(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6784570
(24)【登録日】2020年10月27日
(45)【発行日】2020年11月11日
(54)【発明の名称】保持テーブルの取り付け検査方法
(51)【国際特許分類】
B24B 41/06 20120101AFI20201102BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20201102BHJP
B23Q 3/08 20060101ALI20201102BHJP
【FI】
B24B41/06 L
H01L21/68 P
B23Q3/08 A
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-214166(P2016-214166)
(22)【出願日】2016年11月1日
(65)【公開番号】特開2018-69403(P2018-69403A)
(43)【公開日】2018年5月10日
【審査請求日】2019年9月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】特許業務法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三浦 修
【審査官】
山村 和人
(56)【参考文献】
【文献】
特開平5−23941(JP,A)
【文献】
特開2013−86187(JP,A)
【文献】
特開2004−306254(JP,A)
【文献】
特開2000−202749(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 37/00 − 37/34
41/00 − 57/04
B23Q 3/08
H01L 21/304
21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状ワークを吸引保持する保持面を有する保持テーブルを基台に取り付けたときの保持テーブルの取り付け検査方法であって、
該保持テーブルは、板形状に形成され、該保持テーブルの外周部の上面から下面にかけてネジを貫通させる複数の貫通孔と、該板状ワークを吸引保持する該保持面と吸引源とを連通させる連通路とを備え、
該基台は、上面が該保持テーブルを支持する支持面となっており、該支持面には該保持テーブルの貫通孔に対応した雌ネジ孔を備え、
該保持テーブルの取り付けは、該支持面に載置した該保持テーブルの該貫通孔を貫通したネジを雌ネジ孔に螺合させ取り付けられており、
取り付けの検査は、該保持テーブルの該保持面にダイヤルゲージの測定子を接触させて走査させ、該保持面の高さ分布を測定する第1の測定工程と、
該保持テーブルの該保持面でフィルムを吸引保持し該フィルムの上面に該ダイヤルゲージの該測定子を接触させて該第1の測定工程と同じ距離を走査させ、該フィルムの該上面の高さ分布を測定する第2の測定工程と、
該第1の測定工程で測定した値と該第2の測定工程で測定した値から既知の該フィルムの厚みを差し引いた値との差があらかじめ設定した許容範囲を超えたときは該基台の該支持面と該保持テーブルの下面との間に異物が挟まれ該保持テーブルが該基台に正常に取り付けられていないと判断し、該差が許容範囲内であったら該保持テーブルが該基台に正常に取り付けられていると判断する判断工程と、を備える保持テーブルの取り付け検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保持テーブルを支持する基台に保持テーブルが正常に取り付けられているか否かを検査する検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
板状ワークなどの被加工物を研削する研削装置においては、ポーラス板を有する保持テーブルに吸引保持された板状ワークに研削砥石の研削面を接触させて、板状ワークが所定の厚みに至るまで研削している。研削後の板状ワークの厚みを均一にするためには、研削砥石の研削面を保持テーブルの保持面に対して平行に位置づけてから研削を開始するが、保持テーブルの保持面と研削砥石の研削面とを平行に調整できないときがある。この場合は、研削砥石によって保持テーブルの保持面をあらかじめ研削している。
【0003】
例えば、円錐状の保持面を有する保持テーブルの保持面を研削する場合は、保持テーブルの回転軸と研削ホイールの回転軸とを僅かに傾けた傾き関係にして、保持テーブルを回転させつつ、研削砥石の研削面で保持テーブルの保持面を研削することにより、保持テーブルの保持面と研削砥石の研削面とが平行になるように調整している。保持テーブルの保持面を研削砥石によって研削する際には、ポーラス板の上面(保持面)に研削屑が入り込まないようにするために、保持テーブルの保持面に吸引力を作用させないで研削している。一方、板状ワークを研削するときは、保持テーブルの保持面で板状ワークを吸引保持しながら、研削砥石によって板状ワークを所定の厚みに至るまで研削している。
【0004】
ここで、保持テーブルは、ポーラス板を固定するための基台に固定されて使用される。ポーラス板の基台への固定が不安定であると、保持テーブルの保持面の高さが部分的に浮き沈みして板状ワークの仕上がり厚みが均一とならないという問題がある。そこで、下記の特許文献1においては、基台の上にポーラス板を固定した後、保持テーブルの保持面にシートを載置して、保持面でシートを吸引しない状態と保持面でシートを吸引した状態とのそれぞれの状態において、測定器によりシートの上面の同一位置を測定することにより保持テーブルの保持面の浮き沈みを検出し、ポーラス板の基台への取り付け状態の良否を検査する検査方法が提案されている。そして、保持テーブルを研削装置などに搭載するときは、保持テーブルを下方から支持する基台(支持テーブル)の上に保持テーブルをさらに取り付けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平05−023941号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、保持テーブルを支持する基台と保持テーブルとの間にゴミなどの異物が挟まっていると、僅かな隙間が生じてしまう。この状態で保持テーブルの保持面を研削砥石で研削すると、保持テーブルに吸引作用が生じていないため、保持テーブルは基台に対して沈まない。一方、板状ワークを研削する際には、保持テーブルの保持面を板状ワークで塞いだ状態で板状ワークを吸引保持するため、吸引力によって保持面を押圧するのと同じ事が起きている。つまり、基台と保持テーブルとの間に異物が挟まった状態で板状ワークを研削すると、保持テーブルは基台にむけて沈んだ状態となり、保持テーブルの保持面の高さにばらつきが生じて、板状ワークが部分的に厚く研削されてしまうという問題がある。このような問題は、研削装置以外の加工装置においても生じうる。例えば、保持テーブルが搭載される装置が、保持テーブルによって保持された被加工物に回転する切削ブレードを作用させて切削する切削装置や、保持テーブルによって保持された被加工物にレーザ光を照射してレーザ加工するレーザ加工装置である場合において、基台と保持テーブルとの間に異物が挟まっていると、加工により形成される溝等の高さが不均一になるという問題がある。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、保持テーブルの基台への取り付け状態の良否の検査を簡易に行うことができるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、板状ワークを吸引保持する保持面を有する保持テーブルを基台に取り付けたときの保持テーブルの取り付け検査方法であって、該保持テーブルは、板形状に形成され、該保持テーブルの外周部の上面から下面にかけてネジを貫通させる複数の貫通孔と、該板状ワークを吸引保持する該保持面と吸引源とを連通させる連通路とを備え、該基台は、上面が該保持テーブルを支持する支持面となっており、該支持面には該保持テーブルの貫通孔に対応した雌ネジ孔を備え、該保持テーブルの取り付けは、該支持面に載置した該保持テーブルの該貫通孔を貫通したネジを雌ネジ孔に螺合させ取り付けられており、取り付けの検査は、該保持テーブルの該保持面にダイヤルゲージの測定子を接触させて走査させ、該保持面の高さ分布を測定する第1の測定工程と、該保持テーブルの該保持面でフィルムを吸引保持し該フィルムの上面に該ダイヤルゲージの該測定子を接触させて該第1の測定工程と同じ距離を走査させ、該フィルムの該上面の高さ分布を測定する第2の測定工程と、該第1の測定工程で測定した値と該第2の測定工程で測定した値から既知の該フィルムの厚みを差し引いた値との差があらかじめ設定した許容範囲を超えたときは該基台の該支持面と該保持テーブルの下面との間に異物が挟まれ該保持テーブルが該基台に正常に取り付けられていないと判断し、該差が許容範囲内であったら該保持テーブルが該基台に正常に取り付けられていると判断する判断工程と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明にかかる保持テーブルの取り付け検査方法は、保持テーブルの保持面にダイヤルゲージの測定子を接触させて走査させ保持面の高さ分布を測定する第1の測定工程と、保持テーブルの保持面でフィルムを吸引保持しフィルムの上面にダイヤルゲージの測定子を接触させて第1の測定工程と同じ距離を走査させフィルムの上面の高さ分布を測定する第2の測定工程と、第1の測定工程で測定した値と第2の測定工程で測定した値から既知のフィルムの厚みを差し引いた値との差があらかじめ設定した許容範囲を超えたときは基台の支持面と保持テーブルの下面との間に異物が挟まれ保持テーブルが基台に正常に取り付けられていないと判断し、差が許容範囲内であったら保持テーブルが基台に正常に取り付けられていると判断する判断工程とを備えたため、例えば、保持テーブルを基台に取り付けた直後に、保持テーブルの下面と基台の支持面との間にゴミ等の異物が挟まって隙間が空いているかどうかを確認することができるため、保持テーブルの基台への取り付け状態の良否の検査を簡易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】(a)は、保持テーブルの構成を示す斜視図である。(b)は、保持テーブルの構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1に示す保持テーブル1は、被加工物である板状ワークを吸引保持する保持テーブルの一例であって、基台6に取り付けられた状態で例えば研削装置に搭載される。保持テーブル1は、
図1(a)に示すように、例えば円板形状に形成され、枠体2と、枠体2の中央部に嵌合された保持部3とにより構成されている。保持部3は、例えばポーラスセラミックスにより形成されており、その上面が板状ワークを吸引保持する保持面3aとなっている。
【0012】
図1(b)に示すように、枠体2は、保持部3の外径よりも大きい内径を有する嵌合凹部20と、枠体2の上面2aよりも低い位置に形成された上面2bを有する環状の外周部21とにより構成されている。保持テーブル1を構成する枠体2の内部には、外周部21の上面2bから下面2cにかけてネジ9を貫通させる複数の貫通孔4と、板状ワークを吸引保持する保持面3aと吸引源10とを連通させる連通路5とを備えている。そして、保持部3を枠体2の嵌合凹部20に嵌め込んで保持テーブル1として使用することができる。
【0013】
図1(a)に示す基台6は、保持テーブル1と略同径の円板形状に形成されており、その上面が保持テーブル1を支持する支持面6aとなっている。
図1(b)に示すように、基台6の支持面6aには、枠体2に形成された複数の貫通孔4の位置に対応して形成された複数の雌ネジ孔7を備えている。また、基台6の中央には、枠体2の連通路5と吸引源10とを連通させる吸引路8が形成されている。
【0014】
ここで、保持テーブル1の基台6への取り付け方について説明する。まず、保持テーブル1を構成する枠体2の各貫通孔4を基台6の各雌ネジ孔7の位置にそれぞれ一致させ、枠体2を基台6の支持面6aに載置する。これにより、連通路5と吸引路8とが接続される。続いて、各ネジ9を各貫通孔4から挿入し各雌ネジ孔7に螺合させることにより、枠体2を基台6の支持面6aに固定する。このようにして、基台6に保持テーブル1が取り付けられる。保持テーブル1を基台6から取り外す場合は、全てのネジ9を貫通孔4から外して、支持面6aから枠体2を取り外せばよい。
【0015】
上記のようにして基台6に取り付けられた保持テーブル1は、例えば、保持テーブル1が、水平方向の回転軸を軸として回転する切削ブレードによって被加工物を切削加工する切削装置に搭載される場合は、保持面3aが水平方向に一致するように調整される。また、保持テーブル1が、略鉛直方向の回転軸を軸として回転する研削砥石を保持テーブル1に保持された被加工物に接触させて研削を行う研削装置に搭載される場合は、保持面3aを研削砥石によって研削することにより、保持面3aが研削砥石の研削面と平行になるように調整される。保持面3aの研削砥石による研削は、保持テーブル1を吸引しない状態で行う。
【0016】
次に、保持テーブル1を基台6に取り付けたときの取り付け状態の良否を検査する取り付け検査方法について説明する。取り付け検査を行うタイミングは、特に限定されないが、本実施形態では、保持テーブル1を基台6に取り付けた直後であって研削装置などの加工装置に搭載する前に行うものとする。
【0017】
(1) 第1の測定工程
図2に示すように、例えばダイヤルゲージ11を用いて、保持テーブル1の保持面3aの高さ分布(保持面3aの高さの傾向)を測定する。ダイヤルゲージ11は、図示しない目盛りが表示された目盛り部110と、ゲージ部111と、被測定物に接触させる測定子112とを少なくとも備えている。ダイヤルゲージ11では、測定子112が被測定物の上面に接触して上下方向に動いたときのゲージ部111が指す目盛りの値と目盛りの基準値(ゼロ値)との差を被測定物の高さの変化量として検出することができる。
【0018】
ダイヤルゲージ11は、保持テーブル1の保持面3aの径方向に走査させる走査手段13に接続されている。走査手段13は、ダイヤルゲージ11に接続された移動部130と、移動部130を水平方向にガイドするためのガイド孔131とを備えている。ダイヤルゲージ11の測定子112を被測定物の上面に接触させつつ、走査手段13によってダイヤルゲージ11を保持面3aの径方向に走査させることにより、保持面3aの高さ分布を測定することができる。ダイヤルゲージ11には、ダイヤルゲージ11が測定した測定値を記憶するとともに、記憶された測定値に基づいて保持テーブル1が基台6に正常に取り付けられているかどうかを判断する判断部12が接続されている。
【0019】
保持テーブル1の保持面3aの高さ分布を測定する際には、
図3に示すように、吸引源10から吸引力を保持テーブル1の保持面3aに作用させずに、ダイヤルゲージ11の測定子112を保持テーブル1の保持面3aに直接接触させ、
図2に示した走査手段13によって、ダイヤルゲージ11の測定子112を例えば矢印X方向に走査させる。第1の測定工程では、保持テーブル1を回転させないため、保持テーブル1の保持面3aの直径上においてダイヤルゲージ11の測定子112を1回又は複数回走査させるとよい。
【0020】
第1の測定工程を実施する際には、保持テーブル1に吸引源10の吸引力が作用していないことから、保持テーブル1を構成する枠体2の下面2cと基台6の支持面6aとの間に異物(不図示)が挟まっていたとしても、保持テーブル1が基台6に対して沈まない。つまり、保持テーブル1が浮き沈みしないことから、保持テーブル1の保持面3aの径方向における高さ傾向がほぼ変化しない。そのため、ダイヤルゲージ11の測定子112が保持テーブル1の保持面3aに接触しながら走査しているときに、ゲージ部111が目盛りの基準値の位置から変動せず、保持テーブル1の保持面3aの高さ分布はゼロ値となる。この測定値は判断部12に送られる。
【0021】
(2) 第2の測定工程
第1の測定工程を実施したら、
図4に示すように、保持テーブル1の保持面3aで例えばフィルム15を吸引保持した状態でダイヤルゲージ11によりフィルム15のフィルム上面15aの高さ分布を測定する。使用するフィルム15の厚みはあらかじめに判断部12に記憶させておく。
【0022】
まず、
図5に示すように、保持テーブル1の保持面3aにフィルム15を覆うように載置して、吸引源10の吸引力を吸引路8、連通路5及び保持部3を通じて保持面3aに作用させることにより、保持面3aでフィルム15を吸引保持する。次いで、ダイヤルゲージ11の測定子112をフィルム15のフィルム上面15aに接触させ、
図4に示した走査手段13によってダイヤルゲージ11の測定子112を例えば矢印X方向に第1の測定工程と同じ距離だけ走査させる。すなわち、第2の測定工程においても、保持テーブル1を回転させないため、第1の測定工程で測定した箇所と同じ箇所をダイヤルゲージ11の測定子112によって走査させればよい。
【0023】
保持テーブル1を構成する枠体2の下面2cと基台6の支持面6aとの間に例えばゴミ等の異物17が挟まっていると、枠体2の下面2cと基台6の支持面6aとの間に僅かな隙間16が生じるが、第2の測定工程の実施するときには、保持テーブル1の保持面3aに吸引源10の吸引力を作用させてフィルム15を吸引保持しているため、吸引力を受けて保持テーブル1が基台6に対して沈み込む。図示の例では、保持テーブル1の外周部21側(ネジ9により保持テーブル1が基台6に固定された部分)は固定されているため、隙間16の大きさ分だけ保持テーブル1の中央部分が盛り上がり、保持テーブル1の外周部21側が沈んだ状態となっている。つまり、保持テーブル1の保持面3aの高さ傾向は凸形状となっており、この保持面3aに追従してフィルム15のフィルム上面15aの上面高さ傾向も均一となっていない。そのため、ダイヤルゲージ11の測定子112がフィルム15のフィルム上面15aに接触しながら走査しているときに、ゲージ部111が目盛りの基準値の位置から変動する。このようにして、第1の測定工程で測定した箇所と同じ箇所におけるフィルム上面15aの高さ分布を測定し、その測定値は判断部12に送られる。
【0024】
(3) 判断工程
判断部12は、第1の測定工程及び第2の測定工程によって得られた測定値に基づいて、保持テーブル1の基台6への取り付け状態の良否を判断する。具体的には、判断部12は、第1の測定工程で測定した測定値と第2の測定工程で測定した測定値から既知のフィルム15の厚みを差し引いた値との差(差分値)を求める。この差分値は、保持テーブル1の下面2cと基台6の支持面6aとの間に異物が挟まっているために生じる値である。例えば、測定子112の走査により測定した箇所を一定間隔ごとにサンプリングし、サンプリングしたそれぞれの位置における差分値を求める。判断工程を実施する際には、保持テーブル1が基台6に正常に取り付けられていると判断することができる許容範囲、つまり、目盛り部110におけるゲージ部111の測定値の許容範囲をあらかじめ判断部12に設定しておく。
【0025】
ここで、例えば、判断部12によって求められた差分値のうちのいずれかが、判断部12に設定された許容範囲を超えたときは、判断部12は、基台6の支持面6aと保持テーブル1の下面2cとの間に異物17が挟まれており、保持テーブル1が基台6に正常に取り付けられていないと判断する。この場合は、保持テーブル1を基台6から取り外して異物17を取り除いてから、保持テーブル1を基台6に取り付けて、上記の各工程を繰り返し実施して再度保持テーブル1の取り付け検査を行うとよい。
【0026】
一方、判断部12によって求められたすべての差分値が、判断部12に設定された許容範囲内であったら、判断部12は、保持テーブル1が基台6に正常に取り付けられていると判断する。このようにして、保持テーブル1の取り付け検査が完了する。その後は、基台6に取り付けられた保持テーブル1を例えば研削装置に搭載して、保持テーブル1の保持面3aに板状ワークを保持して研削加工を進めることが可能となり、板状ワークの厚みを均一に仕上げることができる。なお、差分値の総和の許容値をあらかじめ判断部12に記憶させておき、実際の差分値の総和が、あらかじめ判断部12に記憶させた許容値を超えたときに、基台6の支持面6aと保持テーブル1の下面2cとの間に異物17が挟まれていると判断するようにしてもよい。また、差分値の最大許容値を判断部12に記憶させておき、算出した差分値が当該最大許容値を超えている場合に、基台6の支持面6aと保持テーブル1の下面2cとの間に異物17が挟まれていると判断するようにしてもよい。
【0027】
以上のとおり、本発明にかかる保持テーブルの取り付け検査方法は、保持テーブル1の保持面3aにダイヤルゲージ11の測定子112を接触させて走査させ保持面3aの高さ分布を測定する第1の測定工程と、保持テーブル1の保持面3aでフィルム15を吸引保持しフィルム15のフィルム上面15aにダイヤルゲージ11の測定子112を接触させて第1の測定工程と同じ距離を走査させフィルム15のフィルム上面15aの高さ分布を測定する第2の測定工程と、第1の測定工程で測定した測定値と第2の測定工程で測定した測定値から既知のフィルム15の厚みを差し引いた値との差(差分値)があらかじめ判断部12に設定した許容範囲を超えたときは基台6の支持面6aと保持テーブル1の下面2cとの間に異物17が挟まれ保持テーブル1が基台6に正常に取り付けられていないと判断し、差分値が許容範囲内であったら保持テーブル1が基台6に正常に取り付けられていると判断する判断工程とを備えたため、例えば、保持テーブル1を基台6に取り付けた直後に、保持テーブル1の下面2cと基台6の支持面6aとの間に異物17が挟まって隙間16が空いているかどうかを確認することができるため、保持テーブル1の基台6への取り付け状態の良否の検査を簡易に行うことが可能となる。また、保持テーブル1を基台6に取り付けた直後に上記の取り付け検査を行うことで、保持テーブル1の基台6への取り付け不良の原因を早期に発見できるため、保持テーブル1の保持面3aを必要以上に研削加工することを防止できる。
【0028】
上記実施形態では、保持テーブル1を研削装置に搭載した場合について説明したが、本発明は、研磨装置、切削装置、レーザ加工装置等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0029】
1:保持テーブル 2:枠体 20:嵌合凹部 21:外周部
3:保持部 3a:保持面 4:貫通孔 5:連通路 6:基台 6a:支持面
7:雌ネジ孔 8:吸引路 9:ネジ 10:吸引源
11:ダイヤルゲージ 110:目盛り部 111:ゲージ部 112:測定子
12:判断部 13:走査手段 130:移動部 131:ガイド孔
15:フィルム 15a:フィルム上面 16:隙間 17:異物