(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記焦点合わせ補助制御部は、前記撮像レンズによる焦点調節の速度の平均値が前記閾値以下まで減速した場合に、前記焦点状態検出部の検出結果に基づいて、前記焦点合わせ補助部を制御し、合焦状態に導く、
請求項1から4のいずれか1項に記載の撮像装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1は、フォーカスレンズ群を移動させて、合焦状態に導くため、オールドレンズ等のフォーカスレンズ群を手動で動かす構成の撮像装置には適用できないという欠点がある。
【0007】
また、特許文献1は、合焦状態に導く際の焦点調節の速度を考慮していないため、焦点合わせ中のファインダー及びライブビューの表示が不自然になるという欠点がある。
【0008】
一方、特許文献2は、AFボタンの操作が必要になるため、迅速な焦点合わせができないという欠点がある。特に、動体を撮像する際には、有効に機能しないという欠点がある。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、違和感を与えずに焦点合わせを補助できる撮像装置、その焦点合わせ補助方法、及び、その焦点合わせ補助プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための手段は、次のとおりである。
【0011】
(1)焦点調節可能な撮像レンズと、イメージセンサと、イメージセンサを移動させて焦点合わせを補助する焦点合わせ補助部と、撮像レンズによる焦点調節の速度を検出する焦点調節速度検出部と、焦点状態を検出する焦点状態検出部と、撮像レンズによる焦点調節の速度が閾値以下まで減速した場合に、焦点状態検出部の検出結果に基づいて焦点合わせ補助部を制御し、合焦状態に導く焦点合わせ補助制御部であって、撮像レンズによる焦点調節の速度とイメージセンサの移動による焦点調節の速度の和を閾値以下の速度にして、合焦状態に導く焦点合わせ補助制御部と、を備えた撮像装置。
【0012】
本態様によれば、撮像レンズによる焦点調節の速度が閾値以下まで減速すると、イメージセンサが移動して、焦点合わせが補助される。この際、撮像レンズによる焦点調節の速度とイメージセンサの移動による焦点調節の速度の和が、閾値以下の速度となるように、焦点合わせ補助部が制御され、合焦状態に導かれる。これにより、ユーザに違和感を与えずに、自然に合焦状態に導くことができる。また、イメージセンサの移動によって、焦点合わせを補助するため、オールドレンズ等を使用する場合であっても、適切の焦点合わせを補助できる。更に、ユーザのフォーカスの駆動に合わせて、イメージセンサを動かすことにより、いわゆるピントの行き過ぎも防止できる。
【0013】
(2)焦点合わせ補助制御部は、撮像レンズによる焦点調節の速度とイメージセンサの移動による焦点調節の速度の和を閾値の速度に保って、合焦状態に導く、上記(1)の撮像装置。
【0014】
本態様によれば、合焦状態に導く際、撮像レンズによる焦点調節の速度とイメージセンサの移動による焦点調節の速度の和が閾値の速度を保つように、焦点合わせ補助部が制御される。これにより、ユーザに違和感を与えずに、自然に合焦状態に導くことができる。
【0015】
(3)焦点合わせ補助制御部は、撮像レンズによる焦点調節の速度とイメージセンサの移動による焦点調節の速度の和を漸次減少させて、合焦状態に導く、上記(1)の撮像装置。
【0016】
本態様によれば、合焦状態に導く際、撮像レンズによる焦点調節の速度とイメージセンサの移動による焦点調節の速度の和が漸次減少するように、焦点合わせ補助部が制御される。これにより、ユーザに違和感を与えずに、自然に合焦状態に導くことができる。
【0017】
(4)焦点合わせ補助制御部は、撮像レンズによる焦点調節の速度とイメージセンサの移動による焦点調節の速度の和を単純減少させて、合焦状態に導く、上記(3)の撮像装置。
【0018】
本態様によれば、合焦状態に導く際、撮像レンズによる焦点調節の速度とイメージセンサの移動による焦点調節の速度の和が単純減少するように、焦点合わせ補助部が制御される。これにより、ユーザに違和感を与えずに、自然に合焦状態に導くことができる。
【0019】
(5)焦点合わせ補助制御部は、撮像レンズによる焦点調節の速度の平均値が閾値以下まで減速した場合に、焦点状態検出部の検出結果に基づいて、焦点合わせ補助部を制御し、合焦状態に導く、上記(1)から(4)のいずれか一の撮像装置。
【0020】
本態様によれば、撮像レンズによる焦点調節の速度の平均値が閾値以下まで減速した場合に、イメージセンサが移動して、焦点合わせが補助される。手動による焦点合わせは、一定になりづらいため、平均化した値を用いることにより、安定した制御が可能になる。
【0021】
(6)焦点状態検出部は、デフォーカス量を検出し、焦点合わせ補助制御部は、撮像レンズによる焦点調節の速度が閾値以下まで減速し、かつ、焦点状態検出部で検出されるデフォーカス量が規定値以下になった場合に、焦点状態検出部の検出結果に基づいて、焦点合わせ補助部を制御し、合焦状態に導く、上記(1)から(5)のいずれか一の撮像装置。
【0022】
本態様によれば、撮像レンズによる焦点調節の速度が閾値以下まで減速し、かつ、デフォーカス量が規定値以下になった場合に、イメージセンサが移動して、焦点合わせが補助される。手動で速度を一定に保って焦点調節することは難しい。そこで、撮像レンズによる焦点調節の速度が閾値以下まで減速し、かつ、デフォーカス量が規定値以下になった場合に補助を開始することにより、より適切に補助を開始できる。
【0023】
(7)撮像レンズによる焦点調節の速度が閾値以下となった後に、焦点状態検出部で検出されるデフォーカス量が規定値以下になった場合、焦点合わせ
補助制御部は、撮像レンズによる焦点調節の速度とイメージセンサの移動による焦点調節の速度の和を、焦点状態検出部で検出されるデフォーカス量が規定値に達した際に焦点調節速度検出部で検出された速度以下の速度にして、合焦状態に導く、上記(6)の撮像装置。
【0024】
本態様によれば、撮像レンズによる焦点調節の速度が閾値以下となった後にデフォーカス量が規定値以下になった場合、
デフォーカス量が規定値に達した際の焦点調節の速度以下の速度で合焦状態に導かれる。これにより、ユーザに違和感を与えずに、自然に合焦状態に導くことができる。
【0025】
(8)焦点合わせ補助制御部は、撮像レンズによる焦点調節の速度とイメージセンサの移動による焦点調節の速度の和を漸次減少させて、合焦状態に導く、上記(7)の撮像装置。
【0026】
本態様によれば、合焦状態に導く際、撮像レンズによる焦点調節の速度とイメージセンサの移動による焦点調節の速度の和が漸次減少するように、焦点合わせ補助部が制御される。これにより、ユーザに違和感を与えずに、自然に合焦状態に導くことができる。
【0027】
(9)焦点合わせ補助制御部は、撮像レンズによる焦点調節の速度とイメージセンサの移動による焦点調節の速度の和を単純減少させて、合焦状態に導く、上記(8)の撮像装置。
【0028】
本態様によれば、合焦状態に導く際、撮像レンズによる焦点調節の速度とイメージセンサの移動による焦点調節の速度の和が単純減少するように、焦点合わせ補助部が制御される。これにより、ユーザに違和感を与えずに、自然に合焦状態に導くことができる。
【0029】
(10)イメージセンサは、撮像面に位相差検出画素を備え、焦点状態検出部は、位相差検出画素から得られる信号に基づいて算出される位相差に基づいて、焦点状態を検出する、上記(1)から(9)のいずれか一の撮像装置。
【0030】
本態様によれば、イメージセンサの撮像面に位相差検出画素が備えられ、撮像と同時に位相差を検出できる。これにより、構成を簡素化できる。
【0031】
(11)焦点調節速度検出部は、焦点調節によって移動するフォーカスレンズ群の移動速度に基づいて、撮像レンズによる焦点調節の速度を検出する、上記(1)から(10)のいずれか一の撮像装置。
【0032】
本態様によれば、焦点調節によって移動するフォーカスレンズ群の移動速度に基づいて、撮像レンズによる焦点調節の速度が検出される。
【0033】
(12)焦点調節速度検出部は、焦点状態検出部で検出される焦点状態の変化に基づいて、撮像レンズによる焦点調節の速度を検出する、上記(1)から(10)のいずれか一の撮像装置。
【0034】
本態様によれば、焦点状態検出部で検出される焦点状態の変化に基づいて、撮像レンズによる焦点調節の速度が検出される。
【0035】
(13)撮像レンズが本体に対して着脱自在である、上記(1)から(12)のいずれか一の撮像装置。
【0036】
本態様によれば、撮像レンズが本体に対して着脱自在に構成される。これにより、レンズ交換が可能になる。
【0037】
(14)焦点状態を検出するステップと、撮像レンズによる焦点調節の速度を検出するステップと、撮像レンズによる焦点調節の速度が閾値以下まで減速した場合に、焦点状態の検出結果に基づいて、イメージセンサの移動を制御し、合焦状態に導くステップであって、撮像レンズによる焦点調節の速度とイメージセンサの移動による焦点調節の速度の和を閾値以下の速度にして、合焦状態に導くステップと、を備えた撮像装置の焦点合わせ補助方法。
【0038】
本態様によれば、撮像レンズによる焦点調節の速度が閾値以下まで減速すると、イメージセンサが移動して、焦点合わせが補助される。すなわち、一定の速度まで減速したことをもって、合焦状態に近づけられた
と判定し、焦点合わせの補助が開始される。この際、撮像レンズによる焦点調節の速度とイメージセンサの移動による焦点調節の速度の和が、閾値以下の速度となるように、焦点合わせ補助部を制御し、合焦状態に導く。これにより、ユーザに違和感を与えずに、自然に合焦状態に導くことができる。
【0039】
(15)焦点状態の検出結果を取得する機能と、撮像レンズによる焦点調節の速度の検出結果を取得する機能と、撮像レンズによる焦点調節の速度が閾値以下まで減速した場合に、焦点状態の検出結果に基づいて、イメージセンサの移動を制御し、合焦状態に導く機能であって、撮像レンズによる焦点調節の速度とイメージセンサの移動による焦点調節の速度の和を閾値以下の速度にして、合焦状態に導く機能と、をコンピュータに実現させる撮像装置の焦点合わせ補助プログラム。
【0040】
本態様によれば、撮像レンズによる
焦点調節の速度が閾値以下まで減速すると、イメージセンサが移動して、焦点合わせが補助される。すなわち、一定の速度まで減速したことをもって、合焦状態に近づけられた
と判定し、焦点合わせの補助が開始される。この際、撮像レンズによる焦点調節の速度とイメージセンサの移動による焦点調節の速度の和が、閾値以下の速度となるように、焦点合わせ補助部を制御し、合焦状態に導く。これにより、ユーザに違和感を与えずに、自然に合焦状態に導くことができる。
【発明の効果】
【0041】
本発明によれば、違和感を与えずに焦点合わせを補助できる。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、添付図面に従って本発明を実施するための好ましい形態について詳説する。
【0044】
◆◆第1の実施の形態◆◆
[デジタルカメラの外観構成]
図1〜
図3は、それぞれ本発明が適用されたデジタルカメラの一実施形態を示す正面斜視図、背面斜視図、背面図である。
【0045】
図1〜
図3に示すデジタルカメラ1は、レンズ交換式のデジタルカメラであり、交換レンズ10及びカメラ本体100を備える。デジタルカメラ1は、撮像装置の一例である。
【0046】
《交換レンズの外観構成》
交換レンズ10は、撮像レンズの一例である。交換レンズ10は、仕様の異なるものが複数用意される。各交換レンズ10は、鏡筒12の基端部にレンズ側マウント(不図示)を備え、そのレンズ側マウントを介して、カメラ本体100に着脱自在に装着される。また、各交換レンズ10は、少なくとも焦点調節機構及び絞りを備え、焦点調節可能かつ光量調節可能に構成される。
【0047】
図1には、レンズ操作部14として、フォーカスリング16及び絞りリング18を備えた交換レンズ10の一例が示されている。
【0048】
フォーカスリング16は、焦点調節用の操作部材であり、鏡筒12の周りを回転自在に設けられる。フォーカスリング16を回転操作すると、その操作方向、操作量及び操作速度に応じて、側焦点調節機構が作動する。すなわち、その操作方向、操作量及び操作速度に応じて、フォーカスレンズ群が移動し、焦点調節が行われる。
【0049】
絞りリング18は、絞り調節用の操作部材であり、鏡筒12の周りを回転自在に設けられる。絞りリング18は、その外周に設定可能な絞り値が一定の間隔で印字される(不図示)。絞りの設定は、絞りリング18を回転操作し、鏡筒12に備えられた指標(不図示)の位置に設定を希望する絞り値を合わせることにより行われる。
【0050】
《カメラ本体の外観構成》
カメラ本体100は、撮像装置本体の一例である。カメラ本体100は、本体側マウント102、メインモニタ104、サブモニタ106、電子ビューファインダ108、カメラ操作部110等を備える。
【0051】
本体側マウント102は、交換レンズ10の装着部であり、カメラ本体100の正面に備えられる。交換レンズ10は、この本体側マウント102に着脱自在に装着される。
【0052】
メインモニタ104は、カメラ本体100の背面に備えられる。メインモニタ104は、LCD(Liquid Crystal Display/液晶ディスプレイ)で構成される。メインモニタ104は、各種設定を行う際のGUI(Graphical User Interface)として利用されるほか、撮像済み画像の再生用モニタとして利用される。また、撮像時には、必要に応じてライブビューが表示され、イメージセンサで撮像された画像がリアルタイムに表示される。
【0053】
サブモニタ106は、カメラ本体100の上面に備えられる。サブモニタ106は、LCDで構成される。サブモニタ106には、シャッタ速度、絞り値、感度、露出補正などの主要な撮像情報が表示される。
【0054】
電子ビューファインダ(EVF:Electronic View Finder)108は、カメラ本体100の上部に備えられる。電子ビューファインダ108には、ライブビューが表示され、イメージセンサで撮像された画像がリアルタイムに表示される。電子ビューファインダ108は、必要に応じてオン、オフでき、メインモニタ104への表示に切り換えられる。
【0055】
カメラ操作部110は、デジタルカメラ1の操作部材として、感度ダイヤル111、消去ボタン112、電源レバー113、シャッタボタン114、ドライブボタン115、サブモニタ照明ボタン116、シャッタ速度ダイヤル117、再生ボタン118、フロントコマンドダイヤル119、リアコマンドダイヤル120、フォーカスレバー121、クイックメニューボタン122、メニュー/OKボタン123、セレクターボタン124、表示/BACKボタン125、第1ファンクションボタン126、第2ファンクションボタン127、第3ファンクションボタン128、第4ファンクションボタン129、第5ファンクションボタン130、フォーカスモード切換レバー132等を備える。
【0056】
感度ダイヤル111は、感度を設定するダイヤルである。消去ボタン112は、撮像済みの画像を消去するボタンである。画像再生中に当該ボタンを押すと、再生中の画像が消去される。電源レバー113は、デジタルカメラ1の電源をオン、オフするレバーである。シャッタボタン114は、画像の記録を指示するボタンである。シャッタボタン114は、半押し及び全押しが可能な二段ストローク式のボタンで構成される。シャッタボタン114を半押しするとS1ON信号が出力され、全押しするとS2ON信号が出力される。静止画を撮像する場合、シャッタボタン114の半押しで撮像準備が行われ、全押しで画像の記録が行われる。動画を撮像する場合、最初のシャッタボタン114の全押しで撮像が開始され、2回目のシャッタボタン114を全押しで撮像が終了する。ドライブボタン115は、ドライブモードの選択画面を呼び出すボタンである。ドライブボタン115が押されると、メインモニタ104にドライブモードの選択画面が表示される。ドライブモードの選択画面でドライブモードが選択され、1コマ撮像、連写、ブラケット撮像、多重露光、動画撮像等が選択される。サブモニタ照明ボタン116は、サブモニタ106の照明をオン、オフするボタンである。シャッタ速度ダイヤル117は、シャッタ速度を設定するダイヤルである。再生ボタン118は、再生モードへの切り換えを指示するボタンである。デジタルカメラ1は、撮像モードで起動し、再生ボタン118を押すと、再生モードに切り換わる。なお、再生モードの状態でシャッタボタン114を押すと、撮像モードに切り換わる。フロントコマンドダイヤル119及びリアコマンドダイヤル120には、デジタルカメラ1の状態に応じた機能が割り当てられる。フォーカスレバー121は、AFエリアを選択するレバーである。クイックメニューボタン122は、クイックメニューを呼び出すボタンである。クイックメニューボタン122を押すと、メインモニタ104にクイックメニューが表示される。クイックメニューには、デジタルカメラ1で設定可能な項目のうちユーザが登録した項目が表示される。メニュー/OKボタン123は、メニュー画面を呼び出すボタンである。メニュー/OKボタン123を押すと、メインモニタ104にメニュー画面が表示される。また、メニュー/OKボタン123は、選択事項等を確定するボタンとしても機能する。セレクターボタン124は、いわゆる十字ボタンであり、4方向の指示が可能なボタンである。各種設定等を行う場合は、このセレクターボタン124で項目の選択等を行う。表示/BACKボタン125は、メインモニタ104の表示内容を切り換えるボタンである。また、表示/BACKボタン125は、選択事項等をキャンセルするボタン、すなわち、一つ前の状態に戻すボタンとしても機能する。第1ファンクションボタン126、第2ファンクションボタン127、第3ファンクションボタン128、第4ファンクションボタン129及び第5ファンクションボタン130には、あらかじめ用意された機能のうちユーザが選択した機能が割り当てられる。たとえば、焦点合わせの補助機能をオン、オフする機能等が割り当てられる。フォーカスモード切換レバー132は、フォーカスモードを切り換えるレバーである。デジタルカメラ1は、このフォーカスモード切換レバー132によって、フォーカスモードがオートフォーカス(Auto Focus, AF)のモード(AFモード)と、マニュアルフォーカス(Manual Focus, MF)のモード(MFモード)とに切り換えられる。
【0057】
[デジタルカメラの電気的構成]
図4は、デジタルカメラの電気的構成を示すブロック図である。
【0058】
《交換レンズの電気的構成》
図4に示すように、交換レンズ10は、焦点調節を行うレンズ側焦点調節機構20と、光量調節を行う絞り30と、交換レンズ10を操作するレンズ操作部14と、交換レンズ10の動作を制御するレンズマイコン40と、を備える。
【0059】
〈レンズ側焦点調節機構〉
交換レンズ10のレンズ側焦点調節機構20は、フォーカスレンズ群22を光軸Lに沿って前後移動させることにより、焦点調節する。フォーカスレンズ群22は、交換レンズ10を構成するレンズ群の一部又は全部で構成される。
【0060】
本実施の形態の交換レンズ10は、フォーカスレンズ群22がフォーカスレンズ駆動部24に駆動されて、光軸Lに沿って移動する。フォーカスレンズ駆動部24は、フォーカスレンズ群22を駆動するアクチュエータ、及び、その駆動回路等を備える。アクチュエータは、たとえば、リニアモータで構成される。
【0061】
フォーカスレンズ群22は、その位置がフォーカスレンズ位置検出部26によって検出される。フォーカスレンズ位置検出部26は、たとえば、フォトインタラプタ及びMRセンサ(MRセンサ:Magneto Resistive Sensor/磁気抵抗効果素子)で構成される。フォトインタラプタは、フォーカスレンズ群22が原点位置に位置したことを検出する。MRセンサは、フォーカスレンズ群22の移動量を検出する。フォトインタラプタによってフォーカスレンズ群22が原点位置に位置したことを検出し、MRセンサによって原点位置からのフォーカスレンズ群22の移動量を検出することにより、原点位置に対するフォーカスレンズ群22の位置を検出できる。
【0062】
〈絞り〉
絞り30は、たとえば、虹彩絞りで構成される。絞り30は、絞り駆動部32に駆動されて、その開口径(絞り値)が変化する。絞り駆動部32は、アクチュエータ、及び、その駆動回路等を備える。
【0063】
〈レンズ操作部〉
レンズ操作部14は、鏡筒12に備えられた各操作部材の操作に応じた信号をレンズマイコン40に出力する。たとえば、フォーカスリング16の操作方向、操作量及び操作速度に応じた信号をレンズマイコン40に出力する。また、絞りリング18の設定に応じた信号をレンズマイコン40に出力する。
【0064】
〈レンズマイコン〉
レンズマイコン40は、CPU(CPU:Central Processing Unit/中央処理装置)、ROM(ROM:Read Only Memory)、RAM(RAM:Random Access Memory)等を備えたマイクロコンピュータで構成され、所定のプログラムを実行することにより、交換レンズ10の制御部として機能する。
【0065】
図5は、レンズマイコンが実現する主な機能のブロック図である。
【0066】
レンズマイコン40は、所定のプログラムを実行することにより、フォーカスレンズ制御部42、絞り制御部46、レンズ側通信制御部48等として機能する。
【0067】
フォーカスレンズ制御部42は、フォーカスリング16の操作又はカメラ本体100からの指令に基づいて、フォーカスレンズ駆動部24の駆動を制御し、フォーカスレンズ群22の移動を制御する。カメラのフォーカスモードがマニュアルフォーカスに設定されている場合、フォーカスレンズ制御部42は、フォーカスリング16の操作に基づいて、フォーカスレンズ群22の移動を制御する。具体的には、フォーカスリング16の操作に応じた方向、操作に応じた速度及び操作に応じた移動量でフォーカスレンズ群22を移動させる。カメラのフォーカスモードがオートフォーカスに設定されている場合、フォーカスレンズ制御部42は、カメラ本体100の指令に基づいて、フォーカスレンズ群22を移動させる。この際、フォーカスレンズ制御部42は、規定の速度でフォーカスレンズ群22を移動させる。
【0068】
レンズ側焦点調節速度検出部44は、焦点調節速度検出部の一例である。レンズ側焦点調節速度検出部44は、フォーカスレンズ制御部42がフォーカスレンズ駆動部24を駆動して、フォーカスレンズ群22を移動させる際の速度を検出する。この速度が、交換レンズ10による焦点調節の速度となる。上記のように、カメラのフォーカスモードがマニュアルフォーカスに設定されている場合、フォーカスレンズ制御部42は、フォーカスリング16の操作に応じた速度でフォーカスレンズ群22を移動させる。レンズ側焦点調節速度検出部44は、フォーカスレンズ制御部42が、フォーカスリング16の操作に応じてフォーカスレンズ群22を移動させる際の速度を検出する。
【0069】
絞り制御部46は、絞りリング18の操作又はカメラ本体100からの指令に基づいて、絞り駆動部32を制御し、絞り30を制御する。カメラの露出制御モードが絞り優先又はマニュアルの場合、絞り制御部46は、操作リングの設定に応じて絞り駆動部32を制御し、設定された絞り値に絞り30を設定する。カメラの露出制御モードが、シャッタ速度優先又はオートの場合、絞り制御部46はカメラ本体からの指令に応じて絞り駆動部32を制御し、指示された絞り値に設定する。
【0070】
レンズ側通信制御部48は、カメラ本体100との間の通信を制御する。交換レンズ10が、カメラ本体100の通信規格に対応した規格の通信機能を備えている場合、交換レンズ10をカメラ本体100に装着すると、両者は互いに通信可能に接続される。通信は、互いのマウントに備えられた接点を介して行われる。
【0071】
《カメラ本体の電気的構成》
図4に示すように、カメラ本体100は、イメージセンサ210、焦点合わせ補助部220、イメージセンサ駆動部226、アナログ信号処理部228、ADC(Analog-to-digital converter/アナログデジタル変換器)230、デジタル信号処理部232、位相差検出部234、輝度検出部236、メモリカードインタフェース238、メモリカード240、メインモニタ104、サブモニタ106、電子ビューファインダ(EVF)108、カメラ操作部110及びカメラマイコン250を備える。
【0072】
〈イメージセンサ〉
イメージセンサ210は、交換レンズ10を介して被写体を撮像する。イメージセンサ210は、たとえば、CCD(Charged Coupled Device)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の固体撮像素子で構成される。本実施の形態のデジタルカメラ1では、位相差検出機能を備えたイメージセンサ210が使用される。
【0073】
図6は、イメージセンサの概略構成を示す図である。
【0074】
イメージセンサ210は、多数の画素がx方向及びy方向に二次元的に配列された撮像面212を有する。撮像面212には、複数のAFエリア214が設定される。AFエリア214は、位相差を検出するエリアであり、その検出結果に基づいて、焦点合わせが可能なエリアである。
図6には、画面中央部分に9つのAFエリア214を設定した例を示している。
【0075】
図7は、撮像面の一部を拡大した図である。
【0076】
上記のように、撮像面212には、多数の画素がx方向及びy方向に二次元的に配列される。各画素は、光電変換部を備え、受光量に応じた信号を出力する。また、各画素には、R(Red/赤)、G(Green/緑)、B(Blue/青)のいずれかの色のカラーフィルタが備えられる。カラーフィルタは、所定の配列となるように、各画素に割り当てられる。
図7は、ベイヤ配列の例を示している。なお、同図では、Rのカラーフィルタを有する画素(R画素)にRの文字を付し、Gのカラーフィルタを有する画素(G画素)にGの文字を付し、Bのカラーフィルタを有する画素(B画素)にBの文字を付している。
【0077】
AFエリアには、通常画素216の他、位相差検出画素218が配置される。通常画素216とは、通常の撮像用の画素のことである。位相差検出画素218とは、位相差を検出する画素のことである。位相差検出画素以外の画素は通常画素を構成する。AFエリア以外の領域には、通常画素のみが配置される。
図7では、位相差検出画素218を斜線で示している。同図に示すように、位相差検出画素218は、撮像面212に規則的に配置される。
【0078】
位相差検出画素218は、第1位相差検出画素218A及び第2位相差検出画素218Bで構成される。第1位相差検出画素218A及び第2位相差検出画素218Bは、互いに近接して配置される。
図7に示す例では、互いに近接する同じ配列の2つの行の一方に一定の間隔で第1位相差検出画素218Aを配置し、他方に一定の間隔で第2位相差検出画素218Bを配置した例を示している。特に、R画素及びG画素が配列された特定の行の特定のG画素を位相差検出画素として利用した場合の例を示している。
【0079】
図8は、各画素の概略構成を示す図である。
【0080】
各画素は、所定の開口部を備えた遮光膜を有する。
図8は、遮光膜を斜線で示し、遮光膜に備えられる開口部を白抜きで示している。
【0081】
通常画素216は、開口部が光電変換部の中心と一致した遮光膜を有する。通常画素216は、交換レンズ10の瞳領域のほぼ全ての部分を通過した光束を受光する。
【0082】
第1位相差検出画素218Aは、開口部が光電変換部の中心に対して右側に偏心した遮光膜を有する。この結果、第1位相差検出画素218Aは、交換レンズ10の瞳領域の異なる部分を通過した一対の光束のうち一方の光束が受光される。
【0083】
第2位相差検出画素218Bは、開口部が光電変換部の中心に対して左側に偏芯した遮光膜を有する。この結果、第2位相差検出画素218Bでは、交換レンズ10の瞳領域の異なる部分を通過した一対の光束のうち他方の光束が受光される。
【0084】
以上の構成により、第1位相差検出画素218A及び第2位相差検出画素218Bの信号を取得し、両者を比較することにより、各AFエリアにおける位相差の検出が可能となる。
【0085】
〈焦点合わせ補助部〉
焦点合わせ補助部220は、イメージセンサ210を光軸Lに沿って前後移動させて、焦点合わせを補助する。焦点合わせ補助部220は、イメージセンサ210を光
軸Lに沿って移動させるイメージセンサ移動駆動部222及びイメージセンサ210の位置を検出するイメージセンサ位置検出部224等を備える。
【0086】
イメージセンサ移動駆動部222は、たとえば、ピエゾアクチュエータ等のアクチュエータ、及び、その駆動回路等を備える。イメージセンサ210は、基準位置を基準にして、可動範囲内で移動する。基準位置は、可動範囲の中央に設定され、かつ、フランジバックの位置に設定される。一般に交換レンズ10は、フランジバックの位置を基準に光学設計が行われる。したがって、イメージセンサ210を基準位置に位置させることにより、交換レンズ10の光学性能を最大限に発揮させることができる。
【0087】
イメージセンサ位置検出部224は、基準位置に対するイメージセンサ210の位置を検出する。イメージセンサ位置検出部224は、たとえば、渦電流センサ等の変位センサで構成される。
【0088】
〈イメージセンサ駆動部〉
イメージセンサ駆動部226は、カメラマイコン250による制御の下、イメージセンサ210を駆動する。イメージセンサ210は、イメージセンサ駆動部226に駆動されて、画像を撮像する。
【0089】
〈アナログ信号処理部〉
アナログ信号処理部228は、イメージセンサ210から出力される画素ごとのアナログの画像信号を取り込み、所定の信号処理(たとえば、相関二重サンプリング処理、増幅処理等)を施す。
【0090】
〈ADC〉
ADC230は、アナログ信号処理部228から出力されるアナログの画像信号をデジタルの画像信号に変換して出力する。
【0091】
〈デジタル信号処理部〉
デジタル信号処理部232は、デジタルの画像信号を取り込み、所定の信号処理(たとえば、階調変換処理、ホワイトバランス補正処理、ガンマ補正処理、同時化処理、YC変換処理等)を施して、画像データを生成する。
【0092】
〈位相差検出部〉
位相差検出部234は、指定されたAFエリア214の位相差を検出する。位相差検出部234は、指定されたAFエリア214から第1位相差検出画素218A及び第2位相差検出画素218Bの信号を取得し、所定の相関演算処理を行って、位相差を算出する。AFエリア214の選択は手動又は自動で行われる。手動の場合、フォーカスレバー121の操作で任意のAFエリア214が選択される。自動の場合、主要被写体を検出する処理(たとえば、顔検出等)を行って、AFエリアが選択される。
【0093】
〈輝度検出部〉
輝度検出部236は、イメージセンサ210の通常画素からの出力に基づいて、露出制御に必要な被写体の輝度を検出する。
【0094】
〈メモリカードインタフェース及びメモリカード〉
メモリカードインタフェース238は、カメラマイコン250による制御の下、カードスロットに装着されたメモリカード240に対して、データの読み書きを行う。
【0095】
〈メインモニタ〉
メインモニタ104は、LCDで構成される。メインモニタ104の表示は、カメラマイコン250で制御される。カメラマイコン250は、LCDドライバ104aを介してメインモニタ104の表示を制御する。
【0096】
〈サブモニタ〉
サブモニタ106は、LCDで構成される。サブモニタ106の表示は、カメラマイコン250で制御される。カメラマイコン250は、LCDドライバ106aを介してサブモニタ106の表示を制御する。
【0097】
〈電子ビューファインダ〉
電子ビューファインダ(EVF)108は、その表示部がLCDで構成される。電子ビューファインダ108の表示は、カメラマイコン250で制御される。カメラマイコン250は、LCDドライバ108aを介して電子ビューファインダ108の表示を制御する。
【0098】
〈カメラ操作部〉
カメラ操作部110は、各操作部材の操作に応じた信号をカメラマイコン250に出力する。
【0099】
〈カメラマイコン〉
カメラマイコン250は、CPU、ROM、RAM等を備えたマイクロコンピュータで構成され、所定のプログラム(たとえば、焦点合わせ補助プログラム等)を実行することにより、カメラの各種制御を行う制御部として機能する。
【0100】
図9は、カメラマイコンが実現する主な機能のブロック図である。
【0101】
カメラマイコン250は、所定の制御プログラムを実行することにより、焦点状態検出部252、露出設定部254、自動焦点合わせ制御部256、焦点合わせ補助制御部258、露光制御部260、記録制御部262、メインモニタ表示制御部264、サブモニタ表示制御部266、EVF表示制御部268、本体側通信制御部270、レンズ装着検出部272、互換性判定部274等として機能する。
【0102】
〔焦点状態検出部〕
焦点状態検出部252は、指定されたAFエリア214の焦点状態を検出する。焦点状態検出部252は、焦点状態として、デフォーカスの方向及び量を検出する。焦点状態検出部252は、位相差検出部234で算出された位相差の情報に基づいて、デフォーカスの方向及び量を算出する。
【0103】
〔露出設定部〕
露出設定部254は、輝度検出部236で検出された被写体の輝度の情報に基づいて、露出(絞り値及びシャッタ速度)を設定する。
【0104】
〔自動焦点合わせ制御部〕
自動焦点合わせ制御部256は、カメラのフォーカスモードが、オートフォーカスに設定されている場合において、主要被写体に自動で合焦するように、フォーカスレンズ群22の駆動を制御する。自動焦点合わせ制御部256は、焦点状態検出部252の検出結果に基づいて、フォーカスレンズ群22の駆動を制御し、主要被写体に焦点を合わせる。自動焦点合わせ制御部256は、レンズマイコン40にフォーカスレンズ群22の駆動指令を出力し、フォーカスレンズ群22の駆動を制御する。
【0105】
なお、自動焦点合わせができるのは、カメラ本体側で交換レンズの制御が可能な場合だけである。交換レンズ10が、カメラ本体100と通信不能な場合、フォーカスレンズ群22の駆動部を備えていない場合などには、自動焦点合わせの機能は使用できない。
【0106】
〔焦点合わせ補助制御部〕
焦点合わせ補助制御部258は、カメラのフォーカスモードがマニュアルフォーカスに設定され、かつ、焦点合わせの補助機能がオンされた場合に、焦点状態検出部252の検出結果に基づいて、焦点合わせ補助部220を制御し、焦点合わせを補助する。すなわち、イメージセンサ210を移動させて、ユーザの手動による焦点合わせを補助する。この際、電子ビューファインダ(EVF)108又はライブビューを視認しているユーザに違和感を与えないように、イメージセンサ210の移動速度を制御する。この点については、後に詳述する。
【0107】
〔露光制御部〕
露光制御部260は、露出設定部254で設定された露出に従って露光を制御する。すなわち、設定された絞り値になるように絞り30の駆動を制御し、かつ、設定されたシャッタ速度(露光時間)で露光されるようにイメージセンサ210の駆動を制御する。絞り30については、レンズマイコン40に駆動指令を出力し、設定された絞り値に設定する。
【0108】
なお、絞り30の制御ができるのは、交換レンズ10がカメラ本体100と通信可能な場合だけである。交換レンズ10がカメラ本体100と通信不能な場合、レンズ側で設定した絞り値をカメラ本体100に手動で入力する。
【0109】
〔記録制御部〕
記録制御部262は、撮像により得られた画像データの記録を制御する。記録制御部262は、撮像により得られた画像データから所定フォーマットの画像ファイルを生成し、メモリカード240に記録する。
【0110】
〔メインモニタ表示制御部〕
メインモニタ表示制御部264は、メインモニタ104の表示を制御する。たとえば、ライブビューの表示指示に応じて、イメージセンサ210で捉えた画像をリアルタイムにメインモニタ104に表示させる。また、メニュー画面の表示指示に応じて、メインモニタ104にメニュー画面を表示させる。
【0111】
〔サブモニタ表示制御部〕
サブモニタ表示制御部266は、サブモニタ106の表示を制御する。サブモニタ表示制御部266は、サブモニタ106に表示する情報を取得し、取得した情報を所定のフォーマットでサブモニタ106に表示させる。
【0112】
〔EVF表示制御部〕
EVF表示制御部268は、電子ビューファインダ(EVF)108の表示を制御する。EVF108の使用が選択された場合、EVF表示制御部268は、イメージセンサ210で捉えた画像をリアルタイムに電子ビューファインダ(EVF)108に表示させる。
【0113】
〔本体側通信制御部〕
本体側通信制御部270は、交換レンズ10との間の通信を制御する。交換レンズ10が、カメラ本体100の通信規格に対応した規格の通信機能を備えている場合、交換レンズ10をカメラ本体100に装着すると、両者は互いに通信可能に接続される。通信は、互いのマウントに備えられた接点を介して行われる。
【0114】
〔レンズ装着検出部〕
レンズ装着検出部272は、交換レンズ10の装着を検出する。検出は、たとえば、本体側マウント102に備えられた検出用の接点への通電を検出することにより行われる。
【0115】
〔互換性判定部〕
互換性判定部274は、カメラ本体100に装着された交換レンズ10の互換性の有無を判定する。すなわち、装着された交換レンズ10がカメラ本体100で制御可能なレンズか否かを判定する。互換性判定部274は、交換レンズ10との通信の可否、及び、交換レンズ10から取得されるレンズ情報等に基づいて、互換性の有無を判定する。
【0116】
[デジタルカメラの動作]
《互換性の判定》
デジタルカメラ1は、電源が投入されると、交換レンズ10の装着の有無を判定する。交換レンズ10が装着されていると判定すると、更に互換性の有無を判定する。
【0117】
互換性のない交換レンズがカメラ本体100に装着された場合、カメラ本体側から交換レンズを制御することはできない。したがって、この場合、レンズ制御に関する機能が制限される。すなわち、焦点調節、絞りの設定等が手動で行う設定とされる。
【0118】
《静止画撮像》
デジタルカメラ1は、シャッタボタン114の半押しで撮像準備が行われ、全押しで画像の記録が行われる。カメラのフォーカスモードがオートフォーカスに設定されている場合、シャッタボタン114の半押しでオートフォーカスが作動する。カメラのフォーカスモードがマニュアルフォーカスに設定されている場合、手動で交換レンズ10の焦点合わせが行われる。
【0119】
《動画撮像》
デジタルカメラ1は、最初のシャッタボタン114の全押しで撮像が開始され、2回目のシャッタボタン114を全押しで撮像が終了する。カメラのフォーカスモードがオートフォーカスに設定されている場合、撮像の開始と同時にオートフォーカスが作動する。カメラのフォーカスモードがマニュアルフォーカスに設定されている場合、手動で交換レンズ
10の焦点合わせが行われる。
【0120】
[焦点合わせの補助]
上記のように、本実施の形態のデジタルカメラ1には、手動による焦点合わせの操作を補助する機能が備えられている。この機能は、最終的な焦点合わせをカメラ側で補助するという形で提供される。したがって、合焦状態に近づいたと認められる場合に作動する。また、この焦点合わせの補助は、イメージセンサ210を光軸Lに沿って移動させることにより行われる。焦点合わせ補助制御部258は、焦点状態検出部252の検出結果に基づいて、イメージセンサ210の移動を制御することにより、合焦状態に導く。以下、本実施の形態のデジタルカメラ1で行われる焦点合わせの補助について詳説する。
【0121】
上記のように、焦点合わせの補助機能は、合焦状態に近づいたと認められる場合に作動する。本実施の形態のデジタルカメラ1では、手動による焦点調節の速度が閾値以下まで減速した場合に作動する。一般に手動で焦点合わせする場合、合焦近傍で操作の速度が落とされる。
【0122】
図10は、手動による焦点調節の速度の変化及びフォーカスレンズ群の位置の変化を示すグラフである。同図において、符号VLが、手動による焦点調節の速度の変化を示すグラフであり、符号PLが、フォーカスレンズ群の位置の変化を示すグラフである。符号POは、被写体に合焦するフォーカスレンズ群の位置、すなわち、フォーカスレンズ群の目標位置である。
【0123】
同図に示すように、手動で焦点合わせする場合、合焦の手前までは高速でフォーカスレンズ群22が動かされ、合焦の手
前で速度が落とされる。したがって、手動による焦点調節の速度が、一定の速度まで減速したことを検出すれば、合焦状態に近づいたことを検出できる。このため、本実施の形態のデジタルカメラ1では、手動による焦点調節の速度が閾値Vth以下まで減速した場合に、合焦状態に近づいたと判定し、焦点合わせの補助を開始することとしている。
【0124】
手動による焦点調節の速度は、フォーカスレンズ群22の移動速度として検出される。フォーカスレンズ群22の移動速度は、交換レンズ10のレンズ側焦点調節速度検出部44で検出される。焦点合わせ補助制御部258は、レンズマイコン40を介して、フォーカスレンズ群22の移動速度の情報を取得する。
【0125】
手動による焦点調節の速度が、閾値以下まで減速すると、焦点合わせ補助制御部258は、焦点状態検出部252の検出結果に基づいて、イメージセンサ210の移動を制御し、合焦状態に導く。この際、焦点状態検出部252の検出結果
に基づいて、手動による焦点調節の速度とイメージセンサ210の移動による焦点調節の速度の和が閾値以下の速度になるように、イメージセンサ210の移動を制御して、合焦状態に導く。これにより、手動で焦点合わせしているユーザに違和感を与えることなく、自然に合焦状態に導くことができる。すなわち、カメラ側でアシストしていることを気づかれることなく、合焦状態に導くことができる。また、イメージセンサ210の移動によって、焦点合わせを補助するため、オールドレンズ等を使用する場合であっても、適切に焦点合わせを補助できる。更に、ユーザのフォーカスの駆動に合わせて、イメージセンサ210を動かすことにより、いわゆるピントの行き過ぎも防止できる。
【0126】
図11は、焦点合わせ補助制御部による焦点合わせの補助の手順(焦点合わせ補助方法)を示すフローチャートである。
【0127】
焦点合わせの補助機能は、カメラのフォーカスモードがマニュアルフォーカスに設定され、かつ、焦点合わせの補助機能がオンされた場合に作動する。したがって、以下の処理は、カメラのフォーカスモードがマニュアルフォーカスに設定され、かつ、焦点合わせの補助機能がオンされていることを前提に行われる。
【0128】
まず、手動による焦点調節操作の有無が判定される(ステップS1)。すなわち、フォーカスリング16の操作の有無が判定される。
【0129】
フォーカスリング16が操作され、手動による焦点調節が行われると、その焦点調節の速度が閾値を超えたか否かが判定される(ステップS2)。上記のように、手動による焦点調節の速度は、フォーカスレンズ群22の移動速度として検出される。焦点合わせ補助制御部258は、レンズ側焦点調節速度検出部44で検出されるフォーカスレンズ群22の移動速度の情報を取得する。そして、取得した速度を閾値Vthと比較し、閾値Vthを超えるか否か判定する。
【0130】
手動による焦点調節の速度(フォーカスレンズ群22の移動速度)が閾値Vthを超えていないと判定すると、焦点合わせ補助制御部258は、手動による焦点調節の操作が終了されたか否かを判定する(ステップS3)。すなわち、フォーカスリング16の操作が止められたか否かを判定する。手動による焦点調節の操作が終了すると、補助の処理も終了する。
【0131】
一方、手動による焦点調節の速度が閾値を超えたと判定すると、焦点合わせ補助制御部258は、手動による焦点調節の速度が閾値以下まで減速したか否かを判定する(ステッ
プS4)。
【0132】
手動による焦点調節の速度が閾値以下まで減速したと判定すると、焦点合わせの補助処理を実行する(ステップS5)。
【0133】
図12は、焦点合わせの補助処理の手順を示すフローチャートである。
【0134】
まず、焦点状態が検出され、その検出結果の情報が取得される(ステップS5a)。すなわち、デフォーカスの方向及び量の情報が取得される。
【0135】
次に、取得した焦点状態の情報に基づいて、イメージセンサ210の移動目標位置が決定される(ステップS5b)。すなわち、被写体に合焦させるためのイメージセンサ210の移動先が決定される。
【0136】
次に、手動による焦点調節の速度の情報が取得される(ステップS5c)。すなわち、手動で操作されているフォーカスレンズ群22の移動速度の情報が取得される。
【0137】
次に、取得した手動による焦点調節の速度の情報に基づいて、イメージセンサ210の移動速度が決定される(ステップS5d)。この速度は、手動による焦点調節の速度と足し合わせた際に閾値以下の速度となるように設定される。すなわち、手動による焦点調節の速度をVL、イメージセンサ210の移動速度をVIとした場合に、(VL+VI)≦Vthの条件を満たすように、イメージセンサ210の移動速度が設定される。イメージセンサ210の移動速度は、イメージセンサ210の移動による焦点調節の速度と同義である。したがって、この場合、手動による焦点調節の速度(フォーカスレンズ群22の移動による焦点調節の速度)とイメージセンサ210の移動による焦点調節の速度の和が閾値以下の速度となるように設定される。
【0138】
次に、設定された条件に従ってイメージセンサ210が移動される(ステップS5e)。すなわち、設定された移動目標位置に、設定された移動速度でイメージセンサ210を移動させる。
【0139】
イメージセンサ210の移動後、焦点状態検出部252の検出結果に基づいて、合焦したか否かが判定される(ステップS5f)。
【0140】
合焦していない場合は、ステップS5aに戻り、再度、焦点合わせの処理を実行する。合焦した場合は、処理を終了する。
【0141】
このように、本実施の形態のデジタルカメラ1では、手動による焦点合わせを補助する際、補助を開始する際の焦点調節の速度を超えないように、イメージセンサ210の移動速度が制御されて、合焦状態に導かれる。これにより、ユーザに違和感を与えずに自然に合焦状態に導くことができる。また、これにより、ユーザに動作を悟られずに、焦点合わせを補助できる。
【0142】
[変形例]
《合焦状態に導く際の焦点調節の速度制御の変形例》
上記のように、合焦状態に導く際は、手動による焦点調節の速度(フォーカスレンズ群22の移動による焦点調節の速度)とイメージセンサ210の移動による焦点調節の速度の和が閾値以下の速度となるように、イメージセンサ210の移動を制御する。すなわち、補助を開始した際の手動による焦点調節の速度を超えないように、イメージセンサ210の移動を制御して、合焦状態に導く。この際、合計の焦点速度の制御態様として、速度が一定に維持されるように、イメージセンサ210の移動を制御してもよい。すなわち、手動による焦点調節の速度とイメージセンサ210の移動による焦点調節の速度の和が一定の速度を維持するように、イメージセンサ210の移動を制御してもよい。たとえば、手動による焦点調節の速度とイメージセンサ210の移動による焦点調節の速度の和が閾値の速度を維持するように、イメージセンサ210の移動を制御してもよい。
【0143】
また、合計の速度が漸次減少するように、イメージセンサ210の移動を制御してもよい。すなわち、手動による焦点調節の速度が閾値まで減速した後、手動による焦点調節の速度とイメージセンサ210の移動による焦点調節の速度の和が漸次減少するように、イメージセンサ210の移動を制御する。この場合、補助を開始した後、一定の時間で合焦するように、合計の焦点調節の速度を漸次減少させる。たとえば、単純減少させる。
【0144】
《補助を開始する条件の変形例1》
上記実施の形態では、手動による焦点調節の速度が閾値以下まで減速した場合に焦点合わせの補助処理を開始する構成としている。しかし、手動による焦点合わせは、一定になりづらい。そこで、手動による焦点調節の速度の平均値を求め、その平均値が閾値以下まで減速した場合に焦点合わせの補助処理を開始する構成とする。これにより、より安定した制御が可能になる。
【0145】
図13は、手動による焦点調節の速度の変化及びフォーカスレンズ群の位置の変化を示すグラフである。同図において、符号VLは、手動による焦点調節の速度の変化を示すグラフであり、符号VLavは、手動による焦点調節の速度の平均値の変化を示すグラフである。また、符号PLは、フォーカスレンズ群の位置の変化を示すグラフであり、符号POは、被写体に合焦するフォーカスレンズ群の位置である。
【0146】
同図に示すように、手動による焦点調節の速度の平均値を用いることにより、手動による速度変動の影響をなくして、安定した制御が可能になる。
【0147】
《補助を開始する条件の変形例2》
上記実施の形態では、手動による焦点調節の速度が閾値以下まで減速した場合に焦点合わせの補助処理を開始する構成としている。しかし、手動で焦点合わせる場合に、ユーザが一定の速度で焦点調節できるとは限らない。そこで、手動による焦点調節の速度が閾値以下まで減速し、かつ、焦点状態検出部252で検出されるデフォーカス量が規定値以下になった場合に補助を開始する。これにより、より適切に補助を開始できる。
【0148】
図14は、手動による焦点調節の速度の変化、フォーカスレンズ群の位置の変化、及び、デフォーカス量の変化を示すグラフである。同図において、符号VLは、手動による焦点調節の速度の変化を示すグラフである
。符号PLは、フォーカスレンズ群の位置の変化を示すグラフである。符号POは、被写体に合焦するフォーカスレンズ群の位置である。符号Dは、デフォーカス量の変化を示すグラフである。デフォーカス量は、被写体に合焦するフォーカスレンズ群22の位置(目標位置)とフォーカスレンズ群22の現在位置との差分と同じ変化を示す。
【0149】
図14において、符号Vthは、手動による焦点調節の速度の閾値であり、符号Dthは、デフォーカス量の規定値である。本例の場合、手動による焦点調節の速度が閾値Vth以下まで減速し、かつ、焦点状態検出部252で検出されるデフォーカス量が規定値Dth以下になった場合に補助が開始される。したがって、手動による焦点調節の速度
が閾値Vth以下になった場合であっても、デフォーカス量が規定値Dthを超えている場合は、補助は作動しない。同様に、焦点状態検出部252で検出されるデフォーカス量が規定値Dth以下になった場合であっても、手動による焦点調節の速度が閾値Vthを超えている場合は、補助は作動しない。両方の条件が満たされることで初めて補助が開始される。
【0150】
図14に示す例では、点Ptが、手動による焦点調節の速度が閾値Vth以下、かつ、焦点状態検出部252で検出されるデフォーカス量が規定値Dth以下になる点である。
【0151】
このように、手動による焦点調節の速度が閾値以下まで減速し、かつ、焦点状態検出部252で検出されるデフォーカス量が規定値以下になった場合に補助を開始することにより、より適切に補助を開始できる。また、より安定した制御が可能になる。
【0152】
なお、本例の場合も、補助する際は、手動による焦点調節の速度とイメージセンサ210の移動による焦点調節の速度の和が、手動による焦点調節の速度の閾値以下の速度となるように、イメージセンサ210の移動を制御する。
【0153】
ただし、手動による焦点調節の速度が閾値以下となった後に、デフォーカス量が規定値以下になった場合は、デフォーカス量が規定値に達した際の速度以下の速度となるように、イメージセンサ210の移動を制御することが好ましい。これにより、ユーザに違和感を与えずに、自然に合焦状態に導くことができる。
図14に示す例では、点Ptでの手動による焦点調節の速度以下の速度となるように、イメージセンサ210の移動を制御する。
【0154】
〈更なる変形例〉
本例の場合も、手動による焦点調節の速度の平均値を求め、その平均値が閾値以下まで減速し、かつ、デフォーカス量が規定値以下になった場合に補助を開始する構成とすることができる。
【0155】
また、補助する際の焦点調節の速度の制御態様として、手動による焦点調節の速度とイメージセンサ210の移動による焦点調節の速度の和を閾値の速度に維持して、合焦状態に導くようにしてもよい。なお、手動による焦点調節の速度が閾値以下となった後に、デフォーカス量が規定値以下になった場合、デフォーカス量が規定値に達した際の速度に維持して、合焦状態に導く。
図14に示す例では、点Ptでの手動による焦点調節の速度を維持して合焦状態に導く。
【0156】
また、一定の時間で合焦するように、手動による焦点調節の速度とイメージセンサ210の移動による焦点調節の速度の和を漸次減少させて、合焦状態に導くようにしてもよい。たとえば、単純減少させて、合焦状態に導くようにしてもよい。
図14に示す例では、点Ptでの手動による焦点調節の速度を漸次減少させて、合焦状態に導く。
【0157】
◆◆第2の実施の形態◆◆
上記第1の実施の形態では、手動による焦点調節の速度を交換レンズ側で検出し、検出した速度の情報をカメラ本体側に送信する構成としている。この構成の場合、互換性のない交換レンズが装着された場合に、手動による焦点速度の情報を取得できない。そこで、本実施の形態のデジタルカメラでは、手動による焦点調節の速度をカメラ本体側で検出する。
【0158】
[構成]
本実施の形態のデジタルカメラでは、焦点状態の変化に基づいて、手動による焦点調節の速度を検出する。フォーカスレンズ群22が動かされると、その動きに応じて焦点状態が変化する。本実施の形態のデジタルカメラ1では、焦点状態の変化を検出して、手動による焦点調節の速度を検出する。この処理はカメラマイコン250で行われる。
【0159】
図15は、本実施の形態のデジタルカメラのカメラマイコンが実現する主な機能のブロック図である。
【0160】
本体側焦点調節速度検出部280として更に機能する点以外は、上記第1の実施の形態のデジタルカメラのカメラマイコン250が実現する機能と同じである。
【0161】
本体側焦点調節速度検出部280は、焦点調節速度検出部の他の一例である。本体側焦点調節速度検出部280は、焦点状態検出部252で検出される焦点状態の変化に基づいて、手動による焦点調節の速度を検出する。すなわち、フォーカスレンズ群22の移動による焦点調節の速度を検出する。上記のように、焦点状態検出部252では、デフォーカス量が検出される。本体側焦点調節速度検出部280は、デフォーカス量の変動速度を検出して、手動による焦点調節の速度を検出する。
【0162】
手動による焦点合わせを補助する際、焦点合わせ補助制御部258は、本体側焦点調節速度検出部280で
検出される速度に基づいて、イメージセンサ210の移動を制御し、合焦状態に導く。
【0163】
[作用]
図16は、焦点調節速度の検出手法の設定手順を示すフローチャートである。
【0164】
本実施の形態のデジタルカメラでは、カメラ本体に装着された交換レンズが、互換性のある交換レンズの場合、交換レンズ側で焦点調節の速度を検出する。一方、カメラ本体に装着された交換レンズが、互換性のない交換レンズの場合、カメラ本体側で焦点調節の速度を検出する。
【0165】
カメラマイコン250は、フォーカスモードがマニュアルフォーカスに設定されているか否かを判定する(ステップS10)。
【0166】
マニュアルフォーカスに設定されている場合、焦点合わせの補助機能がオンされているか否かを判定する(ステップS11)。
【0167】
焦点合わせの補助機能がオンされている場合、カメラ本体に装着されている交換レンズが、互換性のある交換レンズか否かを判定する(ステップS12)。
【0168】
互換性のある交換レンズの場合、交換レンズに備えられたレンズ側で焦点調節の速度を検出する設定とする(ステップS13)。すなわち、交換レンズに備えられたレンズ側焦点調節速度検出部44でフォーカスレンズ群22の移動速度を検出し、手動による焦点調節の速度を検出する設定とする。
【0169】
一方、互換性のない交換レンズの場合、カメラ本体に備えられた本体側焦点調節速度検出部280で焦点調節の速度を検出する設定とする(ステップS14)。すなわち、カメラ本体に備えられた本体側焦点調節速度検出部280で焦点状態の変化を検出し、手動による焦点調節の速度を検出する設定とする。
【0170】
手動による焦点合わせを補助する際は、設定された検出方法で焦点検出の速度を検出し、補助の処理を実施する。なお、補助の態様は、上記第1の実施の形態で説明した態様と同じである。
【0171】
このように、本実施の形態のデジタルカメラによれば、必要に応じてカメラ本体側で焦点調節の速度を検出できる。したがって、オールドレンズ、サードパーティ製のレンズ等の互換性のない交換レンズが装着された場合であっても、適切に手動による焦点合わせを補助できる。
【0172】
◆◆その他の実施の形態◆◆
[合焦後の処理]
合焦後は、可動範囲内でイメージセンサ210を移動させて、合焦状態を維持させることが好ましい。イメージセンサ210が可動範囲の端部に到達した場合は、基準位置に戻してもよいし、また、端部の位置で待機させてもよい。基準位置に戻す場合は、焦点の変動速度に合わせてイメージセンサ210を移動させることが好ましい。これにより、ユーザに違和感を与えることなく、イメージセンサ210を原点位置に戻すことができる。
【0173】
なお、補助によって合焦状態に導かれた後に、合焦状態が解除された場合は、再度条件が満たされた場合に補助が実施される。
【0174】
[イメージセンサの可動範囲]
イメージセンサ210の可動範囲は、イメージセンサ移動駆動部222の機械的な作動範囲内で任意に設定される。たとえば、イメージセンサ移動駆動部222が、ピエゾアクチュエータで構成される場合、そのピエゾアクチュエータの機械的な作動範囲内でイメージセンサ210の可動範囲が任意に設定される。イメージセンサ210の可動範囲を広くとるほど、カメラ本体側で可能な焦点調節の範囲を広くとれる。
【0175】
なお、上記実施の形態のデジタルカメラのように、メインモニタ104又は電子ビューファインダ108を使用して焦点調節する場合、メインモニタ104及び電子ビューファインダ108の解像度を考慮して、イメージセンサ210の可動範囲を設定することが好ましい。メインモニタ104及び電子ビューファインダ108の解像度が、イメージセンサ210の解像度に比べて低い場合、メインモニタ104及び電子ビューファインダ108で調整可能な精度には限界がある。したがって、メインモニタ104及び電子ビューファインダ108では、調整できない範囲をイメージセンサ210の移動でカバーできるように、その可動範囲を設定することが好ましい。具体的には、メインモニタ104及び電子ビューファインダ108の画素ピッチ以上の可動範囲を確保することが好ましい。これにより、解像度の低いメインモニタ104又は電子ビューファインダ108を使用して焦点調節する場合であっても、目的とする被写体に精度よく合焦させることができる。
【0176】
[イメージセンサの基準位置]
上記実施の形態では、イメージセンサ210の基準位置を可動範囲の中央に設定しているが、基準位置として設定する位置は、これに限定されるものではない。たとえば、可動範囲の中央よりも被写体側(前側)の位置に基準位置を設定してもよいし、また、像面側(後側)の位置に基準位置を設定してもよい。また、ユーザが、任意に設定できる構成としてもよい。
【0177】
また、上記実施の形態では、フランジバックの位置に基準位置を設定しているが、フランジバックと異なる位置に設定してもよい。なお、上記のように、フランジバックの位置に基準位置を設定することにより、基準位置で合焦した際に交換レンズ10の光学性能を最大限に発揮させることができる。
【0178】
[焦点状態検出部]
上記実施の形態では、イメージセンサ210の撮像面212に備えられた位相差検出画素218の出力に基づいて位相差を検出し、検出された位相差に基づいて、デフォーカス量を検出する構成としているが、デフォーカス量を検出する手段は、これに限定されるものではない。パッシブ方式、アクティブ方式等の公知の焦点検出手段を採用できる。
【0179】
[イメージセンサ移動駆動部]
上記実施の形態では、ピエゾアクチュエータを使用して、イメージセンサ210を光軸Lに沿って移動させる構成としているが、イメージセンサ移動駆動部の構成は、これに限定されるものではない。この他、たとえば、リニアモータ、送りネジ機構等の公知の直動式の駆動機構を用いて、イメージセンサ210を移動させることができる。
【0180】
[撮像部]
上記実施の形態では、本発明を単板式のデジタルカメラに適用した場合を例に説明したが、本発明は多板式のカメラにも適用できる。
【0181】
図17は、3板式のデジタルカメラに本発明
を適用する場合の一例を示す図である。
【0182】
同図に示すように、3板式のデジタルカメラは、撮像部に色分解プリズム310、及び、3つのイメージセンサ210R、210G、210Bを備える。
【0183】
色分解プリズム310は、入射面310aに入射した光をR(Red)光、G(Green)光及びB(Blue)光の3色の光に分解する。分解された3色の光は、それぞれR光出射面310r、G光出射面310g、B光出射面310bから出射される。
【0184】
3つのイメージセンサは、R光を受光するイメージセンサ210Rと、G光を受光するイメージセンサ210Gと、B光を受光するイメージセンサ210Bと、で構成される。
【0185】
R光を受光するイメージセンサ210Rは、R光出射面310rに対向して配置され、R光出射面310rから出射されるR光を受光する。
【0186】
G光を受光するイメージセンサ210Gは、G光出射面310gに対向して配置され、G光出射面310gから出射されるG光を受光する。
【0187】
B光を受光するイメージセンサ210Bは、B光出射面310bに対向して配置され、B光出射面310bから出射されるB光を受光する。
【0188】
3つのイメージセンサ210R、210G、210Bは、それぞれ色分解プリズム310の入射面310aからの光路長が同じになる位置に配置される。
【0189】
3つのイメージセンサ210R、210G、210Bは、図示しないホルダを介して、色分解プリズム310に一体的に取り付けられる。色分解プリズム310にイメージセンサ210R、210G、210Bが一体化されたユニットを撮像ユニット330とする。イメージセンサ移動駆動部222xは、撮像ユニット330を光軸Lに沿って前後移動させる。また、イメージセンサ位置検出部224xは、基準位置に対する撮像ユニット330の位置を検出する。
【0190】
[撮像レンズ]
上記実施の形態では、フォーカスレンズを光軸に沿って前後移動させて焦点調節しているが、撮像レンズの焦点調節機構は、これに限定されるものではない。この他、液体レンズ、液晶レンズ等をフォーカスレンズとして利用することもできる。液体レンズ及び液晶レンズでは、屈折率変化を利用して、焦点調節する。
【0191】
また、上記実施の形態では、フォーカスレンズをリニアモータ等のアクチュエータで駆動する構成としているが、カム機構、ヘリコイドギア等を用いて手動で移動させる構成としてもよい。
【0192】
また、上記実施の形態では、交換レンズ10に備えられたフォーカスリング16を操作して、焦点調節する構成としているが、焦点調節のための操作手段は、これに限定されるものではない。カメラ本体に備えられた操作手段で焦点調節の操作を行う構成としてもよい。
【0193】
[撮像装置]
上記実施の形態では、本発明をデジタルカメラに適用した場合を例に説明したが、本発明の適用は、これに限定されるものではない。この他、たとえば、ビデオカメラ、テレビカメラ、シネマカメラ等にも適用でき、更に、撮像機能を備えた電子機器(たとえば、携帯電話、スマートフォン、タブレットパソコン、ノートパソコン等)にも同様に適用できる。
【0194】
また、上記実施の形態では、レンズ交換式のデジタルカメラに本発明を適用した場合を例に説明したが、撮像レンズがカメラ本体に一体的に組み込まれたカメラにも同様に適用できる。
【0195】
また、レンズマイコン40が行う各種処理は、カメラマイコン250が行うようにしてもよい。たとえば、フォーカスレンズ群22の駆動制御、絞り30の駆動制御等は、カメラマイコン250が行うようにしてもよい。
【0196】
[その他]
上記実施の形態では、焦点合わせ補助制御部等の機能をマイクロコンピュータで実現しているが、これらの機能を実現するためのハードウェア的な構成は、これに限定されるものではない。各種のプロセッサで構成できる。各種のプロセッサには、ソフトウェア(プログラム)を実行して各種の処理を行う処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPU、FPGA(FPGA:Field Programmable Gate Array)などの製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるPLD(PLD:Programmable Logic Device)、ASIC(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)などの特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路などが含まれる。上記所定のプログラム(焦点合わせ補助プログラム等)が格納される媒体は、ハードディスク、CD(Compact Disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、各種半導体メモリ等の、非一時的かつコンピュータ読取可能な記録媒体であってもよい。
【0197】
一つの処理部は、これら各種のプロセッサのうちの一つで構成されていてもよいし、同種又は異種の二つ以上のプロセッサで構成されていてもよい。たとえば、複数のFPGAで構成されてもよいし、CPU及びFPGAの組み合わせで構成されてもよい。
【0198】
また、複数の処理部を一つのプロセッサで構成してもよい。複数の処理部を一つのプロセッサで構成する例としては、第1に、クライアント、サーバなどのコンピュータに代表されるように、一つ以上のCPUとソフトウェアとの組合せで一つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の処理部として機能する形態がある。第2に、システムオンチップ(SoC:System On Chip)などに代表されるように、複数の処理部を含むシステム全体の機能を一つのICチップ(IC:Integrated Circuit)で実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、各種の処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサを一つ以上用いて構成される。
【0199】
更に、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路である。