【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 〔掲載年月日〕平成28年2月9日〔掲載アドレス〕https://www.kewpie.co.jp/company/corp/newsrelease/2016/13.html
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明の目的は、凝固卵白小片物を用いているにもかかわらず、カニの身を散りばめたような華やかな外観を呈し、かつ咀嚼、嚥下困難者が容易に摂食できる形状、物性を有する、凝固卵白小片物含有食品及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた。
その結果、固形物を含有し、かつ投入する卵白を所定の濃度に調整するならば、意外にも、凝固卵白小片物を用いているにもかかわらず、カニの身を散りばめたような華やかな外観を呈し、かつ咀嚼、嚥下困難者が容易に摂食できる形状、物性を有する、凝固卵白小片物含有食品が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、
(1)液部及び目開き1mmの篩上に残る固形物を含む固形物含有液を調製した後、
該固形物含有液に卵白希釈液を添加し、最長径0.1cm以上の凝固卵白小片物を調製する工程を有する、
凝固卵白小片物含有食品の製造方法であって、
前記卵白希釈液が未調製の液卵白と比較し、1.1〜1.5倍希釈相当量のものである、
凝固卵白小片物含有食品の製造方法、
(2)(1)記載の凝固卵白小片物含有食品の製造方法において、
前記液部の粘度が2〜1000mPa・sである、
凝固卵白小片物含有食品の製造方法、
(3)(1)又は(2)に記載の凝固卵白小片物含有食品の製造方法において、
前記固形物含有液に含まれる前記固形物の割合が20〜60%である、
凝固卵白小片物含有食品の製造方法。
(4)(1)乃至(3)のいずれかに記載の凝固卵白小片物含有食品の製造方法において、
前記固形物が体積0.2〜5cm
3の固形物を含む、
凝固卵白小片物含有食品の製造方法、
(5)(1)乃至(4)のいずれかに記載の凝固卵白小片物含有食品の製造方法において、
前記固形物全体に対する体積0.2〜5cm
3の固形物の割合が50%以上である、
凝固卵白小片物含有食品の製造方法、
(6)最長径0.1cm以上の凝固卵白小片物の割合が1〜20%であり、
最長径0.1cm以上の凝固卵白小片物に含まれる最長径0.3〜1.5cmの凝固卵白小片物の個数の割合が50%以上である、
凝固卵白小片物含有食品、
(7)(6)記載の凝固卵白小片物含有食品において、
体積0.2〜5cm
3の固形食品を含む、
凝固卵白小片物含有食品、
である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、凝固卵白小片物を用いているにもかかわらず、カニの身を散りばめたような華やかな外観を呈し、かつ咀嚼、嚥下困難者が容易に摂食できる形状、物性を有する、凝固卵白小片物含有食品を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下本発明を詳細に説明する。なお、特段の限定をしている場合を除き、本発明において「%」は、「質量%」を、「部」は「質量部」を意味する。
【0011】
<本発明の特徴>
本発明は、所定の液部及び目開き1mmの篩上に残る固形物を含む固形物含有液を調製した後、該固形物含有液に卵白希釈液を添加し、最長径0.1cm以上の凝固卵白小片物を調製する工程を有する凝固卵白小片物含有食品の製造方法であって、
該製造方法を行うことにより、カニの身を散りばめたような華やかな外観を呈し、かつ咀嚼、嚥下困難者が容易に摂食できる形状、物性を有する、凝固卵白小片物含有食品を得ることができる
【0012】
<固形物含有液>
本発明における固形物含有液とは、目開き1mmの篩上に残る固形物と、前記固形物を除いた液部を含む。
前記固形物含有液に含まれる目開き1mmの篩上に残る固形物の割合は20〜60%であるとよく、さらに30〜50%であるとよい。
【0013】
<固形物>
本発明の固形物含有液を構成する固形物とは、目開き1mmの篩上に残るものをいう。従って、目開き1mmの篩を通過する極めて小さな固形物は、実質的に液部の一部とみなす。
前記固形物の種類は、食品製造に用いることができるものであれば特に限定するものではない。例えば、ダイコン、ニンジン、タマネギ、ナス、カボチャ、ジャガイモ等の野菜類、牛肉、豚肉、鶏肉等の肉類、マグロ、カツオ、サケ、ブリ、アサリ、シジミ、イカ、カニ等の魚介類等の固形食品を用いることもできるし、金属、プラスチック、樹脂等の非食品原料を用いることもできる。
【0014】
また、前記固形物は、体積が0.2〜5cm
3の固形物を含有するとよく、さらに0.5〜2cm
3の固形物を含有するとよい。
固形物の体積が、前記範囲であることにより、固形物含有液に添加した卵白希釈液と固形物との接触が適度になされ、卵白希釈液が拡散することで、カニの身を散りばめたような華やかな外観を呈し、かつ咀嚼、嚥下困難者が容易に摂食できる形状、物性の凝固卵白小片物含有食品を得やすくなる。
【0015】
<体積0.2〜5cm
3の固形物の割合>
前記固形物に含まれる体積0.2〜5cm
3の固形物の割合は、50%以上であるとよく、さらに75%以上であるとよく、85%以上であるとよりよい。
体積0.2〜5cm
3の固形物の割合が前記範囲の場合、添加した卵白希釈液が適度に拡散するため、カニの身を散りばめたような華やかな外観を呈し、かつ咀嚼、嚥下困難者が容易に摂食できる形状、物性の凝固卵白小片物含有食品が得られやすい。上限値は特に限定していないが、100%でもよい。
【0016】
<液部>
本発明の固形物含有液を構成する液部は、固形物含有液から上述の固形物を除いたものである。
前記液部に用いる原料としては、清水の他、本発明の効果を損なわない範囲で例えば、醤油、食酢、味醂、酒、牛乳、投豆等の液状原料を用いることができ、また、それらの液状原料に、塩、砂糖、胡椒、アミノ酸等の調味料や、キサンタンガム、グアーガム、タマリンドシードガム等、澱粉、またはそれを加工した加工澱粉、寒天、ゼラチン、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等の粉末原料を適宜添加して用いることもできる。
【0017】
<液部の温度>
前記液部の温度は、希釈卵白液が凝固する温度であれば特に限定しないが、80℃以上であるとよく、さらに90℃以上であるとよく、95℃以上であるとよりよい。
液部の温度が前記範囲であることにより、卵白希釈液が速やかに凝固するため、カニの身を散りばめたような華やかな外観を呈し、かつ咀嚼、嚥下困難者が容易に摂食できる形状、物性の凝固卵白小片物含有食品を調製しやすい。
【0018】
<液部の粘度>
前記液部の粘度は特に限定しないが、添加した卵白希釈液が液部で適度に拡散し、カニの身を散りばめたような華やかな外観を呈し、かつ咀嚼、嚥下困難者が容易に摂食できる形状、物性になりやすいため、2〜1000mPa・sであるとよく、3〜200mPa・sであるとよく、さらに5〜50mPa・sであるとよりよい。
なお、前記粘度は、B型粘度計、ローターNo.10、品温25℃、粘度が10mPa・s未満の場合は60rpm、10〜20mPa・sの場合は30rpm、20〜50mPa・sの場合は12rpm、50〜100mPa・sの場合は6rpm、100〜200mPa・sの場合は3rpm、200〜400mPa・sの場合は1.5rpm、400〜1000mPa・sの場合は0.6rpm、1000〜2000mPa・sの場合は0.3rpmの条件で測定した値である。
【0019】
また、前記液部の粘度を調整するため、増粘剤を含有することができる。増粘剤の種類は特に限定しないが、例えば、キサンタンガム、グアーガム、タラガム、タマリンドシードガム、ジェランガム等のガム類、芋、タピオカ、米等を原料とした澱粉類、またそれらの澱粉に化学的処理を施したアセチル化アジピン酸架橋澱粉、アセチル化リン酸架橋澱粉、アセチル化酸化澱粉、オクテニルコハク酸澱粉ナトリウム、酢酸澱粉、酸化澱粉、ヒドロキシプロピル澱粉、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉、リン酸モノエステル化リン酸架橋澱粉、リン酸化澱粉、リン酸架橋澱粉等の加工澱粉等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
【0020】
<卵白希釈液>
本発明に用いる卵白希釈液は、未調製の液卵白と比較し、1.1〜1.5倍希釈相当量のものであり、さらに1.2〜1.5倍希釈相当量のものであるとよく、さらに1.3〜1.4倍希釈相当量のものであるとよりよい。
卵白希釈液が前記範囲に希釈されていることにより、卵白希釈液を固形物含有液に添加した際、卵白希釈液が適度に拡散することにより、カニの身を散りばめたような華やかな外観を呈し、かつ咀嚼、嚥下困難者が容易に摂食できる形状、物性の凝固卵白小片物を得ることができる。そのため、前記卵白希釈液は、上記範囲に希釈されているとともに、未調製の液卵白よりも粘度が低いとよりよい。
なお、前記未調製の液卵白とは、割卵後、分離した直後の液卵白であり、希釈等の調製を行っていない液卵白のことを指す。
【0021】
また、前記卵白希釈液は、未調製卵白液と比較して前記範囲に希釈されていれば、卵白希釈液の調製に用いる原料卵白の種類は特に限定しない。鶏卵を割卵後、分離した液卵白だけでなく、それらを濾過、殺菌、濃縮、乾燥、凍結等の処理を行ったものを用いることができる。例えば、原料卵白として乾燥卵白を用いた場合は、水戻し後の卵白希釈液が上述の希釈相当量になるように、乾燥卵白に清水を混合すればよい。
さらに、濾過処理をした原料液卵白を用いて卵白希釈液を調製すると、固形物含有液に添加した際に、卵白希釈液が適度に拡散しやすく好ましい。
【0022】
また、前記原料卵白の希釈に用いる溶液の種類は特に限定せず、清水や、清水に食塩、砂糖、醤油、みりん、酒、食酢、アミノ酸等の各種調味料を添加した溶液を用い、希釈することができる。
【0023】
<凝固卵白小片物の調製>
本発明の凝固卵白小片物は、上述の卵白希釈液が熱で凝固したものであるが、固形物含有液に前記卵白希釈液を添加することにより調製することができる。
前記卵白希釈液を固形物含有液に添加する条件は、特に限定しないが、固形物含有液を2rpm以上15rpm以下で撹拌した状態で卵白希釈液を投入するとよく、さらに5rpm以上10rpm以下であるとよい。
【0024】
また、固形物含有液に卵白希釈液を投入する速度は、10〜100mL/秒であるとよく、さらに10〜70mL/秒であるとよい。
撹拌速度及び投入速度が前記範囲内であると、カニの身を散りばめたような華やかな外観を呈し、かつ咀嚼、嚥下困難者でも容易に摂食できる形状、物性を有する、凝固卵白小片物含有食品を調製しやすい。
【0025】
さらに、前記凝固卵白小片物の調製において、前記固液物含有液に投入する前記卵白希釈液の割合は特に限定していないが、前記固形物含有液に含まれる前記固形物100部に対して、前記卵白希釈液を卵白タンパク質換算で0.5〜5部であるとよく、さらに1〜3部であるとよい。
卵白希釈液の投入割合が前記範囲内であると、前記固形物と前記卵白希釈液の接触が適度におきるため、卵白希釈液が適度に拡散し、カニの身を散りばめたような華やかな外観を呈し、かつ咀嚼、嚥下困難者が容易に摂食できる形状、物性を有する、凝固卵白小片物含有食品を調製しやすい。
【0026】
<凝固卵白小片物の大きさ>
前記凝固卵白小片物は、最長径0.1cm以上の凝固卵白小片物に含まれる最長径0.3〜1.5cmの凝固卵白小片物の個数の割合が50%以上であり、さらに75%以上であるとよい。
凝固卵白小片物の大きさが前記範囲であることにより、カニの身を散りばめたような華やかな外観を呈し、かつ咀嚼、嚥下困難者が容易に摂食できる凝固卵白小片物含有食品を得ることができる。本発明において、最長径とは、凝固卵白小片物の対角線のうち最も長い部分をいう。
なお、最長径0.1cm以上の凝固卵白小片物に含まれる最長径0.3〜1.5cmの凝固卵白小片物の個数の割合とは、例えば、最長径0.1cm以上の凝固卵白小片物の個数が100個であり、その内、最長径0.3〜1.5cmの凝固卵白小片物の個数が90個であった場合、割合は90%となる。
【0027】
<凝固卵白小片物含有食品の製造方法>
本発明の凝固卵白小片物含有食品の製造方法は、上述の液部及び固形物からなる固形物含有液を調製した後、該固形物含有液に卵白希釈液を添加し、凝固卵白小片物を調製する工程を有すれば、その他の工程は特に限定しないが、例えば、前記凝固卵白小片物を含有する固形物含有液に、その他の具材、調味料、増粘剤等を混合して製造することもできるし、前記固形物含有液から凝固卵白小片物を取り出した後、その他の具材等と混合して製造することもできる。
【0028】
<凝固卵白小片物含有食品>
本発明の凝固卵白小片物含有食品とは、上述の凝固卵白小片物を含有する食品であり、最長径0.1cm以上の凝固卵白小片物の割合が1〜20%であり、さらに2〜10%であるとよく、さらに3〜10%であるとよりよい。
また、最長径0.1cm以上の凝固卵白小片物に含まれる最長径0.3〜1.5cmの凝固卵白小片物の個数の割合が50%以上であり、さらに75%以上である。
最長径0.3〜1.5cmの凝固卵白小片物の割合が前記範囲であることにより、カニの身を散りばめたような華やかな外観を呈する凝固卵白小片物含有食品が得られやすい。
さらに、本発明の凝固卵白小片物含有食品は、常温、冷蔵、冷凍、いずれの状態のものでも良い。
【0029】
<その他原材料>
本発明の凝固卵白小片物含有食品は、凝固卵白小片物の他に様々な原材料を含有することができる。例えば、ダイコン、ニンジン、タマネギ、ナス、カボチャ、ジャガイモ等の野菜類、牛肉、豚肉、鶏肉等の肉類、マグロ、カツオ、サケ、ブリ、アサリ、シジミ、イカ、カニ等の魚介類等、醤油、塩、砂糖、胡椒、アミノ酸等の調味料類、キサンタンガム、グアーガム、タマリンドシードガム等のガム類、澱粉、またはそれを加工した加工澱粉、寒天、ゼラチン等の増粘剤、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等の乳化剤等が挙げられる。
特に、カニの身を散りばめたような華やかな外観をより呈しやすいことから、前記凝固卵白小片物とカニの身を併用して用いるとよく、凝固卵白小片物1部に対して、カニの身を0.5〜2部含有するとよい。
【0030】
<凝固卵白小片物含有食品の粘度>
本発明の凝固卵白小片物含有食品は、目開き2mmの篩で固形物を除いた液状部の粘度が500〜30000mPa・sであるとよく、さらに1000〜10000mPa・sであるとよい。凝固卵白小片物含有食品の液状部の粘度が前記範囲内であることにより、咀嚼、嚥下困難者がより摂食しやすくなる。
なお、前記粘度は、B型粘度計、10rpm、品温25℃の条件で測定した値であり、用いるローターは凝固卵白小片物含有食品の粘度に応じて、適したローターを用いれば良い。
【0031】
<凝固卵白小片物含有食品のかたさ>
本発明の凝固卵白小片物含有食品は、下記方法で測定するかたさが5×10
4N/m
2以下であるとよく、さらに1×10
4N/m
2以下であるとよりよい
凝固卵白小片物含有食品のかたさが前記範囲以下であるということは、歯ぐきや舌で潰せる程度のかたさであるということであり、これにより咀嚼、嚥下困難者でも容易に摂食することができる。
【0032】
<かたさの測定方法>
本発明におけるかたさとは、凝固卵白小片物含有食品を直径40mmの円柱容器に、高さ15mmとなるように充填し、これを直径20mmの円柱プランジャーを設置したクリープメーター 株式会社山電社製、RE−3305)を用いて、圧縮速度10mm/秒、クリアランスが5mm、かつ品温が20±2℃の測定条件で、直線運動による物質の圧縮応力を測定した値である。
【0033】
以下、本発明について、実施例、比較例及び試験例に基づき具体的に説明する。なお、本発明は、これらに限定するものではない。
【実施例】
【0034】
[実施例1]
清水35部にヒドロキシプロピルリン酸架橋澱粉0.5部を溶解した液部に、大根23部(体積1cm
3を20部、体積3cm
3を3部)、インゲン1部(体積0.1cm
3)を混合後、95℃で加熱撹拌し、固形物含有液を調製した。液部の粘度は8mPa・sであった。固形物含有液に含まれる固形物の割合は40%であり、固形物全体に対する体積0.2〜5cm
3の固形物の割合は96%であった。
次に、未調製の液卵白4部と清水1.2部を混合し、未調製の液卵白と比較し、1.3倍希釈相当量の卵白希釈液5.2部を得た。該卵白希釈液を7rpmで撹拌された前記固形物含有液に、50mL/秒の速度で添加し、凝固卵白小片物を調製した。固形物含有液100部に対する卵白希釈液の投入量は、卵白タンパク質換算で1.8部であった。
さらに、前記凝固卵白小片物を含有する固形物含有液に、カニの身5部、醤油3部、ヒドロキシプロピルリン酸架橋澱粉3部、調味料(砂糖、食塩、アミノ酸等)2.3部を添加した後、清水でトータル100部になるように調整し、実施例1の凝固卵白小片物含有食品を得た。
【0035】
実施例1の凝固卵白小片物含有食品において、0.1cm以上の凝固卵白小片物の割合は5%であり、0.1cm以上の凝固卵白小片物に含まれる0.3〜1.5cmの凝固卵白小片物の個数の割合は75%以上であった。粘度は4000mPa・sであり、かたさは1000N/m
2であった。
【0036】
実施例1の製造方法に従い、表1に記載の実施例2乃至13、比較例1及び2の凝固卵白小片物含有食品を調製した。なお、得られた凝固卵白小片物含有食品の粘度は1000〜10000mPa・sであり、かたさは1×10
4N/m
2以下であった。
得られた各凝固卵白小片物含有食品について、下記評価基準で評価を行い、その結果を表1に示した。
【0037】
<評価基準>
[外観]
○:カニ身様の華やかな外観を呈している。
△:カニ身様の華やかな外観をやや呈している。
×:カニ身様の華やかな外観を呈していない。
[咀嚼、嚥下のしやすさ]
○:咀嚼、嚥下困難者が摂食しやすい。
△:咀嚼、嚥下困難者がやや摂食しやすい。
×:咀嚼、嚥下困難者が摂食しにくい。
【0038】
【表1】
【0039】
実施例1乃至3、比較例1及び2より、卵白希釈液が未調製卵白と比較し、1.1〜1.5倍希釈相当量であり、特に1.2〜1.5倍希釈相当量、さらに1.3〜1.4倍希釈相当量であることにより、カニ身様の華やかな外観を呈し、かつ咀嚼、嚥下困難者が容易に摂食しやすい凝固卵白小片物含有食品が得られることが分かる。
【0040】
また、実施例1、4乃至7より、液部の粘度は3〜200mPa・sであるとよく、5〜50mPa・sであるとよりよく、実施例1、8及び9より、固形物の割合は30〜50%であるとよく、さらに、実施例1、10及び11より、固形物に含まれる体積0.2〜5cm
3の固形物の割合は50%以上、特に75%以上であることにより、カニ身様の華やかな外観を呈し、かつ咀嚼、嚥下困難者が容易に摂食しやすい凝固卵白小片物含有食品が得られやすいことが分かる。
【0041】
さらに、実施例1、12及び13より、凝固卵白小片物含有食品に含まれる最長径0.1cm以上の凝固卵白小片物の割合は3〜10%であるとよく、実施例1乃至13、比較例1及び2より、最長径0.1cm以上の凝固卵白小片物に含まれる最長径0.3〜1.5cmの凝固卵白小片物の個数の割合が50%以上、特に75%以上であることにより、カニ身様の華やかな外観を呈し、かつ咀嚼、嚥下困難者が容易に摂食しやすい凝固卵白小片物含有食品が得られやすいことが分かる。
【0042】
[実施例14]
実施例1の凝固卵白小片物含有食品の製造方法において、固形物含有液の撹拌速度を10rpm、卵白希釈液の投入速度を30mL/秒に変更した以外は同様の方法で、実施例14の凝固卵白小片物含有食品を調製した。実施例14の凝固卵白小片物含有食品の最長径0.1cm以上の凝固卵白小片物の割合は5%であり、最長径0.1cm以上の凝固卵白小片物に含まれる最長径0.3〜1.5cmの凝固卵白小片物の個数の割合は75%以上であった。粘度は1000〜10000mPa・sであり、かたさは1×10
4N/m
2以下であった。
【0043】
試験例1の評価基準に従い、実施例14の凝固卵白小片物含有食品の外観及び咀嚼、嚥下のしやすさを評価した結果、カニ身様の華やかな外観を呈し、かつ咀嚼、嚥下困難者が容易に摂食しやすいものであった。