特許第6782849号(P6782849)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6782849
(24)【登録日】2020年10月22日
(45)【発行日】2020年11月11日
(54)【発明の名称】分光測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/27 20060101AFI20201102BHJP
   G01N 21/3581 20140101ALI20201102BHJP
【FI】
   G01N21/27 B
   G01N21/3581
【請求項の数】12
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2019-540191(P2019-540191)
(86)(22)【出願日】2017年9月7日
(86)【国際出願番号】JP2017032204
(87)【国際公開番号】WO2019049250
(87)【国際公開日】20190314
【審査請求日】2020年2月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテク
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】高井 茉佑子
(72)【発明者】
【氏名】山口 啓太
【審査官】 嶋田 行志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−158432(JP,A)
【文献】 特開2008−096210(JP,A)
【文献】 特開2016−099310(JP,A)
【文献】 特開2017−026358(JP,A)
【文献】 特開2016−028230(JP,A)
【文献】 特開2016−114523(JP,A)
【文献】 特開2012−058073(JP,A)
【文献】 特開2013−238438(JP,A)
【文献】 特開2015−172570(JP,A)
【文献】 特開2012−098103(JP,A)
【文献】 特開2014−235407(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/122095(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00−21/958
JSTPlus/JST7580/JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁波を照射する電磁波照射部と、
電磁波を受光する受光部と、
プローブ光を照射するプローブ光照射部と、
前記プローブ光を検出し検出信号を出力するプローブ光検出部と、
前記検出信号から電磁波の検出強度を算出する演算部と、
前記プローブ光のビーム径を調整するビーム径調整部と、を備え、
前記電磁波照射部は前記電磁波を測定対象物に照射し、
前記受光部は前記測定対象物に照射された前記電磁波を受光し、
前記プローブ光照射部は前記プローブ光を前記受光部に照射し、
前記プローブ光検出部は前記受光部に照射された前記プローブ光を検出し、検出信号を出力し、
前記演算部は前記検出信号と前記プローブ光のビーム径に基づき、前記検出強度を算出し、
算出された前記検出強度に基づき、前記ビーム径調整部はプローブ光のビーム径を制御することを特徴とする分光測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の分光測定装置であって、
前記プローブ光検出部は前記受光部に照射されたプローブ光の偏光状態または強度の変化に相当する検出信号を出力することを特徴とする分光測定装置。
【請求項3】
請求項2に記載の分光測定装置であって、
測定に関わるデータを記憶する記憶部と、
測定パラメーターを前記演算部に入力する入力部を備え、
演算部に入力された前記記憶部に記憶された測定条件情報に基づき、前記演算部は前記測定パラメーターに対応した測定条件を選択し、
選択された前記測定条件を今回の測定に適用することを特徴とする分光測定装置。
【請求項4】
請求項2に記載の分光測定装置であって、
前記プローブ光の偏光状態または強度の変化の空間分布の検出イメージを出力するイメージセンサを有し、
前記演算部は前記検出イメージから前記受光部に照射される電磁波の空間分布の広がり幅と、前記ビーム径調整部から得られるプローブ光のビーム径との差を算出し、
前記差に基づき、前記ビーム径調整部はプローブ光のビーム径を制御することを特徴とする分光測定装置。
【請求項5】
請求項2に記載の分光測定装置であって、
前記受光部は非線形光学結晶であることを特徴とする分光測定装置。
【請求項6】
請求項2に記載の分光測定装置であって、
前記プローブ光照射部は前記プローブ光のビーム面内強度分布を調整する強度分布調整部及び前記プローブ光の光軸を変更する光軸調整部を備え、
前記強度分布調整部はプローブ光のビーム面内強度分布が一様になる方向に強度分布を制御し、
前記光軸調整部は前記プローブ光検出部から出力される前記検出信号に基づき前記プローブ光の光軸を制御することを特徴とする分光測定装置。
【請求項7】
請求項3に記載の分光測定装置であって、
前記測定パラメーターは前記測定対象物に含まれる粒子の粒径と屈折率とを含み、
前記演算部は、前記受光部における前記電磁波の電場または強度の空間分布の広がり幅に基づいて、電磁波の検出強度を算出し、算出された前記検出強度に基づき前記測定条件を更新することを特徴とする分光測定装置。
【請求項8】
請求項2に記載の分光測定装置であって、
第一の測定対象物で分光測定した第一の結果を記録する記憶部と、
第二の測定対象物で分光測定した第二の結果と前記記憶部に記憶された第一の結果との差を前記演算部により算出し、前記演算部の算出結果に基づいて前記ビーム径調整部の制御を行なう制御部と、を備え
前記算出結果の差分が小さくなるようにビーム径調整部が制御されることを特徴とする分光測定装置。
【請求項9】
請求項2に記載の分光測定装置であって、
参照光を発生させる参照光発生部と、
前記プローブ光と前記参照光を干渉させる干渉光学系と、を備え、
参照光発生部から発生した参照光と、前記プローブ光検出部に入射するプローブ光とを干渉光学系で干渉させ、前記検出信号を増幅することを特徴とする分光測定装置。
【請求項10】
請求項2に記載の分光測定装置であって、
前記測定対象物と前記受光部との距離を取得する距離測定部と、
前記測定対象物と前記受光部との距離を調整する距離調整部と、
を備え、
前記受光部における前記電磁波の電場または強度の空間分布の広がり幅を小さくして、前記検出信号が上がるように、
前記距離測定部からの出力に基づいて、前記距離調整部は前記測定対象物と前記受光部との距離を小さくするよう制御することを特徴とする分光測定装置。
【請求項11】
請求項2に記載の分光測定装置であって、
前記測定対象物に照射され、前記測定対象物を透過または反射した電磁波を前記受光部に集光する集光素子を備え、
散乱で広がった前記電磁波を集光して前記検出信号が大きくなるように前記集光素子が配置されていることを特徴とする分光測定装置。
【請求項12】
請求項2に記載の分光測定装置であって、
前記プローブ光検出部は、前記受光部を透過または透過および反射したプローブ光の偏光状態または強度の変化の空間分布の検出イメージを出力するイメージセンサを有し、
前記演算部は前記イメージセンサの各ピクセルで前記電磁波の電場を算出し、各ピクセルで電場から強度を計算し、少なくとも電磁波電場の情報が存在しているピクセルでの前記強度を積算し、電磁波の検出強度が上がるように測定を行なうことを特徴とする分光測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定対象物の散乱の影響を低減または除去した分光測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、テラヘルツ波をはじめとした電磁波による医薬品分光が注目されている。たとえば周波数が100GHz以上30THz以下であるテラヘルツ周波数帯には分子間振動及び分子内振動に起因する多数の吸収ピークが存在し、これらピークの解析により物質の種類だけでなく結合状態の違いを見分けること、それぞれの分子の医薬品中の含有濃度の定量的な測定も可能である。
本技術分野の背景技術として、たとえば特開2014−173967がある。特許文献1には課題として「テラヘルツ波の散乱による検出精度の低下を抑制することができる標本検査装置を提供する」と記載があり、解決手段として「本発明に係る標本検査装置は、テラヘルツ波を発生するテラヘルツ波発生部と、被検査物としての標本が載置される搬送面を有し、前記搬送面の面内方向に前記標本を搬送可能に構成された搬送部と、前記テラヘルツ波発生部から射出され、前記搬送面に載置された前記標本に照射されるテラヘルツ波の照射方向を変更する照射方向変更部と、前記搬送面に載置された前記標本に照射されて透過または反射したテラヘルツ波を検出するテラヘルツ波検出部と、を備え、前記照射方向変更部は、前記テラヘルツ波発生部の位置を変更することによって、前記照射方向を変更する。」と記載されている。
特許文献1の方法では測定対象物の形状や配置状態による電磁波の散乱のみを扱っており、測定対象物を構成する粒子による散乱の除去は考慮されていない。さらに、測定点数が多くなる上、ランダムな散乱成分は除去できるが、周波数に比例した散乱成分は除去できない可能性もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−173967号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明では、分光測定における、測定対象物を構成する粒子による散乱の影響を低減または除去する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題は、例えば電磁波を照射する電磁波照射部と、電磁波を受光する受光部と、プローブ光を照射するプローブ光照射部と、前記プローブ光を検出し検出信号を出力するプローブ光検出部と、前記検出信号から電磁波の検出強度を算出する演算部と、前記プローブ光のビーム径を調整するビーム径制御部と、を備え、前記電磁波照射部は前記電磁波を測定対象物に照射し、前記受光部は前記測定対象物に照射された前記電磁波を受光し、前記プローブ光照射部は前記プローブ光を前記受光部に照射し、前記プローブ光検出部は前記受光部に照射された前記プローブ光を検出し、検出信号を出力し、前記演算部は前記検出信号と前記プローブ光のビーム径に基づき、前記検出強度を算出しし、算出された前記検出強度に基づき、前記ビーム径調整部はプローブ光のビーム径を制御することを特徴とする分光測定装置により解決される。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、測定対象物の散乱の影響を低減または除去した分光測定が可能になる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】分光測定装置の第一の実施例を示す構成図。
図2】検出結晶上のテラヘルツ波の電場または強度の空間分布とプローブ光のビームスポットの模式図。
図3】ビーム径調整部20の一例を示す模式図。
図4】(a)実施例1におけるプローブ光ビーム径の第一の調整フロー。 (b)実施例1におけるプローブ光ビーム径の第一の調整フローS2の詳細なフロー。
図5】実施例1におけるプローブ光ビーム径と演算値の関係を表す図。
図6】プローブ光ビーム径の調整に用いる既知のパラメーターのリスト
図7】(a)実施例1におけるプローブ光ビーム径の第二の調整フロー。 (b)実施例1におけるプローブ光ビーム径の第二の調整フローS22の詳細なフロー。
図8】プローブ光ビーム径と差分値の対応関係を表す図
図9】分光測定装置の第2の実施例を示す構成図。
図10】実施例2におけるプローブ光ビーム径の調整フロー。
図11】分光測定装置の第2の実施例において、検出用非線形光学結晶102の位置を制御する場合を示す構成図。
図12】分光測定装置の第3の実施例を示す構成図。
図13】分光測定装置の第4の実施例を示す構成図。
図14】実施例4におけるイメージセンサの構成図。
図15】分光測定装置の第5の実施例を示す構成図。
図16】実施例6におけるプローブ光の調整フロー。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0008】
以降は電磁波としてテラヘルツ波を例に挙げて説明を行なう。
【0009】
図1は、本発明のテラヘルツ分光測定装置の第一の実施例を模式的に示す構成図である。本実施例によるテラヘルツ分光測定装置は、測定対象物101にテラヘルツ波T1を照射し、測定対象物101を構成する物質に吸収または散乱された透過テラヘルツ波T2の振幅を測定する装置として構成されている。
テラヘルツ波発生部1から出射したテラヘルツ波T1は集光素子111により測定対象物101に集光される。測定対象物101を構成する物質に吸収または散乱された透過テラヘルツ波T2は検出用非線形光学結晶102に入射する。
【0010】
図1のプローブ光源2はテラヘルツ波を検出するためのプローブ光L1を出射する。プローブ光L1はビーム径調整部20に入射し、ビーム径を拡大または縮小され、ビーム径がBであるプローブ光L2となる。その後プローブ光L2は偏光子301にて偏光され、ビームスプリッター311により反射され検出用非線形光学結晶102に入射する。測定対象物101と検出用非線形光学結晶102の間に波長選択ミラーを挿入し、検出用非線形光学結晶102の表面からプローブ光L2を入射してもよい。ここで、波長選択ミラーとはテラヘルツ波T2を透過しプローブ光L2を反射する光学素子であり、例えばペリクルや、シリコン板がある。
【0011】
テラヘルツ波T2が検出用非線形光学結晶102に入射すると電気光学効果が生じ、検出用非線形光学結晶102の複屈折率が入射テラヘルツ波T2の振幅に応じて変化する。検出用非線形光学結晶102を透過または反射したプローブ光は複屈折率変化に対応して偏光状態が変化する。検出用非線形光学結晶102から反射され、偏光状態が変化したプローブ光L2のうちビームスプリッター311を透過したプローブ光L2は補償子302、偏光子303によって偏光状態の変化を検光し、検出器304によってプローブ光L2の強度が検出される。検出器304に入射したプローブ光の成分は例えば電圧に変換され、処理部3の計測部321へと入力される。計測部321に入力された信号は検出用非線形光学結晶102に入射するテラヘルツ波T2の電場または強度に比例する。ここで、強度を測定する際はたとえば偏光子301と偏光子303の透過軸を直交させ、補償子302の速軸または遅軸を偏光子303の透過軸と一致させる方法を用いることが出来る。電場を測定する際はたとえば、偏光子301と303の透過軸を直交させ、補償子302の速軸または遅軸を偏光子303の透過軸と0度より大きい角度にすることによって得ることが出来る。偏光子303の代わりにウォラストンプリズムを配置して、プローブ光を二光路に分け、検出器304をバランスディテクターとし、それぞれの光路のプローブ光の強度差を検出することで検出効率を向上しても良い。
【0012】
以上の手順により、プローブ光L2の照射された検出用非線形光学結晶102上の部分のテラヘルツ波の強度または振幅に比例した信号が得られる。本発明では、測定対象物101による散乱により検出結晶上に広く分布するテラヘルツ波T2を測定できるよう、プローブ光L2のビーム径Bの調整制御をビーム径調整部20で行なう。図2に検出用非線形光学結晶102上に分布するプローブ光のビームスポットL3と、測定対象物での散乱で広がったテラヘルツ波T2の空間分布T3の模式図を示す。
【0013】
ビーム径調整部20で調整可能なプローブ光L2のビーム径Bは最小値602から最大値604までの範囲を変更可能であるとする。
ここで、ビーム径調整部20でプローブ光ビーム径Bを変更する方法の具体例の一つを示す。図3に本実施例におけるプローブ光ビーム径調整部20の模式図を示す。本実施例ではプローブ光ビーム径調整部20に凹レンズ201と、焦点可変光学系をなす凸レンズ202、203が含まれる場合を示す。このほか、ビーム径A,Bの比が可変ならばどのようなレンズ、光学素子の組み合わせでも良い。これらのレンズはレール211上に配置され、コントローラー212により駆動され、プローブ光L1、L2の光軸上を平行に移動可能である。本実施例では、レンズ202の屈折率をf、レンズ203の屈折率をf、レンズ間の距離をdとした場合、レンズ202と203を組み合わせたとき、焦点距離fの凸レンズとみなせる。焦点距離fは式1のように書き表せる。
【0014】
(式1)f=f/(f+f−d
ここで、焦点距離Fは複合レンズ202、203の主点Pから焦点までの距離である。主点Pはレンズ202から距離h、レンズ203から距離hの位置にある。hとhの比は式2で表される。
【0015】
(式2)h/h=f/f
さらに凹レンズ201の焦点距離をfとして、複合レンズ202、203の主点pから凹レンズ201までの距離dは式3で表される位置とする。
【0016】
(式3)d=f−f
結果、プローブ光L1とL2のビーム径の比A/Bは、式3のように書き表せる。
【0017】
(式4)A/B=f/f
まとめると、プローブ光L1とL2のビーム径の比A/Bが所望の値となるようfの値を決め、そのFの値を得られるようコントローラー212に制御信号が送られ、レール211上のレンズ201〜203の位置を調整してDを変更し、さらに式3を満たすようDを変更する。
【0018】
また、コントローラー212は複合レンズ202、203および凹レンズ201の位置情報を保持し、この位置情報とプローブ光源2で決まるプローブビーム径Aの値とからプローブビーム径Bを算出する機能を持つ。なお、プローブビーム径Bを算出する方法は上記に限らず、例えばコントローラー212は複合レンズ202、203および凹レンズ201の位置情報のみを保持し、プローブ光ビーム径Bの算出は図1の演算部322で行なってもよい。
【0019】
以上、ビーム径調整部20でビーム径Bを変更する方法として焦点距離が固定であるレンズの位置変更によりプローブ光L1とL2のビーム径の比A/Bを変更する方法を記述したが、これは例であり、これに限定されるものではない。このほか、例えば複合レンズ202、203の代わりに、異なる複数の焦点距離の凸レンズを交換可能なホルダーにセットして焦点距離およびレンズ位置を可変とし、凹レンズ201の距離を前記凸レンズの焦点距離に応じて変更し、ビーム径を変更する方法がある。
【0020】
ここからは本実施例におけるプローブ光を調整するフローを示す。この調整は、例えば装置を立ち上げた時などに行う。まず、図4(a)に本実施例におけるプローブ光調整のフローチャートを示す。
本実施例では、計測部321に入力された信号からテラヘルツ波T2の電場または強度に比例した検出強度を計算し、このテラヘルツ波検出強度が大きくなるようにプローブ光ビーム径Bをビーム径調整部20により調整する。S21ではプローブ光ビーム径Bとテラへルツ波検出強度(演算値)の対応関係を求める。図5の曲線601はプローブ光ビーム径Bとテラへルツ波検出強度(演算値)の対応関係を示す曲線である。手順S22については詳細を後に示す。
S22ではS21で求めた対応関係から、演算部322で計算された演算値が最大かつビーム径が小さくなるような図5のプローブ光ビーム径603を求める。ここで、例えば、プローブ光ビーム径Bを制御するビーム径調整部20の制御精度を加味して、演算値が最大値に対して±20%のばらつきを許容するなど幅を持っても良い。
S23ではS22で求めたプローブ光ビーム径603に近づけるように制御部323からプローブ光ビーム形調整部20に制御信号を出力し、プローブ光ビーム系を変更する。以上の手順により、プローブ光ビーム径の調整を行なった後に測定を行うことで、測定対象物101を構成する物質で生じる散乱の影響を低減または除去した分光測定が可能になる。
【0021】
一度プローブ光ビーム径Bを調整した後は、調整を行わず連続で測定を行なってもよい。また、一度同じ測定条件下においてプローブ光ビーム径Bと演算部322で計算した演算値との対応関係を取得して図1の記憶部324に記憶している場合、以降の測定では手順S22を省略しても良い。また、図5のビーム径603が既知である場合、入力部325から直接図5ビーム径603の値を演算部322に入力し、S22とS23を行なうことなく、S24に進んでも良い。
【0022】
図4(b)に手順S22の詳細を示す。S201で測定を行なう回数を設定する。S202では計測部321で検出器304に入射するプローブ光の強度を測定値とし、S203では演算部322により、求めたプローブ光の測定値とビーム径調整部20から得られるプローブ光のビーム径Bとの積を演算する。ここで、この演算は積に限定されるものではなく、除算でも良い。図5の曲線601はプローブ光ビーム径Bと演算部322で計算された演算値の対応関係を示す曲線である。プローブ光ビーム径Bを小さいビーム径602あるいは大きいビーム径604から変化を開始し、測定を行なって結果は記憶部324に記憶する。S205において、S201で設定した回数に達したかどうか判断し、設定した回数になるまで、S206でビーム径調整部20によりビーム径Bを変更して、S202〜S204の手順を繰り返し、測定回数がS201で設定した回数に達したらS207に進み曲線601を求める。
【0023】
また、プローブ光ビーム径の調整に既知のパラメーターを用いて計算した結果を用いることも可能である。例えば、測定対象物に含まれる粒子の平均粒径及び屈折率や、測定対象物の構成物質が既知であるとき、プローブ光ビーム径調整のために複数回の測定を行なう必要が無く、S21を短縮でき、高速なプローブ光ビーム径調整が可能となる。この場合の、プローブ光調整のフローチャートは次のとおりである。まずS21で図1の入力部325に入力するパラメーターとして、例えば測定対象物を構成する粒子の平均粒径及び屈折率がある。入力されたパラメーターを演算部322で取得し、記憶部324に記憶する。また、テラヘルツ波照射部1から出射するテラヘルツ波T1の波長または周波数を、演算部322で取得し、同様に記憶部324に記録する。
【0024】
S22ではS21で記憶部324に記憶したパラメーターと、測定対象物101と検出用非線形光学結晶102までの距離に基づき、検出用非線形光学結晶102表面におけるテラヘルツ波の散乱の大きさを計算する。例えば測定対象物の平均粒径と平均屈折率及び入射テラヘルツ波T1の波長が既知である場合、ミー散乱の理論式に従い、テラヘルツ波T2の散乱角範囲を見積もり、求められた散乱角範囲と測定対象物101と検出用非線形光学結晶102の距離から、三角関数を利用して検出用非線形光学結晶102上のテラヘルツ波の空間分布の広がり角T3の大きさを求めても良い。目標プローブビーム径はテラヘルツ波の空間分布T3を広く取得できるように定める。最後に、プローブビーム径603に近づくように制御部323は制御信号を出し、プローブ光ビーム径調整部20によりプローブ光ビーム径Bを変更する。以上の手順により、プローブ光ビーム径Bの調整を行なった後、測定を開始することで、測定対象物101を構成する物質で生じる散乱の影響を低減または除去した分光測定が可能になる。
【0025】
また、プローブ光ビーム径の調整に用いる既知のパラメーターはリストとして記憶部324に保存され、必要に応じて制御部323に呼び出されても良い。図6にリストの模式図を示す。この模式図に示したパラメーターはこれに限られるものではない。加えて、測定結果及び入力部325に入力された測定対象物名から322で自動的に最適なプローブ光ビーム径を学習し、リストを生成して保存しても良い。プローブ光ビーム径の調整に用いる既知のパラメーターとして、例えばプローブ光ビーム径、ビーム径調整部20に含まれる光学素子の位置などがある。
さらに、入力部325で測定条件(例えば測定対象物名、プローブ光ビーム径など)を演算部322に入力し、演算部は前記リストを基に過去の測定結果を検索し、過去の測定条件(例えばビーム径調整部20に含まれるレンズ位置等)を今回の測定に適用してもよい。
【0026】
また、検出用非線形光学結晶102と測定対象物101の距離を取得する距離測定部と、その距離を調整する距離調整部を追加し、距離調整部に制御部323から制御信号を送信して制御することで、検出用非線形光学結晶102と測定対象物101の距離を近づけ、測定対象物による散乱光の広がり角を押さえても良い。
さらに、プローブ光ビーム径調整用の測定を行なう例を次に示す。本構成によれば、散乱の影響の低減を確認したうえで分光測定が可能である。
本実施例では測定対象物101として、本来の測定対象物(対象サンプル)と同様の成分で散乱の少ない、参照となる測定対象物(参照サンプル)を別途用意する。これは例えば、対象サンプルと同じ錠剤を乳鉢ですりつぶし、ふるいにかけて粒径を十分小さくし、再び打錠したものである。
【0027】
図7(a)にこの場合のプローブ光調整のフローチャートを示す。まずS21で参照サンプルについてテラヘルツ波検出強度(演算値)を測定し、記憶部324で記憶する。その後、S22で対象サンプルの演算値をプローブ光ビーム径Bの大きさを変更しながら、繰り返し測定する。詳細は後に記す。結果は記憶部324に記憶する。参照測定S21と調整用測定S22では、複数の周波数ではなく単一の周波数で測定を行なってもよい。S23ではS22で記憶した調整用測定の結果(後に述べる差分値)から、図1の演算部322において差分値が小さくなるプローブ光ビーム径803を求める。S24ではS23で求めたプローブビーム径803に近づくように制御部323は制御信号を出し、プローブ光ビーム径調整部20により、プローブ光ビーム径Bを変更する。
【0028】
図7(b)に手順S22の詳細を示す。S201で測定を行なう回数を設定する。S202では計測部321で検出器304に入射するプローブ光の強度を測定値として取得し、S203では演算部322により、複数、または単一の周波数におけるテラヘルツ波検出強度(演算値)を求める。さらに、この求めた対象サンプルの演算値からS21で記憶した参照サンプルの演算値を減算した差分値を算出する。S204ではS213で求めた差分値を記憶する。図8の曲線801はプローブ光ビーム径Bと演算部322で計算された差分値の対応関係を示す曲線である。プローブ光ビーム径Bを小さいビーム径602あるいは大きいビーム径604から変化を開始し、測定を行なって結果は上記のとおり記憶部324に記憶する。S205において、S201で設定した回数に達したかどうか判断し、設定した回数になるまで、S206でビーム径調整部20によりビーム径Bを変更して、S202〜S204の手順を繰り返す。測定回数がS201で設定した回数に達したらS207に進み曲線801を求める。その後S23にて記憶した差分値の最も差分値が小さくなるビーム径803をS21算出・取得する。
【0029】
以上の手順により、調整用測定と参照測定の結果の差が少なくなるプローブ光ビーム径803を求め適用することにより、測定対象物101を構成する物質で生じる散乱の影響をより精度よく低減または除去した分光測定が可能になる。
【実施例2】
【0030】
図9は、本発明のテラヘルツ分光測定装置の第2の実施例を模式的に示す構成図である。本実施例が実施例1と異なるのはプローブ光ビーム径Bの調整にテラヘルツ波の空間分布のイメージング結果を用いる点である。本構成により、実際のテラヘルツ波の空間分布を観測しながらプローブ光のビーム径を制御できるため、複数回の測定を行なう必要が無く、正確な調整が可能となる。
本実施例では、実施例1との差分について説明を行う。
【0031】
結像レンズ312を検出用非線形光学結晶102の後ろに配置し、ハーフミラー313でビームを分け、一方をイメージセンサ305に入射し、もう一方は検出器304に入射する。図2に示すような検出用非線形光学結晶102上のテラヘルツ波の空間分布T3の情報を含んだプローブ光L3をイメージセンサ305に結像する。ここで、例えば、ハーフミラー313と検出器304を配置しないで、イメージセンサ305で検出結晶上のテラヘルツ波の空間分布T3の撮像および強度測定の両方を行なってもよい。
【0032】
図10に本実施例におけるプローブ光調整のフローチャートを示す。S11でプローブ光ビーム径Bを最大値604とする。最大値604でプローブ光強度不足等により次に示すテラヘルツ波イメージングが出来ない場合は、イメージングが可能な径までプローブ光ビーム径Bを変更する。このとき、検出結晶上のテラヘルツ波照射部T3の大きさがプローブ光ビーム径Bより大きくなる場合、実施例7に記載の方法を用いて測定対象物と検出用非線形光学結晶102の距離を調整し、T3の大きさが小さくなるようにしても良い。
テラヘルツ波T2が検出用非線形光学結晶102に入射すると電気光学効果が生じ、検出用非線形光学結晶102の複屈折率が入射テラヘルツ波T2の振幅に応じて変化する。検出用非線形光学結晶102を透過または反射したプローブ光は複屈折率変化に対応して偏光状態が変化する。
S12ではイメージセンサ305に入射したプローブ光を処理部3の計測部321で撮像し、検出イメージとして出力する。実施例1に記載の方法と同様に、演算部322で前記検出イメージからテラヘルツ波の電場または強度の検出用非線形光学結晶102上の空間分布T3を算出する。
【0033】
S13では演算部322で前記検出イメージから前記受光部に照射されるテラヘルツ波の空間分布の大きさと、前記ビーム径調整部から得られるプローブ光のビーム径との差を計算し、差が小さくなるようなプローブ光ビーム径Bを求める。
【0034】
S14ではS13で求めたプローブビーム径に近づくように制御部323は制御信号を出し、プローブ光ビーム径Bを変更する。以上の手順により、プローブ光ビーム径Bの調整を行なった後、測定を開始することで、測定対象物101を構成する物質で生じる散乱の影響を低減または除去した分光測定が可能になる。
ここで、例えば図10のS13において、テラヘルツ波の空間分布T3を撮影し、その結果、テラヘルツ波の空間分布T3の大きさがプローブ光のビーム径Bの最大値604より大きいことが推測された場合に、検出用非線形光学結晶102を測定対象物101に近づけるよう調整を行ない、テラヘルツ波の空間分布T3の大きさを小さくする例を示す
図11は、この例におけるテラヘルツ分光測定装置を模式的に示す構成図である。図9と異なる点は、制御部323からの制御信号により、ビーム径調整部20のほかに、検出用非線形光学結晶102の位置を制御している点である。検出用非線形光学結晶102はモーター1021により駆動され、その位置情報はモーター1021に保持される。
【0035】
検出用非線形光学結晶102と測定対象物101の距離を小さくする方法として例えば、プローブ光調整を行なう前に測定対象物101の厚みを図1の入力部325に入力しておき、検出用非線形光学結晶102と測定対象物101の距離が測定対象物101の厚みより大きく、元の位置より近くなるよう制御部323の制御信号によりモーター1021を制御する方法がある。以上の方法により、テラヘルツ波の空間分布T3の大きさを小さくすることが出来る。
【実施例3】
【0036】
図12は、本発明のテラヘルツ分光測定装置の第3の実施例を模式的に示す構成図である。本実施例が実施例1と異なるのは、検出器として干渉光学系を組み合わせている点である。本構成によれば、検出するテラヘルツ波T2の振幅が微弱である場合、信号を増幅して測定することが出来、測定の感度を向上できる。
本実施例では、実施例1との差分について説明を行う。
【0037】
図12の干渉光学系306は検出器を含む。干渉光学系306には検出用非線形光学結晶102を透過または反射したプローブ光と、それに干渉させるための参照光L4を入射する。干渉光学系306に含まれる検出器ではプローブ光と参照光L4を干渉させた干渉光を検出する。参照光源4として独立なレーザーを用いても良いし、プローブ光源やテラヘルツ波光源に含まれるレーザー等からビームスプリッター等を用いて光を分岐し、参照光L4としても良い。参照光L4の周波数の選び方として、例えばプローブ光の周波数と一致させないヘテロダイン方式やプローブ光の周波数と一致させたホモダイン方式がある。ホモダイン方式の場合、例えば四位相同時検出方式または位相シフト方式により干渉光の位相と振幅を分離して測定する方法がある。以上の方法により、測定対象物101を構成する物質で生じる散乱の影響を低減または除去した分光測定および感度向上が可能になる。
【実施例4】
【0038】
図13は、本発明のテラヘルツ分光測定装置の第4の実施例を模式的に示す構成図である。本実施例が実施例1と異なるのは、検出器をイメージセンサに置き換えている点である。また、測定するものはテラヘルツ波の電場(テラヘルツ電場)である。テラヘルツ電場の測定を行なう際、ビームスポットT3内で位相が一様でないとき、単一検出器の測定ではテラヘルツ電場の空間分布が積算されることから、正負の電場が相殺して、測定されるテラヘルツ電場に比例した信号が小さくなる場合がある。本構成によれば、分光測定結果からその影響をなくすことが出来る。
本実施例では、実施例1との差分について説明を行う。
【0039】
図14にイメージセンサ305の模式図を示す。イメージセンサ305に検出結晶上のプローブ光ビームスポットL3を結像し、各ピクセルでテラヘルツ波電場空間分布T3に比例した信号を測定する。各ピクセルの結果を強度に変換してから必要なピクセルにおける強度の平均値を取得する。例えば、ピクセル321で検出したテラヘルツ電場をE、ピクセル322で検出したテラヘルツ電場をE・・・としたとき、検出強度IをI=(|E+|E+・・・)/(足し合わせたピクセル数)と計算しても良い。
テラヘルツ時間領域分光法など、位相測定つまり電場の時間波形の測定を行なう場合は、各ピクセルで電場の時間波形E(t)、E(t)・・・を測定してから各ピクセルでそれぞれ時間的フーリエ変換を行い、波長ごとの強度を得てから積算を行なう。
【0040】
以上の方法により、測定対象物101を構成する物質で生じる散乱の影響を低減または除去した分光測定および感度向上が可能になる。
【実施例5】
【0041】
図15は、本発明のテラヘルツ分光測定装置の第5の実施例を模式的に示す構成図である。本実施例が実施例1と異なるのは、測定対象101と検出用非線形光学結晶102の間に集光素子112が挿入されている点である。本構成によれば、集光素子112と測定対象物101の距離を離して測定することが可能である。
本実施例では、実施例1との差分について説明を行う。
【0042】
集光素子112の開口数(NA)は測定対象物の散乱光を十分に集められるようなるべく大きく設計される。集光素子112として例えば二つの平凸レンズまたは放物面鏡を組み合わせたものや、一枚の両凸レンズを測定対象物101と検出用非線形光学結晶102からの距離が焦点距離の二倍になるように配置したものがある。本実施例ではプローブ光のビーム径Bは、実施例1〜2に従って集光素子112によって検出用非線形光学結晶102上に集光された散乱成分を含むテラヘルツ波空間分布T3の大きさとの差が小さくなるように制御される。実施例1に従って演算部322で計算により目標プローブ光ビーム径を取得する場合、検出用非線形光学結晶102上に集光された散乱成分を含むテラヘルツ波空間分布T3を求めるために、測定対象物101からの散乱に加え、集光素子112による集光の効果を光線追跡で求めても良い。または、前記空間分布T3の大きさを次のように計算しても良い。測定対象の厚みをDSAMPLEとすると、実施例1に記載のミー散乱の理論に従って測定対象物に含まれる粒子のパラメーターと入射テラヘルツ波長から求めた散乱角範囲±θと、DSAMPLEから、集光素子112によって検出用非線形光学結晶102上に結像するテラヘルツ波の空間分布T3のおおよその大きさ2DSAMPLE tanθを求める。
【0043】
以上の方法により、測定対象物101と集光素子112の距離を離す事が出来るため、測定対象物101の厚みが厚い場合にも対応でき、さらに測定対象物101を構成する物質で生じる散乱の影響を低減または除去した分光測定が可能になる。
【実施例6】
【0044】
本実施例では、プローブ光ビーム径調整部20内にプローブ光の光軸を調整する光軸調整部および強度分布調整部を設置し、調整を行なう場合を示す。本構成により検出器304で検出される信号の検出効率を大きくできる。
本実施例では、実施例1との差分について説明を行う。
【0045】
図16に本実施例におけるプローブ光調整のフローチャートを示す。まず、F5でプローブ光径Bを最小値302にし、S31でテラヘルツ波の電場または強度の空間分布T3の中心部、つまり検出器304で検出されるテラヘルツ波の検出強度が最大となるよう光軸調整部を制御する。その後、S32で実施例1〜3に従いビーム径調整部20の制御によりプローブ光ビーム径Bを調整する。最後にS33では、強度分布調整部でプローブ光の強度分布が面内で一様になるようにする。強度分布の調整方法としては、例えば、アイリスでプローブ光ビーム中心部のみを切り出す方法などがある。
また、プローブ光の光軸または強度分布の調整結果を実施例2または4と同様の構成でイメージセンサ305を用いて結晶102上のプローブ光のビームスポットT2のイメージングを行い、確認しても良い。その際、例えば補償子302または偏光子301、303の向きによりプローブ光が減衰され、プローブ光ビームスポットL3全体がイメージセンサに映らない場合、補償子302もしくは偏光子301または303を制御部323からの信号または手動で回転させ、プローブ光ビームスポットL3全体が映るようにしてから撮像する。
【0046】
以上の方法により、検出器304で検出される信号の検出効率を大きくできる。さらに測定対象物101を構成する物質で生じる散乱の影響を低減または除去した分光測定が可能になる。
なお、本発明は分光測定以外の測定に応用されうる。応用先として、たとえばテラヘルツCTスキャンや吸収率、反射率によるイメージング等、散乱光の影響を受ける測定がある。また、はじめに述べたように、測定に使用する入射光の波長はテラヘルツ波に限らず、例えば赤外線や、赤外線より短い波長の電磁波であっても良いし、ミリ波や、ミリ波よりも長い波長の電磁波でも良い。この場合、以上の説明において、テラヘルツ波を電磁波と読み替えれば、以上の説明がそのまま適合する。したがって、ここでは、テラヘルツ波以外の電磁波については説明を省略する。
【符号の説明】
【0047】
101・・・測定対象物、102・・・検出用非線形光学結晶、111・・・集光素子、20・・・プローブ光ビーム径制御部、3・・・ビーム制御信号生成部、301・・・偏光子、302・・・補償子、303・・・偏光子、304・・・検出器
T1・・・入射テラヘルツ波、T2・・・出射テラヘルツ波、L1・・・プローブ光、L2・・・調整済みプローブ光
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図16