(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
走行機体と、前記走行機体に昇降リンクを介して昇降自在に連結された植付作業機と、を備え、前記植付作業機に、左右の線引きマーカをそれぞれ昇降自在に支持してなる移植機において、
前記植付作業機に、前記左右の線引きマーカの昇降を行うマーカ昇降装置を設けるにあたり、
前記マーカ昇降装置は、前記植付作業機の本体に回動自在に支持されると共に、前記左右の線引きマーカにそれぞれ連結する左用支持部及び右用支持部と、
前記植付作業機の本体に支持され、前記左用支持部及び右用支持部を、前記左右の線引きマーカの上昇位置でそれぞれ係止する左用係合部及び右用係合部と、
前記左用係合部による前記左用支持部の係止、及び前記右用係合部による前記右用支持部の係止を選択的に解除するアクチュエータと、
前記植付作業機を上昇させる前記昇降リンクの回動に応じて、前記左用支持部及び前記右用支持部を、それぞれ前記左右の線引きマーカの上昇方向に回動させる作用部と、を有し、
前記左用係合部及び前記右用係合部が前記左用支持部及び前記右用支持部に係合した状態では、前記左右それぞれの線引きマーカの下降を規制し、前記左用係合部及び前記右用係合部が前記左用支持部及び右用支持部から外れて前記規制が解除された状態では、前記左右それぞれの線引きマーカを前記植付作業機の上昇動作に応じて、上昇動作させるように構成し、
前記マーカ昇降装置を、前記植付作業機の左右ローリング姿勢の変化を抑制する弾性部材を取付けるマスト部材に設け、前記左用支持部及び前記右用支持部、並びに前記左用係合部及び前記右用係合部を前記マーカ昇降装置の下端部に配置した、
ことを特徴とする移植機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に記載のものは、マーカを上昇させる動力が、走行機体からワイヤを介して伝達させられていた。このため、上記特許文献3のように走行機体に対して作業装置を着脱自在に構成した水田作業機においては、作業者は、移植作業機を昇降リンクに対して着脱する際に、左右のマーカを引き上げるワイヤを連繋/解除する必要があり、着脱の容易性を阻害する虞がある。
【0008】
また、上記特許文献2に記載のものは、モータが植付作業機(苗移植部)に配置されており、前記モータの動力によってマーカが昇降されるので、モータが大型化する問題があり、斯かる技術をそのまま小型の水田作業機に搭載して作業装置を容易に付け替え可能にするのは困難であった。
【0009】
そこで、本発明は、左右の線引きマーカの昇降を行うマーカ昇降装置を植付作業機に配置すると共に、左右の線引きマーカの昇降動作に植付作業機の昇降動作を利用する構成にし、もって上述した課題を解決する移植機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、走行機体(5)と、前記走行機体(5)に昇降リンク(6)を介して昇降自在に連結された植付作業機(7)と、を備え、前記植付作業機(7)に、左右の線引きマーカ(32A,32B)をそれぞれ昇降自在に支持してなる移植機(1)において、
前記植付作業機(7)に、前記左右の線引きマーカ(32A,32B)の昇降を行うマーカ昇降装置(43)を設けるにあたり、
前記マーカ昇降装置(43)は、前記植付作業機(7)の本体(7A)に回動自在に支持されると共に、前記左右の線引きマーカ(32A,32B)にそれぞれ連結する左用支持部(66A)及び右用支持部(66B)と、
前記植付作業機(7)の本体(7A)に支持され、前記左用支持部(66A)及
び右用支持部(66B)を、前記左右の線引きマーカ(32A,32B)の上昇位置でそれぞれ係止する左用係合部(70A)及び右用係合部(70B)と、
前記左用係合部(70A)による前記左用支持部(66A)の係止、及び前記右用係合部(70B)による前記右用支持部(66B)の係止を選択的に解除するアクチュエータ(51)
と、
前記植付作業機(7)を上昇させる前記昇降リンク(6)の回動に応じて、前記左用支持部(66A)及び前記右用支持部(66B)を、それぞれ前記左右の線引きマーカ(32A,32B)の上昇方向に回動させ
る作用部(67A,67B)と、を有し、
前記左用係合部(70A)及び前記右用係合部(70B)が前記左用支持部(66A)及び前記右用支持部(66B)に係合した状態では、前記左右それぞれの線引きマーカ(32A,32B)の下降を規制し、前記左用係合部(70A)及び前記右用係合部(70B)が前記左用支持部(66A)及
び右用支持部(66B)から外れて前記規制が解除された状態では、前記左右それぞれの線引きマーカ(32A,32B)を前記植付作業機(7)の上昇動作に応じて、上昇動作させるように構成し
、
前記マーカ昇降装置(43)を、前記植付作業機(7)の左右ローリング姿勢の変化を抑制する弾性部材(49A)を取付けるマスト部材(49)に設け、前記左用支持部(66A)及び前記右用支持部(66B)、並びに前記左用係合部(70A)及び前記右用係合部(70B)を前記マーカ昇降装置(43)の下端部に配置した、ことを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、走行機体(5)と、前記走行機体(5)に昇降リンク(6)を介して昇降自在に連結された植付作業機(7)と、を備え、前記植付作業機(7)に、左右の線引きマーカ(32A,32B)をそれぞれ昇降自在に支持してなる移植機(1)において、
前記植付作業機(7)に、前記左右の線引きマーカ(32A,32B)の昇降を行うマーカ昇降装置(43)を設けるにあたり、
前記マーカ昇降装置(43)は、前記植付作業機(7)の本体(7A)に回動自在に支持されると共に、前記左右の線引きマーカ(32A,32B)にそれぞれ連結する左用支持部(66A)及び右用支持部(66B)と、
前記植付作業機(7)の本体(7A)に支持され、前記左用支持部(66A)及び右用支持部(66B)を、前記左右の線引きマーカ(32A,32B)の上昇位置でそれぞれ係止する左用係合部(70A)及び右用係合部(70B)と、
前記左用係合部(70A)による前記左用支持部(66A)の係止、及び前記右用係合部(70B)による前記右用支持部(66B)の係止を選択的に解除するアクチュエータ(51)と、
前記植付作業機(7)を上昇させる前記昇降リンク(6)の回動に応じて、前記左用支持部(66A)及び前記右用支持部(66B)を、それぞれ前記左右の線引きマーカ(32A,32B)の上昇方向に回動させる作用部(67A,67B)と、を有し、
前記左用係合部(70A)及び前記右用係合部(70B)が前記左用支持部(66A)及び前記右用支持部(66B)に係合した状態では、前記左右それぞれの線引きマーカ(32A,32B)の下降を規制し、前記左用係合部(70A)及び前記右用係合部(70B)が前記左用支持部(66A)及び右用支持部(66B)から外れて前記規制が解除された状態では、前記左右それぞれの線引きマーカ(32A,32B)を前記植付作業機(7)の上昇動作に応じて、上昇動作させるように構成し、
前記マーカ昇降装置(43)は、前記左用支持部(66A)及び前記右用支持部(66B)の前記規制を検出する左右規制検出手段(60)と、
前記左用支持部(66A)の前記規制の前記解除を検出する左用解除検出手段(56)と、
前記右用支持部(66B)の前記規制の前記解除を検出する右用解除検出手段(57)と、をそれぞれ各別に調整し得るように配置し、
前記左用解除検出手段(56)又は前記右用解除検出手段(57)が前記解除を検出した後、前記左右規制検出手段(60)が前記左用支持部(66A)及び前記右用支持部(66B)の前記規制を検出するまで前記アクチュエータ(51)を動かす制御部(89)を有してなることを特徴とする。
【0013】
なお、上述カッコ内の符号は、図面と対照するためのものであるが、これにより特許請求の範囲に記載の構成に何等影響を及ぼすものではない。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る本発明によると、植付作業機を上昇させる昇降リンクの回動に応じて、左用支持部及び右用支持部それぞれを、左右の線引きマーカの上昇方向に回動させる作用部を有するので、昇降リンクの回動を動力源として、左右の線引きマーカは昇降される。マーカ昇降装置は植付作業機に配置されているので、昇降リンクから植付作業機を取り外す際、左右の線引きマーカとマーカ昇降装置との連結を外す必要がない。これにより、昇降リンクへの植付作業機の連結及び取り外し等の作業性が向上される。また、走行機体側の操作具と作業機側のマーカ昇降装置との連繋/解除を、低コスト、且つ小型な機構で構成することができ、走行機体に対して植付作業機を容易に付け替え可能とする技術を小型の移植機にも採用することができる。
また、昇降リンクの後端と左用支持部及び右用支持部との距離が小さくなり、作用部が小さくなる。このため、マーカ昇降装置自体が小型化されて他の部品に干渉しにくくなり、マーカ昇降装置の配置が容易になる。
【0016】
請求項
2に係る本発明によると、左右規制検出手段、左用解除検出手段及び右用解除検出手段がそれぞれ各別に調整し得るように配置されているので、作業者は、それぞれの取り付け位置を独立に調整することができる。左用解除検出手段又は右用解除検出手段が解除を検出した後、左右規制検出手段が左用支持部及び右用支持部の規制を検出するまでアクチュエータを動かすので、左右の線引きマーカが下降した後、左用係合部及び右用係合部は、左用支持部及び右用支持部に押し付けられる。これにより、左右の線引きマーカが上昇した際に、左用係合部及び右用係合部は素早く左用支持部及び右用支持部に係合し、左右の線引きマーカは素早く下降方向の動作を規制されて固定される。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面に沿って、本発明の実施の形態について説明する。乗用型田植機(移植機)1は、
図1及び
図2に示すように、前輪2及び後輪3に支持される走行機体5と、走行機体5の後方に昇降リンク6を介して昇降自在に連結される植付作業機7と、を備える。
【0019】
走行機体5の前部には、エンジンEが搭載されるエンジンルームSが設けられており、該エンジンルームSはボンネット9によって覆われている。ボンネット9の前方かつ左右中央、すなわち走行機体5の前端かつ左右中央には、上方に延びるセンタポール10が配置されている。ボンネット9の左右側方には、植付作業機7とは別に、予備の苗マットを搭載する補助苗台11が設置されている。ボンネット9の後方には、運転操作部12が配置されており、運転操作部12には、前方から順に、前輪2の操向を行うステアリングハンドル13と、座席15と、が配置されている。
【0020】
走行機体5の後部には、
図1及び
図3に示すように、植付PTO軸16が設けられており、植付PTO軸16は、走行機体5から植付作業機7に植付作業を行うための動力を伝達させる。また、走行機体5の後部において、植付PTO軸16より上方に、昇降リンク6と、昇降リンク6を回動させる油圧シリンダ17が回動可能に支持されている。
【0021】
昇降リンク6は、
図1及び
図7に示すように、走行機体5の後部に回動自在に連結する左トップリンク19A及び右トップリンク19Bと、左ロアリンク20A及び右ロアリンク20Bと、を有する。左トップリンク19A及び右トップリンク19Bは、それぞれ後方にかつ略平行に延びており、左ロアリンク20A及び右ロアリンク20Bも同様に、それぞれ後方にかつ略平行に延びている。左トップリンク19A及び右トップリンク19Bと左ロアリンク20A及び右ロアリンク20Bとの後端にはヒッチ部21が設けられている。ヒッチ部21のリンクブラケット37の上端は、左トップリンク19A及び右トップリンク19Bに挟まれて回動可能に支持されており、リンクブラケット37の下端は、左ロアリンク20A及び右ロアリンク20Bに挟まれて回動可能に支持される。
【0022】
リンクブラケット37の後面上部及び後面下部には、U字形状に形成されたプレートである上下のフック(不図示)が支持され、植付作業機7を着脱自在に支持している。
【0023】
油圧シリンダ17の一端は、走行機体5の後部において、左トップリンク19A及び右トップリンク19Bと走行機体5との連結位置よりも上方に、回動可能に支持されている。油圧シリンダ17の他端は、ヒッチ部21の下端に回動可能に連結されており、油圧シリンダ17が伸縮することによって、ヒッチ部21が昇降する。ヒッチ部21には植付作業機7が連結されており、植付作業機7は昇降リンク6及びヒッチ部21を介して走行機体5に対して昇降する。
【0024】
植付作業機7は、
図1及び
図5に示すように、ヒッチ部21に連結される連結部22と、連結部22に前後方向に延びる軸を回動軸として回動可能に支持されると共に、植付作業を行う作業部23と、を有する本体部(本体)7Aが設けられている。連結部22は、走行機体5の走行方向に対して、植付作業機7の前面かつ左右中央に配置され、連結部22の後方には、作業部23を構成する一部であり、前上方から後下方に傾く苗載台25が配置される。苗載台25の下端にはエプロン26が配置されており苗載台25を左右摺動可能に支持している。苗載台25に搭載された苗マットの苗は、徐々にエプロン26に送られていく。苗載台25及びエプロン26の下方にはプランタケース27が設けられている。プランタケース27は前後方向に延びた形状をしており、プランタケース27の後端はエプロン26よりも後方に位置する。そのプランタケース27の後端には左右方向に延びる軸を回転軸として回転自在にロータリケース29が支持されている。ロータリケース29の両端にはプランタアーム30が回転自在に支持されており、該プランタアーム30の先端には爪形状のプランタビーク31が取り付けられている。植付作業時、ロータリケース29及びプランタアーム30が植付PTO軸16からの動力によって回転し、プランタビーク31がエプロン26に送られた苗を受け取って、圃場にその苗を植え付ける。
【0025】
苗の植付走行中に次に植付を行う隣の列に走行基準線を引く左用線引きマーカ(線引きマーカ)32A及び右用線引きマーカ(線引きマーカ)32Bが、プランタケース27の前方の左右端それぞれに、回動自在に支持されている。左用線引きマーカ32A及び右用線引きマーカ32Bは、それぞれ第1の支柱部33、第2の支柱部35及び車輪部36を有する。第1の支柱部33は、回動自在に支持される端部から途中屈曲しながら上方に延び、第2の支柱部35は、第1の支柱部33の上端から外側に向かって延びる。第2の支柱部35の外側の端部に、車輪部36が回転自在に取り付けられている。使用の際には、作業者は、左用線引きマーカ32A及び右用線引きマーカ32Bをそれぞれ回動して下降させ、車輪部36を圃場に接地させる。乗用型田植機1は、植付走行しながら、左用線引きマーカ32A又は右用線引きマーカ32Bによって、次に植付けを行う列のための走行基準線を引く。作業者は、次の列を走行する際、その走行基準線とセンタポール10とを照らし合わせながら走行する。使用後、作業者は、左用線引きマーカ32A及び右用線引きマーカ32Bをそれぞれ回動して上昇させ、内側に格納する。
【0026】
連結部22は、
図5及び
図8に示すように、前後方向に貫通した四角い枠部39と、該枠部39の内側に、上下に並んで配置される上下の連結ピン40A,40Bと、を有する。枠部39の上面39A、左面39Bの上部及び右面39Cの上部は、枠部39の下面39D、左面39Bの下部及び右面39Cの下部よりも前方に突き出て延びている。さらに、延びた上面39Aの前端には、上方に向かって延びるカバー取付面42が形成されて設けられている。枠部39の下面39Dには、前後方向に延びる回動軸41が設けられている。作業部23は回動軸41に回動自在に支持されており、回動軸41により作業部23の圃場面の傾きに倣った左右ローリング動を許容する。上下の連結ピン40A,40Bは、左右方向に延びた円柱形状であり、連結ピン40A,40Bの左右端は、左面39B及び右面39Cに支持されている。上下の連結ピン40A,40Bが、ヒッチ部21の前記上下のフックに係合することによって、連結部22はヒッチ部21に連結される。
【0027】
連結部22の上部には、
図9に示すように、マーカ昇降装置43が配置されている。
図9は植付作業機7が下降している状態を示すが、マーカ昇降装置43については、連結部22がヒッチ部21に連結し、植付作業機7が上昇して圃場から離れた状態にて説明する。マーカ昇降装置43は、
図9及び
図12に示すように、枠部39の上面39A、左面39Bの上部及び右面39Cの上部に支持される装置下部45と、枠部39のカバー取付面42に支持される装置上部46と、から構成される。
【0028】
装置上部46は、
図8及び
図10に示すように、マーカ昇降装置43の外装を構成するカバー部(カバー)47を有しており、カバー部47は、前記枠部39の上部に設けたカバー取付面42に着脱自在に固定されるプレート50Aを有しており、該プレート50Aの前記カバー取付面42から斜め前上方を向いて延設された部位の裏面の外周において、下部を除いた上部及び左右部には、プレート50Aの裏面から垂直に延びる側壁部50Bが設けられている。これらプレート50A及び側壁部50Bによって、斜め後上方と後下方とが開放された空間が形成される。
【0029】
プレート50Aの上部は屈曲してマスト部材49として前上方に延長されており、該マスト部材49の上端部と前記苗載台25の裏面の左右端側との間にはスプリング(弾性部材)49Aが張設されており、苗載台25の左右摺動による植付作業機7の左右荷重変化を抑え、左右ローリング姿勢の急激な変化を抑制する。
【0030】
装置上部46の内側には、
図9、
図11及び
図12に示すように、モータ(アクチュエータ)51が取り付けられている。このモータ51のハーネス51Aと走行機体側から延設されるハーネス51Bがコネクタ51Cによって解除可能に連結されており、モータ51への電源供給と制御信号の送信が走行機体5側から行われる。プレート50Aの裏面の下部には、上部が円弧の扇状である扇型ギア52がプレート50Aに対して平行な方向に回動可能に取り付けられている。前記扇型ギア52の円弧部分にはギア用の溝が形成され、扇型ギア52はモータ51に取り付けられたモータ側ギア53と噛み合っている。モータ51の動力はモータ側ギア53を介して扇型ギア52に伝達され、扇型ギア52は扇型ギア52の下部に位置する前記円弧の曲率中心55を回動中心として回動する。
【0031】
扇型ギア52の回動軌跡上には複数のリミットスイッチが設けられている。左側の回動軌跡上にはマーカ左振出スイッチ(左用解除検出手段)56が配置され、このマーカ左振出スイッチ56は扇型ギア52の左端部が触れるとONになる。同様に、右側の回動軌跡上にはマーカ右振出スイッチ(右用解除検出手段)57が配置される。扇型ギア52において、苗載台25を向く面の左下部には別個で検知用板59が取り付けられており、検知用板59の回動軌跡上にもマーカ中立スイッチ(左右規制検出手段)60が設けられている。マーカ中立スイッチ60は、扇型ギア52が走行方向に対して左右対称の姿勢になった際に検知用板59に接触する位置に配置される。上述のように、マーカ左振出スイッチ56、マーカ右振出スイッチ57及びマーカ中立スイッチ60はそれぞれ異なる位置に配置されると共に、プレート50Aに対する取付角度を調節することで検出位置を各別調整し得るように配置されている。
【0032】
扇型ギア52の下端、すなわち曲率中心55を挟んで円弧と対向する側は前記側壁部50Bの下端よりも斜め後下方に突出しており、その先端部分には、下向きに開く逆U字形状の逆U字プレート61が取り付けられている。逆U字プレート61は、扇型ギア52の下端に取り付けられる天秤アーム部62と、この天秤アーム部62の左右端から、斜め後下方に延びる左の側壁部63A及び右の側壁部63Bとで逆U字状を形成している。左の側壁部63A及び右の側壁部63Bの先端には、天秤アーム部62に向かって切り欠かれた切欠き部65A,65Bが設けられている。この切欠き部65A,65Bは左右方向に貫通するように形成されている。モータ51により
扇型ギア52が曲率中心55を回動中心として回動すると、逆U字プレート61も曲率中心55を中心に一体的に回動する。
【0033】
装置下部45には、
図7、
図9及び
図12に示すように、連結部22を左右から挟むように、左右一対の左用支持部66A及び右用支持部66Bが配置されている。左用支持部66A及び右用支持部66Bの下端は、前記枠部39の左面39Bと右面39Cの上部を貫通して左右方向に延びる軸66Cに回動可能に取り付けられ、連結部22の左面39B及び右面39Cの上部の外側に支持されている。左トップリンク19A及び右トップリンク19Bの後端には、それぞれ斜め後上方に延びる左の支持アーム(作用部)67A及び右の支持アーム(作用部)67Bが設けられ、左の支持アーム67A及び右の支持アーム67Bは、左用支持部66A及び右用支持部66Bの当接部66D,66E(
図11参照)に当接する。左の支持アーム67A及び右の支持アーム67Bは、
図9に示す状態では当接部66D,66Eと離間しているが、植付作業機を上昇させるべく昇降リンク6が上動すると、図の反時計回りに回動して当接部66D,66Eと当接し、左用支持部66A及び右用支持部66Bを反時計回りである第1の方向に押圧支持し、左用支持部66A及び右用支持部66Bが第2の方向に回動動作することを規制する。第2の方向は、左側面視において、第1の方向とは反対の時計回りであり、左用支持部66A及び右用支持部66Bは、該時計回りの回動動作が規制される。
【0034】
連結部22は、
図12に示すように、その上面39Aを溶接で接続しており、さらにコの字形状に形成された左用ブラケット69A及び右用ブラケット69Bを溶接で取付けることで上面39Aに並設している。左用ブラケット69A及び右用ブラケット69Bには、装置下部45の構成部品の一部である左用ロックピン(左用係合部)70A及び右用ロックピン(右用係合部)70Bが摺動可能に支持されている。左用ブラケット69Aは、上面39Aに垂直かつ左右方向に広がる溝部71と、溝部71の左右端部から前方に延びる内側ガイド部72及び外側ガイド部73と、を有する。外側ガイド部73は、内側ガイド部72よりも走行機体5の左右中央から遠くに配置される。内側ガイド部72及び外側ガイド部73は、切欠き部65Aが設けられた左の側壁部63Aの先端を左右から挟むように配置されている。右用ブラケット69Bも同様な構造で構成される。
【0035】
左用ブラケット69Aにおいて、内側ガイド部72及び外側ガイド部73には、通し孔75,76が設けられている。通し孔75,76は、切欠き部65Aとあわせて左右方向に貫通した形状に形成されており、これら通し孔75、切欠き部65A及び通し孔76に、前記左用ロックピン70Aが摺動可能に挿入されている。また、左用ブラケット69Aの外側に位置する前記左用支持部66Aにも、通し孔である固定孔77が形成されており、左用ロックピン70Aは、固定孔77に係脱可能に係合されている。左用ロックピン70Aは、外側ガイド部73との間に設けられたスプリング(弾性部材)79によって、固定孔77への係合方向である外側方向に付勢されている。左用ロックピン70Aの内側の端部80は、内側ガイド部72よりも走行機体5の左右中央側に出ており、Cピン(ストッパ)81が取り付けられている。このCピン81が内側ガイド部72に当接して、左用ロックピン70Aは抜け止めされている。また、左用ロックピン70Aにおいて、左の側壁部63Aと内側ガイド部72との間にも、Cピン(引っ掛け部)82が形成されている。右用ブラケット69Bにも、同様に右用ロックピン70Bが配置されている。
【0036】
左用支持部66A及び右用支持部66Bの後端には、
図5、
図6及び
図9に示すように、左右それぞれにワイヤ83A,83Bが接続されている。ワイヤ83A,83Bは、それぞれインナーワイヤ85A,85B及びアウターワイヤ86A,86Bから構成される。インナーワイヤ85A,85Bの一端は左用支持部66A及び右用支持部66Bの後端に接続されている。左右のワイヤ83A,83Bは、
図6に示すように、左用支持部66A及び右用支持部66Bの後端から下方に延び、回動軸41の高さ付近まで降りたら左右それぞれ外側に向かって延びる。左右のインナーワイヤ85A,85Bの他端は、それぞれ左用線引きマーカ32A及び右用線引きマーカ32Bの第1の支柱部33の基部に接続されている。また、左用線引きマーカ32A及び右用線引きマーカ32Bはスプリング(弾性部材)87によって下降方向に付勢されており、左用支持部66A、及び右用支持部66Bに前記左用ロックピン70A、及び右用ロックピン70Bが係合している状態ではワイヤ83A,83Bに引っ張られ、上昇して格納された位置で係止されるが、係合が外れた状態ではスプリング87によって引かれた左用支持部66A、及び右用支持部66Bは前記当接部66D,66Eを介して前記左トップリンク19A及び右トップリンク19Bに設けた左の支持アーム67A及び右の支持アーム67Bに支えられ、植付作業機の昇降に応じて上下動するように構成されている。
【0037】
モータ51は走行機体5に設けられた制御部89(
図13参照)によって制御されており、制御部89は左用線引きマーカ32A及び右用線引きマーカ32Bの昇降状態及び操縦者の操作指示に基づいてモータ51を作動させる。制御部89の入力側に、
図13に示すように、前記マーカ左振出スイッチ(左用解除検出手段)56、マーカ右振出スイッチ(右用解除検出手段)57及びマーカ中立スイッチ(左右規制検出手段)60が接続されている。また、操縦者の操縦指令を検知する操作レバー右側検出スイッチ90及び操作レバー左側検出スイッチ91が制御部89の入力側に接続されている。操作レバー右側検出スイッチ90及び操作レバー左側検出スイッチ91は、
図3及び
図4に示すように、運転操作部12に設けられた操作レバー92の動きを検知するスイッチであり、操作レバー右側検出スイッチ90が操作レバー92の右側操作を検出すると、モータ51の駆動により扇型ギア52をマーカ右振出スイッチ57が検出する右振出位置まで回動させて、右用支持部66Bに対する右用ロックピン70Bの係合を解除して植付作業機7の昇降に応じた右用線引きマーカ32Bの上下動を許容する。同様に、操作レバー左側検出スイッチ91が操作レバー92の左側操作を検出すると、モータ51の駆動により扇型ギア52をマーカ左振出スイッチ56が検出する左振出位置まで回動させて、左用支持部66Aに対する左用ロックピン70Aの係合を解除して植付作業機の昇降に応じた左用線引きマーカ32Aの上下動を許容する。尚、マーカ左振出スイッチ56、またはマーカ右振出スイッチ57により左用支持部66A、または右用支持部66Bの支持が解除されたことを検出すると、所定時間後にはマーカ中立スイッチ60が検出するまで扇型ギア52を回動させて中立位置に戻すことにより、例えば左用線引きマーカ32Aを下降させている場合には、植付作業機7を上昇させると左用線引きマーカ32Aが上昇し、左用ロックピン70Aは素早く左用支持部66Aに係合し、左用線引きマーカ32Aは素早く下降方向の動作を規制されて固定される。また、このとき植付作業機7を上昇させないで操作レバー92で右用線引きマーカ32Bの下降操作を行うと、中立位置に戻った扇型ギア52を右振出位置まで回動させ、所定時間後には再び扇型ギア52を中立位置まで戻す。これにより、左用線引きマーカ32Aを下降させたまま右用線引きマーカ32Bを下降させ、左右の線引きマーカ32A,32Bが同時に使用可能となる。よって、前記所定時間はこのような一連のマーカ操作を円滑に行うことを可能とするため、ロックピン70A(70B)と支持部66A(66B)の係合を解除して線引きマーカ32A(32B)を下降させるのに足りる程度の時間であることが好ましく、比較的短時間に設定されている。
【0038】
制御部89の制御フローを図に沿って説明する。制御部89は、
図14(a)に示すように、まず操作レバー92によるマーカの右振出操作がされたか否かを判断する(S000)。操作レバー92が右側に操作された状態、即ち操作レバー右側検出スイッチ90がONの場合(S000:YES)、制御部89は、マーカ右振出スイッチ57がONであるかを確認する(S100)。マーカ右振出スイッチ57がOFFである場合(S100:OFF)、制御部89は、モードフラグを「右振出」に設定して(S101)、ステップS300に移行する。マーカ右振出スイッチ57がONである場合(S100:ON)ステップS300に移行する。
【0039】
ステップS000において前記操作レバー右側検出スイッチ90がOFFの場合(S000:NO)、操作レバー左側検出スイッチ91がONであるかを確認する(S110)。操作レバー左側検出スイッチ91がONとなりマーカの左振出操作を検出した場合(S110:YES)、制御部89は、マーカ左振出スイッチ56がONであるかを確認する(S200)。マーカ左振出スイッチ56がOFFである場合(S200:OFF)、制御部89は、モードフラグを「左振出」に設定して(S201)、ステップS300に移行する。ステップS110において、操作レバー左側検出スイッチ91がOFFの場合(S110:NO)、及びマーカ左振出スイッチ56がONである場合(S200:ON)、制御部89は何もせずステップS300に移行する。
【0040】
ステップS300では、モードフラグが「右振出」に設定されているかを確認する。モードフラグが「右振出」に設定されている場合(S300:YES)、制御部89は右振出処理を実行する(S301)。ステップS301の右振出処理では、
図14(b)に示すように、制御部89がまずマーカ右振出スイッチ57のON・OFFを確認する(S302)。マーカ右振出スイッチ57がOFFである場合(S302:OFF)、制御部89はモータ51を駆動させ、扇型ギア52を後上方から視て時計回りに回動させる(S304)。扇型ギア52が回動してマーカ右振出スイッチがONとなると(S302:ON)、制御部89はモードフラグを、所定時間後に扇型ギア52を右振出位置から中立位置に復帰させる「中立右復帰」に設定してモータ51の駆動を停止させると共に、タイマーを所定時間に設定してスタートさせて(S303)、右振出処理を終了する。
【0041】
ステップS300において、モードフラグが「右振出」に設定されていない場合(S300:NO)、モードフラグが「左振出」に設定されているかを確認する(S400)。モードフラグが「左振出」に設定されている場合(S400:YES)、制御部89は左振出処理を実行する(S401)。ステップS401の左振出処理では、
図14(c)に示すように、制御部89がまずマーカ左振出スイッチ56のON・OFFを確認する(S402)。マーカ左振出スイッチ56がOFFである場合(S402:OFF)、制御部89は、モータ51を駆動させ、扇型ギア52を後上方から視て反時計回りに回動させる(S404)。扇型ギア52が回動してマーカ左振出スイッチ56がONとなると(S402:ON)、制御部89はモードフラグを、所定時間後に扇型ギア52を左振出位置から中立位置に復帰させる「中立左復帰」に設定してモータ51の駆動を停止させると共に、タイマーを所定時間に設定してスタートさせて(S403)、左振出処理を終了する。
【0042】
ステップS400において、モードフラグが「左振出」に設定されていない場合(S400:NO)、モードフラグが「中立右復帰」に設定されているかを確認する(S500)。モードフラグが「中立右復帰」に設定されている場合(S500:YES)、制御部89は中立右復帰処理を実行する(S501)。ステップS501の中立右復帰処理では、
図14(d)に示すように、制御部89がまずタイマーの時間が0になっているかを確認する(S502)。タイマーの時間が0になっている場合(S502:=0)、制御部89はマーカ中立スイッチ60のON・OFFを確認する(S503)。マーカ中立スイッチ60がOFFである場合(S503:OFF)、制御部89は、モータ51を駆動させて、扇型ギア52を後上方から視て反時計回りに回動させる(S505)。扇型ギア52が中立位置に復帰してマーカ中立スイッチ60がONとなると(S503:ON)、制御部89は、モードフラグを「中立待機」に設定してモータ51の駆動を停止させ(S504)、中立右復帰処理を終了する。
【0043】
ステップS500において、モードフラグが「中立右復帰」に設定されていない場合(S500:NO)、モードフラグが「中立左復帰」に設定されているかを確認する(S600)。モードフラグが「中立左復帰」に設定されている場合(S600:YES)、制御部89は中立左復帰処理を実行する(S601)。ステップS601の中立左復帰処理では、
図14(e)に示すように、制御部89がまずタイマーの時間が0になっているかを確認する(S602)。タイマーの時間が0になっている場合(S602:=0)、制御部89はマーカ中立スイッチ60のON・OFFを確認する(S603)。マーカ中立スイッチ60がOFFである場合(S603:OFF)、制御部89はモータ51を駆動させて、扇型ギア52を後上方から視て時計回りに回動させる(S605)。扇型ギア52が中立位置に復帰してマーカ中立スイッチ60がONになると(S603:ON)、制御部89は、モードフラグを「中立待機」に設定してモータ51の駆動を停止させ(S604)、中立左復帰処理を終了する。
【0044】
本実施の形態は、以上のような構成からなるので、例えば左用線引きマーカ32A及び右用線引きマーカ32Bが格納された状態で植付作業機7が下降されている際に、右用線引きマーカ32Bを下降させたい場合には操作レバー92にて右振出の指示を行う。操作レバー92の操作によって操作レバー右側検出スイッチ90がONになり、制御部89は、操作レバー右側検出スイッチ90のONを検知してモータ51を作動させて扇型ギア52、及び逆U字プレート61を後上方から視て時計回りに回動させる(S000:YES、S100:OFF、S300:YES、S302:OFF)。逆U字プレート61の右の側壁部63Bが右用ロックピン70Bの引っ掛け部82に外側から当接し、右用ロックピン70Bを内側に押す。内側に押された右用ロックピン70Bは、右用支持部66Bの固定孔77から抜ける。右用支持部66Bは、ワイヤ83Bを介して重力及びスプリング87の付勢によって第2の方向に回動して、ワイヤ83Bが接続する後端部が下降する。ワイヤ83Bの引張力によって格納位置に維持されていた右用線引きマーカ32Bは、引張力を失い、重力及びスプリング87の付勢によって下降する。下降した右用線引きマーカ32Bは圃場に接地し、線引き可能な作業状態になる。
【0045】
マーカ右振出スイッチ57は、右用ロックピン70Bが右用支持部66Bの固定孔77から抜けた際に扇型ギア52の右端部が接触する位置に配置されている。このため、右用線引きマーカ32Bが接地すると共に、扇型ギア52はマーカ右振出スイッチ57に接触する。マーカ右振出スイッチ57がONになり扇型ギア52の回動が止まる(S302:ON)。モータ51は、一定時間停止する(S000:NO、S110:NO、S300:NO、S400:NO、S500:YES、S502:≠0)。その後、制御部89は、モータ51を逆回転させて、扇型ギア52を後上方から視て反時計回りに回動させる(S502:=0、S503:OFF)。扇型ギア52は元の位置に戻り、扇型ギア52に取り付けられた検知用板59がマーカ中立スイッチ60に接触する(S503:ON)。マーカ中立スイッチ60がONになり扇型ギア52の回動が止まる。扇型ギア52が元の位置に戻ったので、右の側壁部63Bが右用ロックピン70Bの引っ掛け部82から離れ、右用ロックピン70Bは右用支持部66Bに押し付けられる。この状態において、作業者が昇降リンク6によって植付作業機7を上昇させると、昇降リンク6とマーカ昇降装置43との相対角度が変化する。相対角度の変化によって、右の支持アーム67Bが右用支持部66Bの当接部66Eを前方に回動させ、右用支持部66Bは第1の方向に回動する。右用支持部66Bが第1の方向に回動していくと、ワイヤ83Bを介して右用線引きマーカ32Bが上昇方向に動き、格納される。右用支持部66Bが押し上げられ、横方向から視て、右用支持部66Bの固定孔77と右用ロックピン70Bとの位置が一致すると、右用ロックピン70Bが固定孔77に挿入される。このため、植付作業機7が上昇すると、右用支持部66Bは素早く係止され、右用線引きマーカ32Bも素早く係止される。
【0046】
右用ロックピン70Bが右用支持部66Bの固定孔77から抜けた状態で、作業者が植付作業機7を昇降させると、植付作業機7の昇降動作に対応して、右用線引きマーカ32Bも昇降動作を行う。
【0047】
左用線引きマーカ32A及び右用線引きマーカ32Bが格納された状態で植付作業機7が降ろされている際に、作業者が操作レバー92にて左振出の指示を行う。操作レバー92の操作によって操作レバー左側検出スイッチ91がONになり、制御部89は、操作レバー左側検出スイッチ91のONを検知してモータ51を作動させて扇型ギア52、及び逆U字プレートを後上方から視て反時計回りに回動させる(S000:NO、S110:YES、S200:OFF、S300:NO、S400:YES、S402:OFF)。これによって、左用ロックピン70Aが固定孔77から引き抜かれ、左用線引きマーカ32Aは圃場に接地し線引き可能な作業状態になる。
【0048】
マーカ左振出スイッチ56は、左用ロックピン70Aが左用支持部66Aの固定孔77から抜けた際に扇型ギア52の左端部が接触する位置に配置されている。このため、左用線引きマーカ32Aが接地すると共に、扇型ギア52は、マーカ左振出スイッチ56に接触する。マーカ左振出スイッチ56がONになり、扇型ギア52の回動が止まる(S402:ON)。モータ51は、一定時間停止する(S000:NO、S110:NO、S300:NO、S400:NO、S500:NO、S600:YES、S602:≠0)。その後、制御部89は、モータ51を逆回転させて、扇型ギア52を後上方から視て時計回りに回動させる(S602:=0、S603:OFF)。扇型ギア52は元の位置に戻り、扇型ギア52に取り付けられた検知用板59がマーカ中立スイッチ60に接触する(S603:ON)。マーカ中立スイッチ60がONになり、扇型ギア52の回動が止まる。左の側壁部63Aが左用ロックピン70Aの引っ掛け部82から離れ、左用ロックピン70Aは左用支持部66Aに押し付けられる。この状態において、作業者が昇降リンク6によって植付作業機7を上昇させると、左用線引きマーカ32Aが上昇方向に動いて格納されると共に、左用ロックピン70Aが左用支持部66Aの固定孔77に挿入される。このため、植付作業機7が上昇すると、左用支持部66Aは素早く固定され、左用線引きマーカ32Aも素早く固定される。
【0049】
右用線引きマーカ32Bと同様に、左用ロックピン70Aが左用支持部66Aの固定孔77から抜けた状態で、作業者が植付作業機7を昇降させると、植付作業機7の昇降動作に対応して、左用線引きマーカ32Aも昇降動作を行う。
【0050】
上述のように、左用線引きマーカ32A及び右用線引きマーカ32Bの上昇は、昇降リンク6の上方への回動を動力源とするので専用の動力源は不要である。また、マーカ昇降装置43は植付作業機7に配置されているので、昇降リンク6から植付作業機7を取り外す際、左用線引きマーカ32A及び右用線引きマーカ32Bとマーカ昇降装置43との機械的な連結を外す必要がなく、前記モータ51に電源、及び操作信号を供給するハーネス51A,51Bの連結をコネクタ51Cで解除するだけでよい。このため、昇降リンク6への植付作業機7の連結及び取り外し等の作業性が向上されると共に、マーカ動作の信頼性が向上し、走行機体5に対して植付作業機7を容易に付け替え可能とする技術を小型の移植機にも採用することができる。
【0051】
さらに、左用支持部66A及び右用支持部66B、並びに左用ロックピン70A及び右用ロックピン70Bを、前記マーカ昇降装置43の下端部に配置することにより、昇降リンク6の後端と左用支持部66A及び右用支持部66Bとの距離が小さくなり、昇降リンクの上動により左右の支持部66A,66Bを持ち上げて左右の線引きマーカ32A,32Bを引き上げる支持アーム67A,67Bが小さくなる。このため、マーカ昇降装置43自体が小型化されて他の部品に干渉しにくくなり、マーカ昇降装置43の配置が容易になる。
【0052】
そして、マーカ中立スイッチ60、マーカ左振出スイッチ56及びマーカ右振出スイッチ57がそれぞれ各別に調整し得るように配置されているので、作業者は、それぞれの取り付け位置を独立に調整することができる。マーカ左振出スイッチ56又はマーカ右振出スイッチ57が解除を検出した後、マーカ中立スイッチ60が扇型ギア52及び逆U字プレート61の中立位置を検出するまでモータ51を動かすので、左右の線引きマーカ32A,32Bが下降した後、左用ロックピン70A及び右用ロックピン70Bは、左用支持部66A及び右用支持部66Bに押し付けられる。これにより、左右の線引きマーカ32A,32Bが上昇した際に、左用ロックピン70A及び右用ロックピン70Bは素早く左用支持部66A及び右用支持部66Bに係合し、左右の線引きマーカ32A,32Bは素早く下降方向の動作を規制されて固定される。
【0053】
左用ロックピン70A及び右用ロックピン70Bの位置と左用ロックピン70A及び右用ロックピン70Bに取り付けられる引っ掛け部82の位置とは、組立及び加工精度のために機体ごとにずれる。このため、左用ロックピン70A及び右用ロックピン70Bが左用支持部66A及び右用支持部66Bから抜ける扇型ギア52の回動角度も機体ごとにずれる。また、左用ロックピン70A及び右用ロックピン70Bが左用支持部66A及び右用支持部66Bに係合される際の扇型ギア52の回動角度も同様にずれる。マーカ左振出スイッチ56、マーカ右振出スイッチ57及びマーカ中立スイッチ60はそれぞれ各別に調整可能に配置されているので、作業者はそれぞれを独立して位置調整を行うことができる。
【0054】
左用支持部66A及び右用支持部66Bが連結部22の上部に配置されているので、左用支持部66A及び右用支持部66Bが他の位置に配置される場合と比べ、左用支持部66A及び右用支持部66Bと昇降リンク6の後端との距離が小さくなる。すなわち、左の支持アーム67A及び右の支持アーム67Bは、他の配置の場合と比べて、小さくなり、マーカ昇降装置43が他の部品に干渉しにくくなり、マーカ昇降装置43の配置が容易になる。
【0055】
マーカ昇降装置43が連結部22の上方に配置されているので、植付作業機7の左右重量のバランスが崩れることなく保たれる。このため、マーカ昇降装置43の設置は、作業部23の左右水平制御の妨げにならない。
【0056】
カバー部47はモータ51と共に着脱自在であるので、作業者は、モータ51を容易に取り外すことができ、メンテナンス性が向上される。左用ロックピン70A及び右用ロックピン70Bは、それぞれスプリング79によって係合方向に付勢されて左用支持部66A及び右用支持部66Bに係合されている。このため、作業者がモータ51を取り外しても、左用線引きマーカ32A及び右用線引きマーカ32Bは下降せずに、格納された位置に維持され、さらにメンテナンス性が向上される。