温度:600℃。
流通ガス:窒素50ml/分。
触媒体積に対する窒素ガスの体積の比:1000/時間。
圧力:0.1MPa。
【0053】
MFI型ゼオライトの製造は、特開2013−227203公報を参考にその製造を行った。
【0054】
実施例1
テトラプロピルアンモニウム(以降、TPAと略記する場合がある。)水酸化物と水酸化ナトリウムの水溶液に不定形アルミノシリケートゲルを添加して懸濁させた。得られた懸濁液にMFI型ゼオライトを種晶として加え原料組成物とした。その際の種晶の添加量は、原料組成物中のAl
2O
3とSiO
2の重量に対して、0.7重量%とした。また、副生したエタノールは蒸発させて除いた。
【0055】
該原料組成物の組成は以下のとおりである。
SiO
2/Al
2O
3モル比=44、TPA/Siモル比=0.05、Na/Siモル比=0.16、OH/Siモル比=0.21、H
2O/Siモル比=10
得られた原料組成物をステンレス製オートクレーブに密閉し、115℃で攪拌しながら4日間結晶化させ、スラリー状混合液を得た。結晶化後のスラリー状混合液を遠心沈降機で固液分離した後、十分量の純水で固体粒子を洗浄し、110℃で乾燥して乾燥粉末を得た。
【0056】
得られた乾燥粉末10gを、550℃で1時間焼成後、60℃、20重量%の塩化アンモニウム水溶液100ml中で20時間交換、ろ過、洗浄してアンモニウム型のMFI型ゼオライトとした。その後、アンモニウム型のMFI型ゼオライトを550℃で1時間焼成して、MFI型ゼオライトを得た。
【0057】
得られたMFI型ゼオライトは、平均粒子径27nm、SiO
2/Al
2O
3モル比は40、凝集径は46μmであった。得られたMFI型ゼオライト中に存在するメソ細孔の全細孔容積は0.39ml/gであった。また、細孔分布曲線におけるメソ細孔分布曲線はピークを有し、均一メソ細孔のピークの半値幅は9nm、μ=16nmであった。また、均一メソ細孔の細孔容積は0.31ml/gであり、メソ細孔の全細孔容積に占める均一メソ細孔の細孔容積の割合は78%であった。得られたMFI型ゼオライトの物性を表1に示す。また、得られたMFI型ゼオライトの粉末X線回折では、0.1〜3度の範囲にピークは存在せず、メソ細孔が不規則に連結していることが示されている。
【0058】
得られたMFI型ゼオライトを芳香族化合物製造触媒とし、エチレンを原料とし、上記した条件にて芳香族化合物の製造を行った。その際のスイング式反応器の反応側、再生側の各条件は、以下の通りである。
【0059】
(反応側)
600℃で加熱した反応管に対し、原料ガスを140分流通し、次いで、原料ガスフィードを再生側の反応管方向にただちに切り替えた。
【0060】
(再生側)
反応側の反応管の原料ガスフィードが開始すると同時に、600℃で加熱した再生側の反応管に対し窒素パージ(1)を開始し、30分間窒素パージを行い、反応管内を十分に窒素雰囲気に置換した。次いで、供給ガスを窒素から空気にただちに切り替え、10分間空気パージを行い、反応管内を十分に空気雰囲気に置換した。次いで、60分間空気を流通させ芳香族化合物製造触媒の再生処理を行った。次いで、供給ガスを空気から窒素にただちに切り替え、10分間窒素パージ(2)を行い反応管内を十分に窒素雰囲気に置換した。続いて、窒素パージ(3)を30分間行い、反応管内を十分に窒素雰囲気に置換した。次いで、窒素ガスフィードラインを反応側の反応管方向にただちに切り替えると同時に、再生側の反応管に原料ガスフィードを開始した。以後、上記と同様の一連の処理を繰り返し行い、連続的に生成物フィードを得た。なお、以後の実施例、比較例に記載の反応でも同様の手順で運転を行い、原料ガス流通時間、再生処理時間および窒素パージ(3)時間のみを変更した。各工程におけるガスの流通時間を表2に示す。
【0061】
原料ガス流通時間、転化率、および、各生成物収率を表3に示す。原料ガス流通時間1395分まで、転化率、ベンゼン収率、トルエン収率、キシレン収率がいずれも大きく低下することなく安定的に生成物フィードを得ることが可能であった。
【0062】
【表1】
【0063】
【表2】
【0064】
【表3】
【0065】
実施例2
実施例1により得られたMFI型ゼオライトを芳香族化合物製造触媒とし、原料としてプロピレンを用い、上記した条件にて芳香族化合物への転化反応を行った。
【0066】
各工程におけるガスの流通時間を表2に示す。原料ガス流通時間、転化率、および、各生成物収率を表4に示す。原料ガス流通時間2295分まで、転化率、ベンゼン収率、トルエン収率、キシレン収率がいずれも大きく低下することなく安定的に生成物フィードを得ることが可能であった。
【0067】
【表4】
【0068】
実施例3
TPA臭化物と水酸化ナトリウムの水溶液に水酸化アルミニウムを溶解させた。得られた水溶液にテトラエトキシシランを添加した後、MFI型ゼオライトを当該水溶液に種晶として加え原料組成物とし、副生したエタノールは蒸発させて除いた。
【0069】
該原料組成物において、組成は以下のとおりである。
【0070】
SiO
2/Al
2O
3モル比=28、TPA/Siモル比=0.05、Na/Siモル比=0.17、OH/Siモル比=0.17、H
2O/Siモル比=10
該原料組成物を実施例1と同様の方法により反応、処理してMFI型ゼオライトを得た。
【0071】
得られたMFI型ゼオライトは、平均粒子径26nm、SiO
2/Al
2O
3モル比は26であった。得られたMFI型ゼオライト中に存在するメソ細孔の全細孔容積は0.42ml/gであり、細孔分布曲線におけるメソ細孔分布曲線はピークを有し、均一メソ細孔のピークの半値幅は15nm、μ=17nmであった。また、その均一メソ細孔の細孔容積は0.39ml/gであり、メソ細孔の全細孔容積に占める均一メソ細孔の細孔容積の割合は92%であった。得られたMFI型ゼオライトの物性を表1に示す。また、得られたMFI型ゼオライトの粉末X線回折では、0.1〜3度の範囲にピークは存在せず、メソ細孔が不規則に連結していることが示されている。
【0072】
得られたMFI型ゼオライトを芳香族化合物製造触媒とし、エチレンを原料とし、上記した条件にて芳香族化合物への転化反応を行った。
【0073】
各工程におけるガスの流通時間を表2に示す。
【0074】
原料ガス流通時間、転化率、および、各生成物収率を表5に示す。原料ガス流通時間1395分まで、転化率、ベンゼン収率、トルエン収率、キシレン収率がいずれも大きく低下することなく安定的に生成物フィードを得ることが可能であった。
【0075】
【表5】
【0076】
実施例4
実施例3により得られたMFI型ゼオライトを芳香族化合物製造触媒とし、プロピレンを原料とした芳香族化合物への転化反応を行った。反応は上記した条件下で行った。
【0077】
各工程におけるガスの流通時間を表2に示す。原料ガス流通時間、転化率、および、各生成物収率を表6に示す。原料ガス流通時間2295分まで、転化率、ベンゼン収率、トルエン収率、キシレン収率がいずれも大きく低下することなく連続的に生成物フィードを得ることが可能であった。
【0078】
【表6】
【0079】
比較例1
水酸化ナトリウムの水溶液に水酸化アルミニウムを溶解させた。得られた水溶液にテトラエトキシシランを添加して懸濁させた。得られた懸濁液にMFI型ゼオライトを種晶として加え原料組成物とした。副生したエタノールは蒸発させて除いた。
【0080】
該原料組成物における組成は以下のとおりである。
【0081】
SiO
2/Al
2O
3モル比=48、Na/Siモル比=0.18、OH/Siモル比=0.18、H
2O/Siモル比=18
該原料組成物を、結晶化温度を180℃にした以外は、実施例1と同様の方法により反応、処理してMFI型ゼオライトを得た。
【0082】
得られたMFI型ゼオライトは、平均粒子径115nm、SiO
2/Al
2O
3モル比は42であった。得られたMFI型ゼオライト中に存在するメソ細孔の全細孔容積は0.05ml/gであり、細孔分布曲線における均一メソ細孔のピークの半値幅は0.3nm、μ=4nmであった。また、その均一メソ細孔の細孔容積は0.01ml/gであり、メソ細孔の全細孔容積に占める均一メソ細孔の細孔容積の割合は26%であった。得られたMFI型ゼオライトの物性を表1に示す。
【0083】
得られたMFI型ゼオライトを触媒として、エチレンを原料とし、上記した条件にて転化反応を行った。
【0084】
各工程におけるガスの流通時間を表2に示す。
【0085】
原料ガス流通時間、転化率、および、各生成物収率を表7に示す。原料ガス流通時間1395分まで、転化率、ベンゼン収率、トルエン収率、キシレン収率は一定の値の範囲で増減を繰り返し、安定した製造とは言い難いものであった。
【0086】
【表7】
【0087】
比較例2
比較例1により得られたMFI型ゼオライトを触媒とし、エチレンを原料とし、上記した条件にて転化反応を行った。
【0088】
各工程におけるガスの流通時間を表2に示す。
【0089】
原料ガス流通時間、転化率、および、各生成物収率を表8に示す。エチレン流通時間535分で、転化率が51%、ベンゼン収率が8wt%、トルエン収率が9wt%、キシレン収率が2wt%まで低下し、生産性に劣るものであった。
【0090】
【表8】
【0091】
比較例3
比較例1により得られたMFI型ゼオライトを触媒とし、プロピレンを原料とし、上記した条件にて転化反応を行った。
【0092】
各工程におけるガスの流通時間を表2に示す。
【0093】
原料ガス流通時間、転化率、および、各生成物収率を表9に示す。原料ガス流通時間2295分まで、転化率、ベンゼン収率、トルエン収率、キシレン収率は一定の値の範囲で増減を繰り返し、安定した製造とは言いにくいものであった。
【0094】
【表9】
【0095】
比較例4
TPA水酸化物と水酸化ナトリウムの水溶液に水酸化アルミニウムを溶解させた。得られた水溶液にテトラエトキシシランを添加して懸濁させた。得られた懸濁液にMFI型ゼオライトを種晶として加え原料組成物とした。副生したエタノールは蒸発させて除いた。
【0096】
該原料組成物において、組成は以下のとおりである。
【0097】
SiO
2/Al
2O
3モル比=59、TPA/Siモル比=0.20、Na/Siモル比=0.06、OH/Siモル比=0.26、H
2O/Siモル比=10
該原料組成物を実施例1と同様に反応、処理してMFI型ゼオライトを得た。
【0098】
得られたMFI型ゼオライトは、平均粒子径42nm、SiO
2/Al
2O
3モル比は49であった。得られたMFI型ゼオライト中に存在するメソ細孔の全細孔容積は0.20ml/gであり、細孔分布曲線における均一メソ細孔のピークの半値幅は3nm、μ=6nmであった。また、均一メソ細孔の細孔容積は0.04ml/gであり、メソ細孔の全細孔容積に占める均一メソ細孔の細孔容積の割合は23%であった。得られたMFI型ゼオライトの物性を表1に示す。
【0099】
得られたMFI型ゼオライトを触媒とし、エチレンを原料とし、上記した条件にて転化反応を行った。
【0100】
各工程におけるガスの流通時間を表2に示す。
【0101】
原料ガス流通時間、転化率、および、各生成物収率を表10に示す。原料ガス流通時間1395分まで、転化率、ベンゼン収率、トルエン収率、キシレン収率は一定の値の範囲で増減を繰り返し、安定した製造とは言いにくいものであった。
【0102】
【表10】
【0103】
比較例5
比較例4により得られたMFI型ゼオライトを触媒とし、エチレンを原料とし、上記した条件にて転化反応を行った。
【0104】
各工程におけるガスの流通時間を表2に示す。
【0105】
原料ガス流通時間、転化率、および、各生成物収率を表11に示す。エチレン流通時間895分で、転化率が52%、ベンゼン収率が10wt%、トルエン収率が8wt%、キシレン収率が2wt%まで低下し、生産性に劣るものであった。
【0106】
【表11】
【0107】
比較例6
比較例4により得られたMFI型ゼオライトを触媒とし、プロピレンを原料とし、上記した条件にて転化反応を行った。
【0108】
各工程におけるガスの流通時間を表2に示す。
【0109】
原料ガス流通時間、転化率、および、各生成物収率を表12に示す。原料ガス流通時間2295分まで、転化率、ベンゼン収率、トルエン収率、キシレン収率は一定の値の範囲で増減を繰り返し、安定した製造とは言いにくいものであった。
【0110】
【表12】
【0111】
実施例5
テトラプロピルアンモニウム(以降、TPAと略記する場合がある。)水酸化物と水酸化ナトリウムの水溶液に不定形アルミノシリケートゲルを添加して懸濁させた。得られた懸濁液にMFI型ゼオライトを種晶として加え原料組成物とした。その際の種晶の添加量は、原料組成物中のAl
2O
3とSiO
2の重量に対して、0.7重量%とした。また、副生したエタノールは蒸発させて除いた。
【0112】
該原料組成物の組成は以下のとおりである。
SiO
2/Al
2O
3モル比=44、TPA/Siモル比=0.05、Na/Siモル比=0.16、OH/Siモル比=0.21、H
2O/Siモル比=10
得られた原料組成物をステンレス製オートクレーブに密閉し、115℃で攪拌しながら4日間結晶化させ、スラリー状混合液を得た。結晶化後のスラリー状混合液を遠心沈降機で固液分離した後、十分量の純水で固体粒子を洗浄し、110℃で乾燥して乾燥粉末を得た。
【0113】
得られた乾燥粉末10gを、550℃で1時間焼成後、60℃、20重量%の塩化アンモニウム水溶液100ml中で20時間交換、ろ過、洗浄してアンモニウム型のMFI型ゼオライトとした。その後、アンモニウム型のMFI型ゼオライトを550℃で1時間焼成して、MFI型ゼオライトを得た。
【0114】
得られたMFI型ゼオライトは、平均粒子径26nm、SiO
2/Al
2O
3モル比は40、凝集径は46μmであった。得られたMFI型ゼオライト中に存在するメソ細孔の全細孔容積は0.40ml/gであった。また、細孔分布曲線におけるメソ細孔分布曲線はピークを有し、均一メソ細孔のピークの半値幅は9nm、μ=16nmであった。また、均一メソ細孔の細孔容積は0.32ml/gであり、メソ細孔の全細孔容積に占める均一メソ細孔の細孔容積の割合は80%であった。得られたMFI型ゼオライトの物性を表13に示す。また、得られたMFI型ゼオライトの粉末X線回折では、0.1〜3度の範囲にピークは存在せず、メソ細孔が不規則に連結していることが示されている。
【0115】
得られたMFI型ゼオライトを芳香族化合物製造触媒とし、n−ブタンを原料とし、上記した条件にて芳香族化合物の製造を行った。その際のスイング式反応器の反応側、再生側の各条件は、以下の通りである。
【0116】
(反応側)
600℃で加熱した反応管に対し、原料ガスを1000分流通し、次いで、原料ガスフィードを再生側の反応管方向にただちに切り替えた。
【0117】
(再生側)
反応側の反応管の原料ガスフィードが開始すると同時に、600℃で加熱した再生側の反応管に対し窒素パージ(1)を開始し、30分間窒素パージを行い、反応管内を十分に窒素雰囲気に置換した。次いで、供給ガスを窒素から空気にただちに切り替え、10分間空気パージを行い、反応管内を十分に空気雰囲気に置換した。次いで、60分間空気を流通させ芳香族化合物製造触媒の再生処理を行った。次いで、供給ガスを空気から窒素にただちに切り替え、10分間窒素パージ(2)を行い反応管内を十分に窒素雰囲気に置換した。続いて、窒素パージ(3)を890分間行い、反応管内を十分に窒素雰囲気に置換した。次いで、窒素ガスフィードラインを反応側の反応管方向にただちに切り替えると同時に、再生側の反応管に原料ガスフィードを開始した。以後、上記と同様の一連の処理を繰り返し行い、連続的に生成物フィードを得た。なお、以後の実施例、比較例に記載の反応でも同様の手順で運転を行い、原料ガス流通時間、再生処理時間および窒素パージ(3)時間のみを変更した。各工程におけるガスの流通時間を表14に示す。
【0118】
原料ガス流通時間、転化率、および、各生成物収率を表15に示す。原料ガス流通時間9995分まで、転化率、ベンゼン収率、トルエン収率、キシレン収率がいずれも大きく低下することなく安定的に生成物フィードを得ることが可能であった。
【0119】
【表13】
【0120】
【表14】
【0121】
【表15】
【0122】
実施例6
実施例5により得られたMFI型ゼオライトを芳香族化合物製造触媒とし、原料としてイソブタンを用い、上記した条件にて芳香族化合物への転化反応を行った。
【0123】
各工程におけるガスの流通時間を表14に示す。原料ガス流通時間、転化率、および、各生成物収率を表16に示す。原料ガス流通時間9795分まで、転化率、ベンゼン収率、トルエン収率、キシレン収率がいずれも大きく低下することなく安定的に生成物フィードを得ることが可能であった。
【0124】
【表16】
【0125】
実施例7
実施例5により得られたMFI型ゼオライトを芳香族化合物製造触媒とし、原料としてn−ヘキサンを用い、上記した条件にて芳香族化合物への転化反応を行った。
【0126】
各工程におけるガスの流通時間を表14に示す。原料ガス流通時間、転化率、および、各生成物収率を表17に示す。原料ガス流通時間10495分まで、転化率、ベンゼン収率、トルエン収率、キシレン収率がいずれも大きく低下することなく安定的に生成物フィードを得ることが可能であった。
【0127】
【表17】
【0128】
実施例8
実施例5により得られたMFI型ゼオライトを芳香族化合物製造触媒とし、原料としてメチルシクロペンタンを用い、上記した条件にて芳香族化合物への転化反応を行った。
【0129】
各工程におけるガスの流通時間を表14に示す。原料ガス流通時間、転化率、および、各生成物収率を表18に示す。原料ガス流通時間9995分まで、転化率、ベンゼン収率、トルエン収率、キシレン収率がいずれも大きく低下することなく安定的に生成物フィードを得ることが可能であった。
【0130】
【表18】
【0131】
実施例9
TPA臭化物と水酸化ナトリウムの水溶液に水酸化アルミニウムを溶解させた。得られた水溶液にテトラエトキシシランを添加した後、MFI型ゼオライトを当該水溶液に種晶として加え原料組成物とし、副生したエタノールは蒸発させて除いた。
【0132】
該原料組成物において、組成は以下のとおりである。
【0133】
SiO
2/Al
2O
3モル比=28、TPA/Siモル比=0.05、Na/Siモル比=0.17、OH/Siモル比=0.17、H
2O/Siモル比=10
該原料組成物を実施例1と同様の方法により反応、処理してMFI型ゼオライトを得た。
【0134】
得られたMFI型ゼオライトは、平均粒子径25nm、SiO
2/Al
2O
3モル比は26であった。得られたMFI型ゼオライト中に存在するメソ細孔の全細孔容積は0.43ml/gであり、細孔分布曲線におけるメソ細孔分布曲線はピークを有し、均一メソ細孔のピークの半値幅は15nm、μ=17nmであった。また、その均一メソ細孔の細孔容積は0.40ml/gであり、メソ細孔の全細孔容積に占める均一メソ細孔の細孔容積の割合は93%であった。得られたMFI型ゼオライトの物性を表13に示す。また、得られたMFI型ゼオライトの粉末X線回折では、0.1〜3度の範囲にピークは存在せず、メソ細孔が不規則に連結していることが示されている。
【0135】
得られたMFI型ゼオライトを芳香族化合物製造触媒とし、n−ブタンを原料とし、上記した条件にて芳香族化合物への転化反応を行った。
【0136】
各工程におけるガスの流通時間を表14に示す。
【0137】
原料ガス流通時間、転化率、および、各生成物収率を表19に示す。原料ガス流通時間9995分まで、転化率、ベンゼン収率、トルエン収率、キシレン収率がいずれも大きく低下することなく安定的に生成物フィードを得ることが可能であった。
【0138】
【表19】
【0139】
実施例10
実施例9により得られたMFI型ゼオライトを芳香族化合物製造触媒とし、イソブテンを原料とした芳香族化合物への転化反応を行った。反応は上記した条件下で行った。
【0140】
各工程におけるガスの流通時間を表14に示す。原料ガス流通時間、転化率、および、各生成物収率を表20に示す。原料ガス流通時間9795分まで、転化率、ベンゼン収率、トルエン収率、キシレン収率がいずれも大きく低下することなく連続的に生成物フィードを得ることが可能であった。
【0141】
【表20】
【0142】
実施例11
実施例9により得られたMFI型ゼオライトを芳香族化合物製造触媒とし、n−ヘキサンを原料とした芳香族化合物への転化反応を行った。反応は上記した条件下で行った。
【0143】
各工程におけるガスの流通時間を表14に示す。原料ガス流通時間、転化率、および、各生成物収率を表21に示す。原料ガス流通時間10495分まで、転化率、ベンゼン収率、トルエン収率、キシレン収率がいずれも大きく低下することなく連続的に生成物フィードを得ることが可能であった。
【0144】
【表21】
【0145】
実施例12
実施例9により得られたMFI型ゼオライトを芳香族化合物製造触媒とし、メチルシクロペンタンを原料とした芳香族化合物への転化反応を行った。反応は上記した条件下で行った。
【0146】
各工程におけるガスの流通時間を表14に示す。原料ガス流通時間、転化率、および、各生成物収率を表22に示す。原料ガス流通時間9995分まで、転化率、ベンゼン収率、トルエン収率、キシレン収率がいずれも大きく低下することなく連続的に生成物フィードを得ることが可能であった。
【0147】
【表22】
【0148】
比較例7
水酸化ナトリウムの水溶液に水酸化アルミニウムを溶解させた。得られた水溶液にテトラエトキシシランを添加して懸濁させた。得られた懸濁液にMFI型ゼオライトを種晶として加え原料組成物とした。副生したエタノールは蒸発させて除いた。
【0149】
該原料組成物における組成は以下のとおりである。
【0150】
SiO
2/Al
2O
3モル比=48、Na/Siモル比=0.18、OH/Siモル比=0.18、H
2O/Siモル比=18
該原料組成物を、結晶化温度を180℃にした以外は、実施例1と同様の方法により反応、処理してMFI型ゼオライトを得た。
【0151】
得られたMFI型ゼオライトは、平均粒子径115nm、SiO
2/Al
2O
3モル比は42であった。得られたMFI型ゼオライト中に存在するメソ細孔の全細孔容積は0.05ml/gであり、細孔分布曲線における均一メソ細孔のピークの半値幅は0.3nm、μ=4nmであった。また、その均一メソ細孔の細孔容積は0.01ml/gであり、メソ細孔の全細孔容積に占める均一メソ細孔の細孔容積の割合は26%であった。得られたMFI型ゼオライトの物性を表13に示す。
【0152】
得られたMFI型ゼオライトを触媒として、n−ブタンを原料とし、上記した条件にて転化反応を行った。
【0153】
各工程におけるガスの流通時間を表14に示す。
【0154】
原料ガス流通時間、転化率、および、各生成物収率を表23に示す。原料ガス流通時間9995分まで、転化率、ベンゼン収率、トルエン収率、キシレン収率は一定の値の範囲で増減を繰り返し、安定した製造とは言い難いものであった。
【0155】
【表23】
【0156】
比較例8
比較例7により得られたMFI型ゼオライトを触媒とし、イソブタンを原料とし、上記した条件にて転化反応を行った。
【0157】
各工程におけるガスの流通時間を表14に示す。
【0158】
原料ガス流通時間、転化率、および、各生成物収率を表24に示す。原料ガス流通時間9795分まで、転化率、ベンゼン収率、トルエン収率、キシレン収率は一定の値の範囲で増減を繰り返し、安定した製造とは言い難いものであった。
【0159】
【表24】
【0160】
比較例9
比較例7により得られたMFI型ゼオライトを触媒とし、n−ヘキサンを原料とし、上記した条件にて転化反応を行った。
【0161】
各工程におけるガスの流通時間を表14に示す。
【0162】
原料ガス流通時間、転化率、および、各生成物収率を表25に示す。原料ガス流通時間10495分まで、転化率、ベンゼン収率、トルエン収率、キシレン収率は一定の値の範囲で増減を繰り返し、安定した製造とは言い難いものであった。
【0163】
【表25】
【0164】
比較例10
比較例7により得られたMFI型ゼオライトを触媒とし、メチルシクロペンタンを原料とし、上記した条件にて転化反応を行った。
【0165】
各工程におけるガスの流通時間を表14に示す。
【0166】
原料ガス流通時間、転化率、および、各生成物収率を表26に示す。原料ガス流通時間9995分まで、転化率、ベンゼン収率、トルエン収率、キシレン収率は一定の値の範囲で増減を繰り返し、安定した製造とは言い難いものであった。
【0167】
【表26】
【0168】
比較例11
TPA水酸化物と水酸化ナトリウムの水溶液に水酸化アルミニウムを溶解させた。得られた水溶液にテトラエトキシシランを添加して懸濁させた。得られた懸濁液にMFI型ゼオライトを種晶として加え原料組成物とした。副生したエタノールは蒸発させて除いた。
【0169】
該原料組成物において、組成は以下のとおりである。
【0170】
SiO
2/Al
2O
3モル比=59、TPA/Siモル比=0.20、Na/Siモル比=0.06、OH/Siモル比=0.26、H
2O/Siモル比=10
該原料組成物を実施例9と同様に反応、処理してMFI型ゼオライトを得た。
【0171】
得られたMFI型ゼオライトは、平均粒子径42nm、SiO
2/Al
2O
3モル比は49であった。得られたMFI型ゼオライト中に存在するメソ細孔の全細孔容積は0.20ml/gであり、細孔分布曲線における均一メソ細孔のピークの半値幅は3nm、μ=6nmであった。また、均一メソ細孔の細孔容積は0.04ml/gであり、メソ細孔の全細孔容積に占める均一メソ細孔の細孔容積の割合は23%であった。得られたMFI型ゼオライトの物性を表1に示す。
【0172】
得られたMFI型ゼオライトを触媒とし、n−ブタンを原料とし、上記した条件にて転化反応を行った。
【0173】
各工程におけるガスの流通時間を表14に示す。
【0174】
原料ガス流通時間、転化率、および、各生成物収率を表27に示す。原料ガス流通時間9995分まで、転化率、ベンゼン収率、トルエン収率、キシレン収率は一定の値の範囲で増減を繰り返し、安定した製造とは言いにくいものであった。
【0175】
【表27】
【0176】
比較例12
比較例11により得られたMFI型ゼオライトを触媒とし、イソブタンを原料とし、上記した条件にて転化反応を行った。
【0177】
各工程におけるガスの流通時間を表14に示す。
【0178】
原料ガス流通時間、転化率、および、各生成物収率を表28に示す。原料ガス流通時間9795分まで、転化率、ベンゼン収率、トルエン収率、キシレン収率は一定の値の範囲で増減を繰り返し、安定した製造とは言いにくいものであった。
【0179】
【表28】
【0180】
比較例13
比較例11により得られたMFI型ゼオライトを触媒とし、n−ヘキサンを原料とし、上記した条件にて転化反応を行った。
【0181】
各工程におけるガスの流通時間を表14に示す。
【0182】
原料ガス流通時間、転化率、および、各生成物収率を表29に示す。原料ガス流通時間10495分まで、転化率、ベンゼン収率、トルエン収率、キシレン収率は一定の値の範囲で増減を繰り返し、安定した製造とは言いにくいものであった。
【0183】
【表29】
【0184】
比較例14
比較例11により得られたMFI型ゼオライトを触媒とし、メチルシクロペンタンを原料とし、上記した条件にて転化反応を行った。
【0185】
各工程におけるガスの流通時間を表14に示す。
【0186】
原料ガス流通時間、転化率、および、各生成物収率を表30に示す。原料ガス流通時間9995分まで、転化率、ベンゼン収率、トルエン収率、キシレン収率は一定の値の範囲で増減を繰り返し、安定した製造とは言いにくいものであった。
【0187】
【表30】
【0188】
実施例13
テトラプロピルアンモニウム(以降、TPAと略記する場合がある。)水酸化物と水酸化ナトリウムの水溶液に不定形アルミノシリケートゲルを添加して懸濁させた。得られた懸濁液にMFI型ゼオライトを種晶として加え原料組成物とした。その際の種晶の添加量は、原料組成物中のAl
2O
3とSiO
2の重量に対して、0.7重量%とした。また、副生したエタノールは蒸発させて除いた。
【0189】
該原料組成物の組成は以下のとおりである。
SiO
2/Al
2O
3モル比=44、TPA/Siモル比=0.05、Na/Siモル比=0.16、OH/Siモル比=0.21、H
2O/Siモル比=10
得られた原料組成物をステンレス製オートクレーブに密閉し、115℃で攪拌しながら4日間結晶化させ、スラリー状混合液を得た。結晶化後のスラリー状混合液を遠心沈降機で固液分離した後、十分量の純水で固体粒子を洗浄し、110℃で乾燥して乾燥粉末を得た。
【0190】
得られた乾燥粉末10gを、550℃で1時間焼成後、60℃、20重量%の塩化アンモニウム水溶液100ml中で20時間交換、ろ過、洗浄してアンモニウム型のMFI型ゼオライトとした。その後、アンモニウム型のMFI型ゼオライトを550℃で1時間焼成して、MFI型ゼオライトを得た。
【0191】
得られたMFI型ゼオライトは、平均粒子径28nm、SiO
2/Al
2O
3モル比は40、凝集径は46μmであった。得られたMFI型ゼオライト中に存在するメソ細孔の全細孔容積は0.38ml/gであった。また、細孔分布曲線におけるメソ細孔分布曲線はピークを有し、均一メソ細孔のピークの半値幅は9nm、μ=16nmであった。また、均一メソ細孔の細孔容積は0.30ml/gであり、メソ細孔の全細孔容積に占める均一メソ細孔の細孔容積の割合は78%であった。得られたMFI型ゼオライトの物性を表31に示す。また、得られたMFI型ゼオライトの粉末X線回折では、0.1〜3度の範囲にピークは存在せず、メソ細孔が不規則に連結していることが示されている。
【0192】
得られたMFI型ゼオライトを触媒とし、1−ブテン50mol%と2−ブテン50mol%の混合物を原料とした芳香族化合物の製造を行った。その際のスイング式反応器の反応側、再生側の各条件は、以下の通りであった。
【0193】
(反応側)
600℃で加熱した反応管に対し、原料ガスを500分流通し、次いで、原料ガスフィードを再生側の反応管方向にただちに切り替えた。
【0194】
(再生側)
反応側の反応管の原料ガスフィードが開始すると同時に、600℃で加熱した再生側の反応管に対し窒素パージ(1)を開始し、30分間窒素パージを行い、反応管内を十分に窒素雰囲気に置換した。次いで、供給ガスを窒素から空気にただちに切り替え、10分間空気パージを行い、反応管内を十分に空気雰囲気に置換した。次いで、60分間空気を流通させ触媒の再生処理を行った。次いで、供給ガスを空気から窒素にただちに切り替え、10分間窒素パージ(2)を行い反応管内を十分に窒素雰囲気に置換した。続いて、窒素パージ(3)を390分間行い、反応管内を十分に窒素雰囲気に置換した。次いで、窒素ガスフィードラインを反応側の反応管方向にただちに切り替えると同時に、再生側の反応管に原料ガスフィードを開始した。以後、上記と同様の一連の処理を繰り返し行い、連続的に生成物フィードを得た。なお、以後の実施例、比較例に記載の反応でも同様の手順で運転を行い、原料ガス流通時間、再生処理時間および窒素パージ(3)時間のみを変更した。各工程におけるガスの流通時間を表32に示す。
【0195】
原料ガス流通時間、転化率、および、各生成物収率を表33に示す。原料ガス流通時間4995分まで、転化率、ベンゼン収率、トルエン収率、キシレン収率がいずれも大きく低下することなく安定的に生成物フィードを得ることが可能であった。
【0196】
【表31】
【0197】
【表32】
【0198】
【表33】
【0199】
実施例14
実施例13により得られたMFI型ゼオライトを芳香族化合物製造触媒とし、原料として1−ブテン20mol%、2−ブテン20mol%、イソブテン20mol%、n−ブタン20mol%、イソブタン20mol%の混合物を用い、上記した条件にて芳香族化合物への転化反応を行った。
【0200】
各工程におけるガスの流通時間を表32に示す。原料ガス流通時間、転化率、および、各生成物収率を表34に示す。原料ガス流通時間5995分まで、転化率、ベンゼン収率、トルエン収率、キシレン収率がいずれも大きく低下することなく安定的に生成物フィードを得ることが可能であった。
【0201】
【表34】
【0202】
実施例15
実施例13に記載のMFI型ゼオライトを触媒として、1−ブテン29mol%、2−ブテン17mol%、イソブテン47mol%、n−ブタン5mol%、イソブタン2mol%の混合物を原料とした転化反応を行った。なお、本実施例で用いた原料組成は、通常のナフサ分解によるC4留分から1、3−ブタジエンを除いた混合物を想定したものである。
【0203】
各工程におけるガスの流通時間を表32に示す。原料ガス流通時間、転化率、および、各生成物収率を表35に示す。原料ガス流通時間5995分まで、転化率、ベンゼン収率、トルエン収率、キシレン収率がいずれも大きく低下することなく安定的に生成物フィードを得ることが可能であった。
【0204】
【表35】
【0205】
実施例16
実施例13に記載のMFI型ゼオライトを触媒として、1−ブテン49mol%、2−ブテン29mol%、イソブテン10mol%、n−ブタン9mol%、イソブタン3mol%の混合物を原料とした転化反応を行った。なお、本実施例で用いた原料組成は、通常のナフサ分解によるC4留分から1、3−ブタジエンおよびイソブテンの一部を除いた混合物を想定したものである。
【0206】
各工程におけるガスの流通時間を表32に示す。原料ガス流通時間、転化率、および、各生成物収率を表36に示す。原料ガス流通時間5995分まで、転化率、ベンゼン収率、トルエン収率、キシレン収率がいずれも大きく低下することなく安定的に生成物フィードを得ることが可能であった。
【0207】
【表36】
【0208】
実施例17
TPA臭化物と水酸化ナトリウムの水溶液に水酸化アルミニウムを溶解させた。得られた水溶液にテトラエトキシシランを添加した後、MFI型ゼオライトを当該水溶液に種晶として加え原料組成物とした。発生したエタノールは蒸発させて除いた。
【0209】
上記原料組成物において、組成は以下のとおりである。
【0210】
SiO
2/Al
2O
3モル比=28、TPA/Siモル比=0.05、Na/Siモル比=0.17、OH/Siモル比=0.17、H
2O/Siモル比=10
この原料組成物を実施例13と同様に反応、及び処理してMFI型ゼオライトを得た。得られたMFI型ゼオライトの平均粒子径は27nm、SiO
2/Al
2O
3モル比は26であった。得られたMFI型ゼオライト中に存在するメソ細孔の全細孔容積は0.41ml/gであった。
【0211】
得られたMFI型ゼオライトの細孔分布曲線における均一メソ細孔のピークの半値幅は15nm、中心値は17nmであった。また、その均一メソ細孔の細孔容積は0.38ml/gであり、メソ細孔の全細孔容積に占める均一メソ細孔の細孔容積の割合は92%であった。
【0212】
得られたMFI型ゼオライトの物性を表31に示す。
【0213】
得られたMFI型ゼオライトを触媒として、1−ブテン50mol%と2−ブテン50mol%の混合物を原料とした転化反応を行った。
【0214】
各工程におけるガスの流通時間を表2に示す。原料ガス流通時間、転化率、および、各生成物収率を表37に示す。原料ガス流通時間4995分まで、転化率、ベンゼン収率、トルエン収率、キシレン収率がいずれも大きく低下することなく安定的に生成物フィードを得ることが可能であった。
【0215】
【表37】
【0216】
実施例18
実施例17に記載のMFI型ゼオライトを触媒として、1−ブテン20mol%、2−ブテン20mol%、イソブテン20mol%、n−ブタン20mol%、イソブタン20mol%の混合物を原料とした転化反応を行った。
【0217】
各工程におけるガスの流通時間を表32に示す。原料ガス流通時間、転化率、および、各生成物収率を表38に示す。原料ガス流通時間5995分まで、転化率、ベンゼン収率、トルエン収率、キシレン収率がいずれも大きく低下することなく安定的に生成物フィードを得ることが可能であった。
【0218】
【表38】
【0219】
実施例19
実施例17に記載のMFI型ゼオライトを触媒として、1−ブテン29mol%、2−ブテン17mol%、イソブテン47mol%、n−ブタン5mol%、イソブタン2mol%の混合物を原料とした転化反応を行った。なお、本実施例で用いた原料組成は、通常のナフサ分解のC4留分から1、3−ブタジエンを除いた混合物を想定したものである。
【0220】
各工程におけるガスの流通時間を表32に示す。原料ガス流通時間、転化率、および、各生成物収率を表39に示す。原料ガス流通時間5995分まで、転化率、ベンゼン収率、トルエン収率、キシレン収率がいずれも大きく低下することなく安定的に生成物フィードを得ることが可能であった。
【0221】
【表39】
【0222】
実施例20
実施例17に記載のMFI型ゼオライトを触媒として、1−ブテン49mol%、2−ブテン29mol%、イソブテン10mol%、n−ブタン9mol%、イソブタン3mol%の混合物を原料とした転化反応を行った。なお、本実施例で用いた原料組成は、通常のナフサ分解のC4留分から1、3−ブタジエンおよびイソブテンの一部を除いた混合物を想定したものである。
【0223】
各工程におけるガスの流通時間を表32に示す。原料ガス流通時間、転化率、および、各生成物収率を表40に示す。原料ガス流通時間5995分まで、転化率、ベンゼン収率、トルエン収率、キシレン収率がいずれも大きく低下することなく安定的に生成物フィードを得ることが可能であった。
【0224】
【表40】
【0225】
比較例15
水酸化ナトリウムの水溶液に水酸化アルミニウムを溶解させた。得られた水溶液にテトラエトキシシランを添加して懸濁させた。得られた懸濁液にMFI型ゼオライトを種晶として加え原料組成物とした。発生したエタノールは蒸発させて除いた。
【0226】
上記原料組成物において、組成は以下のとおりである。
【0227】
SiO
2/Al
2O
3モル比=48、Na/Siモル比=0.18、OH/Siモル比=0.18、H2O/Siモル比=18
この原料組成物を、結晶化温度を180℃にした以外は実施例1と同様に反応、及び処理してMFI型ゼオライトを得た。得られたMFI型ゼオライトの平均粒子径は115nm、SiO
2/Al
2O
3モル比は42であった。得られたMFI型ゼオライト中に存在するメソ細孔の全細孔容積は0.05ml/gであった。
【0228】
また、得られたMFI型ゼオライトの細孔分布曲線における均一メソ細孔のピークの半値幅は0.3nm、中心値は4nmであった。また、その均一メソ細孔の細孔容積は0.01ml/gであり、メソ細孔の全細孔容積に占める均一メソ細孔の細孔容積の割合は26%であった。
【0229】
得られたMFI型ゼオライトの物性を表31に示す。
【0230】
得られたMFI型ゼオライトを触媒として、1−ブテン50mol%と2−ブテン50mol%の混合物を原料とした転化反応を行った。
【0231】
各工程におけるガスの流通時間を表32に示す。
【0232】
原料ガス流通時間、転化率、および、各生成物収率を表41に示す。原料ガス流通時間4995分まで、転化率、ベンゼン収率、トルエン収率、キシレン収率は一定の値の範囲で増減を繰り返し、安定した製造とは言い難いものであった。
【0233】
【表41】
【0234】
比較例16
比較例15に記載のMFI型ゼオライトを触媒として、1−ブテン20mol%、2−ブテン20mol%、イソブテン20mol%、n−ブタン20mol%、イソブタン20mol%の混合物を原料とした転化反応を行った。
【0235】
各工程におけるガスの流通時間を表32に示す。
【0236】
原料ガス流通時間、転化率、および、各生成物収率を表42に示す。原料ガス流通時間5995分まで、転化率、ベンゼン収率、トルエン収率、キシレン収率は一定の値の範囲で増減を繰り返し、安定した製造とは言い難いものであった。
【0237】
【表42】
【0238】
比較例17
比較例15に記載のMFI型ゼオライトを触媒として、1−ブテン29mol%、2−ブテン17mol%、イソブテン47mol%、n−ブタン5mol%、イソブタン2mol%の混合物を原料とした転化反応を行った。
【0239】
各工程におけるガスの流通時間を表32に示す。
【0240】
原料ガス流通時間、転化率、および、各生成物収率を表43に示す。原料ガス流通時間5995分まで、転化率、ベンゼン収率、トルエン収率、キシレン収率は一定の値の範囲で増減を繰り返し、安定した製造とは言い難いものであった。
【0241】
【表43】
【0242】
比較例18
比較例15に記載のMFI型ゼオライトを触媒として、1−ブテン49mol%、2−ブテン29mol%、イソブテン10mol%、n−ブタン9mol%、イソブタン3mol%の混合物を原料とした転化反応を行った。
【0243】
各工程におけるガスの流通時間を表32に示す。
【0244】
原料ガス流通時間、転化率、および、各生成物収率を表44に示す。原料ガス流通時間5995分まで、転化率、ベンゼン収率、トルエン収率、キシレン収率は一定の値の範囲で増減を繰り返し、安定した製造とは言い難いものであった。
【0245】
【表44】
【0246】
比較例19
TPA水酸化物と水酸化ナトリウムの水溶液に水酸化アルミニウムを溶解させた。得られた水溶液にテトラエトキシシランを添加して懸濁させた。得られた懸濁液にMFI型ゼオライトを種晶として加え原料組成物とした。発生したエタノールは蒸発させて除いた。
【0247】
上記原料組成物において、組成は以下のとおりである。
【0248】
SiO
2/Al
2O
3モル比=59、TPA/Siモル比=0.20、Na/Siモル比=0.06、OH/Siモル比=0.26、H
2O/Siモル比=10
この原料組成物を実施例13と同様に反応、及び処理してMFI型ゼオライトを得た。得られたMFI型ゼオライトの平均粒子径は42nm、SiO
2/Al
2O
3モル比は49であった。得られたMFI型ゼオライト中に存在するメソ細孔の全細孔容積は0.20ml/gであった。
【0249】
また、得られたMFI型ゼオライトの細孔分布曲線における均一メソ細孔のピークの半値幅は3nm、中心値は6nmであった。また、均一メソ細孔の細孔容積は0.04ml/gであり、メソ細孔の全細孔容積に占める均一メソ細孔の細孔容積の割合は23%であった。
【0250】
得られたMFI型ゼオライトの物性を表31に示す。
【0251】
得られたMFI型ゼオライトを触媒として、1−ブテン50mol%と2−ブテン50mol%の混合物を原料とした転化反応を行った。
【0252】
各工程におけるガスの流通時間を表32に示す。
【0253】
原料ガス流通時間、転化率、および、各生成物収率を表45に示す。原料ガス流通時間4995分まで、転化率、ベンゼン収率、トルエン収率、キシレン収率は一定の値の範囲で増減を繰り返し、安定した製造とは言い難いものであった。
【0254】
【表45】
【0255】
比較例20
比較例19に記載のMFI型ゼオライトを触媒として、1−ブテン20mol%、2−ブテン20mol%、イソブテン20mol%、n−ブタン20mol%、イソブタン20mol%の混合物を原料とした転化反応を行った。
【0256】
各工程におけるガスの流通時間を表32に示す。
【0257】
原料ガス流通時間、転化率、および、各生成物収率を表46に示す。原料ガス流通時間5995分まで、転化率、ベンゼン収率、トルエン収率、キシレン収率は一定の値の範囲で増減を繰り返し、安定した製造とは言い難いものであった。
【0258】
【表46】
【0259】
比較例21
比較例19に記載のMFI型ゼオライトを触媒として、1−ブテン29mol%、2−ブテン17mol%、イソブテン47mol%、n−ブタン5mol%、イソブタン2mol%の混合物を原料とした転化反応を行った。
【0260】
各工程におけるガスの流通時間を表32に示す。
【0261】
原料ガス流通時間、転化率、および、各生成物収率を表47に示す。原料ガス流通時間5995分まで、転化率、ベンゼン収率、トルエン収率、キシレン収率は一定の値の範囲で増減を繰り返し、安定した製造とは言い難いものであった。
【0262】
【表47】
【0263】
比較例22
比較例19に記載のMFI型ゼオライトを触媒として、1−ブテン49mol%と2−ブテン29mol%、イソブテン10mol%、n−ブタン9mol%、イソブタン3mol%の混合物を原料とした転化反応を行った。
【0264】
各工程におけるガスの流通時間を表32に示す。
【0265】
原料ガス流通時間、転化率、および、各生成物収率を表48に示す。原料ガス流通時間5995分まで、転化率、ベンゼン収率、トルエン収率、キシレン収率は一定の値の範囲で増減を繰り返し、安定した製造とは言い難いものであった。
【0266】
【表48】
【0267】
実施例21
テトラプロピルアンモニウム(以降、TPAと略記する場合がある。)水酸化物と水酸化ナトリウムの水溶液に不定形アルミノシリケートゲルを添加して懸濁させた。得られた懸濁液にMFI型ゼオライトを種晶として加え原料組成物とした。その際の種晶の添加量は、原料組成物中のAl
2O
3とSiO
2の重量に対して、0.7重量%とした。また、副生したエタノールは蒸発させて除いた。
【0268】
該原料組成物の組成は以下のとおりである。
SiO
2/Al
2O
3モル比=44、TPA/Siモル比=0.05、Na/Siモル比=0.16、OH/Siモル比=0.21、H
2O/Siモル比=10
得られた原料組成物をステンレス製オートクレーブに密閉し、115℃で攪拌しながら4日間結晶化させ、スラリー状混合液を得た。結晶化後のスラリー状混合液を遠心沈降機で固液分離した後、十分量の純水で固体粒子を洗浄し、110℃で乾燥して乾燥粉末を得た。
【0269】
得られた乾燥粉末10gを、550℃で1時間焼成後、60℃、20重量%の塩化アンモニウム水溶液100ml中で20時間交換、ろ過、洗浄してアンモニウム型のMFI型ゼオライトとした。その後、アンモニウム型のMFI型ゼオライトを550℃で1時間焼成して、MFI型ゼオライトを得た。
【0270】
得られたMFI型ゼオライトは、平均粒子径26nm、SiO
2/Al
2O
3モル比は40、凝集径は46μmであった。得られたMFI型ゼオライト中に存在するメソ細孔の全細孔容積は0.39ml/gであった。また、細孔分布曲線におけるメソ細孔分布曲線はピークを有し、均一メソ細孔のピークの半値幅は9nm、μ=16nmであった。また、均一メソ細孔の細孔容積は0.31ml/gであり、メソ細孔の全細孔容積に占める均一メソ細孔の細孔容積の割合は79%であった。得られたMFI型ゼオライトの物性を表49に示す。また、得られたMFI型ゼオライトの粉末X線回折では、0.1〜3度の範囲にピークは存在せず、メソ細孔が不規則に連結していることが示されている。
【0271】
得られたMFI型ゼオライトを芳香族化合物製造触媒とし、1−ヘキセン50mol%と2−ヘキセン50mol%を原料とし、上記した条件にて芳香族化合物の製造を行った。その際のスイング式反応器の反応側、再生側の各条件は、以下の通りである。
【0272】
(反応側)
600℃で加熱した反応管に対し、原料ガスを430分流通し、次いで、原料ガスフィードを再生側の反応管方向にただちに切り替えた。
【0273】
(再生側)
反応側の反応管の原料ガスフィードが開始すると同時に、600℃で加熱した再生側の反応管に対し窒素パージ(1)を開始し、30分間窒素パージを行い、反応管内を十分に窒素雰囲気に置換した。次いで、供給ガスを窒素から空気にただちに切り替え、10分間空気パージを行い、反応管内を十分に空気雰囲気に置換した。次いで、60分間空気を流通させ芳香族化合物製造触媒の再生処理を行った。次いで、供給ガスを空気から窒素にただちに切り替え、10分間窒素パージ(2)を行い反応管内を十分に窒素雰囲気に置換した。続いて、窒素パージ(3)を320分間行い、反応管内を十分に窒素雰囲気に置換した。次いで、窒素ガスフィードラインを反応側の反応管方向にただちに切り替えると同時に、再生側の反応管に原料ガスフィードを開始した。以後、上記と同様の一連の処理を繰り返し行い、連続的に生成物フィードを得た。なお、以後の実施例、比較例に記載の反応でも同様の手順で運転を行い、原料ガス流通時間、および窒素パージ(3)時間のみを変更した。各工程におけるガスの流通時間を表50に示す。
【0274】
原料ガス流通時間、転化率、および、各生成物収率を表51に示す。原料ガス流通時間4295分まで、転化率、ベンゼン収率、トルエン収率、キシレン収率がいずれも大きく低下することなく安定的に生成物フィードを得ることが可能であった。
【0275】
【表49】
【0276】
【表50】
【0277】
【表51】
【0278】
実施例22
実施例21により得られたMFI型ゼオライトを芳香族化合物製造触媒とし、原料として1−ヘキセン50mol%と3−ヘキセン50mol%の混合物を用い、上記した条件にて芳香族化合物への転化反応を行った。
【0279】
各工程におけるガスの流通時間を表50に示す。原料ガス流通時間、転化率、および、各生成物収率を表52に示す。原料ガス流通時間4195分まで、転化率、ベンゼン収率、トルエン収率、キシレン収率がいずれも大きく低下することなく安定的に生成物フィードを得ることが可能であった。
【0280】
【表52】
【0281】
実施例23
実施例21により得られたMFI型ゼオライトを芳香族化合物製造触媒とし、原料として1−ヘキセン50mol%とn−ヘキサン50mol%の混合物を用い、上記した条件にて芳香族化合物への転化反応を行った。
【0282】
各工程におけるガスの流通時間を表50に示す。原料ガス流通時間、転化率、および、各生成物収率を表53に示す。原料ガス流通時間7295分まで、転化率、ベンゼン収率、トルエン収率、キシレン収率がいずれも大きく低下することなく安定的に生成物フィードを得ることが可能であった。
【0283】
【表53】
【0284】
実施例24
実施例21により得られたMFI型ゼオライトを芳香族化合物製造触媒とし、原料としてn−ヘキサン50mol%とシクロヘキサン50mol%の混合物を用い、上記した条件にて芳香族化合物への転化反応を行った。
【0285】
各工程におけるガスの流通時間を表50に示す。原料ガス流通時間、転化率、および、各生成物収率を表54に示す。原料ガス流通時間8895分まで、転化率、ベンゼン収率、トルエン収率、キシレン収率がいずれも大きく低下することなく安定的に生成物フィードを得ることが可能であった。
【0286】
【表54】
【0287】
実施例25
TPA臭化物と水酸化ナトリウムの水溶液に水酸化アルミニウムを溶解させた。得られた水溶液にテトラエトキシシランを添加した後、MFI型ゼオライトを当該水溶液に種晶として加え原料組成物とし、副生したエタノールは蒸発させて除いた。
【0288】
該原料組成物において、組成は以下のとおりである。
【0289】
SiO
2/Al
2O
3モル比=28、TPA/Siモル比=0.05、Na/Siモル比=0.17、OH/Siモル比=0.17、H
2O/Siモル比=10
該原料組成物を実施例21と同様の方法により反応、処理してMFI型ゼオライトを得た。
【0290】
得られたMFI型ゼオライトは、平均粒子径26nm、SiO
2/Al
2O
3モル比は26であった。得られたMFI型ゼオライト中に存在するメソ細孔の全細孔容積は0.42ml/gであり、細孔分布曲線におけるメソ細孔分布曲線はピークを有し、均一メソ細孔のピークの半値幅は15nm、μ=17nmであった。また、その均一メソ細孔の細孔容積は0.39ml/gであり、メソ細孔の全細孔容積に占める均一メソ細孔の細孔容積の割合は91%であった。得られたMFI型ゼオライトの物性を表1に示す。また、得られたMFI型ゼオライトの粉末X線回折では、0.1〜3度の範囲にピークは存在せず、メソ細孔が不規則に連結していることが示されている。
【0291】
得られたMFI型ゼオライトを芳香族化合物製造触媒とし、1−ヘキセン50mol%と2−ヘキセン50mol%の混合物を原料とし、上記した条件にて芳香族化合物への転化反応を行った。
【0292】
各工程におけるガスの流通時間を表50に示す。
【0293】
原料ガス流通時間、転化率、および、各生成物収率を表55に示す。原料ガス流通時間4295分まで、転化率、ベンゼン収率、トルエン収率、キシレン収率がいずれも大きく低下することなく安定的に生成物フィードを得ることが可能であった。
【0294】
【表55】
【0295】
実施例26
実施例25により得られたMFI型ゼオライトを芳香族化合物製造触媒とし、1−ヘキセン50mol%と3−ヘキセン50mol%の混合物を原料とした芳香族化合物への転化反応を行った。反応は上記した条件下で行った。
【0296】
各工程におけるガスの流通時間を表50に示す。原料ガス流通時間、転化率、および、各生成物収率を表56に示す。原料ガス流通時間4195分まで、転化率、ベンゼン収率、トルエン収率、キシレン収率がいずれも大きく低下することなく連続的に生成物フィードを得ることが可能であった。
【0297】
【表56】
【0298】
実施例27
実施例25により得られたMFI型ゼオライトを芳香族化合物製造触媒とし、1−ヘキセン50mol%とn−ヘキサン50mol%の混合物を原料とした芳香族化合物への転化反応を行った。反応は上記した条件下で行った。
【0299】
各工程におけるガスの流通時間を表50に示す。原料ガス流通時間、転化率、および、各生成物収率を表57に示す。原料ガス流通時間7295分まで、転化率、ベンゼン収率、トルエン収率、キシレン収率がいずれも大きく低下することなく連続的に生成物フィードを得ることが可能であった。
【0300】
【表57】
【0301】
実施例28
実施例25により得られたMFI型ゼオライトを芳香族化合物製造触媒とし、n−ヘキサン50mol%とシクロヘキサン50mol%を原料とした芳香族化合物への転化反応を行った。反応は上記した条件下で行った。
【0302】
各工程におけるガスの流通時間を表50に示す。原料ガス流通時間、転化率、および、各生成物収率を表58に示す。原料ガス流通時間8895分まで、転化率、ベンゼン収率、トルエン収率、キシレン収率がいずれも大きく低下することなく連続的に生成物フィードを得ることが可能であった。
【0303】
【表58】
【0304】
比較例23
水酸化ナトリウムの水溶液に水酸化アルミニウムを溶解させた。得られた水溶液にテトラエトキシシランを添加して懸濁させた。得られた懸濁液にMFI型ゼオライトを種晶として加え原料組成物とした。副生したエタノールは蒸発させて除いた。
【0305】
該原料組成物における組成は以下のとおりである。
【0306】
SiO
2/Al
2O
3モル比=48、Na/Siモル比=0.18、OH/Siモル比=0.18、H2O/Siモル比=18
該原料組成物を、結晶化温度を180℃にした以外は、実施例21と同様の方法により反応、処理してMFI型ゼオライトを得た。
【0307】
得られたMFI型ゼオライトは、平均粒子径115nm、SiO
2/Al
2O
3モル比は42であった。得られたMFI型ゼオライト中に存在するメソ細孔の全細孔容積は0.05ml/gであり、細孔分布曲線における均一メソ細孔のピークの半値幅は0.3nm、μ=4nmであった。また、その均一メソ細孔の細孔容積は0.01ml/gであり、メソ細孔の全細孔容積に占める均一メソ細孔の細孔容積の割合は26%であった。得られたMFI型ゼオライトの物性を表49に示す。
【0308】
得られたMFI型ゼオライトを触媒として、1−ヘキセン50mol%と2−ヘキセン50mol%の混合物を原料とし、上記した条件にて転化反応を行った。
【0309】
各工程におけるガスの流通時間を表50に示す。
【0310】
原料ガス流通時間、転化率、および、各生成物収率を表59に示す。原料ガス流通時間4295分まで、転化率、ベンゼン収率、トルエン収率、キシレン収率は一定の値の範囲で増減を繰り返し、安定した製造とは言い難いものであった。
【0311】
【表59】
【0312】
比較例24
比較例23により得られたMFI型ゼオライトを触媒とし、1−ヘキセン50mol%と3−ヘキセン50mol%の混合物を原料とし、上記した条件にて転化反応を行った。
【0313】
各工程におけるガスの流通時間を表50に示す。
【0314】
原料ガス流通時間、転化率、および、各生成物収率を表60に示す。原料ガス流通時間4195分まで、転化率、ベンゼン収率、トルエン収率、キシレン収率は一定の値の範囲で増減を繰り返し、安定した製造とは言い難いものであった。
【0315】
【表60】
【0316】
比較例25
比較例23により得られたMFI型ゼオライトを触媒とし、1−ヘキセン50mol%とn−ヘキサン50mol%の混合物を原料とし、上記した条件にて転化反応を行った。
【0317】
各工程におけるガスの流通時間を表50に示す。
【0318】
原料ガス流通時間、転化率、および、各生成物収率を表61に示す。原料ガス流通時間7295分まで、転化率、ベンゼン収率、トルエン収率、キシレン収率は一定の値の範囲で増減を繰り返し、安定した製造とは言いにくいものであった。
【0319】
【表61】
【0320】
比較例26
比較例23により得られたMFI型ゼオライトを触媒とし、n−ヘキサン50mol%とシクロヘキサン50mol%を原料とし、上記した条件にて転化反応を行った。
【0321】
各工程におけるガスの流通時間を表50に示す。
【0322】
原料ガス流通時間、転化率、および、各生成物収率を表62に示す。原料ガス流通時間8895分まで、転化率、ベンゼン収率、トルエン収率、キシレン収率は一定の値の範囲で増減を繰り返し、安定した製造とは言いにくいものであった。
【0323】
【表62】
【0324】
比較例27
TPA水酸化物と水酸化ナトリウムの水溶液に水酸化アルミニウムを溶解させた。得られた水溶液にテトラエトキシシランを添加して懸濁させた。得られた懸濁液にMFI型ゼオライトを種晶として加え原料組成物とした。副生したエタノールは蒸発させて除いた。
【0325】
該原料組成物において、組成は以下のとおりである。
【0326】
SiO
2/Al
2O
3モル比=59、TPA/Siモル比=0.20、Na/Siモル比=0.06、OH/Siモル比=0.26、H
2O/Siモル比=10
該原料組成物を実施例21と同様に反応、処理してMFI型ゼオライトを得た。
【0327】
得られたMFI型ゼオライトは、平均粒子径42nm、SiO
2/Al
2O
3モル比は49であった。得られたMFI型ゼオライト中に存在するメソ細孔の全細孔容積は0.20ml/gであり、細孔分布曲線における均一メソ細孔のピークの半値幅は3nm、μ=6nmであった。また、均一メソ細孔の細孔容積は0.04ml/gであり、メソ細孔の全細孔容積に占める均一メソ細孔の細孔容積の割合は23%であった。得られたMFI型ゼオライトの物性を表49に示す。
【0328】
得られたMFI型ゼオライトを触媒とし、1−ヘキセン50mol%と2−ヘキセン50mol%の混合物を原料とし、上記した条件にて転化反応を行った。
【0329】
各工程におけるガスの流通時間を表50に示す。
【0330】
原料ガス流通時間、転化率、および、各生成物収率を表63に示す。原料ガス流通時間4295分まで、転化率、ベンゼン収率、トルエン収率、キシレン収率は一定の値の範囲で増減を繰り返し、安定した製造とは言いにくいものであった。
【0331】
【表63】
【0332】
比較例28
比較例27により得られたMFI型ゼオライトを触媒とし、1−ヘキセン50mol%と3−ヘキセン50mol%の混合物を原料とし、上記した条件にて転化反応を行った。
【0333】
各工程におけるガスの流通時間を表50に示す。
【0334】
原料ガス流通時間、転化率、および、各生成物収率を表64に示す。原料ガス流通時間4195分まで、転化率、ベンゼン収率、トルエン収率、キシレン収率は一定の値の範囲で増減を繰り返し、安定した製造とは言いにくいものであった。
【0335】
【表64】
【0336】
比較例29
比較例27により得られたMFI型ゼオライトを触媒とし、1−ヘキセン50mol%とn−ヘキサン50mol%の混合物を原料とし、上記した条件にて転化反応を行った。
【0337】
各工程におけるガスの流通時間を表50に示す。
【0338】
原料ガス流通時間、転化率、および、各生成物収率を表65に示す。原料ガス流通時間7295分まで、転化率、ベンゼン収率、トルエン収率、キシレン収率は一定の値の範囲で増減を繰り返し、安定した製造とは言いにくいものであった。
【0339】
【表65】
【0340】
比較例30
比較例27により得られたMFI型ゼオライトを触媒とし、n−ヘキサン50mol%とシクロヘキサン50mol%を原料とし、上記した条件にて転化反応を行った。
【0341】
各工程におけるガスの流通時間を表50に示す。
【0342】
原料ガス流通時間、転化率、および、各生成物収率を表66に示す。原料ガス流通時間8895分まで、転化率、ベンゼン収率、トルエン収率、キシレン収率は一定の値の範囲で増減を繰り返し、安定した製造とは言いにくいものであった。
【0343】
【表66】