(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1位相差フィルムおよび前記第3位相差フィルムの波長550nmにおける面内レタデーションがそれぞれ125〜150nmである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層体。
第1吸収型偏光子と、第1位相差フィルムと、第2位相差フィルムと、第3位相差フィルムと、第2吸収型偏光子と、第4位相差フィルムと、第5位相差フィルムと、第6位相差フィルムと、をこの順に有し、
前記第1位相差フィルムの波長550nmにおける面内レタデーションが110〜170nmであり、
前記第3位相差フィルムの波長550nmにおける面内レタデーションが110〜170nmであり、
前記第4位相差フィルムの波長550nmにおける面内レタデーションが90〜190nmであり、
前記第6位相差フィルムの波長550nmにおける面内レタデーションが90〜190nmであり、
前記第1位相差フィルムの面内遅相軸と前記第3位相差フィルムの面内遅相軸とが直交し、
前記第4位相差フィルムの面内遅相軸と前記第6位相差フィルムの面内遅相軸とが直交し、
前記第1吸収型偏光子の吸収軸と前記第2吸収型偏光子の吸収軸とが平行であり、
前記第1位相差フィルムの波長550nmにおける厚み方向のレタデーションであるRth1(550)と、前記第2位相差フィルムの波長550nmにおける厚み方向のレタデーションであるRth2(550)と、前記第3位相差フィルムの波長550nmにおける厚み方向のレタデーションであるRth3(550)と、前記第4位相差フィルムの波長550nmにおける厚み方向のレタデーションであるRth4(550)と、前記第5位相差フィルムの波長550nmにおける厚み方向のレタデーションであるRth5(550)と、前記第6位相差フィルムの波長550nmにおける厚み方向のレタデーションであるRth6(550)とが、要件2および要件3を満たすか、または、要件4および要件5を満たす、積層体。
要件2 540nm≦|Rth1(550)+Rth2(550)+Rth3(550)|≦1020nm
要件3 540nm≦|Rth4(550)+Rth5(550)+Rth6(550)|≦2000nm
要件4 540nm≦|Rth1(550)+Rth2(550)+Rth3(550)|≦2000nm
要件5 540nm≦|Rth4(550)+Rth5(550)+Rth6(550)|≦1020nm
前記Rth1(550)と、前記Rth2(550)と、前記Rth3(550)と、前記Rth4(550)と、前記Rth5(550)と、前記Rth6(550)とが、要件6および要件7を満たすか、または、要件8および要件9を満たす、請求項10に記載の積層体。
要件6 540nm≦|Rth1(550)+Rth2(550)+Rth3(550)|≦1020nm
要件7 840nm≦|Rth4(550)+Rth5(550)+Rth6(550)|≦2000nm
要件8 840nm≦|Rth1(550)+Rth2(550)+Rth3(550)|≦2000nm
要件9 540nm≦|Rth4(550)+Rth5(550)+Rth6(550)|≦1020nm
前記第1位相差フィルム、前記第3位相差フィルム、前記第4位相差フィルム、および、前記第6位相差フィルムの波長550nmにおける面内レタデーションがそれぞれ125〜150nmである、請求項10〜13のいずれか1項に記載の積層体。
前記第1吸収型偏光子、および、前記第2吸収型偏光子の少なくとも一つの波長550nmにおける単板透過率が45%以上である、請求項10〜16のいずれか1項に記載の積層体。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。まず、本明細書で用いられる用語について説明する。
【0012】
本発明において、Re(λ)およびRth(λ)は各々、波長λにおける面内のレタデーションおよび厚み方向のレタデーションを表す。例えば、Re(450)は、波長450nmにおける面内レタデーションを表す。特に記載がないときは、波長λは、550nmとする。
本発明において、Re(λ)およびRth(λ)はAxoScan OPMF−1(オプトサイエンス社製)において、波長λで測定した値である。AxoScanにて平均屈折率((Nx+Ny+Nz)/3)と膜厚(d(μm))を入力することにより、
面内遅相軸方向(°)
Re(λ)=R0(λ)
Rth(λ)=((nx+ny)/2−nz)×d
が算出される。
なお、R0(λ)は、AxoScan OPMF−1で算出される数値として表示されるものであるが、Re(λ)を意味している。
【0013】
本明細書において、屈折率nx、ny、および、nzは、アッベ屈折率(NAR−4T、アタゴ(株)製)を使用し、光源にナトリウムランプ(λ=589nm)を用いて測定する。また、波長依存性を測定する場合は、多波長アッベ屈折計DR−M2(アタゴ(株)製)にて、干渉フィルタとの組み合わせで測定できる。
また、ポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、および、各種光学フィルムのカタログの値を使用できる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する:セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、および、ポリスチレン(1.59)。
また、本明細書において、Nzファクターとは、Nz=(nx−nz)/(nx−ny)で与えられる値である。
【0014】
なお、本明細書では、「可視光」とは、380〜800nmのことをいう。
また、本明細書において、角度(例えば「90°」などの角度)、およびその関係(例えば「直交」、「平行」、および「45°で交差」など)については、本発明が属する技術分野において許容される誤差の範囲を含む。例えば、厳密な角度±15°の範囲内であることを意味し、厳密な角度との誤差は、10°以下であることが好ましく、5°以下であることがより好ましく、3°以下であることがさらに好ましい。
【0015】
なお、本明細書において、Cプレートは以下のように定義される。
Cプレートは、ポジティブCプレート(正のCプレート)とネガティブCプレート(負のCプレート)との2種があり、ポジティブCプレートは式(C1)の関係を満たすものであり、ネガティブCプレートは式(C2)の関係を満たすものである。なお、ポジティブCプレートはRthが負の値を示し、ネガティブCプレートはRthが正の値を示す。
式(C1) nz>nx≒ny
式(C2) nz<nx≒ny
なお、上記「≒」とは、両者が完全に同一である場合だけでなく、両者が実質的に同一である場合も包含する。「実質的に同一」とは、例えば、(nx−ny)×d(ただし、dはフィルムの厚みである)が、0〜10nm、好ましくは0〜5nmの場合も「nx≒ny」に含まれる。
【0016】
本明細書において、偏光子の「吸収軸」は、吸光度の最も高い方向を意味する。「透過軸」は、「吸収軸」と90°の角度をなす方向を意味する。
本明細書において、位相差フィルムの「面内遅相軸」は、面内において屈折率が最大となる方向を意味する。
本明細書において、
図15に示すように、所定の面(例えば、表示装置の面)の法線方向に対してなす角を極角θAとし、所定の面(例えば、表示装置の面)内においてある基準線とのなす角度を方位角θBとする。
【0017】
以下に、本発明の積層体、および、表示装置について図面を参照して説明する。
【0018】
<<第1実施態様>>
本発明の積層体の第1実施態様について図面を参照して説明する。
図1に、本発明の積層体の第1実施態様の一例の断面図を示す。なお、本発明における図は模式図であり、各層の厚みの関係および位置関係などは必ずしも実際のものとは一致しない。
積層体10aは、第1吸収型偏光子12と、第1位相差フィルム14と、第2位相差フィルム16と、第3位相差フィルム18とをこの順で有する。
また、
図2において、第1吸収型偏光子12の吸収軸と、第1位相差フィルム14の面内遅相軸、および、第3位相差フィルム18の面内遅相軸の関係を示す。
図2中、第1吸収型偏光子12中の矢印は吸収軸の方向を表し、第1位相差フィルム14および第3位相差フィルム18中の矢印はそれぞれの層中の面内遅相軸の方向を表す。
以下、積層体10aに含まれる各部材について詳述する。
【0019】
<第1吸収型偏光子>
第1吸収型偏光子は、光を特定の直線偏光に変換する機能を有する部材(直線偏光子)である。第1吸収型偏光子中の吸収軸に平行な光は吸収され、透過軸に平行な光は透過する。
第1吸収型偏光子としては、例えば、ヨウ素系偏光子、二色性染料を利用した染料系偏光子、および、ポリエン系偏光子が挙げられる。ヨウ素系偏光子および染料系偏光子には、塗布型偏光子と延伸型偏光子とがあり、いずれも適用できる。なかでも、ポリビニルアルコールにヨウ素または二色性染料を吸着させ、延伸して作製される偏光子が好ましい。
また、基材上にポリビニルアルコール層を形成した積層フィルムの状態で延伸および染色を施すことで偏光子を得る方法として、特許第5048120号公報、特許第5143918号公報、特許第5048120号公報、特許第4691205号公報、特許第4751481号公報、および、特許第4751486号公報に記載の方法が挙げられ、これらの偏光子に関する公知の技術も好ましく利用できる。
なかでも、取り扱い性の点で、第1吸収型偏光子は、ポリビニルアルコール系樹脂(−CH
2−CHOH−を繰り返し単位として含むポリマー、特に、ポリビニルアルコールおよびエチレン−ビニルアルコール共重合体からなる群から選択される少なくとも1つが好ましい。)を含む偏光子であることが好ましい。
【0020】
第1吸収型偏光子の波長550nmにおける単板透過率は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、40%以上が好ましく、43%以上がより好ましく、45%以上がさらに好ましい。上限値は特に制限されないが、52%以下の場合が多い。
単板透過率は、公知の測定装置を用いて測定できる。
【0021】
第1吸収型偏光子の厚みは特に制限されないが、取り扱い性に優れると共に、光学特性にも優れる点より、35μm以下が好ましく、3〜25μmがより好ましく、4〜15μmがさらに好ましい。上記厚みであれば、表示装置の薄型化にも対応可能となる。
【0022】
<第1位相差フィルム>
第1位相差フィルムは、積層体中において最も偏光子側に配置される層である。なお、第1位相差フィルムは、単層構造であっても、多層構造であってもよい。
第1位相差フィルムの波長550nmにおける面内レタデーションは、110〜170nmであり、積層体を表示パネル上に配置した際の斜め方向からの視認がよりしづらくなる点(以後、単に「本発明の効果がより優れる点」とも称する)で、125〜150nmが好ましい。
【0023】
第1位相差フィルムの波長550nmにおける厚み方向のレタデーションは後述する要件1を満たせば特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、55〜85nmが好ましく、62〜75nmがより好ましい。
【0024】
図2に示すように、第1吸収型偏光子12の吸収軸と、第1位相差フィルム14の面内遅相軸とのなす角度θ1は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、45±10°の範囲が好ましい。言い換えると、角度θ1は35〜55°が好ましい。なかでも、本発明の効果がより優れる点で、角度θ1は40〜50°がより好ましい。
なお、上記角度θ1とは、第1吸収型偏光子表面の法線方向から視認した際の、第1吸収型偏光子の吸収軸と第1位相差フィルムの面内遅相軸とのなす角度を意図する。
【0025】
第1位相差フィルムの厚みは特に制限されず、面内レタデーションが所定の範囲となるように調整されるが、第1位相差フィルムの薄型化の点で、6.0μm以下が好ましく、0.5〜4.0μmがより好ましい。
なお、本明細書において、第1位相差フィルムの厚みとは、第1位相差フィルムの平均厚みを意図する。上記平均厚みは、第1位相差フィルムの任意の5点以上の厚みを測定して、それらを算術平均して求める。
【0026】
第1位相差フィルムは、液晶化合物を用いて形成された層であることが好ましい。ただし、上述した面内レタデーションなど所定の特性を満たせば、他の材料で構成されていてもよい。例えば、ポリマーフィルム(特に、延伸処理が施されたポリマーフィルム)から形成されていてもよい。
【0027】
液晶化合物の種類は特に制限されないが、その形状から、棒状タイプ(棒状液晶化合物)と円盤状タイプ(円盤状液晶化合物。ディスコティック液晶化合物)とに分類できる。さらにそれぞれ低分子タイプと高分子タイプとがある。高分子とは一般に重合度が100以上のものを指す(高分子物理・相転移ダイナミクス,土井 正男 著,2頁,岩波書店,1992)。なお、2種以上の棒状液晶化合物、2種以上の円盤状液晶化合物、または、棒状液晶化合物と円盤状液晶化合物との混合物を用いてもよい。
【0028】
第1位相差フィルムは、光学特性の温度変化および湿度変化を小さくできることから、重合性基を有する液晶化合物(棒状液晶化合物または円盤状液晶化合物)を用いて形成することがより好ましい。液晶化合物は2種類以上の混合物でもよく、その場合、少なくとも1つが2以上の重合性基を有していることが好ましい。
つまり、第1位相差フィルムは、重合性基を有する液晶化合物(棒状液晶化合物または円盤状液晶化合物)が重合などによって固定されて形成された層であることが好ましく、この場合、層となった後はもはや液晶性を示す必要はない。
上記重合性基の種類は特に制限されず、ラジカル重合またはカチオン重合が可能な重合性基が好ましい。
ラジカル重合性基としては、公知のラジカル重合性基を用いることができ、アクリロイル基またはメタアクリロイル基が好ましい。
カチオン重合性基としては、公知のカチオン重合性基を用いることができ、具体的には、脂環式エーテル基、環状アセタール基、環状ラクトン基、環状チオエーテル基、スピロオルソエステル基、および、ビニルオキシ基などが挙げられる。なかでも、脂環式エーテル基またはビニルオキシ基が好ましく、エポキシ基、オキセタニル基、または、ビニルオキシ基がより好ましい。
【0029】
第1位相差フィルムの形成方法は特に制限されず、公知の方法が挙げられる。
なかでも、面内レタデーションの制御がしやすい点で、重合性基を有する液晶化合物(以後、単に「重合性液晶化合物」とも称する)を含む第1位相差フィルム形成用組成物(以後、単に「組成物」とも称する)を塗布して塗膜を形成し、塗膜に配向処理を施して重合性液晶化合物を配向させ、得られた塗膜に対して硬化処理(光照射処理または加熱処理)を施して、第1位相差フィルムを形成する方法が好ましい。
以下、上記方法の手順について詳述する。
【0030】
まず、支持体上に、組成物を塗布して塗膜を形成し、塗膜に配向処理を施して重合性液晶化合物を配向させる。
使用される組成物は、重合性液晶化合物を含む。重合性液晶化合物の定義は、上述した通りである。
【0031】
組成物中における重合性液晶化合物の含有量は特に制限されないが、第1位相差フィルムの面内レタデーションの制御がしやすい点で、組成物中の全固形分に対して、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましい。上限は特に制限されないが、99質量%以下の場合が多い。
なお、組成物中の全固形分には、溶媒は含まれない。
【0032】
上記組成物には、上述した重合性液晶化合物以外の成分が含まれていてもよい。
組成物には、重合開始剤が含まれていてもよい。使用される重合開始剤は、重合反応の形式に応じて選択され、例えば、熱重合開始剤、および、光重合開始剤が挙げられる。例えば、光重合開始剤としては、α−カルボニル化合物、アシロインエーテル、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物、多核キノン化合物、および、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせなどが挙げられる。
組成物中における重合開始剤の含有量は、組成物の全固形分に対して、0.01〜20質量%が好ましく、0.5〜5質量%がより好ましい。
【0033】
また、組成物には、重合性モノマーが含まれていてもよい。
重合性モノマーとしては、ラジカル重合性またはカチオン重合性の化合物が挙げられる。なかでも、多官能性ラジカル重合性モノマーが好ましい。また、重合性モノマーとしては、上記の重合性基を有する液晶化合物と共重合性のモノマーが好ましい。例えば、特開2002−296423号公報中の段落[0018]〜[0020]に記載の重合性モノマーが挙げられる。
組成物中における重合性モノマーの含有量は、重合性液晶化合物の全質量に対して、1〜50質量%が好ましく、2〜30質量%がより好ましい。
【0034】
また、組成物には、界面活性剤が含まれていてもよい。
界面活性剤としては、従来公知の化合物が挙げられるが、特にフッ素系化合物が好ましい。例えば、特開2001−330725号公報中の段落[0028]〜[0056]に記載の化合物、および、特願2003−295212号明細書中の段落[0069]〜[0126]に記載の化合物が挙げられる。
【0035】
また、組成物には、溶媒が含まれていてもよい。溶媒としては、有機溶媒が好ましい。有機溶媒としては、アミド(例:N,N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例:ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例:ピリジン)、炭化水素(例:ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例:クロロホルム、ジクロロメタン)、エステル(例:酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル)、ケトン(例:アセトン、メチルエチルケトン)、および、エーテル(例:テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)が挙げられる。なお、2種類以上の有機溶媒を併用してもよい。
【0036】
また、組成物には、垂直配向剤、および、水平配向剤などの各種配向制御剤が含まれていてもよい。これらの配向制御剤は、界面側において液晶化合物を水平または垂直に配向制御可能な化合物である。
さらに、組成物には、上記成分以外に、密着改良剤、可塑剤、および、ポリマーなどが含まれていてもよい。
【0037】
使用される支持体は、組成物を塗布するための基材として機能を有する部材である。支持体は、組成物を塗布および硬化させた後に剥離される仮支持体であってもよい。
支持体(仮支持体)としては、プラスチックフィルムの他、ガラス基板を用いてもよい。プラスチックフィルムを構成する材料としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、セルロース誘導体、シリコーン系樹脂、および、ポリビニルアルコール(PVA)などが挙げられる。
支持体の厚みは、5〜1000μm程度であればよく、10〜250μmが好ましく、15〜90μmがより好ましい。
【0038】
なお、必要に応じて、支持体上には、配向層を配置してもよい。
配向層は、一般的には、ポリマーを主成分とする。配向層用ポリマーとしては、多数の文献に記載があり、多数の市販品を入手できる。利用されるポリマーは、ポリビニルアルコール、ポリイミド、または、その誘導体が好ましい。
なお、配向層には、公知のラビング処理が施されることが好ましい。
配向層の厚みは、0.01〜10μmが好ましく、0.01〜1μmがより好ましい。
また、上記支持体および配向層からなる剥離性支持体を用いてもよい。
【0039】
組成物の塗布方法としては、カーテンコーティング法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、印刷コーティング法、スプレーコーティング法、スロットコーティング法、ロールコーティング法、スライドコーティング法、ブレードコーティング法、グラビアコーティング法、および、ワイヤーバー法などが挙げられる。
【0040】
支持体上に形成された塗膜に、配向処理を施して、塗膜中の重合性液晶化合物を配向させる。
配向処理は、室温により塗膜を乾燥させる、または、塗膜を加熱することにより行うことができる。配向処理で形成される液晶相は、サーモトロピック性液晶化合物の場合、一般に温度または圧力の変化により転移させることができる。リオトロピック性液晶化合物の場合には、溶媒量などの組成比によっても転移させることができる。
なお、塗膜を加熱する場合の条件は特に制限されないが、加熱温度としては50〜150℃が好ましく、加熱時間としては10秒間〜5分間が好ましい。
【0041】
次に、重合性液晶化合物が配向された塗膜に対して硬化処理を施す。
重合性液晶化合物が配向された塗膜に対して実施される硬化処理の方法は特に制限されず、例えば、光照射処理および加熱処理が挙げられる。なかでも、製造適性の点で、光照射処理が好ましく、紫外線照射処理がより好ましい。
光照射処理の照射条件は特に制限されないが、50〜1000mJ/cm
2の照射量が好ましい。
【0042】
<第2位相差フィルム>
第2位相差フィルムは、上記第1位相差フィルムと後述する第3位相差フィルムとの間に配置される層である。なお、第2位相差フィルムは、単層構造であっても、多層構造であってもよい。多層構造の場合、複数の層が接着剤または粘着剤を介して貼り合わされていてもよい。
第2位相差フィルムの波長550nmにおける厚み方向のレタデーションは後述する要件1を満たせば特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、−1200〜1200nmが好ましく、−1000〜1000nmがより好ましい。
【0043】
第2位相差フィルムの波長550nmにおける面内レタデーションは特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、50nm以下が好ましく、40nm以下がより好ましく、20nm未満がさらに好ましく、10nm以下が特に好ましい。下限は特に制限されないが、0が挙げられる。
【0044】
第2位相差フィルムは、本発明の効果がより優れる点で、Cプレートであることが好ましい。Cプレートしては、ポジティブCプレートであっても、ネガティブCプレートであってもよい。
【0045】
第2位相差フィルムの厚みは特に制限されず、後述する要件1を満たす所定の範囲となるように調整されるが、第2位相差フィルムの薄型化の点で、6.0μm以下が好ましく、0.5〜4.0μmがより好ましい。
なお、本明細書において、第2位相差フィルムの厚みとは、第2位相差フィルムの平均厚みを意図する。上記厚みは、第2位相差フィルムの任意の5点以上の厚みを測定して、それらを算術平均して求める。
【0046】
第2位相差フィルムを構成する材料は上記特性を示せば特に制限されず、上述した第1位相差フィルムで述べた態様が挙げられる。なかでも、上記特性の制御がしやすい点で、第2位相差フィルムは、重合性基を有する液晶化合物(棒状液晶化合物または円盤状液晶化合物)が重合などによって固定されて形成された層であることが好ましく、この場合、層となった後はもはや液晶性を示す必要はない。
第2位相差フィルムの形成方法は特に制限されず、公知の方法が採用でき、例えば、上述した第1位相差フィルムを形成する方法が挙げられる。
【0047】
<第3位相差フィルム>
第3位相差フィルムは、上記第2位相差フィルムの第1吸収型偏光子側とは反対側に配置される層である。なお、第3位相差フィルムは、単層構造であっても、多層構造であってもよい。
第3位相差フィルムの波長550nmにおける面内レタデーションは、110〜170nmであり、本発明の効果がより優れる点で、125〜150nmが好ましい。
【0048】
第3位相差フィルムの波長550nmにおける厚み方向のレタデーションは後述する要件1を満たせば特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、55〜85nmが好ましく、62〜75nmがより好ましい。
【0049】
第1位相差フィルム14の面内遅相軸と第3位相差フィルム18の面内遅相軸とは、直交する。言い換えると、
図2に示す、第1位相差フィルム14の面内遅相軸と第3位相差フィルム18の面内遅相軸とのなす角度θ2は75〜105°である。なかでも、本発明の効果がより優れる点で、角度θ2は80〜100°が好ましく、85〜95°がより好ましい。
なお、上記角度θ2とは、第1吸収型偏光子表面の法線方向から視認した際の、第1位相差フィルムの面内遅相軸と第3位相差フィルムの面内遅相軸とのなす角度を意図する。
【0050】
なお、第1吸収型偏光子12の吸収軸と、第3位相差フィルム18の面内遅相軸とのなす角度は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、45±10°の範囲が好ましい。言い換えると、上記角度は35〜55°が好ましい。なかでも、本発明の効果がより優れる点で、上記角度は40〜50°がより好ましく、42〜48°がさらに好ましい。
なお、上記角度とは、第1吸収型偏光子表面の法線方向から視認した際の、第1吸収型偏光子の吸収軸と、第3位相差フィルムの面内遅相軸とのなす角度を意図する。
【0051】
第3位相差フィルムの厚みは特に制限されず、面内レタデーションが所定の範囲となるように調整されるが、第3位相差フィルムの薄型化の点で、6.0μm以下が好ましく、0.5〜4.0μmがより好ましい。
なお、本明細書において、第3位相差フィルムの厚みとは、第3位相差フィルムの平均厚みを意図する。上記平均厚みは、第3位相差フィルムの任意の5点以上の厚みを測定して、それらを算術平均して求める。
【0052】
第3位相差フィルムを構成する材料は上記特性を示せば特に制限されず、上述した第1位相差フィルムで述べた態様が挙げられる。なかでも、上記特性の制御がしやすい点で、第3位相差フィルムは、重合性基を有する液晶化合物(棒状液晶化合物または円盤状液晶化合物)が重合などによって固定されて形成された層であることが好ましく、この場合、層となった後はもはや液晶性を示す必要はない。
第3位相差フィルムの形成方法は特に制限されず、公知の方法が採用でき、例えば、上述した第1位相差フィルムを形成する方法が挙げられる。
【0053】
<その他の層>
上記積層体は、本発明の効果を損なわない範囲で、第1吸収型偏光子、第1位相差フィルム、第2位相差フィルム、および、第3位相差フィルム以外の他の層を含んでいてもよい。
例えば、積層体は、液晶化合物の配向方向を規定する機能を有する配向層を含んでいてもよい。
また、積層体は、各層間を接着するための接着層または粘着層を含んでいてもよい。
また、積層体は、支持体を含んでいてもよい。支持体としては、いわゆる透明支持体が好ましい。
さらに、第1吸収型偏光子の表面上には、偏光子保護フィルムが配置されていてもよい。偏光子保護フィルムの構成は特に制限されず、例えば、透明支持体またはハードコート層であってもよく、透明支持体とハードコート層との積層体であってもよい。
透明支持体としては、公知の透明支持体が挙げられる。また、透明支持体を形成する材料としては、トリアセチルセルロースに代表されるセルロース系ポリマー(以下、セルロースアシレートという)、熱可塑性ノルボルネン系樹脂(日本ゼオン(株)製のゼオネックスおよびゼオノア、ならびに、JSR(株)製のアートンなど)、(メタ)アクリル系樹脂、および、ポリエステル系樹脂が挙げられる。
ハードコート層としては、公知の層を使用でき、例えば、上述した多官能モノマーを重合硬化して得られる層であってもよい。
【0054】
積層体の製造方法は特に制限されず、例えば、それぞれ用意した第1吸収型偏光子、第1位相差フィルム、第2位相差フィルム、および、第3位相差フィルムを接着剤または粘着剤を介して貼り合わせる方法が挙げられる。
【0055】
上記積層体においては、第1位相差フィルムの波長550nmにおける厚み方向のレタデーションであるRth1(550)と、第2位相差フィルムの波長550nmにおける厚み方向のレタデーションであるRth2(550)と、第3位相差フィルムの波長550nmにおける厚み方向のレタデーションであるRth3(550)とが、要件1を満たす。なお、|Rth1(550)+Rth2(550)+Rth3(550)|の値を調整することにより、どの極角において表示パネルの画像を視認しづらくするか調整できる。
要件1 540nm≦|Rth1(550)+Rth2(550)+Rth3(550)|≦1020nm
なかでも、本発明の効果がより優れる点で、Rth1(550)、Rth2(550)およびRth3(550)は、要件1−1を満たすことが好ましい。
要件1−1 640≦|Rth1(550)+Rth2(550)+Rth3(550)|≦850
【0056】
<<第1実施態様の他の例>>
本発明の積層体の第1実施態様の他の例の断面図を、
図3に示す。積層体10bは、第1吸収型偏光子12と、第1位相差フィルム14と、第2位相差フィルム16と、第3位相差フィルム18と、第2吸収型偏光子20とをこの順で有する。
また、
図4において、第1吸収型偏光子12の吸収軸と、第1位相差フィルム14の面内遅相軸、第3位相差フィルム18の面内遅相軸、および、第2吸収型偏光子20の吸収軸の関係を示す。
図4中、第1吸収型偏光子12および第2吸収型偏光子20中の矢印は吸収軸の方向を表し、第1位相差フィルム14および第3位相差フィルム18中の矢印はそれぞれの層中の面内遅相軸の方向を表す。
図3に示す積層体10bは、第2吸収型偏光子20をさらに有する点以外は、上述した
図1に示す積層体10aの構成は同じであり、以下では同一の部材に関して説明は省略し、主に、第2吸収型偏光子20について詳述する。
【0057】
<第2吸収型偏光子>
第2吸収型偏光子は、光を特定の直線偏光に変換する機能を有する部材(直線偏光子)である。第2吸収型偏光子中の吸収軸に平行な光は吸収され、透過軸に平行な光は透過する。
第2吸収型偏光子の具体例としては、上述した第1吸収型偏光子で述べた具体例が挙げられる。
【0058】
第2吸収型偏光子の波長550nmにおける単板透過率は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、40%以上が好ましく、43%以上がより好ましく、45%以上がさらに好ましい。上限値は特に制限されないが、52%以下の場合が多い。
単板透過率は、公知の測定装置を用いて測定できる。
【0059】
第2吸収型偏光子の厚みは特に制限されないが、取り扱い性に優れると共に、光学特性にも優れる点より、35μm以下が好ましく、3〜25μmがより好ましく、4〜15μmがさらに好ましい。上記厚みであれば、表示装置の薄型化にも対応可能となる。
【0060】
第1吸収型偏光子の吸収軸と第2吸収型偏光子の吸収軸とのなす角度は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、
図4に示すように、両者は平行であることが好ましい。言い換えると、第1吸収型偏光子の吸収軸と第2吸収型偏光子の吸収軸とのなす角度は0〜15°が好ましい。なかでも、本発明の効果がより優れる点で、上記角度は0〜10°がより好ましく、0〜5°がさらに好ましい。
なお、上記角度とは、第1吸収型偏光子表面の法線方向から視認した際の、第1吸収型偏光子の吸収軸と、第2吸収型偏光子の吸収軸とのなす角度を意図する。
【0061】
<<表示装置>>
上記積層体(積層体10a、積層体10b)は種々の用途に適用でき、特に、表示パネル上に配置されることにより、斜め方向からの表示パネルの画像を視認しづらくすることができる。つまり、積層体は、光制御フィルムとして機能する。
以下では、上記積層体を含む表示装置に関して詳述する。
図5に、本発明の表示装置の一例の断面図を示す。表示装置100aは、表示パネル22と、視認側に配置された上述した積層体10aとを有する。なお、表示パネル22には、偏光子が含まれる。
また、
図6において、第1吸収型偏光子12の吸収軸と、第1位相差フィルム14の面内遅相軸、第3位相差フィルム18の面内遅相軸、および、表示パネル22に含まれる偏光子Pの吸収軸の関係を示す。
図6中、第1吸収型偏光子12および偏光子P中の矢印は吸収軸の方向を表し、第1位相差フィルム14および第3位相差フィルム18中の矢印はそれぞれの層中の面内遅相軸の方向を表す。
積層体10a中の各部材の説明は、上述した通りである。
【0062】
図5に示す表示パネルとしては、偏光子が含まれていれば特に制限されず、例えば、2枚の偏光子で挟まれた液晶セルを含む液晶表示パネル、偏光子と位相差フィルム(特に、λ/4板が好ましい)とを含む円偏光板を有する有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示パネルなどが挙げられる。
上記液晶表示パネルおよび有機EL表示パネルの構成は特に制限されず、公知の構成であってもよい。
なお、表示パネルに含まれる偏光子の種類は特に制限されず、例えば、吸収型偏光子であってもよく、より具体的には、上述した第1吸収型偏光子で述べた具体例が挙げられる。
【0063】
第1吸収型偏光子の吸収軸と偏光子Pの吸収軸とのなす角度は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、
図6に示すように、両者は平行であることが好ましい。言い換えると、第1吸収型偏光子の吸収軸と偏光子Pの吸収軸とのなす角度は0〜15°の範囲が好ましい。なかでも、本発明の効果がより優れる点で、上記角度は0〜10°がより好ましく、0〜5°がさらに好ましい。
なお、上記角度とは、第1吸収型偏光子表面の法線方向から視認した際の、第1吸収型偏光子の吸収軸と、偏光子Pの吸収軸とのなす角度を意図する。
【0064】
上記表示装置100aにおいて所望の効果が得られる点に関して、
図7および8を用いて説明する。なお、
図7および8の説明においては、第1位相差フィルムおよび第3位相差フィルムが1/4波長板(波長550nmにおける面内レタデーションが約140nm)であり、第1位相差フィルムおよび第3位相差フィルムの厚み方向のレタデーションがそれぞれ70nmであり、第2位相差フィルムがCプレートであり、第2位相差フィルムの厚み方向のレタデーションが600nmであり、第1吸収型偏光子の吸収軸と第1位相差フィルムの面内遅相軸とのなす角度が45°であり、第1位相差フィルムの面内遅相軸と第3位相差フィルムの面内遅相軸とのなす角度が90°であり、第1吸収型偏光子の吸収軸と偏光子Pの吸収軸とは平行である態様を一例として挙げる。
図7は、表示装置100aに正面方向から入射した光の偏光状態の変化を、ポアンカレ球を使用して説明する図である。つまり、
図5に示す黒矢印方向から表示装置100aを視認した際の状態に該当する。
まず、第1吸収型偏光子の透過光は、ポアンカレ球面のS1軸上の点P1(1,0,0)により表される。次に、第1吸収型偏光子の透過軸(吸収軸と直交する軸)と第1位相差フィルムの面内遅相軸との関係より、S2軸を回転中心軸にして、90度だけ点P1からポアンカレ球の表面を移動させた点である点P2により第1位相差フィルムの出射光が表される。次に、第2位相差フィルムがCプレートである点から、第2位相差フィルムの出射光は点P2により表される。次に、第3位相差フィルムの1/4波長板としての特性により、第3位相差フィルムの出射光は点P1により表される。第3位相差フィルムの透過光は、偏光子Pの透過軸と平行な直線偏光であるため、第2吸収型偏光子を透過できる。つまり、表示装置100aを正面から視認した際には、表示パネル22に表示される画像を認識できる。
【0065】
次に、表示装置100aを斜め方向から視認した場合について説明する。
図8は、表示装置100aに斜め方向から入射した光の偏光状態の変化を、ポアンカレ球を使用して説明する図である。つまり、
図5に示す白矢印方向から表示装置100aを視認した際の状態に該当する。なお、ここでは、代表例として、所定の極角の白矢印方向から視認した際に、第2位相差フィルムが1/2波長板として機能する態様について説明する。
まず、第1吸収型偏光子の透過光は、ポアンカレ球面のS1軸上の点P1により表される。次に、第1位相差フィルムの1/4波長板としての特性により、第1位相差フィルムの出射光は点P3により表される。次に、第2位相差フィルムが1/2波長板として機能する点から、第2位相差フィルムの出射光は点P4により表される。次に、第3位相差フィルムの1/4波長板としての特性により、第3位相差フィルムの出射光は点P5により表される。第3位相差フィルムの透過光は、偏光子Pの透過軸と直交する直線偏光であるため、第2吸収型偏光子を透過できない。つまり、表示装置100aを斜め方向から視認した際には、表示パネル22に表示される画像を認識できない。
【0066】
以上のように、表示装置100aを正面方向から視認した際には表示パネルに表示される画像を視認できるが、斜め方向から視認した際には表示パネルに表示される画像を視認しづらくなる。表示装置100aにおいては、いずれの方位から視認した際にも上記効果が得られる。
【0067】
なお、上記では積層体10aを用いた態様について説明したが、偏光子を含まない表示パネルに対しては積層体10bを表示パネル上に配置することにより、上記に説明した態様と同様の機構により、正面方向と斜め方向との視認性を変えることができる。
【0068】
<<第2実施態様>>
本発明の積層体の第2実施態様について図面を参照して説明する。
図9に、本発明の積層体の第2実施態様の一例の断面図を示す。
積層体10cは、第1吸収型偏光子12と、第1位相差フィルム14と、第2位相差フィルム16と、第3位相差フィルム18と、第2吸収型偏光子20と、第4位相差フィルム24と、第5位相差フィルム26と、第6位相差フィルム28とをこの順で有する。
また、
図10において、第1吸収型偏光子12の吸収軸と、第1位相差フィルム14の面内遅相軸、第3位相差フィルム18の面内遅相軸、第2吸収型偏光子20の吸収軸、第4位相差フィルム24の面内遅相軸、および、第6位相差フィルム28の面内遅相軸の関係を示す。
図10中、第1吸収型偏光子12および第2吸収型偏光子20中の矢印は吸収軸の方向を表し、第1位相差フィルム14、第3位相差フィルム18、第4位相差フィルム24および第6位相差フィルム28中の矢印はそれぞれの層中の面内遅相軸の方向を表す。
第1吸収型偏光子12、第1位相差フィルム14、第2位相差フィルム16、第3位相差フィルム18および第2吸収型偏光子20については、第1実施形態で述べた通りである。また、第1吸収型偏光子12の吸収軸、第1位相差フィルム14の面内遅相軸、第3位相差フィルム18の面内遅相軸および第2吸収型偏光子20の吸収軸の関係は、上記第1実施形態で述べた通りである。
なお、第2実施態様の場合、第2位相差フィルム16のRth2(550)に関しては、本発明の効果がより優れる点で、−2000〜2000nmが好ましく、−1200〜1200nmがより好ましい。
以下では、主に、第4位相差フィルム24、第5位相差フィルム26、および、第6位相差フィルム28について詳述する。
【0069】
<第4位相差フィルム>
第4位相差フィルムは、第2吸収型偏光子の第1吸収型偏光子側とは反対側に配置される層である。なお、第4位相差フィルムは、単層構造であっても、多層構造であってもよい。
第4位相差フィルムの波長550nmにおける面内レタデーションは、90〜190nmであり、本発明の効果がより優れる点で、110〜170nmが好ましく、125〜150nmがより好ましい。
【0070】
第4位相差フィルムの波長550nmにおける厚み方向のレタデーションは後述する要件2または4を満たせば特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、45〜95nmが好ましく、55〜85nmがより好ましく、62〜75nmがさらに好ましい。
【0071】
図10に示すように、第2吸収型偏光子20の吸収軸と、第4位相差フィルム24の面内遅相軸とのなす角度θ3は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、45±10°の範囲が好ましい。言い換えると、角度θ3は35〜55°が好ましい。なかでも、本発明の効果がより優れる点で、角度θ3は40〜50°がより好ましい。
なお、上記角度θ3とは、第1吸収型偏光子表面の法線方向から視認した際の、第2吸収型偏光子の吸収軸と第4位相差フィルムの面内遅相軸とのなす角度を意図する。
【0072】
第4位相差フィルムの厚みは特に制限されず、面内レタデーションが所定の範囲となるように調整されるが、第4位相差フィルムの薄型化の点で、6.0μm以下が好ましく、0.5〜4.0μmがより好ましい。
なお、本明細書において、第4位相差フィルムの厚みとは、第4位相差フィルムの平均厚みを意図する。上記平均厚みは、第4位相差フィルムの任意の5点以上の厚みを測定して、それらを算術平均して求める。
【0073】
第4位相差フィルムを構成する材料は上記特性を示せば特に制限されず、上述した第1位相差フィルムで述べた態様が挙げられる。なかでも、上記特性の制御がしやすい点で、第4位相差フィルムは、重合性基を有する液晶化合物(棒状液晶化合物または円盤状液晶化合物)が重合などによって固定されて形成された層であることが好ましく、この場合、層となった後はもはや液晶性を示す必要はない。
第4位相差フィルムの形成方法は特に制限されず、公知の方法が採用でき、例えば、上述した第1位相差フィルムを形成する方法が挙げられる。
【0074】
<第5位相差フィルム>
第5位相差フィルムは、上記第4位相差フィルムと後述する第6位相差フィルムとの間に配置される層である。なお、第5位相差フィルムは、単層構造であっても、多層構造であってもよい。多層構造の場合、複数の層が接着剤または粘着剤を介して貼り合わされていてもよい。
第5位相差フィルムの波長550nmにおける厚み方向のレタデーションは後述する要件3または5を満たせば特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、−2000〜2000nmが好ましく、−1200〜1200nmがより好ましい。
【0075】
第5位相差フィルムの波長550nmにおける面内レタデーションは特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、50nm以下が好ましく、40nm以下がより好ましく、20nm未満がさらに好ましく、10nm以下が特に好ましい。下限は特に制限されないが、0が挙げられる。
【0076】
第5位相差フィルムは、本発明の効果がより優れる点で、Cプレートであることが好ましい。Cプレートしては、ポジティブCプレートであっても、ネガティブCプレートであってもよい。
【0077】
第5位相差フィルムの厚みは特に制限されず、後述する要件3または5を満たす所定の範囲となるように調整されるが、第5位相差フィルムの薄型化の点で、6.0μm以下が好ましく、0.5〜4.0μmがより好ましい。
なお、本明細書において、第5位相差フィルムの厚みとは、第5位相差フィルムの平均厚みを意図する。上記厚みは、第5位相差フィルムの任意の5点以上の厚みを測定して、それらを算術平均して求める。
【0078】
第5位相差フィルムを構成する材料は上記特性を示せば特に制限されず、上述した第1位相差フィルムで述べた態様が挙げられる。なかでも、上記特性の制御がしやすい点で、第5位相差フィルムは、重合性基を有する液晶化合物(棒状液晶化合物または円盤状液晶化合物)が重合などによって固定されて形成された層であることが好ましく、この場合、層となった後はもはや液晶性を示す必要はない。
第5位相差フィルムの形成方法は特に制限されず、公知の方法が採用でき、例えば、上述した第1位相差フィルムを形成する方法が挙げられる。
【0079】
<第6位相差フィルム>
第6位相差フィルムは、上記第5位相差フィルムの第2吸収型偏光子側とは反対側に配置される層である。なお、第6位相差フィルムは、単層構造であっても、多層構造であってもよい。
第6位相差フィルムの波長550nmにおける面内レタデーションは、90〜190nmであり、本発明の効果がより優れる点で、110〜170nmが好ましく、125〜150nmがより好ましい。
【0080】
第6位相差フィルムの波長550nmにおける厚み方向のレタデーションは後述する要件3または5を満たせば特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、45〜95nmが好ましく、55〜85nmがより好ましく、62〜75nmがさらに好ましい。
【0081】
第4位相差フィルム24の面内遅相軸と第6位相差フィルム28の面内遅相軸とは直交する。言い換えると、
図10に示す、第4位相差フィルム24の面内遅相軸と第6位相差フィルム28の面内遅相軸と角度θ4は75〜105°である。なかでも、本発明の効果がより優れる点で、角度θ4は80〜100°が好ましく、85〜95°がより好ましい。
なお、上記角度θ4とは、第1吸収型偏光子表面の法線方向から視認した際の、第4位相差フィルムの面内遅相軸と第6位相差フィルムの面内遅相軸とのなす角度を意図する。
【0082】
第2吸収型偏光子の吸収軸と、第6位相差フィルムの面内遅相軸とのなす角度は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、45±10°の範囲が好ましい。言い換えると、上記角度は35〜55°が好ましい。なかでも、本発明の効果がより優れる点で、上記角度は40〜50°がより好ましく、42〜48°がさらに好ましい。
なお、上記角度とは、第1吸収型偏光子表面の法線方向から視認した際の、第2吸収型偏光子の吸収軸と、第6位相差フィルムの面内遅相軸とのなす角度を意図する。
【0083】
第6位相差フィルムの厚みは特に制限されず、面内レタデーションが所定の範囲となるように調整されるが、第3位相差フィルムの薄型化の点で、6.0μm以下が好ましく、0.5〜4.0μmがより好ましい。
なお、本明細書において、第6位相差フィルムの厚みとは、第6位相差フィルムの平均厚みを意図する。上記平均厚みは、第6位相差フィルムの任意の5点以上の厚みを測定して、それらを算術平均して求める。
【0084】
第6位相差フィルムを構成する材料は上記特性を示せば特に制限されず、上述した第1位相差フィルムで述べた態様が挙げられる。なかでも、上記特性の制御がしやすい点で、第6位相差フィルムは、重合性基を有する液晶化合物(棒状液晶化合物または円盤状液晶化合物)が重合などによって固定されて形成された層であることが好ましく、この場合、層となった後はもはや液晶性を示す必要はない。
第6位相差フィルムの形成方法は特に制限されず、公知の方法が採用でき、例えば、上述した第1位相差フィルムを形成する方法が挙げられる。
【0085】
<その他の層>
上記積層体は、本発明の効果を損なわない範囲で、第1吸収型偏光子、第1位相差フィルム、第2位相差フィルム、第3位相差フィルム、第2吸収型偏光子、第4位相差フィルム、第5位相差フィルム、および第6位相差フィルム以外の他の層を含んでいてもよい。
例えば、積層体は、液晶化合物の配向方向を規定する機能を有する配向層を含んでいてもよい。
また、積層体は、各層間を接着するための接着層または粘着層を含んでいてもよい。
また、積層体は、支持体を含んでいてもよい。支持体としては、いわゆる透明支持体が好ましい。
さらに、第1吸収型偏光子の表面上には、偏光子保護フィルムが配置されていてもよい。偏光子保護フィルムの構成は特に制限されず、例えば、透明支持体またはハードコート層であってもよく、透明支持体とハードコート層との積層体であってもよい。
ハードコート層としては、公知の層を使用でき、例えば、上述した多官能モノマーを重合硬化して得られる層であってもよい。
また、透明支持体の具体例としては、上述した通りである。
【0086】
積層体の製造方法は特に制限されず、例えば、それぞれ用意した第1吸収型偏光子、第1位相差フィルム、第2位相差フィルム、第3位相差フィルム、第2吸収型偏光子、第4位相差フィルム、第5位相差フィルム、および、第6位相差フィルムを接着剤または粘着剤を介して貼り合わせる方法が挙げられる。
【0087】
上記積層体においては、第1位相差フィルムの波長550nmにおける厚み方向のレタデーションであるRth1(550)と、第2位相差フィルムの波長550nmにおける厚み方向のレタデーションであるRth2(550)と、第3位相差フィルムの波長550nmにおける厚み方向のレタデーションであるRth3(550)と、第4位相差フィルムの波長550nmにおける厚み方向のレタデーションであるRth4(550)と、第5位相差フィルムの波長550nmにおける厚み方向のレタデーションであるRth5(550)と、第6位相差フィルムの波長550nmにおける厚み方向のレタデーションであるRth6(550)とが、要件2および要件3を満たすか、または、要件4および要件5を満たす。
要件2 540nm≦|Rth1(550)+Rth2(550)+Rth3(550)|≦1020nm
要件3 540nm≦|Rth4(550)+Rth5(550)+Rth6(550)|≦2000nm
要件4 540nm≦|Rth1(550)+Rth2(550)+Rth3(550)|≦2000nm
要件5 540nm≦|Rth4(550)+Rth5(550)+Rth6(550)|≦1020nm
【0088】
なかでも、本発明の効果がより優れる点で、Rth1(550)と、Rth2(550)と、Rth3(550)と、Rth4(550)と、Rth5(550)と、Rth6(550)とが、要件6および要件7を満たすか、または、要件8および要件9を満たすことが好ましい。
要件6 540nm≦|Rth1(550)+Rth2(550)+Rth3(550)|≦1020nm
要件7 840nm≦|Rth4(550)+Rth5(550)+Rth6(550)|≦2000nm
要件8 840nm≦|Rth1(550)+Rth2(550)+Rth3(550)|≦2000nm
要件9 540nm≦|Rth4(550)+Rth5(550)+Rth6(550)|≦1020nm
【0089】
なかでも、本発明の効果がより優れる点で、Rth2(550)と、Rth5(550)とが要件10を満たし、第4位相差フィルムの波長550nmにおける面内レタデーションが110〜170nmであり、第6位相差フィルムの波長550nmにおける面内レタデーションが110〜170nmであることが好ましい。
要件10 300nm≦||Rth2(550)|−|Rth5(550)||≦700nm
特に、上記要件10を満たす場合、幅広い斜め方向の角度(極角)において画像を視認しづらくできる。
【0090】
<<第2実施態様の他の例>>
本発明の積層体の第2実施態様の他の例の断面図を、
図11に示す。積層体10dは、第1吸収型偏光子12と、第1位相差フィルム14と、第2位相差フィルム16と、第3位相差フィルム18と、第2吸収型偏光子20と、第4位相差フィルム24と、第5位相差フィルム26と、第6位相差フィルム28と、第3吸収型偏光子30とをこの順で有する。
また、
図12において、第1吸収型偏光子12の吸収軸と、第1位相差フィルム14の面内遅相軸、第3位相差フィルム18の面内遅相軸、第2吸収型偏光子20の吸収軸、第4位相差フィルム24の面内遅相軸、第6位相差フィルム28の面内遅相軸、および、第3吸収型偏光子30の吸収軸の関係を示す。
図12中、第1吸収型偏光子12、第2吸収型偏光子20、および、第3吸収型偏光子30中の矢印は吸収軸の方向を表し、第1位相差フィルム14、第3位相差フィルム18、第4位相差フィルム24および第6位相差フィルム28中の矢印はそれぞれの層中の面内遅相軸の方向を表す。
図11に示す積層体10dは、第3吸収型偏光子30をさらに有する点以外は、上述した積層体10cの構成は同じであり、以下では同一の部材に関して説明は省略し、主に、第3吸収型偏光子30について詳述する。
【0091】
<第3吸収型偏光子>
第3吸収型偏光子は、光を特定の直線偏光に変換する機能を有する部材(直線偏光子)である。第3吸収型偏光子中の吸収軸に平行な光は吸収され、透過軸に平行な光は透過する。
第3吸収型偏光子の具体例としては、上述した第1吸収型偏光子で述べた具体例が挙げられる。
【0092】
第3吸収型偏光子の波長550nmにおける単板透過率は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、40%以上が好ましく、43%以上がより好ましく、45%以上がさらに好ましい。上限値は特に制限されないが、52%以下の場合が多い。
単板透過率は、公知の測定装置を用いて測定できる。
【0093】
第3吸収型偏光子の厚みは特に制限されないが、取り扱い性に優れると共に、光学特性にも優れる点より、35μm以下が好ましく、3〜25μmがより好ましく、4〜15μmがさらに好ましい。上記厚みであれば、表示装置の薄型化にも対応可能となる。
【0094】
図12に示すように、第2吸収型偏光子20の吸収軸と第3吸収型偏光子30の吸収軸とのなす角度は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、両者は平行であることが好ましい。言い換えると、第2吸収型偏光子20の吸収軸と第3吸収型偏光子30の吸収軸とのなす角度は0〜15°が好ましい。なかでも、本発明の効果がより優れる点で、上記角度は0〜10°がより好ましく、0〜5°がさらに好ましい。
なお、上記角度とは、第1吸収型偏光子表面の法線方向から視認した際の、第2吸収型偏光子の吸収軸と、第3吸収型偏光子の吸収軸とのなす角度を意図する。
【0095】
<<表示装置>>
上記積層体(積層体10c、積層体10d)は種々の用途に適用でき、特に、表示パネル上に配置されることにより、斜め方向からの表示パネルの画像を視認しづらくすることができる。つまり、積層体は、光制御フィルムとして機能する。
以下では、上記積層体を含む表示装置に関して詳述する。
図13に、本発明の表示装置の他の例の断面図を示す。表示装置100bは、表示パネル22と、視認側に配置された上述した積層体10cとを有する。なお、表示パネル22には、偏光子が含まれる。
また、
図14において、第1吸収型偏光子12の吸収軸と、第1位相差フィルム14の面内遅相軸、第3位相差フィルム18の面内遅相軸、第2吸収型偏光子20の吸収軸と、第4位相差フィルム24の面内遅相軸、第6位相差フィルム28の面内遅相軸、および、表示パネル22に含まれる偏光子Pの吸収軸の関係を示す。
図14中、第1吸収型偏光子12、第2吸収型偏光子20および偏光子P中の矢印は吸収軸の方向を表し、第1位相差フィルム14、第3位相差フィルム18、第4位相差フィルム24、および、第6位相差フィルム28中の矢印はそれぞれの層中の面内遅相軸の方向を表す。
積層体10c中の各部材の説明は、上述した通りである。
【0096】
図13に示す表示パネルとしては、偏光子が含まれていれば特に制限されず、例えば、2枚の偏光子で挟まれた液晶セルを含む液晶表示パネル、偏光子と位相差フィルム(特に、λ/4板が好ましい)とを含む円偏光板を有する有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示パネルなどが挙げられる。
上記液晶表示パネルおよび有機EL表示パネルの構成は特に制限されず、公知の構成であってもよい。
なお、表示パネルに含まれる偏光子の種類は特に制限されず、例えば、吸収型偏光子であってもよく、より具体的には、上述した第1吸収型偏光子で述べた具体例が挙げられる。
【0097】
第2位相差フィルムの吸収軸と偏光子Pの吸収軸とのなす角度は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、
図14に示すように、両者は平行であることが好ましい。言い換えると、第2位相差フィルムの吸収軸と偏光子Pの吸収軸とのなす角度は0〜15°が好ましい。なかでも、本発明の効果がより優れる点で、上記角度は0〜10°がより好ましく、0〜5°がさらに好ましい。
なお、上記角度とは、第1吸収型偏光子表面の法線方向から視認した際の、第2吸収型偏光子の吸収軸と、偏光子Pの吸収軸とのなす角度を意図する。
【0098】
上記表示装置100bにおいて所望の効果が得られる機構に関して、上述した第1実施態様の
図7および8で説明した機構と同じであるため説明の詳細は省略する。
なお、表示装置100bにおいては、第1吸収型偏光子12と第2吸収型偏光子20との間、および、第2吸収型偏光子20と偏光子Pとの間の2つ領域において、第1実施態様の
図7および8で説明した機構が進行する。そのため、|Rth1(550)+Rth2(550)+Rth3(550)|の値と、|Rth4(550)+Rth5(550)+Rth6(550)|の値とをそれぞれ調整することにより、幅広い斜め方向の角度(極角)において表示パネルの画像を視認しづらくすることができる。つまり、|Rth1(550)+Rth2(550)+Rth3(550)|の値と、|Rth4(550)+Rth5(550)+Rth6(550)|の値とは異なることが好ましい。また、要件10を満たすことにより、幅広い斜め方向の角度(極角)において表示パネルの画像を視認しづらくすることができる。
【0099】
以上のように、表示装置100bを正面方向から視認した際には表示パネルに表示される画像を視認できるが、斜め方向から視認した際には表示パネルに表示される画像を視認しづらくなる。表示装置100bにおいては、いずれの方位から視認した際にも上記効果が得られる。
【0100】
なお、積層体10dに関しては、積層体10bと同様に、偏光子を含まない表示パネル上に積層体10dを配置することにより、上記に説明した態様と同様の機構により、正面方向と斜め方向との視認性を変えることができる。
【実施例】
【0101】
以下に、実施例および比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、および、処理手順などは、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更できる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
【0102】
(フィルム1の作製)
特開2015−187717号公報の実施例1に記載の(4)位相差板(F2)の作製の(配向膜の形成)において、配向膜塗布液(B)の代わりに位相差板(F6)の作製に用いた配向膜塗布液(C)を用い、ラビング角度を45°に変更した以外は、(4)位相差板(F2)の作製と同様の手順を実施して、剥離性支持体上に棒状液晶化合物を用いて形成された位相差フィルム1が配置されたフィルム1を作製した。位相差フィルム1の厚みは0.93μm、Re(550)は140nm、Rth(550)は70nmであった。位相差フィルム1において棒状液晶化合物の長軸のフィルム面に対する平均傾斜角は0°であり、棒状液晶化合物がフィルム面に対して水平に配向していることを確認した。
【0103】
(フィルム2の作製)
位相差フィルムの厚みを変更した以外は、(フィルム1の作製)と同様の手順に従って、フィルム2を作製した。フィルム2中の位相差フィルム2のRe(550)は120nm、Rth(550)は60nmであった。
【0104】
(フィルム3の作製)
位相差フィルムの厚みを変更した以外は、(フィルム1の作製)と同様の手順に従って、フィルム3を作製した。フィルム3中の位相差フィルム3のRe(550)は110nm、Rth(550)は55nmであった。
【0105】
(フィルム4の作製)
位相差フィルムの厚みを変更した以外は、(フィルム1の作製)と同様の手順に従って、フィルム4を作製した。フィルム4中の位相差フィルム4のRe(550)は170nm、Rth(550)は85nmであった。
【0106】
(フィルム5の作製)
位相差フィルムの厚みを変更した以外は、(フィルム1の作製)と同様の手順に従って、フィルム5を作製した。フィルム5中の位相差フィルム5のRe(550)は90nm、Rth(550)は45nmであった。
【0107】
(フィルム6の作製)
位相差フィルムの厚みを変更した以外は、(フィルム1の作製)と同様の手順に従って、フィルム6を作製した。フィルム6中の位相差フィルム6のRe(550)は190nm、Rth(550)は95nmであった。
【0108】
(フィルム7の作製)
特開2015−187717号公報の実施例4に記載の(19)位相差板(F6)の作製において、ラビング角度を45°に変更した以外は、(19)位相差板(F6)の作製と同様の手順を実施して、剥離性支持体上に円盤状液晶化合物を用いて形成される位相差フィルム7が配置されたフィルム7を作製した。位相差フィルム7のRe(550)は120nm、Rth(550)は−60nmであった。
【0109】
(位相差フィルム8の作製)
市販のトリアセチルセルロースフィルム(TD80UL、富士フイルム(株)製)を2枚用意し、粘着剤を用いて直交させて貼り合わせることで、Re(550)が0nm、Rth(550)が80nmの位相差フィルム8を作製した。
【0110】
(フィルム9Aの作製)
固形分濃度が35%になるように、下記化合物をメチルエチルケトンに溶解して、塗布液9Aを調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
円盤状液晶化合物9−1 87.6質量部
アクリレートモノマー9−2 8.7質量部
光重合開始剤(イルガキュアー184、BASF社製) 2.9質量部
フッ素系ポリマー9−3 0.8質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
【0111】
(円盤状液晶化合物9−1)
【0112】
【化1】
【0113】
(アクリレートモノマー9−2)
【0114】
【化2】
【0115】
(フッ素系ポリマー9−3)
【0116】
【化3】
【0117】
特開2015−187717号公報の実施例4に記載の位相差板(F6)と同様の方法で、鹸化したセルロースアシレートフィルム上に配向膜を形成した。この配向膜上に、上記で作製した塗布液を塗布して、塗膜を乾燥した。次に、塗膜を70℃で1分間加熱して、円盤状液晶化合物を配向させた。その後、ただちに70℃の温度条件で、500mJ/cm
2の紫外線を塗膜に照射して、円盤状液晶化合物を重合させ、配向状態を固定することで、セルロースアシレートフィルムと配向膜とからなる剥離性支持体、および、円盤状液晶化合物を用いて形成された位相差フィルム9Aを有するフィルム9Aを作製した。フィルム9A中の位相差フィルム9Aの厚みは4.0μm、Re(550)は0.5nm、Rth(550)は300nmであった。
なお、フィルム9Aの位相差フィルム9A中の円盤状液晶化合物の円盤面のフィルム面に対する平均傾斜角は0°であり、円盤状液晶化合物がフィルム面に対して水平に配向していることを確認した。
【0118】
(フィルム10A〜12Aの作製)
(フィルム9Aの作製)において、位相差フィルムの厚みを変更した以外は同様の方法で、剥離性支持体および円盤状液晶化合物からなる位相差フィルムを有するフィルム10A〜12Aを作製した。
フィルム10A中の位相差フィルム10AのRe(550)は0nm、Rth(550)は280nm、フィルム11A中の位相差フィルム11AのRe(550)は0.2nm、Rth(550)は160nm、フィルム12A中の位相差フィルム12AのRe(550)は0.1nm、Rth(550)は250nmであった。
なお、位相差フィルム10A〜12A中の円盤状液晶化合物の円盤面のフィルム面に対する平均傾斜角はいずれも0°であり、円盤状液晶化合物がフィルム面に対して水平に配向していることを確認した。
【0119】
(フィルム9の作製)
上記作製したフィルム9Aを2枚用意し、互いの位相差フィルムが対向するように、粘着剤を用いて貼り合わせ、片側の剥離性支持体を剥離することで、剥離性支持体上に位相差フィルム9が配置されたフィルム9を作製した。位相差フィルム9のRe(550)は1.0nm、Rth(550)は600nmであった。
【0120】
(フィルム10の作製)
上記作製したフィルム9およびフィルム10Aを用意し、互いの位相差フィルムが対向するように、粘着剤を用いて貼り合わせ、フィルム10Aの剥離性支持体を剥離することで、剥離性支持体上に位相差フィルム10が配置されたフィルム10を作製した。位相差フィルム10のRe(550)は0.9nm、Rth(550)は880nmであった。
【0121】
(フィルム11の作製)
上記作製したフィルム9Aおよびフィルム11Aを用意し、互いの位相差フィルムが対向するように、粘着剤を用いて貼り合わせ、フィルム11Aの剥離性支持体を剥離することで、剥離性支持体上に位相差フィルム11が配置されたフィルム11を作製した。位相差フィルム11のRe(550)は0.3nm、Rth(550)は460nmであった。
【0122】
(フィルム12の作製)
上記作製したフィルム12Aを2枚用意し、互いの位相差フィルムが対向するように、粘着剤を用いて貼り合わせ、片側の剥離性支持体を剥離することで、剥離性支持体上に位相差フィルム12が配置されたフィルム12を作製した。位相差フィルム12のRe(550)は0.2nm、Rth(550)は500nmであった。
【0123】
(フィルム13の作製)
上記作製したフィルム12を2枚用意し、互いの位相差フィルムが対向するように、粘着剤を用いて貼り合わせ、片側の剥離性支持体を剥離することで、剥離性支持体上に位相差フィルム13が配置されたフィルム13を作製した。位相差フィルム13のRe(550)は0.5nm、Rth(550)は1000nmであった。
【0124】
(位相差フィルム14Aの作製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、低置換度層用セルロースアシレート溶液を調製した。
置換度2.43のセルロースアセテート 100質量部
レタデーション発現剤(1) 4.0質量部
レタデーション発現剤(2) 10.0質量部
メチレンクロライド 351.5質量部
メタノール 52.5質量部
【0125】
【化4】
【0126】
レタデーション発現剤(2)の組成を、下記表に示す。レタデーション発現剤(2)はグリコールユニットとジカルボン酸ユニットとを繰り返し単位として有するエステル化合物である。なお、下記表中、EGはエチレングリコールを、PGはプロピレングリコールを、TPAはテレフタル酸を、SAはコハク酸をそれぞれ示している。なお、レタデーション発現剤(2)は、非リン酸系エステル系化合物であり、かつ、レタデーション発現剤でもある。レタデーション発現剤(2)の末端はアセチル基で封止されている。
【0127】
【表1】
【0128】
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、撹拌して、高置換度層用セルロースアシレート溶液を調製した。
置換度2.79のセルロースアセテート 100.0質量部
レタデーション発現剤(2) 11.0質量部
平均粒径16nmのシリカ粒子
(aerosil R972 日本アエロジル(株)製) 0.15質量部
メチレンクロライド 395.0質量部
メタノール 59.0質量部
【0129】
上記低置換度層用セルロースアシレート溶液を、膜厚96μmのコア層になるように、上記高置換度層用セルロースアシレート溶液を膜厚2μmのスキンA層およびスキンB層になるように、それぞれ流延した。得られたフィルムをバンドから剥離し、クリップに挟み、フィルム全体の質量に対する残留溶媒量が20%の状態の時に、延伸温度180℃で幅方向に18%、テンターを用いて横延伸した。その後にフィルムからクリップを外して130℃で20分間乾燥させ、位相差フィルム14Aを作製した。位相差フィルム14AのRe(550)は30nm、Rth(550)は300nmであった。
【0130】
(位相差フィルム15および16の作製)
位相差フィルム14Aの作製において、コア層の厚みおよび延伸倍率を変更した以外は、同様の方法で、フィルム15Aおよび16Aを作製した。
フィルム15Aを2枚用意し、粘着剤を用いて積層することで、Re(550)は40nm、Rth(550)は600nmの位相差フィルム15を作製した。
また、フィルム16Aを2枚用意し、粘着剤を用いて積層することで、Re(550)は20nm、Rth(550)は600nmの位相差フィルム16を作製した。
【0131】
(フィルム17の作製)
上記作製したフィルム10Aとフィルム11を用意し、互いの位相差フィルムが対向するように、粘着剤を用いて貼り合わせ、フィルム10Aの剥離性支持体を剥離することで、剥離性支持体上に位相差フィルム17が配置されたフィルム17を作製した。位相差フィルム17のRe(550)は0.2nm、Rth(550)は740nmであった。
【0132】
(フィルム18の作製)
上記作製したフィルム11を2枚用意し、互いの位相差フィルムが対向するように、粘着剤を用いて貼り合わせ、片側の剥離性支持体を剥離することで、剥離性支持体上に位相差フィルム18Aが配置されたフィルム18Aを作製した。
さらに、フィルム18Aを2枚用意し、互いの位相差フィルムが対向するように、粘着剤を用いて貼り合わせ、片側の剥離性支持体を剥離することで、剥離性支持体上に位相差フィルム18が配置されたフィルム18を作製した。位相差フィルム18のRe(550)は0.8nm、Rth(550)は1840nmであった。
【0133】
(フィルム19A〜21Aの作製)
特開2016−105127号公報の実施例5において、位相差層の厚みを変更した以外は同様の方法で、基材および配向層からなる剥離性支持体上に棒状液晶化合物を用いて形成された位相差フィルムが配置されたフィルム19A〜21Aを作製した。
フィルム19A中の位相差フィルム19AのRe(550)は0.1nm、Rth(550)は−200nmであり、フィルム20A中の位相差フィルム20AのRe(550)は0.2nm、Rth(550)は−260nm、フィルム21A中の位相差フィルム21AのRe(550)は0.4nm、Rth(550)は−300nmであった。
なお、位相差フィルム19A〜21A中の棒状液晶化合物の長軸のフィルム面に対する平均傾斜角はいずれも0°であり、棒状液晶化合物がフィルム面に対して垂直に配向していることを確認した。
【0134】
(フィルム19の作製)
上記作製したフィルム21Aを2枚用意し、互いの位相差フィルムが対向するように、粘着剤を用いて貼り合わせ、片方の剥離性支持体を剥離した。さらに剥離面に、別途用意したフィルム20Aの位相差フィルムが対向するように粘着剤を用いて貼り合わせ、フィルム20Aの剥離性支持体を剥離することで、剥離性支持体上に位相差フィルム19が配置されたフィルム19を作製した。位相差フィルム19のRe(550)は0.4nm、Rth(550)は−860nmであった。
【0135】
(フィルム20の作製)
上記作製したフィルム19Aを2枚用意し、互いの位相差フィルムが対向するように、粘着剤を用いて貼り合わせ、片方の剥離性支持体を剥離した。さらに剥離面に、別途用意したフィルム21Aの位相差フィルムが対向するように粘着剤を用いて貼り合わせ、フィルム21Aの剥離性支持体を剥離することで、剥離性支持体上に位相差フィルム20が配置されたフィルム20を作製した。位相差フィルム20のRe(550)は0.5nm、Rth(550)は−700nmであった。
【0136】
(フィルム21の作製)
上記作製したフィルム19Aを2枚用意し、互いの位相差フィルムが対向するように、粘着剤を用いて貼り合わせ、片方の剥離性支持体を剥離した。さらに剥離面に、別途用意したフィルム20の位相差フィルムが対向するように粘着剤を用いて貼り合わせ、フィルム20の剥離性支持体を剥離することで、剥離性支持体上に位相差フィルム21が配置されたフィルム21を作製した。位相差フィルム21のRe(550)は0nm、Rth(550)は−1100nmであった。
【0137】
(実施例1)
特開2014−206716号公報の実施例に記載の手順に従って、偏光子1を作製した。偏光子1は、吸収型偏光子に該当する。
次に、分光光度計VAP−7070(日本分光(株))を用いて測定した偏光子1の波長550nmにおける単板透過率は43%であった。
特開2014−206716号公報の実施例に記載の「片面保護膜付き偏光板01」の作製手順に従って作製した片面保護膜付き偏光板1の偏光子面に、粘着剤を介して、フィルム1中の位相差フィルム1を貼り合わせて、剥離性支持体を剥離した。同様の手順に従って、貼り合わされたフィルム1上に、フィルム9を用いて位相差フィルム9を貼り合わせ、さらに、フィルム1を用いて位相差フィルム1を貼り合わせた。結果として、偏光子面上に位相差フィルム1、位相差フィルム9、および、位相差フィルム1が積層された積層体を作製した。
なお、偏光子の吸収軸および各位相差フィルムの面内遅相軸とは、表1に記載の角度となるように各位相差フィルムを貼り合わせた。
【0138】
実施例1の積層体と同様に、表1に示す構成となるように各位相差フィルムを偏光子上に転写することで、実施例2〜31および比較例1〜4の積層体を作製した。作製した積層体における、偏光子の吸収軸と各位相差フィルムの面内遅相軸との角度を表1に示した。なお、実施例17、30、および、31のように、第2吸収型偏光子または第3吸収型偏光子が積層体の外側に配置される態様では、偏光板を構成する片面保護膜が積層体の外側となるように配置した。
また、片面保護膜付き偏光板1の作製において、偏光子作製時の染色濃度、延伸倍率を調整した以外は片面保護膜付き偏光板1と同様の方法で、片面保護膜付き偏光板2を作製し、積層体の作製に適宜使用した。なお、分光光度計VAP−7070(日本分光(株))を用いて、片面保護膜付き偏光板2中の偏光子2の単板透過率を測定したところ、47%であった。
また、実施例18〜29、および、31のように、第2吸収型偏光子が積層体を構成する位相差フィルムで挟まれている構成では、片面保護膜を有さない偏光子を使用して積層体を作製した。
【0139】
市販の液晶表示装置であるiPad(登録商標、Apple社製)の用意した。上記作製した積層体に含まれる偏光子の吸収軸と、iPadの液晶セルの視認側の偏光子の吸収軸方向とが平行となるように、積層体をiPadに貼り合わせた。なお、積層体の貼り合わせの際には、表1中に記載の第1吸収型偏光子が視認側になるように、積層体をiPadに貼り合わせた。
なお、積層体を貼り合わせる際には、実施例1に関しては、積層体とiPadとを粘着剤を介して直接貼り合わせた。比較例1〜4、および、実施例2〜31に関しては、積層体をiPad上に配置し、積層体の端部にテープを貼り付けて、テープで両者を固定した。
また、後述する表1に示すように、実施例30および31に関しては、iPadの代わりに、iPadから液晶セルを取り外すことでむき出しになったバックライト上にND(Neutral Density)フィルタを配置した表示装置Aを用いた。なお、表示装置A中には、偏光子は含まれていない。
【0140】
iPad、または、実施例30および31の表示装置Aを白表示にし、測定機(EZ−Contrast XL88、ELDIM社製)を用いて、正面ならびに各方位角/極角の斜め輝度を測定し、正面輝度に対する極角40〜60°の輝度比(%){(=斜め輝度/正面輝度)×100}を算出し、光制御性能を評価した。
全方位からの光制御性能を評価するため、方位角0°、方位角45°、方位角90°、および、方位角135°の4方位の輝度比をもとに、下記指標で評価した。
A:極角40〜60°の輝度比が4方位角いずれも連続的に5%以下
B:極角40〜60°の輝度比が4方位角いずれも連続的に10%以下であるが、少なくともいずれかの1つの方位角において極角40〜60°の輝度比のうち5%超がある。
C:極角50°および60°の輝度比が4方位いずれも5%以下であり、極角40°では10%以上
D:極角50°および60°の輝度比が4方位いずれも5%超10%以下であり、極角40°では10%以上
E:極角50°および60°の輝度比が4方位のいずれかで10%超
【0141】
なお、評価に使用したiPad中の視認側の偏光子を剥離し、偏光子をむき出しにした試料を準備した。分光光度計VAP−7070(日本分光(株))を用い、偏光子面を光源面に配置して、偏光子の単板透過率を測定した。このとき、偏光子の波長550nmにおける単板透過率は43%であった。
【0142】
表1中、「吸収軸の角度」および「遅相軸の角度」は、第1吸収型偏光子の遅相軸の角度を「90°」とした場合のそれぞれの軸がある角度を表す。この角度は、第1吸収型偏光子の法線方向から視認して、反時計回り方向において増加する。なお、「C」の表記はCプレートであることを表し、第2位相差フィルムおよび第5位相差フィルムの貼り合わせ方向は問わない。
表1中、「空気界面」欄の「あり/なし」は、「なし」の場合は、iPadの視認側の偏光子と積層体とが粘着剤で直接貼り合わせた場合を意味し、「あり」の場合はiPadの視認側の偏光子上または表示装置A上に、積層体を配置し、積層体をテープで貼り合わせた場合を意味する。
「偏光子C」欄は、iPadに使用されていた視認側の偏光子を意味する。
「表示装置」欄は、評価に使用した装置を意図し、LCD(Liquid Crystal Display)はiPadを意味する。
「Rth1(550)+Rth2(550)+Rth3(550)(nm)」欄は、Rth1(550)とRth2(550)とRth3(550)との合計を表す。
「Rth4(550)+Rth5(550)+Rth6(550)(nm)」欄は、Rth4(550)とRth5(550)とRth6(550)との合計を表す。
「||Rth2(550)|−|Rth5(550)||(nm)」は、Rth2(550)の絶対値とRth5(550)の絶対値との差の絶対値を表す。
「要件」欄は、上述した要件1〜9のいずれを満たすかを表す。なお、「1」は要件1を満たすことを表し、「(2+3)または(4+5)」は、要件2および3、または、要件4および5を満たすことを表し、「(6+7)または(8+9)」は、要件6および7、または、要件8および9を満たすことを表し、「(6+7)または(8+9)、および、(10)」は、要件6および7、または、要件8および9を満たし、かつ、要件10を満たすことを表す。
「位相差フィルム1,3,4および6のRe(550)が110〜170nmであるか否か」欄においては、「A」は位相差フィルム1,3,4および6のRe(550)が110〜170nmである場合を表し、「B」はそうでない場合を表す。
「着脱性」欄において、「A」は積層体が表示装置から容易に着脱可能であることを表し、「B」は積層体が表示装置に貼り合わされ容易には着脱できないことを表す。
【0143】
【表2】
【0144】
【表3】
【0145】
【表4】
【0146】
【表5】
【0147】
表1に示すように、本発明の積層体を用いれば、所望の効果が得られることが確認された。
中でも、実施例1〜7の比較より、|Rth1(550)+Rth2(550)+Rth3(550)|が640〜850nmの範囲の場合、効果がより優れることが確認された。
実施例2、8および9の比較より、第2位相差フィルムのRth2(550)が20nm未満の場合、効果がより優れることが確認された。
実施例2、10および11の比較より、第1吸収型偏光子の吸収軸と第1位相差フィルムの面内遅相軸とのなす角度が40〜50°である場合、効果がより優れることが確認された。
実施例2、12〜14の比較より、第1位相差フィルムおよび第3位相差フィルムの波長550nmにおける面内レタデーションがそれぞれ125〜150nmである場合、効果がより優れることが確認された。
実施例2、16および17の比較より、実施例16および17では第1位相差フィルムおよび第2位相差フィルムの波長550nmにおける面内レタデーションが125〜150nmの範囲外であるにかかわらず、実施例2と同程度の効果を示しており、第1吸収型偏光子および第2吸収型偏光子の少なくも一方(好ましくは両方)の透過率がいずれも45%以上であることが好ましいことが確認された。
実施例19と実施例20との比較より、要件2および3、または、要件4および5を満たす場合、効果がより優れることが確認された。
実施例21と実施例22との比較より、要件6および7、または、要件8および9を満たす場合、効果がより優れることが確認された。
実施例22〜29の比較より、要件10を満たし、かつ、位相差フィルム1、3、4および6の波長550nmにおける面内レタデーションが110〜170nmである場合、効果がより優れることが確認された。