(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0025】
本開示は、シリコンおよびシリコンイオン注入のための組成物、システム、および方法
に関する。
【0026】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形「a」、「および」
、および「the」は文脈が明確に指示しない限り複数の指示対照を含む。
【0027】
本明細書で使用される場合、例えば、C
1−C
12アルキル基の炭素数範囲の同定は、
このような範囲内の成分の炭素数の部分のそれぞれを含むことを意図しているので、その
記載された範囲内のそれぞれの介在する炭素数および任意の他の記載されたまたは介在す
る炭素数値は含まれ、指定された炭素数内の炭素数の下位範囲は、独立して、本発明の範
囲内で、より小さい炭素数範囲に含まれることができ、およびある炭素数(単数または複
数)を具体的に除く炭素数の範囲は本発明に含まれ、指定された範囲の炭素数限界のいず
れかまたは両方を排除する下位範囲も本発明に含まれることがさらに理解される。従って
、C
1−C
12アルキル基は、そのような種類の直鎖および分枝基を含む、メチル、エチ
ル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウ
ンデシルおよびドデシルを含むことが意図される。従って、置換基部分へ広く適用される
ものとして炭素数範囲、例えば、C
1−C
12の同定は、本発明の特定の実施形態では、
炭素数範囲が置換基部分のより広い仕様内の炭素数範囲を有する部分の下位グループとし
てさらに制限されることを可能にすることを理解すべきである。一例として、炭素数範囲
、例えば、C
1−C
12アルキル基は、本発明の特定の実施形態では、C
1−C
4アルキ
ル、C
2−C
8アルキル、C
2−C
4アルキル、C
3−C
5アルキル基のような下位範囲
または広い炭素数範囲内の任意の他の下位範囲を包含するように、より制限的に指定され
てもよい。換言すれば、炭素数範囲は、そのような範囲があてはまる置換基、部分、また
は化合物について、選択グループのメンバーの特定のものが連続炭素数の下位範囲または
そのような選択グループ内の特定の炭素数種のいずれかとして選択できる選択グループと
して、その範囲内の炭素数種の各々を肯定的に記載するものとみなされる。
【0028】
同じ構築と選択の柔軟性は、指定された範囲、数値の制約(例えば、不等式、制約より
大きい、制約未満)、ならびに特定の形態の酸化状態およびを他の可変決定要因、電荷状
態、本開示の広い範囲内のドーパント源、注入種、および化学物質に適用可能な組成物に
ついて、原子、官能基、イオンまたは部分の数を特定する化学量論係数および数値にも適
用可能である。
【0029】
本発明の前駆体は、さらに様々な仕様および本明細書に記載の例示に関連して、特定の
置換基、基、部分または構造を除く但し書きまたは制限により特定の実施形態で特定する
ことができる。このように、本発明は、限定的に規定された組成物、例えば、R
iはC
1
−C
12アルキルであるが、R
jがシリルである場合R
iはC
4アルキルではない組成物
を意図する。
【0030】
従って、本開示は、その特徴、態様および実施形態に関して本明細書で様々に記載され
ているように、特定の実施において、そのような特徴、態様および実施形態の一部または
全部を含む、からなる、または本質的にからなるものとして構成でき、ならびにその要素
および構成要素が、本開示の種々のさらなる実施を構成するように集約される。本開示は
、そのような特徴、態様および実施形態、または本開示の範囲内で様々な変更および組み
合わせで選択されるもの(単数または複数)をそれに応じて意図する。
【0031】
一態様では、本開示は、基板にシリコンおよび/またはシリコンイオンを注入する方法
であって、
(a)式SiR
1R
2R
3R
4のモノシラン(式中、R
1、R
2、R
3およびR
4の各々
は独立してH;ハロゲン(F、Cl、Br、I);ヒドロキシ;アルコキシ;アセトキシ
;アミノ;場合によりヒドロキシ、アルコキシ、アセトキシおよび/またはアミノで置換
された式C
nH
2n+1のアルキル(式中、n=1から10);場合によりヒドロキシ、
アルコキシ、アセトキシ、および/またはアミノで置換された式C
nH
2n−1のシクロ
アルキル、ビシクロアルキルおよびポリシクロアルキル(式中n=1から10);場合に
よりヒドロキシ、アルコキシ、アセトキシ、および/またはアミノで置換された、C=C
結合を含む式C
nH
2nのアルケニル(式中n=1から10);フェニルおよび芳香族部
分を含むアリール;式=CH
2およびCR
1R
2の官能基を含むアルキレン(式中R
1お
よびR
2の各々は上記に指定されており、場合によりヒドロキシ、アルコキシ、アセトキ
シ、および/またはアミノで置換される);以下の式
【0032】
【化7】
の官能基を含むアルキリン(式中、RはC
1−C
10アルキル、アルキルのヒドロキシル
、ハロゲンまたはアミノ誘導体である);または式−OOCRのアシルオキシル(式中、
RはC
1−C
10アルキル、アルキルのヒドロキシル、ハロゲンまたはアミノ誘導体であ
る)である);
(b)少なくとも1つのSi−Si結合を含む、式Si
nH
yのジシランおよびポリシラ
ン(式中、n=1から8であり、非分岐および分岐鎖に対しy=2n+2、および環状化
合物に対しy=2n)および式Si
nR
1R
2・・・R
yの対応する置換ジシランおよび
ポリシラン(式中、n=1から8であり、R
1、R
2・・・R
yの各々は前出のR
1、R
2、R
3およびR
4の各々に指定されたとおりである);
(c)式H
3Si−X−SiH
3の架橋シリコン前駆体(式中、Xは−CR
1R
2−、G
eR
1R
2−、−NR−、−PR−、−O−、−S−、−SR
1R
2−、および−Se−
であり、R、R
1、R
2の各々は上記で指定されている)および式R
1R
2R
3Si−X
−SiR
4R
5R
6の対応する置換シリコン前駆体(式中、Xは上記で指定されており、
R
1、R
2・・・R
6の各々は前出のR
1、R
2、R
3およびR
4の各々に指定されたと
おりである);
(d)式H
3Si−X−SiH
2−Y−SiH
2−・・・Z−SiH
3の、または他の方
法でSi−Si結合を含む、多架橋、分岐および環状シリコン前駆体(式中、Xは−CR
1R
2−、GeR
1R
2−、−NR−、−PR−、−O−、−S−、−SR
1R
2−、お
よび−Se−であり、R、R
1、R
2の各々は上記で指定されている)および対応する置
換分岐シリコン前駆体(式中、X、Y、およびZ=CまたはN)および対応する環状シリ
コン前駆体;
(e)式H
2Si=SiH
2のシレンおよび式R
1R
2Si=SiR
3R
4の対応する置
換シレン(式中、R
1、R
2、R
3、R
4の各々は上記で指定されている);および
(f)以下の式
【0034】
【化9】
の対応する置換シリン(式中、R
1、R
2の各々は上記で指定されている);
(g)クラスタシリコン化合物;
(h)前記前駆体の1つ以上を含む予備混合物または並行流の混合物;および
(i)上記前駆体の1つ以上、ここで前記組成物は、少なくとも1つの同位体において天
然存在度を超えるように同位体濃縮されているガスを含む上記前駆体;
からなる群から選択されるシリコン前駆体を含む組成物からシリコンまたはシリコン含有
イオンを生成することであって、前記組成物はもっぱら(1)四フッ化ケイ素、(2)シ
ラン、(3)四フッ化ケイ素およびシランの混合物、または(4)四フッ化ケイ素、キセ
ノンおよび水素からなるものではないこと、および
基板にシリコンまたはシリコンイオンを注入すること
を含む方法を意図する。
【0035】
このような方法では、シリコン前駆体は、シリコンおよび/またはシリコン含有イオン
を生成するためにイオン化されてもよい。イオン化は任意の適切な方法で行うことができ
る。例えば、イオン化は、シリコンのドーパント種のイオンビーム(シリコンドーパント
種のイオンビームは基板にシリコンイオンを注入する電界によって加速される)を生成す
るように実施することができる。この方法は、シリコンをドープした材料を含む、製品の
物品、アセンブリ、またはサブアセンブリを製造する方法で行うことができる。製品の物
品、アセンブリまたはサブアセンブリは、任意の適切なタイプであってもよく、例えば、
半導体製品の物品、アセンブリ、およびサブアセンブリ、太陽エネルギー製品の物品、ア
センブリ、およびサブアセンブリ、フラットパネルディスプレイ製品の物品、アセンブリ
およびサブアセンブリの中から選択することができる。
【0036】
上述の方法は、シリコン前駆体および第2のガスが、注入処理ツールに対して並流され
て、ツール、または混合マニホールドまたは並行流ガスストリームを互いに混合する他の
構成要素もしくは導管に対する別箇のガス流ストリームとして同時に流されて、次いで処
理ツールに流される。あるいは、シリコン前駆体および第2のガスは、そのような目的の
ための予備混合された、そのような成分の混合物としてシリコン前駆体組成物中に存在し
てもよい。
【0037】
注入自体は任意の適切な種類であってよく、例えば、ビームラインイオン注入、プラズ
マ浸漬イオン注入、プラズマドーピングを含むことができる。
【0038】
本開示のいくつかの実施形態では、イオン化はイオン化チャンバ内で行われ、シリコン
前駆体組成物は送達導管中のイオン化チャンバに送達され、例えば、シリコン前駆体組成
物が冷却されなければ熱で誘導される劣化または分解の影響を受けやすい例では、イオン
化チャンバおよび送達導管の少なくとも1つが能動冷却される。このように、能動冷却は
、イオン化チャンバに入るシリコン前駆体組成物の温度を低下させることを含むことがで
きる。
【0039】
本開示の様々な実施形態では、シリコン前駆体は、シリコンの少なくとも1つの同位体
において天然存在度を超えるように同位体濃縮される。例えば、シリコン前駆体は、例え
ば
28Si、
29Siおよび
30Siからなる群から選択されるシリコンの1つ以上の同
位体において天然存在度を超えるように同位体濃縮することができ、例えば、
29Siに
おいて天然存在度を超えるように同位体濃縮することができる。様々な用途において、シ
リコン前駆体は、シリコン前駆体材料中に存在する全同位体種に基づいて、少なくとも1
0%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、6
0%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、9
9%以上、100%までのレベルまで
29Siにおいて同位体濃縮されてもよい。
【0040】
いくつかの特定の実施形態では、シリコン前駆体は、シリコン前駆体中に存在する全同
位体種に基づいて、
29Siレベルにおいて30%から70%、同位体濃縮されていても
よい。
【0041】
本開示の注入方法は、述べられたように、シリコン前駆体が、イオン化を目的として並
行流ガスと並流させて、行うことができる。並行流ガスは、任意の適切な種類であっても
よく、例えば、水素化物、ハロゲン(フッ素、臭素、塩素、ヨウ素)、ハロゲン化合物お
よび複合体、一酸化炭素、二酸化炭素、フッ化カルボニル、キセノン、二フッ化キセノン
、酸素、窒素、アルゴン、ネオン、クリプトン、ヘリウム、SiF
4、SiH
4、Si
2
H
6、メチルシラン、フルオロシラン、クロロシラン、セレン化水素、硫化水素、ジボラ
ン、メタン、アンモニア、ホスフィン、アルシンからなる群から選択できる。
【0042】
いくつかの実施形態では、シリコン前駆体組成物は、シリコン前駆体以外のガスを含ん
でもよく、そのような他のガスは、その少なくとも1つの同位体において天然存在度を超
えるように同位体濃縮できる。
【0043】
特定の実施形態において、シリコン前駆体組成物は、以下からなる群から選択されるシ
リコン前駆体を含んでいてもよい。
アルキルシラン;
架橋シロキサン;
式R
nSiH
(4−n)の化合物、式中0≦n≦4であり、R
nは、アルキル、アルコキ
シル、アミド、アルキレン、シリル、イミド、水素またはアセテートである;
アルキルジシラン;
トリシリルアミン;
メチルシラン;
(MeHSi)
4O
4;
Me
2SiH
2;
EtSiH
3;
Me
3SiH;
(MeO)
3SiH;
Me
3SiSiMe
3;
n−BuSiH
3;
(SiH
3)
3N;
(MeHSi)
4O
4,(TMCTS);
Me
2SiH
2;
Si
2H
6;
Si
3H
8;
Me
2SiF
2;
HSiF
3;
SiCl
4;
SiHCl
3;
SiH
2Cl
2;
SiH
3Cl;
(NMe)
2Si
2H
4;
Me
3Si(CH
2CH
2);
(Me
3Si)
3SiH;
(Me
2Si)
3(NHMe)
3;
(Me
3Si)
3GeH;
[(tBu)NCH=CHN(tBu)]Si;
(Me
3Si)
3N;
[(MeO)
3Si]
3N;
(C
2H
4O
2)
2Si;
Si(OOCCH
3)
4;
Me
3Si(NMe
2);
SiH(NMe
2)
3;
Me
3SiEt;
Me
2SiCH
2NH
2;
Me
3SiNHSiMe
3;
Si(OC
2H
5)
4;
部分的にフッ素化または塩素化された材料;
その場で生成された材料;
ハロゲンおよび水素の両方を含む分子;
ならびに
それらの誘導体および混合物。
【0044】
他の実施形態において、シリコン前駆体組成物は、以下からなる群から選択されるシリ
コン前駆体を含む:
(a)以下からなる群から選択されるシリコン含有前駆体:
(i)式Si(R
1R
2R
3R
4)または(R
1R
2)Si:(シリレン)のモノマー;
(ii)式[Si(R
1R
2R
3)]
2の二量体;
(iii)式[Si(R
1R
2)]
3の三量体;および
(iv))式[Si(R
1)]
4の四量体、
式中、R
1、R
2、R
3およびR
4は、それぞれ独立して:C
1−C
8アルキル;シリ
ル;アミノ;アミド;イミド;C
1−C
8アルコキシ;シロキシ;ハロ;モノ−、ジ−お
よびトリ−アルキルシリル(ここで、アルキルはC
1−C
8アルキル);モノ−およびジ
−アルキルアミノ(ここで、アルキルはC
1−C
8アルキル);
(b)ビピリジンおよびアルキンシラン付加物;
(c)セレンに直接結合したシリコン(Si−Se結合)を含むセレン化ケイ素、および
(d)少なくとも1つのシリコン同位体において天然存在度を超えるように同位体濃縮さ
れている前駆体(a)から(c)。
【0045】
いくつかの特定の実施形態では、本開示の方法は、上記(d)から選ばれる前駆体を含
むシリコン前駆体組成物を用いて実施することができる。
【0046】
本開示の注入方法は、イオン化がアークチャンバ内で行われ、アークチャンバが、その
内部に配置された、(1)ランタネーティド(lanthanated)タングステンラ
イナー、(2)WSiライナー、(3)シリコンライナー、および(4)グラファイトラ
イナーからなる群から選択されるアークチャンバライナーを有することができる。
【0047】
様々な特定の実施形態では、本開示の注入方法は、シリコン前駆体組成物が、グループ
Aからの少なくとも1つのシリコン前駆体ガス、場合により、グループB、C、およびD
からの追加のガス(単数または複数)を含み、グループAからのシリコン前駆体ガスが1
つだけ存在する場合、グループB、CおよびDからの少なくとも1つの追加ガスは並行流
ガスとして存在するか、あるいは前駆体ガス混合物中でシリコン前駆体ガスと混合され:
グループAは:
SiF
4
SiH
4
SiH
xF
y(式中、xおよびyの各々は0から4である)
SiH
xCl
y(式中、xおよびyの各々は0から4である)
SiF
xCl
y(式中、xおよびyの各々は0から4である)
SiH
xF
yCl
z(式中、x、yおよびzの各々は0から4である)
からなる群から選択されるシリコン前駆体ガスを含み;
グループBは:
H
2
PH
3
AsH
3
NH
3
H
2Se
H
2S
CH
4
GeH
4
B
2H
6
SiH
4
からなる群から選択される水素または水素化物ガスを含み;
グループCは:
Ne
Ar
Kr
He
Xe
からなる群から選択される不活性ガスを含み;および
グループDは:
N
2
O
2
からなる群から選択される他のガスを含む。
【0048】
別の態様において、本開示は
(a)は、四フッ化ケイ素、SiF
4を含むシリコン前駆体をイオン化することであって
、四フッ化ケイ素はフルオロ反応抑制剤と並流され、または予備混合され、および
(b)基板に前記イオン化からのシリコンイオンを注入すること
を含む基板にシリコンイオンを注入する方法に関する。
【0049】
フルオロ反応抑制剤は任意の適切な種類であってよく、例えば、特定の実施形態では、
(i)水素、(ii)水素化物ガス、および(iii)窒素の少なくとも1つを含む。他
の実施形態では、フルオロ反応抑制剤はシランを含むことができる。さらに他の実施形態
では、フルオロ反応抑制剤はアンモニアを含んでいてもよい。さらに別の実施形態では、
蛍光剤抑制剤は、窒素を含むことができる。
【0050】
さらなる態様における本開示は、基板にシリコンおよび/またはシリコンイオンを注入
するのに使用するシリコン前駆体組成物であって、前記組成物は、
(a)式SiR
1R
2R
3R
4のモノシラン(式中、R
1、R
2、R
3およびR
4の各々
は独立してH;ハロゲン(F、Cl、Br、I);ヒドロキシ;アルコキシ;アセトキシ
;アミノ;場合によりヒドロキシ、アルコキシ、アセトキシおよび/またはアミノで置換
された式C
nH
2n+1のアルキル(式中、n=1から10);場合によりヒドロキシ、
アルコキシ、アセトキシ、および/またはアミノで置換された式C
nH
2n−1のシクロ
アルキル、ビシクロアルキルおよびポリシクロアルキル(式中n=1から10);場合に
よりヒドロキシ、アルコキシ、アセトキシ、および/またはアミノで置換された、C=C
結合を含む式C
nH
2nのアルケニル(式中n=1から10);フェニルおよび芳香族部
分を含むアリール;式=CH
2およびCR
1R
2の官能基を含むアルキレン(式中R
1お
よびR
2の各々は上記に指定されており、場合によりヒドロキシ、アルコキシ、アセトキ
シ、および/またはアミノで置換される);以下の式
【0051】
【化10】
の官能基を含むアルキリン(式中、RはC
1−C
10アルキル、アルキルのヒドロキシル
、ハロゲンまたはアミノ誘導体である);または式−OOCRのアシルオキシル(式中、
RはC
1−C
10アルキル、アルキルのヒドロキシル、ハロゲンまたはアミノ誘導体であ
る)である);
(b)少なくとも1つのSi−Si結合を含む、式Si
nH
yのジシランおよびポリシラ
ン(式中、n=1から8であり、非分岐および分岐鎖に関してはy=2n+2、および環
状化合物に関してはy=2n)および式Si
nR
1R
2・・・R
yの対応する置換ジシラ
ンおよびポリシラン(式中、n=1から8であり、R
1、R
2・・・R
yの各々は前出の
R
1、R
2、R
3およびR
4の各々に指定されたとおりである);
(c)式H
3Si−X−SiH
3の架橋シリコン前駆体(式中、Xは−CR
1R
2−、G
eR
1R
2−、−NR−、−PR−、−O−、−S−、−SR
1R
2−、および−Se−
であり、R、R
1、R
2の各々は上記で指定されている)および式R
1R
2R
3Si−X
−SiR
4R
5R
6の対応する置換シリコン前駆体(式中、Xは上記で指定されており、
R
1、R
2・・・R
6の各々は前出のR
1、R
2、R
3およびR
4の各々に指定されたと
おりである);
(d)式H
3Si−X−SiH
2−Y−SiH
2−・・・Z−SiH
3の、または他の方
法でSi−Si結合を含む、多架橋、分岐および環状シリコン前駆体(式中、Xは−CR
1R
2−、GeR
1R
2−、−NR−、−PR−、−O−、−S−、−SR
1R
2−、お
よび−Se−であり、R、R
1、R
2の各々は上記で指定されている)および対応する置
換分岐シリコン前駆体(式中、X、Y、およびZ=CまたはN)および対応する環状シリ
コン前駆体;
(e)式H
2Si=SiH
2のシレンおよび式R
1R
2Si=SiR
3R
4の対応する置
換シレン(式中、R
1、R
2、R
3、R
4の各々は上記で指定されている);
(f)以下の式
【0052】
【化11】
のシリン、および以下の式
【0053】
【化12】
の対応する置換シリン(式中、R
1、R
2の各々は上記で指定されている);
(g)クラスタシリコン化合物;
(h)予備混合物または並行流の形態における前記前駆体の1つ以上;および
(i)少なくとも1つの同位体において天然存在度を超えるように同位体濃縮されている
前駆体を含む上記前駆体の1つ以上;
からなる群から選択される少なくとも1つのシリコン前駆体を含み、前記組成物は、もっ
ぱら(1)四フッ化ケイ素、(2)シラン、(3)四フッ化ケイ素およびシランの混合物
、または(4)四フッ化ケイ素、キセノンおよび水素からなるものではない前記組成物に
関する。
【0054】
特定の用途において前出の組成物は、シリコンの少なくとも1つの同位体、例えば、
2
8Si、
29Siおよび
30Siからなる群から選択されるシリコンの1つ以上の同位体
において天然存在度を超えるように同位体濃縮されているシリコン前駆体を含む。シリコ
ン前駆体は、例えば、
29Siにおいて天然存在度を超えるように同位体濃縮することが
できるか、または
29Si以外の同位体において天然存在度を超えるように同位体濃縮す
ることができる。様々な実施形態における前記組成物は、シリコン前駆体材料中に存在す
る全同位体種に基づいて、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%
、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%
、90%、95%、97%、98%、99%以上、100%までのレベルまで
29Siに
おいて同位体濃縮されているシリコン前駆体を含むことができる。他の実施形態では、シ
リコン前駆体は、シリコン前駆体中に存在する全同位体種に基づいて、
29Siレベルに
おいて30%から70%、同位体濃縮されていてもよい。
【0055】
示したように、本開示の組成物は、シリコン前駆体および並行流、例えば、水素化物、
ハロゲン(フッ素、臭素、塩素、ヨウ素)、ハロゲン化合物および複合体、一酸化炭素、
二酸化炭素、フッ化カルボニル、キセノン、二フッ化キセノン、酸素、窒素、アルゴン、
ネオン、クリプトン、ヘリウム、SiF
4、SiH
4、Si
2H
6、メチルシラン、フル
オロシラン、クロロシラン、セレン化水素、硫化水素、ジボラン、メタン、アンモニア、
ホスフィン、アルシンからなる群から選択される並行流を含むことができる。
【0056】
他の変形例では、シリコン前駆体組成物は、シリコン前駆体以外のガスを含んでもよく
、そのような他のガスは、その少なくとも1つの同位体において天然存在度を超えるよう
に同位体濃縮される。
【0057】
本開示のシリコン前駆体組成物は、以下からなる群から選択されるシリコン前駆体を含
んでいてもよい。
アルキルシラン;
架橋シロキサン;
式R
nSiH
(4−n)の化合物、式中0≦n≦4であり、R
nは、アルキル、アルコキ
シル、アミド、アルキレン、シリル、イミド、水素またはアセテートである;
アルキルジシラン;
トリシリルアミン;
メチルシラン;
(MeHSi)
4O
4;
Me
2SiH
2;
EtSiH
3;
Me
3SiH;
(MeO)
3SiH;
Me
3SiSiMe
3;
n−BuSiH
3;
(SiH
3)
3N;
(MeHSi)
4O
4,(TMCTS);
Me
2SiH
2;
Si
2H
6;
Si
3H
8;
Me
2SiF
2;
HSiF
3;
SiCl
4;
SiHCl
3;
SiH
2Cl
2;
SiH
3Cl;
(NMe)
2Si
2H
4;
Me
3Si(CH
2CH
2);
(Me
3Si)
3SiH;
(Me
2Si)
3(NHMe)
3;
(Me
3Si)
3GeH;
[(tBu)NCH=CHN(tBu)]Si;
(Me
3Si)
3N;
[(MeO)
3Si]
3N;
(C
2H
4O
2)
2Si;
Si(OOCCH
3)
4;
Me
3Si(NMe
2);
SiH(NMe
2)
3;
Me
3SiEt;
Me
2SiCH
2NH
2;
Me
3SiNHSiMe
3;
Si(OC
2H
5)
4;
部分的にフッ素化または塩素化された材料;
その場で生成された材料;
ハロゲンおよび水素の両方を含む分子;
ならびに
それらの誘導体および混合物。
【0058】
特定の用途において、前記組成物は、以下からなる群から選択されるシリコン前駆体を
含む:
(a)以下からなる群から選択されるシリコン含有前駆体:
(i)式Si(R
1R
2R
3R
4)または(R
1R
2)Si:(シリレン)のモノマー;
(ii)式[Si(R
1R
2R
3)]
2の二量体;
(iii)式[Si(R
1R
2)]
3の三量体;および
(iv))式[Si(R
1)]
4の四量体、
式中、R
1、R
2、R
3およびR
4は、それぞれ独立して:C
1−C
8アルキル;シリ
ル;アミノ;アミド;イミド;C
1−C
8アルコキシ;シロキシ;ハロ;モノ−、ジ−お
よびトリ−アルキルシリル(ここで、アルキルはC
1−C
8アルキル);モノ−およびジ
−アルキルアミノ(ここで、アルキルはC
1−C
8アルキル);
(b)ビピリジンおよびアルキンシラン付加物;
(c)セレンに直接結合したシリコン(Si−Se結合)を含むセレン化ケイ素、および
(d)少なくとも1つのシリコン同位体において天然存在度を超えるように同位体濃縮さ
れている前駆体(a)から(c)。
【0059】
組成物は、例えば、シリコン前駆体が(d)から選択されて、構成することができる。
【0060】
別の実施形態では、本開示は、グループAからの少なくとも1つのシリコン前駆体ガス
、場合により、グループB、C、およびDからの追加のガス(単数または複数)を含み、
グループAからのシリコン前駆体ガスが1つだけ存在する場合、グループB、CおよびD
からの少なくとも1つの追加ガスは並行流ガスとして存在するか、あるいは前駆体ガス混
合物中でシリコン前駆体ガスと混合されるシリコン前駆体組成物を意図し:
グループAは:
SiF
4
SiH
4
SiH
xF
y(式中、xおよびyの各々は0から4である)
SiH
xCl
y(式中、xおよびyの各々は0から4である)
SiF
xCl
y(式中、xおよびyの各々は0から4である)
SiH
xF
yCl
z(式中、x、yおよびzの各々は0から4である)
からなる群から選択されるシリコン前駆体ガスを含み;
グループBは:
H
2
PH
3
AsH
3
NH
3
H
2Se
H
2S
CH
4
GeH
4
B
2H
6
SiH
4
からなる群から選択される水素または水素化物ガスを含み;
グループCは:
Ne
Ar
Kr
He
Xe
からなる群から選択される不活性ガスを含み、および
グループDは
N
2
O
2
からなる群から選択される他のガスを含む。
【0061】
さらなる態様において、本開示は、予備混合物または並行流の形で、四フッ化ケイ素お
よびフルオロ反応抑制剤を含有する、シリコン前駆体組成物に関する。そのような組成物
中のフルオロ反応抑制剤は任意の適切な種類であってよく、例えば、水素、水素化物ガス
、窒素、シランおよびアンモニアの1つ以上を含むことができる。1つの特定の実施形態
では、フルオロ反応抑制剤は窒素を含むことができる。別の特定の実施形態では、フルオ
ロ反応抑制剤はアンモニアを含むことができる。
【0062】
本開示はさらに、本開示のシリコン前駆体組成物を保持する第1のガス供給容器、およ
びシリコン前駆体組成物と共に使用する並流ガスを保持する第2のガス供給容器を備えた
イオン注入システムのためのガス供給キットを意図する。
【0063】
このようなガス供給キットの特定の実施形態では、シリコン前駆体組成物は四フッ化ケ
イ素を含むことができ、並行流ガスはフルオロ反応抑制剤ガスを含むことができる。この
ようなガス供給キットは、四フッ化ケイ素が、少なくとも1つのシリコン同位体において
同位体濃縮されて、構成されてもよい。フルオロ反応抑制剤ガスは、水素、水素化物ガス
、窒素、シラン、およびアンモニアの1つ以上を含むことができる。ガス供給キットは、
1つのガス供給容器内にシリコン前駆体組成物を、別のガス供給容器内にフルオロ反応抑
制剤ガスとして、窒素またはアンモニアを含んでいてもよい。
【0064】
本開示のさらなる態様は、イオン注入システムで使用するために:本開示に係るシリコ
ン前駆体組成物を保持する第1のガス供給容器、およびシリコン前駆体組成物と共に使用
するための並行流ガスを保持する第2のガス供給容器を提供することを含むイオン注入シ
ステムの動作を強化する方法に関する。
【0065】
上述したように、第1のガス供給容器は、四フッ化ケイ素を含むことができ、第2のガ
ス供給容器は並行流ガスとしてフルオロ反応抑制剤ガスを含むことができる。
【0066】
シリコン前駆体組成物が四フッ化ケイ素を含む上記方法では、四フッ化ケイ素は、少な
くとも1つのシリコン同位体において同位体濃縮されていてもよい。
【0067】
フルオロ反応抑制剤ガスは、操作強化法では、任意の適切なガス、例えば、水素、水素
化物ガス、窒素、シラン、およびアンモニアの1つ以上を含んでもよい。
【0068】
さらなる態様において、本開示は、本開示のシリコン前駆体組成物を収容するガス貯蔵
および分配容器を含む、シリコン前駆体組成物の供給パッケージに関する。ガス貯蔵およ
び分配容器は、物理的吸着媒体、またはイオン性液体の貯蔵媒体のような、シリコン前駆
体組成物のための貯蔵媒体を含むことができる。他の実施形態では、ガス貯蔵および分配
容器は、容器の内部容積内に圧力調整アセンブリを含む圧力調整容器を含む。
【0069】
従って、本開示は、半導体ウェハ等の標的基板、またはマイクロエレクトロニクス製品
、太陽電池、フラットパネルディスプレイ等の製造に有用な他の基板にシリコン、シリコ
ンイオンまたはシリコン含有イオンを注入する方法を提供する。この方法は、イオンを有
するプラズマを生成するために、シリコン含有ドーパント材料をイオン化し、標的基板に
イオンを注入することにより行うことができる。
【0070】
本開示の実施に使用することができる例示的なシリコン含有ドーパント化合物または材
料の例としては、アルキルシラン、架橋シロキサン、式R
nSiH
(4−n)の化合物(
式中1≦n≦4であり、R
nは、アルキル、アルコキシル、アミド、アルキレン、シリル
、イミド、水素またはアセテート基である)、アルキルジシラン、ならびにこれらの誘導
体および混合物が挙げられる。適切なシリコン含有ドーパント化合物または材料の具体例
としては、トリシリルアミン、即ち(SiH
3)
3N;メチルシラン、即ちMeSiH
3
;TMCTS、即ち(MeHSi)
4O
4,;ジメチルシラン、即ちMe
2SiH
2;エ
チルシラン、即ちEtSiH
3;トリメチルシラン、即ちMe
3SiH;トリメトキシシ
ラン、即ち(MeO)
3SiH;ヘキサメチルジシラン、即ちMe
3SiSiMe
3;T
EOS、即ちSi(OC
2H
5)
4;およびn−ブチルシラン、即ちn−BuSiH
3が
挙げられる。追加のドーパント材料は、部分的にフッ素化または塩素化された材料、なら
びにその場で生成された材料、およびハロゲンと水素の両方を含有する分子を含む。
【0071】
適切な材料およびそれらに関連する特性の追加の例は、以下の表1および2に記載され
ている。
【0074】
好ましくは、本開示の実施において利用されるシリコン含有ドーパント化合物または材
料は、付随する最終使用条件下で気体状態にある。適切なドーパント源材料は、イオン注
入システムのイオン源チャンバに蒸気の十分な流れを提供するために十分な蒸気圧を有す
る液体もしくは固体のシリコン含有ドーパント化合物または材料も含む。
【0075】
様々な実施形態では、シリコンイオンまたはシリコン含有イオンは原料源材料から生成
され、イオン注入方法を介して基板の標的材料に注入される。
【0076】
1つの例示的な実施形態では、イオン源は、原材料としてシリコン含有ドーパントガス
で満たされた真空アークチャンバ内に電子を導入することによって、シリコンイオンを生
成する。シリコン含有ドーパントガスの中の分子と電子の衝突により正のシリコンイオン
を含む電離プラズマがもたらされる。イオンは平行にされてイオンビームとなり、標的材
料に向かって加速される。イオンビームは、所望の構成でシリコンイオンを注入するため
に、その中に複数の開口部を有するマスクを介して導かれてもよい。
【0077】
シリコンイオンを注入する他の手段は本開示の範囲内にあるので、本開示はこの点にお
いて限定されるものではない。
【0078】
本開示のシリコン前駆体は、同位体濃縮されているか、または濃縮されていないが、供
給ガス混合物、並行流配置(例えば、共同種(特性において濃縮されていてもされていな
くてもよい他のシリコン含有流体)および/または希釈ガス、ならびにシリコン前駆体が
断続的に繰り返し処理ツールに流されるシーケンシャルフローシステムに利用することが
できる。
【0079】
本開示のシリコン前駆体は、単一の同位体種で100%の同位体濃縮まで、任意の同位
体種のシリコン同位体において天然存在度を超えるように同位体濃縮されてもよい。
【0080】
本開示は、シリコン二量体、三量体、および四量体、ならびに他のクラスタシリコン注
入組成物の注入を意図する。シリコン前駆体組成物は、イオン注入のためのシリコンの2
つ以上の原子および/または他の原子を含むイオン種を提供するように構成してもよい。
2つ以上のシリコン原子を含む前駆体としては、ジシラン、トリシラン、及びSi−Si
結合を含む他の化合物が挙げられる。炭素、ゲルマニウム、ホウ素、リン、または他の成
分を含有する置換シランを、そのようなシリコン前駆体から誘導されたシリコン注入種の
アモルファス化効率を向上させるために使用することができる。例えば、本開示は、それ
に応じた注入基板において引張または圧縮応力を付与するために、対応するシリコン前駆
体に由来する、Si−およびC−含有種、またはSi−およびGe−含有種を意図する。
【0081】
別の態様では、四フッ化ケイ素、SiF
4中に存在するフッ素の有害な影響は、有意に
、(i)水素、または、例えば、SiH
4、NH
3等の水素化物ガス、および/または(
ii窒素(N
2)とのSiF
4の並行流または混合物によって軽減される。この取り組み
は、水素および/または窒素がアークチャンバの材料、例えば、タングステンまたはモリ
ブデンによってフッ素化反応を妨害し、それによってフッ素反応を減少させ、それに応じ
て、エッチング、堆積およびハロゲンサイクルを軽減することに基づく。我々は実験的に
、SiF
4が水素、窒素、または水素と窒素の両方と混合されたときに、SiF
4ビーム
中のF+、W+およびWF
xピークが大幅に低減されることを実証した。このような混合
物を達成する方法は、フルオロ反応抑制剤成分とのSiF
4の並行流、または予備混合物
のいずれかであり得る。フルオロ反応抑制剤、例えば、H
2またはH
2/N
2の濃度は、
四フッ化ケイ素およびフルオロ反応抑制剤成分の全体積に基づいて、0.001体積%か
ら99.999体積%、より好ましくは0.01体積%から30体積%、最も好ましくは
2体積%から20体積%である。
【0082】
並行流または混合物成分としてのフルオロ反応抑制組成物の使用は、有利には、任意の
適切な種類の注入装置で使用される。一般に、本開示の組成物および方法は、半導体、太
陽電池、フラットパネル製品、例えば、ビームライン注入装置、PLADツールのような
プラズマ浸漬ツール、イオンシャワー注入装置等の製造に使用するのに適した注入装置を
用いて行うことができる。
【0083】
反応抑制剤を使用する取り組みは、例えば、水素、アンモニア、他の水素化物ガスおよ
び/または窒素等のガスとの並行流または混合物において、例えば、GeF
4、AsF
3
、およびPF
3/PF
5のような他のフッ化物ガスを使用して適用することができる。
【0084】
具体的な態様では、本開示は、ビームの性能および/またはソース寿命の改善を提供す
るために、ガス並行流または予備混合物の使用に関する。
【0085】
ガスは、並行流、予備混合物、または並行流および予備混合物の組み合わせを含む配置
に利用することができる。このような目的のために、ガス組成物は合計2から50種のガ
スを含むことができ、個々のガス種は0.0001モル%から99.9999モル%の範
囲であり得る濃度で並行流または予備混合物中に存在し、全ての並行流または予備混合物
成分は合計で100モル%となる。
【0086】
本開示のシリコン前駆体は、任意の適切な方法で任意の適切なイオン化装置またはシス
テムを利用して注入用途のためにイオン化することができる。例えば、電子衝撃、無線周
波数暴露、マイクロ波の衝突、パルスプラズマ法、IHCプラズマ処理を含んでイオン化
を行うことができる。シリコン前駆体は、処理ツール上の前駆体供給容器の配置によって
、あるいは前駆体供給容器の遠隔送達配置によって、あるいは遠隔または使用時のいずれ
かでシリコン前駆体のオンデマンド発生によって、任意の適切な方法で使用の場所に送達
することができる。
【0087】
シリコン前駆体に由来するシリコン注入種の注入は、半導体製品、集積回路、太陽電池
、フラットパネルディスプレイ、LEDおよび他のイオン注入製品をはじめとする、任意
の適切な用途に利用することができる。
【0088】
本開示のシリコン前駆体は、ビーム電流、イオンビームの時間的および空間的安定性の
絶対値の増大のような、イオンビーム法におけるビーム電流の改善をはじめとする、シリ
コン注入における方法の改善を可能にし、さらにイオン源性能を高めることができ、例え
ば、ソース寿命を延長することができる。
【0089】
イオン注入システムのイオン源への本開示のシリコン前駆体の送達において、アークチ
ャンバの冷却および/またはアークチャンバへの送達ラインの冷却は、熱的に安定でなく
、そのような冷却なしではアークチャンバ内で受けとられる前に分解するであろうシリコ
ン前駆体に対し使用することができる。他の実施形態では、送達ライン内の凝縮を避ける
ために、アークチャンバへの送達ラインは、シリコン前駆体の蒸気送達のために加熱する
ことができる。
【0090】
また、ソース寿命および/またはビーム電流は、他の実施形態では、適切なアークチャ
ンバライナー材料を使用することによって改善することができる。例示的なライナーとし
ては、ソース寿命を改善する上で重要な有益であり得るランタネーティドタングステンラ
イナー、そうでなければ100%のタングステンライナーで発生する可能性がある反りを
抑制し得るWSiライナー、ソース障害を引き起こすおそれがあり、チーム電流を増加さ
せる可能性があるハロゲンサイクルを減らすのに役立ち得るシリコンライナー、およびグ
ラファイトライナーを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0091】
ここで図面を参照すると、
図1は、図示されたイオン注入チャンバ内の基板のイオン注
入ドーピングのために供給されるシリコン含有ドーパントガスまたは他のシリコン前駆体
原料を収容する貯蔵および分配容器を含むイオン注入処理システムの概略図である。
【0092】
イオン注入処理システム300は、図示されたイオン注入チャンバ301内の基板32
8のイオン注入ドーピングのために供給されるシリコン原料を保持する貯蔵および分配容
器302を含む。
【0093】
貯蔵および分配容器302は、シリコン原料を保持する内部容積を囲む容器壁306を
含む。
【0094】
容器は、ガスのみを保持するように配置された内部容積を有する、従来型のガスボンベ
であってもよいし、あるいは、容器は、シリコン含有ドーパント源ガスに対し収着親和性
を有する吸着材料を含み、ドーパント源ガスが分配条件下で容器から排出するために脱着
可能であってもよい。
【0095】
貯蔵および分配容器302は、排出ライン312とガス流れ連通状態で連結されたバル
ブヘッド308を含む。圧力センサ310は、質量流量コントローラ314と一緒に、ラ
イン312内に配置される。他の監視および検出部品がラインと連結されて、コントロー
ル手段、例えば、アクチュエータ、フィードバックおよびコンピュータ制御システム、サ
イクルタイマーとインターフェースで連結することができる。
【0096】
イオン注入チャンバ301は、ライン312から分配されたシリコン含有源材料を受け
とり、イオンビーム305を発生させるイオンビーム発生装置またはイオナイザー316
を含む。イオンビーム305は、必要なイオンを選択し、選択されなかったイオンを拒絶
する質量分析部322を通過する。
【0097】
選択されたイオンは、加速電極アレイ324を通過し、次いで偏向電極326を通過す
る。結果として焦点を当てられたイオンビームは、スピンドル332に取り付けられた回
転可能なホルダー330上に配置された基板要素328に入射される。Si+イオンまた
は他のシリコン含有イオンのイオンビームは、シリコンドープ構造を形成するために所望
のように基板をドープするために使用される。
【0098】
イオン注入チャンバ301のそれぞれのセクションは、それぞれポンプ320、342
および346によりライン318、340および344を介して排出される。
【0099】
任意の適切なイオン源は
図1に示す種類のイオン注入システム、例えば、M.A. G
rafらに対し2000年10月24日に発行されたUS特許6135128により完全
に記載された種類のイオン源に有用に使用することができる。
【0100】
イオン源は、例えば、プラズマチャンバを画定するハウジングと、イオン抽出装置アセ
ンブリを含んでもよい。エネルギーは、プラズマチャンバ内にイオンを生成するためのイ
オン化可能なシリコン源材料に付与される。イオンは、複数の電極を含むイオン抽出装置
アセンブリによってプラズマチャンバのスリットを介して抽出される。従って、イオン抽
出装置アセンブリは、抽出開口板を介してプラズマチャンバからイオンビームを抽出し、
質量分析磁石に向かって抽出されたイオンを加速する働きをする。
【0101】
このような配置では、イオン化可能なシリコン源材料をこれに適した供給装置から流し
、その中に質量流量コントローラを含む導管を介してプラズマチャンバに注入することが
できる。供給装置としては、吸着剤ベースのガス貯蔵および供給容器、例えば、商標SD
Sの下でインテグリス(米国マサチューセッツ州ビレリカ)から市販されている種類のも
の、内部のガス圧調整器を含む圧力調整容器、例えば、商標VACの下でインテグリス(
米国マサチューセッツ州ビレリカ)から市販されている種類のもの、内部のガス圧調整器
を含む圧力調整容器、例えば、商標VACSorbの下でインテグリス(米国マサチュー
セッツ州ビレリカ)から市販されている種類のものが挙げられ、または、固体ドーパント
源材料を用いる場合、ソースは固体源容器、例えば、商標ProEvapの下でインテグ
リス(米国マサチューセッツ州ビレリカ)から市販されている種類のものを含んでいても
よい。
【0102】
シリコン含有源材料が使用される本開示のイオン注入方法は、当該技術分野の技術の範
囲内で、本明細書の開示に基づいて、広範囲のイオン注入システムで実施することができ
、シリコンがドープされた部品または装置構造を含む広範囲のマイクロエレクトロニクス
製品、例えば、半導体製品の商業生産を可能にする。
【0103】
図2は、イオン注入システムのアークチャンバ内のプラズマの発生を模式的に示す、イ
オン注入装置の断面であり、ガス供給ラインは、冷却されない場合分解を受けやすい本開
示の前駆体に有用であるように、当該ラインの能動冷却を提供するように配置される。
【0104】
イオン注入システム10は、チャンバ内でのそのイオン化のためにアークチャンバに、
本開示の前駆体を供給するためのガス供給ライン14を有するアークチャンバ12を含む
。プラズマ16は、そのようなシステムのアークチャンバ12で生成される。前駆体ガス
は、供給ラインおよびアークチャンバに入るガスの熱的状態の良否を判定するために関係
を監視することにおいて、前駆体ガス供給ラインに固定された監視熱電対TCIおよびT
C2を有する前駆体ガス供給ライン14に向かって矢印Aで示す方向に流される。
【0105】
このイオン注入装置10において、前駆体ガス供給ラインは、当該ラインの能動冷却に
適合している。具体的には、前駆体ガス供給ライン14は、冷却媒体が矢印Bに示す方向
に従って流れる冷媒通路20に関連付けられている。監視熱電対TC1およびTC2は、
供給ラインおよびアークチャンバに入るガスの熱的状態の良否を判定するために駆体ガス
供給ラインに対する関係を監視することにおいて固定されている。
【0106】
冷媒通路は、前駆体ガス供給ライン上の冷却ジャケットのように構成することができ、
または前駆体ガス供給ラインを囲むか、これと互いにかみ合う通路を含むことができ、ま
たはガス供給ライン内およびアークチャンバ内に詰まった固体副産物の分解および堆積が
回避されるように前駆体ガスに対し冷却を提供するのに有効な他の熱交換または冷媒要素
、配列またはアセンブリを含むことができる。
【0107】
前駆体ガス供給流の冷却装置は、前駆体ガスの必要な冷却を行うために任意の適切な方
法で実装され、動作させることができることが理解されるであろうし、冷却装置は、さら
にイオン源のための熱管理制御システムと統合することができ、冷媒の流量および他の動
作パラメータは、そうでなければイオン注入の使用には適さないであろう前駆体ガスによ
る効果的なイオン注入のために適切に設定される。このような冷却装置は、本開示の、対
応して変化させた前駆体ガスを利用する広範な種類のイオン注入システムで利用すること
ができる。
【0108】
図3は、本開示の1つの実施形態による、イオン注入システムにガスを並行流供給する
ために配置されたイオン注入システムのイオン源の断面図である。イオン源112は、プ
ラズマチャンバ122を画定するハウジングと、イオン抽出装置アセンブリを備える。エ
ネルギーは、プラズマチャンバ122内にイオンを生成するためにイオン化可能な前駆体
ガスに付与される。本開示は、負イオンが前駆体ガスによって生成されるシステムにも適
用可能であるが、一般に正イオンが生成される。正イオンは、複数の電極142を含むイ
オン抽出装置アセンブリ124によってプラズマチャンバ122のスリットを介して抽出
される。このように、イオン抽出装置アセンブリは、抽出開口板146を介してプラズマ
チャンバから正イオンビームを抽出し、質量分析磁石(
図3中に示されない)に向かって
抽出されたイオンを加速する働きをする。
【0109】
イオン化可能な前駆体ガスは、イオン化可能な前駆体ガスの源166から流され、その
中に質量流量コントローラ168を含む導管170を介してプラズマチャンバ122に注
入される。源166としては、吸着剤ベースのガス貯蔵および供給容器、例えば、商標S
DSの下でインテグリス(米国マサチューセッツ州ビレリカ)から市販されている種類の
もの、内部のガス圧調整器を含む圧力調整容器、例えば、商標VACの下でインテグリス
(米国マサチューセッツ州ビレリカ)から市販されている種類のものが挙げられ、または
、固体ドーパント源材料を用いる場合、源166は固体源容器、例えば、商標ProE−
Vapの下でインテグリス(米国マサチューセッツ州ビレリカ)から市販されている種類
のものを含んでいてもよい。プラズマチャンバ122は、チャンバ内部でイオン化領域4
20に結合した導電性チャンバ壁412、414、416を有する。側壁414は、プラ
ズマチャンバ122の中心軸415について円対称である。分解磁石に対向する導電性壁
416は、プラズマチャンバ支持体422に接続されている。壁416は、イオンがプラ
ズマチャンバ122を出て、複数の離間した、電気的に絶縁された抽出電極124の下流
の位置でイオンビームを形成するために結合することを可能にする複数の開口部を有する
開口板146を支持する。開口板146は、離間した抽出電極142において同様に構成
された複数の開口部と位置合わせする特定のパターンに配置された多数の開口部を含む。
図3では、たった1つのそのような開口部が示される。
【0110】
金属製のアンテナ430は、プラズマチャンバ122にエネルギーを放出するためのチ
ャンバ内部に露出した金属面432を有する。プラズマチャンバ122の外側の電源43
4は、プラズマチャンバ122内にイオン化電場を誘導するよう金属製のアンテナに交流
電流を設定するための、適当な特性の無線周波数(RF)で、例えば、約13.56メガ
ヘルツ(MHz)のRF信号で、金属製のアンテナ430に通電する。アンテナの電力は
、特定のイオン化操作に適した任意の適切な大きさであってよく、例えば、500から3
000ワット(W)のオーダーの電力であってよい。ソースチャンバ内の圧力は、例えば
、1から10ミリトルのオーダーであることができ、源112は低圧、高密度誘導源とし
て機能する。プラズマチャンバ122は、アンテナ430および開口板146の間にチャ
ンバ内部の領域を通って延在する磁気フィルタアセンブリ440を含むことができる。
【0111】
アンテナ430は、取り外し可能な支持板450により、プラズマチャンバ122内に
配置することができる。支持板450は、それを通ってアンテナが延びる円形の切り欠き
452を有する場所で側壁414によって支持される。アンテナ430のための支持板4
50は、イオン化領域420内のアンテナ430の露出したU字状の金属部432を配置
しながら、チャンバ壁414内の切り欠き452内に嵌合するように寸法決めされる。
【0112】
支持板450は、2つの真空圧力継手456を収容する2つの貫通通路を規定する。ア
ンテナ430の脚長セグメント457が継手を通って押された後、端部キャップ458は
、継手456および脚セグメント457の間の接触領域を密閉するために継手にねじ込ま
れる。アンテナ430は、好ましくはその放射線放出領域においてU字形であり、例えば
、アルミニウムから構成することができる。このチューブは、圧力継手456を通過する
ような寸法の外径を有する。使用中のアンテナは、その周囲から熱を吸収する。この熱を
放散するために冷媒がチューブの中心を通って送られる。
【0113】
板450は、プラズマチャンバの内部に露出しているほぼ平坦な面460を有しており
、チャンバ内部から離れて対向する平行な外面462を含む。板450のフランジ部46
4は壁414の切り欠き部を囲み、コネクタ472によって壁414に取り付けられたリ
ング磁石470を覆っている。支持板450に取り付けられた強磁性体インサート474
は、プレート450が切り欠き452内に配置されるように磁石470の上に適合し、強
磁性体インサート474および磁石470は、チャンバ内部に延びるアンテナ430との
所定の位置に板450を固定するために互いに引き合う。
【0114】
イオン源の作動中、熱が発生し、この熱は、壁412、414、416、418によっ
て吸収される。吸収された熱は、壁を通り、第2の出口継手(図示せず)によってチャン
バから離れる通路に水を送るために、継手476を介して導入される冷媒によってチャン
バ122から除去することができる。この構成により、壁の温度は100℃未満の温度に
維持することができ、イオン源112は冷たい壁のあるイオン源として機能する。
【0115】
支持板450の近くのアンテナ430の領域は、イオン注入装置の作動中にスパッタさ
れた材料による被覆を特に受けやすい。そのようなスパッタリングの影響を最小限にする
ために、アンテナが支持板450に挿入される前に、2つの遮蔽480をアルミニウムの
アンテナ上に嵌めこむことができる。これらの遮蔽は、好ましくはアルミニウムから構成
され、遮蔽とアンテナ430の露出したアルミニウムの外表面との間の摩擦嵌合によって
所定の位置に保持される。
【0116】
イオン源112の作動中に、ドーパント元素の堆積物が、イオン化領域420の境界を
示す内壁412、414および416上に形成し得る。本開示は、イオン源112が通常
の作動条件の下で作動している間、源ガスと同時に並行流ガスを流すことを意図する。並
行流ガス源482および対応する質量流量コントローラ484が提供されてもよく、プラ
ズマチャンバ122に送達される前に導管170内で質量流量コントローラ484の並行
流ガス出力が質量流量コントローラ168の前駆体ガスの出力と組み合わされる。あるい
は、前駆体ガスと並行流ガスはプラズマチャンバに別々に送達することができる。
【0117】
前駆体ガス源166は、他の材料、例えば、洗浄物質、希釈剤、反応抑制剤、平衡指向
材料、反応剤、冷媒との予備混合物または組み合わせにおいて前駆体ガスを含有してもよ
いことが認識されるであろう。あるいは、並行流ガス源482は、洗浄剤、希釈剤、反応
抑制剤、平衡指向材料、反応剤、冷媒等との混合物または組み合わせにおいて並行流ガス
(単数または複数)を含んでいてもよい。任意のそのような補助的な材料は、源容器およ
び/または他の供給装置の構成要素の任意の適切な構成を使用して、イオン源および/ま
たは関連するフロー回路に供給することができる。
【0118】
このように、並行流ガスは、イオン源チャンバへの前駆体ガスおよび並行流の並流のた
めに、前駆体ガスを供給する源容器との関係で同じまたは異なる源容器から供給すること
ができる。
【0119】
並行流ガスは、イオン源チャンバ内の望ましくない堆積を、そのような堆積を引き起こ
すであろう反応を抑制することにより、調節するのに役立ち得、またはイオン源チャンバ
のその場での洗浄を実施する洗浄ガスを含むことができる。様々な洗浄ガスがそのような
目的のために使用でき、XeF
2およびNF
3のような反応性フッ化物が挙げられるが、
これらに限定されない。
【0120】
並行流および前駆体ガス蒸気の相対流量は、有利には、それぞれの並行流ガスストリー
−ムに適した並流条件を確立するために、本明細書の開示に基づいて、この分野の技能の
範囲内で経験的な技術または他の技術によって決定される。
【0121】
本開示は、特定の態様、特徴、および例示的な実施形態を参照して本明細書に記載され
ているが、本開示の有用性はこのように限定されず、むしろ多数の他の変形、修正および
代替実施形態に拡大し、これらを包含することが理解され、本明細書に基づいて、本開示
の分野の当業者に示唆されるであろう。それに応じて、以下のように請求された発明は、
その精神および範囲内で、全てのこのような変形、修正および代替実施形態を含むものと
して、広く理解され、解釈されることが意図される。