(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記発光素子は、上面視において短手方向と長手方向があり、短手方向の長さに対する長手方向の長さの比が3〜10である、請求項1から4の何れか一項に記載の発光装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、発明の実施の形態について適宜図面を参照して説明する。ただし、以下に説明する発光装置は、本発明の技術思想を具体化するためのものであって、特定的な記載がない限り、本発明を以下のものに限定しない。また、一実施の形態において説明する内容は、他の実施の形態にも適用可能である。各図面が示す部材の大きさやアスペクト比や位置関係等は、説明を明確又は容易にするため、誇張又は省略していることがある。
【0012】
図1〜
図3には、互いに直交するX方向、Y方向及びZ方向を示す矢印をあわせて図示している。本明細書中では、X方向を長手方向、Y方向を厚み方向、Z方向を短手方向と適宜述べることがある。
発光装置の外形形状は直方体であり、6つの外面を備える。詳細には、上面と、上面の反対側であって実装面となる下面、上面と下面の間に4つの側面を備える。側面の1つは、露出された透光部材を含む面である。この露出された透光部材は、光取り出し面として機能する面であり、この面を含む側面を正面とも称する。また、正面と反対側の面を背面とも称する。
【0013】
また、本明細書において、小型化とは発光装置又は各部材の大きさを小さくすることを指す。また、その中でも特に、薄型化とは、発光装置の厚み方向の長さを短くすることを指し、狭幅化とは、発光装置の短手方向の長さを短くすることを指す。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態による発光装置100の正面図である。
図2は、
図1に示される発光装置100のII−II線における断面図である。
【0015】
一実施形態による発光装置100は、発光素子10と、透光部材12と、導光部材11と、反射部材13とを備える。
透光部材12は、発光素子10の上面10u及び導光部材11の上面に配置される。また、透光部材12の下面20は、発光素子10と対向する第1領域22と、第1領域22の外側の第2領域24とからなる。
導光部材11は、発光素子10の側面21及び透光部材12の第2領域24を被覆する。また、反射部材13は、導光部材11の外面25、発光素子10の下面10b及び側面21の一部を被覆する。さらに、反射部材13は、透光部材12の光取り出し面18を除く側面及び上面を被覆する。
【0016】
発光素子10の上面10uからの光は、透光部材12の第1領域22から、透光部材12内に入射される。発光素子10の側面21からの光は、導光部材11内に入射され、その後、透光部材12の第2領域24から、透光部材12内に入射される。このように、導光部材11が発光素子10の側面21及び透光部材12の第2領域24を被覆することで、発光素子10の側面21からの光を透光部材12に入射することができる。そのため、発光素子10からの光のロスを低減し、効率よく透光部材12に入射することができる。これにより、発光素子10そのものを大きくすることなく、発光効率の高い発光装置とすることができる。
【0017】
以下、一実施形態の発光装置100の好ましい形態について詳述する。
【0018】
図1、2に示すように、一実施形態の発光装置100では、発光素子10は、透光性基板14、半導体積層体15を有し、さらに半導体積層体15の下面10bに一対の電極16を有する。
また、発光素子10の上面10uは、どのような形状でもよいが、矩形が好ましく、長方形であることがより好ましい。長方形の場合、上面10uは、短手方向の長さに対する長手方向の長さ比が、約1.2〜約20であることが好ましく、約3〜約10であることがより好ましい。より詳細には、発光素子10は、長手方向の長さは200μm〜2000μm、厚み方向の長さは10μm〜300μm、短手方向の長さは100μm〜500μmが好ましい。より好ましくは、長手方向の長さ500μm〜1500μm、厚み方向の長さ50μm〜200μm、短手方向の長さ100μm〜400μmである。これにより、発光装置100の小型化が実現できるとともに、発光素子10の上面10u及び側面21からの光を効率よく発光素子10の外部へ取り出すことができる。
【0019】
透光部材12は、発光素子10及び導光部材11上に配置され、発光素子10の上面10u及び導光部材11より入射した光を、光取り出し面18より外部に取り出す。
一実施形態の発光装置100では、透光部材12は、上面視において発光素子10より大きい。さらには、
図2で示すように、発光素子10の側面21が透光部材12の側面よりも内側に位置していることが好ましい。
発光素子10の側面21が透光部材12の側面よりも内側に位置していることにより、第2領域24を得ることができる。さらには、透光部材12の第2領域24を得ることにより、第2領域24を導光部材11で被覆することができる。そのため、発光素子10の側面21から導光部材11に入射する光を第2領域24からより効率的に透光部材12に入射することができる。
【0020】
透光部材12は、正面視において、X方向における発光素子の中心と透光部材12の中心が略一致するように発光素子10上に配置されることがさらに好ましい。これにより、透光部材12の下面20に、発光素子10から出射される光が均等に入射することができ、色ムラを改善することができる。
また、透光部材12は、断面視において、Z方向における発光素子10の中心と透光部材12の中心が略一致するように発光素子10上に配置してもいいがこれに限らない。透光部材12の中心が、発光素子10の中心より正面側にあってもよいし、背面側にあってもよい。換言すると、正面側及び背面側に、第2領域24ができるように透光部材12を発光素子10上に透光部材12を配置すればよい。
【0021】
透光部材12の形状は、正面視においてどのような形状でもよい。略台形、略円形又は略半楕円形でもよいし、
図1に示すような略長方形でもよい。
また、断面視における透光部材12の形状についても、どのような形状でもよい。
図2に示すような、例えば略長方形でもよい。より好ましくは透光部材12の背面が上面から下面に向かって外側に広がる傾斜面や曲面になっているものである。
【0022】
導光部材11は、発光素子10の側面21を覆っており、その側面21からの光を透光部材12の方向に導光する。つまり、導光部材11を配置することで、発光素子10の内部から発光素子10の側面21に到達した光がその側面21で反射されることを抑制し、発光素子10の外側に取り出すことができる。このように、導光部材11を設けることにより、発光素子10の側面21からの光を透光部材12に導光し、発光装置100の発光効率を高めることができる。
【0023】
導光部材11の形状は、どのような形状でもよい。例えば、
図2において導光部材11の外面25は、平面でもよく、曲面でもよい。ここでいう曲面状とは、反射部材13側に凸状となる曲面、又は、発光素子10側に凸状となる曲面である。また、正面側及び背面側の導光部材11の形状はそれぞれ異なってもよいし、同じでもよい。
一実施形態の発光装置100では、
図2のように、導光部材11の外面25が、発光素子10の側面21から透光部材12の外縁に向かって広がる傾面を有し、反射部材13側に凸形状となる曲面の場合には、導光部材11の効果がより顕著になる。これにより、発光素子10の側面21から導光部材11に入射した光が、第2領域24を通り透光部材12に効率よく入射することができる。
【0024】
図1、
図2に示すように、一実施形態の発光装置100では、導光部材11は、発光素子10の側面21の50%以上を覆い、かつ透光部材12の第2領域24の50%以上を覆うことが好ましい。発光素子10の側面21及び透光部材12の第2領域24の70%以上を覆うことがより好ましい。発光素子10の側面21及び第2領域24の大部分を導光部材11で覆うことで、発光素子10の側面21からの光を効率よく導光部材11に取り込むことができ、発光効率を高めることができる。
【0025】
また、
図2に示すように、一実施形態の発光装置100では、発光装置100の正面38側に位置する導光部材11aは、正面38から一定距離を離して形成することが好ましい。換言すると、第2領域24の正面38側付近は、反射部材13で覆われていることが好ましい。これにより、発光素子10の側面21から導光部材11aに入射した光が、透光部材12に入射せず発光装置100の正面38から出射することを抑制し、色ムラ等が発生することを低減することができる。ここでいう一定距離とは、光が透過しにくい距離であり、発光装置の大きさや発光素子の構造等によって適宜選択可能な距離である。
【0026】
一方、背面側の導光部材11bは、第2領域24を広く被覆しているのがよい。例えば、Z方向における透光部材12の中心が、発光素子10の中心と略同じか中心より背面に近い側にあり、正面38側の導光部材11aより、背面側の導光部材11bがより広い面積で第2領域を被覆していることが好ましい。さらに、導光部材11bは、背面側の第2領域24の略すべてを被覆しているほうがより好ましい。これにより、発光素子10の側面21からの光をより効率よく導光部材11bに取り込め、発光効率を高めることができる。
【0027】
また、
図1に示すように、発光装置100の側面側の導光部材11は、発光素子10の側面21及び透光部材12の第2領域24の略すべてを被覆することが好ましい。これにより、発光素子10の側面21からの光を、より効率よく導光部材11に取り込み、発光効率を高めることができる。さらに、
図1において、X方向における発光素子10の中心と透光部材12の中心が略一致するように発光素子10上に配置され、かつ導光部材11は、左右両側面の形状及び被覆面積が略同じになるように被覆するのが好ましい。これにより、発光素子10の側面21から導光部材11に入射した光が、透光部材12に左右両側面均等に入射し、透光部材12の光取り出し面18から左右両側面均等に光が外部に取り出され、色ムラを改善することができる。
【0028】
一実施形態の発光装置100では、発光装置100の正面38と下面とのなす角度は、約80度から約100度にすることが好ましい。これにより、例えばバックライト用の導光板を光取り出し面18に配置する際、導光板と光取り出し面18の間に隙間ができにくく、光取り出し面18から出射する光を導光板により効率よく入光でき、発光効率の高いバックライトを得ることができる。
【0029】
反射部材13は、発光素子10の下面10b及び側面21の導光部材11で被覆されていない領域を被覆する。これにより、発光素子10の下面10b及び側面21からの導光部材11に入射しない光を反射部材13で反射し、透光部材12に入射することができる。また、導光部材11の外面25も被覆することにより、発光素子10の側面21から導光部材11に入射した光を反射部材13で反射し、透光部材12に導くことができる。よって、発光効率の高い発光装置とすることができる。
さらに、反射部材13は、透光部材12の上面、光取り出し面18を除く側面及び第2領域24の導光部材11で被覆されていない領域を被覆する。これにより、コントラストの高い見切りのある発光装置とすることができる。
【0030】
(変形例)
図3に示すように、発光装置200は基板を有しない。それ以外は、前述した一実施形態と略同じである。発光装置200は、基板を有しない点で、更なる薄型化が実現可能である。
【0031】
製造方法
以下、本発明の発光装置の製造方法について、図面を参照しながら説明する。なお、硬化前後又は切断前後で変化がある場合においても、同じ用語を適宜用いる。
【0032】
(第1の製造方法)
発光装置100の製造方法は、複数の発光素子を離間させて配置する工程と、複数の発光素子のうち、隣接する2つの発光素子上に渡って透光部材を設ける工程と、2つの発光素子の側面と透光部材の下面とを被覆する導光部材を設ける工程と、2つの発光素子と透光部材の上面と導光部材とを被覆する反射部材を設ける工程と、隣接する2つの発光素子の間の位置で、透光部材及び反射部材を切断する工程と、を少なくとも含む。
【0033】
上述の製造方法によって、発光素子10の側面21からの光が、導光部材11に入射し、反射部材13に反射され透光部材12の光取り出し面18から取り出される、発光効率の高い発光装置100を製造することができる。
【0034】
工程1−1.基板17への発光素子10の配置
まず、
図4Aに示すように、発光素子の電極16を基板と対向するように複数の発光素子10を離間させて配置し接合する。接合方法として例えば、AuSn接合、半田接合、Auバンプ接合、先鋭バンプ接合、導電性接着剤、異方導電性ペースト、異方導電性フィルム等が使用できる。特に接合の安定性や2次実装時及び使用時の接続部の信頼性の観点からAuSn接合が最も適する。
隣接する発光素子10間の距離は適宜選択可能であるが、発光装置の大きさと、基板の集合体1つあたりに製造可能な製品の個数との観点から、光取り出し面18側の距離で30μm〜300μm程度、より好ましくは50μm〜150μm程度が適する。
【0035】
工程1−2.透光部材12の準備
本実施形態においては、次に、平面視において長手方向と短手方向を有する、シート状の透光部材12を準備する。シート状の透光部材12は、例えば、液状の樹脂と必要に応じて蛍光体を混合した波長変換部材を、塗工、圧縮成形、トランスファー成形、射出成形、スプレー、印刷、ポッティング等で形成することができる。また、電気泳動堆積等で略均一な厚みに形成した蛍光体に樹脂を含浸することにより形成することができる。
透光部材12の表面は、平面であればよく、凹凸を有する面としても良い。凹凸は圧縮成形やトランスファー成形、射出成形等を利用して容易に設けることができる。表面に凹凸を設けることにより、透光部材12と反射部材13との密着性を高めることができるため、発光装置としての信頼性を向上できる。また、透光部材12の端面を、上面から下面に外側に広がる傾斜面又は曲面にしてもよい。光取り出し面18と対向する面である背面に傾斜を設けることで発光効率を更に高めることができる。
【0036】
透光部材12は、基板17に配置された隣接する2つの発光素子10上に渡って設けることができる大きさであり、隣接する透光部材12と所定の距離で離間する大きさとする。隣接する透光部材12間の距離は適宜選択可能であるが、発光装置の大きさ及び後述する個片化する工程を考慮し、隣接する透光部材12の対向する面の距離が30μm〜300μm、より好ましくは50μm〜150μmである。
【0037】
工程1−3.液状樹脂材料の配置
次に、図示はしていないが、基板上に配置された発光素子10の透光性基板14上に、導光部材11の材料である液状樹脂材料を配置する。配置方法としてはディスペンス、ピン転写及びスキージにて一定の厚みに調整した樹脂に発光素子10の透光性基板14側を接触させる、ディッピング方法等を使用できる。液状樹脂材料の配置量は適宜選択可能であるが、発光素子10の側面21を十分に覆い、且つ液状樹脂材料が発光素子10の側面21及び透光部材12の第2領域24を繋ぐ傾斜面を形成できるように調整することが望ましい。
【0038】
工程1−4.透光部材12の配置及び導光部材11の形成
次に、
図4Bに示すように、透光部材12を隣接する2つの発光素子10上に渡って配置する。この時、
図4Dに示すように、発光素子10上に配置された液状樹脂材料は発光素子10と透光部材12の間から押し出され、発光素子10の側面及び透光部材12の第2領域24を覆い、側面21と透光部材12の第2領域24を繋ぐ傾斜面を有する導光部材11を形成する。
その後、液状樹脂材料を熱や紫外線等で硬化させ、発光素子10と透光部材12を接着すると共に、導光部材11の傾斜面の形状を固定する。例えば、導光部材11の硬化は、150℃のオーブンで4時間加熱することにより行うことができる。
なお、透光部材12を発光素子10に配置した際、液状樹脂材料が、透光部材12と発光素子10の間に配置されていてもよい。これにより、発光素子10の上面10uからの光が硬化した液状樹脂材料の内部において均一化させ透光部材12に入射することができ、発光装置から出射される色ムラを改善することができる。
【0039】
工程1−5.透光部材12の整形
本実施形態では、シート状の透光部材12の外形をやや大きめに成形しておき、発光素子10に配置した後に透光部材12の外縁の一部を除去し、外形を整えてもよい。これにより、透光部材12の成形時の形状のばらつきや配置時の位置ずれを低減できる。また、透光部材の形状ばらつきや位置ばらつきに起因して、それを被覆する反射部材13の厚みが薄くなることで十分に遮光できず、発光装置の光取り出し面18以外から光が漏れるおそれを低減することができる。特に、透光部材12が蛍光体を含有している場合、光取り出し面18以外から光が漏れることにより、発光色がずれるおそれを低減することができる。
その結果、反射部材13の厚みの狙い値、つまりは設計値を小さくできる為、換言すると、反射部材13の厚みのうち製造のばらつきを考慮した余裕分を削減することができる為、発光装置を小型化できる。
この整形方法としては、ダイシング、トムソン加工、レーザ加工等で行ってもよく、形状精度に優れるダイシングがより好ましい。
【0040】
工程1−6.反射部材13の形成
次に、
図4Dに示すように、透光部材12、発光素子10、導光部材11及び基板17の上面を被覆する反射部材13を形成する。反射部材13の形成は、圧縮成形、トランスファー成形、射出成形等の金型成形、印刷、ポッティング等の方法が使用できる。特に、反射部材13の樹脂中に含有するフィラー濃度が高くなると、流動性が低化することから、圧縮成形、トランスファー成形が最も適する。
【0041】
工程1−7.個片化
次に、
図4Eに示すように、隣接する2つの発光素子10間で切断し複数の発光装置を得る。透光部材12間は、反射部材13及び基板17を切断する。また、透光部材12が渡って形成されている2つの発光素子10間は、反射部材13、透光部材12、及び基板17を切断する。なお、透光部材12の切断面が、発光装置の光取り出し面18となる。
この切断にはダイシング、トムソン加工、レーザ加工等の方法が使用できる。切断時には、透光部材12の整形時に使用した基準点を基準とする事で、反射部材13の厚み、つまりは光取り出し面18と対向する面である背面側の反射部材13の厚みを精度よく薄く切断できるため、発光装置全体を小型化できる。
【0042】
以上、第1の製造方法について順を追って説明したが、製造手順はこの通りでなくてもよい。例えば、工程1−2、1−3を同時に行う等、複数の工程を同時に行ってもよい。
【0043】
(第2の製造方法)
発光装置の第2の製造方法は、上面と下面を有する透光部材の下面の一部と、透光部材の下面上に配置された2つの発光素子の側面とを被覆する導光部材を設ける工程と、2つの発光素子と透光部材の上面と導光部材とを被覆する反射部材を設ける工程と、隣接する2つの発光素子の間の位置で、透光部材及び反射部材を切断する工程と、を少なくとも含む。
第2の製造方法は、第1の製造方法と、基板17を有さない発光装置を製造することも可能な点で異なる。
【0044】
第2の製造方法における、透光部材12の上面と下面は
図5D及び
図5Eにおける透光部材の配置方向において上側を上面、下側を下面とする。
【0045】
工程2−1.発光素子10の配置
まず、
図5Aに示すように、シート状の透光部材12を準備する。
次に、透光部材12の下面に、導光部材11の材料である液状樹脂材料を配置する。液状樹脂材料の配置方法及び配置量については、工程1−3と略同じである。
次に、
図5Bに示すように、複数の発光素子10を透光部材12に液状樹脂材料を介して配置する。この時、透光部材12に配置された液状樹脂材料は発光素子10と透光部材12の間から押し出され発光素子10の側面21と透光部材12の第2領域24を繋ぐ傾斜面を形成する。その後、工程1−5.に示す方法等により、導光部材11を硬化する。
【0046】
工程2−2.透光部材12の切断
図5Cに示すように、透光部材12に2つの発光素子10が配置されるよう、透光部材12を発光素子10間で切断する。この切断にはダイシング、トムソン加工、レーザ加工等の方法が使用できる。
また、本製造方法では透光部材12に複数の発光素子10を配置した後、透光部材を2つの発光素子10毎に透光部材12を切断したがこれに限らない。先に、2つの発光素子を配置できる大きさに透光部材12を切断し、その後、発光素子10を配置してもよい。
【0047】
工程2−3.反射部材13の形成
次に、
図5Dに示すように、転写シート27上に発光素子10の電極16が対向するように転写し、発光素子10、透光部材12及び導光部材11を被覆する反射部材13を形成する。好ましい形成方法については、工程1−7.と略同じである。
転写シート27は、例えば、樹脂フィルム、金属板、セラミック板等の単体又は複合体等によって形成されたものが挙げられる。転写シート27は剛性のものであってもよいし、可撓性を有するものであってもよい。この転写シート27は、一連の工程により発光装置を製造した後等に除去する。 また、例えば、転写シート27上に電極16が対向するように転写する代わりに、工程2−2で切断したものを、透光部材12の上面を転写シート27と対向するように配置し、その後、電極16の一部が露出するように発光素子10、透光部材12及び導光部材11を反射部材13で被覆してもよい。
【0048】
工程2−4.個片化
次に、
図5Eに示すように、隣接する2つの発光素子10間で切断し、複数の発光装置を得る。透光部材12が渡って形成されていない発光素子10間は、反射部材13を切断する。また、透光部材12が渡って形成されている2つの発光素子10間は、反射部材13、透光部材12を切断する。なお、透光部材12の切断面が、発光装置の光取り出し面18となる。この切断方法については、工程1−8と略同様の方法が使用できる。また、切断後に転写シート27を除去してもよい。
【0049】
以上、第2の製造方法について順を追って説明したが、製造手順はこの通りでなくてもよい。例えば、工程順を変更してもよいし、複数の工程を同時に行ってもよい。また、第2の製造方法に記載されていない点については、第1の製造方法と略同様である。第2の製造方法では、基板を有しなくてもよく、より薄型の発光装置を製造することができる。
【0050】
以下、本発明の発光装置の各構成要素について説明する。
【0051】
(発光素子10)
発光素子は、半導体発光素子が好ましい。半導体発光素子としては、例えばLED(発光ダイオード)チップが挙げられる。半導体発光素子は、少なくとも発光素子構造を構成する半導体積層体及び一対の電極を有し、さらに透光性基板を有していてもよい。発光素子は、同一面側に正負(p,n)電極を有することが好ましい。発光素子がフリップチップ(フェイスダウン)実装タイプの場合、主発光面は電極形成面とは反対側の面である。
【0052】
(半導体積層体15)
半導体積層体は、少なくともn型半導体層とp型半導体層を含み、活性層をその間に介することが好ましい。半導体材料としては、蛍光物質を励起しやすい短波長光を効率良く発光可能な窒化物半導体を用いることが好ましい。窒化物半導体は、主として一般式In
xAl
yGa
1−x−yN(0≦x、0≦y、x+y≦1)で表される。このほか、硫化亜鉛、セレン化亜鉛、炭化珪素などを用いることもできる。
【0053】
(透光性基板14)
透光性基板としては、半導体層をエピタキシャル成長させることができる成長用の基板が挙げられる。このような透光性基板の材料としては、サファイア(Al
2O
3)、スピネル(MgA1
2O
4)のような絶縁性基板、上述した窒化物系の半導体基板等が挙げられる。半導体層の成長用の基板として、サファイア基板のような透光性を有する透光性基板14を用いることにより、半導体積層体から除去せず発光装置に用いることができる。
また、透光性基板は、表面に複数の凸部又は凹凸を有するものであってもよい。
【0054】
(電極16、16a、16b)
電極は、金属又は合金の小片で構成することができる。具体的には、金、銀、銅、鉄、錫、白金、亜鉛、ロジウム、チタン、ニッケル、パラジウム、アルミニウム、タングステン、クロム、モリブデン及びこれらの合金のうちの少なくとも1つを用いることができる。なかでも、銅は、熱伝導性に優れ、比較的安価であるため、銅又は銅合金が特に好ましい。また、金は、また化学的に安定であり表面酸化が少なく接合しやすい性質を有するため、金又は金合金も好ましい。電極は、半田接合性の観点において、表面に金又は銀の被膜を有してもよい。
【0055】
(透光部材12)
透光部材は、透光性材料を含んでいる。透光性材料としては、透光性樹脂、ガラス等が使用できる。特に、透光性樹脂が好ましく、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、メチルペンテン樹脂、ポリノルボルネン樹脂などの熱可塑性樹脂を用いることができる。特に、耐光性、耐熱性に優れるシリコーン樹脂が好適である。
透光部材には、粘度を調整する等の目的で各種フィラー等を含有させてもよい。
【0056】
透光部材は、透光性材料に加えて蛍光体を含んだ波長変換部材でもよい。
蛍光体は、発光素子からの発光で励起可能なものが使用される。例えば、青色発光素子又は紫外線発光素子で励起可能な蛍光体としては、セリウムで賦活されたイットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(Ce:YAG);セリウムで賦活されたルテチウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(Ce:LAG);ユウロピウム及び/又はクロムで賦活された窒素含有アルミノ珪酸カルシウム系蛍光体(CaO−Al
2O
3−SiO
2);ユウロピウムで賦活されたシリケート系蛍光体((Sr,Ba)
2SiO
4);βサイアロン蛍光体、CASN系蛍光体、SCASN系蛍光体等の窒化物系蛍光体;KSF系蛍光体(K
2SiF
6:Mn);硫化物系蛍光体、量子ドット蛍光体などが挙げられる。これらの蛍光体と、青色発光素子又は紫外線発光素子と組み合わせることにより、様々な色の発光装置(例えば白色系の発光装置)を製造することができる。
波長変換部材には、粘度を調整する等の目的で、各種のフィラー等を含有させてもよい。
【0057】
透光部材は、その厚み方向に、単層で構成されてもよいし、複数の層の積層体で構成されてもよい。透光部材が積層体で構成される場合、各層に異なる種類の主材を用いてもよいし、各層に異なる種類の蛍光物質を含有させてもよい。また、最外層が蛍光物質を含有しない層であることにより、外気などによる蛍光物質の劣化を抑制することができる。
【0058】
(導光部材11、11a、11b)
導光部材は、透光性を有し、発光素子の光を透光部材に導光するほか、発光素子と透光部材を接着させることができる液状樹脂材料を使用することが好ましい。液状樹脂材料は、はじめに液状であって硬化することで接着が可能な材料であることが好ましい。液状樹脂材料の主材は、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、及びこれらの変性樹脂のうちの少なくとも1つを用いることができる。なかでも、シリコーン樹脂若しくはその変性樹脂は、耐熱性及び耐光性に優れる点で好ましい。具体的なシリコーン樹脂としては、ジメチルシリコーン樹脂、フェニル−メチルシリコーン樹脂、ジフェニルシリコーン樹脂が挙げられる。
また、例えば、導光部材に導光部材の屈折率を調整するため、又は硬化前の導光部材、すなわち、液状樹脂材料の粘度を調整するために、各種フィラーを添加してもよい。
【0059】
(反射部材13)
反射部材は、光反射性樹脂から形成することができる。また、光反射性樹脂は、発光素子の発光ピーク波長における光反射率が、70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることがよりいっそう好ましい。反射部材に達した光が反射されて、発光装置の光取り出し面に向かうことにより、発光装置の光取出し効率を高めることができる。
【0060】
光反射性樹脂としては、例えば透光性樹脂に、光反射性物質を分散させたものが使用できる。光反射性物質としては、例えば、酸化チタン、二酸化ケイ素、二酸化ジルコニウム、チタン酸カリウム、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、ムライトなどが好適である。光反射性物質は、粒状、繊維状、薄板片状などが利用できるが、特に、繊維状のものは反射部材の熱膨張率を低下させる効果も期待できるので好ましい。
反射部材に使用できる樹脂材料としては、特に、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性の透光性樹脂であるのが好ましい。
【0061】
(基板17)
基板は、一対の金属板を含むリードフレームや、少なくとも母材と、母材上に設けられた正負に対応する一対の接続端子を備える基板などを用いることができる。基板を用いる場合には、その接続端子は、通常、母材の少なくとも第1主面に形成されている。ここでの第1主面とは、基板又は母材の一方の表面を指す。基板の形状は特に限定されないが、通常、後述する母材の形状に相当する形状となる。例えば、少なくとも第1主面が、長手方向に長いことが好ましく、さらに、長手方向に直交する短手方向を備えることがより好ましい。
【0062】
(母材)
母材は、どのような材料によって形成されていてもよい。例えば、金属、セラミック、樹脂、誘電体、パルプ、ガラス、紙又はこれらの複合材料、あるいはこれら材料と導電材料(例えば、金属、カーボン等)との複合材料等が挙げられる。金属としては、銅、鉄、ニッケル、クロム、アルミニウム、銀、金、チタン又はこれらの合金を含むものが挙げられる。樹脂としては、エポキシ樹脂、ビスマレイミドトリアジン(BT)樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられる。樹脂には、酸化チタンなどの白色顔料が含有されていてもよい。なかでも、セラミック、複合樹脂であることが好ましい。
【0063】
セラミックは、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化ジルコニウム、窒化ジルコニウム、酸化チタン、窒化チタン又はこれらの混合物を含むものが挙げられ、放熱性の高い窒化アルミ等を用いることが好ましい。複合樹脂は、ガラスエポキシ樹脂を用いることが好ましい。なお、母材は適度の強度を確保したものであってもよいし、いわゆるフレキシブル性を有するものであってもよい。
【0064】
なお、本文で述べる「透光性」とは、発光素子の発光ピーク波長における光透過率が、好ましくは60%以上であること、より好ましくは70%以上であること、よりいっそう好ましくは80%以上であることを言う。
【0065】
以上、本発明に係るいくつかの実施形態について例示したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り任意のものとすることができることは言うまでもない。