(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
本実施形態は、磁性粒子(試料)の洗浄濃縮工程において、濃縮効率の低下(溶媒中の磁性粒子数の減少)の抑制と攪拌時間の短縮化の両方を図るべく考え出されたものであり、その特徴は、一例として、磁性粒子の洗浄動作の回数(1〜n回,nは任意の正整数)が進むにつれて、洗浄工程の一部である攪拌工程のときの反応容器に収容される洗浄液の液面の傾斜角度を段階的に小さくなるように攪拌装置の攪拌動作を制御することである。以下、当該基本的技術的思想を基にした各実施形態について詳細に説明する。
【0013】
(1)第1の実施形態
第1の実施形態においては、攪拌工程において、反応容器の傾斜角度を一定(θ)に固定し、各洗浄動作における洗浄液の減量(洗浄液の液量V=V1、V2、…、Vi、…、Vn;V1>V2>…>Vi>…Vn)に対応して、攪拌回転数を減らす(回転数ω=ω1、ω2、…、ωi、…、ωn;ω1>ω2>…>ωi>…ωn)ように攪拌装置を制御している。以下、自動分析装置の構成例から順を追って説明する。
【0014】
<自動分析装置の構成例>
図1は、本実施形態(全実施形態で共通)に係る自動分析装置1の概略構成例を示す図である。自動分析装置1は、分析動作を行うための分析部101と、装置全体の動作を制御する制御部102と、ユーザが装置に情報を入力する際に用いる入力部103と、ユーザに情報を提示する表示部104と、を備える。なお、入力部103と表示部104とは同一のものであっても良く、その一例としてタッチパネル式のモニタが挙げられる。
【0015】
分析部101は、試料(検体)が含まれる試料容器111を試料分取位置(
図1で試料容器111が示されている箇所)まで搬送する搬送機構112と、分注チップを搭載した分注チップ搭載ラック115と、反応容器116を搭載した反応容器搭載ラック117と、反応容器116および分注チップを分注チップ搭載ラック115および反応容器搭載ラック117からそれぞれ取り出し、搬送する搬送機構118と、試料を試料容器111から採取し、反応容器116に吐出する試料分注機構113と、試料分注機構113用のディスポーザブルな分注チップを試料分注機構113に装脱着する分注チップ装脱着部114と、反応容器116内の液体を一定温度で保持可能であり開口部119を複数個備えた反応容器ディスク120と、測定試薬を含む試薬容器121を保持するための試薬ディスク122と、溶媒(試薬)を試薬容器121から採取し、反応容器ディスク120に載置された反応容器116に吐出する試薬分注機構123と、反応容器116内に収容された磁性粒子を分離する分離装置124と、反応容器116内に収容された液体を非接触で撹拌する攪拌機構127と、反応容器ディスク120と分離装置124と攪拌機構127との間で反応容器116を搬送する搬送機構125と、溶液中の成分の検出を行う検出部131と、反応容器116内の液体を採取し、検出部131の所定の場所に吐出する検出部用分注機構132と、を備える。
【0016】
<分析工程の概要>
以下、自動分析装置の分析工程の概要について、再度
図1を参照しながら説明する。
分析部101において、搬送機構118は、反応液の分析の前に、反応容器搭載ラック117から反応容器116を取り出し、当該反応容器116を反応容器ディスク120上の開口部119に設置する。また、搬送機構118は、分注チップ搭載ラック115から分注チップを取り出し、分注チップ装着部114に載置する。
【0017】
試料分注機構113は、試料の分取の前に分注チップ装脱着部114にアクセスし、その先端に分注チップを取り付ける。試料分注機構113は、分注チップを介して試料容器111から試料を吸引し、反応容器ディスク120上の反応容器116に吐出する。試料分注機構113は、一つの試料容器111からの試料分注が終了すると、分注チップを分注チップ装脱着部114に廃棄する。
【0018】
試薬分注機構123は、試薬ディスク122上の試薬容器121から、溶媒(試薬)を吸引し、上記反応容器116に吐出する。搬送機構125は、試料および洗浄液または溶媒を収容する反応容器116を攪拌機構127まで搬送する。攪拌機構127は、反応容器116に収容された試料および洗浄液または溶媒を攪拌する。攪拌後、搬送機構125は、攪拌機構127から反応容器116を取り出し、分離装置124に載置する。分離装置124は、例えば、磁石を用いて、反応容器116に含まれる磁性粒子を洗浄液や溶媒から分離する。この攪拌動作と分離動作は、所定回数繰り返される。
【0019】
以上のような洗浄および溶液調製工程により反応容器内の磁性粒子が洗浄濃縮される。洗浄濃縮の最中または終了後に必要に応じて、搬送機構125は、反応容器116を反応容器ディスク120上の開口部119に再び設置する。反応容器ディスク120は、例えば、インキュベーターとして機能(例えば、温調機能)し、開口部119に設置された反応容器116を一定時間インキュベートする。検出部用分注機構132は、反応容器116中の溶液を吸引し、検出部131に搬送する。
【0020】
<攪拌装置の構成例>
図2は、本開示の第1の実施形態に係る攪拌機構(攪拌装置)127の構成例を示す図である。攪拌機構127は、自転と公転とを組み合わせた攪拌を行い、磁性粒子溶液201を収容している反応容器116を保持することができる反応容器保持部203と、モータ等の回転駆動発生部204と、を備える。公転軸209に対する自転軸210の傾き、すなわち反応容器116の傾きは角度θになるように構成されている。なお、攪拌機構127では、公転と自転の回転数が同じで、回転方向が逆方向となる。
【0021】
反応容器116中の溶液を十分に攪拌するためには、攪拌機構127での攪拌時に、反応容器116の底面が露出する程度に溶液の液面を傾けている必要がある。ただし、反応容器116の底面が全て露出する必要はなく、底面のR部分の少なくとも一部が露出する程度でも良い。このように反応容器116の底面が露出する程度に液面を傾けるのは、反応容器116内の溶液の移動量を多くし、溶液を十分に攪拌するためである。
【0022】
<磁性粒子洗浄濃縮工程の内容>
図3は、本実施形態による磁性粒子洗浄濃縮工程の手順を説明するためのフローチャートである。磁性粒子洗浄濃縮は、磁性粒子の洗浄および溶液の調製の工程からなる。磁性粒子の洗浄は複数回(n回)行い、洗浄回数が増加するに従い、吐出する洗浄液量を減少させる。その際に
図3に示すように攪拌装置における回転数も減少させる。すなわち、洗浄回数を1回、2回…、i回、…、n回と増加させる毎に、洗浄液量をV1>V2>…>Vi>…>Vnと減少させた場合に、回転数をω1>ω2>…>ωi>…>ωnと減少させる。ステップ301から305までが磁性粒子の洗浄工程であり、ステップ306から309までが溶液の調製工程である。以下、
図3の各ステップについて説明する。
【0023】
(i)ステップ301
制御部102は、試薬分注機構123を動作させて、試薬ディスク122上の試薬容器121から洗浄液(液量Vi)を採取し、分離装置124に載置された反応容器116に採取した洗浄液(液量Vi)を注入する。そして、制御部102は、搬送機構125を動作させ、反応容器116を分離装置124から攪拌機構(攪拌装置)127に移動させる。
【0024】
(ii)ステップ302
制御部102は、攪拌機構127を動作させ、回転速度ωiで反応容器116を回転させて、反応容器116に含まれる磁性粒子および洗浄液を攪拌する。このとき、
図2に示されるように、反応容器116と回転軸とのなす角度はθに設定されている(自転および公転の角度がθとなっている)。
【0025】
(iii)ステップ303
攪拌が終了した後、制御部102は、搬送機構125を動作させ、反応容器116を分離装置124まで移動させる。そして、制御部102は、分離装置124を動作させ、磁性粒子を洗浄液から分離させる(分離装置124の磁石で磁性粒子を反応容器116の壁面に捕捉する)。
【0026】
(iv)ステップ304
制御部102は、試薬分注機構123からノズル304(
図4B参照)を引き出し、使用済の洗浄液を回収する。
【0027】
(v)ステップ305
制御部102は、例えば、予め決められた回数(n回)の洗浄工程が完了したか判断する。n回の洗浄工程が実行されている場合(ステップ305でYesの場合)、処理はステップ306に移行する。実行された洗浄工程の回数がn回に満たない場合(ステップ305でNoの場合)、処理はステップ301に移行する。
【0028】
(vi)ステップ306
制御部102は、試薬分注機構123を動作させて、試薬ディスク122上の試薬容器121から所定量の溶媒を採取し、それを分離装置124に載置されている反応容器116に注入する。そして、制御部102は、搬送機構125を動作させ、反応容器116を分離装置124から攪拌機構(攪拌装置)127まで移動させる。
【0029】
(vii)ステップ307
制御部102は、攪拌機構127を動作させ、反応容器116に含まれる磁性粒子(洗浄後)および注入した溶媒を攪拌する。攪拌後、制御部102は、搬送機構125を動作させ、反応容器116を分離装置124まで移動させる。
【0030】
(viii)ステップ308
制御部102は、分離装置124を動作させ、磁性粒子を溶液から分離させる(分離装置124の磁石で磁性粒子を反応容器116の壁面に捕捉する)。
【0031】
(ix)ステップ309
制御部102は、試薬分注機構123からノズル304(
図5F参照)を引き出し、溶液を回収し、反応容器ディスク120に載置されている反応容器116に回収した溶液を吐出する。制御部102は、検出部用分注機構132を動作させ、反応容器116から溶液を取り出し、検出部131に注入する。
【0032】
<磁性粒子の洗浄および溶液の調製の詳細>
図4および5は、磁性粒子の洗浄および溶液の調製の詳細を、図解説明するための図である。
【0033】
(i)磁性粒子の洗浄の詳細
図4は、磁性粒子洗浄工程の詳細を説明するための図である。
初期状態では、磁石に捕捉された磁性粒子302が磁石301の磁場により、反応容器116の壁面へ捕捉されている(
図4A参照)。この磁石301は攪拌機構127に搭載されている。
【0034】
次に、洗浄液401が反応容器116内にノズル304により吐出される。この時の洗浄液401の体積をVとする(
図4B参照)。洗浄液401を吐出した後、攪拌機構(攪拌装置)127により洗浄液401と磁石に捕捉された磁性粒子302が回転数ωで攪拌される(
図4C)。このときの反応容器116の傾きは角度
qに設定されている。攪拌後、磁性粒子洗浄液402となる(
図4D)。
【0035】
続いて、磁石301により磁性粒子洗浄液402中の磁性粒子を反応容器壁面へ捕捉することにより、洗浄液401から磁性粒子302を分離する(
図4E)。最後に、ノズル304を洗浄液401へ挿入して、ノズル304から洗浄液401を回収する。すなわち、反応容器116中は洗浄液により洗浄された磁石に捕捉された磁性粒子302が分離された状態となっている(
図4F)。
【0036】
この洗浄工程は、複数回、すなわちn回(nは任意の数であり、例えば、磁性体の種類に応じて予め設定することができる。)行われる。2回目の磁性粒子洗浄工程では
図4Bにおいて吐出する洗浄液401の体積V2が1回目の洗浄工程の時よりも低減する。i回目の磁性粒子洗浄工程では、
図4Bにおいて吐出する洗浄液401の体積Viがi−1回目よりも低減する。すなわち、V1>V2>…>Vi>…>Vn−1>Vnである。この時、
図4Cにおける攪拌の回転数ωnをωn−1回目よりも低減させる。すなわち、ω1>ω2>…>ωi…>ωn−1>ωnとする。
【0037】
尚、本実施形態では磁性粒子302を使用したが、試料中の目的物質を捕捉する機能を有する磁性体であればよい。また、攪拌の回転数ωiは、攪拌により洗浄液401が傾く際に、洗浄液401が反応容器116から溢れ出ず、かつ磁性粒子が十分に洗浄液401中で洗浄される、例えば反応容器116の底面が露出する程度の範囲とする。
【0038】
(ii)溶液調製の詳細
図5は、溶液調製工程の詳細を説明するための図である。
図5は、
図4の磁性粒子の洗浄工程をn回行った後、すなわち、
図4Bで吐出する洗浄液401の液量がVnへ減った状態で、
図4Cから
図4Fの工程を行った後の、溶液の調製の詳細を示している。このように液量がVnと低減しているため、初期状態(
図5A)における磁性粒子302は反応容器116の低い位置で捕捉されている。
【0039】
磁石により捕捉された磁性粒子302が付着している初期状態の反応容器116中に対して(
図5A)、溶媒303がノズル304により吐出される(
図5B)。続いて、攪拌装置により溶媒303と磁石により捕捉された磁性粒子302が攪拌され(
図5C)、磁性粒子溶液201となる(
図5D)。その後、磁石301により磁性粒子溶液201中の磁性粒子を反応容器壁面へ捕捉することにより、目的物質が抽出された溶媒、すなわち溶液305を磁性粒子から分離する(
図5E)。最後に、溶液305へノズル304を挿入して、ノズル304から溶液305を回収する(
図5F)。そして、回収された溶液は、検出部131に搬送される。
【0040】
<攪拌前、攪拌時、および攪拌後の液面の高さについて>
図6は、
図4で説明した磁性粒子の洗浄における、i回目の洗浄工程の際(すなわち、洗浄液401の体積がViに低減して、かつ回転数ωも低減させてωiとした際)に、攪拌前(
図6A)、攪拌時(
図6B)および攪拌後(
図6C)の液面高さおよび磁性粒子の状態を示す図である。ここでは、磁性粒子が反応容器の壁面に付着しやすい反応容器、洗浄液、および磁性粒子の表面状態の場合、例えば、洗浄液に対して粒子および反応容器壁面の極性が異なり、洗浄液の主が親水性、磁性粒子および反応容器壁面の主が疎水性、あるいは洗浄液の主が疎水性、磁性粒子および反応容器壁面の主が親水性の場合の磁性粒子の状態が示されている。この「洗浄液の主が親水性、磁性粒子および反応容器壁面の主が疎水性」とは、一番多く割合を占めている洗浄液の成分が親水性、一番多く割合を占めている磁性粒子および反応容器壁面の成分が疎水性であり、例えば洗浄液に疎水性、磁性粒子および反応容器壁面に親水性の成分が混在している状態を意味する。また、上述の「洗浄液の主が疎水性、磁性粒子および反応容器壁面の主が親水性」とは、一番多く割合を占めている洗浄液の成分が疎水性、磁性粒子および反応容器壁面の成分が親水性であり、例えば洗浄液に親水性、磁性粒子および反応容器壁面に疎水性が混在している状態を意味する。なお、
図6Aは
図4Bの、
図6Bは
図4Cの、
図6Cは
図4Dの液面高さおよび磁性粒子の状態をそれぞれ示す図である。
【0041】
図6Aに示すように、攪拌前の液面高さをLsとする。また、
図6Bの左図に示すように、回転数をω1とした場合、すなわち液量低減に伴い回転数を低減させなかった場合には、反応容器116の底面に対する液面の傾斜角度はφ1、液面高さはL1となる。一方、
図6Bの右図に示すように、回転数をωiとした場合、すなわち液量低減に伴い回転数を低減させた場合には、傾斜角度はφ1よりも小さいφiとなり、さらに液面高さ(回転時に壁面に接している液の最高位値の高さ)はL1よりも低いLiとなる。すなわち、回転数をω1>ωiとした場合、液面高さはL1>Liとなる。続いて、
図6Cに示すように攪拌後には、攪拌前の液面高さ、すなわちLsとなる。
図6Cの左図のように、回転数をω1とした場合、L1からLsの間の位置の反応容器壁面に、壁面に残存する磁性粒子501が付着する。
【0042】
一方、
図6Cの右図に示すように、回転数をωiとした場合、すなわち液量低減に伴い回転数を低減させた場合には、LiからLsの間の位置の反応容器壁面に、壁面に残存する磁性粒子501が付着する。回転数をωiとした場合は、回転数をω1とした場合よりも、液面高さがL1からLiへ低くなっているため、壁面に残存する磁性粒子501の付着面積は低減する。
【0043】
このように、磁性粒子が反応容器壁面に残存する原因は、攪拌時に作用する遠心力により磁性粒子が反応容器壁面へ押し付けられた後に、磁性粒子と反応容器壁面との間に相互作用(分子間引力)が働くためであると考えられる。
【0044】
一方で、洗浄を1回、2回、…、i回、…、n−1回、n回と回数を重ねる度に、洗浄液の体積をV1>V2>…>Vi>…>Vn−1>Vnと減少させる粒子洗浄濃縮では、洗浄回数を重ねる毎に磁性粒子洗浄液の磁性粒子濃度が高くなる。このため、攪拌の回転数ω1を一定とした場合、反応容器壁面に残存する磁性粒子501の密度は高くなる。すなわち、攪拌の回転数ω1が一定では、洗浄回数が増すに従い、反応容器壁面へ残存する磁性粒子501の密度は高くなる。
【0045】
本実施形態では、濃縮効率低下を抑制する、すなわち反応容器壁面に残存する磁性粒子501を減少させるため、(1)反応容器116の底面に対する液面の傾斜角度θiを小さくすることにより、攪拌時の液面高さ、すなわちLiを低くして攪拌後に反応容器壁面に残存する磁性粒子501の残存面積を低減する、(2)反応容器壁面に残存する磁性粒子501の密度を低減する、ことが必要であると考え、粒子洗浄攪拌の回転数ωに関して、洗浄回数を重ねる毎に、ω1>ω2>…>ωi…>ωn−1>ωnと減少させる。回転数を減少させることにより、(i)回転時の反応容器116の底面に対する液面の傾斜角度φiが低減して液面高さLiが低くなり、反応容器壁面に残存する磁性粒子501の面積が低減する、(ii)回転時の遠心力が低減し、反応容器壁面に残存する磁性粒子501の密度が低減する、という現象が起きる。これらにより、反応容器壁面に残存する磁性粒子501の数が低減し、濃縮効率の低減が抑制される。ただし、磁性粒子が反応容器壁面に付着しにくい反応容器、洗浄液、および磁性粒子の表面状態の場合(例えば、洗浄液と粒子および反応容器壁面の極性が同じ場合であり、全て主が親水性または全て主が疎水性の場合)、
図6Cに示すように、攪拌後に攪拌時の液面高さに磁性粒子501が反応容器壁面に残存することはないため、洗浄液体積の減少に伴い、回転数を減少させる必要はない。すなわち、磁性粒子が反応容器壁面に付着しにくい反応容器、洗浄液、および磁性粒子の表面状態の場合には、攪拌時間の増加を抑制される。
【0046】
<攪拌時の液面の解析結果>
図7は、洗浄液の体積を減少させると共に、回転数を減少させた場合の攪拌時の液面の解析結果を示す図である。前述の通り、洗浄液を十分に攪拌するためには、攪拌時に反応容器116の底面が露出する程度に洗浄液の液面を傾けている必要がある。
図7の上段に示すとおり、液量を160μL、80μL、40μLと減少させ、回転数ωを一定値2600rpmに設定した場合、反応容器底面が露出する程度に洗浄液の液面が傾いており、それぞれの液量における液面高さはL2600、液面の傾斜角度φは78°である。
【0047】
一方、
図7の下段に示すとおり、液量減少とともに、回転数ωを2000rpm、1800rpmと減少させた場合、反応容器底面が露出する程度に洗浄液の液面が傾いており、液面の傾斜角度φは78°から76°、72°とそれぞれ減少している。その結果、それぞれの液面高さL2000およびL1800は、それぞれのL2600よりも減少する。すなわち、反応容器壁面に残存する磁性粒子501を考慮して、液量減少に伴い回転数を低減させても、十分に攪拌しつつ、液面の傾斜角度φを低減し、液面高さを低減させることができる。
【0048】
(2)第2の実施形態
第2の実施形態においては、攪拌工程において、反応容器の攪拌回転数ωを一定に固定し、各洗浄動作における洗浄液の減量(洗浄液の液量V=V1、V2、…、Vi、…、Vn;V1>V2>…>Vi>…Vn)に対応して、攪拌時の反応容器の傾斜角度を大きくする(傾斜角度θ=θ1、θ2、…、θi、…、θn;θ1<θ2<…<θi<…θn)ように攪拌装置を制御している。自動分析装置の構成例は第1の実施形態と同様であるため、磁性粒子の洗浄濃縮処理から説明を始めることとする。
【0049】
<磁性粒子洗浄濃縮処理>
図8は、本開示の第2の実施形態による磁性粒子洗浄濃縮処理を説明するためのフローチャートである。
図8は、
図3と同じように、磁性粒子洗浄濃縮は、磁性粒子の洗浄、および溶液の調製から成り、洗浄は複数回(n回)行う。第2の実施形態では、
図8に示すように、洗浄回数が増加するに従い、吐出する洗浄液量Vを減少させるとともに、反応容器116の傾斜角度θを増加させる。すなわち、洗浄回数を1回、2回、…、i回、…、n−1回、n回と増加させる毎に、洗浄液量をV1>V2>…>Vi…>Vn−1>Vnと減少させた場合に、反応容器116の傾斜角度をθ1<θ2<…<θi<…θn−1<θnと増加させる。なお、ステップ801から805までが磁性粒子の洗浄工程であり、ステップ806から809までが溶液の調製工程である。
図8に示す、磁性粒子の洗浄および溶液の調製の詳細は、それぞれ
図4および
図5と同様になる。また、洗浄液量をV1>V2>…>Vi…>Vn−1>Vnと減少させた場合に、反応容器116の傾斜角度をθ1<θ2<…<θi<…θn-1<θnと増加させるために、例えば、反応容器116の傾斜角度の異なる攪拌機を自動分析装置内に複数個備える。以下、
図8の各ステップについて説明する。
【0050】
(i)ステップ801
制御部102は、試薬分注機構123を動作させて、試薬ディスク122上の試薬容器121から洗浄液(液量Vi)を採取し、分離装置124に載置された反応容器116に採取した洗浄液(液量Vi)を注入する。そして、制御部102は、搬送機構125を動作させ、反応容器116を分離装置124から攪拌機構(攪拌装置)127に移動させる。なお、洗浄液量は、洗浄回数が増加する度に減少させる(V1>V2>…>Vi…>Vn−1>Vn)。
【0051】
(ii)ステップ802
制御部102は、攪拌機構127を動作させ、回転速度ω(各洗浄工程で同一の回転速度で実施)で反応容器116を回転させて、反応容器116に含まれる磁性粒子および洗浄液を攪拌する。このとき、反応容器116と回転軸とのなす角度はθiに設定されている(自転および公転の角度がθiとなっている)。つまり、洗浄液の液量Vi=V1のときθi=θ1(i=1のとき、V1およびθ1で磁性粒子を攪拌洗浄する)、洗浄液の液量Vi=V2のときθi=θ2(i=2のとき、V2およびθ2で磁性粒子を攪拌洗浄する)、…洗浄液の液量Vi=Vnのときθi=θn(i=nのとき、Vnおよびθnで磁性粒子を攪拌洗浄する)。なお、傾斜角度は、洗浄回数が増加する度に増加させる(θ1<θ2<…<θi…<θn−1<θn)。
【0052】
(iii)ステップ803
攪拌が終了した後、制御部102は、搬送機構125を動作させ、反応容器116を分離装置124まで移動させる。そして、制御部102は、分離装置124を動作させ、磁性粒子を洗浄液から分離させる(分離装置124の磁石で磁性粒子を反応容器116の壁面に捕捉する)。
【0053】
(iv)ステップ804
制御部102は、試薬分注機構123からノズル304(
図4B参照)から、使用済の洗浄液を回収する。
【0054】
(v)ステップ805
制御部102は、例えば、予め決められた回数(n回)の洗浄工程が完了したか判断する。n回の洗浄工程が実行されている場合(ステップ805でYesの場合)、処理はステップ806に移行する。実行された洗浄工程の回数がn回に満たない場合(ステップ805でNoの場合)、処理はステップ801に移行する。
【0055】
(vi)ステップ806
制御部102は、試薬分注機構123を動作させて、試薬ディスク122上の試薬容器121から所定量の溶媒を採取し、それを分離装置124に載置されている反応容器116に注入する。そして、制御部102は、搬送機構125を動作させ、反応容器116を分離装置124から攪拌機構(攪拌装置)127まで移動させる。
【0056】
(vii)ステップ807
制御部102は、攪拌機構127を動作させ、反応容器116に含まれる磁性粒子(洗浄後)および注入した溶媒を攪拌する。攪拌後、制御部102は、搬送機構125を動作させ、反応容器116を分離装置124まで移動させる。
【0057】
(viii)ステップ808
制御部102は、分離装置124を動作させ、磁性粒子を溶液から分離させる(分離装置124の磁石で磁性粒子を反応容器116の壁面に捕捉する)。
【0058】
(ix)ステップ809
制御部102は、試薬分注機構123からノズル304(
図5F参照)を引き出し、溶液を回収し、反応容器ディスク120に載置されている反応容器116に回収した溶液を吐出する。制御部102は、検出部用分注機構132を動作させ、反応容器116から溶液を取り出し、検出部131に注入する。
【0059】
<攪拌前、攪拌時、および攪拌後の液面の高さと磁性粒子の状態>
図9は、第2の実施形態における、反応容器116の攪拌前、攪拌時、および攪拌後の液面の高さと磁性粒子の状態を示す図である。
図9Aは攪拌前の状態を示し、
図9Bは攪拌時の状態を示し、
図9Cは攪拌後の状態を示している。なお、
図9においては、i回目の洗浄工程の際、すなわち洗浄液405の体積をViに低減しつつ、反応容器116の傾斜角度をθiへ増加した際の状態が示されている。ここでは、反応容器、洗浄液、および磁性粒子の表面状態の条件として、磁性粒子が反応容器の壁面に付着しやすいものとなっている。例えば、洗浄液に対して粒子および反応容器壁面の極性が異なり、洗浄液の主が親水性、磁性粒子および反応容器壁面の主が疎水性、あるいは洗浄液の主が疎水性、磁性粒子および反応容器壁面の主が親水性の場合である。なお、
図9Aは
図4Bの液面高さおよび磁性粒子の状態に対応する。
図9Bは
図4Cの液面高さおよび磁性粒子の状態に対応する。また、
図9Cは
図4Dの液面高さおよび磁性粒子の状態に対応する。
【0060】
図9Aに示すように、攪拌前の液面高さをLsとする。ここで、
図9Bに示す攪拌時の液面状態を示す図における、反応容器116底面に対する磁性粒子洗浄液402の液面角度φは、式1で求めることができる。
φ=tan
-1((ω
2・D・cosθ+g)・sinθ/
(−(ω
2・D・sin
2θ+g・cosθ))) ・・・(式1)
【0061】
ここで、ωは回転数[rad/s]、Dは回転中心と反応容器の底面との距離[m]、θは反応容器116の傾斜角度[rad]、gは重力加速度g[m/s
2]である。
【0062】
式1によると、反応容器116の傾斜角度θの増加に伴い、反応容器116底面に対する磁性粒子洗浄液402の液面の傾斜角度θが減少する。一方、液面の傾斜角度θの減少に伴い、液面高さLは減少する。すなわち、反応容器116の傾斜角度θの増加に伴い、液面高さLが減少する(液量が少なくなれば液面の高さが低くなるので角度を付けて回転させる)。したがって、
図9Bの左図に示すように、液量低減に伴い反応容器116の傾斜角度θを増加させなかった場合、すなわちθ=θ1とした場合には、液面高さはL1となる。
【0063】
一方、
図9Bの右図に示すように、液量低減に伴い反応容器116の傾斜角度を増加させた場合、すなわちθ=θiとした場合には、液面高さはLiとなり、LiはL1よりも低くなる。すなわち、反応容器116の傾斜角度をθ1<θiとした場合、液面高さはL1>Liとなる。
【0064】
続いて、
図9Cに示すように攪拌後には、攪拌前の液面高さ、すなわちLsとなる。
図9Cの左図に示すように反応容器116の傾斜角度をθ1とした場合の攪拌後には、攪拌後の液面LsとL1の間の反応容器壁面に、壁面に残存する磁性粒子501が付着する。一方、
図9Cの右図に示すように、反応容器116の傾斜角度をθiとした場合の攪拌後には、攪拌後の液面LsとLiの間の反応容器壁面に、壁面に残存する磁性粒子501が付着する。すなわち、
図9Cに示すように、反応容器116の傾斜角度をθiとすることで、θ1とした場合よりも液面高さがL1からLiへ低くなっているため、壁面に残存する磁性粒子501の付着面積は低減する。
【0065】
本実施形態では、反応容器116の傾斜角度θに関して、洗浄回数を重ねる毎に、θ1<θ2<…θi<…<θn−1<θnと増加させる。反応容器116の傾斜角度θを増加させることにより、反応容器116底面に対する磁性粒子洗浄液402の液面角度φは減少して攪拌時の液面高さLsが低くなり、壁面に残存する磁性粒子501の面積が低減するという現象が起きる。この現象により、壁面に残存する磁性粒子501の数が低減し、濃縮効率の低減が抑制することができる。
【0066】
ただし、磁性粒子が反応容器壁面に付着しにくい反応容器、洗浄液、および磁性粒子の表面状態の場合(例えば、洗浄液と粒子および反応容器壁面の極性が同じで、全て主が親水性または全て主が疎水性の場合)、
図9Cに示すように、攪拌後に攪拌時の液面高さに磁性粒子501が反応容器壁面に残存することはないため、洗浄液体積Vの減少に伴い、反応容器116の傾斜角度θを減少させる必要はない。
【0067】
以上のように、本実施形態では、磁性粒子洗浄時工程において、磁性粒子の回収率が低下しないように、洗浄液の液量の減少に伴って傾斜角度θを増加させている。これにより、攪拌時(反応容器116を回転させている時)の液面の高さを低くしている。攪拌時の液面の高さによって磁性粒子が容器壁面に付着する高さが決まるため、攪拌時の液面の高さを低くすれば、壁面に付着する磁性粒子の数を少なくすることができる。
【0068】
<攪拌時の液面の解析結果>
図10は、洗浄液の体積を減少させると共に、反応容器116の傾斜角度θを増加させた場合の攪拌時の液面の解析結果を示す図である。
【0069】
図10の下段に示すとおり、液量を160μLから80μL、40μLと減少させると同時に、自転軸の傾斜角度θを10°から14°、18°と増加させる。この時、
図10の上段に示す反応容器116の傾斜角度θが10°の場合と比較して、80μL、40μLでは液面の傾斜角度(液面角度)φを78°からそれぞれ74°、70°と減少させた。その結果、液面高さL14°およびL18°は、それぞれのL10°よりも低くなった。すなわち、反応容器壁面に残存する磁性粒子501を考慮して、液量減少に伴い回転数を低減させても、十分に攪拌しつつ、液面の傾斜角度φを低減し、液面高さLを低減させることができる。
【0070】
図11は、第1および第2の実施形態の、磁性粒子の洗浄濃縮工程における液面の傾斜角度φおよび液面の高さLの関係のまとめを示す図である。
第1の実施形態では、
図11の上段の図に示すように、液量低減に伴い回転数ωを2600rpmから、2000rpm、1800rpmへ減少させることにより、液面の傾斜角度φが78°から76°、72°へそれぞれ減少する。その結果、回転数ωを減少させない場合と比較して、液面の高さLも減少することがわかる。すなわち、反応容器壁面に残存する磁性粒子501を減少させ、濃縮効率低下を抑制することができる。
【0071】
一方、第2の実施形態では、
図11の下段の図に示すように、液量低減に伴い回転軸の傾斜角度θを10°から14°、18°へ増加させることにより、液面の傾斜角度φが78°から74°、70°へそれぞれ減少する。その結果、回転軸の傾斜角度θを増加させない場合と比較して、液面の高さLも減少することができる。
【0072】
(3)第3の実施形態
第3の実施形態は、第1あるいは第2の実施形態に係る攪拌装置に洗浄パラメータを記憶するデータベース(遠隔的に設けられた外部サーバでもよい)を別途設けた構成を備える攪拌制御システムに関する。
【0073】
図12は、本開示の第3の実施形態による攪拌制御システムの構成例を示す図である。
図12に示すように、当該攪拌制御システムは、攪拌機構(攪拌装置)127の動作を制御する制御部102内の記憶装置603に、洗浄液ごとに体積V、回転数ω、反応容器116の傾斜角度θ等の洗浄パラメータを関連付けて記憶したデータベース604を有する。
【0074】
攪拌機構127により攪拌を実行する際に、制御部102は、当該反応容器116内の洗浄液の攪拌パラメータをデータベース604から読み取り、洗浄液毎に最適な攪拌条件に調整することができる。例えば、攪拌パラメータは、洗浄液の種類に応じて予め決められており、洗浄液を選択すれば、対応する洗浄液の体積V、回転数ω、傾斜角度θ、および洗浄工程の実施回数などが一意に決定される。
【0075】
なお、データベース604を持たず、各試薬の条件を入力するための入力画面をディスプレイ等の表示装置104に表示させ、オペレータがキーボードやタッチパネル等の入力手段によって洗浄液毎の攪拌条件を設定できるように構成しても良い。
【0076】
第3の実施形態によれば、反応容器116の壁面への磁性粒子の付着を促進してしまう洗浄液とそうでない洗浄液とで攪拌条件を最適に調整できるため、攪拌時間の増加を伴わずに、洗浄液毎の磁性粒子の反応容器壁面への付着数のばらつき、すなわち濃縮効率のばらつきを低減することができる。
【0077】
(4)まとめ
(i)本実施形態による自動分析装置は、磁性物質と洗浄液とを保持する反応容器を回転させ、磁性物質と洗浄液とを攪拌する攪拌装置と、磁性物質の洗浄工程に含まれる攪拌工程のときに、反応容器が所定の回転数および所定の傾斜角度で回転するように、攪拌装置の攪拌動作を制御する制御部と、を備える。ここで、洗浄液の主成分の極性と磁性物質の主成分の極性とが異なっており、洗浄工程では、n回の洗浄動作が実行され、洗浄動作の回数が進むにつれて反応容器に収容される前記洗浄液の量が減少するように設定されている。そして、制御部は、洗浄動作の回数が進むにつれて、攪拌工程のときの反応容器に収容される洗浄液の液面の傾斜角度を段階的に小さくなるように攪拌装置の攪拌動作を制御する。第1の実施形態では、制御部は、反応容器に保持される液量が少ないほど、回転数を低くなるように攪拌装置の動作を制御する。また、第2の実施形態では、制御部は、反応容器に保持される液量が少ないほど、反応容器の傾斜角度が大きくなるように攪拌装置の動作を制御する。このようにすることにより、磁性粒子の洗浄液の液量を複数回に分けて段階的に低減しがなら洗浄する、いわゆる磁性粒子の洗浄濃縮工程において、攪拌時に高くなった液面位置の反応容器壁面への磁性粒子の付着数を低減して濃縮効率の低下を抑制し、かつ攪拌時間の増加を抑制するようにした、自動分析装置を提供することができる。
【0078】
また、例えば、洗浄液は主成分の極性は疎水性であり、磁性物質は主成分の極性が親水性であり、反応容器は主成分の極性が親水性である。本実施形態による自動分析装置における洗浄動作は、磁性物質、容器の材質、および洗浄用液がこのような極性の状態のときに、特に効果を発揮する。つまり、磁性粒子の回収率(濃縮効率)を高めることができる。
【0079】
第3の実施形態では、第1あるいは第2の実施形態による洗浄工程を実現するために、自動分析装置は、攪拌装置を動作させる際の攪拌条件を記憶する記憶装置と、を備える。そして、制御部は、洗浄液に対応する攪拌条件を記憶装置から読み込み、当該読み込んだ攪拌条件に基づいて攪拌装置を動作させる。この場合、洗浄液ごとに洗浄液の液量と攪拌条件とを関連付けて、記憶装置に記憶されている。このようにすることにより、洗浄液の種類によって一意に攪拌条件を取得することができるため、効率よく磁性粒子の洗浄動作を実行することができるようになる。
【0080】
(ii)本実施形態の機能は、ソフトウェアのプログラムコードによっても実現できる。この場合、プログラムコードを記録した記憶媒体をシステム或は装置に提供し、そのシステム或は装置のコンピュータ(又はCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出す。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコード自体、及びそれを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。このようなプログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、CD−ROM、DVD−ROM、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどが用いられる。
【0081】
また、プログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(オペレーティングシステム)などが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施の形態の機能が実現されるようにしてもよい。さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータ上のメモリに書きこまれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータのCPUなどが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施の形態の機能が実現されるようにしてもよい。
【0082】
さらに、実施の形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを、ネットワークを介して配信することにより、それをシステム又は装置のハードディスクやメモリ等の記憶手段又はCD−RW、CD−R等の記憶媒体に格納し、使用時にそのシステム又は装置のコンピュータ(又はCPUやMPU)が当該記憶手段や当該記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出して実行するようにしても良い。
【0083】
最後に、ここで述べたプロセス及び技術は本質的に如何なる特定の装置に関連することはなく、コンポーネントの如何なる相応しい組み合わせによってでも実装できることを理解する必要がある。更に、汎用目的の多様なタイプのデバイスがここで記述した教授に従って使用可能である。ここで述べた方法のステップを実行するのに、専用の装置を構築するのが有益であることが判るかもしれない。また、実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。本実施形態は、具体例に関連して記述したが、これらは、すべての観点に於いて限定の為ではなく説明の為である。本分野にスキルのある者には、本実施形態を実施するのに相応しいハードウェア、ソフトウェア、及びファームウエアの多数の組み合わせがある。例えば、記述したソフトウェアは、アセンブラ、C/C++、perl、Shell、PHP、Java(登録商標)等の広範囲のプログラム又はスクリプト言語で実装できる。
【0084】
さらに、上述の実施形態において、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。全ての構成が相互に接続されていても良い。
【0085】
加えて、本技術分野の通常の知識を有する者には、本実施形態のその他の実装がここに開示された本明細書及び実施形態の考察から明らかになる。明細書と具体例は典型的なものに過ぎず、本開示の範囲と精神は後続する請求範囲で示される。