(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記白色顔料及び前記量子ドット蛍光体以外の無機物の含有率が、前記樹脂硬化物の全量に対して、0.5質量%以下である請求項1〜請求項12のいずれか1項に記載の波長変換部材。
量子ドット蛍光体と、有機物を含む有機物層を表面の少なくとも一部に有する白色顔料と、多官能(メタ)アクリレート化合物と、多官能チオール化合物と、光重合開始剤と、を含み、
前記多官能(メタ)アクリレート化合物が、脂環式構造を有する、波長変換用樹脂組成物。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、量子ドット蛍光体を含む波長変換部材では、発光強度が不足する場合がある。
【0006】
量子ドット蛍光体を含む波長変換部材の発光強度の向上を目的として、光を散乱させるための粒子を波長変換部材に含有させる場合がある。しかし、光を散乱させるための粒子を波長変換部材に含有させても、散乱効率が不足するために発光強度が十分に向上しない場合があった。さらには、硬化性組成物に添加された粒子の凝集又は沈降が生じ、波長変換部材を製造する上での問題が生ずることがあった。
【0007】
本開示は、上記事情に鑑みてなされたものであり、発光強度に優れる波長変換部材並びにこれを用いたバックライトユニット及び画像表示装置を提供することを課題とする。さらに、本開示は、粒子の凝集又は沈降を抑制可能な波長変換用樹脂組成物及びそれを用いた波長変換用樹脂硬化物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を達成するための具体的手段は以下の通りである。
<1> 量子ドット蛍光体と、有機物を含む有機物層を表面の少なくとも一部に有する白色顔料と、前記量子ドット蛍光体及び前記白色顔料を包含する樹脂硬化物と、を含有する波長変換部材。
<2> 前記有機物が、ポリオール及び有機シランの少なくとも一方を含む<1>に記載の波長変換部材。
<3> 前記白色顔料の含有率が、前記樹脂硬化物の全量に対して、0.1質量%〜2.0質量%である<1>又は<2>に記載の波長変換部材。
<4> 前記白色顔料が、酸化チタンを含む<1>〜<3>のいずれか1項に記載の波長変換部材。
<5> 前記酸化チタンが、ルチル型酸化チタンを含む<4>に記載の波長変換部材。
<6> 前記白色顔料が、金属酸化物を含む金属酸化物層を表面の少なくとも一部に有する<1>〜<5>のいずれか1項に記載の波長変換部材。
<7> 前記白色顔料の表面に、前記金属酸化物層及び前記有機物層が、前記金属酸化物層及び前記有機物層の順に設けられる<6>に記載の波長変換部材。
<8> 前記金属酸化物層が、二酸化ケイ素を含む第一金属酸化物層及び酸化アルミニウムを含む第二金属酸化物層を有する<6>又は<7>に記載の波長変換部材。
<9> 前記白色顔料の平均粒子径が、0.1μm〜1μmである<1>〜<8>のいずれか1項に記載の波長変換部材。
<10> 前記白色顔料の少なくとも一部が、一次粒子として存在する<1>〜<9>のいずれか1項に記載の波長変換部材。
<11> 前記白色顔料及び前記量子ドット蛍光体以外の無機物の含有率が、前記樹脂硬化物の全量に対して、0.5質量%以下である<1>〜<10>のいずれか1項に記載の波長変換部材。
<12> 前記樹脂硬化物が、脂環式構造とスルフィド構造とを含む<1>〜<11>のいずれか1項に記載の波長変換部材。
<13> 前記量子ドット蛍光体が、Cd及びInの少なくとも一方を含む化合物を含有する<1>〜<12>のいずれか1項に記載の波長変換部材。
<14> フィルム状である<1>〜<13>のいずれか1項に記載の波長変換部材。
<15> 画像表示用である<1>〜<14>のいずれか1項に記載の波長変換部材。
<16> 前記樹脂硬化物の少なくとも一部を被覆する被覆材を有する<1>〜<15>のいずれか1項に記載の波長変換部材。
<17> 前記被覆材が、酸素及び水の少なくとも一方に対するバリア性を有する<16>に記載の波長変換部材。
<18> <1>〜<17>のいずれか1項に記載の波長変換部材と、光源と、を備えるバックライトユニット。
<19> <18>に記載のバックライトユニットを備える画像表示装置。
<20> 量子ドット蛍光体と、有機物を含む有機物層を表面の少なくとも一部に有する白色顔料と、を含む波長変換用樹脂組成物。
<21> 前記有機物が、ポリオール及び有機シランの少なくとも一方を含む<20>に記載の波長変換用樹脂組成物。
<22> 前記白色顔料の含有率が、0.1質量%〜2.0質量%である<20>又は<21>に記載の波長変換用樹脂組成物。
<23> 前記白色顔料が、酸化チタンを含む<20>〜<22>のいずれか1項に記載の波長変換用樹脂組成物。
<24> 前記酸化チタンが、ルチル型酸化チタンを含む<23>に記載の波長変換用樹脂組成物。
<25> 前記白色顔料が、金属酸化物を含む金属酸化物層を表面の少なくとも一部に有する<20>〜<24>のいずれか1項に記載の波長変換用樹脂組成物。
<26> 前記白色顔料の表面に、前記金属酸化物層及び前記有機物層が、前記金属酸化物層及び前記有機物層の順に設けられる<25>に記載の波長変換用樹脂組成物。
<27> 前記金属酸化物層が、二酸化ケイ素を含む第一金属酸化物層及び酸化アルミニウムを含む第二金属酸化物層を有する<25>又は<26>に記載の波長変換用樹脂組成物。
<28> 前記白色顔料の平均粒子径が、0.1μm〜1μmである<20>〜<27>のいずれか1項に記載の波長変換用樹脂組成物。
<29> 前記白色顔料の少なくとも一部が、一次粒子として存在する<20>〜<28>のいずれか1項に記載の波長変換用樹脂組成物。
<30> 前記白色顔料及び前記量子ドット蛍光体以外の無機物の含有率が、0.5質量%以下である<20>〜<29>のいずれか1項に記載の波長変換用樹脂組成物。
<31> 前記量子ドット蛍光体が、Cd及びInの少なくとも一方を含む化合物を含有する<20>〜<30>のいずれか1項に記載の波長変換用樹脂組成物。
<32> 多官能(メタ)アクリレート化合物と、多官能チオール化合物と、光重合開始剤と、を含有する<20>〜<31>のいずれか1項に記載の波長変換用樹脂組成物。
<33> 前記多官能(メタ)アクリレート化合物が、脂環式構造を有する<32>に記載の波長変換用樹脂組成物。
<34> 液状媒体を含有しないか又は液状媒体の含有率が0.5質量%以下である<20>〜<33>のいずれか1項に記載の波長変換用樹脂組成物。
<35> フィルム形成に用いられる<20>〜<34>のいずれか1項に記載の波長変換用樹脂組成物。
<36> 波長変換部材の形成に用いられる<20>〜<35>のいずれか1項に記載の波長変換用樹脂組成物。
<37> <20>〜<36>のいずれか1項に記載の波長変換用樹脂組成物の硬化物である波長変換用樹脂硬化物。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、発光強度に優れる波長変換部材並びにこれを用いたバックライトユニット及び画像表示装置を提供することができる。さらに、本開示によれば、粒子の凝集又は沈降を抑制可能な波長変換用樹脂組成物及びそれを用いた波長変換用樹脂硬化物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合を除き、必須ではない。数値及びその範囲についても同様であり、本発明を制限するものではない。
本開示において「工程」との語には、他の工程から独立した工程に加え、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の目的が達成されれば、当該工程も含まれる。
本開示において「〜」を用いて示された数値範囲には、「〜」の前後に記載される数値がそれぞれ最小値及び最大値として含まれる。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において各成分は該当する物質を複数種含んでいてもよい。組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、各成分の含有率は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計の含有率を意味する。
本開示において各成分に該当する粒子は複数種含んでいてもよい。組成物中に各成分に該当する粒子が複数種存在する場合、各成分の粒子径は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の粒子の混合物についての値を意味する。
本開示において「層」又は「膜」との語には、当該層又は膜が存在する領域を観察したときに、当該領域の全体に形成されている場合に加え、当該領域の一部にのみ形成されている場合も含まれる。
本開示において「積層」との語は、層を積み重ねることを示し、二以上の層が結合されていてもよく、二以上の層が着脱可能であってもよい。
本開示において「(メタ)アクリロイル基」とは、アクリロイル基及びメタクリロイル基の少なくとも一方を意味し、「(メタ)アクリル」はアクリル及びメタクリルの少なくとも一方を意味し、「(メタ)アクリレート」はアクリレート及びメタクリレートの少なくとも一方を意味し、「(メタ)アリル」はアリル及びメタリルの少なくとも一方を意味する。
【0012】
<波長変換部材>
本開示の波長変換部材は、量子ドット蛍光体と、有機物を含む有機物層を表面の少なくとも一部に有する白色顔料と、前記量子ドット蛍光体及び前記白色顔料を包含する樹脂硬化物と、を含有する。本開示の波長変換部材は、必要に応じて、後述する被覆材等のその他の構成要素を含んでいてもよい。
本開示に係る樹脂硬化物は、後述する本開示の波長変換用樹脂組成物の硬化物(波長変換用樹脂硬化物)であってもよい。
本開示の波長変換部材に含有される白色顔料は、表面の少なくとも一部に有機物を含む有機物層を有する。白色顔料の表面に有機物が存在することにより、白色顔料と樹脂硬化物との親和性が向上するため、樹脂硬化物中での白色顔料の凝集が抑制される。そのため、波長変換部材へ入射した入射光の白色顔料による散乱効率が向上し、波長変換部材の発光強度が優れるものになると推察される。
本開示の波長変換部材は、画像表示用として好適に用いられる。
【0013】
波長変換部材に含有される樹脂硬化物は、量子ドット蛍光体及び白色顔料を包含するものであれば特に限定されるものではない。樹脂硬化物は、脂環式構造とスルフィド構造とを含むものであってもよい。
樹脂硬化物が脂環式構造とスルフィド構造とを含む場合、脂環式構造とスルフィド構造とを含む樹脂硬化物は、例えば、チオール基を含む化合物におけるチオール基と炭素炭素二重結合を含む化合物における炭素炭素二重結合との重合反応により形成されたものであってもよい。また、樹脂硬化物に含まれる脂環式構造は、炭素炭素二重結合を含む化合物に含まれる構造由来であってもよい。
【0014】
樹脂硬化物が脂環式構造とスルフィド構造とを含む場合、樹脂硬化物に含まれる脂環式構造は特に限定されるものではない。脂環式構造の具体例としては、トリシクロデカン骨格、シクロヘキサン骨格、1,3−アダマンタン骨格、水添ビスフェノールA骨格、水添ビスフェノールF骨格、水添ビスフェノールS骨格、イソボルニル骨格等が挙げられる。これらの中でも、トリシクロデカン骨格又はイソボルニル骨格であることが好ましく、トリシクロデカン骨格であることがより好ましい。
【0015】
樹脂硬化物に含まれる脂環式構造は、1種類単独であっても、少なくとも2種類であってもよく、少なくとも2種類であることが好ましい。
少なくとも2種類の脂環式構造が樹脂硬化物に含まれる場合、脂環式構造の組み合わせとしては、トリシクロデカン骨格及びイソボルニル骨格の組み合わせ、水添ビスフェノールA骨格及びイソボルニル骨格の組み合わせ等が挙げられる。これらの中でも、トリシクロデカン骨格及びイソボルニル骨格の組み合わせが好ましい。
【0016】
フーリエ変換赤外分光光度計で測定した樹脂硬化物における、S−H伸縮振動に帰属されるピーク面積(V1)と、C−H伸縮振動に帰属されるピーク面積(V2)との比率(V1/V2)は、0.005以下であることが好ましく、0.004以下であることがより好ましく、0.002以下であることがさらに好ましい。
樹脂硬化物が、チオール基を含む化合物におけるチオール基と炭素炭素二重結合を含む化合物における炭素炭素二重結合との重合反応により形成されたものである場合、比率(V1/V2)が小さいことは即ち、重合反応に寄与していないチオール基が少ないことを示唆する。重合反応に寄与していないチオール基が少ないと、樹脂硬化物のガラス転移温度が高くなる傾向にある。
樹脂硬化物における、S−H伸縮振動に帰属されるピーク面積(V1)及びC−H伸縮振動に帰属されるピーク面積(V2)は、フーリエ変換赤外分光光度計を用いて下記方法により測定された値をいう。
FT−IR Spectrometer(Perkin Elmer社)を用いて、測定対象の波長変換部材の表面をATR(Attenuated Total Reflection(全反射測定法))分析する。バックグラウンド測定は、空気で測定し、積算回数16回の条件でFT−IR測定を実施する。波長変換部材が被覆材を有する場合、被覆材を剥離した状態の波長変換部材の硬化物層をFT−IR測定に供する。
【0017】
樹脂硬化物は、エステル構造を含んでいてもよい。樹脂硬化物の元となる炭素炭素二重結合を含む化合物としては、例えば、(メタ)アリル基を含む(メタ)アリル化合物及び(メタ)アクリロイル基を含む(メタ)アクリレート化合物が挙げられる。(メタ)アリル化合物に比較して(メタ)アクリレート化合物のほうが重合反応の活性が高い傾向にある。樹脂硬化物がエステル構造を含むことは即ち炭素炭素二重結合を含む化合物として(メタ)アクリレート化合物が用いられたことを示唆する。(メタ)アクリレート化合物用いて形成された樹脂硬化物は、(メタ)アリル化合物を用いて形成された樹脂硬化物に比較してガラス転移温度が高くなる傾向にある。
【0018】
(白色顔料)
樹脂硬化物は、白色顔料を包含する。
白色顔料の具体例としては、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、炭酸カルシウム等が挙げられる。これらの中でも、光散乱効率の観点から酸化チタンであることが好ましい。
樹脂硬化物が白色顔料として酸化チタンを含有する場合、酸化チタンとしては、ルチル型酸化チタンであってもアナターゼ型酸化チタンであってもよく、ルチル型酸化チタンであることが好ましい。
【0019】
白色顔料の平均粒子径は、0.1μm〜1μmであることが好ましく、0.2μm〜0.8μmであることがより好ましく、0.2μm〜0.5μmであることがさらに好ましい。
白色顔料の平均粒子径は、走査型電子顕微鏡を用いた粒子の観察により、50個の粒子について円相当径(長径と短径の幾何平均)を算出し、その算術平均値として求められる。
なお、波長変換用樹脂組成物に含まれる白色顔料の平均粒子径は、以下のようにして測定することができる。
波長変換用樹脂組成物から抽出した白色顔料を、界面活性剤を含んだ精製水に分散させ、分散液を得る。この分散液を用いてレーザー回折式粒度分布測定装置(例えば、株式会社島津製作所、SALD−3000J)で測定される体積基準の粒度分布において、小径側からの積算が50%となるときの値(メジアン径(D50))を白色顔料の平均粒子径とする。波長変換用樹脂組成物から白色顔料を抽出する方法としては、例えば、波長変換用樹脂組成物を液状媒体で希釈し、遠心分離処理等により白色顔料を沈澱させて分収することで得ることができる。
【0020】
白色顔料は有機物を含む有機物層を表面の少なくとも一部に有する。有機物層に含まれる有機物としては、有機シラン、オルガノシロキサン、フルオロシラン、有機ホスホネート、有機リン酸化合物、有機ホスフィネート、有機スルホン酸化合物、カルボン酸、カルボン酸エステル、カルボン酸の誘導体、アミド、炭化水素ワックス、ポリオレフィン、ポリオレフィンのコポリマー、ポリオール、ポリオールの誘導体、アルカノールアミン、アルカノールアミンの誘導体、有機分散剤等が挙げられる。
有機物層に含まれる有機物は、ポリオール、有機シラン等を含むことが好ましく、ポリオール及び有機シランの少なくとも一方を含むことがより好ましい。
有機シランの具体例としては、オクチルトリエトキシシラン、ノニルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、トリデシルトリエトキシシラン、テトラデシルトリエトキシシラン、ペンタデシルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリエトキシシラン、ヘプタデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン等が挙げられる。
オルガノシロキサンの具体例としては、トリメチルシリル官能基で終端されたポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリメチルヒドロシロキサン(PMHS)、PMHSのオレフィンによる官能化(ヒドロシリル化による)により誘導されるポリシロキサン等が挙げられる。
有機ホスホネートの具体例としては、例えば、n−オクチルホスホン酸及びそのエステル、n−デシルホスホン酸及びそのエステル、2−エチルヘキシルホスホン酸及びそのエステル並びにカンフィル(camphyl)ホスホン酸及びそのエステルが挙げられる。
有機リン酸化合物の具体例としては、有機酸性ホスフェート、有機ピロホスフェート、有機ポリホスフェート、有機メタホスフェート、これらの塩等が挙げられる。
有機ホスフィネートの具体例としては、例えば、n−ヘキシルホスフィン酸及びそのエステル、n−オクチルホスフィン酸及びそのエステル、ジ−n−ヘキシルホスフィン酸及びそのエステル並びにジ−n−オクチルホスフィン酸及びそのエステルが挙げられる。
有機スルホン酸化合物の具体例としては、ヘキシルスルホン酸、オクチルスルホン酸、2−エチルヘキシルスルホン酸等のアルキルスルホン酸、これらアルキルスルホン酸と、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、チタン等の金属イオン、アンモニウムイオン、トリエタノールアミン等の有機アンモニウムイオンなどとの塩が挙げられる。
カルボン酸の具体例としては、マレイン酸、マロン酸、フマル酸、安息香酸、フタル酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸等が挙げられる。
カルボン酸エステルの具体例としては、上記カルボン酸と、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、グリセロール、ヘキサントリオール、エリトリトール、マンニトール、ソルビトール、ペンタエリトリトール、ビスフェノールA、ヒドロキノン、フロログルシノール等のヒドロキシ化合物との反応により生成するエステル及び部分エステルが挙げられる。
アミドの具体例としては、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド等が挙げられる。
ポリオレフィン及びそのコポリマーの具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンと、プロピレン、ブチレン、酢酸ビニル、アクリレート、アクリルアミド等から選択される1種又は2種以上の化合物との共重合体などが挙げられる。
ポリオールの具体例としては、グリセロール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等が挙げられる。
アルカノールアミンの具体例としては、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。
有機分散剤の具体例としては、クエン酸、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、陰イオン性、陽イオン性、双性、非イオン性等の官能基をもつ高分子有機分散剤などが挙げられる。
【0021】
白色顔料は、表面の少なくとも一部に金属酸化物を含む金属酸化物層を有していてもよい。金属酸化物層に含まれる金属酸化物としては、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、ジルコニア、ホスホリア(phosphoria)、ボリア(boria)等が挙げられる。金属酸化物層は一層であっても二層以上であってもよい。白色顔料が二層の金属酸化物層を有する場合、二酸化ケイ素を含む第一金属酸化物層及び酸化アルミニウムを含む第二金属酸化物層を含むものであることが好ましい。
白色顔料が金属酸化物層を有することで、脂環式構造とスルフィド構造とを含む樹脂硬化物中における白色顔料の分散性が向上する傾向にある。
【0022】
白色顔料は、有機物層と金属酸化物層とを有するものであってもよい。この場合、白色顔料の表面に、金属酸化物層及び有機物層が、金属酸化物層及び有機物層の順に設けられることが好ましい。白色顔料が有機物層と二層の金属酸化物層とを有するものである場合、白色顔料の表面に、二酸化ケイ素を含む第一金属酸化物層、酸化アルミニウムを含む第二金属酸化物層及び有機物層が、第一金属酸化物層、第二金属酸化物層及び有機物層の順に設けられることが好ましい。
【0023】
樹脂硬化物中の白色顔料の含有率は、樹脂硬化物の全量に対して、例えば、0.1質量%〜2.0質量%であることが好ましく、0.2質量%〜2.0質量%であることがより好ましく、0.2質量%〜1.5質量%であることがさらに好ましく、0.3質量%〜1.5質量%であることが特に好ましく、0.4質量%〜1.5質量%であることが極めて好ましい。
【0024】
樹脂硬化物中において、白色顔料の少なくとも一部は、一次粒子として存在することが好ましい。白色顔料の少なくとも一部が一次粒子として存在することで、波長変換部材へ入射した入射光の白色顔料による散乱効率がより向上する傾向にある。
白色顔料の少なくとも一部が一次粒子として樹脂硬化物中に存在するか否かは、電子顕微鏡観察により確認することができる。
【0025】
白色顔料及び量子ドット蛍光体以外の無機物の含有率は、樹脂硬化物の全量に対して、0.5質量%以下であることが好ましく、0.3質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以下であることがさらに好ましい。無機物の含有率が0.5質量%以下であれば、白色顔料による入射光の散乱効率の低下及び量子ドット蛍光体による発光効率の低下が抑制される傾向にある。
【0026】
(量子ドット蛍光体)
樹脂硬化物は、量子ドット蛍光体を包含する。量子ドット蛍光体としては特に制限されず、II−VI族化合物、III−V族化合物、IV−VI族化合物、及びIV族化合物からなる群より選択される少なくとも1種を含む粒子が挙げられる。発光効率の観点からは、量子ドット蛍光体は、Cd及びInの少なくとも一方を含む化合物を含有することが好ましい。
【0027】
II−VI族化合物の具体例としては、CdSe、CdTe、CdS、ZnS、ZnSe、ZnTe、ZnO、HgS、HgSe、HgTe、CdSeS、CdSeTe、CdSTe、ZnSeS、ZnSeTe、ZnSTe、HgSeS、HgSeTe、HgSTe、CdZnS、CdZnSe、CdZnTe、CdHgS、CdHgSe、CdHgTe、HgZnS、HgZnSe、HgZnTe、CdZnSeS、CdZnSeTe、CdZnSTe、CdHgSeS、CdHgSeTe、CdHgSTe、HgZnSeS、HgZnSeTe、HgZnSTe等が挙げられる。
III−V族化合物の具体例としては、GaN、GaP、GaAs、GaSb、AlN、AlP、AlAs、AlSb、InN、InP、InAs、InSb、GaNP、GaNAs、GaNSb、GaPAs、GaPSb、AlNP、AlNAs、AlNSb、AlPAs、AlPSb、InNP、InNAs、InNSb、InPAs、InPSb、GaAlNP、GaAlNAs、GaAlNSb、GaAlPAs、GaAlPSb、GaInNP、GaInNAs、GaInNSb、GaInPAs、GaInPSb、InAlNP、InAlNAs、InAlNSb、InAlPAs、InAlPSb等が挙げられる。
IV−VI族化合物の具体例としては、SnS、SnSe、SnTe、PbS、PbSe、PbTe、SnSeS、SnSeTe、SnSTe、PbSeS、PbSeTe、PbSTe、SnPbS、SnPbSe、SnPbTe、SnPbSSe、SnPbSeTe、SnPbSTe等が挙げられる。
IV族化合物の具体例としては、Si、Ge、SiC、SiGe等が挙げられる。
【0028】
量子ドット蛍光体としては、コアシェル構造を有するものが好ましい。コアを構成する化合物のバンドギャップよりもシェルを構成する化合物のバンドギャップを広くすることで、量子ドット蛍光体の量子効率をより向上させることが可能となる。コア及びシェルの組み合わせ(コア/シェル)としては、CdSe/ZnS、InP/ZnS、PbSe/PbS、CdSe/CdS、CdTe/CdS、CdTe/ZnS等が挙げられる。
【0029】
また、量子ドット蛍光体としては、シェルが多層構造である、いわゆるコアマルチシェル構造を有するものであってもよい。バンドギャップの広いコアにバンドギャップの狭いシェルを1層又は2層以上積層し、さらにこのシェルの上にバンドギャップの広いシェルを積層することで、量子ドット蛍光体の量子効率をさらに向上させることが可能となる。
【0030】
樹脂硬化物は、1種類の量子ドット蛍光体を単独で包含していてもよく、2種類以上の量子ドット蛍光体を組み合わせて包含していてもよい。2種類以上の量子ドット蛍光体を組み合わせて包含する態様としては、例えば、成分は異なるものの平均粒子径を同じくする量子ドット蛍光体を2種類以上包含する態様、平均粒子径は異なるものの成分を同じくする量子ドット蛍光体を2種類以上包含する態様、並びに成分及び平均粒子径の異なる量子ドット蛍光体を2種類以上包含する態様が挙げられる。量子ドット蛍光体の成分及び平均粒子径の少なくとも一方を変更することで、量子ドット蛍光体の発光中心波長を変更することができる。
【0031】
例えば、樹脂硬化物は、520nm〜560nmの緑色の波長域に発光中心波長を有する量子ドット蛍光体Gと、600nm〜680nmの赤色の波長域に発光中心波長を有する量子ドット蛍光体Rとを包含していてもよい。量子ドット蛍光体Gと量子ドット蛍光体Rとを包含する樹脂硬化物を含有する波長変換部材に対して430nm〜480nmの青色の波長域の励起光を照射すると、量子ドット蛍光体G及び量子ドット蛍光体Rからそれぞれ緑色光及び赤色光が発光される。その結果、量子ドット蛍光体G及び量子ドット蛍光体Rから発光される緑色光及び赤色光と、硬化物を透過する青色光とにより、白色光を得ることができる。
【0032】
また、樹脂硬化物中の量子ドット蛍光体の含有率は、樹脂硬化物の全量に対して、例えば、0.01質量%〜1.0質量%であることが好ましく、0.05質量%〜0.5質量%であることがより好ましく、0.1質量%〜0.5質量%であることがさらに好ましい。量子ドット蛍光体の含有率が0.01質量%以上であると、波長変換部材に励起光を照射する際に充分な発光強度が得られる傾向にあり、量子ドット蛍光体の含有率が1.0質量%以下であると、量子ドット蛍光体の樹脂硬化物中での凝集が抑えられる傾向にある。
【0033】
波長変換部材の形状は特に制限されず、フィルム状、レンズ状等が挙げられる。波長変換部材を後述するバックライトユニットに適用する場合には、波長変換部材はフィルム状であることが好ましい。
【0034】
波長変換部材がフィルム状である場合、波長変換部材の平均厚みは、例えば、50μm〜200μmであることが好ましく、50μm〜150μmであることがより好ましく、80μm〜120μmであることがさらに好ましい。波長変換部材の平均厚みが50μm以上であると、波長変換効率がより向上する傾向にあり、平均厚みが200μm以下であると、波長変換部材を後述するバックライトユニットに適用した場合に、バックライトユニットをより薄型化できる傾向にある。
フィルム状の波長変換部材の平均厚みは、例えば、マイクロメータを用いて測定した任意の3箇所の厚みの算術平均値として求められる。
【0035】
波長変換部材は、1種類の波長変換用樹脂組成物を硬化したものであってもよく、2種類以上の波長変換用樹脂組成物を硬化したものであってもよい。例えば、波長変換部材がフィルム状である場合、波長変換部材は、第1の量子ドット蛍光体を含有する波長変換用樹脂組成物を硬化した第1の硬化物層と、第1の量子ドット蛍光体とは発光特性が異なる第2の量子ドット蛍光体を含有する波長変換用樹脂組成物を硬化した第2の硬化物層とが積層されたものであってもよい。
【0036】
波長変換部材は、波長変換用樹脂組成物の塗膜、成形体等を形成し、必要に応じて乾燥処理を行った後、紫外線等の活性エネルギー線を照射することにより得ることができる。活性エネルギー線の波長及び照射量は、波長変換用樹脂組成物の組成に応じて適宜設定することができる。一態様では、280nm〜400nmの波長の紫外線を100mJ/cm
2〜5000mJ/cm
2の照射量で照射する。紫外線源としては、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯等が挙げられる。
【0037】
樹脂硬化物は、密着性をより向上させる観点から、動的粘弾性測定により周波数10Hzかつ温度25℃の条件で測定した損失正接(tanδ)が0.4〜1.5であることが好ましく、0.4〜1.2であることがより好ましく、0.4〜0.6であることがさらに好ましい。樹脂硬化物の損失正接(tanδ)は、動的粘弾性測定装置(例えば、Rheometric Scientific社、Solid Analyzer RSA−III)を用いて測定することができる。
【0038】
また、樹脂硬化物は、密着性、耐熱性、及び耐湿熱性をより向上させる観点から、ガラス転移温度(Tg)が85℃以上であることが好ましく、85℃〜160℃であることがより好ましく、90℃〜120℃であることがさらに好ましい。樹脂硬化物のガラス転移温度(Tg)は、動的粘弾性測定装置(例えば、Rheometric Scientific社、Solid Analyzer RSA−III)を用いて、周波数10Hzの条件で測定することができる。
【0039】
また、樹脂硬化物は、密着性、耐熱性、及び耐湿熱性をより向上させる観点から、周波数10Hzかつ温度25℃の条件で測定した貯蔵弾性率が1×10
7Pa〜1×10
10Paであることが好ましく、5×10
7Pa〜1×10
10Paであることがより好ましく、5×10
7Pa〜5×10
9Paであることがさらに好ましい。樹脂硬化物の貯蔵弾性率は、動的粘弾性測定装置(例えば、Rheometric Scientific社、Solid Analyzer RSA−III)を用いて測定することができる。
【0040】
本開示の波長変換部材は、樹脂硬化物の少なくとも一部を被覆する被覆材を有していてもよい。例えば、樹脂硬化物がフィルム状である場合、フィルム状の樹脂硬化物の片面又は両面がフィルム状の被覆材によって被覆されていてもよい。
【0041】
被覆材は、量子ドット蛍光体の発光効率の低下を抑える観点から、酸素及び水の少なくとも一方に対するバリア性を有することが好ましく、酸素及び水の両方に対するバリア性を有することがより好ましい。酸素及び水の少なくとも一方に対するバリア性を有する被覆材としては特に制限されず、無機物層を有するバリアフィルム等の公知の被覆材を用いることができる。
【0042】
被覆材がフィルム状である場合、被覆材の平均厚みは、例えば、100μm〜150μmであることが好ましく、100μm〜140μmであることがより好ましく、100μm〜135μmであることがさらに好ましい。平均厚みが100μm以上であると、バリア性等の機能が充分なものとなる傾向にあり、平均厚みが150μm以下であると、光透過率の低下が抑えられる傾向にある。
フィルム状の被覆材の平均厚みは、フィルム状の波長変換部材と同様にして求められる。
【0043】
被覆材の酸素透過率は、例えば、0.5mL/(m
2・24h・atm)以下であることが好ましく、0.3mL/(m
2・24h・atm)以下であることがより好ましく、0.1mL/(m
2・24h・atm)以下であることがさらに好ましい。被覆材の酸素透過率は、酸素透過率測定装置(例えば、MOCON社、OX−TRAN)を用いて、温度23℃かつ相対湿度65%の条件で測定することができる。
また、被覆材の水蒸気透過率は、例えば、5×10
−2g/(m
2・24h・Pa)以下であることが好ましく、1×10
−2g/(m
2・24h・Pa)以下であることがより好ましく、5×10
−3g/(m
2・24h・Pa)以下であることがさらに好ましい。被覆材の水蒸気透過率は、水蒸気透過率測定装置(例えば、MOCON社、AQUATRAN)を用いて、温度40℃かつ相対湿度90%の条件で測定することができる。
【0044】
本開示の波長変換部材は、光の利用効率をより向上させる観点から、全光線透過率が55%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、65%以上であることがさらに好ましい。波長変換部材の全光線透過率は、JIS K 7136:2000の測定法に準拠して測定することができる。
【0045】
また、本開示の波長変換部材は、光の利用効率をより向上させる観点から、ヘーズが95%以上であることが好ましく、97%以上であることがより好ましく、99%以上であることがさらに好ましい。波長変換部材のヘーズは、JIS K 7136:2000の測定法に準拠して測定することができる。
【0046】
波長変換部材の概略構成の一例を
図1に示す。但し、本開示の波長変換部材は
図1の構成に限定されるものではない。また、
図1における硬化物層及び被覆材の大きさは概念的なものであり、大きさの相対的な関係はこれに限定されない。なお、各図面において、同一の部材には同一の符号を付し、重複した説明は省略することがある。
【0047】
図1に示す波長変換部材10は、フィルム状の樹脂硬化物である硬化物層11と、硬化物層11の両面に設けられたフィルム状の被覆材12A及び12Bとを有する。被覆材12A及び被覆材12Bの種類及び平均厚みは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
【0048】
図1に示す構成の波長変換部材は、例えば、以下のような公知の製造方法により製造することができる。
【0049】
まず、連続搬送されるフィルム状の被覆材(以下、「第1の被覆材」ともいう。)の表面に後述の波長変換用樹脂組成物を付与し、塗膜を形成する。波長変換用樹脂組成物の付与方法は特に制限されず、ダイコーティング法、カーテンコーティング法、エクストルージョンコーティング法、ロッドコーティング法、ロールコーティング法等が挙げられる。
【0050】
次いで、波長変換用樹脂組成物の塗膜の上に、連続搬送されるフィルム状の被覆材(以下、「第2の被覆材」ともいう。)を貼り合わせる。
【0051】
次いで、第1の被覆材及び第2の被覆材のうち活性エネルギー線を透過可能な被覆材側から活性エネルギー線を照射することにより、塗膜を硬化し、硬化物層を形成する。その後、規定のサイズに切り出すことにより、
図1に示す構成の波長変換部材を得ることができる。
【0052】
なお、第1の被覆材及び第2の被覆材のいずれも活性エネルギー線を透過可能でない場合には、第2の被覆材を貼り合わせる前に塗膜に活性エネルギー線を照射し、硬化物層を形成してもよい。
【0053】
<バックライトユニット>
本開示のバックライトユニットは、上述した本開示の波長変換部材と、光源とを備える。
【0054】
バックライトユニットとしては、色再現性を向上させる観点から、多波長光源化されたものが好ましい。好ましい一態様としては、430nm〜480nmの波長域に発光中心波長を有し、半値幅が100nm以下である発光強度ピークを有する青色光と、520nm〜560nmの波長域に発光中心波長を有し、半値幅が100nm以下である発光強度ピークを有する緑色光と、600nm〜680nmの波長域に発光中心波長を有し、半値幅が100nm以下である発光強度ピークを有する赤色光と、を発光するバックライトユニットを挙げることができる。なお、発光強度ピークの半値幅とは、ピーク高さの1/2の高さにおけるピーク幅を意味する。
【0055】
色再現性をより向上させる観点から、バックライトユニットが発光する青色光の発光中心波長は、440nm〜475nmの範囲であることが好ましい。同様の観点から、バックライトユニットが発光する緑色光の発光中心波長は、520nm〜545nmの範囲であることが好ましい。また、同様の観点から、バックライトユニットが発光する赤色光の発光中心波長は、610nm〜640nmの範囲であることが好ましい。
【0056】
また、色再現性をより向上させる観点から、バックライトユニットが発光する青色光、緑色光、及び赤色光の各発光強度ピークの半値幅は、いずれも80nm以下であることが好ましく、50nm以下であることがより好ましく、40nm以下であることがさらに好ましく、30nm以下であることが特に好ましく、25nm以下であることが極めて好ましい。
【0057】
バックライトユニットの光源としては、例えば、430nm〜480nmの波長域に発光中心波長を有する青色光を発光する光源を用いることができる。光源としては、例えば、LED(Light Emitting Diode)及びレーザーが挙げられる。青色光を発光する光源を用いる場合、波長変換部材は、少なくとも、赤色光を発光する量子ドット蛍光体R及び緑色光を発光する量子ドット蛍光体Gを含むことが好ましい。これにより、波長変換部材から発光される赤色光及び緑色光と、波長変換部材を透過した青色光とにより、白色光を得ることができる。
【0058】
また、バックライトユニットの光源としては、例えば、300nm〜430nmの波長域に発光中心波長を有する紫外光を発光する光源を用いることもできる。光源としては、例えば、LED及びレーザーが挙げられる。紫外光を発光する光源を用いる場合、波長変換部材は、量子ドット蛍光体R及び量子ドット蛍光体Gとともに、励起光により励起され青色光を発光する量子ドット蛍光体Bを含むことが好ましい。これにより、波長変換部材から発光される赤色光、緑色光、及び青色光により、白色光を得ることができる。
【0059】
本開示のバックライトユニットは、エッジライト方式であっても直下型方式であってもよい。
【0060】
エッジライト方式のバックライトユニットの概略構成の一例を
図2に示す。但し、本開示のバックライトユニットは、
図2の構成に限定されるものではない。また、
図2における部材の大きさは概念的なものであり、部材間の大きさの相対的な関係はこれに限定されない。
【0061】
図2に示すバックライトユニット20は、青色光L
Bを出射する光源21と、光源21から出射された青色光L
Bを導光して出射させる導光板22と、導光板22と対向配置される波長変換部材10と、波長変換部材10を介して導光板22と対向配置される再帰反射性部材23と、導光板22を介して波長変換部材10と対向配置される反射板24とを備える。波長変換部材10は、青色光L
Bの一部を励起光として赤色光L
R及び緑色光L
Gを発光し、赤色光L
R及び緑色光L
Gと、励起光とならなかった青色光L
Bとを出射する。この赤色光L
R、緑色光L
G、及び青色光L
Bにより、再帰反射性部材23から白色光L
Wが出射される。
【0062】
<画像表示装置>
本開示の画像表示装置は、上述した本開示のバックライトユニットを備える。画像表示装置としては特に制限されず、例えば、液晶表示装置が挙げられる。
【0063】
液晶表示装置の概略構成の一例を
図3に示す。但し、本開示の液晶表示装置は、
図3の構成に限定されるものではない。また、
図3における部材の大きさは概念的なものであり、部材間の大きさの相対的な関係はこれに限定されない。
【0064】
図3に示す液晶表示装置30は、バックライトユニット20と、バックライトユニット20と対向配置される液晶セルユニット31とを備える。液晶セルユニット31は、液晶セル32が偏光板33Aと偏光板33Bとの間に配置された構成とされる。
【0065】
液晶セル32の駆動方式は特に制限されず、TN(Twisted Nematic)方式、STN(Super Twisted Nematic)方式、VA(Virtical Alignment)方式、IPS(In−Plane−Switching)方式、OCB(Optically Compensated Birefringence)方式等が挙げられる。
【0066】
<波長変換用樹脂組成物>
本開示の波長変換用樹脂組成物は、量子ドット蛍光体と、有機物を含む有機物層を表面の少なくとも一部に有する白色顔料と、を含む。波長変換用樹脂組成物は、多官能(メタ)アクリレート化合物と、多官能チオール化合物と、光重合開始剤と、をさらに含有してもよい。
本開示の波長変換用樹脂組成物に含有される白色顔料は、表面の少なくとも一部に有機物を含む有機物層を有する。白色顔料の表面に有機物が存在することにより、白色顔料と波長変換用樹脂組成物に含有される白色顔料以外のその他の成分との親和性が向上するため、波長変換用樹脂組成物中での白色顔料の分散性が向上する。そのため、白色顔料の凝集又は沈降が抑制可能になると推察される。
【0067】
以下、本開示の波長変換用樹脂組成物に含有される成分について詳細に説明する。
【0068】
(量子ドット蛍光体)
波長変換用樹脂組成物は、量子ドット蛍光体を含有する。量子ドット蛍光体の詳細は、波長変換部材の項で詳述したとおりである。
【0069】
量子ドット蛍光体は、分散媒体に分散された量子ドット蛍光体分散液の状態で用いてもよい。量子ドット蛍光体を分散する分散媒体としては、各種有機溶剤及び単官能(メタ)アクリレート化合物が挙げられる。量子ドット蛍光体が量子ドット蛍光体分散液として用いられる場合、必要に応じて分散剤を用いてもよい。
分散媒体として使用可能な有機溶剤としては、水、アセトン、酢酸エチル、トルエン、n−ヘキサン等が挙げられる。
分散媒体として使用可能な単官能(メタ)アクリレート化合物としては、室温(25℃)において液体であれば特に限定されるものではなく、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらの中でも、分散媒体としては、波長変換用樹脂組成物を硬化する際に分散媒体を揮発させる工程が不要になる観点から、単官能(メタ)アクリレート化合物であることが好ましく、脂環式構造を有する単官能(メタ)アクリレート化合物であることがより好ましく、イソボルニル(メタ)アクリレート及びジシクロペンタニル(メタ)アクリレートであることがさらに好ましく、イソボルニル(メタ)アクリレートであることが特に好ましい。
【0070】
分散媒体として単官能(メタ)アクリレート化合物を用いる場合、単官能(メタ)アクリレート化合物と多官能(メタ)アクリレート化合物との質量基準の含有比率(単官能(メタ)アクリレート化合物/多官能(メタ)アクリレート化合物)は、0.01〜0.30であることが好ましく、0.02〜0.20であることがより好ましく、0.05〜0.20であることがさらに好ましい。
【0071】
量子ドット蛍光体分散液に占める量子ドット蛍光体の質量基準の割合は、1質量%〜20質量%であることが好ましく、1質量%〜10質量%であることがより好ましい。
【0072】
波長変換用樹脂組成物中の量子ドット蛍光体分散液の含有率は、量子ドット蛍光体分散液に占める量子ドット蛍光体の質量基準の割合が1質量%〜10質量%である場合、波長変換用樹脂組成物の全量に対して、例えば、1質量%〜10質量%であることが好ましく、4質量%〜10質量%であることがより好ましく、4質量%〜7質量%であることがさらに好ましい。
また、波長変換用樹脂組成物中の量子ドット蛍光体の含有率は、波長変換用樹脂組成物の全量に対して、例えば、0.01質量%〜1.0質量%であることが好ましく、0.05質量%〜0.5質量%であることがより好ましく、0.1質量%〜0.5質量%であることがさらに好ましい。量子ドット蛍光体の含有率が0.01質量%以上であると、硬化物に励起光を照射する際に充分な発光強度が得られる傾向にあり、量子ドット蛍光体の含有率が1.0質量%以下であると、量子ドット蛍光体の凝集が抑えられる傾向にある。
【0073】
(白色顔料)
波長変換用樹脂組成物は、有機物を含む有機物層を表面の少なくとも一部に有する白色顔料を含有する。白色顔料の詳細は、波長変換部材の項で詳述したとおりである。
【0074】
波長変換用樹脂組成物中の白色顔料の含有率は、波長変換用樹脂組成物の全量に対して、例えば、0.1質量%〜2.0質量%であることが好ましく、0.2質量%〜2.0質量%であることがより好ましく、0.2質量%〜1.5質量%であることがさらに好ましく、0.3質量%〜1.5質量%であることが特に好ましく、0.4質量%〜1.5質量%であることが極めて好ましい。
【0075】
波長変換用樹脂組成物中において、白色顔料の少なくとも一部は、一次粒子として存在することが好ましい。白色顔料の少なくとも一部が一次粒子として存在することで、樹脂硬化物中において、白色顔料の少なくとも一部が一次粒子として存在しやすくなる傾向にある。そのため、波長変換部材へ入射した入射光の白色顔料による散乱効率がより向上する傾向にある。
白色顔料の少なくとも一部が一次粒子として波長変換用樹脂組成物中に存在するか否かは、電子顕微鏡観察により確認することができる。
【0076】
波長変換用樹脂組成物中において、白色顔料及び量子ドット蛍光体以外の無機物の含有率は、0.5質量%以下であることが好ましく、0.2質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以下であることがさらに好ましい。無機物の含有率が0.5質量%以下であれば、波長変換用樹脂組成物から形成された波長変換用樹脂硬化物中において、白色顔料による入射光の散乱効率の低下及び量子ドット蛍光体による発光効率の低下が抑制される傾向にある。
【0077】
(多官能(メタ)アクリレート化合物)
本開示の波長変換用樹脂組成物は、多官能(メタ)アクリレート化合物を含有してもよい。多官能(メタ)アクリレート化合物は特に限定されるものではなく、樹脂硬化物の耐湿熱性の観点から、脂環式構造を有する多官能(メタ)アクリレート化合物を含有することが好ましい。
脂環式構造を有する多官能(メタ)アクリレート化合物は、骨格に脂環式構造を有し、1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレート化合物である。具体例としては、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、1,3−アダマンタンジメタノールジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールA(ポリ)エトキシジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールA(ポリ)プロポキシジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールF(ポリ)エトキシジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールF(ポリ)プロポキシジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールS(ポリ)エトキシジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールS(ポリ)プロポキシジ(メタ)アクリレート等の脂環式(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
波長変換用樹脂組成物の耐湿熱性をより向上させる観点から、脂環式構造を有する多官能(メタ)アクリレート化合物に含まれる脂環式構造がトリシクロデカン骨格を含むことが好ましい。脂環式構造がトリシクロデカン骨格を含む多官能(メタ)アクリレート化合物としては、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレートであることが好ましい。
【0078】
波長変換用樹脂組成物は、骨格に脂環式構造を有さないその他の多官能(メタ)アクリレート化合物を含んでもよい。その他の多官能(メタ)アクリレート化合物の具体例としては、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリス(β−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのトリアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、トリス(β−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのトリメタクリレート等が挙げられる。
【0079】
波長変換用樹脂組成物中の多官能(メタ)アクリレート化合物の含有率は、波長変換用樹脂組成物の全量に対して、例えば、60質量%〜90質量%であることが好ましく、70質量%〜85質量%であることがより好ましい。多官能(メタ)アクリレート化合物の含有率が上記範囲にある場合、硬化物の耐湿熱性がより向上する傾向にある。
【0080】
波長変換用樹脂組成物は、1種類の多官能(メタ)アクリレート化合物を単独で含有していてもよく、2種類以上の多官能(メタ)アクリレート化合物を組み合わせて含有していてもよい。
【0081】
多官能(メタ)アクリレート化合物に占める脂環式構造を有する多官能(メタ)アクリレート化合物の質量基準の割合は、60質量%〜100質量%であることが好ましく、70質量%〜100質量%であることがより好ましく、80質量%〜100質量%であることがさらに好ましい。
【0082】
(チオール化合物)
波長変換用樹脂組成物は、多官能チオール化合物を含有してもよい。波長変換用樹脂組成物が多官能チオール化合物を含有することで、波長変換用樹脂組成物が硬化する際に多官能(メタ)アクリレート化合物と多官能チオール化合物との間でエンチオール反応が進行し、硬化物の密着性がより向上する傾向にある。また、波長変換用樹脂組成物が多官能チオール化合物を含有することで、硬化物の光学特性がより向上する傾向にある。
【0083】
なお、(メタ)アリル化合物とチオール化合物とを含有する組成物は保存安定性に劣ることが多いが、本開示の波長変換用樹脂組成物は多官能チオール化合物を含有するにもかかわらず保存安定性に優れる。これは、波長変換用樹脂組成物が多官能(メタ)アクリレート化合物を含有するためと推測される。
【0084】
多官能チオール化合物の具体例としては、エチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、ジエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、テトラエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、1,2−プロピレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、ジエチレングリコールビス(3−メルカプトブチレート)、1,4−ブタンジオールビス(3−メルカプトプロピオネート)、1,4−ブタンジオールビス(3−メルカプトブチレート)、1,8−オクタンジオールビス(3−メルカプトプロピオネート)、1,8−オクタンジオールビス(3−メルカプトブチレート)、ヘキサンジオールビスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトイソブチレート)、トリメチロールプロパントリス(2−メルカプトイソブチレート)、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリス−[(3−メルカプトプロピオニルオキシ)−エチル]−イソシアヌレート、トリメチロールエタントリス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトイソブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトイソブチレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(2−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトブチレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトイソブチレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(2−メルカプトイソブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ジペンタエリスリトールヘキサキスチオグリコレート等が挙げられる。
【0085】
また、多官能チオール化合物は、あらかじめ多官能(メタ)アクリレート化合物と反応したチオエーテルオリゴマーの状態であってもよい。
【0086】
チオエーテルオリゴマーは、多官能チオール化合物と多官能(メタ)アクリレート化合物とを重合開始剤の存在下で付加重合させることにより得ることができる。チオエーテルオリゴマーを付加重合により得る場合、原料となる多官能(メタ)アクリレート化合物の(メタ)アクリロイル基の当量数に対する多官能チオール化合物のチオール基の当量数の割合(チオール基の当量数/(メタ)アクリロイル基の当量数)は、例えば、3.0〜3.3であることが好ましく、3.0〜3.2であることがより好ましく、3.05〜3.15であることがさらに好ましい。
【0087】
チオエーテルオリゴマーの重量平均分子量は、例えば、3000〜10000であることが好ましく、3000〜8000であることがより好ましく、4000〜6000であることがさらに好ましい。
なお、チオエーテルオリゴマーの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定される分子量分布から標準ポリスチレンの検量線を使用して換算して求められる。
【0088】
また、チオエーテルオリゴマーのチオール当量は、例えば、200g/eq〜400g/eqであることが好ましく、250g/eq〜350g/eqであることがより好ましく、250g/eq〜270g/eqであることがさらに好ましい。
【0089】
なお、チオエーテルオリゴマーのチオール当量は、以下のようなヨウ素滴定法により測定することができる。
測定試料0.2gを精秤し、これにクロロホルム20mLを加えて試料溶液とする。デンプン指示薬として可溶性デンプン0.275gを30gの純水に溶解させたものを用いて、純水20mL、イソプロピルアルコール10mL、及びデンプン指示薬1mLを加え、スターラーで撹拌する。ヨウ素溶液を滴下し、クロロホルム層が緑色を呈した点を終点とする。このとき下記式にて与えられる値を、測定試料のチオール当量とする。
チオール当量(g/eq)=測定試料の質量(g)×10000/ヨウ素溶液の滴定量(mL)×ヨウ素溶液のファクター
【0090】
波長変換用樹脂組成物は、1分子中に1個のチオール基を有する単官能チオール化合物を含有してもよい。
【0091】
単官能チオール化合物の具体例としては、ヘキサンチオール、1−ヘプタンチオール、1−オクタンチオール、1−ノナンチオール、1−デカンチオール、3−メルカプトプロピオン酸、メルカプトプロピオン酸メチル、メルカプトプロピオン酸メトキシブチル、メルカプトプロピオン酸オクチル、メルカプトプロピオン酸トリデシル、2−エチルヘキシル−3−メルカプトプロピオネート、n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート等が挙げられる。
【0092】
波長変換用樹脂組成物中のチオール化合物(多官能チオール化合物及び単官能チオール化合物の合計)の含有率は、波長変換用樹脂組成物の全量に対して、例えば、5質量%〜40質量%であることが好ましく、10質量%〜30質量%であることがより好ましく、15質量%〜25質量%であることがさらに好ましい。この場合、多官能(メタ)アクリレート化合物とのエンチオール反応により、硬化物がさらに緻密な架橋構造を形成し、耐湿熱性がより向上する傾向にある。
多官能チオール化合物及び単官能チオール化合物の合計に占める多官能チオール化合物の質量基準の割合は、60質量%〜100質量%であることが好ましく、70質量%〜100質量%であることがより好ましく、80質量%〜100質量%であることがさらに好ましい。
【0093】
多官能(メタ)アクリレート化合物と多官能チオール化合物との質量基準の含有比率(多官能(メタ)アクリレート化合物/多官能チオール化合物)は、0.5〜10であることが好ましく、0.5〜8.0であることがより好ましく、0.5〜6.0であることがさらに好ましい。
【0094】
(光重合開始剤)
波長変換用樹脂組成物は、光重合開始剤を含有してもよい。光重合開始剤としては特に制限されず、具体例として、紫外線等の活性エネルギー線の照射によりラジカルを発生する化合物が挙げられる。
【0095】
光重合開始剤の具体例としては、ベンゾフェノン、N,N’−テトラアルキル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパノン−1、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(「ミヒラーケトン」とも称される)、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等の芳香族ケトン化合物;アルキルアントラキノン、フェナントレンキノン等のキノン化合物;ベンゾイン、アルキルベンゾイン等のベンゾイン化合物;ベンゾインアルキルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル化合物;ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体;2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2,4−ジ(p−メトキシフェニル)−5−フェニルイミダゾール二量体、2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体;9−フェニルアクリジン、1,7−(9,9’−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体;1,2−オクタンジオン1−[4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)等のオキシムエステル化合物;7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン等のクマリン化合物;2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン化合物;2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−フェニル−エトキシ−ホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド化合物;などが挙げられる。波長変換用樹脂組成物は、1種類の光重合開始剤を単独で含有していてもよく、2種類以上の光重合開始剤を組み合わせて含有していてもよい。
【0096】
光重合開始剤としては、硬化性の観点から、アシルホスフィンオキサイド化合物、芳香族ケトン化合物、及びオキシムエステル化合物からなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、アシルホスフィンオキサイド化合物及び芳香族ケトン化合物からなる群より選択される少なくとも1種がより好ましく、アシルホスフィンオキサイド化合物がさらに好ましい。
【0097】
波長変換用樹脂組成物中の光重合開始剤の含有率は、波長変換用樹脂組成物の全量に対して、例えば、0.1質量%〜5質量%であることが好ましく、0.1質量%〜3質量%であることがより好ましく、0.5質量%〜1.5質量%であることがさらに好ましい。光重合開始剤の含有率が0.1質量%以上であると、波長変換用樹脂組成物の感度が充分なものとなる傾向にあり、光重合開始剤の含有率が5質量%以下であると、波長変換用樹脂組成物の色相への影響及び保存安定性の低下が抑えられる傾向にある。
【0098】
(液状媒体)
波長変換用樹脂組成物は、液状媒体を含有しないか又は液状媒体の含有率が0.5質量%以下であることが好ましい。液状媒体とは、室温(25℃)において液体の状態の媒体をいう。
【0099】
液状媒体の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル−n−ペンチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチルシクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン等のケトン溶剤;ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、メチル−n−プロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールメチル−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールメチルエチルエーテル、テトラエチレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、テトラエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、テトラエチレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエチルエーテル、ジプロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、テトラプロピレングリコールジメチルエーテル、テトラプロピレングリコールジエチルエーテル、テトラプロピレングリコールメチルエチルエーテル、テトラプロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、テトラプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、テトラプロピレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル等のエーテル溶剤;プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート等のカーボネート溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸2−(2−ブトキシエトキシ)エチル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸ノニル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、酢酸ジエチレングリコールメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジ酢酸グリコール、酢酸メトキシトリエチレングリコール、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸イソアミル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ−n−ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル、乳酸n−アミル、エチレングリコールメチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールエチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等のエステル溶剤;アセトニトリル、N−メチルピロリジノン、N−エチルピロリジノン、N−プロピルピロリジノン、N−ブチルピロリジノン、N−ヘキシルピロリジノン、N−シクロヘキシルピロリジノン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶剤;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、イソペンタノール、2−メチルブタノール、sec−ペンタノール、t−ペンタノール、3−メトキシブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、sec−ヘキサノール、2−エチルブタノール、sec−ヘプタノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、sec−オクタノール、n−ノニルアルコール、n−デカノール、sec−ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、sec−テトラデシルアルコール、sec−ヘプタデシルアルコール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール等のアルコール溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールモノエーテル溶剤;テルピネン、テルピネオール、ミルセン、アロオシメン、リモネン、ジペンテン、ピネン、カルボン、オシメン、フェランドレン等のテルペン溶剤;ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル等のストレートシリコーンオイル;アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、カルボキシ変性シリコーンオイル、カルビノール変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、異種官能基変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、メチルスチリル変性シリコーンオイル、親水性特殊変性シリコーンオイル、高級アルコキシ変性シリコーンオイル、高級脂肪酸変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル等の変性シリコーンオイル;ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸、ノナデカン酸、イコサン酸、エイコセン酸等の炭素数4以上の飽和脂肪族モノカルボン酸;オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、パルミトレイン酸等の炭素数8以上の不飽和脂肪族モノカルボン酸;などが挙げられる。波長変換用樹脂組成物が液状媒体を含有する場合、1種類の液状媒体を単独で含有していてもよく、2種類以上の液状媒体を組み合わせて含有していてもよい。
【0100】
(その他の成分)
波長変換用樹脂組成物は、重合禁止剤、シランカップリング剤、界面活性剤、密着付与剤、酸化防止剤等のその他の成分をさらに含有していてもよい。波長変換用樹脂組成物は、その他の成分のそれぞれについて、1種類を単独で含有していてもよく、2種類以上を組み合わせて含有していてもよい。
また、波長変換用樹脂組成物は、必要に応じて(メタ)アリル化合物を含有してもよい。
【0101】
(波長変換用樹脂組成物の調製方法)
波長変換用樹脂組成物は、白色顔料及び量子ドット蛍光体並びに必要に応じて用いられる多官能(メタ)アクリレート化合物、多官能チオール化合物、光重合開始剤及びその他の成分を常法により混合することで調製することができる。量子ドット蛍光体は、液状媒体に分散させた状態で混合することが好ましい。
【0102】
(波長変換用樹脂組成物の用途)
波長変換用樹脂組成物は、フィルム形成に好適に使用可能である。また、波長変換用樹脂組成物は、波長変換部材の形成に好適に使用可能である。
【0103】
<波長変換用樹脂硬化物>
本開示の波長変換用樹脂硬化物は、本開示の波長変換用樹脂組成物の硬化物である。波長変換用樹脂組成物の硬化条件は、特に限定されるものではなく、一態様では、280nm〜400nmの波長の紫外線を100mJ/cm
2〜5000mJ/cm
2の照射量で照射する。紫外線源としては、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯等が挙げられる。
波長変換用樹脂硬化物についての動的粘弾性測定により測定されたガラス転移温度は、85℃以上であることが好ましく、85℃〜160℃であることがより好ましく、90℃〜120℃であることがさらに好ましい。
本開示の波長変換用樹脂硬化物は、波長変換部材の構成要素として適用可能である。
【実施例】
【0104】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0105】
<実施例1〜3及び比較例1〜3>
(波長変換用樹脂組成物の調製)
表1に示す各成分を同表に示す配合量(単位:質量部)で混合することにより、実施例1〜3及び比較例1〜3の波長変換用樹脂組成物をそれぞれ調製した。表1中の「−」は未配合を意味する。
なお、多官能(メタ)アクリレート化合物としては、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(新中村化学工業株式会社、A−DCP)を用いた。
また、多官能チオール化合物としては、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)(SC有機化学株式会社、PEMP)を用いた。
また、光重合開始剤としては、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイド(BASF社、IRGACURE TPO)を用いた。
また、量子ドット蛍光体IBOA(イソボルニルアクリレート)分散液としては、CdSe/ZnS(コア/シェル)分散液(Nanosys社、Gen3.5 QD Concentrate)を用いた。このCdSe/ZnS(コア/シェル)分散液の分散媒体としては、イソボルニルアクリレートを使用した。CdSe/ZnS(コア/シェル)分散液中に、イソボルニルアクリレートが90質量%以上含有されている。
また白色顔料又は無機粒子等の粒子としては、
R−706(Chemours社、タイピュア R−706、材質:ルチル型酸化チタン、粒径:0.36μm、表面処理:有機ポリオール)、
R−105(Chemours社、タイピュアR−105、材質:ルチル型酸化チタン、粒径:0.31μm、表面処理:有機シラン)、
R−900(Chemours社、タイピュアR−900、材質:ルチル型酸化チタン、粒径:0.31μm、表面処理:無し)、
SO−C5(株式会社アドマテックス、アドマファインSO−C5、材質:シリカ、粒径:1.3〜1.7μm、表面処理:無し)、及び
MX40T(綜研化学株式会社、MX40T、材質:アクリル、粒径:0.4μm、表面処理:無し)を用いた。
【0106】
【表1】
【0107】
(波長変換部材の製造)
上記で得られた各波長変換用樹脂組成物を平均厚み125μmのバリアフィルム(大日本印刷株式会社)(被覆材)上に塗布して塗膜を形成した。この塗膜上に厚み125μmのバリアフィルム(大日本印刷株式会社)(被覆材)を貼り合わせ、紫外線照射装置(アイグラフィックス株式会社)を用いて紫外線を照射(照射量:1000mJ/cm
2)することにより、波長変換用樹脂硬化物を含む硬化物層の両面に被覆材が配置された波長変換部材をそれぞれ得た。硬化物層の平均厚みは100μmであった。
【0108】
<評価>
実施例1〜3及び比較例1〜3で得られた波長変換用樹脂組成物及び波長変換部材を用いて、以下の各評価項目を測定及び評価した。結果を表2に示す。
【0109】
(輝度)
上記で得られた各波長変換部材を、幅100mm、長さ100mmの寸法に裁断した評価用波長変換部材について輝度計PR−655(フォトリサーチ社)を用いて輝度を測定した。輝度計は、上部に光学特性を認識するカメラユニットが設置され、レンズ下の箇所に、ブラックマスク、BEF(輝度上昇フィルム)板、拡散板、LED光源を有し、BEF板と拡散板との間に測定サンプルをセットして、輝度を測定した。
【0110】
(外観)
上記で得られた各波長変換用樹脂組成物を50mLスクリュー管に30gとり、25℃、24時間後の各波長変換用樹脂組成物の外観を目視にて確認した。
そして、以下の評価基準に従い、各波長変換用樹脂組成物の外観を評価した。
−評価基準−
○:変化無し
×:粒子の沈降あり
【0111】
【表2】
【0112】
表2から明らかなように、量子ドット蛍光体と、有機物を含む有機物層を表面の少なくとも一部に有する白色顔料と、を含有する波長変換用樹脂組成物から製造された波長変換部材は、比較例1〜3の波長変換用樹脂組成物から製造された波長変換部材と比較して、輝度に優れていた。また、量子ドット蛍光体と、有機物を含む有機物層を表面の少なくとも一部に有する白色顔料と、を含有する波長変換用樹脂組成物は、有機物層を有しない白色顔料を含有する比較例1又は2の波長変換用樹脂組成物と比較して白色顔料の沈澱が生じにくいことがわかる。
【0113】
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、及び技術規格は、個々の文献、特許出願、及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。