特許第6784551号(P6784551)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6784551
(24)【登録日】2020年10月27日
(45)【発行日】2020年11月11日
(54)【発明の名称】状態監視システム
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20201102BHJP
【FI】
   G05B23/02 G
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-180062(P2016-180062)
(22)【出願日】2016年9月15日
(65)【公開番号】特開2018-45471(P2018-45471A)
(43)【公開日】2018年3月22日
【審査請求日】2019年3月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000153443
【氏名又は名称】株式会社 日立産業制御ソリューションズ
(73)【特許権者】
【識別番号】519135633
【氏名又は名称】公立大学法人大阪
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】和久井 一則
(72)【発明者】
【氏名】山内 良明
(72)【発明者】
【氏名】川合 忠雄
【審査官】 藤崎 詔夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−164751(JP,A)
【文献】 特開2010−097501(JP,A)
【文献】 特開2006−007821(JP,A)
【文献】 特開2006−161388(JP,A)
【文献】 特開2007−138921(JP,A)
【文献】 特開2009−301377(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器の稼動状態に対応して、機器の物理モデル上で異常挙動に起因する要素部をあらかじめモデル化した現象コンポーネントを記憶するデータベースと、
前記機器に取り付けたセンサからの状態データを取得する機器データ取得手段と、
前記機器の物理モデルからシミュレーションした解析結果を取得するモデル解析結果取得手段と、
前記状態データと前記解析結果とを比較する比較手段と、
前記物理モデルのパラメータを調整するパラメータ調整手段と、
前記現象コンポーネントを前記物理モデルに取り込む現象コンポーネント選択手段と、
前記比較手段の比較結果に基づき、前記現象コンポーネント選択手段に前記物理モデルに必要となる現象コンポーネントの選択を指示するとともに、前記選択された現象コンポーネントのパラメータの調整を前記パラメータ調整手段に指示する現象コンポーネント調整手段と、を有する
ことを特徴とする状態監視システム。
【請求項2】
前記現象コンポーネント調整手段は、前記比較手段の比較結果が、設定した閾値条件範囲になるまで、前記現象コンポーネント選択手段および前記現象コンポーネント調整手段への指示を繰り返す
ことを特徴とする請求項1に記載の状態監視システム。
【請求項3】
前記現象コンポーネントは、1自由度系あるいはn自由度系の振動モデルで構成した
ことを特徴とする請求項1に記載の状態監視システム。
【請求項4】
前記現象コンポーネントは、1自由度系あるいはn自由度系の振動モデルの直列構成、並列構成、あるいはその組み合わせの構成とした
ことを特徴とする請求項1に記載の状態監視システム。
【請求項5】
前記現象コンポーネントは、1自由度系あるいはn自由度系の振動モデルで構成するとともにその周辺構造物となる構造モデルを備えた
ことを特徴とする請求項1に記載の状態監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器の状態が変化した場合においても、機器の状態を適切にモデル化することができる状態監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、「機器要素を詳細動特性モデルのパラメータを用いて伝達関数モデルで表し、要素ブロックの入出力を伝達関数モデルで近似してモデル化する簡略モデル算出手段、実機のステップ応答波形から伝達関数のゲインや時定数などの値を算出する実績波形特徴抽出手段、簡略モデル算出手段で用いる伝達関数のゲインや時定数などの値とそれらを与える詳細動特性モデルのパラメータとその値および関係式、実績波形特徴抽出手段で算出した伝達関数のゲインや時定数などの値、簡略モデル伝達関数と手段で算出された伝達関数を一致させるためのパラメータの修正量を表示する手段よりなる。プラントシミュレータ動特性モデルパラメータのチューニングを、物理現象のモデル化に基づいた論理的に明確な方法で精度良く実施でき、プラントの制御系調整に要する時間を短縮できる。」と記載されている。
【0003】
また、非特許文献1によれば、「機器のシミュレーションに、物理モデルを用いることで、機器の構成パーツの故障原因を含むように詳細にモデル化することが可能となり、機器の故障診断や余寿命予測への活用ができる」ことが発表されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−6407号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】川合忠雄、“機器に発生するトラブルの事前予測および余寿命診断への物理モデルの適用”、[online]、[平成28年6月1日検索]、インターネット〈URL:http://www.jsme.or.jp/conference/joutai/doc/kaisai/20121012/kawai.pdf〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
対象とする機器を物理モデル化したシミュレーション結果は、実際の現象を模擬することが難しく、その解析結果と機器の実稼働状態とを一致させることは多大な労力を要する。特許文献1では、予め構成しているプラントシミュレータによるパラメータをチューニングすることが記載されている。しかし、実稼働機器と同じ稼働状況をプラントシミュレータ構築時に発生しうる異常挙動などのデータを組み込むことは難しく、シミュレーション結果のさらなる向上が必要である。
【0007】
また、非特許文献1では、機器の構成パーツに故障原因を含んでモデル化することで、機器の状態を忠実に再現できることが記載されている。しかし、実際には機器の状態は日々変化しており、一度構築したモデルが、時間経過後に、機器の最新状態と一致していることはない。そのため、一度構築したモデルのパラメータ調整だけでは、最新状態の機器と同じ結果をシミュレートすることは困難である。
【0008】
本発明は、前記の課題を解決するための発明であって、機器の状態が変化した場合においても、機器の状態を適切にモデル化することができる状態監視システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本発明の状態監視システムは、機器の稼動状態に対応して、機器の物理モデル上で異常挙動に起因する要素部をあらかじめモデル化した現象コンポーネントを記憶するデータベース(例えば、現象コンポーネント格納部8)と、機器に取り付けたセンサからの状態データを取得する機器データ取得手段と、機器の物理モデルからシミュレーションした解析結果を取得するモデル解析結果取得手段と、状態データと解析結果とを比較する比較手段と、物理モデルのパラメータを調整するパラメータ調整手段と、現象コンポーネントを物理モデルに取り込む現象コンポーネント選択手段と、比較手段の比較結果に基づき、現象コンポーネント選択手段に物理モデルに必要となる現象コンポーネントの選択を指示するとともに、選択された現象コンポーネントのパラメータの調整をパラメータ調整手段に指示する現象コンポーネント調整手段(例えば、現象コンポーネントコントロール手段4)と、を有することを特徴とする。本発明のその他の態様については、後記する実施形態において説明する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、機器の状態が変化した場合においても、機器の状態を適切にモデル化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態に係る状態監視システムの全体構成を示す図である。
図2】現象コンポーネントを現状の機器の状態にあった現象コンポーネントに置換した場合の状態監視システムの全体構成を示す図である。
図3】本実施形態を説明するための実機の機器例を示す図である。
図4】本実施形態の実機例のモデル化を示す図である。
図5】本実施形態の現象コンポーネントを示す図であり、(a)は基本現象コンポーネント、(b)〜(d)は他の現象コンポーネントを示す図である。
図6】本実施形態に係る状態監視システムの処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る状態監視システムの全体構成を示す図である。図2は、現象コンポーネントを現状の機器の状態にあった現象コンポーネントに置換した場合の状態監視システムの全体構成を示す図である。状態監視システム1は、一般的なPC(Personal Computer)などローカル環境で実現する方法、クラウドのようなネットワーク経由で実現する方法、どちらでもよい。
【0013】
対象とする機器10は、複数のパーツ11,12,13で構成されている。該機器に対する物理モデル30は、機器10の構成要素に対応する物理モデルである基本現象コンポーネント31,32,33を備えている。状態監視システム1は、機器データ取得手段2、比較手段3、現象コンポーネントコントロール手段4(現象コンポーネント調整手段)、モデル解析結果取得手段5、パラメータ調整手段6、現象コンポーネント選択手段7、現象コンポーネント格納部8(データベース)を有している。
【0014】
機器10には、振動センサや加速度センサなどのセンサ21,22が取り付けられている。このセンサデータや機器出力を機器データ取得手段2が取得する。モデル解析結果取得手段5は、物理モデル30を構成する現象コンポーネントの解析値や物理モデル30の全体の出力解析値を取得する。比較手段3は、機器データ取得手段2及びモデル解析結果取得手段5が取得したデータを比較し、比較結果を現象コンポーネントコントロール手段4(現象コンポーネント調整手段)へ渡す。例えば回転部を備えた機器の場合、回転支持部となる軸受は、筐体となるハウジングの振動や、軸受け特有の摺動接触現象によるさまざまな振動などが発生する。特に摺動部は摩擦や磨耗、接触痕などによる物理的な振動現象を引き起こす。これらの現象を模擬した物理モデルを現象コンポーネントとする。
【0015】
現象コンポーネントコントロール手段4は、比較結果を振動振幅や周波数などの閾値条件などにより判定する。現象コンポーネント選択手段7は、現象コンポーネント格納部8より現象コンポーネント41,42を選択し、物理モデル30上の対応する基本現象コンポーネント31,32と置き換える(図2参照)。パラメータ調整手段6は、現象コンポーネント41,42のパラメータを調整する。
【0016】
本実施形態では、機器データ取得手段2、モデル解析結果取得手段5で取得されたデータを比較手段3で比較し、その結果をもとに現象コンポーネントコントロール手段4が、現象コンポーネント選択手段7及びパラメータ調整手段6を用いて機器10と物理モデル30の稼働状態(先に述べた振動振幅や周波数など)がほぼ同様の現象と判断されるまで繰り返す。
【0017】
図3は、本実施形態を説明するための実機の機器例を示す図である。該機器は、モータ300、軸受301a,301b、回転子302、回転軸305で構成される。軸受301aには、センサ21が設置されている。
【0018】
図4は、本実施形態の実機例のモデル化を示す図である。図4は、図3に示す機器を物理モデル化したものであり、モータ300に対応するモデルパーツ400、軸受301a,301bに対応するモデルパーツ401a,401b(総称する場合は、モデルパーツ401)、回転子302に対応するモデルパーツ402、回転軸305に対応するモデルパーツ405で構成される。
【0019】
図5は、本実施形態の現象コンポーネントを示す図であり、(a)は基本現象コンポーネント、(b)〜(d)は他の現象コンポーネントを示す図である。図5に示す現象コンポーネントは、現象コンポーネント格納部8に保持される現象コンポーネントの一例である。現象コンポーネントは、対応する機器のパーツで発生する可能性がある損傷などの現象ごとに複数用意することが望ましく、これは実験やシミュレーション、過去のデータベースにより構築する。
【0020】
現象コンポーネント501aは、機器の軸受301a,301bに対応するものでハウジングの振動特性をモデル化したもので、パラメータとして弾性率(ばね定数)や減衰率などである。現象コンポーネント501b,501c,501dは、現象コンポーネント501aの他の例である。なお、現象コンポーネント501a,501b,501c,501dを総称する場合は、現象コンポーネント501という。
【0021】
現象コンポーネントは、これらの1自由度系あるいはn自由度系の振動モデルとし、直列構成、並列構成あるいはその組み合わせの構成としてもよい。さらに軸受けの摺動特性を含めた該振動モデルとしてもよい。例えば、ボールベアリングではボール部の傷や磨耗痕による接触振動、滑り軸受けでは摩擦や磨耗痕による接触振動などを想定して、振動モデルを構成する。さらに、軸受け部に結合した軸部やその周辺構造物の弾性振動モードなどをあらかじめ振動モデルに組み込むなど、現象コンポーネントは、軸受け部のみだけでなく、周辺構造の影響をも盛り込んだ構造モデルを備えていてもよい。
【0022】
すなわち、現象コンポーネントは、1自由度系あるいはn自由度系の振動モデルで構成してもよい。現象コンポーネントは、1自由度系あるいはn自由度系の振動モデルの直列構成、並列構成、あるいはその組み合わせの構成としてもよい。現象コンポーネントは、1自由度系あるいはn自由度系の振動モデルで構成するとともにその周辺構造物となる構造モデルを備えていてもよい。
【0023】
図6は、本実施形態に係る状態監視システムの処理を示すフローチャートである。適宜図1図2を参照する。現象コンポーネントコントロール手段4は、比較手段3の結果を判定する(ステップS1)。結果が比較条件を満たさない場合(ステップS1,不一致)、ステップS2に進み、結果が比較条件を満たす場合(ステップS1,一致)、処理を終了する。
【0024】
ステップS2で、現象コンポーネントコントロール手段4は、物理モデルに現象コンポーネントが適用されているか否かを判定する。現象コンポーネントが適用されていない場合(ステップS2,No)、現象コンポーネントコントロール手段4は、現象コンポーネント選択手段7に現象コンポーネントの選択の指示をし、現象コンポーネント選択手段7は、現象コンポーネント格納部8から現象コンポーネントを選択し(ステップS5)、物理モデル上の対象パーツ部に現象コンポーネントを組み込む。
【0025】
現象コンポーネントが適用されている場合(ステップS2,Yes)、現象コンポーネントコントロール手段4は、該現象コンポーネントのパラメータが調整済みか否かを判定する(ステップS3)。パラメータが調整されていない場合(ステップS3,No)、パラメータ調整手段6によりパラメータ調整(ステップS4)を実施する。該パラメータ調整後、機器データ取得手段2及びモデル解析結果取得手段5により取得されたデータの比較を比較手段3が実行する。
【0026】
ステップS3で、全てのパラメータ調整が実施されている場合(ステップS3,Yes)、現象コンポーネントの適用漏れがないかを判定する(ステップS6)。適用漏れがある場合(ステップS6,No)、現象コンポーネント選択手段7により、現象コンポーネント41,42が選択され、物理モデル上の基本現象コンポーネント31,32(図1参照)を現象コンポーネント41,42(図2参照)に置換する。適用漏れがない場合(ステップS6,Yes)、一連の処理を終了する。以下、各手段について詳細に説明する。
【0027】
(比較手段)
比較手段3は、図1に示すように、機器のパーツ11に取付けられたセンサ21のセンサデータと、該センサデータに対応する基本現象コンポーネント31の解析結果を比較する。また、パーツ13のセンサ22のセンサデータと、基本現象コンポーネント33の解析結果を比較する。また、機器10の出力と物理モデル30の解析出力結果を比較する。各センサ単位での比較だけでなく、センサや出力の組合せで比較してもよい。これは、機器の異常などは、センサ取付け箇所だけに影響を及ぼすのではなく、他の場所のセンサなどに影響を及ぼすからである。図2に示すように、現象コンポーネント41で基本現象コンポーネント31が置き換えられた場合は、現象コンポーネント41の解析結果とセンサ21を比較する。比較にあたっては、センサデータと解析出力結果の差が一定範囲内に収まるように設定してもよい。
【0028】
(現象コンポーネントコントロール手段)
現象コンポーネントコントロール手段4は、例えば、現象コンポーネント501が有する、パラメータ内輪や外輪の傷の大きさを調整する。調整方法は、該パラメータの取り得る範囲を順次変化させる。また、物理モデルに複数の現象コンポーネントが配置されていれば、それぞれのパラメータを変化させる。パラメータを変化させた場合は、各現象コンポーネントの解析結果と実機データの比較が比較手段3で実施され、収束条件に至るまで繰り返し実施する。
【0029】
(現象コンポーネント選択手段)
現象コンポーネント選択手段7は、現象コンポーネント格納部8から、センサ21が対象としている機器のパーツ301に対応する現象コンポーネント501aを優先選択し、モデルパーツ401と置き換える。現象コンポーネントコントロール手段4が再度現象コンポーネントを要求した場合は、例えば異なる現象コンポーネント501bを選択し、現象コンポーネント501aと置き換える。機器における異常などは、1箇所のセンサ出力だけに現れるわけではなく、複数の箇所に現れることが多いため、現象コンポーネントは、該当箇所のみを適用するだけでなく、複数の組合せを実施するほうがよい。また、現象コンポーネントを選択する場合に、過去の事例などにより優先度をつけ優先度順に選択する方式やセンサデータから読み取れる事象に関連する現象コンポーネントを優先選択する方式をとることで、効率向上を図れる。
【0030】
(パラメータ調整手段)
パラメータ調整手段6は、例えば現象コンポーネント501が有する、パラメータ内輪や外輪の傷の大きさを調整する。調整方法は、該パラメータの取り得る範囲を順次変化させる。また、物理モデルに複数の現象コンポーネントが配置されていれば、それぞれのパラメータを変化させる。パラメータを変化させた場合は、各現象コンポーネントの解析結果と実機データの比較が比較手段3で実施され、収束条件に至るまで繰り返し実施する。パラメータの変化させる順序は、過去の実験や事例により優先度をつけて適用することで効率向上を図ることができる。
【0031】
なお、本実施形態は前記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0032】
また、前記の各構成は、それらの一部又は全部が、ハードウェアで構成されても、プロセッサでプログラムが実行されることにより実現されるように構成されてもよい。また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【0033】
本実施形態の状態監視システム1は、機器の稼動状態に対応して、機器の物理モデル上で異常挙動に起因する要素部をあらかじめモデル化し、実稼働情報に基づいて、要素部モデルを適切に選択、シミュレーション上に組み込む機能を持たせた。これにより常に機器の実稼動状態に追従して、機器に発生しうる異常挙動を含むモデルを組み込んでシミュレーションすることができ、その結果をもとに該機器の状態監視を行うシステムの提供が可能となる。
【0034】
本実施形態によれば、対象とする機器の物理モデルを機器の稼働状態に応じた各センサ情報をもとに、機器の実挙動に対応した現象コンポーネントを前記物理モデルに組み込むことで、実稼動とよく一致するシミュレーションが可能となる。これにより、機器の状態監視を精度良く実現することができる。また、機器のモデルが、最新の機器状態と常に一致しているため、モデルのシミュレーションにより機器の故障予兆診断に活用することができる。
【符号の説明】
【0035】
1 状態監視システム
2 機器データ取得手段
3 比較手段
4 現象コンポーネントコントロール手段(現象コンポーネント調整手段)
5 モデル解析結果取得手段
6 パラメータ調整手段
7 現象コンポーネント選択手段
8 現象コンポーネント格納部(データベース)
10 機器
11,12,13 パーツ
30 物理モデル
31,32,33 基本現象コンポーネント
41,42 現象コンポーネント
300 モータ
301 軸受
302 回転子
305 回転軸
400,401,402,405 モデルパーツ
501 現象コンポーネント
図1
図2
図3
図4
図5
図6